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JP2009066530A - Vocの回収装置 - Google Patents

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絵里香 河合
Yuji Tanaka
裕二 田中
Jiro Watanabe
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Abstract

【課題】VOC(揮発性有機化合物)が含まれる被処理気体からVOCをリサイクル用に回収する回収装置であって、より高純度のVOCを回収でき、収率を一層高めることが出来るVOCの回収装置を提供する。
【解決手段】VOCの回収装置は、被処理気体中のVOCを吸着剤によって捕集する吸着装置(1)と、VOCが含まれる脱着ガスを凝縮する凝縮器(2)と、凝縮液を比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離する分離槽(3)と、被処理液を分離膜によって更に水分が含まれる透過液と水分が除去された濃縮液とに分離する膜分離装置(6)とから主に構成され、膜分離装置(6)で分離された透過液を分離槽(3)に返流し、膜分離装置(6)で分離された濃縮液を回収する様に構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、揮発性有機化合物(以下、「VOC」と言う。)の回収装置に関するものであり、詳しくは、ラミネート,印刷,塗工,塗装設備の排出ガス等からVOCを再利用できる様に回収するVOCの回収装置に関するものである。
ラミネート,印刷,塗工,塗装などを行う設備においては、溶剤として使用されるVOCが気体として放出されるため、作業環境対策として、VOCの大気中への拡散防止と共に、分解または回収が不可欠となっている。VOCとしては、一般的に、ベンゼン,シクロヘキサノン,トルエン,ジクロロメタン,メチルイソブチルケトン,メチルエチルケトン,酢酸メチル,酢酸エチル,メタノール,エタノール,プロピルアルコール,アセトン等が代表的である。
VOCの分解方法としては、直接燃焼法,蓄熱燃焼法,触媒燃焼法などが利用されているが、COの排出量が少なく、補助燃料などを必要としないことから、VOCの回収方法も各種検討されている。例えば、VOCの回収方法としては、排ガス中のVOCをスクラバーで水に吸収させる工程と、VOCが含まれる水を凍結濃縮機で凍結濃縮して高濃度のVOCが含まれる水と氷とに分離する工程と、高濃度のVOCが含まれる水を蒸留器でVOCと水とに分離する工程とから成る「排ガス回収方法」が提案されている。
特開2001−259356号公報
また、排ガス中のVOCを最初に取り出す技術としては、吸着剤や吸収液などを使用した吸着処理によって回収する技術が一般的である。吸着剤を利用した技術としては、例えば、吸着剤を担持させた吸着ロータを使用し、VOCが含まれる気体を吸着ロータの一部の通気処理領域に通気してVOCを吸着し、加熱された不活性ガスを吸着ロータの他の一部の脱離処理領域に通気してVOCを脱着回収する「揮発性有機化合物の濃縮装置」が提案されている。
特開2007−44687号公報
更に、吸着剤を利用した技術としては、吸着剤が充填された3基以上の吸着塔と冷却凝縮手段とを使用し、水分およびVOCが含まれる空気から1基の吸着塔において水分およびVOCを吸着する工程、他の1基の吸着塔において水分を脱着して吸着剤を再生する工程、更に他の1基の吸着塔においてVOCを脱着して吸着剤を再生する工程を吸着塔ごとに順次切り替えることにより、効率的にVOCを回収する様にした「揮発性有機化合物の回収プロセス」が提案されている。
特開2007−50378号公報
ところで、資源の有効活用の観点からは、VOCを回収してリサイクルするのが望ましい。しかしながら、回収されたVOCは、単一成分であれば再利用できるが、混合成分の場合は廃棄物として処理しなければならない。従って、VOCの再利用を図るには、より高純度のVOCを回収しなければならない。しかも、リサイクルするには、回収率を一層高めて処理コストを低減する必要がある。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、VOCが含まれる被処理気体からVOCをリサイクル用に回収する回収装置であって、より高純度のVOCを回収でき、収率を一層高めることが出来るVOCの回収装置を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明では、吸着装置において吸着剤を使用して被処理気体から主にVOCを捕集し、これを凝縮器で凝縮し、分離槽において比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離して水を除去した後、更に膜分離装置において分離膜を使用し、被処理液から主に水分を透過液として分離除去することにより、濃縮液として高純度のVOCを得る様にした。そして、膜分離装置で分離された透過液を分離槽に返流することにより、収率を高める様にした。
すなわち、本発明の要旨は、VOCが含まれる被処理気体からVOCを回収する回収装置であって、被処理気体中のVOCを吸着剤によって吸着し且つ吸着したVOCを水蒸気または不活性ガスの通気により脱着する吸着装置と、当該吸着装置で脱着したVOCが含まれる脱着ガスを凝縮する凝縮器と、当該凝縮器で凝縮された凝縮液を比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離する分離槽と、当該分離槽で分離された被処理液を分離膜によって更に水分が含まれる透過液と水分が除去された濃縮液とに分離する膜分離装置とから主に構成され、前記膜分離装置で分離された透過液を前記分離槽に返流し、前記膜分離装置で分離された濃縮液を回収する様に構成されていることを特徴とするVOCの回収装置に存する。
本発明に係るVOCの回収装置によれば、吸着装置において被処理気体から捕集したVOCを凝縮器で凝縮し、分離槽において比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離して水を除去した後、更に膜分離装置において分離膜により水分を除去するため、再利用可能なより高純度のVOCを濃縮液として回収でき、しかも、膜分離装置で分離された透過液を分離槽に返流するため、収率を一層高めることが出来る。
本発明に係るVOCの回収装置(以下、「回収装置」と略記する。)の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るVOCの回収装置の主な構成要素を示すフロー図である。なお、図中、送風機、ポンプ、弁類については図示を省略する。
本発明の回収装置は、VOCが含まれる被処理気体からVOCをリサイクル用に回収する回収装置である。被処理気体としては、前述のラミネート,印刷,塗工,塗装などを行う設備などから排出される気体であって、溶剤として使用されたVOCを含む空気やシール用の窒素が挙げられる。被処理気体中のVOCの濃度は500〜3000ppm程度が好ましい。
本発明の回収装置は、図1に示す様に、被処理気体中のVOCを吸着剤によって吸着し且つ吸着したVOCを水蒸気または不活性ガスの通気により脱着する吸着装置(1)と、当該吸着装置で脱着したVOCが含まれる脱着ガスを凝縮する凝縮器(2)と、当該凝縮器で凝縮された凝縮液を比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離する分離槽(3)と、当該分離槽で分離された被処理液を分離膜によって更に水分が含まれる透過液と水分が除去された濃縮液とに分離する膜分離装置(6)とから主に構成される。
吸着装置(1)としては、活性炭、シリカゲル、ゼオライト等の粉粒体状の吸着剤を利用した装置、活性炭素繊維などの繊維状の吸着剤を利用した装置、ハニカムの通気構造を有する回転ローターを利用した装置などの各種の吸着装置を使用できる。
例えば、活性炭素繊維を吸着剤として利用した吸着装置としては、活性炭素繊維から成る円筒状の吸着剤ユニットが装填された円筒型吸着槽と、被処理気体を導入するための送風機、吸着/脱着操作の切替え用の流路とを備えた装置であって、吸着操作において、吸着槽に供給した被処理気体を吸着剤ユニットの外周部から内周部に通気させることにより、活性炭素繊維にVOCを吸着し、脱着操作において、吸着槽の上部から供給した水蒸気を吸着剤ユニットの内周部から外周部に通気させることにより、活性炭素繊維に吸着されたVOCを脱着し、吸着槽から水蒸気と共にVOCを取り出す様に構成された装置が挙げられる。
上記の吸着装置は、1基の吸着槽を2室に分割して各室に吸着剤ユニットを装填し、吸着/脱着の操作を室単位で交互に切り替える様にしたもの、あるいは、2基以上の吸着槽を設置して各槽に吸着剤ユニットを装填し、吸着/脱着の操作を槽単位で交互に又は順次タイミングをずらして切り替える様にしたものがあり、これらは、東洋紡社製の商品名「Kフィルター」或いは東邦化工建設社製の商品名「ソルベントリカ」と称する吸着剤ユニットを使用したVOC吸着回収装置として知られている。
また、粒体状の活性炭を吸着剤として利用した吸着装置としては、塔内部が上半部の吸着部と下半部の脱着部に区画された処理塔と、吸着部に多段に配置された多孔板と、縦管を多数配列した状態で脱着部に配置された水蒸気循環用の脱着チューブと、塔底から吸着部の上部に亙って挿通された活性炭搬送管とを備えた装置が挙げられる。
上記の装置は、吸着操作において、吸着部に供給された活性炭によって各多孔板上に流動層を形成すると共に、吸着部の下部の導入口から導入した被処理気体を活性炭に向流接触させることにより、活性炭にVOCを吸着し、脱着操作において、吸着部から落下した活性炭を脱着部の脱着チューブの隙間を通過させると共に、脱着部の下部のガス導入口から脱着通気用ガスを導入し且つ脱着チューブに加熱用の水蒸気を循環させることにより、活性炭に吸着されたVOCを脱着し、脱着部の上部のガス排出口から脱着用ガス(例えば窒素)と共にVOCを取り出す様に構成されており、また、脱着部で吸着質が脱着された吸着剤を活性炭搬送管によって再び吸着部に気流搬送する様に構成されている。
上記の吸着装置は、1基の処理塔内に吸着部と脱着部を構成したもの、あるいは、2基の処理塔を使用し、1基の処理塔によって吸着部を構成し且つ他の1基の処理塔によって脱着部を構成し、各処理塔間で吸着剤を連続的に気流搬送する様にしたものがあり、これらは、クレハエンジニアリング社製の商品名「ガスタック」(登録商標)と称する溶剤回収・脱臭装置として、あるいは、ダイキン工業社製の商品名「ソルダックス」として知られている。
吸着装置(1)は、図1に示す様に、配管(11)を通じて内部の吸着剤に被処理気体が供給され、配管(12)を通じて100〜200℃の水蒸気または窒素などの不活性ガスが脱着用ガスとして供給され、そして、VOCが殆ど吸着除去された被処理気体が排気ガスとして配管(13)から排気され、脱着用ガス(水蒸気または不活性ガス)と脱着処理されたVOCを含む脱着ガスとが配管(14)から取り出される様に構成されている。なお、吸着装置(1)においては、例えば酢酸エチルが混入し且つその濃度が1000ppmの空気を処理する場合の処理量が10〜1500Nm/minとなる様に、吸着剤の種類、使用量および吸脱着機構が設計される。
吸着装置(1)の下流側には凝縮器(2)が配置される。凝縮器(2)は、上部にガスの導入口が設けられ且つ底部に凝縮液の排出口が設けられた容器と、当該容器内に配置され且つ冷却水などの冷媒が循環する例えばコルゲートフィン型の熱交換器あるいは蛇管方式の熱交換器とから成る所謂コンデンサであり、熱交換器に冷媒を循環させることにより、上記の配管(14)を通じて容器に導入された脱着ガスを凝縮し、凝縮液を容器底部の配管(15)から取り出す様に構成される。
凝縮器(2)の下流側には分離槽(3)が配置される。分離槽(3)の頂部には、上記の凝縮液取出用の配管(15)が接続され、底部には、分離した水を排出するための配管(16)が付設され、また、上部には、分離された液(被処理液)を取り出すための配管(18)が付設される。分離槽(3)は、配管(15)を通じて導入された凝縮液を比重差で分離し、比重の小さなVOCを主成分とする被処理液を配管(18)から取り出し、比重の大きな水を配管(16)から排出する様に構成される。なお、分離槽(3)の内容積は0.1〜0.5m程度とされる。
分離槽(3)の下流側には排水貯槽(4)及びVOC貯槽(5)が配置される。排水貯槽(4)は、分離槽(3)で分離された水を一時的に貯留する槽であり、排水基準を検査し、また、適当なタイミングでポンプ排水するために設けられる。排水貯槽(4)の上部には、上記の配管(16)が挿入され、底部には、排水用の配管(17)が付設される。一方、VOC貯槽(5)は、分離槽(3)で分離された上記の被処理液を一時的に貯留する槽であり、膜分離装置(6)に被処理液をポンプ供給するために設けられる。VOC貯槽(5)の上部には、上記の配管(18)が接続され、底部には、上記の被処理液を膜分離装置(6)へ供給するための配管(19)が付設される。
分離槽(3)で分離された被処理液には微量の水分が混入しており、これを溶剤として再利用するにはその純度を更に高める必要がある。そこで、本発明の回収装置においては、VOC貯槽(5)の下流側に膜分離装置(6)が配置され、上記の被処理液中の微量水分を更に分離除去する様に構成される。
膜分離装置(6)は、膜モジュール(膜分離装置の構成単位となる分離膜装置)、これに被処理液を送液および循環するポンプ、加熱用ヒーター、冷却器、凝縮器などから構成される。斯かる膜分離装置(6)においては、通常、処理量の変動や保守管理の利便性を考慮し、複数基、例えば2〜10基の膜モジュールが並列または直列に配置される。上記の膜モジュールのエレメント構造(分離膜の形状・組立)、分離膜(メンブレン)の素材としては、VOCが含まれる上記の被処理液から水分を選択的に分離し得る限りにおいて適宜選択できるが、耐薬品性、分離性能の観点から、好ましくは、多孔性無機膜から成るチューブラー型の浸透気化膜が使用される。
具体的には、膜分離装置(6)の膜モジュールは、例えば円筒状の外套容器に膜エレメントを収容して構成される。膜エレメントは、先端が封止された多孔性無機膜である中空管(チューブ)を平行かつ並列に10〜100本程度配列し且つこれら中空管の開放された基端をフランジ状の仕切板に挿通状態に取り付けて構成される。上記の多孔性無機膜(中空管)は、多孔質セラミックから成る管の外表面に水熱反応によってゼオライト膜を形成したものである。なお、1本の多孔性無機膜(中空管)における膜面積は0.02〜0.05mであり、1基の膜モジュールにおける総膜面積は0.2〜5mである。
一方、膜モジュールの外套容器は、その一端部に被処理液の導入口を設け、他端側の周面に濃縮液の取出口を設けて構成される。外套容器の内容積は、0.001〜0.3mである。そして、膜モジュールは、中空管の封止された先端が外套容器の一端側に位置する様に、外套容器の開口された他端から膜エレメントを装填して当該膜エレメントの仕切板で外套容器の他端を封止し、更に、外套容器の他端側に蓋を取り付けて構成される。斯かる蓋は、膜エレメントの仕切板を覆い且つ外套容器の他端側に透過液(水)の回収空間を形成するものであり、蓋の頂部には、透過液の排出口が設けられる。なお、上記の膜モジュールとしては、三井物産社製の商品名「セラミック膜モジュール」として入手可能である。
膜分離装置(6)には、被処理液供給用の前述の配管(19)、濃縮液取出用の配管(21)及び透過液排出用の配管(20)が接続されており、膜分離装置(6)においては、配管(19)によって送られた前述の被処理液が送液ポンプを介して各膜モジュールに供給され、各膜モジュールで分離された濃縮液が配管(21)を通じて取り出され、各膜モジュールで分離された透過液が配管(20)を通じて排出される様に構成される。
本発明の回収装置においては、上記の膜分離装置(6)で分離された濃縮液をリサイクル用の再生VOCとして回収する様に構成される。具体的には、膜分離装置(6)の下流側には、配管(21)を通じて取り出された上記の濃縮液を貯留する回収VOC貯槽(8)が設けられる。そして、回収VOC貯槽(8)に付設された配管(23)を通じ、貯留された濃縮液をラミネート等を行う溶剤使用設備へ再生VOCとして供給可能になされている。あるいは、上記の配管(23)を通じ、濃縮液を可搬式容器に充填可能になされている。なお、回収VOC貯槽(8)の内容積は0.05〜30m程度である。
また、本発明の回収装置においては、VOCの回収率をより高めるため、前述の膜分離装置(6)で分離された透過液(水)を分離槽(3)に返流可能に構成される。すなわち、上記の配管(20)が前述の分離槽(3)の上部に接続される。膜分離装置(6)の透過液排出用の配管(20)を分離槽(3)に接続し、透過液(水)を分離槽(3)に戻すことにより、透過液に同伴する微量のVOCを回収対象とすることが出来、回収率を向上することが出来る。
更に、本発明の好ましい態様においては、膜分離装置(6)で分離回収された濃縮液を更に精製するため、膜分離装置(6)の下流側、回収VOC貯槽(8)の上流側には、膜分離装置(6)で分離された濃縮液を蒸留精製する精製装置(7)が設けられる。具体的には、上記の配管(21)が精製装置(7)に接続されており、上記の濃縮液を精製装置(7)に供給可能に構成される。
精製装置(7)は、例えば、加熱用の水蒸気が流れるジャケット、チューブ式熱交換器、コイル式熱交換器などによって濃縮液(VOC)を炊き上げる蒸留釜と、VOCの蒸気を蒸留する蒸留塔と、蒸留分離されたVOCの蒸気を冷媒配管に接触させて冷却液化する多管式などの冷却凝縮器とを備えている。そして、精製装置(7)には、蒸留精製された濃縮液(留出液)を前述の回収VOC貯槽(8)に回収するための精製VOC取出用の配管(22)が設けられる。
精製装置(7)によって濃縮液を更に蒸留精製した場合には、濃縮液に混入しているイオン性溶解物質,粒子,非溶解性物質などの微量の不純物を確実に除去でき、回収されるVOCの品質を一層向上できる。なお、精製装置(7)(蒸留装置)の処理能力は、0.02〜15m/日程度とされる。また、図示しないが、蒸発釜の底部から抜き出された濃縮廃液は、排気処理されるか又はVOC貯槽(5)に返流される。
次に、上記の回収装置を使用したVOCの回収方法を説明する。VOCの回収においては、先ず、VOCが含まれる空気や窒素などの被処理気体を配管(11)を通じて吸着装置(1)に供給する。吸着装置(1)での吸着操作においては、被処理気体中のVOCを吸着剤に吸着し、VOCが吸着除去された排気ガスを配管(13)から排気し、また、脱着操作においては、水蒸気または不活性ガスを吸着剤に通気させることにより、吸着したVOCを脱着し、VOCが含まれる脱着ガスを配管(14)を通じて凝縮器(2)に供給する。
次いで、凝縮器(2)において上記の脱着ガスを凝縮し、得られた凝縮液を配管(15)を通じて分離槽(3)に供給する。そして、分離槽(3)において、凝縮液を比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離し、分離槽(3)の上部に分離された被処理液を配管(18)を通じてVOC貯槽(5)に供給し、当該VOC貯槽に一旦貯留する。また、分離槽(3)の底部に分離された水は配管(16)を通じて排水貯槽(4)に供給して排水処理する。
続いて、VOC貯槽(5)に貯留した被処理液を配管(19)を通じて膜分離装置(6)に供給する。膜分離装置(6)においては、膜モジュールに被処理液を導入し、分離膜により、水分が含まれる透過液と水分が除去された濃縮液とに分離する。そして、分離された濃縮液を配管(21)を通じて回収する。また、分離された透過液は配管(20)を通じて再び分離槽(3)に返流し、凝縮液に混合して分離操作を施す。
膜分離装置(6)で分離して得られた濃縮液については、前述の様に、要求される仕様によっては更に純度を高め且つ不純物を除去する必要があり、その場合は、配管(21)を通じて精製装置(7)に濃縮液を供給する。そして、精製装置(7)において濃縮液を蒸留精製し、留出液を回収VOC貯槽(8)に配管(22)を通じて供給する。これにより、精製されたVOCを回収VOC貯槽(8)から配管(23)を通じて溶剤使用設備などへ供給することが出来る。
上記の様に、本発明の回収装置においては、吸着装置(1)において被処理気体から主にVOCを捕集し、これを凝縮器(2)で凝縮し、分離槽(3)において比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離して水を除去した後、更に膜分離装置(6)において分離膜を使用し、被処理液から主に水分を透過液として分離除去するため、再利用可能なより高純度のVOCを濃縮液として回収でき、しかも、膜分離装置(6)で分離された水分を含む透過液を分離槽(3)に返流するため、収率を一層高めることが出来る。そして、膜分離装置(6)で得られた濃縮液を精製装置(7)によって更に蒸留精製した場合には、混入しているイオン性溶解物質などの不純物を確実に除去でき、回収されるVOCの品質を一層向上することが出来る。
因に、図1に示す回収装置を使用し、ラミネート設備から排出された酢酸エチル含有の空気(排気ガス)を処理して酢酸エチルを回収した。排気ガス中の酢酸エチルの濃度は934ppm、排気ガスの処理量は981Nm/minであった。吸着装置(1)で酢酸エチルを吸着し、吸着装置(1)から取り出された脱着ガスを凝縮器(2)で液化したところ、酢酸エチル96.6wt%、水3.4wt%の凝縮液が180kg/hの流量で得られた。そして、得られた酢酸エチル(被処理液)を分離槽(3)で分離し、更に膜分離装置(6)で処理した結果、酢酸エチル99.9wt%、水0.1wt%の濃縮液が得られた。
本発明に係るVOCの回収装置の主な構成要素を示すフロー図である。
符号の説明
1 :吸着装置
2 :凝縮器
3 :分離槽
4 :排水貯槽
5 :VOC貯槽
6 :膜分離装置
7 :精製装置
8 :回収VOC貯槽
11〜23:配管

Claims (3)

  1. 揮発性有機化合物(以下、「VOC」と言う。)が含まれる被処理気体からVOCを回収する回収装置であって、被処理気体中のVOCを吸着剤によって吸着し且つ吸着したVOCを水蒸気または不活性ガスの通気により脱着する吸着装置と、当該吸着装置で脱着したVOCが含まれる脱着ガスを凝縮する凝縮器と、当該凝縮器で凝縮された凝縮液を比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離する分離槽と、当該分離槽で分離された被処理液を分離膜によって更に水分が含まれる透過液と水分が除去された濃縮液とに分離する膜分離装置とから主に構成され、前記膜分離装置で分離された透過液を前記分離槽に返流し、前記膜分離装置で分離された濃縮液を回収する様に構成されていることを特徴とするVOCの回収装置。
  2. 膜分離装置で分離された濃縮液を蒸留精製する精製装置が設けられている請求項1に記載のVOCの回収装置。
  3. 膜分離装置の分離膜が浸透気化膜である請求項1及び2に記載のVOCの回収装置。
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