JP2008526642A - エレベータの救助動作制御システム - Google Patents

Abstract

エレベータ駆動装置用の電源装置が電圧入力と、入力電圧を所定の閾値と比較するためのコンパレータと、一次巻き線およびエレベータ駆動装置に接続された二次巻き線を有する変圧器とを有し、変圧器が単一のタップ付き一次巻き線を有し、入力電圧が所定の入力閾値を越えるときはコンパレータ出力が電力を一次巻き線に、巻き線の１つの端部または巻き線のタップを介して供給させ、入力電圧が所定の閾値を下回るときは入力電力が一次巻き線に、巻き線の他方の端部および巻き線のタップを介して供給される。

Description

本発明は停電の際の救助動作においてエレベータの作動を制御するためのシステムに関する。

エレベータに給電している配電線からの電力が停電すると、エレベータは走行を停止する。エレベータが階と階との間にあれば、乗客はエレベータから脱出することができず、これが苛立ちや不安を引き起こす可能性がある。多くのエレベータはエレベータかごの内部または外部に非常ボタンを備えており、エレベータに閉じこめられた乗客またはエレベータの外部の人がこれを押すことができる。これによってエレベータの外部で救助を求める警報が鳴り、および／または遠隔通信によって救助センタに接続されて、閉じこめられた乗客がエレベータ外部の誰かと交信して救助を求めることができる。警報ボタンは例えばバッテリなどの独自の電源を有するので配電線からの電力が停電しても作動する。

乗客がエレベータに長時間閉じこめられないようにするために、多くの近代的なエレベータは今ではバッテリつまり蓄電池の形でのバックアップ電源を備えており、これが配電線からの電力が停電した場合に自動的に、またはエレベータ内のボタンを押すことによってオンに切り替えられる。バッテリからの電力はエレベータ制御装置がエレベータかごを最寄りの階まで持って行くのに十分である。エレベータが階に到着したならばドアが開閉可能になり、乗客はエレベータから脱出することができる。

多くのエレベータは鋼製のロープまたはケーブルによって昇降路つまりエレベータ通路内に吊下げられており、ロープまたはケーブルは昇降路の頂部においてプーリを介して走り、他方の端部はカウンタウエイトに取り付けられている。主モータが具備されて、エレベータ制御装置からの命令に従ってエレベータかごを駆動する。

配電線からの電力が停電した場合はモータが停止し、エレベータが昇降路の底部まで落下したり、あるいはカウンタウエイトの落下によって昇降路内で急上昇したりすることを防止するためにブレーキがかけられる。多くの場合、これによってエレベータが階と階との間で急停止する結果となる。

一部のエレベータでは、救助機構がバッテリなどの非常電源から制御装置へ動力を供給することによってブレーキを開放する。エレベータかごとカウンタウエイトとの相対的な重量に依存して、かごは上昇または下降して次の階に到達する。エレベータが階に到達したことをセンサが検知して再びブレーキをかけ、ドアを開閉可能にして乗客を脱出させる。

米国特許公開第２００４００２０７２６号はこのような非常動作を開示している。かごが階と階との間に閉じこめられたときは、乗客が非常ボタンを押せばブレーキが開放されてかごが次の階に移動する。

米国特許第６，２６４，００５号もまたこのようなシステムを教示しており、この場合はかごが次の階に移動する速度が、（米国特許公開第２００４００２０７２６号のように）かごの重量（乗客荷重に依存する）とカウンタウエイトの重量との差のみに依存するのではない。この特許では停電の際の救助動作が、永久磁石型同期電動機の速度およびトルクをその発電力によって制御することによって、制御される。

しかしながらこの２つのシステムは、停電によってかごが階と階との間で停止した場合にエレベータを次の階に持っていくために、かごとカウンタウエイトとの間の不均衡に依存することに変わりはない。これは、荷重不均衡が存在しない場合は救助動作が働かないことを意味する。さらに、エレベータは１つの方向に移動する（かごとカウンタウエイトとの間の相対重量に依存して）ことができるのみで、最寄りの階に移動するとは限らない。重量不均衡がない場合でも救助動作が働くべきであれば、駆動補助が必要である。すなわち、非常電源によって給電される駆動装置がエレベータを次の階に駆動することができなくてはならない。

救助動作を有する全てのシステムにおいて、配電線からの電力が停電したときに、救助動作を実行するのに必要なシステム部品が非常電源から給電されるようにするための回路が具備される。非常電源は通常、バッテリつまり蓄電池である。したがって回路は通常、配電線からの電力からバッテリ電力に切り替えるためのモード切り替え式電源装置を含む。

多くのこのようなシステムは、バッテリまたは非常発電機から給電される無中断の電源を用いる。配電線からの電力が停電した場合は、これらの装置が配電線からの電力供給によって与えられていたのと同じ電圧レベルを発生する。

このような構成は大型で高価であり、より多くの基盤スペースおよびより多くの接続が必要な、かなり複雑な回路と比較的大型の部品とが必要である。したがって、エレベータの駆動回路への電力供給が、例えば停電の際に配電線からの電力からバッテリ電力に容易に切り替えられて、エレベータの次の階への駆動を可能にするような、簡単で効果的なモード切り替え式電源回路が求められている。

したがって、本発明はエレベータ駆動装置用の電源装置を有し、該電源装置は電圧入力と、入力電圧を所定の閾値と比較するコンパレータと、一次巻き線およびエレベータ駆動装置に接続された二次巻き線を有する変圧器とを有し、変圧器は単一の、タップ付き一次巻き線を有し、入力電圧が所定の入力閾値を越えたときは、コンパレータ出力が電力を巻き線の１つの端部または巻き線のタップを介して一次巻き線に供給させ、入力電圧が所定の閾値を下回るときは、入力電力が一次巻き線の他方の端部および巻き線のタップを介して一次巻き線に供給される。

本発明は広い電圧範囲で作動して、任意の予め選択された電圧低下に対して２つのＳＭＰＳ段階の間で切り替え可能であるが、好ましくは、電圧入力は配電線からの電力供給およびバッテリからなり、これらがコンパレータ出力に接続される。配電線からの電力供給が機能しているときは、コンパレータが、入力電圧が所定の閾値を越えていることを指示する信号を出力する。配電線からの電力が停電したときは、コンパレータへの入力電圧がバッテリからのものになり、これは所定の閾値より低い。

理論的には、本発明は配電線およびバッテリが恒久的にコンパレータに接続されていれば有効であるが、これは明らかにバッテリの連続使用を含むので望ましくない。したがって好ましい実施例では、バッテリはスイッチを介してコンパレータに接続され、このスイッチが通常は「切」になっており、配電線からの電力が停電したとき、または所与の値を下回って低下したときに「入」になる。バッテリスイッチは自動的に「入」になってもよく、また乗客またはエレベータ外部の人がボタンを押すことによって手動で「入」になってもよい。

したがって本発明はエレベータ駆動装置に二段階ＳＭＰＳを提供し、一方の段階は配電線が正常に作動しているときに作動し、他方の段階は駆動装置がバッテリ電力になったときに作動可能である。単一のＳＭＰＳ変圧器が単一のタップ付き一次コイルを要するのみである。バッテリ電圧が駆動装置入力に切り替え可能であり、ＳＭＰＳ自体がどちらの制御段階を作動させるかを決定する。

駆動装置ＳＭＰＳは、整流器１と、ＤＣリンクキャパシタ２と、制御回路と、単一のタップ付き一次巻き線を有する変圧器８とからなる。ＳＭＰＳによって給電される駆動回路は変圧器出力に接続されている。モータ制御用の電力インバータ１１が整流器およびＤＣリンクキャパシタに接続されている。

制御回路は電力入力信号を受け取って入力信号を所定の閾値と比較するコンパレータ３を有する。制御回路はまた、コンパレータの出力に接続された第一パルス幅モジュレータユニット（ＰＷＭ）４および第二パルス幅モジュレータユニット（ＰＷＭ）５を有し、これらはそれぞれ第一電力スイッチ６および第二電力スイッチ７に接続されている。第一電力スイッチは一次巻き線の１つの端部に接続されている。第二電力スイッチは一次巻き線の他方の端部に接続されている。

正常作動時には、駆動回路は配電線からの電力によって給電されている。すなわちＳＭＰＳは配電線から給電されるＳＭＰＳである。電圧コンパレータ３はその受け取る入力が配電線からの電力入力であることを認識して、第一電力スイッチ６を制御する第一ＰＷＭユニット４を作動させる信号を出力する。第二ＰＷＭ５は非作動になっている。第一電力スイッチはタップ付き一次巻き線の１つの端部に接続されている。一次巻き線のタップはプラスの整流された入力電圧に接続されており、整流器およびＤＣリンクキャパシタへの直接接続が存在する。

コンパレータへの入力電圧が、例えば配電線からの電力の停電によって所与の閾値を下回って低下したならば、コンパレータが、第一ＰＷＭ４を非作動にし、第二ＰＷＭ５を作動させる信号を出力する。こうして第二ＰＷＭが、一次巻き線の、第一スイッチが接続されていたのとは反対側の端部に接続された第二電力スイッチ７を制御し始める。

配電線からの電力が停電した場合は、小さなＤＣリンクキャパシタ２は非常に早く放電する。次いでバッテリ１０が駆動装置ＳＭＰＳの入力に、すなわちコンパレータの入力に、接点９によって切り替え可能になる。これは自動的に作動されてもよく、また例えば乗客がエレベータ内部の非常ボタンを押すことによって、あるいは誰かがエレベータの外部に位置する、例えば制御キャビネットの非常ボタンを押すことによって、手動で作動されてもよい。

配電線からの電力が復帰したならばバッテリの接点が「切」になり、電圧コンパレータが高くなった配電線からの電圧を検知して第一ＰＷＭを作動させる。

このように、本発明の二段階ＳＭＰＳは広い範囲の入力電圧にわたって作動するが、これは単一の単純な巻き線を有する変圧器では達成できないところである。入力電圧が低いときは変圧器出力電力の大きな引き下げが必要であるが、これはＳＭＰＳの設計にとって受け入れ困難である。さらに、図１に示されるようなシステムと比較して、バッテリに必要な機械的接点がより少なく、また変圧器がより単純かつ小型になる。図２に示されるようなシステムと比較して、ＳＭＰＳがより小さな基盤スペースしか要求せず、かつ単純であり、したがってより安価に製造される。また図２の構成はバッテリ給電モードにおいて変圧器に追加のコネクタが必要である。

したがって、本発明は２つの変圧器を有する回路の作動上の利点を保持しつつ、広範囲の入力電圧にわたって作動する単純小型で安価な設計を提供する。

図１は本発明によるモード切り替え式電源装置の実施例を示す。

Claims (5)

1. エレベータ駆動装置用の電源装置であって、該電源装置は、入力電圧と、前記入力電圧を所定の閾値と比較するためのコンパレータと、一次巻き線および前記エレベータ駆動装置に接続された二次巻き線を有する変圧器とを有し、該変圧器が単一のタップ付き一次巻き線を有し、前記入力電圧が前記所定の閾値を越えるときはコンパレータ出力が電力を前記一次巻き線に、巻き線の１つの端部または前記巻き線のタップを介して供給させ、前記入力電圧が前記所定の閾値を下回るときは入力電力が前記一次巻き線に、前記一次巻き線の他方の端部および前記巻き線のタップを介して供給されることを特徴とする電源装置。
2. 前記入力電圧が配電線からの電力供給およびバッテリを有し、これらがコンパレータ入力に接続され、前記配電線からの電力供給が機能しているときは前記コンパレータが、前記入力電圧が前記所定の閾値を越えていることを指示する信号を出力し、配電線からの電力が停電したときは、前記コンパレータへの前記入力電圧が前記バッテリからのものになり、かつこれが前記所定の閾値より小さいことを特徴とする請求項１記載の電源装置。
3. 前記バッテリがスイッチを介して前記コンパレータに接続され、前記スイッチが通常は「切」になっており、前記配電線からの電力が停電するか、または所与の値を下回って低下したときに「入」になることを特徴とする請求項１または請求項２記載の電源装置。
4. 前記配電線からの電力が停電するか、または所与の値を下回って低下したときに前記バッテリスイッチが自動的に「入」になることを特徴とする請求項３記載の電源装置。
5. 前記バッテリスイッチが、乗客またはエレベータの外部の人がボタンを押すことによって手動で「入」にされるのに適することを特徴とする請求項３または請求項４記載の電源装置。

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