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JP2009033941A - 誘導電動機制御装置及び誘導電動機制御方法 - Google Patents

誘導電動機制御装置及び誘導電動機制御方法 Download PDF

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JP2009033941A
JP2009033941A JP2007198163A JP2007198163A JP2009033941A JP 2009033941 A JP2009033941 A JP 2009033941A JP 2007198163 A JP2007198163 A JP 2007198163A JP 2007198163 A JP2007198163 A JP 2007198163A JP 2009033941 A JP2009033941 A JP 2009033941A
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Kazuhiko Fukutani
和彦 福谷
Yoshiaki Nakamura
良昭 中村
Tenji Seto
天次 瀬戸
Ryuichi Shimada
隆一 嶋田
Tadayuki Kitahara
忠幸 北原
Takanori Isobe
高範 磯部
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Nippon Steel Corp
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Abstract

【課題】誘導電動機の鉄損を削減して、エネルギー効率を改善できる誘導電動機制御装置及び誘導電動機制御方法を提供すること。
【解決手段】この誘導電動機制御装置100は、交流電源20と誘導電動機10との間に直列に接続され、誘導電動機10に印可する負荷電圧Vloadを調整する磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110と、誘導電動機20の負荷トルクTloadが誘導電動機20の定格トルクT0よりも小さいときに、負荷電圧Vloadが誘導電動機の定格電圧Vaよりも小さくなるように、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110を制御するスイッチ制御部120と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、誘導電動機制御装置及び誘導電動機制御方法に関し、特に誘導電動機を省エネルギーで簡便に駆動及び制御するのに好適な技術である。
例えば、交流電動機の1つである誘導電動機は、固定子(一次コイル)に流れる電流が発生する磁束が回転子(二次コイル)に鎖交することにより、回転子に誘導電流を供給し、この回転子の誘導電流と固定子が発生する磁束とにより回転トルクを発生する電動機である。
このような誘導電動機によれば、磁性材料の鉄芯(コア)にコイルを巻き、交流電流によって磁束を発生させるため、この磁束を発生させる際に電気エネルギーが失われる鉄損が発生する。
図8及び図9を参照して、従来の誘導電動機についてより具体的に説明する。図8は、従来の誘導電動機の概要を説明するための説明図であり、図9は、従来の誘導電動機による発生トルクと、負荷トルクとの関係を説明するための説明図である。
図8には、例えば、鋼板を通板するロール(略円柱状に形成され、鋼板を側面に載置して回転することにより、鋼板を搬送させる部材)等のような物を運搬するためのローラ等を回転させるための誘導電動機(以下「モータ」ともいう。)10の電源供給の概要を示す。この場合、ローラ等の回転数等を微調整する必要がないため、別途の高価な電圧制御装置等は配置されず、モータ10には交流電源20からの定格電圧が印可される。
つまり、図8に示すように、モータ10には、ON/OFF等のためのスイッチ(図示せず)等を介して交流電源20が直接接続され、モータ10には、交流電源20の定格電圧Vaが印可される。
定格電圧Vaが印可された場合のモータ10が発生するトルク(以下、「発生トルク」という。)Tgは、モータ10の回転数Nに対して、図9に示す曲線のように変化する。つまり、回転数Nが0から増加すると、発生トルクTgも増加する。そして、回転数Nが更に増加すると、発生トルクTgは最大値となった後減少する。そして、N=N0(定格回転数)では発生トルクTgは0になる。この際、この発生トルクTgの曲線と、モータ10にかかる負荷が要求するトルク(以下「負荷トルク」という。)Tloadの曲線との交点が、モータ10の定格トルクT0となる。
また、負荷トルクTloadは、搬送される物の質量が変化した場合等、様々な要因によって変化する。例えば、搬送される物の質量が小さくなった場合、負荷トルクTloadは、図9中のT1に変化する。しかし、負荷トルクTloadがT1に変化しても、モータ10には定格電圧Vaが印可されるため、負荷トルクT1を超えた余剰なトルクΔTが発生し、このトルクΔT分の磁気エネルギーの多くは、モータ10の鉄損として失われる。
地球温暖化の防止等のためにエネルギー効率を高めることが希有されている昨今の現状を踏まえると、このような鉄損をも減少させることが希有されている。特に、近年の地球温暖化防止等に向けたハイブリッド自動車用電動機や産業用電動機において、少しの損失をも削減することは、緊急かつ重大な課題である。
そこで、このような鉄損を削減してエネルギー効率を高めるために、従来のモータ10では、電動機の固定子や回転子の材質として電磁鋼板を採用したり、固定子と回転子との間の空隙を小さくすることによって、鉄損の削減を実施していた。
しかし、例えば産業用電動機等に使用される従来のモータ10は、一定の印可電圧で運転されている場合が多い。よって、モータ10にかかる負荷トルクTloadが低下した場合でも、モータ10の発生トルクTgは、一定であり、発生トルクTgのうち負荷トルクTloadを超えたトルク値によって、更に鉄損が増加する。
一方、モータ10の固定子の端子電圧が大きくなれば、発生磁束が増加するので鉄損は増加し、小さくなれば、発生磁束が減少すれば鉄損は減少する。従って、モータ10の固定子の端子電圧を小さくすることにより、鉄損の削減が可能となる。つまり、モータ10の負荷が必要とするトルクが定格トルクよりも少ない場合に、モータ10の固定子端子電圧を低下させることで、電動機の鉄損の削減が可能である。
しかし、産業用電動機等に使用される回転速度等の微調整が必要でないモータ10のために、高価かつ複雑な電圧制御装置等を使用することは、製造時に使用するエネルギーやコストの増加をまねくため現実的ではない。
特開2004−260991号公報 特開2005−57980号公報
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の第1の目的とするところは、例えば、製造装置などの産業用等の誘導電動機を駆動する際に、負荷が変化するときでも、従来よりも簡便かつ低コストに誘導電動機の鉄損の増加を抑制することにある。そして、本発明の第2の目的とするところは、誘導電動機を、従来よりも簡便かつエネルギー効率を向上させて、所望の回転数で駆動することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、交流電源と誘導電動機との間に直列に接続され、誘導電動機に印可する負荷電圧を調整する磁気エネルギー回生双方向電流スイッチと、誘導電動機の負荷トルクが誘導電動機の定格トルクよりも小さいときに、負荷電圧が誘導電動機の定格電圧よりも小さくなるように、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御するスイッチ制御部と、を備えることを特徴とする、誘導電動機制御装置が提供される。
かかる構成によれば、スイッチ制御部により、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御することができる。そして、制御された磁気エネルギー回生双方向電流スイッチにより、誘導電動機の負荷トルクが定格トルクよりも小さいときに、誘導電動機の定格電圧よりも小さい負荷電圧を、誘導電動機に印可することができる。よって、誘導電動機が発生する発生トルクを定格トルクよりも小さい負荷トルクに応じたトルク値にすることができる。
また、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチは、第1経路に第1逆導通型半導体スイッチと第4逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置され、第2経路に第2逆導通型半導体スイッチと第3逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置されたブリッジ回路と、第1逆導通型半導体スイッチと第4逆導通型半導体スイッチとの間の第1経路と、第2逆導通型半導体スイッチと第3逆導通型半導体スイッチとの間の第2経路との間に接続されたコンデンサと、を含み、スイッチ制御部は、交流電源電圧の半周期毎のスイッチ切替タイミングで、第1逆導通型半導体スイッチ及び第3逆導通型半導体スイッチと、第2逆導通型半導体スイッチ及び第4逆導通型半導体スイッチと、を交互にオン/オフして、コンデンサに充電及び放電させ、かつ、スイッチ切替タイミングを変更することにより、コンデンサの充電量及び放電量を変化させて、負荷電圧を定格電圧よりも小さくするとしてもよい。
かかる構成によれば、スイッチ制御装置により、交流電源電圧の半周期毎のスイッチ切替タイミングで、第1逆導通型半導体スイッチ及び第3逆導通型半導体スイッチと、第2逆導通型半導体スイッチ及び第4逆導通型半導体スイッチと、を交互にオン/オフする。このようなスイッチングにより、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチのコンデンサは、充電及び放電される。そして、この放電が十分にされない場合、コンデンサは、回路に対して抵抗として働く。よって、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチは、供給された定格電圧よりも低い低電圧を誘導電動機に印可することができる。
また、誘導電動機の負荷トルクを算出する負荷トルク算出部と、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチのスイッチ切替タイミングと交流電源電圧のゼロクロスポイントとの時間差を表すゲート位相角を、負荷トルク算出部が算出した負荷トルクに基づいて決定するゲート位相角決定部を更に備え、スイッチ制御部は、ゲート位相角決定部が決定したゲート位相角に基づくスイッチ切替タイミングで、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御してもよい。
かかる構成によれば、負荷トルク算出部により、誘導電動機の負荷トルクを算出し、ゲート位相角決定部により、負荷トルクに基づいたゲート位相角を決定することができる。そして、スイッチ制御部により、この決定したゲート位相角に基づくスイッチ切替タイミングで、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御することができる。従って、このように制御された磁気エネルギー回生双方向電流スイッチから、負荷トルクに応じた誘導電動機の定格電圧よりも小さい負荷電圧を、誘導電動機に出力することができる。
また、ゲート位相角決定部は、誘導電動機が発生する発生トルクと、負荷トルク算出部が算出した負荷トルクとの差が減少するように、ゲート位相角を決定してもよい。
かかる構成によれば、スイッチ制御部により、ゲート位相角決定部が決定したゲート位相角に基づいて磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御するので、誘導電動機が発生する発生トルクと、負荷トルクとの差を減少させることができる。
また、ゲート位相角決定部は、負荷トルクが定格トルクよりも小さいときに、ゲート位相角を90°より大きく270°よりも小さい角度に決定してもよい。
かかる構成によれば、スイッチ制御部により、このゲート位相角決定部が決定したゲート位相角に基づいて磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御するので、誘導電動機に印可する負荷電圧を交流電源の定格電圧以下にすることができる。
また、誘導電動機によって回転されるローラによって運搬される物の質量を算出可能な質量情報を取得する運搬物情報取得部を更に備え、負荷トルク算出部は、運搬物情報取得部が取得した質量情報に基づいて、誘導電動機の負荷トルクを算出してもよい。
かかる構成によれば、運搬物情報取得部により、運搬される物の質量情報を取得することができ、負荷トルク算出部により、この質量情報に基づいて誘導電動機の負荷トルクを算出することができる。
また、誘導電動機の単位時間あたりの回転数を検出する回転数検出部を更に備え、負荷トルク算出部は、回転数検出部が検出した回転数に基づいて、誘導電動機の負荷トルクを算出してもよい。
かかる構成によれば、回転数検出部により、誘導電動機の回転数を検出することができ、負荷トルク算出部により、この回転数に基づいて誘導電動機の負荷トルクを算出することができる。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、誘導電動機に印可する負荷電圧を調整する磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを用いて誘導電動機を制御する誘導電動機制御方法であって、誘導電動機の負荷トルクが誘導電動機の定格トルクよりも小さいときに、誘導電動機に印可する負荷電圧が誘導電動機の定格電圧よりも小さくなるように、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御することを特徴とする、誘導電動機制御方法が提供される。
かかる構成によれば、誘導電動機が発生する発生トルクを定格トルクよりも小さい負荷トルクに応じたトルク値にすることができる。
また、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチは、第1経路に第1逆導通型半導体スイッチと第4逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置され、第2経路に第2逆導通型半導体スイッチと第3逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置されたブリッジ回路と、第1逆導通型半導体スイッチと第4逆導通型半導体スイッチとの間の第1経路と、第2逆導通型半導体スイッチと第3逆導通型半導体スイッチとの間の第2経路との間に接続されたコンデンサと、を含み、交流電源電圧の半周期毎のスイッチ切替タイミングで、第1逆導通型半導体スイッチ及び第3逆導通型半導体スイッチと、第2逆導通型半導体スイッチ及び第4逆導通型半導体スイッチと、を交互にオン/オフして、コンデンサに充電及び放電させ、かつ、スイッチ切替タイミングを変更することにより、コンデンサの充電量及び放電量を変化させて、負荷電圧を定格電圧よりも小さくしてもよい。
また、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチのスイッチ切替タイミングと交流電源電圧のゼロクロスポイントとの時間差を表すゲート位相角を、誘導電動機の負荷トルクに基づいて決定し、ゲート位相角に基づくスイッチ切替タイミングで、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御してもよい。
また、誘導電動機が発生する発生トルクと、前記誘導電動機の負荷トルクとの差が減少するように、ゲート位相角を決定してもよい。
また、負荷トルクが定格トルクよりも小さいときに、ゲート位相角を90°より大きく270°よりも小さい角度に決定してもよい。
また、誘導電動機によって回転されるローラによって運搬される物の質量を算出可能な質量情報に基づいて、誘導電動機の負荷トルクを算出してもよい。
また、誘導電動機の単位時間あたりの回転数に基づいて、誘導電動機の負荷トルクを算出してもよい。
以上説明したように本発明によれば、負荷トルクが低下した場合に誘導電動機を駆動する電圧である負荷電圧を簡便に低下させることができるので、負荷が変動するときでも、従来よりも簡便かつ低コストに誘導電動機の鉄損の増加を抑制することが可能である。また、例えば、鋼板等を搬送するラインにおいて誘導電動機を連続的に運転する場合など、搬送する鋼板等の有無、又は質量に応じて、適宜負荷電圧を調節することができるので、誘導電動機を、従来よりも簡便かつエネルギー効率を向上させて、所望の回転数で駆動することも可能である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明の発明者は、上記のモータの問題点や地球温暖化の防止等のためのエネルギー効率の改善等について熟考し、モータの制御について鋭意研究を行った結果、本発明に想到した。以下、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置について説明する。
<本発明の一実施形態に係るモータ制御装置100の構成>
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るモータ制御装置の構成の概要を説明するための説明図であり、図2は、本実施形態に係るモータ制御装置の回路構成の概要を説明するための説明図である。
尚、本実施形態に係るモータ制御装置の説明をするにあたり、モータ10は、例えば、鋼板の製造工程の圧延工程等に使用され、鋼板の移動経路に配置されて鋼板を通板するためのロールを回転させるモータであるとして以下では説明する。しかし、これは説明の便宜上の仮定であり、本発明がかかる例に限定されるものではない。
図1に示すように、本実施形態に係るモータ制御装置100は、誘導電動機制御装置の一例であって、交流電源20とモータ10との間に配置され、交流電源20から交流の定格電圧Va(交流電源電圧)が印可されて、モータ10に負荷電圧Vloadを印可する。また、モータ制御装置100は、圧延工程制御装置30に接続され、圧延工程制御装置30から、ロールによって搬送される鋼板の質量を算出することができる情報(以下、「質量情報」という。)を取得する。
この「質量情報」とは、例えば、鋼板の単位長さあたりの質量、又は、鋼板の厚みや幅等のサイズ及び密度等の鋼板の質量を算出することができる情報をいう。
このモータ制御装置100は、MERS110と、スイッチ制御部120と、位相検出部130と、ゲート位相角決定部140と、負荷トルク算出部150と、圧延スケジュール取得部151と、回転数検出部152と、を有する。
圧延スケジュール取得部151は、圧延工程制御装置30から鋼板の質量情報と圧延スケジュールに関する情報を取得して、現在又はその後にロール上を通板される鋼板の質量を算出して、ロールに加わる荷重を算出する。そして、圧延スケジュール取得部151は、算出したロールの荷重の情報を負荷トルク算出部150に出力する。
この「圧延スケジュール」とは、圧延工程において、搬送される鋼板についての情報(鋼板の質量情報を含む。)を時系列に沿って予め定めた工程予定である。
回転数検出部152は、モータ10からモータ10の単位時間あたりの回転数を検出する。また、回転数検出部152は、圧延工程制御装置30から鋼板の通板速度等の情報を取得してモータ10の単位時間あたりの回転数を算出しても良い。そして、回転数検出部152は、単位時間あたりの回転数からモータ10の回転数の変化を算出して、この回転数の変化の情報を負荷トルク算出部150に出力する。なお、回転数検出部152は、モータ10の回転数を直接検出せずに、搬送用のロールに取り付けたパルス発生器(PLG、図示せず)によりロールの回転数を検出して、このロールの回転数をモータ10の回転数に換算してもよい。
負荷トルク算出部150は、圧延スケジュール取得部151から取得したロールの荷重、及び、回転数検出部152から取得したモータ10の回転数の変化から、モータ10の負荷トルクTloadを算出する。そして、負荷トルク算出部150は、算出した負荷トルクTloadの情報をゲート位相角決定部140に出力する。なお、圧延スケジュール取得部151からの入力データが無いときや、搬送すべき鋼板が一時的に無いときには、負荷トルク算出部150は、例えば、回転数検出部152からの入力信号のみに基づき、負荷トルクを算出してもよい。又、搬送すべき鋼板が一時的に無いときには、モータ10の回転数を一時的に低速にするように、予め一定の低い負荷トルクを設定しておき、負荷トルク算出部150がこの低い負荷トルクの情報をゲート位相角決定部140に出力することにより、さらにエネルギーの損出を低減することも可能である。
ゲート位相角決定部140は、負荷トルク算出部150から取得した負荷トルクTloadから、モータ10の発生トルクTgと負荷トルクTloadとの差が小さくなるように、ゲート位相角αを決定して、ゲート位相角αをスイッチ制御部120に出力する。このゲート位相角αは、電源電圧Vaの周期に対して、MERS110のスイッチングをいつ行うかという時間的な基準を表す。
位相検出部130は、交流電源20とMERS110との間と、MERS110とモータ10との間とから電圧をタッピングして、定格電圧Vaを有する電源電圧の位相と負荷電圧Vloadの位相とを検出して、これらの位相情報をスイッチ制御部120に供給する。
スイッチ制御部120は、位相検出部130が検出した電源電圧の位相及び負荷電圧Vloadの位相と、ゲート位相角決定部140が決定したゲート位相角αとに基づいてMERS110を制御する。
MERS110は、特許文献1に開示されている磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ(MERS:Magnetic Energy Recovery Switch)の一例であって、交流電源20とモータ10との間に配置される。MERS110は、スイッチ制御部120によって制御され、交流電源20から供給される定格電圧Vaを有する電源電圧を変圧して、負荷電圧Vloadをモータ10に印加するための回路であり、この負荷電圧Vloadを調整することができる。尚、このような磁気エネルギー回生双方向電流スイッチによる誘導電動機の制御については、特許文献2にも開示されている。
(MERS110の構成)
このMERS110の構成について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、MERS110は、ブリッジ回路と、コンデンサCと、を含む。
ブリッジ回路は、2つの経路に2つづつ配置された4つの逆導通型半導体スイッチ111〜114によって構成され、コンデンサCは、ブリッジ回路の2つの経路の間に配置される。
より詳細には、ブリッジ回路は、交流電源20と接続される交流端子a(以下、端子aという)から、端子bを介して、モータ10と接続される交流端子d(以下、端子dという)までの経路である第1経路と、端子aから端子cを介して端子dまでの経路である第2経路とを含み、第1経路には、端子dと端子bとの間に逆導通型半導体スイッチ111が配置され、端子bと端子aとの間に逆導通型半導体スイッチ114が配置される。そして、第2経路には、端子dと端子cとの間に逆導通型半導体スイッチ112が配置され、端子cと端子aとの間に逆導通型半導体スイッチ113が配置される。そして、コンデンサCは、端子bと端子cとの間に配置される。
各逆導通型半導体スイッチ111〜114は、スイッチOFFで一方向(以下「順方向」という。)に導通し、スイッチONで他方向(以下「逆方向」という。)にも導通するスイッチであり、例えば、半導体スイッチとダイオードとの並列接続によって構成される。より詳細には、逆導通型半導体スイッチ111〜114のそれぞれは、1つのダイオードD1〜D4と、当該ダイオードD1〜D4に並列に接続された1つの半導体スイッチS1〜S4とを含む。
しかし、逆導通型半導体スイッチは、かかる例に限定されず、上記の導通制御が可能であれば如何なるスイッチであってもよく、例えば、パワーMOS FET、逆導通型GTOサイリスタ等であってもよく、IGBT等の半導体スイッチとダイオードとの並列接続であってもよい。
また、各逆導通型半導体スイッチ111〜114は、順方向が以下のようになるように配置される。つまり、逆導通型半導体スイッチ111及び逆導通型半導体スイッチ113を第1ペアとし、逆導通型半導体スイッチ112及び逆導通型半導体スイッチ114を第2ペアとすると、第1ペアの逆導通型半導体スイッチ111及び逆導通型半導体スイッチ113は、順方向が同じ方向になるように配置され、第2ペアの逆導通型半導体スイッチ112及び逆導通型半導体スイッチ114は、順方向が同じ方向になるように配置され、第1ペアと第2ペアとは、順方向が相互に逆向きになるように配置される。
すなわち、並列に配置される逆導通型半導体スイッチ同士は、各順方向が逆向きになり、かつ、直列に配置される逆導通型半導体スイッチ同士も、各順方向が逆向きになるように配置される。還元すれば、対角線上に配置された逆導通型半導体スイッチは、各順方向が同方向になるように配置される。
各逆導通型半導体スイッチ111〜114のスイッチON/OFF、つまり、半導体スイッチS1〜S4のON/OFFは、それぞれのゲートG1〜G4へのON信号の入力によって行われる。より詳細には、各ゲートG1〜G4は、スイッチ制御部120に接続されており、スイッチ制御部120のON信号が入力される。つまり、スイッチ制御部120のON信号が入力された場合に、各逆導通型半導体スイッチ111〜114は、順方向だけでなく逆方向にも導通する。
(MERS110の特性)
ここで、図3及び図4を参照して、MERS110の動作を説明することにより、MERS110の特性について説明する。図3は、ゲート位相角とMERSの出力電圧との関係を説明するための説明図である。図4は、ゲート位相角に対するMERSの出力電圧の変化の一例を示すグラフである。
MERS110は、ペア内の逆導通型半導体スイッチは、同時にON/OFFされ、一方のペアがONの時、他方のペアはOFFにされる。ここでは、この一方のペアがONされ他方のペアがOFFされた状態から、一方のペアがOFFされ他方のペアがONされた状態への切り替えを、「スイッチング」といい、このスイッチングが行われる時点を、「スイッチ切替タイミング」という。
このスイッチングは、交流電源20の電源電圧の周期の1/2の周期で行われる。そして、電源電圧が0となる時点を「ゼロクロスポイント」というが、このゼロクロスポイントとスイッチ切替タイミングとの時間差が、上述の「ゲート位相角α」である。換言すれば、ゼロクロスポイントからゲート位相角αだけ位相がずれた周期でスイッチングが行われる。
更に、ゲート位相角αは、全ての逆導通型半導体スイッチが電源電圧の印可方向に対して導通する際に0°に決定される。つまり、α=0°では、図2に示す方向にVaが印可された場合、逆導通型半導体スイッチ111,113がONされ、導通経路として端子a→端子b→端子dと、端子a→端子c→端子dとが確保される。また、図2に示す方向と逆方向にVaが印可された場合、逆導通型半導体スイッチ112,114がONされ、導通経路として端子d→端子b→端子aと、端子d→端子c→端子aとが確保される。
このゲート位相角αを0°からずらすと、逆導通型半導体スイッチのペアの一方が電源電圧の印可方向に対して導通しない時間が発生する。つまり、α≠0°の場合、例えば、図2に示す方向にVaが印可される際に、αの大きさに応じた時間間隔だけ、逆導通型半導体スイッチ112,114だけがONされ、コンデンサCに電圧が印可される状態(導通経路が端子a→端子b→端子c→端子dとなった状態)が発生する。電圧が逆に印可された場合にも同様に、αの大きさに応じた時間間隔だけ、逆導通型半導体スイッチ111,113だけがONされ、コンデンサCに電圧が印可された状態(導通経路が端子d→端子b→端子c→端子aとなった状態)が発生する。このコンデンサCに印可される電圧は、電源電圧の方向によらず一方向に印可される(図2では、端子b→端子c)。
従って、ゲート位相角αを0°からずらすと、電源電圧の周期に対して、コンデンサCに充電が行われる期間と、全ての逆導通型半導体スイッチが電源電圧の印可方向に対して導通してコンデンサCの放電が行われる期間とが生じる。この結果として、ゲート位相角αを制御することにより、コンデンサCの充電及び放電を調整することができ、MERS110から出力される電圧(図2では、負荷電圧Vload)を制御することが可能となる。ここで、この出力電圧の大きさは、Vload=Va×sinα/cosΦで表される。尚、Φは、モータ10の力率角である。
このゲート位相角αに対する出力電圧Vloadの変化について図3を参照して説明する。
図3に示すように、電源電圧としてVaが印可された場合、MERS110のスイッチングによってコンデンサCへの充放電が行われ、放電する際にコンデンサCは、ベクトルVmersの電圧を出力する。ただし、このベクトルVmersは、ベクトルVaに対してゲート位相角αだけ遅延又は先行する。従って、ベクトルVaとベクトルVmersとの和の電圧がVloadとしてMERS110から出力される。そして、Vloadが印可された負荷には、リアクタンス成分等により進み位相又は遅れ位相Φの電流Iが流れる。
また、ベクトルVloadはベクトルVaとベクトルVmersとの和であるため、|Vmers|にもよるが、0°<α<90°では、|Vload|>|Va|となる。従って、MERS110は、ゲート位相角αによってVaよりも高電圧を出力することができる。一方、α>90°では、|Vload|<|Va|となりうる。この両者の境界である|Vload|=|Va|となるゲート位相角αの値は、|Vmers|の変化によって異なるが、90°以下になることはない。尚、|Vmers|は、コンデンサCの容量や負荷の特性、ゲート位相角αの大きさ等により変化する。
このようにゲート位相角αに対して変化する出力電圧|Vload|の測定例を図4に示す。
図4に示すように、α=0°では、ほぼ入力電圧Vaに等しい電圧が出力される。しかし、αを大きくすると、Vaよりも大きいVloadが出力され、α=130°で|Vload|=|Va|となる。更にαを大きくすると、|Vload|は|Va|よりも小さくなり、α=180°で|Vload|=0となる。尚、α>180°において、Vloadは、α=180°で反転させたような変化を示す。
従って、この測定例では、130°<α<230°とすることにより、|Vload|を|Va|よりも小さくすることができる。また、この|Vload|=|Va|となるゲート位相角αは、コンデンサCの容量、負荷のリアクタンス成分等の特性によって異なるが、これらを適切に選択することにより、90°<α<230°の範囲内で|Vload|を|Va|よりも小さくすることができる。
<本発明の一実施形態に係るモータ制御装置100の動作>
以上、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置100の構成について説明した。
次に、図5〜図7を参照して、上記構成を有するモータ制御装置100の動作について説明する。図5は、本実施形態に係るモータ制御装置100の一動作を説明するためのフローチャートである。図6は、本実施形態に係るモータ制御装置100の動作を説明するためのグラフである。図7は、実施形態に係るモータ制御装置の他の動作を説明するためのフローチャートである。
(モータ制御装置100の一動作)
まず、図5を参照して、予め製品の圧延スケジュールが定められており、このスケジュールに従って圧延が実施される場合の、モータ制御装置100の動作について説明する。
この場合、モータ10の負荷トルクTloadは、圧延スケジュールに従い圧延される鋼板の質量によって決定される。従って、モータ制御装置100は、鋼板の厚みや幅、材質等の鋼板の質量情報が予め定められた圧延スケジュールからスケジュール毎に必要な負荷トルクTloadを前もって算出しておき、これをデータテーブルとして記録しておき、通板される鋼板の質量に応じて、モータ10に印可する電圧Vloadを調整する。
以下、このモータ制御装置100の一動作について具体的に説明する。
(圧延スケジュール取得ステップS101)
図5に示すように、まず、圧延スケジュール取得部151により、圧延工程制御装置30から鋼板の質量情報を含む圧延スケジュールに関する情報を取得して、ロールに加わる荷重を算出する。そして、算出した荷重の情報は、負荷トルク算出部150に出力される。
(負荷トルク算出ステップS103)
そして、負荷トルク算出部150により、ロールに加わった加重の情報からロールに加わる負荷トルクTloadを算出する。そして、算出した負荷トルクTloadの情報は、ゲート位相角決定部140に出力される。
(負荷電圧算出ステップS105)
次に、ゲート位相角決定部140により、まず、負荷トルクTloadからモータ10に印可すべき負荷電圧Vloadを算出する。この算出は、例えば、予めゲート位相角決定部140が記憶している負荷電圧Vloadと負荷トルクTloadとの関係を表した情報に基づいて行われるが、本発明はかかる例に限定されず、例えば、予め導き出してゲート位相角決定部140に記憶していた負荷電圧Vloadと負荷トルクTloadとの関係式により算出しても良い。尚、負荷トルクTloadは、モータ10の回転子に流れる電流(固定子電圧に比例)と、モータ10の回転子に鎖交する磁束(固定子電圧に比例)との積で決定されるので、負荷トルクTloadは、負荷電圧Vloadのほぼ2乗に比例する。
この負荷電圧Vloadの算出について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係るモータ制御装置100の動作を説明するためのグラフである。
図6に示すように、負荷トルクTloadが変化した場合、ゲート位相角決定部140は、モータ10が発生する発生トルクTgが負荷トルクTloadとほぼ等しくなる負荷電圧Vloadを算出する。この算出には、モータ10へ印可される負荷電圧Vloadが減少すると、モータ10の発生トルクTgも全体的に減少することを利用する。つまり、Vload=Vaから、Vload=V1へと変化させた場合、Tgの曲線は、図6に示すように全体的に減少する。この結果、Tgと負荷トルクTloadの曲線との交点は、減少し、この交点のトルク値は、T1となる。
より具体的には、例えば、TloadがT0からT1へと減少した場合、ゲート位相角決定部140は、発生トルクTgの曲線と、負荷トルクTloadの曲線との交点がT1となるように、VloadをV1に決定する。更に、TloadがT1からT2へと減少した場合、ゲート位相角決定部140は、発生トルクTgの曲線と、負荷トルクTloadの曲線との交点がT2となるように、VloadをV2に決定する。
(ゲート位相角決定ステップS107)
更に、ゲート位相角決定部140により、負荷電圧算出ステップ(S105)で算出した負荷電圧Vloadに基づいて、ゲート位相角αを決定する。そして、この算出したゲート位相角αは、スイッチ制御部120に出力される。このゲート位相角αの決定も、予めゲート位相角決定部140が記憶している負荷電圧Vloadとゲート位相角αとの関係を表した情報に基づいて行われるが、本発明はかかる例に限定されず、例えば、予め導き出してゲート位相角決定部140に記憶していた負荷電圧Vloadとゲート位相角αとの関係式により算出しても良い。
このゲート位相角αの決定について、再度図4を参照して説明する。
図4に示して、上記で説明したように、ゲート位相角αを調整することにより、MERS110が出力する出力電圧(負荷電圧)Vloadを変化させることができる。
より具体的には、例えば、上記の負荷電圧算出ステップ(S105)において、Vload=V1と算出した場合、ゲート位相角決定部140は、Vload=V1となるように、ゲート位相角αをα1に決定する。また、Vload=V2と算出した場合、ゲート位相角決定部140は、Vload=V2となるように、ゲート位相角αをα2に決定する。
つまり、ゲート位相角決定部140は、例えば、負荷トルクTload=T1であった場合、T1から負荷電圧Vload=V1を算出し、Vload=V1となるように、ゲート位相角αをα1に決定する。また、ゲート位相角決定部140は、例えば、負荷トルクTload=T2であった場合、T2から負荷電圧Vload=V2を算出し、Vload=V2となるように、ゲート位相角αをα2に決定する。
尚、上記の説明では、負荷トルク算出ステップ(S103)において、負荷トルクT1,T2が算出された場合について説明したが、本発明はかかる例に限定されず、いかなる負荷トルク値に対しても同様にゲート位相角αを決定しうることは言うまでもない。
(スイッチ制御ステップS109)
そして、上記ゲート位相角決定ステップ(S107)で決定されたゲート位相角αに基づいて、スイッチ制御部120は、MERS110の各逆導通型半導体スイッチ111〜114のON/OFFを制御する。
より具体的には、スイッチ制御部120は、位相検出部130により検出した電源電圧の位相及び負荷電圧Vloadの位相から電源電圧のゼロクロスポイントを検出する。そして、スイッチ制御部120は、このゼロクロスポイントから、ゲート位相角決定ステップ(S107)で決定したゲート位相角αだけ位相がずれた時点がスイッチ切替タイミングとなるように、MERS110のスイッチングを行う。
このように制御されたMERS110は、モータ10に要求される負荷トルクTloadと等しい発生トルクTgをモータ10が発生することができる電圧Vloadを、モータ10に印可することができる。従って、このモータ制御装置100によれば、モータ10の発生トルクTgを調節することにより、モータ10が発生する発生トルクTgと負荷トルクTloadとの差を低減することができる。
(モータ制御装置100の他の動作)
次に、図7を参照して、上記の圧延スケジュールを使用しない場合のモータ制御装置100の動作について説明する。
モータ10の負荷トルクTloadが変化して、定格トルクT0よりも小さくなった場合、モータ10の発生トルクTgは、負荷トルクTloadを超えたトルク値を出力することになる。よって、モータ10は、余剰な発生トルクTgによって加速されるため、モータ10の回転数は、増加する。本動作においては、このモータ10の回転数の変化を検出することにより負荷トルクTloadを算出して、モータ10に印可する電圧Vloadを調節する。
以下、このモータ制御装置100の他の動作について具体的に説明する
(回転数検出S201)
図7に示すように、まず、回転数検出部152により、モータ10の単位時間あたりの回転数を検出する。この際、回転数検出部152は、圧延工程制御装置30から鋼板の通板速度等の情報を取得してモータ10の単位時間あたりの回転数を算出しても良い。そして、回転数検出部152は、単位時間あたりの回転数からモータ10の回転数の変化を算出して、この回転数の変化の情報を負荷トルク算出部150に出力する。
(負荷トルク算出ステップS203)
そして、負荷トルク算出部150により、モータ10の回転数の変化の情報からロールに加わる負荷トルクTloadを算出する。そして、算出した負荷トルクTloadの情報は、ゲート位相角決定部140に出力される。
このモータ制御装置100の他の動作において、負荷トルク算出ステップ(S203)以降の、負荷電圧算出ステップ(S105)、ゲート位相角決定ステップ(S107)、及びスイッチ制御ステップ(S108)で行われる動作は、上述のモータ制御装置100の一動作と同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
そして、この他の動作においても、MERS110は、モータ10に要求される負荷トルクTloadと等しい発生トルクTgをモータ10が発生することができる電圧Vloadを、モータ10に印可することができる。従って、このモータ制御装置100によれば、モータ10の発生トルクTgを調節することにより、モータ10が発生する発生トルクTgと負荷トルクTloadとの差を低減することができる。
<本実施形態に係るモータ制御装置100による効果>
以上、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置100の構成及び動作について説明した。このモータ制御装置100によれば、モータ10の負荷が軽くなり負荷トルクTloadが減少した場合には、モータ10の固定子に印可する負荷電圧Vloadを定格電圧Vaよりも小さくすることが可能となり、モータ10の鉄損を低減することができ、かつ、エネルギー効率を高めることができる。よって、ハイブリッド自動車用電動機や産業用電動機の鉄損の削減が可能となり、地球温暖化の防止に寄与することができる。
また、別途の高価かつ複雑な電圧制御装置等を使用することなく、安価な回路によって構成されるモータ制御装置100によって、負荷電圧Vloadを調製することができるため、製造コストを削減することができる。そして、鉄損を低減することにより、モータ10の消費電力を抑えることができるため、モータ10の運転コストも低減することができる。
更に、モータ制御装置100は、単純な装置のみで構成されるため、別途の電圧制御装置等を使用する場合に比べて、製造時に発生する二酸化炭素の排出量を削減することができ、かつ、消費電力を抑えることにより運転時に発生する二酸化炭素をも間接的に削減することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、モータ10は、圧延工程等において鋼板の通板等に使用されるロールを回転させるためのモータであるとして説明した。しかし、本発明はかかる例に限定されず、例えば、飛行場等において荷物を搬送するベルトを駆動させるためのローラ等の様々な用途に使用されるモータであってもよい。
また、上記実施形態では、モータ制御装置100が圧延工程制御装置30から鋼板の質量情報を取得する場合について説明した。しかし、本発明はかかる例に限定されず、モータ制御装置100は、例えば、荷物の運搬を制御する上位の制御装置から、荷物の質量情報を取得してもよく、モータ10にかかる負荷トルクを算出しうるあらゆる情報を取得して動作することが可能である。
また、上記実施形態では、負荷トルク算出部150が、圧延スケジュール取得部151によって算出したロールの荷重の情報、又は回転数検出部152によって算出したモータ10の回転数の変化の情報に基づいて、負荷トルクTloadを算出する場合について説明した。しかし、本発明はかかる例に限定されない。例えば、負荷トルク算出部150は、圧延スケジュール取得部151からのロールの荷重の情報と、回転数検出部152からのモータ10の回転数の変化の情報との両方の情報に基づいて、負荷トルクTloadを算出してもよい。このように負荷トルクTloadを算出することにより、負荷トルク算出部150は、更に正確な負荷トルクTloadを算出することができる。又、モータ10が一時的に空転するときなど、一次的に稼動状態で無くなるときには、負荷トルク算出部150は予め設定した低い負荷トルクの値を出力するようにしても良い。このように低い負荷トルクを出力することにより、さらにエネルギーの損出を低減することが可能である。
また、上記実施形態では、モータ制御装置100は、圧延スケジュール取得部151及び回転数検出部152を有するとしたが、本発明はかかる例に限定されず、どちらか一方のみを有してもよい。更に、他の手段によって負荷トルクTloadを算出又は取得することができる場合は、負荷トルク算出部150,圧延スケジュール取得部151,回転数検出部152の少なくとも1つを備えなくてもよく、ゲート位相角決定部140が当該算出又は取得した負荷トルクTloadを取得することが可能な如何なる構成であってもよい。
本発明の一実施形態に係るモータ制御装置の構成の概要を説明するための説明図である。 同実施形態に係るモータ制御装置の回路構成の概要を説明するための説明図である。 ゲート位相角とMERSの出力電圧との関係を説明するための説明図である。 ゲート位相角に対するMERSの出力電圧の変化の一例を示すグラフである。 同実施形態に係るモータ制御装置の一動作を説明するためのフローチャートである。 同実施形態に係るモータ制御装置の動作を説明するためのグラフである。 同実施形態に係るモータ制御装置の他の動作を説明するためのフローチャートである。 従来のモータの概要を説明するための説明図である。 従来のモータによる発生トルクと、負荷トルクとの関係を説明するための説明図である。
符号の説明
10 モータ
20 交流電源
30 圧延工程制御装置
100 モータ制御装置
110 MERS
120 スイッチ制御部
130 位相検出部
140 ゲート位相角決定部
150 負荷トルク算出部
151 圧延スケジュール取得部
152 回転数検出部
111,112,113,114 逆導通型半導体スイッチ
D1,D2,D3,D4 ダイオード
S1,S2,S3,S4 半導体スイッチ
G1,G2,G3,G4 ゲート
C コンデンサ
L リアクタンス成分
R 抵抗成分

Claims (14)

  1. 交流電源と誘導電動機との間に直列に接続され、前記誘導電動機に印可する負荷電圧を調整する磁気エネルギー回生双方向電流スイッチと、
    前記誘導電動機の負荷トルクが前記誘導電動機の定格トルクよりも小さいときに、前記負荷電圧が前記誘導電動機の定格電圧よりも小さくなるように、前記磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御するスイッチ制御部と、
    を備えることを特徴とする、誘導電動機制御装置。
  2. 前記磁気エネルギー回生双方向電流スイッチは、
    第1経路に第1逆導通型半導体スイッチと第4逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置され、第2経路に第2逆導通型半導体スイッチと第3逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置されたブリッジ回路と、
    前記第1逆導通型半導体スイッチと前記第4逆導通型半導体スイッチとの間の前記第1経路と、前記第2逆導通型半導体スイッチと前記第3逆導通型半導体スイッチとの間の前記第2経路との間に接続されたコンデンサと、
    を含み、
    前記スイッチ制御部は、
    前記交流電源電圧の半周期毎のスイッチ切替タイミングで、前記第1逆導通型半導体スイッチ及び前記第3逆導通型半導体スイッチと、前記第2逆導通型半導体スイッチ及び前記第4逆導通型半導体スイッチと、を交互にオン/オフして、前記コンデンサに充電及び放電させ、かつ、
    前記スイッチ切替タイミングを変更することにより、前記コンデンサの充電量及び放電量を変化させて、前記負荷電圧を前記定格電圧よりも小さくすることを特徴とする、請求項1に記載の誘導電動機制御装置。
  3. 前記誘導電動機の負荷トルクを算出する負荷トルク算出部と、
    前記磁気エネルギー回生双方向電流スイッチの前記スイッチ切替タイミングと、前記交流電源電圧のゼロクロスポイントとの時間差を表すゲート位相角を、前記負荷トルク算出部が算出した前記負荷トルクに基づいて決定するゲート位相角決定部を更に備え、
    前記スイッチ制御部は、前記ゲート位相角決定部が決定した前記ゲート位相角に基づく前記スイッチ切替タイミングで、前記磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御することを特徴とする、請求項2に記載の誘導電動機制御装置。
  4. 前記ゲート位相角決定部は、前記誘導電動機が発生する発生トルクと前記負荷トルク算出部が算出した前記負荷トルクとの差が減少するように、前記ゲート位相角を決定することを特徴とする、請求項3に記載の誘導電動機制御装置。
  5. 前記ゲート位相角決定部は、前記負荷トルクが前記定格トルクよりも小さいときに、前記ゲート位相角を90°より大きく270°よりも小さい角度に決定することを特徴とする、請求項3又は4に記載の誘導電動機制御装置。
  6. 前記誘導電動機によって回転されるローラによって運搬される物の質量を算出可能な質量情報を取得する運搬物情報取得部を更に備え、
    前記負荷トルク算出部は、前記運搬物情報取得部が取得した前記質量情報に基づいて、前記誘導電動機の負荷トルクを算出することを特徴とする、請求項3〜5に記載の誘導電動機制御装置。
  7. 前記誘導電動機の単位時間あたりの回転数を検出する回転数検出部を更に備え、
    前記負荷トルク算出部は、前記回転数検出部が検出した前記回転数に基づいて、前記誘導電動機の負荷トルクを算出することを特徴とする、請求項3〜6に記載の誘導電動機制御装置。
  8. 誘導電動機に印可する負荷電圧を調整する磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを用いて前記誘導電動機を制御する誘導電動機制御方法であって、
    前記誘導電動機の負荷トルクが前記誘導電動機の定格トルクよりも小さいときに、前記誘導電動機に印可する負荷電圧が前記誘導電動機の定格電圧よりも小さくなるように、前記磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御することを特徴とする、誘導電動機制御方法。
  9. 前記磁気エネルギー回生双方向電流スイッチは、
    第1経路に第1逆導通型半導体スイッチと第4逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置され、第2経路に第2逆導通型半導体スイッチと第3逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置されたブリッジ回路と、
    前記第1逆導通型半導体スイッチと前記第4逆導通型半導体スイッチとの間の前記第1経路と、前記第2逆導通型半導体スイッチと前記第3逆導通型半導体スイッチとの間の前記第2経路との間に接続されたコンデンサと、
    を含み、
    交流電源電圧の半周期毎のスイッチ切替タイミングで、前記第1逆導通型半導体スイッチ及び前記第3逆導通型半導体スイッチと、前記第2逆導通型半導体スイッチ及び前記第4逆導通型半導体スイッチと、を交互にオン/オフして、前記コンデンサに充電及び放電させ、かつ、
    前記スイッチ切替タイミングを変更することにより、前記コンデンサの充電量及び放電量を変化させて、前記負荷電圧を前記定格電圧よりも小さくすることを特徴とする、請求項8に記載の誘導電動機制御方法。
  10. 前記磁気エネルギー回生双方向電流スイッチの前記スイッチ切替タイミングと前記交流電源電圧のゼロクロスポイントとの時間差を表すゲート位相角を、前記誘導電動機の負荷トルクに基づいて決定し、
    前記ゲート位相角に基づく前記スイッチ切替タイミングで、前記磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御することを特徴とする、請求項9に記載の誘導電動機制御方法。
  11. 前記誘導電動機が発生する発生トルクと、前記誘導電動機の負荷トルクとの差が減少するように、前記ゲート位相角を決定することを特徴とする、請求項10に記載の誘導電動機制御方法。
  12. 前記負荷トルクが前記定格トルクよりも小さいときに、前記ゲート位相角を90°より大きく270°よりも小さい角度に決定することを特徴とする、請求項10又は11に記載の誘導電動機制御方法。
  13. 前記誘導電動機によって回転されるローラによって運搬される物の質量を算出可能な質量情報に基づいて、前記誘導電動機の負荷トルクを算出することを特徴とする、請求項10〜12に記載の誘導電動機制御方法。
  14. 前記誘導電動機の単位時間あたりの回転数に基づいて、前記誘導電動機の負荷トルクを算出することを特徴とする、請求項10〜13に記載の誘導電動機制御方法。
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