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JP2009140573A - 光ディスク装置及びフォーカスジャンプ方法 - Google Patents

光ディスク装置及びフォーカスジャンプ方法 Download PDF

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JP2009140573A JP2007316317A JP2007316317A JP2009140573A JP 2009140573 A JP2009140573 A JP 2009140573A JP 2007316317 A JP2007316317 A JP 2007316317A JP 2007316317 A JP2007316317 A JP 2007316317A JP 2009140573 A JP2009140573 A JP 2009140573A
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Abstract

【課題】フォーカスジャンプ失敗時における球面収差の誤調整を回避して、フォーカスサーボが不安定になることを防止すること。
【解決手段】レーザ光の焦点を光ディスク3の第1の記録層から第2の記録層に移動させるフォーカスジャンプ動作を行う前に、球面収差補正機構115による球面収差補正量SAを、第1の記録層に適した第1の補正量SA1から、第2の記録層に適した第2の補正量SA4と第1の補正量SA1の間の第3の補正量SA2に変更し、フォーカスジャンプ動作を行った後に、フォーカスジャンプ動作の前後に光検出部130により検出された受光量レベルに基づいてフォーカスジャンプ動作の成否を判定し、フォーカスジャンプ動作が失敗したと判定した場合、球面収差補正機構115による球面収差補正量を、第3の補正量SA2から第1の補正量SA1に戻す。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ディスク装置及びフォーカスジャンプ方法に関し、特に、フォーカスジャンプ失敗時の球面収差誤調整を回避するための光ディスク装置及びフォーカスジャンプ方法に関する。
光ディスク装置は、レーザ光を利用して光ディスクに情報を記録し、又は、記録された情報を再生するための装置である。この光ディスク装置は、光源から出射したレーザ光を対物レンズで集光して光ディスクの記録層にスポット照射し、当該光ディスクで反射したレーザ光の反射光(戻り光)を光検出部で受光する光ピックアップを備えている。そして、光ディスク装置は、上記光検出部における受光量の検出信号を演算して、トラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号等のサーボ信号を生成して、光ディスクに対するレーザ光スポットの照射位置をサーボ制御している。
かかる光ディスク装置が取り扱う光ディスクには、例えば、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disc)や、ブルーレイディスク(Blu−ray Disc:以下「BD」という。)等の高密度光ディスクなどがある。さらに近年では、より多くの情報を記憶させるために、複数の記録層を有する多層ディスクが用いられている。このような多層ディスクに対して情報を記録/再生する際には、光ピックアップによる情報の記録/再生位置を複数の記録層間で切り換える必要がある。例えば2層ディスクの場合、第1の記録層(現在の記録層)から第2の記録層(目標記録層)に記録/再生位置を切り換えるときには、光ピックアップに含まれる対物レンズの焦点位置(即ち、レーザ光のスポット位置)を第1の記録層から第2の記録層へと移動させるフォーカスジャンプ動作を行う。
ところで、光ディスクの記録/再生時に生じうる問題として球面収差の問題が知られている。球面収差は、主に光ディスクの光透過層(カバー層、中間層等)の厚み誤差などにより生じるものであり、光ディスクで反射される戻り光を歪ませるので、情報の正しい記録再生ができなくなる。この球面収差は対物レンズの開口数NAの増加に伴って増大するので、特に、高密度光ディスクに対応するために高開口数NA(例えばNA=0.8以上)の対物レンズを用いた場合には、球面収差の影響が大きくなる。従って、高密度多層ディスクにおいては、球面収差の影響によりフォーカスエラー信号に歪みが生じるため、安定したフォーカスジャンプが実現できないという問題が生じる。
かかる問題に対処するため、2枚のレンズ群よりなるエキスパンダーレンズや液晶素子などの光学ユニットからなる球面収差補正機構を用いて、フォーカスジャンプ前に予め、フォーカスジャンプする先の記録層(目標記録層)に合わせて球面収差を補正しておく方法がある。しかし、かかる方法では、フォーカスジャンプ前に目標記録層に合うように球面収差を補正した結果、現在のフォーカスサーボが外れてしまうことがあるという問題がある。
そこで、このような問題を解決するため、例えば特許文献1には、フォーカスジャンプ前に予め、球面収差補正用の光学ユニットを、現在のフォーカスサーボが外れない範囲で、なるべく目標記録層に対して球面収差が補正されるような状態に保持しておく方法が提案されている。かかる特許文献1の方法では、フォーカスジャンプ前に、球面収差補正用の光学ユニットの補正状態を、現在の記録層に最適な補正状態Scと目標記録層に最適な補正状態Sdの中間の補正状態Sd’に移動させておき、フォーカスジャンプを行った後に、上記光学ユニットの補正状態を中間の補正状態Sd’から目標記録層に最適な補正状態Sdに移動させている。
特開2003−16660号公報
しかしながら、実際のフォーカスジャンプでは、光ディスクの面振れや二軸感度のばらつきなどにより、フォーカスジャンプを行っても焦点位置が目標記録層にたどり着かず、元の記録層に戻される場合(即ち、フォーカスジャンプが失敗する場合)がある。さらに、フォーカスジャンプ時はトラッキングサーボを落とした状態(トラッキングサーボOFF状態)にしているため、フォーカスジャンプ後にフォーカスされている記録層がフォーカスジャンプ前と同じ記録層であるか否かの判断、即ち、フォーカスジャンプの成否の判断は容易にはできない。
ところが、上記特許文献1記載の方法では、フォーカスジャンプが失敗した場合であっても何ら対処することなく、上記球面収差補正用の光学ユニットの補正状態を中間の補正状態Sd’から目標記録層に最適な補正状態Sdに変更してしまうことになる。この結果、現在の記録層に対して目標記録層に最適な補正状態Sdが適用されるといった球面収差の誤調整が生じ、フォーカスサーボが不安定になってしまうという問題があった。
なお、フォーカスジャンプ失敗時にフォーカスサーボが不安定になることを回避する方法として、フォーカスジャンプ前に予めフォーカスサーボを落とした状態にし(フォーカスサーボOFF)、フォーカスジャンプ後に目標記録層に合わせてフォーカスサーボをかけ直す方法が考えられる。しかし、この方法では、フォーカスサーボをかけ直すのに非常に時間がかかるので、現実的ではない。従って、フォーカスサーボをかけたままの状態でフォーカスジャンプを実行したときに、フォーカスサーボが不安定になることを防止できる手法が希求されている。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、フォーカスジャンプ失敗時における球面収差の誤調整を回避して、フォーカスサーボが不安定になることを防止可能な、新規かつ改良された光ディスク装置及びフォーカスジャンプ方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数の記録層を有する光ディスクに対して情報を記録又は再生する光ディスク装置であって:光源からのレーザ光を前記光ディスクの前記記録層上に集光させる対物レンズと;前記レーザ光の焦点が前記光ディスクの前記記録層に合うように前記対物レンズを移動させるアクチュエータと;前記光ディスクにおける前記レーザ光の反射光を受光する光検出部と;前記光源と前記対物レンズとの間の光路上に設けられ、球面収差を補正するための球面収差補正機構と;前記球面収差補正機構による球面収差補正量を制御する制御部と;を備え、前記制御部は、前記レーザ光の焦点を前記光ディスクの第1の記録層から第2の記録層に移動させるフォーカスジャンプ動作を行う前に、前記球面収差補正機構による球面収差補正量を、前記第1の記録層に適した第1の補正量から、前記第2の記録層に適した第2の補正量と前記第1の補正量の間の第3の補正量に変更し、前記フォーカスジャンプ動作を行った後に、前記フォーカスジャンプ動作の前後に前記光検出部により検出された受光量レベルに基づいて前記フォーカスジャンプ動作の成否を判定し、前記フォーカスジャンプ動作が失敗したと判定した場合、前記球面収差補正機構による球面収差補正量を、前記第3の補正量から前記第1の補正量に戻すことを特徴とする、光ディスク装置が提供される。
前記制御部は、前記フォーカスジャンプ動作が成功したと判定した場合、前記球面収差補正機構による球面収差補正量を、前記第3の補正量から、前記第3の補正量と前記第2の補正量の間の第4の補正量に変更し、前記第3の補正量から前記第4の補正量への変更前後に前記検出部により検出された受光量レベルに基づいて、フォーカスに関連する誤動作の有無を判定し、前記フォーカスに関連する誤動作があると判定した場合、前記球面収差補正機構による球面収差補正量を、前記第4の補正量から前記第1の補正量又は前記第3の補正量に戻すようにしてもよい。
前記光検出部により検出された受光量を表す信号に基づいて、前記アクチュエータを制御するフォーカスサーボ機構をさらに備え、前記第4の補正量は、前記フォーカスサーボ機構による前記第1の記録層に対するフォーカスサーボが外れない範囲の球面収差補正量に設定されるようにしてもよい。
前記光検出部により検出された受光量を表す信号に基づいて、前記アクチュエータを制御するフォーカスサーボ機構をさらに備え、前記第3の補正量は、前記フォーカスサーボ機構による前記第2の記録層に対するフォーカスサーボが外れない範囲の球面収差補正量に設定されるようにしてもよい。
前記光検出部により検出された受光量を表す信号に基づいて、前記アクチュエータを制御するフォーカスサーボ機構をさらに備え、前記フォーカスジャンプ動作時に、前記フォーカスサーボ機構によるフォーカスサーボがオン状態であるようにしてもよい。
前記制御部は、前記光検出部により検出された受光量レベルとして、前記光検出部が有する複数の受光素子の受光量を表す信号から生成されるRF信号、プッシュプル信号又はプルイン信号の信号レベルを用いるようにしてもよい。
前記制御部は、前記フォーカスジャンプ動作の成否を判定するために、前記フォーカスジャンプ動作前に前記光検出部により検出された第1の受光量レベルと、前記フォーカスジャンプ動作後に前記検出部により検出された第2の受光量レベルとを比較し、前記第1の受光量レベルと前記第2の受光量レベルとが略同一である場合、前記フォーカスジャンプ動作が失敗したと判定するようにしてもよい。
前記制御部は、前記フォーカスに関連する誤動作の有無を判定するために、前記第3の補正量から前記第4の補正量への変更前に前記光検出部により検出された第3の受光量レベルと、前記第3の補正量から前記第4の補正量への変更後に前記検出部により検出された第4の受光量レベルとを比較し、前記第4の受光量レベルが前記第3の受光量レベルよりも小さい場合、前記フォーカスに関連する誤動作があると判定するようにしてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、光源からのレーザ光を前記光ディスクの前記記録層上に集光させる対物レンズと、前記レーザ光の焦点が前記光ディスクの前記記録層に合うように前記対物レンズを移動させるアクチュエータと、前記光ディスクにおける前記レーザ光の反射光を受光する光検出部と、前記光源と前記対物レンズとの間の光路上に設けられ、球面収差を補正するための球面収差補正機構と、前記球面収差補正機構による球面収差補正量を制御する制御部とを備えた光ディスク装置において、前記レーザ光の焦点を前記光ディスクの前記複数の記録層間で移動させるフォーカスジャンプ方法であって:前記球面収差補正機構による球面収差補正量を、前記第1の記録層に適した第1の補正量から、前記第2の記録層に適した第2の補正量と前記第1の補正量の間の第3の補正量に変更するステップと;前記レーザ光の焦点を前記光ディスクの前記第1の記録層から前記第2の記録層に移動させるフォーカスジャンプ動作を行うステップと;前記フォーカスジャンプ動作の前後に前記光検出部により検出された受光量レベルに基づいて前記フォーカスジャンプ動作の成否を判定するステップと;前記フォーカスジャンプ動作が失敗したと判定した場合、前記球面収差補正機構による球面収差補正量を、前記第3の補正量から前記第1の補正量に戻すステップと;を含むことを特徴とする、フォーカスジャンプ方法が提供される。
以上説明したように本発明によれば、フォーカスジャンプ失敗時における球面収差の誤調整を回避して、フォーカスサーボが不安定になることを防止できる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態にかかる光ディスク装置1の全体構成について説明する。図1は、本実施形態にかかる光ディスク装置1の構成を示す説明図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる光ディスク装置1は、外部のホスト機器(例えば、パーソナルコンピュータ、デジタルビデオカメラ等、図示せず。)からの指示に基づいて、光ディスク3に各種の情報を記録し、当該光ディスク3に記録された情報を再生可能な装置である。かかる光ディスク装置1は、概略的には、レーザ光を用いて光ディスク3に対して情報の記録動作や再生動作を行なう光ピックアップ10と、光ディスク3を回転駆動するディスク駆動部20と、光ピックアップ10及びディスク駆動部20を制御する制御回路30とを備える。
光ディスク3は、情報の読み書きに光を利用する記憶媒体であれば、例えば、CD、DVD、BD(Blu−ray Disc)等の高密度光ディスク、MO(Magneto−Optical disk)等の光磁気ディスクなど、任意の光ディスクを利用できる。なお、光ディスク3は、例えば、再生専用型光ディスク(CD−ROM(Read Only Memory)、DVD−ROM、BD−ROMなど)であってもよいし、追記型光ディスク(CD−R(CD Recordable)、DVD−R、BD−R等)、又は、書き換え型光ディスク(CD−RW(CD ReWritable)、DVD−RW、BR−RECD−RAM、DVD−RAM、MO等)などの記録及び再生可能な光ディスクであってもよい。なお、光ディスク2は、複数の記録層を有する多層ディスクであるが、その詳細は後述する(図3参照。)。
次に、光ピックアップ10について説明する。光ピックアップ10は、光ディスク3に集光したレーザ光を照射してその反射光を受光することで、光ディスク3に対して情報の読み出し及び書き込みを行う。この光ピックアップ10は、レーザ光を出射する光源(発光素子)の一例であるレーザダイオード(Laser Diode:LD)110と、LD110駆動用のLDD(LD Driver)144と、LD110の出射パワーを検出するFPDIC(Front PDIC:図示せず。)と、光ディスク3の記録面に対向配置されて、LD110から入射されたレーザ光を集光して光ディスク3の記録層上にスポット光を照射する対物レンズ120(集光レンズ)と、光ディスク3におけるレーザ光の反射光(戻り光)を受光して受光量を検出する光検出部130と、対物レンズ120を少なくともフォーカス方向及びトラッキング方向に移動させる2軸アクチュエータ140と、光ピックアップ10を光ディスク3の径方向に移動させる送り機構であるスライドモータ142と、レーザダイオード110を駆動させるLDドライバ144と、LD110からのレーザ光を光ディスク3に導くとともに光ディスク3での反射光を光検出部130に導く光学系150と、を備える。
このうち、2軸アクチュエータ140は、本発明のアクチュエータに相当し、レーザ光の焦点が光ディスク3の記録層に合うように対物レンズ120を移動させる。2軸アクチュエータ140は、対物レンズ120をトラッキング方向(光ディスク3の記録面に対して平行なディスク径方向)及びフォーカス方向(光ディスク3の記録面に対して垂直方向)に高速かつ高精度で移動させる。この2軸アクチュエータ140により対物レンズ120の位置をフォーカス方向及びトラッキング方向に微調整することで、光ディスク3に対するレーザ光の光スポットの照射位置の位置制御(フォーカス制御、トラッキング制御)を行うことができる。これにより、回転時における光ディスク3の面振れ(光ディスク3に対する対物レンズ120の高さ方向へのずれ)に応じて、レーザ光の光スポットの照射位置(対物レンズ120の焦点位置)を光ディスク3の記録層に正確に位置合わせできる。また、光ディスク3のトラック振れ(光ディスク3に対する対物レンズ120のディスク径方向へのずれ、即ち、トラック変調成分)に応じて、レーザ光の光スポットの照射位置を目標トラックに正確に追従させることができる。
光検出部130は、光ディスク3におけるレーザ光の反射光(戻り光)を受光して、その受光量を検出する機能を有する。光検出部130は、例えば、複数の受光素子及びアンプ等を有する光電子集積回路(OEIC:Opto−Electronic Integrated Circuit)、PDIC(Photo Detector IC)などで構成される。この光検出部130は、所定のパターンで配列された複数の受光素子(例えばフォトディテクタ:PD)を有しており、各受光素子における受光量を電気信号に光電変換したアナログ信号(以下「検出信号」という。)を制御回路30に出力する。
光学系150は、LD110から出射されたレーザ光を光ディスク3の記録面に導くとともに、このレーザ光の光ディスク3での反射光を光検出部130に導くための光学系部品で構成される。この光学系150は、例えば、LD110から出射されたレーザ光からメインビーム(0次回折光)及びサイドビーム(±1次回折光)を生成し、このメインビーム及びサイドビームを光ディスク3に対して照射する光路を形成するとともに、光ディスク3での反射光を光検出部130に導光路を形成する。
ここで、図2を参照して、本実施形態にかかる光ピックアップ10の光学系150の具体例について詳述する。図2は、本実施形態にかかる光ピックアップ10の光学系150の構成例を示す模式図である。
図2に示すように、レーザ光の入射光路としては、例えば、光源としてのレーザダイオード110から発射されたレーザ光は、コリメータレンズ111、アナモルフィックプリズム112、グレーティング113、ビームスプリッタ114、ビームエキスパンダ115、1/4波長板116を順次通って、対物レンズ120に入射されて光ディスク3に照射される。また、レーザ光の反射光(戻り光)の光路としては、光ディスク3で反射したレーザ光は、対物レンズ120、1/4波長板116、ビームエキスパンダ115、ビームスプリッタ114、コリメータレンズ121、ホログラム板122、シリンドリカルレンズ123を順次通って、光検出部130に入射されて受光される。
詳細には、レーザダイオード110から出射されたレーザ光は、コリメータレンズ111によって発散光から平行光に変換された後に、アナモルフィックプリズム112で楕円形から円形の断面形状に整形される。さらに、このレーザ光は、回折格子であるグレーティング113により、1つのメインビーム(主光束:0次回折光)と、複数(例えば、ノーマル3ビームDPPの場合には2つ)のサイドビーム(副光束:±1次回折光)とに分光される。メインビームは、光ディスク3の記録面に情報を記録/再生するためのメインスポットを形成するレーザビームである。また、例えば2つのサイドビームは、互いに逆方向の極性を有する一定の収差を有し、光ディスク3の記録面上においてメインスポットに対して離隔した位置に一対のサイドスポットを形成するレーザビームである。なお、図示の例では3ビーム方式のレーザ光を用いているが、かかる例に限定されず、例えば、1ビーム方式、5ビーム方式など任意の方式のレーザ光を用いてもよい。
グレーティング113から出射されたレーザ光(メインビームとサイドビーム)は、ビームスプリッタ114を通過して、球面収差補正用の光学ユニットであるビームエキスパンダ115に入射される。また、ビームスプリッタ114は、当該レーザ光の一部を反射させて、この反射光を、コリメータレンズ117を介してフロントモニタフォトディテクタ118に照射させる。このフロントモニタフォトディテクタ118は、入射されたレーザ光を光電変換して受光量を検出し、この検出信号を制御回路30のシステムコントローラ70に出力する。これに応じて、システムコントローラ70及びLDドライバ144は、レーザダイオード110から発射されるレーザ光の発射強度が一定となるようにフィードバック制御する。
ビームエキスパンダ115は、本発明の球面収差補正機構の一例であり、多層ディスクの層間厚みの誤差等により発生する球面収差を補正する機能を有する。このビームエキスパンダ115は、例えば、ステッピングモータ160等の駆動機構により光軸方向に移動される可動式の凹レンズ115aと、固定式の凸レンズ115bとから構成される。かかるビームエキスパンダ115は、凹レンズ115aと凸レンズ115bの間隔を調整することによって、対物レンズ120に入射するレーザ光の発散・収束度合いを変えることで、球面収差を補正する。このようなビームエキスパンダ115は、高開口数(例えばNA=0.85)の2群対物レンズ120を使用した場合に顕著に現れる球面収差の補正に適している。なお、エキスパンダー115の状態(例えば、凸レンズ115bに対する凹レンズ115aの位置)は、エキスパンダー位置センサ(図示せず。)によって検出され、エキスパンダー位置信号として後述の制御回路30のシステムコントローラ70に出力される。このエキスパンダー位置信号は、エキスパンダー115による球面収差補正量に対応するものである。
このようなビームエキスパンダ115から出射されたレーザ光は、図示しない立ち上げミラーを介して、1/4波長板116に入射される。この1/4波長板116は、入射されるレーザ光に位相差90°を与えて、直線偏光を円偏光に変換して対物レンズ120に入射させ、また、光ディスク3で反射した円偏光のレーザ光を直線偏光に変換する。対物レンズ120は、例えば、2群対物レンズで構成され、開口数NA=0.85である。この対物レンズ120は、上記ビームエキスパンダ115を通過したレーザ光を集光して、光ディスク3の記録層上に光スポット(上記メインスポットとサイドスポット)を照射する。メインスポット照射により光ディスク3の記録層を相変化させることで、光ディスク3の記録トラックに対して各種情報が記録、書き換え、又は再生される。この照射時には、メインスポットがトラックの中央に適切なスポット径で(即ち、焦点が合った状態で)照射されるように、2軸アクチュエータ140を用いた対物レンズ120の位置制御、即ち、トラッキング制御及びフォーカシング制御が行われる。
なお、実際のDVD等の光ディスク3においては、情報を記録する記録トラックは、「グルーブ」と呼ばれ、所定の振幅及び所定の周波数でうねり(ウォブル)を有する溝状に形成され、各グルーブ間には「ランド」と呼ばれる突出部が形成されている。本実施形態にかかる光ピックアップ10では、光ディスク3のグルーブにメインスポットが照射され、ランドにサイドスポットが照射されるようになっているが、本発明はかかる例に限定されるものではない。
さらに、上記のようにして光ディスク3に照射されたーザ光は、光ディスク3の記録トラックの記録情報によって光強度変調されて反射し、この反射したレーザ光は、上記対物レンズ120、1/4波長板116、ビームエキスパンダ115を通過し、ビームスプリッタ114で反射する。このビームスプリッタ114で反射したレーザ光は、コリメータレンズ121で収束光に変換された後に、例えば、ホログラム板122及びシリンドリカルレンズ123によって、フォーカスエラー信号を例えばSSD法(スポットサイズ検出法)によって得るための光学的処理が施されるとともに、2つのサイドビームとメインビームとに分光されて、光検出部130に入射される。光検出部130は、上記光ディスク3に対して照射されたメインビームとサイドビームの反射光をそれぞれ受光する複数の受光素子(PD)を有しており、各受光素子で検出された受光量を表す検出信号を制御回路30に出力する。以上、図2を参照して本実施形態にかかる光ピックアップ10の光学系150について説明した。
再び図1を参照して、ディスク駆動部20について説明する。ディスク駆動部20は、光ディスク3を回転駆動するスピンドルモータ22と、スピンドルモータ22に接続されて光ディスク3を回転可能に支持するスピンドル24と、スピンドル24に光ディスク3を固定するためのディスククランプ26と、光ディスク3を載置するターンテーブル(図示せず。)を有する。スピンドルモータ22は、制御回路30に設けられたシステムコントローラ70(例えば制御用マイクロコントローラ)及びスピンドルドライバ72によって制御され、光ディスク3を所定速度で回転駆動させる。
次に、制御回路30について説明する。制御回路30は、光ディスク装置1の各部を制御するデバイスである。この制御回路30は、光検出部130から入力された各受光素子の検出信号に基づいて、サーボ信号(トラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号等)と再生信号を生成するマトリクス回路40と、マトリクス回路40から入力されたサーボ信号に基づいて、サーボドライブ信号(トラッキングドライブ信号、フォーカスドライブ信号等)を生成するデジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)50と、DSP50から入力されたサーボドライブ信号に基づいて光ピックアップ10の各駆動部を駆動させるドライバ60と、光ディスク装置1の各部の動作を制御するシステムコントローラ70と、システムコントローラ70からの指示に基づいてピンドルモータ22を駆動させるスピンドルドライバ72と、を備える。
マトリクス回路40は、マトリクス演算回路及び増幅回路等を具備しており、光検出部130から入力された検出信号をマトリクス演算処理して、各駆動部をサーボ制御するためのサーボ信号(例えば、トラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、和信号(プルイン信号:PI))を生成する。トラッキングエラー信号TEは、プッシュプル法、差動プッシュプル法(Differential Push Pull:DPP)などで生成され、フォーカスエラー信号FEは、スポットサイズ検出法、非点収差法などで生成される。
例えば、光検出部130のPDパターンが、メインビーム(0次回折光)用の4分割受光素子A、B、C、Dと、サイドビーム(+1次回折光)用の2分割受光素子E、Fと、サイドビーム(−1次回折光)用の2分割受光素子G、Hとからなる場合、DPP方式のトラッキングエラー信号TEと、フォーカスエラー信号FEは、以下の式で求められる。なお、以下の式において、A〜Hは、受光素子A〜Hでの検出信号を表し、MPPはメインプッシュプル信号、SPPはサイドプッシュプル信号、kは係数である。
TE=MPP−k・(SPP1+SPP2)
={(A+B)−(C+D)}−k・{(E−F)+(G−H)}
FE=(A+C)−(B+D)
また、マトリクス回路40は、不図示のRF(Radio Frequency)アンプを具備している。マトリクス回路40には、光検出部130から光ディスク3に記録された情報の再生結果を表す高周波信号であるRF信号が入力され、RFアンプは、このRF信号を増幅して再生信号を生成し、DSP50に出力する。この再生信号はDSP50でAD変換された後に上記のホスト機器に出力される。なお、RFアンプとマトリクス回路40は別々に構成してもよい。
DSP50は、上記マトリクス回路40から入力されたトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号をそれぞれ位相補償することにより、トラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号を生成し、トラッキングドライバ62、フォーカスドライバ64に出力する。また、DSP50は、低域強調フィルタ(図示せず。)によってトラッキングエラー信号の低域が強調された信号を、スライドドライブ信号としてスライドモータドライバ66に出力する。また、DSP50は、システムコントローラ70からの指示に基づいて、エキスパンダードライブ信号を生成し、エキスパンダー115の駆動用アクチュエータであるステッピングモータ160に出力する。
ドライバ60は、例えば、トラッキングドライバ62と、フォーカスドライバ64と、スライドモータドライバ66と、エキスパンダードライバ68とを有する。トラッキングドライバ62は、DSP50から入力されたトラッキングドライブ信号に基づいて、2軸アクチュエータ140を駆動させる駆動信号を出力する。フォーカスドライバ64は、DSP50から入力されたフォーカスドライブ信号に基づいて、2軸アクチュエータ140を駆動させる駆動信号を出力する。スライドモータドライバ66は、DSP50から入力されたスライドドライブ信号に基づいてスライドモータ142を駆動させる駆動信号を出力する。エキスパンダードライバ68は、DSP50から入力されたエキスパンダードライブ信号に基づいて、エキスパンダー115のステッピングモータ160を駆動させる駆動信号を出力する。
システムコントローラ70は、例えばマイクロコントローラ、CPUなどで構成され、光ディスク装置1内のサーボ系及び記録再生系の各部を制御する。このシステムコントローラ70は、プログラミングにより任意の制御が可能となっている。このシステムコントローラ70は、フォーカスジャンプ動作を制御するフォーカスジャンプ制御部として機能するとともに、球面収差補正機構であるエキスパンダー115による球面収差補正量を制御する球面収差補正制御部として機能するが、詳細は後述する(図5参照。)。
以上、本実施形態にかかる光ディスク装置1の構成について説明した。本実施形態において、フォーカスサーボを行うフォーカスサーボ機構は、例えば、上記の光ピックアップ10、マトリクス回路40、DSP50、及びフォーカスドライバ64等で構成される。このフォーカスサーボ機構は、光検出部(上記光検出部130)により検出された受光量を表す信号(上記検出信号)に基づいてアクチュエータ(上記2軸アクチュエータ140)を制御する。また、球面収差を補正するための球面収差補正機構は、例えば、上記の光ピックアップ10のエキスパンダー115及びステッピングモータ160で構成され、当該球面収差補正機構による球面収差補正量を制御する制御部は、マトリクス回路40、DSP50、エキスパンダードライバ68及びシステムコントローラ70等で構成される。
次に、本実施形態にかかる光ディスク3の構成例と、当該光ディスク3に対する記録/再生動作について説明する。以下では、光ディスク3が、ブルーレイディスク(BD)の高密度多層ディスクである例いついて説明する。
BDのディスクサイズは、例えば、直径120mm、ディスク厚1.2mmである。かかるBDに情報を記録再生する場合、波長405nmのレーザ光(いわゆる青色レーザ)と、開口数NAが例えば0.85の対物レンズ120の組み合わせという条件下で、BDに対して例えばフェーズチェンジマーク(相変化マーク)の記録再生が行われる。この場合のトラックピッチは例えば0.32μm、線密度は例えば0.12μm/bitであり、64KB(キロバイト)のデータブロックを1つの記録再生単位として、フォーマット効率約82%としたとき、直系12cmのディスクの1つの記録層に例えば約23.3GB(ギガバイト)程度のデータを記録できる。さらに、記録層を多層構造化してBDを多層ディスクとすることで、データ記憶容量をさらに大容量化でき、例えば2層ディスクとすることで、データ記憶容量は上記の2倍である46.6GBとすることができる。もちろん3層以上のn層構造も可能であり、データ記憶容量を上記のn倍とすることができる。
図3は、光ディスク3が例えばBDの2層ディスクである場合のディスク構造を模式的に示す説明図である。図3に示すように、光ディスク3は、ポリカーボネート基板4上に、記録層L0、中間層5、記録層L1、カバー層6をこの順に積層した構造である。ディスク厚は例えば約1.2mmであり、ポリカーボネ−ト基板4の厚みは例えば約1.1mm、中間層5の厚みは例えば約25μmである。
図3の光ディスク3に情報を記録/再生する場合、対物レンズ120で集光されたレーザ光7をカバー層6側から入射させ、記録/再生対象の記録層L0又はL1のいずれか一方にフォーカスさせる。このフォーカス動作では、レーザ光7の焦点(光スポット位置)が記録/再生対象の記録層L0又はL1に合うように、2軸アクチュエータ140により対物レンズ120をフォーカス方向に移動させる。例えば図3の実線で示すように、レーザ光7を記録層L1にフォーカスさせた場合、記録層L1で反射した戻り光は、上記光検出部130により検出されて、その検出信号から、再生信号となるRF信号が生成される。
また、多層ディスクでは、複数の記録層L0、L1間で記録/再生位置を切り替える必要がある。このため、対物レンズ120の焦点位置(即ち、レーザ光の光スポット位置)を、現在フォーカスされている記録層L1(現在の記録層)から他の記録層L0(目標記録層)に移動させるフォーカスジャンプを行う。かかるフォーカスジャンプは、上記アクチュエータ140により対物レンズ120をフォーカス方向に所定層間距離(記録層L0とL1の距離)だけ、高速移動(ジャンプ)させることで実行される。
ここで、さらに図3を参照しつつ、上記光ディスク3を用いた場合の対物レンズ120の球面収差SAについて説明する。図3に示したBD等の高密度多層ディスクに対しては、高開口数NAの対物レンズ120が使用されるため、ディスクの層間厚み誤差などにより生じる球面収差SAの影響が顕著となる。このため、上記エキスパンダー115等の球面収差補正機構によって当該球面収差を補正する必要がある。
この球面収差SAは、フォーカス対象である記録層L0又はL1までの光ディスク3の厚みに応じて最適な補正量が変化する。従って、記録層L0に対して最適な球面収差補正量SA_L0と、記録層L1に対して最適な球面収差補正量SA_L1とは異なる値となる。現在記録/再生中の記録層に対する球面収差補正量がずれると、光検出部130で検出される戻り光の受光量が低下するので、フォーカスエラー信号FEの信号レベルも小さくなり、フォーカスサーボが不安定になってしまう。
特に、上記のフォーカスジャンプを行うときには、記録/再生対象の記録層の切り替えに応じて最適な球面収差補正量も急激に変化するので、球面収差補正量がずれて、フォーカスサーボが不安定になりやすい。つまり、一般には、フォーカスジャンプを行う2軸アクチュエータ140の応答速度よりも、球面収差を補正するエキスパンダー115のステッピングモータ160の応答速度が遅い。このため、フォーカスジャンプと同時に、エキスパンダー115による球面収差補正量を、現在の記録層L1に適した補正量SA_L1から目標記録層L0に適した補正量SA_L0まで迅速に変更できない。従って、フォーカスジャンプ後に、目標記録層L0に対して元の記録層L1に適した補正量SA_L1で球面収差を補正することになるため、球面収差補正量のずれが大きくなり、フォーカスサーボが外れやすい。
このため、上記特許文献1の技術では、球面収差補正量を現在の補正量SA_L1から目標の補正量SA_L0まで一度に変更するのではなく、他段階で補正して、フォーカスサーボが外れることを防止している。つまり、フォーカスジャンプ前に予め、球面収差補正量を現在の補正量SA_L1から、SA_L1とSA_L0の中間の補正量SA_MIDに変更し、フォーカスジャンプ後に、中間の補正量SA_MIDから目標の補正量SA_L0まで変更する。
ところが、上述したように、光ディスク3の面振れや二軸感度のばらつきなどが原因で、フォーカスジャンプが失敗することもある。しかし、上記特許文献1の球面収差調整方法では、現在の記録層LIからL0へのフォーカスジャンプが失敗した場合でも、最終的には目標の補正量SA_L0に変更される。このため、現在の記録層L1に対して目標の補正量SA_L0が適用されてしまう球面収差SAの誤調整が生じ、フォーカスサーボが不安定になってしまうという問題があった。
そこで、かかる問題を解決するため、本実施形態では、フォーカスジャンプの前後で戻り光の受光量レベルPを検出することによって、現在の記録層L1から目標記録層Lへのフォーカスジャンプの成否を判定し、当該フォーカスジャンプに成功している場合には、球面収差補正量SAを目標の補正量SA_L0へ調整し、当該フォーカスジャンプが失敗している場合には、目標の補正量SA_L0への調整を行わないようにする。これによって、フォーカスジャンプ失敗時のフォーカス誤調整を回避して、フォーカスサーボの不安定化を防止できる。
ここで、図4を参照して、本実施形態にかかるフォーカスジャンプの成否を判定する方法の原理について説明する。図4は、光ディスク3からの戻り光(反射光)の受光量レベルPと、球面収差補正量SAとの関係を示すグラフである。なお、この戻り光の受光量レベルPは、光ディスク3の任意の記録層Lに焦点位置を合わせてレーザ光を照射したときに、光検出部130で検出される戻り光の受光量に対応する信号レベルを表す。
図4に示すように、光ディスク3の任意の記録層Lからの戻り光の受光量レベルPは、球面収差補正量SAが当該記録層Lに最適な補正量SA_Lのときに最大値Pmaxとなり、球面収差補正量SAが最適補正量SA_Lからずれるにつれて減少する。このように戻り光の受光量レベルPは、球面収差補正量SAが最適補正量SA_Lのときにピーク(最大値Pmax)となる。かかる戻り光の受光量レベルPと球面収差補正量SA関係は、光ディスク3の任意の記録層Lについて同様な傾向を示す。
そして、上述したように記録層L0、L1ごとに球面収差の最適補正量SA_Lは異なるので(SA_L0≠SA_L1)、戻り光の受光量レベルのピーク位置も、レーザ光がフォーカスされている記録層Lによって異なる(図6参照。)。従って、球面収差補正量SAを固定した状態でフォーカスジャンプが成功したときには、フォーカスジャンプの前後で、戻り光の受光量レベルPが変化することになる。
よって、上記図4に示したような戻り光の受光量レベルPと球面収差補正量SAとの関係を利用して、フォーカスジャンプの成否を判定することができる。つまり、フォーカスジャンプの前後の戻り光の受光量レベルPを検出し、当該受光量レベルPが変化している場合には、フォーカスジャンプ成功と判定し、当該受光量レベルPが変化していない場合には、フォーカスジャンプ失敗と判定することができる。
また、図4に示す戻り光の受光量レベルPとしては、光検出部130で検出される戻り光の受光量に対応する任意の信号のレベルを使用でき、例えば、上記マトリクス回路40で生成されるRF信号、プッシュプル信号(PP信号)又はプルイン信号(PI信号)などを使用できる。PP信号は、プッシュプル方式のトラッキングエラー信号TEを生成するための差信号であり、TE信号はPP信号と同様に変動する。
これらRF信号、PP信号(若しくはTE信号)、PI信号はいずれも、球面収差補正量SAがずれると、信号レベルが低下する。この点、フォーカスエラー信号FEも同様であるが、FE信号のS字レベルはフォーカスサーボを外さないと検出できないので、フォーカスサーボをON状態でフォーカスジャンプを行うときには、FE信号は戻り光の受光量レベルPとして適さない。
そこで、本実施形態では、上記戻り光の受光量レベルPとして、トラッキングエラー信号TEのレベル(以下「TEレベル」という。)と、プルイン信号PIのレベル(以下「PIレベル」という。)を利用する。かかるTE信号(PP信号に相当する。)及びPI信号を利用すれば、フォーカスジャンプ時に、フォーカスサーボを外すことなく、フォーカスサーボON状態のままで、戻り光の受光量レベルを検出できる。
また、図4には、フォーカスサーボが外れない範囲の戻り光の受光量レベルPの境界値P0を示してある。戻り光の受光量レベルPが境界値P0未満となると、受光量レベルが低すぎて、フォーカスサーボが外れる可能性があり、フォーカスサーボ動作を安定して実行できない。戻り光の受光量レベルPが境界値P0以上となるのは、球面収差補正量SAが下限値SA_Lmin以上、上限値SA_Lmax以下のときであり、このような球面収差補正量SAの範囲(SA_Lmax≦SA≦SA_Lmax)は、「フォーカスサーボ機構による光ディスクの記録層に対するフォーカスサーボが外れない範囲」に相当する。フォーカスサーボが外れない球面収差補正量SAの範囲は、光ディスク3の記録層ごとに図4のような球面収差補正量SAと戻り光の受光量レベルPとの関係を測定することで、求めることができる。
後述するように、本実施形態では、現在の記録層L1から目標記録層L0へフォーカスジャンプするときに、球面収差補正量SAを、現在の記録層L1に適した補正量SA1かと目標記録層L0に適した補正量SA4との中間補正量SA2、SA3に段階的に移動させる(図7参照。)。このとき、中間補正量SA2、SA3は、現在の記録層L1及び目標記録層L0の双方でフォーカスサーボが外れない範囲の補正量SA(SA_L1max≦SA≦SA_L1max、かつ、SA_L0max≦SA≦SA_L0max)に設定される。これにより、フォーカスジャンプが成功した場合でも失敗した場合でも、フォーカスサーボが外れてしまうことを防止できる。
以上のように、本実施形態にかかる光ディスク装置1では、フォーカスジャンプの前後の戻り光の受光量レベル(TEレベル、PIレベル)を検出することで、フォーカスジャンプの成否を判定し、この判定結果に応じて、球面収差補正量SAを段階的に調整する。以下に、かかる球面収差補正量SAの調整を伴うフォーカスジャンプ動作を実行する方法について詳細に説明する。
まず、図5を参照して、本実施形態にかかる光ディスク装置1において、球面収差補正量SAの調整動作とフォーカスジャンプ動作を行うための構成について、より詳細に説明する。図5は、本実施形態にかかる光ディスク装置1の主要部の構成を示す概略図であり、主に球面収差補正量SAの調整動作とフォーカスジャンプ動作に関わる要素を図示し、その他の要素は図示を省略している。
図5に示すように、光ピックアップ10は、上述したLD110、エキスパンダー115、対物レンズ120、光検出部130、2軸アクチュエータ140及びステッピングモータ160などを備える。ステッピングモータ160によりエキスパンダー115の凹レンズ115aと凸レンズ115b(図2参照。)の間隔を変えることで、エキスパンダー115による球面収差補正量SAが調整される。エキスパンダー115による球面収差補正量SAは、例えば、エキスパンダー115の凸レンズ115bに対する凹レンズ115aの相対位置(以下「エキスパンダー位置」という。)で表される。この球面収差補正位置は、エキスパンダー115による球面収差補正量SAに対応しているので、球面収差補正量SAを制御するためにはエキスパンダー位置を制御すればよい。このエキスパンダー位置は、エキスパンダー位置センサ162によって検出され、システムコントローラ70に出力される。
DSP50は、フォーカスサーボを安定して閉じるためにフォーカスエラー信号の位相を補償するフォーカス位相補償回路51と、フォーカスサーボ動作とフォーカスジャンプ動作を切り替えるためのスイッチ回路52と、フォーカスジャンプ用のキックパルスを生成するキックパルス生成回路53と、エキスパンダー115のスッピングモータ160を駆動させるためのステッピングドライブ信号を生成するステッピングロジック回路54とを備える。これらスイッチ回路52、キックパルス生成回路53及びステッピングロジック回路54は、システムコントーラ70によって制御される。
スイッチ回路52は、システムコントローラ70からの指示に基づいて、位相補償回路51又はキックパルス生成回路53のいずれかをフォーカスドライバ64に接続する。これにより、DSP50からフォーカスドライバ64に出力されるフォーカスドライブ信号が、フォーカス位相補償回路51で位相補償されたフォーカスエラー信号と、キックプフォーカスジャンプ用のキックパルス信号との間で切り替えられる。フォーカスドライバ62は、DSP50から入力されたフォーカスドライブ信号(フォーカスエラー信号又はキックパルス信号)に応じて、フォーカスコイル141の電圧を制御する。
また、システムコントローラ70に所定のプログラムをインストールすることにより、システムコントローラ70は、フォーカスジャンプ動作を制御するためのフォーカスジャンプ制御部74、及び、エキスパンダー115による球面収差補正量を制御するための球面収差補正制御部76として機能する。
フォーカスジャンプ制御部74は、フォーカスジャンプを実行するために、スイッチ回路52をフォーカスジャンプ側に切り替えるとともに、キックパルス生成回路53を制御して、現在の記録層から目標記録層にフォーカスジャンプするためのキックパルスを発生させる。球面収差補正制御部76は、エキスパンダー115により球面収差補正量を所定量にするためのステッピングドライブ信号を生成するよう、ステッピングロジック回路54を制御する。
次に、上記構成の光ディスク装置1によるフォーカスサーボ動作、フォーカスジャンプ動作、球面収差補正動作についてそれぞれ説明する。
まずフォーカスサーボ動作について説明する。フォーカスサーボの実行中には、システムコントローラ70によりスイッチ回路52がServo側に制御されて、フォーカスサーボが閉じられる(フォーカスサーボON状態)。そして、光ピックアップ10の光検出部130により、光ディスクからの戻り光の受光量が検出され、当該受光量を表す検出信号が出力される。かかる検出信号は、マトリクス回路40によりマトリクス演算処理されて、フォーカスエラー信号FEが生成される。このFE信号は、DSP50のフォーカス位相補償回路51により位相補償されてフォーカスドライブ信号となる。このフォーカスドライブ信号は、スイッチ回路52を経てフォーカスドライブ64に出力される。フォーカスドライバ64は、このフォーカスドライブ信号に応じた駆動信号を2軸アクチュエータ140に出力して、フォーカシングコイル141に印可する電圧を制御する。これにより、2軸アクチュエータ140を駆動させて、焦点位置が記録/再生中の記録層に合うように対物レンズ120をフォーカス方向に移動させる。
次に、フォーカスジャンプ動作について説明する。フォーカスジャンプ動作は、フォーカスサーボを閉じた状態(フォーカスサーボON状態)のまま、トラッキングサーボを開いた状態(トラッキングサーボOFF状態)で行われる。フォーカスジャンプ時には、システムコントローラ70の制御によって、スイッチ回路52がJump側に一時的に切り替えられて、キックパルス生成回路53にて生成されたキックパルス信号がフォーカスドライバ62に出力される。フォーカスドライバ64は、このキックパルス信号に応じた駆動信号を2軸アクチュエータ140に出力して、フォーカシングコイル141に印可する。これにより、2軸アクチュエータ140を駆動させて、対物レンズ120の焦点位置(光スポット位置)を現在の記録層から他の記録層に移動させるフォーカスジャンプ動作が実行させる。
次に、球面収差補正動作について説明する。エキスパンダー115による球面収差補正量SAを表すエキスパンダー位置は、エキスパンダー位置センサ162によって検出されて、システムコントローラ70に入力される。システムコントローラ70の球面収差補正制御部76は、検出された現在のエキスパンダー位置に基づいて、ステッピングロジック回路54を制御して、エキスパンダー位置を所望位置に移動させるためのエキスパンダードライブ信号を生成する。
通常の記録再生時には、マトリクス回路40で生成されるRF信号のレベル(振幅値)が最大になるように球面収差補正位置SA(エキスパンダー位置)の目標値を決定し、その目標値と現在位置との差分を位相補償した信号を、エキスパンダードライブ信号として、エキスパンダードライバ68に出力する。一方、フォーカス引き込み時やフォーカスジャンプ時には、不図示のメモリから読み出した所定の目標値に対して追従するように球面収差補正量SA(エキスパンダー位置)が制御される。このフォーカスジャンプ時の球面収差補正動作の詳細は、後述する。
次に、図6及び図7を参照して、以上説明した光ディスク装置1におけるフォーカスジャンプ方法について説明する。図6は、本実施形態にかかる光ディスク装置1におけるフォーカスジャンプ方法を示すフローチャートであり、図7は、図6のフォーカスジャンプ方法における戻り光の受光量レベルPと球面収差補正量SAとの関係を示す説明図である。
なお、図6、図7の例では、図3の多層ディスク3において、現在焦点位置が合っている記録層L1(現在の記録層L1)から、フォーカスジャンプ先の記録層L0(目標記録層L0)へフォーカスジャンプする例について説明する。また、戻り光の受光量レベルPとして、マトリクス回路40で生成されたプルイン信号PIのレベル(以下「PIレベル」という。)と、トラッキングエラー信号TEのレベル(以下「TEレベル」という。)を用いる例について説明する。
また、図7に示すように、現在の記録層L1で最適な球面収差補正量SAはSA1(以下、「現在補正量SA1」という。)であり、目標記録層L0で最適な球面収差補正量SAはSA4(以下、「目標補正量SA4」という。)であるものとする(SA4>SA1)。さらに、図7におけるSA_L0minは、目標記録層L0でフォーカスサーボが外れない範囲の球面収差補正量SAの下限値を示し、SA_L1maxは、目標記録層L0でフォーカスサーボが外れない範囲の球面収差補正量SAの上限値を示すものとする。
さらに、図6に示すフローの実行前に予め、光ディスク3の各記録層L0、L1での戻り光の受光量レベルP(PIレベル、TEレベル)が等しくなるように、各記録層に対する受光量レベルPの補正ゲインを調整しておくものとする。この補正ゲイン調整により、各記録層L0、L1での戻り光の受光量レベルPを正規化して、現在の記録層L1と目標記録層L0との間での戻り光の受光量レベルの差を無くすことができる。以下に、図7を適宜参照しながら、図6のフローについて説明する。
図6に示すように、まず、フォーカスジャンプ前に予め、システムコントローラ70は、トラッキングサーボを落としてOFF状態に設定する(ステップS10)。フォーカスジャンプ動作ではトラッキング動作は不要となるため、トラッキングサーボはOFFされる。しかし、フォーカスサーボは落とさずに、ON状態のままとする。これにより、フォーカスジャンプ動作中にもフォーカスサーボ動作を継続できるので、フォーカスジャンプ後にフォーカスサーボをかけ直す必要がなく、フォーカスサーボのかけ直しに非常に時間がかかる問題を回避できる。
次いで、現在の記録層L1で最適な現在補正量SA1の状態で、光ディスク3の現在の記録層L1からの戻り光の受光量レベルP(PIレベル、TEレベル)を測定する(ステップS12)。この受光量レベルPの測定値をAとする。
その後、図7に示すように、フォーカスジャンプ前に予め、エキスパンダー115による球面収差補正量SAを、目標記録層L0に対するフォーカスサーボが外れない範囲内(SA_L0max≦SA≦SA_L0max)で、現在補正量SA1から、現在補正量SA1と目標補正量SA4との中間の補正量SA2(以下、「第1中間補正量SA2」という。)に変更する(ステップS14)。これにより、後のステップS18でフォーカスジャンプが失敗しても、フォーカスサーボが外れないようにできる。なお、第1中間補正量SA2は、焦点位置が合っている現在の記録層L1に対するフォーカスサーボが外れない範囲内(SA_L1max≦SA≦SA_L1max)であることは勿論である。これにより、本ステップS14での球面収差補正量SAの変更によって、フォーカスジャンプ前にフォーカスサーボが外れてしまうことを防止できる。
さらに、フォーカスジャンプ前に、球面収差補正量SAが第1中間補正量SA2の状態で、光ディスク3の現在の記録層L1からの戻り光の受光量レベルP(PIレベル、TEレベル)を測定する(ステップS16)。このときの受光量レベルPの測定値をBとする。
その後、現在の記録層L1から目標記録層L0へのフォーカスジャンプを実行し(ステップS18)、対物レンズ120の焦点位置を現在の記録層L1から目標記録層L0に移動させる。
次いで、上記フォーカスジャンプ後に、球面収差補正量SAが第1中間補正量SA2の状態で、光ディスク3の現在の記録層L1からの戻り光の受光量レベルP(PIレベル、TEレベル)を測定する(ステップS20)。このときの受光量レベルPの測定値をCとする。
その後、上記戻り光の受光量レベルPの測定値A、B、Cに基づいて、上記S18でのフォーカスジャンプの成否を判定する(ステップS22)。図7に示すように、球面収差補正量SAが第1中間補正量SA2の状態では、戻り光の受光量レベルPは、現在の記録層L1での受光レベルよりも目標記録層L0での受光レベルの方が小さい。従って、フォーカスジャンプに成功していれば、測定値A>B>Cとなるはずであり、フォーカスジャンプに失敗していれば、測定値A又はB≦Cとなる可能性がある。よって、測定値A、Bと測定値Cとを比較することで、フォーカスジャンプの成否を判定できる。なお、測定値A及びBの双方を測定値Cと比較しなくても、測定値A又はBのいずれか一方を測定値Cと比較して、判定を行ってもよい。
この判定の結果、測定値A又はB≦Cである場合には、フォーカスジャンプ失敗と判定し、ステップS24に進む。この場合、球面収差補正量SAを第1中間補正量SA2から現在補正量SA1に戻し(ステップS24)、トラッキングサーボをONした後に、光ディスク3のアドレスを確認して(ステップS26)、上記S10〜S22の処理をリトライする(ステップS28)。
一方、ステップS22で、測定値A>C、かつ、B>Cである場合には、フォーカスジャンプ成功と判定し、ステップS30に進む。
このステップS30では、図7に示すように、エキスパンダー115による球面収差補正量SAを、現在の記録層L1に対するフォーカスサーボが外れない範囲内(SA_L1max≦SA≦SA_L1max)で、第1中間補正量SA2から、当該第1中間補正量SA2と目標補正量SA4との中間の補正量SA3(以下、「第2中間補正量SA3」という。)に変更する(ステップS30)。これにより、本ステップS30での球面収差補正量SAの変更によって、フォーカスサーボが外れてしまうことを防止できる。さらに、球面収差補正量SAをSA2からSA4に一度に変更するのでなく、SA2→SA3→SA4と段階的に変更するので、フォーカスサーボが外れることを、より確実に防止できる。なお、第2中間補正量SA3は、焦点位置が合っている目標記録層L0に対するフォーカスサーボが外れない範囲内(SA_L0max≦SA≦SA_L0max)であることは勿論である。
次いで、球面収差補正量SAが第2中間補正量SA3の状態で、光ディスク3の目標記録層L0からの戻り光の受光量レベルP(PIレベル、TEレベル)を測定する(ステップS32)。このときの受光量レベルPの測定値をDとする。
その後、上記戻り光の受光量レベルPの測定値C、Dに基づいて、フォーカスに関連する誤動作の有無を判定する(ステップS34)。図7に示すように、SA2よりもSA3の方がSA4に近いので、球面収差補正量SAをSA2からSA3に変更すると、目標記録層L0での戻り光の受光量レベルPは増加する。従って、フォーカスに関連する誤動作が無い場合、例えば、フォーカスジャンプに成功しており、フォーカスサーボが正常な状態である場合などには、測定値D>Cとなるはずである。一方、フォーカスに関連する誤動作が有る場合、例えば、フォーカスジャンプに失敗した場合、又は、フォーカスサーボが異常な状態である場合などには、測定値D≦Cとなる可能性がある。よって、測定値Cと測定値Dとを比較することで、フォーカスジャンプの成否を再判定するとともに、フォーカスサーボ動作の正常/異常を判定できる。
この判定の結果、測定値D>Cである場合には、フォーカスジャンプに成功しており、フォーカスサーボも正常な状態であり、フォーカスに関連する誤動作が無いと判定し、ステップS36に進み、球面収差補正量SAを第2中間補正量SA3から目標補正量SA4に変更して(ステップS36)、全ての処理を終了する。
一方、ステップS34で、測定値D≦Cであり、測定値DがCよりも所定値以上低下している場合には、フォーカスジャンプが失敗した、又は、フォーカスサーボが異常であるなど、フォーカス制御系に何らかの問題が生じており、フォーカスに関連する誤動作が有ると判定し、ステップS38に進む。この場合、球面収差補正量SAを第2中間補正量SA3から第1中間補正量SA2に戻し(ステップS38)、球面収差補正量SAがSA2の状態のときの光ディスク3の目標記録層L0(又は現在の記録層L1の可能性もある。)からの戻り光の受光量レベルP(PIレベル、TEレベル)を再度測定する(ステップS40)。このときの受光量レベルPの測定値をC’とする。その後、再測定された測定値C’と測定値に基づき、フォーカスに関連する誤動作の有無を判定する(ステップS42)。この判定の結果、測定値C’<Dである場合には、フォーカスに関連する誤動作が無いと判定し、ステップS36に進む。一方、測定値C’≧Dである場合には、フォーカスに関連する誤動作が有ると再度判定され、上記ステップ24に戻り、球面収差補正量SAをSA2からSA1に戻し(ステップS24)、トラッキングサーボをONした後に、光ディスク3のアドレスを確認して(ステップS26)、上記S10〜S22のリトライ処理を行う(ステップS28)。
以上、本実施形態にかかる光ディスク装置1と、それを用いたフォーカスジャンプ方法について説明した。本実施形態によれば、現在の記録層L1から目標記録層L0へフォーカスジャンプする際に、フォーカスジャンプの前後で戻り光の受光量レベルPを検出し、この検出値A、B、Cを比較することによって、現在の記録層L1から目標記録層Lへのフォーカスジャンプの成否を判定する。このため、当該フォーカスジャンプに成功していると判定した場合には、球面収差補正量SAを目標補正量SA4に調整し、当該フォーカスジャンプが失敗していると判定した場合には、目標補正量SA4への調整を行わずに、現在補正量SA1に戻すなどの対応を行う。これによって、フォーカスジャンプ失敗時のフォーカス誤調整を回避して、フォーカスサーボの不安定化を防止できる。また、フォーカスジャンプ失敗時のSA誤調整に伴って、トラッキングサーボON後の信号読み取り性能が悪化して動作が不安定になることを回避できる。
さらに、本実施形態では、フォーカスジャンプするときに、球面収差補正量SAを、現在補正量SA1から目標補正量SA4に一度に変更するのではなく、SA1→SA2→SA3→SA4のように、現在補正量SA1から目標補正量SA4に近づけるように段階的に変更する。このとき、中間補正量SA2、SA3は、現在の記録層L1及び目標記録層L0の双方でフォーカスサーボが外れない範囲の補正量SA(SA_L0max≦SA≦SA_L1max)に設定される。これにより、フォーカスジャンプが成功した場合でも失敗した場合でも、フォーカスサーボが外れてしまうことを回避できる。よって、フォーカスサーボをかけたままの状態でフォーカスジャンプを実行したときに、フォーカスサーボが不安定になることを防止できる。
さらに、球面収差補正量SAを複数の中間補正量SA2、SA3を用いて段階的に調整させるので、各中間補正量SA2、SA3の状態で、フォーカスジャンプやフォーカスサーボ動作の正常/異常を複数回判定できる。従って、より正確に判定を行うことができるので、より確実にフォーカスサーボが外れてしまうことを回避でき、フォーカスサーボが不安定になることを防止できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、球面収差補正機構としてエキスパンダー115を用いる例を挙げたが、本発明はかかる例に限定されない。球面収差補正機構は、多層ディスクにより生じる球面収差を補正できるものであれば、例えば、液晶素子、球面収差補正素子などの光学的素子などで構成されてもよい。つまり、球面収差を補正する方式としては、例えば、液晶素子の屈折率変化を利用して位相で補正する方式、レーザ光の光源とコリメータの間隔を調整して対物レンズに入射するレーザ光の発散・収束度合いを変えて補正する方式などを使用してもよい。また、これらの場合、球面収差補正量SAは、上記実施形態にかかるエキスパンダー位置に代わりに、例えば、液晶素子の屈折率変化に伴う位相の変化量や、レーザ光の光源とコリメータの間隔などで調整可能である。
また、上記の図6及び図7では、2層ディスクにおいて、記録層L1から記録層L0にフォーカスジャンプする例を挙げたが、その逆に記録層L0から記録層L1にフォーカスジャンプするときも同様に実行できる。
また、上記実施形態では、2つの中間補正量SA2、SA3を用いて球面収差補正量SAを段階的に調整したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、1つの中間補正量(例えばSA2又はSA3)のみを用いて球面収差補正量SAを段階的に調整してもよいし、又は、3つ以上の中間補正量(例えばSA2、SA3、・・・、SAn)を用いて球面収差補正量SAを段階的に調整してもよい。使用する中間補正量の数が多いほど、フォーカスジャンプの成否やフォーカスサーボの誤動作を、より正確に判定できる。このとき、いずれの中間補正量も、現在の記録層L1及び目標記録層L0の双方でフォーカスサーボが外れない範囲内の補正量SAにすれば、フォーカスサーボの誤調整を回避できる。
本発明の第1の実施形態にかかる光ディスク装置の構成を示す説明図である。 同実施形態にかかる光ピックアップの光学系の構成例を示す模式図である。 同実施形態にかかる2層ディスクの構造を模式的に示す説明図である。 同実施形態にかかる光ディスク3からの戻り光の受光量レベルPと、球面収差補正量SAとの関係を示すグラフである。 同実施形態にかかる光ディスク装置の主要部の構成を示す概略図である。 同実施形態にかかる光ディスク装置におけるフォーカスジャンプ方法を示すフローチャートである。 同実施形態にかかる光ディスク装置におけるフォーカスジャンプ方法を示すフローチャートである。 図6のフォーカスジャンプ方法における戻り光の受光量レベルPと球面収差補正量SAとの関係を示す説明図である。
符号の説明
1 光ディスク装置
3 光ディスク
4 ポリカーボネート基板
5 中間層
6 カバー層
10 光ピックアップ
20 ディスク駆動部
22 スピンドルモータ
30 制御回路
40 マトリクス回路
50 DSP
51 フォーカス位相補償回路
52 スイッチ回路
53 キックパルス生成回路
54 ステッピングロジック回路
60 ドライバ
62 トラッキングドライバ
64 フォーカスドライバ
66 スライドモータドライバ
68 エキスパンダードライバ
70 システムコントローラ
72 スピンドルドライバ
74 フォーカスジャンプ制御部
76 球面収差補正制御部
110 レーザダイオード
120 対物レンズ
130 光検出部
140 2軸アクチュエータ
142 スライドモータ
144 LDドライバ
150 光学系
160 ステッピングモータ
162 エキスパンダー位置センサ
L0、L1 記録層

Claims (9)

  1. 複数の記録層を有する光ディスクに対して情報を記録又は再生する光ディスク装置であって:
    光源からのレーザ光を前記光ディスクの前記記録層上に集光させる対物レンズと;
    前記レーザ光の焦点が前記光ディスクの前記記録層に合うように前記対物レンズを移動させるアクチュエータと;
    前記光ディスクにおける前記レーザ光の反射光を受光する光検出部と;
    前記光源と前記対物レンズとの間の光路上に設けられ、球面収差を補正するための球面収差補正機構と;
    前記球面収差補正機構による球面収差補正量を制御する制御部と;
    を備え、
    前記制御部は、
    前記レーザ光の焦点を前記光ディスクの第1の記録層から第2の記録層に移動させるフォーカスジャンプ動作を行う前に、前記球面収差補正機構による球面収差補正量を、前記第1の記録層に適した第1の補正量から、前記第2の記録層に適した第2の補正量と前記第1の補正量の間の第3の補正量に変更し、
    前記フォーカスジャンプ動作を行った後に、前記フォーカスジャンプ動作の前後に前記光検出部により検出された受光量レベルに基づいて前記フォーカスジャンプ動作の成否を判定し、
    前記フォーカスジャンプ動作が失敗したと判定した場合、前記球面収差補正機構による球面収差補正量を、前記第3の補正量から前記第1の補正量に戻すことを特徴とする、光ディスク装置。
  2. 前記制御部は、
    前記フォーカスジャンプ動作が成功したと判定した場合、前記球面収差補正機構による球面収差補正量を、前記第3の補正量から、前記第3の補正量と前記第2の補正量の間の第4の補正量に変更し、
    前記第3の補正量から前記第4の補正量への変更前後に前記検出部により検出された受光量レベルに基づいて、フォーカスに関連する誤動作の有無を判定し、
    前記フォーカスに関連する誤動作があると判定した場合、前記球面収差補正機構による球面収差補正量を、前記第4の補正量から前記第1の補正量又は前記第3の補正量に戻すことを特徴とする、請求項1に記載の光ディスク装置。
  3. 前記光検出部により検出された受光量を表す信号に基づいて、前記アクチュエータを制御するフォーカスサーボ機構をさらに備え、
    前記第4の補正量は、前記フォーカスサーボ機構による前記第1の記録層に対するフォーカスサーボが外れない範囲の球面収差補正量に設定されることを特徴とする、請求項2に記載の光ディスク装置。
  4. 前記光検出部により検出された受光量を表す信号に基づいて、前記アクチュエータを制御するフォーカスサーボ機構をさらに備え、
    前記第3の補正量は、前記フォーカスサーボ機構による前記第2の記録層に対するフォーカスサーボが外れない範囲の球面収差補正量に設定されることを特徴とする、請求項1に記載の光ディスク装置。
  5. 前記光検出部により検出された受光量を表す信号に基づいて、前記アクチュエータを制御するフォーカスサーボ機構をさらに備え、
    前記フォーカスジャンプ動作時に、前記フォーカスサーボ機構によるフォーカスサーボがオン状態であることを特徴とする、請求項1に記載の光ディスク装置。
  6. 前記制御部は、前記光検出部により検出された受光量レベルとして、前記光検出部が有する複数の受光素子の受光量を表す信号から生成されるRF信号、プッシュプル信号又はプルイン信号の信号レベルを用いることを特徴とする、請求項1に記載の光ディスク装置。
  7. 前記制御部は、
    前記フォーカスジャンプ動作の成否を判定するために、前記フォーカスジャンプ動作前に前記光検出部により検出された第1の受光量レベルと、前記フォーカスジャンプ動作後に前記検出部により検出された第2の受光量レベルとを比較し、
    前記第1の受光量レベルと前記第2の受光量レベルとが略同一である場合、前記フォーカスジャンプ動作が失敗したと判定することを特徴とする、請求項1に記載の光ディスク装置。
  8. 前記制御部は、
    前記フォーカスに関連する誤動作の有無を判定するために、前記第3の補正量から前記第4の補正量への変更前に前記光検出部により検出された第3の受光量レベルと、前記第3の補正量から前記第4の補正量への変更後に前記検出部により検出された第4の受光量レベルとを比較し、
    前記第4の受光量レベルが前記第3の受光量レベルよりも小さい場合、前記フォーカスに関連する誤動作があると判定することを特徴とする、請求項2に記載の光ディスク装置。
  9. 光源からのレーザ光を前記光ディスクの前記記録層上に集光させる対物レンズと、前記レーザ光の焦点が前記光ディスクの前記記録層に合うように前記対物レンズを移動させるアクチュエータと、前記光ディスクにおける前記レーザ光の反射光を受光する光検出部と、前記光源と前記対物レンズとの間の光路上に設けられ、球面収差を補正するための球面収差補正機構と、前記球面収差補正機構による球面収差補正量を制御する制御部とを備えた光ディスク装置において、前記レーザ光の焦点を前記光ディスクの前記複数の記録層間で移動させるフォーカスジャンプ方法であって:
    前記球面収差補正機構による球面収差補正量を、前記第1の記録層に適した第1の補正量から、前記第2の記録層に適した第2の補正量と前記第1の補正量の間の第3の補正量に変更するステップと;
    前記レーザ光の焦点を前記光ディスクの前記第1の記録層から前記第2の記録層に移動させるフォーカスジャンプ動作を行うステップと;
    前記フォーカスジャンプ動作の前後に前記光検出部により検出された受光量レベルに基づいて前記フォーカスジャンプ動作の成否を判定するステップと;
    前記フォーカスジャンプ動作が失敗したと判定した場合、前記球面収差補正機構による球面収差補正量を、前記第3の補正量から前記第1の補正量に戻すステップと;
    を含むことを特徴とする、フォーカスジャンプ方法。

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