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JP2009091559A - 金属錯体を含む組成物及びそれを用いた素子 - Google Patents

金属錯体を含む組成物及びそれを用いた素子 Download PDF

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JP2009091559A
JP2009091559A JP2008232962A JP2008232962A JP2009091559A JP 2009091559 A JP2009091559 A JP 2009091559A JP 2008232962 A JP2008232962 A JP 2008232962A JP 2008232962 A JP2008232962 A JP 2008232962A JP 2009091559 A JP2009091559 A JP 2009091559A
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Yuji Koga
裕二 古賀
Kiminori Matsubara
公紀 松原
Rei Okamura
玲 岡村
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Fukuoka University
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Fukuoka University
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Abstract

【課題】発光素子等の素子の作製に用いた場合、十分な発光特性が得られる発光材料等として有用な組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される金属錯体と高分子電荷輸送材料とを含む組成物。
Figure 2009091559

(式中、Xはハロゲン原子を表す。R1〜R15はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基等を表す。Mは、イリジウム原子、白金原子、オスミウム原子、ルテニウム原子、パラジウム原子、ロジウム原子、レニウム原子、又はコバルト原子を表す。nは、1又は2である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、金属錯体を含む組成物及びそれを用いた素子に関する。
従来、様々な金属錯体化合物が、発光材料、電荷輸送材料等として、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の発光素子の作製に用いられている。有機EL素子の発光層に用いる発光材料としては、イリジウムを中心金属としたオルトメタル化錯体(非特許文献1、2)、ポリビニルカルバゾール等のホスト化合物と燐光発光性金属錯体との組成物(非特許文献3)が提案されている。
APPLIED PHYSICS LETTERS、vol.75、4(1999) APPLIED PHYSICS LETTERS、vol.78、1622(2001) JOURNAL OF APPLIED PHYSICS、vol.92、87(2002)
しかし、これらの発光材料は、発光素子等の素子の作製に用いた場合、十分な発光特性が得られるものではない。
そこで、本発明は、発光素子等の素子の作製に用いた場合、十分な発光特性が得られる発光材料等として有用な組成物を提供することを目的とする。
本発明は第一に、下記式(1)で表される金属錯体と高分子電荷輸送材料とを含む組成物を提供する。
Figure 2009091559
(式中、Xはハロゲン原子を表す。R1〜R15はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい1価の複素環基、又はハロゲン原子を表す。Mは、イリジウム原子、白金原子、オスミウム原子、ルテニウム原子、パラジウム原子、ロジウム原子、レニウム原子、又はコバルト原子を表す。nは、1又は2である。R1〜R10が複数存在する場合には、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
本発明は第二に、さらに、溶媒を含有する前記組成物からなる液状組成物を提供する。
本発明は第三に、前記組成物を用いてなる薄膜、発光素子等の素子を提供する。
本発明は第四に、前記発光素子を備えた面状光源、表示装置及び照明を提供する。
本発明の組成物は、発光素子等の素子の作製に用いた場合、十分な発光特性が得られるものであり、通常、溶媒に対する溶解性にも優れているものである。したがって、本発明の組成物は、有機EL素子等の発光素子、面状光源、表示装置、照明、有機トランジスタ等の製造に有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<組成物>
本発明の組成物は、前記式(1)で表される金属錯体と高分子電荷輸送材料とを含むものである。
−金属錯体−
前記式(1)中、Mで表される金属原子としては、イリジウム原子、白金原子が好ましい。また、nは1又は2であるが、これはMで表される金属原子Mの価数から1を減じた整数である。
前記式(1)中、Xで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、好ましくは塩素原子である。
前記式(1)中、R1〜R15で表されるアルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、その炭素数は、通常、1〜12程度であり、好ましくは1〜8である。該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基が好ましい。
前記式(1)中、R1〜R15で表されるアルコキシ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、その炭素数は、通常、1〜12程度であり、好ましくは1〜8である。該アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基等が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基が好ましい。
前記式(1)中、R1〜R15で表されるアルキルチオ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、その炭素数は、通常、1〜12程度であり、好ましくは1〜8である。該アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ドデシルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等が挙げられる。
前記式(1)中、R1〜R15で表されるアリール基は、芳香族炭化水素(縮合環を有するもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものを含む。)から、水素原子1個を除いた原子団であり、その炭素数は、通常、6〜60程度であり、好ましくは6〜48である。該アリール基としては、例えば、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(「C1〜C12アルコキシ」は、アルコキシ部分の炭素数が1〜12であることを示す。以下、同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基(「C1〜C12アルキル」は、アルキル部分の炭素数が1〜12であることを示す。以下、同様である。)、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられ、フェニル基、メチルフェニル基、t−ブチルフェニル基が好ましい。
1〜C12アルコキシフェニル基としては、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、イソプロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、イソブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ドデシルオキシフェニル基等が挙げられる。
1〜C12アルキルフェニル基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられる。
前記式(1)中、R1〜R15で表されるアリールオキシ基は、その炭素数は通常6〜60程度、好ましくは6〜48である。該アリールオキシ基としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基等が挙げられる。
1〜C12アルコキシフェノキシ基としては、例えば、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、イソプロピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、イソブトキシフェノキシ基、t−ブトキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニルオキシフェノキシ基、デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基、ドデシルオキシフェノキシ基等が挙げられ、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基が好ましい。
1〜C12アルキルフェノキシ基としては、例えば、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基等が挙げられる。
前記式(1)中、R1〜R15で表されるアリールチオ基は、その炭素数は通常6〜60程度、好ましくは炭素数6〜48である。該アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基等が挙げられる。
前記式(1)中、R1〜R15で表されるアリールアルキル基は、その炭素数は通常7〜60程度、好ましくは7〜48である。該アリールアルキル基としては、例えば、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、及びC1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が好ましい。
前記式(1)中、R1〜R15で表されるアリールアルキルオキシ基は、その炭素数は通常7〜60程度、好ましくは炭素数7〜48である。該アリールアルキルオキシ基としては、例えば、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基等のフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基等が挙げられる。
前記式(1)中、R1〜R15で表されるアリールアルキルチオ基は、その炭素数は通常7〜60程度、好ましくは炭素数7〜48である。該アリールアルキルチオ基としては、例えば、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基等が挙げられる。
前記式(1)中、R1〜R15で表されるアリールアルケニル基は、その炭素数は通常8〜60程度、好ましくは炭素数8〜48である。該アリールアルケニル基としては、例えば、フェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基等が挙げられる。
前記式(1)中、R1〜R15で表されるアリールアルキニル基は、その炭素数は通常8〜60程度、好ましくは炭素数8〜48である。該アリールアルキニル基としては、例えば、フェニル−C2〜C12アルキニル基(「C2〜C12アルキニル」は、アルキニル部分の炭素数が2〜12であることを示す。以下、同様である。)、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基等が挙げられる。
前記式(1)中、R1〜R15で表される1価の複素環基は、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団を意味し、その炭素数は通常4〜60程度、好ましくは4〜20である。なお、複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。前記複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する原子が炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、燐原子、硼素原子等のヘテロ原子を環内に含むものを意味する。該1価の複素環基としては、例えば、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。
前記式(1)中、R1〜R15で表されるハロゲン原子、R1〜R15で表される上記の基が置換基として有していてもよいハロゲン原子は、前記Xで表されるハロゲン原子の項で説明し例示したものと同じである。
前記式(1)中、R1〜R15としては、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキル基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子がより好ましく、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基が特に好ましい。
前記金属錯体の中でも、配位子合成の容易さの観点から、下記式(1a)、(1b)で表されるものが好ましく、下記式(1c)、(1d)で表されるものがより好ましい。
Figure 2009091559
(式中、X及びR1〜R15は、前記と同じ意味を有する。R1〜R10が複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2009091559

Figure 2009091559
(式中、X’はハロゲン原子を表す。RA〜REはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキル基、又はハロゲン原子を表す。)
前記式(1c)及び(1d)中、X’で表されるハロゲン原子は、前記Xの項で説明し例示したものと同じであり、RA〜REで表されるハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキル基、又はハロゲン原子は、前記R1〜R15で表される基、原子の項で説明し例示したものと同じである。
前記金属錯体の例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2009091559

Figure 2009091559
(式中、Xは前記と同じである。R’は、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキル基、又はハロゲン原子を表す。複数存在するR’は、同一であっても異なっていてもよい。)
前記式中、R’で表されるハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキル基、又はハロゲン原子は、前記R1〜R15で表される基、原子の項で説明し例示したものと同じである。
前記金属錯体の具体例を以下に示す。
Figure 2009091559

Figure 2009091559
Figure 2009091559

Figure 2009091559
Figure 2009091559

Figure 2009091559
本発明の組成物において、前記金属錯体は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の金属錯体は、如何なる方法で合成したものであってもよいが、例えば、Scientific Papers of the Institute of Physical and Chemical Research (Japan)、vol.78(4)、97−106(1984)に記載の方法に準じて合成できる。
具体的には、フラスコ内に溶媒を入れ、これを攪拌しながら、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスでバブリングを行って脱気した後、金属錯体(即ち、金属含有化合物)と、配位子となる化合物を添加する。必要に応じて塩基や銀塩化合物を添加してもよい。こうして得られた反応液を攪拌しながら、不活性ガス雰囲気下で、配位子交換が行われるまで攪拌を続ける。必要に応じて加熱してもよい。反応の終点は、TLCモニターや高速液体クロマトグラフィーを用いて、原料の減少が停止したこと、又はどちらかの原料が消失したことを確認することにより、決定することができる。反応時間は、通常30分間から150時間程度である。反応終了後に得られた反応混合液からの目的物の取り出しと精製の条件は、目的とする金属錯体によって異なるが、例えば、目的物の取り出しは、反応溶媒の留去、反応で生じる沈殿物の濾別回収等の方法で行えばよく、精製は、カラムクロマトグラフィー、溶媒洗浄、昇華、再結晶等の方法で行えばよい。また、得られた金属錯体の同定・分析はCHN元素分析、質量分析及びNMRにより行うことができる。
−高分子電荷輸送材料−
前記高分子電荷輸送材料は、高分子量の電荷輸送性材料であり、共役系高分子、非共役系高分子等に分類される。
前記共役系高分子とは、主鎖における全結合の80〜100%、特には85〜100%、とりわけ90〜100%が共役している高分子化合物を意味し、主鎖に芳香環を含む共役系高分子が好ましい。
前記芳香環としては、例えば、ベンゼン、フルオレン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾシロール等が挙げられる。
前記主鎖に芳香環を含む共役系高分子としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいフルオレンジイル基、置換基を有していてもよいジベンゾチオフェンジイル基、置換基を有していてもよいジベンゾフランジイル基、置換基を有していてもよいジベンゾシロールジイル基等を繰り返し単位として主鎖に含む高分子化合物や、それらの繰り返し単位とその他の繰り返し単位とを有する共重合体;特開2003−231741号公報、特開2004−059899号公報、特開2004−002654号公報、特開2004−292546号公報、US5708130、WO9954385,WO0046321,WO02077060、「有機ELディスプレイ」(時任静士、安達千波矢、村田英幸 共著、オーム社)、111頁、月刊ディスプレイ、vol.9、No.9、2002年47−51頁等に記載の高分子化合物等が挙げられる。
前記主鎖に芳香環を含む共役系高分子としては、その他にも、下記式(2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 2009091559
(式中、Yは、−O−、−S−、−Se−、−B(R18)−、−Si(R19)(R20)−、−P(R21)−、−P(R22)(=O)−、−C(R23)(R24)−、−C(R25)(R26)−C(R27)(R28)−、−O−C(R29)(R30)−、−S−C(R31)(R32)−、−N(R33)−C(R34)(R35)−、−Si(R36)(R37)−C(R38)(R39)−、−Si(R40)(R41)−Si(R42)(R43)−、−C(R44)=C(R45)−、−N(R46)−、−N=C(R47)−、又は−Si(R48)=C(R49)−を表す。R18〜R49はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。R16及びR17はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基を表す。複数存在するR16及びR17は、同一であっても異なっていてもよい。)
前記式(2)中、R16及びR17並びにR18〜R49で表される基、原子は、前記R1〜R15で表される基、原子の項で説明し例示したものと同じである。
前記式(2)で表される繰り返し単位の例としては、以下の構造のものが挙げられる。
Figure 2009091559
(式中、R*は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基を表す。R**は、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。複数存在するR*は、同一であっても異なっていてもよい。R**が複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
前記式中、R*で表される基、原子は、R16、R17で表される基、原子と同じであるが、水素原子が好ましい。
前記式中、R**で表される基、原子は、R18〜R49で表される基、原子と同じであるが、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基が好ましく、非置換のアルキル基がより好ましい。
前記式(2)で表される繰り返し単位としては、素子寿命と素子特性の観点から、以下のものが好ましい。
Figure 2009091559
(式中、R*及びR**は、前記と同じ意味を有する。複数存在するR*及びR**は、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
前記主鎖に芳香環を含む共役系高分子は、発光強度の観点から、前記式(2)で表される繰り返し単位と下記式(3)で表される繰り返し単位とを有する高分子化合物であってもよい。
Figure 2009091559
(式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。Ar5、Ar6及びAr7はそれぞれ独立に、アリール基又は1価の複素環基を表す。Ar1〜Ar7は置換基を有していてもよい。x及びyはそれぞれ独立に、0又は1を示し、0≦x+y≦1である。)
前記式(3)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4で表されるアリーレン基は、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団を意味し、通常炭素数は6〜60程度、好ましくは6〜20である。前記芳香族炭化水素は、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環又は縮合環の2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものを含む。前記アリーレン基の例としては、以下の構造のものが挙げられる。
Figure 2009091559
(式中、R***は、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。複数存在するR***は、同一であっても異なっていてもよい。)
前記式(3)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4で表される2価の複素環基は、複素環式化合物から、水素原子2個を除いた原子団を意味する。前記2価の複素環基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
ヘテロ原子として、窒素原子を含む2価の複素環基;ピリジンジイル基(下式45〜50)、ジアザフェニレン基(下式51〜54)、キノリンジイル基(下式55〜69)、キノキサリンジイル基(下式70〜74)、アクリジンジイル基(下式75〜78)、ビピリジルジイル基(下式79〜84)、フェナントロリンジイル基(下式82〜84)。
ヘテロ原子として、けい素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等を含みフルオレン構造を有する基(下式85〜96)。
ヘテロ原子として、けい素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等を含む5員環複素環基:(下式97〜101)。
ヘテロ原子として、けい素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等を含む5員環縮合複素基:(下式102〜111)。
ヘテロ原子として、けい素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等を含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基:(下式112〜115)。
ヘテロ原子として、けい素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等を含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基:(下式116〜122)。
ヘテロ原子として、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を含む5員環縮合複素環基がフェニル基、フリル基、チエニル基で置換された基:(下式123〜128)。
Figure 2009091559

Figure 2009091559

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Figure 2009091559

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Figure 2009091559

Figure 2009091559

Figure 2009091559

Figure 2009091559

Figure 2009091559
(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキニル基、又はハロゲン原子を表す。複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。)
Rで表される基、原子は、R1〜R15の項で説明した基、原子と同じである。
前記式中、R***で表される基、原子は、R1〜R15で表される基、原子と同じであるが、水素原子が好ましい。
前記式(3)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4としては、アリーレン基が好ましく、下記式:
Figure 2009091559
(式中、R***は、前記と同じ意味を有する。複数存在するR***は、同一であっても異なっていてもよい。)
で表される基がより好ましい。
前記式(3)中、Ar5、Ar6及びAr7で表されるアリール基としては、アルキル基で置換されたアリール基が好ましい。このアルキル基で置換されたアリール基におけるアリール基は、炭素数が通常6〜60のものであり、具体的には、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
このアルキル基で置換されたアリール基におけるアルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、その炭素数は、通常、1〜12程度のものであり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ドデシル基等が挙げられる。
前記式(3)中、Ar5、Ar6及びAr7で表される1価の複素環基は、R1〜R15で表される1価の複素環基と同じである。
前記式(3)中、x及びyは、合成の行いやすさの観点から、いずれも0であることが好ましい。
前記式(3)で表される繰り返し単位としては、素子特性の観点から、下記式:
Figure 2009091559
(式中、R****は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表す。)
で表されるものが好ましく、下記式:
Figure 2009091559
で表されるものがより好ましい。
****で表されるハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基は、R1〜R15で表されるハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基と同じである。
前記主鎖に芳香環を含む共役系高分子が、前記式(2)で表される繰り返し単位と前記式(3)で表される繰り返し単位とを有する高分子化合物である場合、該高分子化合物としては、例えば、下記式(2a)で表される繰り返し単位と下記式(3a)で表される繰り返し単位とを有する高分子化合物等が挙げられる。
Figure 2009091559
(式中、R*、R**及びR****は、前記と同じ意味を有する。複数存在するR*及びR**は、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
前記主鎖に芳香環を含む共役系高分子が、前記式(2)で表される繰り返し単位と前記式(3)で表される繰り返し単位とを有する高分子化合物である場合、該高分子化合物における前記式(2)で表される繰り返し単位:前記式(3)で表される繰り返し単位は、モル比で、98:2〜60:40であることが好ましく、95:5〜70:30であることがより好ましい。
前記非共役系高分子とは、前記共役系高分子以外の高分子化合物を意味する。前記非共役系高分子としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体が挙げられる。このポリビニルカルバゾール及びその誘導体は、例えば、ビニルモノマーからカチオン重合又はラジカル重合によって得られる。
前記高分子電荷輸送材料は、前記共役系高分子及び前記非共役系高分子の一方を一種単独で用いてもよいが、一方を二種以上併用してもよいし、両方を一種又は二種以上ずつ併用してもよい。
前記高分子電荷輸送材料のポリスチレン換算の数平均分子量は、1×103〜1×108が好ましく、1×104〜1×106がより好ましく、ポリスチレン換算の重量平均分子量は、1×103〜1×108が好ましく、5×103〜5×106がより好ましい。
本発明の組成物における前記金属錯体の量は、前記高分子電荷輸送材料100重量部に対して、通常、0.001〜70重量部であり、好ましくは0.01〜50重量部、より好ましくは0.1〜30重量部である。
−その他の成分−
本発明の組成物は、前記金属錯体及び前記高分子電荷輸送材料以外にも、必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、低分子正孔輸送材料、低分子電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
前記低分子正孔輸送材料としては、TAPC(1,1-ビス[4-(ジ-p-トリル)アミノフェニル]シクロヘキサン)、TPD(N,N'-ジメチル-N,N'-(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン)、α-NPD(4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル)、m-MTDATA(4,4',4''-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)、TCTA(4,4-トリ(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン)、2-TNATA(4,4',4''-トリス(N-(2-ナフチル)-N-フェニルアミノ)-トリフェニルアミン)等が挙げられる。
前記低分子電子輸送材料としては、Alq3(トリス(8-キノリノール)アルミニウム)、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、オキサジアゾール誘導体tBu-PBD(2-(4'-t-ブチルフェニル)-5-(4''-ビフェニルイル)-1,3,4-オキサジアゾール)等が挙げられる。
前記発光材料としては、公知のものが使用でき、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系等の色素類、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体、2−フェニル−ピリジン及びその誘導体の金属錯体、2−フェニル−ベンゾチアゾール及びその誘導体の金属錯体、2−フェニル−ベンゾオキサゾール及びその誘導体の金属錯体、ポルフィリン及びその誘導体の金属錯体等が挙げられる。
本発明の組成物が、その他の成分を含有する場合、本発明の組成物(本段落では溶媒以外の成分)における前記金属錯体及び前記高分子電荷輸送材料の合計量の割合は、通常、30〜99.9重量%であり、好ましくは50〜99.9重量%である。
<液状組成物>
本発明の組成物は、特に液状組成物として、発光素子や有機トランジスタの作製に有用である。液状組成物は、本発明の組成物がさらに溶媒を含有してなるものである。本明細書において、「液状組成物」とは、素子作製時において液状であるものを意味する。また、液状組成物は、典型的には、常圧(即ち、1気圧)、25℃において液状のものを意味し、インク、インク組成物、溶液等と呼ばれることがある。
発光素子の作製の際に、この液状組成物(例えば、溶液状態の組成物等)を用いて成膜する場合、該液状組成物を塗布した後、乾燥により溶媒を除去するだけでよく、製造上非常に有利である。なお、乾燥の際には、50〜150℃程度に加温した状態で乾燥してもよく、また、10-3Pa程度に減圧して乾燥させてもよい。
液状組成物を用いた成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を用いることができる。
液状組成物中の溶媒の割合は、該液状組成物の全重量に対して、通常、1重量%〜99.9重量%であり、好ましくは60重量%〜99.9重量%であり、さらに好ましくは90重量%〜99.8重量%である。液状組成物の25℃における粘度は、印刷法によって異なるが、0.5〜500mPa・sの範囲が好ましく、インクジェットプリント法等の液状組成物が吐出装置を経由するものの場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために粘度が0.5〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
液状組成物に含まれる溶媒としては、該液状組成物中の該溶媒以外の成分を溶解又は分散できるものが好ましい。該溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルベンゾエート、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの溶媒は、1種単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。前記溶媒のうち、ベンゼン環を含む構造を有し、かつ融点が0℃以下、沸点が100℃以上である有機溶媒を含むことが、粘度、成膜性等の観点から好ましい。
前記溶媒は、液状組成物中の溶媒以外の成分の有機溶媒への溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メシチレン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、アニソール、エトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロヘキサン、n−ヘキシルシクロヘキサン、メチルベンゾエート、2−プロピルシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロヘキシルケトンが好ましく、キシレン、アニソール、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシルメチルベンゾエートがより好ましい。
液状組成物に含まれる溶媒の種類は、成膜性の観点や素子特性等の観点から、2種類以上であることが好ましく、2〜3種類であることがより好ましく、2種類であることがさらに好ましい。
液状組成物に2種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、1種類の溶媒は沸点が180℃以上のものであり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃未満のものであることが好ましく、1種類の溶媒は沸点が200℃以上のものであり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃未満のものであることがより好ましい。また、粘度の観点から、60℃において、液状組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶媒に溶解することが好ましく、2種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において、液状組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶解することが好ましい。
液状組成物に3種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1〜2種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃未満の溶媒であることが好ましく、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が200℃以上300℃以下の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃未満の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、3種類の溶媒のうちの2種類の溶媒には、60℃において、液状組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶媒に溶解することが好ましく、3種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において、液状組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶媒に溶解することが好ましい。
液状組成物に2種類以上の溶媒が含まれる場合、粘度及び成膜性の観点から、最も沸点が高い溶媒が、液状組成物に含まれる全溶媒の重量の40〜90重量%であることが好ましく、50〜90重量%であることがより好ましく、65〜85重量%であることがさらに好ましい。
液状組成物に含まれる溶媒としては、粘度及び成膜性の観点から、アニソール及びビシクロヘキシルの組み合わせ、アニソール及びシクロヘキシルベンゼンの組み合わせ、キシレン及びビシクロヘキシルの組み合わせ、キシレン及びシクロヘキシルベンゼンの組み合わせ、メシチレン及びメチルベンゾエートの組み合わせが好ましい。
液状組成物に含まれる溶媒以外の成分の溶媒への溶解性の観点から、溶媒の溶解度パラメータと、該液状組成物に含まれる溶媒以外の成分との溶解度パラメータとの差が10以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。これらの溶解度パラメータは、「溶剤ハンドブック(講談社刊、1976年)」に記載の方法で求めることができる。
<薄膜>
本発明の薄膜は、前記組成物又は前記液状組成物(以下、組成物、液状組成物を総称して「組成物等」という。)を用いてなるものである。薄膜の種類としては、発光性薄膜、導電性薄膜、有機半導体薄膜が例示される。
発光性薄膜は、素子の輝度や発光電圧等の観点から、発光の量子収率が高いことが好ましい。
導電性薄膜は、表面抵抗が1KΩ/□以下であることが好ましい。薄膜に、ルイス酸、イオン性化合物等をドープすることにより、電気伝導度を高めることができる。表面抵抗が100Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることがさらに好ましい。
有機半導体薄膜は、電子移動度又は正孔移動度のいずれか大きいほうが、好ましくは10-5cm2/V/秒以上であり、より好ましくは10-3cm2/V/秒以上であり、さらに好ましくは10-1cm2/V/秒以上である。また、有機半導体薄膜を用いて、有機トランジスタを作製することができる。具体的には、SiO2等の絶縁膜とゲート電極とを形成したSi基板上に有機半導体薄膜を形成し、Au等でソース電極とドレイン電極を形成することにより、有機トランジスタとすることができる。
<素子>
本発明の素子は、前記組成物を用いてなるもの、例えば、陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられ前記組成物を用いてなる層とを有するものである。この素子は、例えば、発光素子、スイッチング素子、光電変換素子として用いることができる。
−発光素子−
以下、代表的な用途である発光素子を例に説明する。
本発明の発光素子は、例えば、陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられ前記組成物を用いてなる層(発光層)とを有するものであり、さらに、電荷輸送層(正孔輸送層、電子輸送層)、電荷阻止層(正孔阻止層、電子阻止層)等を有していてもよい。
具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
発光層とは、発光機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。なお、発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ2層以上用いてもよい。
電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記電荷注入層又は絶縁層(平均膜厚は、通常、0.5〜4nmである)を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。さらに、電子を輸送し、かつ正孔を閉じ込めるために発光層との界面に正孔阻止層を挿入してもよい。
積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して調整すればよい。
本発明において、電荷注入層を設けた発光素子としては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた発光素子、陽極に隣接して電荷注入層を設けた発光素子が挙げられる。
例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電荷輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
電荷注入層としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層等が挙げられる。
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10-5〜103S/cmであることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10-5〜102S/cmがより好ましく、10-5〜101S/cmがさらに好ましい。通常、該導電性高分子の電気伝導度を10-5〜103S/cmとするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオン等が挙げられ、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
電荷注入層の材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリン及びその誘導体、ポリアミノフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等)、カーボン等が例示される。電荷注入層の膜厚は、通常、1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。絶縁層を設けた発光素子としては、陰極に隣接して絶縁層を設けた発光素子、陽極に隣接して絶縁層を設けた発光素子が挙げられる。
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/絶縁層/陰極
s)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
t)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
v)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
w)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
y)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
z)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
ab)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
正孔阻止層の材料は、発光層の材料のイオン化ポテンシャルよりも大きなイオン化ポテンシャルを有する材料、例えば、バソクプロイン、8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体等から構成される。正孔阻止層の膜厚は、通常、1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
具体的には、例えば、以下のac)〜an)の構造が挙げられる。
ac)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/陰極
ad)陽極/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極
ae)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極
af)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/陰極
ag)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極
ah)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極
ai)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/電荷輸送層/陰極
aj)陽極/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
ak)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
al)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電荷輸送層/陰極
am)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
an)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
本発明の発光素子を作製する際に、発光層を溶液から成膜する場合、この溶液を塗布後乾燥により溶媒を除去するだけでよく、また電荷輸送材料や発光材料(具体的には、前記のとおり)を混合した場合においても同様な手法が適用でき、製造上非常に有利である。
溶液から成膜する場合には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、キャピラリ−コート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。なお、これらの方法は、後述の正孔輸送層、電子輸送層等の成膜にも適用することができる。
本発明の発光素子が正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリアミノフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体等が挙げられ、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリアミノフェン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体等の高分子量の正孔輸送材料が好ましく、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体がより好ましい。低分子量の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層の成膜の方法としては、低分子量の正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液から成膜する方法が用いられ、高分子量の正孔輸送材料では、溶液から成膜する方法が用いられる。
溶液から成膜する場合に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるもの、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が挙げられる。
正孔輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚は、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
本発明の発光素子が電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられ、アミノキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜は、低分子量の電子輸送材料の場合、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態から成膜すればよく、高分子量の電子輸送材料の場合、溶液又は溶融状態から成膜すればよい。溶液又は溶融状態から成膜する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。
溶液から成膜する場合に用いる溶媒としては、電子輸送材料及び/又は高分子バインダーを溶解させるもの、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が挙げられる。
電子輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚は、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
本発明の発光素子は、通常、基板上に形成される。該基板は、電極を形成し、該発光素子の各層を形成する際に変化しないものであればよく、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン等の基板が例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明又は半透明であることが好ましい。
通常、陽極及び陰極からなる電極のうち少なくとも一方が透明又は半透明であり、陽極側が透明又は半透明であることが好ましい。なお、陽極、陰極は、各々、1層でも2層以上の積層構造でもよい。
陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作製された膜(NESA等)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリアミノフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボン等からなる層、又は金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる絶縁層を設けてもよい。
陰極の材料は、仕事関数の小さいものが好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、又はそれらのうち2つ以上の合金、又はそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法には、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極作製後、該発光素子を保護する保護層を装着していてもよい。該発光素子を長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物等を用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板等を用いることができ、該カバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子が傷付くのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴン等の不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にダメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策を採ることが好ましい。
本発明の発光素子は、面状光源、表示装置(セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置)及びそのバックライト、照明等に用いることができる。
本発明の発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極又は陰極のいずれか一方、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号等を表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる発光材料を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は発光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動としてもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダー等の表示装置として用いることができる。
−光電変換素子−
次に、本発明の組成物の用途として、光電変換素子について説明する。
光電変換素子としては、例えば、少なくとも一方が透明又は半透明な二組の電極間に本発明の組成物を用いてなる層を挟持させた素子や、基板上に成膜した本発明の組成物を用いてなる層上に形成した櫛型電極を有する素子が挙げられる。特性を向上するために、フラーレンやカーボンナノチューブ等を混合してもよい。
光電変換素子の製造方法としては、特許第3146296号公報に記載の方法が例示される。具体的には、第一の電極を有する基板上に本発明の組成物を用いてなる薄膜を形成し、その上に第二の電極を形成する方法、基板上に形成した一組の櫛型電極の上に本発明の組成物を用いてなる薄膜を形成する方法が例示される。第一又は第二の電極のうち一方が透明又は半透明である。前記薄膜の形成方法やフラーレンやカーボンナノチューブを混合する方法については、発光素子で例示したものが好適に利用できる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
−高分子化合物(H−1)の合成−
不活性雰囲気下にて、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(252mg,0.460mmol)、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ビス(エチレンボロネート)(305mg,0.575mmol)、及びN−4−s−ブチル−N,N−4,4−ブロモフェニルアミン(52.8mg,0.115mmol)をトルエン(5.2g)に溶解させ、これにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.99mg,0.00173mmol)を加え、室温にて10分間攪拌した。次いで、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド20重量%水溶液2mlを加え、室温にて20分間攪拌した。次いで、得られた溶液を昇温し、18時間加熱し還流した後、ブロモベンゼン90mgを加え2時間、フェニルボロン酸70mgを加え2時間加熱し還流した。加熱完了後、得られた溶液を室温まで冷却した。得られた反応混合物をメタノール50mlに滴下し、析出した沈殿を濾別した。この沈殿を減圧乾燥後、得られた固形物をトルエン15mlに溶解させ、メタノール50mlに加えて撹拌した。析出した沈殿を濾別し、メタノールで洗浄後、減圧乾燥を行うことにより、下記式:
Figure 2009091559
で表される構造を添え字のモル比率で有する高分子化合物(H−1)を370mg得た。この高分子化合物(H−1)のポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは46,000であり、ポリスチレン換算の数平均分子量Mnは16,000であった。
−金属錯体(Ir-dimer-1)の合成−
反応容器に、1−フェニルイソキノリン(2.46g、12mmol)、塩化イリジウム三水和物(1.93g、5.5mmol)、2-エトキシエタノール(24mL)、及び水(8mL)を量り取り、窒素気流下、140℃で9時間加熱した。空冷後、得られた反応物を濾別し、水、メタノール、ヘキサンの順で洗浄、乾燥させることにより、下記式:
Figure 2009091559
で表される金属錯体(Ir-dimer-1)2.96gを得た。
−金属錯体(1−1)の合成−
反応容器に、ピリジン(0.034g,0.4mmol)、ジクロロメタン(10ml)、及び金属錯体(Ir-dimer-1)(0.127g,0.1mmol)を量り取り、アルゴンガス雰囲気下、室温で16時間撹拌した。得られた溶液を約3分の1の容量となるまで濃縮し、ヘキサンを滴下して沈殿させた。この沈殿を濾別し、ヘキサンで洗浄した後、減圧下で乾燥した。さらに、この沈殿に対して、ジクロロメタンとヘキサンを用いて数度再結晶することにより、下記式:
Figure 2009091559
で表される金属錯体(1−1)97mgを得た。
1H-NMR(400.4MHz、CDCl3):9.95(d , 1H, J = 6.4 Hz)、9.18-8.75(br , 2H )、9.00-8.98(m , 1H )、8.86(d , 1H, J = 8.4 Hz)、8.17(d , 1H, J = 8.0 Hz)、8.13(d , 1H, J = 8.0 Hz)、8.01(d , 1H, J = 6.0 Hz)、7.94-7.88(m, 2H)、7.72-7.61(m, 5H)、7.53(d , 1H, J = 6.4 Hz), 7.35(d , 1H, J = 6.4 Hz)、7.18(t , 2H, J = 6.4 Hz)、6.94(t , 1H, J = 7.6 Hz)、6.88(t , 1H, J = 7.6 Hz)、6.75(t , 1H, J = 7.4 Hz)、6.69(t , 1H, J = 7.2 Hz)、6.42(d , 1H, J = 7.6 Hz), 6.26(d , 1H, J = 7.6 Hz)
−組成物1の調製−
化合物(H−1)95重量部に対して、金属錯体(1−1)5重量部を添加してなる混合物の0.5重量%クロロホルム溶液(即ち、組成物1)を調製した。
−有機EL素子の作製−
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、商品名:BaytronP)を用いて、スピンコートにより50nmの厚みで該溶液を塗布して成膜を行い、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、上記で調製したクロロホルム溶液(組成物1)を用いてスピンコートにより3200rpmの回転速度で、金属錯体(1−1)と高分子化合物(H−1)の混合物の膜(膜厚:約90nm)を形成した。得られた膜を窒素雰囲気中60℃で20分乾燥した後、陰極として、バリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、有機EL素子を作製した。なお、真空度が1×10-4Pa以下に到達した後、金属の蒸着を開始した。得られた有機EL素子に電圧を印加することにより、620nmにピークをもつEL発光が得られた。この有機EL素子は、約5.3Vで発光を開始し、約7.7Vで1000cd/m2の発光を示した。
<実施例2>
−組成物2の調製−
高分子化合物(H−1)90重量部に対して、金属錯体(1−1)10重量部を添加してなる混合物の0.4重量%クロロホルム溶液(即ち、組成物2)を調製した。
−組成物2のEL発光特性−
実施例1において、組成物1の代わりに組成物2を用い、スピンコートの回転速度を4000rpmで塗布した以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、測定を行った。得られた有機EL素子に電圧を印加することにより、625nmにピークをもつEL発光が得られた。この有機EL素子は、約6.4Vで発光を開始し、約9.6Vで1000cd/m2の発光を示した。
<実施例3>
−金属錯体(Ir-dimer-2)の合成−
下記式:
Figure 2009091559
で表されるイリジウム錯体(A−1)は、Eur. J. Inorg. Chem. 2569,(2002).に記載の方法で合成した。
反応容器に、1−フェニルイソキノリン(0.25 g,1.2mmol)、イリジウム錯体(A−1)(0.15g,0.20mmol)、2-エトキシエタノール(2mL)を量り取り、窒素気流下、14時間還流した。空冷後、得られた褐色反応物を濾別し、水、メタノール、ヘキサンの順で洗浄、乾燥させることにより、下記式:
Figure 2009091559
で表される金属錯体(Ir-dimer-2) 0.16gを得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 9.35 (d, 6.4 Hz, 4H), 8.95 (d, 8.8 Hz, 4H), 8.10 (d, 7.6 Hz, 4H), 7.96 (d, 8.0 Hz, 4H), 7.84 (t, 7.4 Hz, 4H), 7.75 (t, 7.8 Hz, 4H), 6.83-6.79 (m, 8H), 6.52 (t, 7.4 Hz, 4H), 6.01 ppm (d, 8.0 Hz, 4H); (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.77-9..73 (m, 2H), 8.90-8.84 (m, 2H), 8.25-8.12 (m, 4H), 8.02-7.81 (m, 6H), 7.02 (t, 8.2 Hz, 1H), 6.89 (t, 7.4 Hz, 1H), 6.79 (t, 7.0 Hz, 1H), 6.63 (t, 7.4 Hz, 1H), 6.21 (d, 7.2 Hz, 1H), 5.57 ppm (d, 7.6 Hz, 1H).
−金属錯体(1−2)の合成−
反応容器に、ピリジン(3mL)及び金属錯体(Ir-dimer-2)(0.030g,0.022mmol)を量り取り、アルゴンガス雰囲気下、100℃で15時間加熱撹拌した。空冷後、得られた溶液をヘキサンに滴下して沈殿させた。この赤橙色沈殿を濾別し、ヘキサンで洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、下記式:
Figure 2009091559
で表される金属錯体(1−2)26mgを得た。
1H NMR(400 MHz, CDCl3): δ 10.15(d, 1H, J = 6.0 Hz), 9.20-8.90(br, 2H ), 9.00-8.98(m, 1H ), 8.81(d, 1H, J = 8.4 Hz), 8.18(d, 1H, J = 8.4Hz), 8.09-8.07(m, 2H), 7.95-7.89(m, 2H), 7.73-7.61(m, 5H), 7.53(d, 1H, J = 6.4 Hz), 7.36(d, 1H, J = 6.4 Hz), 7.16(t, 2H, J = 6.4 Hz), 6.93(t, 1H, J = 7.6 Hz), 6.88(t, 1H, J = 7.6 Hz), 6.76(t, 1H, J = 7.4 Hz), 6.70(t, 1H, J = 7.2 Hz), 6.32(t, 2H, J = 8.4 Hz).
−組成物3の調製−
高分子化合物(H−1)90重量部に対して、金属錯体(1−2)10重量部を添加してなる混合物の0.4重量%クロロホルム溶液(即ち、組成物3)を調製した。
−組成物3のEL発光特性−
実施例2において、組成物2の代わりに組成物3を用いた以外は実施例2と同様にして有機EL素子を作製し、測定を行った。得られた有機EL素子に電圧を印加することにより、620nmにピークをもつEL発光が得られた。この有機EL素子は、約6.9Vで発光を開始し、約11.0Vで1000cd/m2の発光を示した。
<実施例4>
−組成物4の調製−
高分子化合物(H−1)95重量部に対して、金属錯体(1−2)5重量部を添加してなる混合物の0.4重量%クロロホルム溶液(即ち、組成物4)を調製した。
−組成物4のEL発光特性−
組成物2の代わりに組成物4を用いた以外は実施例2と同様にして有機EL素子を作製し、測定を行った。得られた有機EL素子に電圧を印加することにより、615nmにピークをもつEL発光が得られた。この有機EL素子は、約4.8Vで発光を開始し、約6.9Vで1000cd/m2の発光を示した。
<実施例5>
−金属錯体(Ir-dimer-3)の合成−
下記式(A−2):
Figure 2009091559
で表されるイリジウム錯体(A−2)は、Z. Naturforsch. 1986, 41b, 76.に記載の方法で合成した。
反応容器に、1−フェニルイソキノリン(0.25 g, 1.2 mmol)、イリジウム錯体(A−2)(0.17 g, 0.20 mmol)、2-エトキシエタノール(2mL)を量り取り、窒素気流下、16時間還流した。空冷後、得られた明橙色反応物を濾別し、水、メタノール、ヘキサンの順で洗浄、乾燥させることにより、粗生成物0.26gを得た。これをジクロロメタンで抽出し、溶媒を除去することにより、下記式:
Figure 2009091559
で表される金属錯体(Ir-dimer-3)43mgを得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 9.84 (d, 6.0 Hz, 4H), 8.91 (d, 8.8 Hz, 4H), 8.09-8.06 (m, 8H), 7.84 (t, 7.6 Hz, 4H), 7.74 (t, 7.8 Hz, 4H), 7.16 (d, 6.4 Hz, 4H), 6.80 (t, 7.6 Hz, 4H), 6.53 (t, 7.6 Hz, 4H), 6.01 ppm (d, 7.6 Hz, 4H); (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.95 (d, 6.0 Hz, 1H), 9.79 (d, 6.8 Hz, 1H), 8.85 (d, 8.4 Hz, 2H), 8.24-8.13 (m, 4H), 7.97-7.80 (m, 6H), 7.03 (t, 7.0 Hz, 1H), 6.87 (t, 7.6 Hz, 1H), 6.81 (t, 7.6 Hz, 1H), 6.63 (t, 6.8 Hz, 1H), 6.05 (d, 7.6 Hz, 1H), 5.61 ppm (d, 7.2 Hz, 1H).
−金属錯体(1−3)の合成−
反応容器に、ピリジン(3mL)及び金属錯体(Ir-dimer-3)(0.030 g, 0.020 mmol)を量り取り、アルゴンガス雰囲気下、100℃で15時間加熱撹拌した。空冷後、得られた溶液をヘキサンに滴下して沈殿させた。この赤橙色沈殿を濾別し、ヘキサンで洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、下記式(1−3):
Figure 2009091559
で表される金属錯体(1−3)26mgを得た。
1H NMR(400 MHz、CDCl3): δ 10.42(d, 1H, J = 6.4 Hz), 9.25-8.95(br, 2H ), 9.00-8.98(m, 1H ), 8.75(d, 1H, J = 8.4 Hz), 8.22-8.18(m, 2H), 7.99(d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.95-7.90(m, 2H), 7.74-7.60(m, 5H), 7.51(d, 1H, J = 6.8 Hz), 7.36(d, 1H, J = 6.4 Hz), 7.14-7.11(m, 2H), 6.92(t, 1H, J = 7.0 Hz), 6.86(t, 1H, J = 6.8 Hz), 6.77(t, 1H, J = 7.4 Hz), 6.71(t , 1H, J = 7.4 Hz), 6.38(d, 1H, J = 7.6 Hz), 6.17(d, 1H, J = 6.4 Hz).
−組成物5の調製−
高分子化合物(H−1)95重量部に対して、金属錯体(1−3)5重量部を添加してなる混合物の0.4重量%クロロホルム溶液(即ち、組成物5)を調製した。
−組成物5のEL発光特性−
実施例2において、組成物2の代わりに組成物5を用いた以外は実施例2と同様にして有機EL素子を作製し、測定を行った。得られた有機EL素子に電圧を印加することにより、620nmにピークをもつEL発光が得られた。この有機EL素子は、約5.3Vで発光を開始し、約8.0Vで1000cd/m2の発光を示した。
<実施例6>
−金属錯体(2−1)の合成−
下記式:
Figure 2009091559
で表される金属錯体(Pt−1)は、J.Organomet.Chem. 690,4090−4093,2005.に記載の方法で合成した。反応容器に、ピリジン4mL及び金属錯体(Pt−1)0.13 g(0.20 mmol)を量り取り、アルゴンガス雰囲気下、100℃で30分間加熱撹拌した。空冷後、得られた溶液をヘキサンに滴下して沈殿させた。この橙黄色沈殿を濾別し、ヘキサンで洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、下記式:
Figure 2009091559
で表される金属錯体(2−1)0.11gを得た。
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2): δ 9.60 (d with satellites, 6.4 Hz, 1H), 9.00 (d with satellites, 6.8 Hz, 2H), 8.85 (d, 8.4 Hz, 1H), 8.08 (d, 8.0 Hz, 1H), 7.95 (t, 7.6 Hz, 1H), 7.92 (d, 8.4 Hz, 1H), 7.81 (t, 7.4 Hz, 1H), 7.72 (t, 7.6 Hz, 1H), 7.53 (d, 6.4 Hz, 1H), 7.48 (t, 6.4 Hz, 2H), 7.19 (t, 7.6 Hz, 1H), 7.02 (t, 7.4 Hz, 1H), 6.49 (d with satellites, 7.6 Hz, 1H).
−組成物6の調製−
高分子化合物(H−1)90重量部に対して、金属錯体(2−1)10重量部を添加してなる混合物の0.4重量%クロロホルム溶液(即ち、組成物6)を調製した。
−組成物6のEL発光特性−
実施例2において、組成物2の代わりに組成物6を用いる以外は実施例2と同様にして有機EL素子を作製し、測定を行うことにより、優れた発光特性を示すことが確認できる。
<比較例1>
−組成物C1のEL発光特性−
高分子化合物(H−1)90重量部に対して、下記式(B):
Figure 2009091559
で表される金属錯体(B)10重量部を添加してなる混合物の0.4重量%クロロホルム溶液(即ち、組成物C1)を調製したが、金属錯体(B)が十分に溶解せず溶け残りが生じた。実施例2において、組成物2の代わりに組成物C1を用いた以外は実施例2と同様にして有機EL素子の作製を試みたが、膜が不均一のため測定に適した素子を得ることができなかった。

Claims (20)

  1. 下記式(1)で表される金属錯体と高分子電荷輸送材料とを含む組成物。
    Figure 2009091559
    (式中、Xはハロゲン原子を表す。R1〜R15はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい1価の複素環基、又はハロゲン原子を表す。Mは、イリジウム原子、白金原子、オスミウム原子、ルテニウム原子、パラジウム原子、ロジウム原子、レニウム原子、又はコバルト原子を表す。nは、1又は2である。R1〜R10が複数存在する場合には、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 前記式(1)で表される金属錯体が、下記式(1a)又は(1b)で表されるものである請求項1に記載の組成物。
    Figure 2009091559
    (式中、X及びR1〜R15は、前記と同じ意味を有する。R1〜R10が複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
  3. 前記式(1a)で表される金属錯体が、下記式(1c)で表されるものである請求項2に記載の組成物。
    Figure 2009091559
    (式中、X’はハロゲン原子を表す。RA〜REはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキル基、又はハロゲン原子を表す。)
  4. 前記式(1b)で表される金属錯体が、下記式(1d)で表されるものである請求項2に記載の組成物。
    Figure 2009091559
    (式中、X’及びRA〜REは、前記と同じ意味を有する。)
  5. 前記高分子電荷輸送材料が、共役系高分子又は非共役系高分子である請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記共役系高分子が、主鎖に芳香環を含む共役系高分子である請求項5に記載の組成物。
  7. 前記主鎖に芳香環を含む共役系高分子が、下記式(2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である請求項6に記載の組成物。
    Figure 2009091559
    (式中、Yは、−O−、−S−、−Se−、−B(R18)−、−Si(R19)(R20)−、−P(R21)−、−P(R22)(=O)−、−C(R23)(R24)−、−C(R25)(R26)−C(R27)(R28)−、−O−C(R29)(R30)−、−S−C(R31)(R32)−、−N(R33)−C(R34)(R35)−、−Si(R36)(R37)−C(R38)(R39)−、−Si(R40)(R41)−Si(R42)(R43)−、−C(R44)=C(R45)−、−N(R46)−、−N=C(R47)−、又は−Si(R48)=C(R49)−を表す。R18〜R49はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。R16及びR17はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基を表す。複数存在するR16及びR17は、同一であっても異なっていてもよい。)
  8. 前記主鎖に芳香環を含む共役系高分子が、前記式(2)で表される繰り返し単位と下記式(3)で表される繰り返し単位とを有する高分子化合物である請求項7に記載の組成物。
    Figure 2009091559
    (式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。Ar5、Ar6及びAr7はそれぞれ独立に、アリール基又は1価の複素環基を表す。Ar1〜Ar7は置換基を有していてもよい。x及びyはそれぞれ独立に、0又は1を示し、0≦x+y≦1である。)
  9. 前記主鎖に芳香環を含む共役系高分子が、下記式(2a)で表される繰り返し単位と下記式(3a)で表される繰り返し単位とを有する高分子化合物である請求項8に記載の組成物。
    Figure 2009091559
    (式中、R*は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基を表す。R**は、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルオキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキルチオ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリールアルキニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。R****は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表す。複数存在するR*及びR**は、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
  10. 前記非共役系高分子が、ポリビニルカルバゾール又はその誘導体である請求項5に記載の組成物。
  11. さらに、低分子正孔輸送材料、低分子電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. さらに、溶媒を含有する請求項1〜11に記載の組成物からなる液状組成物。
  13. 25℃における粘度が0.5〜500mPa・sである請求項12に記載の液状組成物。
  14. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物を用いてなる薄膜。
  15. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物を用いてなる有機トランジスタ。
  16. 請求項1〜11いずれか一項に記載の組成物を用いてなる素子。
  17. 請求項16に記載の素子からなる発光素子。
  18. 請求項17に記載の発光素子を備えた面状光源。
  19. 請求項17に記載の発光素子を備えた表示装置。
  20. 請求項17に記載の発光素子を備えた照明。
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