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JP2009084613A - 金属ガラス合金複合体及びその製造方法 - Google Patents

金属ガラス合金複合体及びその製造方法 Download PDF

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JP2009084613A JP2007253716A JP2007253716A JP2009084613A JP 2009084613 A JP2009084613 A JP 2009084613A JP 2007253716 A JP2007253716 A JP 2007253716A JP 2007253716 A JP2007253716 A JP 2007253716A JP 2009084613 A JP2009084613 A JP 2009084613A
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Sumiaki Nakano
純章 仲野
Tadashi Hamada
糾 濱田
Yoshihiko Yokoyama
嘉彦 横山
Akihisa Inoue
明久 井上
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Tohoku University NUC
Panasonic Electric Works Co Ltd
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Tohoku University NUC
Panasonic Electric Works Co Ltd
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Abstract

【課題】金属ガラス合金を低コストで、臨界サイズを超えた大きさのものに適用することができる金属ガラス合金複合体を提供する。
【解決手段】金属ガラス合金の鋳造物よりなる金属体2を、基材1の表面に有する凹凸部3を介して基材1と結合させて、金属ガラス合金複合体を作製する。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材となる材料に、金属ガラス合金の鋳造物を複合させた金属ガラス合金複合体及びその製造方法に関するものである。
通常、金属及び合金の液体を融点(Tm)以下に冷却した場合、液体は直ちに結晶として凝固するため、一般的な金属材料は結晶質構造を持つ。結晶質構造は、規則的に原子が配列するものの、結晶粒界や欠陥を多く含み、機械的強度や化学的安定性を阻害する箇所が多数存在する。
一方、1960年頃、10K/sで冷却すると無秩序な原子配列のまま固化する合金系があることが見出された。このように無秩序な原子配列を持つ構造は、非晶質構造やアモルファス構造などと呼ばれ、そのような構造を持つ合金は非晶質合金あるいはアモルファス合金などと呼ばれる。非晶質合金は金属元素がランダムに配列し、最近接原子間距離や配位数及び原子間の相対位置は結晶質のように一定ではない形態を持ち、また、凝固の際、凝固収集区が抑えられているため、結晶質構造を持つものに比べ原子間空隙を多く持っている。従って一般的に、非晶質合金は、結晶質構造を持つものに比べ、化学的安定性(耐食性)が優れる、電気抵抗が高く、且つ温度変化が小さい、熱膨張係数や剛性率の温度係数が小さいなどの優れた特性を有しており、その他、近年の盛んな研究により結晶合金に比べて優れる種々の特性が確認されている。こうした非晶質合金の優れた特性は、主に、結晶粒界を持たない、そして、原子間空隙が大きいということに起因している。ただし、1988年までに報告されている非晶質合金は、高冷却速度を必要とし、材料形態も、厚みが50μmまでと薄肉小物に限られていた。
そのような中、1988年以降、東北大学のグループにより、0.1〜100K/s程度の徐冷速度においても非晶質化する数多くの合金系が見出された。これらの非晶質合金は、加熱すると結晶化の前段階にガラス遷移と広い過冷却液体域を示すことが特徴であり、現在では、金属ガラス合金や、金属ガラス、ガラス合金、ガラス金属等の各種の表現方法により定義されている。
この金属ガラス合金は、ガラス状原子配列が相当に高い安定性を持って形成されるものであり、その構造は10K/sの高冷却速度で得られても、あるいは徐冷速度で得られてもほとんど変化せず、ほぼ一定の熱的安定性や諸物性を示す。金属ガラス合金の一般的な特徴として、非晶質構造が非常に安定であるため、非晶質構造特有の優れた機械的特性、化学的特性を安定的に保持できることが挙げられる。また、過冷却液体領域を持つため、二次加工的に温間成形することも可能となり、工業的には大変利用価値が高い。
このような金属ガラス合金の作製方法としては、回転ロール上に射出・急冷する液体急冷法、溶解した合金を水中で冷却する水焼入れ法、高周波による溶解後、鋳型に射出・冷却する金型鋳造法、アーク溶解後、鋳型で鍛造する型締め鋳造法、回転ディスク溝部に注入する回転ディスク製線法、などが開発されてきた(例えば特許文献1,2等)。
これらの製法の中で、金属ガラス合金を比較的大型なものとして得る手法は、水焼入れ法、金型鋳造法、型締め鋳造法などであるが、そのいずれも基本的に、結晶化が進行しない冷却速度にて溶湯を冷却することが重要であり、そのため必然的に、得られる金属ガラス合金の臨界サイズが存在することになる。また一般的に、金属ガラス合金はその形成材料費用及び製造費用が高コストであるので、利用価値の高い金属ガラス合金を積極的に活用することの支障となっている。
特開2000−169947号公報 特開平11−76475号公報
上記のように、金属ガラス合金は臨界サイズが存在するため、臨界サイズを超えた大きさのものに適用することが難しいという問題があった。また高コストな金属ガラス合金をできるだけ低コストで有効利用できるようにすることが望まれるものである。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、金属ガラス合金を低コストで、臨界サイズを超えた大きさのものに適用することができる金属ガラス合金複合体を提供することを目的とするものである。
本発明に係る金属ガラス合金複合体は、基材と金属ガラス合金とを複合した複合体であって、金属ガラス合金の鋳造物よりなる金属体が、基材の表面に有する凹凸部を介して基材と結合して成ることを特徴とするものである。
この発明によれば、金属ガラス合金の優れた特性を必要とする部分に、臨界サイズ以下の金属ガラス合金の鋳造物よりなる金属体を基材と結合させて設けることによって、全体として臨界サイズを超えた大きさであっても、金属ガラス合金の特性を活かした製品に形成することができるものであり、しかも金属ガラス合金は小さなサイズのものとして使用することができ、低コストに形成することができるものである。また金属ガラス合金の鋳造物よりなる金属体は凹凸部を介して基材と結合しており、金属ガラス合金の金属体を基材と強固に一体化することができるものである。
また本発明は、上記の金属ガラス合金の鋳造物よりなる金属体が、基材の周囲を包囲するように設けられていることを特徴とするものである。
この発明によれば、基材に対する金属ガラス合金の結合がより高まるものであり、また金属ガラス合金で基材の表面を覆うことができ、金属ガラス合金の優れた特性をより有効に活かすことができるものである。
また本発明は、上記基材が、金属により形成されたものであることを特徴とするものである。
この発明によれば、金属の基材と金属ガラス合金とから、全体が金属で形成された複合体を得ることができるものである。
また本発明は、上記金属ガラス合金は下記式(1)〜(5)の組成のいずれかから成ることを特徴とするものである。
Cu …(1)
(式(1)において、M=Al,Zr,Ni,Ti,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Fe,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
Zr …(2)
(式(2)において、M=Al,Ni,Cu,Ti,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Fe,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
Ni …(3)
(式(3)において、M=Al,Zr,Cu,Ti,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Fe,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
Ti …(4)
(式(4)において、M=Al,Ni,Cu,Zr,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Fe,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
Fe …(5)
(式(5)において、M=Al,Ni,Cu,Ti,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Zr,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
この発明によれば、金属ガラス合金を基材に複合することによる効果を、高く得ることができるものである。
また本発明は、上記金属ガラス合金の密度が、同一組成合金の結晶化後の密度に対して、0.5%以上小さいことを特徴とするものである。
この発明によれば、金属ガラス合金の加工を良好に行なうことができるものである。
また本発明は、上記金属ガラス合金の鋳造物よりなる金属体の表面には、酸化処理、窒化処理から選ばれる表面改質処理、あるいは表面コーティングが施されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、金属ガラス合金よりなる金属体の耐摩耗性や耐食性、表面硬度などを向上することができるものである。
本発明の金属ガラス合金複合体の製造方法は、上記の基材と金属ガラス合金とを複合した金属ガラス合金複合体を製造するにあたって、表面に凹凸を有する基材の表面に金属ガラス合金の前駆体を供給した後、この前駆体を冷却することによって、金属ガラス合金の鋳造物よりなる金属体を基体に結合させることを特徴とするものである。
この発明によれば、基材の表面に金属ガラス合金の前駆体を供給した後にこの前駆体を冷却するという工程で、金属ガラス合金の鋳造物よりなる金属体を基体に結合させることができ、金属ガラス合金複合体の製造を容易に行なうことができるものである。
本発明によれば、金属ガラス合金の優れた特性を必要とする部分に、臨界サイズ以下の金属ガラス合金の鋳造物よりなる金属体を基材と結合させて設けることによって、全体として臨界サイズを超えた大きさであっても、金属ガラス合金の特性を活かした製品に形成することができるものである。しかも金属ガラス合金は小さなサイズのものとして使用することができ、低コストに形成することができるものである。また金属ガラス合金の鋳造物よりなる金属体は凹凸部を介して基材と結合しており、金属ガラス合金の金属体を基材と強固に一体化することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
金属ガラス合金は、結晶化温度領域(Tx)以下に、ガラス遷移とそれに続く過冷却液体領域を有する、非晶質層を主体とする合金である。そして金属ガラス合金のこの過冷却液体領域を利用して、容易に加工することができるものである。
金属ガラス合金としては、特に限定されるものではないが、本発明において好適に使用される金属ガラス合金の合金組成として、下記式(1)〜(5)のものを挙げることができる。尚、組成の添え字の数値は、金属組成比(原子百分率)を示すものである。
Cu …(1)
(式(1)において、M=Al,Zr,Ni,Ti,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Fe,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
この式(1)のCu系の金属ガラス合金としては次のものを例示することができる。
Cu−Zr−Ti(例えば、Cu60Zr30Ti10
Cu−Ti−Ni−Hf−Zr−Si(例えば、Cu42.5Ti41.5Ni7.5HfZr2.5Si
Zr …(2)
(式(2)において、M=Al,Ni,Cu,Ti,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Fe,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
この式(2)のZr系の金属ガラス合金としては次のものを例示することができる。
Zr−Cu−Al(例えば、Zr50Cu40Al10
Zr−Cu−Ni−Al(例えば、Zr50Cu30Ni10Al10
Zr−Cu−Ni−Al−Ti(例えば、Zr53Cu20Ni12Al10Ti
Ni …(3)
(式(3)において、M=Al,Zr,Cu,Ti,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Fe,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
この式(3)のNi系の金属ガラス合金としては次のものを例示することができる。
Ni−Nb−Ti−Zr−Co―Cu(例えば、Ni53Nb20Ti10ZrCoCu
Ni−Nb−Ti−Zr(例えば、Ni60Nb15Ti15Zr10
Ni−Nb−Ti(例えば、Ni60Nb15Ti25
Ni−Nb−Zr(例えば、Ni60Nb20Zr20
Ni−Nb−Ti−Zr−Fe(例えば、Ni55Nb15Ti15Zr10Fe
Ni−Nb−Ti−Zr−Co(例えば、Ni55Nb15Ti15Zr10Co
Ni−Nb−Ti−Zr−Cu(例えば、Ni55Nb15Ti15Zr10Cu
Ni−Nb−Ti−Zr−Co−Cu(例えば、Ni53.5Nb20.2Ti10.1Zr7.1Co6.1Cu
Ti …(4)
(式(4)において、M=Al,Ni,Cu,Zr,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Fe,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
この式(4)のTi系の金属ガラス合金としては次のものを例示することができる。
Ti−Zr−Cu−Ni−Hf(例えば、Ti45Zr2.5Cu42.5Ni7.5Hf2.5
Ti−Zr−Cu−Ni−Nb(例えば、Ti45Zr2.5Cu42.5Ni7.5Nb2.5
Ti−Zr−Cu−Ni−Ta(例えば、Ti45Zr2.5Cu42.5Ni7.5Ta2.5
Ti−Zr−Cu−Ni−V(例えば、Ti45Zr2.5Cu42.5Ni7.52.5
Ti−Zr−Cu−Ni−Sn(例えば、Ti45Zr2.5Cu42.5Ni7.5Sn2.5
Ti−Zr−Cu−Ni−Al(例えば、Ti45Zr2.5Cu42.5Ni7.5Al2.5
Ti−Zr−Cu−Ni−Si(例えば、Ti45Zr2.5Cu42.5Ni7.5Si2.5
Ti−Zr−Cu−Ni−Pb(例えば、Ti45Zr2.5Cu42.5Ni7.5Pb2.5
Ti−Zr−Cu−Ni−Ga(例えば、Ti45Zr2.5Cu42.5Ni7.5Ga2.5
Ti−Zr−Cu−Ni−Y(例えば、Ti46.3Zr2.45Cu41.45Ni7.32.5
Ti−Zr−Cu−Ni−B(例えば、Ti45Zr2.5Cu42.5Ni7.52.5
Ti−Zr−Hf−Cu−Ni−Si(例えば、Ti41.5Zr2.5HfCu42.5Ni7.5Si
Ti−Zr−Cu−Ni−Si−B(例えば、Ti45Zr2.5Cu42.5Ni7.5Si0.5
Ti−Cu−Ni−Fe−Mo(例えば、Ti52Cu23Ni11FeMo
Ti−Cu−Ni−Zr−Al−Si−B(例えば、Ti53.5Cu21Ni12ZrAlSi0.5
Ti−Cu−Ni−Zr(例えば、Ti40Cu45NiZr10
Fe …(5)
(式(5)において、M=Al,Ni,Cu,Ti,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Zr,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
この式(5)のFe系の金属ガラス合金としては次のものを例示することができる。
Fe−Si−B−Nb(例えば、Fe71Si20Nb
Fe−Co−Si−B−Nb(例えば、Fe57.6Co14.4Si20Nb
Fe−Si−B−Nb(例えば、Fe72Si20Nb
Fe−Ni−B(例えば、Fe60Ni2020
Fe−Cr−Mo−C−B−Er(例えば、Fe48Cr15Mo1415Er
Fe−Mo−C−B−Er(例えば、Fe63Mo1415Er
Fe−Ni−Si−B−Nb(例えば、Fe43Ni29Si20Nb
Fe−Nb−B(例えば、Fe72Nb24
Fe−Co−Ni−B−Si−Nb(例えば、Fe57.6Co7.2Ni7.219.2Si4.8Nb
図3は金属ガラス合金複合体の製造の一例を示すものであり、例えばφ46mmの円柱状の鋳造用凹部5を有する銅製などの鋳型6を用い、まず、この鋳造用凹部5内に図3(a)のように、金属ガラス合金の前躯体である溶湯4を流し込む。上記した金属ガラス合金の合金組成のうち、例えばZr50Cu30Ni10Al10金属ガラス合金を用いることができる。この後直ちに、基材1を図3(b)のように、その中心を鋳型用凹部5の中心に合わせながら、鋳型用凹部5に上面の開口から差し込み、図3(c)に示すように基材1の下部を溶湯4中に押し込む。この基材1としては例えば円柱形の真鍮製中子など金属製ものを用いることができる。
次に、自然冷却するなど、溶湯4を金属ガラス合金になる冷却条件で冷却することによって、真鍮製中子からなる基材1の外周にZr50Cu30Ni10Al10金属ガラス合金が凝固した鋳造物からなる金属体2が一体化した円柱形複合物として、図1に示すような金属ガラス合金複合体Aを得ることができるものである。
ここで、真鍮製中子からなる基材1の外周には、ローレットや、ギヤの歯形状などの凹凸部3が形成してあり、この凹凸部3に金属ガラス合金の金属体2が噛み合うように結合することによって、基材1に金属ガラス合金の金属体2を一体化するようにしてある。このように、基材1の表面の凹凸部3に金属ガラス合金の金属体2を噛み合わせて結合することによって、叩くなどすることによって基材1から金属ガラス合金の金属体2が離れるような弱い結合ではなく、金属ガラス合金複合体Aの使用環境で容易に金属ガラス合金の金属体2が脱落するようなことがない強い強度で結合させて一体化することができるものである。
また図1のように、基材1の周囲を包囲するように金属ガラス合金の金属体2を設けることによって、基材1から金属ガラス合金の金属体2が剥がれるようなことがなくなり、基材1に対する金属ガラス合金の金属体2の結合強度をさらに高く得ることができるものである。尚、基材1の周囲を金属ガラス合金の金属体2で包囲する場合、基材1の一周方向のみを包囲するようにしてもよいし、基材1の略全周面を包囲するようにしてもよい。また基材1の内周に接するように金属ガラス合金の金属体2を形成してもよい。
そして図1のように作製した金属ガラス合金複合体Aをさらに加工することができる。例えば図2の実施の形態では、金属ガラス合金複合体Aを金属ガラス合金の金属体2の部分で輪切りにし、真鍮製中子からなる基材1の中心に貫通孔7をくり抜く穿孔を加工を行なうと共に、基材1と金属ガラス合金の金属体2との接合部に小孔8を加工する。これらのいずれの機械加工もスムーズに行なうことができるものであり、特に真鍮製中子からなる基材1が中心部にある金属ガラス合金複合体Aでは、機械加工がより容易になるものである。またX線マイクロアナライザー(EPMA)による測定で、真鍮製中子からなる基材1と金属ガラス合金の金属体2との接合界面の元素の拡散状況を検査したところ、金属元素の拡散は認められず、きわめて良好な金属ガラス合金複合体Aが形成されているものであった。
上記のようにして得られる金属ガラス合金複合体Aにあって、金属ガラス合金はその優れた特性が必要とされる部分にのみ設けるようにすればよい。従って、金属ガラス合金複合体Aの全体としては金属ガラス合金の臨界サイズを超える大きさであっても、金属ガラス合金の金属体2は臨界サイズ以下の大きさに形成することができるものであり、金属ガラス合金の特性を活かした製品に形成することができるものである。またこのように金属ガラス合金の金属体2を小さなサイズに形成して金属ガラス合金複合体Aを作製することができるので、高コストの金属ガラス合金の使用量を少なくして、低コストに形成することができるものである。
ここで、上記のように金属ガラス合金複合体Aを製造するにあたって、金属ガラス合金はガラス形成能の高いものが好適であり、上記のZr50Cu30Ni10Al10のようなCuを含む合金組成が好ましい。また、金属ガラス合金の密度が、同一組成合金の結晶化後の密度に対して、0.5%以上小さいものであることが好ましい。密度がこのような金属ガラス合金は、冷間での機械加工が容易になるものである。勿論、金属ガラス合金は必ずしもこれらに限られるものではない。
また、金属ガラス合金複合体Aにおいて、基材1に結合した金属ガラス合金の金属体2の表面には、酸化処理や窒化処理などの表面改質処理、あるいは表面コーティングを施すことができる。
酸化処理は、例えば、脱脂後約380℃で60分間、大気酸化させることによって、Zr50Cu40Al10などの金属ガラス合金の金属体2の表面に、Zrの酸化物層を形成することによって行なうことができる。この処理により、金属体2の摺動性や耐摩耗性が向上するものである。
窒化処理としては、例えば、窒素元素を含む反応性のガスあるいは窒素ガス中でのグロー放電を利用した窒化処理や、高純度窒素ガス中で試料を400℃近傍に加熱して行なう窒化処理などがあり、これらの窒化処理により、主として、Zrの高硬度窒化物を金属ガラス合金の金属体2の表面近傍に緻密に形成することができるものである。
また表面コーティングとしては、例えば、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)の皮膜や、Ni電鋳メッキでNi皮膜を形成する方法を採用することができる。その他、一般的な高硬度物質の皮膜を、PVDやCVDで形成するようにしても良いものであり、この場合、過冷却液体領域温度400℃を大きく超えない温度(450℃)以下で行うことが必要である。DLCコーティングは、例えば、黒鉛ターゲットを用いて水素ガスを含むガス雰囲気中でのPVD、あるいは、水素元素を含む反応性ガス中でのCVDで形成することができる。この場合も、過冷却液体領域温度400℃を大きく超えない温度(450℃)以下で行うことが必要である。この場合、金属ガラス合金の金属体2の表面をHv=2000〜3000と極めて高い硬度の皮膜で覆うことが可能となる。
本発明の金属ガラス合金複合体の実施の形態の一例を示す斜視図である。 同上の機械加工を施した金属ガラス合金複合体の一例の斜視図である。 本発明の製造方法の一例を示すものであり、(a)乃至(c)はそれぞれ各工程を示す断面図である。
符号の説明
1 基材
2 金属体
3 凹凸部
4 金属ガラス合金の溶湯

Claims (7)

  1. 基材と金属ガラス合金とを複合した複合体であって、金属ガラス合金の鋳造物よりなる金属体が、基材の表面に有する凹凸部を介して基材と結合して成ることを特徴とする金属ガラス合金複合体。
  2. 金属ガラス合金の鋳造物よりなる金属体が、基材の周囲を包囲するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の金属ガラス合金複合体。
  3. 上記基材が、金属により形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属ガラス合金複合体。
  4. 上記金属ガラス合金は下記式(1)〜(5)の組成のいずれかから成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の金属ガラス合金複合体。
    Cu …(1)
    (式(1)において、M=Al,Zr,Ni,Ti,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Fe,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
    Zr …(2)
    (式(2)において、M=Al,Ni,Cu,Ti,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Fe,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
    Ni …(3)
    (式(3)において、M=Al,Zr,Cu,Ti,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Fe,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
    Ti …(4)
    (式(4)において、M=Al,Ni,Cu,Zr,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Fe,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
    Fe …(5)
    (式(5)において、M=Al,Ni,Cu,Ti,Sn,Pb,Hf,Ta,Ga,Co,Zr,Mo,Cr,Si,B,Cより選ばれた1種以上の元素、2≦x≦65,35≦y≦88、x+y=100)
  5. 上記金属ガラス合金の密度が、同一組成合金の結晶化後の密度に対して、0.5%以上小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の金属ガラス合金複合体。
  6. 上記金属ガラス合金の鋳造物よりなる金属体の表面には、酸化処理、窒化処理から選ばれる表面改質処理、あるいは表面コーティングが施されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の金属ガラス合金複合体。
  7. 基材と金属ガラス合金とを複合した金属ガラス合金複合体の製造方法であって、表面に凹凸を有する基材の表面に金属ガラス合金の前駆体を供給した後、この前駆体を冷却することによって、金属ガラス合金の鋳造物よりなる金属体を基体に結合させることを特徴とする金属ガラス合金複合体の製造方法。
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