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JP2008239492A - 高純度ボラジン化合物の製造方法、および高純度ボラジン化合物 - Google Patents

高純度ボラジン化合物の製造方法、および高純度ボラジン化合物 Download PDF

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JP2008239492A
JP2008239492A JP2007077701A JP2007077701A JP2008239492A JP 2008239492 A JP2008239492 A JP 2008239492A JP 2007077701 A JP2007077701 A JP 2007077701A JP 2007077701 A JP2007077701 A JP 2007077701A JP 2008239492 A JP2008239492 A JP 2008239492A
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metal
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Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
Chiho Mizushima
千帆 水島
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

【課題】不純物としての金属元素の含量が少なく、高純度のボラジン化合物を製造しうる手段を提供する。
【解決手段】化学式1:
Figure 2008239492

(上記式において、Rは互いに独立して、水素原子、アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選択される)で示されるボラジン化合物を合成する段階と、前記ボラジン化合物を金属除去剤と接触させる段階とを含む、ボラジン化合物の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ボラジン化合物の製造方法に関する。ボラジン化合物は、例えば、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層を形成するために用いられる。
情報機器の高性能化に伴い、LSIのデザインルールは、年々微細になっている。微細なデザインルールのLSI製造においては、LSIを構成する材料も高性能で、微細なLSI上でも機能を果たすものでなければならない。
例えば、LSI中の層間絶縁膜に用いられる材料に関していえば、高い誘電率は信号遅延の原因となる。微細なLSIにおいては、この信号遅延の影響が特に大きい。このため、層間絶縁膜として用いられうる、新たな低誘電材料の開発が所望されていた。また、層間絶縁膜として使用されるためには、誘電率が低いだけでなく、耐湿性、耐熱性、機械的強度などの特性にも優れている必要がある。
かような要望に応えるものとして、分子内にボラジン環骨格を有するボラジン化合物が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。ボラジン環骨格を有するボラジン化合物は分子分極率が小さいため、形成される被膜は低誘電率である。その上、形成される被膜は、耐熱性にも優れる。
ボラジン化合物を製造する手法として、水素化ホウ素アルカリ(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)とアミン塩(例えば、メチルアミン塩酸塩)とを溶媒中で反応させる手法が知られている(特許文献3)。また、ホウ素部位がアルキル基で置換されたアルキルボラジン化合物は、出発物質としてB,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリアルキルボラジンなどのハロゲン化ボラジン化合物を原料として、グリニャール試薬を用いて該化合物の塩素原子をアルキル基で置換することによって合成されうる(例えば、非特許文献1参照)。
特開2000−340689号公報 特開2003−119289号公報 特開2006−327964号公報 D.T.HAWORTH and L.F.HOHNSTEDT,J.Am.Chem.Soc.,82,3860(1960)
ところで、上記の反応により得られたボラジン化合物を分析すると、当該化合物中には不純物として金属元素が含まれ、ボラジン化合物の純度が低下してしまう。かようなボラジン化合物の純度低下は、最終的にはボラジン化合物を用いて製造された半導体の層間絶縁膜などの性能の低下を引き起こしてしまうという問題がある。
そこで本発明は、不純物としての金属元素の含量が少なく、高純度のボラジン化合物を製造しうる手段を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための本発明のボラジン化合物の製造方法は、化学式1:
Figure 2008239492
(上記式において、Rは互いに独立して、水素原子、アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選択される)で示されるボラジン化合物を合成する段階と、前記ボラジン化合物を金属除去剤と接触させる段階とを含む。
本発明によれば、不純物としての金属元素の含量が少なく、高純度のボラジン化合物が製造されうる。
本発明は、化学式1:
Figure 2008239492
(上記式において、Rは互いに独立して、水素原子、アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選択される)で示されるボラジン化合物を合成する段階と、前記ボラジン化合物を金属除去剤と接触させる段階とを含む、ボラジン化合物の製造方法である。
上記式で表される化合物の例として、以下に限定されることはないが、ボラジン、トリアルキルボラジン及びヘキサアルキルボラジンが挙げられる。以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
1.ボラジン及びトリアルキルボラジン化合物の製造方法(第1の形態)
まず、ボラジン化合物の合成段階では、水素化ホウ素金属塩と、(RNH(Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子であり、Xが硫酸基である場合にはmは2であり、Xがハロゲン原子である場合にはmは1である)で表されるアミン塩とを、溶媒中で反応させてボラジン化合物を合成する。
前記水素化ホウ素金属塩の金属原子は特に制限されない。なぜなら、後述する金属を除去する段階で、各金属原子を十分に除去することができるからである。前記金属原子の例として、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、ランタン、スカンジウム、ユウロピウム、鉄、ニッケル、クロムなどが挙げられ、好ましくは1価の金属原子(アルカリ金属原子、すなわちリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム)または2価の金属原子(ベリリウム、マグネシウム、及びアルカリ土類金属原子、すなわちカルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)である。前記金属原子がかかる範囲の元素である場合、前記水素化ホウ素金属塩は、水素化ホウ素アルカリ金属塩(ABH(Aは1価の金属原子である))または水素化ホウ素アルカリ土類金属塩(M(BH(Mは2価の金属原子である))と表すことができる。より好ましくは、入手上の利点から、ナトリウム、リチウムまたはカルシウムである。
一方、前記アミン塩((RNH)において、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子である。そして、Xが硫酸基である場合にはmは2であり、Xがハロゲン原子である場合にはmは1である。ハロゲン原子は、好ましくは塩素原子である。m=2のとき、Rは、同一であっても異なっていてもよいが、合成反応の収率や取り扱いの容易性を考慮すると、Rは好ましくは同一である。アルキル基は、直鎖であっても、分岐であってもよい。アルキル基の有する炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜8個、更に好ましくは1〜4個、特に好ましくは1個である。アルキル基の例としては以下に限定されることはないが、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−メチルブチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。シクロアルキル基の有する炭素数は、特に限定されないが、好ましくは3〜8個、より好ましくは4〜7個、更に好ましくは5〜6個である。シクロアルキル基の例としては以下に限定されることはないが、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。前記アミン塩の例としては、以下に限定されないが、塩化アンモニウム(NHCl)、モノメチルアミン塩酸塩(CHNHCl)、モノエチルアミン塩酸塩(CHCHNHCl)、モノメチルアミン臭化水素酸塩(CHNHBr)、モノエチルアミンフッ化水素酸塩(CHCHNHF)、硫酸アンモニウム((NHSO)、モノメチルアミン硫酸塩((CHNHSO)などが挙げられる。
合成原料としての水素化ホウ素金属塩及びアミン塩の種類は、合成するボラジン化合物の構造に応じて選択すればよい。例えば、ボラジン環を構成する3つの窒素原子にメチル基が結合しているN,N’,N”−メチルボラジンを製造する場合には、アミン塩として、モノメチルアミン塩酸塩などの、Rがメチル基であるアミン塩を用いればよい。
水素化ホウ素金属塩とアミン塩との混合比は、特に限定されないが、アミン塩の使用量を1モルとした場合に、水素化ホウ素アルカリの使用量を1〜1.5モルとすることが好ましい。
合成用の溶媒としては、特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)等が挙げられる。
水素化ホウ素金属塩とアミン塩との反応条件は、特に限定されない。反応温度は、好ましくは室温(一般に1〜40℃を指す)〜220℃、より好ましくは50〜200℃、更に好ましくは100〜170℃である。上記範囲で反応させると、水素発生量の制御が容易である。反応温度は、K熱電対などの温度センサーを用いて測定されうる。
本発明の第1の形態におけるボラジン化合物は、下記の化学式2または3で表される化合物である。式中、Rは、アミン塩について記載した通りであるため、ここでは説明を省略する。得られるボラジン化合物における各々のRは、全て同一であっても、一部同一であっても、全て異なっていてもよい。ボラジン化合物の例としては、ボラジン、並びにN,N’,N”−トリメチルボラジン、N,N’,N”−トリエチルボラジン、N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(iso−プロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(sec−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(iso−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(tert−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(2−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(neo−ペンチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1,2−ジメチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−エチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ヘキシル)ボラジン及びN,N’,N”−トリシクロヘキシルボラジンなど、並びにN,N’−ジメチル−N”−エチルボラジン、N,N’−ジエチル−N”−メチルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−プロピルボラジンなどが挙げられる。なお、製造されるボラジン化合物の耐水性等の安定性を考慮すると、ボラジン化合物は、N,N’,N”−トリアルキルボラジン(1分子中の3つのアルキル基は、各々同じでも異なってもよい)であることが好ましい。
参考までに、ボラジン(化学式2)及びトリアルキルボラジン化合物(化学式3)を表す化学式を以下に挙げる。
Figure 2008239492
Figure 2008239492
2.ヘキサアルキルボラジン化合物の製造方法(第2の形態)
まず、原料として用いられる、下記化学式4で表されるハロゲン化ボラジン化合物を準備する。
Figure 2008239492
上記式中、Rはアルキル基である。上記化学式4において、Rは各々同一であっても異なっていてもよい。合成反応の収率や取り扱いの容易性を考慮すると、Rは好ましくは同一のアルキル基である。ハロゲン化ボラジン化合物としては、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリエチルボラジン、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリ(iso−プロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリ(n−ブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリ(sec−ブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリ(iso−ブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリ(tert−ブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリ(1−メチルブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリ(2−メチルブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリ(neo−ペンチル)ボラジン、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリ(1,2−ジメチルプロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリ(1−エチルプロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリ(n−ヘキシル)ボラジン、B,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリシクロヘキシルボラジンが挙げられる。また、B,B’,B”−トリフルオロ−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリブロモ−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−モノクロロジフルオロ−N,N’,N”−トリメチルボラジンなど、塩素(Cl)以外のハロゲン元素によって、置換されていてもよい。
ハロゲン化ボラジン化合物の入手方法については、特に限定されない。ハロゲン化ボラジン化合物を合成する際には、公知の知見が適宜参照されうる。例えば、D.T.HAWORTH,Inorganic Syntheses,10,43(1971)に記載されている合成方法が採用されうる。自ら合成するのであれば、例えば、三塩化ホウ素(BCl)およびアミン塩((RNH)を反応させる。三塩化ホウ素とアミン塩との反応は、溶媒中に懸濁させたアミン塩に、三塩化ホウ素を添加する態様が好ましい。溶媒としては、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼンなどが用いられうる。反応溶液周辺の雰囲気については、特に限定されないが、好ましくは窒素やアルゴンといった不活性ガスで、反応溶液周辺の雰囲気が置換される。
前記アミン塩において、Rはアルキル基である。アルキル基は、直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。アルキル基の有する炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜8個、更に好ましくは1〜4個、特に好ましくは1個である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−メチルブチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これら以外のアルキル基が用いられてもよい。X及びnについては、上記第1の形態におけるX及びmと同様であるため、ここでは説明を省略する。
準備されたハロゲン化ボラジン化合物は、グリニャール試薬との反応に用いられ、その結果、下記化学式5で表されるアルキルボラジン化合物が合成される。ハロゲン化ボラジン化合物とグリニャール試薬との反応により、ハロゲン化ボラジン化合物のハロゲン原子を、アルキル基で置換する反応は、上記の非特許文献などに開示されている通り公知の反応であるので、以下で簡単に説明する。
MgX(Rはアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す)型に代表されるグリニャール試薬によって引き起こされるグリニャール反応は、所定の化合物に含まれるハロゲン原子をグリニャール試薬に含まれるアルキル基で置換する。ハロゲン化ボラジン化合物に関して言えば、ホウ素に直接結合しているハロゲン原子が、グリニャール試薬に含まれるアルキル基で置換される。
グリニャール試薬としては、CHMgI、CHCHMgBr、CHCHCHMgIなど、種々のグリニャール試薬が用いられうる。グリニャール試薬は、これらに限定されないことは勿論である。
グリニャール試薬とハロゲン化ボラジン化合物との反応条件は、特に限定されない。例えば、窒素雰囲気下、所定のハロゲン化ボラジン化合物及び溶媒としてのジエチルエーテルを反応容器に供給する。反応溶液を撹拌しながら、反応溶液にグリニャール試薬であるCHMgIを徐々に滴下する。理論上の必要量をやや上回る量のグリニャール試薬を滴下し、さらに1時間、反応溶液を撹拌する。
製造されるアルキルボラジン化合物は、下記化学式5で表される構造を有する。なお、本願の第2の形態において「アルキルボラジン化合物」とは、特段の断りのない限り、化学式5で表される化合物を意味する。
Figure 2008239492
上記式中、Rはアルキル基である。上記式で表されるアルキルボラジン化合物中のRは、各々同一であってもよいし、異なっていてもよい。Rは、化学式4におけるRに由来する基である。Rについては、化学式4のRについて説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。
はグリニャール試薬に起因するアルキル基である。グリニャール試薬が、RMgXで表される場合には、RはRに由来する。
このようなヘキサアルキルボラジン化合物の構造は特に限定されないが、具体例としては、ヘキサメチルボラジン、ヘキサエチルボラジン、ヘキサ(n−プロピル)ボラジン、ヘキサ(iso−プロピル)ボラジン、ヘキサ(n−ブチル)ボラジン、ヘキサ(sec−ブチル)ボラジン、ヘキサ(iso−ブチル)ボラジン、ヘキサ(tert−ブチル)ボラジン、ヘキサ(1−メチルブチル)ボラジン、ヘキサ(2−メチルブチル)ボラジン、ヘキサ(neo−ペンチル)ボラジン、ヘキサ(1,2−ジメチルプロピル)ボラジン、ヘキサ(1−エチルプロピル)ボラジン、ヘキサ(n−ヘキシル)ボラジン、ヘキサシクロヘキシルボラジン、B,B’,B”−トリメチル−N,N’,N”−トリエチルボラジン、B,B’,B”−トリメチル−N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリメチル−N,N’,N”−トリ(iso−プロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリエチル−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリメチル−N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリメチル−N,N’,N”−トリ(iso−プロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(iso−プロピル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリ(iso−プロピル)−N,N’,N”−トリエチルボラジンなどが挙げられる。
上記で合成されたアルキルボラジン化合物は水で洗浄される。前記アルキルボラジン化合物は、好ましくは、金属元素含有量が1質量ppb以下、かつハロゲン元素含有量が0.5質量ppm以下である水、より好ましくは、金属元素含有量が0.1質量ppb以下、かつハロゲン元素含有量が0.05質量ppm以下である水で洗浄される。生成物を水で洗浄する場合、通常は、水溶性の不純物の除去を目的とする。本発明においては、洗浄水は、不純物の分解に用いられる。ただし、洗浄水による水溶性の不純物の除去が、同時に図られてもよい。例えば、不純物である金属元素が、水中にイオンとして溶け出し、アルキルボラジン化合物から除去されうる。
水でアルキルボラジン化合物を洗浄する場合には、洗浄水によってアルキルボラジン化合物中に含まれるハロゲン化ボラジン化合物が分解されうるのであれば、洗浄の態様については特に限定されない。例えば、得られたボラジン化合物からなる固形物が溶解したトルエンなどの有機溶媒中と、イオン交換水とが供給された分液ロートを用いて、アルキルボラジン化合物を洗浄する。洗浄水の使用量は、洗浄されるアルキルボラジン化合物の量や、洗浄の態様に応じて決定されればよい。
3.合成されたボラジン化合物の精製方法(第3の形態)
上記第1の形態で得られたボラジン及びトリアルキルボラジン化合物、並びに上記第2の形態で得られたヘキサアルキルボラジン化合物について、ボラジン化合物の純度をより高くするために精製を行ってもよい。ボラジン化合物の精製方法は特に制限されることはないが、例えば濾過精製、蒸留精製及び昇華精製などを、一種単独でまたは組み合わせて用いることができる。濾過精製、蒸留精製及び昇華精製などの装置や条件については、特に限定されることはなく、当業者であれば、公知の知見に基づいて適宜実施することができる。
上記の精製方法によれば、合成されたボラジン化合物の純度をより高くすることができるが、本発明は更に、上記の合成段階により得られたボラジン化合物を金属除去剤と接触させる点に特徴を有する。ボラジン化合物を金属除去剤と接触させることによって合成系中の金属原子が除去される結果、ボラジン化合物の純度を一層高め、ボラジン化合物を用いて製造された半導体の層間絶縁膜などの性能を向上させうる。
本発明における金属除去剤は以下に限定されることはないが、好ましくは、金属イオン捕捉剤、金属イオン封鎖剤(キレート剤)、金属イオン吸着剤、イオン交換樹脂、無機イオン交換体及び界面活性剤ゲルからなる群から選択される一種以上である。前記金属除去剤は、より好ましくは金属イオン封鎖剤(キレート剤)、金属イオン吸着剤またはイオン交換樹脂であり、更に好ましくは金属イオン吸着剤またはイオン交換樹脂である。ここで、前記金属除去剤をフィルターとして用いると、より容易に高純度のボラジン化合物を得ることができる。本願において、以降前記フィルターを金属(イオン)除去フィルターと称する。従って、本発明における金属除去剤は、最も好ましくは、前記金属イオン吸着剤または前記イオン交換樹脂を金属除去剤をフィルターとして用いる金属(イオン)除去フィルターである。前記金属(イオン)除去フィルターの入手経路は特に制限されず、一般に市販されているものでよい。なお、前記金属(イオン)除去フィルターの濾過精度(孔径)は、0.1〜2μmであることが好ましく、0.1〜0.8μmであることがより好ましい。また、前記金属(イオン)除去フィルターの濾過温度は室温(一般に1〜40℃を指す)〜90℃であることが好ましく、室温〜50℃であることがより好ましい。そして、前記金属(イオン)除去フィルターの加圧条件はフィルターの種類によって異なるが、0.2MPa以下であることが好ましく、0.1MPa以下であることがより好ましい。前記濾過精度(孔径)、濾過温度及び濾過時の加圧条件がかかる範囲内にある場合、各金属原子を効果的に除去することができる。なお、他の濾過条件等については、当業者であれば適当な設定が可能であるため、ここでは省略する。なお、除去される金属原子の出所は、主として原料由来の金属原子であるが、大気中に存在する金属原子などもありうる。従って、本発明により除去される対象となる金属原子は特に制限されない。
合成されたボラジン化合物を金属除去剤と接触させる段階においては、ボラジン化合物から金属が除去されるが、前記段階は、
(1)ボラジン化合物の合成後に実行してもよく、(2)合成したボラジン化合物を蒸留(昇華)精製する場合にはその後に実行してもよく、(3)合成したボラジン化合物を蒸留(昇華)精製する場合に、蒸留(昇華)精製されたボラジン化合物を溶媒に溶解した後に実行してもよい。
本発明の製造方法によって製造されるボラジン化合物の質量に対する各金属元素の含有量は、好ましくは20質量ppb以下であり、より好ましくは10質量ppb以下である。前記含有量がかかる範囲内にある場合、ボラジン化合物の純度を高めるとともに、ボラジン化合物を用いて製造された半導体の層間絶縁膜などの性能を十分に向上させうる。なお、前記各金属元素の含有量の測定方法は、後述の実施例に記載の方法である。
本発明の製造方法によって製造されるボラジン化合物は、好ましくは、純度が99.0質量%以上であり、より好ましくは99.5質量%以上であり、特に好ましくは99.9質量%以上である。ここで、ボラジン化合物の純度の値は、ガスクロマトグラフィーによって測定した値を採用するものとする。このような高純度のボラジン化合物を用いることにより、半導体素子などの製品の性能を向上させることができる。なお、前記ボラジン化合物の純度の測定方法は、後述の実施例に記載の方法である。
製造されたボラジン化合物は、特に限定されないが、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層などの形成に用いられうる。その際には、ボラジン化合物がそのまま用いられてもよいし、ボラジン化合物に改変を加えた化合物が用いられてもよい。ボラジン化合物またはボラジン化合物の誘導体を重合させた重合体を、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層またはエッチストッパー層の原料として用いてもよい。以下、「ボラジン化合物」、「ボラジン化合物の誘導体」及び「これらに起因する重合体」をまとめて、「ボラジン環含有化合物」と称する。
ボラジン環含有化合物を用いて、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層またはエッチストッパー層を形成する手法としては、例えば、ボラジン環含有化合物を含む溶液状またはスラリー状の組成物を調製し、これを所望の部位に塗布することによって、塗膜を形成する手法が用いられうる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明の実施の形態をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには制限されない。
なお、下記の実施例及び比較例において、ボラジン化合物中の各金属原子の含有量については、ICP−MS(高周波発光質量分析器) ELAN DRCII(株式会社パーキンエルマージャパン製)を用いて測定した。ICP−MS測定は、試料をメタノール(関東化学株式会社製の「メタノール 電子工業用」)で20倍に希釈・分解し、更に2質量%の硝酸水溶液(多摩化学工業株式会社製の「硝酸 TAMAPURE−AA−100」を日本ミリポア株式会社製の超純水「Milli−Q ElementA−10」で希釈し作製)で分解物を10倍に希釈することにより、分析用加水分解液を準備し、測定を行った。
更に、ボラジン化合物の純度は、ガスクロマトグラフィーを用いて測定した。測定条件は以下の通りである。
Figure 2008239492
<合成例>
滴下漏斗及び冷却管を備えた3つ口丸底フラスコ(4L容)に、窒素置換を行いながらモノメチルアミン塩酸塩(沸点:225〜230℃)(300g)、及びトリグライム(沸点:216℃)(1000g)を仕込み、反応系を150℃まで昇温させた。
一方、水素化ホウ素ナトリウム(188g)を準備し、これを別途準備したトリグライム(1000g)中に添加して、スラリーを調製した。
上記で調製した水素化ホウ素ナトリウムのスラリーを150℃に昇温させた反応系の中に90分かけて徐々に添加した。
スラリー添加終了後、反応系を20分かけて170℃にまで昇温させ、2時間熟成して、N,N’,N”−トリメチルボラジン(TMB)(沸点133℃)の合成反応を進行させた。熟成後、冷却管を取り外し、クライゼン連結管及びリービッヒ冷却管を取り付け、反応溶液を3時間かけて170℃から210℃まで昇温させて、蒸留によりTMBを取り出した。このTMBを更に常圧において、蒸留温度155〜160℃で蒸留を行い、留出温度130〜133℃の留分を分取し、精製を行った。
<実施例>
上記合成法により得られたTMBを密閉容器に移し、クリーンな窒素雰囲気下で0.1MPa以下の加圧条件下、市販の微量金属除去用フィルターであるゼータプラスECシリーズ−SHグレード(キュノ株式会社製)を用いて濾過を行った。濾過後のTMB中の各金属含有量をICP−MSで測定したところ、以下の表のような結果を得た。また、濾過後のTMBの純度は99.92質量%であった。
<比較例>
上記合成法により得られたTMBを濾過することなく、TMB中の各金属含有量をICP−MSで測定したところ、以下の表のような結果を得た。また、TMBの純度は99.90質量%であった。
Figure 2008239492
以上の実施例及び比較例に示す結果から、本発明による、金属原子を金属除去剤と接触させて除去すること(濾過)によって、合成で得られたボラジン化合物中の各金属原子の含有量を非常に低い値に制御することが可能となることが示された。従って、本発明によれば、合成されるボラジン化合物の純度をより一層向上し、ひいてはボラジン化合物を用いて製造された半導体の層間絶縁膜などの性能を一層向上させうることが示された。
ボラジン化合物を用いて製造された層間絶縁膜をLSIに使用する場合、材料中に金属原子が存在すると半導体素子の性能に悪影響を与えるため、極めて純度の高い品質が要求される。従って、材料中の金属原子の含量を数質量ppb程度に制御する必要がある。また、ナトリウム等は大気中にも含まれているため、数質量ppb程度に制御するには、従来の場合厳しい工程管理が必要であり、膨大なコストを要している。しかし、本発明によれば、上記結果の通り、各金属原子が数質量ppb程度まで低減したボラジン化合物を製造することができる。更に、合成したボラジン化合物に前記金属除去剤を添加し、金属を除去するという本発明の製造方法は、従来にない技術であるとともに、非常に簡便に各金属原子の含有量を数質量ppb程度に調節しうるという、極めて優れた技術であることが上記結果から示される。

Claims (1)

  1. 化学式1:
    Figure 2008239492
    (上記式において、Rは互いに独立して、水素原子、アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選択される)
    で示されるボラジン化合物を合成する段階と、前記ボラジン化合物を金属除去剤と接触させる段階とを含む、ボラジン化合物の製造方法。
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