JP2009044918A - 非接触給電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電磁誘導現象を利用して、負荷に対して非接触で効率的に電力を供給する。
【解決手段】 高周波電源32から高周波電流が供給される給電線34に磁気コア36を結合させ、この磁気コア36に巻回された二次巻線37に誘起される交流電圧を電力変換して負荷39に供給する。
そして、給電線34を複数の単位給電線40と接続モジュール41で構成し、複数の導線43が含まれる単位長のケーブルの両端にコネクタ44、45が取付けられた単位給電線40を複数個直列接続して、接続モジュール41にて、両端に位置する二つの単位給電線の導線どうしを互いに接続して1本の導線47とし、この1本の導線47の両端を高周波電源32の高周波出力端子42a、42bへ接続する。
【選択図】 図2
【解決手段】 高周波電源32から高周波電流が供給される給電線34に磁気コア36を結合させ、この磁気コア36に巻回された二次巻線37に誘起される交流電圧を電力変換して負荷39に供給する。
そして、給電線34を複数の単位給電線40と接続モジュール41で構成し、複数の導線43が含まれる単位長のケーブルの両端にコネクタ44、45が取付けられた単位給電線40を複数個直列接続して、接続モジュール41にて、両端に位置する二つの単位給電線の導線どうしを互いに接続して1本の導線47とし、この1本の導線47の両端を高周波電源32の高周波出力端子42a、42bへ接続する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、電磁誘導現象を利用して、交流電源から非接触で負荷に対して電力を供給する非接触給電装置に関する。
例えば、商用電源等の固定された交流電源から、列車、電車、モノレール、エレベータ等の予め定められた経路を移動する移動体に搭載された負荷に対して非接触で電力を供給する手法として、図12に示す電磁誘導原理を採用することが実用化されている(非特許文献1参照)。図示するように、電線(一次コイル)に交流電流i1を流すと電流の周囲に磁束φが発生する。この磁束φが二次コイルを貫通すると二次コイルの両端に交流電圧V2が誘起される。この交流電圧V2により負荷であるランプに電力が供給される。
具体的には、図13に示すように、電力供給側の高周波電源1から給電線(一次コイル)2へ高周波電流を供給する。電力受領側において、E字断面形状を有する磁気コア3の各溝に前記給電線2が通過する。この磁気コア3に二次巻線(二次コイル)4が巻回され、この二次巻線4に受信ユニット5が接続されている。すなわち、磁気コア3に巻回された二次巻線(二次コイル)4で電磁誘導により給電線2から電気エネルギーを非接触で取出す。給電線2は、損失の少ないリッツ線が適用されている。
図14(a)に特許文献1に記載されている非接触給電装置の構成を示す。この装置は、電源6、給電線7(軌道側に設置された部分7a、電源と軌道との間の区間に敷設された部分7b)、ピックアップ手段8を搭載した台車9から構成される。電源6は給電線7に高周波電流を流す。台車9に搭載されたピックアップ手段8は、電磁誘導により磁束を介して給電線7から電力を取出し負荷に供給する。
同軸ケーブルからなる給電線7aは図14(b)に示す断面形状を有する。芯線10の外郭部に絶縁線11を挟んで外皮線12が芯線10を取り巻くように配置されており、全体がシース13で被覆されている。芯線10は、単線またはリッツ線が用いられる。外皮線12は、芯線10と平行状に配置された複数の単線または網組みした配線部材で構成される。
図15(a)に特許文献2に記載されているエレベータに組込まれた非接触給電装置を示す。図示しない昇降路内の互いに対向する側面にガイドレール14a、14bが取付けられており、このガイドレール14a、14bに沿ってかご15が昇降内を上下移動する。かご15の側面には、図15(b)の拡大図に示すE字断面形状を有する磁気コア16が固定され、かご15の上下移動に伴って、各溝に給電線17、17が通過する。昇降路の上側の機械室に設けられた高周波電源18から給電線17、17に対して高周波電流が供給される。磁気コア16には二次巻線19が巻回され、この二次巻線19で生起された誘起電圧を降圧トランスで、かご15内の負荷に供給可能な電力に変換する。
高三 正巳、近藤 直、森田 勝幸、渡辺 勲、大立 泰治、「非接触給電を用いた高速搬送台車の開発」、平成9年電気学会産業応用部門全国大会、pp1−4 特開2002−2335号公報
特開2006−137609号公報
高三 正巳、近藤 直、森田 勝幸、渡辺 勲、大立 泰治、「非接触給電を用いた高速搬送台車の開発」、平成9年電気学会産業応用部門全国大会、pp1−4
しかしながら、上述した特許文献1、2に記載された非接触給電装置においても、まだ解消すべき次のような課題があった。
図12を用いて動作原理説明したように、磁気コア8、16の溝内を通過するように配線された給電線7、17(一次コイル)を通流する高周波電流がこの給電線7、17の回りに生起する磁束Φは、一次コイルの巻数、すなわち、給電線7、17の本数に比例して増加する。この磁束Φと鎖交する二次コイル(二次巻線)4、19に、電磁誘導により誘起電力が発生する。
したがって、この二次コイル(二次巻線)4、19に所望の誘起電圧Vを得るためには、一次コイルの巻数、すなわち、給電線7、17の本数を増加することが必要となる。前述したように、この非接触給電装置で電力を送信される移動体は高速で移動しており、非動作部分との隙間が狭い等の物理的要因にて、給電線7、17の本数を増加すると、非接触給電装置が組込まれた装置又はシステムの構成が複雑になり、装置又はシステムの製造費が上昇し、製造時間が増大する。
また、給電線7、17の本数が増加すると、移動体の運転時に、給電線7、17どうしが絡まったり、他の構成部材に引っ掛かったりして、運転に予期せぬ支障が生じる懸念がある。さらに、配線(給電線)7,17の本数が増大するので、定期的な保守・点検が煩雑になる。
また、図15に示すエレベータに組込まれた非接触給電装置においては、磁気コア16に巻回された二次巻線19で生起された誘起電圧を降圧トランスで、かご15内の負荷に供給可能な電力に変換すると記載されているが、エレベータのかご15は利用者が必要に応じて運転されるので、磁気コア16に巻回された二次巻線19で生起された誘起電圧を降圧トランスでかご内の各電気部品に供給する場合の供給電圧が、かご15の運転状況やかご15内の負荷の使用状況によって変動する懸念がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、装置又はシステムの製造が簡素化でき、保守・点検作業の作業効率を向上でき、電源供給側から負荷に対する高い電力送信効率を実現できるとともに、負荷に対して安定した電圧を供給できる非接触給電装置を提供することを目的とする。
上記課題を解消するために本発明は、交流電源から供給される交流電力から、60Hzから10kHzの範囲内の周波数を有する高周波電流を生成する高周波電源と、この高周波電源から供給された高周波電流が通流する給電線と、この給電線に対して非接触で磁気的に結合する磁気コアと、この磁気コアに巻回され、給電線に流れる高周波電流に対応した交流電圧が誘起される二次巻線と、この二次巻線に誘起された交流電圧を整流して負荷に対して平準化した一定電圧を供給する受電部とを備えている。
そして、本発明の非接触給電装置においては、給電線を、複数の導線が含まれる単位長のケーブルの両端にコネクタが取付けられた複数の単位給電線と、この複数の単位給電線を両端のコネクタで直列接続した状態における両端に位置する二つの単位給電線の導線どうしを互いに接続して1本の導線とするとともに、この1本の導線の両端を高周波電源の高周波出力端子へ接続する接続モジュールとで構成している。
このように構成された非接触給電装置においては、高周波電流が流れる給電線は、複数の導線が含まれる例えば1m等の単位長を有した単位給電線を、必要な長さ分だけ直列接続して、両端に位置する二つの単位給電線を接続モジュールに接続するのみでよい。
したがって、高周波電流が流れる給電線は見かけ上、1本のケーブルと見なせるので、配線が煩雑になることはない。また、回路構成が複雑化することはない。
そして、各単位給電線を構成する複数の導線は、接続モジュールでもって、1本の導線になるように接続される。したがって、磁気コア近傍に生じる磁界Φが増大して、電力の送信効率が向上する。
さらに、受電部は、二次巻線に誘起された交流電圧を整流して負荷に対して平準化した一定電圧を供給するので、負荷電圧を安定化できる。
また、別の発明は、負荷、磁気コア、二次巻線及び受電部は移動体に搭載されており、給電線は移動体の移動方向に沿って敷設されている。
このように、移動体に搭載された負荷に非接触で電力を供給する場合は、給電線を移動体の移動方向に沿って敷設する必要がある。この場合、給電線の必要長さは、少なくと移動体の移動距離である。
この発明においては、給電線に組込む単位給電線の数を変更することによって、簡単に移動体の移動距離に対応した長さの給電線が得られる。
また別の発明は、上記発明の非接触給電装置の高周波電源は、交流電源から供給される交流電力を直流に整流する整流器と、この整流器で整流された直流を平滑する平滑回路と、この平滑回路で平滑された直流を単相の高周波電力に変換するインバータと、このインバータの出力周波数及び出力電圧を制御するインバータ制御部と、インバータから出力された単相の高周波電圧を低圧の高周波電流に変換して高周波出力端子へ出力する降圧トランスとを有する。
このように構成された高周波電源を用いることにより、交流電源から簡単に高周波電流を作成できる。さらに、降圧トランスを採用することにより、低圧・大電流を通流できるので、より導体本数の少ないケーグルを単位給電線として採用できる。
また別の発明は、上記構成の高周波電源を有した非接触給電装置において、インバータと降圧トランスとの間に、インバータから出力された高周波電電圧に含まれる高調波成分を除去するローパスフィルタを挿入している。さらに、降圧トランスと高周波出力端子との間に、降圧トランスから出力された低圧の高周波電流に含まれる高調波成分を除去するローパスフィルタを挿入することも可能である。
さらに、別の発明においては、接続モジュールで接続構成された1本の導線に対して、当該1本の導線が巻回されていることのに起因するインダクタンス成分による電圧降下を補償するコンデンサを直列介挿している。
複数の単位給電線を直列接続した給電線を構成する複数の導線を互いに接続して1本の導線となるともに、巻数が芯線の本数で示されるコイルを形成するので、このコイルに交流を通流させると、インダクタンス成分に起因する電圧降下が生じる。したがって、このコイルにコンデンサを直列介挿して、電圧降下を補償している。
また、別の発明においては、二次巻線で誘起された交流電圧を処理して負荷に供給する受電部を、二次巻線に誘起された交流電圧を整流する整流器と、負荷の負荷電圧を検出する負荷電圧検出部と、負荷電圧検出部で検出された負荷電圧と前記一定電圧との誤差電圧に対応するPWM(パルス幅変調)信号を出力するPWM制御部と、PWM信号にてオン・オフ制御されるスイッチング素子が組込まれ、整流器から出力され前記負荷に供給される直流電圧を制御する電圧制御部と、この電圧制御部で電圧制御され前記負荷に供給される直流電圧に含まれる高調波成分を除去するフィルタと備えている。このような構成の受電部を組込むことによって、負荷電圧を常に一定値に制御できる。
本発明によれば、複数の導線が含まれる単位長の単位給電線を複数直列接続して、両端を接続モジュールに接続し、この接続モジュールを高周波電源に接続しているので、コイル状(マルチターン)の給電線を容易の構成できる。その結果、製造が簡素化でき、保守・点検作業の作業効率を向上できるとともに、電源供給側から負荷に対する高い電力送信効率を実現できる。
以下、本発明の各実施形態の非接触給電装置を図面を用いて説明する。なお、この明細書においては、非接触給電装置がエレベータに組込まれた場合を例にして説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係わる非接触給電装置が組込まれたエレベータの概略構成図である。
図1は本発明の第1実施形態に係わる非接触給電装置が組込まれたエレベータの概略構成図である。
ビル等の建屋内に形成されたエレベータの昇降路21の上側に設けられた機械室22内に制御盤23及び巻上機24が設置されている。巻上機24の主シーブ25及びそらせシーブ26に、一端にかご27が取付けられ、他端に釣合錘28が取付けられた主ロープ29が掛けられている。外部の三相商用電源30から電源ケーブル31を介して三相交流電力が供給される制御盤23内には、巻上機24に組込まれた電動機を回転駆動するモータ駆動回路、図示しない乗場呼びボタンやかご呼びボタンのボタン操作による行先階を指定した呼びに応じて、モータ駆動回路へかご27を指定階へ移動させる指示を出す運転制御部等が組込まれている。
さらに、機械室22内には、三相商用電源30から電源ケーブル31を介して三相交流電力が供給される高周波電源32が設置されている。この高周波電源32は入力された例えば200Vの三相交流電力から、60Hzから10kHzの範囲内の前記制御盤23の設定器33で設定された周波数fSを有する単相の高周波電流Iを生成して、昇降路21内に配線された給電線34に通流させる。
この給電線34は、例えば、昇降路21内の側壁21aに支持部材を介して固定された、かご27の上下方向の移動をガイドするガイドレール35に支持されている。そして、この給電線34はガイドレール35の下端で折り返されており、便宜的に、折返部を挟んで互いに並行する給電線34a、34bが存在するとする。
一方、かご27の側面27aには、E字形断面を有する磁気コア36が取付けられている。この磁気コア36の各溝36a、36bに前記給電線34における各給電線34a、34bが貫通し、この磁気コア36の中央の磁極36cに二次巻線37が巻回されている。この二次巻線37の両端は受電部38に接続されている。そしてこの受電部38に直流の負荷39が接続されている。この負荷39は、例えば、かご27内を照明する照明器や、かご呼びボタン、行き先等を含む各種表示器の電源回路、ドアの開閉器等である。
図2は、給電線34(34a、34b)の具体的構成を示す斜視図である。給電線34は、直列接続された複数の単位給電線40と、この直列接続された状態の複数の単位給電線40のうちの両端に位置する二つの単位給電線40a、40bどうしを接続する接続モジュール41とで構成されている。この接続モジュール41は、高周波電源32の高周波出力端子42a、42bに接続されている。
各単位給電線40において、図3(a)(b)に示すように、例えば、9本の導線43が含まれる例えば1mの単位長の平坦なケーブルの両端にメス型のコネクタ44とオス型のコネクタ45が取付けられている。したがって、単位給電線40のメス型のコネクタ44に他の単位給電線40のオス型のコネクタ45を挿入装着することによって、図2に示すように、複数の単位給電線40を直列接続することが可能となる。
図4(a)は接続モジュール41の概略構成を示す斜視図であり、図4(b)は接続モジュール41の回路図である。この接続モジュール41の一方の側面にメス型のコネクタ44aが形成され、他方の側面にオス型のコネクタ45aが形成されている。各コネクタ44a、45aには、1番から9番まで番号が付された9個の端子46a、46bが設けられ、メス型のコネクタ44aの1番の端子46aが、高周波電源32の一方の高周波出力端子42aに接続されている。また、オス型のコネクタ45bの9番の端子46bが、高周波電源32の他方の高周波出力端子42bに接続されている。さらに、オス型のコネクタ45aの1番から8番の各端子46bは、メス型のコネクタ44aの2番から9番の各の端子46aに接続されている。
そして、接続モジュール41のメス型のコネクタ44aが、直列接続された状態の複数の単位給電線40のうちの両端に位置する一方の単位給電線40aのオス型のコネクタ45に装着されている。また、接続モジュール41のオス型のコネクタ45aが、直列接続された状態の複数の単位給電線40のうちの両端に位置する他方の単位給電線40bのメス型のコネクタ44に装着されている。
このように、直列接続された状態の複数の単位給電線40からなる給電線34に含まれる9本の導体43の一方端と他方端とを、端子46a、46bを順番にずらせながら接続していくことにより、給電線34の単位給電線40に含まれる9本の導線43の自由端どうしが互いに接続されて、図5の等価回路に示すように、1本の導線47が形成される。そして、この形成された1本の導線47の両端は、接続モジュール41の1番の端子46a、及び9番の端子46bを介して、高周波電源32の高周波出力端子42a、42bに接続される。さらに、この形成された1本の導線47は、「9」の巻数を有するコイルを構成する。したがって、高周波電源32から、この1本の導線47に高周波電流が供給される。
図6は、二次巻線37に誘起された交流電圧を直流に変換して負荷39に供給する受電部38の回路図である。
二次巻線37に誘起された高周波の交流電圧は、整流器48で直流に変換され、電圧制御部59で電圧が一定の規定電圧VSに制御され、平滑コンデンサ52aからなるフィルタ52で高調波成分が除去されたのち、直流の負荷39に供給される。この負荷39の両端の電圧、すなわち、図7のタイムチャートで示すように時間的に変化する負荷電圧Vは負荷電圧検出部53で検出されて減算器55へ送出される。電圧指令設定部54は、直流の負荷39が最適条件で動作するための予め定められた図7に示す規定電圧VSを減算器55へ送出する。この規定電圧VSは、負荷39が前述した蛍光灯等を含む場合は、例えば、100v(ボルト)に設定されている。
減算部55は、図7に示すように、負荷電圧Vの規定電圧VSからの誤差電圧Ve(=V―VS)を算出してPI制御部56へ送出する。このPI制御部56内には、時間的に変化する誤差電圧Veに対して定数Kpを乗算する比例演算を行う比例(P)演算部56aと、前記時間的に変化する誤差電圧Veに対して積分定数Kiで積分する積分演算を行う積分(I)演算部56bと、比例演算結果と積分演算結果とを加算して、誤差制御電圧VCとして出力する加算器56cとが組込まれている。PI制御部56は算出した図7に示す時間的に変化する誤差制御電圧VCをPWM制御部57へ送出する。したがって、負荷電圧Vが規定電圧VSに等しい期間は、誤差制御電圧VCは0v(ボルト)となる。
キャリア発生部58は、図7のタイムチャートに示すように、周期TCの三角波からなるキャリア信号CAを作成して、PWM制御部57へ送出する。
PWM制御部57は、キャリア信号CAと誤差制御電圧VCとを比較して、誤差制御電圧VCがキャリア信号CA以下の期間にハイレベルとなるPWM信号pを作成して、電圧制御部59のトランジスタからなるスイッチング素子49へ送出する。
電圧制御部59は、整流器48の(+)側端子と負荷39の(+)側端子との間に、直列に介挿された前記スイッチング素子49と図示極性のダイオード51と、並列接続されたリアクトル50とで構成されている。このような構成の電圧制御部59において、PWM信号pがハイレベル期間になると、スイッチング素子49がオンし、整流器48からのの電流にてリアクトル50が充電される。PWM信号pがローハイレベル期間になると、スイッチング素子49がオフされ、ダイオード51が順方向になるので、リアクトル50に充電された電荷が平滑コンデンサ52aに移動して、平滑コンデンサ52aの端子電圧、すなわち負荷電圧Vが上昇する。この平滑コンデンサ52aに充電された電荷は負荷39で消費される。
負荷電圧Vが規定電圧VSより低い場合は、リアクトル50の充電期間が長いので、平滑コンデンサ52aの端子電圧が上昇し、負荷電圧Vが規定電圧VSより高い場合は、リアクトル50の充電期間が短いので、平滑コンデンサ52aの端子電圧が低下する。その結果、負荷電圧Vが規定電圧VSに一致する。
このように、負荷39には、この負荷39の稼働状態の如何に関わらず、常に規定電圧VSが印加される。
図8は、高周波電源32の概略構成図である。三相商用電源30から電源ケーブル31を介して供給された60Hz、200vの三相交流は、三相ブリッジ回路からなる整流器60で直流に変換され、直流リアクトル61aとコンデンサ61bとからなる平滑回路61で、この直流に含まれる高調波成分が除去される。高調波成分が除去された直流は次のインバータ62の直流側端子63a、63bに入力される。このインバータ62においては、直流側端子63a、63b相互間に、ダイオードとスイッチング素子との並列回路64が4個、単相ブリッジ接続されている。各並列回路64のスイッチング素子は、インバータ制御部65から出力されるPWM(パルス幅変調)信号で通電制御される。
したがって、このインバータ62は入力された直流を交流に変換する。このインバータ62の交流側端子(出力端子)66a、66b間には、インバータ62から出力された高周波電圧を低圧の高周波電圧に変換して、高周波出力端子42a、42bへ出力する降圧トランス67が接続されている。
三相商用電源30から駆動電源が供給されているインバータ制御部65は、制御盤23からの制御に基づいて、インバータ62へ送出するPWM信号のパルス幅、周期を変更することによって、インバータ62の出力電圧の振幅と周波数を可変できる。したがって、操作員は、設定器33にて、高周波電源32から給電線34(34a、34b)へ出力される高周波電圧Vの振幅と周波数fを任意の値に設定可能である。
このように構成された第1実施形態の非接触給電装置においては、高周波電源32から出力された高周波電流Iが流れる給電線34(34a、34b)は、かご27の側面に取付けられた、磁気コア36に磁気的に結合し、この磁気コア36の磁極36cに巻回された二次巻線37にて、高周波電流Iで生起される高周波の磁界Φに対応した交流電圧が誘起され、この交流電圧は受電部38で直流に変換されて、直流の負荷39に供給される。
この場合、図2、図3(a)(b)に示すように、給電線34(34a、34b)は、例えば、9本の導線43が含まれる、例えば、1mの単位長を有したケーブルの両端にメス型のコネクタ44とオス型のコネクタ45とを取付けた単位給電線40を複数直列接続して構成している。そして、直列接続された複数の単位給電線40における両端に位置する接続モジュール41を介して高周波電源32の高周波出力端子42a、42bに接続している。
接続モジュール41内における各端子46a、46bの接続状態により、給電線34を、図5の等価回路に示すように、巻数「9」を有するコイル状の1本の導線47で構成する。高周波電源32から、この1本の導線47に高周波電流が供給される。磁気コア36の各溝36a、36b内を通過する給電線34a、34bの実際の本数(導線43の本数)を簡単に増加(マルチターン化)できる。そして、磁気コア36の中央の磁極36cに巻回された二次巻線37に誘起される交流電圧を上昇できる。よって、負荷39に供給する電力を簡単に増加できる。
また、1m等の単位長を有する単位給電線40を工場で大量に生産しておき、エレベータの建設要求が生じた時には、移動体としてのエレベータのかご27の移動距離(サービス階数)に応じて、直列接続する単位給電線40の数を設定すればよいので、この非接触接給電装置の製造の容易化と製造期間短縮化を図ることができる。
さらに、電磁コアの各溝36a、36b内を通流する9本の電線43は1本のケーブルとして取扱うことができるので、非動作部分との隙間が狭い場所に、簡単に組込むことができ、移動体の運転時に、給電線38どうしが絡まったり、他の構成部材に引っ掛かったりして、運転に予期せぬ支障が生じることが未然に抑制でき、かつ定期的な保守・点検が簡素化される。
さらに、高周波電源32として、図8に示す、交流を整流器60で一旦直流に変換した後、インバータ62で任意の電流値と周波数を有する高周波電流を得るようにしているので、負荷39の構成や必要な電力容量に応じて、この負荷39に供給する電力を簡単に調整可能である。さらに、受電部38でもって、負荷39には、この負荷39の稼働状態の如何に関わらず、すなわち負荷変動によらず、常に一定の規定電圧VSが印加される。
さらに、高周波電源32の出力段に、降圧トランス67を採用することにより、低圧・大電流を給電線34に通流できるので、単位給電線40の導線43の数を低減でき、よっり、経済的な非接触給電装置を実現できる。
(第2実施形態)
図9は本発明の第2実施形態に係わる非接触給電装置に組込まれた高周波電源の概略構成図である。図8に示す第1実施形態の高周波電源32と同一部分には同一符号を付して、重複する部分の説明を省略する。また、その他の部分は、図1〜図7と同じであるので説明を省略する。
図9は本発明の第2実施形態に係わる非接触給電装置に組込まれた高周波電源の概略構成図である。図8に示す第1実施形態の高周波電源32と同一部分には同一符号を付して、重複する部分の説明を省略する。また、その他の部分は、図1〜図7と同じであるので説明を省略する。
この第2実施形態に係わる非接触給電装置における高周波電源32aにおいては、インバータ62の出力端子66a、66bと降圧トランス67との間に、直列リアクトル68aとコンデンサ68bとからなるローパスフィルタ68が介挿されている。
このように構成された第2実施形態に係わる非接触給電装置における高周波電源32aにおいては、インバータ62から出力された高周波の交流に含まれるリップル成分がこのローパスフィルタ68にて除去されるので、降圧トランス67の負担を低減できる。また、給電線34(34a、34b)に供給される高周波電流の高調波成分も除去され、波形がサイン波形となり、無駄な電力損失が抑制され、消費電力を抑制することができる。
(第3実施形態)
図10は本発明の第3実施形態に係わる非接触給電装置に組込まれた高周波電源の概略構成図である。図8に示す第1実施形態の高周波電源32と同一部分には同一符号を付して、重複する部分の説明を省略する。また、その他の部分は、図1〜図7と同じであるので説明を省略する。
図10は本発明の第3実施形態に係わる非接触給電装置に組込まれた高周波電源の概略構成図である。図8に示す第1実施形態の高周波電源32と同一部分には同一符号を付して、重複する部分の説明を省略する。また、その他の部分は、図1〜図7と同じであるので説明を省略する。
この第3実施形態に係わる非接触給電装置における高周波電源32bにおいては、降圧トランス67と高周波出力端子42a、42bとに間に直列リアクトル69aとコンデンサ69bとからなるローパスフィルタ69が介挿されている。
このように構成された第2実施形態に係わる非接触給電装置における高周波電源32bにおいては、インバータ62から出力され、降圧トランス67にて低圧された高周波電圧に含まれるリップル成分がこのローパスフィルタ69にて除去される。この第3実施形態においては、降圧トランス67に起因する高調波成分も除去されるので、第2実施形態に比較して、給電線34(34a、34b)に供給される高周波電流の高調波成分をより低減することができる。
(第4実施形態)
図11は本発明の第4実施形態に係わる非接触給電装置における給電線34(34a、34b)の接続モジュール41を介した高周波電源32に対する接続部分の等価回路図である。図5に示す第1実施形態の高周波電源32に対する接続部分の等価回路図と同一部分には同一符号を付して、重複する部分の説明を省略する。また、その他の部分は、図1〜図4、図6〜図8と同じであるので説明を省略する。
図11は本発明の第4実施形態に係わる非接触給電装置における給電線34(34a、34b)の接続モジュール41を介した高周波電源32に対する接続部分の等価回路図である。図5に示す第1実施形態の高周波電源32に対する接続部分の等価回路図と同一部分には同一符号を付して、重複する部分の説明を省略する。また、その他の部分は、図1〜図4、図6〜図8と同じであるので説明を省略する。
この第4実施形態においては、高周波電源32の一方の高周波出力端子42aと、接続モジュール41における単位給電線40aの1番の導線43が接続された、メス型のコネクタ44aの1番の端子46aとの間に、直列にコンデンサ70を介挿している。
前述したように、給電線34を構成する9本の導線43は、図11に示すように、接続モジュール41でもって、巻数9を有するコイルを構成する1本の導線47となる。したがって、高周波電源32から、コイルを構成する1本の導線47に高周波電流が供給される。その結果、コイルのインダクタンス成分に起因する電圧降下が生じる。したがって、このコイルにコンデンサ70を直列介挿して、電圧降下を補償している。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。本発明の非接触給電装置はエレベータ以外にも適用できることは言うまでもない。例えば列車、電車、モノレール等の予め定められた経路を移動する移動体に対して非接触で電力を供給することが可能である。
21…昇降路、22…機械室、23…制御盤、27…かご、30…三相商用電源、31…電源ケーブル、32,32a,32b…高周波電源、34,34a,34b…給電線、35…ガイドレール、36…磁気コア、37…二次巻線、38…受電部、39…負荷、40…単位給電線、41…接続モジュール、42a,42b…高周波出力端子、48,60…整流器、49…スイッチング素子、50…リアクトル、51…ダイオード、52…フィルタ、53…負荷電圧検出部、54…電圧指令設定部、55…減算部、56…PI制御部、57…PWM制御部、58…キャリア発生部、61…平滑回路、62…インバータ、65…インバータ制御部、67…降圧トランス、68,69…ローパスフィルタ、70…コンデンサ
Claims (7)
- 交流電源から供給される交流電力から、60Hzから10kHzの範囲内の周波数を有する高周波電流を生成する高周波電源と、
この高周波電源から供給された高周波電流が通流する給電線と、
この給電線に対して非接触で磁気的に結合する磁気コアと、
この磁気コアに巻回され、前記給電線に流れる高周波電流に対応した交流電圧が誘起される二次巻線と、
この二次巻線に誘起された交流電圧を整流して負荷に対して平準化した一定電圧を供給する受電部とを備え、
前記給電線は、複数の導線が含まれる単位長のケーブルの両端にコネクタが取付けられた複数の単位給電線と、この複数の単位給電線を両端のコネクタで直列接続した状態における両端に位置する二つの単位給電線の導線どうしを互いに接続して1本の導線とするとともに、この1本の導線の両端を前記高周波電源の高周波出力端子へ接続する接続モジュールとを有する
ことを特徴とする非接触給電装置。 - 前記負荷、前記磁気コア、前記二次巻線及び前記受電部は移動体に搭載されており、
前記給電線は前記移動体の移動方向に沿って敷設されている
ことを特徴とする請求項1記載の非接触給電装置。 - 前記高周波電源は、
前記交流電源から供給される交流電力を直流に整流する整流器と、この整流器で整流された直流を平滑する平滑回路と、この平滑回路で平滑された直流を単相の高周波電力に変換するインバータと、このインバータの出力周波数及び出力電圧を制御するインバータ制御部と、前記インバータから出力された単相の高周波電圧を低圧の高周波電流に変換して前記高周波出力端子へ出力する降圧トランスとを有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の非接触給電装置。 - 前記インバータと前記降圧トランスとの間に、前記インバータから出力された高周波電電圧に含まれる高調波成分を除去するローパスフィルタを挿入したことを特徴とする請求項3記載の非接触給電装置。
- 前記降圧トランスと前記高周波出力端子との間に、前記降圧トランスから出力された低圧の高周波電流に含まれる高調波成分を除去するローパスフィルタを挿入したことを特徴とする請求項3記載の非接触給電装置。
- 前記接続モジュールで接続構成された1本の導線に対して、当該1本の導線が巻回されていることに起因するインダクタンス成分による電圧降下を補償するコンデンサを直列介挿したことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の非接触給電装置。
- 前記受電部は、
前記二次巻線に誘起された交流電圧を整流する整流器と、
前記負荷の負荷電圧を検出する負荷電圧検出部と、
この負荷電圧検出部で検出された負荷電圧と前記一定電圧との誤差電圧に対応するPWM信号を出力するPWM制御部と、
前記PWM信号にてオン・オフ制御されるスイッチング素子が組込まれ、前記整流器から出力され前記負荷に供給される直流電圧を制御する電圧制御部と、
この電圧制御部で電圧制御され前記負荷に供給される直流電圧に含まれる高調波成分を除去するフィルタとを有する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の非接触給電装置。
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