JP2008531526A - 腎臓病の予防または治療に有用な薬物を調製するためのピラゾール誘導体の使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、腎臓病の予防および治療に有用な薬物を調製するための、ピラゾールから誘導される、単独のまたは別の活性成分と併用での、カンナビノイドCB1受容体拮抗化合物の使用に関する。
Description
本発明は、腎臓病の予防および治療に有用である医薬品を調製するための、カンナビノイドCB1受容体に対する拮抗薬であるピラゾール誘導化合物の使用に関する。
用語「腎臓病」は、糖尿病性腎症、慢性腎不全、末期腎臓病、腎肥大、腎過形成、糸球体硬化症、糸球体腎炎を意味すると解釈する。
本発明によると、「ピラゾール誘導カンナビノイド受容体拮抗薬」という表現は、N−ピペリジノ−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチルピラゾール−3−カルボキサミド[欧州特許第656354号に記載されており、国際一般名は、リモナバントである]およびN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミド[欧州特許第1150961号に記載されており、国際一般名は、スリナバント(surinabant)である]から選択される化合物を意味すると解釈する。
リモナバントを用いて行われた臨床試験により、これが量的および質的な面で食事摂取に作用し、肥満患者の体重を減少させることが明らかになった(G.Le Fur,2003,35,First European Workshop on Cannabinoid Research,Madrid,Spain,4−5 April 2003およびHeshmati H.M.ら,Obesity Research,2001,9(suppl.3),70)。
リモナバントおよびN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミドから選択されるピラゾール誘導カンナビノイドCB1受容体拮抗薬が、腎機能を保護することを、今般、見出した。
従って、本発明によると、リモナバントおよびN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミドから選択される、カンナビノイドCB1受容体に対する拮抗薬であるピラゾール誘導化合物は、腎臓病の予防および治療に有用である医薬品の調製に使用することができる。
本発明の医薬組成物は、リモナバントおよびN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミドから選択される、カンナビノイドCB1受容体に対する拮抗薬であるピラゾール誘導化合物の有効用量を含有すると共に、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤も含有する。
前記賦形剤は、当業者には公知である通常の賦形剤から、望まれる医薬剤形および投与方法に従って選択される。
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所、局部、気管内、鼻腔内、経皮または直腸内投与用の本発明の医薬組成物において、活性成分は、上記疾患または疾病の予防または治療のために、従来の医薬用賦形剤との混合物として単位投与形で動物およびヒトに投与することができる。
適する単位投与形態としては、経口投与用の形態、例えば、錠剤、ソフトまたはハードゼラチンカプセル、粉末、顆粒および経口溶液または懸濁液、舌下、口腔内、気管内、眼内または鼻腔内投与用および吸入による投与用の形態、局所、経皮、皮下、筋肉内または静脈内投与用の形態、直腸内投与用の形態およびインプラントが挙げられる。局所適用には、本発明の化合物をクリーム、ゲル、軟膏またはローションで使用することができる。
ゼラチンカプセルまたは錠剤などの経口投与用の形態が好ましい。
より詳細には、5mgから50mgの間、より詳細には5mgから20mgの間の用量でリモナバントを含有するゼラチンカプセルまたは錠剤が好ましい。
さらに、本発明の使用については、リモナバントおよびN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミドから選択される、ピラゾール誘導カンナビノイド受容体拮抗薬は、以下の治療薬類の1つから選択される別の活性成分と併用することができる。
− レニン阻害剤;
− 単独のまたは利尿薬と併用での、アンギオテンシンII AT1受容体拮抗薬;
− 単独のまたは利尿薬もしくはカルシウム拮抗薬と併用での、転換酵素阻害剤;
− カルシウム拮抗薬;
− 単独のまたは利尿薬もしくはカルシウム拮抗薬と併用での、β−遮断薬;
− α−アドレナリン作動薬などの、別の抗高血圧薬;
− 血中脂質低下剤または血中コレステロール低下剤;
− 抗糖尿病薬;
− 利尿薬;
− 別の抗肥満薬。
− 単独のまたは利尿薬と併用での、アンギオテンシンII AT1受容体拮抗薬;
− 単独のまたは利尿薬もしくはカルシウム拮抗薬と併用での、転換酵素阻害剤;
− カルシウム拮抗薬;
− 単独のまたは利尿薬もしくはカルシウム拮抗薬と併用での、β−遮断薬;
− α−アドレナリン作動薬などの、別の抗高血圧薬;
− 血中脂質低下剤または血中コレステロール低下剤;
− 抗糖尿病薬;
− 利尿薬;
− 別の抗肥満薬。
従って、本発明の主題は、腎臓病の治療および予防に有用である医薬品を調製するための、リモナバントおよびN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミドから選択される、ピラゾール誘導カンナビノイドCB1受容体拮抗薬と、以下の治療薬類のうちの1つの活性成分から選択される別の活性成分とを組み合わせで含有する医薬組成物の使用にも関する。
− 単独のまたは利尿薬もしくはカルシウム拮抗薬と併用での、アンギオテンシンII AT1受容体拮抗薬;
− 単独のまたは利尿薬と併用での、転換酵素阻害剤;
− カルシウム拮抗薬;
− α−アドレナリン作動薬などの、別の抗高血圧薬;
− 単独のまたは利尿薬もしくはカルシウム拮抗薬と併用での、β−遮断薬;
− 血中脂質低下剤または血中コレステロール低下剤;
− 抗糖尿病薬;
− 利尿薬;
− 別の抗肥満薬。
− 単独のまたは利尿薬と併用での、転換酵素阻害剤;
− カルシウム拮抗薬;
− α−アドレナリン作動薬などの、別の抗高血圧薬;
− 単独のまたは利尿薬もしくはカルシウム拮抗薬と併用での、β−遮断薬;
− 血中脂質低下剤または血中コレステロール低下剤;
− 抗糖尿病薬;
− 利尿薬;
− 別の抗肥満薬。
「アンギオテンシンII AT1受容体拮抗薬」という表現は、カンデサルタンシレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタンカリウム、オルメサルタンメドキソミル、テルミサルタンまたはバルサルタンなどの化合物を意味すると解釈し、これらの化合物の各々は、それら自体、ヒドロクロロチアジドなどの利尿薬と併用することができる。
「転換酵素阻害剤」という表現は、アラセプリル、ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、エナラプリラット、フォシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリノドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリルまたはゾフェノプリルなどの化合物を意味すると解釈し、これらの化合物の各々が、それら自体、ヒドロクロロチアジドもしくはインダパミドなどの利尿薬と、またはアムロジピン、ジルチアゼム、フェロジピンもしくはベラパミルなどのカルシウム拮抗薬と併用することができる。
用語「カルシウム拮抗薬」は、アムロジピン、アラニジピン、ベニジピン、ベプリジル、シルニジピン、ジルチアゼム、エフォニジピン、塩酸エタノール、ファスジル、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、塩酸レルカニジピン、マニジピン、塩酸ミベフラジル、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、テロジリンまたはベラパミルなどの化合物を意味すると解釈する。
用語「β−遮断薬」は、アセブトロール、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、アテノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブニトロロール、ブトフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、クロラノロール、エパノロール、エスモロール、インデノロール、ラベタロール、ランジオロール、レボブノロール、レボモプロロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、ナドロール、ネビボロール、ニフェナロール、ニプラジロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパノロール、サルメテロール、ソタロール、タリノロール、テルタトロール、チリソロール、チモロール、キサモテロールまたはキシベノロールなどの化合物を意味すると解釈する。
「α−アドレナリン作動薬などの、他の抗高血圧薬」という表現は、クロニジン、リルメニジン、マキソニジン、メチルドパまたはグアンファシンなどの化合物を意味すると解釈する。
用語「利尿薬」は、ヒドロクロロチアジド、ベンドロフルメチアジド、クロルタリドン、シクレタニン、インダパミドまたはキシパミドなどの化合物を意味すると解釈する。
「血中脂質低下薬」または「血中コレステロール低下薬」という表現は、アルフィブレート、ベクロブレート、ベザフィブレート、シプロフィブレート、シノフィブレート、クロフィブレート、エトフィブレートもしくはフェノフィブレートなどのフィブレート;アトルバスタチン、フルバスタチンナトリウム、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンもしくはシンバスタチンなどのスタチン(HMG−CoAレダクターゼ阻害剤);またはアシピモックス、ニコチン酸アルミニウム、アザステロール、コレスチラミン、デキストロチロキシン、メグルトール、ニセリトロール、ニコクロネート、ニコチン酸、β−シトステリンもしくはチアデノールなどの化合物、から選択される化合物を意味すると解釈する。より詳細には、本発明の主題は、リモナバント、アトルバスタチンもしくはプラバスタチンを、または好ましくはリモナバントとシンバスタチンを含有する医薬組成物である。
用語「抗糖尿病薬」は、以下の類の1つに属する化合物を意味すると解釈する。スルホニル尿素、ビグアニジド、α−グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオンまたはメチグリニド、例えばアカルボース、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメプリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブゾール、グリミジン、メタへキサミド、メトホルミン、ミグリトール、ナテグリニド、ピログリタゾン、レパグリニド、ロシグリタゾン、トラザミド、トルブタミド、トログリタゾンまたはボグリボース。
用語「他の抗肥満薬」は、アンフェプラモン、ベンフルオレクス、ベンズフェタミン、インダノレクス、マジンドール、メフェノレクス、メトアンフェタミン、D−ノルプソイドエフェドリン、オルリスタット、シブトラミンまたは別のカンナビノイドCB1受容体拮抗薬などの化合物を意味すると解釈する。
最も詳細には、本発明の主題は、組み合わせで、リモナバントとアンギオテンシンII AT1受容体拮抗薬、特にイルベサルタン、ロサルタンまたはバルサルタン、を含有する医薬組成物の使用である。より詳細には、本発明の主題は、組み合わせで、リモナバントとイルベサルタンを、またはN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミドとイルベサルタンを含有する医薬組成物の使用であり、ならびに組み合わせで、リモナバント、イルベサルタンおよびヒドロクロロチアジドを、またはN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミド、イルベサルタンおよびヒドロクロロチアジドを含有する医薬組成物の使用でもある。
もう1つの特定の実施形態によると、本発明の主題は、腎臓病の予防および治療に有用である医薬品を調製するための、組み合わせでリモナバントとシンバスタチンを含有する医薬組成物の使用である。
本発明のもう1つの態様によると、リモナバントおよびN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミドから選択されるピラゾール誘導カンナビノイド受容体拮抗薬、ならびに組み合わせる他の活性成分は、同時に、別々に、またはある時間にわたって投与することができる。
用語「別々の使用」は、本発明の組成物の2つの化合物(各々が別個の医薬剤形の中に含まれている)を同時に投与することを意味すると解釈する。
「ある時間にわたる使用」という表現は、1つの医薬剤形に含まれている本発明の組成物の第一化合物と、別個の医薬剤形に含まれている本発明の組成物の第二化合物との、逐次投与を意味すると解釈する。
この「ある時間にわたる使用」の場合、本発明の組成物の第一化合物の投与と本発明の同組成物の第二化合物の投与の間の時間は、一般には24時間を越えないが、一方または他方の化合物が、例えば週に1度投与できる医薬製剤で提供される場合には、より長いこともある。
本発明の組成物を構成する化合物のうちの1つだけ、または上で説明した様々なタイプの使用に使用することができる2つの化合物もしくは適する場合には3つの化合物の組み合わせを含む医薬剤形は、例えば、経口、経鼻、非経口または経皮投与に適し得る。
従って、「別々の使用」および「ある時間にわたる使用」の場合、2つの別個の医薬剤形は、同じ投与経路のためのものであることもあり、または異なる投与経路(経口経路と経皮経路または経口経路と経鼻経路または非経口経路と経皮経路など)のためのものであることもある。
従って、本発明は、リモナバントおよびN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミドから選択されるピラゾール誘導カンナビノイドCB1受容体拮抗薬ともう1つの活性成分または適切な場合には2つの組み合わされた活性成分とを含有するキットの、腎臓病の治療および予防のための使用にも関し、この場合のキットの中の前記ピラゾール誘導カンナビノイドCB1受容体拮抗薬および前記活性成分または適切な場合には2つの組み合わされた活性成分は、個別の区画内にあり、同様のまたは異なるパッケージング内にあり、ならびに同時に、別々に、またはある時間にわたって投与することを意図する。
肥満ラットにおける腎機能の保護に対するリモナバントの作用。
リモナバントでの長期治療(12ヶ月)の効果を、肥満が定着したZuckerラットを用いて研究した。
Zucker肥満ラット系統fa/faは、腎症を徐々に発現させる、過食症、肥満、異常脂血症および2型糖尿病を特徴とする。
12ヶ月後、ビヒクルで治療したZucker fa/fa肥満ラットは、腎臓の顕著な肥大およびまた重症腎不全を示す。腎機能の悪化は、血漿中尿素およびクレアチニンレベルの顕著な増加、ならびにクレアチニンクリアランスの顕著な減少に反映される。12ヶ月間、3および10mg/kg/日(経口)のリモナバントで治療したZucker fa/fa肥満ラットでは、血漿中尿素およびクレアチニンレベルの増加の用量依存的な減少、ならびにクレアチニンクリアランスの一部回復が観察される。同時に、リモナバントで治療したラット群では、腎肥大が有意に減少する。
例えば、3および10mg/kg/日(経口)のリモナバントでの長期治療による蛋白尿の有意な遅延が観察される。
腎機能に対するリモナバントの有益な効果は、血行動態変化を一切伴わずに発生する。従って、3および10mg/kg/日の用量での12ヶ月の治療後、平均動脈圧、左心室圧、心拍数および収縮性は、変わらぬままである。
腎機能の保持および脂質代謝性疾患の矯正に対する有益な効果と並行して、3および10mg/kg/日(経口)のリモナバントは、Zucker fa/fa肥満ラットの生存を非常に有意に延期する。12ケ月の治療後、未治療Zucker fa/fa肥満ラット群での死亡率は64%に達し、これに対して、10および3mg/kg/日(経口)のリモナバントで治療した肥満Zuckerラットでは、それぞれ、20%(p<0.01)および28%(p<0.05)に制限される。
治療しなかったが、10mg/kg/日(経口)で治療した群と同じ量の食餌を摂るZucker fa/fa肥満ラット群も作った(ペア摂食群)。このZucker fa/fa肥満/ペア摂食群は、12ヶ月間、10mg/kg/日のリモナバントで治療したZucker群について観察されたものより早い、32%の死亡率(未治療Zucker fa/fa肥満ラットと比較して統計学的に有意ではない)を示す。
比較として、ビヒクルでの12ヶ月の治療後、代謝性疾患を示さない動物(非肥満Zucker fa/+ラット)での死亡率は4%に達する。
Claims (6)
- 腎臓病の治療および予防において使用する医薬品を調製するための、リモナバントおよびN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミドから選択される、カンナビノイドCB1受容体に対する拮抗薬である化合物の使用。
- 糖尿病性腎症を予防および治療するための、請求項1に記載の使用。
- 慢性腎不全を予防および治療するための、請求項1に記載の使用。
- 末期腎臓病を予防および治療するための、請求項1に記載の使用。
- カンナビノイドCB1受容体に対する拮抗薬である化合物が、リモナバントである、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
- リモナバントが、5mgから50mgの間の用量で使用される、請求項5に記載の使用。
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