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JP2009065489A - 無線受信機エミュレータおよびこれを用いた無線試験システム - Google Patents

無線受信機エミュレータおよびこれを用いた無線試験システム Download PDF

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JP2009065489A JP2007232169A JP2007232169A JP2009065489A JP 2009065489 A JP2009065489 A JP 2009065489A JP 2007232169 A JP2007232169 A JP 2007232169A JP 2007232169 A JP2007232169 A JP 2007232169A JP 2009065489 A JP2009065489 A JP 2009065489A
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Mitsuru Iwaoka
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Yokogawa Electric Corp
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Abstract

【課題】シミュレーション側による無線通信の評価と、無線通信機の出力したRF信号を実際に受信する信号受信部を用いた無線通信の評価との同一性を図った無線受信機エミュレータおよびこれを用いた無線試験システムを実現することにある。
【解決手段】被試験対象からの無線信号を受信して復調した受信データを外部機器に出力する無線受信機エミュレータに改良を加えたものである。本装置は、外部機器でシミュレーションされた復調前のデータまたは復調途中のデータが入力され、これらのデータを復調した受信データを外部機器に出力する信号受信部を有することを特徴とするものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、被試験対象からの無線信号を受信して復調した受信データを外部機器に出力する無線受信機エミュレータおよびこの無線受信機エミュレータを用いた無線試験システムに関し、詳しくは、シミュレーション側による無線通信の評価と、実際の無線通信機の出力した無線信号を受信する信号受信部を用いた無線通信の評価との同一性を図った無線受信機エミュレータおよびこの無線受信機エミュレータを用いた無線試験システムに関するものである。
移動端末(携帯電話機や携帯情報端末等)、この移動端末と無線通信する基地局等からなる移動体通信システムは、様々な通信方式、規格(例えば、PDC(Personal Digital Cellular)、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)等)が存在している。そして現在も新たな無線通信の方式や規格が次々に研究、開発され、標準化に向けて提案され、規格化されている。
このような新たな無線通信の方式や規格、無線通信装置等の研究・開発においては、一般的に、市販のシミュレーションソフトをパソコン上で実行させてシミュレーションを行なう。シミュレーションソフトでは、被試験対象から受信するレイヤ1の信号に相当するRF信号から上位の各レイヤ2〜7まで容易にシミュレーションできる。そして、所定の評価が終了したところで、そのシミュレーション結果に基づいて実際に無線通信機を試作して無線通信を行なわせ、試験を行なっている。
試作した無線通信機を試験する場合、新しい方式や規格に準拠した専用の信号解析装置を試作することは困難なため、市販の汎用の信号受信装置を用いて被試験対象からRF信号を受信し、無線信号の解析を行なう。
図8は、従来の無線試験システムの構成を示した図である。
パソコンPC上で実行されるシミュレーション部10が、汎用の信号受信装置20に対し、RF信号の受信を指示する。これにより、汎用の信号受信装置20が、被試験対象DUTからのRF信号を受信し、高周波部21でRF信号を周波数変換してアナログのベースバンド信号に変換する。そして、信号受信装置20内のAD変換器22が、デジタル信号のベースバンド信号に変換して波形メモリ23に格納する。この格納する動作は、所定量のデータが波形メモリ23に収集できるまで行なう。そして、所定量のベースバンド信号の収集が終了すると、信号受信装置20が波形メモリ23のデータの格納を一旦停止し、シミュレーション部10に測定完了を通知する。
この通知をうけて、シミュレーション部10が、通信インターフェース部11を介して、波形メモリ23のデジタルのベースバンド信号を、例えば、GP−IBバス(IEEE−488バス)を用いて、波形メモリ23から取得する。そして、シミュレーション部10が、レイヤ1のベースバンド信号を復調してレイヤ2のデータに変換し、必要な解析を行なってビット誤り率(Bit Error Rate:BER)や変調精度、通信プロトコルの正しさ等を求める。そして、シミュレーション部10が、波形メモリ23からのデータの読み込みが完了すると、再度、信号受信装置20に対し測定の再開を指示する
このように、信号受信装置20によるRF信号の受信とシミュレーション部10によるシミュレーションとが交互に行なわれる。
また、汎用の信号受信装置よりも無線通信に特化した信号受信装置もあり、例えば、シミュレーション部10の一部の機能(ベースバンド信号を復調する機能)をハード的に信号受信装置内に内蔵させ、シミュレーション部10の処理を軽減するものもある(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−317710号公報
汎用の信号受信装置20の場合、信号受信装置20があらかじめ決められた量の波形データ(デジタルのベースバンド信号)を波形メモリ23に格納すると測定を一旦停止し、パソコンPC上で実行されるシミュレーションソフトウェアのシミュレーション部10に波形データを転送し、シミュレーションを行なっている。
そのため、シミュレーション部10の実行(シミュレーション上でのベースバンド信号の解析)と、信号受信装置20によるRF信号の受信とがパラレルでなくシリーズに行なわれている。これにより、シミュレーションとRF信号の受信とを同時にリアルタイムで行なうことが困難であった。
すなわち、無線通信の評価では、例えば、被試験対象DUTが携帯電話機等の場合、携帯電話機から受信した信号を解析した結果に従って被試験対象DUTにリアルタイムで制御情報をフィードバックし、送信側の被試験対象DUTのパラメータ(送信パワー、変調方式、誤り訂正の符号化率、スマートアンテナにおける送信重み付け等)をダイナミックに変化させる必要がある。
しかしながら上述のように、シミュレーションとRF信号の受信とを同時に行なえないため、時間的に連続的な試験を行なってパラメータをダイナミックに変化させる試験等ができないという問題があった。
また、信号受信装置20が受信したベースバンド信号の波形データを、順次、信号受信装置20からシミュレーション部10に送信する方法も考えられるが、近年の無線通信の信号帯域幅は、パソコンPCと信号受信装置20間の伝送速度よりも格段に速く、波形データを信号受信装置20からシミュレーション部10に伝送するには伝送速度が不十分である。また、ベースバンド信号を解析する処理(特に復調する処理)は重く、シミュレーションソフトウェアの実行速度が、リアルタイムで波形データを解析するには不足している。
従って、信号受信装置20が受信したベースバンド信号の波形データを、順次、信号受信装置20からパソコンPCのシミュレーション部10に送信するというのは現実的には困難である。
一方、無線通信に特化した信号受信装置の場合、信号受信装置でベースバンド信号の復調処理を行なうので、パソコンPC側のシミュレーションソフトウェアの実行速度が改善され、汎用の信号受信装置20を用いた場合よりも、より、リアルタイムに近い出力を行なえる。
しかしながら、信号受信装置内でベースバンド信号を復調したデータは、装置内に組み込まれたデコーダ、デジタル復調器、フィルタ等の信号処理と、シミュレーションソフトが行なう信号処理とが等価であることを確認する手段が無い。そのため、信号受信装置の機能も模擬して作成したシミュレーションソフト上の復調後のデータと、信号受信装置によって実際に受信したRF信号からの復調後のデータとの同一性を保証することができないという問題があった。これにより、実際に空間を介した無線通信の評価の正当性を保証することが困難であった。
そこで本発明の目的は、シミュレーション側による無線通信の評価と、実際の無線通信機(例えば、試作通信機)の出力した無線信号を受信する信号受信部を用いた無線通信の評価との同一性を図った無線受信機エミュレータおよびこの無線受信機エミュレータを用いた無線試験システムを実現することにある。
請求項1記載の発明は、
被試験対象からの無線信号を受信して復調した受信データを外部機器に出力する無線受信機エミュレータであって、
前記外部機器でシミュレーションされた復調前のデータまたは復調途中のデータが入力され、これらのデータを復調した受信データを前記外部機器に出力する信号受信部を有することを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、
信号受信部は、
前記被試験対象からの無線信号をアナログ信号のベースバンド信号に変換する高周波部と、
この高周波部からのベースバンド信号をデジタル信号に変換するAD変換器と、
このAD変換器からのデジタル信号のベースバンド信号、前記シミュレーションされた復調前のデータ、復調途中のデータを復調して受信データを出力する復調器と
を設けたことを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、
復調器は、
無線通信方式それぞれに対応したプログラムを格納する記憶部と、
所望の論理回路にプログラミング可能な信号処理回路と、
前記記憶部からプログラムを読み出して前記信号処理回路をプログラミングし、前記シミュレーションされた復調前のデータまたは復調途中のデータ、前記AD変換器からのデータを前記プログラミング後の信号処理回路に復調させると共に、前記プログラミングされた信号処理回路によって復調されたデータの伝送路復号化処理を行なった受信データを出力する実行部と
を有することを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、
被試験対象と無線通信を行なって試験を行なう無線試験システムにおいて、
各レイヤのデータをシミュレーションするシミュレーション部と、
前記シミュレーション部でシミュレーションされたレイヤ1のデータ、レイヤ1からレイヤ2への変換途中のデータ、前記被試験対象からの無線信号が入力され、レイヤ2のデータに復調したを受信データを前記シミュレーション部に出力する請求項1〜3のいずれかに記載の無線受信機エミュレータと
を設けたことを特徴とするものである。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、
シミュレーション部は、前記無線受信機エミュレータが接続されていない場合、前記無線受信機エミュレータの信号受信部を摸擬して受信データを計算して解析を行ない、接続されている場合、前記無線受信機エミュレータからの受信データで解析を行なうことを特徴とするものである。
本発明によれば以下のような効果がある。
請求項1〜3の発明によれば、信号受信部が、外部機器でシミュレーションされた復調前のデータや復調途中のデータを復調し、復調した受信データを外部機器に返送するのでシミュレーション側で作成する受信データと実際に無線信号を受信する側との受信データとの比較を行なえる。これにより、シミュレーションによる無線通信の評価と、信号受信部とを用いた無線通信の評価との同一性を図ることができる。
請求項4、5の発明によれば、シミュレーション部がレイヤ2のデータやレイヤ2からレイヤ1への変換途中のデータを作成し、無線受信機エミュレータがシミュレーションされたデータ(レイヤ2のデータやレイヤ2からレイヤ1への変換途中のデータ)を復調して受信データを生成してシミュレーション部に返送するので、シミュレーション側と実際に無線信号を復調する側とのデータの比較を行なえる。これにより、シミュレーションによる無線通信の評価と、信号受信部とを用いた無線通信の評価との同一性を図ることができる。
以下図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施例]
図1は、本発明の第1の実施例(無線試験システム)を示した構成図である。図1において、被試験対象DUTは、試験対象の機器・装置(基地局、移動端末等に相当するもの)である。
無線受信機エミュレータ30は、信号受信部40を有し、所望の通信方式で被試験装置DUTと無線通信を行なう。
シミュレーション部50は、記憶媒体51、解析部52、信号受信部摸擬部52aとを有し、通信プロトコルの開発用のシミュレーションソフトウェアが実装されている。記憶媒体51は、例えば、MATLAB(登録商標)、SDL処理系のような一般に市販されているソフトウェアが格納される。解析部52は、記憶媒体51のソフトウェアを読み出して実行し、所望の通信方式(評価対象の通信方式)でのレイヤ1のデータ、レイヤ1からレイヤ2への変換途中のデータ等の計算、出力を行い、必要な解析を行なう。信号受信部摸擬部52aは、無線受信機エミュレータ30の信号受信部40を摸擬したものであり、レイヤ1のデータの信号処理(レイヤ1のデータ生成(復調前のデータ)、レイヤ1のデータをレイヤ2のデータに変換途中のデータ生成(復調途中のデータ))を行なう。
なお、OSI参照モデルでは、レイヤ1から順に物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層、セッション層、プレゼンテーション層、アプリケーション層が存在するが、各レイヤそれぞれでも通信方式ごとの様々なプロトコルが存在する。
インターフェース部(以下、I/F部と略す)60は、解析部52と相互に接続されると共に、無線受信機エミュレータ30、被測定対象DUTとも相互に接続(例えば、ギガビットイーサネット(登録商標)(登録商標)、10ギガビットイーサネット(登録商標)、USB2.0等)される。I/F部60は、エミュレータ30、被試験対象DUTと高速ディジタル通信を行なって、シミュレーション部50へのデータ(レイヤ2のデータ、レイヤ1からレイヤ2への変換途中のデータ、レイヤ1のデータ等)の入出力を行なう。
なお、シミュレーション部50、I/F部60は、例えば、パソコンPCに設けられる。また、シミュレーション部50が設けられるパソコンPCは、無線受信機エミュレータ30からみて、特許請求の範囲の外部機器に相当する。
続いて、無線受信機エミュレータ30について詳細に説明する。
信号受信部40は、受信用の高周波部41、AD変換器42、リアルタイム復調器43を有し、被試験対象DUTからのRF(Radio Frequency)信号を受信しレイヤ2のデータ(受信データ)に変換し、I/F部60を介してシミュレーション部50に出力する。また、I/F部60を介してシミュレーション部50からレイヤ1からレイヤ2への変換途中のデータ、レイヤ1のデータ等が入力され、このデータをレイヤ2に変換したデータ(受信データ)をシミュレーション部50に出力する。
高周波部41は、被試験対象DUTからのRF信号を復調・周波数変換する。AD変換器42は、高周波部43で周波数変換された信号をデジタル信号に変換する。
リアルタイム復調器43は、AD変換器42からのデジタル信号を評価対象の通信方式の規定に沿って伝送路復号化処理、復調等を行ない、レイヤ2のデータをI/F部60に出力する。また、リアルタイム復調器43は、I/F部60を介してシミュレーション部50からのデバック用のデータ(レイヤ1のデータや、レイヤ1からレイヤ2への変換途中のデータ)が入力され、これらのデータの伝送路復号化処理、復調等を行ない、レイヤ2のデータをI/F部60に出力する。
図2、図3は、リアルタイム復調器43の構成例を示した図である。
図2、図3において、高速ディジタル通信用のインターフェース部43a、DSP43b、記憶部43c、FPGA43dを有する。
I/F部43aは、ギガビットイーサネット(登録商標)、10ギガビットイーサネット(登録商標)等で高速ディジタル通信を行なってパソコンPCのI/F部60と通信を行なう。また、I/F部43aは、DSP43bと相互に接続される。
DSP(Digital Signal Processor)43bは、実行部であり、プログラミング手段43e、データ処理手段43fを有し、記憶部43cのプログラムを読み出し、プログラムを実行する。プログラミング手段43eは、読み出したプログラムに従って、FPGA43dをプログラミングする。データ処理手段43fは、読み出したプログラムに従って、FPGA43dからのデータを伝送路復号化処理してI/F部43aに出力し、FPGA43dへのデータの出力も行なう。
記憶部43cは、プログラムを記憶する。FPGA(Field Programmable Gate Alley)43dは、信号処理回路であり、DSP43bからの指示によって所望の電子回路にプログラミングされ、DSP43bで計算された変換途中のデータやAD変換器42からのデータが入力され、これらのデータ処理(例えば、復調)を行って、DSP43bに出力する。
なお、受信用の高周波部41は、各種無線通信方式に対して対応できるように、受信可能な周波数範囲や復調帯域幅が十分に広く取られているものを用いる。
このような装置の動作を説明する。
まず、復調器43の設定の動作を説明し、その後無線通信の評価やデバックを行なう動作を説明する。また、ここでは、変調方式の一種であるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex:直交周波数分割多重)を一例として説明する。
図3は、OFDM用の復調器43の構成を示した図である。OFDMでは、マルチパス干渉による妨害を抑えるためのガード・インターバルの設定(時間設定)および復調するためのFFTの設定(変換ポイント点)等のパラメータが無線通信機の開発では重要である。
無線通信機の開発者が、DSP43bを実行させるためのプログラムを作成する。このプログラムには、FPGA43dをOFDMの復調器とするためのプログラムも含まれる。プログラムは、パソコンPCのシミュレーション部50で作成したものでもよく、他の機器で作成したものでもよい。そして、作成したプログラムP1を記憶部43cに格納する。
そして、無線通信機の開発者が、シミュレーション部50でシミュレーションする通信方式(ここでは、OFDM)を選択し、選択した通信方式が、I/F部60、43aを介してDSP43bに送信される。
これにより、DSP43bが、記憶部43cからOFDMの通信方式がプログラミングされたプログラムP1を読み出してメモリ(図示せず)に展開し、このプログラムP1に従ってDSP43b内のプログラミング手段43eが、FPGA43dをプログラミングする。すなわち、小さな論理回路を複数個生成し、チップ内部の配線領域で論理回路を接続して組み合わせる。これにより、自由度が非常に高く、大規模で高速な電子回路を構成する。
具体的には、DSP43bのプログラミング手段21eが、FPGA21dにフィルタ回路43g、サンプリングレート変換回路43h、フレーム同期回路43i、OFDMシンボル同期・ガードインターバル除去回路43j、FFT回路43kを生成する。これにより、FPGA43dの信号処理用の回路が生成されOFDMの通信方式に準拠した復調回路の設定が終了する。そして、被試験対象DUTとの実際の無線通信を開始する。
続いて、無線通信の評価の動作を説明する。
シミュレーション部50の解析部52が、シミュレーションソフトを記憶媒体51から読み出してメモリ(図示せず)に展開して実行する。そして、被試験対象DUTを用いて試験を行なう場合(デバック動作でない場合)、所望の通信方式(ここでは、OFDM)の規定に従ったRF信号を被試験対象DUTに送信させる。
そして、信号受信部40の高周波部41が、被試験対象DUTからのRF信号を受信して周波数変換してアナログのベースバンド信号にする。そして、AD変換器42が、アナログのベースバンド信号をデジタルのベースバンド信号に変換し、リアルタイム復調器43に出力する。
ここで、図4は、無線受信機エミュレータ30の復調器43の動作を説明したフローチャートである。
デバック動作でない場合、復調器43のフィルタ回路43gが、AD変換器42からのベースバンド信号の帯域外成分を除去する。そして、サンプリングレート変換回路43hが、フィルタリングされたデータのサンプリングレートを変換する。さらに、フレーム同期回路43iが、サンプリングレートの変換されたデータからフレームの先頭を検出してフレームに含まれる信号区間のみを取り出す。さらに、OFDMシンボル同期・ガードインターバル除去回路43jが、OFDMシンボルに含まれる有効FFT区間のみを取り出し、FFT回路43kが、FFTを行なってサブキャリアごとの位相・振幅情報を求める(S10、S11)。
一方、デバック動作(シミュレーション部50からのデータで復調を行なう場合)の場合、シミュレーション部50で計算によって生成された復調前のベースバンド信号や復調途中のデータが、DSP43bを介して各回路43g〜43kに入力される。例えば、フィルタ回路43g用のベースバンド信号、サンプリングレート変換回路43h用のフィルタリング後のベースバンド信号、フレーム同期回路43i用のサンプリングレート変換されたベースバンド信号、同期・除去回路43j用の1フレーム中の信号区間のデータ、FFT回路43k用の有効FFT区間のデータ等である。そして、各回路43g〜43kが、入力されたデータのデータ処理を行なって後段の回路43h〜43k、DSP43bに出力する(S10,S12)。
そして、DSP43b内のデータ処理手段43fが、プログラムP1に従ってFPGA43dのOFDM復調データ(FFT回路43kのFFT後の位相・振幅データ)の1フレーム分をとりこむ。もちろん、デバック動作時の場合は、シミュレーション部50で生成されたデータを復調したデータものであり、デバック動作時で無い場合は、被測定対象DUTのRF信号から復調したデータである(S13)。
そして、取り込んだデータが有効なフレームでない場合、次の1フレーム分のデータをFPGA43dが復調し、データ処理手段43fに出力する(S14,S10〜S13)。
一方、有効なフレームの場合、データ処理手段43fが、OFDM復調データがトレーニングシンボルかを判断し(S14,S15)、トレーニングシンボルの場合、振幅・位相を補正する補正データを作成する(S16)。有効なフレームであってトレーニングシンボルでない場合(S14、S15)、データ処理手段43fが、FPGA43dからのFFT後のデータの振幅・位相を補正データで補正し(S17)、パイロットサブキャリアを抽出して再度補正データで補正し(S18)、各サブキャリアごとに復調してOFDMシンボルデータを作成する(S19)。
フレームが終了しない場合は、次の有効なフレームの伝送路復号化処理を行なう(S20、S15〜S19)。フレームが終了した場合、復調したOFDMシンボルデータをI/F部43a、60を介してシミュレーション部50に送信する(S20,S21)。
次に、シミュレーション部50の動作について説明する。ここで、図5は、解析部52、信号受信部模擬部52aの動作を説明したフローチャートである。
エミュレータ30が、解析部52と接続されていない場合(つまり、データの授受が不可能な場合)、所望の通信方式・規格におけるRF信号、復調途中のデータを作成し、エミュレータ30の信号受信部40の動作を摸擬し、レイヤ2のOFDMシンボルデータ、すなわち、DSP43bのデータ処理手段43fによるものと同等のOFDMシンボルデータを計算して生成し、解析部52の信号解析用のデータとする。つまり、エミュレータ30なしでシミュレーション部50を単独動作させる(S30、S31)。
一方、エミュレータ30が接続され(S30)、信号受信部40が未設定の場合(所望の通信方式に対応したプログラムがDSP43bで実行されておらず、FPGA43dで各回路のプログラミングが終了していない状態)、シミュレーション条件である評価対象の通信方式を、I/F部60、43aを介してDSP43bに送信し、復調器43に設定を行なわせる(S32、S33)。
信号受信部40が設定済みの場合または設定が終了した後(S32、S33)、解析部52が、デバック動作かを判断する(S34)。
デバック動作の場合、摸擬部52aが、シミュレーション用のデータ、すなわち、FPGA43dの各回路43g〜43k用のデータを作成し、復調器43に送信する(S34,S35)。そして、解析部52が、復調器43によって復調されたOFDMシンボルデータ(シミュレーションデータを復調したもの)を受信する(S36)。
デバック動作でない場合、解析部52が、復調器43によって復調されたOFDMシンボルデータ(被試験対象DUTからのRF信号を復調したもの)を受信する(S34、S36)。
そして、解析部52が、受信データであるOFDMシンボルデータ(摸擬部52aからのデータ、RF信号を復調したデータ、シミュレーションデータから復調したデータ)から必要な解析を行なって、所望の通信方式・規格の評価を行なう(S37)。
そして、シミュレーションを停止する場合(S38)、シミュレーションを終了し、続行する場合は各ステップを繰り返し行なう(S38、S30〜S37)。
このように、エミュレータ30が接続されない場合、模擬部52aが、復調器43をシミュレーションして受信データを作成し、シミュレーションしたデータで解析部52が必要な解析を行なう。一方、エミュレータ30が接続された場合、復調器43で復調された受信データで解析部52が必要な解析を行なう。これにより、両者のデータを比較することにより、パソコンPCのシミュレーションソフトだけを実行させた場合と、実際にエミュレータ30によってリアルタイムにRF信号を受信した場合とで、同じデータ(フィルタリング後のベースバンド信号、サンプリングレート変換されたベースバンド信号、1フレーム中の信号区間のデータ、有効FFT区間のデータ、FFT後のデータ等)が生成されていることが確認できる。従って、シミュレーションによる無線通信の評価と、信号受信部とを用いた無線通信の評価との同一性を保証することができる。
また、復調器43が、レイヤ1のアナログのベースバンド信号、レイヤ1からレイヤ2への復調途中のデータ等からレイヤ2の受信データを復調するので、シミュレーション部50での処理(例えば、フィルタリング、サンプリングレート変換、フレーム抽出、OFDMシンボル同期、ガードインターバル除去、FFT演算、振幅・位相補正等)が減り、シミュレーション部50のシミュレーションの実行速度が向上する。これにより、パソコンPCの処理能力が低くとも、シミュレーション部50のシミュレーションと、エミュレータ30の信号受信部40のRF信号の受信とをリアルタイムに並行して行なうことができる。
また、データ処理手段43fが、有効なフレーム部分のみを抽出してシミュレーション部52の送信するので、シミュレーション部50で処理するデータ量が減り、リアルタイムに処理することができる。
また、復調器43からシミュレーション部50へは、レイヤ2のデータを送信するので、I/F部60、43a間のデータ伝送量が非常に少なくなり、市販されている通信インターフェースの伝送速度でも十分になる。例えば、IEEE802.11a方式の無線LANの場合で比較する。
OFDM復調後のデータ量は、
10FDMシンボルあたり=16[bit]×2×48[サブキャリア]=1536[bit]
になる。
一方、OFDM復調前のデータ量は、
10FDMシンボルあたり=80[サンプル]×4×16[bit]×2=10,240[bit]
になる。ただし、FFTサンプリングクロックの4倍でサンプリングレート変換を行ない、波形データの分解能を16ビットとしている。
従って、レイヤ2の受信データで復調器43からシミュレーション部50への通信を行なうことにより、データの伝送量を約1/7に減少できる。これにより、通信インターフェース部43a、60の伝送速度を非常に高速にしなくとも、シミュレーション部50のシミュレーションと、エミュレータ30の信号受信部40のRF信号の受信をリアルタイムに並行して行なうことができる。
また、DSP43bが、所望の通信方式のOFDMに対応させてFPGA43dをプログラミングし、被試験対象DUTと無線通信してレイヤ1のデータを復調する。これにより、上位レイヤ(レイヤ2〜レイヤ7)で通信方式の変更を行なったとしても、各通信方式ごとに物理層のハードウェアを試作する必要が無く、所望の通信方式に物理層を容易に対応させることができる。従って、所望の通信方式の無線通信機の開発を早期に行なうことができる。また、この無線受信機エミュレータ30を用いることによって試験システム全体としても所望の通信方式において早期に開発を行なうことができる。
すなわち、OFDMにおいて無線通信機の開発を行なう場合、ガードインターバルの長さ、FFTの点数、フレーム同期の方法等のパラメータを様々に変更して試験を行なう必要がある。このように各回路のパラメータを変更して無線通信機の開発等を行なう場合でも、解析部52が、そのパラメータをDSP43bに送信し、DSP43bが、送信されたパラメータとプログラムP1によって、各回路43g〜43kの論理回路をプログラミングし直すだけで、所望のパラメータので様々な無線通信の評価を行なうことができる。
[第2の実施例]
図6は、本発明の第2の実施例を示した構成図である。図1と同一のものには同一符号を付し、説明を省略する。図6において、エミュレータ30に信号受信部40’が設けられる。信号受信部40’は、高周波部41’、AD変換器42’、復調器43’が設けられる。ここで、、高周波部41’、AD変換器42’、復調器43’は、信号受信部40の、高周波部41、AD変換器42、復調器43と同様である。また、信号受信部40’の復調器43’内の各回路の図示は省略するが、対応する回路には「’」の符号をつけて以下本実施例においては説明する。
このような装置の動作を説明する。
シミュレーション部50でシミュレーションする通信方式(例えば、方式1、方式2)を選択し、選択した通信方式1が、I/F部60、信号受信部40のI/F部43aを介して信号受信部40のDSP43bに送信され、通信方式2が、I/F部60、信号受信部40’のI/F部43a’を介して信号受信部40’のDSP43b’に送信される。
これにより、信号受信部40、40’のDSP43b、43b’が、記憶部43c、43c’から指定された通信方式1、方式2がプログラミングされたプログラムを読み出してメモリ(図示せず)に展開し、このプログラムに従ってDSP43b、43b’内のプログラミング手段43e、43e’が、それぞれのFPGA43d、43d’をプログラミングする。
そして、各信号受信部40、40’が、シミュレーション部50からのレイヤ1のデータやレイヤ2からレイヤ1への変換途中のデータを復調したり、被試験対象DUTのRF信号を受信して復調し、復調した受信データをシミュレーション部50に送信する。その他の動作は図1に示す装置と同様なので説明を省略する。
このように、信号受信部40、40’を複数台並列に動作させ異なる信号、例えば、被試験対象DUTから出力される複数のRF信号を受信することができるので、複数のアンテナを用いるMIMO(Multi In Multi Out)方式、スマートアンテナ等の無線通信方式の評価、このような方式に対応した装置の評価を行なうことができる。なお、信号受信部40、40’それぞれの復調器43、43’同士で同期を図り、時空間符号化、空間分割多重化等の処理を行なうとよい。
[第3の実施例]
図7は、本発明の第3の実施例を示した構成図である。図1と同一のものには同一符号を付し、説明を省略する。図7において、被試験対象DUTがはずされ、アンプ70、アンテナ71が設けられる。アンプ70は、アンテナ71で受信されたRF信号が入力され、このRF信号をエミュレータ30に出力する。
このような装置の動作を説明する。
アンプ70が、アンテナ71で受信したRF信号を所定のゲインで増幅し、増幅したRF信号をエミュレータ30の信号受信部40の高周波部41に出力する。
このように、アンテナ71からのRF信号をアンプ70が増幅してエミュレータ30に出力するので、図7に示す装置でいわゆる基地局としてRF信号を受信でき、無線通信方式自体の評価を行なうことができる。すなわち、図1に示す装置では、被試験対象DUTを対象として無線方式の評価等を行なうが、アンテナ71で受信したRF信号をアンプ70で増幅することにより、実際に空間を伝搬した被試験対象DUT等からのRF信号を受信でき、実際の基地局と同様の無線受信機を実現できる。
なお、本発明はこれに限定されるものではなく、以下に示すようなものでもよい。
(1)図1、図6、図7に示す装置において、変調方式の一例としてOFDM方式で説明を行なったが、異なる変調方式、例えば、直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)でもよく、このような場合、この直交振幅変調での通信方式をDSP43bに送信する。そして、DSP43bが、この通信方式に対応するプログラムを読み出してFPGA43dをプログラミングし直すようにしてもよい。
また、復調器43の一例として、FPGA43dがアナログのベースバンド信号のFFT処理までを行ない、DSP43bがOFDMシンボルデータのOFDM復調を行なう構成を示したが、FPGA43d、DSP43bはどのような構成としてもよい。DSP43b、FPGA43dでは、例えば、下記のような処理を行なう回路としてもよい。
・誤り訂正復号処理
・デインターリーブ
・時空間復号化
・空間分割多重処理
・フレーム展開
・パイロット信号抽出
・変調デマッピング
・FFT
・ガードインターバル除去
・ノイズ加算
・フィルタ
・サンプリング周波数変換
・歪み付加
・伝搬路特性付加
(2)図1〜図3、図6、図7に示す装置において、エミュレータ30が接続されていない場合、摸擬部52aがレイヤ2の受信データを計算し、エミュレータ30が接続されかつデバック動作時の場合は摸擬部52aが計算したデータに基づいて復調器43aが受信データを求め、受信データの同一性を確認する構成を示した。しかし、摸擬部52aが、復調器43aの受信データと、摸擬部52aで摸擬した受信データとを比較し、データ間の誤差を求め補正データを作成してもよい。そして、解析部52が、被試験対象DUTのRF信号に基づく受信データを補正データで補正して解析を行なうようにしてもよい。
(3)図1〜図3、図6、図7に示す装置において、1台のパソコンPC上でシミュレーション部50を動作させる構成を示したが、複数台のパソコンPCをLAN等で接続し、シミュレーション部50を各パソコンに分散させて並列処理させてもよい。例えば、レイヤ1の解析を行なう模擬部52aとレイヤ2〜レイヤ7の解析を行なう解析部52とを異なるパソコンPC上で動作させる。そして、パソコンPCのシミュレーション部50間で必要なデータを交換することにより、シミュレーションを並列処理させられ、シミュレーションの実行速度を向上させることができる。
(4)図1〜図3、図6、図7に示す装置において、信号処理回路にFPGAを用いる構成を示したが、プログラミング可能な論理回路IC、いわゆるPLD(Programmable Logic Device)であればどのようなものでもよく、CPLD(Complex PLD)、リコンフィギュアブル・プロセッサ(Reconfigurable Processor)でもよい。
(5)図1〜図3、図6、図7に示す装置において、信号処理回路にプログラミング可能なFPGA等を用いて復調方式に応じて回路構成をプログラミングする構成を示したが、固定のハードウェアで構成してもよい。
(6)図6に示す装置において、1台のパソコンPC上で2台の信号受信部40、40’とデータの授受を行なう構成を示したが、2台のパソコンを相互に接続し、一方のパソコンで信号受信部40のシミュレーション、データ解析等を行ない、他方のパソコンで信号受信部40’のシミュレーション、データ解析等を行なう構成としてもよい。
(7)図6に示す装置において、エミュレータ30に2台の信号受信部40、40’を設ける構成を示したが、信号受信部を何台設けてもよく、また、一つの信号受信部で複数チャネル分のRF信号を発生させるようにしてもよい。
本発明の第1の実施例を示した構成図である。 図1に示すシステムの復調器43の構成例を示した図である。 図1に示すシステムの復調器43をOFDMに適用させた場合の構成例を示した図である。 エミュレータ30の動作を説明したフローチャートである。 シミュレーション部50の動作を説明したフローチャートである。 本発明の第2の実施例を示した構成図である。 本発明の第3の実施例を示した構成図である。 従来の無線試験システムの構成を示した図である。
符号の説明
30 無線受信機エミュレータ
40、40’ 信号受信部
41、41’ 受信用の高周波部
42、42’ AD変換器
43、43’ 復調器
43b DSP
43c 記憶部
43d FPGA
43e プログラミング手段
43f データ処理手段
70 アンプ
71 アンテナ
P1 プログラム
DUT 被試験対象

Claims (5)

  1. 被試験対象からの無線信号を受信して復調した受信データを外部機器に出力する無線受信機エミュレータであって、
    前記外部機器でシミュレーションされた復調前のデータまたは復調途中のデータが入力され、これらのデータを復調した受信データを前記外部機器に出力する信号受信部を有することを特徴とする無線受信機エミュレータ。
  2. 信号受信部は、
    前記被試験対象からの無線信号をアナログ信号のベースバンド信号に変換する高周波部と、
    この高周波部からのベースバンド信号をデジタル信号に変換するAD変換器と、
    このAD変換器からのデジタル信号のベースバンド信号、前記シミュレーションされた復調前のデータ、復調途中のデータを復調して受信データを出力する復調器と
    を設けたことを特徴とする請求項1記載の無線受信機エミュレータ。
  3. 復調器は、
    無線通信方式それぞれに対応したプログラムを格納する記憶部と、
    所望の論理回路にプログラミング可能な信号処理回路と、
    前記記憶部からプログラムを読み出して前記信号処理回路をプログラミングし、前記シミュレーションされた復調前のデータまたは復調途中のデータ、前記AD変換器からのデータを前記プログラミング後の信号処理回路に復調させると共に、前記プログラミングされた信号処理回路によって復調されたデータの伝送路復号化処理を行なった受信データを出力する実行部と
    を有することを特徴とする請求項2記載の無線受信機エミュレータ。
  4. 被試験対象と無線通信を行なって試験を行なう無線試験システムにおいて、
    各レイヤのデータをシミュレーションするシミュレーション部と、
    前記シミュレーション部でシミュレーションされたレイヤ1のデータ、レイヤ1からレイヤ2への変換途中のデータ、前記被試験対象からの無線信号が入力され、レイヤ2のデータに復調したを受信データを前記シミュレーション部に出力する請求項1〜3のいずれかに記載の無線受信機エミュレータと
    を設けたことを特徴とする無線試験システム。
  5. シミュレーション部は、前記無線受信機エミュレータが接続されていない場合、前記無線受信機エミュレータの信号受信部を摸擬して受信データを計算して解析を行ない、接続されている場合、前記無線受信機エミュレータからの受信データで解析を行なうことを特徴とする請求項4記載の無線試験システム。
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