本発明は、表示パネルの表示画像を位置シフトできる表示装置に関し、特に、スクロール(画像シフト)動作中であることの視認が容易な、いわゆるアニメーション動作(スローシフト)をする表示装置に関する。この表示装置は例えば、車内における表示例えばドライバ席に対する表示或いは後部座席に対する表示、携帯機器のパネル表示、電気,機械装置又は設備,プラントでの表示、などに用いることが出来る。
特許文献1には、クライアントPCから操作して液晶パネル画面上の表示位置を上下左右方向に移動調整可能な液晶表示回路を備えた液晶マルチディスプレイ表示装置が記載されている。
例えば車両上で、ナビゲーション画面(走行案内地図),デジタル放送画面,オーディオ操作画面,空調設定画面,走行制御操作画面,これらの表示を選択する表示選択画面,インターネット接続画面,これらの操作を許可するためのパスワード入力画面等を、表示&タッチパネルに表示することが行われるが、例えばナビゲーション画面には、例えば図2の(a)に示すように、道路状態を3次元表示する道路画像Bと、操作用のタッチ入力パネル画像Aが並べて表示される。この場合、図2の(a)に示すように、道路画像が右側で入力パネル画像が左にあるのが便利であるときと、図2の(c)に示すように逆配置のほうが便利であるときがある。したがって、ワンタッチキー入力で、図2の(a)から(c)に、或いはその逆に表示(画像位置)を切換えできるようにするのが好ましい。
表示コントローラがアクセスする、画面に表示する画像を表す画像データを格納する画像メモリには、システム制御側のHDD,大容量半導体メモリモジュール,メモリカードなどの主記憶装置から表示画像を表す画像データが格納されるので、上記表示の切換をするときには、主記憶装置からもう一つの所要画像(画像データ)を読み出して表示コントローラがアクセスする画像メモリを書き換えればよい。あるいは、主記憶装置の表示中の画像データを、読み出しアドレスを変更して切換後の画像を表す順序で読み出して表示コントローラがアクセスする画像メモリを書き換えることによっても、上述の表示画像の位置切換が出来る。例えば、2画像A,Bを並べて表示する態様では、表示コントローラがアクセスする画像メモリには、例えば図1の画像メモリ210に示すように、アドレスAaを始端とする第1画像の画像データを格納する第1領域、および、アドレスAbを始端とする第2領域を定めており、電源オン直後に、第1領域に画像Aの画像データを、第2領域に画像Bの画像データを格納して、これらの画像データを用いて図2の(a)に示すように画像A,Bを左右に並べて表示する。左シフト指示があると、第1領域を画像Bの画像データに書換え、第2領域を画像Aの画像データに書換える。これにより表示は、図2の(c)に示すように画像B,Aを左右に並べて表示する。ここで右シフト指示があると、第1領域を画像Aの画像データに書換え、第2領域を画像Bの画像データに書換える。これにより表示は、図2の(a)に示すように画像A,Bを左右に並べたものに戻る。車両の運転状態に応じて第1領域および又は第2領域の画像データを他の画像を表すものに書き換えることにより、表示画像が切換る。
上述の画像メモリには、システム制御側のCPUが、システム制御側のHDD,大容量半導体メモリモジュール,メモリカードなどの主記憶装置から、表示すべき画像を表す画像データを読み出して格納するのですなわち画像データの転送制御をするので、上記表示の切換えをするときには、システム制御側のCPUの仕事が増える。CPUが他の優先的な制御を実行していると、画像データの転送制御が遅れるので、また、もともと1画面の画像データの転送に少々の時間がかかるので、液晶パネルの画面の全体が切換るのに少々時間がかかることがある。特に、表示画像のシフト(位置変え)を動画的に少しずつ行うスローモーション(アニメーション)で行うと、システム制御側のCPUは、主記憶装置から画像メモリへの、読み出しアドレスを変更する画像データ転送を、小刻みにアドレスを変更して何回も繰り返さなければならず、たとえば1秒間のアニメーションで上述の表示画像の位置切換が完了する場合、該1秒間、システム制御側のCPUは、非常に忙しくなる。あるいは、上述の表示画像の位置切換え作業に専念しなければならなくなる。これはシステム制御側には、大きな負担になる。
本発明は、システム制御側のCPUの作業負担を軽減することを目的とする。具体的には、上述の表示画像の位置切換ならびにアニメーションの作業から、システム制御側のCPUを解放することを目的とする。
(1) 表示パネル(101);
該表示パネルを表示付勢する表示回路(102〜104);
前記表示パネルに表示する画像を表す画像データを格納する画像メモリ(210);および、
前記表示パネル上の表示画像を、該表示パネルの水平ラインが延びる水平方向に、同一ライン上で目標値(S)分循環シフトするように、前記画像メモリに対する読み出しアドレスをシフトして該画像メモリから画像データを読み出して前記表示回路に出力し、前記目標値(S)を設定速度で指定値(Csh)分順次に変更する、表示コントローラ(200);
を備える表示装置。
なお、理解を容易にするために括弧内には、図面に示し後述する実施例の対応要素又は対応事項の記号を、例示として参考までに付記した。以下も同様である。
これによれば、例えば図2の(a)に示す、デフォルトの右シフトした画像表示を、図2の(c)に示す左シフトした画像表示に切換えることが出来る。切換えは、位置PabからPeまでの道路画像Bを小刻みに順次に左に移し同時に円環(エンドレス)状に循環して、先頭PsからPab直前までの入力操作パネル画像Aの先頭を道路画像Bの尾端に連続にして該パネル画像も同じく左に移すアニメーションで行う。この画像位置シフトおよびアニメーションは、表示コントローラ(200)が行うので、システム制御側のCPU(1)には全く負担がかからない。
表示画像のスローシフトすなわちアニメーションにより、シフト指示を発した操作者は、シフト指示に応答する画像シフトが行われていることを、シフト指示から少しおくれて画面を視認しても、明確に画像シフトを確認できる。従来の、アニメーションがなくしかも画像位置シフトに少々の時間がかかることにより、ユーザがシフト指示が不完全であったと思って何回もシフト指示キーを操作し、これにより結果的には、表示画像が行きつ戻りつするような、誤操作の可能性が低減する。
(2)前記画像メモリは、複数の画像(A,B)を格納する複数のメモリ領域(始端As,Ab)を持ち;前記表示コントローラ(200)は、前記表示パネルの各水平ラインに割り当てられた各メモリ領域の各画像データを該水平ライン上に連続に配列したとすると該配列の先頭から前記目標値分の次の画像データを先頭にして出力を開始し、該配列の最後の画像データの次に前記先頭から目標値分の画像データを出力する順番で、前記複数のメモリ領域から画像データを読み出す;上記(1)に記載の表示装置。
これによれば、複数画像を同一表示画面上に左右に並べて表示する複合表示において、上記(1)に記述した作用効果を同様に得ることが出来る。
(3)表示パネル(101);
該表示パネルを表示付勢する表示回路(102〜104);
前記表示パネルに表示する画像を表す画像データを格納する画像メモリ(210);および、
該画像メモリから画像データを読み出し、読み出した画像データを、前記表示パネル上の表示画像が、該表示パネルの水平ラインが延びる水平方向に、同一ライン上で目標値(S)分循環シフトするように、同一ライン上の画像データの出力順を変更して前記表示回路に出力し、前記目標値(S)を設定速度で指定値(Csh)分順次に変更する、表示コントローラ(200);を備える表示装置。
これによっても、上記(1)に記述した作用効果を同様に得ることが出来る。
(4)前記画像メモリは、複数の画像(A,B)を格納する複数のメモリ領域(始端As,Ab)を持ち;前記表示コントローラ(200)は、前記表示パネルの各水平ラインに割り当てられた各メモリ領域の各画像データを該水平ライン上に連続に配列する順番で前記複数のメモリ領域から画像データを読み出し、各水平ライン上で画像データが目標値(S)分循環シフトするように、同一ライン上の画像データの出力順を変更して前記表示回路に出力する;上記(3)に記載の表示装置。
これによっても、複数画像を同一表示画面上に左右に並べて表示する複合表示において、上記(1)に記述した作用効果を同様に得ることが出来る。
(5)前記表示コントローラは、前記表示回路に与える画素同期信号(CLK),水平同期信号(HS)および垂直同期信号(VS)を発生するタイミング回路(201〜203)を持ち、前記垂直同期信号が設定数(Fn)発生する毎に前記目標値(S)を1ステップ変更する(12L〜16L,12R〜16R);上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の表示装置。
これによれば、画面の更新を示す垂直同期信号(VS)が設定数(Fn)が発生する毎に、すなわち設定数(Fn)の画面の更新のたびに、表示画像が前記目標値(S)の1ステップ分移動する。この移動が垂直同期信号(VS)のFn周期に同期して行われるので、アニメーション中の表示画像にゆがみを生じない。Fnを大きくすればシフト速度が遅くなり、小さくすると速くなる。
(6)前記1ステップは、整数画素分(STn)である(16L,16R);上記(5)に記載の表示装置。該整数(STn)は設定値であり、該整数(STn)を大きい値にすればシフト速度が遅くなり、小さい値にすれば速くなる。
(8)前記表示コントローラは、左シフトの場合には、前記垂直同期信号が設定数(Fn)発生する毎に前記目標値(s)を1ステップアップ変更し、右シフトの場合には1ステップダウンする(14L,14R);上記(5)に記載の表示装置。
これによれば、垂直同期信号(VS)が設定数(Fn)が発生する毎に、すなわち設定数(Fn)の画面の更新のたびに、表示画像が前記目標値(S)の1ステップ分移動する。この移動が垂直同期信号(VS)のFn周期に同期して行われるので、アニメーション中の表示画像にゆがみを生じない。Fnを大きくすればシフト速度が遅くなり、小さくすると速くなる。
(8)前記表示コントローラは、電源オン直後からシフト指示が与えられるまでは、前記目標値(s)を0に維持する;上記(7)に記載の表示装置。これによれば、シフト指示があるまで、デフォルトの表示順(図2の(a))で複数画像が並べて表示され、表示画像のシフトは起きない。
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
図1に、本発明の第1実施例の表示装置の、構成の概要を示す。表示ユニット(100,200)は、表示パネルである横長の液晶パネル101および表示回路を備える液晶モジュール100、および、表示コントローラ200、で構成されている。横長の液晶パネル101はワイドディスプレーであって、同時に2画面を、横(水平方向)に並べて表示することが出来る。表示コントローラ200が、液晶モジュール100に、液晶パネル101の横長の各ラインの表示のためのライン画像データを順次に出力し、各ラインの画像データは、シリアルに送出する。すなわち、水平方向各ラインの各画素宛の画像データをライン上の画素順対応の順番でシリアルに出力する。
表示コントローラ200のCLK生成201,HS生成202およびVS生成203が、画素同期クロックCLK,水平同期信号HSおよび垂直同期信号VSを発生して液晶モジュール100の信号制御回路104に与えると共に、メモリ制御204が、所定のタイミングで、制御システムのCPU10と制御信号をやり取りして、制御システムの図示しない主記憶装置にある、液晶パネル101の表示フレーム宛の画像データ(パネル101の画面分)を、システムバス20を介して画像メモリ210に書込む。書込み後は、画像メモリ210から順次に、画像データを読み出して画像出力回路205に与える。画像出力回路205は、P/S(パラレル/シリアル)変換により読み出し画像データを1ライン上のシリアルデータに配列して、1ラインごとにシリアルに、信号制御回路104に出力する。このシリアル出力は、垂直同期信号VSを基点にして、水平同期信号に同期してライン単位で順次に行う。
液晶モジュール100の信号制御回路104は、垂直同期信号VSを基点にして最初の水平同期信号HSの到来をトリガーにして第1ラインの画像データの、データ線駆動回路102内のシリアル/パラレル変換レジスタへの、画素同期クロックCLKに同期したシリアル入力を開始し、1ライン分のシリアル入力を終えると該レジスタのデータを、1ライン分のデータラッチにパラレル出力してラッチする。そしてアドレス線駆動回路103によって第1駆動ラインのそれぞれに、画像データ(デジタル)をD/A変換によってアナログ電圧に変換した該アナログ電圧(駆動電圧)を印加して、液晶パネル101の第1アドレス線(第1ライン)の各画素駆動素子に、該駆動電圧をラッチする。次に水平同期信号HSが到来すると、同様に第2ラインの画像データのシリアル入力,1ライン分のデータラッチへのラッチおよびアドレス線駆動回路103によるアドレス線への駆動電圧のラッチを行うが、駆動電圧は第2アドレス線の各画素駆動素子にラッチする。この動作を順次最終のアドレス線まで実行する。最終のアドレス線まで実行した直後に、垂直同期信号VSが到来するので、そこで信号制御回路104は、駆動電圧をラッチするアドレス線の指定を第1ラインに戻す。
表示コントローラ200のメモリ制御204は、マイコンを主体にするもので、制御システムのCPU10と共同して画像メモリ210の、アドレスAaを始端とする第1領域と、アドレスAbを始端とする第2領域に、CPU10が指定する画像A,Bの画像データを書込み、CPU10から画像データの書換え指示がない間は、画像メモリ210の第1領域と第2領域の画像データを読出して、画像出力回路205に与える。これにより、液晶モジュール100には、例えば図2の(a)又は図2の(c)に示すように、2画像が左右に並べて表示される。
図3〜図5に、メモリ制御204のマイコンの、メモリ制御の概要を示す。まず図3を参照する。電源投入があって動作を開始して初期化(ステップ1)を完了すると、マイコンは、制御システムのCPU10に、パネル101に表示用の画像データの転送(画像メモリ210への格納)を要求し、CPU10が送り込んできた画像データ表示に関連付けられている、第1,第2領域の始端アドレスAs,Ab,第1,第2領域に格納する画像のライン長(画素数)An,Bn,液晶モジュール101のアドレス線数Ne,画像シフトする場合のシフト量Csh(図2に表記),アドレス(表示)シフト単位(刻み値)STnおよび1単位のアドレス(表示)シフトをする間のフレーム切換え数Fnをレジスタに格納し(ステップ2)、画像データ(A,B)を画像メモリ210に格納する(ステップ3)。そして、第1領域(A)の画像データと第2領域(B)の画像データの読み出しを開始する(ステップ4)。これにより、画像メモリ210の画像データがパネル101に表示される。
以下では、画像メモリ210の、アドレスAaを始端とする第1領域には画像A(の画像データ;以下同様)が、アドレスAbを始端すとする第2領域には画像Bが格納されているとする。これにより、パネル101には図2の(a)に示す画像が表示される。以下では、括弧内には、「ステップ」という語を省略して、ステップNo.記号のみを記す。
ここでの図2の(a)に示す画像表示は、デフォルトの右シフトした状態である。シフト方向レジスタSCDのデータは、右シフトした状態であることを表す「0」とする(5)。シフト指示パルスSCpが到来すると、シフト方向レジスタのデータSCDが「0」であると「1」(左シフト指示)に切換え(6,8,9)、「1」であったときには「0」(右シフト指示)に切り換える(6,8,26)。いずれの場合も、シフト処理で生成し参照する状態値Dc(垂直同期信号VSの到来数),シフト段数Ddおよびシフト目標値Sを格納する各レジスタDc,DdおよびSを初期化(データクリア)する。すなわち、各状態値Dc,DdおよびSを0とする(10,27)。
「1」(左シフト指示)に切換えた場合(6,8,9)は、右シフト状態(図2の(a))での左シフト指示であるので、図4に示す「左シフト」LSCを実行する。「0」(右シフト指示)に切換えた場合(6,8,25)は、左シフト状態(図2の(c))での右シフト指示であるので、図5に示す「右シフト」RSCを実行する。
まず、図4に示す「左シフト」LSCを説明する。垂直同期信号VSの到来をまって(11)、垂直同期信号VSが到来するとその到来数Dcをカウントアップして(12L)、Fnまでカウントアップするとシフト目標値Sを1ステップ大きい値に更新し(13L〜16L)、到来数Dcを0に初期化してまたVSのカウントアップを行う(12L〜24L,12L)。
その過程で、VSのカウント値DcがFnに達しない間は、表示1フレームの先頭第1ライン〜最終第Neラインのそれぞれの画像データを、画像メモリ210から読み出して画像出力回路205に与える(17L〜22L)。ステップ17L,22Lは、1フレーム上のラインNo.Nv指定であり、ステップ18L〜20Lが、画像メモリ210からの、表示1ライン分の画像データの読み出しであり、ステップ21Lが、1フレーム分の画像データの読み出し完了判定、である。
該表示1ライン分の画像データの読み出しでは、まず、第1領域(A)の指定ラインNvの第S+1画素から該ライン末尾までの画像データを画像出力回路205に出力し(18L)、つぎに、第2領域(B)の指定ラインNvの先頭画素から該ライン末尾までの画像データを画像出力回路205に出力する(19L)。そして、第1領域(A)の指定ラインNvの先頭画素から第S画素までの画像データを画像出力回路205に出力する(20L)。これにより、メモリ制御204から画像出力回路205には、表示1ライン分の画像データが、第1領域(A)の第S+1画素から該ライン末尾までの画像データ,第2領域(B)の先頭画素から該ライン末尾までの画像データ、そして、第1領域(A)の先頭画素から第S画素までの画像データ、の順番で与えられる。画像出力回路205はこの順番で1ライン分のシリアル画像データ出力を行う。
垂直同期信号VSの到来数DcがFnに達するたびに到来数Dcを初期化し(15L)かつSを1ステップ分増やし(14L,16L)、Sのこのインクレメントが継続している間は、パネル101の表示画像は、図2の(b)に示すように、画像Aが2分割されてその間に画像Bがあり、この画像の後尾に画像Aの始端部が連続する画像となって、Sのインクレメントにともなって、左側の画像Aが左方に押し出されてパネルの右端側に廻り込む循環する。すなわち円環シフトする。
Sがシフト指示値Cshに達すると、そこでSのインクレメントは停止して(23Lから25Lへ進み)、水平1ライン上の画像データ読み出し位置の切換え(17L〜23L−24L−17L)を繰り返す(25Lから17Lへの戻り;12L〜16Lの不実行)。このときパネル101の表示画像は、図2の(c)に示す、左シフトしたものとなっている。
ここでシフト指示パルスSCpが到来すると、シフト方向指示SCDを、右シフト指示を表す「0」に切り換えて(26)、状態値Dc,DdおよびSを0として(27)「右シフト」RSC(図5)を実行する。「右シフト」RSCでは、メモリ制御204のマイコンは、垂直同期信号VSの到来数カウント値DcがFnに達するたびに、目標値Sを1ステップ小さい値に更新するので(14R)、目標値Sは次第に低下し、パネル101の表示画像は図2の(c)に示す左シフトしたものから順次に右方向にシフトする。そして目標値Sが0になると(23R)、右シフトを停止する。このときパネル101の表示画像は、図2の(a)に示す、右シフトしたものとなっている。「右シフト」RSCのその他のステップの処理内容は、上述の「左シフト」LSCの同一数字のステップものと同じである。すなわち、「右シフト」RSCは、シフト目標値Sを順次デクレメントする点(14R)およびシフト目標値Sが0になるとSの変更を停止する点(23R)を除くと、「左シフト」LSCの内容と同じである。右シフトを完了した状態(S=0)で、シフト指示パルスSCpが到来すると(25R)、マイコンは、シフト方向指示データSCDを「1」に切り換えて(8,9)、「左シフト」LSCを実行する。
図6に、本発明の第2実施例の表示装置の、構成の概要を示す。第2実施例の表示ユニット(100,200)も、表示パネルである横長の液晶パネル101および表示回路を備える液晶モジュール100、および、表示コントローラ200、で構成されている。液晶パネル101は第1実施例と同じ構成および機能のものであるが、表示コントローラ200が、第1実施例とは異なる。第2実施例では、画像出力回路205aにシフト回路206を付加している。
第2実施例のメモリ制御204aは、第1領域(A)の1ラインの画像データをライン先頭から読み出すと続いて第2領域(B)の1ラインの画像データをライン先頭から読み出し、画像出力回路205aに出力する。画像出力回路205aは、読み出しデータをP/S変換によって、上記読み出し順の、表示1ライン分のシリアル画像データに変換する。画像出力回路205aに付加したシフト回路206が、該表示1ライン分のシリアル画像データの、第S+1画素から該ライン末尾までの画像データを最初に出力しそして続けて先頭画素から第S画素までの画像データを出力する。これにより、画像出力回路205aから液晶モジュール100には、表示1ライン分の画像データが、第1領域(A)の第S+1画素から該ライン末尾までの画像データ,第2領域(B)の先頭画素から該ライン末尾までの画像データ、そして、第1領域(A)の先頭画素から第S画素までの画像データ、の順番でシリアルに与えられる。
図7には、シフト回路206の構成を示し、図8には、シフト回路206の入出力信号のタイミングを示す。図7に示すシフト回路206には、タイミング回路(201〜203)が発生する画素同期信号CLKおよび水平同期信号SHが与えられ、また、メモリ制御204aから、目標値S,画像データおよびタイミング値Lm,S+Lm,An+Bn+LMが与えられる。
なお、画像シフト中の図8に示す画像データDsの出力により、液晶パネル101の表示は、例えば図2の(b)に示すものとなる。この場合、表示画像が目標値S分左にシフトさせるので、液晶モジュール100に与える水平同期信号は、HSからS分遅れたHS2としなければならない。図7に示すフリップフロップ(以下ではFFと表記)31,カウンタ32およびパルス生成33が、遅延した水平同期信号HS2を発生して、HSに代えて液晶モジュール100の信号制御回路104に出力する。HS生成202が発生する水平同期信号HSの立上り(低レベルLから高レベルHへの変化)に応答してFF31がセット状態になってQ出力がLからHに反転し、これによりカウンタ32が画素同期信号CLKをカウントして、目標値S分カウントするとカウントオーバ信号を発生し、これに応答してパルス生成33が、設定幅WpのパルスHS2を発生する。これが目標値S分遅延した水平同期信号である。
メモリ制御204aが画像メモリ210から読み出し、画像出力回路205aが表示1ライン長分にシリアル配列した画像データが、表示ライン単位で、ラインバッファ34およびアンドゲート(以下ではANDと表記)37にシリアル入力される。ラインバッファ34はFIFOメモリであり、AND35が入力する画素同期信号CLKに同期して、シリアル入力順に画像データを取り込み、AND36が入力する画素同期信号CLKに同期して、最初に入力された画像データから、シリアルに、オアゲート(以下ではORと表記)38に出力する。
水平同期信号HSが到来すると、カウンタ32,39,41および43が画素同期信号CLKのカウントを開始し、HSから目標値S分の遅延後に、遅延した水平同期信号HS2をパルス生成33が発生する。HSが到来してからがLm個のCLKをカウントするとカウンタ39がカウントオーバ信号を発生してFF40をセットし、これによりFF40のQ出力がLからHに転換し、これによりAND35がゲートオンになって、CLKをラインバッファ34に与える。ラインバッファ34は、このCLKに同期して、シリアル入力の画像データを取り込む(読み込む)。この読み込み画像データを、図8には右下がりの斜線で示す。
HSが到来してからがS+Lm個のCLKをカウントするとカウンタ41がカウントオーバ信号を発生してFF40をリセットするとともに、FF42をセットする。FF40のリセットによりFF40のQ出力がHからLに戻り、これによりAND35がゲートオフになってCLKを遮断し、これによりラインバッファ34はシリアル入力の画像データの取り込みを停止する。一方、FF42のセットによりFF42のQ出力がLからHに転換し、AND37がゲートオンになり、シリアル入力の画像データが、AND37およびOR38を通して出力される。
HSが到来してからAn+Bn+LmのCLKをカウントするとカウンタ43がカウントオーバ信号を発生してFF44をセットする。AnおよびBnはそれぞれ画像AおよびBの1ライン長(画素数)であり、カウンタ43の該カウントオーバは、表示1ライン分のシリアル画像データの到来(入力)が終了したことを表す。このときのFF44のQ出力のLからHへの転換により、AND36がゲートオンし、これによりCLKが読み出し同期信号としてラインバッファ34に入力され、このCLKに同期してラインバッファ34が、読み込んでいる画像データを最初のものから順番に、OR38に出力する。
これによりシフト回路206から出力され、画像出力回路205aから液晶ディスプレイ100に出力される画像データDsは、図8の下から第2欄目に示すように、第1領域の画像Aのライン先頭から第S画素までの画像データの出力は保留して、第S+1画素を先頭にして出力し、画像Aのライン尾端画素の次に第2領域の画像Bの1ラインを連続にして、画像Bの該1ラインの尾端画素に、先に保留した第1領域の画像Aのライン先頭から第S画素までの画像データを連続にした、表示1ラインのシリアル出力となる。メモリ制御204aが与える目標値Sが増大すると表示画像は左にシフトし、減少すると右にシフトする。
図9〜図11に、第2実施例のメモリ制御204aのマイコンの、メモリ制御の概要を示す。第2実施例では、シフト回路206に与えるタイミング値Lmが必要であるので、図9に示すステップ2の参照情報読み込みでは、Lmも読み込んでレジスタに設定する。そして、シフト回路206への出力レジスタに、S=0,Lm,S+Lm,An+Bn+Lmを設定して、シフト回路206に出力する。ステップ3〜11の処理は、第1実施例と同様である。しかも、図10に示す左シフトLSCaおよび図11に示す右シフトRSCaにおける目標値Sの算出および更新も、第1実施例と同様であるが、第2実施例のメモリ制御204aのマイコンは、目標値Sを更新するたびに、シフト回路206への出力レジスタの、SおよびS+Lmを更新して、シフト回路206に出力する。
また、第2実施例では、表示画像シフト処理をシフト回路206が分担するので、メモリ制御204aのマイコンは、表示1ライン分の画像データの読み出しでは、まず、第1領域(A)の指定ラインNvの先頭画素から該ライン末尾までの画像データを画像出力回路205aに出力し(18La,18Ra)、つぎに、第2領域(B)の指定ラインNvの先頭画素から該ライン末尾までの画像データを画像出力回路205aに出力する(19La,19Ra)。第2実施例のメモリ制御204aのマイコンのその他の処理は、第1実施例の処理(図3〜図5)と同様である。
本発明の第1実施例の、構成の概要を示すブロック図である。
図1に示す表示パネル101の表示例を示す平面図であり、(a)は右シフトした表示を、(b)は左シフト中の表示を、(c)は左シフトした表示を示す。
図1に示すメモリ制御204のマイコンの、メモリ制御の内容の一部を示すフローチャートである。
図1に示すメモリ制御204のマイコンの、メモリ制御の内容の他の一部を示すフローチャートである。
図1に示すメモリ制御204のマイコンの、メモリ制御の内容の残部を示すフローチャートである。
本発明の第2実施例の、構成の概要を示すブロック図である。
図6に示す画像出力回路205aに付加したシフト回路206の構成を示すブロック図である。
図6に示すメモリ制御204aのマイコンの、メモリ制御の内容の一部を示すフローチャートである。
図6に示すメモリ制御204aのマイコンの、メモリ制御の内容の他の一部を示すフローチャートである。
図6に示すメモリ制御204aのマイコンの、メモリ制御の内容の残部を示すフローチャートである。
図7に示すシフト回路206の入出力信号のタイミングを示すタイムチャートであり、横軸は時間軸である。
符号の説明
101:液晶パネル
CLK:画素同期信号
HS:水平同期信号
VS:垂直同期信号