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JP2009029711A - 用時溶解型ビタミン製剤及びその製造方法 - Google Patents

用時溶解型ビタミン製剤及びその製造方法 Download PDF

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JP2009029711A JP2007192058A JP2007192058A JP2009029711A JP 2009029711 A JP2009029711 A JP 2009029711A JP 2007192058 A JP2007192058 A JP 2007192058A JP 2007192058 A JP2007192058 A JP 2007192058A JP 2009029711 A JP2009029711 A JP 2009029711A
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Abstract

【課題】従来品に比べて比容積が小さく、かつ流動性の良い、さらには有効成分の不快味を軽減させ、服用、調剤ならびに携帯に便利であって、あるいは温湯、水等に速やかに懸濁させることにより、容易に服用することができるビタミンE類を含有する用時溶解型造粒物の提供。
【解決手段】固形のビタミンE類と非イオン性界面活性剤とを混合し、水を添加しながら造粒して得た造粒物に、イノシトールヘキサニコチネート又は/及びニコチン酸類、更に製剤学的に許容される添加物を加えて、アルコールの存在下に混合造粒して得た造粒物からなることを特徴とする用時溶解型ビタミン製剤である。
【選択図】なし

Description

本発明は、固形のビタミンE類と非イオン性界面活性剤とを混合し、水を添加しながら混合造粒して得た造粒物に、イノシトールヘキサニコチネート又は/及びニコチン酸類、更に製剤学的に許容される添加物を加えて、アルコールの存在下に混合造粒して得た造粒物からなることを特徴とする用時溶解型ビタミン製剤に関する。
更に詳細には、使用時に、水又は温水、好ましくは温水に添加したときに、製剤の一部が「ままこ(或いは「ダマ」という)」として、水面に浮くことがなく、均一に懸濁/溶解し得る用時溶解型造粒物(以下、用時溶解型造粒物という)及びその簡便な製造方法に関する。
従来、生理活性成分は、錠剤、細粒剤、溶解シロップ剤或いはシロップ剤等の形態で処方され服用されている。一般的に錠剤は、嚥下能力の弱い小児や高齢者にとって服用しにくい製剤である。また、シロップ剤のような液剤は、固形製剤と比較して薬局や病院等での調剤業務に手間がかかるうえ、液状であることと重いこと等により携帯する場合には不便である。
そこで用時溶解型の造粒物からなる製剤が提案されている。この用時溶解型の造粒物は、軽量であり、携帯するのに便利な製剤である。
ところが、生理活性成分が水に難溶性の性質を有する場合には、せっかく用時溶解型造粒物を調製しても、水又は温水に添加すると水に難溶性の生理活性成分が「ままこ」(いわゆるダマ)として、水面に浮いてしまうことがあった。
この「ままこ」(ダマ)の発生を防ぐために、多量の糖類又は崩壊剤を添加した製剤が提案されているが、かかる製剤は、必然的に一回の服用量が多くなり、服用、調剤、携帯の際に不便となり、また、製造コストが増大するという問題があった。
用時溶解型造粒物は、シロップ剤に比べて軽量であり、用時調剤ができることから、携帯に便利である。しかしながら、用時溶解型造粒物の比容積が大きいものは、全体として嵩張るため、服用時、又は調剤での取扱いが不便である。したがって、有効成分、添加する賦形剤、崩壊剤等からなる混合物の造粒品であって、比容積が小さく、かつ流動性の良い用時溶解型造粒物及びその簡便な製造方法の開発が求められているのが現状である。
最近、ビタミンEの抗酸化作用によるLDLの酸化防止、それに伴うHDLの増大によるコレステロールの減少等での動脈効果の予防、更にはイノシトールが細胞膜を構成するリン脂質の重要な部分であることに着目し、固形のビタミンE類及びイノシトール等のビタミン類を含有するビタミンE含有製剤、或いはサプリメントが数多く登場してきているが、その多くは錠剤、カプセル剤等の形態であり、固形のビタミンE類を含有する用時溶解型のビタミン剤は、これまで開発されていない。
ところで、ショ糖脂肪酸エステルの水溶液又は水性の分散液に、固体のビタミンE類を分散させ、更にそこに固体のビタミンC類及び/又は他の有効成分を配合することによって、固体のビタミンE類、ビタミンC類及びショ糖脂肪酸エステルを含有する湿式造粒に適した、流動性及び安定性を有する粒状組成物が得られることが報告されている(例えば特許文献1参照)。
また、水に難溶性の生理活性成分と、非イオン性界面活性剤及び/又はアニオン系界面活性剤とを混合し、次いで水膨潤性高分子化合物に担持させた後、造粒することにより、水に難溶性の生理活性成分の溶出性に優れ、さらに適切な硬度を有する固体製剤が製造できることが報告されている(例えば特許文献2参照)。
特開平10−298074号公報 特開2001−335469号公報
しかしながら、この従来の製剤にあっては、例えば特許文献1に記載の粒状組成物の場合は、固体のビタミンE類をショ糖脂肪酸エステルの水溶液に分散させた分散液を用いる方法であり、また、特許文献2に記載の固形製剤の場合には、水に難溶性の生理活性成分を、液状の非イオン界面活性剤及び/又はアニオン界面活性剤に添加して撹拌して、単に均一分散させる方法でしかない。
そのため、調製された粒状組成物、或いは固形製剤は、その服用にあたって水又は温水に添加したときに、不溶物である「ままこ」が水面に浮くことが散見されている。
したがって、服用時に、水又は温水に添加したときに「ままこ」として、水面に不溶物が浮くことなく、速やかに均一に懸濁/溶解し得る用時溶解型の、固形のビタミンE類含有の造粒物、及びその簡便な製造方法が望まれていた。
本発明は、上記の現状を鑑み、従来品に比べて比容積が小さく、かつ流動性が良く、さらには有効成分の不快味を軽減させ、服用、調剤ならびに携帯に便利であって、あるいは温湯、水等に速やかに溶解させることにより、容易に服用することができるビタミンE類を含有する用時溶解型造粒物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、固形のビタミンE類と非イオン性界面活性剤とを混合し、水を添加しながら混合造粒して得た造粒物に、イノシトールヘキサニコチネート又は/及びニコチン酸類、更に製剤学的に許容される添加物を加えて、アルコールの存在下に混合造粒して得た造粒物が、上記の問題点を解決するものであること確認し、本発明を完成させるに至った。
したがって本発明は、その基本的態様として、固形のビタミンE類と非イオン性界面活性剤とを混合し、水を添加しながら混合造粒して得た造粒物に、イノシトールヘキサニコチネート又は/及びニコチン酸類、更に製剤学的に許容される添加物を加えて、アルコールの存在下に混合造粒して得た造粒物からなることを特徴とする用時溶解型ビタミン製剤である。
より具体的には、本発明は、固形のビタミンE類がコハク酸トコフェロールカルシウムであり、非イオン性界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステルである用時溶解型ビタミン製剤である。
したがって、最も具体的な本発明は、コハク酸トコフェロールカルシウムとショ糖脂肪酸エステルとを混合し、該混合物に水を添加しながら混合造粒して得た造粒物に、イノシトールヘキサニコチネート及びニコチン酸類、更に製剤学的に許容される添加物を加え、アルコールの存在下に混合造粒して得た造粒物からなることを特徴とする用時溶解型ビタミン製剤である。
また本発明は、別の態様として上記の用時溶解型ビタミン製剤の製造方法であり、具体的には、固形のビタミンE類と非イオン性界面活性剤とを混合し、水を添加しながら造粒して得た造粒物に、イノシトールヘキサニコチネート又は/及びニコチン酸類、更に製剤学的に許容される添加物を加えて、アルコールの存在下に混合造粒したことを特徴とする用時溶解型ビタミン製剤の製造方法である。
なお、本発明において「用時溶解」とは、服用時に、水又は温水に添加したときに完全に溶解するか、一部懸濁状態で溶解し、分散していることを意味する。
本発明により、比容積が小さく、流動性の良い、製造時に生理活性成分同士の凝集や製造機器への付着等を起こすことなく、極めて容易に造粒、製剤化を行うことができる、ビタミンE類及びイノシトールヘキサニコチネート又は/及びニコチン酸を含有する用時溶解型造粒物を提供することができる。
本発明により提供される用時溶解型造粒物は、安定性に優れ、保管時に変色しにくく、含有されるビタミンE類等の生理活性成分の溶出性に優れ、さらに適切な硬度を有するものである。また、生理活性成分の苦みを軽減させると共に、嵩張らないで、処方や携帯に便利であり、必要なときに、そのままでも、あるいは水又は温水に懸濁/溶解させても「ままこ」にならず、簡便に服用することができる利点を有している。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本明細書中の用語において、固形のビタミンE類とは、例えば、トコフェロールニコチン酸エステル、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウム等、常温下で固形のものであり、好ましくはコハク酸トコフェロールカルシウムである。
コハク酸トコフェロールカルシウムは、白色〜帯黄白色の粉末でにおいはない。水、エタノール(95%)に殆ど溶けず、物理的にも化学的にも安定な粉末として、製剤上、特に錠剤直打用のビタミンE原薬として配合され、繁用されているビタミンEである。
この固形のビタミンE類、好ましくはコハク酸トコフェロールカルシウムと混合される非イオン界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリド、ポリソルベート40(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、ポリソルベート80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、モノパルミチン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が用いられる。その中でもショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
かかるショ糖脂肪酸エステルには、ショ糖の中級ないし高級脂肪酸のエステルが含まれ、例えば脂肪酸の炭素数が通常6〜24、好ましくは8〜22の飽和及び/又は不飽和脂肪酸の1種又は2種以上のものが用いられる。そのような脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸等のエステルが挙げられ、好ましくは脂肪酸部分がパルミチン酸から成るショ糖脂肪酸エステルである。
固形のビタミンE類、好ましくはコハク酸トコフェロールカルシウムに対する非イオン性界面活性剤の含有量は、通常は、固形のビタミンE類100重量部に対して2〜80重量部、好ましくは30〜70重量部使用するのが良い。
本発明が提供する造粒物の形態を有する用時溶解型造粒物のビタミン製剤は、上記した固形のビタミンE類及び非イオン性界面活性剤との混合物に水を添加しながら混合造粒して得た造粒物に、イノシトールヘキサニコチネート又は/及びニコチン酸類、更に製剤学的に許容される添加物を加えて、アルコールの存在下に混合造粒して得た造粒物からなることを特徴とする用時溶解型ビタミン製剤である。
これまで特許公報等により提案されている造粒物の製法が、ショ糖脂肪酸エステルを水に完全に溶解又は分散させた液として使用しているのに対して、本発明では溶解することなく、固形のビタミンE類と混合し、水を添加しながら造粒する点で大きく異なるものである。
この場合の、水の添加量は、固形のビタミンE類の種類、使用量、又は非イオン性界面活性剤の種類、その含有量等により異なり、一概に限定することはできないが、例えば、固形のビタミンE類としてコハク酸トコフェロールカルシウムを、非イオン性界面活性剤としてショ糖脂肪酸エステルを用いる場合には、両者の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは1〜6重量部使用するのが良い。
この段階における造粒は、造粒に使用する水の添加量が少ないため、得られた造粒物は、特に乾燥しなくても、次工程にそのまま付することができるが、必要ならば、乾燥し、整粒して用いることもできる。
ついで、得られた造粒物にイノシトールヘキサニコチネート又は/及びニコチン酸類、更に製剤学的に許容される添加物を加えて、アルコールの存在下に混合造粒することにより、本発明が目的とする用時溶解型造粒物のビタミン製剤が調製される。
上記の添加剤としては、賦形剤、粘稠剤、乳化剤、矯味剤、結合剤等から選ばれる1種以上が挙げられる。
賦形剤としては、デンプン、α化デンプン、部分α化デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、デキストラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、果糖、キシリトール、マクロゴール、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、L−システイン、アラビアゴム、エチルセルロース、カカオ脂、クエン酸又はその塩(例えばナトリウム塩)、ステアリン酸又はその塩、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム等が挙げられ、好ましくはエリスリトール、α化デンプン、クエン酸ナトリウムである。
粘稠剤としては、キサンタンガム、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン[コリドン(登録商標)K25、コリドンK30、コリドンK90等]、カルボキシビニルポリマー、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(BASF Wyandotte Corporation、プルロニック、テトロニック等)、セルロース誘導体[メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2208、2906、2910等)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ニトロセルロース又はそれらの塩等]、ポリエチレングリコール(マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール1500、マクロゴール4000等)、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アラビアゴム、トラガント、デキストラン(40、70等)、ブドウ糖、ソルビトール等を挙げることができる。
そのなかでも、キサンタンガム、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン[コリドン(登録商標)K25、コリドンK30、コリドンK90等]、セルロース誘導体[メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2208、2906、2910)、カルボキシメチルセルロース又はその塩、ポリエチレングリコール(マクロゴール300、マクロゴール400)、デキストラン(70)]が好ましく使用される。
さらに好ましくは、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はその塩、ポリエチレングリコール、デキストランであり、特に好ましくはポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はその塩、ポリエチレングリコール、デキストランであり、最も好ましくはキサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムがある。
これらの粘稠剤は、1種又は2種以上を任意に組み合わせて使用してもよいが、好ましくはキサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウムを適当な配合比で使用するのがよい。
乳化剤としては、合成添加物であるグリセリン脂肪酸エステルやその誘導体およびショ糖脂肪酸エステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、天然添加物であるレシチン、天然物由来のグァーガム、アラビアゴム、大豆多糖類、タンパク質等がある。これらの乳化剤は、1種又は2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
好ましくは、グァーガム、カルボキシメチルセルロースナトリウムの両者を適当な配合比として使用するのがよい。
矯味剤としては、アスパルテーム、塩化ナトリウム、カカオ末、キシリトール、クエン酸又はその塩、グリチルリチン酸又はその塩、サッカリン、サッカリンナトリウム、白糖、乳糖、ブドウ糖、マルトース、D−マンニトール、l−メントール、DL−リンゴ酸又はその塩を挙げることができ、好ましくはアスパルテーム、サッカリンナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウムである。
結合剤としては、デンプン、α化デンプン、部分α化デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン、ポリビニルピロリドン、プルラン、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられ、好ましくはポリビニルピロリドンである。
この造粒段階において、更に各種活性成分を添加することも可能であり、総合ビタミン剤として要求される各種ビタミン類、或いは特定のビタミン類を添加することもできる。そのようなビタミン類としては、ビタミンB群、ビタミンC等の各種ビタミン類を挙げることができる。
本発明にあっては、上記した製剤学的に許容される添加物に限定されるものではなく、さらに必要に応じて、崩壊剤、崩壊補助剤、流動化剤、滑沢剤等を添加することができる。
崩壊剤としては、アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルセルロース又はその塩、含水二酸化ケイ素、グァーガム、クエン酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、ショ糖脂肪酸エステル、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、セルロース又はその誘導体、デンプン又はその誘導体等を挙げることができる。
崩壊補助剤としては、カルボキシメチルセルロース又はその塩、セルロース又はその誘導体、ステアリン酸、炭酸水素ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース等を挙げることができる。
流動化剤ないし滑沢剤としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸マグネシウム、アラビアゴム、カカオ脂、カルナバロウ、グリセリン、流動パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、乳糖、白糖、フマル酸、ミツロウ等を挙げることができる。
なお、矯味剤は、各造粒物の各製造工程において、必要に応じて同一又は異なった種類のものを添加することができる。
例えば、本発明の用時溶解型ビタミン剤を得る最終造粒工程において用いられる矯味剤としては、無水クエン酸が好ましい。
この段階において、香料を添加することも可能であり、そのような香料としては、l−メントール、レモン等を挙げることができ、好ましくはレモンである。
なお、本発明においては、必要に応じて、さらに、各種着色剤、安定化剤、吸着剤、防腐剤、湿潤剤、帯電防止剤等、製剤学的に常用・許容されている添加剤を添加することができる。これらの製剤学的に常用・許容される添加剤は、本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
以下、本発明の用時溶解型造粒物であるビタミン剤の製造方法について説明する。
本発明が提供する用時溶解型造粒物であるビタミン剤にあっては、第一工程として、固形のビタミンE類と非イオン性界面活性剤とを混合し、水を添加しながら混合造粒して造粒物を調製(一次造粒物:造粒物A)する。
次いで、第二工程として、得られた一次造粒物に、イノシトールヘキサニコチネート又は/及びニコチン酸類、更に製剤学的に許容される添加物を加えて、アルコールの存在下に混合造粒することにより、目的とする本発明の用時溶解型造粒物であるビタミン製剤が、二次造粒物(造粒物B)として調製される。
これらの各工程は、温度条件は特に制限なく、通常は、室温で行うことができる。
本発明にあっては、一次工程で得られた一次造粒物Aを、第二工程でイノシトールヘキサニコチネート又は/及びニコチン酸類、更に製剤学的に許容される添加物を加えて造粒するに際し、アルコールの存在下に造粒し、二次造粒物Bとすることが特徴である。
すなわち、本発明にあっては、この造粒工程を、アルコールを用いて行うことにより、懸濁/溶解時に「ままこ」の発生を抑制した、用時溶解型の造粒物が得られるのである。
この場合に使用するアルコールとしては、炭素数1〜4の低級アルコールであり、好ましくはエタノールである。
本発明が提供する造粒物(用時溶解型ビタミン製剤)の製造に用いられる有効成分の水に対する溶解性は、日本薬局方の規定によれば、例えば、コハク酸トコフェロールカルシウムは「水に殆ど溶けない」、イノシトールヘキサニコチネートは「水に殆ど溶けない」、ニコチン酸は「水にやや溶けにくい」で表され、ショ糖脂肪酸エステルについては「水にやや溶けやすいものから、殆ど溶けない」ものがある。
また、所望により添加する製剤学的に許容される添加剤のなかで、キサンタンガムについては「水又は熱湯に溶けやすい」、グァーガムについては「水に徐々にとける、粘稠な液となる」、アスパルテームについては「水に溶けにくい」、サッカリンナトリウムは「水に溶けやすい」、クエン酸ナトリウムについては「水に溶けやすい」、α化デンプンについては「水を加えると膨潤し、粘稠なのり状の液になる」、エリスリトールについては「水にやや溶けやすい」、ポリビニルピロリドンについては「水に溶けやすい。吸湿性である」ことが知られている。
また、本発明が提供する造粒物(用時溶解型ビタミン製剤)の製造に用いられる有効成分のアルコールに対する溶解性は、例えば、エタノール(95%)に対し、コハク酸トコフェロールカルシウムは「殆ど溶けない」、イノシトールヘキサニコチネートは「殆ど溶けない」、ニコチン酸は「エタノールに可溶」で表され、ショ糖脂肪酸エステルについては「エタノールにやや溶けやすいものから、殆ど溶けない」ものがある。
また、所望により添加する製剤学的に許容される添加剤のなかで、キサンタンガムについては「殆ど溶けない」、グァーガムについては「殆ど溶けない」、アスパルテームについては「殆ど溶けない」、サッカリンナトリウムは「やや溶けない」、クエン酸ナトリウムについては「殆ど溶けない」、α化デンプンについては「溶けない」、エリスリトールについては「溶けにくい」、ポリビニルピロリドンについては「溶けやすい」ことが知られている。
したがって、これらの組合せにより、本発明の造粒物(用時溶解型ビタミン製剤)は、水等で懸濁/溶解させた場合には、「ままこ(或いは「ダマ」)」とならず、水面に浮くことにならないことも考えられる。
本発明が提供する用時溶解型造粒物であるビタミン製剤は、上記のようにして得られた二次造粒物である造粒物Bからなる、用時溶解型ビタミン製剤である。
なお、本発明の用時溶解型ビタミン製剤である造粒物Bの製造過程で用いる賦形剤であるアルファー化デンプンは、単に水を加えると「ままこ」となってしまう傾向がある。特に、お湯で分散するときに粘稠性を有する「ままこ」ができ、この「ままこ」はなかなか分散しない。したがって、本発明にあっては、目的とする用時溶解型ビタミン製剤である造粒段階で、賦形剤、分散剤、矯味剤、崩壊剤または崩壊補助剤等を添加するのがよい。
なお、得られた本発明の用時溶解型ビタミン製剤(造粒物B)は、そのまま水、温水等に用時懸濁/溶解し、服用することができるが、さらに、矯味剤、滑沢剤及び香料から選ばれる1種以上を配合した三次造粒物である造粒物Cとして、用いることもできる。
以下に本発明を、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
[工程1]一次造粒物(A1)の製造方法:
コハク酸トコフェロールカルシウム416.4g、ショ糖パルミチン酸エステル216.0gとをハイスピードミキサー(FSGS40J、深江パウテック(株)製)を用いて混合した後、得られた混合物に精製水25.2gを加えて混合し、一次造粒物(A1)を得た。
[工程2]二次造粒物(B1)の製造方法:
更に予めロータースピードミル(P−14、フリッチェ社製)で粉砕したイノシトールヘキサニコチネート756.0g及びクエン酸ナトリウム1080g、ニコチン酸113.4g、キサンタンガム108g、グァーガム180g、アスパルテーム39.6g、サッカリンナトリウム14.4g、アルファー化デンプン816.6g、エリスリトール5778g、ポリビニルピロリドン183.6g及び一次粒物(造粒物(A1))を、前記ハイスピードミキサーを用いて混合した後、無水エタノールで造粒した。これを常法によりエタック高温槽(楠本化成(株)製)で50℃、16時間乾燥させた後、篩にて整粒を行い、二次造粒物(造粒物(B1))を得た。
[工程3]三次造粒物(C1)の製造方法:
上記で得た造粒物(B1)4851g、無水クエン酸450g、軽質無水ケイ酸45.0g及びプレミックス香料54.0gをボーレコンテナミキサー(LM20 MC20、コトブキ技研工業(株)製)を用いて混合することで、本発明の用時溶解型ビタミン剤(造粒物(C1))を得た。
実施例2
[工程1]一次造粒物(A2)の製造方法:
前記コハク酸トコフェロールカルシウム222.6g、前記ショ糖パルミチン酸エステル120.0gとを前記ハイスピードミキサーを用いて混合した後、精製水14.0gを加えて混合し、一次造粒物(A2)を得た。
[工程2]二次医造粒物(B2)の製造方法:
更に予め前記ロータースピードミルで粉砕した前記イノシトールヘキサニコチネート400g及びクエン酸ナトリウム600g、ニコチン酸60g、キサンタンガム60g、グァーガム100g、アスパルテーム22g、サッカリンナトリウム8.0g、アルファー化デンプン485.4g、エリスリトール3210g、ポリビニルピロリドン102g及び一次造粒物(A2)を、前記ハイスピードミキサーを用いて混合した後、無水エタノールで造粒する。これを常法により前記エタック高温槽で50℃、16時間乾燥させた後、篩にて整粒を行い、二次造粒物(B2)とした。
[工程3]三次造粒物(C2)の製造方法:
上記で得た二次造粒物(B2)5390g、無水クエン酸500g、軽質無水ケイ酸50g及び香料60gを、ボーレコンテナミキサーを用いて混合することで、本発明の用時溶解型ビタミン剤(三次造粒物(C2))を得た。
比較例1
前記実施例1の工程1における一次造粒物(A1)の造粒において、溶媒としてエチルアルコールを用いて造粒したところ、コハク酸トコフェロールカルシウムとショ糖パルミチン酸エステルが分離した。
この分離した造粒物を用いて、以下実施例1の工程2及び工程3の方法に準拠して、最終造粒物(三次造粒物)を調製した。得られた造粒物3.0gを水100gに溶解分散させようとしたがままこになった。
比較例2
前記実施例2の工程1における一次造粒物(A2)の造粒において、溶媒としてエチルアルコールを用いて造粒したところ、コハク酸トコフェロールカルシウムとショ糖パルミチン酸エステルが分離した。
この分離した造粒物を用いて、以下実施例1の工程2及び工程3の方法に準拠して、最終造粒物(三次造粒物)を調製した。得られた造粒物3.0gを水100gに溶解分散させようとしたがままこになった。
比較例3
[工程1]
上記実施例1の[工程1]と同様にして、一次造粒物(A1)を得た。
[工程2]二次造粒物(B3)の製造方法(溶媒として水を使用):
更に予め前記ロータースピードミルで粉砕したイノシトールヘキサニコチネート7.56g、クエン酸ナトリウム10.80g、ニコチン酸1.134g、キサンタンガム1.08g、グァーガム1.80g、アスパルテーム0.396g、サッカリンナトリウム0.144g、アルファー化デンプン8.166g、エリスリトール57.78g、ポリビニルピロリドン1.836g及び一次造粒物(A1)6.57gを、乳鉢を用いて混合後乳鉢内に精製水約6gを添加し、混合造粒する。これを常法により前記エタック高温槽で50℃、16時間乾燥させた後、篩にて整粒を行い、二次造粒物(B3)とした。
[工程3]三次造粒物(C3)の製造方法:
上記工程2で得られた二次造粒物(B3)48.51g、無水クエン酸4.50g、軽質無水ケイ酸0.450g、及びプレミックス香料0.540gを、前記ボーレコンテナミキサーを用いて混合することで本品(造粒物(C3))を得た。
この造粒物(C3)3.0gを水100gに溶解分散させようとしたが、ままこになった。
比較例4
[工程1]
上記実施例1の[工程1]と同様にして、一次造粒物(A1)を得た。
[工程2]二次造粒物(B4)の製造方法(溶媒の無使用):
更に予め前記ロータースピードミルで粉砕したイノシトールヘキサニコチネート7.56g、クエン酸ナトリウム10.80g、ニコチン酸1.134g、キサンタンガム1.08g、グァーガム1.80g、アスパルテーム0.396g、サッカリンナトリウム0.144g、アルファー化デンプン8.166g、エリスリトール57.78g、ポリビニルピロリドン1.836g及び一次造粒物(A1)6.57gを、溶媒を添加することなく、乳鉢を用いて混合造粒する。これを常法により前記エタック高温槽で50℃、16時間乾燥させた後、篩にて整粒を行い、二次造粒物(B4)とした。
[工程3]三次造粒物(C4)の製造方法:
上記工程2で得られた二次造粒物(B4)48.51g、無水クエン酸4.50g、軽質無水ケイ酸0.450g、及びプレミックス香料0.540gを、前記ボーレコンテナミキサーを用いて混合することで三次造粒物(C4)を得た。
この三次造粒物(C4)3.0gを水100gに溶解分散させようとしたが、ままこになった。
試験例1:流動性の評価
造粒物の流動性を、ガラス容器に対する付着性により、以下の方法で評価した。
(1)実施例1〜2及び比較例1〜4で得られた二次造粒物の一定量を試験管に充填して、試験管底を数回叩いた後、試験管を逆さにし、造粒物が滑らかに落下するか、叩けば落下するか、叩いても落下しにくいかを目視で評価して比較した。
その結果、実施例1〜2の造粒物の流動性は比較例1〜4の造粒物に比して良好であった。
Figure 2009029711
試験例2:造粒物の製造機械への付着性の評価
造粒物の製造機械への付着性を評価した。
その結果、実施例1〜2で得られた二次造粒物の製造機械への付着は、僅かしか認められなかった。
また、比較例1〜4で得られた造粒物の製造機械への付着も、実施例1〜2と同様に僅かしか認められなかった。
試験例3:変色性・安定性の評価
前記実施例1〜2及び比較例1〜4で得られた造粒物をガラス瓶に充填し密栓した。これを40℃に保存したときの4週間、8週間、12週間後の色差を目視で評価した。
その結果、前記実施例1〜2のショ糖パルミチン酸エステルを用い、本発明方法により調製した造粒物は、比較例1〜4により調製した造粒物と比べると格段に変色しにくいものであり、その安定性において優れたものであることが判明した。
試験例4:「ままこ」発生の評価
前記実施例1〜2で得られた造粒物10gを容器中の水又は温水100g中に、好ましくは温水100g中へ添加後又は添加しながら撹拌することにより、「ままこ」が生成することなく、速やかに均一な溶解液とすることができた。また、予め容器に必要量の造粒物を添加したのち水又は温水で、好ましくは温水を注ぎ込んだ後又は注ぎながら撹拌することにより速やかに均一な溶解液とすることができた。また、同一の条件下で比較例1〜4の造粒物を試験した。ままこの発生は目視で確認した。
その結果を表2に示した。
Figure 2009029711
本発明により、従来品に比べて比容積が小さく、流動性の良い、かつ有効成分の不快味を軽減させ、服用、調剤ならびに携帯に便利であって、そのままでも、あるいは水、温湯等に溶解させることにより、容易に服用することができるビタミンE類を含有する用時溶解型造粒物が提供される。
本発明が提供する用時溶解型ビタミン剤は、服用時に、水又は温水等に添加したときに固形のビタミンE類が「ままこ」にならず、均一に懸濁/溶解し得るものであり、産業上有用である。

Claims (5)

  1. 固形のビタミンE類と非イオン性界面活性剤とを混合し、水を添加しながら混合造粒して得た造粒物に、イノシトールヘキサニコチネート又は/及びニコチン酸類、更に製剤学的に許容される添加物を加えて、アルコールの存在下に混合造粒して得た造粒物からなることを特徴とする用時溶解型ビタミン製剤。
  2. 固形のビタミンE類がコハク酸トコフェロールカルシウムである請求項1に記載の用時溶解型ビタミン製剤。
  3. 非イオン性界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステルである請求項1又は2に記載の用時溶解型ビタミン製剤。
  4. 更に矯味剤、滑沢剤及び香料から選ばれる1種以上を配合したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の用時溶解型ビタミン製剤。
  5. 固形のビタミンE類と非イオン性界面活性剤とを混合し、水を添加しながら混合造粒して得た造粒物に、イノシトールヘキサニコチネート又は/及びニコチン酸類、さらに製剤学的に許容される添加物を加えて、アルコールの存在下に混合造粒したことを特徴とする用時溶解型ビタミン製剤の製造方法。
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