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JP2009057392A - フルオロポリマー水性分散液 - Google Patents

フルオロポリマー水性分散液 Download PDF

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JP2009057392A JP2005380421A JP2005380421A JP2009057392A JP 2009057392 A JP2009057392 A JP 2009057392A JP 2005380421 A JP2005380421 A JP 2005380421A JP 2005380421 A JP2005380421 A JP 2005380421A JP 2009057392 A JP2009057392 A JP 2009057392A
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Abstract

【課題】 粘度上昇抑制と機械的安定性とを大きく損なうことなく、泡立ち抑制に優れたフルオロポリマー水性分散液を提供する。
【解決手段】 特定ノニオン界面活性剤の存在下に水性媒体中にフルオロポリマーからなる粒子が分散しているフルオロポリマー水性分散液であって、
上記特定ノニオン界面活性剤は、親水基の平均合計含有量が45〜90質量%である化合物からなり、上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物が有する炭化水素基は、連続して隣接する炭素数が1〜5である炭化水素基のみであり、上記フルオロポリマー水性分散液は、含フッ素界面活性剤濃度がフルオロポリマーの固形分の500ppmに相当する量以下であることを特徴とするフルオロポリマー水性分散液。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フルオロポリマー水性分散液に関する。
フルオロポリマー水性分散液は、コーティング、含浸等の方法で、化学的安定性、非粘着性、耐候性等に優れた特性を示すフィルム、被膜等を形成することができるので、調理器具、配管のライニング、ガラスクロス含浸膜等の用途に広く使われている。
フルオロポリマー水性分散液は、一般に、含フッ素界面活性剤の存在下での重合により得られるが、含フッ素界面活性剤の含有量は、フィルム等の特性の点で、低いことが好ましい。
フルオロポリマー水性分散液における含フッ素界面活性剤の低減方法として、例えば、相分離法、イオン交換樹脂法、膜処理法、電気泳動法等が知られている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
含フッ素界面活性剤を低減させたフルオロポリマー水性分散液には、しかしながら、粘度が高く、また貯蔵安定性及び機械的安定性が低い問題があった。
例えば、特許文献3には、安定化の為に特定のノニオン性、アニオン性又はカチオン性界面活性化合物を添加したフッ素化重合体分散物を、限外ろ過半透過膜に通し、含フッ素ポリマーの濃縮を行う方法が提案されている。しかしながら、この文献では、実施例において、パーオクタン酸アンモニウム〔PFOA〕濃度が含フッ素ポリマーの900ppmに相当する量である濃縮分散物しか得られておらず、PFOA量を更に削減した際の問題について言及されていない。
フルオロポリマー水性分散液について、含フッ素界面活性剤濃度を低減させて、特定の粘度特性(VTT)を示すように選択したフッ素非含有ノニオン界面活性剤又は該界面活性剤とフッ素非含有アニオン界面活性剤との混合物の存在下に限外ろ過によるフルオロポリマーの濃縮を行い、該濃縮操作の前又は後にVTTを調整するためにフッ素非含有アニオン界面活性剤を添加したのち、含フッ素界面活性剤の低減を行う方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
粘度上昇と安定性低下の問題を改善したフルオロポリマー水性分散液として、特定の非フッ素化アニオン界面活性剤又は含フッ素アニオン界面活性剤を含有したフルオロポリマー水性分散液が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。しかしながら、この方法に用い得る非フッ素化アニオン界面活性剤は、分子量1000以上のものに限定されている。
以上の何れの文献にも、フルオロポリマー水性分散液の泡立ちについて何ら記載されていない。
国際公開第2004/050719号パンフレット 特表2002−532583号公報 特開昭55−120630号公報 英国特許第642025号明細書 米国特許出願公開第2004/171736号明細書 米国特許出願公開第2004/186219号明細書
本発明の目的は、上記現状に鑑み、粘度上昇抑制と機械的安定性とを大きく損なうことなく、泡立ち抑制に優れたフルオロポリマー水性分散液を提供することにある。
本発明は、特定ノニオン界面活性剤の存在下に水性媒体中にフルオロポリマーからなる粒子が分散しているフルオロポリマー水性分散液であって、上記特定ノニオン界面活性剤は、親水基の平均合計含有量が45〜90質量%である化合物からなり、上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物が有する炭化水素基は、連続して隣接する炭素数が1〜5である炭化水素基のみであり、上記フルオロポリマー水性分散液は、含フッ素界面活性剤濃度がフルオロポリマーの固形分の500ppmに相当する量以下であることを特徴とするフルオロポリマー水性分散液(以下、本フルオロポリマー水性分散液を「フルオロポリマー水性分散液A」と称する。)である。
本発明は、特定ノニオン界面活性剤の存在下に水性媒体中にフルオロポリマーからなる粒子が分散しているフルオロポリマー水性分散液であって、上記特定ノニオン界面活性剤は、単位−CO−及び/又は−OC−の合計質量が該特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物1モルあたり500〜6000gである化合物からなり、上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物が有する炭化水素基は、連続して隣接する炭素数が1〜5である炭化水素基のみであり、上記フルオロポリマー水性分散液は、含フッ素界面活性剤濃度がフルオロポリマーの固形分の500ppmに相当する量以下であることを特徴とするフルオロポリマー水性分散液(以下、本フルオロポリマー水性分散液を「フルオロポリマー水性分散液B」と称する。)である。
以下に本発明を詳細に説明する。なお、上記フルオロポリマー水性分散液Aと上記フルオロポリマー水性分散液Bとを総称して、「本発明のフルオロポリマー水性分散液」ということがある。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、特定ノニオン界面活性剤の存在下に水性媒体中にフルオロポリマーからなる粒子が分散しているものである。
上記フルオロポリマーは、炭素原子に結合したフッ素原子を有している重合体である。
上記フルオロポリマーとしては、特に限定されず、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕、変性PTFE、テトラフルオロエチレン〔TFE〕/ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕共重合体〔FEP〕、TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕共重合体〔PFA〕、エチレン/TFE共重合体〔ETFE〕、ポリビリニデンフルオライド〔PVDF〕、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕等が挙げられる。
本明細書において、変性PTFEとは、TFEと微量単量体とを重合して得られる非溶融加工性のフルオロポリマーを意味する。上記微量単量体としては、例えば、HFP、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕等のフルオロオレフィン、炭素原子1〜5個、特に炭素原子1〜3個を有するアルキル基を持つフルオロ(アルキルビニルエーテル);フルオロジオキソール;パーフルオロアルキルエチレン;ω−ヒドロパーフルオロオレフィン等が挙げられる。
上記フルオロポリマーとしては、パーフルオロポリマーが好ましく、なかでも、PTFE及び/又は変性PTFEが好ましい。
上記フルオロポリマーは、平均一次粒子径が、通常50〜500nmであり、好ましくは100〜350nmである。
上記平均一次粒子径は、フルオロポリマー濃度を0.22質量%に調整した水性分散液の単位長さに対する550nmの投射光の透過率と、透過型電子顕微鏡写真における定方向径を測定して決定された平均一次粒子径との検量線をもとにして、上記透過率から決定したものである。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上記フルオロポリマーが30〜80質量%であることが好ましい。
上記フルオロポリマーの含有量は、より好ましい下限が35質量%であり、より好ましい上限が75質量%である。
本明細書において、上記フルオロポリマーの含有量は、試料約1g(X)を直径5cmのアルミカップにとり、100℃、1時間で乾燥し、更に300℃、1時間乾燥した加熱残分(Z)に基づき、式:P=Z/X×100(%)にて決定したものである。
本発明のフルオロポリマー水性分散液における水性媒体は、水を含む液体であれば特に限定されず、水に加え、例えば、アルコール、エーテル、ケトン、パラフィンワックス等のフッ素非含有有機溶媒及び/又はフッ素含有有機溶媒をも含むものであってもよい。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、特定ノニオン界面活性剤を含有するものである。
上記フルオロポリマー水性分散液は、該特定ノニオン界面活性剤を1種のみ含有するものであってもよいし、2種以上を含有するものであってもよい。なお、フルオロポリマー水性分散液A及びフルオロポリマー水性分散液Bは、それぞれ、後述の特定ノニオン界面活性剤b及び特定ノニオン界面活性剤aを含有するものであってよい。
なお本明細書において、後述の特定ノニオン界面活性剤aと特定ノニオン界面活性剤bとを含め、本発明における特定ノニオン界面活性剤を総称して、単に「特定ノニオン界面活性剤」と称することとする。
本発明において、上記特定ノニオン界面活性剤とは、後述の疎水基及び親水基を有し且つ乳化作用を示す化合物から構成されるものを意味する。
上記特定ノニオン界面活性剤において、特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物が有する炭化水素基は、連続して隣接する炭素数が1〜5である炭化水素基のみである。
上記化合物における炭化水素基としては、連続して隣接する炭素数が2〜4である炭化水素基のみであることが好ましい。
上記「連続して隣接する炭素数」は、炭素鎖中に例えばエーテル性酸素原子〔−O−〕等のヘテロ原子を含まない該炭素鎖、即ち、炭素原子が隣接して連続する炭素鎖について、該鎖を構成する炭素原子が隣接して連続する個数である。
上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物は、一般に、その分子内に疎水基と親水基とを有し乳化作用を示す化合物からなるものである。
上記フルオロポリマー水性分散液Aに存在する特定ノニオン界面活性剤(以下、「特定ノニオン界面活性剤a」という。)は、親水基の含有量の平均合計含有量が45〜90質量%である化合物からなるものである。
上記特定ノニオン界面活性剤aにおいて、親水基の平均合計含有量は、好ましい下限が50質量%、より好ましい下限が55質量%であり、好ましい上限が80質量%質量%である。
上記特定ノニオン界面活性剤aを構成する化合物は、親水基として、例えばエチレンオキサイド基、水酸基等を含むことができる。
上記特定ノニオン界面活性剤aを構成する化合物は、上記炭化水素基を有するものであれば特に限定されない。
上記化合物は、疎水基として、−RO−の繰返しを含むものが好ましい。
上記Rは、炭素数3〜5の炭化水素基を表す。
上記Rとしての炭化水素基は、直鎖であってもよいし分岐鎖であってもよく、例えばRが炭素数3の炭化水素基である場合、−OCHCHCH−であってもよいし、−OCH(CH)CH−であってもよい。
本明細書において、上記「−RO−及び/又は−OR−」は、以下、特に異なる記載をしない限り「−RO−」と略記する。同様に、特に異なる記載をしない限り、「−CO−及び/又は−OC−」は、「−CO−」又は「EO」と略記し、「−CO−及び/又は−OC−」は、「−CO−」又は「PO」と略記する。
上記−RO−の繰返しにおいて、各Rは、直鎖であってもよいし分岐鎖であってもよく、また、相互に同一であってもよいし異なるものであってもよい。
上記Rとしては、例えば、炭素数3〜5のアルキレン基等が挙げられるが、なかでも、−C−、−C−が好ましく、−C−がより好ましい。
上記−RO−の繰返しは、−RO−の繰返し数が5〜85であることが好ましく、10〜70であることがより好ましく、15〜60であることが更に好ましい。
上記化合物は、上記−RO−の繰返し部分を1つ有するものであってもよいし、2つ以上有するものであってもよい。
上記−RO−の合計質量は、該特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物1モルあたり300〜7000gであることが好ましい。
上記−RO−の合計質量は、上記−RO−の繰り返し部分を含む合計質量であるが、上記化合物1モルあたり、好ましい下限が500g、より好ましい下限が750gであ、好ましい上限が6000g、より好ましい上限が5000gである。
上記化合物は、なかでも、上記−RO−が−CO−であり、該−CO−の合計質量が上記化合物1モルあたり300〜7000gであることが好ましい。
上記フルオロポリマー水性分散液Aは、含フッ素界面活性剤濃度がフルオロポリマーの固形分の500ppmに相当する量以下であるものである。
上記含フッ素界面活性剤の種類、好ましい含有量については、後述する。
上記フルオロポリマー水性分散液Bに存在する特定ノニオン界面活性剤(以下、「特定ノニオン界面活性剤b」と称する。)は、単位−CO−の合計質量が該特定ノニオン界面活性剤bを構成する化合物1モルあたり300〜7000gである化合物からなるものである。
上記特定ノニオン界面活性剤bを構成する化合物において、単位−CO−の合計質量は、上記化合物1モルあたり、好ましい下限が800g、より好ましい下限が1000gであり、好ましい上限が6000g、より好ましい上限が5000gである。
上記特定ノニオン界面活性剤bを構成する化合物における親水基は、単位−CO−の繰返しであることが好ましい。
上記化合物において、単位−CO−の合計含有量は、上記化合物の45〜90質量%であることが好ましい。
上記単位−CO−の合計含有量は、より好ましい下限が50質量%、より好ましい上限が80質量%である。
上記特定ノニオン界面活性剤bは、単位−CO−の平均合計含有量が45〜90質量%である化合物からなることが好ましい。
上記特定ノニオン界面活性剤bを構成する化合物は、単位−CO−と、単位−CO−を含む親水基とに加え、他の種類の疎水基及び/又は親水基を有するものであってもよい。
上記疎水基としては、単位−R′O−(式中、R′は炭素数4又は5の炭化水素鎖を表す)の繰返しからなるものが挙げられ、上記親水基としては、水酸基等が挙げられる。
本発明のフルオロポリマー水性分散液において、粘度上昇及び泡立ちを抑制する点で、上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物は、単位−CO−を含有する場合、その含有量が高いほど好ましく、また、単位−CO−を含有する場合、その含有量が高いほど好ましい。
上記化合物における単位−CO−の平均含有量は、粘度上昇及び泡立ちを抑制する点で、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、上記範囲内であれば90質量%未満であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。
上記化合物1モルあたりの単位−CO−の合計質量は、粘度上昇及び泡立ちを抑制する点で、好ましくは500g以上、より好ましくは1000g以上であり、上記範囲内であれば5000g以下であることが好ましい。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、特定ノニオン界面活性剤として単位−CO−を有する化合物を1種のみ含む場合であっても、上述の範囲内で単位−CO−を含むものであればよい。
上記フルオロポリマー水性分散液において、特定ノニオン界面活性剤として単位−CO−を有する化合物を2種以上含む場合、泡立ち抑制等を使用量に見合って効率良く発揮する点で、上述の単位−CO−の含有量がマルチモーダルとならない特定ノニオン界面活性剤を選択することが好ましい。
上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物としては、例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等が挙げられる。
上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック共重合体であることが好ましい。
上記ブロック共重合体としては、下記一般式(1)又は(2)で表されるものが挙げられる。
O−(EO)n1−(PO)n2−(EO)n3−R (1)
O−(PO)n4−(EO)n5−(PO)n6−R (2)
(上記各式において、R及びRは、同一若しくは異なって、H又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。n1及びn3は、同一又は異なって、n1とn3の数の和は、1〜200の整数を表し、n2は、5〜85の整数を表す。n4及びn6は、同一又は異なって、n4とn6の和は10〜70の整数を表し、n5は2〜200の整数を表す。上記R及びRとしてのアルキル基は、水素原子の一部がフッ素等の他の元素に置換されていてもよい。)
上記R及びRは、それぞれ、H又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、H又は炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。
上記各式中、各POにおける−C−は、上述したように、直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよい。
上記式(1)において、n1とn3の数の和は2〜180の整数であることが好ましく、n2は10〜70の整数であることが好ましく、15〜60の整数であることがより好ましい。
上記式(2)において、n4とn6の数の和は15〜60の整数であることが好ましく、n5は2〜150の整数であることが好ましい。
上記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物は、平均分子量が15000未満であるものが好ましい。
上記平均分子量は、より好ましい上限が12000以下で、更に好ましい上限が10000以下であり、上記範囲内であれば500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは1500以上であってもよい。
上記特定ノニオン界面活性剤は、一般に、曇点が20〜90℃であるものである。
上記曇点の下限は、15℃であることが好ましく、20℃であることがより好ましい。
本明細書において、上記曇点は、ISO1065(Method A)に従い、測定希釈試料15mlを試験管に入れ、完全に不透明になるまで加熱させた後に、攪拌しながら徐々に冷却させた際に液全体が透明となる温度として測定した値である。
上記特定ノニオン界面活性剤は、HLBが1〜20であることが好ましく、5〜19であることがより好ましい。
上記HLBは、Griffinの式から求めた値である。
上記特定ノニオン界面活性剤は、10質量%の水溶液にしたときの電気伝導度が、好ましくは2000mS/cm以下、より好ましくは1000mS/cm以下、更に好ましくは500mS/cm以下である。
本明細書において、上記電気伝導度は、25℃において導電率計(Orion社)にて測定した値である。
本発明のフルオロポリマー水性分散液において、特定ノニオン界面活性剤はフルオロポリマー100質量部あたり0.5〜15質量部の量であることが好ましい。
上記特定ノニオン界面活性剤は、フルオロポリマー100質量部あたり、より好ましい下限が1質量部、より好ましい上限が10質量部である。
上記フルオロポリマー水性分散液が2種以上の特定ノニオン界面活性剤を含む場合、上記特定ノニオン界面活性剤の量は、各特定ノニオン界面活性剤の合計量を表す。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、界面活性剤として上述の特定ノニオン界面活性剤に加え、他の種類の界面活性剤を含むものであってもよい。
上記界面活性剤としては特に限定されず、例えば、従来公知のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤等が挙げられる。
上記ノニオン界面活性剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル等のエーテル型ノニオン界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のエステル型ノニオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等のアミン系ノニオン界面活性剤;等が挙げられる。
上記ノニオン界面活性剤は、芳香族系化合物、直鎖化合物及び分岐鎖を有する化合物の何れであってもよいが、環境面で、アルキルフェノールを構造中に有しない直鎖化合物又は分岐鎖を有する化合物であることが好ましい。
上記フルオロポリマー水性分散液は、フルオロポリマー100質量部に対し、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下のノニオン界面活性剤を含有することができる。
上記ノニオン界面活性剤の含有量は、上述の特定ノニオン界面活性剤を含むノニオン界面活性剤の合計量である。
本明細書において、ノニオン界面活性剤の含有量(N)は、試料約1g(Xg)を直径5cmのアルミカップにとり、100℃にて1時間で加熱した加熱残分(Yg)、更に、得られた加熱残分(Yg)を300℃にて1時間加熱した加熱残分(Zg)より、式:N=[(Y−Z)/X]×100(%)から算出したものである。このうち、特定ノニオン界面活性剤の量は、フルオロポリマー水性分散液の調製時に添加した量から算出することができる。
上記アニオン界面活性剤としては、含フッ素界面活性剤からなるものが好ましい。
上記含フッ素界面活性剤としては、含フッ素化合物からなり乳化作用を示すものであれば特に限定されないが、構成する含フッ素化合物としては、平均分子量が1000以下であるものが好ましく、除去容易である点で、平均分子量が500以下であるものがより好ましく、また、炭素数が6〜12であるものが好ましい。
上記含フッ素界面活性剤としては、含フッ素カルボン酸化合物、含フッ素スルホン酸化合物等の含フッ素アニオン化合物からなるもの(以下、「含フッ素アニオン界面活性剤」ということがある。)が好ましく、含フッ素カルボン酸化合物又はその塩からなるものがより好ましい。
上記含フッ素アニオン化合物としては、例えば、パーフルオロオクタン酸及びその塩(以下、「パーフルオロオクタン酸及びその塩」をまとめて「PFOA」と略記することがある。)、パーフルオロオクチルスルホン酸及びその塩(以下、「パーフルオロオクチルスルホン酸及びその塩」をまとめて「PFOS」と略記することがある。)等挙げられる。
上記含フッ素アニオン化合物が塩である場合、該塩を形成する対イオンとしては、アルカリ金属イオン又はNH 等が挙げられ、アルカリ金属イオンとしては、例えば、Na、Ka等が挙げられる。上記対イオンとしては、NH が好ましい。上記PFOA及びPFOSは、塩である場合、特に限定されないが、アンモニウム塩等が挙げられる。
上記含フッ素界面活性剤は、上述のフルオロポリマーを水性媒体中にて重合する際に乳化剤(重合乳化剤)として添加したものであってよい。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、含フッ素アニオン界面活性剤濃度が、一般にフルオロポリマーの固形分の500ppmに相当する量以下、好ましくは200ppm相当する量以下、より好ましくは上記固形分の100ppm相当する量以下であり、特にPFOAを含有する場合、好ましくはフルオロポリマーの固形分の75ppm相当する量以下、より好ましくは上記固形分の50ppm相当する量以下、更に好ましくは上記固形分の25ppm相当する量以下である。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、含フッ素アニオン界面活性剤濃度が上記範囲内のように低い場合であっても、実用上充分に高いフルオロポリマー濃度を有するフルオロポリマー水性分散液を得ることができる点で優れている。
本明細書において、上記含フッ素アニオン界面活性剤の含有量は、これら水性分散液と等量のメタノールを添加してソックスレー抽出を行ったのち、後述の条件にて、高速液体クロマトグラフィー〔HPLC〕を行うことにより測定したものである。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、例えば、(1)フルオロポリマーの重合を行ったのち、(2)上記工程(1)から得られたフルオロポリマー分散液に特定ノニオン界面活性剤を添加することにより調製することができる。
上記(1)フルオロポリマーの重合は、懸濁重合、乳化重合等、従来公知の方法にて行うことができる。
上記各重合において、使用するフッ素含有単量体、フッ素非含有単量体、及び、重合開始剤、連鎖移動剤等の添加剤は、適宜公知のものであればよく、また必要に応じ、上述の含フッ素界面活性剤を使用することができる。
上記各重合は、重合効率の点で、含フッ素界面活性剤を上記水性媒体の0.0001〜10質量%の量存在させて行うことが好ましい。上記含フッ素界面活性剤の量は、上記水性媒体の0.001質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。
上記工程(2)は、得られるフルオロポリマー水性分散液が特定ノニオン界面活性剤を上述の範囲内の量にて含有するように行えばよい。
特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物について、その分子量が高い場合及び/又は上述の−RO−の合計質量(g)が高い場合、上記特定ノニオン界面活性剤の疎水性が一般に高くなり、水に対する溶解度が低くなる傾向がある。
上記特定ノニオン界面活性剤は、水に対する溶解度が低い場合、有機溶剤に溶解させて上記フルオロポリマー水性分散液Aに添加することもできる。
上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;等が挙げられる。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上記工程(1)及び工程(2)に加え、更に(3)含フッ素界面活性剤削減工程を経て得られるものであってもよい。
上記工程(3)は、上記工程(2)の前に行ってもよいし、上記工程(2)の後に行ってもよく、また、上記工程(2)及び工程(3)を行ったのち更に工程(2)を行ってもよい。
上記工程(3)は、添加する特定ノニオン界面活性剤の損失を少なくする点で、上記工程(2)の前に行うことが好ましい。
上記(3)含フッ素界面活性剤削減工程は、特に限定されないが、相分離法、イオン交換樹脂法、膜処理法、電気泳動法及び蒸発法から選択される少なくとも1つの操作からなるものであることが好ましく、相分離法、イオン交換樹脂法及び膜処理法から選択される少なくとも1つの操作からなるものであることがより好ましい。
上記(3)含フッ素界面活性剤削減工程は、1回の操作のみからなるものであってもよいし、2回以上の操作からなるものであってもよい。
上記(3)含フッ素界面活性剤削減工程における操作としては、例えば、国際公開第2004/050719号パンフレット記載の相分離法、特表2002−532583号公報記載のイオン交換樹脂法、特開昭55−120630号公報記載の膜処理法、英国特許第642025号明細書記載の電気泳動法、特表2003−531232号公報記載の蒸発法等が挙げられる。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上記工程(1)、工程(2)及び必要に応じて工程(3)に加え、(4)アニオン界面活性剤(P)及び/又は水溶性高分子(Q)を添加して粘度を調整する工程や(5)上述のノニオン界面活性剤を添加する工程をも経て得られるものであってもよい。
上記フルオロポリマー水性分散液の調製において、上記工程(4)及び工程(5)は、それぞれ、上記工程(1)の後であれば何れの段階に行ってもよく、上記工程(2)と同時に行うこともできるが、添加する特定ノニオン界面活性剤の損失を少なくする点で、上記工程(3)の後に行うことが好ましい。
上記アニオン界面活性剤(P)は、一般に、(a)スルホコハク酸アルキルエステル若しくはその塩、又は、スルホコハク酸フルオロアルキルエステル若しくはその塩、(b)分子量が1000未満であり上述の工程(1)に使用したものとは異なる含フッ素アニオン界面活性剤、(c)酸基を有しpKaが4未満であるフッ素非含有アニオン界面活性剤、及び、(d)分子量が1000未満であり上述の工程(1)に使用した含フッ素アニオン界面活性剤よりなる群から選択されるものである。
上記(a)スルホコハク酸アルキルエステル若しくはその塩、又は、スルホコハク酸フルオロアルキルエステル若しくはその塩は、モノエステルであってもよいが、ジエステルであることが好ましい。
上記(b)の含フッ素アニオン界面活性剤は、特に限定されないが、炭素数4〜7であることが好ましく、炭素数5〜7であることがより好ましい。
上記(b)の含フッ素アニオン界面活性剤としては、フルオロアルキルカルボン酸又はその塩、フルオロアルキルスルホン酸又はその塩等が好ましく、パーフルオロカルボン酸又はその塩、パーフルオロアルキルスルホン酸又はその塩等がより好ましい。
上記(c)としては、炭化水素を主鎖として有するアニオン炭化水素界面活性剤が好ましい。
上記炭化水素としては、例えば、炭素数6〜40、好ましくは炭素数8〜20の飽和又は不飽和の脂肪族鎖を有するものが挙げられる。上記飽和又は不飽和の脂肪族鎖は、直鎖又は分岐鎖の何れであってもよく、環状構造を有するものであってもよい。上記炭化水素は、芳香族性であってもよいし、芳香族基を有するものであってもよい。上記炭化水素は、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有するものであってもよい。
上記(c)としては、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルアリールサルフェート及びそれらの塩;脂肪族(カルボン)酸及びその塩;リン酸アルキルエステル、リン酸アルキルアリールエステル又はそれらの塩;等が挙げられるが、中でも、スルホン酸及びカルボン酸並びにそれらの塩よりなる群から選択されるものが好ましく、脂肪族カルボン酸又はその塩が好ましい。
上記アニオン界面活性剤(P)は、塩である場合、一部又は全部が電離しているものをも含み得るものである。
上記塩としては、上述の含フッ素界面活性剤において例示したものと同様のものが挙げられる。
上記アニオン界面活性剤(P)は、合計で、一般にフルオロポリマーの質量の5〜5000ppmに相当する量、好ましくは5〜2500ppmに相当する量、より好ましくは5〜1000ppmに相当する量を添加することができ、添加量低減の点で、一般にフルオロポリマーの質量の5〜500ppmに相当する量、好ましくはフルオロポリマーの質量の200ppmに相当する量以下を添加するものであってもよい。また、上記添加量は、上記範囲内であれば、機械的強度維持等の点で、好ましくはフルオロポリマーの質量の10ppmに相当する量以上であってもよい。
上記水溶性高分子(Q)は、水への溶解度が0.1mg/100ml以上であり、分子量が10000以上、2000万以下である化合物である。
上記水への溶解度は、1mg/100ml以上であることが好ましい。
上記水溶性高分子(Q)は、分子量が500万以下であることが好ましく、上記範囲内であれば200万以下であることがより好ましい。
上記水溶性高分子(Q)としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール及びポリエチレンオキサイドよりなる群から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
本発明において、上記水溶性高分子(Q)はフルオロポリマー100質量部に対して0.00001〜5質量部添加することが好ましい。上記水溶性高分子(Q)の添加量は、フルオロポリマー100質量部に対し、より好ましい下限が0.0001質量部、より好ましい上限が2.1質量部である。
上記工程(5)は、特定ノニオン界面活性剤に起因する効果に影響しないよう、上述の好ましい範囲内でノニオン界面活性剤を添加するものであればよい。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、含フッ素界面活性剤の含有量が極めて低いので、フィルム、塗膜等に加工しても着色が生じない。更に、上記フルオロポリマー水性分散液は、上述の特定ノニオン界面活性剤を含有するものであるので、フルオロポリマー濃度が高いにもかかわらず粘度が低く、機械的安定性、温度安定性、保存安定性、塗工性、含浸性等にも優れており、クラック限界膜厚みが高く、起泡が生じにくく、仮に一旦起泡が生じても消泡性に優れている。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、そのまま又は各種添加剤を加えて、コーティング、キャストフィルム、含浸体等に加工することができる。
上記フルオロポリマー水性分散液は、例えば、オーブン内張り、製氷トレー等の調理器具、電線、パイプ、船底、高周波プリント基板、搬送用ベルト、アイロン底板における被覆材;繊維基材、織布・不織布等が挙げられる。上記繊維基材としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維(ケブラー(登録商標)繊維等)を被含浸体とする含浸物;等に加工することができる。
上記フルオロポリマー水性分散液の加工は、従来公知の方法にて行うことができる。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上述の構成よりなるものであるので、適度な粘度及び機械的安定性を示し、泡立ちが抑制されたフルオロポリマー水性分散液を調製することができる。
本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例により限定されるものではない。
本実施例及び比較例において、特に説明しない限り、「部」は「質量部」を表す。
各実施例で行った測定は、以下の方法により行った。
(1)平均粒子径
樹脂固形分濃度を0.22質量%に調整したフルオロポリマー水性分散液の単位長さに対する550nmの投射光の透過率と、透過型電子顕微鏡写真における定方向径を測定して決定された平均粒径との検量線をもとにして、上記透過率から決定した。
(2)フルオロポリマー濃度(P)
試料約1g(X)を直径5cmのアルミカップにとり、100℃、1時間で乾燥し、更に300℃、1時間乾燥した加熱残分(Z)に基づき、式:P=Z/X×100(%)にて決定した。
(3)含フッ素界面活性剤濃度
得られた水性分散液に等量のメタノールを添加してソックスレー抽出を行ったのち、高速液体クロマトグラフィー〔HPLC〕を以下の条件にて行うことにより求めた。なお、含フッ素界面活性剤濃度算出にあたり、既知の濃度の含フッ素界面活性剤濃度について上記溶出液及び条件にてHPLC測定して得られた検量線を用いた。
(測定条件)
カラム:ODS−120T(4.6φ×250mm、トーソー社製)
展開液;アセトニトリル/0.6質量%過塩素酸水溶液=1/1(vol/vol%)
サンプル量;20μL
流速;1.0ml/分
検出波長;UV210nm
カラム温度;40℃
(4)ノニオン界面活性剤の含有量(N)
試料約1g(Xg)を直径5cmのアルミカップにとり、100℃にて1時間で加熱した加熱残分(Yg)、更に、得られた加熱残分(Yg)を300℃にて1時間加熱した加熱残分(Zg)より、式:N=[(Y−Z)/X]×100(%)から算出した。
このうち、特定ノニオン界面活性剤の含有量は、フルオロポリマー水性分散液の調製時に添加した量から算出した。
(5)粘度
B型回転粘度計(東京計器社製)を用い、JIS K 6893に準拠して、25℃又は35℃における粘度を測定した。なお、測定評価は下記基準に基づくものである。
◎;25℃、35℃の両方における粘度が40mPa・s未満
○;25℃、35℃の両方における粘度が40〜50mPa・s未満
△;25℃、35℃の両方における粘度が50〜70mPa・s未満
×;25℃、35℃の両方における粘度が70mPa・s以上
(6)機械的安定性
35℃に保持した100mlのフルオロポリマー水性分散液を、内径8mm、外径11mmの塩化ビニルチューブを備えたダイヤフラムポンプで1500ml/分の条件で20分循環後、200メッシュSUS網を用いてろ過した際のメッシュアップ量を、用いたフルオロポリマー水性分散液に含まれるフルオロポリマー量に占める割合(質量%)として測定した。なお、測定評価は下記基準に基づくものである。
◎;1質量%
○;2質量%
△;3質量%
(7)泡立ち抑制
JIS K3362に準拠してロスマイルス法を行い評価した。
◎;泡の高さ150mm未満
○;泡の高さ150mm以上〜180mm未満
×;泡の高さ180mm以上
製造例1
PTFE分散液1(平均粒子径250nm、PTFE濃度31%、PFOAの含有量;PTFEの1500ppm)にノニオン界面活性剤(製品名:TDS80、第一工業製薬社製)と水とを加え、アンモニア水でPHを9.5に調整し、フルオロポリマー濃度〔PC〕を25%、ノニオン界面活性剤濃度〔NC〕をPTFE100質量部に対し25質量部とした分散液を、80℃にて3時間保持し、上清相1と濃縮相1とに分離した。
上記濃縮相1は、PCが37%、NCがPTFE100質量部に対し2.4質量部、PFOAがPTFEの190ppmに相当する量であった。
更に濃縮相1にTDS80と水とを加え、PC25%、NCがPTFE100質量部に対し15質量部となるように調整した後、60℃にて5時間保持し、PC69%、NCがPTFE100質量部に対し3.8質量部、PFOAがPTFEの20ppmに相当する量である濃縮相2(PTFE分散液2)を回収した。
実施例1
製造例1で得られたPTFE分散液2に、TDS80、特定ノニオン界面活性剤(製品名:Pluronic PE6800、BASF社製)及び水を加え、PC60%,TDS80がPTFE100質量部に対し5質量部、特定ノニオン界面活性剤がPTFE100質量部に対し1質量部となるように調整し、PTFE水性分散液を得た。
上記PTFE水性分散液について、粘度、機械的安定性及び泡立ち抑制を測定した。
実施例2〜6
更に水溶性高分子とアニオン界面活性剤とを表1に示すように添加する以外は、実施例1と同様にして、PTFE水性分散液を調製し、粘度、機械的安定性及び泡立ち抑制を測定した。
実施例7
特定ノニオン界面活性剤として、Pluronic PE6800をPluronic PE6400(製品名、BASF社製;分子量2900、EOの割合40%)に変える以外は実施例1と同様にして、PTFE水性分散液を得た。得られたPTFE水性分散液について、粘度、機械的安定性及び泡立ち抑制を測定した。
実施例1〜7から得られた各PTFE水性分散液のデータを表1に示す。
なお、表1において、PVPはピッツコールを、PEG20000はポリエチレングリコールを、OTPはC17OCOCH(SONa)CHCOOC17を、SLSはラウリル硫酸ナトリウムを表す。また、ノニオン界面活性剤及び水溶性高分子の各含有量は、PTFE100質量部に対する量を表し、アニオン界面活性剤の量はPTFE量に対する割合(ppm)を表す。
Figure 2009057392
各結果より、各実施例のPTFE水性分散液は、特に、温度上昇に伴う粘度増加や泡立ちを抑制する効果が高いことが分かった。
製造例2
PTFE分散液3(平均粒子径220nm、PTFE32%、PFOA含有量;PTFEの1800ppm)に、ノニオン界面活性剤(製品名;TDS80、第一工業製薬社製)をPTFE100質量部に対し5質量部加え、更に水を加えて、PC27%に調整したのち、陰イオン交換樹脂(製品名:アンバーライトIRA402、ローム・アンド・ハース社製)25mlを充填し50℃で保温したカラム(直径20mm)に空間速度(SV)4で流通した。得られた分散液は、PC27%、NCがPTFE100質量部に対し5質量部、PFOA含有量がPTFEの18ppmに相当する量であった。
上記分散液に、上記ノニオン界面活性剤をPTFE100質量部に対し10質量部の量加え、更に水を加えて、PC25%に調整した後、70℃にて3時間加熱し、上清相と濃縮相とに分離した。
上記濃縮相(PTFE分散液4)は、PCが63%、NCがPTFE100質量部に対し2.5質量部、PFOA含有量検出限界以下であった。
実施例8
製造例2から得たPTFE分散液4に、TDS80をPTFE100質量部に対し3.5質量部、特定ノニオン界面活性剤(製品名:Pluronic PE6800、BASF社製)をPTFE100質量部に対し1.5質量部の量を加え、更にPVPとOTPとを加えて、粘度、機械的安定性及び泡立ち抑制を測定した。
比較例1
特定ノニオン界面活性剤を添加せず、TDS80の添加量を変える以外は実施例7と同様にしてPTFE水性分散液を調製し、粘度、機械的安定性及び泡立ち抑制を測定した。
実施例8及び比較例2から得られた各PTFE水性分散液のデータを表2に示す。また、ノニオン界面活性剤及び水溶性高分子の各含有量は、PTFE100質量部に対する量を表し、アニオン界面活性剤の量はPTFE量に対する割合(ppm)を表す。
Figure 2009057392
実施例8から得られたPTFE水性分散液は、粘度が低く、機械的安定性及び泡立ち抑制の何れにも優れていたが、比較例2から得られたPTFE水性分散液は粘度が高く、また温度上昇に伴う粘度上昇が大きく、機械的安定性がやや劣り、泡立ちを示した。
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、上述の構成よりなるものであるので、適度な粘度及び機械的安定性を示し、泡立ちが抑制されたフルオロポリマー水性分散液を調製することができる。

Claims (16)

  1. 特定ノニオン界面活性剤の存在下に水性媒体中にフルオロポリマーからなる粒子が分散しているフルオロポリマー水性分散液であって、
    前記特定ノニオン界面活性剤は、親水基の平均合計含有量が45〜90質量%である化合物からなり、
    前記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物が有する炭化水素基は、連続して隣接する炭素数が1〜5である炭化水素基のみであり、
    前記フルオロポリマー水性分散液は、含フッ素界面活性剤濃度がフルオロポリマーの固形分の500ppmに相当する量以下である
    ことを特徴とするフルオロポリマー水性分散液。
  2. 特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物は、単位−RO−及び/又は−OR−(Rは、炭素数3〜5の炭化水素基を表す。)の繰返し構造(該繰返し構造において複数個存在するRは、相互に同一又は異なる。)を有する請求項1記載のフルオロポリマー水性分散液。
  3. 単位−RO−及び/又は−OR−(Rは、前記定義と同じ。)は、単位−CO−及び/又は−OC−を含み、
    前記単位−CO−及び/又は−OC−の合計質量は、特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物1モルあたり500〜5000gである請求項2記載のフルオロポリマー水性分散液。
  4. 特定ノニオン界面活性剤の存在下に水性媒体中にフルオロポリマーからなる粒子が分散しているフルオロポリマー水性分散液であって、
    前記特定ノニオン界面活性剤は、単位−CO−及び/又は−OC−の合計質量が該特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物1モルあたり500〜6000gである化合物からなり、
    前記特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物が有する炭化水素基は、連続して隣接する炭素数が1〜5である炭化水素基のみであり、
    前記フルオロポリマー水性分散液は、含フッ素界面活性剤濃度がフルオロポリマーの固形分の500ppmに相当する量以下である
    ことを特徴とするフルオロポリマー水性分散液。
  5. 特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物における親水基は、単位−CO−及び/又は−OC−を含む請求項4記載のフルオロポリマー水性分散液。
  6. 特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物における親水基は、単位−CO−及び/又は−OC−の繰返しであり、
    前記特定ノニオン界面活性剤は、単位−CO−及び/又は−OC−の平均合計含有量が45〜90質量%である化合物からなる
    請求項5記載のフルオロポリマー水性分散液。
  7. 単位−CO−及び/又は−OC−の平均合計含有量は、特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物の45〜90質量%である請求項6記載のフルオロポリマー水性分散液。
  8. 特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体である請求項1〜7の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
  9. エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック共重合体である請求項8の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
  10. 特定ノニオン界面活性剤を構成する化合物は、分子量が15000未満である請求項1〜9の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
  11. 特定ノニオン界面活性剤は、曇点が20〜90℃である請求項1〜9の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
  12. 特定ノニオン界面活性剤は、フルオロポリマー水性分散液中におけるノニオン界面活性剤の40質量%以上である請求項1〜11の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
  13. 含フッ素界面活性剤削減工程を経たものである請求項1〜12の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
  14. 含フッ素界面活性剤削減工程は、相分離法、イオン交換樹脂法、膜処理法、電気泳動法及び蒸発法より選択される少なくとも1つである請求項13記載のフルオロポリマー水性分散液。
  15. 含フッ素界面活性剤濃度は、フルオロポリマーの固形分の100ppmに相当する量以下である請求項1〜14の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
  16. フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン及び/又は変性ポリテトラフルオロエチレンである請求項1〜15の何れか1項に記載のフルオロポリマー水性分散液。
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