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JP2009037759A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化剤ガスの酸素分圧を均一にして、発電効率を向上することができる燃料電池を提供する。
【解決手段】セパレータ1のガス流路は、酸化剤ガスが排出される系と連通し、酸化剤ガスを供給する系と連通しない第1流路22と、酸化剤ガスが供給される系と連通し、酸化剤ガスを排出する系と連通しない第2流路23と、を備え、第2流路23は、電極接合体と接する部分に連通孔24を備え、連通孔24の開口面積を、第1流路22と電極接合体とが接する部分の開口面積と比較して小さくした。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池に関し、特に、酸化剤ガスの酸素分圧を均一にして、発電効率を向上することができる燃料電池に関する。
燃料電池は、燃料ガス及び酸化剤ガスを電極触媒層において効率よく反応させるために、陽極側及び陰極側にガスの流路溝を設けている。
このような燃料電池は、電極触媒層の陰極側にセパレータにより形成されたガス流路溝を、酸化剤ガス入口穴と連通する上流部と、酸化剤ガス出口穴と連通する下流部とに分離させる。これにより、燃料電池に供給される酸化剤ガスが、上流部から拡散層を経由して下流部に流れる。そして、スリットを有する板部を、拡散層と空気極触媒層側のセパレータとの間に、上流部の中心に対向する位置に配置する。このスリットは、上流部の幅よりも開口幅が狭く形成され、上流部の断面積を、一般的な燃料電池と同様に、発電に必要な量の空気を流すことができる大きさとする(特許文献1参照)。
特開2005−190983号公報
しかしながら、特許文献1に記載のような構造では、酸化剤ガス流路を流れる酸化剤ガス(例えば空気)は、スリットの面積分だけガス拡散層に面しているため、この面積分の酸素が反応に用いられ、空気流路の下流ほど酸素濃度が低下し、ガス拡散層へ供給される酸素濃度が次第に低下する。
また、ガス拡散層に流れる流路方向の分布は、酸化剤ガス供給側流路のスリットを通過する圧損、ガス拡散層を流れる圧損、酸化剤ガス排出側流路のスリットを通過する圧損の変化に依存する。このため、燃料ガスの排出側流路のスリットがガス拡散層により排出された生成水によって閉塞されると、閉塞部分の圧損が増大し、この領域の酸化剤ガスの流量は低下してしまう。そのため、別の閉塞していない位置の酸化剤ガス流量が増大し、拡散層各部への均一な酸化剤ガスの供給ができなくなる。
また、特許文献1に記載のような構造では、酸化剤ガス排出側のスリットと繋がる流路に雨樋のような構成として、生成水を排出しているが、酸化剤ガス排出側流路の上流が下に位置するように設置したり、燃料電池が車輌のような移動体に設置され、流れ方向でない加速度が与えられた場合には、雨樋の効果が得られず、生成水による閉塞が発生してしまう。
すなわち、特許文献1に記載の従来の燃料電池では、ガス拡散層に流れる流路方向の圧損は、酸化剤ガス供給側流路のスリットを通過する圧損、ガス拡散層を流れる圧損、酸化剤ガス排出側流路のスリットを通過する圧損の合計となるため、セルの入口から出口までの全体圧損値を一定とした場合に、酸化剤ガス供給側流路のスリットの圧損を大きく設定することが難しく、これにより反応ガスを供給する流路内の流れ方向の酸化剤ガスの分布を均一にすることができない。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、燃料電池における反応ガスの圧損による反応ガスの分布の不均一を低減することによって反応ガスの分圧を均一にして、発電効率を向上できる燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の一実施態様によると、電解質膜の陽極及び陰極にそれぞれ備えられた電極触媒層と、前記電極触媒層のそれぞれに備えられ、反応ガスを供給するとともに、前記電極触媒層において発電された電力を集電するガス拡散層と、によって構成される電極接合体と、ガス拡散層のそれぞれの外側に、反応ガスの通路であるガス流路を形成するセパレータと、を備え、電極接合体をセパレータにより狭持した単セルを交互に積層した燃料電池において、セパレータは、ガス流路に反応ガスを供給するガス供給口と、反応後の反応ガスを排出するガス排出口と、を備え、ガス流路は、反応ガスが排出される系と連通し、反応ガスを供給する系と連通しない第1流路と、反応ガスが供給される系と連通し、反応ガスを排出する系と連通しない第2流路と、を備え、第2流路は、電極接合体と接する部分に連通孔(例えば、略円形の孔を所定間隔で配置する)を備え、連通孔の開口面積を、第1流路と電極接合体とが接する部分の開口面積と比較して小さくしたことを特徴とする。
本発明によると、第2流路の連通孔を第1流路の開口面積と比較して小さくしたので、連通孔を通過する際の圧力損失が比較的大きくなり、この圧損は温度変化等の影響を受けにくいので、ガス拡散層内部の反応ガスの反応ガスの分布を均一にすることができ、反応ガスの分圧均一にすることができる。これにより、燃料電池の発電効率を向上することができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
燃料電池は、燃料が有する化学エネルギを直接電気エネルギに変換する装置である。燃料電池のうち固体高分子型と呼ばれる燃料電池は、電解質膜を挟んで設けられた一対の陽極及び陰極の電極触媒層を備える。この電極触媒層の陽極に水素を含有する燃料ガスを供給し、陰極に酸素を含有する酸素剤ガスを供給することによって、これら一対の電極触媒層で生じる電気化学反応を利用して電極から電気エネルギを取り出すことができる。なお、陽極及び陰極に備えられる触媒には、一般的に白金等の金属が用いられる。
一般的に、燃料ガスには水素を含有するガスが用いられ、陰極に供給する酸素剤ガスには空気が用いられる。
一般的な固体高分子型の燃料電池は、前述のように電解質膜を挟んで設けられた一対の電極触媒層を備えている。そして、表面に溝をもつ板材(セパレータ)によってこの電極触媒層を狭持し単セル90を構成する。
この溝は、一方が反応ガスの供給側に連通し、他方は閉塞している。すなわち、この溝と電極触媒層とによって構成される空間が、反応ガスの流路となる。また、反応ガスの流路は、陽極側(カソード側)と、陰極側(アノード側)とで独立して構成され、電極触媒層を挟んだ両極に、それぞれ酸化剤ガスと燃料ガスとが供給されるように構成されている。また、反応が済んだガスは排出口に排出される。
また、セパレータには、燃料電池を適切な反応温度とするための冷却水の流路が、反応ガス流路とは独立して構成されている。
なお、一般的に、セパレータと電極触媒層の間には、GDL(Gas Diffusion Layer:ガス拡散層)と呼ばれる導電性の多孔体が設けられる。このGDLは、電極触媒層への反応ガスの供給と、電極触媒層によって発生した電力の集電とを同時に行う目的で設けられる。
以下の実施例は、カソード側に本発明を適応した場合について説明する。
<第1実施例>
図1、図2及び図3は、本発明の第1実施例の燃料電池のセルの構成を示す説明図である。
なお、図1はセルの上面図を示し、図2はセルのA−A断面図を示し、図3はセルのB−B断面図及びC−C断面図を示す。
セルを構成するセパレータ1は、アノード吸気口10、アノード排気口11、カソード吸気口20、カソード排気口21、冷却水供給口30及び冷却水排出口31を備える。
また、セパレータ1に形成される、酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却水の各流路は、図2に示すように、平板形状を有する導電性のプレート50と、プレート50とは別体の波形形状を有する導電性のプレート60とを接着又は溶接することによって形成される。
また、図2に示すように、本実施例の燃料電池は、MEA(Membrane Erectrode Assembly:電極接合体)70と、プレート50と、プレート60とが交互に積層されて構成される。これによって、一端が反応ガスの供給系に連通し他端が閉塞しているガス流路と、一端が反応ガスの排出系に連通し他端が閉塞しているガス流路と、が交互に配された構成(Interdigitated(ID)構造)が形成される。
すなわち、MEA70の表面に設けられたGDL72とプレート60の断面波形形状の一部とが接触し、プレート50とプレート60の断面波形形状の別の一部とが接触する。
MEA70は、電解質膜71のアノード極及びカソード極のそれぞれに電極触媒層73を備える。また、電極触媒層73のアノード側及びカソード側のそれぞれにGDL72を備える。
また、この図2に示すように、プレート60は断面が波形形状となっている。そして、この波形形状の凹部及び凸部と、MEA70と、平板状のプレート50とによって囲まれる空間が、ガス流路及び冷却水流路を構成する。
具体的には、MEA70と、プレート60の断面凹部(プレート50に向かって略コの字形状に窪んでいる部分)とによって囲まれる空間が、酸化剤ガスの排気側となる第1流路22を構成する。
また、MEA70と、プレート60の断面凸部(プレート50から離れて略コの字形状に隆起している部分)とによって囲まれる空間が、酸化剤ガスの供給側となる第2流路23を構成する。
また、第1流路22を構成する部分と対向する部分であって、プレート60の断面凹部とMEA70とによって囲まれる空間が、燃料ガスの供給側及び排気側となる第3流路12を構成する。
また、第2流路23を構成する部分と対向する部分であって、プレート60の断面凸部とプレート50とによって囲まれる空間が、冷却水の流路となる冷却水流路32を構成する。
なお、第2流路23には、MEA70のGDL72から第2流路23へと連通する連通孔24が設けられている。
図1に示すように、この連通孔24は、セルの流路の上流から下流に均一に分布するように、略円形の孔部として所定の間隔をもって設けられる。なお、MEA70は、この連通孔24の全てを塞ぐように設けられる。すなわち、MEA70のGDL72は、各連通孔24に接触する。
なお、図2に示すように、本実施例では、第2流路23の連通孔24の開口寸法L2は、第1流路の開口寸法L1よりも小さく構成することを特徴とする。
第1流路22は、カソード吸気口20とは連通せず、カソード排気口21とのみ連通するように構成される。また、第2流路23は、カソード吸気口20と連通しているが、カソード排気口21とは連通しないように構成される。
より具体的には、セルの下流側、すなわち、各流路の下流端は、図3(A)に示すB−B断面図のように、第1流路22のみが開口され、第2流路23は閉塞されている。このプレート50及びプレート60の下流端と、カソード排気口21との間には、各第1流路22から排気される酸化剤ガスを集めて、カソード排気口21へと導くためのディフューザ部27が設けられている。
このディフューザ部27は、第1流路22の開口高さよりも若干小さい開口高さに構成されている。各第1流路22はディフューザ部27において連通しているが、この連通部分の流路が急激に拡大するとガスの圧力が急変するため、これによる圧損が発生する。これを防ぐために、ディフューザ部27は、各第1流路22の開口面積の合計と同じ又は若干小さくする(開口高さを小さくする)。
さらに、この構成により、ディフューザ部27において、カソードガス流路のためのディフューザ部と、冷却水流路のためのディフューザ部が混在させても、セパレータ1の高さ方向への拡大を抑えることができ、燃料電池を小型化することができる。
なお、この下流側のディフューザ部27には、後述するように、第2流路23からの生成水を排出するための排出流路25、排出流路26及び開口部28が設けられている。
また、セルの上流側、すなわち、プレート50及びプレート60の上流端にも、図3(B)に示すC−C断面図のように、第2流路23のみが開口され、第1流路22は閉塞されている。このプレート50及びプレート60の上流端と、カソード吸気口20との間には、カソード吸気口20から供給される酸化剤ガスを各第2流路23へと導くためのディフューザ部27が設けられている。
カソード吸気口20から供給される酸化剤ガスは、ディフューザ部27から第2流路23へと導かれる。この酸化剤ガスは、第2流路23の連通孔24からMEA70の陽極側のGDL72へと流れる。一方、アノード吸気口10から供給された燃料ガスは、同様の構造によって供給側の第3流路12からMEA70の陰極側のGDL72へと流れる。これらのガスの反応によって発電が行われる。
反応が終わった酸化剤ガスは、GDL72から第1流路22へと流れ、ディフューザ部27からカソード排気口21へと排出される。また、反応が終わった燃料ガスは、GDL72から排気側の第3流路12を経由して、アノード排気口11へと排出される。
次に、下流側(酸化剤ガス排気側)のディフューザ部27の構造について説明する。
図4、図5及び図6は、本発明の第1実施例の下流側のディフューザ部27の説明図である。
なお、図4はセルの下流側要部の上面図を示し、図5はA−A断面図をA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図及びD−D断面図を示し、図6は冷却水の流れる様子を示す。
第2流路23の下流端は、各第2流路23を連通する排出流路25が設けられる。この排出流路25は、その開口断面が、ディフューザ部27の高さと略同一となるように構成される(図5(B)参照)。
すなわち、第1流路22の下流端の開口面積は、ディフューザ部27によって高さ方向に縮小されている。このディフューザ部27による高さ方向の縮小の開始部分が、排出流路25によって構成されているのである。
すなわち、図5(C)に示すように、排出流路25が形成される下流端の手前では、第1流路22は、ディフューザ部27の高さと略同一の開口形状となる。第2流路23は、この排出流路により連通している。
そして、図5(D)に示すように、排出流路25が形成される下流端の、ディフューザ部27と接する部分では、第1流路22は、ディフューザ部27の高さと略同一の開口形状となる。第2流路23は、排出流路25を形成する壁部により閉塞している。
排出流路25は、その左右端部のそれぞれに、カソード排気口21へと連通する排出流路26が設けられる。
排出流路26は、ディフューザ部27の外周部を経由してカソード排気口21へと連通する。この連通部分には開口部28が備えられる(図5(A)参照)。
なお、この排出流路26は、排出流路25の左右端部のいずれか一方のみに設けられていてもよい。
このように下流側のディフューザ部27を構成することによって、各第2流路23において発生した生成水又はコンタミ成分は、第2流路23を流れる酸化剤ガスの圧力によって排出流路25へと集められる。この生成水等は、さらに、排出流路26を経て開口部28からカソード排気口21へと排出される。なお、開口部28は、生成水又はコンタミ成分によって閉塞しないように、その開口断面積が適切に選定される。
なお、排出流路25、26を通過する生成水は、閉塞を防ぐために凝縮していないことが望ましい。そのため、図6に示すように、冷却水排出口31は、発電により発生する熱によって加熱された冷却水によりディフューザ部27を加熱するように構成される。すなわち、冷却水排出口31は、カソード排気口21の開口部よりもさらに下流側に設けられる。これにより、冷却水の熱によってディフューザ部27が加熱され、冷却水の凝縮が抑えられる。開口部28では、カソード排気口の酸化剤ガスにより若干温度が下がり生成水が凝縮するので、生成水が液滴として排出される。
以上のように構成した第1実施例によって、次のような効果を得ることができる。
各セルに供給される酸化剤ガスは、カソード吸気口20を介してセル内の第2流路23に流入する。酸化剤ガスは、第2流路23に設けられた複数の連通孔24を介して、MEA70のGDL72へと供給される。
ここで、前述のように、第2流路23の連通孔の開口寸法L2は、酸化剤ガスの排出側である第1流路22の開口寸法L1に対して小さく構成する。このようにすることによって、この連通孔24の絞りによる圧力損失が発生する。この圧力損失は、第2流路23から第1流路22へと流れる酸化剤ガスの圧力損失のうち大きな割合を占める。従って、複数の連通孔24を第2流路23に適切に配置することによってMEA70の反応面全面への圧力損失を適切に制御することができる。すなわち、この圧力損失を制御することにより、GDL72に供給される酸化剤ガスの圧力が均等となるようにすることができる。
また、第2流路23の連通孔24の面積は、第1流路22の面積よりも小さいので、連通孔24付近でのMEA70における反応による酸素消費量は、第1流路22付近での酸素消費量よりも小さい。そのため、連通孔24から第1流路22の開口部に至るGDL72内では、酸素が徐々に消費される。従って、GDL72内での酸素濃度をほぼ一定にすることができる。
また、第2流路23の下流端においては、生成水を排出するため、第2流路23の下流端を連通する排出流路25、ディフューザ部27の外周を経由する排出流路26及びカソード排気口21へと開口する開口部28を備えた。
各第2流路23を連通する排出流路25は、ディフューザ部27の高さと同じ流路高さとしたので、第1流路22における酸化剤ガスの流れを邪魔することなく生成水を排出する構成を備えることができる。
また、第2流路23内には、連通孔24から反応により生成された水分が拡散する。第2流路23の下流端部は、排出流路25及び排出流路26を経由して、液滴が流れる程度のサイズである開口部28からカソード排気口21に開放されている。そのため、第2流路23に水分が蓄積することにより連通孔24の閉塞が発生して反応を阻害することを防止できる。
なお、第2流路23の上流側を鉛直方向上側に、排出流路26を鉛直方向下側に配置すると、重力によってよりスムースに第2流路23内の液滴を排出することができる。このような構成とすることが、生成水の排出にはより好適である。
このように、狭径の排出流路25及び排出流路26を設けることによって、排出流路25及び排出流路26において酸化剤ガスに圧力損失を付与するので、単に第2流路23の各流路端に開放孔を設ける場合と比較すると、第2流路23からMEA70を経由して第1流路22に流れずに、この開放孔へと流出する酸化剤ガスを最小限にすることができる。すなわち、第2流路23と第1流路22との酸化剤ガスの圧力差を確保することができるので、前述のように連通孔24の絞り構造による酸素濃度の均一化が可能となる。
また、冷却水の出口である冷却水排出口31は、よりカソード排気口21側(より下流側)に設けた。冷却水は、燃料電池の反応に伴う熱を吸熱するため、冷却水の温度は下流側ほど上昇する。そのため、酸素の消費によりガス流量が小さくなり凝縮水が発生し易い第2流路23の下流側では、より高温となった冷却水が作用する。これによって、生成水は気体のまま凝縮されにくくなるので、排出流路25、26の流路径を小さく抑えることができる。これにより、第2流路23から第1流路22へと流れず、排出流路25へと流出するガスの流量を最小限に抑えることができる。
なお、これら第1流路22、第2流路23、連通孔24は、平面形状のプレート50及び波形形状のプレート60によって構成されていたが、例えばカーボン材料を加工(切削、圧延等)することによっても同様の形状としてもよい。
<第2実施例>
次に第2の実施例について説明する。
本発明の第2の実施例の基本構成は、図1で前述した第1の実施例と同一である。そして、第1流路22及び第2流路23のさらに上流側に反応領域80を設けたことが特徴である。なお、第1実施例と共通の構成は同一の符号を付し、その説明は省略する。
図7及び8は、本発明の第2実施例の燃料電池のセルの説明図である。
図7に示すように、前述のガス流路である第2流路23の上流側のディフューザ部を、反応領域80とする。
この反応領域80は、要所にボス81を設ける。図7に示す例では、ボス81は千鳥状に配設されている。このボス81とボス81との空隙を、カソード吸気口20から供給された酸化剤ガスが流れる。そして、この反応領域80に対応するように、MEA70を設ける。
また、アノード側では、図8に示すように、波形形状のプレート60を、この反応領域80に対応するように設ける。すなわち、第3流路12及び冷却水流路32を形成するプレート60を、反応領域80に対応するように延設する。これにより、プレートとMEA70とによって囲まれた空間がアノードガスの流路である第3流路12が反応領域80まで延設される。この第3流路12に、アノード吸気口10から供給された燃料ガスが供給される。
前述のように、第1実施例では、第2流路23の連通孔24を小さくして圧損を発生させるので、酸化剤ガスの流速が上がる。そのため、MEA70のGDL72の底面まで酸化剤ガスが到達する。この場合、供給される酸化剤ガスの相対湿度が低い場合は、MEA70のより内部まで乾燥に晒されてしまい、MEA70を構成する電解質膜のプロトン移動速度が低下してしまう。
これに対して、第2実施例では、第1流路22及び第2流路23を含む領域のさらに上流に反応領域80を設けた。このようにすることによって、この反応領域80において反応によりで生成水が発生する。この生成水を含んだ酸化剤ガスが、その下流の第2流路23へと流れるので、供給される酸化剤ガスの相対湿度を上昇させることができる。これにより、連通孔24に対峙するMEA70の乾燥を防止することができるので、セル全体の発電効率を向上することができる。
<第3実施例>
次に第3の実施例について説明する。
本発明の第3の実施例の基本構成は、図1で前述した第1の実施例と同一である。そして、第1流路22及び第2流路23のさらに上流側に反応領域80を設けたことが特徴である。なお、第1実施例及び第2実施例と共通の構成は同一の符号を付し、その説明は省略する。
図9は、本発明の第3実施例の燃料電池のセルの説明図である。
図9に示すように、前述のガス流路である第1流路22の上流側のディフューザ部を反応領域80として設ける。
この反応領域80は、要所にリブ82を設ける。このリブ82とリブ82との間が流路29を形成する。この流路29の下流側は、第2流路23に連通するように構成される。すなわち、リブ82を流れる酸化剤ガスの流線が第2流路23へと繋がるように、リブ82と第2流路23とが同一のピッチで配置される。従って、リブ82の直下流に第1流路22が形成され、流路29の直下流に第2流路23が形成される。
このように、本発明の第3実施例では、第2実施例と同様に、反応領域80において反応によりで発生した生成水がその下流の第2流路23へと流れるので、供給される酸化剤ガスの相対湿度を上昇させることができる。これにより、連通孔24に対峙するMEA70の乾燥を防止することができるので、セル全体の発電効率を向上することができる。
さらに、第3の実施例では、流路29は、ガスの流れが直線流路となるため、反応領域80での圧損が第2実施例に対して小さくなる。さらに、流路29から第2流路23へとガスが直線的に流入するので、第2流路内へのガスの流れに圧力分布の偏りができることが抑制される。従って、複数ある連通孔24からガス拡散層への酸化剤ガスの供給量を均一化することができる。
なお、前述した実施例1から3では、カソード側に本発明を適応した場合を説明したが、アノード側に本発明を適応した場合においても、同様の効果を得ることができる。
ここで、燃料電池を起動する際、アノードに水素、カソードに空気を供給することになるが、アノード側の燃料ガス流路が十分に水素で満たされていない状態、すなわち燃料ガス流路に水素と空気が混在する状態ではアノード内で電位差が生じる。これに起因してカソード側の電解質膜71上で炭素と水が反応して炭素腐食が発生する。しかしながら、本発明をアノード側に適応すると、水素の流速を上げることができるので、水素と空気が混在する時間を短くでき、この炭素腐食によるMEA70の劣化を低減できる。
本発明の第1の実施例の燃料電池のセルの説明図である。 本発明の第1の実施例の燃料電池のセルのA−A断面図である。 本発明の第1の実施例の燃料電池のセルのB−B断面図及びC−C断面図である。 本発明の第1の実施例の燃料電池のセルの排気側の説明図である。 本発明の第1の実施例の燃料電池のセルの排気側のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図及びD−D断面図である。 本発明の第1の実施例の燃料電池のセルの冷却水流路の説明図である。 本発明の第2の実施例の燃料電池のセルの説明図である。 本発明の第2の実施例の燃料電池のセルのA−A断面図である。 本発明の第3の実施例の燃料電池のセルの説明図である。
符号の説明
1 セパレータ
10 アノード吸気口
11 アノード排気口
12 第3流路
20 カソード吸気口
21 カソード排気口
22 第1流路
23 第2流路
24 連通孔
25、26排出流路
27 ディフューザ部
28 開口部
30 冷却水供給口
31 冷却水排出口
32 冷却水流路
50、60プレート
70 MEA(電極接合体)
71 電解質膜
72 GDL(ガス拡散層)
80 反応領域
81 ボス
82 リブ
90 単セル

Claims (7)

  1. 電解質膜の陽極及び陰極にそれぞれ備えられた電極触媒層と、前記電極触媒層のそれぞれに備えられ、反応ガスを供給するとともに、前記電極触媒層において発電された電力を集電するガス拡散層と、によって構成される電極接合体と、
    前記ガス拡散層のそれぞれの外側に、反応ガスの通路であるガス流路を形成するセパレータと、
    を備え、前記電極接合体を前記セパレータにより挟持した単セルを交互に積層した燃料電池において、
    前記セパレータは、前記ガス流路に反応ガスを供給するガス供給口と、反応後の反応ガスを排出するガス排出口と、を備え、
    前記ガス流路は、
    反応ガスが排出される系と連通し、反応ガスを供給する系と連通しない第1流路と、
    反応ガスが供給される系と連通し、反応ガスを排出する系と連通しない第2流路と、を備え、
    前記第2流路は、前記電極接合体と接する部分に複数の連通孔を備え、前記連通孔の開口面積は、前記第1流路と前記電極接合体とが接する部分の開口面積と比較して小さくすることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記ガス流路を形成する領域と前記ガス供給口との間の領域に、電極接合体及びガス流路からなる反応領域を備え、前記反応領域を通過した酸化剤ガスを前記第2ガス流路へと供給することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記反応領域は、ガスの流路を有しないリブと、前記リブによって隔てられ、前記第2流路と連通する反応領域流路と、によって構成されることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池。
  4. 前記第2流路の反応ガスを排出する系に近接した部分に、前記第2流路を連通し、前記第2流路の開口高さよりも小さな開口高さを有する第1排出流路を備え、
    前記第1排出流路の少なくとも一方の端部から、前記ガス排出口へと連通する第2排出流路を備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
  5. 前記セパレータに、冷却水の供給口と排出口を備えた冷却水の流路を構成し、
    前記第2流路の反応ガスを排出する系に近接した部分、前記第1排出流路、及び、第2排出流路は、前記冷却水を排出する系に近接して設けられることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池。
  6. 前記セパレータは、前記ガス流路を形成する第1プレートであり、前記単セル間を隔てる第2プレートを備え、
    前記電極複合体と、前記第1プレートとによって囲まれた空間が前記1流路を構成し、前記第1プレートと前記第2プレートとによって囲まれた空間が、前記陽極側又は前記陰極側の一方で前記第2流路を構成し、他方で冷却水の流路を構成し、
    前記冷却水の流路を前記連通孔に対して前記電解質膜を介して対向して配置するすることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
  7. 前記反応ガスは、燃料ガスであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
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