JP2009097035A - ランスの位置制御方法及びランス装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ランスと溶銑の液面との距離を、処理ガスの吹き付け中であっても正確に計測でき、処理ガスとの反応特性を改善できるランス装置を提供する。
【解決手段】ランスにマイクロ波距離計を組み込み、該マイクロ波距離計によりランスと溶融金属の液面との距離を検出し、検出した位置情報を基にランスの位置を制御するランスの位置制御方法、並びに炉内の溶融金属に処理ガスを吹き付けるための噴射口を備えるランスと、前記ランスに組み込まれ、該ランスから溶融金属の表面までの距離を測定するためのマイクロ波距離計とを備えるランス装置。
【選択図】図2
【解決手段】ランスにマイクロ波距離計を組み込み、該マイクロ波距離計によりランスと溶融金属の液面との距離を検出し、検出した位置情報を基にランスの位置を制御するランスの位置制御方法、並びに炉内の溶融金属に処理ガスを吹き付けるための噴射口を備えるランスと、前記ランスに組み込まれ、該ランスから溶融金属の表面までの距離を測定するためのマイクロ波距離計とを備えるランス装置。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば、製鉄所の製鋼工場内の転炉設備に使用されるランス装置、及びその位置制御方法に関する。
転炉設備では、鉄の加工工程でガスを溶銑や溶鋼に吹き付け脱炭、脱硫、脱燐等をするためにランスが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
例えば上吹き転炉では、ランスの下面に設けられた噴射口から高速の純酸素ジェットを溶銑に吹き付け、吹き付けられた酸素と溶銑中の炭素とを直接反応させて一酸化炭素として脱炭する。その際、ランスを最適位置に配置するために、マイクロ波距離計を使用してランス下面の噴射口から溶銑面までの距離を測定している。
図1は、従来の上吹き転炉の一例を模式的に示す断面図である。マイクロ波距離計11は、転炉16の上方の適所に設置されたロボットアーム12に取り付けられている。距離計測時、ランス10は、ランスホール13の延長線上の最上部に位置する。始動位置にあるロボットアーム12に計測開始信号が与えられると、ロボットアーム12が旋回してマイクロ波距離計11のアンテナ113をランスホール13の真上に移動させる。コントローラ112で発振したマイクロ波がアンテナ113よりマイクロ波ビーム14となり転炉16内に送信される。そして、溶銑の液面15で反射されたマイクロ波ビーム14がアンテナ113で受信され、コントローラ112に帰る。コントローラ112では、マイクロ波の送信から受信までの時間を基に、アンテナ112から溶銑又はスラグ面の液面15までの距離を計算し出力する。距離計測後、ロボットアーム12は始動位置に戻り、次いで、測定された距離情報に基づいてランス10がランスホール13を通じて所定量下降し、吹き付け作業を開始する。
上吹き転炉では、吹き付け中、溶銑の液面15は大きく窪み、しかも窪み部分を含めて液面全体が激しく波打っている(図2参照)。しかし、上記の方式では、ランス10と溶銑の液面15との距離は吹き付け作業前に一度測定されるだけであるため、吹き付け中のランス10の噴射口と溶銑の液面15との距離が不明であり、酸素と炭素との反応が十分に行われない可能性がある。
また、溶銑の液面15にはスラグが浮遊しているため、吹き付け停止時に溶銑の液面15までの距離を計測することも困難である。
本発明は前述した問題点を解決し、ランスと溶銑の液面との距離を、処理ガスの吹き付け中であっても正確に計測でき、処理ガスとの反応特性を改善できるランス装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、下記のランス装置を提供する。
(1)溶融炉において溶融金属に処理ガスを吹き付けるランスの位置を制御する方法であって、
ランスにマイクロ波距離計を組み込み、該マイクロ波距離計によりランスと溶融金属の液面との距離を検出し、検出した位置情報を基にランスの位置を制御することを特徴とするランスの位置制御方法。
(2)炉内の溶融金属に処理ガスを吹き付けるための噴射口を備えるランスと、前記ランスに組み込まれ、該ランスから溶融金属の表面までの距離を測定するためのマイクロ波距離計とを備えることを特徴とするランス装置。
(3)マイクロ波距離計のアンテナを、ランスの下面に設けたことを特徴とする上記(2)記載のランス装置。
(4)マイクロ波距離計のマイクロ波送受信器を備えるコントローラを、ランスの内部または上部に取り付けたことを特徴とする上記(2)または(3)記載のランス装置。
(5)アンテナとコントローラ間を導波管で接続したことを特徴とする上記(4)記載のランス装置。
(6)導波管が、マイクロ波送受信器に接続する第1の導波管と、アンテナに接続する第2の導波管と、第1の導波管及び第2の導波管よりも大径で、かつ、第1の導波管及び第2の導波管のそれぞれにテーパ管を介して接続する第3の導波管とで構成されることを特徴とする上記(5)記載のランス装置。
(7)処理ガスを外部から供給して噴射口から吹き出すためのガス流通路が、導波管を包囲して形成されていることを特徴とする上記(6)記載のランス装置。
(8)導波管が通気孔を有し、通気孔を通じてガス流通路を流通する処理ガスを導波管に流入させアンテナから噴出することを特徴とする上記(7)記載のランス装置。
(9)アンテナとコントローラ間を同軸ケーブルで接続したことを特徴とする上記(4)記載のランス装置。
(10)アンテナが該アンテナに接続し、かつ、通気孔が形成された導波管を備えるとともに、処理ガスを外部から供給して噴射口から吹き出すためのガス流通路が導波管を包囲して形成されており、通気孔を通じてガス流通路を流通する処理ガスを導波管に流入させアンテナから噴出することを特徴とする上記(9)記載のランス装置。
(11)マイクロ波距離計の距離出力により、ランスの位置を制御することを特徴とする上記(2)〜(10)の何れか1項に記載のランス装置。
(1)溶融炉において溶融金属に処理ガスを吹き付けるランスの位置を制御する方法であって、
ランスにマイクロ波距離計を組み込み、該マイクロ波距離計によりランスと溶融金属の液面との距離を検出し、検出した位置情報を基にランスの位置を制御することを特徴とするランスの位置制御方法。
(2)炉内の溶融金属に処理ガスを吹き付けるための噴射口を備えるランスと、前記ランスに組み込まれ、該ランスから溶融金属の表面までの距離を測定するためのマイクロ波距離計とを備えることを特徴とするランス装置。
(3)マイクロ波距離計のアンテナを、ランスの下面に設けたことを特徴とする上記(2)記載のランス装置。
(4)マイクロ波距離計のマイクロ波送受信器を備えるコントローラを、ランスの内部または上部に取り付けたことを特徴とする上記(2)または(3)記載のランス装置。
(5)アンテナとコントローラ間を導波管で接続したことを特徴とする上記(4)記載のランス装置。
(6)導波管が、マイクロ波送受信器に接続する第1の導波管と、アンテナに接続する第2の導波管と、第1の導波管及び第2の導波管よりも大径で、かつ、第1の導波管及び第2の導波管のそれぞれにテーパ管を介して接続する第3の導波管とで構成されることを特徴とする上記(5)記載のランス装置。
(7)処理ガスを外部から供給して噴射口から吹き出すためのガス流通路が、導波管を包囲して形成されていることを特徴とする上記(6)記載のランス装置。
(8)導波管が通気孔を有し、通気孔を通じてガス流通路を流通する処理ガスを導波管に流入させアンテナから噴出することを特徴とする上記(7)記載のランス装置。
(9)アンテナとコントローラ間を同軸ケーブルで接続したことを特徴とする上記(4)記載のランス装置。
(10)アンテナが該アンテナに接続し、かつ、通気孔が形成された導波管を備えるとともに、処理ガスを外部から供給して噴射口から吹き出すためのガス流通路が導波管を包囲して形成されており、通気孔を通じてガス流通路を流通する処理ガスを導波管に流入させアンテナから噴出することを特徴とする上記(9)記載のランス装置。
(11)マイクロ波距離計の距離出力により、ランスの位置を制御することを特徴とする上記(2)〜(10)の何れか1項に記載のランス装置。
本発明のランス装置は、ランスにマイクロ波距離計のアンテナが取り付けられているため、ガス吹き付け中でも溶銑の液面までの距離を正確に計測でき、ランスを最適な位置に制御することができる。また、アンテナからガスを噴出することにより、浮遊物がアンテナに付着したり、導波管内に侵入することがなく、良好な距離計測ができる。
以下、本発明に関して図面を参照して説明する。
図2は、上吹き転炉において、本発明のマイクロ波距離計を組み込んだランス装置を使用して脱炭処理を施している様子を模式的に示す断面図である。
ランス装置は、ランスホール23を通じて転炉29に向けて降下される。ランス22には、転炉29と対向する下面にガスの噴射口25が形成されており、その反対側の上部にはマイクロ波の送受信機能や演算機能等を備えるコントローラ21が取り付けられている。コントローラ21は、転炉29の外部に位置し、常温に置かれるため、熱による影響を受けることがない。
また、コントローラ21のマイクロ波発振器(図示せず)から発振されたマイクロ波は、ランス22のハウジング内を通る導波管(図3参照)または同軸ケーブル(図4参照)を伝搬し、ランス22の下面中央部に取り付けられたアンテナ24から溶銑の液面28に向けて送信される(マイクロ波ビーム26)。アンテナ24から送信されたマイクロ波ビーム26は、溶銑の液面28で反射されてアンテナ24で受信され、導波管または同軸ケーブルを伝搬してコントローラ21のマイクロ波検波器(図示せず)にて検波される。コントローラ21では、マイクロ波の発振から検波までの時間を基に、ランス22の下面と溶銑の液面28との距離を算出し、ランス22の位置情報として出力する。そして、この位置情報を基に、ランス22の降下位置を制御する。尚、マイクロ波発振器とマイクロ波検波器とを共通化して、マイクロ波送受信器とすることもできる。
ランス22の噴射口25から吹き付けられる純酸素ガス27により溶銑の液面28は、図示のように激しく波打っているが、本発明のランス装置によれば、純酸素ガスの吹き付け中であっても溶銑の液面28を検出できる。そのため、ランス22を常に最適位置に制御できる。
また、溶銑の液面28にスラグが存在する場合でも、スラグは溶銑と比べ比重が小さいため、アンテナ24から吹き付けられた純酸素ガスによりアンテナ直下に位置するスラグを外側に移動させることができ、マイクロ波ビーム26は確実に溶銑の液面28に送信され、正確な距離計測ができる。
あるいは、マイクロ波はスラグを透過する性質があるため、純酸素ガスの吹き付けを停止してマイクロ波ビーム26を送信することにより、マイクロ波ビーム26の一部がスラグ面で反射され、残りがスラグを通過して溶銑の液面28で反射され、コントローラ21ではスラグ面で反射されたマイクロ波ビームと溶銑の液面28で反射されたマイクロ波ビームとを検出して、それぞれの液面までの距離を計測し、より遠方の方を溶銑の液面28までの距離と判定する。また、スラグの表面までの距離と、溶銑の液面28までの距離との差からスラグ厚を算出し、スラグ量を知ることもできる。
図3は、マイクロ波の伝搬に導波管を使用した場合のランス内の詳細を示す模式図である。
上記と同様に、ランス40の上部にはコントローラ31が取り付けられており、下面にはその中央部にアンテナ36が取り付けられ、アンテナ36の近傍には噴射口が形成されている。コントローラ31がランス40の上部に取り付けされているため、後述する純酸素ガスのガス流通路や冷却水流通路を妨げることがない。
コントローラ31のマイクロ波送受信器には徐々に拡径するテーパ管321が接続され、このテーパ管321に連続して大径の導波管33が接続している。大径の導波管33には徐々に狭窄するテーパ管322が接続され、更にテーパ管322にはアンテナ36に付属する通常サイズの直管の導波管35が接続している。変調周波数の違いでマイクロ波の伝搬速度が変わり、距離計測精度が悪くなるが、大径の導波管33によりマイクロ波の変調周波数に関係なくマイクロ波の伝搬速度を大気中と同じにすることができ、精度低下を防ぐことができる。
また、大径の導波管33に多数の通気穴34を形成し、その周囲に純酸素ガス用のガス流通路37を形成することにより、純酸素ガスがこの通気穴34を通じて、矢印41で示すようにアンテナ36からも噴出される。従って、浮遊物がアンテナ36に付着したり、導波管内に侵入することがなく、マイクロ波ビームの送受信を常に良好にする。尚、図中の矢印42は、噴射口から噴出される純酸素ガスである。また、通気穴はテーパ管に形成してもよい。
更に、ランス内部のガス流通路37の外側領域は、冷却水を流通させるための冷却水流通路となっており、冷却水入口38から冷却水を流入させ、内部を循環させた後、冷却水出口39から流出させる。これにより、溶銑からの輻射熱からランス40が保護される。
図4は、マイクロ波の伝搬に同軸ケーブルを使用した場合のランス内の詳細を示す模式図であるが、図3に示すランス装置とは、導波管33及びテーパ管331,332に代えて、同軸ケーブル42とした以外は同様である。
即ち、ランス51の上部にはコントローラ41が取り付けられており、下面にはその中央部にアンテナ47が取り付けられ、アンテナ47の近傍には噴射口が形成されている。コントローラ51のマイクロ波送受信器には、同軸ケーブル42が接続される。同軸ケーブル42は、ガス流通路48の軸線に沿って配設された同軸ケーブル保護パイプ43に挿通されている。また、同軸ケーブル42の他端は、同軸導波管変換器44を介して通気穴が多数形成された穴開き導波管45に接続され、更に穴開き導波管45にはアンテナ47の導波管46が接続されている。この穴開き導波管45の通気穴を通じて、ガス流通路48に供給された純酸素ガスが矢印52で示すようにアンテナ47からも噴出される。尚、図中の矢印53は、噴射口から噴出される純酸素ガスである。また、冷却水入口49から冷却水が流入し、ランス内部を循環して冷却水出口50から流出してランス40を冷却する。
本発明のランス装置において送受信に使用されるマイクロ波は、電界分布がある一方向に向いた直線波を用いてもよいが、時計回りあるいは反時計回りに電界分布が回転する回転波を用いることが好ましい。回転波は反射の都度、その回転方向が反転する性質があるため、溶銑の液面で反射されたマイクロ波(回転波)と、溶銑の液面で反射され更に他部材で反射されたマイクロ波(回転波)とを明確に区別でき、計測精度が大きく高まる。回転波とするには、円偏波器を用いる等、公知の方法で実施できる。
21 コントローラ
22 ランス
24 アンテナ
25 噴射口
28 溶銑の液面
29 転炉
33 導波管
321,322 テーパ管
42 同軸ケーブル
22 ランス
24 アンテナ
25 噴射口
28 溶銑の液面
29 転炉
33 導波管
321,322 テーパ管
42 同軸ケーブル
Claims (11)
- 溶融炉において溶融金属に処理ガスを吹き付けるランスの位置を制御する方法であって、
ランスにマイクロ波距離計を組み込み、該マイクロ波距離計によりランスと溶融金属の液面との距離を検出し、検出した位置情報を基にランスの位置を制御することを特徴とするランスの位置制御方法。 - 炉内の溶融金属に処理ガスを吹き付けるための噴射口を備えるランスと、前記ランスに組み込まれ、該ランスから溶融金属の表面までの距離を測定するためのマイクロ波距離計とを備えることを特徴とするランス装置。
- マイクロ波距離計のアンテナを、ランスの下面に設けたことを特徴とする請求項2記載のランス装置。
- マイクロ波距離計のマイクロ波送受信器を備えるコントローラを、ランスの内部または上部に取り付けたことを特徴とする請求項2または3記載のランス装置。
- アンテナとコントローラ間を導波管で接続したことを特徴とする請求項4記載のランス装置。
- 導波管が、マイクロ波送受信器に接続する第1の導波管と、アンテナに接続する第2の導波管と、第1の導波管及び第2の導波管よりも大径で、かつ、第1の導波管及び第2の導波管のそれぞれにテーパ管を介して接続する第3の導波管とで構成されることを特徴とする請求項5記載のランス装置。
- 処理ガスを外部から供給して噴射口から吹き出すためのガス流通路が、導波管を包囲して形成されていることを特徴とする請求項6記載のランス装置。
- 導波管が通気孔を有し、通気孔を通じてガス流通路を流通する処理ガスを導波管に流入させアンテナから噴出することを特徴とする請求項7記載のランス装置。
- アンテナとコントローラ間を同軸ケーブルで接続したことを特徴とする請求項4記載のランス装置。
- アンテナが該アンテナに接続し、かつ、通気孔が形成された導波管を備えるとともに、処理ガスを外部から供給して噴射口から吹き出すためのガス流通路が導波管を包囲して形成されており、通気孔を通じてガス流通路を流通する処理ガスを導波管に流入させアンテナから噴出することを特徴とする請求項9記載のランス装置。
- マイクロ波距離計の距離出力により、ランスの位置を制御することを特徴とする請求項2〜10の何れか1項に記載のランス装置。
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JP2007268955A JP2009097035A (ja) | 2007-10-16 | 2007-10-16 | ランスの位置制御方法及びランス装置 |
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2007
- 2007-10-16 JP JP2007268955A patent/JP2009097035A/ja active Pending
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