JP2008238647A - 積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、小型の液晶表示装置用の窓枠用基材として組み込む場合に外側への光漏れ防止と内面への良好な光反射性を両立させ、さらに柔軟性に優れ、小型薄膜化を可能とする積層フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】熱可塑性樹脂を主成分とした光反射層(A)および光隠蔽層(B)を含む少なくとも2層よりなる積層フィルムであって、少なくともその一方の最外層が前記光反射層(A)により構成され、波長560nmにおける光反射率が80%以上、該光隠蔽層(B)が少なくともカーボンブラック粒子を含有し、かつ厚みが50μm以下であり、該光隠蔽層(B)、該積層フィルムの厚みが100μm以下で、光学濃度4以上である積層フィルム。
【選択図】なし
【解決手段】熱可塑性樹脂を主成分とした光反射層(A)および光隠蔽層(B)を含む少なくとも2層よりなる積層フィルムであって、少なくともその一方の最外層が前記光反射層(A)により構成され、波長560nmにおける光反射率が80%以上、該光隠蔽層(B)が少なくともカーボンブラック粒子を含有し、かつ厚みが50μm以下であり、該光隠蔽層(B)、該積層フィルムの厚みが100μm以下で、光学濃度4以上である積層フィルム。
【選択図】なし
Description
本発明は、液晶表示装置に使用する積層フィルムに関し、さらに詳しくは、ディスプレイ内側への光反射性に優れ、かつディスプレイ外側への光の漏洩が無い、軽量性に優れたディスプレイ窓枠基材用積層フィルムに関する。
近年、液晶画面を使用した用途の拡大はめざましく、従来のノートパソコンの他に、据え置き型のパソコン、液晶テレビ、携帯電話のディスプレイ、各種ゲーム機などで広く採用されてきている。その中で、携帯電話に代表されるような小型ディスプレイでは、画面の外周に窓枠基材としてバックライトからの高輝度の光を外に漏れないように隠蔽する機能(隠蔽性)と、内面に光を反射させ、光を有効に用いるための機能(反射性)を兼ね備えた部材が用いられている。
かかるディスプレイ用窓枠基材が用いられる携帯電話のような小型画面では、バックライトの更なる高輝度化が進んでおり、これに伴って窓枠用基材も隠蔽性の向上が求められる。また、光のロスを減らし効率的にするために窓枠用基材内面側の反射性の向上も共に求められる。一方、液晶および装置の小型化のため、これらの部材の軽量・薄膜化が求められる。
かかるディスプレイ用窓枠基材が用いられる携帯電話のような小型画面では、バックライトの更なる高輝度化が進んでおり、これに伴って窓枠用基材も隠蔽性の向上が求められる。また、光のロスを減らし効率的にするために窓枠用基材内面側の反射性の向上も共に求められる。一方、液晶および装置の小型化のため、これらの部材の軽量・薄膜化が求められる。
液晶ディスプレイ用反射基材で反射性・遮蔽性を兼ね備えた部材としては、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とした50μm以上の光反射フィルムにカーボンブラックのような無機微粒子を含有させ、光学濃度1以上とした光遮蔽フィルムを積層させたものが提案されている(特許文献1および2)。また、同様に光反射フィルムと光遮蔽フィルムを積層させた部材として、熱可塑性樹脂を主成分とした50μm以上の光反射フィルムに金属泊を裏打ちさせた50μm以上のフィルムを積層させた反射フィルムも提案されている(特許文献3)。
特開2006−023422号公報
特開2006−023442号公報
特開2006−023488号公報
しかしながら、これらの特許文献で示されている例は、主に大型ディスプレイ用に用いられ、バックライト裏面への光漏れ防止を目的とするものである。これらはいずれも組み立て作業性を改善するために撓み性を防止することを目的としており、厚みは厚い方が好適である。しかし、小型薄膜化が追求される小型液晶ディスプレイの窓枠用基材としてフィルムを用いる上では撓みにより作業性を悪化させる事態は考えにくい。フィルムを小型ディスプレイ窓枠用基材として利用する場合の使用形態としては、フィルム表面に粘着剤を塗布し筺体に貼付けるなどの加工となるので撓みは問題になり得ない。むしろ携帯電話などに見られるように小型のディスプレイでは周辺形状が必ずしも平坦ではないため、用いられるフィルムが厚い場合には、フィルムの剛性によって貼り付け後に剥がれやすくなってしまい、むしろ好ましくない。
さらに、携帯電話などでは部材の電磁波透過性を高められる非金属・絶縁化するという要求もあり、これに応えるため、表示装置の背面部の構造を簡易化することも検討されてはいるが、この面からも、反射板自体からの光の漏洩を避ける必要性が増している。
さらに、携帯電話などでは部材の電磁波透過性を高められる非金属・絶縁化するという要求もあり、これに応えるため、表示装置の背面部の構造を簡易化することも検討されてはいるが、この面からも、反射板自体からの光の漏洩を避ける必要性が増している。
そこで、本発明は、小型の液晶表示装置用の窓枠用基材として組み込む場合に外側への光漏れ防止と内面への良好な光反射性を両立させ、さらに柔軟性に優れ、小型薄膜化を可能とする積層フィルムを提供することを目的とする。
(1)熱可塑性樹脂を主成分とした光反射層(A)および光隠蔽層(B)を含む少なくとも2層よりなる積層フィルムであって、
少なくともその一方の最外層が前記光反射層(A)によって構成され、前記光反射層(A)側の波長560nmにおける光反射率が80%以上、
該光隠蔽層(B)が少なくともカーボンブラック粒子を含有し、かつ厚みが50μm以下であり、
該積層フィルムの厚みが100μm以下で、
光学濃度4以上である積層フィルム、
(2)前記の光隠蔽層(B)に含まれるカーボンブラック粒子の含有量が(B)層の総重量に対し1〜10重量%である請求項1記載の積層フィルム、
(3)前記光隠蔽層(B)が、カーボンブラック粒子とは異なる無機粒子を含有する(1)または(2)に記載の積層フィルム、
(4)前記の積層フィルムの表面比抵抗が108Ω/□以上である(1)から(3)のいずれかに記載の積層フィルム、
(5)前記(A)層の最外層表面にさらに紫外線防止層が設けられている(1)から(4)のいずれかに記載の積層フィルム、
(6)共押出しにより(A)層と(B)層とを積層してなる、(1)から(5)のいずれかに記載の積層フィルム、
を提供することにある。
少なくともその一方の最外層が前記光反射層(A)によって構成され、前記光反射層(A)側の波長560nmにおける光反射率が80%以上、
該光隠蔽層(B)が少なくともカーボンブラック粒子を含有し、かつ厚みが50μm以下であり、
該積層フィルムの厚みが100μm以下で、
光学濃度4以上である積層フィルム、
(2)前記の光隠蔽層(B)に含まれるカーボンブラック粒子の含有量が(B)層の総重量に対し1〜10重量%である請求項1記載の積層フィルム、
(3)前記光隠蔽層(B)が、カーボンブラック粒子とは異なる無機粒子を含有する(1)または(2)に記載の積層フィルム、
(4)前記の積層フィルムの表面比抵抗が108Ω/□以上である(1)から(3)のいずれかに記載の積層フィルム、
(5)前記(A)層の最外層表面にさらに紫外線防止層が設けられている(1)から(4)のいずれかに記載の積層フィルム、
(6)共押出しにより(A)層と(B)層とを積層してなる、(1)から(5)のいずれかに記載の積層フィルム、
を提供することにある。
本発明によって、高い光遮蔽性と光反射性をもつため、小型の液晶表示装置用の窓枠用基材として組み込む場合でも、光漏れがなく、且つバックライトからの光を有効に用いることが可能となる。さらに、厚みが薄く柔軟性に優れるので曲面状のディスプレイに合わせた加工に対応でき、さらなる液晶画面の小型化・薄膜化にも寄与することが可能となる。
以下、光反射層と光遮蔽層とを積層して成る本発明の積層フィルムの形態を詳しく説明する。
本発明の積層フィルムにおいては、光反射層(A)側の波長560nmにおける光反射率が80%以上であることが必要である。光反射率が80%未満の場合は、反射されない光エネルギーがロスとなってしまい、エネルギーを効率的に利用することができなくなる。光反射率が80%以上のものであれば特に制限されないが、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上であり、例えば、熱可塑性樹脂の内部に微細な有機および/または無機粒子を含有させたものは光反射率が高く、好適に使用することができる。このフィルムは通常白色である。上記の熱可塑性樹脂としては、溶融押出しによってフィルムを形成し得るものであれば特に限定しないが、好ましい例として、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフェニレンスルフィドなどを挙げることができる。特に本発明においては、寸法安定性や機械的特性が良好で、可視光線域における吸収がほとんどないなどの観点からポリエステルが好ましい。
上記のポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称する)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下PENと略称する)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどを挙げることができる。もちろん、これらのポリエステルはホモポリマーであってもコポリマーであってもよいが、好ましくはホモポリマーである。コポリマーである場合の共重合成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、炭素数2〜15のジオール成分、たとえばイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、スルホン酸塩基含有イソフタル酸、およびこれらのエステル形成性化合物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、分子量400〜2万のポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。これらのポリエステル中には本発明の効果を阻害しない範囲内で各種添加物、たとえば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、有機の滑剤、有機、無機の微粒子、耐光剤、帯電防止剤、核剤、カップリンブ剤などが添加されていてもよい。
上記の微細な有機および/または無機粒子を含有させたものとしては、公知の方法で製造したもの、例えば(1)発泡剤を含有せしめ押出時や製膜時の熱によって発泡、あるいは化学的分解により発泡させたもの、(2)押出時にガスまたは気化可能な物質を添加したもの、(3)ポリエステルと非相溶性の熱可塑性樹脂を添加し、溶融押出後、1軸または2軸に延伸したもの、(4)無機粒子を添加して溶融押出後、1軸または2軸に延伸したものなどを挙げることができるが、本発明においては、遮光性にも寄与できることから無機粒子を添加させたものがより好ましく、すなわち、上記の(4)の方法で製造したものが、より好ましい。
上記の光反射層(A)のフィルムは市場でも容易に入手することができ、例えば、東レ(株)製ルミラーE60タイプ、E20タイプの白色フィルムを挙げることができる。
上記(A)層は積層フィルムを窓枠用基材として用いた際にバックライトに対して露出面となるため、バックライトにUV光が発生するような光源を用いる場合には、その(A)層上にさらに紫外線防止層が形成されているのが望ましい。かかる紫外線防止層を構成する成分は、紫外線吸収能を有する化合物を主成分レジンとしての樹脂に混合したもの、或いは紫外線吸収能を有する化合物のモノマーと重合性モノマーとの共重合体のいずれでもよいが、後者の共重合体の方が耐久性等の点で好ましい。また、これらと光安定剤との併用は、耐久性に優れ特に好ましい。
上記の紫外線吸収能を有する化合物のモノマーと重合性モノマーとの共重合体としては、公知のものを採用することができるが、例えば、紫外線吸収能を有する化合物のモノマー、例えば、サリチル酸系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系などの化合物モノマーと、これらのモノマーと共重合可能なモノマー、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基など)と、架橋性官能基を有するモノマー、例えばカルボキシル基、メチロール基、酸無水物基、スルホン酸基、アミド基、メチロール化されたアミド基、アミノ基、アルキロール化されたアミノ基、水酸基、エポキシ基などを有するモノマーとを共重合したものが挙げられる。
また、光安定剤としては、ヒンダードアミン系:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、上記以外:ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2−チオビス(4−tーオクチルフェノラート)]−n−ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ・t−ブチル− 4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチルジチオカーバメート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ・t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ・t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ・t−ブチル−4’−ハイドロキシベンゾエート、上記の化合物は、単独でも2種以上の併用であってもよい。
上記の主成分レジンとしての樹脂成分としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素系樹脂、およびこれらの共重合体、2種以上の混合物などが使用できる。紫外線吸収能を有する化合物との混合は、樹脂成分および紫外線吸収能を有する化合物をそれぞれ溶解する溶媒に溶解もしくは分散させて塗液状態として用いる。また紫外線吸収能を有する化合物が共重合されたものはそのままコート材料として用いてもよい。上記の紫外線防止性層の厚さは通常2〜20μm程度、実用的に4〜10μmである。
本発明においては、窓枠用基材の外側への光の漏洩を避けるために、上記の光反射層(A)の片面に光遮蔽層(B)を積層する。かかる光遮蔽層(B)としては、熱可塑性樹脂フィルムの内部に少なくともカーボンブラック粒子を含有させることが必要である。
一方、本発明の光遮蔽層(B)を構成する熱可塑性樹脂としては、前記の光反射層(A)フィルムを構成する熱可塑性樹脂として列記したものを採用することができるが、積層反射板の機械強度の観点から、少なくとも一軸方向に延伸したポリエステル樹脂が好ましく、実用性の観点から、中でも汎用樹脂として使用されているポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂組成物を少なくとも一軸延伸したものが好適に使用される。そして、その厚さは薄膜化・小型化の観点から通常50μm以下、好ましくは38μm以下、より好ましくは25μm以下である。
また、本発明において使用される積層フィルムの厚さは、成形性の観点から100μm以下であることが必要である。携帯電話に代表されるような小型ディスプレイは単純な平面でなく、窓枠部分ではやや湾曲した曲面もありうるため、加工する際においては厚みが厚すぎると剛直でディスプレイ窓枠の形状に合わせて貼り付けても剥がれてしまうトラブルのもととなる。100μm以下であれば、上記の光反射率・光学濃度などの特性を満足するものである限り特に制限するものではないが、より柔軟性が高く、かつディスプレイ全体を薄膜化・小型化する観点から、積層体として好ましくは75μm以下のもの、より好ましくは50μm以下のものを使用する。
このように光遮蔽層を積層した本発明のフィルムは光学濃度が4以上であることが必要である。近年ますます小型ディスプレイ用画面の輝度が近年ますます向上しており、光学濃度が4未満では積層フィルムを窓枠基材用として用いた場合に僅かでも光漏れが生じてしまう。このため本発明の積層フィルムの光学濃度としては、少なくとも4以上、好ましくは光学濃度5以上である。
また、本発明のように薄膜で高い光隠蔽性を確保するためには、光隠蔽層(B)にはカーボンブラック粒子を含有させることが必要であるが、カーボンブラック粒子の含有量は少なくとも1重量%以上とすることが、このように薄膜化しても積層フィルムとしての光学濃度が4以上という高い隠蔽性を確保するために好ましい。無機粒子の含有量が多くなるほど隠蔽性が高くなる。本発明ではカーボンブラック粒子を含有することが必要であるが、生産性および機械強度維持の観点から10重量%程度までが実用範囲である。
このカーボンブラック粒子は公知の種類のものを使用できるが、カーボンブラック粒子の数平均一次粒子径は、10〜100nmの範囲であることが好ましい。数平均一次粒子径が10nmより小さくなると溶融して押し出す際の流動性が不良となる。逆に数平均一次粒子径が100nmより大きい場合は隠蔽性が下がるほか、フィルム中に斑が発生し、引張強度、製膜性が不良となる問題がある。
また、本発明では、カーボンブラック粒子の他の無機粒子を添加することが好ましい。無機粒子としては、酸化チタンあるいは硫酸バリウムが挙げられる。これらの他の無機粒子はカーボンブラック粒子に加えて添加することでカーボンブラック粒子を単独で用いた場合以上に遮蔽性を向上させる点で有効である。この理由は明確ではないが、酸化チタンあるいは硫酸バリウムのような粒子は光反射性も有するため、隠蔽層(B)中に入った光がB層中でこれらの粒子によって散乱し、カーボンブラック粒子により吸収される割合が増えるためと推測される。B層中のカーボンブラック粒子以外の無機粒子の添加量は、この効果が発揮され、かつフィルムの機械特性を損なわない1〜20重量%程度が好ましい。また、数平均一次粒子径は性能と製膜性・機械特性の観点から0.1〜3.0μm程度が好ましい。
加えて、携帯電話など通信を伴う小型ディスプレイの用途向けでは通信性向上のため使用される部材の絶縁性が重要となる場合がある。この絶縁性の指標はフィルムの表面比抵抗で代表することができ、本発明をディスプレイの窓枠基材用として用いる場合には通常108Ω/□以上、好ましくは1010Ω/□以上、より好ましくは1012Ω/□以上である。本発明において、隠蔽性を保ちつつ、表面比抵抗を制御するためには、カーボンブラック粒子を含む層を設けることが必要である。本発明の光隠蔽層(B)層のようにカーボンブラック粒子を樹脂中に含む層を作る手段としては、樹脂への練り込みのほかコーティングや印刷など複数の方法が考えられるが、この中では練り込みによる方法がカーボンブラック粒子を含みながら適度に分散させて表面比抵抗を高くする上で都合がよい。
上記の光反射層(A)フィルムと光遮蔽層(B)フィルムとを積層する方法としては、別々に作ったフィルムをラミネートする方法、あるいは共押出しによる積層などが考えられる。これらの手段は光反射層、光遮蔽層の特性が満足されれば特に制限されるものではないが、低コスト、耐カール性の観点から、共押出しによる方法が合理的である。
本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、光安定剤、酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料などの添加剤を添加してもよい。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例の場合に限定されるものではない。なお、以下の実施例において製造された積層フィルムの諸特性の評価方法は、以下の試験法に準じて行った。
(1)光学濃度
フィルムを5cm×5cmにサンプリングし、日本平板機械社製光学濃度計XRite361Tを用いてフィルム試料に垂直透過光束を照射し試料が無い状態との比をlog(対数)で表したものを計測し、N=3で測定した平均値を光学濃度とした。光束幅は直径1mmの円形のものとした。なお、測定値について6.0以上の値を示した場合の小数部分には精度がないため、「6.0以上」と記載する。
フィルムを5cm×5cmにサンプリングし、日本平板機械社製光学濃度計XRite361Tを用いてフィルム試料に垂直透過光束を照射し試料が無い状態との比をlog(対数)で表したものを計測し、N=3で測定した平均値を光学濃度とした。光束幅は直径1mmの円形のものとした。なお、測定値について6.0以上の値を示した場合の小数部分には精度がないため、「6.0以上」と記載する。
(2)光反射率
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U−3310)に積分球を取り付け、標準白色板(酸化アルミニウム)を100%とした時の相対反射率を波長に560nmで固定し測定する。
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U−3310)に積分球を取り付け、標準白色板(酸化アルミニウム)を100%とした時の相対反射率を波長に560nmで固定し測定する。
(3)表面比抵抗
川口電機製作所製表面比抵抗測定器(MMAII−17A)を使用する場合、23℃×50%RHの雰囲気下で試料を1日放置した後、500Vの電圧を引加して1分間放置後、塗布面の表面比抵抗を測定する。ここで電極の型は、同社製(型番P−618)であり、主電極の外径90mm、対電極の内径45mmの同心円電極とする。
川口電機製作所製表面比抵抗測定器(MMAII−17A)を使用する場合、23℃×50%RHの雰囲気下で試料を1日放置した後、500Vの電圧を引加して1分間放置後、塗布面の表面比抵抗を測定する。ここで電極の型は、同社製(型番P−618)であり、主電極の外径90mm、対電極の内径45mmの同心円電極とする。
(4)層厚み
フィルムを5mm×1cmにサンプリングし、ミクロトームを用いて氷中で断面方向にカットした。透過型電子顕微鏡HU−12型(株式会社日立製作所製)を用い、カットしたサンプルのA層、およびB層の断面を観察し250倍に拡大した断面写真から積層厚みを換算し求めた。
フィルムを5mm×1cmにサンプリングし、ミクロトームを用いて氷中で断面方向にカットした。透過型電子顕微鏡HU−12型(株式会社日立製作所製)を用い、カットしたサンプルのA層、およびB層の断面を観察し250倍に拡大した断面写真から積層厚みを換算し求めた。
(5)各層合計厚み
定圧厚み測定器として、マイクロメーターM−30(ソニー株式会社製)を使用し、積層フィルムの各層合計厚みを計測した。
さらに、本発明のフィルムの実用上の特性として、下記の項目を測定した。
定圧厚み測定器として、マイクロメーターM−30(ソニー株式会社製)を使用し、積層フィルムの各層合計厚みを計測した。
さらに、本発明のフィルムの実用上の特性として、下記の項目を測定した。
(6)耐剥がれ性
成形しやすさの指標として以下の方法で耐剥がれ性の評価を行った。フィルムを(幅1cm×長さ15cm)の大きさにカットしたものを、両面テープ(ニチバン ナイスタック NW−10S)を用いてアクリル製の円筒状支持体(半径5cm)の表面に貼り付ける。これを室温に24時間放置後した後、積層フィルムの自身の弾性で支持体から剥がれるかどうかを観察した。測定は各10回ずつ実施し、下記の基準で判定した。
○:10回とも全く剥がれない。
△:10回中1〜2回剥がれる。
×:10回中3回以上剥がれる。
成形しやすさの指標として以下の方法で耐剥がれ性の評価を行った。フィルムを(幅1cm×長さ15cm)の大きさにカットしたものを、両面テープ(ニチバン ナイスタック NW−10S)を用いてアクリル製の円筒状支持体(半径5cm)の表面に貼り付ける。これを室温に24時間放置後した後、積層フィルムの自身の弾性で支持体から剥がれるかどうかを観察した。測定は各10回ずつ実施し、下記の基準で判定した。
○:10回とも全く剥がれない。
△:10回中1〜2回剥がれる。
×:10回中3回以上剥がれる。
(7)電磁波透過性
社団法人 関西電子工業振興センターのKEC法により、フィルムの電磁シールド効果測定を行い、下記の基準で判定した。
○:電磁波透過性は実用上問題ない。
△:実用上問題はないが、電磁波は多少シールドされる。
×:電磁波はかなりシールドされ、実用上問題がある。
社団法人 関西電子工業振興センターのKEC法により、フィルムの電磁シールド効果測定を行い、下記の基準で判定した。
○:電磁波透過性は実用上問題ない。
△:実用上問題はないが、電磁波は多少シールドされる。
×:電磁波はかなりシールドされ、実用上問題がある。
(8)隠蔽性
フィルムを(縦420mm×横320mm)にカットし、1万カンデラのバックライト上におき、光漏れを以下の基準で目視観察した。
○:実用上問題ない
△:実用上問題はないレベルだが、わずかに光が透過する。
×:かなり透過光が漏れて実用上問題がある。
フィルムを(縦420mm×横320mm)にカットし、1万カンデラのバックライト上におき、光漏れを以下の基準で目視観察した。
○:実用上問題ない
△:実用上問題はないレベルだが、わずかに光が透過する。
×:かなり透過光が漏れて実用上問題がある。
(9)輝度
ソニー(株)製VAIO(VGN−S52B/S)のバックライトの反射フィルムを所定のフィルムに変更し、輝度計(topcon製BM−7fast)にて、測定距離850mmで輝度を測定する。各フィルムの輝度はの3回ずつ測定し、その平均値を以下の基準で判定した。
◎:3000cd/m2以上
○:2500cd/m2以上、3000cd/m2未満
△:2000cd/m2以上、2500cd/m2未満
×:2000cd/m2未満。
ソニー(株)製VAIO(VGN−S52B/S)のバックライトの反射フィルムを所定のフィルムに変更し、輝度計(topcon製BM−7fast)にて、測定距離850mmで輝度を測定する。各フィルムの輝度はの3回ずつ測定し、その平均値を以下の基準で判定した。
◎:3000cd/m2以上
○:2500cd/m2以上、3000cd/m2未満
△:2000cd/m2以上、2500cd/m2未満
×:2000cd/m2未満。
[実施例1]
まず光反射層となるA層を形成するため、極限粘度[η]が0.70dl/gのポリエチレンテレフタレート(以降PETと省略)チップ86.0重量部と、マスター化したチップにより二酸化チタン14.0重量部を混合したものを真空下で170℃に加熱し3時間乾燥させたのち300℃に加熱された押出機(ア)に供給する。一方、光隠蔽層となるB層を形成するため、極限粘度[η]が0.70dl/gのポリエチレンテレフタレート(以降PETと省略)チップ97.5重量部と、数平均一次粒子径16nmを有するカーボンブラック粒子(三菱化学(株)社製 ♯960)をあらかじめ前記PETに練り込んでマスター化したチップによりカーボンブラック粒子2.5重量部を混合したものをあらかじめ真空下で170℃に加熱し3時間乾燥させたのち、300℃に加熱された別の押出機(イ)に供給する。押出機(ア)および押出機(イ)から溶融樹脂を供給される溶融樹脂をギヤポンプでそれぞれ所定量に軽量した後、複合製膜装置においてA/B2層に積層させTダイに導入する。
まず光反射層となるA層を形成するため、極限粘度[η]が0.70dl/gのポリエチレンテレフタレート(以降PETと省略)チップ86.0重量部と、マスター化したチップにより二酸化チタン14.0重量部を混合したものを真空下で170℃に加熱し3時間乾燥させたのち300℃に加熱された押出機(ア)に供給する。一方、光隠蔽層となるB層を形成するため、極限粘度[η]が0.70dl/gのポリエチレンテレフタレート(以降PETと省略)チップ97.5重量部と、数平均一次粒子径16nmを有するカーボンブラック粒子(三菱化学(株)社製 ♯960)をあらかじめ前記PETに練り込んでマスター化したチップによりカーボンブラック粒子2.5重量部を混合したものをあらかじめ真空下で170℃に加熱し3時間乾燥させたのち、300℃に加熱された別の押出機(イ)に供給する。押出機(ア)および押出機(イ)から溶融樹脂を供給される溶融樹脂をギヤポンプでそれぞれ所定量に軽量した後、複合製膜装置においてA/B2層に積層させTダイに導入する。
Tダイから吐出させた溶融シートを表面温度25℃に冷却されたドラム上で静電荷法にて密着冷却固化した該未延伸フィルムを60〜100℃に加熱したロール群に導き長手方向に3.0倍延伸した。続いて、縦延伸されたフィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内に導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.1倍に横延伸した後テンター内で230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取り厚み100μmの積層フィルムを得た。この積層フィルムについて、光反射率、光学濃度、表面比抵抗A、B各層の層厚み、および実用特性の各項目を前記の評価方法に従って評価し、その結果を表1に示した。
[実施例2〜8]
A、B層の各層厚みと二酸化チタンおよびカーボンブラック粒子の添加量を変えた以外は実施例1の場合と同様にし、積層フィルムを作製した。この積層フィルムについて、光反射率、光学濃度、表面比抵抗、A、B各層の層厚み、および実用特性の各項目を前記の評価方法に従って評価し、その結果を表1に示した。
A、B層の各層厚みと二酸化チタンおよびカーボンブラック粒子の添加量を変えた以外は実施例1の場合と同様にし、積層フィルムを作製した。この積層フィルムについて、光反射率、光学濃度、表面比抵抗、A、B各層の層厚み、および実用特性の各項目を前記の評価方法に従って評価し、その結果を表1に示した。
[実施例9]
まず、積層装置を用いずA層のみとした以外は実施例1と同様にし、厚さ50μmのフィルムを作製した。このフィルムの裏面層にカーボンブラック粒子含有樹脂液(VMD−795黒、大日精化製)30質量部およびイソシアネート系硬化剤(VMD硬化剤)3.0質量部にトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶媒6.2質量部を添加し、よく撹拌してカーボンブラック粒子含有塗料を調製し、グラビアロールを使用して上記のカーボンブラック粒子含有塗料を上記の厚さ50μmのPETフィルムに乾燥後の厚さが5μmとなるようにコートし、100℃の熱風中で1分間乾燥し、カーボンブラック粒子含有層コートフィルムを作製した。
このフィルムを実施例1における積層フィルムの場合と同様にして光反射率、光学濃度、表面比抵抗、A、B各層の層厚み、および実用特性の各項目を前記の評価方法に従って評価し、その結果を表1に示した。
まず、積層装置を用いずA層のみとした以外は実施例1と同様にし、厚さ50μmのフィルムを作製した。このフィルムの裏面層にカーボンブラック粒子含有樹脂液(VMD−795黒、大日精化製)30質量部およびイソシアネート系硬化剤(VMD硬化剤)3.0質量部にトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶媒6.2質量部を添加し、よく撹拌してカーボンブラック粒子含有塗料を調製し、グラビアロールを使用して上記のカーボンブラック粒子含有塗料を上記の厚さ50μmのPETフィルムに乾燥後の厚さが5μmとなるようにコートし、100℃の熱風中で1分間乾燥し、カーボンブラック粒子含有層コートフィルムを作製した。
このフィルムを実施例1における積層フィルムの場合と同様にして光反射率、光学濃度、表面比抵抗、A、B各層の層厚み、および実用特性の各項目を前記の評価方法に従って評価し、その結果を表1に示した。
[比較例1]
積層装置を用いずA層のみとした以外は実施例1と同様にし、厚さ100μmのフィルムを作製した。このフィルムを実施例1における積層フィルムの場合と同様にして光反射率、光学濃度、表面比抵抗およびA、B各層の層厚みを前記の評価方法に従って評価し、その結果を表1に示した。
積層装置を用いずA層のみとした以外は実施例1と同様にし、厚さ100μmのフィルムを作製した。このフィルムを実施例1における積層フィルムの場合と同様にして光反射率、光学濃度、表面比抵抗およびA、B各層の層厚みを前記の評価方法に従って評価し、その結果を表1に示した。
[比較例2]
B層のカーボンブラック粒子の添加量を0.5重量%とした以外は実施例1の場合と同様にし、積層フィルムを作成した。この積層フィルムについて、光反射率、光学濃度、表面比抵抗およびA、B各層の層厚みを前記の評価方法に従って評価し、その結果を表1に示した。
B層のカーボンブラック粒子の添加量を0.5重量%とした以外は実施例1の場合と同様にし、積層フィルムを作成した。この積層フィルムについて、光反射率、光学濃度、表面比抵抗およびA、B各層の層厚みを前記の評価方法に従って評価し、その結果を表1に示した。
[比較例3]
A層の厚みを75μmとした以外は実施例1の場合と同様にし、総厚み125μmの積層フィルムを作製した。この積層フィルムについて、光反射率、光学濃度、表面比抵抗、A、B各層の層厚み、および実用特性の各項目を前記の評価方法に従って評価し、その結果を表1に示した。
A層の厚みを75μmとした以外は実施例1の場合と同様にし、総厚み125μmの積層フィルムを作製した。この積層フィルムについて、光反射率、光学濃度、表面比抵抗、A、B各層の層厚み、および実用特性の各項目を前記の評価方法に従って評価し、その結果を表1に示した。
[比較例4]
A層の酸化チタン粒子の添加量を7重量%とした以外は実施例1の場合と同様にし、積層フィルムを作製した。この積層フィルムについて、光反射率、光学濃度、表面比抵抗、A、B各層の層厚み、および実用特性の各項目を前記の評価方法に従って評価し、その結果を表1に示した。
A層の酸化チタン粒子の添加量を7重量%とした以外は実施例1の場合と同様にし、積層フィルムを作製した。この積層フィルムについて、光反射率、光学濃度、表面比抵抗、A、B各層の層厚み、および実用特性の各項目を前記の評価方法に従って評価し、その結果を表1に示した。
本発明の積層フィルムは、高い光遮蔽性を有するため、ディスプレイの窓枠用基材として用いられた場合、バックライトが高輝度でも光漏れの虞が無く、しかも、厚みが薄いので、本発明の積層反射板は産業上の効果は大である。
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂を主成分とした光反射層(A)および光隠蔽層(B)を含む少なくとも2層よりなる積層フィルムであって、
少なくともその一方の最外層が前記光反射層(A)によって構成され、前記光反射層(A)側の波長560nmにおける光反射率が80%以上、
該光隠蔽層(B)が少なくともカーボンブラック粒子を含有し、かつ厚みが50μm以下であり、
該積層フィルムの厚みが100μm以下で、
光学濃度4以上である積層フィルム。 - 前記の光隠蔽層(B)に含まれるカーボンブラック粒子の含有量が(B)層の総重量に対し1〜10重量%である請求項1記載の積層フィルム。
- 前記光隠蔽層(B)が、カーボンブラック粒子とは異なる無機粒子を含有する請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 前記の積層フィルムの表面比抵抗が108Ω/□以上である請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記(A)層の最外層表面にさらに紫外線防止層が設けられている請求項1から4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 共押出しにより(A)層と(B)層とを積層してなる、請求項1から5のいずれかに記載の積層フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007083858A JP2008238647A (ja) | 2007-03-28 | 2007-03-28 | 積層フィルム |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012139950A (ja) * | 2011-01-05 | 2012-07-26 | Kimoto & Co Ltd | 目隠し用フィルム |
JP2017114568A (ja) * | 2015-12-18 | 2017-06-29 | 日本合成化学工業株式会社 | 液体洗剤包装用水溶性フィルム及び液体洗剤包装体 |
JP2020524612A (ja) * | 2017-06-27 | 2020-08-20 | エルジー・ケム・リミテッド | 装飾部材およびその製造方法 |
-
2007
- 2007-03-28 JP JP2007083858A patent/JP2008238647A/ja active Pending
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US11448800B2 (en) | 2017-06-27 | 2022-09-20 | Lg Chem, Ltd. | Decorative member and method for preparing same |
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