JP2009199996A - フラットディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】パネル面への衝撃荷重による破損を有効に防止してパネルの薄型化を図ることが出来るフラットディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】PDPの前面ガラス基板1の内面側に誘電体層2が形成され、前面ガラス基板1の熱膨張率と誘電体層2の熱膨張率の差(Y)が、前面ガラス基板1の厚さ(X)毎に
Y≧−7.5X+33.7
X(単位:mm):前面ガラス基板の厚さ
Y(単位:×10-7/℃):熱膨張率の差((前面ガラス基板の熱膨張率)
−(誘電体層の熱膨張率))
の式を満たす値に設定されている。
【選択図】図8
【解決手段】PDPの前面ガラス基板1の内面側に誘電体層2が形成され、前面ガラス基板1の熱膨張率と誘電体層2の熱膨張率の差(Y)が、前面ガラス基板1の厚さ(X)毎に
Y≧−7.5X+33.7
X(単位:mm):前面ガラス基板の厚さ
Y(単位:×10-7/℃):熱膨張率の差((前面ガラス基板の熱膨張率)
−(誘電体層の熱膨張率))
の式を満たす値に設定されている。
【選択図】図8
Description
この発明は、フラットディスプレイパネルの構成に関する。
一般に、フラットディスプレイパネルの一つであるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)は、前面ガラス基板の内面側に行電極対とこの行電極対を被覆する誘電体層等の構造物が形成され、背面ガラス基板の内面側に放電セルを区画する隔壁や各放電セル毎に色分けされて形成された蛍光体層等の構造物が形成されて、この前面ガラス基板と背面ガラス基板が、それぞれの構造物が形成されている側を対向させて放電空間を介して重ね合わされた構造を有している。
このような構成を有するPDPは、前面ガラス基板によって形成されるパネル面に外部から衝撃が加わると、この衝撃荷重によって、前面ガラス基板に圧縮応力が生じるとともにこの前面ガラス基板の内面側に形成された誘電体層に引張り応力が生じ、この引張り応力によって誘電体層にクラックが発生し、この誘電体層のクラックが前面ガラス基板に拡がって、前面ガラス基板が破損してしまう虞がある。
このため、従来のPDPには、前面ガラス基板の熱膨張率とこの前面ガラス基板の内面側に形成される誘電体層の熱膨張率とを異ならせて、この熱膨張差によって前面ガラス基板に引張り応力を残留させ誘電体層に圧縮応力を残留させることにより、外部からの衝撃によるパネルの破損を防止するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
ここで、近年、フラットディスプレイパネルの大型化が進んでおり、PDPについても、画面の大型化に伴うパネルの薄型化および軽量化への要求が強まっており、このため、ガラス基板を薄くすることによってPDPの薄型化および軽量化を図ることが試みられている。
このガラス基板の薄型化を図る際に、ガラス基板が薄くなると外部から加わる衝撃に対するパネル強度が低下するため、ガラス基板の強度をさらに強化する必要がある。
このガラス基板の薄型化を図る際に、ガラス基板が薄くなると外部から加わる衝撃に対するパネル強度が低下するため、ガラス基板の強度をさらに強化する必要がある。
この場合、破損を防止するためにガラス基板の強度をどの程度強化すれば良いかは、ガラス基板の厚さによってそれぞれ異なっており、前述したようなガラス基板に残留させる引張り応力や誘電体層に残留させる圧縮応力の大きさは、ガラス基板の厚さに対応してそれぞれ異なる値に設定する必要がある。
しかしながら、従来、このようなガラス基板に残留させる引張り応力や誘電体層に残留させる圧縮応力の大きさをガラス基板の厚さに対応して設定する方法は開発されておらず、このため、PDPの薄型化を図る際に、パネル面に加わる衝撃によってガラス基板が破損するのを十分に防止出来なくなる虞がある。
このような問題は、PDPの場合に限らず、パネル面がガラス基板によって構成される例えばFED(フィールド・エミッション・ディスプレイ)等の他のフラットディスプレイパネルについても発生する。
このため、薄型化および軽量化が図られるとともにパネル面に加わる外部からの衝撃に対する必要な強度を有するフラットディスプレイパネルの開発が強く望まれている。
このため、薄型化および軽量化が図られるとともにパネル面に加わる外部からの衝撃に対する必要な強度を有するフラットディスプレイパネルの開発が強く望まれている。
この発明は、上記のような従来の表示装置に対する要望に応えることをその技術的課題の一つとしている。
この発明(請求項1に記載の発明)による表示装置は、上記課題を達成するために、パネル面を構成するガラス基板の内面側に誘電体層が形成されているフラットディスプレイパネルにおいて、前記ガラス基板の熱膨張率と誘電体層の熱膨張率の差(Y)が、ガラス基板の厚さ(X)毎に
Y≧−7.5X+33.7
X(単位:mm):ガラス基板の厚さ
Y(単位:×10-7/℃):熱膨張率の差((ガラス基板の熱膨張率)−(誘電体層の熱膨張率))
の式を満たす値に設定されていることを特徴としている。
Y≧−7.5X+33.7
X(単位:mm):ガラス基板の厚さ
Y(単位:×10-7/℃):熱膨張率の差((ガラス基板の熱膨張率)−(誘電体層の熱膨張率))
の式を満たす値に設定されていることを特徴としている。
この発明は、パネル面を構成する前面ガラス基板の内面側に誘電体層が形成され、この前面ガラス基板の熱膨張率と誘電体層の熱膨張率の差(Y)が、前面ガラス基板の厚さ(X)毎に
Y≧−7.5X+33.7
X(単位:mm):前面ガラス基板の厚さ
Y(単位:×10-7/℃):熱膨張率の差((前面ガラス基板の熱膨張率)−(誘電体層の熱膨張率))
の式を満たす値に設定されているPDPやFED等のフラットディスプレイパネルを最良の実施形態としている。
Y≧−7.5X+33.7
X(単位:mm):前面ガラス基板の厚さ
Y(単位:×10-7/℃):熱膨張率の差((前面ガラス基板の熱膨張率)−(誘電体層の熱膨張率))
の式を満たす値に設定されているPDPやFED等のフラットディスプレイパネルを最良の実施形態としている。
この実施形態におけるフラットディスプレイパネルは、前面ガラス基板と誘電体層の熱膨張率が互いに異なっていることによって、前面ガラス基板内に引張り応力が残留され、誘電体層内に圧縮応力が残留され、さらに、前面ガラス基板と誘電体層の間の熱膨張率の差が上記式によって算出された値に設定されていることによって、この前面ガラス基板内の残留引張り応力と誘電体層内の残留圧縮応力が、それぞれ、前面ガラス基板の表面(パネル面)に加わる衝撃荷重によって前面ガラス基板内に生じる圧縮応力および誘電体層内に生じる引張り応力に対抗するとともに、この衝撃荷重による前面ガラス基板の損傷を防止するように作用する前面ガラス基板内の残留引張り応力と誘電体層内の残留圧縮応力が、前面ガラス基板の厚さに対応した適切な値に設定されるので、フラットディスプレイパネルの薄型化に伴って前面ガラス基板が薄くなる場合でも、前面ガラス基板の厚さに対応した強度を備えることが出来、これによって、衝撃荷重による損傷を有効に防止することができるようになる。
例えば、実施形態において、前面ガラス基板の厚さが1.8mmの場合には、ガラス基板の熱膨張率と誘電体層の熱膨張率の差(Y)が20.2以上に設定される。
上記実施形態のフラットディスプレイパネルにおいて、前面ガラス基板の熱膨張率と誘電体層の熱膨張率の差(Y)を、さらに、ガラス基板の厚さ(X)毎に、
Y≦48.7X−58.7
X(単位:mm):ガラス基板の厚さ
Y(単位:×10-7/℃):熱膨張率の差((ガラス基板の熱膨張率)−(誘電体層の熱膨張率))
の式を満たす値に設定するようにするのが好ましい。
上記実施形態のフラットディスプレイパネルにおいて、前面ガラス基板の熱膨張率と誘電体層の熱膨張率の差(Y)を、さらに、ガラス基板の厚さ(X)毎に、
Y≦48.7X−58.7
X(単位:mm):ガラス基板の厚さ
Y(単位:×10-7/℃):熱膨張率の差((ガラス基板の熱膨張率)−(誘電体層の熱膨張率))
の式を満たす値に設定するようにするのが好ましい。
これによって、前面ガラス基板と誘電体層における残留応力過多による割れや反り等の損傷の発生も、同時に防止することが出来る。
さらに、上記実施形態のフラットディスプレイパネルにおいて、前面ガラス基板の熱膨張率と誘電体層の熱膨張率の差(Y)の適切な設定を可能にするために、前面ガラス基板の厚さを1.65mm以上に設定するのが好ましい。
この発明は、FED等の種々のフラットディスプレイパネルに適用することが可能であるが、以下においては、この発明を、フラットディスプレイパネルの一つであるPDPに適用した場合の実施例を例に挙げて説明する。
図1および2は、この発明によるフラットディスプレイパネルの実施形態における一実施例を示しており、図1はこの実施例におけるPDPの正面図であり、図2は図1のV−V線における断面図である。
この図1および2において、PDPのパネル面を構成する前面ガラス基板1の内面に、複数の行電極対(X,Y)が、それぞれ行方向(図1の左右方向)に延びるとともに列方向(図1の上下方向)に互いに平行に並設されている。
さらに、前面ガラス基板1の内面には誘電体層2が形成されており、この誘電体層2によって行電極対(X,Y)が被覆されている。
さらに、前面ガラス基板1の内面には誘電体層2が形成されており、この誘電体層2によって行電極対(X,Y)が被覆されている。
そして、この誘電体層2の内面には、誘電体保護層3が形成されて、この誘電体保護層3によって誘電体層2の内面が被覆されている。
さらに、パネルの表示面となる前面ガラス基板1の外面上には、樹脂性の機能フィルム8が直接貼り付けられている。
さらに、パネルの表示面となる前面ガラス基板1の外面上には、樹脂性の機能フィルム8が直接貼り付けられている。
この機能フィルム8は、表示色の光学的調整や外光の反射防止,電磁波の遮断,近赤外線の遮断といったパネルの表示動作に係わる様々な機能を備えている。
なお、前面ガラス基板1の外面側には、この機能フィルム8のみが設けられており、防護ガラス等のガラス基板の破損を防ぐ為の他の防護手段は設けられていない。
前面ガラス基板1には、背面ガラス基板4が所要の間隔の放電空間を空けて平行に対向されており、この背面ガラス基板4の内面(前面ガラス基板1に対向する側の面)上に、列方向に延びる複数の列電極Dが、行方向に互いに所定の間隔を開けて平行に並設されている。
さらに、この背面ガラス基板4の内面上には、列電極保護層5が形成されて、この列電極保護層5によって列電極Dが被覆されている。
さらに、この背面ガラス基板4の内面上には、列電極保護層5が形成されて、この列電極保護層5によって列電極Dが被覆されている。
この列電極保護層5上には略格子形状の隔壁6が形成されて、この隔壁6によって、放電空間が各行電極対(X,Y)と列電極Dが交差する部分毎に区画されて、それぞれ方形の放電セルCが形成されている。
この各放電セルC内には、それぞれ放電セルC毎に赤,緑,青に色分けされた蛍光体層7が形成されている。
放電空間内には、キセノンを含む放電ガスが封入されている。
ここで、実施例の説明を行う前に、上記PDPのパネル面に加わる衝撃によって前面ガラス基板1に破損が発生するメカニズムについて説明を行う。
放電空間内には、キセノンを含む放電ガスが封入されている。
ここで、実施例の説明を行う前に、上記PDPのパネル面に加わる衝撃によって前面ガラス基板1に破損が発生するメカニズムについて説明を行う。
図3は、前面ガラス基板1の表面(パネル面)に衝撃荷重Fが加わった際に前面ガラス基板1に破損(ひび割れ)が発生したときの状態を示している。
この図3において、前面ガラス基板1の表面(パネル面)に衝撃荷重Fが加わると、前面ガラス基板1に圧縮応力γが発生し、誘電体層2には反対に引張り応力σが発生し、この引張り応力σによって、誘電体層2の隔壁6との接触部分等に、ひび割れcが生じてくる。
この図3において、前面ガラス基板1の表面(パネル面)に衝撃荷重Fが加わると、前面ガラス基板1に圧縮応力γが発生し、誘電体層2には反対に引張り応力σが発生し、この引張り応力σによって、誘電体層2の隔壁6との接触部分等に、ひび割れcが生じてくる。
そして、この誘電体層2のひび割れcが前面ガラス基板1にまで拡がることによって、前面ガラス基板1が、その背面側から損傷してゆく。
この実施例のPDPは、従来のPDPの場合と同様に、PDPの製造工程における焼成工程の終了後に、図4に示されるように、誘電体層2が前面ガラス基板1の熱膨張率よりも小さい熱膨張率を有する誘電材料によって形成されていて、前面ガラス基板1に引張り応力f1が残留し、誘電体層2に圧縮応力f2が残留している。
この前面ガラス基板1の残留引張り応力f1と、誘電体層2の残留圧縮応力f2は、前述したような前面ガラス基板1のパネル面に加わる衝撃荷重Fによって前面ガラス基板1に発生する圧縮応力γと誘電体層2に発生する引張り応力δ(図4参照)にそれぞれ対抗することによって、誘電体層2および前面ガラス基板1に損傷が発生するのを防止するように作用する。
前面ガラス基板1の残留引張り応力f1と誘電体層2の残留圧縮応力f2の大きさは、前面ガラス基板1と誘電体層2の熱膨張率の差によって設定され、衝撃荷重Fによる前面ガラス基板1の損傷を防止するために必要な前面ガラス基板1の残留引張り応力f1と誘電体層2の残留圧縮応力f2の大きさは、前面ガラス基板1の厚さによってそれぞれ異なる。
このため、衝撃荷重Fによる前面ガラス基板1の損傷を有効に防止するためには、前面ガラス基板1の厚さ毎に、前面ガラス基板1と誘電体層2の材質を選択して、前面ガラス基板1と誘電体層2の間の熱膨張率の差をそれぞれ所要の値以上の大きさに設定する必要がある。
一方、前面ガラス基板1と誘電体層2の間の熱膨張率の差が大きくなり過ぎると、前面ガラス基板1の残留引張り応力f1と誘電体層S2の残留圧縮応力f2が過多になって、PDPの製造工程時や製造工程の終了後に前面ガラス基板1に反りや割れなどの損傷が生じてしまう虞がある。
このため、前面ガラス基板1と誘電体層2の間の熱膨張率の差は、所定の値以上の大きさに設定することは出来ない。
このため、前面ガラス基板1と誘電体層2の間の熱膨張率の差は、所定の値以上の大きさに設定することは出来ない。
以下、前面ガラス基板1の衝撃荷重による損傷を防止するために必要な前面ガラス基板1と誘電体層2の熱膨張率の差の下限値を算出するために行った硬球落下試験(試験IおよびII)と、前面ガラス基板1と誘電体層2の熱膨張率の差の上限値を算出するために行った試験(試験III)について、説明を行う。
試験IとIIの硬球落下試験は、図5に示されるように、内面側に誘電体層が形成され外面側に厚さ450μmの樹脂性の機能フィルムのみが形成された図2の前面ガラス基板1に対応するガラス基板S1と、背面ガラス基板4に対応するガラス基板S2が重ね合わされたPDPの構成を有する試験対象物Sを用いて、この試験対象物Sをガラス基板S1が上向きになるように水平に支持した状態で、上方から重さ500gの鋼球Mを落下させて、試験対象物Sに衝突させることによって行われた。
このときの鋼球Mを落下させる高さは、試験対象物Sのガラス基板S1に対して、所要の衝撃荷重(日常においてPDPのパネル面に加わると想定される衝撃の最大値以上の衝撃荷重)を加えられる高さに設定されている。
そして、硬球落下試験の判定は、鋼球Mを落下させた後、目視観察によってガラス基板S1にひび割れが生じているか否かを判定することによって行った。
そして、硬球落下試験の判定は、鋼球Mを落下させた後、目視観察によってガラス基板S1にひび割れが生じているか否かを判定することによって行った。
(1)試験I
旭硝子(株)社製のPD200(熱膨張率α=83.0×10−7/℃)によって形成された厚さ1.8mmと2.8mmの二種類のガラス基板S1に、図6に示される組成を有する鉛成分を含まない誘電材料A〜Dによってそれぞれ誘電体層が形成された試験対象物Sに対して、硬球落下試験が行われた。
旭硝子(株)社製のPD200(熱膨張率α=83.0×10−7/℃)によって形成された厚さ1.8mmと2.8mmの二種類のガラス基板S1に、図6に示される組成を有する鉛成分を含まない誘電材料A〜Dによってそれぞれ誘電体層が形成された試験対象物Sに対して、硬球落下試験が行われた。
(2)試験II
熱膨張率が異なっているガラス材によってそれぞれ1.8mmと2.8mmの厚さに形成された複数種類のガラス基板S1に、試験Iの場合と同様に、図6に示される組成を有する鉛成分を含まない誘電材料A〜Dによって、それぞれ誘電体層が形成された試験対象物Sに対して、硬球落下試験が行われた。
熱膨張率が異なっているガラス材によってそれぞれ1.8mmと2.8mmの厚さに形成された複数種類のガラス基板S1に、試験Iの場合と同様に、図6に示される組成を有する鉛成分を含まない誘電材料A〜Dによって、それぞれ誘電体層が形成された試験対象物Sに対して、硬球落下試験が行われた。
(3)試験III
それぞれ種々の熱膨張率を有する厚さ1.8mmと2.5mm,2.8mmのガラス基板S1と誘電体層を組み合わせて、両者の間の熱膨張率差を様々に設定した試験対象物Sを製作し、それぞれの試験対象物Sについてガラス基板S1に割れや反り等の損傷が無いか、目視による確認が行われた。
それぞれ種々の熱膨張率を有する厚さ1.8mmと2.5mm,2.8mmのガラス基板S1と誘電体層を組み合わせて、両者の間の熱膨張率差を様々に設定した試験対象物Sを製作し、それぞれの試験対象物Sについてガラス基板S1に割れや反り等の損傷が無いか、目視による確認が行われた。
図7は、上記の試験Iの硬球落下試験の結果を示している。
この図7において、○は、鋼球Mによる衝撃によって試験対象物Sのガラス基板S1にひび割れが生じておらず衝撃荷重に対する強度を備えていると判定された場合を示し、×は、鋼球Mによる衝撃によって試験対象物Sのガラス基板S1にひび割れが生じて衝撃荷重に対する強度を備えていないと判定された場合を示している。
この図7の結果から、厚さが1.8mmのガラス基板S1を備えた試験対象物Sの場合には、誘電体層が誘電材料Aによって形成されている場合のみが○になっており、従って、熱膨張率が83.0のガラス基板S1と誘電体層の熱膨張率の差は、83−62.8=20.2以上の値が必要であることが分かる。
また、厚さが2.8mmのガラス基板S1を備えた試験対象物Sの場合には、誘電体層が誘電材料A,B,Cによって形成されている場合に○であり、この誘電材料A,B,Cのうち熱膨張率が最も大きいのは誘電材料Cであるので、熱膨張率が83.0のガラス基板S1と誘電体層の熱膨張率の差は、83−70.3=12.7以上の値が必要であることが分かる。
図8は、試験I〜IIIの試験結果をポイントに表して示したグラフである。
この図8において、●ポイントは試験IおよびIIにおいて判定が(可)になった場合を示しており、◇ポイントは試験IおよびIIにおいて判定が(不可)になった場合を示しており、■ポイントは試験IIIにおいて判定が可となる熱膨張率差の上限値を示しており、直線r1は、●ポイントと◇ポイントの間を結んだもので、衝撃荷重によるガラス基板S1の損傷を防止するために必要な誘電体層との熱膨張率の差の下限値を示しており、直線r2は■ポイントを結んだもので、熱膨張率差によって生じるガラス基板S1の反り等の損傷を防止するための誘電体層と熱膨張率の差の上限値を示している。
この図8において、ガラス基板S1と誘電体層の熱膨張率の差の下限値を示す近似式は、直線r1から、
Y1=−7.5X+33.7 … (1)
のように求められ、
ガラス基板S1と誘電体層の熱膨張率の差の上限値を示す近似式は、直線r2から、
Y2=48.7X−58.7 … (2)
のように求められる。
Y1=−7.5X+33.7 … (1)
のように求められ、
ガラス基板S1と誘電体層の熱膨張率の差の上限値を示す近似式は、直線r2から、
Y2=48.7X−58.7 … (2)
のように求められる。
この(1)式および(2)式において、Y1およびY2は、それぞれ、ガラス基板S1の熱膨張率A(×10−7/℃)と誘電体層の熱膨張率B(×10−7/℃)との差(A−B)を示しており、Xはガラス基板の厚さ(mm)を示している。
さらに、図8において、直線r1とr2の交点Pのx座標で示される厚さX1(≒1.65mm)よりもガラス基板S1の厚さが薄くなると、ガラス基板S1と誘電体層の熱膨張率差の上限値と下限値が逆転するため、ガラス基板S1の厚さの下限値は、X1(≒1.65mm)であることが分かる。
この実施例のPDPは、上記(1)式と(2)式に基づいて、ガラス基板の厚さ毎に、前面ガラス基板1と誘電体層2の熱膨張率の差の値が算出され、この算出された熱膨張率の差の値に基づいてガラス材と誘電材料が選択されて、それぞれ、前面ガラス基板1と誘電体層2の材質の組み合わせが決定されている。
すなわち、上記(1)式と(2)式から、前面ガラス基板1の厚さX(mm)毎に両式を満足するY1とY2の値が算出され、前面ガラス基板1と誘電体層2の熱膨張率の差の値YがY1とY2の間の値(Y1≦Y≦Y2)となるガラス材と誘電材料が選択されて、それぞれ、前面ガラス基板1と誘電体層2の組み合わせが形成されている。
例えば、前面ガラス基板1の厚さが1.8mmの場合には、前面ガラス基板1と誘電体層2の熱膨張率の差の値Yは20.2以上に設定され、前面ガラス基板1の厚さが2.8mmの場合には、前面ガラス基板1と誘電体層2の熱膨張率の差の値Yは12.7以上に設定される。
そして、前面ガラス基板1は、1.65mm以上の厚さを有している。
なお、上記の各試験においては、前面ガラス基板1の外面側に厚さ450μmの樹脂性の機能フィルムが貼り付けられているが、この機能フィルムの厚さが厚くなる程、パネルの衝撃荷重に対する強度が増加するので、樹脂性の機能フィルムの厚さを450μm以上に設定するのが好ましい。
この実施例におけるPDPは、前面ガラス基板1を形成するガラス材と誘電体層2を形成する誘電材料の熱膨張率が互いに異なっていることによって、前面ガラス基板1内に引張り応力が残留し、誘電体層2内に圧縮応力が残留し、さらに、前面ガラス基板1と誘電体層2の間の熱膨張率の差が、上記のようにして前面ガラス基板1の厚さに対応した所要の値に設定されていることによって、前面ガラス基板1内の残留引張り応力と誘電体層2内の残留圧縮応力が、前面ガラス基板1の表面(パネル面)に加わる衝撃荷重によって前面ガラス基板1内に生じる圧縮応力および誘電体層2内に生じる引張り応力に対抗し、さらに、この前面ガラス基板1内の残留引張り応力と誘電体層2内の残留圧縮応力が前面ガラス基板1の厚さに対応した適切な値に設定されていることによって、前面ガラス基板1の厚さ毎に衝撃荷重による損傷を有効に防止することができるとともに、ガラス基板と誘電体層における残留応力過多による割れや反り等の損傷の発生も防止することが出来、これによって、PDPの薄型化を実現することが出来る。
上記実施例のPDPは、パネル面を構成するガラス基板の内面側に誘電体層が形成されているフラットディスプレイパネルにおいて、前記ガラス基板の熱膨張率と誘電体層の熱膨張率の差(Y)が、ガラス基板の厚さ(X)毎に
Y≧−7.5X+33.7
X(単位:mm):ガラス基板の厚さ
Y(単位:×10-7/℃):熱膨張率の差((ガラス基板の熱膨張率)−(誘電体層の熱膨張率))
の式を満たす値に設定されている実施形態のフラットディスプレイパネルを、その上位概念の実施形態としている。
Y≧−7.5X+33.7
X(単位:mm):ガラス基板の厚さ
Y(単位:×10-7/℃):熱膨張率の差((ガラス基板の熱膨張率)−(誘電体層の熱膨張率))
の式を満たす値に設定されている実施形態のフラットディスプレイパネルを、その上位概念の実施形態としている。
この実施形態のフラットディスプレイパネルは、ガラス基板と誘電体層の熱膨張率が互いに異なっていることによって、ガラス基板内に引張り応力が残留され、誘電体層内に圧縮応力が残留され、さらに、ガラス基板と誘電体層の間の熱膨張率の差が上記式によって算出された値に設定されていることによって、このガラス基板内の残留引張り応力と誘電体層内の残留圧縮応力が、それぞれ、ガラス基板の表面(パネル面)に加わる衝撃荷重によってガラス基板内に生じる圧縮応力および誘電体層内に生じる引張り応力に対抗するとともに、この衝撃荷重によるガラス基板の損傷を防止するように作用するガラス基板内の残留引張り応力と誘電体層内の残留圧縮応力が、ガラス基板の厚さに対応した適切な値に設定されていることによって、フラットディスプレイパネルの薄型化に伴ってガラス基板が薄くなる場合でも、ガラス基板の厚さ毎に衝撃荷重による損傷を有効に防止することができるようになる。
1 …前面ガラス基板(ガラス基板)
2 …誘電体層
8 …機能フィルム
S …試験対象物
S1 …ガラス基板
M …鋼球
F …衝撃荷重
f1 …残留引張り応力
f2 …残留圧縮応力
2 …誘電体層
8 …機能フィルム
S …試験対象物
S1 …ガラス基板
M …鋼球
F …衝撃荷重
f1 …残留引張り応力
f2 …残留圧縮応力
Claims (8)
- パネル面を構成するガラス基板の内面側に誘電体層が形成されているフラットディスプレイパネルにおいて、
前記ガラス基板の熱膨張率と誘電体層の熱膨張率の差(Y)が、ガラス基板の厚さ(X)毎に
Y≧−7.5X+33.7
X(単位:mm):ガラス基板の厚さ
Y(単位:×10-7/℃):熱膨張率の差((ガラス基板の熱膨張率)−(誘電体層の熱膨張率))
の式を満たす値に設定されていることを特徴とするフラットディスプレイパネル。 - 前記ガラス基板の熱膨張率と誘電体層の熱膨張率の差(Y)が、さらに、ガラス基板の厚さ(X)毎に、
Y≦48.7X−58.7
X(単位:mm):ガラス基板の厚さ
Y(単位:×10-7/℃):熱膨張率の差((ガラス基板の熱膨張率)−(誘電体層の熱膨張率))
の式を満たす値に設定されている請求項1に記載のフラットディスプレイパネル。 - 前記ガラス基板が、1.65mm以上の厚さを有している請求項1に記載のフラットディスプレイパネル。
- 前記厚さが1.8mmのガラス基板に対して、ガラス基板の熱膨張率と誘電体層の熱膨張率の差(Y)が20.2以上に設定されている請求項1に記載のフラットディスプレイパネル。
- 前記ガラス基板の表示側の外面に樹脂性のフィルムのみが貼り付けられている請求項1に記載のフラットディスプレイパネル。
- 前記樹脂性のフィルムの厚さが450μm以上である請求項5に記載のフラットディスプレイパネル。
- 前記誘電体層が、鉛成分を含んでいない誘電材料によって形成されている請求項1に記載のフラットディスプレイパネル。
- 前記ガラス基板と誘電体層が、プラズマディスプレイパネルのパネル面を構成する前面ガラス基板と誘電体層である請求項1に記載のフラットディスプレイパネル。
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2008
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CN101952930A (zh) * | 2009-03-13 | 2011-01-19 | 松下电器产业株式会社 | 等离子显示面板 |
US8362680B2 (en) | 2009-03-13 | 2013-01-29 | Panasonic Corporation | Plasma display panel having low residual stress |
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