JP2009108996A - プラネタリギヤ装置ならびに車両用トランスアクスル - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のピニオンギヤ53をそれぞれピニオンシャフト54を介してキャリヤ55に支持させたプラネタリギヤ装置50において、過大なトルクが入力されても、ピニオンシャフト54が傾くことを抑制または防止可能として、各ギヤの歯当たり状態を良好に保てるようにする。
【解決手段】キャリヤ55は、各ピニオンシャフト54の一端側を支持する第1支持部56と、各ピニオンシャフト54の他端側を支持する第2支持部57と、第1支持部56と第2支持部57とを連結する連結部58とを含んだ構成とされる。ピニオンシャフト54において前記いずれか一方の支持部に支持される片方の端部が小径軸部54bとされたうえで、当該ピニオンシャフト54の胴部54aに、当該胴部54aと小径軸部54bの段壁面54cから胴部54a内へ向けて凹む凹部54dが設けられている。
【選択図】図2
【解決手段】キャリヤ55は、各ピニオンシャフト54の一端側を支持する第1支持部56と、各ピニオンシャフト54の他端側を支持する第2支持部57と、第1支持部56と第2支持部57とを連結する連結部58とを含んだ構成とされる。ピニオンシャフト54において前記いずれか一方の支持部に支持される片方の端部が小径軸部54bとされたうえで、当該ピニオンシャフト54の胴部54aに、当該胴部54aと小径軸部54bの段壁面54cから胴部54a内へ向けて凹む凹部54dが設けられている。
【選択図】図2
Description
本発明は、複数のピニオンギヤをそれぞれピニオンシャフトを介してキャリヤに支持させたプラネタリギヤ装置に関する。また、本発明は、自動車等の車両に搭載されるトランスアクスルに関する。
なお、プラネタリギヤ装置は、例えば車両に搭載されるトランスアクスルや、トランスミッション、ならびにトランスファ等に用いられているが、その他にも、工作機械や各種機器に用いられている。
従来から、自動車等の車両に搭載されるトランスアクスル、トランスミッション、ならびにトランスファ等には、プラネタリギヤ装置が特定の機能を果たす部品として使用されている。
このプラネタリギヤ装置は、一般的に、リングギヤと、サンギヤと、複数のピニオンギヤと、ピニオンギヤと同数のピニオンシャフトと、キャリヤとを含んだ構成になっている(例えば特許文献1参照。)。
そして、リングギヤの内径側には、サンギヤが同心状に挿通されている。これらリングギヤとサンギヤとの対向環状空間には、ピニオンギヤがそれぞれ円周等間隔に配置されており、このピニオンギヤがリングギヤとサンギヤとにそれぞれ噛合されている。
各ピニオンギヤの中心孔には、ピニオンシャフトが軸受を介して回転可能に挿通されている。複数のピニオンシャフトの軸方向両端は、キャリヤに支持されている。
このキャリヤは、各ピニオンシャフトの軸方向一端側を支持する第1支持部と、各ピニオンシャフトの軸方向他端側を支持する第2支持部と、これら両支持部を連結する連結部とを含んだ構成とされている。
例えば各連結部は、第1支持部と一体的に形成されていて、その外周縁から軸方向に延出されるようになっており、その延出端が第2支持部に結合されるようになっている。
このように、連結部が第1支持部に一体に形成されているので、第1支持部と連結部とがキャリヤ本体と呼ばれ、また、第2支持部がフランジまたはキャリヤカバーと呼ばれることがある。
第1支持部および第2支持部は、軸方向に離隔して対向配置される二枚のリング状プレートとされている。また、連結部は、第1、第2支持部とされる各リング状プレートの外径側の円周数ヶ所に、当該両リング状プレート間に架け渡されるブリッジ状プレートとされている。
このようなリング状プレートからなる第1、第2支持部において対応する円周数ヶ所には、軸方向に貫通する貫通孔が設けられている。
この第1支持部の貫通孔には、各ピニオンシャフトの一端側が、また、第2支持部の貫通孔には、各ピニオンシャフトの他端側がそれぞれ嵌入装着されている。この各ピニオンシャフトは、その両端面がキャリヤに対して加締められることによって、軸方向の位置決めと回り止めとが行われている。
また、円周方向に隣り合って設けられるブリッジ状プレートからなる連結部それぞれの間は、径方向内外に開放されており、この開放部分からピニオンギヤの一部が外径側に張り出すようになっている。
特開2001−200897号公報
上記特許文献1中に記載している従来例の項目には、要するに、「従来例のキャリヤは、その連結部が単純な板形状であって、断面係数が小さく剛性が低くなっているために、例えばサンギヤから動力を入力させてキャリヤから動力を出力させる場合に、前記キャリヤの連結部がねじり、せん断、曲げ等の変形を起こしやすくなる」と記載されている。
このように、動力伝達時に前記連結部が変形すると、キャリヤの第1支持部と第2支持部とが回転方向にずれるために、例えばピニオンシャフトが、その一方の端部側が他方の端部側よりも回転方向に進む形で傾くことがある。
そのような場合には、ピニオンシャフトに支持されるピニオンギヤと、それに噛合されるサンギヤおよびリングギヤとの歯当たり状態が悪くなるために、それらの噛み合いに起因する騒音が増加したり、各ギヤの耐久性が低下したり、することになる。
また、上記特許文献1の従来例の項目には、「連結部をプレスにて曲げ成形するような場合に、例えば連結部の付け根側の第1支持部に前記曲げ変形による周囲への影響を逃がすための切欠を設けることがあるが、そのような場合には、前記切欠部分でキャリヤの強度が低下することが懸念される」という記載もある。
このようなことから、上記特許文献1では、前記キャリヤの連結部について複数の屈曲部分を設けることによって、当該連結部の剛性を高めるようにしている。しかしながら、その場合、連結部を複雑に屈曲した形状にしているために、その製造が困難となって、製造コストが高くつくことが懸念される。ここに改良の余地がある。
ところで、この他、例えば特表2005−530968号公報には、プラネタリギヤ装置において、遊星歯車(ピニオンギヤ)とピニオンシャフトとキャリヤとをアセンブリ構造とすることにより、前記遊星歯車を斜行させないようにすることが開示されている。なお、この特許文献ではピニオンシャフトの軸方向両端部分が小径になっているが、そのことに特別な目的意識は存在していない。つまり、この特許文献は単に参考例として提示しただけで、本発明の先行技術には値しないものである。
本発明は、複数のピニオンギヤをそれぞれピニオンシャフトを介してキャリヤに支持させたプラネタリギヤ装置において、過大なトルクが入力されても、ピニオンシャフトが傾くことを抑制または防止可能として、各ギヤの歯当たり状態を良好に保てるようにすることを目的としている。
本発明は、複数のピニオンギヤをそれぞれピニオンシャフトを介してキャリヤに支持させたプラネタリギヤ装置であって、前記キャリヤが、前記各ピニオンシャフトの一端側を支持する第1支持部と、前記各ピニオンシャフトの他端側を支持する第2支持部と、これら両支持部を連結する連結部とを含んだ構成とされ、前記ピニオンシャフトにおいて前記いずれか一方の支持部に支持される片方の端部が小径軸部とされ、当該ピニオンシャフトの胴部に、当該胴部と前記小径軸部との段壁面から前記胴部内へ向けて凹む凹部が設けられている、ことを特徴としている。
この構成では、従来例のようにキャリヤの連結部の形状を複雑化して剛性を高める対策とは異なり、要するに、ピニオンシャフトにおける片方の端部側の剛性を意図的に低下させるようにしている。
ところで、例えば過大なトルクの入力に伴いキャリヤの連結部が捩れたり撓んだりと弾性変形することによって、キャリヤの第1支持部と第2支持部とが回転方向にずれることがあると、ピニオンシャフトが、その一方の端部側(剛性低下させた側)が他方の端部側よりも回転方向に進む形で傾こうとする。
しかしながら、そのときに、当該ピニオンシャフトにおいて剛性低下させた側の端部が弾性変形されることになるために、前述したキャリヤの第1支持部と第2支持部との回転方向のずれが吸収されることになる。そのため、結局、ピニオンシャフトが傾かずに、プラネタリギヤ装置の中心軸線に対し略平行な姿勢に保たれるようになる。
このように、ピニオンシャフトの傾きを抑制または防止することが可能になるから、ピニオンシャフトに支持されるピニオンギヤと、それに噛み合うサンギヤおよびリングギヤとの歯当たり状態が良好に保たれることになり、結果的に、前記各ギヤの噛合部からの騒音の発生や各ギヤの耐久性の低下を抑制または防止することが可能になる。
好ましくは、前記キャリヤの第1支持部および第2支持部は、軸方向に離隔して対向配置される二枚のリング状プレートとされ、前記キャリヤの連結部は、前記二枚のリング状プレートの円周数ヶ所において当該両リング状プレートに架け渡されるブリッジ状プレートとされる。このように、キャリヤの構成を特定することができる。
好ましくは、前記凹部は、前記小径軸部の周りに連続する環状溝とされ、この環状溝の内径側周面が、前記小径軸部の外周面と面一になるように連続的に設けられる。
この場合、ピニオンシャフトを製造する際に、例えば小径軸部と凹部とを例えば連続した切削加工によって形成することが可能になる等、作業工程を減らせる等、低コストに製造することが可能になる。
また、本発明は、入力されるエンジン動力と内部に配備されるモータ動力との少なくともいずれか一方を、必要に応じて下流側へ伝達する動力分割機構を有するとともに、前記モータ動力を変速するリダクション機構を有する車両用トランスアクスルであって、前記リダクション機構や動力分割機構の少なくともいずれか一方が、請求項1から3のいずれか一つに記載のプラネタリギヤ装置とされる、ことを特徴としている。
この構成では、プラネタリギヤ装置の利用対象を、ハイブリッド車両用トランスアクスルのリダクション機構や動力分割機構に特定している。
このようなリダクション機構や動力分割機構をプラネタリギヤ装置とする場合、一般的に、入力されるトルクが大きくなる程、キャリヤの連結部分が捩れたり撓んだりする等、弾性変形しやすくなる。
そのため、前記本発明特徴を備えない場合であれば、前記連結部分が弾性変形してピニオンシャフトが傾きやすくなるが、前記本発明特徴を備える場合には、前記連結部分が弾性変形した場合でも、ピニオンシャフトの傾きを抑制または防止することが可能になる。これにより、リダクション機構や動力分割機構の静粛性、ならびに寿命の向上に貢献できるようになる。
本発明に係るプラネタリギヤ装置は、過大なトルクが入力されても、ピニオンシャフトが傾くことを抑制または防止可能としているから、各ギヤの歯当たり状態を良好に保つことが可能になり、騒音の低減、ならびに各ギヤの耐久性の低下を抑制または防止することが可能になる。その結果、静粛性ならびに寿命の向上に貢献できるようになる。
また、本発明に係る車両用トランスアクスルは、前記プラネタリギヤ装置をリダクション機構や動力分割機構として利用しているから、リダクション機構や動力分割機構の静粛性ならびに寿命の向上に貢献できる。
以下、本発明の最良の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1から図6に本発明の一実施形態を示している。
本発明に係るプラネタリギヤ装置の特徴部分の説明に先立ち、当該プラネタリギヤ装置の概略構成を、図1から図3に示して説明する。
図1は、本発明に係るプラネタリギヤ装置の一実施形態の概略構成を示すスケルトン図、図2は、プラネタリギヤ装置の詳細な断面構造を示す図、図3は、図2の(3)−(3)線断面の矢視図である。
図中、50はプラネタリギヤ装置の全体を示している。このプラネタリギヤ装置50は、主として、リングギヤ51と、サンギヤ52と、複数のピニオンギヤ(プラネタリギヤとも言う)53と、ピニオンギヤ53と同数のピニオンシャフト54と、キャリヤ55とを含んだ構成になっている(例えば特許文献1参照。)。
リングギヤ51は、その内周面にヘリカル状の歯が設けられたヘリカルギヤとされている。サンギヤ52は、その外周面にヘリカル状の歯が設けられたヘリカルギヤとされている。複数のピニオンギヤ53は、その外周面にヘリカル状の歯が設けられたヘリカルギヤとされている。
そして、リングギヤ51の内径側には、サンギヤ52が同心状に挿通されている。これらリングギヤ51とサンギヤ52との対向環状空間には、ピニオンギヤ53がそれぞれ円周等間隔に配置されており、このピニオンギヤ53がリングギヤ51とサンギヤ52とにそれぞれ噛合されている。
各ピニオンギヤ53の中心孔には、ピニオンシャフト54が軸受(符号省略)を介して回転可能に挿通されている。
前記軸受は、転がり軸受またはすべり軸受とされるが、例えばいわゆるケージアンドローラと呼ばれるものとされている。このケージアンドローラは、複数の針状ころと保持器とで構成されており、ピニオンギヤ53を外輪とし、ピニオンシャフト54を内輪とするものである。
複数のピニオンシャフト54の軸方向両端は、キャリヤ55に支持されている。
このキャリヤ55は、各ピニオンシャフト54の軸方向一端側を支持する第1支持部56と、各ピニオンシャフト54の軸方向他端側を支持する第2支持部57と、これら両支持部56,57を連結する連結部58とを含んだ構成とされている。
この実施形態では、図4および図5に示すように、各連結部58が第1支持部56側に一体的に形成されていて、その外周縁から軸方向に延出されるようになっており、このように延出形成される各連結部58の自由端側は、それぞれ円周方向に連結されている。この各連結部58の自由端側が、第2支持部57に溶接またはボルト留め等の方法で結合されるようになっている。
このように連結部58が第1支持部56に一体に形成されているので、第1支持部56と連結部58とがキャリヤ本体と呼ばれ、また、第2支持部57がフランジまたはキャリヤカバーと呼ばれることがある。
詳しくは、第1支持部56および第2支持部57は、軸方向に離隔して対向配置される二枚のリング状プレートとされている。また、連結部58は、第1、第2支持部56,57とされる各リング状プレートの外径側の円周数ヶ所に、当該両リング状プレート間に架け渡されるブリッジ状プレートとされている。
なお、この実施形態では。ブリッジ状プレートからなる各連結部58の自由端側がそれぞれ円周方向に連接されている。
このようなリング状プレートからなる第1、第2支持部56,57において対応する円周数ヶ所には、軸方向に貫通する貫通孔56a,57aが設けられている。
この第1支持部56の貫通孔56aには、各ピニオンシャフト54の軸方向一端側が、また、第2支持部57の貫通孔57aには、各ピニオンシャフト54の軸方向他端側がそれぞれ嵌入装着されている。この各ピニオンシャフト54は、その両端面がキャリヤ55に対して加締められることによって、軸方向の位置決めと回り止めとが行われている。
また、円周方向に隣り合って設けられるブリッジ状プレートからなる連結部58それぞれの間は、径方向内外に開放されており、この開放部分からピニオンギヤ53の一部が外径側に張り出すようになっている。
このようなプラネタリギヤ装置50は、いろいろな設置形態で使用することが可能であるが、その一例を説明する。
例えばサンギヤ52を入力とし、リングギヤ51から出力を取り出す場合、あるいはその逆の関係とする場合には、リングギヤ51を非回転のケース(図示省略)に転がり軸受(図示省略)を介して回転可能に支持させて、サンギヤ52の中心孔に入力用あるいは出力用の回転軸61をスプライン嵌合し、キャリヤ55の第1支持部56の外周数箇所に設けた凸部56bを前記非回転のケースに凹凸嵌合させることによって非回転に取り付け、キャリヤ55の第1、第2支持部56,57の中心孔をサンギヤ52およびサンギヤ52にスプライン嵌合される回転軸61に対して非接触とする(図2参照)。
この他、図示していないが、例えばリングギヤ51を前記非回転のケースなどに摩擦係合式ブレーキを介して取り付けるとともに、キャリヤ55を前記非回転のケースに転がり軸受を介して相対回転可能に取り付けることでピニオンギヤ53の公転動作に連動して回転可能な形態とすることも可能である。
その場合、前記ブレーキを係合させると、リングギヤ51が前記非回転のケースに非回転に結合されることになり、また、前記ブレーキを係合解除させると、リングギヤ51が前記非回転のケースに対して相対回転可能となる。
次に、上述した構成のプラネタリギヤ装置50において本発明の特徴を適用した部分を、図2から図6を参照して詳細に説明する。
要するに、キャリヤ55の連結部58の形状を従来例のように複雑化して剛性を高める対策とは異なり、ピニオンシャフト54において第1支持部56側の端部の剛性を意図的に低下させることにより、仮に、過大なトルクが入力されることに伴いキャリヤ55の連結部58が弾性変形して第1支持部56と第2支持部57とが回転方向にずれた場合に、ピニオンシャフト54において剛性低下させた端部を弾性変形させることで前記回転方向のずれを吸収させるようにし、ピニオンシャフト54の姿勢をプラネタリギヤ装置50の中心軸線と略平行に保たせるようにしている。
このピニオンシャフト54において第1支持部56側の端部の剛性は、キャリヤ55の連結部58の剛性を考慮した実験等によって、適宜に設定するのが好ましい。
具体的に、ピニオンシャフト54において第1支持部56側の端部の剛性を低下させるための構成について説明する。
まず、各ピニオンシャフト54においてキャリヤ55の第1支持部56側に支持される側の端部を、小径軸部54bとする。
そして、各ピニオンシャフト54の胴部54aに、当該胴部54aと小径軸部54bとの段壁面54cから胴部54a内へ向けて凹む凹部54dを設ける。
この凹部54dは、小径軸部54bの周りに連続する環状溝とされ、この環状溝の内径側周面が、小径軸部54bの外周面と面一になるように連続的に設けられている。このような環状溝からなる凹部54dを設けることによって、ピニオンシャフト54において第1支持部56側の端部が、円筒形状になっている。
このように、ピニオンシャフト54において第1支持部56側の端部に、環状溝からなる凹部54dを設けている場合、この凹部54dの軸方向に沿う深さ寸法および径方向に沿う幅寸法を、それぞれ大きくする程、剛性が低下することになる。したがって、この凹部54dの軸方向に沿う深さ寸法および径方向に沿う幅寸法を、必要に応じて調整することによって、必要な剛性を確保することが可能になる。
ところで、各ピニオンシャフト54には、ケージアンドローラに対して潤滑油を供給するための油通路59が設けられている。この油通路59は、ピニオンシャフト54の小径軸部54bの端面と各ピニオンシャフト54の外周面においてケージアンドローラの軌道面領域とにそれぞれ開放するように設けられている。この油通路59は、軸方向に沿う孔と径方向に沿う孔とを連通連結させることによって構成されている。
このような油通路59をピニオンシャフト54に設けている場合には、この油通路59の存在によるピニオンシャフト54の剛性低下分も考慮して、前記凹部54dを形成するのが好ましい。
また、ピニオンシャフト54は、一般的に、適宜の金属材料、例えば軸受鋼等で形成されて、その胴部54aの外周面において少なくともケージアンドローラの軌道面とされる領域には、適宜の硬化処理(焼入れ、浸炭焼入れ、焼入れ後の焼き戻し等)が施されて十分な耐摩耗性が確保されるようになっている。
このピニオンシャフト54の小径軸部54bや、ピニオンシャフト54における第2支持部57側の端部には、前記硬化処理を施さないようにしている。というのは、その部分の端面には、上述したようにキャリヤ55に対する位置決めおよび回り止めのために加締め加工が施されるので、当該部分を硬化すると加締め加工を行えなくなるからである。
次に、上述したように、ピニオンシャフト54においてキャリヤ55の第1支持部56側の剛性を意図的に低下させるようにしていると、次のような作用、効果が得られるので、説明する。
例えばプラネタリギヤ装置50に過大なトルクが入力したときに、キャリヤ55の第2支持部57側が捩れたり撓んだりする等、弾性変形しやすくなり、このような弾性変形が発生すると、キャリヤ55の第1支持部56と第2支持部57とが回転方向にずれることがある。
仮に、第1支持部56側(剛性低下させた側)が第2支持部57側よりも回転方向に進むようにずれた場合には、ピニオンシャフト54が、その第1支持部56側(剛性低下させた側)が第2支持部57側よりも回転方向に進む形で傾こうとする。
しかしながら、そのとき、ピニオンシャフト54において剛性低下させた第1支持部56側の回転方向上流側が弾性変形されることになるために、前述したキャリヤ55の第1支持部56と第2支持部57との回転方向のずれが吸収されることになる。
そのため、結局、ピニオンシャフト54が傾かずに、プラネタリギヤ装置50の中心軸線に対し略平行な姿勢に保たれるようになる。
このように、ピニオンシャフト54の傾きを抑制または防止することが可能になるから、このピニオンシャフト54に支持されるピニオンギヤ53と、それに噛み合うサンギヤ52およびリングギヤ51との歯当たり状態が良好に保たれることになり、結果的に、前記各ギヤ51,52,53の噛合部からの騒音の発生や、各ギヤ51,52,53の耐久性の低下を抑制または防止することが可能になる。
以上説明したように、本発明を適用したプラネタリギヤ装置50では、キャリヤ55の連結部58の形状を従来例のように複雑化することなく、ピニオンシャフト54に比較的簡単な対策を施すことによって、各ギヤ51,52,53の噛合状態を良好に保つようにしており、静粛性ならびに寿命の向上を達成するうえで有利となる。
ところで、上述したプラネタリギヤ装置50の利用対象の一例を、図7から図9に示して説明する。
図7には、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)方式のハイブリッド車両用のトランスアクスルを例示している。図7において、1は内燃機関、2は車輪、3はトランスアクスルである。
内燃機関1の運転に伴い出力軸であるクランクシャフト1aを回転駆動し、トランスアクスル3を介して車輪2を前進駆動または後進駆動させるようになっている。
トランスアクスル3は、いわゆる2モータ式と呼ばれるものであり、図7から図9に示すように、主に発電機として機能する第1モータジェネレータ5と、主に電動機として機能する第2モータジェネレータ6と、動力分割機構7と、リダクション機構8と、デファレンシャル9とを含む構成である。
各構成要素(5〜9)の基本構成やトランスアクスル3の動作は公知であるので、ここでの詳細な説明を割愛して簡単に説明する。
第1、第2のモータジェネレータ5,6は、ロータ(符号省略)と、ロータに対し非接触で対向する状態でトランスアクスル3のケースに固定されるステータ(符号省略)とにより構成されている。つまり、ロータは、永久磁石等で構成され、また、ステータは、鉄心に回転磁界を形成する三相コイルを巻回した構成であり、前記三相コイルに接続されるインバータ(図示省略)を制御装置4で制御することにより二つのモータジェネレータ5,6を発電機あるいは電動機として機能させるようになっている。
動力分割機構7は、内燃機関1および第2モータジェネレータ6の少なくとも一方から出力される動力を、カウンタードライブギヤ12、カウンタードリブンギヤ13およびファイナルギヤ14を介してデファレンシャル9に伝達するもので、例えばシングルピニオンタイプのプラネタリギヤ装置を主体とする構成になっている。
リダクション機構8は、内燃機関1および第2モータジェネレータ6の少なくとも一方から出力される動力を適宜の減速比で減速して、カウンタードライブギヤ12、カウンタードリブンギヤ13およびファイナルギヤ14を介してデファレンシャル9に伝達するもので、例えばシングルピニオンタイプのプラネタリギヤ装置を主体とする構成になっている。
デファレンシャル9は、ツーピニオンタイプであり、ファイナルギヤ14から入力される動力を必要に応じて左右の車輪2,2に分配して伝達するものである。
このような構成のトランスアクスル3に備える動力分割機構7やリダクション機構8を構成するプラネタリギヤ装置を、図1から図6に示した構成とすることができる。
例えば、図8および図9では、動力分割機構7やリダクション機構8を構成するプラネタリギヤ装置の各構成要素に、図1から図6で使用した符号をそのまま記載している。なお、動力分割機構7やリダクション機構8は、図8に示すように、一つに連結された単一のリングギヤ51を用いている。
このような場合、動力分割機構7やリダクション機構8を構成するプラネタリギヤ装置のギヤ相互の歯当たり状態が良好となるので、当該各ギヤの噛合部からの騒音の発生ならびに各ギヤの耐久性の低下を抑制または防止することが可能になる。このことに伴い、プラネタリギヤ装置からなる動力分割機構7やリダクション機構8についての静粛性、ならびに寿命の向上に貢献できるようになる
なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
(1)本発明に係るプラネタリギヤ装置50においてピニオンギヤ53の使用数は、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定される。
(2)上記実施形態で説明したキャリヤ55については、図4および図5に例示したものと機能的に同様であれば、その形状や構成を適宜変更することが可能である。
(3)上記実施形態では、ピニオンシャフト54における第1支持部56側の端部に小径軸部54bおよび凹部54dを設けた例を挙げているが、例えばピニオンシャフト54における第2支持部57側の端部に小径軸部54bおよび凹部54dを設けるようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、凹部54dの内径側周面を小径軸部54bの外周面と面一になるように連続的に形成した例を挙げているが、凹部54dの内径側周面と小径軸部54bの外周面とを異径にして段差がつくような構造にしてもよい。
(5)本発明に係るプラネタリギヤ装置50の使用対象は、上述したように自動変速機の構成部品だけに限定されるものではなく、工作機械や各種機器等の動力伝達経路に用いられるいろいろな装置として具体化することができる。
3 トランスアクスル
5 第1モータジェネレータ
6 第2モータジェネレータ
7 動力分割機構
8 リダクション機構
50 プラネタリギヤ装置
51 リングギヤ
52 サンギヤ
53 ピニオンギヤ
54 ピニオンシャフト
54a ピニオンシャフトの胴部
54b ピニオンシャフトの小径軸部
54c ピニオンシャフトの段壁面
54d ピニオンシャフトの凹部
55 キャリヤ
56 キャリヤの第1支持部
57 キャリヤの第2支持部
58 キャリヤの連結部
5 第1モータジェネレータ
6 第2モータジェネレータ
7 動力分割機構
8 リダクション機構
50 プラネタリギヤ装置
51 リングギヤ
52 サンギヤ
53 ピニオンギヤ
54 ピニオンシャフト
54a ピニオンシャフトの胴部
54b ピニオンシャフトの小径軸部
54c ピニオンシャフトの段壁面
54d ピニオンシャフトの凹部
55 キャリヤ
56 キャリヤの第1支持部
57 キャリヤの第2支持部
58 キャリヤの連結部
Claims (4)
- 複数のピニオンギヤをそれぞれピニオンシャフトを介してキャリヤに支持させたプラネタリギヤ装置であって、
前記キャリヤが、前記各ピニオンシャフトの一端側を支持する第1支持部と、前記各ピニオンシャフトの他端側を支持する第2支持部と、これら両支持部を連結する連結部とを含んだ構成とされ、
前記ピニオンシャフトにおいて前記いずれか一方の支持部に支持される片方の端部が小径軸部とされ、当該ピニオンシャフトの胴部に、当該胴部と前記小径軸部との段壁面から前記胴部内へ向けて凹む凹部が設けられている、ことを特徴とするプラネタリギヤ装置。 - 請求項1に記載のプラネタリギヤ装置において、
前記キャリヤの第1支持部および第2支持部は、軸方向に離隔して対向配置される二枚のリング状プレートとされ、前記キャリヤの連結部は、前記二枚のリング状プレートの円周数ヶ所において当該両リング状プレートに架け渡されるブリッジ状プレートとされる、ことを特徴とするプラネタリギヤ装置。 - 請求項1または2に記載のプラネタリギヤ装置において、
前記凹部は、前記小径軸部の周りに連続する環状溝とされ、この環状溝の内径側周面が、前記小径軸部の外周面と面一になるように連続的に設けられる、ことを特徴とするプラネタリギヤ装置。 - 入力されるエンジン動力と内部に配備されるモータ動力との少なくともいずれか一方を、必要に応じて下流側へ伝達する動力分割機構を有するとともに、前記モータ動力を変速するリダクション機構を有する車両用トランスアクスルであって、
前記リダクション機構や動力分割機構の少なくともいずれか一方が、請求項1から3のいずれか一つに記載のプラネタリギヤ装置とされる、ことを特徴とする車両用トランスアクスル。
Priority Applications (1)
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JP2007285043A JP2009108996A (ja) | 2007-11-01 | 2007-11-01 | プラネタリギヤ装置ならびに車両用トランスアクスル |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007285043A JP2009108996A (ja) | 2007-11-01 | 2007-11-01 | プラネタリギヤ装置ならびに車両用トランスアクスル |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012086036A1 (ja) * | 2010-12-22 | 2012-06-28 | トヨタ自動車株式会社 | 車両用動力伝達装置 |
CN111433492A (zh) * | 2017-12-07 | 2020-07-17 | 赛峰传输系统 | 行星齿轮系 |
US11441643B2 (en) * | 2017-04-20 | 2022-09-13 | Zf Friedrichshafen Ag | Transmission assembly comprising axial tilt segments |
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2007
- 2007-11-01 JP JP2007285043A patent/JP2009108996A/ja active Pending
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