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JP2009045828A - 被記録媒体の製造方法、及び被記録媒体の製造装置 - Google Patents

被記録媒体の製造方法、及び被記録媒体の製造装置 Download PDF

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JP2009045828A JP2007213822A JP2007213822A JP2009045828A JP 2009045828 A JP2009045828 A JP 2009045828A JP 2007213822 A JP2007213822 A JP 2007213822A JP 2007213822 A JP2007213822 A JP 2007213822A JP 2009045828 A JP2009045828 A JP 2009045828A
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Yasuyuki Ishida
康之 石田
Takahiro Tsutsui
喬紘 筒井
Isao Oguri
勲 小栗
Hitoshi Kanda
仁志 神田
Satoshi Nagashima
聡 永嶋
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Abstract

【課題】優れた写像性及び光沢性を有する被記録媒体を、高い生産性で提供できる。
【解決手段】(1)支持体上にインク受容層を有する被記録媒体を準備する工程、
(2)被記録媒体に湿潤液を付与して湿潤させる工程、(3)インク受容層が鏡面ドラムの外周面に接触するように、被記録媒体を鏡面ドラムに圧接させて乾燥した後、鏡面ドラムから被記録媒体を剥離させる工程、を有し、工程(3)において、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率が6質量%以下となるように乾燥することを特徴とする被記録媒体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクを使用した記録に適する被記録媒体の製造方法、及び被記録媒体の製造装置に関する。本発明は特に、優れた写像性と光沢性を有する被記録媒体を高い効率で安定して製造可能な被記録媒体の製造方法、及び被記録媒体の製造装置に関する。
(1)インクジェット記録方法は、インク等の記録用の液体(記録液)の微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの被記録媒体に付着させて画像、文字などの記録を行うものである。このインクジェット記録方法は、高速低騒音、多色化が容易で記録パターンの融通性が大きく、現像が不要であるなどの特徴を有する。このため、プリンター単体への展開をはじめとして、複写機、ワープロ、ファクシミリ、プロッター等の情報機器における出力部への展開が行なわれており、様々な分野で急速に普及している。
また、近年、高性能のデジタルカメラ、デジタルビデオ、スキャナー等が安価に提供されつつある。このため、パーソナルコンピューターの普及と相まって、これらの機器から得た画像情報の出力にインクジェット記録方法を採用したプリンターが好適に用いられるようになってきている。
このような背景において、インクジェット記録方法には、その特性として銀塩系写真や製版方式の多色印刷と比較して遜色のない高画質を手軽に出力できることが求められるようになってきた。
そこで、従来から、被記録媒体の特性を制御することによる画像の高画質化が検討されている。このインクジェット記録方法等に用いられる被記録媒体としては、支持体として紙などの透気性支持体を用いたものや、樹脂被覆された非吸水性支持体を用いたものが提案されている。また、支持体上に親水性樹脂からなるインク受容層を有するものや、支持体上に無機顔料およびバインダーなどからなる多孔質性インク受容層を有するものが提案されている。
具体的には、特許文献1及び2には、インク吸収性に優れ、プリント速度の高速化が可能な被記録媒体が開示されている。これらの被記録媒体では、銀塩系写真と遜色の無い、優れた染料の発色性、高い表面光沢性、高い解像性、を有する画像を提供できるとしている。
(2)また、近年では高い表面光沢性の中で特に優れた写像性を有する被記録媒体に注目が集まっている。そこで、従来から写像性に優れた被記録媒体の検討が行われてきた。
特許文献3には、インク受容層のCD方向の写像性値Cc、MD方向の写像性値Cmの比率(Cm/Cc)が1.1〜1.3で、(Cm+Cc)が60%以上の被記録媒体が開示されている。この被記録媒体では、紙基材のパルプ原料の種類やその叩解度を調整したり、抄紙時のジェットワイヤー比をコントロールすることにより(Cm/Cc)や(Cm+Cc)を所望の範囲に制御できるとしている。
ところで、現在、被記録媒体に高い表面光沢を付与する方法としては、スーパーカレンダー、グロスカレンダー等のカレンダー装置の、圧力や温度をかけたロール間に通紙することで塗工層表面を平滑化する方法が有効である。この方法を用いることにより、簡易かつ高い生産性で被記録媒体に高い表面光沢を付与することができる。この方法としては、一般にキャストコート紙と呼ばれる印刷用強光沢塗工シートの製造方法(以下、「キャスト処理法」と略す)が知られている。このキャスト処理法としては、直接法、凝固法及びリウェット法が考えられる。
これらの中でも、直接法は、支持体上に塗工したインク受容層を鏡面ドラム上に圧接して光沢処理を行った後、乾燥、凝固させるものである。凝固法は、支持体上に塗工したインク受容層が湿潤状態にあるうちにインク受容層に凝固液を塗工してゲル化状態にし、この後、これを加熱された鏡面ドラムに圧接して光沢処理を行うものである。
また、リウエット法は湿潤状態の塗工層を一旦、乾燥させた後、この塗工層を湿潤液に接触させ、更にこの塗工層を加熱ドラムに接触させて強光沢仕上げを行うものである。この方法は、直接法や凝固法に比べて高温に加熱されたドラムに圧接しても塗工層が破壊されず、前述の両方法に比べ乾燥速度を上げることができる。
特許文献4には、透気性の支持体上に、少なくともインク受容層及びキャスト処理法によって設けられた光沢発現層を、この順に有する被記録媒体が開示されている。この特許文献4の被記録媒体では、光沢発現層を塗工する前の被塗工媒体の総含有水分が8質量%以上20質量%未満に調節されている。そして、特許文献4には、キャスト処理法により光沢発現層を形成する前の総含有水分が少ないと、光沢発現層用の塗工液がインク受容層内に沈み込みやすくなる。この結果、光沢発現層のムラを生じさせ、ムラとなった部分は加熱されたキャストドラムに圧接されにくくなり、光沢が得られず、斑点のように部分的に光沢が抜けた状態が発生してしまうことが記載されている。
特許文献5には、紙基材上に、顔料と接着剤を主成分としたインク受容層を3層以上、順次、設けた被記録媒体が開示されている。この被記録媒体では、紙基材に最も近い最下層の顔料の吸油量が70ml/100g以下であり、中間層の顔料の吸油量が150ml/100g以上とされている。また、紙基材から最も遠い最上層の顔料は平均粒子径が500nm以下の無機超微粒子であり、かつ最上層がキャスト処理法により形成された層であるとされている。
特許文献6には、透気性の紙支持体上に、インク吸収層及び光沢発現層を順次、設けた後、この光沢発現層に対して凝固液を用いて凝固処理を行っている。そして、光沢発現層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ロールに圧接、乾燥することにより得られた被記録媒体が開示されている。この被記録媒体では、光沢発現層中に結着剤として、少なくともアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを含有し、凝固液中にアセトアセチル基と架橋しうる架橋剤を含有するとしている。
特許文献7には、支持体上に下塗り層を設け、更にこの上に少なくとも一層のインク受容層を設けてなり、インク受容層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接して鏡面仕上げされた被記録媒体が開示されている。そして、この下塗り層は二酸化チタン及び溶剤系接着剤を含有するとしている。
また、特許文献8及び9では、被記録媒体のキャスト処理時に含水率を制御する方法が開示されている。
すなわち、特許文献8には、支持体の片面に、少なくとも一層以上のインク受容層を有する被記録媒体の製造方法が開示されている。この製造方法では、インク受容層を塗工、乾燥後、インク受容層が設けられていない面に飽和水蒸気と加熱空気の混合気体を加熱したものを用いて加湿処理を行っている。そして、この加湿処理により、シートの重量に対して0.5〜2.5質量%の水分量をシートに付与している。
特許文献9には、基紙上に、少なくともアルミナとポリビニルアルコールとを含有する記録層を設けた被記録媒体が開示されている。この被記録媒体は、断裁時に紙中水分が5.5〜9.0質量%となるように調整した後、断裁刃を用いて小判に断裁するとしている。
特許第3368101号明細書 特開2004−209651号公報 特開2005−313546号公報 特開2006−110935号公報 特開2005−280309号公報 特開2005−280094号公報 特開2004−268472号公報 特開平09−263040号公報 特開2004−122437号公報
(1)しかしながら、上記特許文献4〜7の被記録媒体では写像性の改良について検討しているものの、得られた写像性は実用上、十分なものではなかった。すなわち、何れの特許文献に記載の被記録媒体の写像性についても、写像性測定装置(スガ試験機製ICM−1DP)を用い光学子の幅2.0mm、反射角度60度で測定したもので、その最大値は82%であった。そして、この値は近年の被記録媒体に実用上、要求されている写像性としては不十分な場合があった。さらに、特許文献4〜7では、被記録媒体製造上の生産性に関して検討されていなかった。
より具体的には、特許文献4には、写像性を改良する目的で、キャスト処理時の含水率に着目している。この手法では、光沢発現層用の塗工液の沈み込みによる表面凹凸を解消することにより写像性の改良を目的としているが、写像性に本質的に作用する光沢発現層自体に着目していないため、その写像性の改良効果は不十分であった。
特許文献5には、紙基材に最も近い最下層の顔料の吸収性を下げることにより、キャスト処理時に紙基材に水が浸透する量を減らして紙の変形を抑制、写像性を改良している。しかしながら、透水性の改良のみでは、平滑なインク受容層を形成するのは難しく、その効果は不十分であった。
特許文献6に記載の方法はバインダーと凝固液中の架橋剤を変更して凝固をより強化することにより、写像性を改良している。しかしながら、この手法は凝固法のみに限定して適用できるものであり、他のキャスト処理法である直接法、リウェット法による光沢処理には適用できなかった。また、この手法では表面の平滑性は得られるが、その下に平滑な層を形成するのは難しく、その効果は不十分であった。
特許文献7には、下塗り層に二酸化チタン及び溶剤系接着剤を含有させてインク受容層の反射強度を高めることにより写像性を改良しているものと考えられる。しかしながら、この手法ではインク受容層を平滑化するのは難しく、写像性の改良効果は不十分であった。
(2)また、特許文献8及び9では、被記録媒体のキャスト処理時に含水率を制御する点について検討している。
しかしながら、特許文献8に記載の方法の目的は、良好な被記録媒体のピックアップによる優れた搬送性の達成、インクジェット記録時の優れた記録特性、粉落ちの低下などであり、写像性に関しては検討されていなかった。
特許文献9に記載の方法の目的は、被記録媒体を小判状に断裁する際の紙粉を低減したり、断裁面の切り口が良好な小判状の被記録媒体の製造方法を提供することにあり、写像性に関しては検討されていなかった。
(3)そこで、本発明者は鋭意検討した結果、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率を6質量%以下にすれば、優れた写像性及び表面光沢性が得られることを発見した。すなわち、本発明は、優れた写像性及び表面光沢性を有し、かつ高い生産性を有する被記録媒体の製造方法、及び被記録媒体の製造装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を有することを特徴とする。
1.(1)支持体上にインク受容層を有する被記録媒体を準備する工程、
(2)前記被記録媒体に湿潤液を付与して湿潤させる工程、
(3)前記インク受容層が鏡面ドラムの外周面に接触するように、前記被記録媒体を鏡面ドラムに圧接させて乾燥した後、前記鏡面ドラムから前記被記録媒体を剥離させる工程、
を有し、
前記工程(3)において、前記鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率が6質量%以下となるように乾燥することを特徴とする被記録媒体の製造方法。
2.前記鏡面ドラムの表面温度を95℃以上100℃以下とすることを特徴とする上記1に記載の被記録媒体の製造方法。
3.前記工程(3)において、
前記鏡面ドラムに前記被記録媒体を圧接させて乾燥する時間を30秒以下とすることを特徴とする上記1又は2に記載の被記録媒体の製造方法。
4.前記被記録媒体の搬送速度が20m/min以上であることを特徴とする上記1から3の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
5.前記工程(3)において、
更に、補助乾燥機を用いて前記被記録媒体を乾燥することを特徴とする上記1から4の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
6.前記工程(1)と(2)の間に更に、
(4)前記被記録媒体に湿潤液を付与して湿潤させ、更に前記インク受容層が鏡面ドラムの外周面に接触するように前記被記録媒体を鏡面ドラムに圧接させて乾燥した後、前記鏡面ドラムから被記録媒体を剥離させる予備運転工程、
(5)前記予備運転工程において、前記鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率の変動率が一定値以下となった時に、前記鏡面ドラムの外周面と被記録媒体がなす抱き角を大きくする工程、
を有することを特徴とする上記1から5の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
7.前記工程(3)の後に更に、
(6)前記被記録媒体に水を付与する工程を有することを特徴とする上記1から6の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
8.被記録媒体の搬送手段と、
前記被記録媒体に湿潤液を付与する湿潤手段と、
表面温度を調整可能な鏡面ドラムと、
前記鏡面ドラムの外周面に被記録媒体を接触、圧接させる圧接手段と、
前記鏡面ドラムに接触、圧接させた被記録媒体の、鏡面ドラムに接する面と反対側の面へ水を塗布可能な水塗布手段と、
前記鏡面ドラムから被記録媒体を剥離させる剥離手段と、
前記鏡面ドラムから剥離された被記録媒体の含水率を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定した含水率が6質量%以下となるように、鏡面ドラムの外周面と被記録媒体がなす抱き角、被記録媒体の搬送速度、鏡面ドラムの表面温度、水塗布手段による水の塗布量、湿潤手段による湿潤液の付与量及び鏡面ドラムへの被記録媒体の圧接時の圧力を制御可能な制御手段と、
を備えたことを特徴とする被記録媒体の製造装置。
9.更に、前記鏡面ドラムに接触、圧接させた被記録媒体を乾燥可能な補助乾燥機を備えたことを特徴とする上記8に記載の被記録媒体の製造装置。
10.前記圧接手段及び剥離手段のうち少なくとも一方の手段は、前記鏡面ドラムの外周面上を移動することにより前記抱き角を制御可能であることを特徴とする上記8又は9に記載の被記録媒体の製造装置。
本発明では、優れた写像性及び光沢性を有する被記録媒体を、高い生産性で提供できる。
1.被記録媒体の製造方法
本発明の被記録媒体の製造方法は、以下の工程を有する。
(1)支持体上にインク受容層を有する被記録媒体を準備する工程。
(2)被記録媒体に湿潤液を付与して湿潤させる工程。
(3)インク受容層が鏡面ドラムの外周面に接触するように、被記録媒体を鏡面ドラムに圧接させて乾燥した後、鏡面ドラムから被記録媒体を剥離させる工程。
また、工程(3)では、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率が6質量%以下となるように乾燥する点に特徴を有する。
本発明では、このようにキャスト処理法を用いると共に、キャスト処理直後の被記録媒体の含水率を6質量%以下とすることにより、優れた写像性及び光沢性を有する被記録媒体を、高い生産性で提供できる。本発明の製造方法では例えば、下記のような工程条件の変更のみで、容易に被記録媒体の剥離直後の含水率や写像性を制御できる。
(a)鏡面ドラムの外周面と被記録媒体がなす抱き角
(b)被記録媒体の搬送速度
(c)鏡面ドラムの表面温度
(d)被記録媒体が鏡面ドラムに圧接、乾燥されている時の、被記録媒体が鏡面ドラムに接する面と反対側の面(被記録媒体が鏡面ドラムに接しない面)への水塗布量(水塗布手段による水の塗布量)
(e)湿潤手段による湿潤液の付与量
(f)鏡面ドラムへの被記録媒体の圧接時の圧力
なお、被記録媒体の剥離直後の含水率に影響する上記以外の工程条件を変更することにより、被記録媒体の剥離直後の含水率を6質量%以下に制御しても良い
本発明の製造方法では、支持体の抄紙工程、インク受容層の形成工程等で被記録媒体の含水率にばらつきが生じても、この工程(3)により含水率を6質量%以下に調節した被記録媒体を高い生産性で製造することができる。また、キャスト処理により優れた写像性及び光沢性を有する被記録媒体とすることができる。
この理由は以下のように考えられる。
従来のキャスト処理法では、被記録媒体を鏡面ドラムの外周面に圧接、乾燥させた後、鏡面ドラムの外周面から被記録媒体を剥離させている。しかしながら、被記録媒体が鏡面ドラムから剥離された直後には通常、(i)高い紙面温度、(ii)高含水率で、(iii)幅方向に拘束されない状態となっている。このため、被記録媒体の支持体、インク受容層、下塗り層等が、圧接前に本来、有する形状(抄紙時の地合、塗布時の面荒れ、変形)等が復元してしまう。この結果、鏡面ドラムに圧接することにより平滑になった層が再び変形して写像性が低くなってしまう。ここで、上記(i)〜(iii)の因子の中でも、(ii)高含水率であると被記録媒体は可塑化して変形し易くなるため、被記録媒体の変形には(ii)高含水率であることが最も影響するものと考えられる。
ここで、本発明の製造方法では、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率を6質量%以下としている。このため、被記録媒体の変形に最も影響する上記(ii)高含水率の因子を有さないため、被記録媒体が可塑化して変形せず、結果として鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の平滑性を維持することができる。
なお、本発明では、「鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率」とは、製造工程において鏡面ドラムからの剥離点、又はこの剥離点での含水率とほぼ同じ含水率を示す工程中の位置で測定された含水率を示す。鏡面ドラムから剥離した直後の被記録媒体の含水率と実質的に異ならなければ、その測定位置は鏡面ドラムから下流側であっても良い。
このような含水率としては、典型的には鏡面ドラムの剥離点から10m以内の位置で測定された含水率となる。また、被記録媒体の搬送速度にもよるが、典型的には鏡面ドラムの剥離時から10秒以下となる位置で測定された含水率となる。
なお、工程(3)の後に、水を付与する工程を有する場合、この含水率の測定は水の付与装置の前の位置で行う必要がある。
以下、本発明の製造方法の各工程を説明する。
(1)支持体上にインク受容層を有する被記録媒体を準備する工程
上記工程(1)は例えば、以下の工程を有することができる。
(A)支持体の表面処理工程
この工程ではまず、始めに支持体を準備する。この支持体としては、支持体用の材料から所望の特性を有する支持体を作成しても、市販品の支持体を用いても良い。
本発明に用いる支持体としては、不透明材料からなる透気性支持体を用いることが好ましい。特に、繊維状支持体、即ち、紙からなる透気性支持体は、この支持体上にインク受容層を形成後にキャスト処理などの光沢処理を施すことにより、銀塩系写真に匹敵する高い表面光沢性を得ることができるため好ましい。
この紙からなる透気性支持体としては、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスを原紙上に施したものや、原紙上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙等を用いても良い。好ましくは、紙からなる透気性支持体には、紙(原紙)のセルロースパルプ繊維や地合いが覆われるような厚みのコート層をインク受容層用の下塗り層として設けるのが良い。
このように透気性支持体がコート層で覆われていない場合、インク受容層用塗工液の塗工時に、透気性支持体の繊維や地合いに起因する塗りムラ(スジ状ムラ等)が生じ易くなる。また、インク受容層の内部・表面近傍や表面にセルロースパルプ繊維が存在することとなる。このため、被記録媒体の表面にキャスト処理を施したとしても、良好且つ均質なキャスト面、即ち、写真調の高光沢面を得ることが困難となる場合がある。紙からなる透気性支持体のセルロースパルプを覆うためには、コート層の乾燥塗工量が10g/m2以上であることが好ましく、13g/m2以上であることがより好ましい。
紙からなる透気性支持体の透気度は6000秒以下であることが好ましく、後述する光沢処理工程における光沢処理適性の観点から5500秒以下であることがより好ましい。
また、紙からなる透気性支持体を用いる場合には、ステキヒトサイズ度100秒以上400秒以下、ベック平滑度100秒以上500秒以下、水中伸度1.2%以上2.5%以下とすることが好ましい。また、銀塩写真同様の質感、高級感のある被記録媒体を得るためには、紙からなる透気性支持体を以下の物性を有するものとすることが好ましい。
・坪量160g/m2以上230g/m2以下、
・ガーレー剛度(J. Tappi No.40、縦目)7〜15mN。
また、サイズプレス等の塗工時に、塗工液の粘度調製等を目的として塗工液を加温しても良く、コーターヘッドを加温することも可能である。
この支持体上には表面処理液を塗布しても良い。この工程では、ホウ酸及びホウ酸塩の少なくとも一方を含む表面処理液を、支持体上に塗工する。この表面処理液の塗工量は、ホウ酸及びホウ酸塩の固形分換算で0.05g/m2以上3.0g/m2以下であることが好ましい。
また、この表面処理液中には、バインダーと架橋反応を起こして硬化する架橋剤を含んでいても良い。この架橋剤を用いることにより、後に支持体上に形成するインク受容層を、より効果的に所望の構造に形成することができるため、使用することが好ましい。
この表面処理液中の架橋剤の含量は1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。また、表面処理液のぬれ性向上のため、表面処理液中に界面活性剤、アルコール等を添加して、表面張力及び吸水度の調整を行っても良い。
なお、この表面処理は支持体の片面にのみ行っても両面に行っても良い。支持体の裏面側(インク受容層を設ける側と反対側)に裏面層を設ける場合、支持体の両面に表面処理を行うことが好ましい。
表面処理液の塗工には、適正塗工量が得られるよう各種塗工装置を使用できる。この塗工装置としては各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドビード方式を用いたコーター等を適宜、選択して用いオンマシン、オフマシンで塗工できる。
また、塗工後の表面処理液の乾燥には、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を適宜、選択して用いることができる。
なお、上記「(A)支持体の表面処理工程」では表面処理を行った例を記載したが、支持体、インク受容層の構成材料によっては表面処理を行わなくても良い。
(B)インク受容層形成工程
次に、支持体上に、インク受容層を形成する。このインク受容層としては、少なくとも顔料とバインダーを含有する多孔質性インク受容層用塗工液を塗工、乾燥することにより、多孔質性インク受容層を形成することが好ましい。
本発明で用いる多孔質性インク受容層の形成材料について、以下に説明する。
多孔質性インク受容層は、支持体上に、顔料とバインダーを含む塗工液を塗工することで形成できる。この顔料としては、染料定着性、透明性、印字濃度、発色性、及び光沢性の点で、特にアルミナ水和物を主成分としたものを用いることが好ましいが、下記顔料を使用することもできる。
例えば、無機顔料としては、下記のものを使用できる。
・軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム。
・合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、水酸化マグネシウム等。
また、有機顔料としては、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン粒子、マイクロカプセル粒子、尿素樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等を使用できる。
顔料としては、上記顔料から選択された1種、又は必要に応じて選択された2種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料として用いるアルミナ水和物は、下記一般式(X)により表される。
Al23-n(OH)2n・mH2O ・・・・(X)
(上記式中、nは0、1、2又は3の何れかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の範囲にある値を表す。但し、mとnは同時に0にはならない。mH2Oは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数又は整数でない値をとることができる。又、この種の材料を加熱するとmは0の値に達することがあり得る)。
このアルミナ水和物の結晶構造としては、熱処理する温度に応じて、非晶質、キブサイト型、ベーマイト型の水酸化アルミニウムからγ、σ、η、θ、α型のアルミニウム酸化物に転移していくことが知られている。本発明では、これらいずれの結晶構造のアルミナ水和物も使用可能である。
本発明で使用するのに好適なアルミナ水和物としては、X線回折法による分析でベーマイト構造、又は非晶質を示すアルミナ水和物を挙げることができる。具体的には、このようなアルミナ水和物として特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報等に記載されているアルミナ水和物を挙げることができる。
このアルミナ水和物は、製造過程において細孔物性の調整をすることができる。具体的には、多孔質性インク受容層を所望のBET比表面積、細孔容積とするために、細孔容積が0.3ml/g以上1.0ml/g以下のアルミナ水和物を用いることが好ましい。また、細孔容積が0.35ml/g以上0.9ml/g以下のアルミナ水和物を用いることがより好ましい。これらの範囲の細孔容積を有するアルミナ水和物を用いることで、多孔質性インク受容層の細孔容積を所望の範囲として、インク吸収性及びインク定着性に優れた多孔質性インク受容層とすることができる。
また、BET比表面積については、50m2/g以上350m2/g以下のアルミナ水和物を用いることが好ましく、100m2/g以上250m2/g以下のアルミナ水和物を用いることがより好ましい。これらのBET比表面積の範囲のアルミナ水和物を用いることにより、多孔質性インク受容層の比表面積を所望の範囲として、インク吸収性及びインク定着性に優れた多孔質性インク受容層とすることができる。
なお、本発明で云う「BET法」とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。この吸着気体としては、通常、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧又は容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ比表面積決定に広く用いられている。BET法では、このBET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けることにより比表面積を得ることができる。
また、アルミナ水和物の形状としては、平板状で平均アスペクト比が3以上10以下、平板面の縦横比0.6以上1.0以下のものが好ましい。なお、この「平均アスペクト比」は、特公平5−16015号公報に記載されている方法で求めることができる。すなわち、上記平均アスペクト比とは、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で示される。ここで「直径」とは、アルミナ水和物を顕微鏡又は電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径で示される。上記平板面の縦横比は、平均アスペクト比と同様、粒子を顕微鏡で観察して平板面の最小値を示す直径と最大値を示す直径の比を表す。平均アスペクト比が3未満のアルミナ水和物を使用した場合、多孔質性インク受容層の構成材料によっては多孔質性インク受容層の細孔分布範囲が狭くなる場合がある。また、平均アスペクト比が10を超えるアルミナ水和物を使用した場合、アルミナ水和物の粒子径を揃えて製造するのが困難になる場合がある。また、縦横比が0.6以上1.0以下を満たさないアルミナ水和物を使用した場合、多孔質性インク受容層の細孔径分布が狭くなる場合がある。
Rocek J.,et al.、Applied Catalysis、74巻、p29〜36、1991年に記載されているように、アルミナ水和物の中には、繊毛状と、平板状のものがあることが一般に知られている。ここで、アルミナ水和物としては平板状のアルミナ水和物を用いることが好ましい。平板状のアルミナ水和物の方が、繊毛状のアルミナ水和物よりも分散性が優れている。また、繊毛状のアルミナ水和物は、塗工時に支持体の表面に対して平行に配向する傾向があり、この場合、多孔質性インク受容層の細孔が小さくなって多孔質性インク受容層のインク吸収性が小さくなる場合がある。これに対して、平板状のアルミナ水和物は配向する傾向が小さく、多孔質性インク受容層の細孔径が小さくなったりインク吸収性が小さくなったりすることがない。
多孔質性インク受容層用のバインダーとしては、上記顔料を結着し被膜を形成する能力のある材料であって、且つ、本発明の効果を損なわない範囲のものであれば特に制限なく利用することができる。このバインダーとしては例えば、以下のものを使用できる。
・酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体。
・カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体。
・カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール又はその誘導体。
・ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役重合体ラテックス
・アクリル酸エステルの重合体、メタクリル酸エステルの重合体又はアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの共重合体等のアクリル系重合体ラテックス。
・エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス
・上記各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス
・上記各種重合体にカチオン基を用いてカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤により重合体表面をカチオン化したもの、カチオン性ポリビニルアルコール下で重合して重合体表面に該ポリビニルアルコールを分布させたもの。
・カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で重合を行い、重合体表面に該粒子が分布したもの。
・メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性合成樹脂等の水性バインダー。
・ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステルの重合体やメタクリル酸エステルの重合体又はアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの共重合体樹脂。
・ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダー。上記バインダーは、単独、又は複数種を混合して用いることができる。
多孔質性インク受容層中のバインダー含有量としては、顔料100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下とするのが好ましい。バインダー含有量が5質量部未満の場合、多孔質性インク受容層にクラックが発生し易くなり、多孔質性インク受容層の機械的強度が不十分となって粉落ちが生じ易くなる。また、バインダー含有量が50質量部を超える場合、インク吸収性の低下(例えば、インク溢れ、画像滲みの発生)や、インク染料の吸着性の低下が生じる場合がある。更に、高温高湿下においても十分なインク吸収性を得るためには、バインダー含有量を顔料100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下とするのがより好ましい。
多孔質性インク受容層中には、ホウ酸及びホウ酸塩の少なくとも一方を含有することは、多孔質性インク受容層の形成上、極めて有効である。このホウ酸としては、オルトホウ酸(H3BO3)や、メタホウ酸やジホウ酸等を挙げることができる。
ホウ酸塩としては、上記ホウ酸の水溶性の塩であることが好ましく、具体的には、例えば、ホウ酸のナトリウム塩(Na247・10H2O、NaBO2・4H2O等)や、カリウム塩(K247・5H2O、KBO2等)等のアルカリ金属塩、ホウ酸のアンモニウム塩(NH449・3H2O、NH4BO2等)、ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
これらのホウ酸及びホウ酸塩の中でも、塗工液の経時安定性とクラック発生の抑制効果の点からオルトホウ酸を用いることが好ましい。また、多孔質性インク受容層中のホウ酸及びホウ酸塩の含量は、多孔質性インク受容層中のバインダー100質量部に対して、ホウ酸及びホウ酸塩の固形分換算で1.0質量部以上15.0質量部以下の範囲で用いることが好ましい。15.0質量部を超える場合は、塗工液の経時安定性が低下する場合がある。すなわち、塗工液を長時間にわたって使用した場合、その間に塗工液の粘度上昇やゲル化物が発生し、塗工液の交換やコーターヘッドの清掃等が頻繁に必要となって被記録媒体の生産性が著しく低下する場合がある。また、キャスト面に点状凹みが生じ易くなり、均質で良好な光沢面が得られない場合がある。
また、多孔質性インク受容層中には色材劣化防止剤を添加しても良い。この色材劣化防止剤とは、多孔質性インク受容層中に染料とともに存在してガス及び光などによる染料の劣化を防止し、染料の耐候性を向上させる化合物のことを言う。この色材劣化防止剤としては、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、チオウレア系化合物、チウラム系化合物、ホスファイト系化合物を挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。これらの色材劣化防止剤の中でもヒンダードアミン化合物を好ましく用いることができる。
多孔質性インク受容層形成用の塗工液中には、pH調整剤として例えば、下記の酸を適宜、添加することができる。
・蟻酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸等の有機酸。
・フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピメリン酸、スベリン酸等の有機酸。
・塩酸、硝酸、燐酸等の無機酸。
・上記酸の塩。
また、その他の塗工液用の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候性材料等を、必要に応じて適宜、含有させることができる。
多孔質性インク受容層用の塗工液は例えば、下記のようにして調製できる。すなわち、まず、アルミナ水和物及び必要に応じて架橋剤を含む分散液を準備する。次に、この分散液にホウ酸及びホウ酸塩の少なくとも一方を混合し、得られた混合液と、バインダー水溶液又はバインダー分散液とを塗工直前で混合して塗工液とする。この混合液と、バインダー水溶液又はバインダー分散液の混合には、ミキシング装置を使用することが好ましい。上記の手順で塗工液を調製することにより、製造工程中での塗工液粘度の経時的上昇やゲル化を低減させて生産効率を向上させることができる。
なお、実際の工程での塗工液の連続的な調製方法としては、以下の方法を挙げることができる。すなわち、顔料やバインダーなどをそれぞれ別々のラインから供給し、これをスタティックミキサーなどの連続混合装置を用いて混合する。
この塗工液の供給方法では、塗工・乾燥時にクラック発生を防止するとともに、多孔質性インク受容層の結着強度を高くすることができる。また、塗工液中に架橋剤などを添加する場合、塗工液の調製/送液時に増粘しやすくなるため、上記方法を好ましく用いることができる。
なお、ここで、スタティックミキサーとは中空円筒状をなすフレームの中にミキシングユニットが収納されて構成されたものを示す。このミキシングユニットは複数のエレメントが長手方向に連接されてなり、1エレメントは板状体を長手方向に進むにしたがって周方向に例えば180度捩ったような形状をなしている。そして、隣り合うエレメントの捩れ方向が互いに逆方向になっている。この装置では、塗工液がフレームの中を流れる間に各エレメントによって均一に混合されるものである。
上記分散液中のアルミナ水和物の固形分濃度は、10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。アルミナ水和物の固形分濃度が30質量%を超えると分散液、及び塗工液の粘度が高くなるため塗工性に問題が生じる場合がある。
次に、このようにして調製した多孔質性インク受容層用の塗工液を、支持体の表面処理を行った面上に塗工する。この多孔質性インク受容層用の塗工液の塗工装置としては、上記「(A)支持体の表面処理工程」に記載の表面処理液の塗工装置を使用できる。
また、この塗工液を塗工後の乾燥装置としては、上記「(A)支持体の表面処理工程」に記載の表面処理液の乾燥装置を使用できる。
なお、多孔質性インク受容層用塗工液の塗工は、支持体上に表面処理液を塗工後、支持体の表面を乾燥せず、支持体の表面がある程度の湿潤状態(塗布液状態や増粘状態でも良い)を保った状態で行うことが好ましい。
本発明の多孔質性インク受容層は、インクの高速吸収性、高発色性、高解像性等の目的及び効果を達成する上で、その細孔物性が、下記の条件を満足するものであることが好ましい。
すなわち、多孔質性インク受容層の細孔径分布において、少なくとも細孔半径5nm以上20nm以下の範囲にピークを有することが好ましい。細孔半径5nm未満の範囲にピークを有する場合、インクの高速吸収性に劣る場合がある。また、細孔半径20nmを超える範囲にピークを有する場合、発色性や解像性の点で十分な性能が得られない場合がある。
多孔質性インク受容層の細孔容積は、0.1cm3/g以上1.0cm3/g以下の範囲内にあることが好ましい。細孔容積が0.1cm3/g未満の場合、十分なインク吸収性能が得られずインク吸収性が劣った多孔質性インク受容層となり、インクが溢れて画像滲みが発生する場合がある。また、細孔容積が1.0cm3/gを超える場合、多孔質性インク受容層内にクラックや粉落ちが生じ易くなる場合がある。
多孔質性インク受容層のBET比表面積は、20m2/g以上450m2/g以下であることが好ましい。BET比表面積が20m2/g未満の場合、十分な光沢性が得られず、ヘイズが増加して(透明性が低下して)画像が白く靄がかかったようになる場合がある。また、この場合、染料の発色性が低下するだけでなくインク中の染料吸着性が低下する場合がある。一方、BET比表面積が450m2/gを超えると、多孔質性インク受容層にクラックが生じ易くなるので好ましくない。尚、細孔容積、BET比表面積の値は、窒素吸着脱離法により求められる。
多孔質性インク受容層の塗工液の乾燥塗工量は30g/m2以上50g/m2以下となるようにすることが好ましい。乾燥塗工量を30g/m2以上とすることにより、高温高湿環境下においても十分なインク吸収性を示す多孔質性インク受容層を得ることができる。また、乾燥塗工量が50g/m2以下の場合、多孔質性インク受容層の塗工ムラが生じにくくなり、安定した厚みの多孔質性インク受容層を製造できる。
一方、乾燥塗工量が30g/m2未満の場合、この被記録媒体にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクの他、複数の淡色インクが加えられたプリンターで記録した場合、十分なインク吸収性が得られない場合がある。また、インク溢れが生じてブリーディングが発生したり、支持体にまでインク染料が拡散して印字濃度が低下する場合がある。更に、乾燥塗工量が50g/m2を超える場合、クラックの発生を抑え切れない場合がある。
なお、上記「(B)インク受容層形成工程」では、多孔質性インク受容層を形成する例を記載したが、顔料を含有しない多孔質性インク受容層を形成しても良い。
また、インク受容層は1層であっても、2層以上であっても良い。
(C)裏面層形成工程
必要に応じて、支持体のインク受容層を設けた側と反対側(裏面側)の面に、裏面層用の塗工液を塗工する。この裏面層用の塗工液は、少なくとも顔料とバインダーを含むことが好ましい。また、この塗工液中には、バインダーと架橋反応を起こして硬化する架橋剤を含んでいても良い。
インク受容層用塗工液と裏面層用塗工液は、支持体の両面に同時に塗工しても良い。このように支持体の裏面側に裏面層を設けることによって、支持体のカールを効果的に防止することができる。なお、必要に応じて、支持体のインク受容層を形成する側の面に表面処理をする際に、同時に支持体の裏面側にも表面処理を行っても良い。
この裏面層用の塗工液は、上記多孔質性インク受容層用の塗工液の調製工程で説明した、顔料の分散液と、バインダー水溶液を混合することにより調製できる。ここで、裏面層用の塗工液中に含有させる顔料としては上記と同様の理由により、アルミナ水和物を使用するのが好ましい。このアルミナ水和物としては上記一般式(X)で表されるものを用いることが好ましい。また、バインダーとしては、上記と同様の理由によりポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
この裏面層用の塗工液には、必要に応じて架橋剤やpH調整剤を添加することができる。このpH調整剤としては例えば、蟻酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸等の有機酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピメリン酸、スベリン酸等の有機酸、塩酸、硝酸、燐酸等の無機酸、これらの酸の塩等を使用できる。これらの酸は単独で、又は複数種を混合して使用できる。
また、裏面層用の塗工液中には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候性材料等を必要に応じて適宜、含有させることができる。
裏面層用の塗工液は例えば、下記のようにして調製できる。すなわち、まず、アルミナ水和物及び必要に応じて架橋剤を含む分散液を準備する。次に、この分散液と、バインダー水溶液又はバインダー分散液とを塗工直前で混合して塗工液とする。この混合液と、バインダー水溶液又はバインダー分散液の混合には、ミキシング装置を使用することが好ましい。上記の手順で塗工液を調製することにより、製造工程中での塗工液粘度の経時的上昇やゲル化を低減して生産効率を向上させることができる。
上記分散液中のアルミナ水和物の固形分濃度は、10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。アルミナ水和物の固形分濃度が50質量%を超えると分散液の粘度、及び塗工液の粘度が高くなるため塗工性に問題が生じる場合がある。
また、裏面層用の塗工液の塗工装置としては、上記「(A)支持体の表面処理工程」に記載の表面処理液の塗工装置を使用できる。なお、工程中での塗工装置への塗工液の連続的な供給方法としては、上記「(B)インク受容層形成工程」に記載の方法を挙げることができる。また、この塗工液を塗工後の乾燥装置としては、上記「(A)支持体の表面処理工程」に記載の表面処理液の乾燥装置を使用できる。
(2)被記録媒体に湿潤液を付与して湿潤させる工程
次に、次工程で鏡面ドラムによる圧接を効果的に行うため、被記録媒体に湿潤液を付与してインク受容層を可塑化させる。この際、インク受容層を湿潤させる湿潤液としては水や、ポリエチレンエマルジョン、脂肪酸セッケン、カルシウムステアレート、マイクロクリスタリンワックス、界面活性剤、ロート油等の離型剤を含有する水溶液を使用できる。中でも、湿潤液としてはポリエチレンエマルジョンを含有する水溶液を用いるのが好ましい。
また、この時、湿潤手段で付与する湿潤液の量は、被記録媒体100質量部に対して10質量部以上25質量部以下であることが好ましい。被記録媒体に付与する湿潤液の量をこの範囲内にすることによって、インク受容層を効果的に可塑化させて、次工程で鏡面ドラムによる圧接を行う際に、有効にインク受容層の表面に光沢面を形成することができる。
(3)インク受容層が鏡面ドラムの外周面に接触するように、被記録媒体を鏡面ドラムに圧接させて乾燥した後、鏡面ドラムから被記録媒体を剥離させる工程
次に、鏡面ドラムにより、被記録媒体の圧接、乾燥を行うことによりインク受容層の表面に光沢面を形成する。この際、本発明の製造方法では、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率が6質量%以下となるように乾燥する点に特徴を有する。すなわち、この工程では、鏡面ドラムへの圧接により、湿潤液を付与された被記録媒体は、短時間で急激にその厚み方向に圧力を付与される。このため、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体は、この反動でその厚み方向の厚みが増す方向に力が働きやすくなる。
ここで、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率が6質量%を超える場合には、被記録媒体は可塑化しており、その厚み方向への形状変形が起こり易くなっている。このため、被記録媒体は鏡面ドラムから剥離直後には、厚み方向への反動によりその厚みが増すように形状変形が起こる。また、この形状変形は、被記録媒体の構成材料の分布の不均一性に起因して不均一となる。この結果、インク受容層の表面光沢性は低下し、キャスト処理による表面光沢の向上効果が弱くなる。
これに対して、本発明では鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率が6質量%以下に調整されている。このため、被記録媒体の構成材料同士の結合が強固に形成されており、鏡面ドラムから剥離直後に、その厚み方向への形状変形が起こり難くなっている。この結果、被記録媒体は鏡面ドラムから剥離直後に、その厚み方向への反動による厚みの増加が起こらず厚みが圧接時の薄いままとなり、効果的にインク受容層の表面光沢性を向上させることができる。
ここで、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率を6質量%以下とするためには被記録媒体の製造条件を調節すれば良く、例えば、下記のような工程条件の変更により容易に被記録媒体の剥離直後の含水率や写像性を制御できる。
(a)鏡面ドラムの外周面と被記録媒体がなす抱き角
(b)被記録媒体の搬送速度
(c)鏡面ドラムの表面温度
(d)水塗布手段による水の塗布量
(e)湿潤手段による湿潤液の付与量
(f)鏡面ドラムへの被記録媒体の圧接時の圧力。
鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率は4.0質量%以上6.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上6.0質量%以下であることがより好ましい。被記録媒体の含水率がこれらの範囲内にあることによって、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の形状変形をより効果的に防止して、被記録媒体により優れた表面光沢性を付与することができる。
なお、「圧接」とは、力を負荷されることにより被記録媒体が鏡面ドラムの外周面に接触していることを表す。この被記録媒体に力を負荷する方法としては、鏡面ドラムの外周方向に被記録媒体に張力をかける方法を挙げることができる。また、鏡面ドラムの外周面に対向するように外周面を有する圧接ロールを設け、この鏡面ドラムと圧接ロール間に被記録媒体を通過させる方法を挙げることができる。
以下に、この工程(3)について更に詳細に説明する。
この工程(3)では、湿潤状態又は可塑性を有する状態にあるインク受容層を、加熱された鏡面状のドラム(キャストドラム)面に接触するように圧接させ、圧接した状態で乾燥する。そして、この鏡面をインク受容層の表面に写し取った後、鏡面ドラムから被記録媒体を剥離させる。
この代表的な方法としては直接法、リウェット法(間接法)、凝固法の3つの方法がある。本発明では、これらの何れの方法も利用できるが、リウェット法を用いることが好ましい。このリウェット法を用いることによってインク受容層の表面には高光沢性が得られる。また、透気性の高い支持体を用いる場合には、フィルムキャスト処理法を用いることにより強光沢面が得られる。
この工程(3)では、鏡面ドラムの表面温度を95℃以上100℃以下とすることが好ましい。鏡面ドラムの表面温度を95℃以上100℃以下とすることにより、インク受容層の特性を損なわずに短時間で、被記録媒体の含水率を6質量%以下とすることができる。
被記録媒体を、鏡面ドラムに圧接、乾燥させる時間は30秒以下であることが好ましい。圧接させる時間を30秒以下とすることにより、被記録媒体の製造時間を短くして生産性を向上できる。
被記録媒体の搬送速度は20m/min以上であることが好ましい。被記録媒体の搬送速度を20m/min以上とすることによって、高い生産性を達成することができる。
本工程(3)では、更に、補助乾燥機により被記録媒体を乾燥することが好ましい。このように補助乾燥機を用いることにより、短時間で効率的に含水率を6質量%以下まで乾燥することができ、光沢性、写像性、生産性、設備上の制約の4者を満足させることができる。なお、この補助乾燥機の乾燥形態としては特に限定されず、熱風乾燥機、赤外線乾燥機などを使用できる。また、補助乾燥機の設置位置としては、鏡面ドラムからの被記録媒体の剥離点の直前に設けることが好ましい。このような位置に設けることにより、剥離直前の被記録媒体の乾燥速度を高めることができる。
また、工程(3)では、被記録媒体のインク受容層側が鏡面ドラムの外周面に接するように、処理が行われる。従って、被記録媒体の乾燥は、インク受容層側から行われるため、被記録媒体の支持体側の乾燥が不十分・不均一となる可能性がある。この時、補助乾燥機により、更に支持体側から被記録媒体を乾燥することにより、均一且つ短時間で被記録媒体の乾燥を行うことができる。
また、この工程(3)では、被記録媒体を鏡面ドラムに圧接、乾燥させている時に、被記録媒体の支持体側(多孔質性インク受容層を設けた側と反対側)に、水塗布手段により水を塗布しても良い。
(4)、(5)予備工程
本発明では、工程(1)と(2)の間に更に、下記工程(4)、(5)を有することが好ましい。
(4)被記録媒体に湿潤液を付与して湿潤させ、更にインク受容層が鏡面ドラムの外周面に接触するように被記録媒体を鏡面ドラムに圧接させて乾燥した後、鏡面ドラムから被記録媒体を剥離させる予備運転工程。
(5)予備運転工程において、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率の変動率が一定値以下となった時に、鏡面ドラムの外周面と被記録媒体がなす抱き角を大きくする工程。
本発明の製造方法では、被記録媒体は高速で搬送されている。このため、被記録媒体の運転条件を定常化させて、被記録媒体の含水率を6質量%以下とするのに長時間が必要な場合がある。このような場合には、予め予備運転工程により被記録媒体を運転させる(工程(4))。そして、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率の変動率(単位時間当たりの含水率の変動割合)が一定値以下の、定常状態又は準定常状態とする。この定常状態又は準定常状態となった時に、鏡面ドラムの外周面と被記録媒体がなす抱き角を大きくする(工程(5))。そして、この後、通常の運転工程として、上記(1)〜(3)の工程を実施して被記録媒体を製造する。
このように予備運転工程よりも、実際の運転工程(工程(3))における抱き角を大きくすることにより、被記録媒体が鏡面ドラムによって圧接、乾燥されている時間が長くなる。この結果、被記録媒体の含水率をより低くすると共に、予備運転工程よりも被記録媒体の含水率の変動値(絶対値)が小さくなり、被記録媒体の含水率を6質量%以下に制御することがより容易となる。
この被記録媒体の含水率の変動率(単位時間当たりの含水率の変動割合)としては例えば、1分間当たり0.1質量%以上0.5質量%以下の変動率を挙げることができる。
なお、この抱き角とは、図2で表されるように、鏡面ドラム11の外周面上の被記録媒体が最初に圧接される位置12と、鏡面ドラムの外周面上の被記録媒体が剥離される位置13とがなす角度(0°を超え、360°未満の角度)のことを表す。すなわち、被記録媒体は、鏡面ドラム11の位置12から13までの外周面に圧接されており、抱き角とは鏡面ドラム11の被記録媒体を圧接する外周面の部分がなす角度である。この抱き角は、圧接ロール3及び剥離ロール6の少なくとも一方の、鏡面ドラム11の外周面上の位置を移動させることにより調節することができる。
(6)水分付与工程
本発明の製造方法では、更に被記録媒体に水を付与する工程を有することが好ましい。この場合、好ましくは、鏡面ドラムと裁断装置の間に水分付与装置を設け、この水分付与装置により被記録媒体に対して水分を付与して、被記録媒体を所望の水分に調整するのが良い。
本発明の製造方法では、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率が6質量%以下と低い値となっている。このため、雰囲気の湿度や被記録媒体の使用材料によっては、被記録媒体の裁断面から水分を吸収して、被記録媒体同士が密着してしまい、電子写真装置内で被記録媒体を複数枚、積層させた場合にその搬送性が低下する場合がある。この時、予め水分付与工程により、水分を製品含水率に近い値に調節しておくことにより、上記のような電子写真装置内における被記録媒体同士の密着及びこれによる搬送性の低下を防止することができる。
2.被記録媒体の製造装置
本発明の被記録媒体の製造装置は、以下の手段を有する。
被記録媒体の搬送手段、
被記録媒体に湿潤液を付与する湿潤手段、
表面温度を調整可能な鏡面ドラム、
鏡面ドラムの外周面に被記録媒体を接触、圧接させる圧接手段、
鏡面ドラムに接触、圧接させた被記録媒体の、鏡面ドラムに接する面と反対側の面へ水を塗布可能な水塗布手段、
鏡面ドラムから被記録媒体を剥離させる剥離手段、
鏡面ドラムから剥離された被記録媒体の含水率を測定する測定手段、
測定手段により測定した含水率が6質量%以下となるように、鏡面ドラムの外周面と被記録媒体がなす抱き角、被記録媒体の搬送速度、鏡面ドラムの表面温度、水塗布手段による水の塗布量、湿潤手段による湿潤液の付与量及び鏡面ドラムへの被記録媒体の圧接時の圧力を制御可能な制御手段。
以下に、リウェット法を用いた、本発明の被記録媒体の製造装置による被記録媒体の製造例を説明する。
図1に示すように、搬送手段1には、支持体上にインク受容層を設けた被記録媒体10が備え付けられている。典型的には、この搬送手段1にはロール状となった被記録媒体が備え付けられている。
そして、搬送手段1から送り出された被記録媒体10に、湿潤手段2で湿潤液を付与する。なお、図1中では、この湿潤手段は湿潤液を満たした容器であり、容器からオーバーフローした湿潤液を被記録媒体上に付与することによって被記録媒体に湿潤液を付与している。湿潤手段としては、この図1の湿潤手段に限定されるわけではなく、例えば、スプレー、ローターダンプ、ロールによる転写方法などを用いることができる。
次に、湿潤させた被記録媒体10を、圧接ロール(圧接手段)3により鏡面ドラム5の外周面上に導入して、鏡面ドラム5の外周面と被記録媒体10を接触、圧接させる。圧接手段は、鏡面ドラムに被記録媒体を導入、接触、圧接させるものであれば特に限定されないが、図1に示されるように、圧接手段としてロールを用い、その外周面を鏡面ドラムの外周面に対向するように設置しても良い。
この鏡面ドラム5は表面温度を調整可能となっており、この被記録媒体を鏡面ドラムに接触、圧接させることによって乾燥する。典型的な鏡面ドラムの各部分の寸法及び特徴を以下に示す。
外周面の幅:50cm以上200cm以下
直径:30cm以上400cm以下
材質:ボイラー鋼で作られた本体に硬質ハードクロムメッキを施したものなど
調整可能な表面温度の範囲:80℃以上120℃以下。
なお、被記録媒体を鏡面ドラムに接触、圧接させる間に、水塗布ロール(水塗布手段)4により、被記録媒体の支持体側(インク受容層が設けられた側と反対側)に水を塗布して被記録媒体の含水率を調整する。また、この被記録媒体は、剥離前に補助乾燥機7により、支持体側から乾燥される。
そして、このようにして被記録媒体10を一定時間、圧接、乾燥後、剥離ロール6により鏡面ドラム5から被記録媒体10を剥離させる。図1の装置では、この剥離ロール(剥離手段)6を介して被記録媒体10に被記録媒体の搬送方向(鏡面ドラム10の円周方向)と異なる方向に張力がかけられている。これにより、被記録媒体10は剥離ロール6を介して鏡面ドラム5から剥離されることとなる。なお、この剥離手段は、鏡面ドラムから被記録媒体を剥離させるものであれば特に限定されない。例えば、剥離ロールの代わりに剥離ブレード等を用いても良い。
次に、測定手段(図示していない)により、鏡面ドラムから剥離された被記録媒体の含水率を測定する。この測定手段としてはオンラインで測定できるものであっても、オフラインで測定するものであっても良い。オフラインで測定する場合は、予め工程中の所定の位置から被記録媒体のサンプルを採取して、そのサンプルの水分を測定する。また、測定手段は特に限定されるわけではなく、赤外線水分計、加熱乾燥式水分計、カールフィッシャー水分計、マイクロ波水分計など、公知の水分計を使用できる。
なお、測定手段により被記録媒体の含水率を測定する位置は、鏡面ドラムからの剥離点、又はこの剥離点での含水率とほぼ同じ含水率を示す工程中の位置とする。この測定位置は、鏡面ドラムから剥離した直後の被記録媒体の含水率と実質的に異ならなければ特に限定されず、鏡面ドラムから下流側であっても良い。
このような含水率の測定位置としては、典型的には鏡面ドラムの剥離点から10m以内の下流の位置で測定された含水率となる。また、被記録媒体の搬送速度にもよるが、典型的には鏡面ドラムの剥離時から30秒以下となる位置となる。
また、本発明の製造装置は、上記測定手段により測定した含水率が6質量%以下となるように、下記条件を制御可能な制御手段を有する。
(a)鏡面ドラムの外周面と被記録媒体がなす抱き角
(b)被記録媒体の搬送速度
(c)鏡面ドラムの表面温度
(d)水塗布手段による水の塗布量
(e)湿潤手段による湿潤液の付与量
(f)鏡面ドラムへの被記録媒体の圧接時の圧力。
鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率を小さくするためには、制御手段により上記各条件を以下のように調節すれば良い。
(a)抱き角を大きくする。
(b)被記録媒体の搬送速度を小さくする。
(c)鏡面ドラムの表面温度を大きくする。
(d)水塗布手段による被記録媒体への水塗布量を小さくする。
(e)湿潤手段による湿潤液の付与量を小さくする。
(f)鏡面ドラムへの被記録媒体の圧接時の圧力を大きくする。
また、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率を大きくするためには、制御手段により上記各条件を以下のように調節すれば良い。
(a)抱き角を小さくする。
(b)被記録媒体の搬送速度を大きくする。
(c)鏡面ドラムの表面温度を小さくする。
(d)水塗布手段による被記録媒体への水塗布量を大きくする。
(e)湿潤手段による湿潤液の付与量を大きくする。
(f)鏡面ドラムへの被記録媒体の圧接時の圧力を小さくする。
なお、制御手段による制御条件は上記(a)〜(f)の条件に限定されるわけではなく、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率に影響するその他の条件を制御しても良い。また、上記(a)〜(f)の条件の変動率と被記録媒体の含水率の変動率との関係は、製造装置の各部のスペックや各条件の特性により異なる。このため、上記(a)〜(f)の条件の一部又は全部を総合的に調節することによって、被記録媒体を所望の含水率(典型的には、6質量%以下)に調節することができる。
なお、上記各条件の制御方法としてはPID制御など、公知の制御方法を用いることができる。
次に、被記録媒体は、裁断手段8により所望の形状・大きさに裁断することができる。なお、裁断手段8としては特に限定されるわけではなく、例えば、ロータリカッターを用いることができる。
本発明の製造装置は図1に示されるように、更に、鏡面ドラム上に接触、圧させた被記録媒体を乾燥可能な補助乾燥機を備えることが好ましい。このように補助乾燥機を用いることにより、短時間で効率的に、被記録媒体の含水率を6質量%以下まで乾燥することができる。なお、この補助乾燥機の種類は特に限定されず、熱風乾燥機、赤外線乾燥機などを使用できる。また、補助乾燥機の設置位置としては、鏡面ドラムから被記録媒体を剥離させる直前の位置に設けることが好ましい。このような位置に設けることにより、剥離直前の被記録媒体の乾燥速度を高めることができる。
圧接手段及び剥離手段のうち少なくとも一方の手段は、鏡面ドラムの外周面上を移動することにより、鏡面ドラムの外周面と被記録媒体がなす抱き角を制御可能であることが好ましい。なお、この「抱き角」とは、図2に示される角度を表す。
本発明の製造装置は更に、剥離手段と裁断手段の間に、被記録媒体に対して水を付与可能な水付与手段を有していても良い。このように、水付与手段を用いて、鏡面ドラムから剥離された被記録媒体の含水率を製品含水率に近い値に調節しておくことにより、電子写真装置内で複数枚の被記録媒体を積層させた際に、被記録媒体同士の密着及びこれによる搬送性の低下を防止することができる。なお、この水付与手段としては、被記録媒体に均一に水を付与可能なものであれば特に限定されるわけではなく、例えば、スプレー、ローターダンプ、ロールによる転写方法などを用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。先ず、本発明において使用した各種の物性値の測定方法について説明する。
<ステキヒトサイズ度>
被記録媒体をA4サイズに断裁し、そのうちの5枚をそれぞれ、気温23℃及び湿度50%の条件下に2時間以上、放置した。この後、JIS P8122に準拠して、各1枚毎にステキヒトサイズ度の測定を行い、5枚の平均値として求めた。
<透気度>
被記録媒体を上記ステキヒトサイズ度の測定の場合と同様の状態に放置した後、JIS P8177に準じて各1枚毎に測定を行い、5枚の値の平均値として求めた。
<ベック平滑度>
被記録媒体を上記ステキヒトサイズ度の測定の場合と同様の状態に放置した後、JIS P8119に準じて各1枚毎に測定を行い、5枚の値の平均値として求めた。
<ガーレー剛度>
被記録媒体を上記ステキヒトサイズ度の測定の場合と同様の状態に放置した後、J. Tappi No.40に準じて各1枚毎に縦目方向の測定を行い、5枚の値の平均値として求めた。
<BET比表面積、細孔容積>
被記録媒体のBET比表面積、細孔容積は、アルミナ水和物を十分に加熱脱気してから、窒素吸着脱離法を用いた装置(カンタクローム社製、オートソーブ1)により測定した。このBET比表面積の計算には、Brunauerらの方法を用いた(J.Am.Chem.Soc.,60巻、309、1938年参照)。また、細孔容積の計算には、Barrettらの方法を用いた(J.Am.Chem.Soc.,73巻、373、1951年参照)。
<含水率>
被記録媒体をサンプリングした後、A4サイズに断裁し、インフラレッド・エンジニアリング製マイクロウェーブ紙水分計モイストレックスMX5000Eを使用して測定した。なお、「剥離直後」の被記録媒体の含水率として、鏡面ドラムの外周面上の被記録媒体の剥離点から10m下流側の位置で被記録媒体をサンプリングし、その含水率を測定した。なお、予備実験より、この10m下流側の位置での被記録媒体の含水率は、本実施例及び比較例の被記録媒体の搬送速度では、鏡面ドラムの外周面上の被記録媒体の剥離点での含水率と変わらないことを確認している。
また、「粗裁断後」の被記録媒体の含水率として、鏡面ドラムの外周面上の被記録媒体の剥離点から60m下流側の位置で被記録媒体をサンプリングし、その含水率を測定した。
<光沢性>
被記録媒体表面の光沢性を顕微鏡で観察し、以下の基準にしたがって判定した。
○:1cm2中の点状凹みが10個未満である。
△:1cm2中の点状凹みが10個以上50個未満である。
×:1cm2中の点状凹みが50個以上である。
<写像性>
被記録媒体の写像性を、JIS H8686で規定される像鮮明度(C)として求めた。具体的には、写像性測定装置(スガ試験機社製ICM−1DP)を用いて、光学子の幅2.0mm、反射角度60度で最高波形(M)及び最低波形(m)を読み取り、C=(M−m)/(M+m)×100として像鮮明度を求めた。そして、以下の基準に従って評価を行った。
◎:像鮮明度C値が90%以上である。
○:像鮮明度C値が85%以上90%未満である。
△:像鮮明度C値が70%以上85%未満である。
×:像鮮明度C値が70%未満である。
なお、像鮮明度が85%以上の時は見た目の光沢感が高く、印画紙ライクな美観要素に優れていることを示す。像鮮明度が70%以上の時は実用上、見た目の光沢感が優れていることを示す。また、像鮮明度が70%未満の時は見た目の光沢感が低く像の歪みが見られ、鈍い光沢感となるため実用的に好ましくないことを示す。
<生産性>
生産性の評価基準は下記のとおりである。
◎:被記録媒体の搬送速度が40m/min以上である。
○:被記録媒体の搬送速度が30m/min以上、40m/min未満である。
△:被記録媒体の搬送速度が20m/min以上、30m/min未満である。
×:被記録媒体の搬送速度が20m/min未満である。
[実施例1]
<支持体の作成>
下記のようにして支持体を作製した。
まず、下記組成のパルプスラリーを調製した。
濾水度450mlCSF(Canadian Standarad Freeness)の広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP) 80質量部
濾水度480mlCSFの針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)20質量部。
次に、このパルプスラリーに下記材料を外添して、紙料を得た。
カチオン化澱粉 0.60質量部
重質炭酸カルシウム 10質量部
軽質炭酸カルシウム 15質量部
アルキルケテンダイマー 0.10質量部
カチオン性ポリアクリルアミド 0.03質量部。
上記紙料を調整後、長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行って、多筒式ドライヤーで乾燥した。この後、このようにして乾燥したものに、サイズプレス装置で酸化澱粉水溶液を固形分で1.0g/m2となるように含浸させた後、乾燥した。この後、マシンカレンダー仕上げをして坪量155g/m2、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mNの基紙Aを得た。
次に、上記で得た基紙A上に、以下のようにして下塗り層を形成した。先ず、下記のようにして下塗り層用の塗工液を調製した。
カオリン(ウルトラホワイト90、Engelhard社製)/酸化亜鉛/水酸化アルミニウムの、質量比65/10/25からなる填量 100質量部
市販のポリアクリル酸系分散剤 0.1質量部
上記組成の固形分濃度70質量%のスラリーに、市販のスチレン−ブタジエン系ラテックス7質量部を添加して、固形分60質量%となるように調整して組成物を得た。次に、この組成物を、乾燥塗工量が15g/m2となるように、ブレードコーターで、基紙Aの両面に塗工し、乾燥させた。
この後、この両面に塗工した基紙Aにマシンカレンダー仕上げをした(線圧150kgf/cm)。そして、最終的に、坪量185g/m2、ステキヒトサイズ度300秒、透気度3,000秒、ベック平滑度200秒、ガーレー剛度11.5mNの下塗り層付き支持体1を得た。この支持体1の白色度は、断裁されたA4サイズ5枚のサンプルに対して各々測定し、その平均値として求めた。この結果、L*:95、a*:0、b*:−2であった(JIS Z 8729の色相として求めた)。
<インク受容層の作成>
上記で得た支持体1の下塗り層に対して、下記第一及び第二の2工程からなる表面処理工程を実施した。
先ず、第一の表面処理工程では、30℃に加温した、5質量%のホウ砂水溶液を塗工液として用い、該塗工液を、グラビアコーターで乾燥塗工量0.4g/m2となるよう、毎分60m/minで下塗り層の一方の面上に塗工した。そして、60℃で、この塗工液を乾燥、固化させた。
次に、第二の表面処理工程では、上記第一の表面処理工程で使用したものと同様の30℃に加温した5質量%のホウ砂水溶液を塗工液として準備した。そして、この塗工液を、エアーナイフコーターでウェット塗工量10g/m2(乾燥させた場合の塗工量0.5g/m2に相当する)となるよう、毎分30mで、第一の表面処理工程の塗工液上に塗工した。この塗工層を目視で観察したところ、下塗り層上に第二の表面処理工程で付与した塗工液が溢れずにちょうど、含浸された状態であった。
次に、上記第二の表面処理工程の塗工液を塗工した後、即ち、塗工液が下塗り層に含浸されてすぐに、そのまま下塗り層上にインク受容層を形成した。この際、インク受容層の形成に用いた塗工液及び塗工方法等は、以下の通りである。
純水中に、アルミナ水和物AとしてDisperal HP14(サソール社製)を、固形分が5質量%となるように分散させ、次いで、これに塩酸を加えpH値を4に調整してしばらく攪拌した。この後、この分散液を攪拌しながら95℃まで昇温し、この温度で4時間保持した。そして、この温度を保持したまま苛性ソーダによりpH値を10に調整し、10時間、攪拌を行なった。この後、この分散液の温度を室温に戻し、pH値を7〜8に調整した。更に脱塩処理を行い、続いて酢酸を添加して解膠処理を行い、アルミナ水和物Bのコロイダルゾルを得た。さらにコロイダルゾルを乾燥して得られたアルミナ水和物BをX線回折により測定したところ、ベーマイト構造を示すもの(擬ベーマイト)であった。また、この時のBET比表面積は143g/m2、細孔容積は0.8cm3/gであり、電子顕微鏡での観察では平板状であった。
次に、上記で調製したアルミナ水和物Bのコロイダルゾルを濃縮して22.5質量%の分散液を作製した。次に、これに3質量%ホウ酸水溶液を、アルミナ水和物Bの固形分に対してホウ酸固形分換算で0.50質量%となるように添加してホウ酸含有アルミナ水和物分散液を得た。
一方、上記ホウ酸含有アルミナ水和物分散液とは別にポリビニルアルコールJM−23(日本酢ビ・ポバール(株)製)を純水に溶解して、固形分9質量%の水溶液を得た。この後、得られたホウ酸含有アルミナ水和物分散液と、先に調製したポリビニルアルコール水溶液を、スタティックミキサーでアルミナ水和物固形分と、ポリビニルアルコール固形分の比が質量基準で100:8となるように混合し、これをインク受容層用の塗工液とした。そして、この塗工液を、ダイコーターで乾燥塗工量35g/m2となるように、支持体の表面処理液を塗工後、即ち、表面処理液が下塗り層内に含浸されてすぐに、毎分30mで、支持体の表面処理液を塗工した面上に塗工した。この後、170℃で乾燥してインク受容層を形成した。
次に、支持体1のインク受容層を設けた面と反対側の面の下塗り層上に、以下のようにして裏面層を形成した。
すなわち、アルミナ水和物としてDisperal HP14(サソール社製)を、純水中に固形分が18質量%となるように分散させ、この後、遠心分離処理を施して分散液を得た。次に、この分散液と、インク受容層の形成に用いたのと同様のポリビニルアルコール水溶液とをスタティックミキサーで、アルミナ水和物固形分とポリビニルアルコール固形分の比が質量基準で100:9となるように混合した。この後、すぐにダイコーターで乾燥塗工量が23g/m2となるように毎分35mで塗工した。そして、170℃で乾燥し、裏面層を形成して最終的に被記録媒体を得た。
<光沢処理>
上記で得た被記録媒体に対して、湿潤液の塗工、鏡面ドラム上での乾燥の順で光沢処理を行った。先ず、湿潤液の塗工では、60℃に加温した下記組成の湿潤液を塗工速度40m/minで、塗工量60g/m2となるように塗工してインク受容層を可塑化した。
続いて、インク受容層が鏡面ドラムの外周面に接触するように、表面温度が98℃、直径360cmの鏡面ドラムにプレス圧200Kg/cm、ライン(被記録媒体の搬送速度)速度40m/minで圧接、乾燥させた。この時、鏡面ドラムの外周面への被記録媒体の圧接時間は0.23分となった。この後、剥離ロールにより、鏡面ドラムから被記録媒体を剥離させた。
なお、湿潤液の組成は以下の通りとした。
ポリエチレンエマルジョン[商品名:ポリロン618 (中京油脂(株)製)]
2質量部
界面活性剤[商品名:サーフィノール465 (日信化学(株)製)]
0.2質量部
水 100質量部。
[実施例2]
ライン速度(被記録媒体の搬送速度)を35m/min、鏡面ドラムの外周面への被記録媒体の圧接時間を0.27分とした以外は、実施例1と同様にして被記録媒体を製造した。
[実施例3]
鏡面ドラムの外周面から0.5m離れた位置に補助乾燥機を設置し、鏡面ドラムから被記録媒体を剥離する前に、この補助乾燥機を用いて乾燥した以外は実施例1と同様にして被記録媒体を製造した。
[実施例4]
ライン速度(被記録媒体の搬送速度)を25m/min、鏡面ドラムの外周面への被記録媒体の圧接時間を0.38分とした以外は、実施例1と同様にして被記録媒体を製造した。
[実施例5]
ライン速度(被記録媒体の搬送速度)を20m/min、鏡面ドラムの表面温度を95℃、鏡面ドラムの外周面への被記録媒体の圧接時間を0.50分とした以外は、実施例1と同様にして被記録媒体を製造した。
[比較例1]
ライン速度(被記録媒体の搬送速度)を35m/min、鏡面ドラムの外周面への被記録媒体の圧接時間を0.22分、鏡面ドラム上での被記録媒体の抱き角を変えた以外は、実施例1と同様にして被記録媒体を製造した。
[比較例2]
ライン速度(被記録媒体の搬送速度)を40m/min、鏡面ドラムの表面温度を95℃、鏡面ドラムの外周面への被記録媒体の圧接時間を0.20分、鏡面ドラム上での被記録媒体の抱き角を変えた以外は、実施例1と同様にして被記録媒体を製造した。
[比較例3]
ライン速度(被記録媒体の搬送速度)を15m/min、鏡面ドラムの表面温度を85℃、鏡面ドラムの外周面への被記録媒体の圧接時間を0.63分とした以外は、実施例1と同様にして被記録媒体を製造した。
これらの被記録媒体の製造条件及び評価結果を表1及び2に示す。
Figure 2009045828
Figure 2009045828
表2の結果より明らかなように、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率を6質量%以下とした実施例1〜5の被記録媒体では、光沢性が「○」、写像性が「◎」又は「○」、生産性が「◎」又は「△」となっている。このため、本発明の製造方法は、優れた写像性及び光沢性を有し、かつ高い生産性を有することが分かる。
一方、鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率を6質量%を超える値とした比較例1〜3の被記録媒体ではそれぞれ、光沢性、写像性、及び生産性の何れかが「×」となっており、これらの特性を両立できないことが分かる。
本発明の製造方法に用いるリウェット法を用いた製造装置の一例を表す図である。 抱き角を説明する図である。
符号の説明
1 搬送手段
2 湿潤手段
3 圧接ロール
4 水塗布ロール
5 鏡面ドラム
6 剥離ロール
7 補助乾燥機
8 裁断手段
10 被記録媒体
11 鏡面ドラム
12 被記録媒体が最初に鏡面ドラムに接触する点
13 被記録媒体が最初に鏡面ドラムから剥離する点

Claims (10)

  1. (1)支持体上にインク受容層を有する被記録媒体を準備する工程、
    (2)前記被記録媒体に湿潤液を付与して湿潤させる工程、
    (3)前記インク受容層が鏡面ドラムの外周面に接触するように、前記被記録媒体を鏡面ドラムに圧接させて乾燥した後、前記鏡面ドラムから前記被記録媒体を剥離させる工程、
    を有し、
    前記工程(3)において、前記鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率が6質量%以下となるように乾燥することを特徴とする被記録媒体の製造方法。
  2. 前記鏡面ドラムの表面温度を95℃以上100℃以下とすることを特徴とする請求項1に記載の被記録媒体の製造方法。
  3. 前記工程(3)において、
    前記鏡面ドラムに前記被記録媒体を圧接させて乾燥する時間を30秒以下とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の被記録媒体の製造方法。
  4. 前記被記録媒体の搬送速度が20m/min以上であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
  5. 前記工程(3)において、
    更に、補助乾燥機を用いて前記被記録媒体を乾燥することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
  6. 前記工程(1)と(2)の間に更に、
    (4)前記被記録媒体に湿潤液を付与して湿潤させ、更に前記インク受容層が鏡面ドラムの外周面に接触するように前記被記録媒体を鏡面ドラムに圧接させて乾燥した後、前記鏡面ドラムから被記録媒体を剥離させる予備運転工程、
    (5)前記予備運転工程において、前記鏡面ドラムから剥離直後の被記録媒体の含水率の変動率が一定値以下となった時に、前記鏡面ドラムの外周面と被記録媒体がなす抱き角を大きくする工程、
    を有することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
  7. 前記工程(3)の後に更に、
    (6)前記被記録媒体に水を付与する工程を有することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
  8. 被記録媒体の搬送手段と、
    前記被記録媒体に湿潤液を付与する湿潤手段と、
    表面温度を調整可能な鏡面ドラムと、
    前記鏡面ドラムの外周面に被記録媒体を接触、圧接させる圧接手段と、
    前記鏡面ドラムに接触、圧接させた被記録媒体の、鏡面ドラムに接する面と反対側の面へ水を塗布可能な水塗布手段と、
    前記鏡面ドラムから被記録媒体を剥離させる剥離手段と、
    前記鏡面ドラムから剥離された被記録媒体の含水率を測定する測定手段と、
    前記測定手段により測定した含水率が6質量%以下となるように、鏡面ドラムの外周面と被記録媒体がなす抱き角、被記録媒体の搬送速度、鏡面ドラムの表面温度、水塗布手段による水の塗布量、湿潤手段による湿潤液の付与量及び鏡面ドラムへの被記録媒体の圧接時の圧力を制御可能な制御手段と、
    を備えたことを特徴とする被記録媒体の製造装置。
  9. 更に、前記鏡面ドラム上の被記録媒体を乾燥可能な補助乾燥機を備えたことを特徴とする請求項8に記載の被記録媒体の製造装置。
  10. 前記圧接手段及び剥離手段のうち少なくとも一方の手段は、前記鏡面ドラムの外周面上を移動することにより前記抱き角を制御可能であることを特徴とする請求項8又は9に記載の被記録媒体の製造装置。
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