JP2009056628A - 液体吐出ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体吐出ヘッドの耐久性を向上させるために発泡室の中心に対して発熱素子の位置をずらしても、吐出される液滴の着弾精度が高く維持された記録ヘッドを提供すること。
【解決手段】インク供給口10から発泡室へ向かうインクの供給方向及びインクを吐出するインク吐出方向の両方向に平行であって、電気熱変換素子9の中心を通り、ノズル5内部の空間を供給方向に対して直交する直交方向に対して区画する面である直交方向区画面S1が、発泡室6及び第二吐出口部13の内部を通っている。発泡室6における直交方向区画面に対して一方の側にある領域の容積が、直交方向区画面に対して他方の側にある領域の容積よりも大きいとき、第二吐出口部13における直交方向区画面に対して一方の側にある領域の容積は、直交方向区画面に対して他方の側にある領域の容積よりも小さく形成されている。
【選択図】図6
【解決手段】インク供給口10から発泡室へ向かうインクの供給方向及びインクを吐出するインク吐出方向の両方向に平行であって、電気熱変換素子9の中心を通り、ノズル5内部の空間を供給方向に対して直交する直交方向に対して区画する面である直交方向区画面S1が、発泡室6及び第二吐出口部13の内部を通っている。発泡室6における直交方向区画面に対して一方の側にある領域の容積が、直交方向区画面に対して他方の側にある領域の容積よりも大きいとき、第二吐出口部13における直交方向区画面に対して一方の側にある領域の容積は、直交方向区画面に対して他方の側にある領域の容積よりも小さく形成されている。
【選択図】図6
Description
本発明は、インク滴を吐出する液体吐出ヘッド及びインクジェット記録装置に関するもので、特に、その液体吐出ヘッド及びインクジェット記録装置から吐出される液体を高精度に吐出するためのものである。
現在、液体吐出ヘッドとしての記録ヘッドを記録媒体に対して走査させ、この走査の際に記録ヘッドよりインク滴を吐出して記録を行うシリアルスキャンタイプの液体吐出装置としてのインクジェット記録装置が急速に普及している。このようなインクジェット記録装置は小型化が容易であり、また比較的簡単にカラー記録を行うことができるなどの利点を有している。また、記録動作と共に走査を行うシリアルスキャンタイプの記録装置の他に、走査を行わずに長尺の記録ヘッドによって記録媒体の幅方向全体に亘って記録可能なフルラインタイプの記録ヘッドもある。
インクジェット記録装置においては、その高画質化の要請から吐出されるインク滴の小液滴化への試みが行われている。また、インクジェット記録装置は、最近使用頻度が増大していることに伴い、その耐久性能を向上させる試みが行われている。
吐出される液滴を小液滴化するための一つの構成は、吐出口を小さくすることである。しかし、この方法によると、結果として吐出口部における流抵抗が増大し、液滴を吐出する際に所望の吐出性能や吐出効率が得られない虞がある。すなわち、吐出口が形成されるオリフィスプレートの厚みが小さな吐出口の開口面積に対して相対的に厚いものとなり、流抵抗が増大する。そこで、記録ヘッドにおける強度を保ちつつ、吐出口部の流抵抗を低減する構成として、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されているインクジェット記録ヘッドが提案されている。
このような形式の記録ヘッドでは、吐出口部に第一吐出口部と、第二吐出口部とが形成されているので、オリフィスプレートにおける吐出口部近傍のみの部分の厚さを薄くすることでインク流れにおける流れ抵抗を低減させることができる。このとき、インク流れの流れ抵抗を低減させるのに第一吐出口部の周囲の厚さを薄くするだけで良いので、オリフィスプレートの強度をあまり低下させなくとも良い。そして、吐出口部での圧力損失を低減しつつ、吐出方向へ気泡を成長させることで、吐出性能や吐出効率の向上を図っている。
また、その一方で、記録ヘッドの耐久性能を向上させる試みも種々行われている。記録ヘッドにおける耐久性能を向上させることで、その記録ヘッドが寿命を終えるまでに液滴を吐出する吐出回数を増加させている。
ここで、一般に、インクの膜沸騰現象を利用した液滴の吐出方法では、電気熱変換素子で発生する熱によって電気熱変換素子を覆う保護膜表面と液滴との間で熱化学反応が生じ、保護膜の酸化や溶解が生じる虞がある。また、消泡過程で生ずるキャビテーションの衝撃力によって、保護膜が削られたり損傷が起こったりする虞がある。このような現象が進むことによって、保護膜の機能が低下し、そのことが電気熱変換素子に対して影響を与え、印字不良を引き起こす虞がある。このような印字不良に対する対策として、キャビテーション保護膜の改良やノズル形状の改良を行い、耐久性能を向上させる試みがなされている。
このようなキャビテーションによる衝撃力を弱めるノズル形状の記録ヘッドとしては、例えば、特許文献3、特許文献4に開示されているものがある。ここに開示されているような記録ヘッドを用いれば、インク流路の中心線を電気熱変換素子の中心線に対してずらして位置させることとされるので、電気熱変換素子によって発生する気泡の消泡位置を揺らがせることが可能となる。従って、消泡位置を分散させることができ、また、インクの流れを変化させることで電気発熱素子上での消泡を防ぐことができる。また、電気熱変換素子の中心線を発泡室における中心線に対してずらして位置させることで、吐出口中心から発泡室中心までのずれ量を小さく保ちつつ、電気熱変換素子の中心に対する吐出口の中心のずれ量を大きくとることができることとされている。これにより、吐出口の近傍にインク溜まりが発生することを抑えることができ、気泡の消泡位置を移動させたとしても精度良く液滴の吐出が行われるとされている。このように、消泡に伴うインクのリフィル(再充填)の流れを制御することによって、気泡を電気熱変換素子の側方に偏らせ、消泡時のキャビテーションによる電気熱変換素子への衝撃力が緩和され、記録ヘッドの耐久性を向上させることができる。
しかしながら、液滴の吐出量が小さくなるほど、ノズル構造が吐出される液滴へ及ぼす影響が相対的に大きくなる。この場合、吐出口の中心が発泡室の中心からずれることで発泡室が非対称とされていることによって、吐出される液滴への弊害が発生する場合がある。具体的には、液滴を吐出して発泡室内部に液体を再充填する際に、電気熱変換素子の中心を通り、インク流路と略平行で素子基板と略垂直な面に対して圧力室を分割して考えると、液体は容積の大きな領域から小さな領域の方向に流れる傾向にある。そして、発泡室内部に再充填される液体には、その液体の流れる方向へ力が働くことになる。これにより、吐出される液滴の尾引き部分は、容積の大きい領域から容積の小さい領域の方向へ曲がり易くなる。その結果、吐出液滴の尾引き部分に対して、吐出口の形成された吐出口形成面の面方向に対する力が作用し、尾引き部分がちぎれて細かなサテライトに分裂し、サテライトの着弾精度の低下や、小さなミストとなって浮遊するなどの弊害が生ずることがある。
このように、吐出される液滴における尾引き部分が分裂した小さなミストが、記録ヘッドと記録媒体との間で浮遊することで、そのミストが記録ヘッドや記録媒体に付着する虞がある。これが吐出口の周辺部分に付着することで、吐出される液滴の飛翔を阻害し、さらなる着弾精度の低下を招く虞があることがわかってきた。
着弾精度の低下は、画像形成上、記録媒体に対して予期せぬドット配置を行うことになるため、画質の劣化につながる。また、インクミストは、記録ヘッド及び記録装置内の不特定な部分に付着することで、記録装置の動作不良を引き起こす原因となる。また、記録装置に付着したインクが記録媒体を汚すことで、記録物の印字品位の低下を招く虞がある。
そこで、本発明の目的は上記の事情に鑑み、発熱素子に対して非対称の発泡室形状として液体吐出ヘッドの耐久性を向上させると共に、インクミストを低減できる液体吐出ヘッド及びインクジェット記録装置を提供することである。
本発明の液体吐出ヘッドによれば、液体を吐出するために利用される熱エネルギーを発生する発熱素子が配されたエネルギー作用室を有するノズルと、該ノズルに連通する液体供給口とを有する液体吐出ヘッドにおいて、前記エネルギー作用室には、前記発熱素子によって熱エネルギーが与えられた液体を吐出するための吐出口部が形成され、前記吐出口部は、大気と連通する第一吐出口部と、前記第一吐出口部よりも吐出方向に対して直交する方向の断面積が大きく、前記エネルギー作用室と前記第一吐出口部との間に形成された第二吐出口部とを有し、前記液体供給口から前記エネルギー作用室へ向かう液体の供給方向及び液体を吐出する液体吐出方向の両方向に平行であって、前記発熱素子の中心を通り、前記ノズルの内部の空間を前記供給方向に対して直交する直交方向に対して区画する面である直交方向区画面に対して、前記エネルギー作用室における一方の側にある領域の容積が、前記直交方向区画面に対して他方の側にある領域の容積よりも大きく、前記第二吐出口部における前記直交方向区画面に対して前記一方の側にある領域の容積は、前記直交方向区画面に対して前記他方の側にある領域の容積よりも小さいことを特徴とする。
また、本発明のインクジェット記録装置によれば、インクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生する発熱素子が配されたエネルギー作用室を有するノズルと、該ノズルに連通する液体供給口とを有する記録ヘッドを具えたインクジェット記録装置において、前記エネルギー作用室には、前記発熱素子によって熱エネルギーが与えられた液体を吐出するための吐出口部が形成され、前記吐出口部は、大気と連通する第一吐出口部と、前記第一吐出口部よりも吐出方向に対して直交する方向の断面積が大きく、前記エネルギー作用室と前記第一吐出口部との間に形成された第二吐出口部とを有し、前記液体供給口から前記エネルギー作用室へ向かうインクの供給方向及びインクを吐出するインク吐出方向の両方向に平行であって、前記発熱素子の中心を通り、前記ノズルの内部の空間を前記供給方向に対して直交する直交方向に対して区画する面である直交方向区画面に対して、前記エネルギー作用室における一方の側にある領域の容積が、前記直交方向区画面に対して他方の側にある領域の容積よりも大きく、前記第二吐出口部における前記直交方向区画面に対して前記一方の側にある領域の容積は、前記直交方向区画面に対して前記他方の側にある領域の容積よりも小さく形成された記録ヘッドを具え、記録媒体に対しインクを吐出して記録を行うことを特徴とする。
本発明の液体吐出ヘッドによれば、液体吐出ヘッドの耐久性を向上させるために発泡室の中心に対して発熱素子の位置をずらしても、その分第二吐出口部が発熱素子の中心に対して逆側にずらされるので、液滴の尾引き部分が吐出口部の中心に戻される。従って、吐出される液滴の尾引き部分が一方に偏った力を受けずに吐出方向に真っ直ぐに吐出されることになる。これにより、吐出される液滴の着弾精度は低下せずに高く維持される。また、吐出される液滴の尾引き部分が一方に偏った力を受けないので、液滴の吐出の際にミストの発生を低減させることができる。また、そのような液体吐出ヘッドを具えたインクジェット記録装置を提供することができる。
(第一実施形態)
以下、本発明を実施するための第一実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
以下、本発明を実施するための第一実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の第一実施形態で用いられる液体吐出ヘッドとしての記録ヘッド1が用いられたインクジェット記録装置101の斜視図が示されている。インクジェット記録装置101には、キャリッジを介してインクジェットカートリッジが複数の色に対応して搭載されており、それぞれのインクジェットカートリッジには、記録媒体へインクを吐出するための記録ヘッド1が具えられている。
図2(a)は、本発明の記録ヘッド1における一部を破断した斜視図である。図2(b)は、図2(a)に示される記録ヘッド1を形成する部品のうちの一つである素子基板2の平面図である。図2(a)、(b)に示される記録ヘッド1は、素子基板2に対してオリフィスプレート3が貼り合わされて形成されている。素子基板2とオリフィスプレート3との間には、吐出されて液滴となる液体としてのインクを一旦貯留するための共通液室4が画成されている。また、素子基板2とオリフィスプレート3との間の両側部には、インクが吐出される複数のノズル5が形成されている。それぞれのノズル5は、発泡室6、吐出口部7及びインク流路8を有している。複数のノズル5は列状に平行に配列されてノズル列をなし、そのノズル列においては、隣接する各ノズル5のピッチの間隔が600dpiに形成されている。発泡室6はノズル5の端部に形成されており、ノズル5における共通液室4と発泡室6との間には、液体流路としてインクを発泡室6に導入するインク流路8が形成されている。ここで、本実施形態では、発泡室6はインク流路8よりも幅が広くなった部分をいうものとする。素子基板2とオリフィスプレート3との間に形成されている各ノズル5及び共通液室4内部の断面図を図3に示す。図3は、図2(a)に示される記録ヘッド1におけるII−II線に沿う断面図である。共通液室4の内部には、複数の円柱状のノズルフィルタ11がノズル5の配列されている方向と同じ方向に配列されている。ノズルフィルタ11が共通液室4内部におけるインク流路8の上流側に配置されているので、インク流路8の内部にゴミ等が流入することを防いでいる。また、このノズルフィルタ11が素子基板2とオリフィスプレート3との間に配置され、これによって素子基板2からのオリフィスプレート3の剥がれが防止され、また、オリフィスプレート3からの荷重が支持されている。
オリフィスプレート3には、共通液室4から発泡室6内部に供給されたインクを吐出するための吐出口部7が形成されており、発泡室6から大気へインク滴を吐出するために開口されたノズル5の先端の開口部分である。また、素子基板2には、インクを共通液室4に供給するためのノズル5の列が延びている方向と同じ方向に長く延びた液体供給口としてのインク供給口10が形成されている。発泡室6内部の素子基板2上における吐出口部7に対向する位置には、発熱素子としてインクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換素子9が形成されている。発泡室6は、その内部に一旦インクを貯留し、そこでインクを沸騰させ気泡を発生させ、吐出するインクに運動エネルギーを与える部分である。
図4には、図3に示された複数のノズル5が配列されたノズル列のうち、一つのノズルについて拡大した断面図が示されている。また、図5には、図4における記録ヘッド1のV−V線に沿う断面図が示されており、図6には、図4における記録ヘッド1のVI−VI線に沿う断面図が示されている。
本実施形態の記録ヘッド1には、エネルギー作用室としての発泡室6の内部に、電気熱変換素子9によって熱エネルギーが与えられたインクを吐出するための吐出口部7が形成されている。そして、吐出口部7は、大気と連通する第一吐出口部12と、第一吐出口部12よりも吐出方向に対して直交する方向に延びる面に沿った横断面積が大きく、発泡室6と第一吐出口部12との間に形成された第二吐出口部13とを有して形成されている。ここで、説明上、この吐出口部7において、共通液室4から発泡室6内部へ向かってインクが発泡室6へ供給される方向を供給方向とする。また、この供給方向に直交する方向であって、本実施形態において吐出口部7の列及びインク供給口10の延びる方向を直交方向とする。本実施形態では、発泡室6は、インク流路8の幅よりも広がっている部分であり、供給方向に対して、図4、5に示すL1の長さを有した部分である。本実施形態では、第二吐出口部13は、供給方向に対して図4、5に示すL2の長さを有し、供給方向と直交する方向に対して図4、6に示すL3の長さを有した部分である。
図4、6に示されるように、直交方向区画面S1が発泡室6の内部及び第二吐出口部13の内部を通って延びているように考えるものとする。ここで、直交方向区画面S1は、ノズル5内部の空間を供給方向に対して直交する直交方向に対して区画する面であり、説明のために領域を便宜上分割するだけのための仮想的な面である。従って、直交方向区画面S1は、実際のノズル構成としては存在しないものである。本実施形態では、直交方向区画面S1は、インク供給口10から発泡室6へ向かうインクの供給方向及びインクを吐出する液体吐出方向としてのインク吐出方向の両方向に対して平行であって、電気熱変換素子9の中心を通って延びている。
発泡室6における直交方向区画面S1に対して一方の側にある領域を領域Aとし、その容積をVAとする。また、直交方向区画面S1に対して一方の側とは反対側である、他方の側にある領域を領域Bとし、その容積をVBとする。一方、第二吐出口部13において、直交方向区画面S1に対して発泡室6の領域Aと同じ側の領域を領域A'とし、その容積をVA'とする。また、第二吐出口部13において、直交方向区画面S1に対して発泡室6の領域Bと同じ側の領域を領域B'とし、その容積をVB'とする。すなわち、第二吐出口部13において、直交方向区画面S1に対して一方の側にある領域A'とは反対側である他方の側にある領域を領域B'としている。そして、本実施形態では図6に示されるように、領域Aの容積VAが直交方向区画面S1を挟んで他方の側にある領域Bの容積VBよりも大きく、領域A'の容積VA'は、直交方向区画面S1を挟んで他方の側にある領域B'の容積VB'よりも小さい。
このように、本実施形態では、発泡室6が、電気熱変換素子9の中心を通る直交方向区画面S1によって領域A、Bに区画され、領域Aと領域Bとの間には容積に差を持たせている。従って、領域Aの容積VAと、領域Bの容積VBとの間には、VA > VBの関係が成り立つようにノズル5が形成されている。また、特には、VA/VB>1.3の関係が成り立つことが好ましい。また、領域A'の容積VA'と領域B'の容積VB'との間には、VA'< VB'の関係が成り立つようにノズル5が形成されている。また、特に、VB'/VA'>1.1の関係が成り立つことが好ましい。
さらに、本実施形態では、ノズル5内部の空間を供給方向に対して区画する面である供給方向区画面S2が、発泡室6及び第二吐出口部13の内部を通って延びている。供給方向区画面S2は、直交方向及びインク吐出方向の両方向に対して平行であって、電気熱変換素子9の中心を通って延びている面である。供給方向区画面S2も、ノズル5内部の空間を供給方向に対して区画する面であり、説明のために領域を便宜上分割するだけのための仮想的な面である。従って、供給方向区画面S2は、実際のノズル構成としては存在しないものである。ここで、供給方向区画面S2に対して一方の側にある領域を領域Cとし、その領域Cの容積をVCとする。また、供給方向区画面S2に対して領域Cの反対側である他方の側の領域を領域Dとし、その領域Dの容積を容積VDとする。供給方向区画面S2に対して一方の側にある領域Cの容積VCは、供給方向区画面S2に対して他方の側にある領域Dの容積VDよりも小さく形成されている。このとき、図5に示されるように、本実施形態では発泡室6における供給方向区画面S2に対してインク供給口10に近い側にある一方の側の領域Dの容積VDが、供給方向区画面S2に対して他方の側にある領域Cの容積VCよりも大きく形成されている。従って、領域Cの容積VCと、領域Dの容積VDとの間で、VC<VDの関係が成り立つ。
本実施形態におけるノズル5は、インクの吐出量が0.5pl〜3pl程度に設定されており、吐出周波数は15kHz以上とされている。また、第一吐出口部12の大気側の吐出口径は、4〜15μmであり、好ましくは7〜11μmとされる。本実施形態では、吐出口径は5〜12μm程度である。また、第二吐出口径は15〜25μm程度とされている。インク流路8の流路幅は5μm〜15μm程度とされる。また、電気熱変換素子9から吐出口部が開口された吐出口面までの距離であるインク流路の流路高さは10〜40μmとされ、好ましくは、20〜30μmとされる。本実施形態では、インク流路8の流路高さは10〜20μm程度である。本実施形態では、第一吐出口部12を形成する壁面がテーパ状に傾いており、そのテーパ角度は0°〜15°程度とされている。
次に、本実施形態の記録ヘッド1を用いてインクを吐出する際の動作について説明する。
電気熱変換素子9に通電すると、電気エネルギーが熱に変換されて電気熱変換素子9が発熱する。これにより、電気熱変換素子9に面した発泡室6の内部で電気熱変換素子9上に位置したインクが瞬時に沸騰させられて、そこで気泡が生じる。発泡室6の内部で気泡が生じると、発泡室6内部のインクが気液相変化による急激な発泡圧によって押し退けられて、電気熱変換素子9の上方に位置したインクが押されて移動する。そして、発泡室6内部で移動するインクが生成される気泡により吐出口部7の方へ押され、インクが吐出口部7から吐出される。吐出口部7から吐出されたインクは、記録媒体における所定位置に着弾することになる。
このとき、共通液室4における発泡室6内部に貯留されたインクが電気熱変換素子9の駆動によって吐出されると共に、インク供給口10から共通液室4の内部にインクが供給される。インク供給口10から共通液室4の内部に入り込んだインクは、ノズルフィルタ11の間を通ってインク流路8を通り、発泡室6の内部に入ってリフィルされる。ここで、共通液室4を介して発泡室6にインクを供給するインク供給口10の両側部に、ノズル5が形成されている。
本実施形態では、吐出口部7が第一吐出口部12及び第二吐出口部13を有しており、それらが段部を有して接続されていることから、インクの通る経路の面積が急激に狭められずに、徐々に狭められることになる。従って、インクの流路の最も狭い領域は、第一吐出口部12の内部のみで済み、流路の広い第二吐出口部13の長さの分だけインク流れへの抵抗が抑えられることになる。これにより、インクが吐出口部7を通る際にインク流れへの抵抗が少なくなる。また、オリフィスプレート3においてインク流れの抵抗を抑えるために薄く形成される部分は第二吐出口部13が形成されている部分だけで良いので、記録ヘッド1における強度の低下が抑えられ、記録ヘッド1の信頼性及び耐久性が確保されている。
吐出口部7でのインク流れへの抵抗が少なくなるので、インクが吐出口部7を通る際に圧力損失が少なくて済む。従って、吐出口部7から吐出される流れの速度が低下しないので、リフィルの速度が低下せず、周波数を落とさずにインクを吐出することができる。また、吐出されるインクの量が少ない場合、吐出口の開口面積が小さく、インクの流れる流路の面積も狭いのでインク流れへの抵抗が大きく、リフィル速度が低下してしまう。しかしながら、本実施形態によればインク流れへの抵抗が抑えられ、吐出口部7の開口面積を小さくしてもリフィル速度があまり低下しないので、細かいドットによるインクの吐出が可能となる。また、このようにインク流れへの抵抗の少ないノズルとするのにオリフィスプレート3の全体を薄く形成しなくとも良いので、記録ヘッド1の強度が確保され、耐久性が損なわれない。これにより、本実施形態の記録ヘッド1を用いて記録を行えば、記録ヘッド1の強度を落とさずに、細かいドットによる高品質な記録を高速に行うことができる。
本実施形態では、領域Aの容積VAが直交方向区画面S1を挟んで他方の側にある領域Bの容積VBよりも大きく形成されている。このように、本実施形態では、電気熱変換素子9の中心を通る直交方向区画面S1を挟んで、領域A、Bの間に容積の不均衡が生じている。従って、インクが吐出された後の発泡室6内部へのインクのリフィル時に、直交方向区画面S1を挟んで容積の大きい領域Aから領域Bに向かう方向にインクの流れが生じる。このようなインクの流れが生じることで、液滴を吐出した後の気泡の消泡位置がインクの流れによって移動することで電気熱変換素子9上からずらされることが可能となる。また、消泡位置がインク流れによって移動されることで不安定となり、一定でなくなる。
これにより、電気熱変換素子9から遠い位置で気泡が消泡するので、消泡の際に電気熱変換素子9に加えられる衝撃が小さくなり、電気熱変換素子9の耐久性を向上させている。また、消泡位置を一定でなくすることで消泡の際の衝撃が分散されて電気熱変換素子9の耐久性をさらに向上させている。
また、本実施形態では、電気熱変換素子9の供給方向中心が発泡室6における供給方向に対する中心よりも供給方向に対してインク供給口10から遠い部位に位置している。従って、電気熱変換素子9の中心が発泡室の中心からずれて位置しているので、これによって発泡室6内部でインクの流れが発生する。これにより、インクを吐出した後の発泡室6内部で生じるインク流れの旋回をさらに大きくすることができるので、さらに消泡位置を分散させることができる。また、消泡位置が電気熱変換素子9の真上部分からさらに外れることになる。従って、消泡の際に気泡が潰れることで生じる瞬間的な圧力変動(キャビテーション)によって電気熱変換素子9の表面が受ける衝撃を抑えることができる。従って、電気熱変換素子9の耐久性を向上させることができ、結果的に記録ヘッド1の耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態の記録ヘッド1によれば、吐出口部7と気泡との間に残ってリフィル時に電気熱変換素子9上へ戻ろうとするインクの速度ベクトルは、吐出口部7の開口部分から電気熱変換素子9へ向かう方向に対して真っ直ぐに向かわずに傾くことになる。従って、気泡の消泡位置がずらされて不安定となり、その消泡位置がさらに一定でなくなる。このように消泡位置が一定でなくなることから、消泡の際のキャビテーションによる衝撃が一箇所に集中せずに分散され、電気熱変換素子9に生じる衝撃がさらに抑えられる。これにより、電気熱変換素子9の耐久性がさらに向上する。
しかし、電気熱変換素子9の耐久性を向上させるためにインクの流れを発生させることで、発泡室6内部でリフィル時のインクの流れが旋回し、吐出される液滴の尾引き部分がインクの流れによって力を受けるようになる。(図7(a)中、矢印F1)このように、空間内部で吐出口部7あるいは電気熱変換素子9の中心から遠い側の壁面から、空間の中心に向かってインクの流れが生じる。これにより、仮に第二吐出口部13が直交方向区画面S1を挟んで等しく形成されていれば、液滴の尾引き部分が曲がって吐出される虞がある。このような場合における、吐出される液滴の尾引き部分が曲げられている際のノズルの模式的な断面図を図7(a)に示す。図7(a)で用いられている記録ヘッドは、電気熱変換素子の中心を通る直交方向区画面を挟んだそれぞれの発泡室内部の領域に不均衡を生じさせている。また、第二吐出口部では、電気熱変換素子の中心を通る直交方向区画面を挟んだそれぞれの第二吐出口内部の容積は等しく形成されている。このような記録ヘッドによってインクが吐出され、液滴の尾引き部分の曲げられた部分がちぎれてサテライトとなって吐出されると、この部分がインクの流れによって力を受けていることから吐出方向に真っ直ぐに飛翔せず、所定位置に着弾しなくなる虞がある。このように、吐出される液滴の着弾精度が低下する虞がある。
ところが、本実施形態の記録ヘッド1によれば、領域A'の容積VA'が、領域B'の容積VB'よりも小さく形成されることとされる。従って、第二吐出口部13における直交方向区画面S1を挟んだそれぞれの領域A'、B'が、発泡室での容積の不均衡を打ち消すように、不均衡な状態が保たれて形成されている。すなわち、電気熱変換素子9によって熱エネルギーを与えられたインクは、吐出口部7から吐出される際に、発泡室6から吐出される方向であるインクの吐出方向へ移動する。その際の発泡室6の内部でのインクの流動性の不均衡から作用する一方の方向への力F1に応じて、第二吐出口部13の内部で、吐出される液滴に対して他方の方向に力F2が作用するように、インクの流動性に不均衡が生じる。そして、ノズル5は、一方の方向への力F1と他方の方向への力F2との間で、吐出されるインクに作用する力の均衡が保たれるように、それぞれ第二吐出口部13及び発泡室6の形状を有している。ここで、第二吐出口部13の内部で生じる力の方向である他方の方向は、一方の方向とは逆側の方向であり、図7に示されるように、一方の方向への力F1と他方の方向への力F2とが打ち消され合って、液滴に作用する力の均衡が保たれている。これらの力は、それぞれの空間の有する容積の非対称によってインクの流動性に不均衡が生じ、これによって生じるインク流れによって発生するものである。
このように、吐出される液滴の尾引き部分が、発泡室6の直交方向中心がずれていることによって受ける力とは逆方向の力を受けることになり、その部分にかかる力が打ち消されることから、その部分が曲がることが抑えられる。これにより、吐出される液滴のサテライトも吐出方向に真っ直ぐに飛翔し、液滴の着弾精度の低下を抑えることができる。
また、液滴の尾引き部分にかかる力が少なくなるので、尾引き部分が主滴部分からちぎれることが抑えられ、サテライトの発生自体が抑えられる。これによりサテライトが記録ヘッド1と記録媒体との間で浮遊してミストとなり、記録媒体に付着したり、記録装置に付着してその作動に影響を与えてしまったりすることを抑えることができる。本実施形態の記録ヘッド1によって吐出されることにより、液滴の尾引き部分が真っ直ぐになって吐出される際のノズル5の模式的な断面図を図7(b)に示す。発泡室6の内部では吐出口部7あるいは電気熱変換素子9の中心から遠い側の壁面からそれらの中心に向かって流れるインク流れが生じるが、第二吐出口部13の内部では発泡室6の内部で生じるインク流れとは逆方向にインク流れが生じる。従って、それぞれのインクの流れによって受ける力がちょうど打ち消し合うことで液滴の尾引き部分が曲げられることを抑えることができる。図7(b)に示されるように、本実施形態では、発泡室6の中心がずれていることによる力F1と第二吐出口部13の中心がずれていることによる力F2とが打ち消されあっている。
このように、本実施形態の記録ヘッド1によれば、キャビテーションにより電気熱変換素子9が受ける衝撃力を緩和しながらも、尾引き部分が曲げられるのを抑えることができる。従って、インクの着弾精度が良好に維持された高画質な記録ヘッド1を提供することが可能となる。また、このような記録ヘッド1を有したインクジェット記録装置101を提供することができる。
(第二実施形態)
次に、図8〜11を用いて、第二実施形態の記録ヘッド1'について説明する。なお、上記第一実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
次に、図8〜11を用いて、第二実施形態の記録ヘッド1'について説明する。なお、上記第一実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
図8は、第二実施形態における記録ヘッド1'のノズル列のうち一つのノズル5'についての吐出方向に見た断面図を示す。図9は、図8のIX−IX線に沿う断面図であり、図10は、X−X線に沿う断面図である。本実施形態の記録ヘッド1'は、第一実施形態の記録ヘッド1のように、領域Aの容積VAが領域Bの容積VBよりも大きく、領域A'の容積VA'が、領域B'の容積VB'よりも小さく形成されることとされる。そして、本実施形態の記録ヘッド1'では、それに加えて、電気熱変換素子9の中心が、インク流路8の直交方向における中心を通る面に対して直交方向にずれて配置されている。ここで、インク流路8の直交方向における中心とは、インク流路8における容積を等しく二分し、インクの供給方向及びインク吐出方向の両方向に対して平行に延びる面をいうものとする。インク流路8の直交方向中心の中心線を、図8にO1−O1で示す。
このように、直交方向におけるインク流路8の中心を通る面が電気熱変換素子9の中心に対してずれていることから、発泡室6内部のインクが吐出された後、発泡室6内部へのインクのリフィルでは、インクは発泡室6に対して偏って流入してくる。従って、発泡室6の内部にインクがリフィルされたときに、発泡室6内部におけるインク流れの旋回がより大きく行われることになる。このときのノズル5'内部のインク流れを図11に示す。発泡室6内部で旋回が大きく行われるので、気泡の消泡位置が、電気熱変換素子9上からより遠い位置にずらされることになり、電気熱変換素子9の表面が、消泡時のキャビテーションによって受ける衝撃をさらに抑えることができる。また、インク流れの旋回が大きいので、消泡時にインク流れによって受ける影響も大きくなり、消泡位置がさらに一定でなくなる。従って、消泡位置が分散されることにより消泡の際のキャビテーションによる衝撃が一箇所に集中せず、電気熱変換素子9に生じる衝撃がさらに抑えられる。これにより、電気熱変換素子9の耐久性がさらに向上する。
(第三実施形態)
次に、図12を用いて、第三実施形態の記録ヘッド1''について説明する。なお、上記第一実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
次に、図12を用いて、第三実施形態の記録ヘッド1''について説明する。なお、上記第一実施形態と同様に構成できる部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
図12は、第三実施形態の記録ヘッド1''についてノズル列の要部を液滴の吐出方向に見た断面図である。本実施形態の記録ヘッド1''は、図12に示されるように、インク流路8が長く形成された長ノズル5aと、インク流路が短く形成された短ノズル5bとが交互に並べられて配列されている。同一種類のノズルである長ノズル5a同士のノズルの間隔あるいは短ノズル5b同士のノズルの間隔は600dpiのピッチに形成されている。また、隣接する異なる種類同士のノズル5の間隔は、1200dpiのピッチに形成されている。インク流路8の長さの異なるそれぞれのノズル5は、それらが共通のインク供給口10によってインクを供給される同一の素子基板2及びオリフィスプレート3に形成されており、それぞれの種類のノズルが異なる吐出量を吐出できるように形成されている。
本実施形態では、ノズルにおける吐出量が0.5pl〜3pl程度に設定されている。このときの第一吐出口部12における大気に連通した開口部分の吐出口径は5〜12μm程度であり、このノズルを用いることで吐出周波数15kHz以上を達成することができる。また、第二吐出口部13の径は、15〜25μm程度である。インク流路8の流路幅は、5μm〜15μm程度とされており、インク流路8の流路高さは10〜20μm程度とされている。また、第一吐出口部12を形成する壁面は傾いてテーパ状に形成されており、そのテーパ状の部分の角度は0°〜15°程度とされている。また、本実施形態の記録ヘッド1''では、VA/VB>1.3、VB'/VA'>1.1を満たすノズルであることが好ましい。
また、本実施形態では、記録ヘッド1''に適用されるノズルは、電気熱変換素子9によってインクに熱エネルギーが与えられることで発生する気泡が成長、収縮を行う過程で、気泡と大気とが連通しない形式のものである。このとき、VB' /VA'は、吐出量が大きなノズルであるほど大きくすることが好ましい。すなわち、ノズル5からのインクの吐出量が多い程、第二吐出口部13における直交方向区画面に対して一方の側にある領域A'の容積VA'が、直交方向区画面S1に対して他方の側にある領域B'の容積VB'に対して小さく形成されることが好ましい。記録ヘッドが、液滴を吐出する過程で気泡と大気とが連通しない形式である場合、ノズルから吐出される液滴の吐出量が大きいほど、電気熱変換素子9の中心が発泡室6の中心からずれることによって発生するインクの流れが大きくなる。従って、その分電気熱変換素子9の中心のずれによって液滴の受ける影響が大きくなり、液滴の尾引き部分が大きな力を受けることになる。しかしながら、吐出量の大きなノズルで電気熱変換素子9の中心がずらされることで液滴の尾引き部分が大きな力を受けることになっても、その分VB' /VA'を大きくすることによって尾引き部分を曲げる力を打ち消すための力を大きくする。これにより、吐出される液滴の吐出量の大きいノズルであっても、それに応じて、その液滴の尾引き部分にかかる大きな力を打ち消すための力を大きく発生させるので、力の均衡が保たれて吐出される液滴の尾引き部分の直線性が保たれる。よって、記録ヘッド1''による液滴の着弾精度が保たれる。
また、供給方向に対しても、ノズル5からのインクの吐出量が大きい程、発泡室6におけるインク供給口10に近い側にある領域Dの容積VDが、供給方向区画面S2に対して他方の側にある領域Cの容積VCに対して、より大きく形成されることが好ましい。従って、ノズルから吐出される液滴の吐出量が大きいほど、電気熱変換素子9の供給方向中心を発泡室6の供給方向中心から供給方向にずらすこととする。すなわち、ノズルから吐出される液滴の吐出量が大きいほど、それに応じてVD/VCの大きさを大きくする。ノズル5からのインクの吐出量が大きければ、それだけ消泡時に受ける衝撃が大きくなり、電気熱変換素子9の耐久性が低下する虞がある。従って、その分ノズル5のVD/VCを大きくし、消泡位置を電気熱変換素子9上から遠ざけ、また、消泡位置を分散させることで、電気熱変換素子9の耐久性が低下しないようにする。
(他の実施形態)
なお、図3、4、8、12といった、ノズル5を吐出方向から見た断面図において、第一吐出口部12及び第二吐出口部13の断面は、円形に限定されなくても良く、長円および多角形の形状であっても良い。また、電気熱変換素子9は、図13に示されるように、複数箇所に分割されていても良く、その場合の電気熱変換素子の中心は、複数に分割された電気熱変換素子を一つの素子と見たときの中心とする。
なお、図3、4、8、12といった、ノズル5を吐出方向から見た断面図において、第一吐出口部12及び第二吐出口部13の断面は、円形に限定されなくても良く、長円および多角形の形状であっても良い。また、電気熱変換素子9は、図13に示されるように、複数箇所に分割されていても良く、その場合の電気熱変換素子の中心は、複数に分割された電気熱変換素子を一つの素子と見たときの中心とする。
また、上記の実施形態では、吐出口部7は、第一吐出口部12及び第二吐出口部13を有する二段の吐出口部について説明したが、本発明の吐出口部はこれに限定されず、三つ以上の複数の段を有する吐出口部であっても良い。吐出口部が三つ以上の複数の段を有する場合、大気に直接連通した上記実施形態の第一吐出口部に相当する部分以外の吐出口部を電気熱変換素子の中心からずらすことで、インクに作用する力を打ち消すようにすることが好ましい。その際、大気に直接連通した吐出口部以外の吐出口部の全てをずらす必要はなく、それらのうちの一部について電気熱変換素子の中心に対してずらすことでインクに作用する力を打ち消すようにしても良い。
1、1'、1'' 記録ヘッド
2 素子基板
3 オリフィスプレート
5 ノズル
6 発泡室
7 吐出口部
8 インク流路
9 電気熱変換素子
10 インク供給口
12 第一吐出口部
13 第二吐出口部
101 インクジェット記録装置
2 素子基板
3 オリフィスプレート
5 ノズル
6 発泡室
7 吐出口部
8 インク流路
9 電気熱変換素子
10 インク供給口
12 第一吐出口部
13 第二吐出口部
101 インクジェット記録装置
Claims (8)
- 液体を吐出するために利用される熱エネルギーを発生する発熱素子が配されたエネルギー作用室を有するノズルと、該ノズルに連通する液体供給口とを有する液体吐出ヘッドにおいて、
前記エネルギー作用室には、前記発熱素子によって熱エネルギーが与えられた液体を吐出するための吐出口部が形成され、
前記吐出口部は、大気と連通する第一吐出口部と、前記第一吐出口部よりも吐出方向に対して直交する方向の断面積が大きく、前記エネルギー作用室と前記第一吐出口部との間に形成された第二吐出口部とを有し、
前記液体供給口から前記エネルギー作用室へ向かう液体の供給方向及び液体を吐出する液体吐出方向の両方向に平行であって、前記発熱素子の中心を通り、前記ノズルの内部の空間を前記供給方向に対して直交する直交方向に対して区画する面である直交方向区画面に対して、前記エネルギー作用室における一方の側にある領域の容積が、前記直交方向区画面に対して他方の側にある領域の容積よりも大きく、前記第二吐出口部における前記直交方向区画面に対して前記一方の側にある領域の容積は、前記直交方向区画面に対して前記他方の側にある領域の容積よりも小さいことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記直交方向及び前記液体吐出方向の両方向に対して平行であって、前記発熱素子の中心を通り、前記ノズルの内部の空間を前記供給方向に対して区画する面である供給方向区画面が、前記エネルギー作用室の内部を通り、
前記エネルギー作用室における前記供給方向区画面に対して前記液体供給口に近い側にある一方の側の領域の容積が、前記供給方向区画面に対して他方の側にある領域の容積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記発熱素子の中心は、前記液体供給口から前記エネルギー作用室へ液体を導入する液体流路における前記直交方向に対する中心を通る面に対して前記直交方向にずれて配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
- 複数の前記ノズルが前記直交方向に並べられ、それぞれの前記吐出口部は円形に開口され、前記吐出口部における吐出口径は4〜15μmであり、前記発熱素子から前記吐出口部が開口された吐出口面までの距離は10〜40μmであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
- 前記吐出口径は7〜11μmであり、前記発熱素子から前記吐出口面までの距離は20〜30μmであることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記発熱素子によって液体に熱エネルギーが与えられることで発生する気泡が成長、収縮を行う過程で、前記気泡と大気とが連通しない形式であって、
前記ノズルからの液体の吐出量が多い程、前記第二吐出口部における前記直交方向区画面に対して前記一方の側にある領域の容積が、前記直交方向区画面に対して前記他方の側にある領域の容積に対して小さく形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。 - 前記発熱素子によって液体に熱エネルギーが与えられることで発生する気泡が成長、収縮を行う過程で、前記気泡と大気とが連通しない形式であって、
前記ノズルからの液体の吐出量が多い程、前記エネルギー作用室における前記供給方向区画面に対して前記液体供給口に近い側にある領域の容積が、前記供給方向区画面に対して他方の側にある領域の容積に対して、より大きく形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。 - インクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生する発熱素子が配されたエネルギー作用室を有するノズルと、該ノズルに連通する液体供給口とを有する記録ヘッドを具えたインクジェット記録装置において、
前記エネルギー作用室には、前記発熱素子によって熱エネルギーが与えられた液体を吐出するための吐出口部が形成され、
前記吐出口部は、大気と連通する第一吐出口部と、前記第一吐出口部よりも吐出方向に対して直交する方向の断面積が大きく、前記エネルギー作用室と前記第一吐出口部との間に形成された第二吐出口部とを有し、
前記液体供給口から前記エネルギー作用室へ向かうインクの供給方向及びインクを吐出するインク吐出方向の両方向に平行であって、前記発熱素子の中心を通り、前記ノズルの内部の空間を前記供給方向に対して直交する直交方向に対して区画する面である直交方向区画面に対して、前記エネルギー作用室における一方の側にある領域の容積が、前記直交方向区画面に対して他方の側にある領域の容積よりも大きく、前記第二吐出口部における前記直交方向区画面に対して前記一方の側にある領域の容積は、前記直交方向区画面に対して前記他方の側にある領域の容積よりも小さく形成された記録ヘッドを具え、記録媒体に対しインクを吐出して記録を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
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