JP2009083289A - 蓄熱性を有する塗装鋼板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鋼板の上に、蓄熱材が壁材樹脂に内包されたマイクロカプセルおよびマトリックス樹脂を含む塗膜を形成する。好ましくは、前記壁材樹脂は、前記蓄熱材の融点における貯蔵弾性率が8000MPa以下であり、かつ前記マトリックス樹脂は、前記蓄熱材の融点における貯蔵弾性率が1000MPa以下である。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献2には、パラフィン炭化水素を内包したマイクロカプセルを含む水分散液を用いて繊維を処理する方法が開示されている。当該方法により、蓄熱性を有する繊維が得られ、生活空間の温度をより快適な温度域にすることができるとされている。
[2]前記壁材樹脂は、前記蓄熱材の融点における貯蔵弾性率が8000MPa以下であり、かつ前記マトリックス樹脂は、前記蓄熱材の融点における貯蔵弾性率が1000MPa以下である、[1]に記載の塗装鋼板。
[3]前記壁材樹脂の厚みは、0.05〜1μmである、[1]または[2]に記載の塗装鋼板。
[4]前記マイクロカプセルの添加量は、乾燥塗膜に対して2〜70質量%である、[1]〜[3]いずれかに記載の塗装鋼板。
[5]前記蓄熱材は、パラフィン炭化水素である、[1]〜[4]いずれかに記載の塗装鋼板。
[6]前記蓄熱材の融点は、−20〜70℃である、[1]〜[5]いずれかに記載の塗装鋼板。
本発明の塗装鋼板は、蓄熱材が壁材樹脂に内包されたマイクロカプセルおよびマトリックス樹脂を含む塗膜を有することを特徴とする。塗装鋼板とは鋼板表面に塗膜を有する鋼板である。塗膜は、鋼板の何れか一方の面に設けられていればよいが、両面に設けられていてもよい。
塗膜とは、塗布された塗料の膜を乾燥させて得た膜をいう。本発明では塗料を鋼板に塗布して得られる乾燥前の膜を「塗布膜」、乾燥させた膜を「塗膜」と呼ぶ。
本発明の塗膜は、蓄熱材が壁材樹脂に内包されたマイクロカプセルおよびマトリックス樹脂を含む。
マイクロカプセルとは、直径がナノメートルからミリメートルの間の微小な容器をいう。容器となる壁材は無機系材料、有機系材料がある。本発明において壁材は内包した蓄熱材が漏洩し難い有機系材料である、有機系樹脂であることが好ましい。カプセルに内包される物質は芯物質とも呼ばれる。以下、蓄熱材が壁材樹脂に内包されたマイクロカプセルを、単に「マイクロカプセル」ということがある。
本発明において蓄熱材とは、物質が融解・凝固する際の相変化により、熱を蓄えたり、熱を放出したりする物質をいう。このような蓄熱材は、潜熱を利用することから潜熱性蓄熱材とも呼ばれる。蓄熱材の例には、水、有機化合物、無機化合物が含まれる。
n−テトラデカン(融点5℃)、n−ペンタデカン(融点9.9℃)、n−ヘキサデカン(融点18℃)、n−オクタデカン(融点28℃)、n−イコサン(融点37℃)、日本精蝋製パラフィンワックス(融点55℃)等のパラフィン炭化水素;セチルアルコール(融点51℃)等の高級アルコール;ステアリン酸(融点70℃)等の有機酸。
壁材樹脂とは、カプセルの容器を構成する樹脂をいう。壁材樹脂の例には、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアクリルアミド、エチルセルロース、ポリウレタン、ポリウレア、メラミン樹脂、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、またはアラビアゴムが含まれる。中でも本発明の壁材樹脂は、比較的強度が強く、気密性に優れたメラミン樹脂やウレタン樹脂が好ましい。
以上から、本発明の壁材樹脂の内包する蓄熱材の融点における貯蔵弾性率が前記範囲にあると、蓄熱材が体積変化を起こしてもマイクロカプセルが破損されにくくなる。
マイクロカプセルの粒径は、特に限定されないが、3μm程度であることが好ましい。粒径が大き過ぎると塗膜の厚みによっては塗膜表面からマイクロカプセル露出しやすく、カプセルが破壊され易くなることがある。
蓄熱材、高分子材料と界面活性剤から形成されたエマルションを乾燥させて得る方法(特開昭62−1452号公報)、蓄熱材粒子の表面に熱可塑性樹脂を噴霧する方法(特開昭62−45680号公報)、蓄熱材粒子の表面に液中で熱可塑性樹脂を形成する方法(特開昭62−149334号公報)、蓄熱材粒子の表面でモノマーを重合させ被覆する方法(特開昭62−225241号公報)、または界面重縮合反応により芯物質をポリアミドで皮膜する方法(特開平2−258052号公報)。
マトリックス樹脂は塗料の主成分となる樹脂であり、水系(水に可溶)または溶剤系(溶剤に可溶)のいずれでもよい。また、マトリックス樹脂は、水や溶媒に分散可能なものであってもよい。本発明のマトリックス樹脂の例には、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、またはオレフィン樹脂が含まれる。これらは単独で用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。
さらに、室温における破断伸び率が30%以上のマトリックス樹脂は、本発明の蓄熱材のより好ましい融点である30〜40℃の領域においても、ほとんど同じの破断伸び率を有する。従って、30〜40℃の範囲で蓄熱材が体積変化しても、マトリックス樹脂のねばり強さにより、マイクロカプセルは、より破損されにくくなる。
本発明の塗膜は、上述の成分以外に、添加剤として潤滑剤、防錆顔料または着色顔料等を含んでいてもよい。塗膜が、潤滑剤を含んでいると、輸送・保管中に振動や圧力が加えられた場合等に塗膜が局部的に破壊されるアブレージョン現象を防止しやすくなる。
本発明の塗料は、マトリックス樹脂を撹拌しながら、マイクロカプセルのパウダーを徐々に添加し、その後、任意の溶媒を添加して調整される。水系のマトリックス樹脂を使用する場合は、パウダー状のマイクロカプセルではなく、スラリー状のマイクロカプセルを用いてもよい。
鋼板とは板状の鋼である。鋼板の例には、普通鋼板、めっき鋼板、ステンレス鋼板が含まれる。めっき鋼板の例には、溶融めっき、電気めっき、蒸着めっきなどが施された鋼板が含まれる。溶融めっき鋼板の例には、溶融Zn浴、溶融Zn−Al合金浴、溶融Zn−Al−Mg合金浴、溶融Zn−Mg合金浴、溶融Al浴、溶融Al−Si合金浴などを用い、連続めっきまたは浸漬めっきにより得られるものが含まれる。あるいは鋼板として、溶融めっき後に合金化処理した合金化溶融めっき鋼板を用いてもよい。
本発明の塗装鋼板は、既に述べたとおり優れた蓄熱性を有する。蓄熱性とは加熱された際に、熱を吸収して蓄えることである。このような材料は、続いて冷却されると、熱を放出する。つまり蓄熱性と放熱性は表裏一体であり、本発明において「蓄熱性」は、放熱性も含む。
1)本発明の塗装鋼板を用いて、ヒーターと冷却ファンを内蔵された箱状の装置を準備する。
2)当該装置を常温(25℃)から特定の温度まで昇温し、続いて冷却する。そしてこのサイクルを繰り返し、本発明の塗装鋼板の温度変化を測定する。
3)内部の温度変化と、本発明の塗装鋼板の温度変化を比較する。
このときの「内部の温度変化」に比べて、「塗装鋼板の温度変化」が小さい場合は、本発明の塗装鋼板は優れた蓄熱性・放熱性を有するといえる。
4)一般の鋼板(「標準鋼板」という)を用いてヒーターと冷却ファンを内蔵された前記1)と同形状の装置を準備する。
5)前記2)と同様にして、当該筐体を加熱・冷却して、標準鋼板の温度変化を測定する。
6)標準鋼板の温度変化と、前記2)で得た本発明の塗装鋼板の温度変化を比較する。
このときの「標準鋼板の温度変化」に比べて、「本発明の塗装鋼板の温度変化」が小さい場合は、本発明の塗装鋼板は優れた蓄熱性・放熱性を有するといえる。
また、モーター等の機器は、稼働時に加熱され、稼働が中断されると冷却される。従ってモーター等の機器は、稼働状況により急加熱・急冷を繰り返すという熱衝撃が加えられることがある。このような熱衝撃は、部材を劣化させ、機器の耐久性を低下させることがある。しかし、本発明の塗装鋼板を筐体に用いたモーター等は、熱衝撃が与えられたとしても筐体の温度変化を小さくできるので、機器の耐久性を向上させられる。
本発明の塗装鋼板は発明の効果を損なわない範囲で任意に製造してよい。例えば、本発明の塗装鋼板は、既に述べた方法で調製した塗料を、鋼板に塗布する工程(塗布工程)、当該塗膜を加熱して乾燥させる工程(焼付工程)を経て製造されることが好ましい。
塗料を鋼板に塗布する方法の例には、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、ナイフコート、ハケ塗り、静電分散法が含まれる。塗料の塗布量は所望の膜厚となるように調整される。
次に、塗料が塗布された鋼板を加熱して塗料を乾燥する。焼付処理は塗膜を乾燥できる温度であれば制限されないが、蓄熱材の煮沸・蒸発や、壁剤樹脂またはマトリックス樹脂の分解・変色を低減させるために、低い温度であることが好ましい。
[蓄熱材]
蓄熱材として、融点9.9℃のn−ペンタデカン、融点36.8℃のn−イコサン、融点55℃の日本精蝋製パラフィンワックスを準備した。
壁材樹脂と同様の原料および手法で合成した樹脂フィルムについて破断伸びおよび貯蔵粘弾性を測定し、以下の壁材樹脂の物性値とした。
壁材樹脂1:室温での破断伸び率は20%、下記方法で測定した36.8℃における貯蔵弾性率は8000MPaであった。
壁材樹脂2:室温での破断伸び率は50%、下記方法で測定した9.9℃、36.8℃および55℃における貯蔵弾性率は、それぞれ1000MPa、900MPaおよび300MPaであった。
壁材樹脂3:室温での破断伸び率は100%、下記方法で測定した36.8℃における貯蔵弾性率は200MPaであった。
壁材樹脂4(比較用):室温での破断伸び率は3%、下記方法で測定した36.8℃における貯蔵弾性率は10000MPaであった。
各種壁材樹脂の物性値を表1にまとめた。
周波数:62.8rad/s(10Hz)
ひずみ:0.2〜3%のオート設定
昇温速度:3℃/Step,Soak Time:0.5min
フィルム:厚さ:0.4mm、幅:3mm、長さ:10mm
1)pH4.5に調整した5%のスチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水溶液100g中に、相変化をともなう化合物(例えば、n−ペンタデカン、融点9.9℃)80gを激しく撹拌しながら添加し、粒子径が約2μmになるまで乳化を行った。
2)その乳化液に、メラミン粉末5g、37%ホルムアルデヒド水溶液6.5g、および水10gを加え、pHを8に調整したメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液を添加した。当該乳化液を70℃で2時間撹拌した後、pHを9に調整して、平均粒径:3μmで壁材の膜厚:0.5μmのマイクロカプセルスラリーを作成した。
3)次に、当該分散液をスプレーして水分を乾燥させることにより、パウダー状のマイクロカプセルを得た。
得られたマイクロカプセルの物性を表2に示す。
以下の水系ウレタン樹脂エマルジョンを用いた。
マトリックス樹脂R1:第一工業製薬製、スーパーフレックス600とスーパーフレックス840を重量比97:3で混合したものを用いた。室温での破断伸び率は30%、前述の方法に準じて測定した36.8℃における貯蔵弾性率は1000MPaであった。
マトリックス樹脂R2:ADEKA製アデカボンタイターHUX−232を用いた。室温での破断伸び率は150%、36.8℃における貯蔵弾性率は90MPaであった。
マトリックス樹脂R3:第一工業製薬製スーパーフレックスE−4800。室温での破断伸び率は700%、9.9℃、36.8℃および55℃における貯蔵弾性率は、それぞれ9MPa、8MPaおよび8MPaであった。
マトリックス樹脂R4(比較用):第一工業製薬製、スーパーフレックス110。室温での破断伸び率は5%、36.8℃における貯蔵弾性率は10000MPaであった。
マトリックス樹脂の物性値を表3にまとめた。
板厚が0.6mmで、片面当たりのめっき付着量が20g/m2の電気Znめっき鋼板(以下「EG」という)を準備した。
マトリクス樹脂エマルジョンR1に、マイクロカプセルA1の添加量が、固形分(マトリックス樹脂+マイクロカプセルの合計量)に対して30質量%となるように加えた。さらに、当該溶液に潤滑剤としてポリエチレンワックスを、固形分(マトリックス樹脂+マイクロカプセル+ポリエチレンワックスの合計量)に対して2質量%となるように添加し、撹拌して塗料を調製した。
(試験1:蓄熱性試験)
1)図1に示すとおり、ヒーター2と冷却ファン3を内蔵した装置1を準備した。当該装置の天面部分には、上記の塗装鋼板4を用いた。当該塗装鋼板4には、温度測定用の熱電対5を配置した。さらに、装置内に熱電対6を配置して、装置内の温度を測定できるようにした。装置1は、25℃、RH60%の恒温恒湿槽に静置された。
装置1は幅120mm、奥行き170mm、高さ35mmの直方体とし、内容積は約200cm3とした。ヒーター2と塗装鋼板4の距離は約30mmであった。
○;加熱工程における温度差の最大値、および冷却工程における温度差の最大値が、それぞれ1℃以上5℃未満
△;加熱工程における温度差の最大値、および冷却工程における温度差の最大値が、それぞれ1℃未満
×;加熱工程、冷却工程における両者の温度差なし
△;50サイクルにおいては蓄熱・放熱効果は観測されなかったが、10サイクル以上、50サイクル未満において、蓄熱・放熱効果が観測された
×;10サイクル未満で蓄・放熱効果が得られなくなった
ただし、加熱工程における温度差、および冷却工程における温度差が、1℃以上観測された場合を「蓄熱・放熱効果が観測された」とした。
○;A値およびB値がそれぞれ、70〜100%
△;A値およびB値がそれぞれ、30%以上、70%未満
×;A値およびB値がそれぞれ、30%未満
得られた塗装鋼板外観を目視で観察し、以下の基準に基づき評価した。
○;平滑でシミ・ムラもなく良好
△;わずかに凹凸があるが、シミ・ムラがなく良好
×;凹凸やムラが多い
マトリックス樹脂R1の代わりにマトリックス樹脂R3を用いる以外は、実施例1と同様にして塗料を調整し、EGの両面に膜厚が5.0μmの塗膜を形成し、塗装鋼板を得た。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
実施例1に準じて、マイクロカプセルとしてB1を用い、マトリックス樹脂としてR3を用いて塗料を調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表4の実施例3〜6に示されるような塗装鋼板を調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
実施例1に準じて、マイクロカプセルとしてC1を用い、マトリックス樹脂としてR3を用いて塗料を調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表4の実施例7に示されるような塗装鋼板を調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
実施例1に準じて、マトリックス樹脂としてR2を用い、マイクロカプセルとしてA2を用いて、マイクロカプセルA2の添加量が、1、2、30、70質量%である塗料をそれぞれ調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表4の実施例8〜11に示されるような塗装鋼板を調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
実施例1に準じて、マトリックス樹脂としてR3を用い、マイクロカプセルとしてB2を用いて、マイクロカプセルB2の添加量が、1、2質量%である塗料をそれぞれ調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表4の実施例12、13に示されるような塗装鋼板を調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
実施例1に準じて、マトリックス樹脂としてR3を用い、マイクロカプセルとしてD2を用いて、マイクロカプセルD2の添加量が30質量%である塗料を調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表4の実施例14〜17に示されるような塗装鋼板をそれぞれ調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。ただし、本例において試験1は、5℃、RH60%の恒温恒湿槽内において、加熱・冷却サイクルを、5℃→30℃/30minで加熱後、30℃→5℃/30minとすることにより行った。
実施例1に準じて、マトリックス樹脂としてR3を用い、マイクロカプセルとしてB2を用いて、マイクロカプセルB2の添加量が30質量%である塗料を調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表4の実施例18〜21に示されるような塗装鋼板をそれぞれ調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
実施例1に準じて、マトリックス樹脂としてR3を用い、マイクロカプセルとしてE2を用いて、マイクロカプセルE2の添加量が30質量%である塗料を調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表4の実施例22〜25に示されるような塗装鋼板をそれぞれ調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。ただし、試験1における加熱・冷却サイクルを、25℃→70℃/30minで加熱後、70℃→25℃/30minとすることにより行った。
実施例1に準じて、マトリックス樹脂としてR3を用い、マイクロカプセルとしてB2を用いて、マイクロカプセルB2の添加量が70質量%である塗料を調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表4の実施例26に示されるような塗装鋼板を調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
実施例1に準じて、マトリックス樹脂としてR3を用い、マイクロカプセルとしてA3を用いて、マイクロカプセルA3の添加量が30質量%である塗料を調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表4の実施例27に示されるような塗装鋼板を調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
実施例1に準じて、マトリックス樹脂としてR3を用い、マイクロカプセルとしてB3を用いて、マイクロカプセルB3の添加量が30質量%である塗料を調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表4の実施例28に示されるような塗装鋼板を調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
実施例1に準じて、マトリックス樹脂としてR3を用い、マイクロカプセルとしてC3を用いて、マイクロカプセルC3の添加量が30質量%である塗料を調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表4の実施例29に示されるような塗装鋼板を調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
実施例1に準じて、マトリックス樹脂としてR3を用い、マイクロカプセルとしてX1を用いて、マイクロカプセルX1の添加量が30質量%である塗料を調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表5の比較例1に示されるような塗装鋼板を調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
実施例1に準じて、マトリックス樹脂としてR3を用い、マイクロカプセルとしてX2を用いて、マイクロカプセルX2の添加量が30質量%である塗料を調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表5の比較例2に示されるような塗装鋼板を調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
実施例1に準じて、マトリックス樹脂としてR3を用い、マイクロカプセルとしてX3を用いて、マイクロカプセルX3の添加量が30質量%である塗料を調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表5の比較例3に示されるような塗装鋼板を調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
実施例1に準じて、マトリックス樹脂としてR4を用い、マイクロカプセルとしてX4を用いて、マイクロカプセルX4の添加量が30質量%である塗料を調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表5の比較例4に示されるような塗装鋼板を調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
実施例1に準じて、マトリックス樹脂としてR3を用い、マイクロカプセルとしてB2を用いて、マイクロカプセルB2の添加量が80質量%である塗料を調整した。当該塗料を用いて、塗膜厚みが表5の比較例5に示されるような塗装鋼板を調整した。当該塗装鋼板を用い、実施例1と同様にして試験1、2を行った。
比較例2と実施例7、29の比較から、マイクロカプセルの壁材樹脂の厚みが厚すぎると、蓄熱性を有さないことが明らかである。壁材樹脂が厚すぎると相対的に蓄熱材の含有量が減少することと、壁材樹脂の断熱効果が高まるためと推察された。
また、塗膜が薄いと、外観性にもやや劣ることが明らかである。マイクロカプセルの粒径が膜厚より大きく塗膜表面から露出され、表面にわずかな凹凸が生じるためと考えられる。
これらのことは、実施例14と15〜17の比較、実施例18と19〜21の比較、または実施例22と23〜25の比較からも明らかである。
2 ヒーター
3 冷却ファン
4 塗装鋼板
5 熱電対
6 熱電対
Claims (6)
- 鋼板の上に、蓄熱材が壁材樹脂に内包されたマイクロカプセルおよびマトリックス樹脂を含む塗膜を有する塗装鋼板。
- 前記壁材樹脂は、前記蓄熱材の融点における貯蔵弾性率が8000MPa以下であり、かつ前記マトリックス樹脂は、前記蓄熱材の融点における貯蔵弾性率が1000MPa以下である、請求項1記載の塗装鋼板。
- 前記壁材樹脂の厚みは、0.05〜1μmである請求項1記載の塗装鋼板。
- 前記マイクロカプセルの添加量は、乾燥塗膜に対して2〜70質量%である、請求項1記載の塗装鋼板。
- 前記蓄熱材は、パラフィン炭化水素である、請求項1記載の塗装鋼板。
- 前記蓄熱材の融点は、−20〜70℃である、請求項1に記載の塗装鋼板。
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