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JP2009142284A - 前立腺癌の治療および診断のための組成物および方法 - Google Patents

前立腺癌の治療および診断のための組成物および方法 Download PDF

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JP2009142284A
JP2009142284A JP2009017430A JP2009017430A JP2009142284A JP 2009142284 A JP2009142284 A JP 2009142284A JP 2009017430 A JP2009017430 A JP 2009017430A JP 2009017430 A JP2009017430 A JP 2009017430A JP 2009142284 A JP2009142284 A JP 2009142284A
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cells
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JP2009017430A
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Jiangchun Xu
シュー,ジャンチュン
Davin C Dillon
シー. ディロン,デイビン
Jennifer L Mitcham
エル. ミッチャム,ジェニファー
Susan L Harlocker
エル. ハーロッカー,スーザン
Yuqiu Jiang
ジャン,ユーキウ
Steven G Reed
ジー. リード,スティーブン
Michael D Kalos
ディー. カロス,マイケル
Marc W Retter
ダブリュ. レター,マーク
John A Stolk
エー. ストーク,ジョン
Craig H Day
エイチ. デイ,クレイグ
Yasir A W Skeiky
エー.ダブリュ. スケイキー,ヤサー
Aijun Wang
ワン,アイジュン
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  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
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Abstract

【課題】前立腺癌などの癌の治療および診断のための組成物ならびに方法、更に診断方法を提供する。
【解決手段】組成物は、1種以上の前立腺特異的タンパク質、その免疫原性部分、またはそのような部分をコードするポリヌクレオチドを含みうる。あるいはまた、治療用組成物は、前立腺特異的タンパク質を発現する抗原提示細胞、またはそのようなタンパク質を発現する細胞に特異的なT細胞を含んでもよい。そのような組成物は、例えば、前立腺癌などの疾患の予防および治療に用いることができる。サンプル中の前立腺特異的タンパク質またはそのようなタンパク質をコードするmRNAを検出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般に、癌、例えば、前立腺癌の療法および診断に関する。さらに詳しくは、本発明は、前立腺特異的タンパク質の少なくとも一部分を含んでなるポリペプチド、およびこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。このようなポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、前立腺癌の予防および治療、およびこのような癌の診断およびモニターのためのワクチンおよび医薬組成物において使用することができる。
前立腺癌は男性の間の癌の最も普通の形態であり、50歳を超える男性において30%の発生率である。圧倒する臨床的証拠は、ヒトの前立腺癌は骨へ転移する傾向を有し、そしてこの疾患はアンドロゲン依存症からアンドロゲン耐性状態に不可避的に進行し、患者の死亡率を増加させる。この支配的な疾患は米国における男性の間の癌の死亡の第2の主要な原因である。
この疾患の療法がかなり研究されているにもかかわらず、前立腺癌は治療が困難なままである。一般に、治療は外科手術および/または放射線療法に基づくが、これらの方法は症例のかなりの割合において無効である。2つの従来同定された前立腺特異的タンパク質である前立腺特異的抗原(PSA)および前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)は制限された療法および診断の可能性を有する。例えば、PSAレベルは常には前立腺癌の存在と十分に相関せず、良性前立腺過形成(BPH)を包含する、非前立腺癌の症例の一定の割合において陽性である。さらに、PSAの測定値は前立腺の体積と相関し、そして転移のレベルを示さない。
これらおよび他の癌についての療法がかなり研究されているにもかかわらず、前立腺癌を効果的に診断および療法することは困難である状態である。したがって、このような癌を検出し、治療する改良された方法がこの分野において必要とされている。本発明は、これらの必要性を満足し、さらに他の関係する利点を提供する。
発明の要約
簡単に述べると、本発明は、癌、例えば、前立腺癌の診断および療法の組成物および方法を提供する。1つの態様において本発明は、前立腺特異的タンパク質の少なくとも一部分を含んでなるポリペプチド、またはその変異型を提供する。ある種の部分および他の変異型は、抗原特異的抗血清と反応する変異型の能力が実質的に減少しないように、免疫原性である。ある種の実施形態内において、ポリペプチドは前立腺特異的タンパク質の少なくとも免疫原性部分、またはその変異型を含んでなり、腫瘍タンパク質は下記の配列から成る群から選択されるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含んでなる:(a)配列番号1〜111、115〜171、173〜175、177、179〜305、307〜315、326、328、330、332〜335、340〜375、381、382、384-476、524、526、530、531、533、535、および536の任意の1つに記載する配列;(b)中程度にストリンジェントな条件下に前記配列の任意のものにハイブリダイゼーションする配列;および(c)配列(a)または(b)の任意の相補物。ある種の特定の実施形態において、このようなポリペプチドは、下記のいずれか1つに記載する配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を包含するタンパク質の、少なくとも一部分、またはその変異型を含んでなる:配列番号112〜114、172、176、178、327、329、331、336、339、376〜380、383、477-483、496、504、505、519、520、522、525、527、532、534、537-550。
本発明は、さらに、前述のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはその一部分(例えば、前立腺特異的タンパク質の少なくとも15アミノ酸残基をコードする部分)、このようなポリヌクレオチドを含んでなる発現ベクター、およびこのような発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
他の態様の範囲内において、本発明は、前述のポリペプチドまたはポリヌクレオチドと、製薬上許容される担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。
本発明の関係する態様の範囲内において、ワクチンが提供される。このようなワクチンは、前述のポリペプチドまたはポリヌクレオチドと、免疫刺激剤とを含んでなる。
本発明は、さらに、(a)前立腺特異的タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗体結合フラグメントと、(b)製薬上許容される担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。ある実施形態においては、本発明は、配列番号502、503、および506-508から成る群から選ばれる相補性決定領域を含むモノクローナル抗体とともに、配列番号496、504、505、509-517、522、および541-550から成る群から選ばれるアミノ酸配列に特異的に結合するモノクローナル抗体を提供する。
さらなる態様において、(a)前述のポリペプチドを発現する抗原提示細胞と、(b)製薬上許容される担体または賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。抗原提示細胞は、樹状細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞およびB細胞を包含する。
関係する態様の範囲内において、(a)前述のポリペプチドを発現する抗原提示細胞と、(b)免疫刺激剤とを含んでなるワクチンが提供される。
本発明は、さらに、他の態様において、少なくとも1つの前述のポリペプチドを含んでなる融合タンパク質、ならびにこのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。
関係する態様の範囲内において、融合タンパク質と、または融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドと、製薬上許容される担体との組合わせを含んでなる医薬組成物が提供される。
さらに、他の態様の範囲内において、融合タンパク質と、または融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドと、免疫刺激剤との組合わせを含んでなるワクチンが提供される。
さらなる態様の範囲内において、本発明は、前述の医薬組成物またはワクチンを患者に投与することを含んでなる、患者において癌の発生を阻止する方法を提供する。
本発明は、さらに、他の態様の範囲内において、前立腺特異的タンパク質と特異的に反応するT細胞と生物学的試料を接触させることを含んでなり、前記タンパク質を発現する細胞を前記試料から除去することを可能とする条件下にかつ十分な時間の間接触工程を実施する、生物学的試料から腫瘍細胞を除去する方法を提供する。
関係する態様の範囲内において、前述したように処理した生物学的試料を患者に投与することを含んでなる、患者において癌の発生を阻止する方法が提供される。
さらに、他の態様の範囲内において、T細胞の刺激および/または発現を可能とする条件下にかつ十分な時間の間、T細胞を下記の1またはそれ以上と接触させることを含んでなる、前立腺腫瘍タンパク質に対して特異的なT細胞を刺激および/または拡張する方法が提供される:(i)前述のポリペプチド;(ii)このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および/または(iii)このようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞。
さらなる態様の範囲内において、本発明は、有効量の前述のT細胞集団を患者に投与することを含んでなる、患者において癌の発生を阻止する方法を提供する。
本発明はさらに、下記の工程を含んでなる、患者において癌の発生を阻止する方法を提供する:(a)患者から単離されたCD4+および/またはCD8+T細胞を下記の1またはそれ以上とインキュベートする:(i)前立腺腫瘍タンパク質の少なくとも免疫原性部分;(ii)このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および(iii)このようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞;そして(b)有効量の増殖したT細胞を患者に投与し、これにより患者における癌の発生を阻止する。増殖した細胞は、患者への投与前に、クローニングすることができるが、これは必ずしも必要ではない。
さらなる態様の範囲内において、本発明は、下記の工程を含んでなる、患者における癌の存在または不存在を決定する方法を提供する:(a)患者から得られた生物学的試料を前述のポリペプチドに結合する結合因子と接触させ:(b)試料中で結合因子に結合するポリペプチドの量を検出し;そして(c)前記ポリペプチドの量を前もって決定したカットオフ値と比較し、それから患者における癌の存在または非存在を決定する。好ましい実施形態の範囲内において、結合因子は抗体、より好ましくはモノクローナル抗体である。癌は前立腺癌であることができる。
本発明は、また、他の態様の範囲内において、患者における癌の進行をモニターする方法を提供する。このような方法は下記の工程を含んでなる:(a)患者から得られた生物学的試料を第1時点において前述のポリペプチドに結合する結合因子と接触させ;(b)試料中で結合因子に結合するポリペプチドの量を検出し;(c)引き続く時点において患者から得られた生物学的試料を使用して工程(a)および(b)を反復し;そして(d)工程(c)において検出されたポリペプチドの量を工程(b)において検出された量と比較し、それから患者における癌の進行をモニターする。
本発明は、また、他の態様の範囲内において、下記の工程を含んでなる患者における癌の存在または不存在を検出する方法を提供する:(a)前立腺特異的タンパク質をコードするポリヌクレオチドに対してハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドと、患者から得られた生物学的試料を接触させ;(b)試料中でオリゴヌクレオチドに対してハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド、好ましくはmRNAのレベルを検出し;(c)オリゴヌクレオチドに対してハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドのレベルを前もって決定したカットオフ値と比較し、それから患者における癌の存在または不存在を決定する。ある種の実施形態の範囲内において、例えば、前述のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはこのようなポリヌクレオチドの1成分に対してハイブリダイゼーションする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用してポリメラーゼ連鎖反応を介して、mRNAの量を検出する。他の実施形態の範囲内において、前述のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはこのようなポリヌクレオチドの1成分に対してハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドプローブを用いるハイブリダイゼーション技術により、mRNAの量を検出する。
関係する態様において、下記の工程を含んでなる患者における癌の進行をモニターする方法が提供される:(a)前立腺特異的タンパク質をコードするポリヌクレオチドに対してハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドと、患者から得られた生物学的試料を接触させ;(b)試料中でオリゴヌクレオチドに対してハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドの量を検出し;(c)引き続く時点において患者から得られた生物学的試料を使用して工程(a)および(b)を反復し;そして(d)工程(c)において検出されたポリヌクレオチドの量を工程(b)において検出されたポリヌクレオチドの量と比較し、それから患者における癌の進行をモニターする。
さらなる態様の範囲内において、本発明は、前述のポリペプチドに結合する抗体、例えば、モノクローナル抗体、ならびにこのような抗体を含んでなる診断キットを提供する。また、1またはそれ以上の前述のオリゴヌクレオチドのプローブまたはプライマーを含んでなる診断キットが提供される。
本発明のこれらの態様および他の態様は、下記の詳細な説明および添付図面を参照すると、明らかとなるであろう。本明細書に開示するすべての参考文献は、各々が個々の引用されるようにそれらの全体において、引用することによって本明細書の一部とされる。
図1は、対照線維芽細胞と比較して、代表的な前立腺特異的ポリペプチドP502Sを発現する線維芽細胞を殺すT細胞の能力を示す。示されるように、溶解パーセントを一連のエフェクター:ターゲット比として示す。 図2Aおよび図2Bは、代表的な前立腺特異的ポリペプチドP502Sを発現する細胞を認識する。各場合において、異なる数のレスポンダーについてγ−インターフェロンのスポットの数が示されている。図2Aにおいて、対照E75ペプチドでパルスした線維芽細胞と比較して、P2S−12ペプチドでパルスした線維芽細胞についてのデータが提示されている。図2Bにおいて、HER−2/neuを発現する線維芽細胞と比較して、P502Sを発現する線維芽細胞についてのデータが提示されている。 図3は、P501Sに由来するP1S#10ペプチドがHLA−A2に結合することを示すペプチド競合結合アッセイを表す。ペプチドP1S#10は、TNF放出バイオアッセイにおいてCTLクローンD150M58に対するfluM58ペプチドのHLA−A2制限提示を阻害する。D150M58 CTLは、HLA−A2結合性インフルエンザマトリックスペプチドfluM58に対して特異的である。 図4は、EGFP導入Jurkat A2Kbと比較して、P1S#10パルスされたJurkat A2KbターゲットおよびP501S導入Jurkat A2Kbターゲットを特異的に溶解する、P1S#10免疫化マウスから生成したT細胞株の能力を示す。示されるように、溶解パーセントを一連のエフェクター/ターゲット比として示す。 図5は、代表的な前立腺特異的ポリペプチドP501Sを発現するJurkat A2Kb細胞を認識しかつ特異的に溶解するT細胞クローンの能力を示し、これによりP1S#10ペプチドがP501Sポリペプチドの天然にプロセシングされたエピトープでありうることを証明する。 図6Aおよび図6Bは、代表的な前立腺特異的抗原(P501S)に対するCD8+細胞株(3A−1)の特異性を示すグラフである。図6Aは51Cr放出アッセイの結果を示す。示されるように、比溶解パーセントを一連のエフェクター:ターゲット比として示す。図6Bは、変化するエフェクター:ターゲット比において、P501Sを導入した自己由来B−LCLで刺激された3A−1細胞によるインターフェロン−ガンマの産生を示す。 図7は、バキュロウイルスでのP501Sの発現を示すウェスタンブロットである。 図8は、P501Sに対するエピトープ・マッピング試験の結果を示す。 図9は、膜貫通ドメイン並びに推定細胞内ドメインおよび細胞外ドメインの位置を示す、P501Sタンパク質の略図である。 図10は、染色体22q11.2のCat Eye症候群領域内の前立腺遺伝子P775P、P704P、B305D、P712P、およびP774Pの位置を示す、ゲノム地図である。 図11は、P501Sペプチドに特異的な抗体のELISAアッセイの結果を示す。
配列の同定
配列番号1はF1-13について決定されたcDNA配列である。
配列番号2はF1-12について決定された3'cDNA配列である。
配列番号3はF1-12について決定された5'cDNA配列である。
配列番号4はF1-16について決定された3'cDNA配列である。
配列番号5はH1-1について決定された3'cDNA配列である。
配列番号6はH1-9について決定された3'cDNA配列である。
配列番号7はH1-4について決定された3'cDNA配列である。
配列番号8はJ1-17について決定された3'cDNA配列である。
配列番号9はJ1-17について決定された5'cDNA配列である。
配列番号10はL1-12について決定された3'cDNA配列である。
配列番号11はL1-12について決定された5'cDNA配列である。
配列番号12はN1-1862について決定された3'cDNA配列である。
配列番号13はN1-1862について決定された5'cDNA配列である。
配列番号14はJ1-13について決定された3'cDNA配列である。
配列番号15はJ1-13について決定された5'cDNA配列である。
配列番号16はJ1-19について決定された3'cDNA配列である。
配列番号17はJ1-19について決定された5'cDNA配列である。
配列番号18はJ1-25について決定された3'cDNA配列である。
配列番号19はJ1-25について決定された5'cDNA配列である。
配列番号20はJ1-24について決定された5'cDNA配列である。
配列番号21はJ1-24について決定された3'cDNA配列である。
配列番号22はK1-58について決定された5'cDNA配列である。
配列番号23はK1-58について決定された3'cDNA配列である。
配列番号24はK1-63について決定された5'cDNA配列である。
配列番号25はK1-63について決定された3'cDNA配列である。
配列番号26はL1-4について決定された5'cDNA配列である。
配列番号27はL1-4について決定された3'cDNA配列である。
配列番号28はL1-14について決定された5'cDNA配列である。
配列番号29はL1-14について決定された3'cDNA配列である。
配列番号30はJ1-12について決定された3'cDNA配列である。
配列番号31はJ1-16について決定された3'cDNA配列である。
配列番号32はJ1-21について決定された3'cDNA配列である。
配列番号33はK1-48について決定された3'cDNA配列である。
配列番号34はK1-55について決定された3'cDNA配列である。
配列番号35はL1-2について決定された3'cDNA配列である。
配列番号36はL1-6について決定された3'cDNA配列である。
配列番号37はN1-1858について決定された3'cDNA配列である。
配列番号38はN1-1860について決定された3'cDNA配列である。
配列番号39はN1-1861について決定された3'cDNA配列である。
配列番号40はJ1-1864について決定された3'cDNA配列である。
配列番号41はP5について決定されたcDNA配列である。
配列番号42はP8について決定されたcDNA配列である。
配列番号43はP9について決定されたcDNA配列である。
配列番号44はP18について決定されたcDNA配列である。
配列番号45はP20について決定されたcDNA配列である。
配列番号46はP29について決定されたcDNA配列である。
配列番号47はP30について決定されたcDNA配列である。
配列番号48はP34について決定されたcDNA配列である。
配列番号49はP36について決定されたcDNA配列である。
配列番号50はP38について決定されたcDNA配列である。
配列番号51はP39について決定されたcDNA配列である。
配列番号52はP42について決定されたcDNA配列である。
配列番号53はP47について決定されたcDNA配列である。
配列番号54はP49について決定されたcDNA配列である。
配列番号55はP50について決定されたcDNA配列である。
配列番号56はP53について決定されたcDNA配列である。
配列番号57はP55について決定されたcDNA配列である。
配列番号58はP60について決定されたcDNA配列である。
配列番号59はP64について決定されたcDNA配列である。
配列番号60はP65について決定されたcDNA配列である。
配列番号61はP73について決定されたcDNA配列である。
配列番号62はP75について決定されたcDNA配列である。
配列番号63はP76について決定されたcDNA配列である。
配列番号64はP79について決定されたcDNA配列である。
配列番号65はP84について決定されたcDNA配列である。
配列番号66はP68について決定されたcDNA配列である。
配列番号67はP80について決定されたcDNA配列である。
配列番号68はP82について決定されたcDNA配列である。
配列番号69はU1-3064について決定されたcDNA配列である。
配列番号70はU1-3065について決定されたcDNA配列である。
配列番号71はV1-3692について決定されたcDNA配列である。
配列番号72は1A-3905について決定されたcDNA配列である。
配列番号73はV1-3686について決定されたcDNA配列である。
配列番号74はR1-2330について決定されたcDNA配列である。
配列番号75は1B-3976について決定されたcDNA配列である。
配列番号76はV1-3679について決定されたcDNA配列である。
配列番号77は1G-4736について決定されたcDNA配列である。
配列番号78は1G-4739について決定されたcDNA配列である。
配列番号79は1G-4741について決定されたcDNA配列である。
配列番号80は1G-4744について決定されたcDNA配列である。
配列番号81は1G-4734について決定されたcDNA配列である。
配列番号82は1H-4774について決定されたcDNA配列である。
配列番号83は1H-4781について決定されたcDNA配列である。
配列番号84は1H-4785について決定されたcDNA配列である。
配列番号85は1H-4787について決定されたcDNA配列である。
配列番号86は1H-4796について決定されたcDNA配列である。
配列番号87は1I-4807について決定されたcDNA配列である。
配列番号88は1I-4810について決定されたcDNA配列である。
配列番号89は1I-4811について決定されたcDNA配列である。
配列番号90は1J-4876について決定されたcDNA配列である。
配列番号91は1K-4884について決定されたcDNA配列である。
配列番号92は1K-4896について決定されたcDNA配列である。
配列番号93は1G-4761について決定されたcDNA配列である。
配列番号94は1G-4762について決定されたcDNA配列である。
配列番号95は1H-4766について決定されたcDNA配列である。
配列番号96は1H-4770について決定されたcDNA配列である。
配列番号97は1H-4771について決定されたcDNA配列である。
配列番号98は1H-4772について決定されたcDNA配列である。
配列番号99は1D-4297について決定されたcDNA配列である。
配列番号100は1D-4309について決定されたcDNA配列である。
配列番号101は1D.1-4278について決定されたcDNA配列である。
配列番号102は1D-4288について決定されたcDNA配列である。
配列番号103は1D-4283について決定されたcDNA配列である。
配列番号104は1D-4304について決定されたcDNA配列である。
配列番号105は1D-4296について決定されたcDNA配列である。
配列番号106は1D-4280について決定されたcDNA配列である。
配列番号107はF1-12(また、P504Sと呼ぶ)について決定された全長のcDNA配列である。
配列番号108はF1-12について予測されたアミノ酸配列である。
配列番号109はJ1-17について決定された全長のcDNA配列である。
配列番号110はL1-12(P501Sともいう)について決定された全長のcDNA配列である。
配列番号111はN1-1862(P503Sともいう)について決定された全長のcDNA配列である。
配列番号112はJ1-17について予測されたアミノ酸配列である。
配列番号113はL1-12(P501Sともいう)について予測されたアミノ酸配列である。
配列番号114はN1-1862(P503Sともいう)について予測されたアミノ酸配列である。
配列番号115はP89について決定されたcDNA配列である。
配列番号116はP90について決定されたcDNA配列である。
配列番号117はP92について決定されたcDNA配列である。
配列番号118はP95について決定されたcDNA配列である。
配列番号119はP98について決定されたcDNA配列である。
配列番号120はP102について決定されたcDNA配列である。
配列番号121はP110について決定されたcDNA配列である。
配列番号122はP111について決定されたcDNA配列である。
配列番号123はP114について決定されたcDNA配列である。
配列番号124はP115について決定されたcDNA配列である。
配列番号125はP116について決定されたcDNA配列である。
配列番号126はP124について決定されたcDNA配列である。
配列番号127はP126について決定されたcDNA配列である。
配列番号128はP130について決定されたcDNA配列である。
配列番号129はP133について決定されたcDNA配列である。
配列番号130はP138について決定されたcDNA配列である。
配列番号131はP143について決定されたcDNA配列である。
配列番号132はP151について決定されたcDNA配列である。
配列番号133はP156について決定されたcDNA配列である。
配列番号134はP157について決定されたcDNA配列である。
配列番号135はP166について決定されたcDNA配列である。
配列番号136はP176について決定されたcDNA配列である。
配列番号137はP178について決定されたcDNA配列である。
配列番号138はP179について決定されたcDNA配列である。
配列番号139はP185について決定されたcDNA配列である。
配列番号140はP192について決定されたcDNA配列である。
配列番号141はP201について決定されたcDNA配列である。
配列番号142はP204について決定されたcDNA配列である。
配列番号143はP208について決定されたcDNA配列である。
配列番号144はP211について決定されたcDNA配列である。
配列番号145はP213について決定されたcDNA配列である。
配列番号146はP219について決定されたcDNA配列である。
配列番号147はP237について決定されたcDNA配列である。
配列番号148はP239について決定されたcDNA配列である。
配列番号149はP248について決定されたcDNA配列である。
配列番号150はP251について決定されたcDNA配列である。
配列番号151はP255について決定されたcDNA配列である。
配列番号152はP256について決定されたcDNA配列である。
配列番号153はP259について決定されたcDNA配列である。
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配列番号155はP263について決定されたcDNA配列である。
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配列番号159はP272について決定されたcDNA配列である。
配列番号160はP278について決定されたcDNA配列である。
配列番号161はP105について決定されたcDNA配列である。
配列番号162はP107について決定されたcDNA配列である。
配列番号163はP137について決定されたcDNA配列である。
配列番号164はP194について決定されたcDNA配列である。
配列番号165はP195について決定されたcDNA配列である。
配列番号166はP196について決定されたcDNA配列である。
配列番号167はP220について決定されたcDNA配列である。
配列番号168はP234について決定されたcDNA配列である。
配列番号169はP235について決定されたcDNA配列である。
配列番号170はP243について決定されたcDNA配列である。
配列番号171はP703P-DE1について決定されたcDNA配列である。
配列番号172はP703P-DE1について予測されたアミノ酸配列である。
配列番号173はP703P-DE2について決定されたcDNA配列である。
配列番号174はP703P-DE6について決定されたcDNA配列である。
配列番号175はP703P-DE13について決定されたcDNA配列である。
配列番号176はP703P-DE13について予測されたアミノ酸配列である。
配列番号177はP703P-DE14について決定されたcDNA配列である。
配列番号178はP703P-DE14について予測されたアミノ酸配列である。
配列番号179は1G-4736について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号180は1G-4738について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号181は1G-4741について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号182は1G-4744について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号183は1H-4774について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号184は1H-4781について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号185は1H-4785について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号186は1H-4787について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号187は1H-4796について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号188は1I-4807について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号189は1I-4810について決定された3'cDNA配列である。
配列番号190は1I-4811について決定された3'cDNA配列である。
配列番号191は1J-4876について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号192は1K-4884について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号193は1K-4896について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号194は1G-4761について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号195は1G-4762について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号196は1H-4766について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号197は1H-4770について決定された3'cDNA配列である。
配列番号198は1H-4771について決定された3'cDNA配列である。
配列番号199は1H-4772について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号200は1D-4309について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号201は1D.1-4278について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号202は1D-4288について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号203は1D-4283について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号204は1D-4304について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号205は1D-4296について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号206は1D-4280について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号207は10-d8fwdについて決定されたcDNA配列である。
配列番号208は10-H10conについて決定されたcDNA配列である。
配列番号209は11-C8revについて決定されたcDNA配列である。
配列番号210は7.g6fwdについて決定されたcDNA配列である。
配列番号211は7.g6revについて決定されたcDNA配列である。
配列番号212は8-b5fwdについて決定されたcDNA配列である。
配列番号213は8-b5revについて決定されたcDNA配列である。
配列番号214は8-b6fwdについて決定されたcDNA配列である。
配列番号215は8-b6revについて決定されたcDNA配列である。
配列番号216は8-d4fwdについて決定されたcDNA配列である。
配列番号217は8-d9revについて決定されたcDNA配列である。
配列番号218は8-g3fwdについて決定されたcDNA配列である。
配列番号219は8-g3revについて決定されたcDNA配列である。
配列番号220は8-h11revについて決定されたcDNA配列である。
配列番号221はg-f12fwdについて決定されたcDNA配列である。
配列番号222はg-f3revについて決定されたcDNA配列である。
配列番号223はP509Sについて決定されたcDNA配列である。
配列番号224はP510Sについて決定されたcDNA配列である。
配列番号225はP703DE5について決定されたcDNA配列である。
配列番号226は9-A11について決定されたcDNA配列である。
配列番号227は8-C6について決定されたcDNA配列である。
配列番号228は8-H7について決定されたcDNA配列である。
配列番号229はJPTPN13について決定されたcDNA配列である。
配列番号230はJPTPN14について決定されたcDNA配列である。
配列番号231はJPTPN23について決定されたcDNA配列である。
配列番号232はJPTPN24について決定されたcDNA配列である。
配列番号233はJPTPN25について決定されたcDNA配列である。
配列番号234はJPTPN30について決定されたcDNA配列である。
配列番号235はJPTPN34について決定されたcDNA配列である。
配列番号236はPTPN35について決定されたcDNA配列である。
配列番号237はJPTPN36について決定されたcDNA配列である。
配列番号238はJPTPN38について決定されたcDNA配列である。
配列番号239はJPTPN39について決定されたcDNA配列である。
配列番号240はJPTPN40について決定されたcDNA配列である。
配列番号241はJPTPN41について決定されたcDNA配列である。
配列番号242はJPTPN42について決定されたcDNA配列である。
配列番号243はJPTPN45について決定されたcDNA配列である。
配列番号244はJPTPN46について決定されたcDNA配列である。
配列番号245はJPTPN51について決定されたcDNA配列である。
配列番号246はJPTPN56について決定されたcDNA配列である。
配列番号247はPTPN64について決定されたcDNA配列である。
配列番号248はJPTPN65について決定されたcDNA配列である。
配列番号249はJPTPN67について決定されたcDNA配列である。
配列番号250はJPTPN76について決定されたcDNA配列である。
配列番号251はJPTPN84について決定されたcDNA配列である。
配列番号252はJPTPN85について決定されたcDNA配列である。
配列番号253はJPTPN86について決定されたcDNA配列である。
配列番号254はJPTPN87について決定されたcDNA配列である。
配列番号255はJPTPN88について決定されたcDNA配列である。
配列番号256はJP1F1について決定されたcDNA配列である。
配列番号257はJP1F2について決定されたcDNA配列である。
配列番号258はJP1C2について決定されたcDNA配列である。
配列番号259はJP1B1について決定されたcDNA配列である。
配列番号260はJP1B2について決定されたcDNA配列である。
配列番号261はJP1D3について決定されたcDNA配列である。
配列番号262はJP1A4について決定されたcDNA配列である。
配列番号263はJP1F5について決定されたcDNA配列である。
配列番号264はJP1E6について決定されたcDNA配列である。
配列番号265はJP1D6について決定されたcDNA配列である。
配列番号266はJP1B5について決定されたcDNA配列である。
配列番号267はJP1A6について決定されたcDNA配列である。
配列番号268はJP1E8について決定されたcDNA配列である。
配列番号269はJP1D7について決定されたcDNA配列である。
配列番号270はJP1D9について決定されたcDNA配列である。
配列番号271はJP1C10について決定されたcDNA配列である。
配列番号272はJP1A9について決定されたcDNA配列である。
配列番号273はJP1F12について決定されたcDNA配列である。
配列番号274はJP1E12について決定されたcDNA配列である。
配列番号275はJP1D11について決定されたcDNA配列である。
配列番号276はJP1C11について決定されたcDNA配列である。
配列番号277はJP1C12について決定されたcDNA配列である。
配列番号278はJP1B12について決定されたcDNA配列である。
配列番号279はJP1A12について決定されたcDNA配列である。
配列番号280はJP8G2について決定されたcDNA配列である。
配列番号281はJP8H1について決定されたcDNA配列である。
配列番号282はJP8H2について決定されたcDNA配列である。
配列番号283はJP8A3について決定されたcDNA配列である。
配列番号284はJP8A4について決定されたcDNA配列である。
配列番号285はJP8C3について決定されたcDNA配列である。
配列番号286はJP8G4について決定されたcDNA配列である。
配列番号287はJP8B6について決定されたcDNA配列である。
配列番号288はJP8D6について決定されたcDNA配列である。
配列番号289はJP8F5について決定されたcDNA配列である。
配列番号290はJP8A8について決定されたcDNA配列である。
配列番号291はJP8C7について決定されたcDNA配列である。
配列番号292はJP8D7について決定されたcDNA配列である。
配列番号293はP8D8について決定されたcDNA配列である。
配列番号294はJP8E7について決定されたcDNA配列である。
配列番号295はJP8F8について決定されたcDNA配列である。
配列番号296はJP8G8について決定されたcDNA配列である。
配列番号297はJP8B10について決定されたcDNA配列である。
配列番号298はJP8C10について決定されたcDNA配列である。
配列番号299はJP8E9について決定されたcDNA配列である。
配列番号300はJP8E10について決定されたcDNA配列である。
配列番号301はJP8F9について決定されたcDNA配列である。
配列番号302はJP8H9について決定されたcDNA配列である。
配列番号303はJP8C12について決定されたcDNA配列である。
配列番号304はJP8E11について決定されたcDNA配列である。
配列番号305はJP8E12について決定されたcDNA配列である。
配列番号306はペプチドPS2#12についてのアミノ酸配列である。
配列番号307はP711Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号308はP712Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号309はCLONE23について決定されたcDNA配列である。
配列番号310はP774Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号311はP775Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号312はP715Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号313はP710Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号314はP767Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号315はP768Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号316〜325は以前に単離された遺伝子の決定されたcDNA配列である。
配列番号326はP703PDE5について決定されたcDNA配列である。
配列番号327はP703PDE5について予測されたアミノ酸配列である。
配列番号328はP703P6.26について決定されたcDNA配列である。
配列番号329はP703P6.26について予測されたアミノ酸配列である。
配列番号330はP703PX-23について決定されたcDNA配列である。
配列番号331はP703PX-23について予測されたアミノ酸配列である。
配列番号332はP509Sについて決定された全長のcDNA配列である。
配列番号333はP707P(また、11-C9と呼ぶ)について決定された延長されたcDNA配列である。
配列番号334はP714Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号335はP705P(また、9-F3と呼ぶ)について決定されたcDNA配列である。
配列番号336は705Pについて予測されたアミノ酸配列である。
配列番号337はペプチドP1S#10のアミノ酸配列である。
配列番号338はペプチドp5のアミノ酸配列である。
配列番号339はペプチドP509Sについて予測されたアミノ酸配列である。
配列番号340はP778Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号341はP786Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号342はP789Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号343はヒトMM46 mRNAに対する相同性を示すクローンについて決定されたcDNA配列である。
配列番号344はヒトTNF−アルファ刺激ABCタンパク質(ABC50)mRNAに対する相同性を示すクローンについて決定されたcDNA配列である。
配列番号345はヒトE−カドヘリンのmRNAに対する相同性を示すクローンについて決定されたcDNA配列である。
配列番号346はヒト核−コード化ミトコンドリアセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(SHMT)に対する相同性を示すクローンについて決定されたcDNA配列である。
配列番号347はヒト自然耐性関連マクロファージタンパク質2(NRAMP2)に対する相同性を示すクローンについて決定されたcDNA配列である。
配列番号348はヒトホスホグルコムターゼ関係タンパク質タンパク質(PGMRP)に対する相同性を示すクローンについて決定されたcDNA配列である。
配列番号349はプロテオソームサブユニットp40のヒトmRNAに対する相同性を示すクローンについて決定されたcDNA配列である。
配列番号350はP777Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号351はP779Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号352はP790Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号353はP784Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号354はP776Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号355はP780Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号356はP544Sについて決定されたcDNA配列である。
配列番号357はP745Sについて決定されたcDNA配列である。
配列番号358はP782Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号359はP783Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号360は未知の17984について決定されたcDNA配列である。
配列番号361はP787Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号362はP788Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号363は未知の17994について決定されたcDNA配列である。
配列番号364はP781Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号365はP785Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号366〜375はB305Dのスプライス変異体について決定されたcDNA配列である。
配列番号376は配列番号366の配列によりコードされる予測されたアミノ酸配列である。
配列番号377は配列番号372の配列によりコードされる予測されたアミノ酸配列である。
配列番号378は配列番号373の配列によりコードされる予測されたアミノ酸配列である。
配列番号379は配列番号374の配列によりコードされる予測されたアミノ酸配列である。
配列番号380は配列番号375の配列によりコードされる予測されたアミノ酸配列である。
配列番号381はB716Pについて決定されたcDNA配列である。
配列番号382はP711Pについて決定された全長のcDNA配列である。
配列番号383はP711Pについて予測されたアミノ酸配列である。
配列番号384はP1000CのcDNA配列である。
配列番号385はCGI-82のcDNA配列である。
配列番号386は23320のcDNA配列である。
配列番号387はCGI-69のcDNA配列である。
配列番号388はL-イジトール-2-デヒドロゲナーゼのcDNA配列である。
配列番号389は23379のcDNA配列である。
配列番号390は23381のcDNA配列である。
配列番号391はKIAA0122のcDNA配列である。
配列番号392は23399のcDNA配列である。
配列番号393は以前に同定された遺伝子のcDNA配列である。
配列番号394はHCLBPのcDNA配列である。
配列番号395はトランスグルタミナーゼのcDNA配列である。
配列番号396は以前に同定された遺伝子のcDNA配列である。
配列番号397はPAPのcDNA配列である。
配列番号398はEts転写因子PDEFのcDNA配列である。
配列番号399はhTGRのcDNA配列である。
配列番号400はKIAA0295のcDNA配列である。
配列番号401は22545のcDNA配列である。
配列番号402は22547のcDNA配列である。
配列番号403は22548のcDNA配列である。
配列番号404は22550のcDNA配列である。
配列番号405は22551のcDNA配列である。
配列番号406は22552のcDNA配列である。
配列番号407は22553のcDNA配列である。
配列番号408は22558のcDNA配列である。
配列番号409は22562のcDNA配列である。
配列番号410は22565のcDNA配列である。
配列番号411は22567のcDNA配列である。
配列番号412は22568のcDNA配列である。
配列番号413は22570のcDNA配列である。
配列番号414は22571のcDNA配列である。
配列番号415は22572のcDNA配列である。
配列番号416は22573のcDNA配列である。
配列番号417は22573のcDNA配列である。
配列番号418は22575のcDNA配列である。
配列番号419は22580のcDNA配列である。
配列番号420は22581のcDNA配列である。
配列番号421は22582のcDNA配列である。
配列番号422は22583のcDNA配列である。
配列番号423は22584のcDNA配列である。
配列番号424は22585のcDNA配列である。
配列番号425は22586のcDNA配列である。
配列番号426は22587のcDNA配列である。
配列番号427は22588のcDNA配列である。
配列番号428は22589のcDNA配列である。
配列番号429は22590のcDNA配列である。
配列番号430は22591のcDNA配列である。
配列番号431は22592のcDNA配列である。
配列番号432は22593のcDNA配列である。
配列番号433は22594のcDNA配列である。
配列番号434は22595のcDNA配列である。
配列番号435は22596のcDNA配列である。
配列番号436は22847のcDNA配列である。
配列番号437は22848のcDNA配列である。
配列番号438は22849のcDNA配列である。
配列番号439は22851のcDNA配列である。
配列番号440は22852のcDNA配列である。
配列番号441は22853のcDNA配列である。
配列番号442は22854のcDNA配列である。
配列番号443は22855のcDNA配列である。
配列番号444は22856のcDNA配列である。
配列番号445は22857のcDNA配列である。
配列番号446は23601のcDNA配列である。
配列番号447は23602のcDNA配列である。
配列番号448は23603のcDNA配列である。
配列番号449は23606のcDNA配列である。
配列番号450は23612のcDNA配列である。
配列番号451は23614のcDNA配列である。
配列番号452は23618のcDNA配列である。
配列番号453は23622のcDNA配列である。
配列番号454は葉酸ヒドロラーゼのcDNA配列である。
配列番号455はLIMタンパク質のcDNA配列である。
配列番号456は既知の遺伝子のcDNA配列である。
配列番号457は既知の遺伝子のcDNA配列である。
配列番号458は以前に同定された遺伝子のcDNA配列である。
配列番号459は23045のcDNA配列である。
配列番号460は23032のcDNA配列である。
配列番号461は23054のcDNA配列である。
配列番号462〜467は既知の遺伝子のcDNA配列である。
配列番号468〜471はP710PのcDNA配列である。
配列番号472はP1001CのcDNA配列である。
配列番号473はP775Pの第1スプライス変異体(27505ともいう)の決定されたcDNA配列である。
配列番号474はP775Pの第2スプライス変異体(19947ともいう)の決定cDNA配列である。
配列番号475はP775Pの第3スプライス変異体(19941ともいう)の決定cDNA配列である。
配列番号476はP775Pの第4スプライス変異体(19937ともいう)の決定cDNA配列である。
配列番号477は配列番号474によりコードされる第1推定アミノ酸配列である。
配列番号478は、配列番号474の配列によりコードされる第2推定アミノ酸配列である。
配列番号479は、配列番号475の配列によりコードされる推定アミノ酸配列である。
配列番号480は、配列番号473の配列によりコードされる第1推定アミノ酸配列である。
配列番号481は、配列番号473の配列によりコードされる第2推定アミノ酸配列である。
配列番号482は、配列番号473の配列によりコードされる第3推定アミノ酸配列である。
配列番号483は、配列番号473の配列によりコードされる第4推定アミノ酸配列である。
配列番号484は、M.tuberculosis抗原Ra12の最初の30アミノ酸である。
配列番号485はPCRプライマーAW025である。
配列番号486はPCRプライマーAW003である。
配列番号487はPCRプライマーAW027である。
配列番号488はPCRプライマーAW026である。
配列番号489-501は、エピトープ・マッピング試験において使用されたペプチドである。
配列番号502は、抗P503Sモノクローナル抗体20D4に関する相補性決定領域の決定cDNA配列である。
配列番号503は、抗P503Sモノクローナル抗体JA1の相補性決定領域の決定cDNA配列である。
配列番号504と505は、エピトープ・マッピングにおいて使用されたペプチドである。
配列番号506は、抗P703Pモノクローナル抗体8H2の相補性決定領域の決定cDNA配列である。
配列番号507は、抗P703Pモノクローナル抗体7H8の相補性決定領域の決定cDNA配列である。
配列番号508は、抗P703Pモノクローナル抗体2D4の相補性決定領域の決定cDNA配列である。
配列番号509-522は、エピトープ・マッピング試験において使用されたペプチドである。
配列番号523は、P703Pに対する抗体を生成するために使用したP703Pの成熟形態である。
配列番号524は、P703Pの推定全長cDNA配列である。
配列番号525は、配列番号524によりコードされた推定アミノ酸配列である。
配列番号526は、P790Pの全長cDNA配列である。
配列番号527は、P790Pの推定アミノ酸配列である。
配列番号528と529はPCRプライマーである。
配列番号530は配列番号336のスプライス変異体のcDNA配列である。
配列番号531は、配列番号530のオープン・リーディング・フレームのcDNA配列である。
配列番号532は、配列番号531の配列によりコードされる推定アミノ酸配列である。
配列番号533は、P775Pの推定ORFのDNA配列である。
配列番号534は配列番号533によりコードされる推定アミノ酸配列である。
配列番号535は、P510Sの第1の全長cDNA配列である。
配列番号536はP510Sの第2の全長cDNA配列である。
配列番号537は配列番号535によりコードされる推定アミノ酸配列である。
配列番号538は配列番号536によりコードされる推定アミノ酸配列である。
配列番号539は、ペプチドP501S-370である。
配列番号540はペプチドP501S-376である。
配列番号541-550はP501Sエピトープである。
配列番号551はP501Sのアミノ酸543-553に対応する。
発明の詳細な説明
前述したように、本発明は、一般に、癌、例えば、前立腺癌を治療および診断する組成物および方法に関する。本明細書に記載する組成物は、前立腺特異的ポリペプチド、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、結合因子、例えば、抗体、抗原提示細胞(APC)および/または免疫系細胞(例えば、T細胞)を含むことができる。本発明のポリペプチドは、一般に、前立腺特異的タンパク質の少なくとも一部分(例えば、免疫原性部分)またはその変異型を含んでなる。「前立腺特異的タンパク質」は、本明細書において提供される代表的アッセイを使用して測定して、正常組織における発現レベルよりも、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍のレベルで前立腺腫瘍細胞中で発現されるタンパク質である。ある種の前立腺特異的タンパク質は、前立腺癌に苦しめるられている患者の抗血清と検出可能に(イムノアッセイ、例えば、ELISAまたはウェスタンブロットにより)反応する腫瘍タンパク質である。本発明のポリヌクレオチドは、一般に、このようなポリペプチドのすべてまたは一部分をコードするDNAまたはRNA配列、あるいはこのような配列に対して相補的であるDNAまたはRNA配列を含んでなる。抗体は、一般に、前述のポリペプチドに結合することができる、免疫系タンパク質、またはその抗原結合性フラグメントである。抗原提示細胞は、前述のポリペプチドを発現する樹状細胞、マクロファージ、線維芽細胞およびB細胞を包含する。このような組成物において使用できるT細胞は、一般に、前述のポリペプチドに対して特異的であるT細胞である。
本発明は、ヒト前立腺特異的タンパク質の発見をベースとする。特定の前立腺特異的タンパク質、またはその一部分をコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号1〜111、115〜171、173〜175、177、179〜305、307〜315、326、328、330、332〜335、340〜375、381、382、384-476、524、526、530、531、533、535、および536で提供される。前立腺特異的タンパク質の少なくとも一部分を含んでなるポリペプチド配列は、配列番号112〜114、172、176、178、327、329、331、336、339、376〜380、383、477-483、496、504、505、519、520、522、525、527、532、534、および537-550に提供される。
前立腺特異的タンパク質のポリヌクレオチド
本明細書において記載する前立腺特異的タンパク質またはその一部分または変異型をコードする任意のポリヌクレオチドは、本発明に包含される。好ましいポリヌクレオチドは、前立腺特異的タンパク質の一部分をコードする、少なくとも15の連続ヌクレオチド、好ましくは30の連続ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも45の連続ヌクレオチドを含んでなる。より好ましくは、ポリヌクレオチドは前立腺特異的タンパク質の免疫原性部分をコードする。また、このような配列に対して相補的であるポリヌクレオチドは本発明に包含される。ポリヌクレオチドは一本鎖(コーディングまたはアンチセンス)または二本鎖であることができ、そしてDNA(ゲノム、cDNAまたは合成)またはRNA分子であることができる。RNA分子は、イントロンを含有しかつ1対1の方法でDNA分子に対応するHnRNA、およびイントロンを含有しないmRNA分子を包含する。追加のコーディングまたは非コーディング配列は本発明のポリヌクレオチド内に存在することができるが、これは必ずしも必要ではなく、そしてポリヌクレオチドは他の分子および/または支持材料に結合することができるが、これは必ずしも必要ではない。
ポリヌクレオチドは天然配列(すなわち、前立腺特異的タンパク質またはその一部分をコードする内因的配列)を含んでなることができるか、あるいはこのような配列の変異型を含んでなることができる。ポリヌクレオチド変異型は、コード化ポリペプチドの免疫原性が天然タンパク質に関して減少しないように、1またはそれ以上の置換、付加、欠失および/または挿入を含有することができる。コード化ポリペプチドの免疫原性に対する効果は、一般に、本明細書において記載するように評価することができる。変異型は、天然前立腺特異的タンパク質またはその一部分をコードするポリヌクレオチド配列に対して、好ましくは少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、最も好ましくは少なくとも約90%の同一性を示す。用語「変異体」(変異型)は、異種起源の相同遺伝子をも包含する。
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列は、後述するように最大の対応でアライメントさせたとき、2つの配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が同一である場合、「同一」であると言う。典型的には、配列の類似性の局所的領域を同定および比較する比較ウィンドウにわたって配列を比較することによって、2つの配列の間の比較は実行される。「比較ウィンドウ」は、本明細書において使用するとき、2つの配列が最適にアライメントされた後、配列を同一数の隣接位置の参照配列と比較することができる、少なくとも約20、通常30〜約75、40〜約50の隣接位置のセグメントを意味する。
比較のために最適な配列のアライメントは、デフォルトパラメーターを使用して、Megalignプログラム(Megalign program in the Lasergene suite of bioinformatics software)(DNASTAR,Inc.、ウイスコンシン州マディソン)に従い実施することができる。このプログラムは、下記の参考文献に記載されている、いくつかのアライメントスキームを具体化する:Dayhoff、M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins − Matrices for detecting distant relationships. In Dayhoff、M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,ワシントンD.C.Vol. 5、Suppl. 3、345−358;Hein J.(1990)Unified Approach to Alignment and Phylogenes pp. 626−645 Methods in Enzymology vol. 183、Academic Press,Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ;Higgins、D.G.およびSharp、P.M.(1989)CABIOS 5:151−153;Myers、E.W.およびMuller W.(1988)CABIOS 4:11−17;Robinson、E.D.(1971)Comb. Theor. 11:105;Santou、N. Nes、M.(1987)Mol. Biol. Evol. 4:406−425;Sneath、P.H.A.およびSokal、R.R.(1973)Numerical Taxonomy − the Principles and Prcactice of Numerical Taxonomy、Freeman Press、カリフォルニア州サンフランシスコ;Wilbur、W.J.およびLipman、D.J.(1983)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:726−730。
好ましくは、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20位置の比較ウィンドウにわたって2つの最適にアライメントされた配列を比較することによって決定され、ここで2つの配列の最適なアライメントについて参照配列(これは付加または欠失を含まない)に比較して、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列の一部分は20%またはそれより大きい、通常5〜15%または10〜12%の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでなることができる。同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列中に存在する位置の数を決定して合致した位置の数を計算し、合致した位置の数を参照配列中の位置の総数(すなわち、ウィンドウのサイズ)で割り、結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって、パーセンテージを計算する。
変異型は、また、別に、天然遺伝子、またはその一部分または相補体に対して実質的に相同性であることができる。このような変異型は、天然前立腺特異的タンパク質をコードする天然に存在するDNA配列(または相補的配列)に対して、中程度にストリンジェントな条件下にハイブリダイゼーションすることができる。好適な中程度のストリンジェント条件は下記の条件を包含する:5×SSC、0.5%のSDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)の溶液中の前洗浄;50℃〜65℃、5×SSCにおける一晩のハイブリダイゼーション;次いで0.1%のSDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCの各々を使用する65℃において20分間の洗浄。
当業者は認識するように、遺伝暗号の縮重の結果、本明細書において記載するポリペプチドをコードする多数のヌクレオチド配列が存在する。これらのポリヌクレオチドのいくつかは、任意の天然遺伝子のヌクレオチド配列に対して最小の相同性を有する。それにもかかわらず、コドン使用が異なるために変化するポリヌクレオチドは特別に本発明の範囲内に包含される。さらに、本明細書において提供されるポリヌクレオチド配列を含んでなる遺伝子のアリール(Allele)(対立遺伝子)は、本発明の範囲内に入る。アリールは、ヌクレオチドの1またはそれ以上の突然変異、例えば、欠失、付加および/または置換の結果として変更される内因的遺伝子である。生ずるmRNAおよびタンパク質は変更された構造または機能を有することができるが、それらは必ずしも必要ではない。アリールは、標準的技術(例えば、ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベースの配列の比較)により同定することができる。
ポリヌクレオチドは種々の技術により製造することができる。例えば、ポリヌクレオチドは、下記においていっそう詳細に説明するように、腫瘍関連発現(すなわち、本明細書において提供される代表的アッセイを使用して測定して、正常組織におけるよりも前立腺特異的において少なくとも5倍大きい発現)についてcDNAのマイクロアレイをスクリーニングすることによって、同定することができる。このようなスクリーニングは、Synteniマイクロアレイ(カリフォルニア州パロアルト)を製造業者の使用説明書に従い(そしてSchena他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:10614−10619、1996およびHeller他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:2150−2155、1997に記載されているように)実行することができる。あるいは、本明細書に記載するタンパク質を発現する細胞、例えば、前立腺特異的細胞から調製したcDNAから、ポリペプチドを増幅することができる。ストリンジェント条件下にポリヌクレオチドはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅することができる。このアプローチのために、本明細書において提供される配列に基づいて配列特異的プライマーを本明細書において提供される配列に基づいて設計することができ、そして購入または合成することができる。
よく知られている技術に従い増幅された部分を使用して、適当なライブラリー(例えば、前立腺特異的cDNAライブラリー)から全長の遺伝子を単離することができる。このような技術において、増幅に適当な1またはそれ以上のポリヌクレオチドのプローブまたはプライマーを使用して、ライブラリー(cDNAまたはゲノム)をスクリーニングする。好ましくは、より大きいヌクレオチドを含むようにライブラリーをサイズで選別する。遺伝子の5'および上流領域を同定するために、ランダムプライムドライブラリーはまた好ましい。イントロンおよび延長5'配列のために、ゲノムライブラリーは好ましい。
ハイブリダイゼーション技術のために、部分的配列をよく知られている技術に従い標識化することができる(例えば、ニックトランスレーションまたは32Pを使用する末端標識化により)。次いで変性細菌コロニー(またはファージプラークを含有する菌叢)を含有するフィルターを標識化プローブとハイブリダイゼーションすることによって、細菌またはバクテリオファージのライブラリーをスクリーニングする(下記の文献を参照のこと:Sambrook他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY、1989)。ハイブリダイゼーションコロニーまたはプラークを選択し、増殖させ、そしてDNAをそれ以上の分析のために単離する。例えば、部分的配列からのプライマーおよびベクターからのプライマーを使用して、cDNAクローンを分析して、追加の配列の量を決定することができる。制限地図および部分的配列を発生させて、1またはそれ以上のオーバーラップするクローンを同定することができる。次いで標準的技術に従い、完全な配列を決定することができ、この技術は一連の欠失クローンの発生を含むことができる。次いで生ずるオーバーラップする配列を単一の隣接配列に組立てる。よく知られている技術に従い適当なフラグメントを結合することによって、全長のcDNA分子を発生させることができる。
あるいは、部分的cDNA配列から全長のコーディング配列を得る多数の増幅技術が存在する。このような技術において、PCRにより増幅を一般に実施する。種々の商業的に入手可能なキットを使用して、増幅工程を実施することができる。例えば、この分野においてよく知られているソフトウェアを使用して、プライマーを設計することができる。プライマーは好ましくは22〜30ヌクレオチド長であり、少なくとも50%のGC含量を有し、約68℃〜72℃の温度においてターゲット配列にアニーリングさせる。増幅された領域を前述したように配列決定し、そしてオーバーラップする配列を隣接に組立てることができる。
1つのこのような増幅技術は逆PCRであり(Triglia他、Nucl. Acids Res. 16:8186,1988参照)、これは遺伝子の既知の領域においてフラグメントを発生させるために制限酵素を使用する。次いでフラグメントを分子内結合により環化し、既知の領域に由来する異なるプライマーを用いるPCRのための鋳型として用いる。別のアプローチにおいて、リンカー配列に対するプライマーおよび既知の領域に対して特異的なプライマーを使用する増幅により、部分的配列に隣接する配列を回収することができる。典型的には、同一リンカープライマーおよび既知の領域に対して特異的な第2プライマーを使用する増幅の第2ラウンドに、増幅された配列を付す。既知の配列から反対方向におけるエクステンションを開始する2つのプライマーを使用する、この手順の変法は、WO96/38591号に記載されている。他のこのような技術は、「cDNA末端の急速増幅」またはRACEとして知られている。この技術において、ポリA領域またはベクター配列にハイブリダイゼーションする内部プライマーおよび外部プライマーを使用して、既知の配列の5'および3'である配列を同定する。追加の技術は捕捉PCR(Lagerstrom他、PCR Methods Applic. 1:111−19、1991)およびウォーキングPCR(Parker他、Nucl. Acids Res. 19:3055−60、1991)を包含する。全長のcDNA配列を得るために、増幅を用いる他の方法を使用することもできる。
ある場合において、発現された配列標識(EST)データベース、例えば、遺伝子バンクから入手可能であるデータベースの中に準備されている配列の分析により、全長のcDNA配列を得ることが可能である。オーバーラップするESTについての検索は一般によく知られているプログラム(例えば、NCBI BLAST検索)に従い実行し、そしてこのようなESTを使用して隣接全長配列を発生させることができる。全長DNA配列は、ゲノム断片の分布によっても得られうる。
前立腺特異的タンパク質の一部分をコードするcDNA分子のある種の核酸配列は、配列番号1〜111、115〜171、173〜175、177、179〜305、307〜315、326、328、330、332〜335、340〜375、381、382、384-476、524、526、530、531、533、535、および536で提供される。これらのポリヌクレオチドの単離を後述する。
ポリヌクレオチド変異型は、一般に、化学的合成を包含する、この分野において知られている方法、例えば、固相ホスホルアミダイト化学的合成により製造することができる。ポリヌクレオチド配列の修飾は、また、標準的突然変異誘発技術、例えば、オリゴヌクレオチドに向けられた部位特異的突然変異誘発により導入することができる(Adelman他、DNA 2:183、1983参照)。あるいは、DNAが適当なRNAポリメラーゼプロモーター(例えば、T7またはSP6)を使用してベクターの中に組込まれるかぎり、前立腺特異的タンパク質、またはその一部分をコードするDNA配列のin vitroまたはin vivo転写により、RNA分子を発生させることができる。ある種の部分を使用して、本明細書において記載する、コード化ポリペプチドを製造することができる。さらに、選択的に、コード化ポリペプチドがin vivoにおいて発生するように、一部分を患者に添加することができる(例えば、前立腺特異的ポリペプチドをコードするcDNA構築物で抗原提示細胞、例えば、樹状細胞をトランスフェクトし、トランスフェクトされた細胞を患者に投与することによって)。
コーディング配列に対して相補的な配列の部分(すなわち、アンチセンスポリヌクレオチド)を、また、プローブとして使用するか、あるいは遺伝子の発現をモジュレートするために使用することができる。アンチセンスRNAに転写することができるcDNA構築物を組織の細胞の中に導入して、アンチセンスRNAの産生を促進することもできる。本明細書において記載するように、タンパク質の発現を阻害するために、アンチセンスポリヌクレオチドを使用することができる。三重らせんの形成により遺伝子の発現を制御するために、アンチセンス技術を使用することができ、このような形成はポリメラーゼ、転写因子または調節分子の結合のために十分に開く二重らせんの能力を危うくする(下記の文献を参照のこと:Gee他、HuberおよびCarr、Molcular and Immunologic Apporoaches、Futura Publishing Co.(Mt. Kisco、NY;1994))。あるいは、遺伝子の制御領域(例えば、プロモーター、エンハンサーまたは転写開始部位)とハイブリダイゼーションし、かつ遺伝子の転写をブロックするか、あるいは転写産物のリボソームへの結合を阻害することによって翻訳をブロックするように、アンチセンス分子を設計することができる。
コーディング配列の一部分または相補的配列の一部分を、また、遺伝子の発現を検出するプローブまたはプライマーとして設計することができる。プローブを種々のリポーターグループ、例えば、放射性核種または酵素で標識化することができ、このようなプローブは好ましくは少なくとも10ヌクレオチド長、より好ましくは少なくとも20ヌクレオチド長、なおより好ましくは少なくとも30ヌクレオチド長である。プライマーは、前述したように、好ましくは22〜30ヌクレオチド長である。
任意のポリヌクレオチドをさらに修飾して、in vivo安定性を増加させることができる。考えられる修飾は下記のものを包含するが、これらに限定されない:5'および/または3'末端におけるフランキング配列の付加;バックボーン中のホスホジエステラーゼ連鎖よりむしろホスホロチオエートまたは2'O−メチルの使用;および/または非伝統的塩基、例えば、イノシン、クエオシンおよびワイブトシン、ならびにアセチル−、チオ−および他の修飾された形態のアデニン、シチジン、グアニン、チミンおよびウリジンの包含。
本明細書において記載するヌクレオチド配列を、確立された組換えDNA技術により、種々の他のヌクレオチド配列に結合させることができる。例えば、ポリヌクレオチドを種々のクローニングベクター、例えば、プラスミド、ファージミド、ラムダファージ誘導体およびコスミドの中にクローニングすることができる。特に問題のベクターは、発現ベクター、複製ベクター、プローブ発生ベクターおよび配列決定ベクターを包含する。一般に、ベクターは少なくとも1つの生物において機能的な複製起点、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位および1またはそれ以上の選択可能なマーカーを含有するであろう。他の因子は所望の使用に依存し、そして当業者にとって明らであろう。
ある種の実施形態において、哺乳動物細胞の中への侵入、およびその中での発現を可能とするように、ポリヌクレオチドを製剤化することができる。このような処方物は、後述するように、療法上の目的に特に有用である。当業者は理解するように、ターゲット細胞中でポリヌクレオチドの発現を達成する多数の方法が存在し、そして任意の適当な方法を使用することができる。例えば、ポリヌクレオチドをウイルスベクターの中に組込むことができ、このようなウイルスベクターの例は、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、またはワクシニアまたは他のポックスウイルス(例えば、トリポックスウイルス)であるが、これらに限定されない。このようなベクターの中にDNAを組込む技術は、当業者によく知られている。レトロウイルスのベクターは、選択可能なマーカーの遺伝子(形質導入された細胞の同定または選択を促進するために)および/またはターゲッティング部分、例えば、特異的ターゲット細胞上のレセプターのリガンドをコードする遺伝子をさらに転移または組込んで、ベクターターゲットを特異的とすることができる。また、ターゲッティングは、この分野において知られている方法により、抗体を使用して達成することができる。
療法上の目的のための他の製剤は、コロイド状分散系、例えば、高分子複合体、モノカプセル、ビーズ、および脂質をベースとする系、例えば、水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを包含する。in vitroおよびin vivoにおいて送達系として使用するために好ましいコロイド状系はリポソーム(すなわち、人工的膜小胞)である。このような系の調製および使用はこの分野においてよく知られている。
前立腺特異的ポリペプチド
本発明の関係において、ポリペプチドは、本明細書において記載するように、少なくとも前立腺特異的タンパク質の免疫原性部分またはその変異型を含んでなることができる。前述したように、「前立腺特異的タンパク質」は、正常な前立腺細胞および/または前立腺腫瘍細胞により発現されるタンパク質である。前立腺特異的タンパク質であるタンパク質は、また、イムノアッセイ(例えば、ELISA)において、前立腺癌を有する患者からの抗血清と検出可能に反応する。本明細書において記載するポリペプチドは任意の長さであることができる。天然タンパク質に由来する追加の配列および/または異種配列が存在することができ、そしてこのような配列はそれ以上の免疫原性または抗原性を有することができる(しかし必ずしも必要ではない)。
「免疫原性部分」は、本明細書において使用するとき、B細胞および/またはT細胞の表面抗原レセプターにより認識される(すなわち、特異的に結合される)タンパク質の部分である。このような免疫原性部分は、前立腺特異的タンパク質またはその変異型の一般に少なくとも5アミノ酸残基、より好ましくは少なくとも10、なおより好ましくは少なくとも20アミノ酸残基を含んでなる。ある種の好ましい免疫原性部分は、N−末端のリーダー配列および/または膜貫通ドメインが欠失されているペプチドを包含する。他の好ましい免疫原性部分は、成熟タンパク質に関して、小さいN−末端および/またはC−末端の欠失(例えば、1〜30アミノ酸、好ましくは5〜15アミノ酸)を含有することができる。
免疫原性部分は、一般に、よく知られている技術、例えば、下記の文献およびその中に引用されている参考文献において要約されている技術により同定することができる。このような技術は、抗原特異的抗体、抗血清および/またはT細胞系統またはクローンと反応する能力について、ポリペプチドをスクリーニングすることを含む。本明細書において使用するとき、抗血清および抗体は、抗原に特異的に結合する(すなわち、それらがELISAまたは他のアッセイにおいてタンパク質と反応するが、無関係のタンパク質を検出可能に反応しない)場合、「抗原特異的」である。このような抗体は、本明細書において記載するように、よく知られている技術に従い製造することができる。天然前立腺特異的タンパク質の免疫原性部分は、全長のポリペプチドの反応性よりも実質的に低いレベルで、このような抗血清および/またはT細胞と反応する部分である(例えば、ELISAおよび/またはT細胞の反応性のアッセイにおいて)。このような免疫原性部分は、このようなアッセイにおいて、全長のポリペプチドの反応性に類似するか、あるいはそれより大きいレベルで反応することができる。このようなスクリーニングは、一般に、当業者によく知られている方法、例えば、下記の文献に記載されている方法により実行することができる:HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988。例えば、ポリペプチドを固体の支持体上に固定化し、患者の血清と接触させて、血清中の抗体が固定化されたポリペプチドに結合できるようにする。次いで非結合血清を除去し、結合した抗体を、例えば、125I標識化プロテインAで検出することができる。
前述したように、組成物は種々の天然前立腺特異的タンパク質を含んでなることができる。ポリペプチドの「変異型」(変異体)は、本明細書において使用するとき、ポリペプチドの免疫原性が実質的に減少しないように、1またはそれ以上の置換、欠失、付加および/または挿入において天然前立腺特異的タンパク質と異なるポリペプチドである。換言すると、抗原特異的抗血清と反応する能力は、自然タンパク質に関して、増強されるか、あるいは変化しないか、あるいは天然タンパク質に関して、50%より少なく、好ましくは20%より少なく減少することができる。このような変異型は、一般に、上記ポリペプチド配列の1つを修飾し、修飾されたポリペプチドと抗原特異的抗体または抗血清との反応性を、本明細書において記載するように、評価することによって同定することができる。好ましい変異型は、1またはそれ以上の部分、例えば、N−末端のリーダー配列または膜貫通ドメインが除去されているものを包含する。他の好ましい変異型は、小さい部分(例えば、1〜30アミノ酸、好ましくは5〜15アミノ酸)が成熟タンパク質のN−末端および/またはC末端から除去されている変異型を包含する。ポリペプチドの変異型は、同定されたポリペプチドに対して好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%の同一性(後述するように測定する)を示す。
好ましくは、変異型は保存的置換を含有する。「保存的置換」は、ペプチド化学の当業者がポリペプチドの二次構造および親水性(hydropathic nature)が実質的に変化しないことを期待するような、アミノ酸が同様な性質を有する他のアミノ酸で置換されている置換である。アミノ酸の置換は、一般に、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性および/または両親媒性の特質に基づいて実施することができる。例えば、負に帯電したアミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を包含する;正に帯電したアミノ酸は、リシンおよびアルギニンを包含する;そして同様な親水性値を有する非帯電極性頭部基をもつアミノ酸は、ロイシン、イソロイシンおよびバリン;グリシンおよびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン;およびセリン、スレオニン、フェニルアラニンおよびチロシンを包含する。保存的変化を表すことができるアミノ酸の他のグループは下記のものを包含する:(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、ser、thr;(2)cys、ser、tyr、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(4)lys、arg、his;および(5)phe、tyr、trp、his。変異型は、また、または別に、非保存的変化を含むことができる。好ましい実施形態において、変異型ポリペプチドは、5またはそれより少ないアミノ酸の置換、欠失または付加により天然配列と異なる。変異型は、また(または別に)、例えば、ポリペプチドの免疫原性、二次構造および親水性に対する影響が最小であるアミノ酸の欠失または付加により修飾することができる。
前述したように、ポリペプチドは、共翻訳的または翻訳後にタンパク質の転移を指令するシグナル(またはリーダー)配列をタンパク質のN−末端に含んでなることができる。ポリペプチドは、また、ポリペプチドの合成、精製または同定を容易にするために、あるいは固体の支持体へのポリペプチドの結合を増強するために、リンカーまたは他の配列(例えば、ポリ−His)に結合させることができる。例えば、ポリペプチドを免疫グロブリンFc領域に結合することができる。
種々のよく知られている技術を使用して、ポリペプチドを製造することができる。前述したようにDNA配列によりコードされる組換えポリペプチドは、当業者に知られている種々の発現ベクターを使用してDNA配列から容易に製造することができる。組換えポリペプチドをコードするDNA分子を含有する発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた、任意の適当な宿主細胞において発現を達成することができる。適当な宿主細胞は、原核細胞、酵母細胞および高等真核細胞を包含する。好ましくは、用いる宿主細胞は大腸菌(E. coli)、酵母または哺乳動物細胞株、例えば、COSまたはCHOである。組換えタンパク質またはポリペプチドを培地の中に分泌する適当な宿主/ベクター系からの上清を、まず、商業的に入手可能なフィルターで濃縮することができる。濃縮後、濃縮物を適当な精製マトリックス、例えば、アフィニティーマトリックスまたはイオン交換樹脂に適用することができる。最後に、1またはそれ以上の逆相HPLC工程を用いて、組換えポリペプチドさらに精製することができる。
また、合成手段により、この分野においてよく知られている技術を使用して、約100より少ないアミノ酸、一般に約50より少ないアミノ酸を有するタンパク質および他の変異型を発生させることができる。例えば、このようなポリペプチドは、任意の商業的に入手可能な固相技術、例えば、Merrifield固相合成法により合成することができ、ここでアミノ酸を成長するアミノ酸鎖に順次に付加する。Merrifield、J. Am. Chem. Soc. 85:2149−2146、1963。ポリペプチドの自動化合成装置は、供給会社、例えば、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)/アプライド・バイオシステムス・ディビジョン(Applied BioSystems Division)(フォスターシティー、カリフォルニア州)から商業的に入手可能であり、そして製造業者の使用説明書に従い操作することができる。
ある種の特定の実施形態において、ポリペプチドは、本明細書において記載する複数のポリペプチドを含んでなるか、あるいは本明細書において記載する少なくとも1つのポリペプチドおよび無関係の配列、例えば、既知の前立腺特異的タンパク質を含んでなる融合タンパク質であることができる。融合タンパク質は、例えば、Tヘルパーエピトープ(免疫学的融合相手)、好ましくはヒトにより認識されるTヘルパーエピトープの提供を補助するか、あるいは天然組換えタンパク質よりも高い収率におけるタンパク質の発現を補助する(発現エンハンサー)ことができる。ある種の好ましい融合相手は、免疫学的融合相手および発現増強融合相手の両方である。他の融合相手は、タンパク質の溶解度を増加するか、あるいは所望の細胞内区画へのタンパク質のターゲッティングを可能とするように選択することができる。なおそれ以上の融合相手は、タンパク質の精製を促進する、親和標識を包含する。
融合タンパク質は、一般に、化学的結合を包含する、標準的技術に従い製造することができる。好ましくは、融合タンパク質は組換えタンパク質として発現され、発現系において、非融合タンパク質に関して、増加したレベルの産生を可能とする。簡単に述べると、ポリペプチド成分をコードするDNA配列を別々に組立て、適当な発現ベクターの中に結合することができる。ペプチドのリンカーを使用するか、または使用しないで、ポリペプチド成分をコードするDNA配列の3'末端は、配列のリーディングフレームが相の中にあるように、第2ポリペプチドをコードする配列の5'末端に結合される。これにより、両方の成分ポリペプチドの生物学的活性が保持される単一の融合タンパク質への翻訳が可能となる。
各ポリペプチドがその二次および三元構造にフォールディングされることを保証するために十分な距離で、第1および第2のポリペプチド成分を分離するために、ペプチドリンカー配列を使用することができる。このようなペプチドリンカー配列を、この分野においてよく知られている標準的技術に従い、融合タンパク質の中に組込む。適当なペプチドリンカー配列は下記の因子に基づいて選択することができる:(1)柔軟な延長したコンフォメーションを採用する能力;(2)第1および第2のポリペプチド上のエピトープと相互作用できる二次構造を採用する能力;および(3)ポリペプチドの機能的エピトープと反応しうる疎水性または帯電した残基の欠如。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly、AsnおよびSer残基を含有する。他の付近の中性アミノ酸、例えば、ThrおよびAlaをリンカー配列において使用することもできる。リンカーとして通常使用することができるアミノ酸配列は、下記の文献に記載されているアミノ酸配列を包含する:Maratea他、Gene 40:39−46、1985;Murphy他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83;8258−8262、1986;米国特許第4,935,233号および米国特許第4,751,180号。リンカー配列は、一般に、1〜約50アミノ酸長さであることができる。第1および第2のポリペプチドが機能的ドメインを分離しかつ立体障害を防止するために使用できる非必須N−末端アミノ酸残基を有するとき、リンカー配列は不必要である。
結合したDNA配列は、適当な転写または翻訳領域因子に機能的に連結される。DNAの発現に関係する調節因子は、第1ポリペプチドをコードするDNA配列に対して5'のみに位置する。同様に、翻訳を終わらせるために必要な停止コドンおよび転写終止シグナルは、第2ポリペプチドをコードするDNA配列に対して3'のみに位置する。
また、無関係の免疫原性タンパク質と一緒に本発明のポリペプチドを含んでなる融合タンパク質が提供される。好ましくは、免疫原性タンパク質は再生応答を誘発することができる。このようなタンパク質の例は、破傷風、結核および肝炎タンパク質を包含する(例えば、下記の文献を参照のこと:Stoute他、New England J. Med.336:86−91、1997)。
好ましい実施形態において、免疫学的融合タンパク質はプロテインD、すなわち、グラム陰性菌インフルエンザ菌B(Haemophilus influenzae)の表面タンパク質に由来する(WO91/18926号)。好ましくは、プロテインD誘導体はほぼ1/3のタンパク質(例えば、N末端の最初の100〜110アミノ酸)を含んでなり、そしてプロテインD誘導体は脂質化することができる。ある種の好ましい実施形態において、リポプロテインD融合タンパク質の最初の109残基をN末端に含めて、追加の外因的T細胞エピトープをポリペプチドに与えかつ大腸菌(E. coli)における発現レベルを増加させる(こうして発現エンハンサーとして機能する)。脂質テイルは、抗原提示細胞への抗原の最適な提示を保証する。他の融合相手は、インフルエンザウイルスからの非構造タンパク質、NS1(血球凝集素)を包含する。典型的には、N末端の81アミノ酸を使用するが、Tヘルパーエピトープを包含する異なるフラグメントを使用することができる。
他の実施形態において、免疫学的融合相手はLYTAとして知られているタンパク質、またはその一部分(好ましくはC末端部分)である。LYTAはサッカロミセス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)に由来し、アミラーゼLYTA(LytA遺伝子によりコードされる;Gene 43:265−292、1986)として知られているN−アセチル−L−アラニンアミダーゼを合成する。LYTAはペプチドグリカンバックボーン中のある種の結合を特異的に分解するオートリシンである。LYTAタンパク質のC末端ドメインは、コリンまたはいくつかのコリンアナログ、例えば、DEAEに対するアフィニティーに関係する。この性質は、融合タンパク質の発現に有用なプラスミドを発現する大腸菌(E. coli)C−LYTAの発生に利用されてきている。アミノ末端にC−LYTAフラグメントを含有するハイブリッドタンパク質の精製は記載されている(Biotechnology 10:795−798、1992参照)。好ましい実施形態において、LYTAの反復部分を融合タンパク質の中に組込むことができる。反復部分は残基178において開始するC末端領域の中に見出される。特に好ましい反復部分は残基188〜305を組込んでいる。
一般に、本明細書中に記載のポリペプチド(融合タンパク質を含む)およびポリヌクレオチドは単離されている。「単離された」ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、そのもとの環境から取出されたものである。例えば、天然タンパク質は自然系の中に共存する物質のあるものまたはすべてから分離される場合、それは単離される。好ましくは、このようなポリペプチドは少なくとも約90%の純度、より好ましくは少なくとも約95%の純度、最も好ましくは少なくとも約99%の純度である。ポリヌクレオチドは、例えば、自然環境の一部分ではないベクターの中にクローニングされる場合、それは単離されたと考慮される。
結合因子
本発明は、さらに、前立腺特異的タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントのような因子を提供する。本明細書において使用するとき、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、検出可能レベルで(例えば、ELISAにおいて)前立腺特異的タンパク質と反応するが、同様な条件下で無関係のタンパク質と検出可能に反応しない場合、それは前立腺特異的タンパク質「に特異的に結合する」と言われる。本明細書において使用するとき、「結合」は、複合体が形成するように、2つの別々の分子の間の非共有結合のアソシエーションを意味する。結合する能力は、例えば、複合体形成についての結合定数を決定することによって、評価することができる。結合定数は、複合体濃度を成分濃度の積で割って得られる値である。一般に、複合体形成の結合定数が約103L/モルを超えるとき、2つの成分は本発明の関係において「結合」すると言われる。結合定数は、この分野においてよく知られている方法により決定することができる。
結合因子は、本発明において提供される代表的アッセイを使用して、癌、例えば、前立腺癌をもつ患者と癌をもたない個体とを識別することができる。換言すると、前立腺特異的タンパク質に結合する抗体または他の結合因子は、疾患をもつ患者の少なくとも約20%における癌の存在を示すシグナルを発生し、そして癌をもたない個体の少なくとも約90%における疾患の不存在を示す陰性シグナルを発生するであろう。結合因子がこの要件を満足するかどうかを決定するために、癌をもつ患者および癌をもたない個体(標準的臨床試験を使用して決定する)からの生物学的試料(例えば、血液、血清、尿および/または腫瘍バイオプシー)を、本明細書において記載するように、結合因子に結合するポリペプチドの存在についてアッセイすることができる。疾患をもつ試料およびもたない試料の統計学的に有意な数をアッセイすべきであることは明らかであろう。各結合因子は上記基準を満足すべきである;しかしながら、当業者は認識するように、結合因子を組合わせて使用して感受性を改良することができる。
上記要件を満足する任意の因子は結合因子であることができる。例えば、結合因子は、ペプチド成分を含むか、あるいは含まない、リボソーム、RNA分子またはポリペプチドであることができる。好ましい実施形態において、結合因子は抗体またはその抗原結合性フラグメントである。より好ましくは、本発明の方法において使用される抗体は、補体の活性化および抗体依存性細胞毒性(ADCC)の仲介による腫瘍細胞の溶解を誘導する能力をもつ。異なるクラスおよびサブクラスの抗体は、上記特性が異なる。例えば、IgG2aとIgG3クラスは、抗体がそれに対して生じたところの抗原を発現する標的細胞への結合の間に血清補体を活性化することができ、そしてADCCを仲介することができる。
抗体は当業者に知られている種々の技術により製造することができる。例えば、下記の文献を参照のこと:HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988。一般に、抗体は、本明細書において記載するモノクローナル抗体の発生を包含する、細胞培養技術により製造することができるか、あるいは、組換え抗体の産生を可能とするために、適当な細菌または哺乳動物細胞宿主の中に抗体遺伝子をトランスフェクトすることによって製造することができる。1つの技術において、ポリペプチドを含んでなる免疫原を最初に広範な種類の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジまたはヤギ)に注射する。この工程において、本発明のポリペプチドは修飾を含まない免疫原として働くことができる。あるいは、特に比較的短いポリペプチドについて、ポリペプチドを担体タンパク質、例えば、ウシ血清アルブミンまたはキーホールリンペットヘモシアニンに結合する場合、よりすぐれた免疫応答を誘発することができる。好ましくは1回またはそれ以上の追加免疫を組込んだ前もって決定したスケジュールに従い、免疫原を動物宿主に注射し、そして周期的に動物から採血する。次いで、例えば、適当な固体の支持体にカップリングされたポリペプチドを使用するアフィニティークロマトグラフィーにより、ポリペプチドに対して特異的なポリクローナル抗体をこのような血清から精製することができる。
対象となる抗原性ポリペプチドに対して特異的なモノクローナル抗体は、例えば、KohlerおよびMilstein、Eur. J. Immunol. 6:511−519、1976の技術およびその技術の改良を使用して製造することができる。簡単に述べると、これらの方法は所望の特異性(すなわち、対象となるポリペプチドとの反応性)を有する抗体を製造することができる不死化細胞株の調製を包含する。このような細胞株は、例えば、前述したように免疫化された動物から得られた脾細胞から製造することができる。次いで、脾細胞を、例えば、骨髄腫細胞融合相手、好ましくは免疫化動物と同系であるものにより不死化する。種々の融合技術を使用することができる。例えば、脾細胞および骨髄腫細胞を非イオン性界面活性剤と数分間組合わせ、次いでハイブリッド細胞の成長を支持するが、骨髄腫細胞の成長を支持しない選択的培地上に低い密度でプレートすることができる。好ましい選択技術において、HAT(ハイポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択を使用する。十分な時間、通常約1〜2週後、ハイブリッドのコロニーが得られる。単一コロニーを選択し、それらの培養上清をポリペプチドに対する結合について試験する。高い反応性および特異性を有するハイブリドーマは好ましい。
増殖するハイブリドーマコロニーの上清から、モノクローナル抗体を単離することができる。さらに、種々の技術、例えば、適当な脊椎動物の宿主、例えば、マウスの腹腔の中へのハイブリドーマ細胞株の注射を使用して収率を増大することができる。次いでモノクローナル抗体を腹水または血液から収集することができる。慣用技術、例えば、クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈降、および抽出により、混入物質を抗体から除去することができる。本発明のポリペプチドは、精製方法、例えば、アフィニティークロマトグラフィー工程において使用することができる。
本発明のポリペプチドに特異的に結合するマウスおよびウサギ・モノクローナル抗体の調製を以下に詳細に説明する。しかしながら、本発明の抗体は、マウス由来のものに限定されない。ヒト抗体も本発明において使用されうるし、好ましいものであることが証明されうる。このような抗体は、Cole et al. (Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Lisa, p.77, 1985)により記載されるようなヒト・ハイブリドーマを使用して得られうる。本発明は、組換え手段により作られた抗体、例えば、可変領域と定常領域が異なる種に由来するキメラ抗体、およびその相補性決定領域が異なる種に由来するCDR-グラフト抗体であって、米国特許第4,816,567号および第5,225,539号中に記載されるものをも包含する。キメラ抗体は、所望の生物学的活性、例えば、ヒト補体の活性化およびADCCの仲介をもつヒト抗体分子の遺伝子とともに所望の抗原特異性をもつマウス抗体分子の遺伝子をスプライスすることにより調製されうる(Morrison et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 6851, 1984; Neuberger et al. Nature 312: 604, 1984; Takeda et al. Nature 314: 452, 1985)。
ある種の実施形態において、抗体の抗原結合性フラグメントは好ましいことがある。このようなフラグメントは、標準的技術を使用して製造できる、Fabフラグメントを包含する。簡単に述べると、プロテインAビーズカラム(HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988)上のアフィニティークロマトグラフィーにより、免疫グロブリンをウサギ血清から精製し、パパインで消化してFabおよびFcフラグメントを生成することができる。プロテインAビーズカラム上のアフィニティークロマトグラフィーにより、FabおよびFcフラグメントを分離することができる。
本発明のモノクローナル抗体を1またはそれ以上の治療因子にカップリングすることができる。これに関して適当な治療因子は、放射性核種、分化誘導因子、薬剤、トキシン、およびそれらの誘導体を包含する。好ましい放射性核種は、90Y、123I、125I、131I、186Re、211At、および212Biを包含する。好ましい薬剤は、メトトレキセート、およびピリミジンおよびプリンアナログを包含する。好ましい分化誘導因子は、ホルボールエステルおよび酪酸を包含する。好ましいトキシンは、リシン、アブリン、ジフテリアトキシン、コレラトキシン、ゲロニン、シュードモナス(Pseudomonas)エキソトキシン、シゲラ[赤痢菌](Shigella)トキシン、およびアメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質を包含する。
治療因子を適当なモノクローナル抗体に直接的または間接的(例えば、リンカー基を介して)にカップリング(例えば、共有結合)することができる。各々が他方と反応できる置換基を有するとき、因子と抗体との間の直接的反応が可能である。例えば、一方に存在する求核基、例えば、アミノまたはスルフヒドリル基は、他方に存在するカルボニルを含有する基、例えば、無水物または酸ハロゲン化物と、またはアルキル基を含有するすぐれた離脱基(例えば、ハロゲン化物)と反応することができる。
あるいは、リンカー基を介して治療因子および抗体をカップリングさせることが望ましいことがある。リンカー基は、抗体を因子と分離させて結合能力を妨害することを回避する、スペーサーとして機能することができる。リンカー基は、また、因子または抗体上の置換基の化学的反応性を増加し、こうしてカップリング効能を増加する働きをすることができる。化学的活性の増加は、また、そうでなければ不可能である、因子の使用、または因子上の官能基の使用を促進することができる。
当業者にとって明らかであるように、ホモおよびヘテロ機能的である種々の二官能価または多官能価の試薬(例えば、Pierce Chemical Co.、イリノイ州ロックフォード、のカタログに記載されているもの)をリンカー基として使用することができる。カップリングは、例えば、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基または酸化炭水化物残基を通して実施することができる。このような方法を記載する多数の参考文献、例えば、米国特許第4,671,958号(Rodwell他)が存在する。
本発明の免疫複合体の抗体部分から遊離されたとき、治療因子がいっそう効力があるとき、細胞の中へのインターナリゼーションの時または間に切断可能であるリンカー基を使用することが望ましい。多数の異なる切断可能なリンカー基が記載されてきている。これらのリンカー基からの因子の細胞内放出のメカニズムは、ジスルファイド結合の還元(例えば、米国特許第4,489,710号、Spitler)、光不安定化結合の照射(例えば、米国特許第4,625,014号、Senter他)、誘導化アミノ酸側鎖の加水分解(例えば、米国特許第4,638,045号、Kohn他)、血清補体仲介加水分解(例えば、米国特許第4,671,958号、Rodwell他)、および酸触媒加水分解(例えば、米国特許第4,569,789号、Blattler他)による切断を包含する。
抗体に2以上の因子をカップリングさせることが望ましいことがある。1つの実施形態において、複数の分子の因子を1つの抗体にカップリングさせる。他の実施形態において、2以上の型の因子を1つの抗体にカップリングさせる。特定の実施形態にとらわれず、2以上の因子との免疫複合体を種々の方法で製造することができる。例えば、2以上の因子を抗体分子に直接的にカップリングさせるか、あるいは複数の結合部位を提供するリンカーを使用することができる。あるいは、担体を使用することができる。
担体は、直接的またはリンカー基を介する共有結合を包含する、種々の方法で因子を支持することができる。適当な担体は、タンパク質、例えば、アルブミン(例えば、米国特許第4,507,234号、Kato他)、ペプチドおよび多糖、例えば、アミノデキストラン(例えば、米国特許第4,699,784号、Shih他)を包含する。担体は、非共有結合により、またはカプセル化、例えば、リポソーム小胞内へのカプセル化(例えば、米国特許第4,429,008号および米国特許第4,873,088号)により因子を支持することができる。放射性核種に対して特異的な担体は、放射性ハロゲン化された小さい分子およびキレート化化合物を包含する。例えば、米国特許第4,735,792号には、代表的な放射性ハロゲン化された小さい分子およびそれらの合成が開示されている。放射性核種のキレートをキレート化化合物から形成することができる。このようなキレート化化合物は、金属または金属酸化物、放射性核種と結合するドナー原子として、窒素および硫黄原子を含有する化合物を包含する。例えば、米国特許第4,673,562号(Davison他)には、代表的な放射性キレート化化合物およびそれらの合成が開示されている。
抗体および免疫複合体の種々の投与経路を使用することができる。典型的には、投与は静脈内、筋肉内、皮下または切除した腫瘍の跡(bed)中であろう。抗体/免疫複合体の正確な投与量は、使用する抗体、腫瘍上の抗原密度、および抗体のクリアランス速度に依存するであろうことは明らかである。
T細胞
免疫療法組成物は、また、または選択的に、前立腺特異的タンパク質に対して特異的なT細胞を含んでなることができる。このような細胞は、一般に、in vitroまたはex vivoで標準的手順に従い調製ことができる。例えば、T細胞は患者の骨髄、末梢血、または骨髄または末梢血の画分から、商業的に入手可能な細胞分離系、例えば、Nexell Therapeutics Inc., Irvine, CAから入手可能なISOLEX(商標)(また、米国特許第5,240,856号、米国特許第5,215,926号、WO89/06280号、WO91/16116号およびWO92/07243号参照)を使用して単離することができる。あるいは、T細胞は関係するまたは無関係のヒト、非ヒト哺乳動物、細胞株または培養物に由来することができる。
T細胞を前立腺特異的ポリペプチド、前立腺特異的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/またはこのようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞(APC)で刺激することができる。ポリペプチドに対して特異的なT細胞を発生させる条件下にかつ十分な時間の間、このような刺激は実施される。好ましくは、前立腺特異的ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、送達ビヒクル、例えば、ミクロスフェア内に存在させて、特定のT細胞の発生を促進する。
T細胞が、ポリペプチドで被覆されているかあるいはポリペプチドをコードする遺伝子を発現するターゲット細胞を殺す場合、T細胞は前立腺特異的ポリペプチドに対して特異的であると考えられる。種々の標準的技術に従い、T細胞の特異性を評価することができる。例えば、クロム放出アッセイまたは増殖アッセイにおいて、陰性対照に比較して、溶解および/または増殖の2倍より大きい増加の刺激指数はT細胞の特異性を示す。このようなアッセイは、例えば、Chen他、Cancer Res. 54:1065−1070、1994に記載されているように実施することができる。あるいは、T細胞の増殖の検出は種々の既知の技術により達成することができる。例えば、T細胞の増殖検出はDNA合成速度の増加を測定することによって達成することができる(例えば、T細胞の培養物をトリチウム化チミンでパルス標識化し、DNAの中に組込まれたトリチウム化チミンの量を測定することによって)。前立腺特異的ポリペプチド(100ng/ml〜100μg/ml、好ましくは200ng/ml〜25μg/ml)と3〜7日間接触させると、T細胞の増殖は少なくとも2倍増加するであろう。2〜3時間にわたる前述したような接触は、標準的サイトカインアッセイにより測定して、T細胞を活性化させ、ここでサイトカイン(例えば、TNFまたはIFN−γ)のレベルの2倍の増加はT細胞の活性化を示す(下記の文献を参照のこと:Colgan他、Current Protocols in Imunology、vol. 1、Wiley Interscince(Green 1998)。前立腺特異的ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド発現APCに応答して活性化されたT細胞は、CD4+および/またはCD8+であることができる。前立腺特異的タンパク質特異的T細胞を標準的技術に従い増殖させることができる。好ましい実施形態において、T細胞は患者または関係するまたは無関係のドナーに由来し、刺激および増殖後に患者に投与される。
療法上の目的で、前立腺特異的ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはAPCに応答して増殖するCD4+またはCD8+T細胞の数をin vitroまたはin vivoにおいて増殖させることができる。例えば、T細胞を前立腺特異的ポリペプチドに、またはこのようなポリペプチドに対応する短いペプチドに、T細胞成長因子、例えば、インターロイキン−2および/または前立腺特異的ポリペプチドを合成する刺激因子の細胞を添加するか、あるいはしないで、再曝露させることができる。あるいは、前立腺特異的タンパク質の存在下に増殖する1またはそれ以上のT細胞の数をクローニングにより増加させることができる。細胞をクローニングする方法はこの分野においてよく知られており、そして限界希釈法を包含する。
医薬組成物およびワクチン
ある種の態様において、本明細書に開示するポリペプチド、T細胞および/または結合因子を医薬組成物または免疫原性組成物(すなわち、ワクチン)の中に組込むことができる。医薬組成物は1またはそれ以上のこのような化合物と、製薬上許容される担体とを含んでなる。ワクチンは1またはそれ以上のこのような化合物と、免疫刺激剤を含んでなる。免疫刺激剤は、外因性抗原に対する免疫応答を増強する任意の物質であることができる。免疫刺激剤の例は、アジュバント、生分解性ミクロスフェア(例えば、ポリ乳酸ガラクチド)およびリポソーム(その中に化合物を組込む;例えば、米国特許第4,235,877号参照)を包含する。ワクチン調製物は、一般に、例えば、下記の文献に記載されている:M.F. PowellおよびM.J. Newman、編、“Vaccine Design(the subunit and adjuvant approach)”、Plenum Press(NY、1995)。本発明の範囲内に入る医薬組成物およびワクチンは、また、生物学的に活性または不活性であることができる、他の化合物を含有することができる。例えば、他の腫瘍抗原の1またはそれ以上の免疫原性部分は、組成物またはワクチン内に、融合ポリペプチドの中に組込まれて、または別々の化合物として、存在することができる。
医薬組成物またはワクチンは、ポリペプチドがin situで発生されるように、1またはそれ以上の前述のポリペプチドをコードするDNAを含有することができる。前述したように、DNAは核酸発現系、細菌およびウイルス発現系を包含する、当業者に知られている種々の送達系内に存在することができる。多数の遺伝子送達技術はこの分野においてよく知られており、例えば、Rolland、Crit. Rev. Therap. Durg Carrier Systems 15:143−198、1998、およびその中に引用されている参考文献に記載されている。適当な核酸発現系は、患者における発現のために必要なDNA配列を含有する(例えば、適当なプロモーターおよび終止シグナル)。細菌の送達系は、細胞表面上でポリペプチドの免疫原性部分を発現するか、あるいはこのようなエピトープを分泌する細菌(例えば、カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus−Calmette−Guerrin))の投与を包含する。好ましい実施形態において、ウイルス発現系(例えば、ワクシニアまたは他のポックスウイルス、レトロウイルス、またはアデノウイルス)を使用してDNAを導入することができ、これは非病原性(欠陥)、複製競合ウイルスの使用を含むことができる。適当な系は、例えば、下記の文献に開示されている:Fisher−Hoch他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:317−321、1989;Flexner他、Ann. N. Y. Acad. Sci. 569:86−103、1989;Flexner他、Vaccine 8:17−21、1990;米国特許第4,603,112号、米国特許第4,769,330号、および米国特許第5,017,487号;WO89/01973号;米国特許第4,777,127号;GB2,200,651号;EP0,345,242号;WO91/02805号;Berkner、Biotechniques 6:616−627、1988;Rosenfeld他、Science 252:431−434、1991;Kolls他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:215−219、1994;Kass−Eisler他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:11498−11502、1993;Guzman他、Circulation 88:2838−2848、1993;およびGuzman他、Cir. Res. 73:1202−1207、1993。このような発現系の中にDNAを組込む技術は当業者によく知られている。DNAは、また、例えば、下記の文献に記載されかつ総説されているように、「裸」であることができる:Ulmer他、Science 259:1745−1749、1993およびCohen、Science 259:1691−1692、1993。細胞の中に効率よく輸送される、生物分解性ビーズ上にDNAを被覆することによって、裸のDNAの吸収を増加させることができる。
当業者に知られている任意の適当な担体を本発明の医薬組成物において使用することができるが、担持の型は投与モードに依存して変化するであろう。本発明の組成物は、例えば、局所、経口、鼻内、静脈内、頭蓋内、腹腔内、皮下または筋肉内投与を包含する、任意の適当な投与方法のために製剤化することができる。非経口投与、例えば、皮下注射のために、担体は好ましくは水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックスまたは緩衝液を含んでなる。経口投与のために、任意の前述の担体または固体の担体、例えば、マンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、および炭酸マグネシウムを使用することができる。生分解性ミクロスフェア(例えば、ポリ乳酸ポリグリコレート)をまた本発明の医薬組成物の担体として使用することができる。適当な生分解性ミクロスフェアは、例えば、米国特許第4,897,268号および米国特許第5,075,109号に開示されている。
このような組成物は、また、緩衝液(例えば、中性緩衝化生理食塩水またはリン酸塩緩衝液)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチドまたはアミノ酸、例えば、グリシン、酸化防止剤、キレート化剤、例えば、EDTAまたはグルタチオン、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)および/または保存剤を含んでなることができる。あるいは、本発明の組成物は凍結乾燥物として製剤化することができる。また、化合物をよく知られている技術に従いリポソーム内にカプセル化することができる。
種々の免疫刺激剤を、本発明のワクチンにおいて使用することができる。例えば、アジュバントを添加することができる。大部分のアジュバントは、急速な異化から抗原を保護するように設計された物質、例えば、水酸化アルミニウムまたは鉱油、および免疫応答の刺激因子、例えば、脂質A、百日咳菌(Bordetella pertussis)またはヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来タンパク質を含有する。適当なアジュバントは商業的に入手可能であり、例えば、次の通りである:フロイント不完全アジュバントおよび完全アジュバント(Difco Laboratories、ミシガン州デトロイト);メルクアジュバント65(Merck and Company,Inc.、ニュージャージイ州ターウェイ);アルミニウム塩、例えば、水酸化アルミニウムゲル(明礬)またはリン酸アルミニウム;カルシウム、鉄または亜鉛の塩;アシル化チロシンの不溶性懸濁液;アシル化糖;カチオンまたはアニオン的に誘導化された多糖;ポリホスファゼン;生分解性ミクロスフェア;モノホスホリル脂質AおよびクイルA。サイトカイン、例えば、GM−CSFまたはインターロイキン−2、−7、または−12をアジュバントとして使用することもできる。
本発明において提供されるワクチンにおいて、アジュバント組成物は好ましくは主としてTh1型の免疫応答を誘導するように設計される。高いレベルのTh1型サイトカイン(例えば、IFN-γ、IL-2およびIL-12)は、投与された抗原に対する細胞仲介免疫応答の誘導を好む傾向がある。対照的に、高いレベルのTh2型サイトカイン(例えば、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10およびTNF-β)は、ヒト免疫応答の誘導を好む傾向がある。本発明において提供されるワクチンの適用後、患者はTh1-型およびTh2-型応答を包含する免疫応答を支持するであろう。応答が主としてTh1型である、好ましい実施形態において、Th1型サイトカインのレベルはTh2-型サイトカインのレベルよりも大きい程度に増加するであろう。これらのサイトカインのレベルは標準的アッセイに従い容易に評価することができる。サイトカインのファミリーの総説については、下記の文献を参照のこと:MosmannおよびCoffman、Ann. Rev. Immunol. 7:145−173,1989。
主としてTh1型応答の誘発において使用するために好ましいアジュバントは、例えば、モノホスホリル脂質A、好ましくは3−デ−O−アシル化モノホスホリル脂質A(3D−MPL)とアルミニウム塩との組合わせを包含する。MPLアジュバントは、リビ・イムノケム・リサーチ・インコーポレーテッド(Ribi ImmunoChem Research Inc.)(モンタナ州ハミルトン;米国特許第4,436,727号、米国特許第4,877,611号、米国特許第4,866,034号および米国特許第4,912,094号参照)から入手可能である。CpGを含有するオリゴヌクレオチド(CpGジヌクレオチドはメチル化されてない)もまた主としてTh1応答を誘導する。このようなオリゴヌクレオチドはこの分野においてよく知られており、そして、例えば、WO96/02555号に記載されている。他の好ましいアジュバントはサポニン、好ましくはQS21であり、単独でまたは他のアジュバントと組合わせて使用することができる。例えば、増強された系はモノホスホリル脂質Aとサポニン誘導体との組合わせ、例えば、WO94/00153号に記載されているQS21と3D−MPLとの組合わせ、またはWO96/33739号に記載されているような、QS21がコレステロールでクエンチされている低い反応生成性(reactogenic)組成物を包含する。他の好ましい組成物は、水中油型エマルジョンおよびトコフェロールを含んでなる。水中油型エマルジョン中にQS21、3D−MPLおよびトコフェロールを含む特に効力のあるアジュバント製剤は、WO95/17210号に記載されている。抗原、免疫応答エンハンサーおよび適当な担体または賦形剤の組合わせを生ずる、よく知られている方法により、本発明において提供される任意のワクチンを製造することができる。
本明細書に記載する組成物は、持続放出性製剤(すなわち、投与後に化合物を遅く放出するカプセルまたはスポンジのような製剤)の一部分として投与することができる。このような製剤は、一般に、よく知られている技術により製造し、例えば、経口、経直腸または皮下移植により、または所望のターゲット部位における移植により投与することができる。持続放出性製剤は、担体マトリックスの中に分散されたおよび/または速度制御膜により取り囲まれた貯留部内に含有された、ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは抗体を含有することができる。このような製剤において使用する担体は生物適合性であり、また、生分解性であることができる;好ましくは製剤は比較的一定レベルで活性化合物を放出する。持続放出性製剤中に含有される活性化合物の量は、移植部位、放出の速度および期待する期間および治療または予防すべき症状の特質に依存する。
種々の送達ビヒクルを医薬組成物およびワクチンにおいて使用して、腫瘍細胞をターゲットとする抗原特異的免疫応答の産生を促進することができる。送達ビヒクルは、抗原提示細胞(APC)、例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、単球および効率よいAPCsであるように遺伝子操作されていてもよい他の細胞を包含する。このような細胞は、遺伝的に修飾して、抗原を提示する能力を増加し、T細胞の応答の活性化および/または維持を改良し、抗腫瘍作用それ自体を有しおよび/または受容体と免疫学的に適合性とする(すなわち、HLAハプロタイプの合致)ことができるが、これは必ずしも必要ではない。APCは一般に種々の生物学的流体および器官、例えば、腫瘍および腫瘍周囲組織から単離することができ、そして自己由来、同種異系、同系または異種の細胞であることができる。
本発明のある種の好ましい実施形態において、抗原提示細胞として樹状細胞またはその子孫を使用する。樹状細胞は高度に効力があるAPC(BanchereauおよびSteinman、Nature 392:245−251、1998)であり、そして予防的または治療的抗腫瘍免疫性を誘発するための生理学的アジュバントとして有効であることが示された(TimmermanおよびLevy、Ann. Rev. Med. 50:507−529、1999参照)。一般に、樹状細胞はそれらの典型的な形状に基づいて(in situで星状、in vitroで可視の顕著な細胞質プロセス(樹状突起))、高効率で抗原を取り込み、プロセシングし、そして提示するそれらの能力、並びにナイーブなTS細胞応答を活性化させるそれらの能力に基づいて同定することができる。樹状細胞は、もちろん、in vivoまたはex vivoにおいて普通に見出されない、特異的細胞表面のレセプターまたはリガンドを発現するように操作することができ、そしてこのような修飾された樹状細胞は本発明により意図される。樹状細胞に対する代替物として、分泌された小胞抗原負荷樹状細胞(エキソソームと呼ぶ)をワクチンにおいて使用することができる(Zitvogel他、Nature Med. 4:594−600、1998参照)。
樹状細胞および子孫は、末梢血、骨髄、腫瘍浸潤細胞、腫瘍周辺組織浸潤細胞、リンパ節、脾臓、皮膚、臍帯血または任意の他の適当な組織または流体から得ることができる。例えば、末梢血から収集した単球培養物にサイトカイン、例えば、GM−CSF、IL−4、IL−13および/またはTNFαの組合わせを添加することによって、樹状細胞をex vivoで分化させることができる。あるいは、GM−CSF、IL−3、TNFα、CD40リガンド、LPS、flt3リガンドおよび/または樹状細胞の成熟および増殖を誘導する1またはそれ以上の他の化合物を培地に添加することによって、末梢血、臍帯血または骨髄から収集したCD34陽性細胞を樹状細胞に分化させることができる。
樹状細胞は、従来、簡単な方法で2つのよく特性決定された表現型に区別することを可能とする、「未熟」および「成熟」細胞としてカテゴリー化されている。しかしながら、この命名法は分化のすべての可能な中間段階を排除すると解釈すべきではない。未熟樹状細胞は、抗原の吸収およびプロセシングについて高い能力を有するAPCとして特徴づけられ、これはFcγレセプターおよびマンナナーゼレセプターの高い発現と相関する。成熟表現型は典型的にはこれらのマーカーの低い発現により特徴づけられるが、細胞表面の分子の高い発現はT細胞の活性化、例えば、クラスIおよびクラスII MHC、接着分子(例えば、CD54およびCD11)および共刺激分子(例えば、CD40、CD80、CD86、および4-1BB)に関係する。
前立腺特異的タンパク質(またはその一部分または他の変異型)をコードするポリヌクレオチドでAPCを一般にトランスフェクトし、こうして前立腺特異的ポリペプチド、またはその免疫原性部分が細胞表面上で発現されるようすることができる。このようなトランスフェクションはex vivoで実施することができ、次いでこのようなトランスフェクトされた細胞を含んでなる組成物またはワクチンを、本明細書において記載するように、療法上の目的で使用することができる。あるいは、樹状細胞または他の抗原提示細胞をターゲットとする遺伝子送達ビヒクルを患者に投与し、in vivoでトランスフェクションを行うことができる。in vivoおよびex vivoにおいて、例えば、樹状細胞のトランスフェクションは、一般に、この分野において知られている方法、例えば、WO97/24470号に記載されている方法、またはMahvi他、Immunology and Cell Biology 75:456−460、1997に記載されている遺伝子銃アプローチを使用して、実行することができる。樹状細胞または子孫細胞を前立腺腫瘍ポリペプチド、DNA(裸またはプラスミドベクター内)またはRNAと;または抗原を発現する細菌またはウイルス(例えば、ワクシニア、トリポックス、アデノウイルスまたはレンチウイルスのベクター)とインキュベートすることによって、樹状細胞の抗原負荷を達成することができる。負荷の前に、T細胞ヘルプを提供する免疫学的相手(例えば、担体分子)にポリペプチドを共有結合させることができる。あるいは、樹状細胞を非複合化免疫学的相手で、別々にまたはポリペプチドの存在下に、パルスすることができる。
癌の療法
本発明の他の態様において、本明細書に記載する組成物を癌、例えば、前立腺癌の免疫療法に使用することができる。このような方法において、医薬組成物およびワクチンを典型的には患者に投与する。本明細書において使用するとき、「患者」は温血動物、好ましくはヒトを意味する。患者は癌をもつか、あるいはもたないことができる。したがって、前述の医薬組成物およびワクチンを使用して癌の発生を予防するか、あるいは癌を有する患者を治療することができる。この分野において一般に受け入れられている悪性腫瘍の存在を包含する基準を使用して、癌を診断することができる。原発腫瘍の外科的除去および/または放射線療法または慣用の化学療法薬剤の投与のような治療の前または後に、医薬組成物およびワクチンを投与することができる。
ある種の実施形態において、免疫療法は活性免疫療法であることができ、この免疫療法において、免疫応答改変因子(例えば、本明細書に開示するポリペプチドおよびポリヌクレオチド)の投与で腫瘍に対して反応させるように、内因性宿主免疫系のin vivo刺激により治療を実施する。
他の実施形態において、免疫療法は受身免疫療法であることができ、この免疫療法において、治療は確立された腫瘍免疫反応性を有する因子(例えば、エフェクター細胞または抗体)の送達を包含し、このような因子は抗腫瘍作用を直接的または間接的に仲介することができ、そして無傷の宿主免疫系に必ずしも依存しない。エフェクター細胞の例は次の通りである:前述のT細胞、Tリンパ球(例えば、CD8+細胞傷害性Tリンパ球およびCD4+Tヘルパー浸潤リンパ球)、キラー細胞(例えば、ナチュラルキラー細胞およびリンホカイン活性化キラー細胞)、B細胞および本発明において提供されるポリペプチドを発現する抗原提示細胞(例えば、樹状細胞およびマクロファージ)。本明細書に記載するポリペプチドに対して特異的なT細胞レセプターおよび抗体レセプターをクローニングし、発現させ、適応免疫療法のための他のベクターまたはエフェクター細胞の中に移すことができる。本発明において提供されるポリペプチドは、また、受身免疫療法のための抗体または抗イディオタイプ抗体を発生させるために使用することができる(前述したようにそして米国特許第4,918,164号に記載されているように)。
エフェクター細胞は、一般に、本明細書において記載するように、in vitroでの増殖により適応免疫療法のための十分な量で得ることができる。in vivo抗原認識を保持させて単一抗原特異的エフェクター細胞の数を数十億個に増殖させる培養条件は、この分野においてよく知られている。このようなin vitro培養条件は、典型的には、しばしばサイトカイン(例えば、IL−2)および非分裂フィーダー細胞の存在下に、抗原で間欠的に刺激することを包含する。前述したように、本発明において提供される免疫反応性ポリペプチドを使用して抗原特異的T細胞培養物を増殖させて、免疫療法のために十分な数の細胞を発生させることができる。特に、この分野においてよく知られている標準的技術に従い、抗原提示細胞、例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞またはB細胞を免疫反応性ポリペプチドでパルスするか、あるいは1またはそれ以上のポリヌクレオチドでトランスフェクトすることができる。例えば、組換えウイルスまたは他の発現系における発現を増加するために適当なプロモーターを有するポリヌクレオチドで、抗原提示細胞をトランスフェクトすることができる。療法において使用するための培養したエフェクター細胞は増殖し、広く分布し、そしてin vivoにおいて長期間生き残ることができなくてはならない。研究において、IL−2を補充した抗原を使用する反復刺激により、in vivoで増殖し、実質的な数で長期間生き残るように、培養したエフェクター細胞を誘導することができることが示された(例えば、Cheever他、Immunological Reviews 157:177、1997参照)。
あるいは、本明細書に記載するポリペプチドを発現するベクターを患者から取った抗原提示細胞の中に導入し、同一患者の中への移植し戻すためにex vivoでクローン的に増殖させることができる。この分野において知られている手段を使用して、好ましくは無菌形態で、静脈内、空洞内(intracavitary)、腹腔内または腫瘍内の投与により、トランスフェクトされた細胞を患者の中に再導入することができる。
本明細書に開示する治療用組成物の投与の経路および頻度、ならびに投与量は、個体毎に変化し、標準的技術に従い容易に確立することができる。一般に、医薬組成物およびワクチンは注射により(例えば、皮膚内、筋肉内、静脈内または皮下)、鼻内(例えば、吸引による)または経口的に投与することができる。好ましくは、1〜10投与量を52週の期間にわたって投与することができる。好ましくは、6投与量を1カ月の間隔で投与し、そして追加免疫ワクチン接種をその後に周期的に与える。適当な投与量は、前述したように投与したとき、抗腫瘍免疫応答を促進することができる化合物の量であり、そしてベースライン(すなわち、未処理)レベルより少なくとも10〜50%上である。このような応答は、患者における抗腫瘍抗体を測定するか、あるいはin vitroにおいて患者の腫瘍細胞を殺すことができる細胞溶解性エフェクター細胞のワクチン依存的発生により、モニターすることができる。このようなワクチンは、また、非ワクチン接種患者に比較して、ワクチン接種した患者において改善された臨床的結果(例えば、いっそう頻繁な寛解、完全なまたは部分的またはより長い無疾患の生存)に導く免疫応答を引き起こすことができる。一般に、1またはそれ以上のポリペプチドを含んでなる医薬組成物およびワクチンについて、投与量の中に存在する各ポリペプチドの量は約100μg〜5mg/kg宿主の範囲である。適当な投与量は患者のサイズとともに変化するが、典型的には約0.1ml〜約5mlの範囲である。
一般に、適当な投与量および治療のレジメンは、治療的および/または予防的利益を提供するために十分な量で1またはそれ以上の活性化合物を提供する。このような応答は、未治療患者に比較して治療した患者において改善された臨床的結果(例えば、いっそう頻繁な寛解、完全なまたは部分的またはより長い無疾患の生存)を確立することによって、モニターすることができる。前立腺特異的タンパク質に対する前もって存在する免疫応答の増加は、一般に、臨床的結果の改善と相関する。このような免疫応答は、一般に、標準的増殖、細胞傷害性またはサイトカインのアッセイにより評価することができ、このようなアッセイは治療前後に患者から得られた試料を使用して実施することができる。
癌を検出する方法
一般に、癌は患者から得られた生物学的試料(例えば、血液、血清、尿および/または腫瘍バイオプシー)中の1またはそれ以上の前立腺特異的タンパク質および/またはこのようなタンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在に基づいて、患者において検出することができる。換言すると、このようなタンパク質は癌、例えば、前立腺癌の存在または非存在を示すマーカーとして使用することができる。さらに、このようなタンパク質は他の癌の検出について有用であることがある。本発明において提供される結合因子は、一般に、生物学的試料中の因子に結合する抗原のレベルの検出を可能とする。ポリヌクレオチドのプライマーおよびプローブを使用して腫瘍タンパク質をコードするmRNAのレベルを検出することができ、これはまた癌の存在または非存在を示す。一般に、前立腺腫瘍配列は、正常組織におけるよりも腫瘍組織において少なくとも3倍高いレベルで存在するであろう。
試料中のポリペプチドマーカーを検出する結合因子を使用する種々のアッセイフォーマットが当業者に知られている。例えば、下記の文献を参照のこと:HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988。一般に、患者における癌の存在または非存在は、(a)患者から得られた生物学的試料を結合因子と接触させ;(b)結合因子に結合するポリペプチドのレベルを試料中で検出し;そして(c)ポリペプチドのレベルを前もって決定したカットオフ値と比較することによって、決定することができる。
好ましい実施形態において、このアッセイは固体の支持体上に固定化された結合因子を使用して、試料の残りからポリペプチドを結合し、取り出すことを包含する。次いでリポーター基を含有し、結合因子/ポリペプチド複合体に特異的に結合する検出試薬を使用して、結合したポリペプチドを検出することができる。このような検出試薬は、例えば、ポリペプチドまたは抗体に特異的に結合する結合因子を含んでなるか、あるいは結合因子、例えば、抗免疫グロブリン、プロテインG、プロテインAまたはレクチンに特異的に結合する他の因子を含んでなることができる。あるいは、競合アッセイを利用することができ、ここでポリペプチドをリポーター基で標識化し、結合因子を試料とインキュベートした後、固定化された結合因子に結合させる。試料中の成分が標識化ポリペプチドの結合因子への結合を阻害する程度は、固定化された結合因子との試料の反応性を示す。このようなアッセイにおいて使用するために適当なポリペプチドは、前述したように、結合因子が結合する全長の前立腺特異的タンパク質およびその一部分を包含する。
固体の支持体は、タンパク質を結合させることができる、当業者に知られている任意の物質であることができる。例えば、固体の支持体はマイクロタイタープレート中の試験ウェルまたはニトロセルロースまたは他の適当な膜であることができる。あるいは、支持体はビーズまたはディスク、例えば、ガラス、ガラスファイバー、ラテックスまたはプラスチック材料、例えば、ポリスチレンまたはポリ塩化ビニルであることができる。支持体は、また、磁気粒子または光ファイバーセンサー、例えば、米国特許第5,359,681号に記載されているものであることができる。結合因子は、当業者に知られている種々の技術に従い固体の支持体上に固定化することができ、これらの技術は患者および科学文献に豊富に記載されている。本発明において、用語「固定化」は非共有結合のアソシエーション、例えば、吸着、および共有結合(これは因子と支持体上の官能基との間の直接的結合または架橋剤による結合であることができる)の両方を意味する。マイクロタイタープレート中のウェルまたは膜への吸着による固定化は好ましい。このような場合において、適当な緩衝液中の結合因子を固体の支持体と適当な時間の間接触させることによって、吸着を達成することができる。接触時間は温度とともに変化するが、典型的には約1時間〜約1日である。一般に、プラスチックのマイクロタイタープレートのウェル(例えば、ポリスチレンまたはポリ塩化ビニル)を約10ng〜約10μg、好ましくは約100ng〜約1μgの範囲の量の結合因子と接触させることは、適切な量の結合因子の固定化のために十分である。
固体の支持体への結合因子の共有結合は、一般に、最初に、支持体および結合因子上の官能基、例えば、ヒドロキシル基の両方と反応する二官能価の試薬と反応させることにより達成される。例えば、ベンゾキノンを使用するか、あるいは支持体上のアルデヒド基を結合因子上のアミンおよび活性水素と縮合させることによって、適当なポリマーのコーティングを有する支持体に結合因子を共有結合させることができる(例えば、Pierce Immunotechnology Catalog and Handbook、1991、A12−A13参照)。
ある実施形態において、このアッセイは2つの抗体のサンドイッチアッセイである。このアッセイは、まず、固体の支持体、普通にマイクロタイタープレートのウェル上に固定化された抗体を試料と接触させ、こうして、試料中のポリペプチドを固定化された抗体に結合させることによって実行することができる。次いで非結合試料を固定化ポリペプチド−抗体複合体から除去し、リポーター基を含有する検出試薬(好ましくはポリペプチド上の異なる部位に結合することができる二次抗体)を添加する。次いで固体の支持体に結合したままの検出試薬の量を、特定のリポーター基に適当な方法により測定する。
さらに詳しくは、いったん抗体が前述したように固体の支持体上に固定化されると、残りのタンパク質結合部位を典型的にはブロックする。適当なブロッキング剤、例えば、ウシ血清アルブミンまたはTween 20(商標)(Sigma Chemical Co.、ミズーリ州セントルイス)は当業者に知られている。次いで固定化抗体を試料とインキュベートし、そしてポリペプチドを抗体に結合させる。インキュベーション前に、試料を適当な緩衝液、例えば、リン酸塩緩衝液(PBS)で希釈する。一般に、適当な接触時間(すなわち、インキュベーション時間)は、前立腺癌を有する個体から得られた試料中のポリペプチドの存在を検出するために十分である。好ましくは、接触時間は、結合したポリペプチドと非結合ポリペプチドとの間の平衡において達成されるレベルの約95%であるレベルを達成するために十分である。当業者は認識するように、ある時間にわたって起こる結合レベルをアッセイすることによって、平衡を達成するために必要な時間を容易に決定することができる。室温において、約30分のインキュベーション時間は一般に十分である。
次いで固体の支持体を適当な緩衝液、例えば、0.1%のTween 20(商標)を含有するPBSで洗浄することによって、非結合試料を除去することができる。次いでリポーター基を含有する二次抗体を添加する。好ましいリポーター基は前述の基を包含する。
次いで結合したポリペプチドを検出するために十分な時間の間、検出試薬を固定化抗体−ポリペプチド複合体とインキュベートする。一般に、ある時間にわたって起こる結合レベルをアッセイすることによって、適当な時間を決定することができる。次いで非結合検出試薬を除去し、結合した検出試薬をリポーター基により検出する。リポーター基の検出に使用する方法は、リポーター基の性質に依存する。放射性基について、シンチレーションカウンティングまたはオートラジオグラフィー法は一般に適当である。分光光度測定法を使用して色素、発光基および蛍光基を検出することができる。異なるリポーター基(通常は放射性または蛍光基または酵素)にカップリングされた、アビジンを使用して、ビオチンを検出することができる。酵素のリポーター基は一般に基質を添加し(一般に特定の時間の間)、次いで反応生成物の分光測定または他の分析により検出することができる。
癌、例えば、前立腺癌の存在または不存在を決定するために、固体の支持体に結合しているリポーター基から検出されたシグナルを一般に前もって決定したカットオフ値と比較する。1つの好ましい実施形態において、癌を検出するカットオフ値は、癌をもたない患者からの試料と固定化抗体をインキュベートしたとき得られた、平均シグナルである。一般に、前もって決定したカットオフ値よりも3標準偏差大きいシグナルを発生する試料は、癌について陽性であると考える。別の好ましい実施形態において、カットオフ値は、下記の文献の方法に従い、レシーバー・オペレーター・カーブ(Receiver Operator Curve)を使用して決定される:Sakett他、Clinical Epidemiology:A Basic Science for Clinical Medicne、Little Brown and Co.、1985、p. 106−7。簡単に述べると、この実施形態において、診断試験結果についての可能なカットオフ値それぞれに対応する真の陽性割合(すなわち、感受性)および偽の陽性割合(100%の特異性)の対のプロットから、カットオフ値を決定することができる。上左隅に最も近いプロットのカットオフ値(すなわち、最大面積を取り囲む値)は最も正確なカットオフ値であり、そしてこの方法により決定されたカットオフ値よりも高いシグナルを発生する試料は陽性であると考えることができる。あるいは、カットオフ値をプロットに沿って左にシフトさせて、偽の陽性割合を最小にするか、あるいは右にシフトさせて、偽の陰性割合を最小にすることができる。一般に、この方法により決定されたカットオフ値よりも高いシグナルを発生する試料は癌について陽性であると考えられる。
関係する実施形態において、アッセイはフロースルー(flow-through)またはストリップ・テスト・フォーマットで実施し、ここで結合因子を膜、例えば、ニトロセルロース上に固定化する。フロースルー試験において、試料が膜を通過するとき、試料中のポリペプチドは固定化結合因子に結合する。第2に、第2結合因子を含有する溶液が膜を通過するとき、標識化結合因子は結合因子−ポリペプチド複合体に結合する。次いで、結合した第2結合因子の検出を前述したように実行することができる。ストリップ試験において、結合因子が結合した膜の一端を試料を含有する溶液の中に浸漬させる。試料は膜に沿って第2結合因子を含有する領域を通して、固定化結合因子の領域へ移動する。固定化抗体の領域における第2結合因子の濃縮は、癌の存在を示す。典型的には、その部位における第2結合因子の濃縮は、視覚的に読取ることができるパターン、例えば、線を発生する。このようなパターンの非存在は陰性結果を示す。一般に、前述のフォーマットにおいて、2抗体サンドイッチアッセイにおいて陽性シグナルを発生するために十分であるレベルのポリペプチドを生物学的試料が含有するとき、視覚的に識別できるパターンを発生するように、膜上に固定化された結合因子の量は選択される。このようなアッセイにおいて使用するために好ましい結合因子は、抗体およびそれらの抗原結合性フラグメントである。好ましくは、膜上に固定化された抗体の量は、約25ng〜約1μg、より好ましくは約50ng〜約500ngの範囲である。典型的には、このような試験は非常に少量の生物学的試料を使用して実行することができる。
もちろん、本発明のタンパク質または結合因子とともに使用するために適当な、多数の他のアッセイプロトコルが存在する。上の説明は単なる例示であることを意図する。例えば、当業者にとって明らかなように、生物学的試料中の前立腺特異的ポリペプチドに結合する抗体を検出するために、このようなポリペプチドを使用するように、上記プロトコルを容易に変更することができる。このような前立腺特異的タンパク質特異的抗体の検出を癌の存在と相関させることができる。
また、または選択的に、生物学的試料中の前立腺特異的タンパク質と特異的に反応するT細胞の存在に基づいて、癌を検出することができる。ある種の方法において、患者から単離されたCD4+および/またはCD8+T細胞を含んでなる生物学的試料を、前立腺特異的タンパク質、このようなペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/またはこのようなポリペプチドの少なくとも免疫原性部分を発現するAPCとインキュベートし、T細胞の存在または非存在を検出する。適当な生物学的試料は単離されたT細胞を包含するが、これらに限定されない。例えば、日常的技術(例えば、末梢血リンパ球のフィコール/ハイパーク(Ficoll/Hypaque)密度勾配遠心)により、T細胞を患者から単離することができる。T細胞をin vitroで37℃において前立腺特異的ポリペプチド(例えば、5〜25μg/ml)と2〜9日間(典型的には4日間)インキュベートすることができる。前立腺腫瘍タンパク質の非存在下にT細胞試料の他のアリコートをインキュベートして対照として働かせることが望ましいことがある。CD4+T細胞について、T細胞の増殖を評価することによって、活性化を検出することが好ましい。CD8+T細胞について、細胞溶解活性を評価することによって、活性化を検出することが好ましい。無疾患患者におけるよりも少なくとも2倍大きい増殖レベルおよび/または少なくとも20%大きい細胞溶解活性レベルは、患者における癌の存在を示す。
前述したように、また、または選択的に、生物学的試料中の前立腺特異的タンパク質をコードするmRNAのレベルに基づいて、癌を検出することができる。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイにおいて、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、生物学的試料に由来する前立腺特異的cDNAの一部分を増幅することができ、ここでオリゴヌクレオチドプライマーの少なくとも一方は前立腺特異的タンパク質をコードするポリヌクレオチドに対して特異的である(すなわち、それに対してハイブリダイゼーションする)。次いでこの分野においてよく知られている技術、例えば、電気泳動を使用して、増幅されたcDNAを分離し、検出する。同様に、前立腺特異的タンパク質をコードするポリヌクレオチドに対して特異的にハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用して、生物学的試料中の腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在を検出することができる。
アッセイ条件下にハイブリダイゼーションを可能とするために、オリゴヌクレオチドのプライマーおよびプローブは、少なくとも10ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも20ヌクレオチド長である、前立腺特異的タンパク質をコードするポリヌクレオチドの一部分に対して少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約90%の同一性を有するオリゴヌクレオチド配列を含んでなる。好ましくは、オリゴヌクレオチドのプライマーおよび/またはプローブは、上記において定義した、中程度にストリンジェントな条件下で、本明細書に開示するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対してハイブリダイゼーションするであろう。本明細書に記載する診断法において通常使用することができる、オリゴヌクレオチドのプライマーおよび/またはプローブは好ましくは少なくとも10〜40ヌクレオチド長である。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1〜111、115〜171、173〜175、177、179〜305、307〜315、326、328、330、332〜335、340〜375、381、382、384-476、524、526、530、531、533、535、および536に記載する配列を有するDNA分子の少なくとも10隣接ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも15隣接ヌクレオチドを含んでなる。PCRをベースとするアッセイおよびハイブリダイゼーションアッセイの両方についての技術はこの分野においてよく知られている(例えば、下記の文献を参照のこと:Mullis他、Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 51:263,1987;Erlich編、PCR Technology、Stockton Press、NY、1989)。
1つの好ましいアッセイにおいて、RT−PCRを使用し、ここでPCRを逆転写と組み合わせて適用する。典型的には、RNAを生物学的試料、例えば、バイオプシー組織から抽出し、逆転写してcDNA分子を生成する。少なくとも1つの特異的プライマーを使用するPCR増幅はcDNA分子を発生し、これを、例えば、ゲル電気泳動により分離し、可視化することができる。被験患者からおよび癌をもたない個体から取った生物学的試料について、増幅を実行することができる。2桁の大きさにわたるcDNAのいくつかの希釈物について、増幅反応を実行することができる。非癌試料の同一希釈物に比較して被験患者の試料のいくつかの希釈物における2倍またはそれより大きい発現の増加は、典型的には陽性と考える。
他の実施形態において、開示された組成物を癌進行のマーカーとして使用することができる。この実施形態において、癌の診断について前述したアッセイを経時的に実行し、そして1またはそれ以上の反応性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルの変化を評価することができる。例えば、アッセイを6カ月〜1年の期間の間、24〜72時間毎に実行し、その後、必要に応じて実行することができる。一般に、検出されたポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルが経時的に増加する患者において、癌は進行している。対照的に、反応性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルが一定に止まるか、あるいは時間とともに減少するとき、癌は進行していない。
ある種のin vivo診断アッセイを腫瘍について直接的に実行することができる。1つのこのようなアッセイは腫瘍細胞を結合因子と接触させることを包含する。次いで結合した結合因子をリポーター基により直接的または間接的に検出することができる。また、このような結合因子は組織学的用途において使用することができる。
前述したように、感度を改良するために、多数の前立腺特異的タンパク質マーカーを所定の試料においてアッセイすることができる。本発明において提供される異なるタンパク質に対して特異的な結合因子を、単一のアッセイにおいて組合わせることができることは明らかであろう。日常的実験をベースとしてタンパク質マーカーを選択して、最適な感度を生ずる組合わせを決定する。さらに、または選択的に、本発明において提供されるタンパク質についてのアッセイを、他の既知の腫瘍抗原についてのアッセイと組合わせることができる。
診断キット
本発明は、さらに、上記診断方法において使用するためのキットを提供する。このようなキットは、診断アッセイを実行するために必要な2またはそれ以上の構成成分を含んでなる。構成成分は化合物、試薬、容器および/または装置であることができる。例えば、キット内の1つの容器は、前立腺特異的タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体またはそのフラグメントを含有することができる。このような抗体またはフラグメントは、前述したように、支持物質に結合された形態で提供することができる。1またはそれ以上の追加の容器は、アッセイにおいて使用すべき因子を取り囲むことができる。このようなキットは、また、または選択的に、抗体結合の直接的または間接的検出に適当なリポーター基を含有する、前述の検出試薬を含有することができる。
あるいは、生物学的試料中の前立腺特異的タンパク質をコードするmRNAのレベルを検出するようにキットを設計することができる。このようなキットは、一般に、前立腺特異的タンパク質をコードするポリヌクレオチドに対してハイブリダイゼーションする、少なくとも1つの前述のオリゴヌクレオチドのプローブまたはプライマーを含んでなる。このようなオリゴヌクレオチドは、例えば、PCRまたはハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用することができる。このようなキット内に存在することができる追加の成分は、前立腺特異的タンパク質をコードするポリヌクレオチドの検出を促進する第2オリゴヌクレオチドおよび/または診断試薬または容器を包含する。
下記の実施例は本発明の例示であるが、本発明を限定するものと解釈すべきではない。
実施例1
前立腺特異的ポリペプチドの単離および特性決定
この実施例において、前立腺腫瘍cDNAライブラリーからのある種の前立腺特異的ポリペプチドの単離を記載する。
製造業者のプロトコールに従いDNA合成のためのスーパースクリプト・プラスミド系(Superscript Plasmid System)およびプラスミドクローニングキット(BRL Life Technologies、マリイランド州20897ガイサースバーグ)を使用して、ヒト前立腺腫瘍cDNA発現ライブラリーをポリA+RNAから構築した。詳しくは、前立腺腫瘍組織をポリトロン(Kinematica、スイス国)でホモジナイズし、トリゾール(Trizol)試薬(BRL Life Technologies)を製造業者の指示に従いを使用して、全RNAを抽出した。次いでキアゲン(Qiagen)オリゴテックススピンカラムmRNA精製キット(Qiagen、カリフォルニア州91355サンタクラリタ)を製造業者のプロトコールに従いを使用して、ポリA+RNAを精製した。NotI/オリゴ−dT18プライマーを使用して、ファーストストランドcDNAを合成した。二本鎖cDNAを合成し、EcoRI/BAXIアダプター(Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴ)とライゲーションし、NotIで消化した。クロマ・スピン(Chroma Spin)−1000カラム(Clontech、カリフォルニア州パロアルト)でサイズ分画した後、cDNAをpCDNA3.1(Invitrogen)のEcoRI/NotI部位の中にライゲーションし、エレクトロマックス(ElectroMax)大腸菌(E. coli)DH10B細胞(BRL Life Technologies)の中にエレクトロポレーションにより形質転換させた。
同一手順を使用して、正常ヒト膵臓cDNA発現ライブラリーを6組織検体のプールから調製した(Clontech)。独立コロニーの数の測定、インサートを担持するクローンのパーセンテージ、平均インサートサイズおよび配列分析により、cDNAライブラリーを特性決定した。前立腺腫瘍ライブラリーは1.64×107の独立コロニーを含有し、クローンの70%はインサートを有し、そして平均インサートサイズは1745塩基対であった。正常膵臓cDNAライブラリーは3.3×106の独立コロニーを含有し、クローンの69%はインサートを有し、そして平均インサートサイズは1120塩基対であった。両方のライブラリーについて、配列分析はクローンの大部分が全長のcDNA配列を有し、mRNAから合成され、rRNAおよびミトコンドリアDNAの汚染は最小限であることを示した。
下記の文献に記載されているように、多少の変更を加えて、上記前立腺腫瘍および正常膵臓cDNAライブラリーを使用して、cDNAライブラリーのサブトラクションを実行した:Hara他、Blood 84:189−199、1994。詳しくは、前立腺腫瘍特異的サブトラクテッドcDNAライブラリーを次のようにして作製した。正常膵臓cDNAライブラリー(70μg)をEcoRI、NotI、およびSfuIで消化し、次いでDNAポリメラーゼクレノーフラグメントでフィリングイン反応を実行した。フェノール−クロロホルム抽出およびエタノール沈降後、DNAを100μlのH2O中に溶解し、加熱変性し、100μl(100μg)のフォトプローブビオチン(Vector Laboratories、カリフォルニア州バーリンゲイム)と混合した。製造業者が推奨するように、生ずる混合物を氷上において270ワットの太陽灯で20分間照射した。追加のフォトプローブビオチン(50μl)を添加し、ビオチニル化反応を反復した。ブタノールで5回抽出した後、DNAをエタノール沈降させ、23μlのH2O中に溶解してドライバーDNAを形成した。
トレーサーDNAを形成するために、10μgの前立腺腫瘍cDNAライブラリーをBamHIおよびXhoIで消化し、フェノール−クロロホルム抽出し、クロマ・スピン−400カラム(Clontech)に通過させた。エタノール沈降後、トレーサーDNAを5μlのH2O中に溶解した。トレーサーDNAを15μlのドライバーDNAおよび20μlの2×ハイブリダイゼーション緩衝液(1.5MのNaCl/10mMのEDTA/50mMのHEPES pH7.5/0.2%のドデシル硫酸ナトリウム)と混合し、鉱油をオーバーレイし、完全に加熱変性した。試料を直ちに68℃の水浴の中に移し、20時間インキュベートした(ロングハイブリダイゼーション[LH])。次いで、この反応混合物をストレプトアビジンで処理し、次いでフェノール/クロロホルムで抽出した。この方法をさらに3回反復した。サブトラクテッドDNAを沈降させ、12μlのH2O中に溶解し、8μlのドライバーDNAおよび20μlの2×ハイブリダイゼーション緩衝液と混合し、68℃において2時間ハイブリダイゼーションした(ショートハイブリダイゼーション[SH])。ビオチニル化二本鎖DNAを除去した後、サブトラクテッドcDNAをクロラムフェニコール耐性pBCSK+(Stratagene、カリフォルニア州92037ラジョラ)のBamHI/XhoI部位の中にライゲーションし、エレクトロマックス(ElectroMax)大腸菌(E. coli)DH10B細胞の中にエレクトロポレーションにより形質転換して、前立腺腫瘍特異的サブトラクテッドcDNAライブラリー(「前立腺サブトラクション1」と呼ぶ)を作製した。
サブトラクテッドcDNAライブラリーを分析するために、サブトラクテッド前立腺腫瘍特異的ライブラリーからランダムに取り出し、インサートのサイズに基づいてグループに分けた100の独立クローンからプラスミドDNAを調製した。パーキンエルマー(Perkin Elmer)/アプライド・バイオシステムス・ディビジョン(Applied Biosystems Division)自動化配列決定装置373A型(フォスターシティー、カリフォルニア州)を使用するDNA配列決定により、代表的なcDNAクローンをさらに特性決定した。6つのcDNAクローン(以後F1−13、F1−12、F1−16、H1−1、H1−9およびH1−4と呼ぶ)は、サブトラクテッド前立腺特異的cDNAライブラリー中で富んでいることが示された。F1−12について決定された3'および5'cDNA配列を、それぞれ、配列番号2および3に記載し、F1−13、F1−16、H1−1、H1−9およびH1−4について決定された3'cDNA配列を、それぞれ、配列番号1および4〜7に記載する。
遺伝子バンクにおいて、EMBLおよびGeneBankデータベース(リリース96)を使用して、単離されたクローンのcDNA配列を既知の配列と比較した。前立腺腫瘍cDNAクローンの4つ、F1−13、F1−16、H1−1およびH1−4は、下記の以前に同定されたタンパク質をコードすることが決定された:前立腺特異的抗原(PSA)、ヒト腺カリクレイン、ヒト腫瘍発現増強遺伝子、およびミトコンドリアシトクロムCオキシダーゼサブユニットII。H1−9は、以前に同定されたヒトの自律的に複製する配列と同一であることが見出された。F1−12のcDNA配列に対する有意な相同性は見出されなかった。
引き続く研究はF1−12の全長のcDNA配列の単離に導いた。この配列を配列番号107に記載し、対応する予測されたアミノ酸配列は配列番号108に記載する。
低い存在量の前立腺腫瘍特異的遺伝子をクローニングするために、前述の前立腺腫瘍cDNAライブラリーを正常膵臓cDNAライブラリーでサブトラクトし、そして以前にサブトラクションされた前立腺腫瘍特異的cDNAライブラリー中の3つの最も豊富な遺伝子:ヒト腺カリクレイン、前立腺特異的抗原(PSA)、およびミトコンドリアシトクロムCオキシダーゼサブユニットIIでサブトラクトすることによって、cDNAライブラリーのサブトラクションを実行した。詳しくは、pCDNA3.1中の1μgのヒト腺カリクレイン、PSA、およびミトコンドリアシトクロムCオキシダーゼサブユニットIIの各cDNAをドライバーDNAに添加し、サブトラクションを前述したように実行して、第2のサブトラクテッドcDNAライブラリー(以後「スパイクを有するサブトラクテッド前立腺腫瘍特異的cDNAライブラリー」と呼ぶ)を形成した。
スパイクを有するサブトラクテッド前立腺腫瘍特異的cDNAライブラリーから、22のcDNAクローンを単離した。クローン(J1−17、L1−12,N1−1862、J1−13、J1−19、J1−25、J1−24、K1−58、K1−63、L1−4およびL1−14と呼ぶ)について決定された3'および5'cDNA配列を、それぞれ、配列番号8−9、10−11、12−13、14−15、16−17、18−19、20−21、22−23、24−25、26−27および28−29に記載する。クローン(J1−12、J1−16,J1−21、K1−48、K1−55、L1−2、L1−6、N1-1858、N1-1860、N1-1861、N1−1864と呼ぶ)について決定された3'cDNA配列を、それぞれ、配列番号30〜40に記載する。前述したように、これらの配列を遺伝子バンク中の配列と比較すると、5つの最も豊富なDNA種のうち3つ(J1−17、L1−12およびN1−1862;それぞれ、配列番号8−9,10−11および12−13)に対して有意な相同性は明らかにされなかった。残りの2つの最も豊富な種のうちで、一方(J1−12;配列番号30)は以前に同定されたヒト肺界面活性剤アソシエートタンパク質と同一であり、そして他方(K1−48;配列番号33)は、2−アリールプロピオニル−CoAエピメラーゼについてのR.novbegicus mRNAに対して多少の相同性を有すると決定された。スパイクを有するサブトラクテッド前立腺腫瘍特異的cDNAライブラリーから単離された17の低い存在量のcDNAクローンのうちで、4つ(J1−16、K1−55、L1−6およびN1−1864;それぞれ、配列番号31、34、36および40)は以前に同定された配列と同一であり、2つ(それぞれ、J1−21およびN1−1860;配列番号32および38)は非ヒト配列に対して多少の相同性を示し、そして2つ(L1−2およびN1−1861;それぞれ、配列番号35および39)は既知のヒト配列に対して多少の相同性を示すことが見出された。ポリペプチドJ1−13、J1−19、J1−24、J1−25、K1−58、K1−63、L1−4、L1−14(それぞれ、配列番号14−15、16−17、20−21、18−19、22−23、24−25、26−27、28−29)に対して、有意な相同性は見出されなかった。
引き続く研究は、J1−17、L1−12およびN1−1862(それぞれ、配列番号109〜111)について全長のcDNA配列の単離に導いた。対応する予測されたアミノ酸配列を配列番号112〜114に記載する。また、L1−12をまたP501Sと呼ぶ。
さらなる実験において、前立腺腫瘍cDNAライブラリーを3つの正常前立腺ポリA+RNAのプールから調製した正常前立腺cDNAでサブトラクトすることによって、4つの追加のクローンが同定された(「前立腺サブトラクション2」と呼ぶ)。3つのクローン(以後U1−3064、U1−3065、V1−3692および1A−3905と呼ぶ)について決定されたcDNA配列を、それぞれ、配列番号69〜72に記載する。決定された配列を遺伝子バンク中の配列と比較すると、U1−3065に対する有意な相同性は明らかにされなかった。
スパイクを有する前立腺腫瘍特異的cDNAライブラリーを正常膵臓cDNAライブラリーでサブトラクトすることによって、スパイクを有する第2のサブトラクション(「前立腺サブトラクション2」と呼ぶ)を実行し、さらにPSA、J1−17、肺界面活性剤アソシエートタンパク質、ミトコンドリアDNA、シトクロムCオキシダーゼサブユニットII、N1−1862、自律的に複製する配列、L1-12および腫瘍発現増強遺伝子でスパイクした。4つの追加のクローン(以後V1−3686、R1−2330、1B−3976およびV1−3679と呼ぶ)が単離された。これらのクローンについて決定されたcDNA配列を、それぞれ配列番号73〜76に記載する。決定された配列を遺伝子バンク中の配列と比較すると、V1−3686およびR1−2330に対する有意な相同性は明らかにされなかった。
前述の3つの前立腺サブトラクション(前立腺サブトラクション2、スパイクを有するサブトラクテッド前立腺腫瘍特異的cDNAライブラリー、およびスパイクを有する前立腺サブトラクション2)のさらなる分析において、16の追加のクローン(1G−4736、1G−4738、1G−4741、1G−4744、1G−4734、1H−4774、1H−4781、1H−4785、1H−4787、1H−4796、1I−4810、1I−4811、1J−4876、1K−4884および1K−4896と呼ぶ)が同定された。これらのクローンについて決定されたcDNA配列を、配列番号77−92に記載する。前述したように決定された配列を遺伝子バンク中の配列と比較すると、1G−4741、1G−4734、1I−4807、1J−4876および1K−4896(それぞれ、配列番号79、81、87、90および92)に対する有意な相同性は明らかにされなかった。単離されたクローンをさらに分析すると、1G−4736、1G−4738、1G−4741、1G−4744、1H−4774、1H−4781、1H−4785、1H−4787、1H−4796、1I−4807、1J−4876、1K−4884および1K−4896について延長されたcDNA配列が決定され、これをそれぞれ、配列番号179〜188および191〜193に記載し、そして1I−4810および1I−4811について追加の部分的cDNA配列が決定され、これをそれぞれ、配列番号189および190に記載する。
前立腺サブトラクションスパイク2を使用する追加の研究において、さらに3つのクローンが単離された。それらの配列を前述したように決定し、最新のGenBankに対して比較した。すべての3つのクローンは既知の遺伝子に対して相同性を有することが見出され、これらはシステインに富んだタンパク質、KIAA0242、およびKIAA0280(それぞれ、配列番号317、319および320)である。Synteniマイクロアレイ(Synteni、カリフォルニア州パロアルト)によりこれらのクローンをさらに分析すると、すべての3つのクローンは大部分の前立腺腫瘍および前立腺BPH、ならびに試験した正常前立腺組織の大部分において過剰発現されたが、すべての他の正常組織における発現は低かった。
正常膵臓cDNAライブラリーを正常膵臓cDNAでサブトラクトすることによって、追加のサブトラクションを実行した(「前立腺サブトラクション3」)。これにより、6つの追加のクローン(1G−4761、1G−4762、1H−4766,1H−4770、1H−4771および1H−4772と呼ぶ)(それぞれ、配列番号93〜98)が同定された。これらの配列を遺伝子バンク中の配列と比較すると1G−4761および1H−4771(それぞれ、配列番号93および97)に対する有意な相同性は明らかにされなかった。単離されたクローンをさらに分析すると、1G−4761、1G−4762、1H−4766および1H−4772について延長されたcDNA配列が決定され、これらをそれぞれ、配列番号194〜196および199に記載し、そして1H−4770および1H−4771について追加の部分的cDNA配列が決定され、これをそれぞれ、配列番号197および198に記載する。
3人の前立腺癌患者からのポリA+RNAのプールから調製された、前立腺腫瘍cDNAライブラリーを正常膵臓cDNAライブラリーでサブトラクトする(前立腺サブトラクション4)と、8つのクローン(1D−4297、1D−4309、1D.1−4278、1D−4288、1D−4283、1D−4304、1D−4296および1D−4280と呼ぶ)(それぞれ、配列番号99〜107)が同定された。これらの配列を前述したように遺伝子バンク中の配列と比較した。1D−4283および1D−4304(それぞれ、配列番号103および104)に対して、有意な相同性は見出されなかった。単離されたクローンをさらに分析すると、1D−4309、1D.1−4278、1D−4288、1D−4283、1D−4304、1D−4296および1D−4280について延長されたcDNA配列が決定され、これをそれぞれ、配列番号200〜206に記載する。
前述の前立腺サブトラクション1および前立腺サブトラクション2において単離されたcDNAクローンをコロニーPCR増幅し、そしてマイクロアレイ技術(Synteni、カリフォルニア州パロアルト)により、前立腺腫瘍、正常前立腺および種々の他の正常組織における、それらのmRNA発現レベルを測定した。簡単に述べると、PCR増幅生成物をアレイフォーマットでスライド上にドット配置し、各生成物はアレイ中のユニークな位置を占有した。mRNAを試験対象の組織試料から抽出し、逆転写し、蛍光標識化cDNAプローブを作製した。マイクロアレイを標識化cDNAプローブでプロービングし、スライドをスキャンし、蛍光強度を測定した。この強度はハイブリダイゼーション強度と相関する。2つのクローン(P509SおよびP510S)は前立腺腫瘍および正常前立腺において過剰発現され、そして試験したすべての他の正常組織(肝臓、膵臓、皮膚、骨髄、脳、乳房、副腎、膀胱、精巣、唾液腺、大腸、腎臓、卵巣、肺、脊髄、骨格筋および結腸)において低いレベルで発現されていた。P509SおよびP510Sについて決定されたcDNA配列を、それぞれ、配列番号223および224に記載する。前述したように、これらの配列を遺伝子バンク中の配列と比較すると、以前に同定されたESTについて多少の相同性が明らかにされた。
追加の研究において、P509Sクローンについて全長のcDNA配列が単離された。この配列を配列番号332に記載し、対応する予測されたアミノ酸配列を配列番号339に記載する。P510Sの2つの変異型全長cDNA配列を、配列番号535と536に提供する対応する推定アミノ酸配列を配列番号537と538に提供する。
実施例2
前立腺特異的ポリペプチドの組織特異性の決定
遺伝子特異的プライマーを使用して、代表的な前立腺特異的ポリペプチドF1−16、H1−1,J1−17(また、P502Sと呼ぶ)、L1−12(また、P501Sと呼ぶ)、F1−12(また、P504Sと呼ぶ)およびN1−1862(また、P503Sと呼ぶ)についてmRNA発現レベルを、RT−PCRにより種々の正常組織および腫瘍組織において検査した。
簡単に述べると、前述したようにトリゾール試薬を使用して種々の正常組織および腫瘍組織から全RNAを抽出した。1〜2μgの全RNAおよびスーパースクリプトII逆転写酵素(BRL Life Technologies)を42℃において1時間使用して、ファーストストランドの合成を実施した。次いで遺伝子特異的プライマーを使用するPCRにより、cDNAを増幅した。RT−PCRの半定量的特質を保証するために、検査した組織の各々についての内部対照としてβ−アクチンを使用した。まず、ファーストストランドcDNAの連続希釈物を調製し、β−アクチン特異的プライマーを使用してPCRアッセイを実行した。β−アクチン鋳型の直線範囲の増幅を可能としかつ初期コピー数の差を反映するために十分に感受性である、1つの希釈物を選択した。これらの条件を使用して、各組織からの各逆転写反応について、β−アクチンレベルを測定した。DNアーゼ処理により、そして逆転写酵素を添加しないで調製したファーストストランドcDNAを使用するとき、陰性のPCR結果を確認することによって、DNA汚染を最小にした。
4つの異なる腫瘍組織(2人の患者からの前立腺腫瘍、3人の患者からの乳房腫瘍、結腸腫瘍、肺腫瘍)、および前立腺、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、骨格筋、皮膚、胃、精巣、骨髄および脳を包含する、16の異なる正常組織において、mRNA発現レベルを検査した。F1−16は前立腺腫瘍組織、結腸腫瘍および正常前立腺において高いレベルで発現され、そして正常の肝臓、皮膚および精巣において低いレベルで発現されることが見出され、発現は検査した他の組織において検出不可能であった。H1−1は前立腺腫瘍組織、肺腫瘍、乳房腫瘍、正常前立腺、正常結腸および正常脳において高いレベルで発現され、正常肺、膵臓、骨格筋、皮膚、小腸、骨髄において非常に低いレベルで発現されることが見出され、そして他の組織において検出されなかった。J1−17(P502S)およびL1−12(P501S)は前立腺において特異的に過剰発現されるように見え、両方の遺伝子は前立腺腫瘍および正常前立腺において高いレベルで発現されるが、検査したすべての他の組織において低い〜検出不可能なレベルで発現されていた。N1−1862(P503S)は前立腺腫瘍の60%において過剰発現され、そして正常の結腸および腎臓において検出可能であることが見出された。こうして、RT−PCRの結果が示すように、F1−16、H1−1、J1−17(P502S)、N1−1862(P503S)およびL1−12(P501S)は前立腺特異的であるか、あるいは前立腺において顕著に増加したレベルで発現される。
さらに、RT−PCR試験を行ったところ、F1−12(P504S)が、前立腺腫瘍の60%に過剰発現し、正常な腎臓内では検出できるが他のすべての被検組織では検出できないことが分かった。同様に、R1−2330は、前立腺腫瘍の40%に過剰発現され、正常な腎臓と肝臓内では検出できるが他のすべての被検組織では検出できないことが分かった。U1−3064は前立腺腫瘍の60%に過剰発現され、乳房腫瘍と結腸腫瘍にも発現されるが、正常な組織内では検出されないことが分かった。
R1−2330、U1−3064およびID−4279をRT−PCRによって特性決定を行った結果、これら3種の抗原が前立腺および/または前立腺腫瘍内で過剰発現されることが分かった。
4つの前立腺腫瘍、二つの正常前立腺の試料、二つのBPH前立腺、ならびに正常な結腸、腎臓、肝臓、肺、膵臓、骨格筋、脳、胃、精巣、小腸および骨髄のノーザン分析を行った結果、L1−12(P501S)が、前立腺腫瘍と正常な前立腺内で過剰発現されるが、他の正常な被検組織には検出されないことが分かった。J1−17(P502S)は、2つの前立腺腫瘍内に検出されたが他の被検組織内では検出されなかった。N1−1862(P503S)は、3つの前立腺腫瘍内で過剰発現され、かつ正常な前立腺、結腸および腎臓内で発現されるが、他の被検組織内では発現されないことが分かった。F1−12(P504S)は、2つの前立腺腫瘍内で高度に発現されそして他のすべての被検組織内では検出できないことが分かった。
上記マイクロアレイ(microarray)技法を利用して、本明細書に記載されている代表的な抗原の、前立腺腫瘍、乳房腫瘍ならびに以下の正常組織:前立腺、肝臓、膵臓、皮膚、骨髄、脳、乳房、副腎、膀胱、精巣、唾液腺、大腸、腎臓、卵巣、肺、脊髄、骨格筋および結腸内での発現レベルを測定した。L1−12(P501S)は、正常前立腺と前立腺腫瘍内で過剰発現され、そして正常な骨格筋内でのいくらかの発現が検出されることが見出された。J1−12とF1−12(P504S)の両者は、前立腺腫瘍内で過剰発現され、そして他のすべての被検組織内での発現は低いかまたは検出できないことが見出された。N1−1862(P503S)の発現は、前立腺腫瘍と正常な前立腺では高レベルであり、正常な大腸と正常な結腸では低レベルであり、他のすべての被検組織では検出できないことが見出された。R1−2330は前立腺腫瘍と正常前立腺内で過剰発現され、かつ他のすべての被検組織内ではより低いレベルで発現されることが見出された。ID−4279は、前立腺腫瘍と正常前立腺内で過剰発現され、正常な脊髄内ではより低いレベルで発現され、かつ他のすべての被検組織内では検出できないことが見出された。
P501S(配列番号110)が乳房腫瘍内で発現した程度を特に調べるマイクロアレイ分析をさらに行った結果、乳房腫瘍内のみならず転移性乳房腫瘍(2/31)内で中程度の過剰発現がなされ、正常組織内では無視できる低発現であることが明らかになった。このデータは、P501Sが前立腺腫瘍内のみならず各種乳房腫瘍内でも過剰発現することを示唆している。
Vasmatzisら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95 : 300-304, 1998に記載されている32 EST(発現配列のタグ)の各種腫瘍と正常組織における発現レベルを、上記のマイクロアレイ技法で検査した。これらのクローンのうち2種(P1000CおよびP1001Cと呼称する)が、前立腺腫瘍と正常前立腺で過剰発現され、かつ他のすべての被検組織(正常な大動脈、胸腺、静止PBMCと活性化PBMC、上皮細胞、脊髄、副腎、胎児組織、皮膚、唾液腺、大腸、骨髄、肝臓、肺、樹状細胞、胃、リンパ節、脳、心臓、小腸、骨格筋、結腸および腎臓)内での発現は低レベル〜検出不能のレベルであることが見出された。P1000CとP1001Cの決定されたcDNA配列は、それぞれ、配列番号384および472に示してある。P1001Cの配列は、以前に単離された、JM27タンパク質のヒトmRNAに対していくらかの相同性を示すことが見出された。P1000Cの配列には、有意な相同性は見られなかった。
F1−12の全長cDNA配列(P504Sとも呼称される。配列番号108)がコードするポリペプチドの発現を、免疫組織化学分析法で試験した。ウサギ抗P504Sポリクローナル抗体を、標準の技法で、全長P504Sタンパク質に対して生成させた。続いて、前記ポリクローナル抗体の単離と特性決定を、当該技術分野で公知の方法で実施した。免疫組織化学分析の結果、P504Sポリペプチドが、前立腺癌の被検試料(n=5)の100%に発現されることが分かった。
ウサギ抗P504Sポリクローナル抗体は、良性前立腺細胞を、同じ細胞質顆粒染色では標識しないが軽い核染色(light nuclear staining)では標識するようであった。正常組織を分析した結果、前記コードされたポリペプチドは、正常なヒト組織のいくつかには発現されるがすべての正常組織内で発現されるわけではないことが見出された。ウサギ抗P504Sポリクローナル抗体による陽性の細胞質染色が、正常なヒトの腎臓、肝臓、脳、結腸および肺に存在するマクロファージに見出されたが、心臓と骨髄は陰性であった。
このデータは、P504Sポリペプチドが前立腺癌組織内に存在し、かつ良性の前立腺過形成組織と前立腺癌組織の間の染色に定性的および定量的な差があることを示し、このことは、このポリペプチドが、前立腺腫瘍内に選択的に検出することができるので、前立腺癌を診断するのに有用であることを示唆している。
実施例3
PCRベースのサブトラクション法による、前立腺特異的ポリペプチドの単離と特性決定
10種類の他の正常組織(脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、卵巣、胎盤、骨格筋、脾臓および胸腺)のcDNAでサブトラクトされ、次いでPCR増幅の第1ラウンドに付された正常前立腺由来のcDNAを含有するcDNAサブトラクションライブラリーをClontechから購入した。このライブラリーを、製造業者のプロトコルにしたがって、PCR増幅の第2ラウンドに付した。得られたcDNA断片を、ベクターであるpT7 Blue Tベクター(米国WI州マディソン所在のNovagen)中にサブクローン化し、次にそのベクターで、XL−1Blue MRF'大腸菌(Stratagene)を形質転換した。DNAを独立したクローンから単離し、次いでPerkin Elmer/Applied Biosystems Division Automated Sequencer Model 373Aを使用して配列を決定した。
59種のポジティブクローンの配列を決定した。これらクローンのDNA配列を、上記のように遺伝子バンクのクローンのDNA配列と比較した結果、これらのクローンのうちの25種(以後、P5, P8, P9, P18, P20, P30, P34, P36, P38, P39, P42, P49, P50, P53, P55, P60, P64, P65, P73, P75, P76, P79およびP84と呼ぶ)に対する有意な相同性を示さなかった。これらクローンについて決定されたcDNA配列をそれぞれ、配列番号41〜45、47〜52および54〜65に示す。P29, P47, P68, P80およびP82(それぞれ配列番号46, 53および66〜68)は、以前に単離されたDNA配列に対していくらかの相同性を示すことが見出された。本発明の発明者らが知っている限り、これらの配列が、前立腺内に存在していることは、今まで報告されていなかった。
上記のPCRベースの方法を使ってさらに試験した結果、180種を超える追加のクローンが単離され、その中の23種のクローンは既知の配列に対し有意な相同性を全く示さないことが見出された。これらのクローンの決定されたcDNA配列は、配列番号115〜123, 127, 131, 137, 145, 147〜151, 153, 156〜158および160に示してある。23種のクローン(配列番号124〜126, 128〜130, 132〜136, 138〜144, 146, 152, 154, 155および159)は、以前に単離されたESTに対していくらか相同性を示すことが見出された。追加の10種のクローン(配列番号161〜170)が、既知の遺伝子に対しいくらかの相同性を有することが見出された。P20配列を含有するより大きいcDNAクローンは、P703Pと呼称される遺伝子のスプライス変異体の一例である。DE1, DE13およびDE14と呼称されるこれら変異体の決定されたDNA配列は、それぞれ配列番号171, 175および177に示してあり、対応する予想アミノ酸配列はそれぞれ、配列番号172, 176および178に示してある。伸長スプライス形態(extended spliced form)のP703の決定されたcDNA配列は、配列番号225に示してある。DE2およびDE6と呼称されているスプライス変異体のDNA配列はそれぞれ、配列番号173と174に示してある。
腫瘍組織〔前立腺(n=5)、乳房(n=2)、結腸および肺〕、正常組織〔前立腺(n=5)、結腸、腎臓、肝臓、肺(n=2)、卵巣(n=2)、骨格筋、皮膚、胃、小腸および脳〕、および活性化PBMCと非活性化PBMC内の代表的クローンのmRNA発現レベルを、上記のようにRT−PCRで測定した。発現は、特にことわらない限り、各組織のタイプの1つの試料で試験した。
P9は、匹敵する発現を示した正常な結腸を除くすべての正常な被検組織に比べて、正常な前立腺および前立腺腫瘍に高度に発現されることが見出された。P20すなわちP703P遺伝子の一部分が、12種のすべての正常な被検組織に比べて、正常な前立腺と前立腺腫瘍に高度に発現されることが見出された。肺(2試料中1試料)を除くすべての正常組織に比べて乳房腫瘍(n=2)、結腸腫瘍および肺腫瘍において見られたP20の発現の増大は中程度であった。肺と胃を除く他の正常組織に比べて、正常な前立腺、前立腺腫瘍および乳房腫瘍においてP18の発現が増大することが見出された。大部分の他の正常組織に比べて、正常な前立腺においてP5の発現の中程度の増大が見られた。しかしいくらか上昇した発現が正常な肺とPBMCに見られた。P5の増大した発現が、前立腺腫瘍(5試料中の2試料)、乳房腫瘍および肺腫瘍の一試料に見出された。P30については、12種の他の正常な被検組織のうちの6種に比べて、類似の発現が、正常な前立腺と前立腺腫瘍に見られた。増大した発現が、乳房腫瘍、肺腫瘍の一試料および結腸腫瘍の一試料ならびに正常なPMBCにも見られた。P29は、大多数の正常組織に比べて、前立腺腫瘍内(5試料中5試料)および正常前立腺内(5試料中5試料)で、過剰発現されることが見出された。しかしP29のかなりの発現が、正常な結腸と正常な肺(2試料中2試料)で観察された。P80は、他のすべての正常な被検組織と比べて、前立腺腫瘍(5試料中5試料)および正常前立腺(5試料中5試料)で過剰発現されることが見出され、かつ結腸腫瘍にも増大した発現が見られた。
さらに試験した結果、以後、10−d8, 10−h10, 11−c8, 7−g6, 8−b5, 8−b6, 8−d4, 8−d9, 8−g3, 8−h11, 9−f12および9−f3と呼称される12種の追加のクローンが単離された。10−d8, 10−h10, 11−c8, 8−d4, 8−d9, 8−h11, 9−f12および9−f3の決定されたDNA配列はそれぞれ、配列番号207, 208, 209, 216, 217, 220, 221および222に示してある。7−g6, 8−b5, 8−b6および8−g3の決定されたフォワードとリバースのDNA配列をそれぞれ、配列番号210と211;212と213;214と215;および218と219に示してある。これらの配列を遺伝子バンクの配列と比較した結果、9−f3の配列に対する有意な相同性は全く見られなかった。クローン10−d8, 11−c8および8−h11は、以前に単離されたESTに対していくらかの相同性を示すことが見出されたが、10−h10, 8−b5, 8−b6, 8−d4, 8−d9, 8−g3および9−f12は以前に単離された遺伝子にいくらかの相同性を示すことが見出された。7−G6と8−G3の特性決定をさらに行ったところ、それぞれ、既知の遺伝子PAPとPSAに対し同一性(identity)を示した。
これらクローンのmRNA発現レベルを、上記マイクロアレイ技法を用いて測定した。クローン7−G6、8−G3、8−B5、8−B6、8−D4、8−D9、9−F3、9−F12、9−H3、10−A2、10−A4、11−C9および11−F2は、前立腺腫瘍と正常前立腺内で過剰発現されることが見出されたが、他の被検組織中の発現は低いかまたは検出不能であった。8−F11の増大した発現が、前立腺腫瘍と正常前立腺、膀胱、骨格筋および結腸に見られた。10−H10の増大した発現が前立腺腫瘍と正常前立腺、膀胱、肺、結腸、脳および大腸に見られた。9−B1の増大した発現が、前立腺腫瘍、乳房腫瘍と正常前立腺、唾液腺、大腸および皮膚に見られたが、11−C8の増大した発現は前立腺腫瘍と正常前立腺および大腸に見られた。
上記PCRベースの正常前立腺サブトラクション由来の追加のcDNA断片は、マイクロアレイ技法とRT−PCRの両者によって、前立腺特異的であることが見出された。このクローン(9−A11と呼称する)の決定されたcDNA配列は、配列番号226に示してある。この配列を、公的データベースの配列と比較したところ、既知の遺伝子HOXB13に対する同一性が99%であることが分かった。
さらに試験した結果、クローン8−C6と8−H7が単離された。これらクローンの決定されたcDNA配列は、それぞれ配列番号227と228に示してある。これらの配列は、以前に単離されたESTにいくらかの相同性を示すことが分かった。
PCRとハイブリッド形成をベースとする方法を採用して、クローンP20に対しより長いcDNA配列(P703Pとも呼称する)を得て、その遺伝子の5’末端を逐次延長した3種の追加のcDNA断片を得た。これらの断片は、P703PDE5, P703P6.26およびP703 PX-23と呼称されるが(配列番号326, 328および330;予想される対応アミノ酸配列はそれぞれ配列番号327, 329および331に示してある)は追加の5’配列を含有している。P703PDE5はcDNAライブラリー(#141-26)を、P703Pの一部分をプローブとして使ってスクリーニングすることによって回収した。P703P6.26は、3種の前立腺腫瘍cDNAの混合物から回収し、そしてP703PX-23は、cDNAライブラリー(#438−48)から回収した。同時に、これら追加の配列は、推定シグナル配列(putative signal sequence)の一部分とともにすべての推定成熟セリンプロテアーゼ(putative mature serine protease)を含有している。P703Pの推定全長cDNA配列を配列番号524に提供する。これは、配列番号525に提供される推定アミノ酸配列に対応する。
正常組織のプールに対してサブトラクトされた前立腺腫瘍プールのPCRベースサブトラクションライブラリー(JR:PCRサブトラクションと呼称)を使ってさらに試験した結果、13種の追加のクローンが単離され、それらクローンのうち7種類は公知のGenBankの配列に対して有意な相同性を共有していなかった。これら7種のクローン(P711P、P712P、ノベル23、P774P、P775P、P710PおよびP768P)の決定されたcDNA配列はそれぞれ、配列番号307−311,313および315に示してある。残りの6種のクローン(配列番号316と321〜325)は、既知の遺伝子に対していくらかの相同性を共有していることが分かった。13種のクローンはすべて、マイクロアレイ分析によって、前立腺腫瘍、BPHおよび正常前立腺を含む前立腺組織において、正常な非前立腺組織に比べて、3倍以上の過剰発現を示した。クローンP711P、P712P、ノベル23およびP768Pは、試験を行った大部分の前立腺腫瘍とBPH組織(n=29)および大部分の正常前立腺組織(n=4)で過剰発現を示したが、すべての正常組織ではバックグラウンドの発現〜低い発現のレベルであった。クローンP774P、P775PおよびP710Pは比較的発現が低く、前立腺腫瘍とBPHの少数の試料内で発現したが、正常前立腺ではネガティブ発現〜低い発現であった。
配列番号307に示す部分配列を採用して、前立腺cDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、P711Pの全長cDNAを得た。具体的に述べると、方向性をもってクローン化された前立腺cDNAライブラリーを標準方法を利用して調製した。このライブラリーの100万個のコロニーを、LB/Ampプレート上で平板培養を行った。ナイロン膜フィルターを使用してこれらのコロニーを持ち上げ、これらフィルターによって採取されたcDNAを、紫外線によって変性して該フィルターに架橋させた。配列番号307のP711P cDNA断片に放射線標識を付けて、これらのフィルターとハイブリダイズさせるのに使用した。陽性のクローンを選択し、cDNAを調製して、自動Perkin Elmer/Applied Biosystems配列決定機を使用して配列を決定した。P711Pの決定された全長の配列を配列番号382に示し、そして対応する予想アミノ酸配列を配列番号383に示してある。
PCRとハイブリッド形成法に基づいた方法を使用して、上記の2種のクローン11−C9と9−F3について追加のcDNA配列の情報を得た。なおこれらクローンはそれぞれ、以後P707PおよびP714P(配列番号333と334)と呼ぶ。最新のGenBankと比較した結果、P707Pは、既知の遺伝子HoxB13のスプライス変異体であることが見出された。対照的にP714Pに対して有意な相同性は見られなかった。
クローン8−B3, P89, P98, P130およびP201(1998年2月9日付けで出願された米国特許願第09/020,956号に開示されている)は、P705Pと呼称される一つの連続配列(配列番号335、予想アミノ酸配列は配列番号336に示してある)内に含まれていることが見出された。なおP705Pは既知の遺伝子NKX3.1のスプライス変異体であることが確認されている。
P775Pについてのさらなる試験は、P775P遺伝子の全てのスプライス変異体である4つの追加の配列(配列番号473-476)をもたらした。配列番号474の配列は、2つのオープン・リーディング・フレーム(ORF)を含むことが分かった。これらのORFによりコードされる推定アミノ酸配列を、配列番号477と478に提供する。配列番号475のcDNA配列は、配列番号479のアミノ酸配列をコードするORFを含むことが判明した。配列番号473のcDNA配列は、4つのORFを含むことが分った。これらのORFによりコードされる推定アミノ酸配列を、配列番号480-483に提供する。
その後の試験は、5つの前立腺遺伝子P704P、P712P、P774P、P775P、およびB305Dを含む、Cat Eye症候群領域として知られる、染色体22q11.2上のゲノム領域の同定を導いた。このゲノム領域内のこれら5つの遺伝子の各々の相対的な位置を図10に示す。それ故、この領域は、悪性腫瘍と関連づけることができ、そして他の潜在的な腫瘍遺伝子がこの領域内に含まれる可能性がある。上記の試験は、配列番号534のアミノ酸配列をコードする、(配列番号533に提供される)P775Pについての潜在的なオープン・リーディング・フレーム(ORF)の同定を導いた。
実施例4
ポリペプチドの合成
ポリペプチドは、HPTU(O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)で活性化を行うFMOC化学を利用するPerkin Elmer/Applied Biosystems 430Aペプチド合成装置で合成することができる。Gly-Cys-Gly配列をペプチドのアミノ末端に結合させて、ペプチドのコンジュゲーション、固定化面への結合または標識化を行う方法が提供される。ペプチドの固体支持体からの切断は以下の切断混合物:トリフルオロ酢酸:エタンジチオール:チオアニソール:水:フェノール(40:1:2:2:3)を使用して実施することができる。この切断を2時間行った後、ペプチドを冷メチル−t−ブチル−エーテルで沈澱させることができる。得られたペプチドのペレットを、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含有する水に溶解し、凍結乾燥した後、C18逆相HPLCで精製する。水(0.1%TFA含有)に溶解して得た0%〜60%アセトニトリル(0.1%TFA含有)の勾配液を用いてペプチドを溶出させる。純品の画分を凍結乾燥した後、エレクトロスプレイ法もしくは他のタイプの質量分析法およびアミノ酸分析法を利用してペプチドの特性を決定する。
実施例5
PCRベースのサブトラクションによる前立腺特異的ポリペプチドのさらなる単離と特性決定
上記の前立腺原発腫瘍mRNAから得たcDNAライブラリーを、正常前立腺由来のcDNAでサブトラクトした。そのサブトラクションはPCRベースのプロトコル(Clontech)を使用して実施した。なおこのプロトコルは、より大きな断片が得られるように改変した。その改変プロトコルにしたがって、テスター(tester)とドライバー(driver)の二本鎖cDNAを、6ヌクレオチドの制限部位を認識する5種の制限酵素(MluI, MscI, PvuII, SalIおよびStuI)で別個に消化した。この消化を行った結果、ClontechのプロトコルにしたがってRsaIで消化して得られる300bpという平均の大きさではなくて、平均の大きさが600bpのcDNAを得た。上記改変によって、サブトラクションの効率は影響を受けなかった。次に、2種のテスター集団を異なるアダプター(adapter)で作製し、そしてドライバーライブラリーはアダプターなしのままであった。
次に、テスターとドライバーのライブラリーに、過剰のドライバーcDNAを使ってハイブリダイズさせた。第1ハイブリダイゼーションステップで、ドライバーを、二つのテスターcDNAの集団の各々と別個にハイブリダイズさせた。その結果、(a)ハイブリッドを形成しなかったテスターcDNA、(b)他のテスターcDNAとハイブリッドを形成したテスターcDNA、(c)ドライバーcDNAとハイブリッドを形成したテスターcDNAおよび(d)ハイブリッドを形成しなかったドライバーcDNAの集団が生成した。次に上記の二つの別個のハイブリッド形反応生成物を混合し、追加の変性されたドライバーcDNAの存在下で再びハイブリッドを形成させた。この第2のハイブリダイゼーション反応によって、(a)〜(d)の集団に加えて、一種のアダプターを有するテスターcDNAが第二のアダプターを有するテスターcDNAとハイブリッドを形成している第5集団(e)が生成した。したがって、第2ハイブリダイゼーションステップによって、アダプター特異的プライマーによるPCR増幅に用いる鋳型として使用できる、差をもって(differentially)発現される配列が豊富になった。
次に、末端をフィリングインし、次いで、PCR増幅を、アダプター特異的プライマーを用いて実施した。ドライバーcDNAとハイブリッドを形成しなかったテスターcDNAを含有する集団(e)のみが指数関数的に増幅された。次に第2のPCR増幅ステップを実施して、バックグランドを減らし、差をもって発現される配列をさらに富化した。
このPCRベースのサブトラクション法は、特異的に発現されるcDNAを平均化するので、前立腺腫瘍組織内で過剰発現されるまれな転写産物が回収可能になる。このような転写産物は従来のサブトラクション法によって回収することは困難である。
前立腺腫瘍内で過剰発現されることが知られている遺伝子に加えて、さらに77種のクローンが確認された。これら部分cDNAの配列は配列番号29〜305に示してある。これらクローンの大部分はデータベースに対して有意な相同性を有していなかった。例外は以下のものであった。すなわちJPTPN23〔配列番号231;ブタバロシン(valosin)含有タンパク質に類似している〕、JPTPN30(配列番号234;プロテアソームサブユニットに対するラットmRNAに類似している)JPTPN45〔配列番号234;ラットのノルベギクス(norvegicus)細胞質型NADP依存性イソクエン酸デヒドロゲナーゼに類似している〕、JPTPN46(配列番号244;ヒトサブクローンH8 4 d4 DNAの配列に類似している)、JP1D6〔配列番号265;ニワトリ(G. gallus)ダイニンの軽鎖Aに類似している〕、JP8D6(配列番号288;ヒトBACクローンRG016J04に類似している)、JP8F5(配列番号289;ヒトサブクローンH8 3 b5 DNA配列に類似している)およびJP8E9(配列番号299;ヒトAlu配列に類似している)が例外である。
正常前立腺のプールに対してサブトラクトされた前立腺腫瘍のプールからなるPCRベースのサブトラクションライブラリー(PT−PN PCRサブストラクションと呼称する)を使用した追加の試験によって、3種の追加のクローンを得た。これらのクローンのcDNA配列を、GenBankの最新の発表物と比べた結果、P715PおよびP767Pと呼称される2種のクローン(配列番号312と314)に対する有意な相同性は認められなかった。残りのクローンは、既知の遺伝子KIAA0056(配列番号318)に対していくらか相同性を示すことが見出された。マイクロアレイ分析法を用いて、各種組織内でのmRNAの発現レベルを測定したところ、上記3種のクローンはすべて、前立腺腫瘍とBPH組織内で過剰発現することが見出された。具体的に述べると、クローンP715Pは、大部分の前立腺腫瘍とBPH組織において、大多数の正常前立腺の試料内および胎児組織内に見られる高い発現の3倍以上も過剰発現されたが、その他のすべての正常組織内では陰性〜低発現であった。クローンP767Pは、いくつもの前立腺腫瘍とBPH組織内で過剰発現され、正常前立腺の試料の半数においては中程度の発現であり、そしてその他のすべての被検正常組織ではバックグランド発現〜低発現であった。
上記のようにマイクロアレイによってさらに、上記PT−PN PCRサブトラクションライブラリー、および正常組織のcDNAのプールでサブトラクトされた前立腺腫瘍由来のcDNAを含有するDNAサブトラクションライブラリーを分析して、27種の追加のクローン(配列番号340〜365および381)を単離した。なおこれら追加のクローンは前立腺腫瘍内で過剰発現されることが確認された。また配列番号341, 342, 345, 347, 348, 349, 351, 355〜359, 361, 362および364のクローンは、正常前立腺内で発現されることが見出された。26種のクローンすべての各種正常組織内での発現は低いかまたは検出不能であることが見出されたが、例外のP544S(配列番号356)は小腸内で発現されることが見出された。上記26種のクローンのうち10種(配列番号340〜349)は、以前に同定された配列に対しいくらかの相同性を示すことが見出された。配列番号350、351、および353-365のクローンには、有意な相同性が見出されなかった。
(P790Pともいう)配列番号352のクローンについてのさらなる試験は、配列番号526の全長cDNA配列の単離を導いた。この対応の推定アミノ酸を配列番号527に提供する。2つの定量的PCR実験からのデータは、P790Pが、15のテストされた前立腺腫瘍サンプル中11サンプルで過剰発現され、そして脊髄内で低レベルで発現され、テストされた他の正常サンプルの全てにおいて発現されなかったことを示した。さらなるPCR実験およびマイクロアレイ実験からのデータは、正常前立腺および前立腺腫瘍内での過剰発現を示したが、テストされた他の組織内ではほとんどまたは全く発現されなかったことを示した。P790Pは、その後、以前に同定されたGタンパク質カップリング前立腺組織レセプターに対するかなりのホモロジーを示すことが、発見された。
実施例6
ペプチドによるマウスの初回免疫とCTL株の増殖
6.1
この実施例では、P502S遺伝子を発現する細胞に特異的なCTL細胞株の調製について説明する。
ヒトHLA A2Kb(米国CA州ラホーヤ所在のThe Scripps Research InstituteのL. Sherman博士提供)のトランスジーンを発現するマウスを、Theobaldら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92 : 11993-11997, 1995に記載の方法を以下のように改変して利用し、P2S#12ペプチド(VLGWVAEL;配列番号306)で免疫化した。なおこのペプチドは、P502S遺伝子(本願ではJ1−17とも呼称される。配列番号8)から誘導される。マウスは、P2S#12 100μgと、B型肝炎ウイルスタンパク質由来のI−Ab結合ペプチド120μgとを不完全フロイントアジュバントに乳化したもので免疫化した。3週間後、これらのマウスを屠殺し、ナイロンメッシュを使用して単一細胞の懸濁液を調製した。次に、細胞を、10%FCS,2mMグルタミン(Gibco BRL)、ピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL)、非必須アミノ酸類(Gibco BRL)、2×10-5M 2−メルカプトエタノール、50U/mlペニシリン・ストレプトマイシンを含有する完全培地(RPMI−1640;米国MD州ガイサーズバーグ所在のGibco BRL)中に、6×106細胞/mlの濃度で再懸濁させ、次いで、放射線を照射された(3000rad)P2S#12でパルスされた(5mg/mlのP2S#12と10mg/mlのβ2−ミクログロブリン)LPSブラスト(7μg/mlの硫酸デキストランと25μg/mlのLPSの存在下、3日間培養されたA2トランスジェニック脾臓細胞)の存在下で培養した。6日後、細胞(5×105/ml)を、2.5×106/mlのペプチドでパルスされ放射線照射(20,000rad)されたEL4A2Kb細胞(Shermanら、Science 258 : 815-818, 1992)と3×106/mlのA2トランスジェニック脾臓支持細胞で、再刺激を行った。細胞を、20U/mlのIL−2の存在下で培養した。当該細胞株をクローン化するために、上記のように週1回ベースで細胞を再刺激し続けた。
刺激細胞としてのペプチドパルスEL4 A2Kb腫瘍細胞(1×104細胞/ウェル)および30U/mlのIL−2の存在下で増殖させた支持細胞としてのA2トランスジェニック脾臓細胞(5×105細胞/ウェル)を用い、限界希釈法によって、P2S#12細胞株をクローン化した。14日目に、先に述べたのと同様にして細胞を再刺激した。21日目に、増殖しているクローンを分離して培養を続けた。これらのクローンのうちいくつかは、P502Sを形質導入されたヒト線維芽細胞(HLA A2Kb発現)に対する反応性(溶菌反応)が、対照の線維芽細胞に対する反応性より有意に高いことが示された。一例を図1に示す。
このデータは、P2S#12が、ヒトHLA A2Kb分子として発現されるP502Sタンパク質の天然のエピトープであることを示している。
6.2
この実施例は、マウスのCTL細胞株と、P501S遺伝子を発現する細胞に対して特異的なCTLクローンの調製を例示する。
この一連の試験は上記の試験と同様にして行った。P501S遺伝子(本願ではLI−12とも呼ぶ、配列番号110)由来のP1S#10ペプチド(配列番号337)でマウスを免疫化した。P1S#10ペプチドを、公表されたHLA−A2結合モチーフ(Parker, K.C.ら、J. Immunol., 152 : 163, 1994)によって定義される潜在的HLA−A2結合配列についてP501Sの予想ポリペプチド配列を分析することによって得られた。P1S#10ペプチドを、実施例4に記載されているようにして合成し、次いでT細胞ベースの競合アッセイを利用して、HLA−A2の結合性について実験で検査した。予想されるA2結合ペプチドを、HLA−A2結合インフルエンザマトリックスペプチドflu M58に対し特異的なHLA−A2制限CTLクローン(D150M58)に対するHLA−A2特異的ペプチドの提示に競合する性能について試験した。D150M58 CTLは、ペプチドflu M58の自己提示に応答してTNFを分泌する。この競合アッセイにおいて、100〜200μg/mlの試験ペプチドを、D150M58 CTL上のHLA−A2に結合させるため、該CTLの培養物に添加した。30分後、試験ペプチドまたは対照ペプチドとともに培養されたCTLを、flu M58ペプチドに対するそれらの抗原量応答(antigen dose response)について、標準TNFバイオアッセイで試験した。図3に示すように、ペプチドP1S#10は、flu M58のHLA−A2制限提示に競合し、このことはペプチドP1S#10がHLA−A2に結合することを示す。
ヒトHLA 2Kbに対するトランスジーンを発現するマウスを、Theobaldら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92 : 11993-11997, 1995に記載の方法を以下のように改変して利用し免疫化した。62.5μgのP1S#10と120μgのB型肝炎ウイルスタンパク質由来のI−Ab結合ペプチドとを不完全フロイドアジュバントに乳化したものでマウスを免疫化した。3週間後、これらのマウスを屠殺し、ナイロンメッシュを使用して単一細胞懸濁液を調製した。次に、細胞を、完全培地(上記のような)に、6×106細胞/mlで再懸濁させて、放射線照射(3000rad)P1S#10パルス(2μg/ml P1S#10と10mg/ml β2−ミクログロブリン)LPSブラスト(7μg/mlの硫酸デキストランと25μg/mlのLPSの存在下、3日間培養されたA2トランスジェニック脾臓細胞)の存在下で培養した。6日後、上記のように、2.5×106/mlのペプチドでパルスされた放射線照射(20,000rad)EL4 A2Kb細胞と、3×106/mlのA2トランスジェニック脾臓支持細胞で細胞を再刺激をした。細胞を20U/mlのIL−2の存在下で培養した。クローン化するための準備として、週1回ベースで細胞を再刺激した。in vitroで3ラウンド刺激した後、図4に示すように、P1S#10パルスJurkat A2KbターゲットおよびP501S形質導入Jurkatターゲットを認識する一つの細胞株が生成した。
P1S#10特異的CTL株を、刺激細胞としてのペプチドパルスEL4 A2Kb腫瘍細胞(1×104細胞/ウェル)と、30U/mlのIL−2の存在下で増殖させた支持細胞としてのA2トランスジェニック脾臓細胞(5×105細胞/ウェル)を用い限界希釈法でクローン化した。14日目に、細胞を、先に述べたように再刺激した。21日目、生存可能なクローンを分離して、培養を続けた。図5に示すように、これらクローンのうち5つが、P501S形質導入Jurkat A2Kbターゲットに対し特異的な細胞溶解反応性を示した。このデータは、P1S#10が、ヒトHLA−A2.1分子として発現されるP501Sタンパク質の天然にプロセシングされるエピトープであることを示している。
実施例7
前立腺抗原による裸のDNA(naked DNA)の免疫化を利用するCTLのin vivoでの初回免疫
上記の前立腺特異的抗原L1−12はP501Sとも呼称される。HLA A2Kb Tgマウス(米国CA州ラホーヤ所在のThe Scripps Research InstituteのL. Sherman博士提供)に、ベクターVR1012中の100μgのP501Sを、筋肉内または皮膚内に注射することによって免疫化した。これらのマウスは、2週間間隔で3回免疫化を行った。最後の免疫化を行ってから2週間後、免疫脾臓細胞を、Jurkat A2Kb−P501Sを形質導入された刺激細胞とともに培養した。CTL株を一週間毎に刺激した。in vitroで刺激してから2週間後、P501Sを形質導入されたターゲットに対するCTLの活性を評価した。8匹のマウスのうち2匹が、強い抗P501S CTL応答を発生した。これらの結果は、P501Sが少なくとも一つの天然にプロセシングされるHLA-A2制限CTLエピトープを含有していることを示している。
実施例8
前立腺特異的ポリペプチドを認識するヒトT細胞の能力
この実施例は、前立腺腫瘍ペプチドに特異的なT細胞がヒト腫瘍を認識する能力を例示する。
ヒトCD8+T細胞を、Van Tsaiら、Critical Reviews in Immunology 18 : 65-75, 1998のプロトコルにしたがって樹状細胞を使ってP502S(J1−17とも呼称する)由来のP2S−12ペプチド(配列番号306)に、in vitroでプライミングした。得られたCD8+T細胞のマイクロカルチャーを、自己由来線維芽細胞またはP502S遺伝子を発現するように形質導入された線維芽細胞によって提示されるP2S−12ペプチドを認識する能力について、γインターフェロンELISPOTアッセイ(Lalvaniら、J. Exp. Med., 186 : 859-865, 1997参照)で試験した。簡単に述べると、3μg/mlのヒトβ−ミクログロブリンと、1μg/mlのP2S−12ペプチドまたは対照のE75ペプチドの存在下、104線維芽細胞に対するT細胞の力価数(titrating number)を2連でアッセイした。さらに、P502S遺伝子を形質導入された自己由来線維芽細胞、または対照としてのHER-2/neuを形質導入された線維芽細胞についてT細胞を同時にアッセイした。このアッセイを行う前に、線維芽細胞を10ng/mlのγインターフェロンで48時間処理して、クラスI MHCの発現をアップレギュレーションした。前記マイクロカルチャーのうちの1つ(#5)が、ペプチドパルス線維芽細胞と形質導入された線維芽細胞の両者を強く認識することをγインターフェロンELISPOTアッセイ法で示した。図2Aは、P2S−12ペプチドでパルスされた線維芽細胞上のT細胞の数が増大するにつれてγインターフェロンのスポットの数が強く増大したが(黒色バー)、対照のE75ペプチドパルスされた場合は増大しなかった(白色バー)ことを示している。このことは、これらのT細胞が、P2S−12ペプチドを特異的に認識できることを示している。図2Bに示すように、このマイクロカルチャーは、P502S遺伝子を発現するように形質導入された線維芽細胞上のT細胞の数が増大するにつれてγインターフェロンのスポットの数が増大することを示したが、HER-2/neu遺伝子の場合、このような現象を示さなかった。これらの結果は、P2S−12ペプチドがP502Sタンパク質の天然にプロセシングされるエピトープであるということを確認する追加の証拠を提供している。さらに、これは、ヒトT細胞レパートリー中に、このエピトープを認識することができる高親和性T細胞が存在していることも示している。また、これらのT細胞は、P502S遺伝子を発現するヒト腫瘍を認識できるはずである。
実施例9
ヒト血液中での前立腺抗原特異的CTL応答の誘発
この実施例は、前立腺特異的抗原が、正常なヒトの血液中でCTL応答を誘発する能力を例示する。
10%のヒト血清、50ng/mlのGMCSFおよび30ng/mlのIL−4を含有するRPMI培地中で5日間増殖させることによって、自己由来樹状細胞(DC)を、正常なドナーのPBMC由来の単球培養物から分化させた。培養を行った後、DCに、5M.O.I.にて、組換えP501S発現ワクシニアウイルスを、一晩感染させ、次に2μg/mlのCD40リガンドを添加することによって8時間成熟させた。ウイルスは紫外線を照射することによって不活性化した。CD8+細胞を、磁気ビーズを使用する正の選択によって分離し、次いで初回免疫培養を24ウェルのプレートで開始した。P501SおよびCD80を発現するようにレトロウイルス形質導入された自己由来線維芽細胞を用いた5回の刺激サイクルを行った後、自己由来P501S形質導入線維芽細胞で刺激したとき、γインターフェロンを特異的に産生するCD8+株が確認された。細胞株3A−1のP501S特異的活性は、P501Sを形質導入された自己由来B−LCLに、刺激サイクルを追加することによって維持できた。細胞株3A−1は、P501Sを発現するように形質導入された自己由来B−LCLを特異的に認識するがEGFP形質導入自己由来B−LCLを認識しないことが分かった。このことは細胞毒性アッセイ(51Cr放出)とγインターフェロンの産生(γインターフエロンElispot;上記文献とLalvaniら、J. Exp. Med., 186 : 859-865, 1997参照)によって測定された。これらのアッセイの結果は図6Aと6Bに示してある。
実施例10
前立腺特異的抗原内に含まれている天然にプロセシングされるCTLエピトープの確認
9merのペプチドp5(配列番号338)を、P703抗原(P20とも呼称される)から誘導した。このp5ペプチドは、ヒトHLA−A2ドナー内で免疫原性があり、天然のエピトープである。抗原特異的ヒトCD8+T細胞は、p5ペプチドでパルスされた単球で、in vitroで刺激を繰り返すことによって、プライムすることができる。これらのCTLは、ELISPOTアッセイ(上記のような)およびクロム放出アッセイの両者で、p5パルスおよびP703P形質導入ターゲット細胞を特異的に認識する。その上に、HLA−A2Kbトランスジェニックマウスをp5で免疫化すると、P703Pを発現する種々のHLA-A2KbまたはHLA-A2形質導入ターゲット細胞を認識するCTL株が生成する。
p5が天然にプロセシングされるエピトープであることを証明する最初の試験を、HLA-A2Kbトランスジェニック・マウスを用いて行った。HLA−A2Kbトランスジェニックマウスの足蹠の皮下に、100μgのp5ペプチドと140μgのB型肝炎ウイルスコアペプチド(Thペプチド)を含有するフロイント不完全アジュバントを注射して免疫化した。免疫化してから3週間後、免疫化マウス由来の脾臓細胞を、ペプチドパルスLPSブラストで、in vitroで刺激した。一次in vitro刺激を行ってから5日後に、CTL活性をクロム放出アッセイで評価した。対照の抗原のP703PとHLA−A2Kbを発現する、レトロウイルスで形質導入された細胞を、ターゲットとして使用した。p5パルスターゲットとP703P発現ターゲットの両者を特異的に認識するCTL株が確認された。
ヒトのin vitroでの初回免疫の実験は、p5ペプチドがヒトにおいて免疫原性であることを示した。10%のヒト血清、50ng/mlのヒトGM−CSFおよび30ng/mlのヒトIL−4を含有するRPMI培地中で5日間培養することによって、樹状細胞(DC)を、正常なヒトドナーのPBMC由来の単球培養物から分化させた。培養を行った後、そのDCを1μg/ml p5ペプチドでパルスし、次に、CD8+T細胞強化PBMCとともに培養した。CTL株を、p5パルス単球で、一週間毎に再刺激した。CTLの培養を開始してから5〜6週間後、CTLがp5パルスターゲット細胞を認識することが確認された。CTLは、P703Pを発現するように形質導入されたヒト細胞を認識することがさらに示された。これは、p5が天然にプロセシングされるエピトープであることを証明するものである。
実施例11
乳房腫瘍由来の抗原の前立腺での発現
抗原B305Dの、乳房腫瘍からの、ディファレンシャルディスプレイ(differential display)による単離は、1996年8月20日付けで出願された米国特許願第08/700,014号に記載されている。いくつかの異なるスプライス形態の上記抗原が単離された。これらスプライス形態について決定されたcDNA配列は配列番号366〜375に示してあり、配列番号292、298および301〜303の配列それぞれに対応する予想アミノ酸配列は配列番号299〜306に示してある。さらなる試験において、配列番号366のcDNA配列のスプライス変異体が単離され、これは、オープン・リーディング・フレームのフレーム・シフトを導く、884位に追加のグアニン残基を含むことが発見された(配列番号530)。このORFの決定されたDNA配列を、配列番号531に提供する。このフレームシフトは、B305Dの他のアイソフォームに共通するC末端ドメインを含むがそのN末端領域が異なる293アミノ酸から成る(配列番号532に提供される)タンパク質配列を作り出す。
各種の腫瘍組織と正常組織内でのB305Dの発現レベルを、リアルタイムPCRおよびノーザン分析法で試験した。その結果、B305Dは、乳房腫瘍、前立腺腫瘍、正常前立腺および正常精巣内で高度に発現されるが、その他のすべての被検組織(結腸腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、および正常な骨髄、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、皮膚、小腸、胃)での発現は低いかまたは検出不能であった。
実施例12
全遺伝子初回免疫と前立腺特異的抗原による刺激の技法を利用するin vitroでのヒトCTLの生成
P501Sワクシニア感染DC(例えばYeeら、The Journal of Immunology, 157 (9) ; 4079-4086, 1996参照)で、in vitroにて全遺伝子初回免疫を行う方法を利用して、上記γインターフェロンELISPOT分析法で確認されるように、P501S(L1−12としても知られている)を形質導入された自己由来線維芽細胞を特異的に認識するヒトCTL株が誘導された。P501Sを形質導入されたHLA不適合B-LCL細胞株のパネルを使用して、これらのCTL株が、制限されたHLABクラスI対立遺伝子に制限されるようであることを示した。具体的に述べると、10%のヒト血清、50ng/mlのヒトGM−CSFおよび30ng/mlのヒトIL−4を含有するRPMI培地中で5日間増殖させることによって、樹状細胞(DC)を、正常なヒトドナーのPBMC由来の単球培養物から分化させた。培養後、DCに、組換えP501Sワクシニアウイルスを、感染多重度(M.O.I.)5で一晩感染させ、次いで3μg/mlのCD40リガンドを添加することによって一晩成熟させた。ウイルスを紫外線を照射して不活性化した。CD8+T細胞を、磁気ビーズシステムを利用して分離し、初回免疫培養を、標準の培養法を用いて開始した。レトロウイルスでP501SおよびCD80を形質導入された自己由来一次線維芽細胞を用いて、7〜10日毎に培養物の再刺激を行った。4回の刺激サイクルの後に、P501SおよびCD80を形質導入された自己由来線維芽細胞で刺激したとき、γ−インターフェロンを特異的に産生するCD8+T細胞株が確認された。P501Sを形質導入されたHLA不適合B-LCL細胞株のパネルを作製し、前記応答の制限対立遺伝子を定めた。ELISPOTアッセイでγインターフェロンを測定することによって、前記P501Sの特異的応答は、HLAB対立遺伝子によって制限されるようであることが分かった。これらの結果は、P501Sに対するCD8+CTL応答を誘発できることを示している。
認識されたエピトープを同定するために、P501SをコードするcDNAを各種制限消化により断片化し、そしてレトロウイルス発現ベクターpBIB-KSにサブクローン化した。レトロウイルス上清を、ヘルパー・パッケージング株Phoenix-Amphoのトランスフェクションにより作製した。次に、上清を、CTLスクリーニングのためにJurkat/A2Kb細胞に形質導入するために使用した。CTLを、P501S断片の“ライブラリー”により形質導入されたA2Kbターゲットに対するIFN-ガンマELISPOTアッセイにおいてスクリーニングした。最初の陽性断片P501S/H3とP501S/F2を配列決定し、そして配列番号113のそれぞれアミノ酸106-553とアミノ酸136-547をコードしていることを発見した。H3の切断は、配列番号113のアミノ酸残基106-351をコードするように作られた。これは、CTLを刺激することができず、それ故、アミノ酸残基351-547にエピトープは局在化される。アミノ酸1-472(断片A)とアミノ酸1-351(断片B)をコードするさらなる断片も構築した。断片Bでなく断片Aは、CTLを刺激し、これは、エピトープをアミノ酸残基351-472に局在化した。この領域を表す重複する20merと18merペプチドを、IFN-ガンマ・アッセイにおいてJurkat/A2Kb細胞とCTLをパルスすることによりテストした。ペプチドP501S-369(20)とP501S-369(18)だけがCTLを刺激した。この領域を表す9merと10merのペプチドを合成し、そして同様にテストした。ペプチドP501S-370(配列番号539)は、強い応答を与える最小の9merであった。ペプチドP501S-376(配列番号540)も弱い応答を与えた。これは、それが交差反応性エピトープを表すかもしれないということを示唆している。
その後の試験において、MHCクラスI制限,P501S特異的,自己由来CD8 T細胞をプライミングするために、P501Sを形質導入された初代ヒトB細胞の能力を調べた。初代B細胞は、CD40リガンドおよびIL-4中での培養によりホモ接合HLA-A2ドナーのPBMCから得、ベクターpBIB内の組換えP501Sにより高頻度で形質導入し、そしてブラストサイジン-Sで選択した。in vitroプライミングのために、精製CD8+ T細胞を、96ウェル・マイクロカルチャー形式において、自己由来CD40リガンド+IL-4由来,P501S形質導入B細胞とともに培養した。これらのCTLマイクロカルチャーを、P501S形質導入B細胞で再刺激し、そして次に特異性についてアッセイした。この最初のスクリーニングの後、バックグラウンドを超える顕著なシグナルをもつマイクロカルチャーが、同じくP501Sで形質導入された自己由来EBV形質転換B細胞(BLCL)上でクローン化された。検出のためのIFN-ガンマELISPOTを用いて、上記CD8 T細胞クローンのいくつかが、対照抗原により形質導入されたBLCLではなく、BLCL/P501Sに対する反応性により証明されるように、P501Sに対して特異的であることが発見された。抗P501S CD8 T細胞特異性がHLA-A2制限されていることも、さらに証明された。第1に、抗HLA-A, B, Cモノクローナル抗体(W6.32)、抗HLA-A, B, Cモノクローナル抗体(B1.23.2)、および対照モノクローナル抗体を用いた抗体ブロッキング実験は、抗HLA-A, B, C抗体だけが、P501S発現性自己由来BLCLの認識をブロックすることを示した。第2に、抗P501S CTLも、P501Sを形質導入されたHLA-A2適合、異種BLCLを認識したが、対応のEGFP形質導入対照BLCLは認識しなかった。
実施例13
マイクロアレイ分析法による前立腺特異的抗原の確認
この実施例では、前立腺腫瘍cDNAライブラリーからの特定の前立腺特異的ポリペプチドの単離について述べる。
上記のヒト前立腺腫瘍cDNA発現ライブラリーを、マイクロアレイ分析法を利用してスクリーニングして、非前立腺正常組織(精巣を除く)と比べて、前立腺腫瘍および/または正常前立腺組織内で少なくとも3倍の過剰発現を示すクローンを同定した。372のクローンが同定され、319のクローンの配列決定に成功した。表Iはこれらクローンの概要を示し、これらクローンは配列番号385〜400に示してある。これら配列のうち、配列番号386, 389, 390および392は新規な遺伝子に対応し、そして配列番号393と396は、以前に単離された配列に対応している。残りの配列(配列番号385、387、388、391、394、395および397〜400)は、表Iに示すように既知の配列に対応している。
Figure 2009142284
Figure 2009142284
CGI-82は他の試験した正常組織に比べ、前立腺組織中で4.06倍過剰な発現を示した。それは前立腺腫瘍の43%、正常前立腺の25%にて過剰発現されていたが、試験した他の正常組織では検出されなかった。L-イディトール-2脱水素酵素は試験した他の正常組織に比べ、前立腺組織で4.94倍過剰な発現を示した。それは前立腺腫瘍の90%、正常前立腺の100%にて過剰発現されていたが、試験した他の正常組織では検出されなかった。Ets転写因子PDEFは試験した他の正常組織に比べ、前立腺組織で5.55倍過剰な発現を示した。それは前立腺腫瘍の47%、正常前立腺の25%にて過剰発現されていたが、試験した他の正常組織では検出されなかった。hTGR1は試験した他の正常組織に比べ、前立腺組織にて9.11倍の過剰発現を示した。それは前立腺腫瘍の63%にて過剰発現されていたが、正常前立腺を含む試験した他の正常組織では検出されなかった。KIAA0295は試験した他の正常組織に比べ、前立腺組織で5.59倍過剰な発現を示した。それは前立腺腫瘍の47%にて過剰発現されていたが、正常前立腺組織を含む試験した他の正常組織では低値〜検出不能であった。前立腺酸性フォスファターゼは試験した他の正常組織に比べ、前立腺組織で9.14倍過剰な発現を示した。それは前立腺腫瘍の67%、正常前立腺の50%では過剰発現されていたが、試験した他の正常組織では検出されなかった。トランスグルタミナーゼは試験した他の正常組織に比べ、前立腺組織で14.84倍過剰な発現を示した。それは前立腺腫瘍の30%、正常前立腺の50%で過剰発現されていたが、試験した他の正常組織では検出されなかった。高密度リポタンパク質結合タンパク質(HDLBP)は試験した他の正常組織に比べ、前立腺組織で28.06倍過剰な発現を示した。それは前立腺腫瘍の97%、正常前立腺の75%で過剰発現されていたが、試験した他の全ての正常組織では検出されなかった。CGI-69は試験した他の正常組織に比べ、前立腺組織で3.56倍過剰な発現を示した。それは前立腺腫瘍の90%以上、および正常前立腺組織の75%に検出された少数遺伝子であった。この遺伝子の正常組織中での発現は極めて低かった。KIAA0122は試験した他の正常組織に比べ、前立腺組織で4.24倍過剰な発現を示した。それは前立腺腫瘍の57%で過剰発現されていたが、正常前立腺組織を含む全ての正常組織では検出不能であった。19142.2バンガー(bangur)は試験した他の正常組織に比べ、前立腺組織で23.25倍過剰な発現を示した。それは前立腺腫瘍の97%、正常前立腺の100%で過剰発現されていた。試験した他の正常組織では検出不能であった。5566.1ワン(Wang)は試験した他の正常組織に比べ、前立腺組織で3.31倍過剰な発現を示した。それは前立腺腫瘍の97%、正常前立腺の75%では過剰発現され、さらに正常骨髄、膵臓および活性化PBMCでも過剰発現されていた。新規クローン23379は試験した他の正常組織に比べ、前立腺組織で4.86倍過剰な発現を示した。それは前立腺腫瘍の97%、正常前立腺の75%では検出可能であったが、試験した他の全ての正常組織では検出不能であった。新規クローン23399は試験した他の正常組織に比べ、前立腺組織で4.09倍過剰な発現を示した。それは前立腺腫瘍の27%にて過剰発現されていたが、正常前立腺組織を含む試験した全ての正常組織にて検出不能であった。新規クローン23320は試験した他の正常組織に比べ、前立腺組織で3.15倍過剰な発現を示した。それは全ての前立腺腫瘍および正常前立腺組織の50%にて検出可能であった。それはまた正常結腸および気管でも発現されていた。その他の正常組織はこの遺伝子を高レベルには発現していない。
実施例14
エレクトロニックサブトラクションによる前立腺特異的抗原の同定
本実施例はエレクトロニックサブトラクション法を利用した前立腺特異的抗原の同定を記す。
ジェンバンク(GenBank)ヒトESTデータベース中に存在する潜在的前立腺特異的遺伝子をエレクトロニックサブトラクション法(Vasmatizisら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA95:300-304, 1998記載に同様)にて同定した。各種前立腺ライブラリー由来のESTクローン(43,482)の配列をGenBank公開ヒトESTデータベースより得た。各前立腺EST配列をBLASTN(国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information))の問合わせ配列として利用し、ヒトESTデータベースを探索した。同一物と判定された(100塩基対より長い長さのマッチ配列を持ち、この領域全体のマッチ密度が70%より大きいもの)全てのものをクラスターとしてグループ化(アライメント)した。200より多くのESTを含むクラスターは、それらが繰り返しエレメントを表している可能性があること、またはリボソームタンパク質の様に高度に発現されている遺伝子である可能性があることから廃棄された。2またはそれ以上のクラスターが共通のESTを持つ場合には、これらクラスターを“スーパークラスター”としてグループ化した結果、4,345種類の前立腺スーパークラスターを得た。
GenBankリリース中に示されている479種類のヒトcDNAライブラリーに関する記録をダウンロードし、これらcDNAライブラリー記録のデータベースを作製した。これら479種類のcDNAライブラリーは3グループ、プラス(正常前立腺及び前立腺腫瘍ライブラリー、および発現が望まれる乳房細胞株)、マイナス(発現が望まれないその他の正常成体組織からのライブラリー)およびその他(発現に関連性がないと考えられる胎児組織、乳児組織、女性にのみ認められる組織、非前立腺腫瘍および前立腺細胞株以外の細胞株からのライブラリー)にグループ化された。これらライブラリーグループの要約を表IIに示す。
Figure 2009142284
各スーパークラスターをスーパークラスター内のESTに関し分析した。各ESTクローンの起源の組織を記録、利用してスーパークラスターを4グループに分類した:1型−プラスグループライブラリーのみに認められるESTクローン;マイナスまたはその他のグループライブラリーでは発現は検出されない;2型−プラスおよびその他のグループライブラリーだけに由来するESTクローン;マイナスグループでは発現は検出されない;3型−プラス、マイナスおよびその他のグループ由来ESTクローンであるが、プラスグループ由来EST数はマイナスまたはその他のグループ由来の数に比べ高いもの;そして4型−プラス、マイナスおよびその他グループライブラリー由来ESTであるが、プラスグループ由来EST数はマイナスグループ由来数に比べ高いもの。本分析により4,345の乳腺クラスターを同定した(表III参照)。これらクラスターより、3,172個のESTクローンがリサーチジェネッティックス社より発注され、96ウエル型プレートの中に凍結グリセロールストックとして受け取られた。
Figure 2009142284
ESTクローンインサートはシンテニ(Synteni)マイクロアレイ分析に適したアミノ結合PCRプライマーを利用しPCR増幅した。特定のクローンについて1種類以上のPCR産物が得られた場合には、PCR産物は発現分析に用いなかった。マイクロアレイ法によりエレクトロニックサブトラクション法からの合計2528クローンを分析し、腫瘍/正常組織mRNA比が高いエレクトロニックサブトラクション乳房クローンを同定した。この様なスクリーニングはシンテニー(パロアルト、カリフォルニア州(Palo Alto,CA))マイクロアレイを使い、メーカー指示書(および本質的にSchenaら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:10614-10619, 1996およびHellerら、Proc, Natl. Acad. Sci.USA94:2150-2155, 1997記載の如くに)に従い実施された。これら分析中、クローンはチップ上に配列され、続いて正常および腫瘍前立腺cDNAならびに各種その他正常組織から作製された蛍光プローブを用いプロービングされた。スライドをスキャンし、蛍光強度が測定された。
3より大きい発現比(即ち、前立腺腫瘍および正常前立腺mRNAのレベルが他の正常組織mRNAのレベルに比べ少なくとも3倍である)を持つクローンを前立腺腫瘍特異的配列として特定した(表IV)。これらクローンの配列は、配列番号407、413、416-419、422、426、427および450に示された一部の新規配列と共に、配列番号401-453に提供されている。
Figure 2009142284
Figure 2009142284
Figure 2009142284
実施例15
マイクロアレイ分析による前立腺特異的抗原のさらなる同定
本実施例は、前立腺腫瘍cDNAライブラリーより得た追加の前立腺特異的ポリペプチドの単離を記す。
上述のヒト前立腺腫瘍cDNA発現ライブラリーをマイクロアレイ分析にてスクリーニングし、非前立腺正常組織(精巣は含まない)に比べ、前立腺腫瘍および/又は正常前立腺組織中に少なくとも3倍過剰な発現を示すクローンを特定した。142のクローンが同定され、配列決定された。これらクローンの一部を配列番号454-467に示す。これらのうち、配列番号459-461は新規遺伝子である。その他の(配列番号454-458、および461-467)は既知配列に対応する。
実施例16
前立腺特異的抗原P710Pのさらなる特性分析
本実施例はP710Pの完全長クローニングを記す。
上記前立腺cDNAライブラリーを上記P710P断片を用いスクリーニングした。100万個のクローンをLB/アンピシリンプレート上に播種した。ナイロン膜フィルターを用いてこれらコロニーを吊り上げ、次にこれらフィルターにより拾い上げられたcDNAを変性し、そしてUV光によりフィルター上に架橋した。P710P断片を放射線標識し、フィルターとのハイブリダイズに利用した。陽性cDNAクローンを選別し、そのcDNAを回収、自動Perkin Elmer/Applied Biosystems Divisionシークエンサーにより配列決定した。4種類の配列を得て、配列番号468-471に示した。これらの配列は、P710P遺伝子の異なるスプライス変異型を表すようである。
実施例17
前立腺特異的抗原P501Sのタンパク質発現
本実施例はE.coli、バキュロウイルスおよび哺乳動物細胞での前立腺特異的抗原P501Sの発現と精製とを説明する。
(a)E.coliでの発現
完全長型P501Sの発現を、まずpET17b中のM.tuberculosis抗原Ra12(配列番号484)の先頭30個のアミノ酸の下流に、リーダー配列(配列番号113のアミノ酸36−553)を持たないP501Sをクローニングし試みた。具体的にはプライマーAW025(配列番号485)およびAW003(配列番号486)を使用するPCRをP501SのDNAを用いて実施した。AW025はHindIII部位を含むセンスクローニングプライマーである。AW003はEcoRI部位を含む、アンチセンスクローニングプライマーである。DNA増幅は、10×Pfuバッファー5μl、20mMのdNTPを1μl、10μM濃度のPCRプライマーをそれぞれ1μl、水40μl、PfuDNAポリメラーゼ(ストラタジーン、ラジョラ、カリフォルニア(Stratagene、La Jolla、CA))を1μlと100ng/μlのDNAを1μl用いて行った。95℃での変性を30秒間実施した後、95℃30秒間、60℃1分間、72℃3分間を10サイクル、95℃30秒間、65℃1分間、72℃3分間を20サイクル行い、最後に72℃10分間の1サイクルを実施した。PCR産物はHindIIIとEcoRIを用いRa12m/pET17bにクローニングされた。得られた融合構築物(Ra12−P510S−Fと呼ぶ)の配列をDNA配列決定により確認した。
融合構築物はBL21(DE3)pLysE、pLysSおよびCodonPlusE.coli(ストラタジーン)内に形質導入され、カナマイシン入りLBブロス中に一晩増殖させた。得られた培養物をIPTGを使い誘導した。タンパク質をPVDFメンブレンにトランスファーし、5%の脱脂乳(PBS−Tweenバッファー中)でブロッキングし、3回洗浄してからマウス抗Hisタグ抗体(クローンテック(Clontech))と1時間インキュベーションした。メンブレンを3回洗浄してからHRP−プロテインA(ザイメッド(Zymed))で30分間プロービングした。最後にメンブレンを3回洗浄し、ECL(アマシャム(Amersham))で発光させた。ウエスタンブロットでは発現は検出されなかった。同様にRa12−P501S−F融合体を使いCE6ファージ(インビトロゲン(Invitrogen))によりBL21CodonPlus中に発現した場合も、ウエスタンブロットでは発現は検出されなかった。
P501SのN末端断片(配列番号113のアミノ酸36−325)を、以下の様にしてpET17b中、M.tuberculosis抗原Ra12の先頭30個のアミノ酸の下流にクローニングした。P501S DNAを用い、プライマーAW025(配列番号485)とAW027(配列番号487)を用いたPCRを実施した。AW027はEcoRI部位と停止コドンを含むアンチセンスクローニングプライマーである。DNA増幅は本質的に上記同様に実施された。得られたPCR産物をpET17b中Ra12のHindIIIおよびEcoRI部位にクローニングした。融合構築物(Ra12−P501S−Nと称する)はDNA配列決定により確認された。
Ra12−P501S−N融合構築物は本質的に上記同様にしてBL21(DE3)pLysE、pLysSおよびCodonPlus中での発現に使用された。ウエスタンブロット分析を用いたところ、想定分子量36kDaにタンパク質のバンドが観察された。より高分子のバンドも幾つか観察されたが、これらは組換え体タンパク質の会合体と思われる。Ra12−P501S−F融合体をCE6ファージを使ったBL21CodonPlusでの発現に使用した場合には、ウエスタンブロットでは検出されなかった。
P501SのC末端部分(配列番号113のアミン酸257−553)をM.tuberculosis抗原Ra12(配列番号484)の先頭30個のアミノ酸の下流に含む融合構築物を以下のように調製した。P501S DNAを用い、プライマーAW026(配列番号488)およびAW003(配列番号486)を用いたPCRを実施した。AW026はHindIII部位を含むセンスクローニングプライマーである。DNA増幅は実質上記同様にして実施された。得られたPCR産物はpE17b中Ra12のHindIIIおよびEcoRI部位にクローニングされた。融合構築物の配列(Ra12−P501S−Cと称する)を確認した。
Ra12−P501S−C融合構築物を上記同様にして、BL21(DE3)pLysE、pLysSおよびCodonPlusでの発現に使用した。ウエスタンブロットでは少量のタンパク質が検出され、同時に幾つかの分子量会合体も観察された。Ra12−P501S−C融合体をCE6ファージで誘導したBL21CodonPlusでの発現に用いた場合にも、ウエスタンブロットにより発現が検出された。
(b)バキュロウイルスでのP501Sの発現
Bac-to-Bacバキュロウイルス発現システム(BRLライフテクノロジーズ社(Life Technologies、Inc))を用い、昆虫細胞中にP501Sを発現させた。完全長のP501S(配列番号113)をPCRで増幅し、ドナープラスミドpFastBacIのXbaI部位にクローニングした。組換え体bacmidおよびバキュロウイルスは、メーカー指示書に従い調製した。組換え体バキュロウイルスをSf9細胞中に増幅し、高力価ウイルスストックを用いHigh Five細胞(インビトロゲン)に感染させ、組換え体タンパク質を生成した。完全長タンパク質であることは、組換え体タンパク質のN末端の配列を決定することと、およびウエスタンブロット分析により確認した(図7)。具体的には6ウエルプレート中の60万個のHigh Five細胞に、無関係な対照ウイルスであるBV/ECD_PD(レーン2)、各種量もしくはMOIのP501S用組換え体バキュロウイルスを感染させるか(レーン4〜8)、または未感染の状態に置いた(レーン3)。細胞溶解物を還元条件でSDS−PAGEにかけ、抗P501Sモノクローナル抗体P501S−10E3−G4D3(以下の如くに調製)を用いたウエスタンブロットにより分析した。レーン1はビオチン化されたタンパク質分子量マーカー(バイオラブス(BioLabs))である。
昆虫細胞での組換え体P501Sの局在性を次の様にして調べた。P501Sを過剰発現する昆虫細胞を核、ミトコンドリア、膜および細胞質に分画した。等タンパク質量の各分画をP501Sに対するモノクローナル抗体を用いたウエスタンブロットにより分析した。分画方法によれば、核とミトコンドリア画分は共に原形質膜の成分をいくらか含んでいる。しかし膜画分は基本的にはミトコンドリアおよび核を含んでいない。P501Sは膜成分を含む全ての画分に存在していることが見いだされ、P501Sが組換え体タンパク質を発現している昆虫細胞の原形質膜に会合しているらしいことが示唆された。
(c)哺乳動物細胞でのP501Sの発現
完全長のP501S(553AA)をpCEP4(インビトロゲン)、pVR1012(バイカル、サンディエゴ、カリフォルニア州(Vical、San Diego、CA))およびpBIBと呼ばれるレトロウイルスベクターpBMNの変型体を含む各種哺乳動物細胞発現ベクターにクローニングした。P501S/pCEP4およびP501S/pVR1012の線維芽細胞HEK293へのトランスフェクションは、Fugeneトランスフェクション試薬(ベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim))を用いて実施した。簡単に説明すると、Fugene試薬2μlを100μlの無血清培地に希釈し、室温で5〜10分間インキュベーションした。この混合液を1μgのP501SプラスミドDNAに加え、短時間混合したのち室温で30分間インキュベーションした。Fugene/DNA混合物を細胞に加え、24〜48時間インキュベーションした。トランスフェクトされたHEK293線維芽細胞での組換え体P501Sの発現は、P501Sに対するモノクローナル抗体を用いたウエスタンブロットにより検出された。
CHO−K細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)、ロックビル(Rockville)、メリーランド州(MD))へのp501S/pCEP4のトランスフェクションは、GenePorterトランスフェクション試薬(ジーンセラピーシステムス(Gene Therapy Systems)、サンディエゴ(San Diego)、カリフォルニア州(CA))を使用し実施した。簡単に述べると、15μlのGenePorterを500μlの無血清培地中に希釈し、室温で10分間インキュベーションした。GenePorter/培地混合液を、500μlの無血清培地中に希釈された2μgのプラスミドDNAに加え、短時間混合してから30分間、室温にてインキュベーションした。CHO−K細胞をPBSで濯ぎ血清タンパク質を除いてから、GenePorter/DNA混合液を加え、5時間インキュベーションした。次にトランスフェクションされた細胞に等量の2×培地を与え、24〜48時間インキュベーションした。
一過性に感染させたCHO−K細胞のP501SをSFACS分析した結果、P501Sが表面で発現していることが示された。発現は下記の様にしてP501Sペプチドに対し生成されたウサギのポリクローナル抗血清を用い検出された。フローサイトメトリーによる分析はFaCScan(ベクトンディッキンソン(Becton Dickinson))を用いて行い、データはCell Questプログラムを使い解析した。
実施例18
前立腺特異的ポリペプチドに対する抗体の調製と特性解析
(a)P501Sに対する抗体の調製と特性解析
前立腺特異的抗原P501Sのカルボキシ末端に対するマウスモノクローナル抗体を以下の様にして調製した。
P501Sの切断型断片(配列番号113のアミノ酸355−526)を作製し、pET28bベクター(ノバゲン(Novagen))中にクローニングし、ヒスチジンタグの付いたチオレドキシン融合タンパク質としてE.coli内に発現させた。trx−P501S融合タンパク質はニッケルクロマトグラフィーにて精製し、トロンビンで消化してtrx断片を除き、そして酸で沈降してから逆相HPLCにかけてさらに精製した。
マウスは切断型P501Sタンパク質で免疫された。抗P501Sポリクローナル血清を含むと思われるマウスより得た血清を、精製P501Sおよびtrx−P501Sタンパク質を使ったELISAアッセイを用いP501S特異的反応性について試験した。P501Sと特異的に反応すると思われた血清は次にウエスタンブロット分析によりP501S反応性についてスクリーニングされた。P501S特異的抗体成分を含むマウスを屠殺し、その脾臓細胞を用い、標準的な方法にて抗P501S抗体を産生するハイブリドーマを作製した。ハイブリドーマの上清はまずELISAを使ってP501S特異的反応性について試験し、続いてP501S導入細胞との反応性についてFACS分析を行った。これらの結果に基づき10E3と呼ばれるモノクローナルハイブリドーマを得て、さらにサブクローニングした。多数のサブクローンが作製され、ELISAを用いてP501Sに対する特異的反応性について試験し、そしてIgGアイソタイプが判定された。この分析の結果を下表Vに示す。試験した16のサブクローンのうち、以後の研究のためにモノクローナル抗体10E3−G4−D3を選択した。
Figure 2009142284
10E3−G4−D3のP501Sに対する特異性はFACS分析により調べられた。具体的には、細胞を固定し(2%ホルムアルデヒド、10分)、浸透化処理(0.1%サポニン、10分)してから0.5−1μg/mlの10E3−G4−D3で染色し、続いてFITC標識ヤギ抗マウスIg二次抗体(ファーミンゲン(Pharminge)、サンディエゴ(San Diego)、カリフォルニア(CA))とインキュベーションした。次にExcalbur蛍光発色細胞ソーターを使い、細胞のFITC蛍光分析を行った。形質導入細胞のFACS分析では、レトロウイルスを使ってB−LCLにP501Sを形質導入した。感染細胞の分析では、B−LCLにP501Sを発現するワクシニアベクターを感染させた。これらのアッセイの特異性を示すために、別の抗原(P703P)を形質導入したB−LCLと未感染のB−LCLベクターを用いた。10E3−G4−D3はP501S形質導入B−LCLに結合するだけでなくP501S感染B−LCL細胞にも結合するが、非感染細胞またはP703P形質導入細胞には結合しないことが示された。
10E3−G4−D3により認識されるエピトープが細胞の表面上または細胞内コンパートメント内のどちらにあるか決定するために、B−LCLをP501Sまたは対照抗原としてのHLA−B8で形質導入し、上記同様に固定し浸透化してから、あるいは直接10E3−G4−D3で染色して上記同様に分析した。10E3−G4−D3によるP501Sの特異的認識には浸透化処理が必要なことが見いだされ、この抗体により認識されるエピトープが細胞内にあることが示唆された。
それぞれ高レベル、中レベルおよび非常に低レベルにP501Sを発現することが知られている3種類の前立腺腫瘍細胞株Lncap、PC−3およびDU−145との10E3−G4−D3の反応性を、細胞を浸透化処理し、上記同様に処理して調べた。PC−3に比べLncapとの間で10E3−G4−D3のより高い反応性が見いだされ、そしてDU−145に比べPC−3との間でより高い反応性が見いだされた。これらの結果はリアルタイムPCRの結果に一致し、抗体がこれら腫瘍細胞株において特異的にP501Sを認識すること、そして前立腺腫瘍細胞株で認識されたエピトープも細胞内に存在することを示している。
P501Sに関する10E3−G4−D3の特異性はウエスタンブロットでも示された。前立腺腫瘍細胞株Lncap、DU−145およびPC−3、一過性にP501SをトランスフェクションしたHEK293細胞、およびトランスフェクションしていないHEK293細胞から細胞溶解物を作製した。これら溶解物に関する10E3−G4−D3を用いたウエスタンブロット分析は、Lncap、PC−3およびP501SトランスフェクションHEK細胞では46kDaの免疫反応性バンドを示したが、DU−145または非トランスフェクションHEK293細胞についてはバンドは示されなかった。半定量的PCR分析はP501S mRNAがLncapで発現されており、PC−3細胞ではそれに比べ低いものの検出可能であったがDU−145細胞では全く検出されなかったことから、P501SmRNAの発現もこれらの結果に一致している。細菌で発現され、精製された組換え体P501S(P501SStr2と呼ぶ)は、発現ベクターVR1012またはpCEP4を用いHEK293細胞に一過性に発現された完全長のP501S同様に、10E3−G4−D3によって認識された(24kDa)。P501Sの推定分子量は60.5kDaであったが、トランスフェクションしたP501Sも“未変性”P501Sもその疎水的性質より若干低い移動度で移動した。
前立腺腫瘍および正常組織切片のパネル(前立腺、副腎、乳房、子宮頸部、結腸、十二指腸、胆嚢、回腸、腎臓、卵巣、膵臓、甲状腺、骨格筋、脾臓および精巣)について免疫組織化学分析を行った。組織サンプルはホルマリン液中で24時間固定され、パラフィン包埋されてから10ミクロンの切片にされた。組織切片は浸透処理されてから1時間10E3−G4−D3とインキュベーションされた。HRP標識抗マウスに続いてDAB発色原とインキュベーションしてP501Sの免疫反応性を可視化した。P501Sは正常前立腺および前立腺腫瘍の両方で強く発現されていることが見いだされたが、試験したその他の組織では検出されなかった。
10E3−G4−D3により認識されるエピトープを特定するために、エピトープマッピング法を利用した。10E3−G4−D3作製時に使用したP501S断片全体をカバーする、13種類の重複する20〜21merのシリーズ(5アミノ酸が重複する;配列番号489〜501)を合成した。平底型の96ウェルマイクロタイタープレートにマウスを免疫する際使用したペプチドまたはP501S断片を、1マイクログラム/mlにて2時間、37℃でコーティングした。次にウェルを吸引してから1%(w/v)BSAを含むリン酸バッファー生理食塩水で2時間、室温にてブロッキングし、続いて0.1%Tween20を含むPBS(PBST)で洗浄した。精製した抗体10E3−G4−D3を2倍希釈でPBST中に加え(1000ng〜16ng)、室温で30分間インキュベーションした。続いてPBSTで6回洗浄した後、1:20000の割合のHRP標識ロバ抗マウスIgG(H+L)アフィニピュア(Affinipure)F(ab’)断片(ジャクソンイムノリサーチ(Jackson Immunoresearch)、ウエストグローブ(West Grove)、ペンシルバニア州)と30分間インキュベーションした。次にプレートを洗浄し、テトラメチルベンジジン中に15分間インキュベーションした。反応は1Nの硫酸を加え停止し、ELISAプレートリーダーを使って450nmでプレートを測定した。図8に示す様に、配列番号496のペプチド(P501Sのアミノ酸439−459に対応)およびP501S断片との間では反応性が認められたが、残りのペプチドとの間には反応性は認められず、10E3−G4−D3により認識されるエピトープが配列番号113のアミノ酸439−459に局在することが示された。
P501Sの組織特異性をさらに調べるため、主要な正常臓器およびこれら組織由来の新生物を包含する約4700種のヒト組織についてマルチアレー免疫組織化学分析を行った。これらヒト組織サンプルのうち65種類が前立腺由来であった。直径0.6mmの組織片をホルマリン固定し、パラフィンに包埋した。サンプルを10mMのクエン酸バッファー、PH6.0を用いHIERで前処理し、10分間煮沸した。切片を10E3−G4−D3で染色し、HRPを用いてP501S免疫反応性を可視化した。65種類全ての前立腺組織サンプル(正常5例、未治療前立腺腫瘍55例、ホルモン不応性前立腺腫瘍5例)が陽性であり、明瞭な各周辺の染色を示した。検討した他の組織は全てP501S発現について陰性であった。
(b)P503Sに対する抗体の調製と特性分析
上記のP501Sと実質的に同様に、細菌にP503S(配列番号114のアミノ酸113−241)の断片を発現させ、精製してウサギおよびマウスの免疫に用いた。マウスモノクローナル抗体は上記の如く標準的ハイブリドーマ技術を用い単離した。ウサギモノクローナル抗体は、イムジェニクスファーマシューティカル(Immgenics Pharmaceuticals)(バンクーバー(Vancouver)、ブリティッシュコロンビア州、カナダ)にて選択的リンパ球抗体(SLAM)法を用い単離された。下表VIにはP503Sに対して作製されたモノクローナル抗体が掲載されている。
Figure 2009142284
ウサギモノクローナル抗体20D4およびJA1に関する相補性決定領域(CDR)をコードするDNA配列を決定し、それぞれを配列番号502および503に示す。
各抗体のエピトープ結合領域をより規定するために、配列番号114のアミノ酸109−213をカバーする一連の重複ペプチドを作製した。これらペプチドを用い、以下のELISAにより抗P503Sモノクローナル抗体のエピトープマップを作製した。免疫源として用いたP503Sの組換え体断片を陽性対照に使用した。96ウェルマイクロタイタープレートを20ng/ウェルの濃度のペプチドまたは組換え体抗原で一晩、4℃コーティングした。プレートを吸引し、1%(w/v)のBSAを含むリン酸バッファー生理食塩水で室温、2時間ブロッキングしてから、0.1%Tween20(PBST)を含むPBSで洗浄した。精製しPBST中に希釈されたウサギモノクローナル抗体をウェルに加え、30分間、室温にてインキュベーションした。これに続いてPBSTにて6回洗浄を行い、1:2000希釈したプロテインA HPR標識体とさらに30分間インキュベーションした。プレートをPBSTにて6回洗浄し、さらに15分間テトラメチルベンジジン(TMB)基質とインキュベーションした。反応は1Nの硫酸を加え停止され、ELISAプレートリーダーを使って450nmでプレートを測定した。マウスモノクローナル抗体を用いたELISAは、アッセイが上手くいった組織培養の上清を用い実施された。
陰性対照のSP2上清を除いて、全ての抗体が組換え体P503S断片に結合した。20D4、JA1および1D12は配列番号114のアミノ酸151−169に相当するペプチド#2101(配列番号504)と強く結合した。1C3は配列番号114のアミノ酸165−184に相当するペプチド#2102(配列番号505)と結合した。9C12は配列番号114のアミノ酸120−139に相当するペプチド#2099(配列番号522)と結合した。その他の抗体はこれら研究で検討しなかった領域に結合した。
エピトープマッピングに続いて、安定してP503Sを発現している細胞株を使ったFACS分析により抗体を試験し、抗体が細胞表面エピトープに結合することを確認した。対照プラスミドで安定にトランスフェクションされた細胞を陰性対照として用いた。細胞は固定せずに生染色された。抗P503Sモノクローナル抗体0.5μgを加え、細胞は2回洗浄する前に氷上にて30分間インキュベーションし、それからFITC標識ヤギ抗ウサギまたはマウス二次抗体と20分間インキュベーションした。2回洗浄した後、細胞をエクスキャリバー(Excalibur)蛍光発色セルソーターを使って分析した。モノクローナル抗体1C3、1D12、9C12、20D4およびJA1はP503Sの細胞表面エピトープと結合するが、8D3は結合しないことが見いだされた。
いずれの組織がP503Sを発現しているか決定するために、実質的に上記と同様にして正常組織のパネル(前立腺、副腎、乳房、子宮頸部、結腸、十二指腸、胆嚢、回腸、腎臓、卵巣、膵臓、甲状腺、骨格筋、脾臓および精巣)について免疫組織化学分析を行った。HRP標識抗マウスまたは抗ウサギ抗体に続いて、TMBとインキュベーションしP503Sの免疫反応性を可視化した。P503Sは前立腺組織で強く、そして子宮頸部、結腸、回腸および腎臓では弱く発現されているが、副腎、乳房、十二指腸、胆嚢、卵巣、膵臓、甲状腺、骨格筋、脾臓および精巣では発現していないことが分かった。
ウエスタンブロット分析を用い、抗P503Sモノクローナル抗体の特異性について調べた。細菌中に発現させ、そこから精製した組換え体(rec)P503Sと完全長P503SをトランスフェクションしたHEK293細胞由来の溶解物についてSDS−PAGEを行った。タンパク質をニトロセルロースメンブレンにトランスファーし、抗体濃度1μg/mlの抗P503モノクローナル抗体(20D4、JA1、1D12、6D12および9C12)それぞれを用いてウエスタンブロットを行った。タンパク質は西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識されたヤギ抗マウスモノクローナル抗体、またはプロテインAセファローズを用い検出された。モノクローナル抗体20D4は分子量約14kDaの組換え体P503S(アミノ酸113−241)と完全長P503SがトランスフェクションされたHEK293細胞溶解物中の23.5kDaのタンパク質種を検出した。その他の抗P503Sモノクローナル抗体はウエスタンブロットと同様の特異性を示した。
(c)P703Pに対する抗体の調製と特性分析
上記同様に細菌内に発現され、そこから精製された切断型(P703Ptr1;配列番号172)または完全長成熟型(P703Pf1;配列番号523)の組換え体P703Pタンパク質でウサギを免疫した。アフィニティー精製ポリクローナル抗体は、固相支持体に結合された免疫源P703Pf1またはP703Ptr1を用い作製された。ウサギモノクローナル抗体はイムジェニクスファーマシューティカル(Immgenics Pharmaceuticals)にてSLAM法を用い単離された。下表VIIにはP703Pに対して作製されたポリクローナルおよびモノクローナル抗体が掲載されている。
Figure 2009142284
ウサギモノクローナル抗体8H2、7H8および2D4に関する相補性決定領域をコードしているDNA配列を決定し、それぞれ配列番号506−508に示す。
エピトープマッピング研究を上記同様に実施した。モノクローナル抗体2D4および7H8は特異的に配列番号509(配列番号172のアミノ酸145−159に相当)および配列番号510(配列番号172のアミノ酸11−25に相当)とそれぞれ結合することが見いだされた。ポリクローナル抗体2594は配列番号511−514のペプチドと、そしてポリクローナル抗体9427は配列番号515−517のペプチドと結合することが見いだされた。
抗P703P抗体の特異性は以下の様にしてウエスタンブロットにより決定した。SDS−PAGEを(1)細菌に発現させた組換え体抗原;(2)完全長のP703Pを発現するプラスミドでトランスフェクトされていない、あるいはトランスフェクトされたHEK293細胞およびLtk−/−細胞の溶解物;および(3)これら細胞培養より単離された上清について実施した。タンパク質をニトロセルロースメンブレンにトランスファーしてから抗体濃度1μg/mlの抗体濃度での抗P703Pポリクローナル抗体#2594を用いウエスタンブロットした。タンパク質は西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識した抗ウサギ抗体を用い検出された。組換え体P703Pでは35kDaの免疫反応性のバンドが観察された。組換え体P703Pにはエピトープタグが付いているため、若干高分子量として移動する。完全長のP703Pをトランスフェクションされた細胞の溶解物および上清では、P703Pに相当する30kDaのバンドが観察された。特異性を確認するために、安定して対照プラスミドがトランスフェクションされたHEK293細胞由来の溶解物についても試験したが、P703Pの発現は認められなかった。その他の抗P703P抗体も同様の結果を示した。
免疫組織化学研究は抗P703Pモノクローナル抗体を用い、上記同様にして実施された。P703Pは正常前立腺と前立腺腫瘍組織では高レベルに発現しているが、試験したその他全ての組織(乳癌、肺癌および正常腎臓)では検出されないことが判明した。
実施例19
前立腺特異的抗原P501Sの細胞表面発現および染色体局在の特性分析
本実施例は前立腺特異抗原P501Sが細胞表現に発現していることを示す研究と、それに合わせP501Sに関する考え得る染色体上の局在を決定するための研究について説明する。
タンパク質P501S(配列番号113)は11の膜貫通ドメインを持つと推定されている。抗P501Sモノクローナル抗体10E3−G4−D3(上記実施例17)により認識されるエピトープは細胞内に存在しているという発見に基づき、以下の膜貫通決定因子からP501Sの細胞外ドメインを推測できると考えられた。図9は膜貫通ドメインの推定局在と実施例17記載の細胞内エピトープを示す概略図である。下線の付いた配列は推定膜貫通ドメインを、太字の配列は推定細胞外ドメインを、イタリックの配列は推定細胞内ドメインを表している。太字と下線付きの配列を用いてポリクローナルウサギ抗血清が作製された。膜貫通ドメインの局在はHHMTOPを用いTusnadyとSimonの報告同様に推定された(膜内タンパク質のアミン酸組成の支配原則:トポロジー推定の応用(Principles Governing Amino Acid Composition of Integral Membrane Proteins:Applications to Topology Prediction)、J.Mol.Biol、283:489−506、1998)。
図9に拠れば、アミノ酸274−295および323−342に対応する膜貫通ドメインにつながっているP501Sドメインは細胞外と推定される。配列番号518のペプチドはP501Sのアミノ酸306−320に相当し、推定細胞外ドメイン内にある。ヒスチジンがアスパラギニンに置換されている以外は配列番号518のペプチドに同一である、配列番号519のペプチドは上記の様にして合成された。Cys−GlyがペプチドのC末端に加えられ、キャリアータンパク質への結合が促進された。固体支持体からのペプチドの切り出しは、以下の切断混合物を用い実施された:トリフルオロ酢酸:エタンジオール:チオアニソール;水:フェノール(40:1:2:2:3)。2時間切断した後、ペプチドを冷エーテル中に沈殿させた。次にペプチドペレットを10%v/v酢酸に溶解し、C18逆相hplcで精製する前に凍結乾燥した。5〜60%のアセトニトリル(0.05%TFAを含む)の水溶液(0.05%TFAを含む)勾配を用いペプチドを溶出した。ペプチド純度はhplcおよび質量分析により確認し、>95%であるとされた。精製ペプチドを用い、上記同様にしてウサギポリクローナル抗血清を作製した。
P501Sの表面発現をFACS分析により検証した。細胞を10μg/mlのポリクローナル抗P501Sペプチド血清で染色し、洗浄した後、二次FITC標識ヤギ抗ウサギIg抗体(ICN)とインキュベーション、さらに洗浄した後、エクスキャリバー蛍光発色細胞ソーターを用いFITC蛍光について分析した。形質導入された細胞のFACS分析では、B−LCLにP501Sがレトロウイルスを用い形質導入された。これらアッセイの特異性を示すために、無関係な抗原(P703P)が形質導入された、または形質導入されていないB−LCLも平行して染色された。前立腺腫瘍細胞株のFACS分析にはLncap、PC−3およびDU−145が用いられた。前立腺細胞株は細胞分離培地を用い組織培養プレートから剥がし、上記同様に染色した。全てのサンプルはFACS分析にかけられる前にヨウ化プロピジウム(PI)で処理され、PI排除(即ち生きている非透過性の)細胞よりデータを得た。配列番号519のペプチドに対し作製されたウサギポリクローナル血清は形質導入されP501Sを発現している細胞の表面を特異的に認識することが示され、このポリクローナル血清により認識されるエピトープが細胞外にあることが示された。
P501Sが細胞表面上に発現されるか生化学的に決定するために、Lncap細胞の周辺膜(peripheral membrane)を単離し、ウエスタンブロット分析にかけた。具体的にはLncap細胞をダウンス型ホモジェナイザーを使い、5mlのホモジェナイゼーションバッファー(250mMショ糖、10mM HEPES、1mM EDTA,pH8.0、完全プロテアーゼ阻害剤1錠(ベーリンガーマンハイム))中に溶解した。溶解液サンプルは1000g、5分間、4℃で遠心分離した。次にその上清を、10分間、4℃、8000gの遠心分離にかけた。8000g遠心分離の上清を回収し、30分間、4℃にて100,000gの遠心分離にかけ周辺膜を回収した。次にサンプルをSDS−PAGEで分離し、マウスモノクローナル抗体10E3−G4−D3(上記実施例17に記載)を用い、上記同様の条件のウエスタンブロットにかけた。組換え体精製P501SおよびP501Sでトランスフェクションされ、それを過剰発現しているHEK293細胞をP501S検出の陽性対照に含めた。LCL細胞溶解物を陰性対照として含めた。P501SはLncap全細胞溶解物、8000g(内膜)画分だけでなく100,000g(原形質膜)画分中に検出できた。これらの結果はP501Sが周辺膜に発現、局在していることを示している。
配列番号519のペプチドに対し作製されたウサギポリクローナル抗血清はこのペプチドだけでなく、配列番号518の対応するネイティブなペプチドも特異的に認識することを示すために、ELISA分析を行った。これら分析では平底型の96ウェルマイクロタイタープレートを、1μg/mlの配列番号519のペプチド、全推定細胞外ドメインをカバーする配列番号520のより長いペプチド、P501S特異的抗体である10E3−G4−D3により認識されるエピトープである配列番号521のペプチド、または免疫ペプチド配列を含まないP501S断片(配列番号113のアミノ酸355−526に相当)のいずれかで2時間、37℃にてコーティングした。ウェルを吸引した後1%(w/v)BSAを含むリン酸バッファー生理食塩水で2時間、室温にてブロッキングし、続いて0.1%Tween20を含むPBS(PBST)で洗浄した。精製した抗P501Sポリクローナルウサギ血清を2倍希釈でPBST中に加えて(1000ng〜125ng)から室温で30分間インキュベーションした。続いてPBSTで6回洗浄し、1:20000の割合のHRP標識ヤギ抗ウサギIgG(H+L)アフィニピュア(Affinipure)F(ab’)断片と30分間インキュベーションした。次にプレートを洗浄し、テトラメチルベンジジン中で15分間インキュベーションした。反応は1Nの硫酸を加え停止し、ELISAプレートリーダーを使って450nmでプレートを測定した。図11に示す様に、抗P501Sポリクローナルウサギ血清は免疫に使用した配列番号519のペプチドだけでなく、配列番号520のより長いペプチドも特異的に認識したが、関係のないP501S由来ペプチドおよび断片は認識しなかった。
別の研究では、P501S配列に由来し、図9に示す様に細胞外または細胞内にあると推測されるペプチドでウサギを免疫した。ポリクローナルウサギ血清を単離し、上記同様にして血清中のポリクローナル抗体を精製した。P501Sとの特異反応性を調べるために、P501Sまたは無関係な抗原P703Pで形質導入されたB−LCL、またはP501Sを発現するワクシニアウイルスを感染させたB−LCLの何れかを用いたFACS分析を行った。表面発現に関しては、上記同様に死細胞および完全でない細胞を分析から除外した。細胞内染色については、上記同様に細胞を固定し、浸透化した。P501Sのアミノ酸181−198に相当する配列番号548のペプチドに対し作製されたウサギポリクローナル血清はP501Sの表面エピトープを認識することが見いだされた。P501Sのアミノ酸543−553に相当する配列番号551のペプチドに対し作製されたウサギポリクローナル血清は、別の実験で完全な細胞または透過処理された細胞がこのポリクローナル抗体で認識されたことから、細胞外または細胞内にあると思われるエピトープを認識することが見いだされた。同様の推測理由から、それぞれP501Sのアミノ酸109−122、539−553、509−520、37−54、342−359、295−323、217−274、143−160および75−88に相当する配列番号541〜547、549および550の配列は、抗体により認識されるP501Sの潜在的表面エピトープであると考えることができる。
P501Sの染色体局在はGeneBridge4放射ハイブリッドパネル(リサーチジェネティクス(Research Genetics))を用い決定された。メーカーの指示に従い、ハイブリッドパネルのDNAプールを使ったPCRには配列番号528および529のPCRプライマーを使用した。38サイクルの増幅の後、反応産物を1.2%アガロースゲル上で分離し、その結果をホワイトヘッド研究所/MITゲノム研究センター(Whitehead Institute/MIT Center for Genome Reseach)ウェブサーバー(http://www−genome.wi.mit.edu/cgi−bin/contig/rhmapper.pl)を通じ分析し、可能性のある染色体局在を決定した。この方法を用いP501Sは第1染色体長腕上、q32とq42の間にあるWI−9641にあるとマップされた。第1染色体のこの領域は遺伝性前立腺癌の前立腺癌感受性に連鎖している(Smithら、Science274:1371−1374、1996およびBerthonら、Am.J.Hum.Genet.62:1416−1424、1998)。これらの結果は、P501Sが前立腺癌の悪性化にある役割を果たしている可能性を示唆している。
上記より、ここでは例示を目的として発明の具体的実施実施形態を記載したが、発明の精神および範囲から逸脱することなく各種変更が可能であることが分かるだろう。従って、本発明は添付の請求の範囲以外のものに限定されるものではない。

Claims (20)

  1. 配列番号113に記載されたポリペプチドと、配列番号496、518、519、および541-551からなる群より選択されるアミノ酸配列で特異的に結合する単離抗体、またはその抗原結合断片。
  2. トキシンにコンジュゲート化されている、請求項1に記載の単離抗体または抗原結合断片。
  3. 前記トキシンが、リシン(ricin)トキシン、アブリン(abrin)トキシン、ジフテリアトキシン、コレラトキシン、ゲロニン(gelonin)トキシン、シュードモナス(Pseudomonas)エキソトキシン、シゲラ(Shigella)トキシン、およびアメリカヤマゴボウ(pokeweed)抗ウイルスタンパク質からなる群より選択される、請求項2に記載の単離抗体または抗原結合断片。
  4. 放射性核種にコンジュゲート化されている、請求項1に記載の単離抗体または抗原結合断片。
  5. 前記放射性核種が、90Y、123I、125I、131I、186Re、188Re、211At、および212Biからなる群より選択される、請求項4に記載の単離抗体または抗原結合断片。
  6. 前立腺腫瘍細胞の細胞表面に発現している配列番号113に記載のポリペプチドに結合する、請求項1に記載の単離抗体または抗原結合断片。
  7. ヒト単離抗体、または抗原結合断片である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の単離抗体または抗原結合断片。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも1種の抗体または抗原結合断片、および生理学的に許容される担体を含む、組成物。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも1種の抗体または抗原結合断片、および検出用試薬を含む、診断用キット。
  10. 前記検出用試薬がレポーター基を含む、請求項9に記載の診断用キット。
  11. 前記抗体が固体支持体上に固定化されている、請求項10に記載の診断用キット。
  12. 前記検出用試薬が、抗免疫グロブリン、プロテインG、プロテインA、またはレクチンを含む、請求項10に記載の診断用キット。
  13. 前記レポーター基が、放射性同位体、蛍光基、発光基、酵素、ビオチン、および染料粒子からなる群より選択される、請求項10に記載の診断用キット。
  14. 配列番号113に記載のポリペプチドを発現する前立腺腫瘍細胞を死滅させるか、またはその増殖を抑制するための医薬の製造における、有効量の請求項1〜6のいずれか1項に記載の単離抗体または抗原結合断片の使用であって、それにより該腫瘍細胞を死滅させるか、またはその増殖を抑制する、上記使用。
  15. 配列番号113に記載のポリペプチドを発現する前立腺癌を治療するための医薬の製造における、有効量の請求項1〜6のいずれか1項に記載の単離抗体または抗原結合断片の使用であって、それにより前立腺癌を治療する、上記使用。
  16. 配列番号496、518、519、および541-551からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、単離ポリペプチド。
  17. 請求項16に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単離抗体、またはその抗原結合断片。
  18. 請求項17に記載のポリペプチドをコードする、単離ポリヌクレオチド配列。
  19. 生理学的に許容される担体と、以下:
    (a)請求項16に記載のポリペプチド、
    (b)請求項1〜6のいずれか1項に記載の単離抗体もしくは抗原結合断片、または
    (c)請求項18に記載のポリヌクレオチド
    を含む医薬組成物。
  20. 非特異的免疫増強剤と、以下:
    (a)請求項16に記載のポリペプチド、
    (b)請求項1〜6のいずれか1項に記載の単離抗体もしくは抗原結合断片、または
    (c)請求項18に記載のポリヌクレオチド
    を含むワクチン。
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