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JP2008532509A - 方向づけられた神経分化 - Google Patents

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Abstract

神経の運命へ向かいかつ非神経の運命から離れる分化が、ES細胞でのNotchシグナリングの活性化および次いで神経分化プロトコールへ細胞を移すことによって促進される。神経分化のための培地は、Notchアクチベーター、例えば、密集し得るNotchリガンドを含む。遺伝子操作がNotch活性化のための培地添加物の代替として用いられる。

Description

本発明は、方向づけられた神経分化に関する。特に、本発明は、多能性細胞の、神経の運命への分化を促進すること、非神経の運命への分化を減少させること、および神経細胞の培養物を維持すること、ならびにそのための方法および組成物に関する。
幹細胞研究における重要な目的は、胚性幹(ES)細胞を神経系統へ確実に変換することである。このことは2つの理由から重要である:神経特異化の機構をよりよく理解すること、および神経細胞および組織を、例えば、再生医療のために、非神経細胞による最小の汚染で提供すること。
この目的への最近の進歩は、ES細胞の大部分が神経前駆体になる培養条件の同定を伴ってきた(Yingら,2003b)。これらの培養条件の2つの中心の特徴は、ESおよび神経の両方の細胞の生存を支持すること、およびES細胞の神経特異化の重要なインヒビターである(そして血清によって提供され得る)外因性BMPのソースを欠くことである(Yingら,2003a)。
しかし、これらの最適化された培養条件下でさえ、20%から40%の細胞は神経特異化に抵抗する:これらの約半分は非神経系統へ分化し、一方では、他は未分化のES細胞として残る。
Notchシグナリングは、隣接する細胞間のシグナリングを媒介することによって、分化の決定を調節することが、多くの異なる組織において知られている(Lai,2004)。NotchレセプターおよびリガンドはES細胞で発現するが、この場合のそれらの機能はこれまで知られていない。Notchリガンドは、Delta(Delta1,3および4)およびJagged(Jaggedは時々Serrateとも呼ばれ、そして2つの形態、Jagged1およびJagged2が同定されている)と呼ばれる2つの密接に関連したファミリーのメンバーを含む。それらはすべて細胞表面に位置する膜貫通タンパク質であり、そして隣接する細胞上のNotchレセプターに結合しそしてこれを活性化する。
系統が関係づけられた細胞に対するNotchの作用は一般に分化を阻害することであることが知られている。したがって、ES細胞は、Notchがその標的遺伝子の転写を活性化するために必要とされ、そしてすべての4つのNotchレセプターの活性を媒介すると考えられている、コアクチベーターであるRBPJkの標的された欠失を伴って作成された(Schroederら,2003)。これらのES細胞は中胚葉系統へうまく分化させられた−この研究の焦点は、心筋細胞へ向かいかつ他の中胚葉系統から離れる、ES由来の中胚葉のその後の分化の傾向を明らかにすることであった。
別の研究では、RBPJk欠損ES細胞が神経球を生成し得た(Hitoshiら,2002)。残念ながら、神経球培養物は非常に選択的であり、神経特異化の全体の割合に対するいかなる定量的効果についても結論づけることは困難である。
Notchは、組織においてもまた研究されてきた;例えば、Notchリガンド−Fc融合物を細胞培養培地へ添加し、そして次いで、Notchリガンドを密集させるために抗Fc抗体を添加することによって、神経細胞でNotchシグナリングを活性化する試みが知られている。しかし、これらの研究は多能性細胞に対するNotchシグナリングの効果とは関連しない。
ES細胞から分化した細胞の純粋な集団、例えば純粋な神経細胞系統を得ることが望まれ、そしてES細胞から神経幹細胞(NSC)を作成するためのプロトコールが存在する。たとえそうでも、数日の培養が必要とされる。これを減少させることが望まれる。
たとえNSCが得られる場合でも、その培養物は多くの混入非神経細胞をなお含む。さらに、多くのNSCが分化し、より少ししかおよびほとんど均一な培養をもたらさない。さらなる培養の制御、例えば、このように望まれるまでさらなる分化を阻害することは有利である。
神経細胞の培養の現存する方法に伴う別の問題は、細胞が培養条件の小さな変化に影響されやすいことである。細胞の生存は、例えばプレーティング密度の変化によってしばしば不利に影響を受ける。
ES細胞、特にヒトES細胞から神経の子孫を誘導する試みに伴うさらなる問題は、高密度での培養が神経の誘導を抑制する傾向があることであり、したがって、たとえより低い細胞密度が減少した細胞の生存をもたらし得ても、いかなる神経の誘導も低い細胞密度でそして結果として低い収率でのみ行われ得る。
本発明の目的は、多能性細胞、特にES細胞の培養物を神経の運命へ分化させる傾向を改良すること、そして好ましくはできる限り100%に近い割合で変換を達成することである。
本発明の特定の実施態様のさらなる目的は、細胞にずっと最終分化を強いることなく神経幹細胞の運命への分化を促進することであり、例えば初期分化後の神経幹細胞の段階で細胞を維持することが望まれる。
本発明の特定の実施態様の別の目的は、神経細胞へのマウスおよびヒトの両方、および他の起源のES細胞の変換を高密度で可能にすることである。
本発明の特定の実施態様のよりさらなる目的は、神経細胞培養物をよりロバスト性にし、細胞の生存を強め、そして培養条件の変化の影響を減少させることである。
本発明において、神経特異化は、Notchシグナリングの活性化によって促進される。したがって、増大したNotchシグナリングは、例えばESまたは他の多能性細胞の培養の間にBMPおよび/または血清の除去の後、多能性細胞培養物を神経細胞の培養物へ変換するために用いられ得る。
本発明の第1の局面は、神経の運命への多分化能性細胞または多能性細胞の分化促進におけるNotch活性化の使用を提供する。細胞は、好ましくは多能性幹細胞、特に胚性幹(ES)細胞である。
発明者らは、ES細胞が、Notchシグナリングによって、非神経細胞の生産が減少した分化に偏り得ることを見出した。これにより、混入細胞が減少したより純粋な神経細胞培養物を得る。
Notchシグナリングを活性化するために、1つの選択肢は、構成的にまたは可逆的に、Notchの活性化形態、例えばNotchの細胞内ドメインを発現させることである。下記の実施例において、Notchを活性化形態で異所性発現させ、そしてこれが、たとえ高い細胞密度でも、培養物中の神経特異化を促進することを見出した。
本発明の第2の局面は、最終分化神経細胞、すなわちニューロンおよびグリアへの神経前駆細胞または神経幹細胞の分化抑制におけるNotch活性化の使用を提供する。最終分化細胞への神経前駆体の分化を防ぎまたは少なくとも遅らせるために、発明者らは、神経細胞培養物中にNotchの活性化を用いた。これは、前駆体段階で神経細胞培養物を維持し、さらなる純化が、例えば、所望の最終分化細胞への分化を積極的に促進する前に行われることを可能にする。結果として、培養物およびその純度の制御が改良される。
本発明は、一般に、齧歯動物および霊長動物の細胞を含む、動物細胞への適用にある。特別の実施態様において、本発明はマウスまたはヒトの神経細胞を培養するために行われる。
本発明は、神経細胞または神経前駆細胞を含み、そして好ましくは非神経細胞を含まないまたは実質的に含まない、培養物を得るために細胞を培養する方法もまた提供する。
1つのこのような、神経前駆細胞に富む培養物を得る方法は、
(a)神経または非神経のいずれかの運命へ関係づけられた子孫を形成する可能性を有する多分化能性細胞または多能性細胞を含む培養物を提供する工程;および
(b)該細胞でNotchシグナリングを活性化する工程
を含む。
Notchを活性化する工程は、分化を神経の運命へ方向づける唯一の手段としてか、あるいは神経特異化を刺激することが知られている因子の添加のような他の手段と組み合わせて、培養物中の神経特異化を増大させることがわかっている。
Notchとは、その名前の膜貫通タンパク質をいい、これは現在、4メンバーのファミリーであることが知られており、このファミリーは、様々な同定されたリガンドに対するレセプターとして作用し、そして側抑制を介して細胞の運命の選択を媒介することが報告された。「Notch」および「Notchレセプター」という用語は、文脈に応じて同じ意味を有してもよい。リガンドの結合はタンパク質の切断をもたらし、これは、Notchの活性化形態、Notchの細胞内ドメインおよびNotchレセプターの活性化形態と様々に呼ばれる、Notchの細胞内の活性化形態を生じる。細胞内ドメインはRBPjk(CBPとしてもまた知られている)と複合体を形成し、そして複合体は核内でDNAに結合し、そしてNotchの標的遺伝子の転写を活性化する。NotchシグナリングおよびNotchの活性化ならびにNotchシグナリングの活性化とは、Notchの活性化形態によってインビボで媒介される1以上のシグナリング経路の活性化をいい、したがって、標的遺伝子および/または他の下流のエフェクターの増大した転写をいう。
したがって、Notchシグナリングは、Notchレセプターの細胞内ドメインのようなNotchレセプターの活性化形態を多分化能性細胞または多能性細胞で発現させることによって活性化され得る。発明者らが行った実施例において、この活性化は、レセプターの活性化形態をコードするベクターを用いて遺伝子操作で得られた。
Notchシグナリングは、Notchリガンド、すなわち細胞表面のNotchレセプターに結合するリガンドを培養培地へ添加することによってもまた活性化され得る。このアプローチは、細胞の遺伝子操作を回避し、そして簡単かつ迅速に調節および制御され得るため、他よりも好適であり得る。
以下の実施例で用いられそしてそこにより詳細に記載される好ましいNotchリガンドは、リガンドに固有か、あるいは例えば、融合タンパク質中で付加されるいずれかのタグをさらに含み、そしてタグは、さらなる培地成分、すなわち密集分子によって結合され得る。密集分子は2以上のタグに結合し、したがって、2以上のリガンドを互いにごく近くに保持する。タグは抗体が結合するペプチド配列のような密集エピトープとも呼ばれ得る。
したがって、本発明の好ましい方法は、タグ付けされたリガンドおよび密集分子を培養培地へ添加する工程をさらに含む。使用において、密集分子は2以上のタグに結合し、そしてリガンドを一緒に保持する。リガンドは培養物中の細胞の表面のNotchレセプターに結合し、そして結果としてNotchレセプターは一緒に密接に保持され、または細胞表面上で密集する。
この密集はNotchシグナリングの活性化の一部であり、そしてNotchリガンドは、Notchをうまく活性化するためには細胞膜に付着させる必要があり得ると考えられている−Notchリガンドの特別に設計された可溶性形態を用いるいくつかの試みは、効果を有しないか、あるいはNotchシグナリングを活性化するよりもむしろ阻害する。リガンドは一緒に密集する場合にのみ活性であり得、そしてその密集は細胞膜におけるそれらの局在によって促進される。したがって、細胞の形質膜を横切らない可溶性リガンドを用いるNotch活性化を達成するために、可溶性リガンドは、2以上のリガンド上のタグに結合し、そのため、密集分子(Notchリガンド)複合体を形成し、そしてNotchリガンドを密集させる、別々の密集分子によって結合されるタグと組み合わされ得る。例えば、NotchリガンドとFc配列との融合タンパク質は、タグ付けされたリガンドとして効果的であることがわかった。詳細には、UCLAのGerry Weinmasterの研究室のCarol Hicksは、Fc分子と融合したDeltaまたはJaggedを有する融合タンパク質を設計した。密集は抗Fc抗体を添加することによって開始される。Delta−FcまたはJagged−Fcあるいは他のタグ付けされたリガンドは、Fc抗体と一緒に培養培地へ添加される。別の選択肢は多価形態のリガンドを提供することであり、したがって、1つのリガンドは2以上のレセプターに結合し、そしてレセプターを密集させる。Morrisonら(Cell, 101巻, 2000年5月26日, 499-510頁)においては、Notchシグナリングは密集分子と融合した可溶性リガンドを用いて活性化された。Huら(Cell, 115巻, 2004年10月17日, 163-175頁)においては、NotchシグナリングはF3をリガンドとして用いて活性化された。他の公知のNotchリガンドはContactin、Lag2およびSerrate(Jaggedの別の用語)である。
多すぎる量のリガンドおよび/または抗体が用いられる場合、可溶性の密集したFcリガンドは異なる効果を有し得る−なぜなら、過剰はNotchシグナリングの拮抗作用をもたらし得るからである。Fc−リガンドの効果は、特に用いられる抗Fc抗体の濃度に依存し得る:多すぎる抗体(特大の密集を生じると考えられる)は、アゴニストの効果よりもむしろアンタゴニストの効果を生じる無抗体(無密集)と同じ効果を有する。Hicks C, Ladi E, Lindsell C, Hsieh JJ, Hayward SD, Collazo A, Weinmaster G.「A secreted Delta1-Fc fusion protein functions both as an activatorおよびinhibitor of Notch1 signalling.」J Neurosci Res. 2002年6月15日; 68(6): 655-67を参照のこと。このことはよく知られており、そして記述されているため、当業者が、Notch活性化のみが得られることを確実にするために過剰の量の密集分子を回避することは簡単である。
Notchシグナリングは、Notchシグナリングの1以上の下流のエフェクターを発現させることによってもまた活性化され得る。例えば、Notchの細胞内ドメインによって直接的または間接的に標的化された遺伝子産物を異所性発現させ得る。したがって、例えば、Notchシグナリングは、HesまたはHey転写因子の活性を増大させるHesまたはHey遺伝子の発現によって達成され得る。Notch活性化は、HesおよびHey遺伝子の下流の標的の増大した活性によって達成され得る。Notch活性化は、J. Biological Chemistry, 278巻, 45号, 2004年11月7日発行, 44808-44815頁に記載のように、Sakamotoらによって、Hey遺伝子を発現させることによって行われた。一般に、この発現は、異なる範囲のベクター、例えばトランスフェクションベクターを用いて、あるいはウイルスベクター(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、またはアデノウイルス)を用いて達成され得る。
Notchエフェクターはまた、Notchエフェクターが細胞の形質膜を横切るのを可能にするトランスダクションドメインを含み、またはこれに結合され得る。このような実施態様において、トランスダクションドメインは、エフェクターが形質膜を横切り、そして培養培地から細胞に入るのを可能にする。エフェクターおよびドメインのさらなる詳細を以下に示す。
Notchシグナリングは、Notchリガンドを発現する細胞、例えばDeltaまたはJaggedを発現するフィーダー細胞との共培養によってもまた活性化され得る。細胞は、Notchリガンドを発現するように設計され、そして次いでこの目的のために用いられ得る。
Notchシグナリングは、細胞培養に用いられる器具の一部をNotchリガンドでコーティングすることによってもまた達成され得る。例えば、培養プレートまたはディッシュ、あるいは培養物中にあるビーズは、その表面に付与されるNotchリガンドを有し得る。
Notchアクチベーターを細胞で発現させる本発明の実施態様において、この発現は構成的または条件的であり得る。発現は、リコンビナーゼタンパク質、例えば、Cre−Lox系を用いて制御され得る。
Notchの活性化は、上述のように、神経特異化を促進するために他の工程と共に行われ得る。Notch活性化の前に、Notch活性化と同時に、あるいはNotch活性化の後に、細胞は神経の運命へ分化するように誘導され得る。
この誘導は、細胞が培養されている培地中の変化によって達成され得る。1つの実施例では、誘導工程は、細胞が培養されている培地から血清を除去する工程、または血清を含まない培地へ細胞を移す工程を含む。
誘導は、外因性因子の添加または除去によって達成され得る。1つの実施例では、誘導工程は、細胞が培養されている培地へ神経特異化を促進する因子を添加する工程、またはこのような因子を含む培地へ細胞を移す工程を含む。適切な因子としては、レチノイン酸、およびBMPアンタゴニスト(例えば、ノギン)が挙げられる。
誘導は、培養物の物理的性質の変化によって達成され得る。例えば、誘導工程は、単層培養物へ細胞を移す工程、無血清培養物へ細胞を移す工程、および/またはPA6フィーダー層上にプレーティングする工程を含み得る。
一旦、神経特異化が開始されると、神経細胞の割合をさらに増加させるように、得られる培養物を純化する工程を経ることが好ましい。したがって、Notchシグナリングは神経前駆体の分化を防ぐまたは減少させることもまたわかったため、Notch活性化の別の特性は、本発明に利用され得る。Notchシグナリングの活性化を維持することによって、細胞はより長い期間に亘り神経前駆体として維持され得る。Notch活性化の維持は、Notchリガンドを培地中に維持し続けることまたはNotchアクチベーターを発現させ続けることによって達成され得る。
神経細胞の割合のさらなる改良は、非神経細胞の除去によって適切に行われる。特に、分化しなかった多分化能性細胞または多能性細胞が除去される必要があり得る。1つの方法は、多分化能性細胞または多能性細胞に非許容である培地または培養条件で細胞を培養すること、またはこのような培地または培養条件へ細胞を移すことである。このように、Notchシグナリングは神経特異化を促進し、そして非許容条件は出発の多分化能性細胞または多能性細胞を除去する。
一般に、LIFの不在は、マウス多能性細胞に非許容である。培養物への還元剤の添加もまた、一般的に、多能性細胞に非許容である−例えば、メルカプトエタノールが培養培地へ添加され得る。細胞がより低い密度でリプレーティングされる場合、これはオートクリンLIFのレベルを低下させ、そしてこれもまた多能性細胞の生存に非許容である。
培養物は、あるいはまたはさらに、選択マーカーの所望の神経細胞での優先的な発現を用いて改良され得る。細胞を純化する方法は、選択マーカーを神経前駆細胞で発現させる工程、およびマーカーを発現する細胞を選択する工程を含む。選択マーカーは、抗生物質が、非神経細胞の培養物を枯渇させるために選択的に用いられ得る場合には、抗生物質への耐性をコードし得、あるいはマーカーに対する抗体またはFACSが用いられ得る場合には、細胞表面マーカーまたは蛍光タンパク質をコードし得る。他の選択の方策が知られており、そして、例えばEP0695351に記載されている。
本発明の他の局面においては、本方法に用いられる細胞は、適切には多能性細胞、特にES細胞であり、そして別々に齧歯動物または霊長動物の細胞、特にマウスまたはヒトの細胞であり得る。得られる細胞が、ヒト多能性細胞から得られるヒト神経細胞または神経前駆細胞であることが特に好ましい。
本発明内での操作の実施例において、ES細胞をNotchシグナリングの存在下で分化させ、ES(すなわち、分化しなかった細胞)およびNS細胞の混合培養物を得た。約90%のNSの割合であり、このうち60%が放射状グリア細胞および30%がsox1陽性であった。次いで、この混合培養物を、ES細胞の増殖または自己再生を支持しない培地へ移した。
したがって、本発明は、培養物中の多能性細胞の分化の制御を改良するためにNotchシグナリングを用いる。1つのアプローチは、活性化Notchレセプターを発現させることである。別のアプローチは、細胞表面レセプターに対するリガンドを用いる。さらなるアプローチは、細胞の上または外側で結合し、そして細胞の内側でNotchを活性化する1以上のリガンドを培養培地へ単に添加することである。現在公知のほとんどのリガンドは、分泌される可溶性タンパク質として正常に機能せず、そのため、これらのリガンドは、好ましくは、トランスダクションドメイン、例えば、tatペプチドと融合したNotch細胞内ドメインの可溶性型と組み合わされ、このドメインは、培養培地へ添加される場合、細胞の形質膜を横切り得る。これは、内因性Notchレセプターの活性化/切断の必要性を回避する。このアプローチは、creリコンビナーゼおよびHoxB4と一緒にうまく用いられた。そして、血清(これは、膜を横切るtat融合タンパク質トランスロケーションを阻害し得る)が存在しない本発明の神経誘導系によく適している。Hes5の過剰発現は、Notch細胞内ドメインの過剰発現と同様の効果を示し、したがって、本発明の別の特定の実施態様は、tat−Hes5融合物であり、そしてこれは、別の培地添加物である。Hes5は、過剰発現した場合、Notchと同様の効果を有する。Notch活性化における使用に適切な他のリガンドとしては、一般的に、Hesファミリー(例えば、Hes1、Hes5、Hes6)およびHey遺伝子が挙げられる。
以下に詳細に記載する実施例において、発明者らは、Notchが、増殖条件下(LIF+血清)で胚性幹細胞の自己再生を妨げないが、LIF+血清の除去の後に神経系統への特異化へ細胞を偏らせることを示すために、機能獲得のアプローチを用いた。Notchの活性化形態の構成的発現は、非神経系統への分化をブロックする一方、迅速かつ同調的な神経特異化をもたらした。さらに、活性化Notchは、ES由来細胞の最終分化をもたらさなかったが、むしろ、神経前駆体としてのそれらの増殖を可能にした。
発明者らのデータは、Notchシグナリングが、標準的な神経分化プロトコールの間に細胞のサブセットによってのみ受容される神経特異化のための制限必要条件であり得ることを示唆する。本発明によれば、Notchシグナルを受容する細胞の数を増加させることは、ES細胞または神経前駆体のいずれかとして細胞を増殖させる能力を損なうことなく、神経特異化プロトコールの効率を改良する。
本発明は、Notchシグナリング経路を活性化する遺伝的および非遺伝的手段の両方を用いた。Delta−Fc、Jagged−Fcおよびコンタクチン−Fcもまた、活性化Notch(NotchIC)を異所性発現する場合に見られる効果を模倣して、Notchを活性化するために用いられ得る。遺伝子操作に頼ることを回避するという利点があり、そして発明者らは、非遺伝的技術が将来有利であると考える。
以下でより詳細に記載する実施例において、発明者らは、Notchレセプターの活性化形態を異所性発現させた。構成的に活性なNotchを用いて、ES細胞は、ES細胞として培養物中に維持され得るが、非神経細胞への変換は減少した。次いで、Notchを発現させ続けたまま、分化のために、培地がLIF+BMPまたはLIF+血清からN2B27ベースの培地へ変更される場合には、細胞は、以前よりも迅速にかつ高い%で神経細胞へ変換する。細胞はsox1陽性、および次いでBLBP陽性になり、そして数週間BLBP陽性細胞として保持され得る。増殖しない何らかのニューロンが得られる。BMPが添加される場合、非神経の分化はない(しかし、BMPはこれまで非神経を分化させると期待されてきた)。
本発明はそれと共に多くの好都合をもたらす。神経細胞の割合が増加しおよび非神経細胞の割合が減少する。混入する細胞は、まさにES細胞である傾向があり、これらは、非ES支持培地への移し替え、または非ES許容的条件および/または培地を採用することによって除去され得る。発明者らは、さらに、Notchシグナリングの活性化が、遺伝子操作および外部リガンドの両方を用いて行うことが簡単であることを見出した。
Notch活性化は、ES細胞の自己再生および増殖に対する有害な影響を有しないことがわかった。これは、Notchが活性化される多能性細胞が以前のように培養され得、そして次いで分化するように誘導される場合、非神経細胞による所望の神経培養物の汚染を減少させるためにNotch活性化が用いられるため、好都合である。
増大した細胞密度が達成され得、そして培養物はよりロバスト性であることがわかった。
本発明のさらなる局面は、培地添加物、培地およびヌクレオチドならびに一定の添加物をコードするベクターを提供する。
本発明のヌクレオチド配列は、Notchレセプターの活性化形態をコードする。Notchレセプターの活性化形態は、好ましくは、Notchレセプターの細胞内ドメインを含む。この配列は、外部リガンドを用いることなくNotchシグナリングを提供するために用いられ得、そして連続的なNotchシグナリングを提供するように可逆的または構成的に細胞で発現され得る。好ましくはまた、Notchレセプターの活性化形態はNotchレセプターの細胞外ドメインを欠く。
本発明のベクターは、このヌクレオチド配列を含む。以下の実施例で用いられる本発明の実施態様のベクターは、Notchレセプターの活性化形態を多能性細胞および神経細胞で発現するプロモーターを含む。ベクターは、活性化レセプターを発現するように、細胞、例えば、多能性細胞を形質転換するために用いられる。
本発明のさらなるヌクレオチド配列は、Notchシグナリングの下流のエフェクターをコードする。エフェクターは、好ましくは、HesおよびHey転写因子から選択される。この配列はまた、外部リガンドを用いることなくNotchシグナリングを提供するために用いられ得、そして連続的なNotchシグナリングを提供するように可逆的または構成的に細胞で発現され得る。
本発明のさらなるベクターは、このヌクレオチド配列を含む。以下の実施例で用いられる本発明の実施態様のベクターは、エフェクターを多能性細胞および神経細胞で発現するプロモーターを含む。ベクターは、エフェクターを発現するように、細胞、例えば、多能性細胞を形質転換するために用いられる。
本発明はまた、Notchシグナリングの下流のエフェクターまたはNotchレセプターの活性化形態、およびトランスダクションドメインを含む組成物を提供する。この組成物は、Notchシグナリングのアクチベーターを提供するように培養培地へ添加されるか、または含まれ得る。Notchレセプターの活性化形態は、代表的にはNotchレセプターの細胞内ドメインを含む。
トランスダクションドメインは、組成物が細胞に入るのを可能にする。多くの適切なトランスダクションドメインが、当該技術分野において知られており、そしてトランスダクションドメインまたはトランスロケーションドメインとは、タンパク質のドメインまたはフラグメントをいい、これは、それ自身および/または他のタンパク質および物質が膜または脂質二重層を横切る輸送をもたらし、そして天然のドメインならびにこの結合機能を保持するフラグメント変異体および誘導体を含む。後者の膜は、レセプター媒介エンドサイトーシスの過程の間にトランスロケーションが生じるエンドソームの膜であり得る。トランスロケーションドメインは、低いpHで脂質膜に測定可能な細孔を形成し得るという特性によってしばしば同定され得る(Shone et al. (1987) Eur J. Biochem. 167, 175-180が適切な試験を記載している)。したがって、トランスロケーションドメインの後者の特性は、本発明の構築物内でトランスロケーションドメインとして機能し得る他のタンパク質ドメインを同定するために用いられ得る。細菌の神経毒素由来のトランスロケーションドメインの例は以下の通りである:
A型ボツリヌス神経毒素−アミノ酸残基(449〜871)
B型ボツリヌス神経毒素−アミノ酸残基(441〜858)
C型ボツリヌス神経毒素−アミノ酸残基(442〜866)
D型ボツリヌス神経毒素−アミノ酸残基(446〜862)
E型ボツリヌス神経毒素−アミノ酸残基(423〜845)
F型ボツリヌス神経毒素−アミノ酸残基(440〜864)
G型ボツリヌス神経毒素−アミノ酸残基(442〜863)
破傷風神経毒素 −アミノ酸残基(458〜879)
他の適切なトランスロケーションドメインは、TAT(例えばHIV−1由来)およびペネトラチンであり、これは、共有結合されたペプチドを内部に取り入れ、および核にそれらを運搬し、またはそれらが運搬されることを可能にするアミノ酸の短い配列である。さらに適切なドメインは、アンテナペディアなどの誘導体であるVP22のようなタンパク質トランスダクションドメインと呼ばれ、Wadiaら(2002)に記載されている。これらのドメインは、NotchリガンドまたはNotchレセプターの活性化形態に、例えば、チオール官能基を介して化学的に結合され得、または両方の構成成分を含む融合物が発現され得る。結合された分子、融合物およびこれを含む組成物は本発明の他の局面を形成する。これらは、例えば、NotchリガンドまたはNotchレセプターの活性化形態で細胞をトランスフェクトすることの代替として培養培地への添加物として用いられ得る。
トランスロケーションドメインとの関連での「トランスロケーション」とは、細胞表面への結合の後に生じる内在化事象を意味する。これらの事象は、細胞のサイトゾルへの物質の輸送をもたらす。
したがって、ES細胞へのNotchエフェクターまたはNotchレセプターの活性化形態の送達のための組成物は、
NotchエフェクターまたはNotchレセプターの活性化形態、および
NotchエフェクターまたはNotchレセプターの活性化形態をES細胞内へトランスロケートするトランスロケーションドメイン:
を含む。
トランスロケーションドメインはまた、(1)ジフテリア毒素のHドメイン、(2)ジフテリア毒素のHドメインのトランスロケーション活性を実質的に保持する(1)のフラグメントまたは誘導体、(3)膜融合性ペプチド、(4)膜破壊ペプチド、および(5)(3)および(4)のトランスロケーションフラグメントおよび誘導体から選択され得る。
さらに、本発明の融合タンパク質をコードする単離されたヌクレオチドおよびこれらのヌクレオチドを含むベクターが、本発明により提供される。
神経細胞の培養のための本発明の培地は、培地中の細胞でNotchシグナリングを活性化する構成成分を含む。
培地は、Notchリガンドを含み得、これは多価のNotchリガンドであり得、そしてそれ自身上でNotchレセプターを密集させることができる。培地は、Notchリガンド−タグ融合タンパク質および2以上のこのような融合タンパク質に結合する密集分子を含み得る。培地は、Notchレセプターの細胞内ドメインのような活性化Notchレセプター、または必要に応じて上記のようなトランスダクションドメインに結合されたNotchエフェクターを含み得る。
本発明のさらなる培地は、多分化能性細胞または多能性細胞に非許容であり得る。この培地は、神経細胞へ分化しなかった細胞の培養物をさらに枯渇させるために用いられ得る。好ましい培地は、多能性細胞に非許容である。
本発明のよりさらなる局面は、培養物中の細胞の密度を増大させるように神経細胞の培養方法を提供し、該方法は細胞でNotchシグナリングを活性化する工程を含む。Notch活性化は、本発明のすべての他の局面について記載されるように行われ得る。発明者らは、Notch活性化の不在下では、神経誘導が10細胞/cmの細胞密度で低下するが、本発明と一致するNotch活性化の存在下では、神経誘導は5×10細胞/cmの密度でうまく達成され得、そして得られた培養物が培養条件の小さな変化により抵抗性であり、したがって、よりロバスト性である培養物とみなされることを見出した。
本発明の別の局面は、細胞を自己再生状態で維持するように、多能性細胞、好ましくはES細胞の培養方法を提供し、該方法は、BMPレセプターのアゴニストを含む培地中でおよびNotch活性化の存在下で細胞を培養する工程を含む。BMPアゴニストは、適切にはBMP2およびBMP4である。Notch活性化は、好ましくは本発明の他の局面について本明細書に記載の通りである。
本発明のよりさらなる局面は、Notchシグナリングが本発明のいずれかの実施態様によって活性化されている多能性細胞を提供する。細胞は、好ましくはマウスまたはヒトの細胞、および好ましくはES細胞である。本発明のこの局面の特定の実施態様は、Notch細胞内ドメインを含むペプチドを発現するように設計されたES細胞である。
本発明は、ここで、特定の実施例において記載され、図によって示される。
図1は、他に記載がない限り、LIF+血清中に維持されたNotchIC ES細胞または親コントロールの46C ES細胞を示す。
図2〜9は、単層分化条件下で培養されたNotchIC ES細胞または親コントロールの46C細胞、およびこれらの培養物の解析の結果を示す。
図10は、フィーダー細胞上でまたは単層分化条件下で培養されたヒトES細胞、およびこれらの培養物の解析の結果を示す。
より詳細には:
図1は、他に記載がない限り、LIF+血清中に維持されたNotchIC ES細胞または親コントロールの46C ES細胞を示す。(A〜D)位相差下に示されたまたは示されるようにマーカーについて染色されたNotchIC ES細胞のコロニー。E:Sox1−GFPの発現について12継代をFACSによって解析したNotchIC ES細胞または親コントロールのES細胞の集団。F:NotchIC−CD2の発現について12継代をFACSによって解析したNotchIC ES細胞または親コントロールのES細胞の集団。G:LIF+血清中で培養されたNotchIC細胞(NotchIC ES細胞)および神経マーカーについての陽性コントロールとしてのE13.5胚神経組織のRT−PCR解析。
図2は、単層分化条件下で培養されたNotchIC ES細胞または親コントロールの46C細胞を示す。A:48時間後のsox1−GFP発現の代表的なFACSプロフィール。B:三つ組培養物からの種々の時点でのsox1−GFP陽性細胞の割合のFACS解析の結果を示すグラフ。C〜H:位相差で示されたまたは示されるようにマーカーについて染色された、単層分化の72時間での無処置の培養物。I:増殖曲線は、三つ組培養物中の種々の時点での細胞の総数を示す。J:5日後のsox1−GFP発現の代表的なFACSプロフィール。
図3は、単層分化条件下で培養されたNotchIC ES細胞または親コントロールの46C細胞を示す。A:種々の時点でのsox1−GFP陽性細胞の割合のFACS解析の結果を示すグラフ。B〜G:位相差で示されたまたは示されるようにマーカーについて染色された種々の時点での無処置の培養物。H:単層分化の間のBLBPについての定量的PCR。I:sox1−GFP陽性神経上皮前駆体および次いでBLBP+の放射状グリア神経前駆体へのES細胞の移行を示す概略図。
図4は、単層分化条件下で培養され、そしてOct4(赤)について染色されたNotchIC ES細胞または親コントロールの46C細胞を示し、神経前駆体の両方の型を一緒に示すために、BLBPとGFP(緑)との組み合わせと一緒にES細胞を示す。
図5では、A、C、Dは、位相差で示されたまたは示されるようにマーカーについて染色された、単層分化の7日目の無処置の培養物である。B:単層分化の7日後にゼラチン上にリプレーティングされ、血清不在下でさらに7日間、次いで血清および100ユニット/mlのLIFの存在下で最終の7日間培養され、位相差で示されたまたはGFAPについて染色された細胞。F〜K:単層分化の7日後にラミニン上にリプレーティングされ、そしてさらに5日間(F、G、H:全12日)、16日間(J:全24日)または21日間(K:全28日)培養され、次いで固定され、そして示されるようにマーカーについて染色された細胞。
図6は、4μMのガンマセクレターゼインヒビターまたは等価量のDMSO希釈液に曝露された46C細胞またはNotchIC細胞の単層分化の後のsox1−GFP細胞の割合(A)または無処置の培養物内のGFP発現(B、C)を示す。
図7は、単層分化の間のFGF5についての定量的PCRを示す。
図8は、中程度の(10細胞/cm)またはより高い(3×10細胞/cm)密度でのNotchIC細胞または親コントロール細胞の単層培養後のsox1陽性細胞の割合を示すFACSプロットを示す。
図9は、NotchIC細胞または親コントロールの46C細胞を4μMのPD化合物、SU化合物の存在下で、またはDMSO希釈液(「インヒビターなし」)の等価濃度で3日間培養した場合の結果、および3日目にFACSによって解析したsox1−GFP陽性細胞の割合を示す。未分化のES細胞を可視化するために、無処置の培養物を5日目にOct4について染色した。
図10は、GFPのみ(OP9EV)またはNotchリガンドDelta1(OP9D11)のいずれかを発現するOP9フィーダー細胞上にγ−セクレターゼインヒビターと一緒に(「+インヒビター」と示される)プレーティングされ、7日間培養され、そして示されるようにマーカーについて染色された、ヒトES細胞を示す(A〜I)。(A)細胞の形態を示すためのより高い倍率の写真。(J、K)Pax6免疫染色の定量(4実験から示された平均および標準偏差)。(L〜S)γ−セクレターゼインヒビター(「インヒビター」)またはDMSO媒体の存在下の単層分化条件下で増殖し、そして示されるようにPax6、Sox1またはTRA1/81について染色された、ヒトES細胞。Tは、Pax6免疫染色の定量(4実験からの平均および標準偏差)を示す。
本発明の特定の実施態様は、1以上の以下の配列を提供しまたは用い、これらは、それらの配列番号によって本明細書に参照される:
配列番号 説明
1 Notch全長DNA
2 Notch全長アミノ酸
3 Notch細胞内DNA
4 Notch細胞内アミノ酸
5 Hey1DNA
6 Hey1アミノ酸
7 Hey2DNA
8 Hey2アミノ酸
9 Hes1DNA
10 Hes1アミノ酸
11 Hes3DNA
12 Hes3アミノ酸
13 Hes5DNA
14 Hes5アミノ酸
15 Hes6DNA
16 Hes6アミノ酸
17 NotchIC−tatの融合物
18 NotchIC−アンテナペディア由来のタンパク質トランスダクションドメインの融合物
19 tat−Hey2の融合物
20 tat−Hes5の融合物
材料および方法
46C ES細胞へのNotchICの標的化
本発明の標的化構築物は、ROSA遺伝子座へ標的化するために以前用いられた同様の構築物を基礎とした。それは、loxP部位に隣接したpgk−neoカセット、続いてNotchICの細胞内ドメインのコード配列(Kopanら,1994)、続いて内部リボソーム進入部位、続いてヒト細胞表面分子CD2のコード配列を含む。この構築物は、エレクトロポレーションによって46C ES細胞(Yingら,2003b)へトランスフェクトされ、そしてクローンをG418選択下で増殖させた。正しく標的化されたクローンを、EcoRVによる消化後サザンブロッティングによって同定した。DNAは11kbのバンドを示し、一方では、標的化されなかった野生型の細胞は3.8kbのフラグメントを示す。標的化された細胞のクローンを、pCAGプロモーターの制御下でCREを含むプラスミドでトランスフェクトした。
ES細胞培養
ES細胞を、ゼラチンコーティングされた組織培養フラスコ上、2−メルカプトエタノール、非必須アミノ酸、炭酸水素ナトリウム、10%ウシ胎仔血清(FCS)および100ユニット/mlのLIFを補充したGMEM中に維持した(Smith,1991)。
単層分化
これは、Yingら(2003b)に詳細に記載の通りである。簡潔には、ES細胞を洗浄して、血清のすべての痕跡を除去し、そして次いでゼラチンコーティングされた組織培養プラスチック上にN2B27無血清培地中1×10細胞/cmの密度でプレーティングした。N2B27は、1:1比のDM/F12、および(Yingら(2003b)に記載のように自家製の)0.5%N2、0.5%B27(Gibco)および2−メルカプトエタノールを補充した神経基本培地からなる。培地を2日ごとに交換した。
いくつかの実験において、100ユニット/mlのLIFおよび10%FCSを培養培地に補充した。MAPKインヒビターのPD184352(Dundee大学のP.Cohenの寄贈)を4μMの濃度で用いた。ガンマセクレターゼインヒビター(Calbiochem、カタログ番号565771)を4μMの濃度で用いた。これらのインヒビターは、いずれも実験の時間経過に亘っていかなる明らかな毒性効果もなかった。
免疫蛍光法
細胞は、4%パラホルムアルデヒドで固定し、そしてブロッキングバッファー(PBS、2%ヤギ血清および0.1%トリトン)中で30分間インキュベートした。一次抗体をブロッキングバッファーで希釈し、そして室温で1時間アプライした。PBSでの3回の洗浄後、Alexa fluorophores(Molecular Probes)に結合した二次抗体をブロッキングバッファーで1:1000に希釈し、そして室温で1時間アプライした。細胞を、少なくとも3回PBSで洗浄し、そしてOlympus倒立蛍光顕微鏡で可視化した。
細胞を数える実験において、DAPIで核を対比染色し、そして培養物あたり少なくとも1000細胞を3つの別々の培養物から数え、そして平均をとった。
一次抗体を、以下のソースから得た:
ヒトCD2(BD Biosciences);Oct4(Santa Cruz);GFP(Molecular Probes);ネスチン(DSHB);BLBP(寄贈);ニューロンベータ−IIIチューブリン(Covance);GFAP(Sigma);O4(DSHB);RC2(DSHB)。Developmental Studies Hybridoma Bankから得た抗体を、NICHDの援助下で開発し、そしてThe University of Iowa, Department of Biological Sciences, Iowa City, IA 52242によって維持した。
ヒトES細胞の培養および分化
未分化ヒトES細胞を、LIF(10ng/ml)、BMP−4(3ng/ml;R&D Systems(Minneapolis, Minnesota, United States))、およびbFGF(10ng/ml;R&D Systems)を補充した所定の培地N2B27中でヒト包皮線維芽細胞(ATCC(Manassas, Virginia, United States))の層上に維持した。細胞を、コラゲナーゼIV(1mg/ml)を用いて毎週1:2の分割比で継代した。フィーダーなしの神経分化を、マウス細胞のために用いられ、以下のようにヒトES細胞に適するように改変された単層プロトコールに従って行った:50%コンフルエンスに達する細胞を、コラゲナーゼIV中で15分間インキュベートし、PBSで1回洗浄し、そしてbFGF(FGF培地、LIFなし、BMP4なし)を補充したN2B27培地中でガラスビーズを用いて剥離させた。次いで、細胞を、ゼラチンコーティングしたフラスコ中の同じ培地中で4時間インキュベートし、フィーダー細胞を差次的に付着させた。最後に、ES懸濁液を、マトリゲル(低増殖因子Matrigel,1:20;BD Biosciences PharMingen(San Diego, California, United States))でプレコーティングした培養ディッシュに1:1比でプレーティングした。示した場合、γ−セクレターゼインヒビター(4μM)を、フィーダー除去工程の開始から添加し、そして次いで培地を交換した場合は1日おきに添加した。OP−9細胞との共培養のために、上記のようにhES細胞をコラゲナーゼで処理し、そして次いで手作業で剥離させてヒト線維芽細胞の持ち越し汚染を回避した。次いで細胞を、(A.Cumanoの好意により提供された)γ線照射したOP9−EVまたはOP9−D11ストローマ細胞の層上にFGF培地中で直接プレーティングした。マトリゲルを用いて、無血清培地中のOP9の生存を促進した。γ−セクレターゼインヒビターを、プレーティングの際に添加し、そして次いで培地を交換した場合には1日おきに添加した。
ヒトES細胞の神経分化の定量
免疫細胞化学のために細胞を処理し、そして以下のように神経分化を定量した。OP9共培養実験について、PAX−6陽性細胞を有するコロニーの数を数え、そしてウェル中のコロニーの総数に対して標準化した。すべての実験(フィーダーなしおよびOP9依存的分化)について、速度画像解析ソフトウェア(Improvision(Lexington, Massachusetts, United States))を用いて、分化の程度を定量した。簡潔には、ソフトウェアを用いて、ウェル(フィーダーなし実験)またはPAX−6陽性核によって覆われた各コロニー(OP9実験)の面積を計算した。次いで値を、DAPI染色を用いて、細胞またはコロニーによって覆われた面積に対して標準化した。すべての実験を、条件あたり4ウェルで少なくとも3回繰り返した。
実施例1−1
ES細胞および初期神経前駆体はNotchレセプターおよびリガンドを発現する
RT−PCRを用いて、Notch1およびJagged2がES細胞およびそれらの最も初期の神経誘導体で発現することを確認した。
実施例1−2
NotchICを構成的に発現する46C細胞の作成
Notchの細胞内ドメインをコードする配列(Kopanら,1994)が、loxPが導入された停止−pgk−neoカセットに続き、そしてIRES−ヒトCD2をコードする配列に先行する標的化構築物を作成した。ヒトCD2はマウス細胞に対する表現型効果を有しない細胞表面分子であり、NotchICの異所性発現を示すためのタグとして本発明で用いられる。この構築物を、46C細胞のROSA遺伝子座へ標的化した。46C細胞は、初期神経マーカーsox1の一方の対立遺伝子へ標的化されたGFPのコード配列を含み、したがって、神経誘導をモニターするための簡便な実験系として作用するES細胞の系である(Stavridis,2003#221)。
NotchIC−標的化ES細胞のクローン系を、停止コドンを切除し、そしてNotchIC−IRES−CD2の構成的転写を活性化するために、CREでトランスフェクトした。うまく欠失した集団(「NotchIC細胞」と命名した)を、CD2の発現に基づいてFACSによって欠失しなかった集団から分離した。欠失しなかった集団を、コントロールとして用い、そしてこれらを、「欠失しなかったコントロール」と呼ぶ。(NotchICで標的化されなかった)親46C細胞を、第2のコントロール集団として用い、そしてこれらを、「親46Cコントロール」と呼ぶ。両方のコントロール集団はすべての実験において同様の結果を示した。
実施例1−3
NotchIC ES細胞はコントロールのES細胞と区別がつかない
NotchIC細胞は、未分化増殖ES細胞を維持するための標準培養条件下(LIFおよび血清)で、欠失しなかったコントロールまたは親46CコントロールのES細胞のいずれかと比較して、増殖速度または形態の違いを示さなかった。それらは、20を超える継代に亘ってかなりの速度で増殖し(データを示さず)、未分化ES細胞のマーカーを発現し、そして分化のマーカーを欠いた(図1およびデータを示さず)。
実施例2−1
NotchIC細胞の集団は、コントロールよりもより迅速かつ均一に神経特異化を受ける
次いで、神経特異化に対するNotchICの効果を試験した。外因性増殖因子の不在下での付着単層培養を基礎とする神経分化プロトコール(YingおよびSmith,2003)へNotchICまたはコントロールのES細胞を移した。細胞を脱凝集し、そして単層分化の間12時間ごとにsox1−GFPの発現についてFACSによって解析した。コントロールのES細胞は、徐々にsox1−GFP+の細胞を生成する:24時間後に2%未満が検出され得、そして48時間後には11±1%のみであった。対照的に、NotchIC培養物は、ほんの24時間後には、9±1%のsox1−GFP+の細胞を含み、2日目までに32±3%まで増加した(図2A、B)。
sox1−GFP+の細胞の分布もまた、倒立蛍光顕微鏡を用いて無処置の単層分化培養物においてモニターした。コントロールのES細胞の培養物は、GFP陰性細胞と共に散在するGFP陽性細胞を「塩と胡椒」のパターンで含む(図2C、E)。NotchICの培養物では、GFP+の細胞の分布はより均一である(図2D、F)。細胞間のGFP強度の可変性の違いもある:NotchIC細胞は、弱いGFP発現を均一に有するが、コントロールの培養物は、明るいGFP細胞と薄暗いGFP細胞との混合物を含む(図2E、F:FACSプロフィールJも参照のこと)。別の初期神経マーカーであるネスチンについての染色は、神経系統へのNotchIC細胞の進入と一致していた(図2G、H)。
FGF5は、原始外胚葉のマーカーであり、神経組織への多能性ES細胞の分化の中間段階で一過性に発現する。コントロールのES細胞は、単層分化の最初の数日に亘って増大レベルでFGF5を獲得し、その後、Sox1の発現が増大するにつれて低下する(図7)。対照的に、NotchIC過剰発現ES細胞は、ちょうど24時間の分化後に高いFGF5の発現の最大ピークを有し、これらの細胞でのsox1の迅速な誘導を保持する(図7)。このデータはまた、NotchICが、神経系統へのES細胞の移行を促進することを示す。
実施例2−2
NotchICは、増殖を増大させない
NotchIC ES細胞の単層分化の間の初期に出現するsox1−GFP+の細胞の高い割合は、sox1+の神経細胞へのES細胞の変換速度の増大によって説明され得た。あるいは、NotchICが、神経特異化に影響を及ぼさないが、代わりに、神経細胞の増殖速度を増大させることが説明され得た。コントロールのES細胞集団の神経特異化の開始前の、ほんの24時間後にさえ著しい数のsox1−GFP+の細胞があることから、第2の可能性は見込みがないと考えられる(図2B)。さらに、NotchICおよびコントロール集団の増殖速度は、実験の経過の間、区別がつかない(図2I)。
実施例2−3
NotchICは、ES細胞の神経特異化に対する高い細胞密度の阻害効果を克服する
単層分化の間の正常なES細胞の神経誘導は、細胞密度の少しの増大によってさえ強く阻害される(図8)。NotchIC細胞が、神経分化に対する細胞密度の増大の阻害効果に抵抗性であることがわかった。
実施例2−4
NotchICは、神経特異化におけるFGFシグナリングのための必要条件を迂回しない
神経前駆体へのES細胞の分化は、外因性増殖因子を必要としないが、おそらくオートクリンFGF4(YingおよびSmith,2003)によって提供されるFGFシグナリングに依存する。NotchICが、この必要条件を迂回しないこと:MAPKインヒビター:PD184352およびFGFRインヒビターのSU5402が、両方ともNotchIC細胞でのsox1の誘導をブロックし得たことがわかった(図9)。
実施例3−1
Sox1の誘導の後にBLBPの誘導が迅速に続く
Sox1−GFPは、NotchIC細胞の単層分化の間、一過性にのみ発現する。各個々の細胞内のsox1−GFPの強度は、コントロールの細胞と比較して、高いレベルまで蓄積しない(図2:EおよびFを比較のこと;図2Jもまた)。一方、全体としてのNotchIC集団内の発現は、3日目までにプラトーに達し、そして以後すぐに低下し始める(図3A)。
4日目と6日目との間に、NotchIC細胞の大多数は、著しい形態変化を受けて双極性になる(図3C)。コントロールのES細胞は、この時点では、この双極形態をほんのまれに生じる(図3F)。これらの双極細胞は、BLBP(図3C、D)およびRC2(示さず)を発現する。さらに、BLBPの発現は、いかなる明白な形態変化にも先行し、単層分化の3日目と同じくらい初期に出現することがわかった(図3A)。5日目までに、コントロール細胞の5%未満と比較して、少なくとも50%のNotchIC細胞がBLBPを発現する。この時点では、ニューロン(TUJ1免疫染色)、星状膠細胞(GFAP免疫染色)または乏突起膠細胞(O4免疫染色)への最終分化は、ほとんどまたは全くなかった(データを示さず)。
BLBPが、単層分化の最初の数日の間にNotchIC細胞で迅速に誘導されるが、コントロール培養物では、最初の5日間検出不能のままであることを、定量的PCRにより確認した(図3H)。
BLBP陽性RC2陽性放射状グリアは、インビボでは、sox1陽性神経上皮細胞の子孫である。用語グリアは誤解されやすい:これらの細胞は、インビボでは、ニューロンおよびグリアの両方の主要なソースであり、そして分化したグリア細胞よりもむしろ神経前駆体と考えられるべきである。ES由来神経細胞は、それらのインビボの対応物を模倣し、時間とともに初期のsox1陽性前駆体からより後期のBLBP陽性前駆体へ進行する(Conti,Pollardら:(Bibelら,2004):図3、E、F、Gも参照のこと)。これらの以前の報告と一致して、ここで、NotchIC ES由来初期神経細胞が、BLBP+/神経前駆体へ迅速に形質転換することを見出し、そしてこれは、sox1−GFP細胞の数が単層分化において3日を超えて増加し続けない理由を説明する。
BLBPがアップレギュレートされるにつれて、Sox1−GFPの発現はダウンレギュレートされ、そのため、2つのマーカーは、一般に相互排他的である(しかし、おそらくGFPタンパク質の永続のため、最も初期のBLBP+の細胞は弱いレベルのGFPを時々共発現する:データを示さず)。したがって、5日目の単層における神経前駆体の総数は、sox1 GFP+の細胞の数(約30%)を形態的に成熟したBLBP+の細胞の数(50%超)に足すことによって推定され、合計80%を超える神経細胞になり得る。
図4は、すべての神経前駆体を一緒に可視化するために、BLBPおよびSox1−GFPの両方について緑に染色し、未分化のES細胞を示すためにOct4について赤に対比染色した、代表的な培養物を示す。NotchICの培養物では、細胞の大多数は3日目までに神経マーカーを発現し(図4A)、神経分化に抵抗する細胞のみが未分化のES細胞の少数の亜集団である(おそらくオートクリンLIFシグナリングのため)。さらに3日の分化の後もなお、実際にすべての細胞が、神経またはESのいずれかのマーカーの発現によって説明され得る場合がある(図4C)。これは、神経およびESの両方の細胞マーカーを欠く細胞を15〜30%含み、そして6日目までに非神経分化細胞型の形態を有するコントロール培養物と対照的である(図4B、D)。これらの観察により、神経前駆体へのES細胞の迅速かつ比較的均一な変換をさらに確認する。それらはまた、Notchが神経系統を支持しかつ非神経の系統から離れるように分化を偏らせることを示す。
実施例4
NotchICは、神経前駆体の迅速な最終分化を促進するよりもむしろそれらの維持を可能にする
Notchシグナリング経路は、機能獲得の実験を行う状況に応じて、神経幹細胞の自己再生を促進すること(Ohtsukaら,2001)または星状膠細胞へのそれらの分化を促進する(Tanigakiら,2001)ことのいずれかが報告されている。単層分化培養物において、NotchIC細胞の大多数は、BLBP+ネスチン+RC2+の神経前駆体として少なくとも2〜3週間存続する(図5F、G、H、I、J)(それらは、外因性増殖因子の不在下では、これほど長くは生存しない)。細胞の亜集団は、第2週の培養の間に神経へ分化する(図5A、H)が、これらのニューロンは、未分化のBLBP+の細胞に数が劣る(図5C、D、F〜H)。星状膠細胞の分化は、最初の2週の間には非常にまれにのみ生じる(<1%:データを示さず)。星状膠細胞は、無血清培養の第3週の間に出現し始めるが、少数のままである(図5K)。乏突起膠細胞は、少しも検出されなかった。本発明の培養系では、NotchICは、星状膠細胞またはあらゆる他の最終分化細胞型への迅速な分化をもたらさなかったが、むしろ神経前駆体の増殖を可能にした。
実施例5
NotchICの神経前駆体は、血清への曝露により星状膠細胞へ効率的に分化し得る
ほとんどのNotchIC神経前駆体が、第2週の間にニューロンへ分化するか、あるいは他に少なくとも3週間未分化のままであるかのいずれかの観察は、これらの細胞が顕著なグリアおよびニューロンの可能性を有するかどうかという問題を提起する。
この問題に応答するために、後期神経前駆体からの星状膠細胞の分化の強力なインデューサーであるLIFおよび血清で細胞を処理した。NotchIC ES由来神経前駆体は、正常なES由来神経細胞(または初期胚性神経細胞)のように(および同様に)、それらの最初の10〜14日の間、LIFまたは血清のこの効果に抵抗性のままである。しかし、それらは、14日後に血清を含む培地へ移される場合には、その後の4日に亘ってGFAP陽性星状膠細胞へ効率的に(>70%)分化する(図5B)。
NotchIC−ES由来細胞が、無血清培養の最初の10日の間に、著しい数のニューロンを生成し得、そしてまた、3週の培養および血清への曝露の後、高い効率で星状膠細胞へ分化し得ることの観察により、それらが神経前駆体であることを確認する。
実施例6
ES細胞のNotchICおよび神経特異化
Notchをインビボで活性化する重要な工程は、細胞内ドメインを遊離するためのガンマセクレターゼによるその切断である。ガンマセクレターゼインヒビターは、Notchの活性の効果的なインヒビターである。これらのインヒビターに伴う1つの問題は、それらはNotchに特異的でないことである:それらは、ガンマセクレターゼによる他の分子の切断もまた阻害する。本発明の実験においては、インヒビターのあらゆる非Notch特異的効果についてもNotchIC細胞を陰性コントロールとして用い得る;これらの細胞は、予め切断されたNotchICフラグメントを既に含むため、Notch切断に対するガンマセクレターゼインヒビターの効果に対して免疫があり、一方では、インヒビターのいかなる非Notch特異的効果に対しても脆弱なままである。
ガンマセクレターゼインヒビターは、単層分化の間にsox1の誘導を著しく低下させ得る。これは、Notch経路に対する特異的効果であると思われる。なぜなら、Notchの構成的活性化形態を発現する細胞からは、sox1の誘導に対する顕著な効果がないからである(図6)。
Tim Schroeder(GSF、Munich)から得た、Notchシグナリングの重要な下流のメディエーターRBPJk(Schroederら,2003)を欠く変異ES細胞を用いる、代替の機能喪失のアプローチは、それらが神経細胞へ分化できないかどうか、そしてその場合、RBPJkプラスミドのトランスフェクションによってこれが救出され得るかどうかを試験することである。
実施例7
Notchは、ヒトES細胞において神経特異化を促進する
発明者らは、神経分化におけるNotchの役割がヒトES(hES)細胞で保存されるかどうかを検討した。発明者らは、NotchリガンドのJagged1、Jagged2、Delta1、およびDelta3が、すべてヒトES細胞で容易にRT−PCRによって検出され得ることを最初に確認した(図S7)。フィーダー細胞でのNotchリガンドの異所性発現は、他の細胞型でNotchを活性化することが示され、したがって、この方策をhES細胞に用いることに決定した。
レトロウイルス導入によってNotchリガンドDelta1をGFPと一緒に安定に発現するOP9細胞(OP9−Delta1)を用いた。コントロールのOP9フィーダー細胞は、GFPのみのレトロウイルスを導入した(OP9−EV)。bFGFを含むがLIFまたはBMP4を含まない無血清培地中のOP9−EVフィーダー層上にhES細胞をプレーティングした場合、細胞の大多数は1週後にES様形態を維持した。対照的に、同じ培地中のOP9−Dl1フィーダー上に細胞をプレーティングした場合、それらがGFP+のOP9−Dl1フィーダー細胞と接触するコロニーの縁は、第1週内に形態変化を受けた(図10)。それらは、かろうじて識別可能な核を伴って緻密におよび細長くなった(図10A、点線の間の領域)。抗体染色により、これらの細胞がESマーカーTRA1/60およびTRA1/81について陰性であり(未発表データ)、そしてSox1、ネスチン、およびPax6について陽性であることを確認した(図10B、10C、および未発表データ)。ヒトES細胞では、Pax6は神経分化の最も初期の公知のマーカーであり、Sox1が発現し始める前の数日に出現する。画像解析ソフトウェアを用いて、このマーカーの定量を行った。これにより、Pax6+のコロニー(10を超えるPax6+の細胞を含むコロニー)の数、およびOP9−EVコロニーと比較してOP9−Dl1に支持された培養物中のこれらの各コロニー内のPax6+である面積の両方に顕著な増加を確認した(図10D〜10G、10J、および10K、p<0.01)。神経分化に対するOP9−Dl1フィーダーの正の効果は、特異的にNotchシグナリングの活性化によると思われた。なぜなら、それはガンマセクレターゼインヒビターを添加することによってブロックされ得たからである(図10H〜10K、p<0.01)。Delta1またはγ−セクレターゼインヒビターへの曝露はいずれも、細胞数または生存率に対するいかなる識別可能な効果も有さなかった。
内因性のNotchシグナリングがhES細胞での神経分化に必要とされるかどうかを試験し続けた。これらの実験のために、マウスES細胞についてのものから適合した単層神経分化プロトコールを用いた。簡潔には、フィーダーから、そして外因性LIFおよびBMP4からhESを取り出し、そしてFGFのみの無血清培地中のマトリゲル上にプレーティングした。これらの条件下で、代表的には約60%の培養面積がES細胞のマーカーTRA1/81の発現を失い、神経の形態をとり、そして1週後にSox1+Pax6+になる(図10L、10M、10P、10R、および10T)。対照的に、γ−セクレターゼインヒビターの存在下では、培養物内のPax6+の領域の出現は顕著に減少し(図10M、10O、10Q、10S、および10T、p<0.5)、対応して未分化のTRA1/81+のES細胞の持続が増大する(図10O)。γ−セクレターゼインヒビターは、細胞の生存率または細胞数に対する明らかな効果を有さず、そして処理された細胞の大多数は、健常なhES様形態を保持した(図10M)。
これらのデータは、NotchがヒトES細胞で神経分化を促進することを示す。
実施例8
NotchICは、非神経分化を抑制する
単層分化の6日目の内胚葉および中胚葉のマーカーの発現を測定するために定量的RT−PCRを行った。いくつかの非神経マーカーを親細胞試料中に容易に検出し、R26NotchIC細胞でのかろうじて検出可能な発現レベルと著しく対照的であった。これらの観察は、Notchは神経系統への進入を促進するのみでなく、同時に非神経への関係づけを抑制することも示す。
R26−NotchIC ES細胞はまた、バッチ試験した血清の存在下のコラーゲンIV上の単層培養に基づく誘導分化プロトコール下で試験した場合、中胚葉の分化の著しい減少を示した。
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したがって、本発明は、多能性細胞培養物の神経へ方向づけられた分化、およびそのための方法および組成物を提供する。
他に記載がない限り、LIF+血清中に維持されたNotchIC ES細胞または親コントロールの46C ES細胞を示す。(A〜D)位相差下に示されたまたは示されるようにマーカーについて染色されたNotchIC ES細胞のコロニー。E:Sox1−GFPの発現について12継代をFACSによって解析したNotchIC ES細胞または親コントロールのES細胞の集団。 他に記載がない限り、LIF+血清中に維持されたNotchIC ES細胞または親コントロールの46C ES細胞を示す。F:NotchIC−CD2の発現について12継代をFACSによって解析したNotchIC ES細胞または親コントロールのES細胞の集団。G:LIF+血清中で培養されたNotchIC細胞(NotchIC ES細胞)および神経マーカーについての陽性コントロールとしてのE13.5胚神経組織のRT−PCR解析。 単層分化条件下で培養されたNotchIC ES細胞または親コントロールの46C細胞を示す。A:48時間後のsox1−GFP発現の代表的なFACSプロフィール。B:三つ組培養物からの種々の時点でのsox1−GFP陽性細胞の割合のFACS解析の結果を示すグラフ。 単層分化条件下で培養されたNotchIC ES細胞または親コントロールの46C細胞を示す。C〜H:位相差で示されたまたは示されるようにマーカーについて染色された、単層分化の72時間での無処置の培養物。 単層分化条件下で培養されたNotchIC ES細胞または親コントロールの46C細胞を示す。I:増殖曲線は、三つ組培養物中の種々の時点での細胞の総数を示す。J:5日後のsox1−GFP発現の代表的なFACSプロフィール。 単層分化条件下で培養されたNotchIC ES細胞または親コントロールの46C細胞を示す。A:種々の時点でのsox1−GFP陽性細胞の割合のFACS解析の結果を示すグラフ。H:単層分化の間のBLBPについての定量的PCR。I:sox1−GFP陽性神経上皮前駆体および次いでBLBP+の放射状グリア神経前駆体へのES細胞の移行を示す概略図。 単層分化条件下で培養されたNotchIC ES細胞または親コントロールの46C細胞を示す。B〜G:位相差で示されたまたは示されるようにマーカーについて染色された種々の時点での無処置の培養物。 単層分化条件下で培養され、そしてOct4(赤)について染色されたNotchIC ES細胞または親コントロールの46C細胞を示し、神経前駆体の両方の型を一緒に示すために、BLBPとGFP(緑)との組み合わせと一緒にES細胞を示す。 Aは、位相差で示されたまたは示されるようにマーカーについて染色された、単層分化の7日目の無処置の培養物である。B:単層分化の7日後にゼラチン上にリプレーティングされ、血清不在下でさらに7日間、次いで血清および100ユニット/mlのLIFの存在下で最終の7日間培養され、位相差で示されたまたはGFAPについて染色された細胞。 C、Dは、位相差で示されたまたは示されるようにマーカーについて染色された、単層分化の7日目の無処置の培養物である。 F〜K:単層分化の7日後にラミニン上にリプレーティングされ、そしてさらに5日間(F、G、H:全12日)、16日間(J:全24日)または21日間(K:全28日)培養され、次いで固定され、そして示されるようにマーカーについて染色された細胞。 4μMのガンマセクレターゼインヒビターまたは等価量のDMSO希釈液に曝露された46C細胞またはNotchIC細胞の単層分化の後のsox1−GFP細胞の割合(A)または無処置の培養物内のGFP発現(B、C)を示す。 単層分化の間のFGF5についての定量的PCRを示す。 中程度の(10細胞/cm)またはより高い(3×10細胞/cm)密度でのNotchIC細胞または親コントロール細胞の単層培養後のsox1陽性細胞の割合を示すFACSプロットを示す。 NotchIC細胞または親コントロールの46C細胞を4μMのPD化合物、SU化合物の存在下で、またはDMSO希釈液(「インヒビターなし」)の等価濃度で3日間培養した場合の結果、および3日目にFACSによって解析したsox1−GFP陽性細胞の割合を示す。未分化のES細胞を可視化するために、無処置の培養物を5日目にOct4について染色した。 GFPのみ(OP9EV)またはNotchリガンドDelta1(OP9D11)のいずれかを発現するOP9フィーダー細胞上にγ−セクレターゼインヒビターと一緒に(「+インヒビター」と示される)プレーティングされ、7日間培養され、そして示されるようにマーカーについて染色された、ヒトES細胞を示す(A〜I)。(A)細胞の形態を示すためのより高い倍率の写真。 (L〜S)γ−セクレターゼインヒビター(「インヒビター」)またはDMSO媒体の存在下の単層分化条件下で増殖し、そして示されるようにPax6、Sox1またはTRA1/81について染色された、ヒトES細胞。 (J、K)Pax6免疫染色の定量(4実験から示された平均および標準偏差)。Tは、Pax6免疫染色の定量(4実験からの平均および標準偏差)を示す。

Claims (52)

  1. 神経の運命への多分化能性細胞または多能性細胞の分化促進におけるNotch活性化の使用。
  2. 前記細胞が、多能性である、請求項1に記載の使用。
  3. 前記多能性細胞が、胚性幹(ES)細胞である、請求項2に記載の使用。
  4. 前記細胞が、齧歯動物または霊長動物の細胞である、請求項1、2、または3に記載の使用。
  5. 前記細胞が、ヒト細胞である、請求項4に記載の使用。
  6. Notch活性化が、さらに、前記多分化能性細胞または多能性細胞から得られる神経前駆細胞または神経幹細胞の、最終分化神経細胞への分化を抑制するために用いられる、請求項1から5のいずれかの項に記載の使用。
  7. 神経細胞に富む培養物を得る方法であって、
    (a)神経または非神経のいずれかの運命へ関係づけられた子孫を形成する可能性を有する多分化能性細胞または多能性細胞を含む培養物を提供する工程;および
    (b)該細胞でNotchシグナリングを活性化する工程
    を含む、方法。
  8. 前記活性化工程が、NotchレセプターまたはNotchレセプターの活性化形態を細胞で発現させる工程を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記Notchレセプターの活性化形態が、Notchレセプターの細胞内ドメインを含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記活性化工程が、Notchリガンドを培養培地へ添加する工程を含む、請求項7に記載の方法。
  11. 請求項10に記載の方法であって、前記Notchリガンドが、タグを含み、そして該方法が、2つのこのようなタグに結合する分子を前記培養培地へ添加する工程をさらに含む、方法。
  12. 前記活性化工程が、Notchシグナリングの下流のエフェクターを前記細胞で発現させる工程を含む、請求項7に記載の方法。
  13. 前記活性化工程が、Notchシグナリングの下流のエフェクターおよびトランスダクションドメインを含む組成物を培養培地へ添加する工程を含む、請求項7に記載の方法。
  14. 前記エフェクターが、Hes転写因子およびHey転写因子から選択される、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記活性化工程が、Notchレセプターの活性化形態およびトランスダクションドメインを含む組成物を培養培地へ添加する工程を含む、請求項7に記載の方法。
  16. 前記活性化工程の前に、同時に、あるいは後に、神経の運命への分化を誘導する工程をさらに含む、請求項7から15のいずれかの項に記載の方法。
  17. 前記誘導工程が、前記細胞が培養されている培地から血清を除去する工程、血清を含まない培地へ該細胞を移す工程、該細胞が培養されている培地へ神経特異化を促進する因子を添加する工程、または神経特異化を促進する因子を含む培地へ該細胞を移す工程を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記誘導工程が、単層培養物へ前記細胞を移す工程を含む、請求項16または17に記載の方法。
  19. 前記神経細胞を純化する工程をさらに含む、請求項7から18のいずれかの項に記載の方法。
  20. 前記純化工程が、Notchシグナリングの活性化工程を維持する工程を含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記純化工程が、選択マーカーを前記神経前駆細胞で発現させる工程および該マーカーを発現する細胞を選択する工程を含む、請求項19に記載の方法。
  22. 前記多分化能性細胞または多能性細胞に非許容である培地中で前記細胞を培養する工程を含む、請求項7から21のいずれかの項に記載の方法。
  23. 前記細胞が、多能性細胞である、請求項7から22のいずれかの項に記載の方法。
  24. 前記多能性細胞が、ES細胞である、請求項23に記載の方法。
  25. Notchシグナリングを活性化する工程の後に、多能性細胞に非許容である培地中で前記細胞を培養する工程を含む、請求項23または24に記載の方法。
  26. 前記細胞が、齧歯動物または霊長動物の細胞である、請求項7から25のいずれかの項に記載の方法。
  27. 前記細胞が、ヒト細胞である、請求項26に記載の方法。
  28. 細胞でNotchシグナリングを活性化する工程を含む、培養物中の神経前駆細胞の密度を増大させる方法。
  29. 前記細胞が、ヒト細胞である、請求項28に記載の方法。
  30. Notchレセプターの活性化形態およびトランスダクションドメインを含む、組成物。
  31. 前記Notchレセプターの活性化形態が、Notchレセプターの細胞内ドメインを含む、請求項30に記載の組成物。
  32. Notchシグナリングの下流のエフェクターおよびトランスダクションドメインを含む、組成物。
  33. 前記エフェクターが、Hes転写因子またはHey転写因子である、請求項32に記載の組成物。
  34. tatペプチドを含む、請求項30から33のいずれかの項に記載の組成物。
  35. ボツリヌス毒素由来のトランスロケーションドメインを含む、請求項30から33のいずれかの項に記載の組成物。
  36. アンテナペディア由来のトランスロケーションドメインを含む、請求項30から33のいずれかの項に記載の組成物。
  37. Notchレセプターの活性化形態およびトランスダクションドメインの融合タンパク質。
  38. Notchシグナリングの下流のエフェクターおよびトランスダクションドメインの融合タンパク質
  39. 請求項37または38に記載の融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列。
  40. 請求項39に記載のヌクレオチド配列を含むベクター。
  41. 多能性細胞および神経細胞で活性であるプロモーターを含む、請求項40に記載のベクター。
  42. 請求項30から36のいずれかの項に記載の組成物、または請求項37または38に記載の融合タンパク質を含む、神経細胞の培養のための培地。
  43. 前記培地が、多分化能性細胞に非許容である、請求項42に記載の培地。
  44. 前記培地が、多能性細胞に非許容である、請求項42に記載の培地。
  45. Notchシグナリングが活性化されている多能性細胞。
  46. 請求項45に記載のES細胞。
  47. 請求項45または46に記載のマウス細胞。
  48. 請求項45または46に記載のヒト細胞。
  49. Notch細胞内ドメインを含むペプチドを発現するように設計された多能性細胞。
  50. 請求項49に記載のES細胞。
  51. 請求項49または50に記載のマウス細胞。
  52. 請求項49または50に記載のヒト細胞。
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