JP2009013329A - 防曇塗料組成物、その製造方法及びその塗装物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】防曇塗料組成物は、下記に示す単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)から形成される共重合体を含有するものである。そして、前記単量体(C)の含有量が単量体(A)及び単量体(B)の合計100質量部に対して0.3〜5質量部であると共に、共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定された重量平均分子量が100,000〜1,000,000であることを特徴とする。
単量体(A):非架橋性の水溶性ビニル系単量体
単量体(B):非架橋性の非水溶性ビニル系単量体
単量体(C):縮合反応又は付加反応により架橋可能な架橋性官能基を有するビニル系単量体
【選択図】なし
Description
単量体(B):非架橋性の非水溶性ビニル系単量体
単量体(C):縮合反応又は付加反応により架橋可能な架橋性官能基を有するビニル系単量体
第2の発明の防曇塗料組成物は、第1の発明において、前記単量体(A)と単量体(B)の合計100質量部に対し、単量体(A)の割合が50〜95質量部及び単量体(B)の割合が50〜5質量部であることを特徴とする。
第1の発明の防曇塗料組成物は、前記単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)から形成される共重合体を含有するものである。この場合、単量体(C)の含有量が単量体(A)及び単量体(B)の合計100質量部に対して0.3〜5質量部に設定されることから、共重合体は適度な架橋構造が形成され、防曇性能を保持しつつ、十分な耐熱性能と十分な吸水力を発現することができる。さらに、共重合体はその重量平均分子量が100,000〜1,000,000に設定されることから、塗膜が十分な吸水力を発現することができると同時に、防曇塗料組成物が適度な粘性を示して良好な塗膜を形成することができる。従って、防曇塗料組成物は塗膜が良好な防曇性と耐熱性を発揮することができると共に、塗膜の曇りや水垂れ跡等の外観不良の発生を抑制することができる。
本実施形態の防曇塗料組成物は、下記に示す単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)から形成される共重合体を含有するものである。そして、単量体(C)の含有量が単量体(A)及び単量体(B)の合計100質量部に対して0.3〜5質量部であると共に、共重合体の重量平均分子量(質量平均分子量)が100,000〜1,000,000である。
単量体(B):非架橋性の非水溶性ビニル系単量体
単量体(C):縮合反応又は付加反応により架橋可能な架橋性官能基を有するビニル系単量体
係る防曇塗料組成物は例えばヘッドランプ等の車両灯具に用いられ、硬化されて得られる塗膜が良好な防曇性と耐熱性を発揮し、塗膜の曇りや水垂れ跡等の外観不良の発生が抑えられる。
本実施形態における共重合体のGPCで測定された重量平均分子量は100,000〜1,000,000であり、好ましくは150,000〜700,000である。共重合体の重量平均分子量が100,000未満である場合、得られる塗膜の内部に吸収することができる水分の量が少なくなり、塗膜に曇りや水垂れ跡が発生すると共に、耐水性も低下する。一方、重量平均分子量が1,000,000を超える場合、防曇塗料組成物の粘度が高くなり、塗料として取り扱いが困難となる。その結果、防曇塗料組成物の塗装が難しくなり、塗膜の外観が悪化する等の問題が発生する。
撹拌装置、温度計、窒素導入管及び還流管を備えた反応容器に重合溶媒としての有機溶媒及び単量体(A)、単量体(B)の総量の70質量%以下及び単量体(C)を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら所定の温度に加熱する。次いで、単量体(B)の残部とラジカル重合開始剤を30分から10時間をかけて滴下し、さらに30分から10時間の重合反応を行うことによって共重合体溶液を得ることができる。
・ 本実施形態における防曇塗料組成物は、前記単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)から形成される共重合体を有効成分として含有している。そして、単量体(C)の含有量が単量体(A)及び単量体(B)の合計100質量部に対して0.3〜5質量部に設定されることから、加熱等の手段により単量体(C)のもつ架橋性官能基に基づいて脱水縮合反応、脱アルコール縮合反応又は付加反応、すなわち架橋反応が進行する。その結果、共重合体には適度な架橋構造が形成され、防曇性能を維持しつつ、十分な耐熱性能と十分な吸水力を発現することができる。さらに、共重合体はその重量平均分子量が100,000〜1,000,000に設定されることから、塗膜が十分な吸水力を発現することができると同時に、防曇塗料組成物が適度な粘性を示して良好な塗膜を形成することができる。このように、単量体(C)の含有量と共重合体の分子量を上記範囲に設定することにより、塗膜の吸水性、耐熱性、耐水性などの物性をバランス良く発揮することができる。よって、防曇塗料組成物は塗膜が優れた防曇性と耐熱性を発揮することができると共に、塗膜の曇りや水垂れ跡等の外観不良の発生を抑制することができる。
〔参考例1、共重合体溶液1の製造〕
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び冷却管を備えた反応容器に、有機溶媒としてのイソプロパノール120gと、単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミド96gと、単量体(C)としてのN−メチロールアクリルアミド1.2gとを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら65℃に加熱した。そこへ、ラジカル重合開始剤として3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドの炭化水素希釈品〔日本油脂(株)製の商品名:パーロイル355(S)〕0.27gをイソプロパノール30gに溶解させたものを2時間かけて滴下した。同時に、単量体(B)としてのメチルメタクリレート4gをイソプロパノール150gに溶解させたものを3時間かけて滴下した。さらに6時間重合を行った後、80℃に昇温し、その温度で1時間重合を行ってランダム共重合体溶液1を得た。
〔参考例2、共重合体溶液2の製造〕
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び冷却管を備えた反応容器に、有機溶媒としてのイソプロパノール50gと、単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミド90gと、単量体(B)としてのメチルメタクリレート3gと、単量体(C)としてのN−メチロールアクリルアミド1.2gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら65℃に加熱した。そこへ、ラジカル重合開始剤としてパーロイル355(S)0.27gをイソプロパノール30gに溶解させたものを1時間かけて滴下した。同時に、メチルメタクリレート7gをイソプロパノール150gに溶解させたものを3時間かけて滴下した。さらに6時間重合を行った後、80℃に昇温し、その温度で1時間重合を行ってランダム共重合体溶液2を得た。
〔参考例3、共重合体溶液3の製造〕
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び冷却管を備えた反応容器に有機溶媒としてのイソプロパノール50gと、単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミド80gと、単量体(B)としてのメチルメタクリレート5gと、単量体(C)としてのN−メチロールアクリルアミド0.9g及びN−メトキシメチロールアクリルアミド0.3gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら65℃に加熱した。そこへ、ラジカル重合開始剤としてパーロイル355(S)0.27gをイソプロパノール30gに溶解させたものを1時間かけて滴下した。同時に、メチルメタクリレート15gをイソプロパノール150gに溶解させたものを3時間かけて滴下した。さらに6時間重合を行った後、80℃に昇温し、その温度で1時間重合を行ってランダム共重合体溶液3を得た。
〔参考例4、共重合体溶液4の製造〕
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び冷却管を備えた反応容器に有機溶媒としてのイソプロパノール60gと、単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミド65gと、単量体(B)としてのメチルメタクリレート10g及びブチルアクリレート5gと、単量体(C)としてのN−メチロールアクリルアミド0.9g及び2−ヒドロキシエチルアクリレート0.3gとを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら65℃に加熱した。そこへ、ラジカル重合開始剤としてパーロイル355(S)0.27gをイソプロパノール30gに溶解させたものを1時間かけて滴下した。同時に、メチルメタクリレート20gをイソプロパノール70gに溶解させたものを4時間かけて滴下した。さらに6時間重合を行った後、80℃に昇温して1時間重合を行ってランダム共重合体溶液4を得た。
〔参考例5、共重合体溶液5の製造〕
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び冷却管を備えた反応容器に有機溶媒としてのイソプロパノール60gと、単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミド45gと、単量体(B)としてのメチルメタクリレート25gと、単量体(C)としてのN−メチロールアクリルアミド1.0gとを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら65℃に加熱した。そこへ、ラジカル重合開始剤としてパーロイル355(S)0.41gをイソプロパノール30gに溶解させたものを1時間かけて滴下した。同時に、メチルメタクリレート30gをイソプロパノール70gに溶解させたものを5時間かけて滴下した。さらに6時間重合を行った後、80℃に昇温し、その温度で1時間重合を行ってランダム共重合体溶液5を得た。
〔参考例6、共重合体溶液6の製造〕
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び冷却管を備えた反応容器に有機溶媒としてのイソプロパノール60gと、単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミド35g及びアクリル酸30gと、単量体(B)としてのメチルメタクリレート10g及びブチルアクリレート5gと、単量体(C)としてのN−メチロールアクリルアミド0.9g及び2−ヒドロキシエチルアクリレート0.3gとを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら65℃に加熱した。そこへ、ラジカル重合開始剤としてパーロイル355(S)0.27gをイソプロパノール30gに溶解させたものを1時間かけて滴下した。同時に、メチルメタクリレート20gをイソプロパノール70gに溶解させたものを4時間かけて滴下した。さらに6時間重合を行った後、80℃に昇温し、その温度で1時間重合を行ってランダム共重合体溶液6を得た。
〔参考例7、共重合体溶液7の製造〕
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び冷却管を備えた反応容器に有機溶媒としてのイソプロパノール160gと、単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミド65gと、単量体(B)としてのメチルメタクリレート10g及びブチルアクリレート5gと、単量体(C)としてのN−メチロールアクリルアミド1.2g及び2−ヒドロキシエチルアクリレート0.4gとを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら65℃に加熱した。そこへ、ラジカル重合開始剤としてのパーロイル355(S)0.27gをイソプロパノール30gに溶解させたものを1時間かけて滴下した。同時に、メチルメタクリレート20gをイソプロパノール100gに溶解させたものを4時間かけて滴下した。さらに6時間重合を行った後、80℃に昇温し、その温度で1時間重合を行ってランダム共重合体溶液7を得た。
〔参考例8、共重合体溶液8の製造〕
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び冷却管を備えた反応容器に有機溶媒としてのイソプロパノール60gと、単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミド65gと、単量体(B)としてのメチルメタクリレート10g及びブチルアクリレート5gと、単量体(C)としてのN−メチロールアクリルアミド0.6gと、多官能ビニル系単量体としてのN,N’−メチレンビス(アクリルアミド)0.07gとを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら65℃に加熱した。そこへ、ラジカル重合開始剤としてのパーロイル355(S)0.53gをイソプロパノール60gに溶解させたものを2時間かけて滴下した。同時に、メチルメタクリレート20gをイソプロパノール160gに溶解させたものを4時間かけて滴下した。さらに6時間重合を行った後、80℃に昇温し、その温度で1時間重合を行ってランダム共重合体溶液8を得た。
〔参考例9、共重合体溶液9の製造〕
参考例2でN−メチロールアクリルアミドを0.1gに変更する以外は参考例2と同様にして重合を行い、ランダム共重合体溶液9を得た。そして、GCにて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPCにて重量平均分子量を測定したところ278,000であった。さらに、このランダム共重合体溶液の固形分は30.6%であった。
〔参考例10、共重合体溶液10の製造〕
参考例2でN−メチロールアクリルアミドを6gに変更した以外は参考例2と同様にして重合を行い、ランダム共重合体溶液10を得た。そして、GCにて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPCにて重量平均分子量を測定したところ317,000であった。さらに、このランダム共重合体溶液の固形分は31.9%であった。
〔参考例11、共重合体溶液11の製造〕
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び冷却管を備えた反応器に有機溶媒としてのイソプロパノール160gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら75℃に加熱した。そこへ、ラジカル重合開始剤としてのパーロイル355(S)0.4gをイソプロパノール30gに溶解させたものを1時間かけて滴下し、同時に単量体(A)としてのN,N−ジメチルアクリルアミド65gと、単量体(B)としてのメチルメタクリレート30g及びブチルアクリレート5gと、単量体(C)としてのN−メチロールアクリルアミド2.5g及び2−ヒドロキシエチルアクリレート0.5gとをイソプロパノール100gに溶解させたものを1時間かけて滴下した。さらに6時間重合を行った後、80℃に昇温し、その温度で1時間重合を行ってランダム共重合体溶液11を得た。
〔参考例12、共重合体12の製造〕
参考例8でN,N’−メチレンビス(アクリルアミド)を0.15gに変更した以外は参考例8と同様にして重合を行い、ランダム共重合体溶液12を得た。そして、GCにて仕込み単量体の重合転化率を測定したところ100%であった。また、GPCにて重量平均分子量を測定したところ1,150,000であった。さらに、このランダム共重合体溶液の固形分は26.5%であった。
〔参考例13、共重合体溶液13の製造〕
特開2004−250601号公報の実施例1に記載の方法に基づいて、以下のようにしてブロック共重合体溶液を製造した。
〔CO(CH2)4COO(C2H4O)3CO(CH2)4COOO〕10・・・(1)
以上の参考例1〜13で得られた共重合体溶液1〜13のビニル系単量体の仕込組成と重合結果を表1及び表2にまとめて示した。なお、表1及び表2における記号は、以下の意味を表している。
(1)防曇塗料組成物の製造
参考例1で得られたランダム共重合体溶液1を39.4gにイソプロパノール20.6g、メチルエチルケトン30g、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノ−ル〔クラレ(株)製の商品名:ソルフィット〕10gを加えて固形分を10%に調整し、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸0.2g、レベリング剤としてポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン〔ビックケミー・ジャパン(株)製の商品名:BYK302〕0.1gを混合し、防曇塗料組成物を得た。
(2)塗膜試験片の作製
上記防曇塗料組成物をポリカーボネート樹脂板に硬化後の塗膜の膜厚が5μmとなるようにスプレーコート法にて塗装を行い、40℃で5分間乾燥を行った後、120℃で90分加熱硬化を行い、塗膜試験片を得た。
(3)塗膜性能の評価
上記塗膜試験片を使用して以下の方法によって塗膜性能の評価を行った。
(3−1)初期性能試験
(塗膜外観)
塗膜の外観について目視により次の4段階で評価した。なお、評価が○以上であれば実用上問題なく、◎であればより好ましい。
◎:平滑である。
○:わずかに平滑性が劣る。
△:平滑性が劣る。
×:平滑ではなくオレンジピール状(柚子肌状)である。
(密着性)
JIS K 5400 8.5.1に準拠し、塗膜の剥離の有無を目視によって次の2段階で評価した。
◎:全く剥離が認められない。
×:剥離が認められる。
(呼気防曇性)
常温で呼気を吹きかけ、曇りの有無を目視によって次の4段階で評価した。なお、評価が○以上であれば実用上問題なく、◎であればより好ましい。
◎:全く曇らない。
○:一瞬わずかに曇るがすぐに曇りが晴れる。
△:わずかに曇る。
×:はっきりと曇りが認められる。
(40℃スチーム防曇性)
40℃に保った温水浴の水面から5cmの高さの所に、試験片を塗膜面が下になるように設置し、温水浴からのスチームを塗膜に連続照射し、照射から30分後の曇りの有無を目視によって次の4段階で評価した。なお、評価が○以上であれば実用上問題なく、◎であればより好ましい。
◎:曇りが全く認められない。
○:曇りは認められないが、塗膜表面がわずかに荒れているか、又は塗膜表面に水膜が形成されている。
△:わずかに曇りが認められるか、又は曇りは認められないが塗膜表面が平滑ではなく荒れた状態である。
×:はっきりと曇りが認められる。
(80℃スチーム防曇性)
80℃に保った温水浴の水面から5cmの高さの所に、試験片を塗膜面が下になるように設置し、温水浴からのスチームを塗膜に連続照射し、照射から30秒後の曇りの有無を目視によって次の4段階で評価した。なお、評価が○以上であれば実用上問題なく、◎であればより好ましい。
◎:全く曇らない。
○:曇りは認められないがわずかに塗膜表面が荒れている、又は塗膜表面に水膜が形成されている。
△:わずかに曇る、又は曇りは認められないが塗膜表面が荒れている。
×:はっきりと曇りが認められる。
(水垂れ跡)
80℃に保った温水浴の水面から5cmの高さの所に、試験片を塗膜面が下になるように設置し、温水浴からのスチームを塗膜に30秒間連続照射した後、試験片を垂直に立てた状態で室温にて1時間乾燥させた。乾燥後に水垂れ跡の有無を目視によって次の4段階で評価した。なお、評価が○以上であれば実用上問題なく、◎であればより好ましい。
◎:水垂れ跡が認められない。
○:水垂れ跡は認められないが、わずかに塗膜表面が荒れた状態である。
△:わずかに水垂れ跡が認められる、又は塗膜表面が荒れた状態である。
×:はっきりと水垂れ跡が認められる。
(3−2)耐水性試験
上記塗膜試験片を40℃温水に240時間浸漬し、室温にて1時間乾燥した後の塗膜外観を目視によって次の4段階で評価した。なお、評価が○以上であれば実用上問題なく、◎であればより好ましい。
◎:試験前と外観に変化がない。
○:わずかに塗膜表面が荒れている。
△:塗膜表面が荒れているか、又はわずかに白化やシミが認められる。
×:塗膜の一部又は全部が溶解している、又ははっきりと白化やシミが認められる。
(3−3)耐熱性
上記塗膜試験片を130℃雰囲気下に240時間放置し、室温にて1時間冷却した後の塗膜外観を目視によって次の4段階で評価した。なお、評価が○以上であれば実用上問題なく、◎であればより好ましい。
◎:試験前と外観に変化がない。
○:わずかに塗膜表面が荒れている。
△:塗膜表面が荒れている、又はわずかに白化や黄変、亀裂が認められる。
×:はっきりと白化や黄変、亀裂が認められる。
実施例1における防曇塗料組成物の組成と塗膜性能の評価結果を表3に示した。なお、表3における記号は次の意味を表している。
〔実施例2〜8及び比較例1〜4〕
実施例2〜8及び比較例1〜4の防曇塗料組成物を原料の種類や仕込量を変えること以外は、実施例1に準じた方法で製造し、塗膜試験片を作製して塗膜性能の評価を行った。それぞれの防曇塗料組成物の原料の種類や仕込量及び塗膜性能の評価結果を表3及び表4に示した。
〔比較例5〕
参考例11で得られたブロック共重合体溶液11を28.2gにプロピレングリコールモノメチルエーテルを71.8g加えて固形分を10%に調整し、硬化触媒としてリン酸ジイソブチル0.01g、フッ素系界面活性剤としてパーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩〔旭硝子(株)製の商品名:サーフロンS−121(フッ素系界面活性剤としての有効成分30%)〕0.004gを混合し、防曇塗料組成物を得た。該防曇塗料組成物をポリカーボネート樹脂板に硬化後の膜厚が5μmとなるようにスプレーコート法にて塗装を行い、40℃で5分間乾燥を行った後、120℃で20分加熱硬化を行い、塗膜試験片を得た。塗膜性能の評価は実施例1準じた方法で行った。比較例5における防曇塗料組成物の組成と、塗膜性能の評価結果を表4に示した。なお、表4における記号は次の意味を表している。
〔実施例9〜12〕
実施例3、4又は8の防曇塗料組成物につき、実際に自動車の前照灯のレンズ内面にスプレーコート法又はフローコート法で塗装を行い、40℃で5分間乾燥を行った後、120℃で90分加熱硬化を行い、表5に示す膜厚を有する塗膜を形成させた。得られた塗膜の外観を前記塗膜外観の評価方法と同様にして評価した。
但し、Lは80℃スチーム照射前の質量(mg)、Mは80℃スチーム照射後の質量(mg)及びSは80℃スチームを照射した面積(cm2)である。
〔比較例6及び7〕
比較例6では、比較例5の防曇塗料組成物を使用し、加熱硬化条件を120℃で20分とした以外は実施例9と同様にして自動車の前照灯のレンズ内面に塗膜を形成させた。また、比較例7では、比較例5の防曇塗料組成物を使用し、加熱硬化条件を120℃で20分とし、塗膜の膜厚を25μmとした以外は実施例12と同様にして自動車の前照灯のレンズ内面に塗膜を形成させた。そして、実施例9〜12に準じた方法で、塗膜外観、吸水量、防曇性及び水垂れ跡の評価を行った。表6にそれらの評価結果をまとめて示した。
〔比較例8〕
この比較例8では、防曇塗装を行っていない前照灯レンズを使用して実施例9〜12と同様の試験を行った。そして、表6に評価結果をまとめて示した。
・ 防曇塗料組成物を構成する共重合体として、単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)の組成が異なる共重合体や重量平均分子量の異なる共重合体を複数混合して使用することもできる。
・ 被塗装物に対する密着性を向上させるために、共重合体を形成する単量体として水酸基、カルボキシル基等の接着性を高める官能基を有する化合物を使用することもできる。
・ 前記単量体(A)がN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド系単量体であることを特徴とする請求項2に記載の防曇塗料組成物。このように構成した場合、請求項2に係る発明の効果に加えて、被塗装物への塗膜の密着性を向上させることができる。
Claims (5)
- 下記に示す単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)から形成される共重合体を含有する防曇塗料組成物であって、
前記単量体(C)の含有量が単量体(A)及び単量体(B)の合計100質量部に対して0.3〜5質量部であると共に、共重合体の重量平均分子量が100,000〜1,000,000であることを特徴とする防曇塗料組成物。
単量体(A):非架橋性の水溶性ビニル系単量体
単量体(B):非架橋性の非水溶性ビニル系単量体
単量体(C):縮合反応又は付加反応により架橋可能な架橋性官能基を有するビニル系単量体 - 前記単量体(A)と単量体(B)の合計100質量部に対し、単量体(A)の割合が50〜95質量部及び単量体(B)の割合が50〜5質量部であることを特徴とする請求項1に記載の防曇塗料組成物。
- 前記単量体(C)がN−メチロール基又はN−アルコキシメチロール基を有するビニル系単量体であることを特徴とする請求項2に記載の防曇塗料組成物。
- 請求項1に記載の防曇塗料組成物の製造方法であって、
前記単量体(A)、単量体(B)の総量の70質量%以下、単量体(C)及び有機溶媒を仕込んだ反応容器中に、残部の単量体(B)及びラジカル重合開始剤を滴下し、共重合するに際して、前記単量体(C)の含有量を単量体(A)及び単量体(B)の合計100質量部に対して0.3〜5質量部に設定し、重量平均分子量が100,000〜1,000,000の共重合体を製造することを特徴とする防曇塗料組成物の製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の防曇塗料組成物を被塗装物に塗布し、乾燥、硬化して被塗装物上に塗膜が形成された塗装部品であって、前記塗膜の膜厚が0.5〜20μmであると共に、塗膜の吸水量が1.5〜25mg/cm2であることを特徴とする塗装物品。
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JP2007178270A JP2009013329A (ja) | 2007-07-06 | 2007-07-06 | 防曇塗料組成物、その製造方法及びその塗装物品 |
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