JP2009045561A - ロータリーキルン及びその運転方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被処理物11を焼成して無害化させる無害化処理装置の焙焼炉の運転方法において、前記焙焼炉として、耐火物12が内張りされ、一端に被処理物の供給口3、他端となる出口側に被処理物を排出する被処理物排出口とを備えたロータリーキルン1を用い、
前記ロータリーキルン出口側に燃焼バーナ10を備えるとともに、該ロータリーキルン1炉内の軸線方向を観察するサーモビューア15を設置して炉内温度分布を計測し、該炉内温度分布の増減に基づいて燃焼バーナ10の出力とロータリーキルン1の回転数の少なくとも一つを増減させ運転する構成とする。
【選択図】図1
Description
重金属類を含有する物質を無害化する方法の一つとして、特許文献1(特許第3337941号公報)には、廃棄物の焼却残渣を重金属類の溶出がなく、かつダイオキシン類を含まない比較的安価で有効利用可能な軟弱汚泥や浚渫汚泥向けの固形剤とする方法が提案されている。詳しくは、廃棄物を焼却して生成される焼却残渣を破砕して造粒した後、乾燥させて焼成・固化する方法であって、焼却残渣を焼成する際に、その焼却残渣の乾燥時に発生する排気ガスを燃焼用空気として用いている。この燃焼用空気として用いることにより、ダイオキシン類を熱分解する。また焼却残渣を破砕して造粒することで、焼却残渣を焼成する段階で排気ガスとして飛散させずに焼成させる。
また、特許文献2に開示された発明では、使用する熱電対の本数には限界があり、多くは設置できないため、炉内の温度分布が測定できないという難点がある。また熱電対には寿命があり、その取り替えも困難である。さらに、炉出口の被処理物や炉内の状態が分らないので、炉内の高温雰囲気による耐火壁の侵食は完全には防ぎきれない。被処理物の燃焼温度を計測するとともに炉内の監視を行なうことは、炉の寿命や補修時期を適切に把握して運転を行なううえで重要である。
このように、ロータリーキルン出口側に設けられたサーモビューアにより、煤塵の影響がなくロータリーキルン内広域面の正確な炉内温度分布を計測することができる。また、同時にサーモビューアで灰の挙動も監視することができる。
このように本発明では、被処理物とロータリーキルンの耐火物の両方を監視することにより、被処理物中に含まれる成分が変動した場合でも放射率が変化しない耐火物温度を指標として被処理物温度を検知することができ、炉内温度分布を計測することができる。
被処理物の流れと、前記排ガスの流れとが対向しているので、被処理物からの煤塵が排ガスとともに流れてサーモビューア近辺での煤塵の影響を低減することができ、サーモビューアの視認性が保持しやすい。
このように、ロータリーキルン炉内出口側から軸線方向を観察するサーモビューアとともに、第2のサーモビューアでも被処理物の挙動を監視することができるので、被処理物が排出口付近の壁面で溶融して付着しても検知することが可能である。
前記ロータリーキルン出口側に燃焼バーナを備えるとともに、該ロータリーキルン炉内の軸線方向を観察するサーモビューアを設置して炉内温度分布を計測し、該炉内温度分布の増減に基づいて燃焼バーナ出力とロータリーキルン回転数の少なくとも一つを増減させることを特徴とする。
さらに、前記ロータリーキルンの供給口側上方に排ガス排出口を設け、前記供給口より供給される被処理物の流れと、前記排ガスの流れとを対向させたことを特徴とする。さらにまた、前記サーモビューアの波長が8〜14μmとすることが好ましい。これにより、上述したロータリーキルン炉と同様の効果を得ることができる。
ロータリーキルンの回転数を増減し、滞留時間を調整することで被処理物の温度が適正な温度範囲に収まるように制御することができる。例えば、被処理物中に含まれる鉛を無害化する温度域は、ロータリーキルン出口付近で950〜1100℃である。
このように、サーモビューアにより計測された炉内温度域に基づいて、燃焼バーナ出力を増減させ、被処理物の温度が適正な温度範囲に収まるように制御することができる。
被処理物中に混合されている炭化物は、燃焼源となるので被処理物の温度を内部から上昇させることができる。このように、被処理物に混合される炭化物の混合率を増減させることも、被処理物の温度が適正な温度範囲に収まるようにするために好適に用いられる。なお、炭化物は被処理物を供給する前に混合されており、その混合率はロータリーキルンの運転状況の他に、あらかじめ被処理物に含まれる未燃分によっても調整される。
被処理物を攪拌する堰は炉内側へ突出した耐火物であるので、被処理物が溶融されると一緒に堰も溶融してしまい、すり減って消耗してしまうことがある。堰がすり減って消耗すると被処理物を攪拌することができなくなるので、炉内の被処理物温度が不均一となり、被処理物中に含まれる重金属類が十分に揮発されずに留まってしまう。このように、サーモビューアで被処理物の挙動を監視して堰の異常を検知することにより、被処理物温度の不均一性を防止することができる。
また、被処理物とロータリーキルンの耐火物の両方を監視することにより、被処理物中に含まれる成分が変動した場合でも放射率が変化しない耐火物温度を指標として被処理物温度を検知することができ、炉内温度分布を計測することができる。
さらに、被処理物の流れと、前記排ガスの流れとが対向しているので、被処理物からの煤塵が排ガスとともに流れてサーモビューア近辺での煤塵の影響を低減することができ、サーモビューアの視認性が保持しやすい。また、前記サーモビューアの波長は8〜14μmであることが好ましく、これにより、ロータリーキルン内ですすが発生しても透過可能であり、煤塵の影響を低減し、より一層精度の高い温度計測が可能となる。
さらにまた、ロータリーキルン炉内出口側から軸線方向を観察するサーモビューアとともに、第2のサーモビューアでも被処理物の挙動を監視することができるので、被処理物が排出口付近の壁面で溶融して付着しても検知することが可能である。
また、サーモビューアにより計測された炉内温度域に基づいて、ロータリーキルン回転数、燃焼バーナ出力、被処理物に混合する炭化物混合率を増減させることで被処理物の温度が適正な温度範囲に収まるように制御することができる。
そして、サーモビューアで被処理物の挙動を監視してロータリーキルン内周上に複数配設された堰の異常を検知することにより、被処理物温度の不均一性を防止することができる。
図1は実施例1に係るロータリーキルンを具備した処理装置を示す概略図、図2は実施例1のロータリーキルン断面を示す概略図(図1中A−A線断面図)、図3はサーモビューアによるロータリーキルン出口側を示す概略検知図、図4はロータリーキルンの炉内温度と排ガスの温度変化を示す図、図5は本実施例におけるロータリーキルン回転数の補正処理を示すフロー図、図6は本実施例における燃焼バーナ出力の補正処理を示すフロー図、実施例2におけるロータリーキルンを具備した処理装置を示す概略図である。
なお、以下に述べる実施例は被処理物中に含まれるPb、Zn、As、Cd、Cr、Se、Hg、Sb、Cuなどの重金属類を分離除去する技術であるが、ここでは特にPbの分離除去について説明する。
また被処理物として、汚染土壌、焼却灰、飛灰等を用いる。これら被処理物は、ロータリーキルンへ供給する前に炭化物と混合してもいいし、被処理物中の未燃分量により単独で使用してもよい。また図示しないが、塩酸を含む塩素含有液若しくは塩素含有液状体(例えば塩酸、塩化鉄や塩化カルシウムを含むスラリーなど)、焙焼炉から排出される塩素系排ガスや塩素含有固体などの塩素含有物質を混合させた被処理物も用いることができる。
図1に示した処理装置はロータリーキルン1を具備しており、そのロータリーキルン1は耐火物12が内張りされており、ロータリーキルン1の内周上に耐火物12よりも炉内側へ突出した堰(以下、リフターという)を複数配設し、一端に被処理物11を供給する供給口3と、他端となる出口側に被処理物を排出する被処理物排出口とを備えている。さらに、ロータリーキルン1の出口側に燃焼バーナ10と、ロータリーキルン1炉内の軸線方向を観察するサーモビューア15が備えられている。このサーモビューア15の波長は8〜14μmであることが好ましく、これによりロータリーキルン内ですす(粒径略1μm)が発生しても透過可能であり、煤塵の影響を低減し、より一層精度の高い温度計測が可能となる。
また、ロータリーキルン1の供給口側上方に排ガス排出口4を設け、前記供給口3より供給される被処理物11の流れと、前記排ガス5の流れとが対向して形成されている。また、排ガス排出口4には排ガス5の温度を測定する熱電対9が設けられている。
また、燃焼バーナ10がロータリーキルン1の出口側に設けられているので、排ガス5は被処理物11と対向するように排ガス排出口4から排出される。排出された排ガス5は熱電対9により温度が計測される。
しかし、図4破線のような挙動をとって適正温度域に達しない場合は、上述した効果が得られないので、ロータリーキルン回転数、燃焼バーナ出力、被処理物に混合する炭化物混合率を増減させることで被処理物の温度が適正な温度範囲に収まるように(例えば、図4の矢印aのように、出口から5m位置で1100℃まで温度を引上げる)制御する必要がある。
次に、ロータリーキルン出口から5m位置で炉内温度を計測して1100℃以下であるか否かを判断する(S4)。1100℃以下である場合は、再度ロータリーキルン回転数を低下させ、1100℃を超える場合は、そのまま運転を継続させる(S5)。
このようにして、炉内温度分布に基づいてロータリーキルン回転数を増減させ、適正な温度域とすることができる。
次に、ロータリーキルン出口から0m位置(被処理物排出口)での被処理物温度を計測して1250℃以下であるか否かを判断し(S13)、1250℃以下である場合は、そのまま運転を継続させる(S15)。1250℃を超える場合は、耐火物が溶融するなど設備劣化の可能性があるので、燃焼バーナ出力を低下させ(S14)、通常運転に戻る。
図7に示した処理装置は実施例1と同様に、ロータリーキルン1を具備しており、そのロータリーキルン1は耐火物12が内張りされており、ロータリーキルン1の内周上に耐火物12よりも炉内側へ突出したリフターを複数配設し、一端に被処理物11を供給する供給口3と、他端となる出口側に被処理物を排出する被処理物排出口とを備えている。さらに、ロータリーキルン1の出口側に燃焼バーナ10と、ロータリーキルン1炉内の軸線方向を観察するサーモビューア15が備えられている。このサーモビューア15の波長は8〜14μmであることが好ましく、これによりロータリーキルン内ですす(粒径略1μm)が発生しても透過可能であり、煤塵の影響を低減し、より一層精度の高い温度計測が可能となる。
また、ロータリーキルン1の供給口側上方に排ガス排出口4を設け、前記供給口3より供給される被処理物11の流れと、前記排ガス5の流れとが対向して形成されている。また、排ガス排出口4には排ガス5の温度を測定する熱電対9が設けられている。
また実施例2によれば、実施例1で得られる効果の他に、ロータリーキルン出口側上方から観察する第2のサーモビューア16により、ロータリーキルン1の被処理物排出口から排出される被処理物11の挙動が監視できるので、排出される被処理物11が溶融して壁面に付着することを未然に防ぐことができる。
なお、実施例2におけるロータリーキルンの運転方法も実施例1と同様であり、ロータリーキルン回転数、燃焼バーナ出力、被処理物に混合する炭化物混合率を増減させることで被処理物の温度が適正な温度範囲に収まるように制御する。
3 供給口
5 排ガス
9 熱電対
10 燃焼バーナ
11 被処理物
12 耐火材
13 リフター(堰)
15 サーモビューア
16 第2のサーモビューア
Claims (14)
- 被処理物を焼成して無害化させる無害化処理装置の焙焼炉において、
前記焙焼炉として、耐火物が内張りされ、一端に被処理物の供給口、他端となる出口側に被処理物を排出する被処理物排出口とを備えたロータリーキルンを用い、
前記ロータリーキルン出口側に燃焼バーナを備えるとともに、該ロータリーキルン炉内の軸線方向を観察するサーモビューアを備えたことを特徴とするロータリーキルン。 - 前記サーモビューアが、前記ロータリーキルン軸線方向に炉内を筒流れする該出口側の被処理物と該ロータリーキルンに内張された耐火物とを監視するとともに表面温度を検知するように備えられたことを特徴とする請求項1記載のロータリーキルン。
- 前記ロータリーキルンの供給口側上方に排ガス排出口を設け、前記供給口より供給される被処理物の流れと、前記排ガスの流れとが対向流であることを特徴とする請求項1記載のロータリーキルン。
- 前記サーモビューアの波長が8〜14μmであることを特徴とする請求項1、2記載のロータリーキルン。
- 前記ロータリーキルン炉内出口側から軸線方向を観察する前記サーモビューアとともに、前記被処理物排出口から排出される被処理物の挙動を該ロータリーキルン出口側上方から観察する第2のサーモビューアを設置したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のロータリーキルン。
- 被処理物を焼成して無害化させる無害化処理装置の焙焼炉の運転方法において、
前記焙焼炉として、耐火物が内張りされ、一端に被処理物の供給口、他端となる出口側に被処理物を排出する被処理物排出口とを備えたロータリーキルンを用い、
前記ロータリーキルン出口側に燃焼バーナを備えるとともに、該ロータリーキルン炉内の軸線方向を観察するサーモビューアを設置して炉内温度分布を計測し、該炉内温度分布の増減に基づいて燃焼バーナ出力とロータリーキルン回転数の少なくとも一つを増減させることを特徴とするロータリーキルンの運転方法。 - 前記サーモビューアが、前記ロータリーキルン軸線方向に炉内を筒流れする該出口側の被処理物表面温度と、該ロータリーキルンに内張された耐火物表面温度とを検知し、炉内温度分布を計測することを特徴とする請求項6記載のロータリーキルンの運転方法。
- 前記ロータリーキルンの供給口側上方に排ガス排出口を設け、前記供給口より供給される被処理物の流れと、前記排ガスの流れとを対向させたことを特徴とする請求項6記載のロータリーキルンの運転方法。
- 前記サーモビューアの波長が8〜14μmであることを特徴とする請求項6、7記載のロータリーキルンの運転方法。
- 前記炉内温度が被処理物を無害化できる温度域よりも低いときに前記ロータリーキルンの回転数を減少させて被処理物の滞留時間を長くし、温度域よりも高いときに該ロータリーキルンの回転数を増加させて被処理物の滞留時間を短くすることを特徴とする請求項6記載のロータリーキルンの運転方法。
- 前記炉内温度が被処理物を無害化できる温度域よりも低いときに前記燃焼バーナ出力を増大させ、高いときに該燃焼バーナ出力を低下させることを特徴とする請求項6記載のロータリーキルンの運転方法。
- 前記ロータリーキルンに前記被処理物を供給する前に炭化物と混合させ、前記炉内温度がロータリーキルン全体で前記被処理物を無害化できる温度域よりも低温のときに前記炭化物の混合率をさらに増大させることを特徴とする請求項6記載のロータリーキルンの運転方法。
- 前記サーモビューアで該ロータリーキルン内の被処理物の挙動を監視し、該被処理物の挙動により、ロータリーキルン内周上に複数配設し該耐火物よりも炉内側へ突出した堰の異常が検知されることを特徴とする請求項6記載のロータリーキルンの運転方法。
- 前記ロータリーキルン炉内出口側から軸線方向を観察する前記サーモビューアとともに、前記被処理物排出口から排出される被処理物の挙動を該ロータリーキルン出口側上方から観察する第2のサーモビューアを設置したことを特徴とする請求項6乃至13の何れかに記載のロータリーキルンの運転方法。
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