JP2009189146A - 電動モータの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 同期モータ(同期電動機)として埋め込み磁石型を用いる場合に、トルク振動対策、脱調対策、運転可能領域の広域確保が充分に行うことができる電動モータの制御装置を提供すること。
【解決手段】 Q軸電流目標値、D軸電流目標値を設定する目標DQ軸電流指令値演算部11と、交流電流を検出する3相電流検出部19と、回転角度を検出する回転角度検出部20と、Q軸電流の検出値、D軸電流の検出値を演算する電流変換部18と、Q軸電圧指令値を演算するQ軸電流FB制御器14と、D軸電圧指令値を演算するD軸電流FB制御器15と、インバータの制御信号を演算するインバータ制御信号演算部16と、モータトルクを推定するモータトルク推定部17を備え、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15は、モータトルクが所定値より大きい場合に、PI制御のPゲイン及びIゲインを小さくする図2のゲイン処理を備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】 Q軸電流目標値、D軸電流目標値を設定する目標DQ軸電流指令値演算部11と、交流電流を検出する3相電流検出部19と、回転角度を検出する回転角度検出部20と、Q軸電流の検出値、D軸電流の検出値を演算する電流変換部18と、Q軸電圧指令値を演算するQ軸電流FB制御器14と、D軸電圧指令値を演算するD軸電流FB制御器15と、インバータの制御信号を演算するインバータ制御信号演算部16と、モータトルクを推定するモータトルク推定部17を備え、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15は、モータトルクが所定値より大きい場合に、PI制御のPゲイン及びIゲインを小さくする図2のゲイン処理を備えた。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電動モータの制御装置の技術分野に属する。
従来では、速度制御器は、速度指令値と同期電動機の回転速度とが一致するようにトルク電流指令を出力し、比例積分制御の方式で構成され、γ軸電流、δ軸電流制御器は、γ軸電流指令値とγ軸電流検出値、並びにトルク電流指令値とδ軸電流検出値とがそれぞれ一致するようにδ軸電圧指令値及びγ軸電圧指令値を出力し、比例積分制御の方式で構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−87263号公報(第2−12頁、全図)
しかしながら、従来にあっては、同期モータ(同期電動機)として埋め込み磁石型を用いる場合に、トルク振動対策、脱調対策、運転可能領域の広域確保を充分に行うことが困難であった。
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、同期モータ(同期電動機)として埋め込み磁石型を用いる場合に、トルク振動対策、脱調対策、運転可能領域の広域確保が充分に行うことができる電動モータの制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、3相交流同期モータへの要求に基づいて、前記3相交流同期モータの目標Q軸電流、目標D軸電流を設定する目標DQ軸電流指令値演算手段と、各相に流れる交流電流を検出する3相電流検出手段と、前記3相交流同期モータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、各相の交流電流に対し、前記回転角度を用いて、クラーク変換とパーク変換を行い、実Q軸電流、実D軸電流を演算する電流変換手段と、前記目標Q軸電流と実Q軸電流から、その差が小さくなるようにPI制御によってQ軸電圧指令値を演算するQ軸指令値演算手段と、前記目標D軸電流と実D軸電流から、その差が小さくなるようにPI制御によってD軸電圧指令値を演算するD軸指令値演算手段と、前記Q軸電圧指令値と前記D軸電圧指令値と前記回転角度から、前記3相交流同期モータを駆動するインバータのスイッチング素子の制御信号を演算するインバータ制御信号演算手段と、前記3相交流同期モータが発生させるモータトルクを推定するモータトルク推定手段と、を備え、前記Q軸指令値演算手段及び前記D軸指令値演算手段は、前記モータトルクが所定値より大きい場合に、前記モータトルクが所定値より小さい場合に比較して、PI制御のPゲイン及びIゲインを小さくするゲイン変更手段を備えた、ことを特徴とする。
よって、本発明にあっては、同期モータ(同期電動機)として埋め込み磁石型を用いる場合に、トルク振動対策、脱調対策、運転可能領域の広域確保を充分に行うことができる。
以下、本発明の電動モータの制御装置を実現する実施の形態を、請求項1,3,4,5,7に係る発明に対応する実施例1と、請求項1,3,4,5に係る発明に対応する実施例2と、請求項1,2,4,5に係る発明に対応する実施例3に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の電動モータの制御装置のブロック構成を示す図である。
実施例1の電動モータの制御装置は、例えば、車両の空調装置における電動コンプレッサの制御装置、EVやHEVの車両の駆動用モータの制御装置を例とする。
実施例1の電動モータ制御装置1は、3相同期電動モータのコントローラの一部として設けられる。そのため、コントローラの他の部分により、3相同期電動モータの目標速度が設定され、電動モータ制御装置1に入力されるものとする。そして、電動モータ制御装置1は、インバータと3相同期電動モータからなるモータインバータ2へ制御信号を出力する。
図1は実施例1の電動モータの制御装置のブロック構成を示す図である。
実施例1の電動モータの制御装置は、例えば、車両の空調装置における電動コンプレッサの制御装置、EVやHEVの車両の駆動用モータの制御装置を例とする。
実施例1の電動モータ制御装置1は、3相同期電動モータのコントローラの一部として設けられる。そのため、コントローラの他の部分により、3相同期電動モータの目標速度が設定され、電動モータ制御装置1に入力されるものとする。そして、電動モータ制御装置1は、インバータと3相同期電動モータからなるモータインバータ2へ制御信号を出力する。
電動モータ制御装置1は、目標DQ軸電流指令値演算部11、加算器12、加算器13、Q軸電流FB制御器14、D軸電流FB制御器15、インバータ制御信号演算部16、モータトルク推定部17、電流変換部18、3相電流検出部19、回転角度検出部20、回転速度検出部21を備えている。
目標DQ軸電流指令値演算部11は、加算器111、速度FB制御器112、DQ軸電流配分部113を備え、DQ軸電流指令値の目標値を演算する。
目標DQ軸電流指令値演算部11は、加算器111、速度FB制御器112、DQ軸電流配分部113を備え、DQ軸電流指令値の目標値を演算する。
加算器111は、3相同期電動モータの目標回転速度と検出した回転速度の実値の偏差を演算する。
速度FB制御器112は、速度の偏差にフィードバックゲインを乗じるフィードバック演算、例えばPI制御演算を行い、DQ軸電流指令値Iaを演算する。
DQ軸電流配分部113は、DQ軸電流指令値Iaから、D軸電流目標値Id*とQ軸電流目標値Iq*に電流を配分し出力する。
例えば、次の式によって配分を行う。ここで、20度は進角度に相当し、モータ機器定数から決まる値である。
(数1)
速度FB制御器112は、速度の偏差にフィードバックゲインを乗じるフィードバック演算、例えばPI制御演算を行い、DQ軸電流指令値Iaを演算する。
DQ軸電流配分部113は、DQ軸電流指令値Iaから、D軸電流目標値Id*とQ軸電流目標値Iq*に電流を配分し出力する。
例えば、次の式によって配分を行う。ここで、20度は進角度に相当し、モータ機器定数から決まる値である。
(数1)
Id*=sin(20/180・π)・Ia
(数2)
(数2)
Iq*=cos(20/180・π)・Ia
加算器12は、Q軸電流目標値Iq*と検出したQ軸電流値Iqの偏差を演算し、Q軸電流FB制御器14へ出力する。
加算器13は、D軸電流目標値Id*と検出したD軸電流値Idの偏差を演算し、D軸電流FB制御器15へ出力する。
Q軸電流FB制御器14は、Q軸電流目標値Iq*と検出したQ軸電流値Iqの偏差にPIゲインを乗じるPI制御演算を行い、Q軸電圧指令値Vq*を演算する。なお、モータトルク推定手段からの指令に応じて、PIゲインの変更を行う。
加算器13は、D軸電流目標値Id*と検出したD軸電流値Idの偏差を演算し、D軸電流FB制御器15へ出力する。
Q軸電流FB制御器14は、Q軸電流目標値Iq*と検出したQ軸電流値Iqの偏差にPIゲインを乗じるPI制御演算を行い、Q軸電圧指令値Vq*を演算する。なお、モータトルク推定手段からの指令に応じて、PIゲインの変更を行う。
例えば、次の式による演算を行う。
(数3)
(数3)
Vq*=Kp・(Iq*-Iq)+Ki・∫(Iq*-Iq)dt
なお、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲインとする。
D軸電流FB制御器15は、D軸電流目標値Id*と検出したD軸電流値Idの偏差にPIゲインを乗じるPI制御演算を行い、D軸電圧指令値Vd*を演算する。なお、モータトルク推定手段からの指令に応じて、PIゲインの変更を行う。
D軸電流FB制御器15は、D軸電流目標値Id*と検出したD軸電流値Idの偏差にPIゲインを乗じるPI制御演算を行い、D軸電圧指令値Vd*を演算する。なお、モータトルク推定手段からの指令に応じて、PIゲインの変更を行う。
例えば、次の式による演算を行う。
(数4)
(数4)
Vd*=Kp・(Id*-Id)+Ki・∫(Id*-Id)dt
なお、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲインとする。
インバータ制御信号演算部16は、以下のような計算を行って、3相指令電圧(Vu*,Vv*,Vw*)を計算する。なお、Vα*,Vβ*は中間変数であり、2相電圧指令値である。また、θは電気角(機械角×極対数)で表した回転角度である。
インバータ制御信号演算部16は、以下のような計算を行って、3相指令電圧(Vu*,Vv*,Vw*)を計算する。なお、Vα*,Vβ*は中間変数であり、2相電圧指令値である。また、θは電気角(機械角×極対数)で表した回転角度である。
さらにインバータ制御信号演算部16では、3相指令電圧(Vu*,Vv*,Vw*)と3角波を比較して、スイッチング信号を生成し、出力する。
モータトルク推定部17は、検出されたQ軸電流Iqと検出されたD軸電流Idから、次に示す式を用いてモータトルクを推定する。
(数7)
モータトルク推定部17は、検出されたQ軸電流Iqと検出されたD軸電流Idから、次に示す式を用いてモータトルクを推定する。
(数7)
Tm=P・{ψa・Iq+(Ld-Lq)・Id・Iq}
なお、Tmはモータトルク、Pは極対数(定数)、ψaはロータ磁石鎖交磁束(定数)、LqはQ軸インダクタンス(定数)、LdはD軸インダクタンス(定数)、IqはQ軸電流の実値、IdはD軸電流の実値である。
電流変換部18は、検出した3相電流Iu,Iv,Iwから次の式を用いて、Q軸電流Iq、D軸電流をIdを求める。この電流値Iq,Idは、検出電流を変換したものであるため実値である。
電流変換部18は、検出した3相電流Iu,Iv,Iwから次の式を用いて、Q軸電流Iq、D軸電流をIdを求める。この電流値Iq,Idは、検出電流を変換したものであるため実値である。
なお、この2つの式は、パーク変換とクラーク変換である。
3相電流検出部19は、3相同期電動モータのU相、V相、W相のコイルに流れる電流(Iu,Iv,Iw)を検出する。なお、全ての電流の和は0アンペアになるので、その関係を用いて、3相のうち2つをセンシングして、残りは計算で算出してもよい。その場合は、次の式によるものとする。
(数10)
3相電流検出部19は、3相同期電動モータのU相、V相、W相のコイルに流れる電流(Iu,Iv,Iw)を検出する。なお、全ての電流の和は0アンペアになるので、その関係を用いて、3相のうち2つをセンシングして、残りは計算で算出してもよい。その場合は、次の式によるものとする。
(数10)
Iu=-(Iv+Iw)
回転角度検出部20は、回転速度検出部21により推定された回転速度を積分して、回転角度を演算する。
回転速度検出部21は、推定演算により回転速度を推定する。
推定演算の例として、電気学会論文誌(産業応用部門誌)127巻第7号に記載の論文「圧縮機用PMSM位置センサレスベクトル制御のためのBPFを用いた周期的速度変動抑制制御」の図1に記載の推定演算を挙げておく。
回転速度検出部21は、推定演算により回転速度を推定する。
推定演算の例として、電気学会論文誌(産業応用部門誌)127巻第7号に記載の論文「圧縮機用PMSM位置センサレスベクトル制御のためのBPFを用いた周期的速度変動抑制制御」の図1に記載の推定演算を挙げておく。
図2に示すのは、モータインバータ2の概要説明図である。
モータインバータ2は、3相交流同期モータ201と、インバータ回路である電源202、トランジスタ203〜208、電流検出抵抗209、210を備えている。
3相交流同期モータ201のロータの構造は埋め込み磁石型であるとする。
電源202は、3相交流同期モータ201へ駆動電源を供給する。
トランジスタ203〜208は、それぞれ3相交流同期モータ201の3相(U相、V相、W相)のコイルへの出力を行う。3相のアッパーアーム側には、それぞれ、トランジスタ203〜205のエミッタを3相コイルのそれぞれへ接続し、コレクタを電源供給側に接続する。そして、ベースへの入力は、インバータ制御信号演算部16からのゲート制御信号が入力される接続にする。
モータインバータ2は、3相交流同期モータ201と、インバータ回路である電源202、トランジスタ203〜208、電流検出抵抗209、210を備えている。
3相交流同期モータ201のロータの構造は埋め込み磁石型であるとする。
電源202は、3相交流同期モータ201へ駆動電源を供給する。
トランジスタ203〜208は、それぞれ3相交流同期モータ201の3相(U相、V相、W相)のコイルへの出力を行う。3相のアッパーアーム側には、それぞれ、トランジスタ203〜205のエミッタを3相コイルのそれぞれへ接続し、コレクタを電源供給側に接続する。そして、ベースへの入力は、インバータ制御信号演算部16からのゲート制御信号が入力される接続にする。
次に、3相のロワアーム側には、それぞれ、トランジスタ206〜208のコレクタを3相コイルのそれぞれへ接続し、エミッタを電源への帰還側へ接続する。そして、ベースへの入力は、インバータ制御信号演算部16からのゲート制御信号が入力される接続にする。なお、ロワアーム側は、それぞれのアッパーアーム側のゲート制御信号の反転した波形が入力されることになる。
さらに、3相のうち、2相のロワアーム側には、電流検出抵抗209、210を設けるようにする。残りの相の電流値は演算で求めるものとする(上記数式10参照)。なお、電流検出抵抗209、210の例としてシャント抵抗を挙げておく。
さらに、3相のうち、2相のロワアーム側には、電流検出抵抗209、210を設けるようにする。残りの相の電流値は演算で求めるものとする(上記数式10参照)。なお、電流検出抵抗209、210の例としてシャント抵抗を挙げておく。
図3に示すのは、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15における比例ゲインKpと積分ゲインKiの切り替えデータテーブルの説明図である。
実施例1のQ軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15では、図1に示すように、モータトルク推定部17からのモータトルク値に対して所定値250を設定する。そして、所定値以下では、PI制御演算によるフィードバック制御における比例ゲインKpと積分ゲインKiを大きい値とする。さらに所定値250を超えると、比例ゲインKpと積分ゲインKiを小さい値に切り替える。
実施例1のQ軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15では、図1に示すように、モータトルク推定部17からのモータトルク値に対して所定値250を設定する。そして、所定値以下では、PI制御演算によるフィードバック制御における比例ゲインKpと積分ゲインKiを大きい値とする。さらに所定値250を超えると、比例ゲインKpと積分ゲインKiを小さい値に切り替える。
作用を説明する。
[トルク振動対策、脱調対策、運転可能領域の広域確保作用]
実施例1の電動モータの制御装置では、上位に設けられる制御により目標開点速度が設定、入力され、これに基づいて制御を行う。
例えば、車室内の空調制御では、電動コンプレッサの目標回転速度が設定される。
これに対して電動モータの制御装置では、この目標回転速度を実現するように交流同期モータをベクトル制御方式によって制御する。
図4は実施例1の電動モータの制御装置のベクトル制御の説明図である。
このベクトル制御では、図4に示すように、交流電流を直流化し、1対の磁極のロータに対して、磁極方向のD軸と磁極と直交するQ軸を考え、制御上、D軸電流とQ軸電流として取り扱う。
そのため、D軸電流を増加すればトルクが増加し、Q軸電流を増加すれば回転速度が増加する。
[トルク振動対策、脱調対策、運転可能領域の広域確保作用]
実施例1の電動モータの制御装置では、上位に設けられる制御により目標開点速度が設定、入力され、これに基づいて制御を行う。
例えば、車室内の空調制御では、電動コンプレッサの目標回転速度が設定される。
これに対して電動モータの制御装置では、この目標回転速度を実現するように交流同期モータをベクトル制御方式によって制御する。
図4は実施例1の電動モータの制御装置のベクトル制御の説明図である。
このベクトル制御では、図4に示すように、交流電流を直流化し、1対の磁極のロータに対して、磁極方向のD軸と磁極と直交するQ軸を考え、制御上、D軸電流とQ軸電流として取り扱う。
そのため、D軸電流を増加すればトルクが増加し、Q軸電流を増加すれば回転速度が増加する。
実施例1では、目標回転速度と実回転速度の偏差から、目標DQ軸電流指令値演算部11がDQ軸電流指令値Iaを演算し、これをDQ軸電流配分部113は、D軸電流目標値Id*とQ軸電流目標値Iq*に配分する。
そして、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15によって、このD軸電流目標値Id*とQ軸電流目標値Iq*に検出値Id,Iqを近づけるようフィードバック制御をPI制御により行う。
そして、このようにして得られたD軸電圧の指令値、Q軸電圧の指令値を、インバータ制御信号演算部16により3相指令電圧(Vu*,Vv*,Vw*)にして、モータインバータ2へ出力する制御を行う。
そして、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15によって、このD軸電流目標値Id*とQ軸電流目標値Iq*に検出値Id,Iqを近づけるようフィードバック制御をPI制御により行う。
そして、このようにして得られたD軸電圧の指令値、Q軸電圧の指令値を、インバータ制御信号演算部16により3相指令電圧(Vu*,Vv*,Vw*)にして、モータインバータ2へ出力する制御を行う。
ここで、ロータの構造が埋め込み磁石型の場合、磁束の空間的な歪みを原因とし、電気角1回転あたり、数回、実施例1では6回のトルクの振動が生じる。
このトルクの振動は、騒音や振動の原因となる。
このトルク振動を抑制するには、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15のPI制御ゲインを大きくすればよい。
図5はQ軸電流目標値Iq*と検出値Iqのゲインの影響を示す説明図である。
図5(a)に示すように、Q軸電流の検出値Iqがトルク振動の影響を受けて波打つ状態である場合に、フィードバック制御のPIゲインを大きくすれば、目標値への追従性が向上することにより結果的に図5(b)に示すようにトルク振動が抑制されることになる。
このトルクの振動は、騒音や振動の原因となる。
このトルク振動を抑制するには、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15のPI制御ゲインを大きくすればよい。
図5はQ軸電流目標値Iq*と検出値Iqのゲインの影響を示す説明図である。
図5(a)に示すように、Q軸電流の検出値Iqがトルク振動の影響を受けて波打つ状態である場合に、フィードバック制御のPIゲインを大きくすれば、目標値への追従性が向上することにより結果的に図5(b)に示すようにトルク振動が抑制されることになる。
しかしながら、PIゲインを大きくすると、電流制御の操作量である指令電圧の振幅が大きくなる。ここで、指令電圧が電源電圧に達すると、モータインバータ2のトランジスタが1キャリア周期間で常時オフとなる状態が生じる。この場合には、電流検出ができなくなり脱調する可能性が大きくなる。
図6はU相の電圧指令値と三角波からゲート制御信号を生成する状態を示す説明図である。
実施例1の電動モータの制御装置において、インバータ制御信号演算部16では、3相指令電圧(Vu*,Vv*,Vw*)と3角波を比較して(図6(a)参照)、ゲート制御信号を生成する(図6(b)参照)。このゲート制御信号は、PWM制御信号であり、デューティ比で表現されるものとなる。
図6はU相の電圧指令値と三角波からゲート制御信号を生成する状態を示す説明図である。
実施例1の電動モータの制御装置において、インバータ制御信号演算部16では、3相指令電圧(Vu*,Vv*,Vw*)と3角波を比較して(図6(a)参照)、ゲート制御信号を生成する(図6(b)参照)。このゲート制御信号は、PWM制御信号であり、デューティ比で表現されるものとなる。
なお、図6にはU相を例に示すが、V相、W相も同様に生成できる。
図6に示す例では、電源電圧を200vとし、極対数3のモータの2000rpmでのU相電圧指令値をプロットしている。電圧の周期は回転速度で変化し、電圧の振幅は負荷トルクが高いほど、大きくなる。
図6に示す例では、電源電圧を200vとし、極対数3のモータの2000rpmでのU相電圧指令値をプロットしている。電圧の周期は回転速度で変化し、電圧の振幅は負荷トルクが高いほど、大きくなる。
モータインバータ2において、アッパーアーム側とロワアーム側のトランジスタ203〜208、電流検出抵抗209、210については、図2に示すようになっている。そのため、電流検出抵抗209、210は、ロワアーム側のトランジスタ206、207がONとなっている時間においてのみ電流検出が可能である。そのため、トランジスタ206、207が1キャリア周期間で常時オフとなる状態では、電流検出ができなくなり脱調する可能性が大きくなる。
図6(b)を参照して説明すると、2.5ms付近で、トランジスタのオン時間が短く、電流検出が難しくなる。さらに、実際の指令電圧は、図6(a)に示したように滑らかでなく、電流偏差を抑えるために振動する。そのため、振動の振幅が大きいと電源電圧を超えてしまい電流が検出できなくなる。そして、電流検出ができなくなると、D軸、Q軸のフィードバック制御の帰還値が得られなくなるため、制御ずれを生じ、脱調の可能性が大きくなる。
脱調を避けるには、指令電圧が所定値以上になった場合に、目標回転速度を下げて、回転速度に比例する誘起電圧を下げ、指令電圧を下げることが有効である。但し、上記説明のように、PIゲインを大きくすると、電圧振幅が増加し、より発生トルクの低い状態で目標回転速度を下げることになり、運転可能領域を狭めることになる。
実施例1では、電流変換部18によってQ軸電流の実値Iqと、D軸電流の実値Idを得るようにし、モータトルク推定部17により、Q軸電流の実値Iqと、D軸電流の実値Idからモータトルクを推定する。そして、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15では、モータトルクが所定値以下では、PIゲイン(Kp,Ki)を大きくし、モータトルクが所定値250を超えると、PIゲイン(Kp,Ki)を小さくする。
PIゲイン(Kp,Ki)を小さくすると、インバータ制御信号演算部16へ入力される3相指令電圧(Vu*,Vv*,Vw*)の波形振動振幅が小さくなる。
そのため、上記説明したように電流検出が不可能となることがないように使用するデューティ比の上限が設定されているとすると、このデューティ比の上限を、振動振幅分、大きくすることができる。
PIゲイン(Kp,Ki)を小さくすると、インバータ制御信号演算部16へ入力される3相指令電圧(Vu*,Vv*,Vw*)の波形振動振幅が小さくなる。
そのため、上記説明したように電流検出が不可能となることがないように使用するデューティ比の上限が設定されているとすると、このデューティ比の上限を、振動振幅分、大きくすることができる。
例えば、平均デューティを83%から90%へ大きくすることができる。このようにしても、振動振幅が小さいため、電流検出を行うことに支障を生じない。
図7に示すのは、実施例1の3相同期電動モータの回転速度とモータトルクの関係を示すグラフ図である。
この図7を参照して説明すると、電流検出を考慮して最大デューティ比が設定されている特性であるとすれば、デューティ比を大きくできることは、NT特性と呼ばれる回転速度に従って最大トルクが小さくなる部分を、高回転側へ移動させることになる。つまり、高回転、高トルクにできることになる。
つまり、言い換えると、実際に使用できるデューティ比を大きくできることは、運転可能領域の広域確保ができることになる。
図7に示すのは、実施例1の3相同期電動モータの回転速度とモータトルクの関係を示すグラフ図である。
この図7を参照して説明すると、電流検出を考慮して最大デューティ比が設定されている特性であるとすれば、デューティ比を大きくできることは、NT特性と呼ばれる回転速度に従って最大トルクが小さくなる部分を、高回転側へ移動させることになる。つまり、高回転、高トルクにできることになる。
つまり、言い換えると、実際に使用できるデューティ比を大きくできることは、運転可能領域の広域確保ができることになる。
さらに、デューティ比に余裕のあるモータトルクの所定値以下でPIゲインを大きくしているので、電流検出が不能になるようなことがなく、脱調を充分に防止でき、PIゲインを大きくしたことにより、充分にトルク振動を抑制することができる。トルク振動の抑制は、騒音低減になる。
効果を説明する。
実施例1の電動モータの制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
実施例1の電動モータの制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1)モータインバータ2の3相交流同期モータ201への要求に基づいて、3相交流同期モータ201のQ軸電流目標値Iq*、D軸電流目標値Id*を設定する目標DQ軸電流指令値演算部11と、各相に流れる交流電流(Iu,Iv,Iw)を検出する3相電流検出部19と、3相交流同期モータ201の回転角度を検出する回転角度検出部20と、各相の交流電流(Iu,Iv,Iw)に対し、回転角度を用いて、クラーク変換とパーク変換を行い、Q軸電流の検出値Iq、D軸電流の検出値Idを演算する電流変換部18と、Q軸電流目標値Iq*とQ軸電流の検出値Iqから、その差が小さくなるようにPI制御によってQ軸電圧指令値Vq*を演算するQ軸電流FB制御器14と、D軸電流目標値Id*とD軸電流の検出値Idから、その差が小さくなるようにPI制御によってD軸電圧指令値Vd*を演算するD軸電流FB制御器15と、Q軸電圧指令値Vq*とD軸電圧指令値Vd*と回転角度から、3相交流同期モータ201を駆動するモータインバータ2のインバータのトランジスタ203〜208の制御信号を演算するインバータ制御信号演算部16と、3相交流同期モータ201が発生させるモータトルクを推定するモータトルク推定部17を備え、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15は、モータトルクが所定値250より大きい場合に、モータトルクが所定値250より小さい場合に比較して、PI制御のPゲインKp及びIゲインKiを小さくする図2のゲイン処理を備えたため、同期モータ(同期電動機)として埋め込み磁石型を用いる場合に、トルク振動対策、脱調対策、運転可能領域の広域確保を充分に行うことができる。
(3)上記(1)において、モータトルク推定部17は、Q軸電流の検出値Iq及び実D軸電流の検出値Iqからモータトルクを推定するため、フィードバック制御のための電流検出値から特別なセンサを設けることなくモータトルクを得て、制御に活用することができる。
(4)上記(1)又は(3)において、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15の図2の処理におけるモータトルクの所定値250は、モータトルクを電流検出に影響のある範囲と電流検出に影響のない範囲に分けた際の境界として設定した、ものであるため、電流検出に影響のないモータトルクの範囲では、PIゲインを大きくし、電流検出が不能になるようなことがないようにしつつ、脱調を充分に防止でき、PIゲインを大きくしたことにより、充分にトルク振動を抑制することができる。また、電流検出に影響がある所定値よりモータトルクが大きい範囲では、PIゲインを小さくし、デューティ比を大きくできるようにして、運転可能領域の広域確保ができるようにする。
(5)上記(1),(3),(4)において、3相交流同期モータ201の回転速度を検出する回転速度検出部21を設け、3相交流同期モータ201への要求は、目標回転速度であり、目標DQ軸電流指令値演算部11は、目標回転速度と回転速度の検出値の偏差を演算する加算器111と、偏差に対して速度ゲインを乗じてフィードバック制御によりDQ軸電流指令値Ia*を演算する速度FB制御器112と、DQ軸電流指令値Ia*をD軸電流目標値Id*とQ軸電流目標値Iq*に配分する演算を行うDQ軸電流配分部113を備えたため、3相交流同期モータ201の制御をD軸、Q軸の直流で容易に制御できるようにしつつ、目標速度に対して充分な速度フィードバックを行うようにできる。
(7)上記(1),(3),(4),(5)において、3相交流同期モータ201は、車両の空調装置におけるコンプレッサを駆動するのに用いられるものであるため、トルク振動の抑制により、例えば、車両がアイドルストップを行う際に作動音が目立つようなことがなく、また、遮音材を減らすことができる。また、運転領域の広域確保により、小型なモータとすることができる。
実施例2は、モータトルクの所定値よりモータトルクが大きくなると、PIゲインを移行区間において徐々に切り替えるようにした例である。
構成を説明する。
実施例2では、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15において、モータトルク推定部17からのモータトルクが所定値より大きくなって、PIゲインを切り替える際に以下のように切り替える。
図8は実施例2のPIゲインの切り替えデータテーブルを示す説明図である。
モータトルクが所定値より大きくなった場合、設けられた移行区間260において、PIゲインのPゲインKp、IゲインKiを徐々に小さくなるようにし、移行区間よりモータトルクが大きくなると、PゲインKp、IゲインKiは、図8に示すように小さい一定の値にする。
これは、関数と演算により実現しても、図8をテーブルデータやマップデータとして備えるようにしてもよい。
構成を説明する。
実施例2では、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15において、モータトルク推定部17からのモータトルクが所定値より大きくなって、PIゲインを切り替える際に以下のように切り替える。
図8は実施例2のPIゲインの切り替えデータテーブルを示す説明図である。
モータトルクが所定値より大きくなった場合、設けられた移行区間260において、PIゲインのPゲインKp、IゲインKiを徐々に小さくなるようにし、移行区間よりモータトルクが大きくなると、PゲインKp、IゲインKiは、図8に示すように小さい一定の値にする。
これは、関数と演算により実現しても、図8をテーブルデータやマップデータとして備えるようにしてもよい。
作用を説明する。
[ゲインを連続的に切り替える作用]
モータインバータ2のモータの負荷によっては、ゲインの切り替え時の挙動が好ましくない場合がある。負荷の変動を人が違和感として感じることにつながる場合などである。
そのような場合には、実施例2のように、図8に示すゲインの移行区間における緩やかな切り替えが有効である。
[ゲインを連続的に切り替える作用]
モータインバータ2のモータの負荷によっては、ゲインの切り替え時の挙動が好ましくない場合がある。負荷の変動を人が違和感として感じることにつながる場合などである。
そのような場合には、実施例2のように、図8に示すゲインの移行区間における緩やかな切り替えが有効である。
効果を説明する。実施例2の電動モータの制御装置にあっては、上記(1),(3),(4),(5)に加えて以下の効果を有する。
(6)上記(1),(3)〜(5)において、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15のゲイン変更処理は、モータトルクが所定値より大きい場合に、PI制御のPゲイン及びIゲインを小さくする際に、モータトルクに移行区間を設け、移行区間において徐々に小さくする図8の処理を備えたため、ゲインの変更時の挙動を緩やかにして、負荷の挙動を人が違和感として感じないようにすることができる。
(6)上記(1),(3)〜(5)において、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15のゲイン変更処理は、モータトルクが所定値より大きい場合に、PI制御のPゲイン及びIゲインを小さくする際に、モータトルクに移行区間を設け、移行区間において徐々に小さくする図8の処理を備えたため、ゲインの変更時の挙動を緩やかにして、負荷の挙動を人が違和感として感じないようにすることができる。
実施例3の電動モータの制御装置は、モータトルクの所定値を3相交流同期モータの回転速度から決定する例である。
構造を説明する。
図9は実施例3の電動モータの制御装置のブロック構成を示す図である。
図10は実施例3のPIゲインの切り替えデータテーブルを示す説明図である。
実施例3では、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15は、回転速度検出部21からの回転速度から、図10に示すテーブルデータから回転速度に応じたモータトルクの所定値301を設定する。
そして、モータトルク推定部17からのモータトルクと所定値を比較し、所定値より大きくなるとPIゲインを変更する。
構造を説明する。
図9は実施例3の電動モータの制御装置のブロック構成を示す図である。
図10は実施例3のPIゲインの切り替えデータテーブルを示す説明図である。
実施例3では、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15は、回転速度検出部21からの回転速度から、図10に示すテーブルデータから回転速度に応じたモータトルクの所定値301を設定する。
そして、モータトルク推定部17からのモータトルクと所定値を比較し、所定値より大きくなるとPIゲインを変更する。
この所定値301は、横軸に回転速度、縦軸にモータトルクを取り、最大トルク特性302(NT特性)を示した際に、回転速度に対してモータトルクが一定となる領域Aでは、所定値301は、そのモータトルクの最大特性までを発揮できるように、最大特性値より大きな値とする。この領域Aは低速側となる。
次に、領域Aより高速側の領域Bでは、回転速度に対して最大モータトルクが除々に低下する最大トルク特性302となる。この領域Bでは、最大トルク特性302よりややモータトルクが低くなるように所定値302を設定する。
次に、領域Aより高速側の領域Bでは、回転速度に対して最大モータトルクが除々に低下する最大トルク特性302となる。この領域Bでは、最大トルク特性302よりややモータトルクが低くなるように所定値302を設定する。
なお、領域Bは、電流検出ができなくなる可能性のある回転速度領域となる。なぜならば、領域Aの回転速度に対して最大トルクが一定となる特性部分では、デューティ比が限界となることがない。実際には、電流値で制限されることになる。これに対して、領域Bの回転速度に対して最大トルクが低下していく特性部分では、電圧により制限されることになるため、デューティ比が限界になることがある。つまり、高速においては、モータの逆起電圧が高くなっていくためである。
そのため、実施例2における所定値の設定テーブルデータ(図10)は、言い換えて説明すると、電流検出ができなくなる可能性のある領域の最大トルクから、少し下げたトルク値をゲイン変更の所定値としていることになる。
作用を説明する。
[トルク振動対策、脱調対策、運転可能領域の広域確保作用]
実施例3では、予めモータインバータ2の3相交流同期モータ201の最大トルク特性302(NT特性)を実験等で求めておき、この最大トルク特性302に対して、図10に示すように所定値を回転速度に応じて変化させるテーブルデータにしておく。
そして、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15が、回転速度検出部21からの回転速度に応じて所定値を設定し、この所定値よりモータトルク推定部17からのモータトルクが大きくなると、PIゲインを小さくするよう変更する。
[トルク振動対策、脱調対策、運転可能領域の広域確保作用]
実施例3では、予めモータインバータ2の3相交流同期モータ201の最大トルク特性302(NT特性)を実験等で求めておき、この最大トルク特性302に対して、図10に示すように所定値を回転速度に応じて変化させるテーブルデータにしておく。
そして、Q軸電流FB制御器14及びD軸電流FB制御器15が、回転速度検出部21からの回転速度に応じて所定値を設定し、この所定値よりモータトルク推定部17からのモータトルクが大きくなると、PIゲインを小さくするよう変更する。
ここでは、回転速度に応じた、3相交流同期モータ201の最大トルク特性を考慮して、PIゲイン(Kp,Ki)を小さくする。そのため、特性を考慮してゲインをなるべく大きくしていることになる。よって、トルク振動の抑制、脱調の防止は、さらに向上することになる。それでいて、電流検出が不可能になる可能性がある領域では、回転速度に応じた最大トルクに達する直前に、PIゲインを小さくすることになり、確実に電流検出を不可能にさせず、運転可能領域の広域確保を行う。
効果を説明する。実施例3の電動モータの制御装置にあっては、上記(1),(4),(5)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(2)3相交流同期モータ201の回転速度を検出する回転速度検出部21を設け、ゲイン変更処理は、モータトルクの所定値を3相交流同期モータ201の回転速度に応じて図10のテーブルデータで決定するため、モータの特性を考慮して、PIゲインをなるべく大きくして、さらにトルク振動の抑制、脱調の防止を向上させつつ、電流検出が不可能になる可能性がある領域では、確実に電流検出を不可能にさせないようにして、運転可能領域の広域確保を行うことができる。
(2)3相交流同期モータ201の回転速度を検出する回転速度検出部21を設け、ゲイン変更処理は、モータトルクの所定値を3相交流同期モータ201の回転速度に応じて図10のテーブルデータで決定するため、モータの特性を考慮して、PIゲインをなるべく大きくして、さらにトルク振動の抑制、脱調の防止を向上させつつ、電流検出が不可能になる可能性がある領域では、確実に電流検出を不可能にさせないようにして、運転可能領域の広域確保を行うことができる。
以上、本発明の電動モータの制御装置を実施例1〜実施例3に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
回転角度検出部と回転速度検出部は、別に設けるようにしても、どちらか一方を検出して、他方を微積分で求めるようにしてもよい。また、回転角度検出部や回転速度検出部は、エンコーダ等により直接的に検出するものであっても、電流や電圧により間接的に検出するものであっても、どちらでもよい。
また、3相交流同期モータは、ハイブリッド車(HEV)の駆動用として用いるものであってもよいし、電気自動車(EV)の駆動用として用いるものであってもよい。トルク振動の抑制は、作動音の低減につながり、運転可能領域の広域確保は、モータ小型化につながる。
実施例では、インバータはトランジスタで構成したが、他のスイッチング素子を用いたものであってもよい。
実施例では、インバータはトランジスタで構成したが、他のスイッチング素子を用いたものであってもよい。
1 電動モータ制御装置
2 モータインバータ
11 DQ軸電流指令値演算部
111 加算器
112 速度FB制御器
113 DQ軸電流配分部
12 加算器
13 加算器
14 Q軸電流FB制御器
15 D軸電流FB制御器
16 インバータ制御信号演算部
17 モータトルク推定部
18 電流変換部
19 3相電流検出部
20 回転角度検出部
21 回転速度検出部
201 3相交流同期モータ
202 電源
203〜208 トランジスタ
209 電流検出抵抗
210 電流検出抵抗
250 所定値
260 移行領域
301 所定値
302 最大トルク特性
302 所定値
Ia DQ軸電流指令値
Iq Q軸電流の実値
Id D軸電流の実値
Iq* Q軸電流目標値
Id* D軸電流目標値
Ki 積分ゲイン
Kp 比例ゲイン
Iu U相電流
Iv V相電流
Iw W相電流
Vd* D軸電圧指令値
Vq* Q軸電圧指令値
2 モータインバータ
11 DQ軸電流指令値演算部
111 加算器
112 速度FB制御器
113 DQ軸電流配分部
12 加算器
13 加算器
14 Q軸電流FB制御器
15 D軸電流FB制御器
16 インバータ制御信号演算部
17 モータトルク推定部
18 電流変換部
19 3相電流検出部
20 回転角度検出部
21 回転速度検出部
201 3相交流同期モータ
202 電源
203〜208 トランジスタ
209 電流検出抵抗
210 電流検出抵抗
250 所定値
260 移行領域
301 所定値
302 最大トルク特性
302 所定値
Ia DQ軸電流指令値
Iq Q軸電流の実値
Id D軸電流の実値
Iq* Q軸電流目標値
Id* D軸電流目標値
Ki 積分ゲイン
Kp 比例ゲイン
Iu U相電流
Iv V相電流
Iw W相電流
Vd* D軸電圧指令値
Vq* Q軸電圧指令値
Claims (7)
- 3相交流同期モータへの要求に基づいて、前記3相交流同期モータの目標Q軸電流、目標D軸電流を設定する目標DQ軸電流指令値演算手段と、
各相に流れる交流電流を検出する3相電流検出手段と、
前記3相交流同期モータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、
各相の交流電流に対し、前記回転角度を用いて、クラーク変換とパーク変換を行い、実Q軸電流、実D軸電流を演算する電流変換手段と、
前記目標Q軸電流と実Q軸電流から、その差が小さくなるようにPI制御によってQ軸電圧指令値を演算するQ軸指令値演算手段と、
前記目標D軸電流と実D軸電流から、その差が小さくなるようにPI制御によってD軸電圧指令値を演算するD軸指令値演算手段と、
前記Q軸電圧指令値と前記D軸電圧指令値と前記回転角度から、前記3相交流同期モータを駆動するインバータのスイッチング素子の制御信号を演算するインバータ制御信号演算手段と、
前記3相交流同期モータが発生させるモータトルクを推定するモータトルク推定手段と、
を備え、
前記Q軸指令値演算手段及び前記D軸指令値演算手段は、前記モータトルクが所定値より大きい場合に、前記モータトルクが所定値より小さい場合に比較して、PI制御のPゲイン及びIゲインを小さくするゲイン変更手段を備えた、
前記ことを特徴とする電動モータの制御装置。 - 請求項1に記載の電動モータの制御装置において、
前記3相交流同期モータの回転速度を検出する回転速度検出手段を設け、
前記ゲイン変更手段は、モータトルクの所定値を前記3相交流同期モータの回転速度に応じて決定する、
ことを特徴とする電動モータの制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の電動モータの制御装置において、
前記モータトルク推定手段は、前記実Q軸電流及び前記実D軸電流からモータトルクを推定する、
ことを特徴とする電動モータの制御装置。 - 請求項1に記載の電動モータの制御装置において、
前記ゲイン変更手段のモータトルクの所定値は、前記モータトルクを電流検出に影響のある範囲と電流検出に影響のない範囲に分けた際の境界として設定した、ものである、
ことを特徴とする電動モータの制御装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電動モータの制御装置において、
前記3相交流同期モータの回転速度を検出する回転速度検出手段を設け、
前記3相交流同期モータへの要求は、目標回転速度であり、
前記目標DQ軸電流指令値演算手段は、
前記目標回転速度と回転速度の検出値の偏差を演算する偏差演算部と、
前記偏差に対して速度ゲインを乗じてフィードバック制御によりDQ軸電流指令値を演算する速度フィードバック演算手段と、
前記DQ軸電流指令値を目標D軸電流と目標Q軸電流に配分する演算を行うDQ軸電流配分手段と、
を備えたことを特徴とする電動モータの制御装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電動モータの制御装置において、
前記Q軸指令値演算手段及び前記D軸指令値演算手段のゲイン変更手段は、前記モータトルクが所定値より大きい場合に、PI制御のPゲイン及びIゲインを小さくする際に、前記モータトルクに移行区間を設け、移行区間において徐々に小さくする、
ことを特徴とする電動モータの制御装置。 - 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電動モータの制御装置において、
前記3相交流同期モータは、車両の空調装置におけるコンプレッサを駆動するのに用いられるものである、
ことを特徴とする電動モータの制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008026036A JP2009189146A (ja) | 2008-02-06 | 2008-02-06 | 電動モータの制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008026036A JP2009189146A (ja) | 2008-02-06 | 2008-02-06 | 電動モータの制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2008
- 2008-02-06 JP JP2008026036A patent/JP2009189146A/ja active Pending
Cited By (12)
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