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JP2009099304A - ノイズ対策高圧電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】太物電線であっても電磁波ノイズを効果的に打ち消すことが可能なノイズ対策高圧電線を提供する。
【解決手段】プラス回路とマイナス回路とからなり大電流が流れる太物の一対の高圧電線1、2の中間部分3を、複数のプラス回路用細物電線4と、複数のマイナス回路用細物電線5と、一対のコネクタ6とを含んで構成する。複数のプラス回路用細物電線4は、この導体の総断面積が高圧電線1の導体の断面積に合う本数で揃えられ、複数のマイナス回路用細物電線5も同様に揃えられる。複数のプラス回路用細物電線4と複数のマイナス回路用細物電線5は、各々撚り合わせられて複数のツイストペア線部9が形成されるとともに、この複数のツイストペア線部9の状態で束状にまとめられる。一対のコネクタ6は、プラス回路用端子11とマイナス回路用端子12とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、太物で大電流が流れる高圧電線のノイズ対策に関する。
電気自動車やハイブリッドカー等に搭載される走行モータに電力を供給するためとして、高圧電線が用いられている(下記特許文献1参照)。高圧電線は、太物の電線(太物電線)であって、例えば中心導体が20sqとなるものが用いられている。高圧電線は、低圧のものとは絶縁されており、プラス回路のものとマイナス回路のものとが平行に配索されるようになっている。
高圧電線には、スイッチングされた高電圧が掛かるようになっている。高圧電線は、低周波から高周波まで良好なノイズ抑制効果が得られることが重要になっている。
特開2005−151712号公報
高圧電線には大電流が流れることから、この電線付近に磁界が発生するようになっている。磁界は、場合によっては規制対象となり、抑制することが求められている。磁界を抑制するためには、透磁率の高い材料でシールドする方法が知られている(例えば、高周波に対して高い固有抵抗となるフェライトコアを用いる)。しかしながら、この透磁率の高い材料での方法にあっては、製品価格が高くなってしまうという問題点を有している。また、フレキシブル性や取り付け作業性にも影響を来してしまうという問題点を有している。
電磁波ノイズを外部に輻射させないようにする技術としては、2本の電線を撚り合わせてツイストペア線にすることが一般的に知られている(プラス回路となる電線とマイナス回路となる電線とをツイストすると、電磁波ノイズの打ち消し合う作用が大きくなり効果的となる)。そこで、ツイストペア線での技術を高圧電線に適用しようと考えてみたが、この考えにあっては次のような問題点を有している。すなわち、高圧電線は太物であることから、効果が出る程度にはツイストをすることができない(細かなツイストピッチが得られない)という問題点を有している。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、太物電線であっても電磁波ノイズを効果的に打ち消すことが可能なノイズ対策高圧電線を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のノイズ対策高圧電線は、プラス回路とマイナス回路とからなり大電流が流れる太物の一対の高圧電線を、複数のプラス回路用細物電線と、複数のマイナス回路用細物電線とを含んで構成し、前記複数のプラス回路用細物電線と前記複数のマイナス回路用細物電線は、各々撚り合わせられて複数のツイストペア線部が形成されるとともに、該複数のツイストペア線部の状態で束状にまとめられることを特徴としている。
このような特徴を有する本発明によれば、太物となる一対の高圧電線は、電磁波ノイズを打ち消す部分を有する。電磁波ノイズを打ち消す部分は、プラス回路用細物電線とマイナス回路用細物電線とを撚り合わせてツイストペア線部を形成し、さらに、このツイストペア線部を複数、束状にまとめることにより形成される。
本発明によれば、複数のツイストペア線部を束ねることで、ツイストペア線部ごとの電磁波ノイズ打ち消し効果をそのままにして、太物電線では困難であった細かいツイストピッチを得ることが可能になる。また、複数のツイストペア線部を束ねることで、太物電線と同様の取り扱いをすることが可能になる。
請求項2記載の本発明のノイズ対策高圧電線は、請求項1に記載のノイズ対策高圧電線において、前記一対の高圧電線の中間部分を、前記複数のプラス回路用細物電線と前記複数のマイナス回路用細物電線とを含む構成とすることを特徴としている。
このような特徴を有する本発明によれば、太物となる一対の高圧電線は、この中間部分に電磁波ノイズを打ち消す部分を有する。中間部分、言い換えれば電磁波ノイズを打ち消す部分は、電磁波ノイズを打ち消す必要がある部分であって、高圧電線の一部や、例えば高圧電線の端末を残した大半が対象となるものとする。
請求項3記載の本発明のノイズ対策高圧電線は、請求項1又は請求項2に記載のノイズ対策高圧電線において、前記プラス回路となる高圧電線の導体及び前記複数のプラス回路用細物電線の各導体を接続するプラス回路用端子と、前記マイナス回路となる高圧電線の導体及び前記複数のマイナス回路用細物電線の各導体を接続するマイナス回路用端子と、を有する一対のコネクタを更に備えることを特徴としている。
このような特徴を有する本発明によれば、束状になった複数のツイストペア線部の高圧電線に対する接続としてコネクタが用いられる。これにより、ツイストペア線部と高圧電線との接続性が良好になる。
請求項4記載の本発明のノイズ対策高圧電線は、請求項3に記載のノイズ対策高圧電線において、前記プラス回路用端子は、前記プラス回路となる高圧電線の導体が接続されるプラス回路用バスバーと、前記プラス回路用細物電線の端末に設けられるプラス回路用端子金具とを備え、前記プラス回路用バスバーは、分岐構造であって前記プラス回路用端子金具が接続されるプラス回路用タブを複数有し、前記マイナス回路用端子は、前記マイナス回路となる高圧電線の導体が接続されるマイナス回路用バスバーと、前記マイナス回路用細物電線の端末に設けられるマイナス回路用端子金具とを備え、前記マイナス回路用バスバーは、分岐構造であって前記マイナス回路用端子金具が接続されるマイナス回路用タブを複数有することを特徴としている。
このような特徴を有する本発明によれば、コネクタ内でプラス回路用バスバーやマイナス回路用バスバーによって分岐・集約が行われる。太物電線では困難であった細かいツイストピッチを得ることが可能になる。
請求項5記載の本発明のノイズ対策高圧電線は、請求項1ないし請求項4いずれか記載のノイズ対策高圧電線において、前記複数のプラス回路用細物電線は、この導体の総断面積が前記プラス回路となる高圧電線の導体の断面積に合う本数で揃えられ、前記複数のマイナス回路用細物電線も同様に、この導体の総断面積が前記マイナス回路となる高圧電線の導体の断面積に合う本数で揃えられることを特徴としている。
このような特徴を有する本発明によれば、太物電線と同様の取り扱いをすることが可能になる。
請求項1に記載された本発明によれば、太物電線であっても電磁波ノイズを効果的に打ち消すことができるという効果を奏する。また、透磁率の高い材料を用いなくとも電磁波ノイズを打ち消すことができるという効果を奏する。さらに、透磁率の高い材料を用いたものと比べ、フレキシブル性や取り付け作業性を向上させることができるという効果を奏する。
請求項2に記載された本発明によれば、高圧電線の一部や、例えば高圧電線の端末を残した大半の部分の電磁波ノイズを効果的に打ち消すことができるという効果を奏する。
請求項3に記載された本発明によれば、コネクタを用いることで、束状になった複数のツイストペア線部と高圧電線との接続を容易にすることができるという効果を奏する。
請求項4に記載された本発明によれば、分岐・集約をし易くすることができるという効果を奏する。することができるという効果を奏する。
請求項5に記載された本発明によれば、太物電線と同様の取り扱いをすることができるという効果を奏する。
以下、図面を参照しながら説明する。図1は本発明のノイズ対策高圧電線の一実施の形態を示す模式的な構成図である。また、図2は本発明のノイズ対策高圧電線の模式的な斜視図である。さらに、図3は本発明のノイズ対策高圧電線の減衰効果を示す図であり、(a)は実験概略図、(b)はINPUT時の波形を示す図、(c)はOUTPUT時の波形を示す図である。
図1及び図2において、引用符号1はプラス回路となる高圧電線(以下、単に高圧電線1と略記する)を示している。また、引用符号2はマイナス回路となる高圧電線(以下、単に高圧電線2と略記する)を示している。これら高圧電線1、2は、太物の電線であって、例えば導体(中心導体)が20sqとなるものが用いられている。高圧電線1、2は、特に限定するものでないが、例えば電気自動車における走行用モータとインバータ制御部とを接続するために、これらの間に配索されている。高圧電線1、2は、この中間部分3に以下で説明する特徴部分を有することにより、電磁波ノイズ対策を施した高圧電線(ノイズ対策高圧電線)となっている。
高圧電線1、2の中間部分3は、複数のプラス回路用細物電線4と、複数のマイナス回路用細物電線5と、一対のコネクタ6とを含んで構成されている。中間部分3は、電磁波ノイズを打ち消す必要がある部分であるものとする。
複数のプラス回路用細物電線4は、細物電線(導体が例えば1.25sqや0.5sqなど)であって、この導体の総断面積が高圧電線1の導体の断面積に合う本数で揃えられている。各プラス回路用細物電線4の端末には、端子金具が設けられている。ここでの端子金具は、圧着端子7であるものとする。
複数のマイナス回路用細物電線5は、上記と同様に細物電線(導体が例えば1.25sqや0.5sqなど)であって、この導体の総断面積が高圧電線2の導体の断面積に合う本数で揃えられている。各マイナス回路用細物電線5の端末には、端子金具が設けられている。ここでの端子金具は、圧着端子8であるものとする(上記圧着端子7と同じものとする)。
複数のプラス回路用細物電線4と複数のマイナス回路用細物電線5は、各々撚り合わせられている。この撚り合わせにより、中間部分3には、複数のツイストペア線部9が形成されている。ここでのツイストピッチPは、例えば10〜15mmとなるように設定されている。複数のツイストペア線部9は、この状態を保ったままで束状にまとめられている。尚、引用符号10は複数のツイストペア線部9の結束を模式的に示しているものとする。中間部分3は、複数のツイストペア線部9を結束することにより、太物電線と同様の取り扱いをすることができるようになっている。
コネクタ6は、高圧電線1の導体及び複数のプラス回路用細物電線4の各導体を接続するプラス回路用端子11と、高圧電線2の導体及び複数のマイナス回路用細物電線5の各導体を接続するマイナス回路用端子12と、これらプラス回路用端子11及びマイナス回路用端子12を収納するコネクタハウジング13とを備えて構成されている。コネクタ6は、太物電線と細物電線とをつなぐ一つの手段であるものとする(太物電線と細物電線とをつなぐ手段としては、かしめ、溶接、はんだ接合、熱圧着、摩擦溶着(超音波接合)等もあり、いずれかを選択してつないでも良いものとする)。
プラス回路用端子11は、高圧電線1の導体が接続されるプラス回路用バスバー14と、プラス回路用細物電線4の端末に設けられる上記圧着端子7とで構成されている。プラス回路用バスバー14は、ここでは平面視略櫛歯状の形状に形成されている。プラス回路用バスバー14は、分岐構造を有するものであって、圧着端子7が接続されるプラス回路用タブ15を複数有している。圧着端子7は、特に符号を付さないが、プラス回路用タブ15に差し込まれて接続される電気接触部と、プラス回路用細物電線4の導体に圧着される電線接続部とを有している。
マイナス回路用端子12は、上記のプラス回路用端子11と同様に構成されている。すなわち、マイナス回路用端子12は、高圧電線2の導体が接続されるマイナス回路用バスバー16と、マイナス回路用細物電線5の端末に設けられる上記圧着端子8とで構成されている。マイナス回路用バスバー16は、ここでは平面視略櫛歯状の形状に形成されている。マイナス回路用バスバー16は、分岐構造を有するものであって、圧着端子8が接続されるマイナス回路用タブ17を複数有している。圧着端子8は、上記の如く圧着端子7と同じものであり、電気接触部と電線接続部とを有している。
コネクタハウジング13は、絶縁性を有する合成樹脂材料を用いての成形品であって、プラス回路用端子11及びマイナス回路用端子12を収容保持することができるように形成されている。コネクタハウジング13には、上下二段となる端子収容室(符号省略)が形成されており、上段にはプラス回路用端子11が、下段にはマイナス回路用端子12が収容されている(一例であるものとする)。
尚、コネクタ6は、公知の電気コネクタのように、雄コネクタと雌コネクタとで構成するようにしても良いものとする。
上記構成において、プラス回路用細物電線4及びマイナス回路用細物電線5を用い、プラス回路とマイナス回路とを一対にして電線を撚り合わせ(ツイストする)、ツイストペア線部9を形成するようになっている。そして、このツイストペア線部9を導体総断面積が高圧電線1、2の導体断面積と同じになるまで、また、サイズが同じになるまで束ねるようになっている。電線両端は、プラス回路とマイナス回路とを別々にまとめることで、太物電線と同様の扱いができるようになっている。コネクタ6においては、プラス回路とマイナス回路との2回路が複数分岐した状態になっている。ツイストペア線部9を何本も束ねることで、対ごとの電磁ノイズ打ち消し効果はそのままに、太物電線ではできなかった細かいツイストピッチが得られるようになっている。
次に、図3を参照しながら本発明のノイズ対策高圧電線に関し、実験により得られた効果について説明する。
図3(a)において、ノイズ発生器21と終端抵抗22とを本発明のノイズ対策高圧電線23で接続するとともに、ノイズ発生器21の近傍で本発明のノイズ対策高圧電線23にオシロスコープ24を接続すると、図3(b)に示すようなINPUT時の波形が得られる。これに対して、終端抵抗22の近傍において本発明のノイズ対策高圧電線23にオシロスコープ24を接続すると、図3(c)に示すようなOUTPUT時の波形が得られる。図3(b)及び(c)の波形から、本発明のノイズ対策高圧電線23は減衰効果が得られることが分かる(実際の減衰は2.6dBの減衰)。尚、本発明のノイズ対策高圧電線23は、機能性電線であることが分かる。
以上、図1ないし図3を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、太物電線(高圧電線1、2)であっても電磁波ノイズを打ち消すことができる。
この他、本発明によれば、低周波から高周波まで広範囲に電磁波ノイズを打ち消す効果が得られる。また、低周波での磁界を打ち消す効果も期待できるので、磁気シールド材料無しに対策をすることが可能になる。また、システム全体を考えると、電磁波ノイズが外部に漏れ難くなることから、誤作動のリスクを低減することが可能になる。尚、電磁波ノイズを打ち消しきれない部分に関しては、編組などでシールドをすることになるが、少ないシールドで済むようになるのは言うまでもない。
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
本発明のノイズ対策高圧電線の一実施の形態を示す模式的な構成図である。 本発明のノイズ対策高圧電線の模式的な斜視図である。 本発明のノイズ対策高圧電線の減衰効果を示す図であり、(a)は実験概略図、(b)はINPUT時の波形を示す図、(c)はOUTPUT時の波形を示す図である。
符号の説明
1 プラス回路となる高圧電線(高圧電線)
2 マイナス回路となる高圧電線(高圧電線)
3 中間部分
4 プラス回路用細物電線
5 マイナス回路用細物電線
6 コネクタ
7 圧着端子(プラス回路用端子金具)
8 圧着端子(マイナス回路用端子金具)
9 ツイストペア線部
10 複数のツイストペア線部の結束
11 プラス回路用端子
12 マイナス回路用端子
13 コネクタハウジング
14 プラス回路用バスバー
15 プラス回路用タブ
16 マイナス回路用バスバー
17 マイナス回路用タブ
21 ノイズ発生器
22 終端抵抗
23 ノイズ対策高圧電線
24 オシロスコープ

Claims (5)

  1. プラス回路とマイナス回路とからなり大電流が流れる太物の一対の高圧電線を、複数のプラス回路用細物電線と、複数のマイナス回路用細物電線とを含んで構成し、
    前記複数のプラス回路用細物電線と前記複数のマイナス回路用細物電線は、各々撚り合わせられて複数のツイストペア線部が形成されるとともに、該複数のツイストペア線部の状態で束状にまとめられる
    ことを特徴とするノイズ対策高圧電線。
  2. 請求項1に記載のノイズ対策高圧電線において、
    前記一対の高圧電線の中間部分を、前記複数のプラス回路用細物電線と前記複数のマイナス回路用細物電線とを含む構成とする
    ことを特徴とするノイズ対策高圧電線。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のノイズ対策高圧電線において、
    前記プラス回路となる高圧電線の導体及び前記複数のプラス回路用細物電線の各導体を接続するプラス回路用端子と、
    前記マイナス回路となる高圧電線の導体及び前記複数のマイナス回路用細物電線の各導体を接続するマイナス回路用端子と、
    を有する一対のコネクタを更に備える
    ことを特徴とするノイズ対策高圧電線。
  4. 請求項3に記載のノイズ対策高圧電線において、
    前記プラス回路用端子は、前記プラス回路となる高圧電線の導体が接続されるプラス回路用バスバーと、前記プラス回路用細物電線の端末に設けられるプラス回路用端子金具とを備え、
    前記プラス回路用バスバーは、分岐構造であって前記プラス回路用端子金具が接続されるプラス回路用タブを複数有し、
    前記マイナス回路用端子は、前記マイナス回路となる高圧電線の導体が接続されるマイナス回路用バスバーと、前記マイナス回路用細物電線の端末に設けられるマイナス回路用端子金具とを備え、
    前記マイナス回路用バスバーは、分岐構造であって前記マイナス回路用端子金具が接続されるマイナス回路用タブを複数有する
    ことを特徴とするノイズ対策高圧電線。
  5. 請求項1ないし請求項4いずれか記載のノイズ対策高圧電線において、
    前記複数のプラス回路用細物電線は、この導体の総断面積が前記プラス回路となる高圧電線の導体の断面積に合う本数で揃えられ、
    前記複数のマイナス回路用細物電線も同様に、この導体の総断面積が前記マイナス回路となる高圧電線の導体の断面積に合う本数で揃えられる
    ことを特徴とするノイズ対策高圧電線。
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