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JP2009067621A - 酸化物粒子、当該粒子を含む分散体及び当該粒子を用いた触媒 - Google Patents

酸化物粒子、当該粒子を含む分散体及び当該粒子を用いた触媒 Download PDF

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Takaaki Hashimoto
高明 橋本
Masahide Shima
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Abstract

【課題】本発明は、水との親和性に優れた酸化物微粒子及び当該酸化物粒子を含む分散体を提供することにある。
【解決手段】本発明は、下記条件で特定される酸化アンチモン、酸化銅、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ビスマス、酸化ニオブ、酸化タングステン及び酸化モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも一種である酸化物(「特定酸化物」と称する)粒子であって、一時間後の水溶媒中での酸化物粒子の沈降度(Sh)と、一週間後の水溶媒中で沈降度(Sw)が0.8≦Sh≦1かつ0.8≦Sw/Sh≦1であることを特徴とする酸化物粒子である。
【選択図】なし

Description

本発明は酸化物微粒子に関するものである。
酸化物は触媒材料として多用されており、触媒製造工程において水中で混合することが多い。一般的に酸化物は水に対する親和性が悪いものが多いため、複合酸化物系等の触媒では触媒中での構成物質の分散性も粗雑なものであり、性能低下を引き起こす要因となる。より高性能の触媒を得るためには触媒中で各成分がより均一に分散させることが望ましく、原料酸化物も水との親和性が高く、高分散なものを使用することが必要である。これまで高分散酸化物として、燐酸およびエトキシル化脂肪族アミンの添加した五酸化アンチモン(特開平5−208823号)や有機アミンや有機酸の添加した酸化アンチモン水性ゾル(特開平7−133113号)などが知られているが、いずれも分散剤の添加を必須としている。これらを触媒として使用した場合、燐は触媒毒に、有機物は焼成時の局所発熱により触媒劣化を引き起こす要因になることが多い為、不所望の燐や有機物を含まない水との親和性の優れた酸化物からなる酸化物材料が必要である。
特開平5−208823号公報 特開平7−133113号公報
本発明は、不所望の添加剤を含まない水との親和性の優れた酸化物微粒子を提供する。
本発明は不所望の添加剤を含まない水との親和性に優れた酸化物微粒子を提供するものである。当該酸化物は湿式微粒化法による酸化物の粉砕・解砕効果が酸化物の水に対する親和性向上に寄与することから見出された。本発明は、下記条件で特定される酸化アンチモン、酸化銅、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ビスマス、酸化ニオブ、酸化タングステン及び酸化モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも一種である酸化物(「特定酸化物」と称する)粒子であって、一時間後の水溶媒中での酸化物粒子の沈降度(Sh)と、一週間後の水溶媒中で沈降度(Sw)が0.8≦Sh≦1かつ0.8≦Sw/Sh≦1であることを特徴とする酸化物粒子。
(1)当該酸化物粒子18gと水112gとを、半径3cmの円筒容器に投入すること。
(2)40mm×8φの攪拌子を、上記円筒容器に入れること。
(3)上記攪拌子を200rpmで15分間、上記円筒容器内で回転すること。
(4)底面が内寸2cmの正方形である直方体の容器に、上記攪拌後の液を100ミリリットル移しかえること。
(5)上記(4)移しかえから1時間経過した後、(4)の容器側面に365nmの紫外線を照射し、照射面と反対の面に透過した紫外線の割合(透過率(%))を測定し、透過率が90%未満(純水の透過率を100%とする)である沈降物存在部分が全液高さに対する割合(Sh)を測定すること。
(6)上記(4)移しかえから1週間経過した後、(4)の容器側面に365nmの紫外線を照射し、照射面と反対の面に透過した紫外線の割合(透過率(%))を測定し、透過率が90%未満(純水の透過率を100%とする)である沈降物存在部分が全液高さに対する割合(Sw)を測定すること。
本発明に係る方法を用いることで、水との親和性に優れた酸化物微粒子を得ることができる。水との親和性に優れた水分散酸化物として燐酸や有機物等の分散剤を添加した酸化物分散体が報告されているが、水と酸化物のみからなるものは得られていない。これらを触媒原料として使用することで触媒中での酸化物の分散性が向上した。本発明は不純物のない水と酸化物のみであることが望ましいが、本発明の効果を損なわないのであれば、不純物を含有しても構わない。
下記条件で特定される酸化アンチモン、酸化銅、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ビスマス、酸化ニオブ、酸化タングステン及び酸化モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも一種である酸化物(「特定酸化物」と称する)粒子であって、一時間後の水溶媒中での酸化物粒子の沈降度(Sh)と、一週間後の水溶媒中で沈降度(Sw)が0.8≦Sh≦1かつ0.8≦Sw/Sh≦1であることを特徴とする酸化物粒子。
(1)当該酸化物粒子18gと水112gとを、半径3cmの円筒容器に投入すること。
(2)40mm×8φの攪拌子を、上記円筒容器に入れること。
(3)上記攪拌子を200rpmで15分間、上記円筒容器内で回転すること。
(4)底面が内寸2cmの正方形である直方体の容器に、上記攪拌後の液を100ミリリットル移しかえること。
(5)上記(4)移しかえから1時間経過した後、(4)の容器側面に365nmの紫外線を照射し、照射面と反対の面に透過した紫外線の割合(透過率(%))を測定し、透過率が90%未満(純水の透過率を100%とする)である沈降物存在部分が全液高さに対する割合(Sh)を測定すること。
(6)上記(4)移しかえから1週間経過した後、(4)の容器側面に365nmの紫外線を照射し、照射面と反対の面に透過した紫外線の割合(透過率(%))を測定し、透過率が90%未満(純水の透過率を100%とする)である沈降物存在部分が全液高さに対する割合(Sw)を測定すること。
本発明にかかる第二発明は、当該特定酸化物粒子が湿式粉砕法により得られることを特徴とする上記1記載の酸化物粒子である。
本発明にかかる第三発明は、当該特定酸化物粒子を含むことを特徴とする酸化物分散体である。
本発明にかかる第四発明は、当該特定酸化物粒子を用いてなることを特徴とする触媒である。
本発明にかかる酸化物は、酸化アンチモン、酸化銅、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ビスマス、酸化ニオブ、酸化タングステンおよび酸化モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも一種である酸化物である。好ましくは、酸化アンチモン、酸化銅、酸化バナジウムである。また、当該特定酸化物は、単独の酸化物、混合物、複合酸化物の何れのものであっても良いが、好ましくは、単独の酸化物である。 本発明の特定酸化物微粒子は一時間後の水溶媒中での酸化物粒子の沈降度(Sh)と、一週間後の水溶媒中で沈降度(Sw)が0.8≦Sh≦1かつ0.8≦Sw/Sh≦1を満足すればよい。Shについては0.9≦Sh≦1の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.95≦Sh≦1、更に好ましくは0.95≦Sh≦0.99、最も好ましくは0.95≦Sh≦0.98である。Sw/Shに関しては0.9≦Sw/Sh≦1の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.94≦Sw/Sh≦1、最も好ましくは0.95≦Sw/Sh≦1である。
本発明第二の発明は微細化処理により得られた特定酸化物である。ShおよびSw/Shが当該範囲になるものであれば通常の微細化方法を用いることができるが、好ましくはアトライター、ホモジナイザー、ビーズミル等の湿式微粒化法により行うことができ、特に本発明の効果をより明確に得るためにはビーズミルを用いるのが好ましい。ビーズミルとしては、例えばビーズミル(株式会社アイメックス 型番:RBM−08)を使用することができる。
原料酸化物と水を酸化物濃度1〜50質量%になるように混合する。好ましくは10〜30質量%である。1質量%未満であれば収率が低下し、50質量%を超えると処理液の粘性が増加し微粒子化が進行せず、水分散体を得ることが困難であるからである。
ビーズの直径は0.01〜1mmφの微小ビーズ(Xミリリットル)を当該混合物に加える。ビーズ径が大きいと十分な粉砕、解砕効果が得られないからである。
当該ビーズの充填量は当該ビーズと当該混合物との混合量(Aミリリットル)に対して0.01〜1が好ましい。ここでビーズ充填量はX/Aで表される。ビーズ充填量が0.01未満では十分な微細化効果は得られないからである。
微細化処理工程では混合処理液を半径20〜500mm、好ましくは20〜100mmの底面を有する円筒状の容器に入れ、100〜4000rpm(回転/分)、好ましくは500〜2000rpmで回転させる。回転数が100rpm未満では十分な粉砕、解砕効果が得られないからである。また、回転時間は、15分以上、好ましくは60分、さらに好ましくは120分以上が望ましい。回転時間が15分未満であれば、十分な粉砕、解砕効果が得られないからである。
上記処理後、微小ビーズと処理液を分離し粒子を得る(「特定酸化物」と称する)。分離方法は吸引ろ過等の通常の方法を用いることができる。
本発明の酸化物微粒子は、粒子径は特に制限はないが、好ましくは5nm〜1000nm、さらに好ましくは10〜300nmである。粒子径は透過型電子顕微鏡(TEM)により、無作為に選択した100個の粒子の平均粒子径とする。
本発明にかかる粒子を示す評価である沈降については、水に対する親和性を示すものであり、特定酸化物微粒子と水の混合物における一時間後および一週間後の沈降物占有率により評価する。沈降物占有率が高いとより多くの水を取り込むことができ、水に対する親和性が高いと考えられる。沈降物占有率は以下のような条件で測定される。
(1)当該酸化物粒子18gと水112gとを、半径3cmの円筒容器に投入すること。当該工程は、通常の手段により行なわれるものであるが、具体例としては、湿式粉砕により得られるスラリー状の酸化物微粒子においては、熱重量分析により、水と酸化物の比率を算出し、酸化物微粒子18g、水112g相当になるようにスラリーおよび追加水を秤量し混合するし円筒容器に投入する。
(2)40mm×8φの攪拌子を、上記円筒容器に入れること。当該工程は上記(1)の円筒容器に当該攪拌子を投入するものである。
(3)上記攪拌子を200rpm、15分間、上記円筒容器内で回転すること。当該工程は当該攪拌子を上記条件で回転するものである。
(4)底面が内寸2cmの正方形である直方体の容器に、上記攪拌後の液を100ミリリットル移しかえること。当該工程は上記(3)により攪拌した後に直ちに当該直方体の容器に移しかえるものである。移す時間は通常実施できる程度であればよく、好ましくは1分未満、長くても5分以内である。移しかえが(3)の攪拌終了後に長時間かかると液中で沈降が生じ始め測定に好ましくは無いからである。
(5)上記(4)移しかえから1時間経過した後、(4)の容器側面に365nmの紫外線を照射し、照射面と反対の面に透過した紫外線の割合(透過率(%))を測定し、透過率が90%未満(純水の透過率を100%とする)である沈降物存在部分が全液高さに対する割合(Sh)を測定すること。当該工程は通常用いられる紫外光透過法によって測定されるものである。市販の装置により十分に達成することができるものである。当該工程は紫外線透過率が90%未満である部分は沈殿物があるものとして規定するものである(純粋の透過率を100%とする)。当該移しかえから1時間経過した時の当該部分の高さがShである。
(6)上記(4)移しかえから1週間経過した後、(4)の容器側面に365nmの紫外線を照射し、照射面と反対の面に透過した紫外線の割合(透過率(%))を測定し、透過率が90%未満(純水の透過率を100%とする)である沈降物存在部分が全液高さに対する割合(Sw)を測定すること。当該工程は当該移しかえから1週間経過した時の当該部分の高さがSwである。
本発明の第三発明は、当該特定酸化物粒子を含む分散体である。分散媒は通常分散媒として用いられるものであれば何れのものであっても良いが、好ましくは水であり、当該特定酸化物粒子の量は当該分散体に対して1〜50質量%、(分散体100質量部に対して当該特定酸化物1〜50質量部)好ましくは5〜30質量%である。当該特定酸化物は上述の通り沈降が緩やかで他の成分と混合したときに分離が少なく混合することができる。本発明はかかる新規な分散体を提供するものであり、用途は当該特定酸化物にかかる成分を通常用いることができる分野であれば使用することができる。
本発明の第四発明は、当該特定酸化物を用いた触媒であり、当該特定酸化物を触媒として用いること、当該特定酸化物を担体に担持することも、当該特定酸化物に他触媒活性成分を担持するような担体として用いることもできる。用いられる反応は、当該特定酸化物を成分として通常用いられる反応であれば用いることができるが、特にエチレン等のオレフィン、ベンゼン等の芳香族、エタン、プロパン、ブタン等のアルカンの酸化反応に応用できる。本発明は特定酸化物にかかる原料成分として特殊な物性を有する原料を提供するものである。
以下、実施例に三酸化アンチモンを用いて本発明の効果を説明するが、これらの効果は実施例の範囲に限定されるものではない。よって、他の金属酸化物についても同様に行うことができる。
(実施例1)
三酸化アンチモン(斜方晶、粒子径2.5μm)13gと水117gを混合した。混合物が均一になるように十分撹拌した後、120mlを容量400mlのビーズミル容器(アイメックス株式会社RBM−08)に投入した。上記容器に0.5mmφのジルコニアビーズを加え全量250mlになるようにし(充填比X/A=0.52)、2000rpmで2時間微細化処理した。混合処理液から微小ビーズを吸引ろ過により取り除き、三酸化アンチモン微粒子を得た(粒子径200nm)。同様にして、酸化物と水の混合、撹拌、微細化処理を2回繰り返し行い、三酸化アンチモン微粒子約300gを得た。得られた三酸化アンチモンを全て混合し、均一になるように十分撹拌したのちスラリーの一部を蒸発乾固させ、蒸発乾固前後の重量差から三酸化アンチモン濃度を算出したところ14.8%だった。沈降度評価のためにスラリー122g(三酸化アンチモン18g相当)と純水8g(水全量112g)を混合し、スターラーで酸化物微粒子が均一に分散するように15分間撹拌し、即座に当該混合スラリー100mlを一辺2cmの正方形を底面とする直方体容器に入れ、静置した。沈降物占有率は、1時間後はSh=0.97、一週間後はSw=0.95であり、Sw/Sh=0.98であった。
(比較例1)
実施例1において、ジルコニアビーズを使用することにかえて、ビーズを使用せず、単に液が均一になる程度に15分間攪拌した以外は実施例1と同様にした。沈降占有率は、1時間後はSh=0.4、一週間後はSw=0.12%であり、Sw/Sh=0.33であった。
本発明は、水との親和性が優れた粒子を得ることができ、水と親和性を必要とする分野であれば使用することが可能である。例えば水性媒体を使用する触媒原料として当該特定酸化物粒子の水分散体を使用することができ、特にエチレン等のオレフィン、ベンゼン等の芳香族、エタン、プロパン、ブタン等のアルカンの酸化触媒原料として使用することができる。

Claims (4)

  1. 下記条件で特定される酸化アンチモン、酸化銅、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ビスマス、酸化ニオブ、酸化タングステン及び酸化モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも一種である酸化物(「特定酸化物」と称する)粒子であって、一時間後の水溶媒中での酸化物粒子の沈降度(Sh)と、一週間後の水溶媒中で沈降度(Sw)が0.8≦Sh≦1かつ0.8≦Sw/Sh≦1であることを特徴とする酸化物粒子。
    (1)当該酸化物粒子18gと水112gとを、半径3cmの円筒容器に投入すること。
    (2)40mm×8φの攪拌子を、上記円筒容器に入れること。
    (3)上記攪拌子を200rpmで15分間、上記円筒容器内で回転すること。
    (4)底面が内寸2cmの正方形である直方体の容器に、上記攪拌後の液を100ミリリットル移しかえること。
    (5)上記(4)移しかえから1時間経過した後、(4)の容器側面に365nmの紫外線を照射し、照射面と反対の面に透過した紫外線の割合(透過率(%))を測定し、透過率が90%未満(純水の透過率を100%とする)である沈降物存在部分が全液高さに対する割合(Sh)を測定すること。
    (6)上記(4)移しかえから1週間経過した後、(4)の容器側面に365nmの紫外線を照射し、照射面と反対の面に透過した紫外線の割合(透過率(%))を測定し、透過率が90%未満である沈降物存在部分が全液高さに対する割合(Sw)を測定すること。
  2. 当該酸化物粒子が湿式粉砕法により得られることを特徴とする請求項1記載の酸化物粒子。
  3. 請求項1〜2記載の酸化物粒子を含むことを特徴とする酸化物分散体。
  4. 請求項1〜2記載の酸化物粒子、および/または、請求項3記載の酸化物分散体を用いてなることを特徴とする触媒。
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