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JP2009110606A - 磁気記録媒体、その製造方法及び磁気記憶装置 - Google Patents

磁気記録媒体、その製造方法及び磁気記憶装置 Download PDF

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寿人 柴田
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功剛 貝津
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Abstract

【課題】オーバーライト特性及び熱安定性を両立させることができる磁気記録媒体、その製造方法及び磁気記憶装置を提供する。
【解決手段】垂直磁気記録層32には、グラニュラ層7、非磁性層8、グラニュラ層9及び磁性層10が含まれている。非磁性層8によってグラニュラ層7及び9が互いに磁気的に分離されている。グラニュラ層7の磁気異方性磁界は13kOe〜16kOeである。グラニュラ層9の磁気異方性磁界は10kOe〜13kOeである。非磁性層8としては、例えばRu又はRu合金からなる非磁性金属層が形成されている。磁性層10は、例えばCoCrPtB、CoCrPtCu、CoCrPtAg、CoCrPtAu、CoCrPtTa及びCoCrPtNb等のCoCrPt系合金からなる。磁性層10には、酸化物は含有されておらず、磁性層10内では、複数の磁性粒子が互いに密接している。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードディスクドライブ等に使用される磁気記録媒体、その製造方法及び磁気記憶装置に関する。
磁気ディスク装置等の磁気記憶装置では、トンネル型磁気抵抗素子を使用した再生ヘッドの適用及び垂直磁気記録媒体の採用により著しく記録密度が増大しているが、更なる記録密度の向上が要求されている。
更なる高記録密度化のためには垂直磁気記録媒体の低ノイズ化が必要である。そこで、磁性粒子の微細化に関する研究及びグラニュラ構造の記録層に関する研究が行われている。グラニュラ構造の記録層では、磁性粒子間の磁気的な結合が非磁性材料により低減されている。しかし、磁性粒子を微細化したり、グラニュラ構造の記録層を採用したりした場合には、熱擾乱に対する安定性が低下してしまい、記録磁化の方向を保つことが困難である。グラニュラ層を構成する材料として、熱擾乱に対して安定な磁気エネルギーを有する材料を用いることも考えられるが、この場合には、書き込みの際に外部磁界によって磁化反転を生じさせることが困難になってしまう。つまり、データの上書き(Overwriting)が困難になってしまう。
このように、従来の磁気記録媒体では、オーバーライト特性及び熱安定性の両立が困難となっている。
特開2006−48900号公報
本発明の目的は、オーバーライト特性及び熱安定性を両立させることができる磁気記録媒体、その製造方法及び磁気記憶装置を提供することにある。
本願発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
本願発明に係る磁気記録媒体には、基板と、前記基板の上方に形成され、複数の第1の磁性粒子及び前記複数の第1の磁性粒子を互いに分離する第1の酸化物を有する第1のグラニュラ層と、前記第1のグラニュラ層上に形成された非磁性層と、前記非磁性層上に形成され、複数の第2の磁性粒子及び前記複数の第2の磁性粒子を互いに分離する第2の酸化物を有する第2のグラニュラ層と、が設けられている。そして、前記第1のグラニュラ層、前記第2のグラニュラ層の順に磁気異方性磁界が小さくなる。
本発明に係る磁気記憶装置には、上述の磁気記録媒体が設けられている。更に、前記磁気記録媒体に対して情報の記録及び再生を行う磁気ヘッドが設けられている。
本願発明に係る磁気記録媒体の製造方法では、基板の上方に、複数の第1の磁性粒子及び前記複数の第1の磁性粒子を互いに分離する第1の酸化物を有し、磁気異方性磁界が13000Oe乃至16000Oeである第1のグラニュラ層を形成し、次いで、前記第1のグラニュラ層上に、非磁性層を形成する。次に、前記非磁性層上に、複数の第2の磁性粒子及び前記複数の第2の磁性粒子を互いに分離する第2の酸化物を有し、磁気異方性磁界が10000Oe乃至13000Oeである第2のグラニュラ層を形成する。そして、前記第2のグラニュラ層上に、連続膜からなる磁性層を形成する。
本発明によれば、磁気異方性磁界が適切に規定された第1及び第2のグラニュラ層間に非磁性層を設けているため、各層間の作用によりオーバーライト特性及び熱安定性を両立させることができる。
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る垂直磁気記録媒体の構造を示す断面図である。
本実施形態では、図1に示すように、円板状の非磁性基板30上に、軟磁性層1、非磁性層2及び軟磁性層3がこの順で積層されている。そして、軟磁性層1、非磁性層2及び軟磁性層3から軟磁性裏打ち層31が構成されている。
非磁性基板30としては、例えば、プラスチック基板、結晶化ガラス基板、強化ガラス基板、Si基板、アルミニウム合金基板等が用いられる。
軟磁性層1及び3としては、例えば、Fe、Co及び/又はNiを含むアモルファス状又は微結晶構造のものが形成されている。これらの元素に、W、Hf、C、Cr、B、Cu、Ti、V、Nb、Zr、Pt、Pd及び/又はTaが添加されていてもよい。例えば、アモルファス状又は微結晶構造のFeCoNbZr層、CoZrNb層、CoNbTa層、FeCoZrNb層、FeCoZrTa層、FeCoB層、FeCoCrB層、NiFeSiB層、FeAlSi層、FeTaC層、FeHfC層又はNiFe層等が挙げられる。特に、記録磁界の集中を考慮すると、飽和磁束密度Bsが1.0T以上の軟磁性材料の層であることが好ましい。軟磁性層1及び3は、例えば、めっき法、DCスパッタ法、RFスパッタ法、パルスDCスパッタ法、蒸着法、CVD法(化学的気相成長法)等により形成することができる。軟磁性層1及び3の厚さは、例えば25nm〜30nm程度である。軟磁性層1及び3の厚さが25nm未満であると、記録再生特性が十分とはいえない場合が生じうる。また、軟磁性層1及び3の厚さが30nmを超えると、量産設備を大規模にする必要が生じたり、コストが著しく上昇したりする場合が生じうる。
非磁性層2としては、例えばRu又はRu合金からなる非磁性金属層が形成されている。非磁性層2も、例えば、めっき法、DCスパッタ法、RFスパッタ法、パルスDCスパッタ法、蒸着法、CVD法等により形成することができる。非磁性層2の厚さは、軟磁性層1と軟磁性層3との間で反平行の磁気結合が形成される厚さ(例えば0.5nm〜1nm程度)となっている。つまり、軟磁性層1及び3の磁化の方向が互いに反対向きとなっており、軟磁性層1及び3の間に反強磁性的な結合が現れている。なお、非磁性層2の材料として、「S. S. P. Parkin, Phy. Rev. Lett. 67, 3598 (1991)」に記載されているように、Re、Cr、Rh、Ir、Cu又はV等を用いてもよい。
このような軟磁性裏打ち層31では、磁区及び磁壁の形成が抑制される。
軟磁性裏打ち層31上に、ニッケル合金中間層4が形成されている。ニッケル合金中間層4は、例えば、NiW、NiCr又はNiCrWからなる。また、これらの合金にB又はC等の添加物が含まれていてもよい。ニッケル合金中間層4も、例えば、めっき法、DCスパッタ法、RFスパッタ法、パルスDCスパッタ法、蒸着法、CVD法等により形成することができる。ニッケル合金中間層4の厚さは、例えば3nm〜10nm程度である。
ニッケル合金中間層4上に、Ru中間層5が形成されている。Ru中間層5は、Ru又はRu合金からなる。Ru中間層5も、例えば、めっき法、DCスパッタ法、RFスパッタ法、パルスDCスパッタ法、蒸着法、CVD法等により形成することができる。Ru中間層5の厚さは、例えば15nm〜20nm程度である。
Ru中間層5上に、酸化物含有非磁性層6が形成されている。酸化物含有非磁性層6は、例えば酸化物を含有するCoCr系合金からなる。酸化物含有非磁性層6も、例えば、めっき法、DCスパッタ法、RFスパッタ法、パルスDCスパッタ法、蒸着法、CVD法等により形成することができる。酸化物含有非磁性層6の厚さは、例えば1nm〜5nm程度である。
ニッケル合金中間層4、Ru中間層5及び酸化物含有非磁性層6から非磁性中間層33が構成されている。主にRu中間層5及び酸化物含有非磁性層6により、軟磁性裏打ち層31と後述の垂直磁気記録層32とが互いに磁気的に分離される。また、ニッケル合金中間層4は、Ru中間層5の結晶配向性を向上させる。
酸化物含有非磁性層6上に、グラニュラ層7、非磁性層8、グラニュラ層9及び連続膜からなる磁性層10がこの順で積層されている。そして、グラニュラ層7、非磁性層8、グラニュラ層9及び磁性層10から垂直磁気記録層32が構成されている。
グラニュラ層7及び9内では、例えば、複数の磁性粒子の間に酸化物が存在する。つまり、複数の磁性粒子が酸化物により互いに分離されている。グラニュラ層7及び9も、例えば、めっき法、DCスパッタ法、RFスパッタ法、パルスDCスパッタ法、蒸着法、CVD法等により形成することができる。
グラニュラ層7中の磁性粒子は、例えばCoCrPt粒子である。この場合、例えば、磁性粒子に含まれるCr原子の割合はグラニュラ層7を構成する全原子の5%〜15%であり、Pt原子の割合は11%〜25%であり、残部がCoとなっている。また、酸化物の体積の割合は、例えば6%〜13%である。酸化物としては、例えばチタン酸化物、シリコン酸化物、クロム酸化物又はタンタル酸化物が用いられる。酸化物として、これらの複合酸化物が用いられてもよい。グラニュラ層7の厚さは、例えば7nm〜10nm程度であり、グラニュラ層7の磁気異方性磁界(Hk)は13000Oe〜16000Oe(13kOe〜16kOe)である。
グラニュラ層9中の磁性粒子は、例えばCoCrPt粒子である。この場合、例えば、磁性粒子に含まれるCr原子の割合はグラニュラ層7を構成する全原子の7%〜15%であり、Pt原子の割合は11%〜17%であり、残部がCoとなっている。また、酸化物の体積の割合は、例えば6%〜13%である。酸化物としては、例えばチタン酸化物、シリコン酸化物、クロム酸化物又はタンタル酸化物が用いられる。酸化物として、これらの複合酸化物が用いられてもよい。グラニュラ層9の厚さは、例えば5nm〜10nm程度であり、グラニュラ層9の磁気異方性磁界(Hk)は10000Oe〜13000Oe(10kOe〜13kOe)である。
なお、グラニュラ層7及び9中の磁性粒子はCoCrPt粒子である必要はなく、CoCrPt系合金の磁性粒子が含まれていてもよい。また、Pt、B、Cu及び/又はTaを含有するCoCr系合金の磁性粒子が含まれていてもよい。
非磁性層8としては、例えばRu又はRu合金からなる非磁性金属層が形成されている。Ru合金としては、例えばRuCo、RuCr、RuNi、RuFe、RuRh、RuPd、RuOs、RuIr及びRuPtが挙げられる。非磁性層8も、例えば、めっき法、DCスパッタ法、RFスパッタ法、パルスDCスパッタ法、蒸着法、CVD法等により形成することができる。非磁性層2の厚さは、軟磁性層1と軟磁性層3との間で反平行の磁気結合が形成される厚さ(例えば0.05nm〜1.5nm、好ましくは0.1nm〜1nm程度)となっている。つまり、グラニュラ層7及び9の磁化の方向が互いに反対向きとなっており、グラニュラ層7及び9の間に強磁性的な交換結合が現れている。なお、非磁性層8の材料として、Re、Cr、Rh、Ir、Cu又はV等を用いてもよい。
磁性層10は、例えばCoCrPtB、CoCrPtCu、CoCrPtAg、CoCrPtAu、CoCrPtTa及びCoCrPtNb等のCoCrPt系合金からなる。そして、Cr原子の割合は磁性層10を構成する全原子の17%〜22%であり、Pt原子の割合は11%〜17%であり、残部がCo及び添加元素となっている。磁性層10には、酸化物は含有されておらず、磁性層10内では、複数の磁性粒子が互いに密接している。磁性層10も、例えば、めっき法、DCスパッタ法、RFスパッタ法、パルスDCスパッタ法、蒸着法、CVD法等により形成することができる。磁性層10の厚さは、例えば5nm〜10nm程度である。なお、磁性層10として、結晶化している層又はアモルファス層のいずれを用いてもよい。磁性層10の磁気異方性磁界(Hk)は6000Oe〜10000Oe(6kOe〜10kOe)である。
磁性層10上に、カーボン保護層11が形成されている。カーボン保護層11は、例えばCVD法等により形成することができる。カーボン保護層11の厚さは、例えば2.5nm〜4.5nm程度である。また、カーボン保護層11上に、潤滑層12が形成されている。潤滑層12は、例えば潤滑剤の塗布により形成されている。潤滑層12の厚さは、例えば1nm程度である。
このように構成された垂直磁気記録媒体に対しては、図2に示すような磁気ヘッドを用いて、データの書き込み(記録)及び読み出し(再生)が行われる。垂直磁気記録媒体用の磁気ヘッド21には、書き込み用の主磁極22、補助磁極23及びコイル24が設けられている。また、読み出し用の磁気抵抗効果素子25及びシールド26も設けられている。補助磁極23は、磁気抵抗効果素子25に対するシールドとしても機能する。そして、データの書き込み時には、コイル24に電流が流され、主磁極22及び補助磁極23を経由する磁束27が形成される。この時、主磁極22から出た磁束27は記録層6を貫通した後、軟磁性裏打ち層31を経由した上で補助磁極23に戻ってくる。従って、垂直磁気記録層32の磁化が記録ビット毎に、それに垂直な2方向のいずれか(上方向又は下方向)に磁束の向きに応じて変化する。
このように、本実施形態では、垂直磁気記録層32に、非磁性層8によって互いに磁気的に分離されたグラニュラ層7及び9が設けられている。また、グラニュラ層7及び9の磁気異方性磁界が適切に規定されている。このため、垂直磁気記録層32全体として高い磁気異方性磁界を確保しながら、高いオーバーライト特性を得ることができる。つまり、熱安定性及びオーバーライト特性を両立させることができる。更に、グラニュラ層9上に磁性層10が設けられているため、HDI(ハードディスク界面)特性、磁気特性の制御及び電磁変換特性が良好なものとなる。
本実施形態のような構成とすることで、磁気異方性磁界が比較的大きいグラニュラ層7は熱擾乱に対して安定となり、さらに、グラニュラ層7と強磁性的に結合しているグラニュラ層9も熱擾乱に対して安定となる。一方、記録時には、ライト磁界に応じて、磁気異方性磁界が比較的小さいグラニュラ層9が先に磁化反転し、ライト磁界と反転したグラニュラ層9との強磁性的結合力により、磁気異方性磁界が比較的大きいにも拘わらずグラニュラ層7が磁化反転する。したがって、熱安定性及びオーバーライト特性を両立させることができる。
さらに、本実施形態のような磁性層10を設けることで、上記効果がさらに大きくなる。また、グラニュラ層の粒子サイズや磁気異方性の分散を平均化させる効果、層としての密度が高く耐蝕性を改善させる効果、表面の平滑性が良いためヘッド浮上性等のHDI特性も改善される効果も得られる。
なお、グラニュラ層7の磁気異方性磁界が13000Oe(13kOe)未満であると、十分な磁気エネルギーを確保することができず、所望の熱安定性が得られないことがある。一方、グラニュラ層7の磁気異方性磁界が16000Oe(16kOe)を超えると、オーバーライト特性が低下することがある。従って、グラニュラ層7の磁気異方性磁界は、13kOe〜16kOeとする。このような磁気異方性磁界は、例えば上述のような組成の場合に得られる。
また、グラニュラ層9の磁気異方性磁界が10000Oe(10kOe)未満であると、十分な磁気エネルギーを確保することができず、所望の熱安定性が得られないことがある。一方、グラニュラ層9の磁気異方性磁界が13000Oe(13kOe)を超えると、オーバーライト特性が低下することがある。従って、グラニュラ層9の磁気異方性磁界は、10kOe〜13kOeとする。このような磁気異方性磁界は、例えば上述のような組成の場合に得られる。
上述の垂直磁気記録媒体を製造する場合には、非磁性基板30上に、上述の各層を順次形成すればよい。更に、潤滑層12の形成後に、研磨テープ等を用いて表面突起及び異物等を除去することが好ましい。
このような製造方法によれば、熱安定性及びオーバーライト特性が両立した垂直磁気記録媒体が得られる。
ここで、上述の実施形態に係る垂直磁気記録媒体を備えた磁気記憶装置の一例であるハードディスクドライブについて説明する。図3は、ハードディスクドライブ(HDD)の内部の構成を示す図である。
このハードディスクドライブ100のハウジング101には、回転軸102に装着されて回転する磁気ディスク103と、磁気ディスク103に対して情報記録及び情報再生を行う磁気ヘッドが搭載されたスライダ104と、スライダ104を保持するサスペンション108と、サスペンション108が固着されてアーム軸105を中心に磁気ディスク103表面に沿って移動するキャリッジアーム106と、キャリッジアーム106を駆動するアームアクチュエータ107とが収容されている。磁気ディスク103として、上述の実施形態に係る垂直磁気記録媒体が用いられている。
次に、本願発明者らが行った実験について説明する。この実験では、実施例として上述の実施形態に沿って3個の試料を作製し、また、参考例として実施例から非磁性層8を除いた2個の試料を作製した。なお、各層の厚さは、表1の通りとした。また、垂直磁気記録層32を構成する各層の磁気異方性磁界は、表2の通りとした。
Figure 2009110606
Figure 2009110606
そして、これらの試料の保磁力、ライトコア幅、分解能、オーバーライト特性、非線形遷移シフト(NLTS:NonLinear Transition Shift)、クロストーク指数、サイドイレーズ指数及びVTM(Viterbi Trellis Margin)を測定した。この結果を表3に示す。
Figure 2009110606
保持力については、実施例において、参考例と同等の結果が得られた。
ライトコア幅は、情報を正確に記録することができるトラックの幅を示しており、この値が小さいほど、高いトラック密度での記録が可能であることを示す。そして、実施例では、参考例よりもライトコア幅が狭くなった。
また、実施例により参考例よりも高い分解能が得られた。
オーバーライト特性は、124kBPI(キロビット/インチ)で書き込んだ場合に読み取られる信号と495kBPIで書き込んだ場合に読み取られる信号との比から評価した。そして、この値が−40dBに近いほど、オーバーライト特性が良好であることを示し、実施例により参考例よりも良好なオーバーライト特性が得られた。
非線形遷移シフト(NLTS)は低いことが好ましく、実施例において参考例よりも非線形遷移シフトが低くなった。
クロストーク指数が低いほどクロストークが生じにくいことを示し、実施例において参考例よりもクロストーク指数が低くなった。
サイドイレーズ指数が0に近いほど、サイドイレーズが生じにくいことを示し、実施例において参考例よりもサイドイレーズ指数が低くなった。
VTMは、Viterbi復調法によりエラー訂正された信号の誤り率を示し、エラーレートに比例する。そして、VTMについては、実施例において参考例よりもVTMが低くなった。
なお、特許文献1には、グラニュラ構造の磁気記録層間に非磁性の結合層が設けられた垂直磁気記録媒体が記載されている。しかし、各磁気記録層の磁気異方性磁界としてどの程度が好ましいかに関する記載はない。段落0029に、具体的数値として18.7kOe、13.2kOeが記載されているが、これらは高すぎるため、十分なオーバーライト特性が得られない。また、段落0037に、具体的数値として、20.0kOe、11.1kOeが記載されているが、20.0kOeは高すぎる。また、特許文献1には、グラニュラ層上に連続膜からなる磁性層を設けることは記載されていない。
さらに、本発明は垂直磁気記録媒体に限定することなく、水平磁気記録媒体にも適用するこができる。
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
基板と、
前記基板の上方に形成され、複数の第1の磁性粒子及び前記複数の第1の磁性粒子を互いに分離する第1の酸化物を有する第1のグラニュラ層と、
前記第1のグラニュラ層上に形成された非磁性層と、
前記非磁性層上に形成され、複数の第2の磁性粒子及び前記複数の第2の磁性粒子を互いに分離する第2の酸化物を有する第2のグラニュラ層と、
を有し、
前記第1のグラニュラ層、前記第2のグラニュラ層の順に磁気異方性磁界が小さくなることを特徴とする磁気記録媒体。
(付記2)
さらに、前記第2のグラニュラ層上に形成され、連続膜からなる磁性層を有し、
前記第1のグラニュラ層、前記第2のグラニュラ層、前記磁性層の順に磁気異方性磁界が小さくなることを特徴とする付記1に記載の磁気記録媒体。
(付記3)
前記第1のグラニュラ層の磁気異方性磁界が13000Oe乃至16000Oeであり、
前記第2のグラニュラ層の磁気異方性磁界が10000Oe乃至13000Oeであることを特徴とする付記1又は2に記載の磁気記録媒体。
(付記4)
前記第1の磁性粒子はCoCrPt粒子であり、
前記第1の磁性粒子に含まれるCr原子の割合は前記第1のグラニュラ層を構成する全原子の5%〜15%であり、Pt原子の割合は11%〜25%であり、
前記第1のグラニュラ層中の前記第1の酸化物の体積の割合は6%〜13%であることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
(付記5)
前記第2の磁性粒子はCoCrPt粒子であり、
前記第2の磁性粒子に含まれるCr原子の割合は前記第2のグラニュラ層を構成する全原子の7%〜15%であり、Pt原子の割合は11%〜17%であり、
前記第2のグラニュラ層中の前記第2の酸化物の体積の割合は6%〜13%であることを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
(付記6)
前記第1の酸化物及び前記第2の酸化物は、チタン酸化物、シリコン酸化物、クロム酸化物及びタンタル酸化物からなる群から選択された1種であることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
(付記7)
前記非磁性層はRu又はRu合金からなることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
(付記8)
前記Ru合金は、RuCo、RuCr、RuNi、RuFe、RuRh、RuPd、RuOs、RuIr及びRuPtからなる群から選択された1種であることを特徴とする付記7に記載の磁気記録媒体。
(付記9)
前記非磁性層の厚さは0.05nm乃至1.5nmであることを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
(付記10)
前記非磁性層は、前記第1のグラニュラ層及び前記第2のグラニュラ層の間に強磁性の交換結合を作用させ、
外部磁界が印加されると、前記第1のグラニュラ層及び前記第2のグラニュラ層の磁化反転が一斉に生じることを特徴とする付記1乃至9のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
(付記11)
前記基板と前記第1のグラニュラ層との間に設けられた軟磁性裏打ち層と、
前記軟磁性裏打ち層と、前記第1のグラニュラ層、前記非磁性層、前記第2のグラニュラ層及び前記磁性層を含む記録層とを磁気的に分離する非磁性中間層と、
を有することを特徴とする付記1乃至10のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
(付記12)
前記非磁性中間層は、少なくともRu又はRu合金層を有することを特徴とする付記11に記載の磁気記録媒体。
(付記13)
前記軟磁性裏打ち層は、
第1の軟磁性層と、
前記第1の軟磁性層上に形成された第2の非磁性層と、
前記第2の非磁性層上に形成された第2の軟磁性層と、
を有することを特徴とする付記12に記載の磁気記録媒体。
(付記14)
基板の上方に、複数の第1の磁性粒子及び前記複数の第1の磁性粒子を互いに分離する第1の酸化物を有し、磁気異方性磁界が13000Oe乃至16000Oeである第1のグラニュラ層を形成する工程と、
前記第1のグラニュラ層上に、非磁性層を形成する工程と、
前記非磁性層上に、複数の第2の磁性粒子及び前記複数の第2の磁性粒子を互いに分離する第2の酸化物を有し、磁気異方性磁界が10000Oe乃至13000Oeである第2のグラニュラ層を形成する工程と、
前記第2のグラニュラ層上に、連続膜からなる磁性層を形成する工程と、
を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(付記15)
前記第1のグラニュラ層として、
前記第1の磁性粒子はCoCrPt粒子であり、
前記第1の磁性粒子に含まれるCr原子の割合は前記第1のグラニュラ層を構成する全原子の5%〜15%であり、Pt原子の割合は11%〜25%であり、
前記第1のグラニュラ層中の前記第1の酸化物の体積の割合は6%〜13%であるものを形成することを特徴とする付記14に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(付記16)
前記第2のグラニュラ層として、
前記第2の磁性粒子はCoCrPt粒子であり、
前記第2の磁性粒子に含まれるCr原子の割合は前記第2のグラニュラ層を構成する全原子の7%〜15%であり、Pt原子の割合は11%〜17%であり、
前記第2のグラニュラ層中の前記第2の酸化物の体積の割合は6%〜13%であるものを形成することを特徴とする付記14又は15に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(付記17)
前記第1の酸化物及び前記第2の酸化物として、チタン酸化物、シリコン酸化物、クロム酸化物及びタンタル酸化物からなる群から選択された1種を用いることを特徴とする付記14乃至16のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(付記18)
前記非磁性層として、Ru又はRu合金からなるものを形成することを特徴とする付記14乃至17のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(付記19)
前記Ru合金として、RuCo、RuCr、RuNi、RuFe、RuRh、RuPd、RuOs、RuIr及びRuPtからなる群から選択された1種を用いることを特徴とする付記18に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(付記20)
前記非磁性層の厚さを0.05nm乃至1.5nmとすることを特徴とする付記14乃至19のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(付記21)
前記第1のグラニュラ層を形成する工程の前に、
前記基板上に、軟磁性裏打ち層を形成する工程と、
前記軟磁性裏打ち層上に、前記軟磁性裏打ち層と、前記第1のグラニュラ層、前記非磁性層、前記第2のグラニュラ層及び前記磁性層を含む記録層とを磁気的に分離する非磁性中間層を形成する工程と、
を有することを特徴とする付記14乃至20のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(付記22)
付記1乃至13のいずれか1項に記載の磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体に対して情報の記録及び再生を行う磁気ヘッドと、
を有することを特徴とする磁気記憶装置。
本発明の実施形態に係る垂直磁気記録媒体の構造を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る垂直磁気記録媒体の使用方法を示す図である。 ハードディスクドライブ(HDD)の内部の構成を示す図である。
符号の説明
1、3:軟磁性層
2:非磁性層
4:ニッケル合金中間層
5:Ru中間層
6:酸化物含有非磁性層
7:グラニュラ層
8:非磁性層
9:グラニュラ層
10:磁性層
11:カーボン保護層
12:潤滑層
30:非磁性基板
31:軟磁性裏打ち層
32:垂直磁気記録層
33:非磁性中間層

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板の上方に形成され、複数の第1の磁性粒子及び前記複数の第1の磁性粒子を互いに分離する第1の酸化物を有する第1のグラニュラ層と、
    前記第1のグラニュラ層上に形成された非磁性層と、
    前記非磁性層上に形成され、複数の第2の磁性粒子及び前記複数の第2の磁性粒子を互いに分離する第2の酸化物を有する第2のグラニュラ層と、
    を有し、
    前記第1のグラニュラ層、前記第2のグラニュラ層の順に磁気異方性磁界が小さくなることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. さらに、前記第2のグラニュラ層上に形成され、連続膜からなる磁性層を有し、
    前記第1のグラニュラ層、前記第2のグラニュラ層、前記磁性層の順に磁気異方性磁界が小さくなることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記第1のグラニュラ層の磁気異方性磁界が13000Oe乃至16000Oeであり、
    前記第2のグラニュラ層の磁気異方性磁界が10000Oe乃至13000Oeであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記第1の磁性粒子はCoCrPt粒子であり、
    前記第1の磁性粒子に含まれるCr原子の割合は前記第1のグラニュラ層を構成する全原子の5%〜15%であり、Pt原子の割合は11%〜25%であり、
    前記第1のグラニュラ層中の前記第1の酸化物の体積の割合は6%〜13%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記第2の磁性粒子はCoCrPt粒子であり、
    前記第2の磁性粒子に含まれるCr原子の割合は前記第2のグラニュラ層を構成する全原子の7%〜15%であり、Pt原子の割合は11%〜17%であり、
    前記第2のグラニュラ層中の前記第2の酸化物の体積の割合は6%〜13%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記非磁性層はRu又はRu合金からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記非磁性層は、前記第1のグラニュラ層及び前記第2のグラニュラ層の間に強磁性の交換結合を作用させ、
    外部磁界が印加されると、前記第1のグラニュラ層及び前記第2のグラニュラ層の磁化反転が一斉に生じることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  8. 基板の上方に、複数の第1の磁性粒子及び前記複数の第1の磁性粒子を互いに分離する第1の酸化物を有し、磁気異方性磁界が13000Oe乃至16000Oeである第1のグラニュラ層を形成する工程と、
    前記第1のグラニュラ層上に、非磁性層を形成する工程と、
    前記非磁性層上に、複数の第2の磁性粒子及び前記複数の第2の磁性粒子を互いに分離する第2の酸化物を有し、磁気異方性磁界が10000Oe乃至13000Oeである第2のグラニュラ層を形成する工程と、
    前記第2のグラニュラ層上に、連続膜からなる磁性層を形成する工程と、
    を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  9. 前記非磁性層として、Ru又はRu合金からなるものを形成することを特徴とする請求項8に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  10. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体と、
    前記磁気記録媒体に対して情報の記録及び再生を行う磁気ヘッドと、
    を有することを特徴とする磁気記憶装置。
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