JP2009024808A - 密封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トルクを大幅に低減できると共に、ばらけが発生することがない密封装置を提供すること。
【解決手段】スリンガ52の内輪に固定されている固定部65の外周面に、周方向に延在すると共に径方向の外方に突出する突出部70を形成する。リップにおいて径方向の最内方に位置する第2アキシアルリップ55は、弾性部材51がスリンガ52に組み込まれた後の使用時の非摩耗状態において、スリンガ52の固定部65に対して間隔をおいて位置する。第2アキシアルリップ55は、屈曲部72を有し、屈曲部72の先端は、第2アキシアルリップ55において最内方に位置する。屈曲部72が軸方向において突出部70とスリンガ52のフランジ部66との間に位置している状態で、かつ、弾性部材51がスリンガ52に組み込まれた後の未使用時に、屈曲部72は軸方向において突出部70に重なる部分を有する。
【選択図】図3
【解決手段】スリンガ52の内輪に固定されている固定部65の外周面に、周方向に延在すると共に径方向の外方に突出する突出部70を形成する。リップにおいて径方向の最内方に位置する第2アキシアルリップ55は、弾性部材51がスリンガ52に組み込まれた後の使用時の非摩耗状態において、スリンガ52の固定部65に対して間隔をおいて位置する。第2アキシアルリップ55は、屈曲部72を有し、屈曲部72の先端は、第2アキシアルリップ55において最内方に位置する。屈曲部72が軸方向において突出部70とスリンガ52のフランジ部66との間に位置している状態で、かつ、弾性部材51がスリンガ52に組み込まれた後の未使用時に、屈曲部72は軸方向において突出部70に重なる部分を有する。
【選択図】図3
Description
本発明は、密封装置に関する。
従来、密封装置としては、実開平4−93571号公報(特許文献1)に記載されているものがある。
この密封装置は、ハブユニットのインナーレースとアウターレースとの間に配置されている。この密封装置は、芯金部材と、芯金部材に固定された弾性部材と、断面L字状のスリンガと、ガータスプリングとを備える。上記スリンガは、軸方向延在部と、径方向延在部とからなり、上記弾性部材は、上記軸方向延在部に常に摺動するラジアルリップと、上記径方向延在部に摺動する第1アキシアルリップと、第1アキシアルリップの径方向の内方に位置すると共に、上記径方向延在部に摺動する第2アキシアルリップとを有する。上記第2アキシアルは、径方向の外方の表面に環状溝を有している。
上記ガータスプリングは、上記第2アキシアルリップの上記環状溝に嵌入されている。上記ガータスプリングは、第2アキシアルリップを径方向の内方に押圧する役割を果たしている。
このような背景において、ハブユニットにおいて、転動体を外部に対して密封する密封装置のトルクの大幅な低減が所望されている。また、従来、密封装置の搬送時や、密封装置の組み立て時に、スリンガと、弾性部材および芯金部材とが分離して、密封装置がばらけることがある。このことから、密封装置がばらけることを防止することが所望されている。
実開平4−93571号公報(第1図)
そこで、本発明の課題は、トルクを大幅に低減できると共に、ばらけが発生することがない密封装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の密封装置は、
筒状の固定部と、この固定部から上記固定部の略径方向に延在する径方向延在部とを有する芯金部材と、
上記芯金部材に固定された弾性部材と、
外周に突出部を有する筒状の固定部と、この固定部から略上記径方向に延在するフランジ部とを有するスリンガと
を備え、
上記弾性部材は、
上記芯金部材の上記径方向延在部に固定されている基部と、
上記基部から延在して、上記フランジ部に摺動する第1アキシアルリップと、
上記第1アキシアルリップと上記スリンガの上記固定部との間に位置して上記フランジ部に摺動する第2アキシアルリップと
からなり、
上記第2アキシアルリップは、上記基部から上記スリンガの上記固定部に近づく方向に延在する第1部分と、上記第1部分に屈曲部を介してつながると共に、上記スリンガの上記固定部に対して遠ざかる方向に延在して上記フランジ部に摺動する第2部分とを有する一方、上記弾性部材が上記スリンガに組み込まれた後の組込後の使用時の非摩耗状態において、上記スリンガの上記固定部に対して間隔をおいて位置しており、
上記屈曲部が上記軸方向において上記突出部と上記スリンガの上記フランジ部との間に位置している状態で、上記弾性部材が上記スリンガに組み込まれた後の組込後の未使用時に、上記屈曲部は、上記軸方向において上記スリンガの上記固定部の上記突出部に重なる部分を有していることを特徴としている。
筒状の固定部と、この固定部から上記固定部の略径方向に延在する径方向延在部とを有する芯金部材と、
上記芯金部材に固定された弾性部材と、
外周に突出部を有する筒状の固定部と、この固定部から略上記径方向に延在するフランジ部とを有するスリンガと
を備え、
上記弾性部材は、
上記芯金部材の上記径方向延在部に固定されている基部と、
上記基部から延在して、上記フランジ部に摺動する第1アキシアルリップと、
上記第1アキシアルリップと上記スリンガの上記固定部との間に位置して上記フランジ部に摺動する第2アキシアルリップと
からなり、
上記第2アキシアルリップは、上記基部から上記スリンガの上記固定部に近づく方向に延在する第1部分と、上記第1部分に屈曲部を介してつながると共に、上記スリンガの上記固定部に対して遠ざかる方向に延在して上記フランジ部に摺動する第2部分とを有する一方、上記弾性部材が上記スリンガに組み込まれた後の組込後の使用時の非摩耗状態において、上記スリンガの上記固定部に対して間隔をおいて位置しており、
上記屈曲部が上記軸方向において上記突出部と上記スリンガの上記フランジ部との間に位置している状態で、上記弾性部材が上記スリンガに組み込まれた後の組込後の未使用時に、上記屈曲部は、上記軸方向において上記スリンガの上記固定部の上記突出部に重なる部分を有していることを特徴としている。
上記使用時の非摩耗状態とは、スリンガと、シール部材(芯金部材および弾性部材からなる)との軸方向の予圧が、密封装置を運転する状態で、かつ、密封装置の使用の開始時(リップが非摩耗状態)での所定値になっている状態のことをいう。また、上記組込後の未使用時とは、スリンガに、シール部材(芯金部材および弾性部材からなる)が組み付けられ、かつ、スリンガと、シール部材との軸方向の予圧が、上記所定値よりも小さい状態のことをいう。
本発明者は、芯金部材、弾性部材および断面L字状のスリンガを有する所謂パックシール型の密封装置であって、ラジアルリップを2つ有すると共に、アキシアルリップを1つ有する密封装置において、全てのリップについて、リップの接触荷重に起因するトルクの大きさを調査した。その結果、2つのラジアルリップの接触荷重に起因するトルクの全トルクに対する割合が、8割程度にも達し、トルクの大部分は、ラジアルシールの接触荷重に起因するものであることを発見した。
本発明によれば、弾性部材が上記スリンガに組み込まれた後の組込後の使用時の非摩耗状態において、第2アキシアルリップが、スリンガの固定部に対して径方向に間隔をおいて位置していて、ラジアルリップが存在しない状態になっているから、上記非摩耗状態において、トルクを急激に低減することができて、この密封装置を有する自動車等の燃費を低減できる。
また、本発明においては、ラジアル接触リップが存在する構成と比較して、非摩耗の初期状態において、ラジアル方向の接触リップが存在しないことから、トルクを格段に小さくできる一方、ラジアル方向の接触リップがないことに起因する軸方向の摩擦力がなくなり、スリンガに対して、弾性部材および芯金部材が、軸方向に移動し易くなる恐れがある。
しかしながら、本発明によれば、上記屈曲部が上記軸方向において上記突出部と上記スリンガの上記フランジ部との間に位置している状態で、かつ、組込後の未使用時において、上記屈曲部が、上記軸方向において上記突出部に重なる部分を有しているから、たとえ、スリンガに対して、弾性部材および芯金部材が、軸方向に移動したとしても、上記突出部によって、上記屈曲部の軸方向の移動が妨げられ、上記屈曲部の軸方向の位置が、上記突出部と上記フランジ部との間に制限され、弾性部材および芯金部材が、スリンガに対して際限なく軸方向に移動することがない。したがって、スリンガと、弾性部材および芯金部材とが、ばらけることがない。
また、一実施形態の密封装置では、
上記突出部は、環状であって、上記スリンガの上記固定部の周方向に延在しており、
上記弾性部材が上記スリンガに組み込まれた後の状態で、かつ、上記第2アキシアルリップの摩耗によって上記第2アキシアルリップの上記フランジ部に対する緊迫力が所定力以上低下した状態で、上記屈曲部は、上記スリンガの上記固定部に摺動する。
上記突出部は、環状であって、上記スリンガの上記固定部の周方向に延在しており、
上記弾性部材が上記スリンガに組み込まれた後の状態で、かつ、上記第2アキシアルリップの摩耗によって上記第2アキシアルリップの上記フランジ部に対する緊迫力が所定力以上低下した状態で、上記屈曲部は、上記スリンガの上記固定部に摺動する。
上記実施形態によれば、上記スリンガの上記固定部が、第2アキシアルリップの方に突出する環状の突出部を有しているから、上記スリンガの固定部の突出部と、第2アキシアルリップとで、ラビリンスシールを構成することができて、密封装置の密封性能を向上させることができる。
また、上記実施形態によれば、第2アキシアルリップの第2部分の摩耗によって、第2アキシアルリップのフランジ部に対する緊迫力が所定力以上低下した状態で、上記屈曲部が、スリンガの固定部に接触して、固定部に摺動するようになっているから、第2アキシアルリップの摩耗がすすんだとしても、ラジアルリップとしての上記屈曲部で、外部から泥水等の異物が、ハブユニットの転動体配置空間に、浸入することを抑制することができる。
また、一実施形態の密封装置では、
上記弾性部材が上記スリンガに組み込まれる前の状態において、上記第1部分の上記径方向の内方の表面は、凹面である一方、上記第2部分の上記径方向の内方の表面は、円錐面または凸面である。
上記弾性部材が上記スリンガに組み込まれる前の状態において、上記第1部分の上記径方向の内方の表面は、凹面である一方、上記第2部分の上記径方向の内方の表面は、円錐面または凸面である。
この明細書では、円錐面は、凹面に含まれる一方、凸面に含まれないものとする。
本発明者は、従来の構成の密封装置では、組込時における、径方向の内方のアキシアルリップの芯金部材側の部分の変形が大きくて、この部分に応力集中がおこって、この部分の耐久性が小さくなって、結果として、密封装置の寿命が短くなっていることを見出した。
上記実施形態によれば、上記第1部分の上記径方向の内方の表面が、上記弾性部材が上記スリンガに組み込まれる前の組込前の状態で凹面であるから、第1部分の径方向の内方の表面が凸面である場合と異なり、組込状態の初期状態において、第2アキシアルリップを、スリンガの固定部に対して非接触にするのに、第2アキシアルリップの第1部分の基部側の一部分を、集中的かつ過度に変形させる必要がなくて、第1部分全体を、その延在方向に略均等に変形させることによって、第2アキシアルリップを、スリンガの固定部に対して非接触にすることができる。したがって、第1部分の一部に局所的で過大な応力がかかることがないから、第2アキシアルリップの耐久力を格段に向上させることができて、密封装置の寿命を長くすることができる。
また、上記実施形態によれば、上記第2部分の上記径方向の内方の表面は、上記組込前の状態で円錐面または凸面であるから、上記第2部分の上記径方向の内方の表面が凹面である場合と比較して、第2アキシアルリップとスリンガのフランジ部との接触面圧を小さくすることができて、第2アキシアルリップの摩耗を抑制することができる。したがって、第2アキシアルリップが、スリンガの固定部に接触するまでの時間を、長くすることができるから、上記第2部分の上記径方向の内方の表面が凹面である場合と比較して、トルクが格段に小さい状態を、長期に亘って持続することができる。
また、一実施形態の密封装置は、上記第2部分の上記径方向の内方の表面が、滑らかにつながっている。
上記滑らかにつながるとは、密封装置の軸方向の断面において、上記第2部分の上記径方向の内方の表面が、一端から他端まで微分可能な状態であることをいう。
上記実施形態によれば、上記第2部分の上記径方向の内方の表面が、滑らかにつながっているから、組込時に第2アキシアルリップの変形に起因して生じる応力を、第2部分全体で略均等に分配して負担することができる。また、組込時に第2アキシアルリップを、径方向の外方に容易に変形させることができ、かつ、第1および第2アキシアルリップの組み込み後の使用時の非摩耗状態において、第2アキシアルリップと、スリンガの固定部との間に、所定のクリアランスを容易かつ正確に生成することができる。
また、一実施形態の密封装置は、上記組込前の状態において、上記軸方向の断面において、上記第1部分の上記径方向の内方の表面の曲率は、上記軸方向の外方にいくにしたがって大きくなっている。
「上記軸方向の外方にいくにしたがって大きくなっている」という文言には、軸方向の断面において、第1部分の上記径方向の内方の表面が、軸方向の外方にいくにしたがって、部分的に曲率が一定になっている部分を含んでいる場合も含まれるものとする。このことから、例えば、上記文言には、軸方向の断面において、第1部分の径方向の内方の表面が、基部側に位置する円錐面と、この円錐面に滑らかにつながると共に、回転楕円面等からなる凹面とからなっている場合等が含まれる。
上記実施形態によれば、上記組込前の状態において、上記軸方向の断面において、上記第1部分の上記径方向の内方の表面の曲率は、上記軸方向の外方にいくにしたがって大きくなっているから、組込時に第2アキシアルリップの変形に起因して生じる応力を、第1部分全体で略均等に分配して負担することができ、第2アキシアルリップの固定部に対する非接触状態を実現したとき、第1部分に局所的な応力の集中が発生することを確実に防止することができる。
本発明の密封装置によれば、弾性部材がスリンガに組み込まれた後の組込後の使用時の非摩耗状態において、上記弾性部材がスリンガの固定部と非接触な状態になっていて、ラジアルリップが存在しない状態になっている。したがって、上記非摩耗状態において、トルクを急激に低減することができて、この密封装置を有する自動車等の燃費を低減できる。
また、本発明の密封装置によれば、第2アキシアルリップにおいて、径方向の最内方に位置している部分を有する屈曲部が、軸方向において突出部と上記スリンガのフランジ部との間に位置している状態で、かつ、上記弾性部材が上記スリンガに組み込まれた後の組込後の未使用時に、上記屈曲部が、上記軸方向において上記突出部に重なる部分を有しているから、上記突出部によって、上記屈曲部の軸方向の移動を妨げることができ、上記屈曲部の軸方向の位置を、上記突出部と上記フランジ部との間に制限できる。したがって、スリンガと、弾性部材および芯金部材とが、ばらけることを防止できる。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の密封装置を有する転がり軸受としてのハブユニットの軸方向の断面図である。
このハブユニットは、内軸2、外輪3、内輪4、第1の玉5、第2の玉6、本発明の一実施形態の第1密封装置8、および、本発明の一実施形態の第2密封装置9を備える。
上記内軸2は、軸方向の一端部に、ブレーキディスク11を取り付ける径方向に広がる円板状のブレーキディスク取付用フランジ10を有する。このブレーキディスク取付用フランジ10の略中心を中心とする同心円上には、複数のボルト貫通穴が形成されている。ブレーキディスク取付用フランジ10に、ブレーキディスク11を当接させ、さらに、ブレーキディスク11にホイール部材13を当接させた状態で、ホイール部材13のブレーキディスク11側とは反対側の端面と、ブレーキディスク取付用フランジ10との間を、複数のボルト15で固定している。
上記内軸2の軸方向の他端部には、内輪4が外嵌されて固定されている。上記内軸2における、内輪4と、ブレーキディスク取付用フランジ10との間には、アンギュラ型の第1軌道溝16が形成されている一方、内輪4の外周面には、アンギュラ型の第2軌道溝17が形成されている。
上記外輪3は、内軸2におけるブレーキディスク取付用フランジ10よりも上記他端部側に、内軸2に径方向に対向するように、配置されている。上記外輪3は、軸方向の上記他端部側に、径方向に広がる車体側取付用フランジ14を有する。この円板状の車体側取付用フランジ14には、車体側取付用フランジ14を車体側(ナックル)に取り付けるボルトを挿入するためのボルト貫通穴が複数形成されている。上記外輪3は、外輪3の内周面に軸方向に離間配置されたアンギュラ型の第3軌道溝26および第4軌道溝27を有し、アンギュラ型の第3軌道溝26は、アンギュラ型の第4軌道溝27よりも上記一端部側に位置している。
上記第1の玉5は、内軸2の第1軌道溝16と外輪3の第3軌道溝26との間に、保持器18に保持された状態で、周方向に所定の間隔を隔てられて複数配置されている。上記第2の玉6は、内輪4の第2軌道溝17と外輪3の第4軌道溝27との間に、保持器19に保持された状態で、周方向に所定の間隔を隔てられて複数配置されている。
上記第1密封装置8は、内軸2と外輪3との間における、軸方向の上記一端部側(ブレーキディスク取付用フランジ10側)の開口付近に配置されている。上記第1密封装置8は、内軸2と外輪3との間の空間の上記一端部側の開口を密封している。一方、上記第2密封装置9は、内輪4と外輪3との間における、軸方向の上記他端部側(ブレーキディスク取付用フランジ10側とは反対側)の開口付近に配置されている。上記第2密封装置9は、内輪4と外輪3との間の空間の上記他端部側の開口を密封している。
図2および図3は、上記第1密封装置8の構造を、詳細に説明する断面図である。詳しくは、図2は、組み付け位置での、芯金部材50、弾性部材51およびスリンガ52の位置関係を示す軸方向の断面図である。図2では、弾性部材51の位置として、弾性部材51がスリンガ52から力を受けないと仮定した場合における、弾性部材の組み付け位置での位置を示している。一方、図3は、弾性部材51をスリンガ52に組み付けた状態で、かつ、弾性部材51が摩耗していない使用時の非摩耗状態での、弾性部材51の位置と、スリンガ52の位置とを示す断面図である。上記第2密封装置9は、第1密封装置8と同一の構造を有している。第2密封装置9についての説明は、第1密封装置8の説明をもって省略する。
図2に示すように、第1密封装置(以下、単に密封装置という)8は、芯金部材50と、弾性部材51と、スリンガ52とを有する。芯金部材50は環状に形成され、断面L字状の形状を有している。芯金部材50は、固定部としての筒状の軸方向延在部60と、径方向延在部61からなる。上記軸方向延在部60は、外輪3(図1参照、図2には、図示せず)の内周面に内嵌されて固定されている。上記径方向延在部61は、軸方向延在部60の内周面における軸方向の上記他端部側(図2の紙面における左側)から略径方向の内方に延在している。
上記スリンガ52は環状に形成され、断面L字状の形状を有している。上記スリンガ52は、筒状の固定部65と、固定部65につながるフランジ部66とを有する。上記固定部65は、内周面68と、外周面69とを有する。上記固定部65の内周面68は、内軸2の外周面に外嵌されて固定されている。一方、上記固定部65の外周面69は、その外周面69の径方向の外方に突出する環状の突出部70を有している。上記突出部70は、スリンガ52の固定部65の外周面69の周方向に延在している。尚、第2密封装置9においては、スリンガが固定されている部材が、内輪4であることは言うまでもない。上記フランジ部66は、固定部65の外周面の軸方向の外方側(紙面における右側)の端部から略径方向の外方側に延在している。上記フランジ部66は、芯金部材50の径方向延在部61よりもハブユニットの軸方向の外方に位置している。上記フランジ部66の径方向の内方の一部を除いた大部分は、径方向延在部61に対して隙間を介して軸方向に対向している。
上記弾性部材51は環状に形成され、軸方向延在部60の内周面全面と、軸方向延在部60の内周面につながる径方向延在部61の軸方向の外方側の端面全面とを覆うように、芯金部材50に固着されている。上記弾性部材は、基部53と、第1アキシアルリップ54と、第2アキシアルリップ55とを有する。上記弾性部材51は、具体的には、ゴム材からなる。ゴム材としては、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、または、フッ素ゴムが好適に用いられる。
上記基部53は、軸方向延在部60の内周面および径方向延在部61の軸方向の外方側の端面に沿うように配置されている。上記基部53は、軸方向延在部60の内周面および径方向延在部61の上記外方側の端面に固着されている。上記第1アキシアルリップ54は、基部53から外輪3(図1参照)側かつ軸方向の外方側(フランジ部66側)に延在している。
上記第2アキシアルリップ55は、第1アキシアルリップ54の径方向の内軸2(図1参照)側(径方向の内方側)に、第1アキシアルリップ54に対して径方向に間隔をおいて位置している。上記第2アキシアルリップ55は、第1部分56と、第2部分57と、屈曲部72とを有する。上記第1部分56は、基部53から径方向の内軸2側かつ軸方向の外方側に延在している一方、第2部分57は、径方向の外輪3側かつ軸方向の外方側に延在している。上記屈曲部72は、第1部分56と第2部分57との間に位置し、第1部分56と第2部分57とを連結している。上記屈曲部72は、断面略V字状または断面略U字状の形状を有している。軸方向の断面において、上記屈曲部72の先端は、径方向の最内方に位置している。
図2に示すように、弾性部材51がスリンガ52から力を受けないと仮定した場合の弾性部材51の位置は、組み付け位置において、スリンガ52と重なっている。詳しくは、弾性部材51の第1アキシアルリップ54の軸方向の外方の先端部、および、弾性部材51の第2アキシアルリップ55の軸方向の外方の先端部は、スリンガ52のフランジ部66と重なり、第2アキシアルリップ55の屈曲部72は、スリンガ52の固定部65と重なっている。
また、図2に示すように、弾性部材51がスリンガ52に組み込まれる前の状態において、第1部分56の径方向の内方の表面58は、凹面である一方、第2部分57の径方向の内方の表面59は、円錐面になっている。軸方向の断面において、第1部分56の径方向の内方の表面58の曲率は、軸方向の外方(フランジ部66側)にいくにしたがって大きくなっている。具体的には、軸方向の断面において、第1部分56の径方向の内方の表面58は、基部53側に位置する略円錐面状の部分と、この円錐面状の部分に滑らかにつながると共に、軸方向の外方(フランジ部66側)にいくにしたがって曲率が大きくなっている略回転楕円面の一部からなる部分とからなっている。
上記第2部分57の径方向の内方の表面59は、軸方向の断面において、一端から他端まで微分可能になっており、上記表面59は、滑らかにつながっている。
図3に示すように、第1アキシアルリップ54、および、第2アキシアルリップ55の第2部分57は、組み付け時において、芯金部材50と弾性部材51とを有するシール部材とスリンガ52との軸中心を中心とする相対回転によりスリンガ52のフランジ部66に摺動するようになっている。また、図3に示すように、組み付け状態、かつ、組込後の使用時の非摩耗状態において、第2アキシアルリップ55は、スリンガ52の固定部65に対して径方向に間隔をおいて位置している。すなわち、図2および図3に示すように、組み付け時に、第1アキシアルリップ54、および、第2アキシアルリップ55の第2部分57が、スリンガ52のフランジ部66の表面に沿って径方向の外方に移動することによって、第2アキシアルリップ55の屈曲部72が、径方向の外方に移動して、屈曲部72が、固定部65の外周面から径方向の外方に浮上するようになっている。
図2に示すように、第2アキシアルリップ55の屈曲部72が、軸方向においてスリンガ52の突出部70とスリンガ52のフランジ部66との間に位置している状態で、かつ、弾性部材51がスリンガ52に組み込まれた後の組込後の未使用時において、屈曲部72は、軸方向においてスリンガ52の突出部70に重なる部分(図2から、これは、屈曲部72の径方向の内方の部分に相当している)を有している。
また、図2より明らかなように、弾性部材51がスリンガ52から力を受けないと仮定した場合の屈曲部72の位置は、固定部65に重なるように設定されている。第2アキシアルリップ55の第2部分57の摩耗によって、第2アキシアルリップ55のフランジ部66に対する緊迫力が所定力以上低下した状態で、屈曲部72は、スリンガ52の固定部65に接触して、固定部65に摺動するようになっている。
上記第2アキシアルリップ55の第2部分57の摩耗によって、第2アキシアルリップ55のフランジ部66に対する緊迫力が所定力以上低下して、第2アキシアルリップ55の屈曲部72が、スリンガ52の固定部65に接触している状態においても、スリンガ52の突出部70が、第2アキシアルリップ55に間隔をおいて位置するようになっている。
また、図3に示すように、組み付け状態、かつ、組込後の使用時の非摩耗状態において、第2アキシアルリップ55の屈曲部72が、軸方向においてスリンガ52の突出部70とスリンガ52のフランジ部66との間に位置している状態で、屈曲部72が、軸方向においてスリンガ52の突出部70に重なる部分(図3から、これは、屈曲部72の径方向の内方の部分に相当している)を有している。
如何なる状態においても、第2アキシアルリップ55と、スリンガ52の固定部65の突出部70とは、狭い通路を介して径方向に対向している。如何なる状態においても、第2アキシアルリップ55と、スリンガ52の固定部65の突出部70とは、ラビリンスシールを構成している。
上記第1アキシアルリップ54と第2アキシアルリップ55とスリンガ52の形成する空間や、第2アキシアルリップ55とスリンガ52とが対向する空間には、潤滑剤として適量のグリースが封入または塗布されている。このグリースによって、第1アキシアルリップ54とスリンガ52との摺動部、および、第2アキシアルリップ55とスリンガ52との摺動部の潤滑が行われるようになっている。
図4は、一実験例における、比較品の密封装置および上記実施形態の密封装置の夫々において、各リップが非摩耗な状態になっている場合における、各リップの全接触荷重に対する接触荷重比と、比較品の密封装置270の全接触荷重に対する上記実施形態の密封装置の全接触荷重の比を示す図である。
ここで、上記比較品の密封装置270とは、図7に示す芯金部材250、弾性部材251および断面L字状のスリンガ252を有する所謂パックシール型の密封装置であって、1つのアキシアルリップ271と、2つのラジアルリップ(主リップ272および補助リップ273)とを有する密封装置である。
図7は、比較例の密封装置270において、弾性部材251がスリンガ252から力を受けないと仮定した場合における、弾性部材251の組み付け位置での、弾性部材251の存在位置を示している。
図4に示すように、比較品の密封装置270においては、ラジアルリップ(2つの合計)の全接触荷重に対する接触荷重比が、8割にも達する一方、アキシアルリップの全接触荷重に対する接触荷重比は、2割程度になっている。このことから、ラジアルリップの接触荷重を低減できれば、トルクを大幅に低減することができる。
したがって、2つのアキシアルリップを有するのみで、ラジアルリップを有さない上記実施形態の密封装置においては、比較品の全接触荷重に対する全接触荷重の接触荷重比が、4割しか達しておらず、接触荷重を急激に低減することができる。
図5は、一実験例における、上記比較品の密封装置270と、上記実施形態の密封装置の夫々における、回転数と、回転トルクとの関係を示す図である。
回転数が低い領域から高い領域にわたって、比較品に対して上記実施形態の密封装置のトルクは、比較品の密封装置のトルクの5割程度になっている。すなわち、上記実施形態の密封装置のトルクは、比較品と比較して、急激に小さくなっている。なお、この試験は、上記実施形態の密封装置も比較品の密封装置270も潤滑剤(グリース等)を使用せずに実施している。
上記実施形態の密封装置によれば、第2アキシアルリップ55のフランジ部66に対する緊迫力が所定力以上低下する迄、弾性部材51がスリンガ52の固定部65と非接触な状態になっていて、ラジアルリップが存在しない状態になっているから、第2アキシアルリップ55のフランジ部66に対する緊迫力が所定力以上低下する迄、ラジアルリップを有する密封装置と比較して、トルクを50%程度急激に低減することができる。したがって、この密封装置を有する自動車等の燃費を低減することができて、この密封装置を有する自動車等のCO2排出量を低減でき、地球温暖化の抑制に貢献できる。
また、上記実施形態の密封装置においては、ラジアル接触リップが存在する構成と比較して、非摩耗の初期状態において、ラジアル方向の接触リップが存在しないことから、トルクを格段に小さくできる一方、ラジアル方向の接触リップがないことに起因する軸方向の摩擦力がなくなり、スリンガ52に対して、芯金部材50および弾性部材51が、軸方向に移動し易くなる恐れがある。
しかしながら、上記実施形態の密封装置によれば、上記屈曲部72が軸方向において突出部70とスリンガ52のフランジ部66との間に位置している状態で、かつ、弾性部材51がスリンガ52に組み込まれた後の組込後の未使用時において、屈曲部72が、軸方向において突出部70に重なる部分を有しているから、たとえ、スリンガ52に対して、弾性部材51および芯金部材50が、軸方向に移動したとしても、突出部70によって、屈曲部72の軸方向の移動が妨げられ、屈曲部72の軸方向の位置が、突出部70とフランジ部66との間に制限され、弾性部材51および芯金部材50が、スリンガ52に対して際限なく軸方向に移動することがない。したがって、スリンガ52と、弾性部材51および芯金部材50とが、ばらけることがない。
また、上記実施形態の密封装置によれば、第2アキシアルリップ55と、スリンガ52の固定部65の突出部70とが、狭い通路を介して径方向に対向し、第2アキシアルリップ55と、スリンガ52の固定部65の突出部70とが、ラビリンスシールを構成しているから、密封装置の密封性能を向上させることができる。
また、上記実施形態の密封装置によれば、第1部分56の径方向の内方の表面58が、弾性部材51がスリンガ52に組み込まれる前の組込前の状態で凹面であるから、第1部分が凸面である場合と異なり、組込後の使用時の非摩耗状態において、第2アキシアルリップ55を、スリンガ52の固定部65に対して非接触にするのに、第2アキシアルリップ55の第1部分56の基部53側の一部分を、集中的かつ過度に変形させる必要がなく、第1部分56全体を、その延在方向に略均等に変形させることによって、第2アキシアルリップ55を、スリンガ52の固定部65に非接触にすることができる。すなわち、第1部分56の一部に局所的で過大な応力がかかることがないから、第2アキシアルリップ55の耐久力を格段に向上させることができて、密封装置の寿命を長くすることができる。
また、上記実施形態の密封装置によれば、第2部分57の径方向の内方の表面59は、組込前の状態で円錐面であるから、第2部分57の径方向の内方の表面が凹面である場合と比較して、第2アキシアルリップ55とスリンガ52のフランジ部66との接触面圧を小さくすることができて、第2アキシアルリップ55の摩耗を抑制することができる。したがって、上記第2アキシアルリップ55の屈曲部72が、スリンガ52の固定部65に接触するまでの時間を、長くすることができて、第2部分の径方向の内方の表面が凹面である場合と比較して、トルクが格段に小さい状態を、長期に亘って持続することができる。
また、上記実施形態の密封装置によれば、第2部分57の径方向の内方の表面59が、滑らかにつながっているから、組込時に第2アキシアルリップ55の変形に起因して生じる応力を、第2部分57全体で略均等に分配して負担することができる。また、組込時に第2アキシアルリップ55を、径方向の外方に容易に変形させることができ、かつ、第2アキシアルリップ55の使用時の非摩耗状態において、第2アキシアルリップ55と、スリンガ52の固定部65との間に、所定のクリアランスを容易かつ正確に生成することができる。
また、上記実施形態の密封装置によれば、組込前の状態において、軸方向の断面において、第1部分56の径方向の内方の面の曲率が、軸方向の外方にいくにしたがって大きくなっているから、組込時に第2アキシアルリップ55の変形に起因して生じる応力を、第1部分56全体で略均等に分配して負担することができ、第1部分56に局所的な応力の集中が発生することを確実に防止することができる。したがって、密封装置の寿命を更に延ばすことができる。
また、上記実施形態の密封装置によれば、第2アキシアルリップ55の第2部分57の摩耗によって、第2アキシアルリップ55のフランジ部66に対する緊迫力が所定力以上低下した状態で、屈曲部72が、スリンガ52の固定部65に接触して、固定部65に摺動するようになっているから、第2アキシアルリップ55の摩耗がすすんだとしても、ラジアルリップとしての屈曲部72で、外部からの泥水がハブユニットの玉8,9配置空間に、浸入することを抑制できる。
尚、上記実施形態の密封装置では、スリンガ52の外周面に形成された突出部70が、環状であったが、この発明では、スリンガの外周面に形成される突出部は、環状でなくても良い。
また、上記実施形態の密封装置では、第2部分57の径方向の内方の表面59は、組込前の状態で円錐面であったが、この発明では、第2部分の径方向の内方の表面は、組込前の状態で凸面であっても良い。
また、上記実施形態の密封装置では、軸方向の断面において、第1部分56の径方向の内方に位置する凹面である表面58は、基部53側に位置する略円錐面状の部分と、この円錐面状の部分に滑らかにつながると共に、軸方向の外方(フランジ部66側)にいくにしたがって曲率が大きくなっている略回転楕円面の一部からなる部分とからなっていたが、この発明では、軸方向の断面において、第1部分の径方向の内方に位置する表面全体が、円錐面、または、軸方向の外方(フランジ部側)にいくにしたがって曲率が大きくなっている回転楕円面の一部からなる部分であっても良い。この発明では、第1部分の径方向の内方に位置する表面は、軸方向の断面において、軸方向の外方(フランジ部側)にいくにしたがって曲率が大きくなっている形状であれば、如何なる形状であっても良い。
また、上記ハブユニットでは、玉配置空間(潤滑剤封入空間)の軸方向の両側の開口の近傍に、本発明の密封装置が配置されていたが、本発明の密封装置は、ハブユニットの転動体(玉でなくて、ころであっても良い、また、玉ところの両方であっても良い)配置空間(潤滑剤封入空間)の軸方向の片側の開口の近傍にみに配置されても良い。
図6は、本発明の密封装置99を備えたウォータポンプの上記密封装置99周辺の拡大断面図である。
このウォータポンプは、ポンプ軸100と、メカニカルシール101と、ポンプハウジング102と、外輪105と、本発明の密封装置99とを有している。上記ポンプハウジング102は、ポンプハウジング102を貫通する水抜き穴107を有している。また、外輪105は、ポンプハウジング102の内周面に内嵌されて固定されている。
上記ポンプ軸100、外輪105、および、密封装置99は、ウォータポンプのウォータポンプ軸受の一部をなしている。すなわち、図示しないが、外輪105の内周面の図6に矢印aで示す側には、軸方向に間隔をおいて、密封装置99に近い方から、深溝型の軌道溝と、円筒軌道面が形成されている一方、ポンプ軸100の外周面の図6に矢印aで示す側には、軸方向に間隔をおいて、密封装置99に近い方から、深溝型の軌道溝と、円筒軌道面が形成されている。
外輪105の上記軌道溝と、ポンプ軸100の上記軌道溝との間には、保持器に保持された状態の玉が、周方向に所定の間隔を隔てられて複数配置されている。また、外輪105の上記円筒軌道面と、ポンプ軸100の上記円筒軌道面との間には、保持器に保持された状態の円筒ころが、周方向に所定の間隔を隔てられて複数配置されている。
上記密封装置99の芯金部150は、外輪105の内周面に内嵌されて固定されている一方、密封装置99のスリンガ152は、ポンプ軸100の外周面に外嵌されて固定されている。上記密封装置99は、外輪105と、ポンプ軸100との間における、メカニカルシール101側の開口を密封している。このようにして、メカニカルシール101から矢印bで示す方向に漏れだしたポンプ室の冷却水が、ウォータポンプ軸受の内部に入ることを防止している。
上記漏れだしたポンプ室の冷却水は、ポンプハウジング102に形成された水抜き穴107を介して矢印cに示す方向に外部に確実に排出されるようになっている。尚、図6において、111は、メカニカルシール101のゴムスリーブを示し、110は、メカニカルシール101のコイルバネを示している。
図6に示すウォータポンプのように、本発明の密封装置を、ウォータポンプに設置すると、ウォータポンプにおけるウォータポンプ軸受のトルクを低減できて、ウォータポンプを有する自動車等の燃費を低減できる。
また、第1アキシアルリップ154よりも径方向の内方に位置する第2アキシアルリップ155の屈曲部172が、軸方向においてスリンガ152の突出部170とスリンガ152のフランジ部166との間に位置している状態で、かつ、弾性部材151がスリンガ152に組み込まれた後の組込後の未使用時において、屈曲部172は、軸方向において突出部170に重なる部分を有している。したがって、たとえ、スリンガ152に対して、弾性部材151および芯金部材150が、軸方向に移動したとしても、突出部170によって、屈曲部172の軸方向の移動が妨げられ、屈曲部172の軸方向の位置が、突出部170とフランジ部166との間に制限され、弾性部材151および芯金部材150が、スリンガ152に対して際限なく軸方向に移動することがない。したがって、ウォータポンプの搬送時や組み立て時に、スリンガ152に対して芯金部150および弾性部151がばらけることを防止できる。
尚、上記実施例では、本発明の密封装置を、ハブユニットや、ウォータポンプに設定した。しかしながら、本発明の密封装置を、モータにおける、ロータとステータとの間に設定しても良く、この場合、モータの運転コストを低減することができる。本発明の密封装置を、単なる転がり軸受の内輪と外輪との間に配設しても良い。本発明の密封装置は、内周面を有する第1部材と、外周面を有する第2部材とを有し、かつ、上記第1部材と、上記第2部材とが、上記第1部材の内周面の径方向に対向する装置であれば、如何なる機械にも設置することができる。そして、本発明の密封装置を設置した機械の運転コストを低減することができると共に、その機械において密封装置がばらけることを防止できる。
2 内軸
3 外輪
4 内輪
5 第1の玉
6 第2の玉
8 第1密封装置
9 第2密封装置
50,150 芯金部材
51,151 弾性部材
52,152 スリンガ
53 基部
54,154 第1アキシアルリップ
55,155 第2アキシアルリップ
56 第1部分
57 第2部分
58 第1部分の径方向の内方の表面
59 第2部分の径方向の内方の表面
60 軸方向延在部
61 径方向延在部
65,165 固定部
66,166 フランジ部
70,170 突出部
72,172 第2アキシアルリップの屈曲部
99 密封装置
3 外輪
4 内輪
5 第1の玉
6 第2の玉
8 第1密封装置
9 第2密封装置
50,150 芯金部材
51,151 弾性部材
52,152 スリンガ
53 基部
54,154 第1アキシアルリップ
55,155 第2アキシアルリップ
56 第1部分
57 第2部分
58 第1部分の径方向の内方の表面
59 第2部分の径方向の内方の表面
60 軸方向延在部
61 径方向延在部
65,165 固定部
66,166 フランジ部
70,170 突出部
72,172 第2アキシアルリップの屈曲部
99 密封装置
Claims (2)
- 筒状の固定部と、この固定部から上記固定部の略径方向に延在する径方向延在部とを有する芯金部材と、
上記芯金部材に固定された弾性部材と、
外周に突出部を有する筒状の固定部と、この固定部から略上記径方向に延在するフランジ部とを有するスリンガと
を備え、
上記弾性部材は、
上記芯金部材の上記径方向延在部に固定されている基部と、
上記基部から延在して、上記フランジ部に摺動する第1アキシアルリップと、
上記第1アキシアルリップと上記スリンガの上記固定部との間に位置して上記フランジ部に摺動する第2アキシアルリップと
からなり、
上記第2アキシアルリップは、上記基部から上記スリンガの上記固定部に近づく方向に延在する第1部分と、上記第1部分に屈曲部を介してつながると共に、上記スリンガの上記固定部に対して遠ざかる方向に延在して上記フランジ部に摺動する第2部分とを有する一方、上記弾性部材が上記スリンガに組み込まれた後の組込後の使用時の非摩耗状態において、上記スリンガの上記固定部に対して間隔をおいて位置しており、
上記屈曲部が上記軸方向において上記突出部と上記スリンガの上記フランジ部との間に位置している状態で、上記弾性部材が上記スリンガに組み込まれた後の組込後の未使用時に、上記屈曲部は、上記軸方向において上記スリンガの上記固定部の上記突出部に重なる部分を有していることを特徴とする密封装置。 - 請求項1に記載の密封装置において、
上記突出部は、環状であって、上記スリンガの上記固定部の周方向に延在しており、
上記弾性部材が上記スリンガに組み込まれた後の状態で、かつ、上記第2アキシアルリップの摩耗によって上記第2アキシアルリップの上記フランジ部に対する緊迫力が所定力以上低下した状態で、上記屈曲部は、上記スリンガの上記固定部に摺動することを特徴とする密封装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007211796A (ja) * | 2006-02-07 | 2007-08-23 | Ntn Corp | 車輪用軸受装置 |
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2007
- 2007-07-20 JP JP2007189564A patent/JP2009024808A/ja active Pending
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