本発明の実施形態について以下に、次の添付の図面を参照しながら説明する。
動作例における以外では、またはそうでないことが示されない限り、本明細書及び請求項において使用される成分の量、反応条件などを指す全ての数字、値、及び/又は表現は、全ての例において用語「about(約)」によって修飾されるものとして理解されるべきである。
種々の数値範囲が本特許出願において開示される。これらの範囲は連続するので、特に断らない限り、これらの範囲は、各範囲の最小値及び最大値、及び最小値と最大値との間の全ての値を含む。更に、明らかにそうでないことが示されない限り、本明細書において、そして請求項において指定される種々の数値範囲は、このような値を取得するために行なわれる測定の種々の不確実性を表わす近似概念である。
本発明による実施形態は複数の方法を提供し、これらの方法では、ノルボルネン型モノマーから誘導される2つ以上の異なる種類の繰返し単位(repeat units)を有する主鎖を持ったビニル付加ポリマーを含むポリマーを利用し、このようなモノマーは、以下に示す構造化学式Iによって表わされるモノマーから個別に選択され:
上の化学式では、第1の異なる種類の繰返し単位は、少なくとも一つのグリシジルエーテル官能性ペンダント基を含み、そして第2の異なる種類の繰返し単位は、少なくとも一つのアラルキルペンダント基を含み、そしてX,m,R
1,R
2,R
3,及びR
4は以下に定義される通りである。ポリマー組成物を含むこのようなポリマーを利用し、かつ内部応力が小さく、300℃超の処理温度に曝すことができ、感光反応することによりパターンを形成することができる膜を形成する方法では、信頼度の高い接合部を電子デバイスの間に、または光電子デバイスの間に、或いはこのようなデバイスと基板との間に形成することができ、そしてこのような組成は、シクロペンタノンのような市販の感光現像液(photodefinable developers)であり、そしてメチルn−アミルケトン(2−ヘプタノン)(”MAK”)は感光プロセスに用いることができる。
上に使用されるように、かつ本明細書を通じて、以下の用語は、そうでないことが示されない限り、以下の意味を有するものとして理解されるものとする。
化学式Iによる「vinyl addition polymers(ビニル付加ポリマー)」という用語を用いる場合、このようなポリマーが、2つ以上の区別できる、または異なる繰返し単位を有する主鎖を含んでいると理解されたい。例えば、2つ以上の異なる種類の繰返し単位を有するポリマーは、2つ、3つ、4つ、または更に多くの異なる種類の繰返し単位を持つことができる。
「derived(誘導される)」という用語は、高分子繰返し単位が多環式のノルボルネン型モノマーから化学式Iに従って重合(形成)されることを意味し、結果として得られるポリマーは、以下に示すように、ノルボルネン型モノマーの2,3連鎖(enchainment)によって形成される:
「polymer(ポリマー)」という用語は、上に定義されるビニル付加重合ポリマーだけでなく、このようなポリマーの合成時に付随する開始剤、触媒の残渣、及び他の元素を指すために用いられ、このような残渣は、これらの物質に共有結合で組み込まれることがないものとして理解される。このような残渣及び他の元素は通常、ポリマーと混合する、または混ぜ合わせることにより、ポリマーを容器の間で移動させる、または溶媒または分散媒質の間で移動させるときにこれらの物質がポリマーとともに残留し易くなる。
「polymer composition(ポリマー組成物)」という用語は、前述のポリマーだけでなく、ポリマーの合成後に添加される材料を指すために用いられる。このような材料として、これらには限定されないが、溶媒(群)、酸化防止剤(群)、光開始剤(群)、増感剤、及び他の材料を挙げることができ、これらの材料については、以下に更に詳しく説明する。
「solvent(溶媒)」という用語は、上述のポリマー組成物の成分を表わすために使用される場合には、反応性溶媒及び非反応性溶媒(希釈剤)の両方を指すために用いられる。
「low K(低K)」という用語は概して、熱成長二酸化シリコンの誘電率(3.9)よりも小さい誘電率を指し、そして「low−K material(低K材料)」と表記されて使用される場合には、3.9よりも小さい誘電率を有する材料を指すことを理解されたい。
「modulus(係数)」という用語は、歪みに対する応力の比を指すことを理解されたく、そしてそうでないことが示されない限り、ヤング率(Young‘s Modulus)または応力−歪み曲線の線形弾性領域において測定される引っ張り係数(Tensile Modulus)を指す。係数の値は普通、ASTMのD1708−95法によって測定される。係数が小さい膜は、内部応力も小さいことを理解されたい。
「photodefinable(感光性)」という用語は、本発明の実施形態によるポリマー組成物のような材料または組成材料の性質を指し、この材料は、パターニング済み層または構造に形成され、パターニング済み層または構造として形成され、そして材料単独でパターニング済み層または構造が形成される。言い換えれば、「photodefinable layer(感光層)」には、前述のパターニング済み層または構造を形成するために、別の材料層、例えばフォトレジスト層をこの層の上に形成する形で使用する必要がない。更に、このような性質を有するポリマー組成物をパターン形成方法に用いて、パターニング済み膜/層または構造を形成することを理解されたい。このような方法では、感光材料または感光層を「像様露光」する。このような像様露光は、層の内の選択された部分を活性光線(actinic radiation)に曝す処理を指すものとして解釈され、非選択部分は、活性光線にこのように曝されることがないように保護される。
「a material that photonically forms a catalyst(光反応により触媒を形成する材料)」という語句は、「活性光線」に曝されると、壊れる、分解する、または他の或る態様で、その分子組成を変えることにより、ポリマーにおける架橋反応を開始させる性質を有する化合物を形成する材料を指し、「actinic radiation(活性光線)」という用語は、前述の変化を分子組成物に生じさせる性質を有するいずれかの種類の放射線を指すために用いられる。例えば、活性光線は、このような放射線の放出源から、または適切なX線または電子ビーム放出源から放出されるかどうかに関係なく、いずれかの波長の紫外線または可視光線とすることができる。「photonically forms a catalyst(光反応により触媒を形成する)」適切な材料の非限定的な例として、以下に詳細に説明する光酸発生剤及び光塩基発生剤を挙げることができる。一般的に、「a material that photonically forms a catalyst(光反応により触媒を形成する材料)」は、適切な温度で熱処理されると触媒も形成することにも注目されたい。
例えば、「a cured composition(硬化済み組成物)」のような、組成物に関連して使用される「cure(硬化(または、「curing(硬化処理)」)」という用語は、組成物に含まれる架橋可能な成分の少なくとも一部を、少なくとも部分的に架橋する処理を指すものとする。本発明の或る実施形態では、このような架橋可能な成分の架橋密度、すなわち架橋する度合いは完全架橋のほぼ100%である。他の実施形態では、架橋密度は完全架橋の80%〜100%の範囲である。この技術分野の当業者であれば、架橋の発生及び度合い(架橋密度)は、以下に記載する動的熱機械的分析(dynamic mechanical thermal analysis:DMTA)のような種々の方法によって求めることができることを理解できるであろう。この方法では、コーティングまたはポリマーのない膜のガラス転移温度及び架橋密度を求める。硬化済み材料のこれらの物理特性は、架橋網状構造に関連付けられる。架橋密度の値が大きくなることは、コーティングまたは膜における架橋の度合いが大きいことを意味する。
本明細書において記載される方法及びポリマー組成物に関連して使用される「bond(接合部)」(または、「bonding(接合させる)」)という用語は、本発明のチップ積層形態におけるチップ群の間に形成される接合部だけでなく、本発明のウェハ薄厚化形態におけるウェハと基板との間に形成される接合部を指すものとする。更に、このような接合させる処理は普通、上に記載された硬化プロセスが行なわれている間に行なわれることを理解されたい。
例えば、R23及びR24が置換基群から個別に選択されるとする以下の記述では、R23及びR24が個別に選択されるだけでなく、R23の置換基変数が1度よりも多く分子の中に現われる場合、現われるこれらの置換基変数は個別に選択される(例えば、R1及びR2がそれぞれ、構造化学式IIの基を含むエポキシである場合、R23はR1中のHとすることができ、そしてR23はR2中のメチルとすることができる)。この技術分野の当業者であれば、置換基(群)のサイズ及び性質は、取り込むことができる他の置換基群の数及び性質に影響を及ぼし得ることを理解できるであろう。
本明細書における文、図式、実施例、及び表において満たされない結合価を持つ原子はいずれも、このような結合価を満たすために適切な数の水素原子(群)を有すると仮定する。
「ヒドロカルビル(hydrocarbyl)」とは、置換基が水素である、または炭素原子及び水素原子のみにより構成されることを意味する。この技術分野の当業者であれば認識していることであるが、ヒドロカルビルは、特に断らない限り、定義が、或る用語が単独で用いられるか、または他の用語と組み合わせて用いられるかにかかわらず適用される以下の意味を包含している。従って、「アルキル(alkyl)」の定義は「アルキル(alkyl)」だけでなく、「アラルキル(aralkyl)」、「アルカリール(alkaryl)」などの「アルキル」部分にも適用される。
「アルキル」という用語は脂肪族炭化水素基を指し、脂肪族炭化水素基は、直鎖状の、または分枝鎖状の非環式または環式とすることができ、かつ1〜25の炭素原子を鎖に含む。一の実施形態では、有用なアルキル基は1〜12の炭素原子を鎖に含む。「分枝鎖状の(branched)」という用語は、メチル、エチル、またはプロピルのような一つ以上の低級アルキル基が直鎖状アルキル鎖に付いている状態を指す。アルキル基は、O,N及びSiから選択される一つ以上のヘテロ原子を含むことができる。適切なアルキル基の非限定的な例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ノニル、デシル、シクロヘキシル、及びシクロプロピルメチルを挙げることができる。
「アリール(aryl)」とは、5〜14の炭素原子、好ましくは6〜10の炭素原子を含む芳香族の単環式、または多環式の環系を指す。アリール基はO,N,及びSiから選択される一つ以上のヘテロ原子を含むことができる。アリール基は、一つ以上の「環系置換基(ring system substituents)」で置換することができ、これらの環系置換基は同じとする、または異ならせることができ、かつヒドロカルビル置換基を含むことができる。適切なアリールの基の非限定的な例として、フェニル、ナフチル、インデニル、テトラヒドロナフチル、及びインダニルを挙げることができる。
「アラルキル(aralkyl)」または「アリールアルキル(arylalkyl)」とは、アリール及びアルキルの両方が上に説明した構成のアリール−アルキル基を指す。或る実施形態では、有用なアラルキルは低級アルキル基を含む。このような適切なアラルキル基の非限定的な例として、ベンジル、フェネチル、及びナフタレニルメチルを挙げることができ、この場合、アラルキルはアルキレン基を介してノルボルネンに結合している。或る実施形態では、アラルキル基はO,N,及びSiから選択される一つ以上のヘテロ原子を含むことができる。
「環状アルキル(cyclic alkyl)」またはシクロアルキルとは、概略3〜10の炭素原子を含む、或る実施形態では、5〜10の炭素原子を含む、または他の実施形態では5〜7の炭素原子を含む非芳香族の単環式の、または多環式の環系を指す。シクロアルキルは、一つ以上の「環系置換基」で置換することができ、これらの環系置換基は同じとする、または異ならせることができ、かつヒドロカルビル置換基またはアリール置換基を含むことができる。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを挙げることができる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例として、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなどを挙げることができる。シクロアルキル基はO,N,及びSiから選択される一つ以上のヘテロ原子を含むことができる(「ヘテロサイクリル」)。適切な単環式ヘテロサイクリル環の非限定的な例として、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどを挙げることができる。
「グリシジルメチルエーテルノルボルネン」及び「メチルグリシジルエーテルノルボルネン」という表記は本明細書では同じ意味に使用され、かつ同じモノマーまたは誘導繰返し単位を指す。「オクチルエポキシノルボルネン」及び「エポキシオクチルノルボルネン」という表記は本明細書では同じ意味に使用され、かつ同じモノマーまたは誘導繰返し単位を指す。
前述したように、本発明による実施形態は、ビニル付加ポリマーを含むポリマー組成物を利用する方法に関する。このようなポリマーは更に、ノルボルネン型モノマーから誘導される2つ以上の異なる種類の繰返し単位を有する主鎖を含み、このようなモノマーは化学式Iで表わされるモノマーから個別に選択される:
上の化学式では、Xは−CH2−、−CH2−CH2−、及び−O−から選択され;mは0〜5、或る場合には0〜3、そして他の場合には0〜2の整数であり、そして各箇所に現われるR1、R2、R3、及びR4は、以下に列挙する基の内の一つの基から個別に選択される:
H基、C1〜C25直鎖基、分枝鎖基、及び環状アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルカリール基、アルケニル基、及びアルキニル基;または
O、N、及びSiから選択される一つ以上のヘテロ原子を含むC1〜C25直鎖基、分枝鎖基、及び環状アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルカリール基、アルケニル基、及びアルキニル基;または
化学式IIによって表わされるグリシジルエーテル部分:
上の化学式では、Aは、C1〜C6直鎖基、分枝鎖基、及び環状アルキレン基から選択される連結基であり、そしてR23及びR24はそれぞれ、H、メチル、及びエチルから個別に選択される;または
連結基によって共に連結されるR1、R2、R3、及びR4の内の2つのいずれの組み合わせも、C1〜C25直鎖基、分枝鎖基、及び環状アルキレン基、及びアルキレンアリール基から選択される;そして
上の化学式は、化学式Iにより表わされる少なくとも2つの異なる種類のモノマーの内の一つのモノマーが、少なくとも一つのグリシジルエーテルペンダント基を含み、かつ少なくとも2つの異なる種類のモノマーの内の別のモノマーが、少なくとも一つのアラルキルペンダント基を含むことを前提としている。
概して、本発明による実施形態の2つ以上の異なる種類の繰返し単位は、グリシジルエーテルペンダント基及びアラルキルペンダント基を含み、かつ化学式Iで表わされるモノマーから誘導される。或る実施形態は、ヒドロカルビル置換ノルボルネン型モノマーから誘導される一つ以上の種類の繰返し単位と任意に組み合わせたこのような前述のペンダント基を有するモノマーから誘導される繰返し単位を含む。
グリシジルエーテルペンダント基を有する適切なモノマーは、化学式Iによって表されるノルボルネン型モノマーであり、この場合、R
1、R
2、R
3、及びR
4の内の一つ以上がそれぞれ、化学式IIによって表されるペンダント基である:
上の化学式では、Aは、C1〜C6直鎖基、分枝鎖基、及び環状アルキレン基から選択される連結基であり、そしてR23及びR24はそれぞれ、H、メチル、及びエチルから個別に選択される。適切な連結基Aの非限定的な例として、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、及びへキシレンを挙げることができる。有用なグリシジルアルキルエーテルペンダント基の非限定的な例として、グリシジルメチルエーテル、グリシジルエチルエーテル、グリシジルプロピルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、グリシジルブチルエーテル、グリシジルイソブチルエーテル、グリシジルヘキシルエーテル、及び上に列挙した材料の混合物を挙げることができる。
アラルキルペンダント基を有する適切なモノマーは、化学式Iにより表されるノルボルネン型モノマーであり、この場合、この場合、R1、R2、R3、及びR4の内の一つ以上が、ベンジル、フェネチル、及びナフチレニルメチルフェネチルのようなアルカリル基である。
任意のヒドロカルビルペンダント基を有する適切なモノマーは、化学式Iにより表されるノルボルネン型モノマーであり、この場合、R1、R2、R3、及びR4の内の一つ以上がそれぞれ、水素基、直鎖及び分枝鎖(C1〜C20)アルキル基、ヒドロカルビル置換及び無置換(C5〜C12)シクロアルキル基、ヒドロカルビル置換及び無置換(C6〜C40)アリール基、ヒドロカルビル置換及び無置換(C7〜C15)アラルキル基、(C3〜C20)アルキニル基、直鎖及び分枝鎖(C3〜C20)アルケニル基またはビニル基から個別に選択され;R1及びR2またはR3及びR4の内のいずれかを一緒に取り込むことにより(C1〜C10)アルキリデニル基を形成することができ、R2及びR4は、それらが結合する結合先の2つの環炭素原子とともに取り込まれる場合に、4〜12の炭素原子を含む飽和環式基または不飽和環式基、または6〜17の炭素原子を含むアリール環を表わすことができ;そしてmは0,1,2,3,4,または5である。
或る適切なモノマーに関して、mはゼロである。従って、このようなモノマーは以下の化学式(III)で表わされる:
上の化学式では、X、R1、R2、R3、及びR4は上に議論した通りである。
本発明の或る実施形態では、ノルボルネン型モノマーから誘導される第1の種類の異なる繰返し単位を有するポリマーを用い、この場合、Xは−CH2−であり、mはゼロであり、基R1、R2、R3、及びR4の内の3つの基はそれぞれHであり、そして4番目の基は、化学式IIにより表わされるグリシジルエーテル含有基であり、この場合、Aはアルキレンであり、そしてR23及びR24はそれぞれHである。モノマーの例として、これらには限定されないが、グリシジルアルキルエーテルノルボルネン型モノマーを挙げることができ、グリシジルアルキルエーテルノルボルネン型モノマーとして、グリシジルメチルエーテルノルボルネン、グリシジルエチルエーテルノルボルネン、グリシジルプロピルエーテルノルボルネン、グリシジルイソプロピルエーテルノルボルネン、グリシジルブチルエーテルノルボルネン、グリシジルイソブチルエーテルノルボルネン、及び/又はグリシジルヘキシルエーテルノルボルネンを挙げることができる。
或る実施形態では、用いるポリマーは、ノルボルネン型モノマーから誘導される第2の種類の異なる繰返し単位を有し、この場合、Xは−CH2−であり、mはゼロであり、R1、R2、R3、及びR4の内の3つの基はそれぞれHであり、そして4番目の基は、ベンジル、フェネチル、及びナフチレニルメチルフェネチルのようなアラルキル基である。
或る実施形態では、用いるポリマーは、ノルボルネン型モノマーから誘導される第3の種類の異なる繰返し単位を有し、この場合、Xは−CH2−であり、mはゼロであり、R1、R2、R3、及びR4の内の3つの基はそれぞれHであり、そして4番目の基は、直鎖または分枝鎖アルキル基である。非限定的な例として、n−ブチル、ネオペンチル、ヘキシル、デシル、またはドデシルを挙げることができる。
本発明による例示としての実施形態では、用いるポリマーは、グリシジルメチルエーテルノルボルネン(GMENB)またはエポキシオクチルノルボルネン(EONB)から誘導される第1の異なる種類の繰返し単位を有し、そして第2の異なる種類の繰返し単位は、フェネチルノルボルネン(PENB)から誘導される。ポリマーに含まれる第1の異なる種類の繰返し単位の量は、ポリマーを調製するために使用されるモノマーの合計モルパーセントで表わす場合に、10〜50モルパーセント(モル%)の範囲とすることができ、この場合、第2の異なる種類の繰返し単位は、ポリマーに含まれる繰返し単位の合計量の残りを含む。他の実施形態では、第1の異なる種類の繰返し単位の量は、20〜40モル%の範囲とすることができる。
本発明による例示としての別の実施形態では、用いるポリマーは、GMENBまたはEONBから誘導される第1の異なる種類の繰返し単位を有し、第2の異なる種類の繰返し単位はPENBから誘導され、そして第3の異なる種類の繰返し単位は、デシルノルボルネン(decyl NB)またはドデシルノルボルネン(dodecyl NB)から誘導される。ポリマーに含まれる第1の異なる種類の繰返し単位の量は10〜40モル%の範囲とすることができ、第2の異なる種類の繰返し単位の量は5〜50モル%の範囲とすることができ、そして第3の異なる種類の繰返し単位の量は20〜65モル%の範囲とすることができ、これらの量の全ては、ポリマーを調製するために使用されるモノマーの合計モルパーセントで表わされる。
本発明による例示としての更に別の実施形態では、用いるポリマーは、GMENBまたはEONBから誘導される第1の異なる種類の繰返し単位を有し、第2の異なる種類の繰返し単位はPENBから誘導され、第3の異なる種類の繰返し単位は、decyl NBまたはdodecyl NBから誘導され、そして第4の異なる種類の繰返し単位は、トリメトキシリルノルボルネン(TMSNB)、トリエトキシリルノルボルネン(TESNB)、またはトリメトキシリルエステルノルボルネン(TMSESNB)から誘導される。ポリマーに含まれる第1の異なる種類の繰返し単位の量は10〜40モル%の範囲とすることができ、第2の異なる種類の繰返し単位の量は5〜50モル%の範囲とすることができ、第3の異なる種類の繰返し単位の量は20〜65モル%の範囲とすることができ、そして第4の異なる種類の繰返し単位の量は2〜15モル%の範囲とすることができ、これらの量の全ては、ポリマーを調製するために使用されるモノマーの合計モルパーセントで表わされる。
有利な点として、上に説明した例示としてのポリマーはそれぞれ、ポリマーに適切な特性を付与するために選択される繰返し単位を含む。例えば、GMENBまたはEONBから誘導される繰返し単位を有するポリマーは、他の繰返し単位のペンダント基と適切に触媒架橋反応を起こすと、或る溶媒には溶解し難い架橋ポリマー部分を形成するので有利である。このようにして、一つのパターンを形成する手段が提供され、当該手段では、ポリマー膜を活性光線で像様露光し、そして非露光かつ無架橋のポリマー部分を適切な溶媒に溶解させることにより除去する。decyl NBまたはdodecyl NBから誘導される繰返し単位を有するこのようなポリマーだけでなく、他のアルキルペンダント基を有するモノマーは、最終形態のポリマー膜のヤング率(modulus)及び内部応力を調整する手段となる。このようなアルキル基の繰返し単位は、基板へのポリマーの接着強度、及び接着後処理及び硬化前処理が行なわれている間のポリマーの粘着力にも関連することが判明している。上に簡単に議論した幾つかの種類の繰返し単位の利点は、非限定的な例であり、そして例示としての繰返し単位は他の利点をもたらすことができ、更に他の種類の繰返し単位は同様の、または他の利点をもたらすことができることに注目されたい。
本発明による実施形態に用いるポリマーを形成するために使用されるモノマーは溶液中で適切な重合触媒の存在下に重合される。本発明の実施形態によるポリマーを調製するために有用なビニル付加触媒が最近になって判明しており、この触媒として、例えば化学式:En’Ni(C6F5)2で表されるような触媒を挙げることができ、この化学式では、n’は1または2であり、そしてEは中性の2電子ドナー配位子を表わす。n’が1である場合、Eは好ましくは、トルエン、ベンゼン、及びメシチレンのようなπ−アレーン配位子である。n’が2である場合、Eは好ましくは、ジエチルエーテル、THF(テトラヒドロフラン)、エチルアセテート、及びジオキサンから選択される。反応媒体中の触媒に対するモノマーの比率は、本発明の例示的な実施形態では、5000:1〜50:1の範囲とすることができ、そして例示としての別の実施形態では、2000:1〜100:1の範囲とすることができる。 より低い、またはより高い他の温度であっても適切となり得るのであるが、重合反応は普通、適切な溶媒中において0℃〜70℃の範囲の適切な温度で行われる。或る実施形態では、この温度は10℃〜50℃の範囲、そして他の実施形態では、20℃〜40℃の範囲とすることができる。本発明の実施形態によるポリマーを製造するために使用することができる上の化学式で表される重合触媒として、非限定的に、(トルエン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケル、(メシチレン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケル、(ベンゼン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケル、ビス(テトラヒドロフラン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケル、ビス(エチルアセテート)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケル、及びビス(ジオキサン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケルを挙げることができる。他の有用なビニル−付加触媒として、国際公開第97/33198号及び国際公開第00/20472号に開示されるニッケル化合物を挙げることができる。
このようなモノマーのビニル付加重合反応に使用するために適する溶媒として、これらには限定はされないが、炭化水素溶媒及び芳香族溶媒を挙げることができる。本発明に有用な炭化水素溶媒として、これらには限定はされないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、及びシクロヘキサンのようなアルカン及びシクロアルカンを挙げることができる。芳香族溶媒の非限定的な例として、ベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン、及びメシチレンを挙げることができる。ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、例えばエチルアセテートのようなアセテート、エステル、ラクトン、ケトン、アミド、及び塩化メチルレンのような他の有機溶媒もまた有用である。これまでに挙げた溶媒の内の一つ以上の溶媒の混合物は、重合溶媒として利用することができる。
有利な点として、上に説明した重合法によりもたらされるポリマーの平均分子量(Mw)は容易に制御することができる。例えば、このような制御は、モノマー対触媒比を変えることにより行なうことができる。従って、他の全ての条件が同じであるとすると、5000:1のモノマー対触媒比を用いた重合によって、このような比が100:1の場合よりもより高いMw(分子量)を有するポリマーが得られる。更に、ポリマーのMw(分子量)は、連鎖移動剤(CTA)の存在下で重合を起こすことにより、約10,000〜500,000又はそれ以上の範囲に制御することができる。例示としてのCTA(連鎖移動剤)は、例えばで隣接する炭素原子間に末端オレフィン二重結合を有する化合物とすることができ、この場合、二重結合に隣接する炭素原子の内の少なくとも一つの炭素原子が、当該炭素原子に結合する2つの水素原子を有する。
有用なCTA(連鎖移動剤)化合物は化学式IVによって表わされる:
上の化学式では、R’及びR”はそれぞれ、水素、分枝鎖または非分枝鎖(C1〜C40)アルキル、分枝鎖または非分枝鎖(C2〜C40)アルケニル、またはハロゲンから個別に選択される。上の連鎖移動剤の中では、2〜10の炭素原子を有するα−オレフィンが好ましく、α−オレフィンとして、例えばエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−デセン、1,7−オクタジエン、及び1,6−オクタジエン、またはイソブチレンを挙げることができる。
オレフィンCTA(連鎖移動剤)を用いて特定の結果を得るための最適条件は、当業者が実験により容易に求めることができるが、我々は、一般的に、α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ヘキセン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン)が、最も効果的なオレフィンCTA(連鎖移動剤)であり、この場合、1,1−ジ置換オレフィン(例えば、イソブチレン)は効果が低いことを確認している。別の表現をすると、他の全ての条件が同じであるとすると、所定の分子量を得るために必要なイソブチレンの濃度は、エチレンが仮に、選択されたCTA(連鎖移動剤)であるとした場合よりもずっと高くなると考えられる。
これまでに述べてきたように、本発明による実施形態に含まれるポリマーは、特に電気デバイス及び電子デバイス用の感光性組成物に使用される場合に優れた物理特性を示す。このような特性として、これらには限定されないが、低い吸湿性(2重量%未満)、低い誘電率(3.9未満)、低いヤング率(4ギガパスカル(GPa)未満)、電子デバイス及び光電子デバイスの処理に適合する硬化温度、及び広く使用されるフォトリソグラフィ現像液を含む多くの普通の有機溶媒への非架橋ポリマー、またはポリマー膜の非架橋部分の溶解性を挙げることができる。
本発明の或る実施形態では、使用するポリマー組成物は、低Kポリマーを含む、すなわちこのようなポリマーを感光させることにより形成され、かつ3.9未満の誘電率を有する硬化済みのポリマー、膜、層または構造を含む。或る実施形態では、このような硬化済みのポリマー、膜、層または構造は2.5という、或る場合には2.3という、そして他の場合には2.2という低い誘電率を持つことができる。上述の範囲の誘電率は、伝送遅延の減少、及び電気デバイス及び/または電子デバイスの導体ライン間のクロストークの減少を可能にするために十分小さいことを理解されたい。ポリマー、ポリマー組成物、ポリマー組成物を含有する感光性ポリマー組成物、及び/またはこのような感光性ポリマー組成物から誘導される硬化層及び/または硬化膜の誘電率は、上に列挙した値のいずれかの間で変化させることができる。
本発明による実施形態において使用されるポリマーは低いヤング率を有するので有利である。従って、本発明に従って形成される或る硬化ポリマー、膜、層、または構造は、4.0GPa未満のヤング率を有し、かつ0.3GPaという低い、他の場合には0.2GPaという低い、そして更に他の場合には0.1GPaという低いヤング率を有する。当業者が認識していることであるが、ヤング率が高すぎると、このような高いヤング率の膜は概して、大きい内部応力も示し、これによって、例えば、電子部品パッケージの中のチップに割れが発生するといった信頼性の問題を引き起こし得る。
他の例示としての硬化ポリマー、膜、層、または構造では、吸湿性の程度は、約2重量%未満、或る場合には0.8重量%未満、そして他の場合には0.3重量%未満である。本明細書において使用されるように、「吸湿性(moisture absorption)」は、試料の重量増加をASTMのD570−98法に従って測定することにより求めることができる。
本発明の実施形態に従って形成される硬化ポリマー、膜、層、または構造は、少なくとも170℃、或る場合には少なくとも200℃、そして或る場合には少なくとも220℃から350℃という高い温度に亘るガラス転移温度(Tg)を有するので有利である。或る実施形態では、Tgは325℃という高い温度、他の実施形態では300℃という高い温度、そして或る実施形態では280℃という高い温度である。有利な点として、Tgがこのように高くなることによって、硬化ポリマー、膜、層または構造を多種多様な用途及びデバイスにおいて使用することが可能となる。非限定的な例として、300℃以上の、そして或る実施形態では350℃以上のTgは、例えば、IC(集積回路)のような微細電子デバイスのパッケージングに使用されているような期間に亘って、はんだリフロー処理を無事に済ませるために十分高い温度である。ポリマーのガラス転移温度は、上述した値のいずれの値の間でも変化させることができる。本明細書において記載されるように、Tgは、ドイツのNew Castleに本拠を置くTA Instruments社から入手できるRheometric Scientific Dynamic Analyzer Model RDAIIによるDynamic Mechanical Analysis(DMA)法を使用して、ASTMのD5026−95法(温度:毎分5℃の速度で周囲温度から400℃まで温度を上昇させる方法)に従って求めることができる。
硬化ポリマー、膜、または層は、適切な処理を施した後に、良好な接合強度も示す。すなわち、本発明の或る実施形態によって、少なくとも10MPaの接合せん断強度を有する接合部が得られるとともに、他の実施形態によって、少なくとも20MPaの接合せん断強度を有する接合部が得られる。本明細書において記載されるように、接合せん断強度(bond shear strength)は、Zeta datalog/statistics system Version 4.4 softwareを搭載したQuad Group, Romulus III−A Universal Materials Testerを使用して求めることができる。Die Shear Head 2182を使用して、プログラムされたDie Bond Breaking Point Testを実行したが、この場合の速度はfast(高速)に、そして力は980Newton(ニュートン)に設定した。
これまでに述べてきたように、本発明の実施形態に用いるポリマーは10,000〜500,000の重量平均分子量(Mw)を有する。或る実施形態の場合、少なくとも30,000以上の、他の実施形態の場合には、少なくとも60,000以上の、更に他の実施形態の場合には、少なくとも90,000以上のMwを有するポリマーを用いると有利である。また、このような或る実施形態においては、ポリマーのMwの範囲の上限を最大400,000とする、他の実施形態においては最大250,000とする、更に他の実施形態においては最大140,000とすると有利であり、この場合、Mwはポリ(スチレン)標準を用いたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。本発明によるいずれの実施形態においても用いられるポリマーに関して選択されるMw(分子量)は、ポリマーから誘導される硬化ポリマー、フィルム、層、または構造の所望の物理特性を実現するために十分な大きさとなるように選択されることを理解されたい。更に、このような実施形態に組み込まれるポリマーのMwは、上に列挙されたMw値のいずれかの値の間で変化させることができることを理解されたい。
本発明によるいずれの実施形態においても使用されるポリマー組成物は、上述の所望の物理特性を、結果として得られる組成物だけでなく、このような組成物により形成される被覆層及び硬化層に付与するために十分な量のポリマーを含む。例示としてのポリマー組成物が、本発明の実施形態に有用である場合、ポリマーは、感光性ポリマー組成物の少なくとも10重量%、他の実施形態では少なくとも15重量%、更に他の実施形態では少なくとも25重量%だけ含まれると有利である。また、このような或る組成物の場合、ポリマーの範囲の上限を、ポリマー組成物の最大60重量%とする、他の実施形態においては最大50重量%とする、更に他の実施形態においては最大40重量%とすると有利である。ポリマー組成物中に含まれるポリマーの量は、上に列挙した値の内のいずれかの値の間で変化させることができ、この場合、このような量は、特定用途における要求、及びポリマー組成物を基板に塗布するときに用いる方法に基づいて選択される。更に、本発明の実施形態に有用なポリマー組成物の多くは、感光性組成物であるが、他の有用なポリマー組成物は感光性組成物ではないことを理解されたい。
前述のこのようなポリマー組成物はまた、反応性化合物及び/又は非反応性化合物から選択される適切な溶媒を含み、この溶媒は、ポリマー組成物を形成するために使用されるポリマー及び他の添加剤の担体として機能する。このような溶媒は、炭化水素溶媒、芳香族溶媒、脂環式環状エーテル、環状エーテル、アセテート、エステル、ラクトン、ケトン、及びアミドのような一つ以上の非反応性化合物、または脂肪族モノビニルエーテル及びマルチビニルエーテル、脂環式モノビニルエーテル及びマルチビニルエーテル、芳香族モノビニルエーテル及びマルチビニルエーテル、及び環状カーボネートのような反応性化合物とすることができる。従って、或る場合には、溶媒は非反応性化合物のみから選択することができ、他の場合には反応性化合物のみから選択することができ、そして更に他の場合には、反応性化合物及び非反応性化合物の両方の混合物から選択することができることを理解されたい。また、前述の場合のいずれの場合においても、溶媒は更に、単一の化合物、または適切な化合物から成るいずれかの混合物を含む。適切な溶媒の非限定的な特定の例として、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、アニソール、テルペノイド、ビス(4−ビニルオキシフェニル)メタン、シクロヘキサノン、及び2−ヘプタノン(MAK)のような非反応性化合物;及びシクロヘキセンオキシド、α−ピネンオキシド、2,2’−[メチレンビス(4,1−フェニレンオキシメチレン)]ビス−オキシラン、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルのような非反応性化合物を挙げることができる。
更に、例示としての或る実施形態では、反応性希釈剤は、構造単位VI及びVIIにより表わされるエポキシド及び化合物から選択される一つ以上の化合物を含む:
CH2=CH−O−R10−O−CH=CH2 (VI)
CH2=CH−O−R11 (VII)
上の化学式では、R10 はC1 〜 C20直鎖基、分枝鎖基、及び環状アルキル基、アルキレン基、アリーレン基、及びアルキレンアリール基、2〜6個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド基、ポリ(アルキレンオキシド)基から選択される連結基であり、この場合、繰返し基のアルキレン部分は2〜6個の炭素原子を含有し、そしてポリ(アルキレンオキシド)は、50〜1,000の分子量の−[−R13−N−C(O)−O−]m−R13−を有し、この場合、それぞれの部分に現われるR 13は、C1〜C20直鎖基、分枝鎖基、及び環状アルキレン基、アリーレン基、及びアルキレンアリール基から個別に選択され、そしてmは1〜20の整数であり;そしてR11 は、C1〜C20直鎖基及び分枝鎖基、アルキル基及びアルキロール基から選択される。
他の例示としての反応性希釈剤は、フェニルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,8−オクタンジオールジビニルエーテル、1,4−ジメタノールシクロヘキサンジビニルエーテル、1,2−エチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロピレングリコールジビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールビニルエーテル、及び1,8−オクタンジオールビニルエーテルから選択される一つ以上の材料を含む。
このようなポリマー組成物を形成するために、前述の溶媒はほぼ、組成物の少なくとも15重量%から90重量%という大きな量に亘って含まれる。或る実施形態では、組成物の少なくとも30重量%を下限値とすることが適切であり、そして更に他の実施形態では、組成物の少なくとも50重量%を下限値とすることが適切である。このような感光性ポリマー組成物に含まれる溶媒の量は、上に列挙した値のいずれかの値の間で変化させることにより、組成物の特性が、基板を組成物で被覆し、そして適切な膜厚の組成物を有する層を設けるために選択される方法に適するようになる。前述の溶媒が反応性化合物を含む場合、このような化合物はほぼ、ポリマー組成物を形成するために使用される溶媒の少なくとも0.5%〜100%の量だけ含まれる。このような或る実施形態では、下限値を少なくとも2.5重量%から始まる値とする、更に他の実施形態では、少なくとも7.5重量%から始まる値とすると有利である。このような特性の非限定的な例として、溶媒の粘度、及び蒸発速度を挙げることができる。
本発明の実施形態において使用されるポリマー組成物は溶媒を含むので、このような実施形態は普通、大気温度では液体の形態であり、そして適切な量のポリマー、溶媒、及び他の添加剤を含むことにより、少なくとも100センチポアズ(cps)から最大25,000cpsまでの範囲の溶液粘度を実現する。このような溶液粘度は普通、適切に選択されるスピンドルを用いて25℃で測定され、このスピンドルは、Brookfield Engineering Laboratories, Middleboro, MAから入手できるBrookfield DV−E粘度計に装着される。本発明による実施形態の溶液粘度は、このような組成物の内の幾つかの成分の濃度を変化させることによって制御される特性であり、このような成分は、これらには限定されないが、前述したポリマー及び溶媒を含み、この場合、溶媒を変化させる処理では、反応性化合物及び非反応性化合物を含むとした場合のこれらの化合物の比率を変化させることができる。更に、適切な溶液粘度の選択は、基板をポリマー組成物で被覆するために使用されることになる方法、及び結果として得られる層/膜の所望の膜厚によって少なくとも変わる。従って、広範囲の溶液粘度が上に列挙されるが、ポリマー組成物形態の特定の溶液粘度は、このような範囲に含まれる値であればいずれの値でも有することができることを理解されたい。
更に、このようなポリマー組成物は、触媒を光反応により形成する材料を含むこともでき、この場合、形成される触媒は、ポリマーの架橋を開始させるように作用する。触媒を光反応により形成する適切な材料として、これらには限定されないが、光酸発生剤(photoacid generators)及び光塩基発生剤(photobase generators)を挙げることができる。
このようなポリマー組成物が触媒を光反応により形成する材料を含む場合、このような組成物は、直接的に感光させることができる組成物とすることができるが、これは、このような組成物から成る層を適切な活性光線で像様露光する場合に、このような触媒が、膜の内、このような光線に曝される部分にのみ形成されるからである。このような感光性の形態では一般的に、ネガ型(negative−working)感光性ポリマー組成物が広範囲の種類の電子用途及び光電子用途において有用となる。このような用途の非限定的な或る例として、パターニング済み接合層を、電気コンタクト及び/又はチップ個片化に使用される領域に対応する開口部が形成されている状態の半導体ウェハに塗布する処理を挙げることができる。このような例示としての実施形態では更に、感光性ポリマー組成物は、集積回路をパッケージングして、集積回路を環境及び機械応力から保護するための誘電体層または誘電体構造を形成することができる。更に、このような実施形態は、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、個別半導体装置、メモリ装置、及び受動素子のような論理デバイスだけでなく、このような層の利点を生かすことができる種々の表示デバイス及び他の光電子デバイスの従来の、チップレベル及びウェハレベルのパッケージングに有用である。例えば、或る表示デバイスまたは光電子デバイスとして、センサアレイまたはセンサアレイの像検出部分(image sensing portion)を挙げることができる。有利な点として、本発明のポリマー組成物形態を用いて、このようなアレイまたは部分に近接する構造を形成し、ガラスカバーまたはプラスチックカバーをこのような構造に強固に接続して、カバーがこのようなアレイまたは部分から離間するようにすることができる。このような実施形態では、用いるポリマー組成物は、カバーをこのようなセンサアレイまたは像検出部分から適切に離間させる手段、及び/又はカバーを強固に接着させるための手段となるように機能する。従って、感光性ポリマー組成物は、このような感光性ポリマー組成物を層、膜、または構造として組み込むことによる利点を生かした多種多様な微細電子デバイス、電子デバイス、または光電子デバイスのいずれのデバイスの製造にも使用することができる。
光酸発生剤を本発明のポリマー組成物に、触媒を光反応により形成する材料として添加する場合、このような光酸発生剤は、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、及びスルフォン酸塩から選択される一つ以上の化合物を含むことができる。本発明の実施形態において有用となる適切な光酸発生剤の非限定的な例として、4,4’−ジターシャリーブチルフェニルヨードニウムトリフレート;4, 4’,4”−トリス(ターシャリーブチルフェニル)スルホニウムトリフレート;ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)スルホニウムボレート;トリアリールスルホニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−ボレート;トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)スルホニウムボレート;4,4 ’−ジターシャリーブチルフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;トリス(ターシャリーブチルフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;及び4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートから選択される一つ以上の化合物を挙げることができる。
このような光酸発生剤は通常、硬化及び架橋を促進する、または誘起するために十分な量だけ含まれる。本発明による或る実施形態では、このような十分な量は、少なくとも0.5重量パーセント(wt%)から最大10wt%の範囲である。他の実施形態では、感光性ポリマー組成物の少なくとも0.75wt%を下限値とすることが適し、そして更に他の実施形態では、感光性ポリマー組成物の少なくとも1wt%を下限値とすることが適する。本発明の実施形態に含まれる光酸発生剤の量は、上に列挙した値の内のいずれかの値の間で変化させて、感光性組成物を用いる用途における要求を満たすことができる。
本発明の例示としての実施形態に用いるポリマー組成物は、感光性ポリマー組成物を本発明に従って調製し、そして使用するために必要な他の適切な成分、及び/又は材料を含むことができることを理解されたい。このような他の適切な成分、及び/又は材料として、増感剤成分、反応性及び非反応性の溶媒、触媒捕捉剤、接着促進剤、抗酸化剤などから選択される一以上の組成物を挙げることができる。
必要に応じて、一つ以上の増感剤成分(sensitizer components)を、本発明の実施形態に用いる感光性ポリマー組成物に含有させることができる。一般的に、増感剤によって、特定タイプの、または特定波長の活性光線が、光酸発生剤または光塩基発生剤に作用して、これらの発生剤が、組成物に含まれるポリマーにおける架橋を開始させるために有効に機能するようにすることができる。このような適切な増感剤成分として、これらには限定されないが、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ベンツピレン、フルオランテン、ルブレン、ピレン、キサントン、インダンスレン、チオキサンテン−9−オン、及びこれらの材料の混合物を挙げることができる。例示としての或る実施形態では、適切な増感剤成分として、2−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、4−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、フェノチアジン、及びこれらの材料の混合物を挙げることができる。
ポリマー組成物が、光反応により触媒を形成する材料、及び増感剤成分の両方を有する本発明の例示としての実施形態において使用される場合、増感剤成分は、感光性ポリマー組成物に、組成物の少なくとも0.1wt%から10wt%までに亘る範囲の量だけ含めることができる。他の実施形態では、感光性ポリマー組成物の少なくとも0.5wt%を下限値とすることが適し、そして更に他の実施形態では、少なくとも1wt%を下限値とすることが適する。このような感光性ポリマー組成物に含まれる増感剤成分の量は、上に列挙した値のいずれの値の間でも変化させることができる。
本発明による或る実施形態では、触媒捕捉剤(catalyst scavenger)を、このような実施形態に用いる感光性ポリマー組成物に添加する。有用な捕捉剤として、酸捕捉剤及び/ 又は塩基捕捉剤を挙げることができる。本発明において使用することができる適切な塩基捕捉剤の非限定的な例として、トリフルオロメチルスルフォンアミドを挙げることができる。本発明において使用することができる酸捕捉剤の非限定的な例として、ピリジン、フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、トリ(n−プロピルアミン)、トリエチルアミン、いずれかの異性体の形態のルチジンから選択される材料のような二級アミン及び/又は三級アミンを挙げることができる。
このような感光性ポリマー組成物が、光反応により触媒を形成する材料、及び触媒捕捉剤の両方を有する場合、触媒捕捉剤は、感光性ポリマー組成物に、組成物の少なくとも0.0005wt%から5wt%までの割合に亘る範囲の量だけ含めることができる。他の実施形態では、感光性ポリマー組成物の少なくとも0.05wt%を下限値とすることが適し、そして更に他の実施形態では、少なくとも0.25wt%を下限値とすることが適する。このような感光性ポリマー組成物に含まれる触媒捕捉剤の量は、上に列挙した値のいずれの値の間でも変化させることができる。
本発明の或る実施形態において、接着促進剤を、用いるポリマー組成物に添加すると有利であることが判明している。一般的に、ポリマー組成物の幾つかの他の成分に馴染み、かつこのような組成物を適用しようとする使用法に適合する全てのこのような接着促進剤を本発明において使用することができる。適切な接着促進剤によって、感光性ポリマー組成物から成る被覆層と、当該被覆層が形成されることになる基板との接合強度を高めることができる。本発明の例示としての実施形態では、接着促進剤として、3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、及び化学式Vによって表わされる化合物から選択される一つ以上の化合物を挙げることができる:
上の化学式では、zは0,1,または2であり; R8は、C1〜C20直鎖基、分枝鎖基、及び環状アルキレン基、2〜6個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド基、及びポリ(アルキレンオキシド)基から選択される連結基であり、この場合、繰返し基のアルキレン部分は2〜6個の炭素原子を含有し、そしてポリ(アルキレンオキシド)基は50〜1000の分子量を有し;それぞれの箇所に現われるR9は、C1〜C4直鎖及び分枝鎖アルキル基から個別に選択され;そしてそれぞれの箇所に現われるR18は、H基、及びC1〜C4直鎖及び分枝鎖アルキル基から選択される。本発明の或る実施形態では、接着促進剤は、適切なモノマーから誘導される追加の、または別の繰返し単位として用いられるポリマー組成物を形成するために使用されるポリマーの主鎖に付加することができることが判明していることに更に注目されたい。このようなポリマーに繰返し単位として付加することにより接着を促進することができるモノマーとして、例えばこれらには限定されないが、トリメトキシリルノルボルネン、トリエトキシリルノルボルネン、及びトリメトキシリルエチルノルボルネンを挙げることができる。
本発明の実施形態において使用されるポリマー組成物を形成するために使用される例示としてのポリマーは、上に示した化学式Iによって表わされるノルボルネン型モノマーから誘導される少なくとも2つの異なる種類の繰返し単位を含む。これらの実施形態について更に詳細に説明すると、このような異なる種類のノルボルネン型モノマーの内の一方は、エポキシ官能基、例えばメチルグリシジルエーテルのようなアルキルグリシジルエーテルペンダント基、またはエポキシオクチルのようなエポキシアルキルペンダント基を有する少なくとも一つのペンダント基を有し、そしてこのような異なる種類の内の他方は、少なくとも一つのアラルキルペンダント基、例えばフェネチルペンダント基を有する。
このようなポリマー組成物が、2つよりも多くの異なる種類のノルボルネン型モノマーにより調製されるポリマーを含む場合、このようなモノマーは上述のモノマーとは異なる。すなわち、このようなモノマーは、上に説明したこのような第1及び第2の種類のモノマーとは異なる原子、または異なる数または位置の原子を有するペンダント基を有する。
例示としてのみ説明すると、一つの例示としての感光性ポリマー組成物は、以下の例示としての3つのノルボルネン型モノマー、及び適切な量の以下の添加剤を含む反応充填剤が重合することによって調製されるポリマーを含み、3つのノルボルネン型モノマーは、30%のデシルノルボルネン、40%のフェニルエチルノルボルネン、及び30%のグリシジルメチルエーテルノルボルネン(モル%)であり、添加剤は:Rhodiaから入手できるRhodorsil(登録商標)PI2074(4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート);Lambson Group Inc.から入手できるSpeedCure(登録商標)CPTX(1−クロロ−4−プロポキシ−9H−チオキサントン);フェノチアジン(Aldrich Chemical Company) ; Ciba Fine Chemicalsから入手可能なIrganox(登録商標)1076酸化防止剤(3,5−ジ−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート);1,4−ジメタノールシクロヘキサンジビニルエーテル及び3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(3−GTSまたはA−187)である。以下に示す実施例から分かるように、上述のポリマー組成物は、多くの使用可能かつ有利な組成物の内の一つに過ぎない。上に示した添加剤によって、本発明の実施形態が限定されることはないことを理解されたい。すなわち、他の特定の添加剤は、前述の添加剤の全ての添加剤の他に、または前述の添加剤の全ての添加剤の代わりに用いることができる。例えば、3−GTSではなく、いずれかの適切なNXTシラン、NXT*Zエタノールフリーシラン(両方とも、Momentive Performance Materials, Inc.から入手することができる)、Degussa Corporation, Gelest, Inc., Sigma−Aldrich Inc.または前述のMomentive Performance Materials, Inc.から入手することができるようないずれかの適切な硫黄含有アルコキシシランまたはエポキサイド、または他の材料を接着促進剤として用いることができる。同様に、特定の光酸発生剤、増感剤、酸捕捉剤なども非限定的な例であり、そして他の適切な材料を、このような例示としての材料の他に、または材料の代わりに用いることができる。
本発明による実施形態は、ポリマー組成物から成る層を、このような組成物を感光性とすることができるかどうかに拘わらず基板表面に形成し、そしてこのような層を使用して、半導体ウェハ処理及びチップパッケージングに有用な構造を形成する方法に関するものである。例えば、化学的機械研磨プロセスを用いるウェハ薄厚化プロセス、または平坦化プロセス、及び/又は積層チップアレイを有するチップパッケージに関するものである(図2,5,または6を参照)。以下に説明するように、本発明による或る実施形態では:基板を設け;基板表面をポリマー組成物で被覆して一つの層を形成し;この層を適切な活性光線で像様露光し;層の未露光部分を除去することにより現像パターンを形成し、そして残りの部分を硬化させてパターニング済み層、または構造パターンを表面に形成する。活性光線による露光も行なう他の実施形態では、像様露光ではなく全面露光を行なうので、このような実施形態では現像工程は普通行なわれない。
或る実施形態では、基板表面を、基板の被覆処理の直前に、基板表面をプラズマ放電に曝すことにより事前処理して、基板上に形成する予定のポリマー膜が基板表面に付着する付着力が同様の未処理表面における場合よりも強まるようにすると有利である。酸素プラズマまたは酸素/アルゴンプラズマが共に、シリコン基板の処理に有効であることが判明しているが、非限定的な実施例では、シリコンウェハ基板の表面を酸素/アルゴンプラズマ(50:50の容積パーセントの割合で)に、設定パワー300ワット、及び圧力300mTorrの条件でMarch RIE CS 1701プラズマ発生装置の中で30秒に亘って曝し、他の適切なガスまたは混合ガス、及び他の適切な反応条件を用いることができる。
いずれかの適切な被覆方法を使用することにより、基板を感光性ポリマー組成物で被覆することができる。例示としての実施形態では、好適な被覆方法として、これらに限定されないが、スピン塗布、浸漬塗布、ブラシ塗布、ローラ塗布、スプレー塗布、溶液流延法(solution casting)、流動層塗布(fluidised bed deposition)、押出塗布、カーテン塗布、メニスカス塗布、スクリーンまたはステンシル印刷などを挙げることができる。本発明の例示としての実施形態では、スピン塗布を通常、用いることにより、前述のポリマー組成物から成る膜を形成するが、これは、スピン塗布が簡単であり、かつスピン塗布と現在の微細電子加工技術との相性が良いからである。
或る実施形態では、基板をポリマー組成物から成る層で被覆した後、当該層を適宜、第1温度で第1熱処理して、いずれかの残留溶媒または他の揮発性物質のほぼ全てを被覆層または被覆膜から除去する。有利な点として、このような第1熱処理は、被覆プロセスによって層に生じる全ての応力を解放するように作用することもできる。更に、このような熱処理は、層を硬化させるように作用することができるので、第1熱処理を行なわない場合よりも層の耐久性が高くなる。このような第1熱処理によって、後続の処理を行なっている間のハンドリングが更に容易になるだけでなく、層のパターニングが更に均一に行なわれる。
このような第1熱処理の適切な条件として、これらには限定されないが、いずれかの残留溶媒のほぼ全てを層から、このような層が酸化プロセスまたは熱開始硬化(thermally initiated curing)の影響を全く受けることがないようにしながら除去するために十分な条件を挙げることができる。このような第1ベーク条件は、調製剤を含有するポリマーの成分によって部分的に変わるが、以下の例示としての条件は有用である。このような条件として、これらには限定されないが、それぞれ1分未満〜30分、及び75℃〜150℃の適切な時間、及び温度を挙げることができる。更に、適切な第1熱処理条件として、真空中での、空気中での、または窒素、アルゴン、及びヘリウムのような不活性ガス雰囲気中での熱処理を挙げることができる。
次に、上に説明した被覆層の全体を、活性光線のいずれかの適切な照射源に曝す。非限定的な例では、活性光線は、190nm〜700nmの波長の、或る場合には、300nm〜500nmの波長の、そして他の場合には、360nm〜440nmの波長の紫外線または可視光線である。非限定的な別の例では、このような露光用活性光線の線量は50mJ/cm2〜3,000mJ/cm2である。
本発明の或る実施形態では、層は、フォトマスクを活性光線照射源と層との間に配置して、層の内の選択された部分のみを活性光線で露光することにより像様露光される。層の内、活性光線で露光される部分では、光反応により触媒を形成する材料によって、ポリマー主鎖(polymer backbone)の繰返し単位の内の幾つかの繰返し単位に挿入されるペンダントエポキシ基の架橋が始まる。このような架橋によって、露光された部分に含まれるポリマー材料が、溶媒にほとんど溶解しない状態に改質される。層の内の露光されない領域は、溶媒にほとんど溶解する初期状態のままに維持されるので、溶媒(通常、現像液と表記される)を使用することによって、露光されないポリマー材料を層から容易に除去することができ、これにより、パターニング済み層、または基板上に配置される構造パターンが形成され、これについては後で説明する。
活性光線で露光した後に、かつ実行することができる全ての現像工程の前に、本発明の幾つかの実施形態のほぼ全ての実施形態において、露光後ベークを取り入れる。このようなべークを使用して、ペンダントエポキシ基の架橋を感光層の内の露光された部分の内部で更に促進することができ、この場合、このようなべークの温度を高くすることにより、露光により形成される酸性種(acid species)の流動性(mobility)が高くなるので、このような酸は、残留する未架橋のエポキシ基を見つけ出して反応することができ、従ってこのような露光領域内での架橋の進行度を高めることができる。露光部分内の架橋がこのように進行することにより、このような露光が像様露光であった場合に、露光部分と未露光部分との溶解度の差を大きくすることができることを理解されたい。従って、パターン鮮明度を高めることができる。本発明の或る実施形態では、露光後べークは、75℃から140℃以下の範囲の温度で、1分〜20分の範囲の或る期間に亘って行なわれる。他の実施形態では、このようなべークは85℃〜110℃の温度で、4分〜10分の範囲の或る期間に亘って行なわれる。更に、このような露光後べークは通常、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、またはヘリウムのような)雰囲気中で行なわれる。
本発明の或る実施形態において、露光後べークを行なった後に感光層を基板上に形成する方法であって、現像パターンまたは現像パターン構造を感光層に形成する工程を含む方法を用いる。一般的に、このような現像では、露光層を適切な現像材料に接触させる。いずれかの適切な現像材料を使用することができるが、適切な現像液は、層の内の溶解部分(例えば、未架橋部分)を除去する性質を持つ材料とすることができる。このような現像材料として、これらには限定されないが、トルエン、メシチレン、キシレン、シクロペンタノン、及び2−ヘプタノン(MAK)等の溶剤を挙げることができる。
更に、前述したパターニング対象の構造層を現像するいずれかの適切な方法を用いることができる。このような適切な方法として、これらには限定されないが、スプレー現像法、パドル現像法、及び/又は浸漬現像法を挙げることができる。スプレー現像法では、ポリマー被覆基板に、現像溶媒の連続噴霧流または分散流を、未架橋ポリマー(非露光ポリマー)を基板から除去するために十分な期間に亘ってスプレーする。ポリマー被覆基板に対して、アルコールのような適切な溶媒を用いた最終のリンス洗浄を行なうことができる。パドル現像法及び浸漬現像法では、現像溶媒をパターニング対象のコーティング全体に塗布、またはパターニング対象の被覆基板を現像溶媒に浸漬して、未架橋ポリマーを溶解し、次にこの現像済み基板を、更に別の現像溶媒または別の適切な溶媒(例えば、アルコール)に浸漬してリンス洗浄する。上に説明した現像法の全てにおいて、現像済み被覆基板を残留溶媒及び溶質を除去するために高速でスピン回転させ、そして任意であるが、現像済み被覆基板に、現像後べークサイクルを110℃〜200℃の範囲の温度で、5〜90分の期間に亘って施すことができる。
次に、図1を参照すると、感光性ポリマー組成物から成る像様露光済み、かつ現像済み層(パターニング済み層)が設けられた半導体基板10が描かれている。この図が示すように、このようなパターニング済み層は普通、ポリマー組成物の内、基板10の上に設けられ、かつ上に説明した現像プロセスでは除去されない部分20、及びこのような現像プロセスによって除去される他の部分を表わす隙間30及び40を含む。図示のように、隙間30からはボンディングパッド50(電気コンタクト領域とも表記される)が露出し、そして隙間40はスクライブ線(チップ個片化に使用される)を表わす。図1には、周辺ボンディング領域または電気コンタクト領域、及びスクライブ線開口部のみが描かれているが、他の領域を開口することもでき、このような領域として、これらには限定されないが、他の電気コンタクト領域(すなわち、「内側ボンディング」領域)または撮像アレイ(光電子チップに見られるような)を挙げることができることを理解されたい。
上述の現像を行なった後、本発明による実施形態を任意であるが、現像後べークし、次に硬化させるが、このような硬化処理を用いて被覆基板を別の基板に、図2,5,及び6に示す構造を形成する過程において接合させる。
或る実施形態では、2ステップ硬化サイクルを用いることができる。例えば、第1硬化サイクルでは、ポリマー層を、110℃〜300℃の範囲の第1硬化温度で、30秒〜120分の範囲の時間に亘って、5〜100psiの範囲の圧力で熱処理する。このような第1硬化サイクルを用いて、架橋可能な成分の架橋を継続させ、感光パターン及び/又は感光構造の初期側壁形状を画定し、そして第1接合部をこれらの基板の間に形成する。次の第2硬化サイクルでは、本発明の実施形態を第1硬化温度よりも高い第2硬化温度で熱処理する。このような第2硬化温度は普通、110℃〜300℃であり、このような熱処理は20〜120分に亘って継続させ、ここでも同じように更に短い時間及び/又は更に長い時間を適切な時間とすることができる。第2硬化サイクルの効果は、基板の接合を完了させ、そして確実に、架橋可能な成分の架橋をほぼ完了させ、従って結果として得られる膜及び/又は構造の所望の機械特性、物理特性、及び化学特性が得られることである。所望のせん断強度を持つように、低い吸湿特性を示すように、低いヤング率を持つように、或る化学物質に対して耐性を示すように、そして第2側壁形状を持つように基板をこのように接合させる非限定的な例が得られる。このような感光性形態に関して、ほぼ垂直(90度)な、または垂直に近い角度の感光パターンの初期側壁形状は、第2熱処理によって、初期側壁形状よりも垂直未満の角度の緩い傾斜を持つ第2側壁形状に変わる。このような第2形状は60度〜85度の範囲の角度を持つと有利である。
他の実施形態では、感光性ポリマー組成物を、単一の硬化サイクルを使用して硬化させる。すなわち、このような実施形態を、120℃〜300℃の温度で、2分〜10時間の範囲の期間に亘って、5〜100psiの範囲の圧力で熱処理する。このような単一の硬化サイクルは、前述の所望の特性を実現するために効果的であることが判明しており、更に単一の硬化サイクルによって、垂直未満の角度であり、かつほぼ60度〜85度の角度を持つ初期側壁形状が得られる。硬化サイクルについて議論するために提示される時間、温度、及び圧力は、当業者にとっての指針となるためにのみ提示される広い範囲になっていることを理解されたい。従って、提示される広範囲内のいずれの時間及び温度も、そして全ての時間及び温度は、本発明の技術範囲及び技術思想に含まれる。
上に述べたように、このような硬化ステップを普通、使用することにより、被覆基板が別の基板に接合するようになる。例えば、図2を参照すると、半導体ダイ(チップ)140をチップ170にポリマー部分180によって接合させる様子が示される。この接合構造を形成するために、圧力をこれらのチップに、硬化サイクルの少なくとも一部分の期間に亘って加えると有利であることが判明している。従って、上に説明したように、2ステップ硬化サイクルでは、このような圧力を第1熱処理工程が行なわれている間にのみ加えるのに対して、1ステップ硬化サイクルでは、圧力を継続的に加えている。図2から更に、チップ140が基板120に接着材料130によって強固に接着し、かつチップ140及び170の両方にボンディングワイヤ150を取り付けてチップ140のボンディングパッド145及びチップ170のボンディングパッド175をこのような基板のボンディングパッド(群)125に電気的に接続していることが分かる。接着材料130は、ここに説明され、かつ使用されるポリマー組成物と一致するものとしては議論されていないが、材料130は当該組成物とほぼ一致するように調製し、そして塗布することにより、図1に示す部分20の形成に類似する態様で基板120の上に形成することができることを理解されたい。
感光層の内の選択された部分を活性光線で露光し、次にパターニングし、そして硬化させると、この層は、基板の表面の少なくとも一部分を被覆する膜の形態に、または複数の構造の形態となる。一般的に、膜及び結果として得られる全ての構造が所望の膜厚を有すると有利である。本発明による実施形態に対する処理は変わり得るので、かつこの処理によって普通、基板の上に配置されるポリマー組成物の初期塗布膜厚が最終的に薄い膜厚に変化するので、膜厚の通常の変化を求めるためにテストを行なうことによって、初期膜厚を所望の最終膜厚を得るための手段として測定することができることが判明している。このようなテスト、例えば基板の上に配置されるポリマー組成物層に対するプロセス全体を通じての処理は、当業者が持つ能力の範囲内で十分行なうことができることに留意されたい。
所望の最終膜厚は適切であればどのような膜厚とすることもできる。すなわち、膜が使用されることになる特定の微細電子用途、電子用途、または光電子用途に適するのであればどのような膜厚とすることもできる。例えば、図2に示すような2つ以上のチップを基板にボンディングワイヤを使用して電気的に接続する本発明の実施形態では、膜厚は、このようなチップを、フリップチップ構造におけるような半田バンプまたは半田ボールを利用して電気的に接続する実施形態とは異なり、更にウェハ薄厚化プロセスを行なう実施形態とも異なることを理解されたい。従って、このような変形実施形態は、5ミクロン(μ)〜300μの範囲の最終膜厚を有することができる。或る実施形態では、このような膜厚は、10μ〜100μの範囲であり、そして更に他の実施形態では、25μ〜75μの範囲である。最後に、得られる最終膜厚は、提示される値の複数の範囲のいずれかの範囲内で、またはこのような範囲のいずれかの組み合わせの範囲内で変えることができることに留意されたい。
活性光線で露光し、そして種々の硬化ステップを施した結果として、架橋反応がほぼ完了し、そして結果として得られるパターニング済み膜及び/又は構造は、用いる実際の組成物、及び組成物に対する実際の処理に固有のガラス転移温度(Tg)及び接合せん断強度を有する。本発明の或る実施形態では、最終の硬化ステップを実施した後、Tgはほぼ275℃よりも高く、そして接合せん断強度は、ほぼ10MPa以上であり、かつ多くの場合、材料が固着する基板が不良になるために必要とされる強度よりも大きい。
次に、図3及び4を参照すると、本発明の別のチップ積層形態を形成するための別の中間ステップが示される。図3では、半導体ダイまたはチップ340が、ボンディングパッドまたはボンディング領域345をこのようなチップの表面の上に有するものとして示される。チップ370は、ボンディングパッド375を複数のポリマー領域382の間に配置される状態で有するものとして示される。更に、半田ボールまたは半田バンプ360がパッド375に強固に、かつ電気的に接続される様子が示される。図3は寸法通りには描かれていないが、半田ボール360は隣接するポリマー領域382を超えて垂直方向に、第1距離392だけ延出していることに注目されたい。次に、図4を参照すると、チップ340及び370の別のバージョンが描かれている。図3におけるのと同じように、図4のチップ340及び370はそれぞれ、ボンディングパッド345及び375をそれぞれ含み、そしてチップ370は更に、図3に示す態様と同じ態様でパッド375に強固に、かつ電気的に接続される半田ボールまたは半田バンプ360を有する。しかしながら、図3に示す態様とは別の態様で、チップ340及び370の各チップは、チップ上に配置されるポリマー部分384を有し、この場合、このような部分384は図3のポリマー部分382と膜厚が合計でほぼ同じである。従って、これらの部分384の各部分は、部分382よりも薄いので、第2距離394、すなわち半田ボール360が部分384を超えて延出する距離は第1距離392よりも大きい。
図4の構造を形成する工程は追加工程を含み、これらの追加工程は、パターニング済みポリマー部分384を設けるためには、このような部分が図3の部分382よりも薄いので必要になるのであるが、部分384は、小さい構造が必要になる場合に容易に形成することができる。更に、いずれかの適切な方法によって得られる半田ボール360を形成する工程は、ポリマー部分384が部分382よりも薄いとすると、容易に行なうことができる。
次に、図5及び6を参照すると、本発明の更に別のチップ積層形態が描かれている。図5は、2チップ積層構造を示しており、この場合、半導体ダイまたはチップ370はチップ340に、圧縮半田ボール365を介して電気的に接続され、そしてチップ340にポリマー部分380を介して強固に接続される。強固な、かつ電気的な接続は、適切な中間構造を、図4または図3のいずれかに描かれる構造に従って接合させる結果として得られ、この場合、1ステップ硬化及び接合プロセス、または図2の構造に関して上に説明した2ステップ硬化及び接合プロセスが用いられることを理解されたい。しかしながら、図2の構造はこのようなバンプ360を持たないのに対して、図3及び4の中間構造は共に、半田ボールまたは半田バンプ360を含むので、このような接合及び硬化プロセスに使用される温度及び圧縮力は、用いる特定の半田材料に適する値とする必要がある。図5に関する説明を続けると、チップ370及びチップ340をこのように電気的に接続する処理は、圧縮半田ボール365をチップ370のボンディングパッド375、及びチップ340のボンディングパッド348の両方に電気的にコンタクトさせることにより行なわれる。図から分かるように、チップ340はボンディングパッド348及び344を、このようなチップの反対側の表面の上に含み、そしてこの場合、このようなパッドの内の一方のパッドのみが、このようなチップの「活性」表面に隣接する。すなわち、パッド344または348の内の一方のパッドが、このようなチップの素子群が形成される側のチップ340の表面に隣接し、そして他方のパッドは反対側の表面の上に設けられる。非活性表面の上に設けられるボンディングパッドとの電気的接続を行なう全ての方法を使用して、このような電気的接続を実現することができ、方法の例として、これらには限定されないが、「チップ貫通ビア(through chip vias)」または「エッジ配線(edge metallization)」を挙げることができる。
図5を参照し続けると、ボンディングパッド225を基板の上側表面の上に有する基板220がチップ340に電気的に、かつ強固に接続されることが分かる。強固な接続は、チップ340を基板220にポリマー部分380を介して接合させる結果として得られ、そして電気的な接続は、圧縮半田ボールまたはバンプ365を介して行なわれることにより、ボンディングパッド225及び344をこのように接続することができる。本発明の或る実施形態では、チップ340及び370をまず接続し、次に基板220に接続するが、他の実施形態では、単一の接合及び硬化プロセスを用いて、チップ340及び370を、基板220に単一プロセスで接続する。別の構成として、チップ340及び基板220をまず接続し、次にチップ370に接続することができる。
次に、図6を参照すると、本発明の更に別の実施形態が示される。図6に描かれる実施形態は、図2及び図5に描かれる実施形態の一部分を含むことに注目されたい。すなわち、図6の実施形態では、ボンディングワイヤ及び圧縮半田ボールの両方を電気的な接続に使用する。詳細には、基板420は、基板上に形成されるボンディングパッド425を有するものとして観察される。チップ440はボンディングパッド442及び半田接合パッド444を含み、この場合、パッド442及び425は、ボンディングワイヤ450を介して電気的に接続される。チップ440は基板420に、接着材料130(図2)に類似する接着材料430を介して更に強固に接続され、そして材料130に代わる材料についての議論は、このような図に関する議論において既に行なわれている。図から分かるように、ボンディングパッド475を有するチップ470はチップ440に、圧縮半田ボール465、及び半田接合パッド444とのコンタクトを介して電気的に接続される。更に、チップ470はチップ440に、ポリマー材料480を介して強固に接続される。このような強固な、かつ電気的な接続は、図5に関して議論した態様と類似の態様で行なわれる。
有利な点として、強固な接合部を電子基板または光電子基板の間に形成する本発明の実施形態に用いられるポリマー組成物を形成するために使用されるポリマーは、硬化済み/接合済み材料を熱分解することにより容易に除去することもできる。従って、このような材料を425℃超の温度で適切な期間に亘って熱処理する場合、このようなポリマー材料は、残渣をほとんど残すことがなく熱分解させることができることが判明している。このような特性は、前に説明した本発明のチップ積層形態において有用となり得る、というのは、このような特性によって、高価な半導体チップ及び他の材料の回収を、このような回収が必要とされる場合に行なうことができるからである。しかしながら、このような特性によって更に、除去可能な接合部を2つの基板の間に、または基板と固定用基板またはハンドリング用基板との間に有する構成が必要になる別の実施形態を提供することができる。
本発明のポリマー組成物は、像様露光、及び次のパターン現像によって、かつ像様露光、及び次のパターン現像を利用することによって感光形成することができるが、或る実施形態では、潜像が形成されない膜(non−imaged film)を設けることが望ましい。すなわち、パターンを層または膜の中に形成することがない、または構造を層または膜から形成することがないような層または膜を設けることが望ましい。潜像が形成されないこのような実施形態は、上に説明した潜像形成プロセスを使用して提供することができ、この場合、像様露光は「全面露光」(膜の全ての部分を活性光線で露光する)として行なわれる、または膜は、このような活性光線で全く露光されることがない。このような全面露光を用いる場合、上に説明した潜像形成プロセスの内、現像工程を外した潜像形成プロセスによって、完全硬化済みの膜が得られる。活性光線による露光を使用しない場合、膜の硬化は、熱プロセスによってのみ行なわれる。従って、光反応によって触媒を形成する適切な材料、すなわち熱反応によっても触媒を形成する材料をポリマー組成物に含有させ、そして硬化温度及び時間を、必要であることが判明した場合に調整して材料を完全に硬化させる。適切な熱酸発生剤として、上述のオニウム塩、ハロゲン含有化合物、及びスルフォン酸塩を挙げることができ、そして適切な熱硬化剤または熱酸発生剤として、これらには限定されないが、イミダゾール、一級アミン、二級アミン、三級アミン、四級アンモニウム塩、無水物、多硫化物、ポリメルカプタン、フェノール、カルボン酸、ポリアミド、四級ホスホニウム塩、及びこれらの材料の組み合わせを挙げることができる。最後に、潜像が形成されない膜を作製する場合、このような膜は、いずれかの適切なフォトリソグラフィ法による像形成、及びパターニングプロセスを使用してパターニングすることができることに注目されたい。すなわち、フォトレジスト材料層を、潜像が形成されない硬化済みの層の上に塗布し、パターンをフォトレジスト層に形成し、そして潜像が形成されない下地の層をいずれかの適切な手段によってエッチングする。
例えば、図7を参照すると、このような熱分解の利点を取り入れた本発明による実施形態が描かれている。図示のように、基板520を半導体基板またはウェハ540に、ポリマー材料580を介して接続する。このような実施形態をウェハ薄厚化プロセスに適用する場合、ウェハ540の活性表面を基板520に対向するように配置する。別の構成として、このような実施形態がウェハ平坦化プロセスである場合、ウェハ540の活性表面を、当該表面が基板520の反対側を向くように配置する。一般的に、ウェハ540を基板520に接合させる処理は、像様露光を用いることなく、全面露光を用いて行なって、架橋反応をポリマー380内で開始させる、またはポリマー380が前に記載した熱酸発生剤を含む場合、露光を行なわず、そして接合プロセスを熱発生手段を利用して開始する。このような処理を完了した後、ウェハ540は基板520から、上に説明したポリマー580を熱分解することにより分離することができることを理解されたい。しかしながら、適切な時間がこのような分解に関して設定される場合、このような時間は、層380の膜厚、及びウェハ540のサイズの適切な部分に依存することになる。
本発明の被覆済み、パターニング済み、現像済み、及び硬化済み膜は、種々の特性の中でもとりわけ、低誘電率、低吸湿性、堅牢性、耐溶媒性(craze resistance to solvents)、及び接着性のような優れた特性を有する。これらの特性の内の少なくとも幾つかの特性を有するポリマー膜が、高密度パッケージング、相互接続、及びマイクロビアのような微細パターンが必要とされる微細電子デバイスの作製に有用である。
本発明による感光性ポリマー組成物により形成される層、及び本明細書において記載される方法を使用して作製される硬化済み、かつパターニング済み層、膜、及び構造は、これらの要素の関連する基板とともに、電気デバイス及び/又は電子デバイスだけでなく、種々の光電子デバイスの構成要素として有用であり、これらの構成要素は、形成されるこのような膜、層、及び構造の高い温度安定性及び/又は他の特性の利点を利用することができる。例示としての或る実施形態では、電気デバイス及び/又は微細電子デバイスは半導体デバイスである。例示としての他の実施形態では、電気デバイス及び/または電子デバイスは、これらには限定されないが、マイクロプロセッサチップのような論理チップ、受動素子、メモリチップ、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)チップ、マイクロオプトエレクトロメカニカルシステム(MOEMS)チップ、及び特定用途向け集積回路(ASIC) チップの中から選択される。例示としての更に別の実施形態には、表示デバイス、発光ダイオード、及びプラズマ装置のような光電子デバイスが含まれる。
例示のためにのみ提示される以下の実施例から分かるように、本発明の実施形態は、調製することによって広範囲の用途の特定の特性及び特徴を提供することができるポリマーを実現する。更に、このような実施例は、このようなポリマーの種々の配合剤を示し、これらの配合剤を用いて、前述の微細電子デバイス及び光電子デバイスの製造に有用な構造を形成することができる。以下に示すのは、次の実施例において使用される材料群の内の幾つかの材料の構造化学式である。
以下の化学式で示す材料は、微細電子デバイス及び/又は光電子デバイスの製造に有利な、本発明による実施形態のポリマー配合剤に特徴を付与するために一般的に用いられる添加剤の例示である。このような材料は、用いることができる材料の種類の例示であり、かつ本出願の技術範囲及び技術思想は、材料のこのような例示される種類以外の他の材料を含むものであることを理解されたい。
(実施例1)
ポリマー合成の実施例:
フェネチルノルボルネン(PENB)、グリシジルメチルエーテルノルボルネン(MGENB)、及びデシルノルボルネン(Decyl NB)から誘導されるフェネチル基、グリシジルメチルエーテル基、及びデシル基の繰返し単位を含むポリマーを以下のようにして調製した: 適切な容量の反応容器を110℃で18時間に亘って乾燥させ、次に窒素パージグローブボックスに移した。次に容器に:エチルアセテート(230g)、シクロヘキサン(230 g)、PENB(14.17g、0.071モル);MGENB(14.0g 、0.100モル)、及びデシルNB(39.50g、0.168モル)を充填した。反応媒質から酸素を、乾燥N2流をこの溶液に30分に亘って流し込むことによって除去した。除去が完了した後、8mlのトルエンに溶解した1.50g(3.10ミリモル)のビス(トルエン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケル(NiARF)を反応器に注入した。反応混合物を大気温度で18時間に亘って撹拌し、次に過酢酸溶液(ニッケル触媒を利用した50モル当量−約130mlの脱イオン水で希釈した57mlの氷酢酸を、約100mlの脱イオン水で希釈した115mlの30重量%過酸化水素水と混合することにより調製された150ミリモル)で処理し、更に追加の18時間に亘って撹拌した。
撹拌を停止することにより、水層と溶媒層とを分離することができた。次に、水層を除去し、そして残った溶媒層を500mlの蒸留水で3回洗浄したが、この処理は、水のアリコートを加え、20分に亘って撹拌し、これらの層の分離を可能にし、次に水層を除去することにより行なった。洗浄後、溶媒層を過剰のアセトンに加えることにより、ポリマーを析出させ、ポリマーは濾過により回収し、そして真空炉の中で60℃で一晩に亘って乾燥させた。乾燥後、66.1gの乾燥ポリマー(転化率92%)が得られた。ポリマーの分子量は、ポリスチレン標準液を用いたGPCにより求め、そしてMw=105,138、Mn=46,439であることが判明し、この場合、多分散性(PDI)は2.26であった。ポリマーの組成は、1H−NMRを使用して求め、そして20.2モルパーセント(モル%)のフェネチルノルボルネン;29.1モル%のグリシジルメチルエーテルノルボルネン、及び50.7モル%のデシルノルボルネンであることが判明した。
(実施例2〜4)
実施例1の手順を、以下の表1に示す種々の量の幾つかのモノマーを使用して繰り返した。適切な量の溶媒及び触媒も用いた。
実施例2では、49.2gの乾燥ポリマー(転化率90%)が得られた;実施例3では、44.8gの乾燥ポリマー(転化率89%)が得られた;そして実施例4では、93.0gの乾燥コポリマー(転化率93%)が得られた。
(実施例5)
PENB、MGENB、及びドデシルノルボルネン(Dodecyl NB)から誘導されるフェネチル基、グリシジルメチルエーテル基、及びデシル基の繰返し単位を含むポリマーを以下のようにして調製した: 適切な容量の反応容器に、トルエン(118.5g);メチルエチルケトン(MEK)(23.0g);ドデシルNB(11.9g;0.045モル);MGENB(4.1g;0.023モル);及びPENB(9.0g;0.045モル)を充填した。モノマー溶液を撹拌して溶解酸素を除去しながらモノマー溶液にN2ガスを30分に亘って吹き込んだ。吹き込んだ後、次にトルエン(12.0g)に溶解したNiARF触媒(0.845g;0.0018モル)を反応容器にカニューレを使用して加えた。重合反応を大気温度で6時間に亘って行ない、次に脱イオン水(100g)、過酸化水素水(50.0g)、及び酢酸(25.0g)の溶液で処理して重合反応を停止した。結果として得られる2相反応混合物を大気温度で追加の18時間に亘って撹拌して残留触媒を除去した。撹拌を停止して、有機相及び水性相の相分離を可能にし、水性相を取り除き、そして有機相を200mLの脱イオン水で3回洗浄し、50mLのTHFを1回目の洗浄時に加えて水性相及び有機相の相分離を容易にした。
ポリマーは、7000mLのメタノールの中に沈殿させて回収した。沈殿した固体ポリマーをろ過によって回収し、空気中で、次に真空中で45℃で48時間に亘って乾燥させた。23.5g(収率94.0%)の固体ポリマーを回収した(Mn=35,581;Mw=80,273;PDI=2.25)。1H−NMRを使用して求めた組成は、ドデシルNB/MGENB/PENB(41/21/38)であることが判明した。
(実施例6)
実施例5の態様に類似する態様で、PENB、エポキシオクチルノルボネン(EONB)、及びデシルNBから誘導されるフェネチル基、エポキシオクチル基、及びデシル基の繰返し単位を含むポリマーをそれぞれ40/30/30のモノマー比を使用して調製した。203.4g(収率96.0%)の固体ポリマーを回収した(Mn=29,892;Mw=76,260;PDI=2.55)。組成を1H−NMRを使用して求めたところ、PENB/EONB/デシルNBが40/30/30であることが判明した。
(実施例7)
別のプロセスでは、300ガロンのPFA内張ステンレススチール反応容器に、25. 4キログラム(kg)のPENB(フェネチルノルボルネン)、17.0kgのMGENB(グリシジルメチルエーテルノルボルネン)、22.8kgのDecyl NB(デシルノルボルネン)、261.0kgのシクロヘキサン、及び261.0kgのエチルアセテートを充填した。次に、反応混合物を撹拌して30℃+/−1℃ に暖めた。温度が安定した後、29.48kgの無水トルエンに溶解した1.228kgNiARF溶液を加え、そして発熱を伴う反応によって反応容器の温度を45℃まで上昇させることができ、この温度を5時間の追加時間に亘って維持した。次に、反応混合物を、33kgの酢酸、62.3kgの30%過酸化水素水、及び71.8kgの脱イオン水の溶液で撹拌しながら処理し、その後、混合物を水性相及び溶媒相に分離することができた。水性相は除去し、そして溶媒相は、反応混合物温度を50℃に維持しながら水及びエタノールの混合物(129.3kgの水及び55.4kgのエタノール)で3回洗浄した。次に、結果として得られるポリマーリッチな溶媒相をアルコール類の混合物で処理して未反応のモノマーを除去し、4℃にまで冷却し、そして上部アルコール層を除去した。次に、溶媒を交換することにより、生成物を2−ヘプタノン(MAK)に溶解して得た溶液として回収し、そして真空蒸留によって約50%ポリマーに濃縮した。61.5kgのポリマー(理論収率94%)が得られた。1H NMR分析によって、ポリマーの組成として:41モル%のPENB(フェネチルノルボルネン)、29モル%のMGENB(グリシジルメチルエーテルノルボルネン)、及び30モル%のDecyl NB(デシルノルボルネン)が含まれていることが判明した。分子量については、Mn=33,137、Mw=70,697、及び多分散性インデックス(PDI)=2.13であることが判明した。
(実施例8)
適切な容量の反応容器に、シクロヘキサン(403.7g)、エチルアセテート(403.7g)、Decyl NB(デシルノルボルネン:54.80g;0.234モル);MGENB(グリシジルメチルエーテルノルボルネン:29.74g;0.165モル);PENB(フェネチルノルボルネン:21.78g;0.110モル)、及びトリメトキシリルノルボルネン(TMSNB)(8.84g;0.041モル)を充填した。モノマー溶液にN2ガスを30分に亘って吹き込んで溶解酸素を除去した。
グローブボックスでは、30mLの血清ビン(serum vial)に、NiARF触媒(4.44g;0.0092モル)及びトルエン(40.0g)を充填した。磁気撹拌棒(magnetic stir bar)を血清ビンに入れ、血清ビンを次に密閉し、そしてグローブボックスから取り出した。触媒溶液を30分に亘って撹拌して、触媒をトルエンに完全に溶解させた。次に、触媒をモノマー溶液にカニューレを使用して加えた。重合反応は大気温度で5時間に亘って行なわれた。
脱イオン水(349.56g)、過酸化水素水(207.78g)、及び酢酸(110.0g)の溶液を調製した。水溶液を3L反応器に加えて重合反応を停止した。2相溶液を大気温度で18時間に亘って撹拌して残留触媒を除去し、次に撹拌を停止して、有機相及び水性相の相分離を可能にした。水性相を取り除き、そして有機相を1500mLの脱イオン水で5回洗浄した。50mLのTHFを1回目の洗浄時に加えて水性相及び有機相の相分離を容易にした。ポリマーは、7000mLのメタノールの中に沈殿させて回収した。沈殿した固体ポリマーをろ過によって回収し、空気中で、次に真空中で45℃で48時間に亘って乾燥させた。60.0g(収率69.0%)の固体ポリマーを回収した(Mn=47,944;Mw=148,404;PDI=3.095)。
(実施例9〜11)
実施例6の手順を、以下の表2に示す種々の量の幾つかのモノマーを使用して繰り返した。適切な量の溶媒及び触媒も用い、そして表に示すように、別のシリルエーテルノルボネンモノマーを実施例7〜9の各実施例において、表に続く注記の中に確認されるように使用した。
(表2)
別のシリルエーテルノルボルネン関する注記
*トリメトキシシリルノルボルネン(TMSNB)
**トリエトキシシリルノルボルネン(TESNB)
***トリメトキシシリルエチルノルボルネン(TMSENB)
(実施例A)
調製及びプロセス例
首の広い琥珀色のビンに、実施例5で調製した101.0gのポリマー溶液、及び50gの2−ヘプタノン(MAK)を充填した。溶液を、固体ポリマーが完全に溶解するまで混合し、次に0.45ミクロンの孔を有する濾過器で濾過し微粒子を除去した。この溶液に2.00g(1.97ミリモル)のRhodorsil(登録商標)PI2074光開始剤、0.60g (1.97ミリモル)のSpeedcure(登録商標)CTPX(Lambson Group Ltd.) 、0.137g(0.688ミリモル)のフェノチアジン(Aldrich)、及び2.657gのIrganox 1076(5.00ミリモル) を加えた。この溶液を18時間に亘って混合し、光活性化合物を完全に分散させた。
酸窒化膜で被覆した5インチシリコンウェハに4.0gのポリマー溶液をスピン塗布する。結果として得られる塗布膜に対して、ホットプレート上で120℃で4分に亘って第1のべークを行なう。この膜を、300mJ/cm2の紫外線(365nm)で像様露光することによりパターニングする。結果として得られるポリマー膜のパターンを、ウェハを窒素オーブン中で90℃で5分に亘って第2熱処理することにより焼き締める。このパターンは、スピン現像機で現像することにより形成されるが、この現像は、膜にシクロペンタノンを120秒に亘ってスプレーして、膜の未露光領域を溶解させることにより行なう。次に、濡れた膜をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で30秒に亘ってリンスし、そして窒素雰囲気中で250℃で60分に亘って硬化させる。
(実施例B)
首の広い琥珀色のビンに、実施例1で調製した191.25gのポリマー材料及び191gの2−ヘプタノン(MAK)を充填した。溶液を、固体ポリマーが完全に溶解するまで混合し、次に0.45ミクロンの孔を有する濾過器で濾過し微粒子を除去した。この溶液に、3.825g(3.77ミリモル)のRhodorsil(登録商標)PI2074光開始剤、1.148g (3.77ミリモル)のSpeedcure(登録商標)CTPX(Lambson Group Ltd.)、0.262g(1.32ミリモル)のフェノチアジン(Aldrich)、及び3.73g(7.03ミリモル)のIrganox 1076(Ciba) を加えた。この溶液を18時間に亘って混合し、光活性化合物を完全に分散させた。
酸窒化膜で被覆した5インチシリコンウェハに上記の4.0gのポリマー溶液をスピン塗布し、そして実施例Aで説明したように処理して、潜像が形成されたポリマー層を形成する。
(実施例C)
首の広い琥珀色のビンに、実施例1で調製した37.5gのポリマー材料、及び37.5gの2−ヘプタノン(MAK)を充填した。この溶液を、固体ポリマーが完全に溶解するまで混合し、次に0.45ミクロンの孔を有する濾過器で濾過し微粒子を除去した。この溶液に、0.9840g(0.97ミリモル)のRhodorsil(登録商標)PI2074光開始剤、0.297g (0.97ミリモル)のSpeedcure(登録商標)CTPX(Lambson Group Ltd.)、0.070g(0.35ミリモル)のフェノチアジン(Aldrich)、及び0.73g(1.38ミリモル)のIrganox 1076(Ciba Fine Chemicals)、2.46g(10.4ミリモル)の3−グリシドキシルプロピルトリメトキシシラン(Aldrich)、及び1.25g(6.36ミリモル)の1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルを加えた。この溶液を18時間に亘って混合し、光活性化合物を完全に分散させた。
酸窒化膜で被覆した5インチシリコンウェハに上記の4.0gのポリマー溶液をスピン塗布し、そして実施例Aで説明したように処理して、潜像が形成されたポリマー層を形成する。
(実施例D)
首の広い琥珀色のビンに、実施例4で調製した33.2gのポリマー材料、及び47.6gの2−ヘプタノン(MAK)を充填した。この溶液を、固体ポリマーが完全に溶解するまで混合し、次に0.45ミクロンの孔を有する濾過器で濾過し微粒子を除去した。この溶液に、0.664g(0.65ミリモル)のRhodorsil(登録商標)PI2074光開始剤、0.203g (0.668ミリモル)のSpeedcure(登録商標)CTPX(Lambson Group Ltd.)、0.051g(0.256ミリモル)のフェノチアジン(Aldrich)、及び0.499g(1.38ミリモル)のIrganox 1076(0.939ミリモル)、1.667g(7.2ミリモル)の3−グリシドキシルプロピルトリメトキシシラン(Aldrich)、及び0.831g(4.23ミリモル)の1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルを加えた。この溶液を18時間に亘って混合し、光活性化合物を完全に分散させた。
酸窒化膜で被覆した5インチシリコンウェハに上記の4.0gのポリマー溶液をスピン塗布し、そして実施例Aで説明したように処理して、潜像が形成されたポリマー層を形成するが、この場合、第1のベークを110℃で行ない、かつ露光エネルギーが400mJ/cm2であった点が異なっている。
(実施例E〜N)
以下の表3は、このような測定を行なうために調製されたテストサンプルの測定済みチップせん断強度を示している。実施例E〜Nに示すこれらのポリマー組成物の各々は、実施例Aで説明した態様で調製したが、使用する特定のポリマーが、表に示すように変わり、かつ使用する特定量のRhodosil,CTPX,フェノチアジン,Irganoxがポリマーに占める割合が、百分率でそれぞれ、2.0,0.6,0.14,及び1.5であった点が異なっている。他の添加剤をいずれの組成物にも含有させた場合、このような材料及び使用する量は、以下の表3の“Additional Additives(追加の添加剤)”の欄に表示される(これらの添加剤の化学構造は、前に示したこのような構造のリストに提示される)。Die Shear Strength(チップせん断強度)の測定は、前に記載したように、0.1MPaという低い接合圧力、及び0.7MPaという高い接合圧力を使用して行なわれた。両方の圧力に関して、テストサンプルを170℃で熱処理し、そして圧力を2分に亘って加えた。測定は、テストサンプルを大気温度に戻した後に行なった。
実験E〜Nのサンプルを調製するために使用される時間、温度、及び圧力は、一般的に用いられる値よりも短く、そして低いが、報告されるせん断強度は接合不良ではなく基板不良が生じるポイントに近いことに注目されたい。すなわち、接合対象の材料が不良になるが、接合部には不良が生じないポイントである。更に、完全接合及び硬化プロセスによって得られる最終的な接合せん断強度は、表3に報告される値よりも大きいと予測されることに注目されたい。
以上のように述べてきたが、本発明の実施形態は、記載のポリマー組成物を有利な新規の方法において使用する方法を提示していることを理解されたい。更に、このような方法、及び方法によるポリマー組成物は、開示される特定の実施形態のいずれの実施形態にも限定されないものであると解釈されるべきであり、従ってこのように解釈されるべき開示内容によって本発明の技術範囲及び技術思想が規定されるのであり、このような発明は開示される方法及び組成物の変形を包含するものであり、従ってこのような変形は、添付の請求項によって規定される本発明の技術思想及び技術範囲に含まれることを理解されたい。