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JP2008307492A - 安定かつ高効率作動用の電極を有する電気化学リアクター - Google Patents

安定かつ高効率作動用の電極を有する電気化学リアクター Download PDF

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JP2008307492A
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JP2007159590A
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Inventor
Koichi Hamamoto
孝一 濱本
Yoshinobu Fujishiro
芳伸 藤代
Masanobu Tanno
正信 淡野
Shinichi Kikuchi
伸一 菊池
Tetsuo Endo
哲雄 遠藤
Yusuke Imai
裕介 今井
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Honda Motor Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Honda Motor Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

【課題】エンジン排ガス中に過剰の酸素が存在する場合でも、少ない消費電力で安定的に高効率に窒素酸化物を浄化できる電気化学リアクターを提供する。
【解決手段】被処理物質と共存する過剰な酸素の吸着による性能低下に対し、高効率かつ持続的な電気化学反応を行うことを可能とするために、電気化学素子における好酸素分解反応場である電極部を反応を抑制するように配置し、かつ好窒素酸化物浄化場となる窒素酸化物浄化部におけるNiOにLiを添加することで、電子抵抗の低下と劣化の防止を達成せしめることを特徴とする、電気化学リアクター。
【効果】被処理物質の化学反応を妨害する酸素が過剰に存在する場合においても、従来技術と比較して浄化素子の作動を安定化でき、更に少ない消費電力で高効率かつ連続的に被処理物質を処理できる電気化学リアクターを提供できる。
【選択図】図6

Description

本発明は、酸素を含む燃焼排ガスから窒素酸化物を効率的に浄化する電気化学リアクターに関するものであり、更に詳しくは、イオン伝導性固体電解質を挟む両面にイオンと電子の混合伝導性を有する電極、もしくは電子伝導性を有する集電電極及びその両方が塗布された、窒素酸化物の浄化を行う電気化学素子に関するものである。
本発明は、排ガス中の窒素酸化物を浄化する際に、排ガス中に共存する酸素分子が電気化学リアクターの電極で優先的に反応することを防ぎ、従来技術に比べて少ない消費電力で安定に、高効率かつ連続的に、被処理物質を浄化処理することを可能とする、新しい電気化学リアクターを提供するものである。
従来、ガソリンエンジンから発生する窒素酸化物は、三元触媒で無害化されているが、リーンバーンエンジン、ディーゼルエンジンのように排ガス中に数%以上の酸素が存在する場合、三元触媒表面への酸素被毒によって触媒活性が低下することが問題となっている。
一方、イットリア安定化ジルコニア等の酸素イオン導電性酸化物の焼結体を用いた固体電解質型リアクターシステムが提案されている。このシステムは、酸素イオン伝導性を有する固体電解質基板を挟んだ両面に電極を付与し、これに電界を印加する方法である。
この固体電解質リアクターシステムに電界を印加すると、排ガス中に含まれる窒素酸化物が、カソード電極部に存在するカソード電極−電解質−気相の三相界面において、カソード電極からの電子供与により還元され、酸素イオンと窒素に分解される。
この分解された酸素イオンは、固体電解質を介して拡散し、アノード電極上にて酸素として放出される。このように作動中、カソード電極部における固体電解質表面は、常に酸素が枯渇した状態であり、排ガス中の窒素酸化物の浄化は連続的に行われる。
しかし、実際のディーゼル排ガスには、窒素酸化物に対して数十〜千倍程度高い濃度の酸素が含まれている。そのため、窒素酸化物の効率的な浄化には、優先的に窒素酸化物を分解する必要がある。この問題については、既出特許(特許文献1)において、電気化学素子の電極表面に酸化ニッケルとイットリア安定化ジルコニア等の混合物層を形成することで効率が向上することが示されている。
しかしながら、一般的にディーゼルエンジンの排ガス中には数%以上の酸素が存在するため、共存している酸素が優先的にカソード電極部においてイオン化されて固体電解質中を流れるため、窒素酸化物を分解するには、ある程度以上の電流を流す必要がある。
上記の固体電解質型電気化学素子の電流効率は、最大でも10%程度である。排ガス中の窒素酸化物と酸素の濃度比が数十〜千倍であることを考慮すれば、非常に高い窒素酸化物選択性であるが、90%程度の電流が余剰酸素のポンピングに使用されている事実は、大きな消費電力の必要性を意味するため、実用化には大きな障害となる。
更に、既出特許(特許文献1)の固体電解質型電気化学素子では、電圧の揺らぎや酸化性ガスの瞬間的な枯渇によって、窒素酸化物の選択浄化を行なう混合層が劣化し、浄化効率が低下するという問題がある。このため、実際の作動には、雰囲気ガスの濃度に合わせて電圧印加を高度に制御する必要が生じる。
特開2003−33646号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、従来技術に比べて少ない消費電力で安定に、高効率かつ連続的に、被処理物を浄化処理することを可能とする、新しい電気化学リアクターを開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、雰囲気の変化や作動条件の変動に対して安定した作動を伝える電気化学素子を開発することに成功し、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、排ガス中に過剰の酸素が共存する場合においても、電気化学素子反応電極において、窒素酸化物の浄化に必要な電力を低減及び安定作動させることを可能とする電気化学リアクターを提供するものである。
すなわち、本発明は、燃焼排ガス中の窒素酸化物に対する選択性を向上させることにより、少ない消費電力で安定かつ高効率な窒素酸化物の浄化を達成し、雰囲気の変化や作動条件の変動に対して安定した作動を行える電気化学素子を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)被処理物に対して電気化学反応を行うための電気化学素子であり、イオン伝導体及び電極より構成される基本セル構造を有し、電極上に化学反応部を構成した電気化学リアクターであって、該化学反応部の上部に網状電極を形成したことを特徴とする電気化学リアクター。
(2)網状電極の材料が、白金、金属又は電子伝導性酸化物材料である、前記(1)に記載の電気化学リアクター。
(3)網状電極が、面内方向の抵抗値が1Ωcmより低い形状を有する、前記(1)に記載の電気化学リアクター。
(4)被処理物が、窒素酸化物である、前記(1)に記載の電気化学リアクター。
(5)電極に、酸素イオン伝導性を有する固体電解質、又は酸素イオン及び電子の両方を伝導可能な混合導電性材料と、電気化学的に酸素を分離(還元)可能な金属酸化物の複合物を有する、前記(1)に記載の電気化学リアクター。
(6)前記電極材に含まれる還元可能な金属酸化物にドナー元素であるLiを添加して半導体化することにより電子伝導性を向上させ、その電気化学的還元反応を促進させる、前記(5)に記載の電気化学リアクター。
(7)前記金属酸化物へのLi添加量が、0.3〜0.75mol%である、前記(6)に記載の電気化学リアクター。
(8)電気化学リアクターへ電界を印加することで、電極材の内部に配置した金属酸化物の還元で生成した金属微粒子による表面積の増加が、被処理物質の分解性能を向上させる微構造を形成した、前記(5)に記載の電気化学リアクター。
(9)前記電極材に含まれる還元可能な金属酸化物が、NiOである、前記(4)に記載の電気化学リアクター。
(10)Pt+酸素イオン導伝性の安定化ジルコニア電極及び酸素イオン導伝性の安定化ジルコニア電解質を有する基本セル構造と、NiO−酸素イオン導伝性の安定化ジルコニア触媒層とから構成される化学反応部の上部に網状Pt電極を有し、その上に酸素イオン導伝性の安定化ジルコニア被覆層を有する、前記(1)に記載の電気化学リアクター。
(11)前記(1)から(7)のいずれかに記載の電気化学リアクターへ電界を印加することで、電極材の内部に配置した金属酸化物を還元し、金属微粒子の生成により表面積を増加させ、被処理物質の分解性能を増加させる微構造を形成することを特徴とする被処理物の分解性能の増加方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、被処理物に対して電気化学反応を行うための電気化学素子であり、イオン伝導体及び電極より構成される基本セル構造を有し、電極上に化学反応部を構成した電気化学リアクターであって、該化学反応部の上部に網状電極を形成したことを特徴とするものである。本発明では、電極に、酸素イオン伝導性を有する固体電解質、又は酸素イオン及び電子の両方を伝導可能な混合導電性材料と、電気化学的に酸素を分離(還元)可能な金属酸化物の複合物を有すること、前記電極材に含まれる還元可能な金属酸化物にドナー又はアクセプター元素を添加して半導体化することにより電子伝導性を向上させ、その電気化学的還元反応を促進するようにしたこと、を好ましい実施の態様としている。
また、本発明では、電気化学リアクターへ電界を印加することで、電極材の内部に配置した金属酸化物の還元で生成した、金属微粒子による表面積の増加が、被処理物質の分解性能を向上させる微構造を形成したこと、Pt+酸素イオン導伝性の安定化ジルコニア電極及び酸素イオン導伝性の安定化ジルコニア電解質を有する基本セル構造と、NiO−酸素イオン導伝性の安定化ジルコニア触媒層とから構成される化学反応部の上部に網状Pt電極を有し、その上に酸素イオン導伝性の安定化ジルコニア被覆層を有すること、を好ましい実施の態様としている。
本発明の実施の形態としては、電気化学素子は、図1に示すように、窒素酸化物を選択還元する化学反応部、電極層及び酸素イオン伝導性を有する固体電解質層で構成される。
窒素酸化物の浄化に関する一般的なメカニズムは、まず、電気化学素子への通電により、電極層からの電子供与を生起し、それにより窒素酸化物をイオン化する。窒素原子は、その場で分子となり放出される。生成した酸素イオンは、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層内を拡散して反対側の電極層にて酸素分子として排出する。この反応が連続して起こることにより、窒素酸化物を窒素と酸素へ分解浄化する。
しかしながら、一般的に、ディーゼルエンジンの排ガス中には、数%以上の酸素が存在するため、共存している酸素が、優先的にカソード電極部においてイオン化されて、固体電解質中を流れるため、窒素酸化物を分解するには、ある程度以上の電流を流す必要がある。
上記の固体電解質型電気化学素子の電流効率は、最大でも10%程度である。排ガス中の窒素酸化物と酸素の濃度比が数十〜千倍であることを考慮すれば、非常に高い窒素酸化物選択性であるが、90%程度の電流が余剰酸素のポンピングに使用されている事実は、大きな消費電力の必要性を意味するため、実用化には大きな障害となる。
更に、図2に示す既出特許(特開2003−33646)のような固体電解質型電気化学素子では、電圧の揺らぎや酸化性ガスの瞬間的な枯渇によって、窒素酸化物の選択浄化を行なう化学反応部内のNiOが過剰な還元を受け、大きな空孔が形成される。空孔が形成されると、上記電気化学素子では、未浄化ガスが化学浄化部の下に配置された電極部へ浸透し、酸素の分解が優勢に起こり易くなり、電気化学素子の窒素酸化物に対する浄化効率が低下するという問題を有していた。このため、実際の作動には、雰囲気ガスの濃度に合わせて電圧印加を高度に制御する必要が生じた。
そこで、本発明者らは、化学反応部内のNiOが過剰な還元を受けることによっても、浄化効率が低下しない電極配置を検討した。その結果、網状の電極を化学反応部の上部に配置することで、意識的に酸素分解活性の高い電極―固体電界質界面を電気化学素子内部のより抵抗が高い部位に構成し、化学反応部内の構造が劣化しても窒素酸化物分解効率を維持することに成功した。
更に、この電極構造の変化によって、セルの抵抗が上昇するが、これを低減する方法として、化学反応部のNiOへのLi添加による半導体化を検討した。その結果、0〜1mol%程度のLiをNiOへ添加することにより、化学反応部における電子抵抗の増加を低減し、窒素酸化物の浄化効率を向上させることに成功した。
本発明の電気化学素子は、イオン伝導体及び電極より構成される基本セル構造を有し、電極上に化学反応部を配置した電気化学リアクターにおいて、該化学反応部の上部に網状電極を形成したことを基本構成としている。本発明の電気化学素子では、電気化学素子の化学反応部の上部に網状電極を形成することにより、内燃機関の排ガス中の窒素酸化物を、窒素酸化物浄化処理部である反応電極において、効率的かつ安定的に浄化することが可能となる。
従来、化学反応部の高温焼成の必要性から、電極には白金が使用されてきたが、網状電極では、その電極配置によって低温焼成が可能となることから、白金の他、金属及び電子伝導性酸化物材料等の使用が可能である。
網状電極の形状は、面内方向の抵抗値が1Ωcm程度以下となる形状で、より抵抗値が低い方が望ましい。理想的には、電極の線幅50ミクロン程度で、網状である線と線の間隔が1mm〜1.5mm程度である。電極の線幅は広くても構わないが、低抵抗化のために電極の線幅を広くすると、白金の使用量が多くなり、コスト高となる。
また、線ごとの間隔を1mmよりも狭くすることも可能であるが、電極−固体電解質界面の面積が増大するために、浄化効率が低減する。逆に、線ごとの間隔が1.5mm以上であると、電極間の中間地点までの化学反応部内の電子抵抗が高くなり、化学反応部の面内方向での還元状態に大きな分布を生じ、性能が十分に発揮されない。
化学反応部のNiOへのLi添加量は、後記する実施例(図5)に示したように、0.3〜0.75mol%の間で、浄化効率が最大となる。NiOの抵抗値は、Li添加量の増加に比例して低下するが、浄化効率は抵抗率のみに比例して増加することはなく、添加量0.5mol%程度で最大効率となり、添加量0.3〜0.75mol%の範囲で高い浄化効率を示す。そして、添加量0.75mol%以上では添加の効果が小さいことが判明した。
従来の固体電解質型電気化学素子では、電圧の揺らぎや酸化性ガスの瞬間的な枯渇によって、窒素酸化物の選択浄化を行う化学反応部内のNiOが過剰な還元を受け、大きな空孔が形成され、未浄化ガスが化学浄化部の下に配置された電極部へ浸透し、酸素の分解が優勢に起こり易くなり、電気化学素子の窒素酸化物に対する浄化効率が低下するという問題があった。
これに対して、本発明では、網状の電極を化学反応部の上部に配置することで、酸素分解活性の高い電極−固体電解面を電気化学素子内部のより抵抗が高い部位に構成し、化学反応部内の構造が劣化しても窒素酸化物分解効率を維持することを可能にして、少ない消費電力で安定に、高効率かつ連続的に、窒素酸化物を浄化処理することを実現したものである。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)被処理物質の化学反応を妨害する酸素が過剰に存在する場合においても、浄化素子の作動を安定化でき、従来技術に比べて少ない消費電力で高効率かつ連続的に、窒素酸化物を浄化処理することが可能な新しい電気化学リアクターを提供することができる。
(2)化学反応部内のNiO等の金属酸化物が過剰な還元を受けることによっても、浄化効率が低下しない電極配置を有する電気化学リアクターを提供することができる。
(3)化学反応部のNiOへのLi等の添加による半導体化を行うことにより、化学反応部における電子抵抗の増加を低減し、窒素酸化物の浄化効率を向上させることができる。
(4)上記化学反応部のNiOへのLi添加量を0.3〜0.75mol%の範囲とすることにより臨界的に高い浄化効率を発揮することができる。
(5)Ptの使用量を低減でき、素子の作製コストを安くすることができる。
(6)高温焼成が必要でない部分があるため、(カソードの電極)焼成プロセスでのエネルギーを削減することができる。
次に、実施に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。以下、本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電気化学素子の模式図である。以下、被処理物質として窒素酸化物とした場合について具体的に説明する。
図1と同様の構造を有する電気化学素子を、下記の方法により作製した。酸素イオン伝導性を有する固体電解質は、イットリア安定化ジルコニア(8mol%Y)を用い、直径20mm、厚さ0.5mmの成形体を用いた。窒素酸化物選択還元触媒層は、イットリア安定化ジルコニア(8mol%Y)と酸化ニッケルを混合したペーストを用いて、前述の成形体へスクリーン印刷にて印刷した。
電極は、窒素酸化物浄化側には白金とイットリア安定化ジルコニアの混合物を、窒素酸化物選択還元触媒層側には線幅50ミクロン、線間隔1.25mmの網状電極を、酸素排出側にはベタ塗りの形状にて前記成形体の両面にスクリーン印刷にてそれぞれ印刷した。
電極を形成したものに、更にYSZペーストを用いて成形体の窒素酸化物浄化層側へ被覆層をスクリーン印刷にて形成した。その成形体を1400℃で2時間焼成した物の両電極に白金線を接続し、直流電源へと接続した。
(比較例1)
図2と同様の構造を有する素子構造改善前の素子を、下記の方法により作製した。酸素イオン伝導性を有する固体電解質は、イットリア安定化ジルコニア(8mol%Y)を用い、直径20mm、厚さ0.5mmの成形体を用いた。電極に、白金とイットリア安定化ジルコニアの混合物ペーストを前記成形体の両面にスクリーン印刷にて印刷した。
その後、窒素酸化物選択還元触媒層として、イットリア安定化ジルコニア(8mol%Y)と酸化ニッケルを混合したペーストを用いて、前述の成形体の電極上面にスクリーン印刷にて印刷した。更にYSZペーストを用いて成形体の窒素酸化物浄化層上部に被覆層をスクリーン印刷にて形成した。その成形体を1400℃で2時間焼成した物の両電極に白金線を接続し、直流電源へと接続した。
実験に用いた電気化学素子の窒素酸化物浄化層に含まれるNiOにLiを添加した以外は実施例1と同じ手順で電気化学素子を作製した。NiO粉末に対して0.25mol%の硝酸リチウムをエタノールで溶解し、NiO粉末と混ぜ、エタノールを分散媒として24時間ボールミルした後、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、900℃で2時間焼成を行い、これを粉砕して、Li添加NiOの粉末を得た。
この粉末とイットリア安定化ジルコニア(8mol%Y)をポリエチレングリコールを用いて混合し、スラリーを得た。このスラリーを上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層として塗布し、実施例1と同様の手順により電気化学素子を得た。
実験に用いた電気化学素子のLi添加量を変えた以外は実施例2と同じとした。NiO粉末に対して0.5mol%の硝酸リチウムをエタノールで溶解し、NiO粉末と混ぜ、エタノールを分散媒として24時間ボールミルした後、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、900℃で2時間焼成を行い、これを粉砕して、Li添加NiOの粉末を得た。
この粉末とイットリア安定化ジルコニア(8mol%Y)をポリエチレングリコールを用いて混合し、スラリーを得た。このスラリーを上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層として塗布し、実施例1と同様の手順により電気化学素子を得た。
実験に用いた電気化学素子のLi添加量を変えた以外は実施例2と同じとした。NiO粉末に対して0.75mol%の硝酸リチウムをエタノールで溶解し、NiO粉末と混ぜ、エタノールを分散媒として24時間ボールミルした後、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、900℃で2時間焼成を行い、これを粉砕して、Li添加NiOの粉末を得た。
この粉末とイットリア安定化ジルコニア(8mol%Y)をポリエチレングリコールを用いて混合し、スラリーを得た。このスラリーを上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層として塗布し、実施例1と同様の手順により電気化学素子を得た。
実験に用いた電気化学素子のLi添加量を変えた以外は実施例2と同じとした。NiO粉末に対して1.0mol%の硝酸リチウムをエタノールで溶解し、NiO粉末と混ぜ、エタノールを分散媒として24時間ボールミルした後、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、900℃で2時間焼成を行い、これを粉砕して、Li添加NiOの粉末を得た。
この粉末とイットリア安定化ジルコニア(8mol%Y)をポリエチレングリコールを用いて混合し、スラリーを得た。このスラリーを上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層として塗布し、実施例1と同様の手順により電気化学素子を得た。
実験に用いた電気化学素子のLi添加量を変えた以外は実施例2と同じとした。NiO粉末に対して1.5mol%の硝酸リチウムをエタノールで溶解し、NiO粉末と混ぜ、エタノールを分散媒として24時間ボールミルした後、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、900℃で2時間焼成を行い、これを粉砕して、Li添加NiOの粉末を得た。
この粉末とイットリア安定化ジルコニア(8mol%Y)をポリエチレングリコールを用いて混合し、スラリーを得た。このスラリーを上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層として塗布し、実施例1と同様の手順により電気化学素子を得た。
これらの電気化学素子の電極間に直流電圧を印加してNOx浄化性能の評価を行った。評価装置の模式図を図3に示す。
(実験実施結果)
表1に示す測定条件にて実施例1及び比較例1のサンプルを用いて、作動電圧2.5Vにて窒素酸化物浄化性能の試験を行った。各電気化学素子の窒素酸化物浄化率と電気化学素子に流れる電流値を図4に示す。実施例の電気化学素子は、比較例に比べて窒素酸化物浄化の経過時間に対して安定性の向上が見られることが分かる。
表2に示す測定条件にて実施例1〜2及び比較例2〜5のサンプルを用いて、作動電圧1.75V及び2.15Vにて窒素酸化物浄化性能の試験を行った。各電気化学素子の窒素酸化物浄化率と電気化学素子に流れる電流値を図5に示す。実施例の電気化学素子は、Liの添加により窒素酸化物の浄化が向上したことが分かる。
図7に、図5から計算して求めた窒素酸化物浄化の電流効率を示す。本来、図6に示すように、Liの添加量に比例してリニアに電子抵抗は減少するが、浄化効率は、電子抵抗に比例せず、Li添加量0.5mol%の時に窒素酸化物の最大となった。このように、限定的なNiOへのLi添加量は、窒素酸化物の浄化効率の向上に有効であることが分かった。
以上詳述したように、本発明は、安定かつ高効率作動用の電極を有する電気化学リアクターに係るものであり、本発明により、排ガス中の窒素酸化物を浄化する際に、排ガス中に共存する酸素分子が電気化学リアクターの反応表面に吸着して反応性が低下することに対し、従来技術に比べて少ない消費電力で安定に、高効率かつ連続的に、窒素酸化物を浄化処理することが可能な新しい電気化学リアクターを提供することができる。本発明は、排ガス中に過剰な酸素が共存する場合においても、電気化学素子反応電極において、窒素酸化物の浄化に必要な電力を低減及び安定作動させることを可能とする電気化学リアクターを提供するものである。更に、本発明は、燃焼排ガス中の窒素酸化物に対する選択性を向上させることにより、少ない消費電力での高効率な窒素酸化物の浄化を達成し、雰囲気の変化や作動条件の変動に対して安定した作動を行える電気化学素子を提供するものとして有用である。
電気化学素子の構成を示す。 従来の電気化学素子の構成を示す。 評価装置の模式図を示す。 NO浄化特性の時間依存性を示す。 NO浄化性能におけるLi添加効果を示す。 NiOの電子伝導性に及ぼすLi添加量の効果を示す。 浄化効率におけるLi添加効果を示す。

Claims (11)

  1. 被処理物に対して電気化学反応を行うための電気化学素子であり、イオン伝導体及び電極より構成される基本セル構造を有し、電極上に化学反応部を構成した電気化学リアクターであって、該化学反応部の上部に網状電極を形成したことを特徴とする電気化学リアクター。
  2. 網状電極の材料が、白金、金属又は電子伝導性酸化物材料である、請求項1に記載の電気化学リアクター。
  3. 網状電極が、面内方向の抵抗値が1Ωcmより低い形状を有する、請求項1に記載の電気化学リアクター。
  4. 被処理物が、窒素酸化物である、請求項1に記載の電気化学リアクター。
  5. 電極に、酸素イオン伝導性を有する固体電解質、又は酸素イオン及び電子の両方を伝導可能な混合導電性材料と、電気化学的に酸素を分離(還元)可能な金属酸化物の複合物を有する、請求項1に記載の電気化学リアクター。
  6. 前記電極材に含まれる還元可能な金属酸化物にドナー元素であるLiを添加して半導体化することにより電子伝導性を向上させ、その電気化学的還元反応を促進させる、請求項5に記載の電気化学リアクター。
  7. 前記金属酸化物へのLi添加量が、0.3〜0.75mol%である、請求項6に記載の電気化学リアクター。
  8. 電気化学リアクターへ電界を印加することで、電極材の内部に配置した金属酸化物の還元で生成した金属微粒子による表面積の増加が、被処理物質の分解性能を向上させる微構造を形成した、請求項5に記載の電気化学リアクター。
  9. 前記電極材に含まれる還元可能な金属酸化物が、NiOである、請求項4に記載の電気化学リアクター。
  10. Pt+酸素イオン導伝性の安定化ジルコニア電極及び酸素イオン導伝性の安定化ジルコニア電解質を有する基本セル構造と、NiO−酸素イオン導伝性の安定化ジルコニア触媒層とから構成される化学反応部の上部に網状Pt電極を有し、その上に酸素イオン導伝性の安定化ジルコニア被覆層を有する、請求項1に記載の電気化学リアクター。
  11. 請求項1から7のいずれかに記載の電気化学リアクターへ電界を印加することで、電極材の内部に配置した金属酸化物を還元し、金属微粒子の生成により表面積を増加させ、被処理物質の分解性能を増加させる微構造を形成することを特徴とする被処理物の分解性能の増加方法。
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