JP2009018709A - 車両およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピットロードからコースに復帰した後のドライバーからの車両の加速要求に対処できるようにする。
【解決手段】ピットモードスイッチ88がオンされたときに、ブレーキペダル85が踏み込まれていないときにはエンジン32からの動力の一部を用いてモータ36から発電トルクを出力してキャパシタ50が充電されるようモータ36を制御すると共に車速が制限車速以下となるようエンジン32を制御し、ブレーキペダル85が踏み込まれているときにはブレーキ踏力に基づいてキャパシタ50が充電されるよう前輪用モータ24,26を制御する。これにより、キャパシタ50の端子間電圧を比較的高い電圧にしておくことができ、車両がその後にピットロードからコースに復帰してドライバーが車両を加速させたときにその加速要求に対処することができる。
【選択図】図1
【解決手段】ピットモードスイッチ88がオンされたときに、ブレーキペダル85が踏み込まれていないときにはエンジン32からの動力の一部を用いてモータ36から発電トルクを出力してキャパシタ50が充電されるようモータ36を制御すると共に車速が制限車速以下となるようエンジン32を制御し、ブレーキペダル85が踏み込まれているときにはブレーキ踏力に基づいてキャパシタ50が充電されるよう前輪用モータ24,26を制御する。これにより、キャパシタ50の端子間電圧を比較的高い電圧にしておくことができ、車両がその後にピットロードからコースに復帰してドライバーが車両を加速させたときにその加速要求に対処することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両およびその制御方法に関する。
従来、この種の車両としては、内燃機関とモータと駆動輪に連結されたトランスミッションとを直結すると共にモータと電力のやり取りが可能なキャパシタを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−160271号公報
一般に、こうした車両では、キャパシタの端子間電圧が低いと、キャパシタに蓄えた電力を用いてモータを駆動する際にモータから十分なパワーを出力することができなくなる。また、レースを行なうときには、ドライバーは、通常、ピットロードからコースに復帰した後にアクセルペダルを大きく踏み込むと考えられる。これらより、ピットロードを走行するときには、その後にピットロードからコースに復帰した後のドライバーからの車両の加速要求に対処できるようにしておくことが望ましい。
本発明の車両およびその制御方法は、車両がピットロードからコースに復帰した後のドライバーからの車両の加速要求に対処できるようにすることを主目的とする。
本発明の車両およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を入出力可能な電動機と、前記電動機と電力のやり取りが可能なキャパシタと、を備える車両であって、
ピットロードを走行する際に用いられるピットモードが設定されているピットモード時には、前記キャパシタへの充電が許容される範囲内での該キャパシタの充電を伴って所定車速以下で走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を入出力可能な電動機と、前記電動機と電力のやり取りが可能なキャパシタと、を備える車両であって、
ピットロードを走行する際に用いられるピットモードが設定されているピットモード時には、前記キャパシタへの充電が許容される範囲内での該キャパシタの充電を伴って所定車速以下で走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両では、ピットロードを走行する際に用いられるピットモードが設定されているピットモード時には、キャパシタへの充電が許容される範囲内でのキャパシタの充電を伴って所定車速以下で走行するよう内燃機関と電動機とを制御する。これにより、ピットロードを走行しているときに、キャパシタの電圧を比較的高い状態にしておくことができる。この結果、車両がその後にピットロードからコースに復帰してドライバーが車両を加速させたいときに、電動機にその性能を十分に発揮させる電力を供給することができ、ドライバーの加速要求に対処することができる。
こうした本発明の車両において、前記電動機は、前記内燃機関の出力軸に接続された出力軸用電動機を有し、前記制御手段は、前記ピットモード時にブレーキ操作が行なわれていないときには、前記内燃機関から出力される動力の一部を用いて前記出力軸用電動機により発電して前記キャパシタへの充電が行なわれるよう前記出力軸用電動機を制御する手段である、ものとすることもできる。この場合、出力軸用電動機により発電された電力がキャパシタに充電される。
また、本発明の車両において、前記制御手段は、前記ピットモード時にブレーキ操作が行なわれているときには、前記電動機の回生駆動により前記キャパシタへの充電が行なわれるよう該電動機を制御する手段であるものとすることもできる。この場合、電動機により回生された電力がキャパシタに充電される。こうした態様の本発明の車両において、前記電動機は、前記内燃機関の出力軸が接続された車軸である第1の車軸とは異なる第2の車軸に取り付けられた車軸用電動機を有し、前記制御手段は、前記電動機の回生駆動により前記キャパシタの充電を行なうときには、前記車軸用電動機を回生制御する手段である、ものとすることもできる。ここで、「車軸用電動機」は、前記第2の車軸に取り付けられた車輪に直接動力を出力するインホイールモータであるものとすることもできる。
さらに、本発明の車両において、前記電動機と電力のやり取りが可能な機器として前記キャパシタのみを搭載するものとすることもできる。
本発明の車両の制御方法は、
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を入出力可能な電動機と、前記電動機と電力のやり取りが可能なキャパシタと、を備える車両の制御方法であって、
ピットロードを走行する際に用いられるピットモードが設定されているピットモード時には、前記キャパシタへの充電が許容される範囲内での該キャパシタの充電を伴って所定車速以下で走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を入出力可能な電動機と、前記電動機と電力のやり取りが可能なキャパシタと、を備える車両の制御方法であって、
ピットロードを走行する際に用いられるピットモードが設定されているピットモード時には、前記キャパシタへの充電が許容される範囲内での該キャパシタの充電を伴って所定車速以下で走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の車両の制御方法では、ピットロードを走行する際に用いられるピットモードが設定されているピットモード時には、キャパシタへの充電が許容される範囲内でのキャパシタの充電を伴って所定車速以下で走行するよう内燃機関と電動機とを制御する。これにより、ピットロードを走行しているときに、キャパシタの電圧を比較的高い状態にしておくことができる。この結果、車両がその後にピットロードからコースに復帰してドライバーが車両を加速させたいときに、電動機にその性能を十分に発揮させる電力を供給することができ、ドライバーの加速要求に対処することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのレース用に開発されたハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、左右前輪29a,29bに取り付けられた二つの前輪用モータ24,26を有する前輪系21と、エンジン32とエンジン32のクランクシャフト33に取り付けられたモータ36とからの動力をトランスミッション34とデファレンシャルギヤ38とを介して左右後輪39a,39bに出力する後輪系31と、前輪用モータ24,26やモータ36と電力のやり取りを行なうキャパシタ50と、左右前輪29a,29bや左右後輪39a,39bに取り付けられたホイールシリンダ66a,66b,68a,68bに油圧を作用させることにより制動トルクを付与する電子制御式油圧ブレーキユニット(以下、「ECB」という。)60と、ハイブリッド自動車20の全体をコントロールするメイン電子制御ユニット70とを備える。
前輪用モータ24,26は、同期発電電動機や減速機、ハブベアリング等を一体化したいわゆるインホイールモータとして構成された互いに同一のものであり、インバータ42,44を介してキャパシタ50と電力のやりとりを行なう。すなわち、前輪用モータ24,26は、左右前輪29a,29bに対して制動力や駆動力を左右独立に分配して出力可能な動力ユニットとして機能する。前輪用モータ24,26は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という。)40により駆動制御を受けている。
エンジン32は、ガソリンまたは軽油等の炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン32の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するメイン電子制御ユニット70により燃料噴射量や点火時期、吸入空気量等の制御を受けている。
トランスミッション34は、例えば油圧駆動の6速の変速機として構成されており、ドライバーによるアップスイッチ81やダウンスイッチ82の操作に基づく信号を入力するメイン電子制御ユニット70によりアップシフトやダウンシフトが行なわれるよう変速制御される。
モータ36は、発電機として作動することができると共に電動機として作動可能な周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ46を介してキャパシタ50と電力のやりとりを行なう。モータ36は、前輪用モータ24,26と同様に、モータECU40により駆動制御を受けている。モータECU40には、前輪用モータ24,26やモータ36を駆動制御するために必要な信号、例えば前輪用モータ24,26やモータ36の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ25,27,37からの信号や図示しない電流センサにより検出される前輪用モータ24,26やモータ36に印加される相電流等が入力されており、モータECU40からは、インバータ42,44,46へのスイッチング制御信号が出力される。インバータ42,44,46は、それぞれ6つのスイッチング素子と6つのダイオードとからなる周知のインバータ回路として構成されており、正極母線および負極母線がキャパシタ50の入出力端子に接続されている。モータECU40は、メイン電子制御ユニット70と通信しており、メイン電子制御ユニット70からの制御信号によって前輪用モータ24,26やモータ36を駆動制御すると共に必要に応じて前輪用モータ24,26やモータ36の運転状態に関するデータをメイン電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ25,27,37からの信号に基づいて前輪用モータ24,26やモータ36の回転数Nfl,Nfr,Nmも演算している。
キャパシタ50は、例えば電気二重層キャパシタとして構成されており、キャパシタ用電子制御ユニット(以下、「キャパシタECU」という。)52により充放電の制御が行なわれている。キャパシタECU52には、キャパシタ50の端子間に取り付けられた電圧センサ54により検出されるキャパシタ50の端子間電圧Vcapやキャパシタ50からの電力ラインに取り付けられた電流センサ56により検出されるキャパシタ50を流れる電流Icap,キャパシタ50に取り付けられた温度センサ58により検出されるキャパシタ50の温度Tcapなどが入力されている。キャパシタECU52は、メイン電子制御ユニット70と通信しており、必要に応じてメイン電子制御ユニット70に充放電に必要な制御信号を送信したり、キャパシタ50の状態に関するデータをメイン電子制御ユニット70に出力する。
ECB60は、ブレーキペダル85の踏み込みにより加圧されるマスタシリンダ61と、マスタシリンダ61の圧力(ブレーキ踏力)に応じて車両に作用させるべき制動力のうちのECB60の分担割合に応じた制動トルクが左右前輪29a,29bや左右後輪39a,39bに作用するようにホイールシリンダ66a,66b,68a,68bへの油圧を調整するブレーキアクチュエータ64と、ブレーキアクチュエータ64を駆動制御するブレーキ用電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という。)62と、を備える。ブレーキECU62には、マスタシリンダ61に取り付けられたマスタシリンダ圧センサ61aにより検出されるマスタシリンダ圧(ブレーキ踏力Fb)や左右前輪29a,29bおよび左右後輪39a,39bに設けられた図示しない車輪速センサからの車輪速などが入力されており、ブレーキECU62からはブレーキアクチュエータ64への駆動信号が出力されている。ブレーキECU62は、メイン電子制御ユニット70と通信しており、メイン電子制御ユニット70からの制御信号によって左右前輪29a,29bや左右後輪39a,39bに制動トルクを作用させると共に必要に応じてECB60の状態に関するデータをメイン電子制御ユニット70に出力する。
メイン電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。メイン電子制御ユニット70には、ステアリングに取り付けられてトランスミッション34のアップシフトやダウンシフトを指示するアップスイッチ81やダウンスイッチ82からの信号やアクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,セーフティーカーモードを設定するためのセーフティーカーモードスイッチ87からのオンオフ信号,ピットモードを設定するためのピットモードスイッチ88からのオンオフ信号,車速センサ89からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。メイン電子制御ユニット70は、上述したように、モータECU40やキャパシタECU52,ブレーキECU62と通信ポートを介して接続されており、モータECU40やキャパシタECU52ブレーキECU62と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、アクセルペダル83の踏み込み量に応じてエンジン32の吸入空気量などを調整すると共にキャパシタ50に蓄えられた電力を用いてモータ36からトルク出力を行ない、ブレーキペダル85の踏み込み力(踏力)に応じたブレーキトルクをECB60と前輪用モータ24,26とから出力し、前輪用モータ24,26の回生トルクの出力により得られる回生電力をキャパシタ50に蓄える。実施例では、レース用の車両としてハイブリッド自動車20を構成しているため、キャパシタ50の制御としては、キャパシタ50の最大電圧(耐圧)Vmaxより1割〜2割程度低い電圧を上限電圧Vhiとしてキャパシタ50の入力制限を行ない、前輪用モータ24,26からの回生トルクの出力によりレース用のコースを走行したときにコースにおいて最も大きな出力が要求される箇所(例えば、長い直線の入口)の直前でキャパシタ50の電圧が上限電圧Vhiとなるようにコース毎に設定された最低電圧Vsetをキャパシタ50の下限電圧Vlowとして設定して出力制限を行なう。例えば、耐圧が900Vのキャパシタを用いた場合、上限電圧Vhiとしてはコースに無関係に750Vや800Vなどを用い、下限電圧VlowとしてはAコースでは500Vを用い、Bコースでは580Vを用いるなどとして運用するのである。このように下限電圧Vlowをコース毎に設定するのは、コース上で最もモータ36からの出力が要求される箇所で最大出力によりモータ36を駆動するためである。したがって、実施例のハイブリッド自動車20では、上限電圧Vhiと下限電圧Vlowとによって設定されるキャパシタ50の使用電圧範囲に基づくキャパシタ50の入出力制限Win,Woutを用いてモータ36や前輪用モータ24,26を駆動制御することになる。なお、キャパシタ50の入力制限Winの設定については後述する。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にドライバーによりピットモードスイッチ88がオンされたときの動作について説明する。図2は、実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるピットモード時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ドライバーによりピットモードスイッチ88がオンされたときに所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
ピットモード時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、車速センサ89からの車速Vやブレーキ踏力Fb,前輪用モータ24,26やモータ36の回転数Nfr,Nfl,Nm,キャパシタ50の端子間電圧Vcapなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、ブレーキ踏力Fbは、マスタシリンダ圧センサ61aにより検出されたものをブレーキECU62から通信により入力するものとした。また、前輪用モータ24,26やモータ36の回転数Nfr,Nfl,Nmは、回転位置検出センサ25,27,37により検出された信号に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、キャパシタ50の端子間電圧Vcapは、電圧センサ54により検出されたものをキャパシタECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、キャパシタ50の端子間電圧Vcapと上限電圧Vhiとに基づいてキャパシタ50の入力制限Winを設定する(ステップS110)。キャパシタ50の入力制限Winの設定は、実施例では、上限電圧Vhiから端子間電圧Vcapを減じた値が所定値(例えば上限電圧Vhiの5%)以上のときにはキャパシタ50の定格最大入力を入力制限Winとして設定し、上限電圧Vhiから端子間電圧Vcapを減じた値が所定値未満のときには端子間電圧Vcapが上限電圧Vhiに近づくほど小さくなるように、そしてキャパシタ50の端子間電圧Vcapが上限電圧Vhiに至ったときに値0になるよう入力制限Winを設定するものとした。
続いて、ブレーキ踏力Fbが値0か否かを判定する(ステップ120)。ブレーキ踏力Fbが値0か否かの判定は、ドライバーによりブレーキペダル85が踏み込まれているか否かを判定するものである。ブレーキ踏力Fbが値0のとき、即ち、ドライバーによりブレーキペダル85が踏み込まれていないときには、キャパシタ50の目標充電パワーPcap*を設定する(ステップS130)。キャパシタ50の目標充電パワーPcap*は、例えば、固定値を用いるものとしたり、キャパシタ50の端子間電圧Vcapと上限電圧Vhiよりも若干低い目標電圧Vcap*との偏差が打ち消されるよう比例項や積分項を用いたフィードバック制御などにより設定するものとしたりすることができる。
キャパシタ50の目標充電パワーPcap*を設定すると、設定したキャパシタ50の目標充電パワーPcap*をモータ36の回転数Nmで除してモータ36から出力すべき発電トルク(負のトルク)の仮の値としての仮発電トルクTmrtmpを計算すると共に(ステップS140)、キャパシタ50の入力制限Winをモータ36の回転数Nmで除してモータ36から出力してもよい最大発電トルク(負の値)としてのトルク制限Tmrminを計算し(ステップS150)、仮発電トルクTmrtmpとトルク制限Tmrminとのうち大きい方(絶対値としては小さい方)をモータ36のトルク指令Tmr*として設定すると共に設定したトルク指令Tmr*をモータECU40に送信し(ステップS160)、車速Vに基づいてエンジン32の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なって(ステップS170)、ピットモード時制御ルーチンを終了する。トルク指令Tmr*を受信したモータECU40は、モータ36からトルク指令Tmr*に相当する発電トルクが出力されるようインバータ46のスイッチング素子をスイッチング制御する。また、メイン電子制御ユニット70は、エンジン32の制御として、車速Vが予め定められた制限車速(例えば80km/h)以下となるよう、例えば、複数気筒の場合に1以上の気筒についてフューエルカットを行なったりしている。このように走行することにより、モータ36により発電された電力がキャパシタ50に充電される。この結果、キャパシタ50の端子間電圧Vcapを比較的高い電圧にしておくことができ、ピットモードスイッチ88がオフされてドライバーが車両を加速させたいときに、モータ36にその性能を十分に発揮させる電力を供給することができる。
ステップS120でブレーキ踏力Fbが値0でないとき、即ち、ドライバーによりブレーキペダル85が踏み込まれているときには、ブレーキ踏力Fbと前輪油圧ブレーキトルクと後輪油圧ブレーキトルクと回生ブレーキトルクとの関係を予め定めてROM74に記憶させておいたブレーキトルク設定用マップから入力したブレーキ踏力Fbに対応する回生ブレーキトルクを導出して仮回生トルクTmftmpとして設定する(ステップS180)。ブレーキトルク設定用マップの一例を図3に示す。そして、キャパシタ50の入力制限Winを前輪用モータ24,26の回転数Nfr,Nflの和で除して前輪用モータ24,26のトルク制限Tmfminを計算し(ステップS190)、設定した仮回生トルクTmftmpとトルク制限Tmfminのうち大きい方(絶対値としては小さい方)を前輪用モータ24,26のトルク指令Tmf*として設定すると共に設定した前輪用モータ24,26のトルク指令Tmf*をモータECU40に送信する(ステップS200)。トルク指令Tmf*を受信したモータECU40は、前輪用モータ24,26からトルク指令Tmf*に相当する回生トルクが出力されるようインバータ42,44のスイッチング素子をスイッチング制御する。これにより、前輪用モータ24,26により回生された電力がキャパシタ50に充電される。この場合も、ピットモードスイッチ88がオフされてからドライバーによりアクセルペダル83が大きく踏み込まれたときにモータ36にその性能を十分に発揮させる電力を供給することができる。
前輪用モータ24,26のトルク指令Tmf*を設定すると、ブレーキトルク設定用マップから入力したブレーキ踏力Fbに対応する前輪油圧ブレーキトルクを導出して仮前輪油圧ブレーキトルクTbftmpとして設定し(ステップS210)、仮回生トルクTmftmpからトルク指令Tmf*を減じて2倍した値を設定した仮前輪油圧ブレーキトルクTbftmpに加えて前輪油圧ブレーキトルクTbfとして設定すると共に設定した前輪油圧ブレーキTbfをブレーキECU62に送信する(ステップS220)。また、ブレーキトルク設定用マップから入力したブレーキ踏力Fbに対応する後輪油圧ブレーキトルクを導出して後輪油圧ブレーキトルクTbrとして設定すると共に設定した後輪油圧ブレーキTbrをブレーキECU62に送信して(ステップS230)、制動時制御ルーチンを終了する。前輪油圧ブレーキトルクTbfと後輪油圧ブレーキトルクTbrとを受信したブレーキECU62は、前輪29a,29bに前輪油圧ブレーキトルクTbfが作用すると共に後輪39a,39bに後輪油圧ブレーキトルクTbrが作用するようブレーキアクチュエータ64を駆動制御する。これにより、前輪29a,29bに前輪油圧ブレーキトルクTbfが作用すると共に後輪39a,39bに後輪油圧ブレーキトルクTbrが作用する。なお、前輪油圧ブレーキトルクTfをブレーキトルク設定用マップから導出した仮前輪油圧ブレーキトルクTbftmpに仮回生トルクTmftmpからトルク指令Tm*を減じて2倍した値を加えることによって計算することにより、トルク制限Tmfminにより前輪用モータ24,26から出力すべき回生トルクが制限されているときでも、車両に作用させる制動力が減少しないようにしている。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、ピットモードスイッチ88がオンされたときに、ブレーキペダル85が踏み込まれていないときにはエンジン32からの動力の一部を用いてモータ36から発電トルクを出力してキャパシタ50が充電されるようモータ36のトルク指令Tmr*を設定してモータ36を制御すると共に車速Vが制限車速以下となるようエンジン32を制御し、ブレーキペダル85が踏み込まれているときにはブレーキ踏力Fbに基づいてキャパシタ50が充電されるよう前輪用モータ24,26のトルク指令Tmf*を設定して前輪用モータ24,26を制御することにより、キャパシタ50の端子間電圧Vcapを比較的高い電圧にしておくことができる。これにより、その後にピットモードスイッチ88がオフされてドライバーによりアクセルペダル83が大きく踏み込まれたときにモータ36にその性能を十分に発揮させる電力を供給することができ、ドライバーの加速要求に対処することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、ブレーキペダル85が踏み込まれているときには、前輪用モータ24,26を回生制御してキャパシタ50を充電するものとしたが、前輪用モータ24,26に加えてまたは代えて、モータ36を回生制御してキャパシタ50を充電するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、前輪用モータ24,26やモータ36と電力のやり取りが可能な蓄電装置としてキャパシタ50のみを備えるものとしたが、キャパシタ50以外に二次電池を搭載するものとしても構わない。
実施例では、前輪に取り付けられたインホイールモータとしての前輪用モータ24,26と、エンジン32のクランクシャフト33に取り付けられたモータ36と、前輪用モータ24,26やモータ36と電力のやり取りが可能なキャパシタ50とを備えるハイブリッド自動車20に本発明を適用した場合について説明したが、走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を入出力可能な電動機と、電動機と電力のやり取りが可能なキャパシタと、を備える車両であれば、如何なる車両に適用するものとしてもよい。
ここで、実施例や変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン32が「内燃機関」に相当し、前輪用モータ24,26やモータ36が「電動機」に相当し、キャパシタ50が「キャパシタ」に相当し、ピットモードスイッチ88がオンされたときに、ブレーキペダル85が踏み込まれていないときにはエンジン32からの動力の一部を用いてモータ36から発電トルクを出力してキャパシタ50が充電されるようモータ36のトルク指令Tmr*を設定してモータECU40に送信すると共に車速Vが制限車速以下となるようエンジン32を制御し、ブレーキペダル85が踏み込まれているときにはブレーキ踏力Fbに基づいてキャパシタ50が充電されるよう前輪用モータ24,26のトルク指令Tmf*を設定してモータECU40に送信する図2のピットモード時制御ルーチンを実行するメイン電子制御ユニット70とトルク指令Tmr*に基づいてモータ36を制御すると共にトルク指令Tmf*に基づいて前輪用モータ24,26を制御するモータECU40とが「制御手段」に相当する。また、前輪用モータ24,26が「車軸用電動機」に相当し、モータ36が「出力軸用電動機」に相当する。
ここで、本発明の車両において、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油等の炭化水素系の燃料により動力を出力するものに限定されるものではなく、走行用の動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの内燃機関としても構わない。「電動機」としては、インホイールモータとして構成された前輪用モータ24,26や同期発電電動機として構成されたモータ36などに限定されるものではなく、走行用の動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機としても構わない。「キャパシタ」としては、電気二重層キャパシタとして構成されたキャパシタ50に限定されるものではなく、電動機と電力のやりとりが可能なものであれば如何なるタイプのキャパシタとしても構わない。「制御手段」としては、メイン電子制御ユニット70とモータECU40とを組み合わせたものに限定されるものではなく、単一の電子制御ユニットとしても構わない。また、「制御手段」としては、ピットモードスイッチ88がオンされたときに、ブレーキペダル85が踏み込まれていないときにはエンジン32からの動力の一部を用いてモータ36から発電トルクを出力してキャパシタ50が充電されるようモータ36のトルク指令Tmr*を設定してモータ36を制御すると共に車速Vが制限車速以下となるようエンジン32を制御し、ブレーキペダル85が踏み込まれているときにはブレーキ踏力Fbに基づいてキャパシタ50が充電されるよう前輪用モータ24,26のトルク指令Tmf*を設定して前輪用モータ24,26を制御するものに限定されるものではなく、ピットロードを走行する際に用いられるピットモードが設定されているピットモード時には、キャパシタへの充電が許容される範囲内でのキャパシタの充電を伴って所定車速以下で走行するよう内燃機関と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例や変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、21 前輪系、24,26 前輪用モータ、25,27 回転位置検出センサ、29a,29b 前輪、31 後輪系、32 エンジン、33 クランクシャフト、34 トランスミッション、36 モータ、37 回転位置検出センサ、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 後輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、42,44,46 インバータ、50 キャパシタ、52 キャパシタ用電子制御ユニット(キャパシタECU)、54 電圧センサ、56 電流センサ、58 温度センサ、60 電子制御式油圧ブレーキユニット(ECB)、61 マスタシリンダ、61a マスタシリンダ圧センサ、62 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、64 ブレーキアクチュエータ、66a,66b,68a,68b ホイールシリンダ、70 メイン電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、81 アップスイッチ、82 ダウンスイッチ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、87 セーフティーカーモードスイッチ、88 ピットモードスイッチ88、89 車速センサ。
Claims (7)
- 走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を入出力可能な電動機と、前記電動機と電力のやり取りが可能なキャパシタと、を備える車両であって、
ピットロードを走行する際に用いられるピットモードが設定されているピットモード時には、前記キャパシタへの充電が許容される範囲内での該キャパシタの充電を伴って所定車速以下で走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備える車両。 - 請求項1記載の車両であって、
前記電動機は、前記内燃機関の出力軸に接続された出力軸用電動機を有し、
前記制御手段は、前記ピットモード時にブレーキ操作が行なわれていないときには、前記内燃機関から出力される動力の一部を用いて前記出力軸用電動機により発電して前記キャパシタへの充電が行なわれるよう前記出力軸用電動機を制御する手段である、
車両。 - 前記制御手段は、前記ピットモード時にブレーキ操作が行なわれているときには、前記電動機の回生駆動により前記キャパシタへの充電が行なわれるよう該電動機を制御する手段である請求項1または2記載の車両。
- 請求項3記載の車両であって、
前記電動機は、前記内燃機関の出力軸が接続された車軸である第1の車軸とは異なる第2の車軸に取り付けられた車軸用電動機を有し、
前記制御手段は、前記電動機の回生駆動により前記キャパシタの充電を行なうときには、前記車軸用電動機を回生制御する手段である、
車両。 - 前記車軸用電動機は、前記第2の車軸に取り付けられた車輪に直接動力を出力するインホイールモータである請求項4記載の車両。
- 前記電動機と電力のやり取りが可能な機器として前記キャパシタのみを搭載する請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載の車両。
- 走行用の動力を出力可能な内燃機関と、走行用の動力を入出力可能な電動機と、前記電動機と電力のやり取りが可能なキャパシタと、を備える車両の制御方法であって、
ピットロードを走行する際に用いられるピットモードが設定されているピットモード時には、前記キャパシタへの充電が許容される範囲内での該キャパシタの充電を伴って所定車速以下で走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする車両の制御方法。
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-
2007
- 2007-07-12 JP JP2007183168A patent/JP2009018709A/ja active Pending
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