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JP2009114093A - 発がん予防剤 - Google Patents

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JP2009114093A JP2007286497A JP2007286497A JP2009114093A JP 2009114093 A JP2009114093 A JP 2009114093A JP 2007286497 A JP2007286497 A JP 2007286497A JP 2007286497 A JP2007286497 A JP 2007286497A JP 2009114093 A JP2009114093 A JP 2009114093A
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隆 木村
Nariaki Matsuura
成昭 松浦
Akio Sugitachi
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Unitika Ltd
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Abstract

【課題】 長期間摂取し続けても安全で、かつ経口投与で発がん予防効果を発揮する発がん抑制剤並びにそれを含有する発がん抑制作用を有する飲食品を提供する。
【解決手段】 ハナビラタケあるいはハナビラタケを抽出処理もしくはエンド−1,4−グルカナーゼなどによる酵素処理などの処理を行うことによって得られた処理物を有効成分として含有する発がん予防剤並びに該発がん予防剤を含有することを特徴とする経口投与剤及び飲食品。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒトや動物の発がんを予防するために用いられる発がん予防剤に関する。また、この発がん予防剤を含むことを特徴とする経口投与剤及び飲食品に関する。
近年、日本においては人口の高齢化、食生活の欧米化、喫煙などの要因により癌の発生が急激に増加しており、中でも大腸がん、肺がん、肝臓がん、膵臓がんなどの罹患率や死亡率は男女ともに年々高まっている。現在、日本人の全死因の約3割をがんが占めており、がんによる死亡を減少させることは国家対策としても重要な課題となっている。
がんによる死亡を減少させるためには、早期発見、早期治療だけでなく、発がんそのものの予防対策を講じることも不可欠である。近年の食生活の欧米化はがん罹患者の増加に大きく影響していると考えられており、食生活の中に発がん予防に有効な食品や食品成分を取り入れることで、発がんリスクを低下させることが可能であると考えられる。特に、大腸がんに関しては、消化器がんという性格上、このような食生活の改善が大腸がん罹患のリスクを低下させるのに大いに有効的であると期待される。
実際、共役リノレン酸を含む植物油(非特許文献1)、ブロッコリースプラウト(非特許文献2)、ビールの凍結乾燥粉末(非特許文献3)などには、動物実験において大腸発がん予防作用が確認され、臨床応用への可能性が期待されている。
一方、キノコ類は古くから薬用/食用として利用されており、1970年代からそれらに含まれているβ−グルカンなどが抗腫瘍作用を発揮することが示され、カワラタケ由来のクレスチン、シイタケ由来のレンチナン、スエヒロタケ由来のシゾフィラン(いずれも商品名)などのβ−グルカン含有製剤が抗悪性腫瘍剤として実用化された。また、近年になって、アガリクス(カワリハラタケ)、メシマコブ、霊芝、ハナビラタケなどに含まれるβ−グルカンに抗腫瘍作用を期待し、それらのキノコ類の子実体や菌糸体の乾燥物や抽出物が健康食品素材として利用されるようになってきた(例えば、特許文献1−3)。
上記のキノコ類やそれらに含まれる成分のうち、カワラタケ由来のクレスチン、ブナハリタケ、トンビマイタケ、カワリハラタケ、マツタケなど(非特許文献4−6、特許文献4−6)にも動物実験レベルながら発がん抑制作用が確認されている。
上記したキノコ類の中でもハナビラタケは、そのβ−グルカン含量が子実体乾燥粉末当たり43質量%以上と非常に高含有である。ハナビラタケの子実体粉末やその精製β−グルカンを担癌マウスに投与すると、非常に強い抗腫瘍活性を示すことが明らかとなっており、医薬品分野での用途も提案されている(特許文献7−8、非特許文献7−9)。
このように、ハナビラタケは担癌マウスに対しては強い抗腫瘍活性を示すが、その発がん予防作用についてはこれまで全く検討されていない。
田中卓二、鈴木里加子、「食品成分によるがん予防:共役リノレン酸含有植物種子油による大腸発がん抑制」、日本補完代替医療学会誌、(2005)、2(2)、91-100 R.スズキ(Suzuki)、H.コウノ(Kohno)、S.スギエ(Sugie)、T.オカダ(Okada) and T.タナカ(Tanaka)、「ブロッコリースプラウト末のアゾキシメタン誘発ラット大腸アベラント・クリプト・フォーサイの予防効果(Preventive effect of powdered broccoli sprout on azoxymethane-induced rat colonic abberant crypt foci)」、ジャーナル オブ トキシコロジック パソロジー, (2004), 17:119-126 H.ノザワ(Nozawa)、A.ヨシダ(Yoshida)、O.タジマ(Tajima)、M.カタヤマ(Katayama)、H.ソノベ(Sonobe)、K.ワカバヤシ(Wakabayashi) and K.コンドウ(Kondo), 「ビールの摂取は雄性F344ラットにおけるアゾキシメタン誘発大腸発がんを阻止する(Intake of beer inhibits azoxymethane-induced colonic carcinogenesis in male sischer 344 rats)」、インターナショナル ジャーナル オブ キャンサー(Int. J. Cancer), (2004),108:404-411 特開2001−10970号公報 特開2001−131083号公報 特開2003−183176号公報 H.コバヤシ(Kobayashi), K.マツナガ(Matsunaga) and M.フジイ(Fujii),「化学予防剤としてのピー・エス・ケー(PSK as a chemopreventive agent)」, キャンサー エピデミオロジー バイオマーカーズ アンド プリベンション(Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention), (1993), 2:271-276 形山幹生、田嶋修、佐藤拓、園部廣美、「ブナハリタケの大腸発癌抑制作用」、日本栄養・食糧学会大会講演要旨集、(2003)、p.208 菅原冬樹、成澤富雄、「トンビマイタケ(Meripilus giganteus)乾燥粉末摂取ラットにおけるN-methylnitrosourea誘発大腸発癌の抑制」、日本キノコ学会誌、(2004), 12(3):125-130 再表WO2004/004748号 特開2004−210695号公報 特開2006−232719号公報 特開2000−217543号公報 特許第3509736号公報 長谷川明彦、山田宗紀、鈍宝宗彦、福島隆一、松浦成昭、杉立彰夫、「ハナビラタケの免疫調整作用について」、癌と化学療法、(2004)、31(11):1761-1763 N.オオノ(Ohno), N.N.ミウラ(Miura), M.ナカジマ(Nakajima) and T.ヤドマエ(Yadomae), 「栽培されたスパラシス・クリスパ子実体由来の抗腫瘍性1,3−ベータグルカン(Antitumor1,3-beta-glucan from cultured fruit body of Sparassiscrispa).」, バイオロジカル アンド ファーマシューティカル ブレティン(Biol. Pharm. Bull.), (2000), 23(7):866-872 N.オオノ(Ohno), S.ナメダ(Nameda), T.ハラダ(Harada), N.N.ミウラ(Miura), Y.アダチ(Adachi), M.ナカジマ(Nakajma), K.ヨシダ(Yoshida), H.ヨシダ(Yoshida) and T.ヤドマエ(Yadomae), 「食薬用キノコ スパラシス・クリスパから抽出したベータグルカン(SCG)の免疫賦活作用とがん患者への使用(Immunomodulating activity of a β-glucan preparation, SCG, extracted from a culinary-medicinal mushroom, Sparassis crispa Wulf.:Fr (Aphyllophoromycetidae), and application to cancer patients).」インターナショナル ジャーナル オブ メディシナル マッシュルーム(Int. J. Med. Mushr.), (2003), 5, 359-368
上記したように、これまで種々の食品由来成分の発がん予防作用が明らかにされ、それらを食生活に取り入れることが提案されてきている。これらの素材は、発がんの予防に有効であると考えられるが、その効果は必ずしも顕著なものではなく、また長期間摂取した場合の安全性については担保されていない素材もある。
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであり、長期間摂取し続けても安全で、かつ経口投与でも顕著な発がん予防効果を発揮する発がん予防剤及び発がん予防効果を有する飲食品を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため安全で新規な素材の開発を求めて鋭意検討した結果、ハナビラタケが顕著な発がん予防効果を示すという事実を見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ハナビラタケの子実体、菌糸体、もしくはそれらの処理物を有効成分として含有することを特徴とする発がん予防剤を要旨とするものであり、好ましくは、発がん予防作用が大腸発がん予防作用である発がん予防剤である。
本発明の第二は、前記した本発明の発がん予防剤を有効成分として含有する経口投与剤を要旨とするものである。
本発明の第三は、前記した本発明の発がん予防剤を有効成分として含有する発がん予防効果を有する飲食品を要旨とするものである。
本発明によれば、優れた発がん予防効果を示す発がん予防剤が提供できる。また、古くから薬用・食用として利用されているハナビラタケを原料としているため、極めて安全性が高いことから、経口投与剤に含ませて用いることができる他、飲食品に含ませて用いることもできる。従って、摂取者ごとに適した投与方法を選択することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
ハナビラタケは、カラマツ等の針葉樹に生えるキノコであって、非常に希少なキノコである。歯ごたえがよく、その純白の色合いと葉牡丹のような形態が特徴である食用キノコである。これまで、このハナビラタケは成長が遅く人工栽培は非常に困難であるとされてきたが、最近になって、比較的短期間で栽培可能な新しい栽培法が確立され、商業規模での供給が可能となっている。
本発明において用いられるハナビラタケ子実体は、天然のものでも栽培されたものでもよい。人工栽培の方法としては、従来から知られている人工栽培用の菌床を作成することにより行うことができる(詳細は、例えば、特開平11−56098号公報、特許第3746440号、特許第3509736号参照)。
また、本発明においては、ハナビラタケの菌糸体も用いることができる。菌糸体は液体培養法によって得ることができる。培地に使用する炭素源としては、グルコースなどの単糖の他、デキストリン、グリセロールなど通常用いられる炭素源が使用できる。また、窒素源としては無機又は有機窒素源が使用できるが、生育速度の観点からは有機窒素源を用いるほうが好ましい。また、必要に応じて微量元素やビタミン等の生育因子を添加することは通常の培養と何ら変わりはない。培養温度は15℃〜30℃、好ましくは18℃〜28℃、20℃〜25℃が最も好ましい。pHは2.5〜8.0、好ましくは3.0〜7.0、3.5〜5.0が最も好ましい。培地成分には不溶成分を添加することが均一に生育させることができることから好ましい。培養期間は培地組成や菌株により、数日から数週間程度に設定されうる。培養終了後は、培養液を遠心分離或いは濾過することにより菌糸体と培養濾液を分離する。遠心分離は100〜5000G、好ましくは800〜3000Gの重力加速度を与える遠心操作により行うことが出来る。また、濾過は3.5〜200メッシュ、特に好ましくは4〜16メッシュのメンブランフィルターなどを用いて濾別する。
このようにして得られたハナビラタケの子実体又は菌糸体は、そのままで本発明の発がん予防剤とすることができる。また、ハナビラタケの子実体又は菌糸体から溶媒を用いて抽出された溶媒抽出物、あるいはハナビラタケの子実体又は菌糸体を酵素剤により処理を行った酵素処理物を本発明の発がん予防剤とすることもでき、そのような溶媒抽出物又は酵素処理物を得るために、ハナビラタケの子実体あるいは菌糸体を生のままで処理工程に移してもよいし、乾燥し、必要により粉末化などの加工をしてから処理工程に移してもよい。
ハナビラタケの子実体又は菌糸体から溶媒抽出物を得るために用いられる溶媒としては、水溶液や有機溶剤が挙げられる。水溶液としては、純水、酸水溶液、アルカリ水溶液、塩溶液などが使用でき、有機溶剤としては、アルコール、アセトニトリル、酢酸エステル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、エーテル、グリコール、THF、アセトン、塩化メチレン、クロロホルム、ヘキサン、シクロヘキサンなどが使用できる。
抽出に用いる溶剤の量に特に制限はないが、ハナビラタケ重量に対して2〜100倍量を用いることが好ましく、5〜50倍量がさらに好ましい。2倍量以下では操作性が、100倍量以上では作業効率が悪い。また、抽出は1種又は複数種の溶剤を用いて、複数回行うこともできる。複数回行う場合は、ハナビラタケからの抽出でもよいし、ハナビラタケから得られた抽出画分をさらに抽出してもよい。また、それらを組み合わせて行うことができる。
抽出操作の際の温度は、特に制限はないが、水溶液を用いる場合は4〜200℃が好ましく、20〜150℃がさらに好ましく、50〜121℃が最も好ましい。4℃以下では抽出効率が悪く、200℃以上では抽出物が熱分解し活性が失われたりなどする。有機溶剤を使用する場合は0〜50℃が好ましく、4℃〜40℃がさらに好ましく、10℃〜30℃が最も好ましい。0℃以下では抽出効率が悪く、50℃以上では溶剤が揮発するなどして作業効率が悪くなる。水溶液及び有機溶剤のいずれを用いる場合も抽出時間に特に制限はないが、10分〜3日間程度が好ましく、30分〜2日間がさらに好ましく、2時間〜1日間が最も好ましい。10分以下では抽出量が少なく、3日間以上では作業効率が低い。また、抽出は静置のまま行うこともできるが、撹拌又は振盪などすることによって抽出効率を高めることができる。
また、有効性、安全性をさらに高めるため抽出液を希釈又は濃縮した後、限外ろ過または逆浸透膜処理したもの若しくはそれらを活性炭または各種樹脂で処理したもの、またはそれらの処理液を希釈又は濃縮したものを使用することもできる。
ハナビラタケの子実体や菌糸体をエンド−1,4−グルカナーゼ、キシラナーゼおよびエンド−1,3−グルカナーゼを含有する酵素剤で処理することにより、処理物を得ることができる。例えばトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)由来の酵素類を含有する製剤(商品名「ファンセラーゼ」、「セルラーゼオノヅカ」ヤクルト本社製など)やヘミセルラーゼなどの市販の酵素剤、セルラーゼ、マンナーゼ、アラバナーゼ、キシラナーゼ、ペクチナーゼなどの酵素群も利用することが出来る。
酵素処理条件は従来から知られている条件が好ましい。すなわちハナビラタケに対する添加割合は「セルラーゼオノヅカ」を例にとると、0.01〜5%、好ましくは0.05〜1%であり、0.1〜0.5%が最も好ましい。処理液のpHは2.0〜9.0、好ましくは3.0〜8.0であり、4.0〜7.0が最も好ましい。酵素作用温度は20℃〜70℃、好ましくは30℃〜65℃であり、40℃〜60℃が最も好ましい。また、酵素処理時間は、工程の都合により数分から数時間程度に設定しても差し支えない。
酵素処理後、処理液を加熱して酵素反応を停止させる。通常、80℃〜100℃で約10分間加熱して酵素を失活させる。その後、残渣を濾別せずに処理液を凍結乾燥やスプレードライなどの乾燥手段を施して粉末などの乾燥物としてもよいし、残渣を濾別した濾液を濃縮してエキスや粉末などの乾燥物としてもよい。本発明のハナビラタケの酵素処理物は、これらの乾燥物や濃縮エキスを包含するものである。
以上のようにして得られたハナビラタケの子実体または菌糸体、もしくはそれらを抽出処理、酵素処理して得られた処理物は発がん予防効果を有しており、副作用がないという優れた特性も有している。
本発明の発がん予防剤は、通常、ハナビラタケの子実体または菌糸体もしくはそれらの処理物を0.01〜100%(w/w)配合するのが好ましい。さらに好ましくは、0.1〜80%(w/w)配合するのが好ましい。この範囲であれば製剤化が容易であり、かつ十分な効果を期待できる。
本発明の発がん予防剤の形態は、適用の仕方に応じて種々の形態にすることができる。経口投与する場合には、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とすることができる。
製剤には薬剤的に許容できる種々の担体を加えることができる。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、コーティング剤を含むことができるが、これらに限定されない。本発明の発がん予防剤を持続性、徐放性のものとしてもよい。
本発明におけるがん予防とは、ヒトや動物においてがんの発生を未然に防ぐことを意味するが、いわゆる前がん症状とされるような症状が進行し、前がん状態ががん化することを遅延・抑制する効果も含む。このような観点から、本発明のがん予防剤は、日常的に継続して摂取することが望ましい。
本発明におけるがん予防効果は、癌の種類を問わず、大腸がん、肺がん、胃がん、乳がん、前立腺がん、肝がん、食道がん、膵臓がんなど、種々のがんに対して有効であるが、特に大腸がんの予防に対して極めて有効である。
本発明の第二の経口投与剤は、上記した本発明の発がん予防剤を含有するものである。ハナビラタケは古くから食用・薬用とされてきたことから極めて安全な素材である。この点から、発がん予防剤の使用量は厳しく制限されるものではないと考えられるが、概ね、下限は予防という目的に応じた効果を発揮しうる量を、上限は摂取のしやすさ、経済性等の観点から実際的な量を基準とし、通常、ハナビラタケ乾燥物に換算して成人1日あたり約0.01g〜約100g、好ましくは約0.1g〜約10gを摂取すればよい。もちろん、摂取する者の年齢、体重、症状、投与期間、治療経過等に応じて変化させることもできる。1日あたりの量を数回に分けて摂取することもできる。
本発明の経口投与剤は、加工飲食品、医薬部外品、医薬品に用いられる水性成分、油性成分、植物抽出液、動物抽出液、粉末、界面活性剤、油剤、アルコール、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、色素、香料等を本発明の発がん予防剤とともに原材料に配合することにより調製される。形態としては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とすることが出来るが、これらに限定されない。また、製剤には薬剤的に許容できる種々の担体を加えることができる。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、コーティング剤を含むことができるが、これらに限定されない。本発明の発がん予防剤を持続性、徐放性のものとしてもよい。
本発明の経口投与剤は、本発明の発がん予防剤及び上記した成分などのほかに、さらに、鉄、カルシウム等の無機成分、種々のビタミン類、オリゴ糖、キトサン等の食物繊維、大豆抽出物等のタンパク質、レシチンなどの脂質、ショ糖、乳糖等の糖類を含んでいてもよい。
さらに本発明の経口投与剤は、上記した本発明の発がん予防剤のほかに、他の発がん予防成分や、抗酸化剤、抗炎症剤、経口で投与される抗悪性腫瘍剤、動物由来及び/又は植物由来の乳酸菌製剤、他の有効成分を含ませるものであってもよく、そうした場合、酸化ストレスなどの発がんに関連するストレスを低減させたり、がん化した細胞の増殖を抑制したり出来ることから、より高い効果を持つ経口投与剤とすることができる。
本発明の第三の飲食品は、上記した本発明の発がん予防剤を含有するものである。ハナビラタケは古くから食用・薬用とされてきたことから極めて安全な素材である。この点から、発がん予防剤の使用量は厳しく制限されるものではないと考えられるが、概ね、下限は予防という目的に応じた効果を発揮しうる量を、上限は摂取のしやすさ、経済性等の観点から実際的な量を基準とし、通常、ハナビラタケ乾燥物に換算して成人1日あたり約0.01g〜約100g、好ましくは約0.1g〜約10gを摂取すればよい。もちろん、摂取する者の年齢、体重、症状、投与期間、治療経過等に応じて変化させることもできる。1日あたりの量を数回に分けて摂取することもできる。
本発明の飲食品は、加工飲食品、医薬部外品、医薬品に用いられる水性成分、油性成分、植物抽出液、動物抽出液、粉末、界面活性剤、油剤、アルコール、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、色素、香料等を本発明の発がん予防剤とともに原材料に配合することにより調製される。形態としては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤などの健康飲食品類;麺類;パン類;無果汁飲料、果汁入り飲料、乳酸菌飲料、茶類飲料、コーヒー飲料、豆乳飲料、スープ類等の飲料類;スナック、クッキー、ガム、キャンディー等の菓子類;アイスクリーム、シャーベット、みぞれなど冷菓類;プリン、ババロア、ゼリー、ヨーグルト、ケーキなどのデザート食品類及びその他のインスタント食品とすることができる。
本発明の飲食品は、本発明の発がん予防剤及び上記した成分などのほかに、さらに、鉄、カルシウム等の無機成分、種々のビタミン類、オリゴ糖、キトサン等の食物繊維、大豆抽出物等のタンパク質、レシチンなどの脂質、ショ糖、乳糖等の糖類を含んでいてもよい。
また本発明の飲食品は、既存の健康食品類、飲料類、菓子類、冷菓類、デザート類及びその他インスタント食品類に、上記した本発明のハナビラタケを含むことを特徴とする発がん予防剤を含ませることによっても得ることができる。
さらに本発明の飲食品は、上記した本発明の発がん予防剤のほかに、他の発がん予防成分や、抗酸化成分、抗炎症成分、経口で投与される抗腫瘍成分、動物由来及び/又は植物由来の乳酸菌乳酸菌、他の有効成分を含ませるものであってもよく、そうした場合、酸化ストレスなどの発がんに関連するストレスを低減させたり、がん化した細胞の増殖を抑制したり出来ることから、より高い効果を持つ飲食品とすることができる。
以下、本発明の実施例を挙げるが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
製造例1〔ハナビラタケ子実体の製造〕
ハナビラタケ子実体を以下のようにして製造した。カラマツの大鋸屑、小麦粉、栄養分(バナナ、蜂蜜、エビオス、ペプトン、塩化カルシウム、ハイポネックス)及び水を、大鋸屑:小麦粉:栄養分:水=100:11.5:1.9:51の重量比で含む菌床基材を準備した。この菌床基材(520g)を、850ml容のポリプロピレン製の培養瓶に入れ、常法に従って培養瓶を滅菌した後に、ハナビラタケの種菌(16g)を接種した。その後、この培養瓶を、23℃の温度下で、56日間放置することによりハナビラタケ子実体を収穫した。子実体の重量は培養瓶1本当たり140gであった。
製造例2〔ハナビラタケ菌糸体の製造〕
ハナビラタケ菌糸体を以下のようにして製造した。イーストエキス0.4質量%、グルコース2質量%、リン酸2水素カリウム0.1質量%、リン酸水素2ナトリウム0.1質量%となるように水に溶解し、1Nの塩化水素でpH5.0に調製し、500ml容三角フラスコにそれぞれ200ml入れ、常法に従って滅菌した。この液体培地にハナビラタケの種菌を生育させた平板培地から径6mmの寒天片を打ち抜き、その一片を接種し、24℃の暗黒下で、21日間振とう培養(100rpm)することによりハナビラタケ菌糸体を収穫した。菌糸体の乾燥重量は三角フラスコ1本当たり2gであった。
試験例1〔がん細胞に対する増殖抑制作用〕
製造例1で得たハナビラタケ子実体の抽出液と製造例2で得たハナビラタケ菌糸体の抽出液について、がん細胞に対する増殖抑制作用を評価した。またその増殖抑制活性をアガリクスと比較した。アガリクスは市販の子実体粉末を購入して試験に供試した。
ハナビラタケの子実体及び菌糸体凍結乾燥粉末とアガリクス粉末を10%FBS含有RPMI1640培地に25mg/mlの濃度で懸濁し、50℃で1時間抽出した。得られた上清を0.20μmのフィルターで濾過滅菌し、被検物質とした。
ヒト白血病細胞K562、ヒト結腸がん細胞Caco-2、ヒト大腸癌細胞HCT-116(大阪大学医学部保健学科より分譲)を10%FBS含有RPMI1640培地に懸濁し、96wellプレートに6×103/wellとなるように分注した。ここに上記の被検物質を終濃度が各キノコ粉末換算で2mg/mlになるように添加し、37℃、5%CO2条件のインキュベーターで培養した。培養開始時(0時間後)と培養開始48時間後にCell counting kit-8(同人化学製)を10μl/well添加し、37℃、5%CO2条件に2時間静置した。その後、吸光度(450nm-620nm)を測定し、以下の式1に従って、各キノコ抽出液による細胞増殖の抑制率を算出した。
ハナビラタケ及びアガリクスの抽出液について、各種がん細胞の増殖に対する増殖抑制率を表1に示した。
表1より、ハナビラタケの抽出液は各種がん細胞に対して顕著な増殖抑制作用を示すことが明らかとなった。また、その作用はアガリクスよりも強いものであった。
試験例2〔AOM誘発ラット大腸前がん病変の発生予防作用〕
アゾキシメタン(AOM:SIGMA製)は、動物に皮下投与すると大腸がんを誘発し、前がん病変とされる異常陰窩病巣(Abberant crypt foci:ACF)を形成する化学発がん剤であることから、AOMで誘発されるACF形成を試験系として用い、ハナビラタケの発がん予防作用を評価した。
製造例1で得たハナビラタケ子実体を熱風乾燥後、ミルで破砕して乾燥粉末を得た。これを実験動物用飼料AIN-76に0.3%(w/w)、1.0%(w/w)、3.0%(w/w)となるように混合し、被検飼料を作成した。コントロール飼料はハナビラタケを添加していないAIN-76とした。
試験群は、コントロール群、ハナビラタケ粉末0.3%(w/w)混餌投与群、ハナビラタケ粉末1.0%(w/w)混餌投与群ハナビラタケ粉末3.0%(w/w)混餌投与群の4群とした。対象動物は雄性F344ラットとした。F344ラット(5週齢)は日本エスエルシーから購入し、温度23±2℃、湿度50±10%の環境下、7:00〜19:00の光サイクルで飼育した。1週間の馴化飼育後、上記した被検飼料の投与を開始した。投与開始から1週間後と2週間後に15mg/kgのAOMを皮下投与し、大腸発がんを誘導した。
被検飼料の投与開始5週間後にラットを屠殺し、大腸を摘出した。これを生理食塩水でよく洗浄した後、解剖はさみを用いて肛門から盲腸までを縦に切り開き、板状にしてろ紙に挟んだ上、10%中性ホルマリン溶液中に24時間以上浸漬した。次いで、これを流水中に30分間以上おいてホルマリンを除いた後、0.2%(w/v)メチレンブルー溶液に10分間浸漬し染色した。染色後、流水中にて付着色素を除いた後、実体顕微鏡を用いてACF数および異常陰窩細胞(Abberant crypt:AC)数をカウントし、1つのACFあたりの平均AC数も算出した。これらの値を群ごとに集計し、それぞれの平均値と標準偏差を求めた。
一方、ACFカウント後の大腸組織に関しては、パラフィン包埋後に3μm厚に薄切りし、脱パラフィン処理した後にアポトーシス細胞とPCNAの発現を免疫組織化学染色によって検出した。アポトーシス細胞はApoptosis in situ Detection kit(Wako製)を用いたTUNEL法で、PCNAの発現は抗-PCNA抗体(Dako製)を用いたavidin-biotin complex法により検出した。染色は定法に従って実施し、染色像を顕微鏡観察下で観察し、陽性細胞の比率をそれぞれ求めた。
ACF数のカウント結果を以下の表2に示す。統計学的な解析はDunnett検定で行った。統計学的な有意差を示した群をアスタリスクで示す。
免疫組織化学染色の結果を以下の表3に示す。統計学的な解析はDunnett検定で行った。統計学的な有意差を示した群をアスタリスクで示す。
表2と3より、ハナビラタケの経口摂取は、AOM誘発大腸前がん病変発生に対する抑制作用を示すことが明らかとなった。

Claims (4)

  1. ハナビラタケ及び/又はその処理物を含むことを特徴とする発がん予防剤。
  2. 発がん予防作用が、大腸発がん予防作用である請求項1に記載の発がん予防剤。
  3. 請求項1又は2記載の発がん予防剤を含有することを特徴とする経口投与剤。
  4. 請求項1又は2記載の発がん予防剤を含むことを特徴とする発がん予防効果を有する飲食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013075869A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Euglena Co Ltd 大腸癌抑制物質

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