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JP2008233373A - 画像形成装置 - Google Patents

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JP2008233373A
JP2008233373A JP2007070811A JP2007070811A JP2008233373A JP 2008233373 A JP2008233373 A JP 2008233373A JP 2007070811 A JP2007070811 A JP 2007070811A JP 2007070811 A JP2007070811 A JP 2007070811A JP 2008233373 A JP2008233373 A JP 2008233373A
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JP2007070811A
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Masahiro Ito
政宏 伊藤
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Abstract

【課題】小粒径の現像剤や薄膜の像担持体を採用しても高転写効率を維持しトビチリや再転写を減少させる。
【解決手段】感光体ドラムの電位絶対値が、現像後及び転写前で200V以下、シート材の転写ユニット通過後で100V以下、感光体ドラム外径を20〜40mmとする。現像剤は結着樹脂及び着色剤の粒子と、その表面に平均粒径30〜300nm、粒径600nm以上の粒子又は凝集体の個数の含有率が1%以下である無機微粒子を含有する。現像剤の重量平均粒径が3.0〜7.0μm、円形度が0.940〜0.975、凝集度が50〜70%である。中間転写体と像担持体との接触ニップ中心と、一次転写手段と中間転写体との接触ニップ中心との距離L(mm)、凝集度G(%)、感光体ドラム外径D(mm)の間に、0.3<L≦(0.1×G−4.5)×D/30の関係を有する。
【選択図】図9

Description

この発明は、画像形成装置に関し、具体的には、電子写真法や静電記録法などを利用した記録方法に用いられる画像形成方法に関する。特に、静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像した後、中間転写体上に転写させて画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ等に用いられる画像形成装置に適用して好適なものである。
一般的に、複写機、プリンタやファクシミリのように、画像を紙などの記録媒体に記録する画像形成装置においては、画像を記録媒体に記録するシステムとして、電子写真システムが採用されている。
近年、複写装置は、単なる原稿を複写するための事務処理用複写機としてのみならず、デジタル技術の導入により他の情報処理機と結び付いた情報出力機器としても採用されている。また、複写装置は、多機能化により画像情報の加工や編集が容易になり新規なオリジナル原稿を作成するための出力機器である複写機やプリンタとしても採用されている。
また市場からの要請として、より高速化、高画質化、小型軽量化及び、より高信頼性が厳しく追求されてきている。このような需要を満足するため、画像形成ユニットを並列配置したタンデム式の装置が主流となってきている。
特に、このようなタンデム式の画像形成装置では、転写媒体上に、現像剤像として、それぞれの色トナー像を担持した感光体上から、それぞれの色トナー像を多重転写して画像形成を行わせる。そのため、転写時のトビチリによる画像乱れや再転写による各色濃度や2次色などの色バランス変化や色ムラの発生を抑制しなければならない。
これらの問題を解決するために、転写部において転写部の上流や下流にバイアスを印加した押圧部材を配置する画像形成装置が提案されている(例えば特許文献1)。さらに、高画質化のために現像剤としてのトナーの小粒径化や感光体の薄膜化、また高耐久、高信頼性に対応するためにアモルファスシリコン感光体の使用が提案されている。
アモルファスシリコン感光体は、表面硬度が高く、半導体レーザやLEDなどに対応する比較的長波長光に高い感度を有し、繰り返しによる劣化が認められず長寿命であることから、高速デジタル用の複写機、プリンタに採用されている。
すなわち、通常最も広く使用されているOPC感光体の場合、装置本体の寿命に対する感光体寿命が圧倒的に短い。そのため、機械寿命が到達するまでの間に5本程度の感光体を交換する必要がある。この際、サービスマンがOPC感光体を交換するのに手間がかかる。これに対し、アモルファスシリコン感光体を用いた場合は、最初に機械に組み込まれた感光体を、機械寿命の到達まで継続して使用可能なので、感光体の交換が不要であるという長所を有している。
特開2004−246323号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、転写手段近傍にさらに押上部材を設置している構成が採用されていることにより、装置全体の小型化は困難であった。
また、高画質化の要請に起因するトナーの小粒径化の問題がある。すなわち、トナーの粒径が小さくなるのに従って、転写する場合の感光体表面から現像剤像としてのトナー像を転写させるための静電気力に対する、感光体とトナーとの間に作用する非静電的な付着力の比率が増大する。さらに、トナーの小粒径化によって、適切なトナーの単位重量当たりの帯電量が増加するため、感光体とトナーとの間の静電的付着力が増加し、転写性が著しく低下してしまう。
その上、高速化の要請に起因して、画像形成を行う速度、いわゆるプロセススピードを高速化することによって、静電転写に必要とされる転写バイアス出力が上昇する。そのため、転写部近傍において発生するトビチリや、転写媒体に転写されたトナーが再度感光体へ逆転移してしまう再転写の発生の確率が増大する。
さらに、高画質化のために、薄膜感光体を採用したり、アモルファスシリコン感光体を採用したりすると、感光体自身の誘電率や静電容量が増大する。そして、巨視的意味における転写性である転写効率や、微視的意味におけるドラム表面と接しているトナーの静電吸着力が増加する。
したがって、画像形成装置において、良好な転写性を得るためには、より大きな転写バイアスが必要となる。ところが、上述したように、転写バイアスが増加するとトビチリや再転写が発生しやすくなるという問題がある。
また、装置全体の小型化のため、使用される感光体ドラムも小径化がすすみ、現状において、ドラムの直径が30mm程度のものが主流となっている。このドラムの小径化によって転写ニップの幅が狭くなるため、押上部材などを設置する空間的余裕がなくなってきてしまう。
したがって、この発明の目的は、部材を追加することなく小型化、高速化及び高画質化しつつ、高信頼性を有する画像形成装置を提供することにある。また、この発明のさらなる目的は、小粒径の現像剤や、薄膜の像担持体などを採用した場合であっても、高い転写効率を有しつつ、トビチリや再転写の少ない画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、この発明は、
略円柱形状の像担持体と、
前記像担持体を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段により帯電された前記像担持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像を現像剤によって現像する現像手段と、
現像された現像剤の像をシート材に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
前記像担持体上の電位の絶対値が、前記現像手段による現像の後、及び前記転写手段による転写の前において、200V以下であり、
前記シート材が前記転写手段を通過した後における前記像担持体の電位の絶対値が100V以下であり、
前記像担持体の円柱形状における円の外径が、20mm以上40mm以下であり、
前記現像剤が、
少なくとも結着樹脂及び着色剤からなる粒子と、
前記粒子の表面に、一次粒子の平均粒径が30nm以上300nm以下、粒径が600nm以上の粒子又は凝集体の個数の含有率が1%以下である無機微粒子を含み、前記現像剤の重量平均粒径が3.0μm以上7.0μm以下、かつ、円形度が0.940以上0.
975以下、かつ、凝集度が50%以上70%以下であり、
前記転写手段は、
少なくとも前記像担持体上の現像剤像が転写される中間転写体と、
前記中間転写体を前記像担持体に接触させて前記像担持体上の現像剤像を前記中間転写体に転写させる一次転写手段とを有し、
前記一次転写手段は、
前記像担持体より前記中間転写体の進行方向の上流側又は下流側に配置され、
前記中間転写体の進行方向における前記中間転写体と前記像担持体との接触ニップの中心と、前記一次転写手段と前記中間転写体との接触ニップの中心との距離をL(mm)、
前記凝集度をG(%)、
前記像担持体の円柱形状における円の外径をD(mm)としたときに、
0.3<L≦(0.1×G−4.5)×D/30
の関係を有する
ことを特徴とするものである。
この発明によれば、画像形成装置を小型化可能になるとともに、高速化及び高画質化され、小粒径の現像剤や薄膜の像担持体を採用した場合でも、高い転写効率を有しつつ、トビチリや再転写を低減させることができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。
以下、この発明の第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に、この発明の第1の実施形態による4連タンデム型画像形成装置を示す。
図1に示すように、画像形成装置は、画像形成手段としてのイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(BK)のトナー像をそれぞれ形成する4個の画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdが設けられている。それぞれの画像形成ステーションPa〜Pdには、プロセスユニットとして、略円柱形状を有する感光体ドラム1a,1b,1c,1d、帯電ローラ2a,2b,2c,2d、露光装置3a,3b,3c,3d及び現像器4a,4b,4c,4dが設けられている。また、画像形成ステーションPa〜Pdには、一次転写ローラ53a,53b,53c,53d及びクリーニング装置6a,6b,6c,6dがそれぞれ設けられている。画像形成ステーションPa〜Pdの下方には、中間転写ベルト51、二次転写内ローラ56、二次転写外ローラ57、給紙カセット8、ピックアップローラ81、搬送ローラ82、定着装置7及び中間転写ベルトクリーナ60が配設されている。
感光体ドラム1a〜1dは、その表面が帯電ローラ2a〜2dにより一様に帯電された後、画像信号に応じた露光装置3a〜3dによる露光によって表面に静電潜像が形成される。それぞれの感光体ドラム1a〜1d上の静電潜像は、現像器4a〜4dにより現像剤としてのトナー像が現像される。感光体ドラム1a〜1d上のトナー像は、一次転写バイアス印加電源(図示せず)によって一次転写ローラ53a〜53dに一次転写バイアスが印加される。これにより、図1中矢印方向に回転している中間転写ベルト51にトナー像が順次一次転写されて重ね合わされる。なお、中間転写ベルト51に転写されずに感光体ドラム1a〜1d上に残ったトナー(転写残トナー)は、クリーニング装置6a〜6dによって除去される。
中間転写ベルト51上に一次転写された4色のトナー像は、二次転写内ローラ56と二
次転写外ローラ57との間に二次転写バイアスが印加されて、二次転写ニップ部において紙などのシート材としての記録材P上に一括して二次転写される。この記録材Pは、給紙カセット8内から、ピックアップローラ81や搬送ローラ82などによって二次転写ニップ部に供給される。なお、記録材Pに転写されずに中間転写ベルト51上に残留したトナー(転写残トナー)は、中間転写ベルトクリーナ60によって除去回収される。
記録材P上のトナー像は、定着装置7において、内側にヒータ73を有する定着ローラ71とこれに圧接された加圧ローラ72とによって、加熱・加圧されて表面に定着される。これにより、4色フルカラー画像が形成される。
(転写部)
次に、この発明の第1の実施形態による転写部について説明する。図2に、感光体ドラム1、中間転写ベルト51及び一次転写ローラ53の拡大したものを示す。図2は、一次転写ローラ53が中間転写ベルト51の進行方向に沿って上流側にずれて配置されている場合の図である。
図2に示すように、中間転写ベルト51は、感光体ドラム1の回転(図2中矢印方向)に同期して、転写部に移動される。中間転写ベルト51は一次転写ローラ53により感光体ドラム1と逆側から感光体ドラム1に押圧される。これにより、感光体ドラム1の中心を通る鉛直下方の感光体ドラム1の表面B、すなわち中間転写ベルト51と感光体ドラム1との接触ニップの中心に接触する前に、図1中A部を中心に中間転写ベルト51と一次転写ローラ53とにより接触ニップが形成される。その後、中間転写ベルト51は感光体ドラム1表面の曲率に沿って接触し、中間転写ベルト51と感光体ドラム1との接触ニップの中心のB点を通過した後、感光体ドラム1表面から徐々に離間される。
また、感光体ドラム1と中間転写ベルト51との接触ニップの中心Bは、一次転写ローラ53を中間転写ベルト51に加圧しない場合の接触ニップの中心である。そして、中間転写ベルト51と一次転写ローラ53との接触ニップの中心Aは、中間転写ベルト51を介して、一次転写ローラ53を感光体ドラム1に加圧させた時の接触ニップの中心である。
これらの一次転写ローラ53と中間転写ベルト51との接触ニップの中心Aと、感光体ドラム1と中間転写ベルト51との接触ニップの中心Bとの間隔L(mm)を求めるには、次の方法が採用される。
すなわち、まず、感光体ドラム1上に均一にトナー像を現像する。その後、一次転写ローラ53を加圧することなく感光体ドラム1と中間転写ベルト51とが接触される。そして、この場合における中間転写ベルト51に付着したトナーは、感光体ドラム1の長手方向に線状に付着するので、このトナーが計測される(ニップ中心A)。同様にして、一次転写ローラ53を加圧して感光体ドラム1と中間転写ベルト51とを接触させた場合における中間転写ベルト51に感光体ドラム1の長手方向に線状に付着したトナーが計測される(ニップ中心B)。そして、これらの2本のトナーの「筋」の間隔を測定する。なお、2つの線状のトナーが接近しすぎて分離して観察できない場合には、両者の幅をLとする。また、一次転写ローラ53と中間転写ベルト51との接触ニップの中心Aは、感光体ドラム1に対して裏面側ではあるが、便宜上、A点の中間転写ベルト51の逆側(図面上A´)において測定するものとする。
このように、感光体ドラム1と中間転写ベルト51との接触ニップの中心Aと、中間転写ベルト51と一次転写ローラ53との接触ニップBとが、距離L(mm)だけずれて配置される。なお、この配置によって、第1に、転写ローラ位置が僅かにずれることにより
、中間転写ベルト51と感光体ドラム1との接触面積幅を広げることができる。第2に、トナーに対して、転写電界による上下方向の静電気力のみならず、感光体ドラム1と中間転写ベルト51との速度差がわずかに発生するので、トナーの転写の補助となる。第3に、転写部への入口と出口における感光体ドラム1の表面と中間転写ベルト51の表面とから構成される空隙の形状を変形させることができる。
具体的には、例えば一次転写ローラ53を上流側に配置した場合、一次転写ローラ53を上流側に移動させない場合に比して、転写入口側において中間転写ベルト51と感光体ドラム1とのなす角度が大きくなる。これにより、転写トビチリの発生しやすい空隙の範囲が狭まる。また、後述するように、中間転写ベルト51の表面抵抗値Rs(Ω/cm2
)は1012〜1015(Ω/cm2)と高いので、転写電界が作用する範囲が拡大すること
なく、転写における接触領域に集中する。さらに、感光体の現像後、転写前の電位が200V以下と低く押さえられているため、トビチリの原因となる感光体ドラム1上におけるトナーの飛翔が抑制される。
また、感光体ドラム1上のトナーTは、転写帯電に応じて転写されため、感光体ドラム1上の帯電量が重要になる。具体的には、感光体ドラム1上の帯電量Q(×10-3C/kg)の絶対値|Q|としては、20≦|Q|≦50が望ましい。さらに、転写前の電位が上述したように200V以下であっても、転写帯電の影響で感光体ドラム1が帯電されると、感光体ドラム1の回転方向下流で発生する再転写が悪化する。そのため、転写後の電位としては、100V以下であることが望ましい。また、これらの条件を達成する感光体ドラム1は、好適には、薄膜感光体、より好適にはアモルファスシリコン感光体である。
さらに、トナーTの凝集度G(%)が50〜70%と高いため、トナーTが個々に電界に応じて飛翔しにくくなっている。また、感光体ドラム1と中間転写ベルト51との接触面積が拡大して、転写電界をうける時間が長くなるので転写効率を向上させることができる。
また、反対に、一次転写ローラ53を下流側に配置した場合、転写入口側においては、感光体ドラム1上のトナー像は中間転写ベルト51の張力によって感光体ドラム1と中間転写ベルト51とに挟まれる。これによりトナー像中のトナー粒子Tは個々に凝集される。続いて、一次転写ローラ53と中間転写ベルト51との最近接部に到達して、転写圧力と転写電界がピークを迎え、凝集したトナー像が中間転写ベルト51の方向に引き寄せられる。その後、上述した一次転写ローラ53を上流側に移動させた場合と同様に、転写出口側の感光体ドラム1と中間転写ベルト51とのなす角が大きくなるため、再転写の発生する空隙領域が小さくなって再転写が抑制される。
一次転写ローラ53の当接位置については、中間転写ベルト51の上流と下流にずらす方法があり、いずれの方法もずらさない場合に比して有効である。まず、上流側にずらした場合には転写効率が、下流側にずらした場合には再転写が特に改善されるので、各種装置の構成や、性能及び特徴に応じて、一次転写ローラ53を上流と下流とのいずれにずらすかについては、使い分けることが望ましい。なお、トナーの利用率や画像への影響などを総合的に判断すると、一次転写ローラ53は中間転写ベルト51の上流側にずらすのが望ましい。
この第1の実施形態によれば、感光体ドラム1と中間転写ベルト51と一次転写ローラ53とからなる転写ニップの形状に関するため、感光体ドラム1の円柱形状における断面円の外径(以下、外径)が小さくなる程、最適なニップ間距離Lの値は小さくなる。また、トナーの凝集度G(%)が大きくなるほど、トナー同士の凝集性によりトビチリなどが減少するため、ニップ間距離Lの許容範囲自体は拡がることになる。
また、ニップ間距離Lの値が0に近づくに従って、感光体ドラム1、中間転写ベルト51及び一次転写ローラ53から構成される転写ニップにおける形状の構成による効果が表出しにくくなる。そのため、ニップ間距離Lの値が0.3mm以下になるのは望ましくない。ただし、この場合、Lの値が0に近づくに従い、感光ドラムの外径の影響は無くなってくる。従って、この感光体としては、感光体ドラム1上の電位の絶対値が、現像後かつ転写前において200V以下であり、転写通過後においては100V以下とすることが望ましい。
また、感光体ドラム1の外径D(mm)は、
20(mm)≦D(mm)≦40(mm)
であり、トナーの凝集度G(%)は、
50(%)≦G(%)≦70(%)
である。
転写手段は、少なくとも感光体ドラム1上のトナー像が転写される中間転写ベルト51(中間転写体とも称する)と、中間転写ベルト51を感光体に接触させて感光体ドラム1上のトナー像を中間転写ベルト51に転写させる一次転写手段を含む。この一次転写手段は、感光体ドラム1よりも中間転写ベルト51の進行方向に沿った上流側又は下流側に配置されている。そして、中間転写ベルト51の進行方向に沿った中間転写体と感光体ドラム1との接触ニップ中心と、一次転写手段と中間転写体との接触ニップ中心との距離L(mm)は、以下の式を満たす。
0.3≦L≦(0.1×G−4.5)×D/30
距離L(mm)が、この関係を満たすことにより、高転写効率で、トビチリ、再転写の発生が殆ど無い高画質な画像が得られる。
(二次転写部)
図1において、それぞれの感光体ドラム1a〜1dの下方には、二次転写手段としての中間転写ユニット5が配設されている。この中間転写ユニット5は、中間転写ベルト51と、一次転写ローラ53a〜53d、中間転写ベルト駆動ローラ55、二次転写内ローラ56(二次転写対向ローラ)、二次転写外ローラ57、テンションローラ58、さらに中間転写ベルトクリーナ60を有している。
感光体ドラム1a〜1d上に形成されたそれぞれの色のトナー像は、上述のように順次中間転写ベルト51上に転写された後、前記ベルトの回転とともに二次転写部まで搬送される。一方、このときまでに、給紙カセット8から取り出された転写材Pは、ピックアップローラ81を経て搬送ローラ82に供給される。また、二次転写部において、二次転写内ローラ56と二次転写外ローラ57との間に印加される二次転写バイアスによって上述のトナー像が転写材P上に転写される。なお、中間転写ベルト51上の転写残トナーなどは、中間転写ベルトクリーナ60によって除去され回収される。
一次転写ローラ53aは、外径φが8mmの芯金と、4mmの厚さの導電性ウレタンスポンジ層からなる。なお、一次転写ローラ53aの抵抗値は、約105Ω(23℃/60
%RH)であった。また、一次転写ローラ53aの抵抗値は、この一次転写ローラ53aを接地された対向ローラに500g重の荷重で加圧して、50mm/sの周速で回転させつつ、芯金に100Vの電圧を印加して測定された電流の関係から求められる。
一次転写ローラ53a〜53dは、それぞれの感光体ドラム1a〜1dに対して押圧力P(N/m)で加圧されている。ここで、押圧力P(N/m)としては、5N/m以上20N/m以下、すなわち、5〜20N/mであることが望ましい。
押圧力Pが5N/mより小さいと、感光体ドラム1への中間転写ベルト51の押圧力が小さくなり、中間転写ベルト51と感光体ドラム1との接触状態が安定しないため、転写性が低下する。他方、押圧力Pが20N/mより大きいと、転写時におけるトナー像の感光体へ押圧が高くなり、トナーと感光体ドラム1との接触面積が増大して、転写性が低下する。
さらに、二次転写内ローラ56は、外径φ16mmの芯金と、厚さ7mmの導電性ウレタンソリッド層とからなる。二次転写内ローラ56の抵抗値は、500g重の荷重の下で接地に対して二次転写内ローラ56を50mm/sの周速で回転させ、芯金に100Vの電圧を印加して測定された電流の関係から求められる。ここでは、二次転写内ローラ56の抵抗値は、23℃の温度で50%の湿度の環境下において約105Ωであった。
また、二次転写外ローラ57は、外径φ16mmの芯金と、厚さ7mmの導電性EPDMスポンジ層とからなる。二次転写外ローラ57の抵抗値は、500g重の荷重の下で接地に対して二次転写外ローラ57を50mm/sの周速で回転させ、芯金に2000Vの電圧を印加して測定された電流の関係から求められる。ここでは、二次転写外ローラ57の抵抗値は、23℃の温度で50%の湿度の環境下において約108Ωであった。
中間転写ベルト51は、ポリカーボネイト(PC)、ポリエテレンテレフタレート(PET)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のような誘電体樹脂によって構成されている。この第1の実施形態においては、体積抵抗率109Ω・cm、厚みt=90μmのPI
(ポリイミド)樹脂が採用されている。なお、中間転写ベルト51としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂などを用いることができる。また、これらを混合して使用することも可能である。そして、これらの樹脂を中間転写ベルト51として使用するには、半導電性を得るために樹脂中にさまざまな導電材料を添加する必要がある。具体的には、カーボンブラック、アルミニウム、ニッケル、酸化錫、チタン酸カリウムなどの無機化合物やポリアニリンやポリピロールなどに代表される導電性高分子などが用いられる。特に抵抗制御や抵抗低下の観点からは、各種導電材料を均一に分散させることが重要である。そのため、カーボンブラックなどを用いる場合は、分散性の良いカーボンブラックの選定や分散方法を適宜選択する必要がある。また、導電性高分子などを用いる場合には、樹脂素材が溶解されている溶媒と同じものに溶解することが望ましい。これらの各種導電材料の含有量は、導電材料の種類に応じて適宜選択することができるが、樹脂に対して5〜50重量%程度が好ましく、より好ましくは7〜40重量%である。この含有量が5重量%未満になると電気抵抗の均一性が低下して、耐久使用時の表面抵抗率の低下が大きくなる場合がある。一方、50重量%を超えると、所望の抵抗値が得られ難くなり、さらに成型物としてもろくなる。
このように作製された中間転写ベルト51は、表面抵抗値Rsが1012Ω/cm2以上
1015Ω/cm2以下の範囲内、すなわち、1012Ω/cm2≦Rs≦1015Ω/cm2
あることが望ましい。これは、表面抵抗値Rsが、1012Ω/cm2より低くなると、ト
ナーのチリ(飛び散り/トビチリ)が起こって画質が粗くなる可能性があり、他方、1015Ω/cm2より高いと、転写時の電荷がベルトに残り画像ムラが発生するおそれがある
からである。
特に、画像形成装置などにおいては、像保持体である感光体ドラム1から中間転写ベルト51にトナー像が転写されるとき、中間転写ベルト51が絶縁体的な働きをすることによって形成された電界がトナーに有効に作用する。他方、中間転写ベルト51に転写されたトナーTが有する静電気は、転写効率や画像に大きな影響を与えることがある。そのた
め、中間転写ベルト51にわずかな導電性を保持させることができれば、記録紙などへの転写前に、中間転写ベルト51を介して静電気をアース放電させることができ、転写における静電気の影響が低減される。この場合の表面抵抗Rsは1012〜1015Ω/cm2
あるのが望ましい。
また、中間転写ベルト51の体積抵抗値Rvは、108Ω・cm以上1013Ω・cm以
下、すなわち、
108Ω・cm≦Rv≦1013Ω・cm
であることが望ましい。これは、Rvが108Ω・cmより低いと、転写電荷が拡散して
トビチリが発生し易くなり、他方、Rvが1013Ω・cmよりも高くなると、多重転写における中間転写ベルト51の帯電が高くなりすぎて転写バイアスが高くなり、再転写などが悪化するためである。
次に、この発明の第1の実施形態による中間転写ベルト51の体積抵抗率及び表面抵抗値の測定方法について説明する。
(測定機)
抵抗計:超高抵抗計R8340A((株)アドバンテスト製)
試料箱:超高抵抗測定用資料箱TR42((株)アドバンテスト製)
主電極は直径25mm、ガード・リング電極は内径41mm、外径49mmとした。
(測定サンプル)
中間転写ベルトを直径56mmの円形に切断する。切断後、一方の面にはその全面にPt−Pd蒸着膜により電極を設け、他方の面にはPt−Pd蒸着膜により直径25mmの主電極と内径38mm、外径50mmのガード電極を設ける。Pt−Pd蒸着膜は、マイルドスパッタE1030((株)日立製作所製)を用いて蒸着操作を2分間行うことにより得られる。蒸着操作を終了したものを測定サンプルとする。
(測定条件)
測定雰囲気:温度23℃、湿度55%RH
測定サンプルは、あらかじめ23℃、55%RH環境下に12時間以上放置しておく。
測定モード:ディスチャージ10s、チャージ及びメジャー30s
印加電圧:100V
表面抵抗率測定は、JIS−K6911に準拠し、導電性ゴムを電極とすることで電極とベルト表面の良好な接触性を得た上で、超高抵抗抵抗計(アドバンテスト社製R8340)を用いて測定した。
(像担持体)
図3に、この第1の実施形態による像担持体としての電子写真感光体の断面を示す。この第1の実施形態において使用される感光体ドラム1としては、外径を20mm以上40mm以下とするのが望ましい。感光体ドラム1の外径が20mmより小さいと、小型化には有利であるが感光体ドラム1周辺の帯電部材としての帯電ローラ部材なども小径になり、両者の帯電ニップが小さくなって、帯電電位や帯電均一性などの帯電性が低下してしまう。さらに、外径が20mmより小さい場合、画像形成における感光体ドラム1の回転数が増加するため、感光体に対する負荷が大きくなり、削れや傷などの問題が発生して寿命が短くなる可能性もある。他方、感光体ドラム1の外径が40mmより大きいと上述した問題は発生しないが、装置自体の小型化が困難になるとともに、転写ニップの前後におけるトビチリや再転写が発生する要因となる僅かな空隙の領域が増大してしまう。
また、感光体ドラム1には、次のような特性も要求される。すなわち、転写時における
トビチリや再転写は、転写電界の作用を受けた時に、転写ニップ前後の空隙で強い電界が形成されることにより発生する。この問題を防止するには、現像後、転写前における感光体ドラム1上の暗部電位の絶対値が200V以下、転写後においては100V以下であることが好ましい。
本発明者の知見によれば、転写前における感光体ドラム1上の暗部電位の絶対値が200V以上である場合、転写前の空隙の電界で感光体上のトナー像を形成しているトナー粒子が個別に空隙を介して中間体に飛翔してしまう。他方、転写後の感光体の暗部電位が100V以上である場合、転写ニップの下流での電界が強く作用して、一度中間体上に転写されたトナー像の一部が感光体に逆転移する、いわゆる再転写が発生する。なお、このような電位設定にするには、感光体の静電容量の大きな薄膜感光体や感光体構成物質自身の誘電率の高いアモルファスシリコン感光体などが最適である。
さらに、この発明では感光体の帯電極性が転写帯電極性と逆極性である反転現像であることが好ましい。これは、アモルファスシリコン感光体などが、逆極性帯電、すなわち転写帯電を受けた場合に帯電性が低いために、大きな電位が発生せず、その発生電位に伴うトビチリや再転写が低減されるからである。以下に、このアモルファスシリコン感光体について説明する。図3にこの第1の実施形態による電子写真感光体を示す。
図3(a)に示すように、この第1の実施形態による像担持体としての電子写真感光体は、例えばアルミニウム(Al)やステンレスなどの導電性材料からなる導電性基体301上に、光導電層302及び表面保護層303が順次積層されて構成されている。導電性基体301としては、アルミニウム(Al)が最も一般的であるが必ずしもこれに限定されない。すなわち、導電性基体301としては、金属や、この合金、例えばステンレスを用いることが可能である。また、金属の例としては、具体的には、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、金(Au)、インジウム(In)、ニオブ(Nb)、テルル(Te)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、白金(Pt)、鉛(Pd)、鉄(Fe)などである。
また、図3(b)に示すように、必要に応じて、下部電荷注入阻止層304、上部電荷注入阻止層305、電荷注入層、反射防止層などの機能層を設けることも可能である。具体的には、下部電荷注入阻止層304、上部電荷注入阻止層305などを設け、不純物としてI−III族元素及びI−V族元素などを選択的に注入することにより、正帯電、負帯電などの帯電極性の制御が可能となる。また、基体形状は電子写真感光体の駆動方式などに応じた所望のものとしてよい。基体材質としては上述したAlやステンレス鋼のような導電性材料が一般的であるが、プラスチックやセラミックスなどの絶縁性基体に、導電性材料が蒸着されたものを用いることも可能である。
また、光導電層302としては、例えばシリコン原子(Si原子)と、水素原子(H原子)又はハロゲン原子を含む、非晶質材料(a−Si(H,X))が主に用いられる。また、光導電層302の膜厚は、製造コストなどの点を考慮すると、例えば15〜50μmとするのが好ましい。さらに、特性を向上させるために、図3(b)に示すように、下部光導電層306と上部光導電層307との複数層にすることも可能である。
また、表面保護層303としては、一般的にはシリコン原子(Si原子)を母体として、炭素(C)原子、必要に応じて水素原子又はハロゲン原子を含有する非単結晶材料(好適には、非晶質材料)であるa−SiC(H,X)が用いられる。
また、表面保護層303としては、Si原子を母体とし、窒素原子と、必要に応じて水素原子又はハロゲン原子が含有された非単結晶材料(好適には、非晶質材料)a−SiN
(H,X)を用いても良い。さらに、表面保護層303として、C原子を母体とし、必要に応じて水素原子又はハロゲン原子を含有する非単結晶炭素(好ましくは非晶質炭素)a−C(H,X)などからなる。また、光導電層302と表面保護層303との界面を連続的に変化させ、反射防止層を設けることにより、当該部分の界面反射を抑制させることも可能である。なお、a−Si感光体を一例として説明したが、薄膜化された有機感光体(OPC)や、このOPCに保護層を形成した感光体にも適応可能である。
(a−Si感光体成膜装置)
次に、以上のように構成されたa−Si感光体成膜装置及びアモルファスシリコン感光体の形成方法について説明する。a−Si感光体は、従来広く用いられているRF帯(13.56MHz)やVHF帯(50〜450MHz)の高周波電力を用いたプラズマ化学気相成長(プラズマCVD)法により形成される。図4に、プラズマCVD装置を示す。このプラズマCVD装置は、VHF帯の高周波電力を用いたアモルファスシリコンを母材とした電子写真用感光体を形成する装置システムである。
図4に示すように、プラズマCVD装置のシステムは、少なくとも、円筒形基体401、反応容器402、ガス管417及びカソード414が設けられた堆積膜形成装置400を有して構成されている。反応容器402は、円筒形基体401を内包しつつ、内部を減圧可能に構成されている。ガス管417は、反応容器402内に原料ガスを供給するためのものである。また、カソード414により原料ガスを分解するための電力が導入される。また、プラズマCVD装置には、反応容器402内に原料ガスを供給する原料ガス供給システム404、反応容器402内を排気する排気システム405及びカソード414に電力を供給する電力供給システム406が設けられている。
図5に、a−Si感光体成膜装置の一例の堆積膜形成装置400の上面図を示す。図4及び図5に示すように、反応容器402内のヒータを内蔵する基体支持体403に円筒形基体401が設置される。続いて、反応容器402内の気体が排気ポンプ407によって排気口419を介して排気される。反応容器402内の圧力が、所望の真空度になるまで排気が完了した後、例えばヘリウム(He)ガスやアルゴン(Ar)ガスなどの不活性ガスが所定の流量で反応容器402内に供給される。この不活性ガスの供給は、原料ガス供給システム404内のマスフローコントローラ(MFC)によって行われる。このように排気ポンプ407の排気速度を調整することによって、反応容器402の内部を所望の圧力に制御可能となる。そして、反応容器402の内圧が所望の圧力に設定された後は、基体支持体403に内蔵されたヒータによって円筒形基体401が所望温度まで加熱される。なお、円筒形基体401は堆積膜形成中においても堆積膜形成に必要な所望温度に保持される。
以上の手順により加熱工程が終了した後、堆積膜形成工程が実行される。堆積膜工程においては、まず反応容器402内の不活性ガスが排気ポンプ407によって排気される。その後、排気バルブ408が閉成されるとともにメイン排気バルブ409が開けられる。そして、スロットルバルブ410の開度が全開にされて油拡散ポンプ411を介したメイン排気ポンプ412により反応容器402内が例えば1×10-3Paの真空度まで排気される。続いて、原料ガス供給システム404によって、反応容器402内にそれぞれの原料ガスが供給される。このとき、それぞれの供給配管に設置されたマスフローコントローラによって、それぞれの原料ガスが所定流量で供給される。このように、スロットルバルブ410の開度を調節して排気速度を調整することによって、反応容器402の内圧が所望の圧力に制御される。
反応容器402の内圧が安定した段階において、電力源413からマッチングボックス415を介してカソード414に電力の供給が行われ、反応容器402内にグロー放電が
生起される。この放電エネルギーによって、反応容器402内に導入された原料ガスが分解され、円筒形基体401上に所定の堆積膜が形成される。なお、堆積膜の基体周方向の均一性を向上させるために、堆積膜形成中、駆動部418を介してモーター416によって円筒形基体401を所定の速度で回転させるのが有効である。この操作によりアモルファスシリコン感光体の周方向むらは許容可能な範囲内に低減することが容易に可能となる。堆積膜が所望膜厚まで成長した段階で、カソード414に印加している電力の供給を停止し、原料ガス供給システム404からの原料ガスの供給を停止することによって、堆積膜の形成が終了する。そして、同様の作業を複数回続けて行うことによって多層構造を持つ堆積膜を形成することが可能になる。
(トナー)
次に、この発明の第1の実施形態における二成分系現像剤に用いられるトナーについて説明する。具体的には、トナーとしては、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子、外添剤及びシリカ粒子からなる。ここで、シリカ粒子は個数平均粒径50nm以上であり、トナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上添加される。この第1の実施形態において使用可能な結着樹脂は、トナー用結着樹脂として公知の樹脂が使用可能であるが、好適には、以下の(a)〜(f)から選択される樹脂である。
(a)ポリエステル樹脂
(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂
(c)ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物
(d)ポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物
(e)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物
(f)ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物
また、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合においては、多価アルコールと多価カルボン酸、又は多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステルなどがポリエステル系モノマーとして使用できる。ポリエステル樹脂の中でも次の樹脂は、カラートナーとして、良好な帯電特性を有するので好ましい。すなわち、下記の一般式(イ)に代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、二価以上のカルボン酸、その酸無水物、又はその低級アルキルエステルとを含有するカルボン酸成分を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂である。なお、カルボン酸成分とは、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などである。
Figure 2008233373
この第1の実施形態におけるトナーに含有される結着樹脂において、「ハイブリッド樹脂」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂である。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルなどのカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応することによって形成される樹脂である。ハイブリッド樹脂は、好適には、ビニル系重合体を幹重合体とし、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体又はブロック共重合体である。また、この第1の実施形態における「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系重合体ユニット」とはビニル系重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては、ポリエステル樹脂に用いられる多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とが挙げられ
る。ビニル系重合体ユニットを構成するビニル系モノマーとしては、ビニル系重合体に用いられるビニル基を有するモノマーが挙げられる。そして、この発明の第1の実施形態においては、ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットの少なくとも一方の中に、それぞれのユニットの成分と反応するモノマーを含んだハイブリッド樹脂を用いることが望ましい。
さらに、この発明の第1の実施形態において使用される着色剤としては次のものが挙げられる。すなわち、ブラックトナー用着色剤としては、カーボンブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンのトナー用着色剤を用いて黒色に調色したものが利用される。また、カラートナーとして用いる場合の着色剤としては、公知の染料及び顔料使用することができる。なお、着色剤としては、顔料を単独で使用することも可能であるが、フルカラー画像の画質の点から、鮮明度を向上させるために、染料と顔料とを併用するのが好ましい。具体的に、着色剤の使用量は、結着樹脂が100質量部に対して、好適には0.1〜15質量部、より好適には0.5〜12質量部、最適には、3〜10質量部である。
また、この第1の実施形態においては、トナー粒子に離型剤を添加することも可能である。離型剤は市販のものが使用可能であるが、次の材料も挙げることができる。すなわち、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスを使用可能である。また、離型剤として、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物が使用可能である。さらに、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル等のエステルワックス、カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類も使用可能である。また、脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類の一部又は全部を脱酸化したものなども使用可能である。そして、この第1の実施形態においては、トナーに荷電制御剤を使用することによって帯電量を調整することが好ましい。荷電制御剤としては公知のものが利用可能であるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速くかつ一定の帯電量を安定して維持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が望ましい。
次に、トナーの製造方法について説明する。すなわち、まず、ヘンシェルミキサーやボールミルなどの混合機によって結着樹脂及び離型剤、さらに顔料や染料などの着色剤、必要に応じてその他の添加剤などを十分混合する。次に、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混棟し、得られた混練物を冷却する。その後、粉砕手段によって混練物を粗粉砕し、適当な粉砕・分級手段によって微粉砕・分級を行う。これにより、トナー粒子が製造される。ここで、微粉砕装置としては、上述した粉砕装置を用いることが可能である。なお、ジェットミルなどの気流式粉砕機を用いる場合においては、所望の円形度のトナーを得ることが難しい。そのため、気流式粉砕機を用いる場合には、処理量を下げて粉砕圧を下げ、ソフト粉砕を行うか、粉砕後にさらに表面改質処理工程を実行する必要がある。そこで、トナー生産効率の向上の観点から、粉砕手段としては、機械式粉砕機を用いるのが望ましい。この機械式粉砕機としては、例えば、ホソカワミクロン(株)製粉砕機イノマイザー、川崎重工業(株)製粉砕機KTM、ターボ工業(株)製ターボミルなどを挙げることができ、これらの装置自体、又は適宜改良して使用することが好ましい。
また、粉砕後に球形化処理を行うことも可能である。すなわち、例えばメカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)やハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)などを使用することができる。これらの装置には、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法が採用されている。そして、以上のようにして得られた着色粒子に
、無機、有機の微粒子を外添する。
次に、この発明の第1の実施形態において採用される個数平均粒径が50nm以上の無機微粒子の一種としてのシリカ粒子について説明する。
上述したように、個数平均粒径が50nm以上のシリカ粒子を添加してトナー粒子表面上に、このシリカを存在させることにより、転写性を向上させることができるとともに、高湿環境における長期放置による帯電の低下を防止可能となる。また、この第1の実施形態において使用されるシリカ粒子は、個数平均粒径50nm以上であり、好適には80〜200nm、より好適には100〜150nmである。なお、本発明者の知見によれば、個数平均粒径が50nmよりも小さい場合、転写性の向上が抑制されるのみならず、高湿環境における長期放置による帯電の低下が発生する傾向がある。他方、個数平均粒径が200nmを超えると、シリカ粒子のトナー粒子への付着性が悪くなり、帯電不良や現像装置周りの汚染を引き起こし易くなる可能性がある。また、添加量は、トナー粒子が100質量部に対して0.5質量部以上2.0質量部以下であり、好適には、0.7質量部以上2.0質量部以下である。すなわち、本発明者の知見によれば、添加量がトナー粒子100質量部に対して、0.5質量部よりも少ないと転写性や高湿環境での長期放置による帯電低下の防止効果が抑制される。他方、添加量がトナー粒子100質量部に対して、2.0質量部を超えるとシリカ粒子がトナー粒子に付着しきれなくなり、帯電不良や現像装置周りの汚染を引き起こし易くなる可能性がある。
また、この発明の第1の実施形態において採用されるトナーとしては、画質向上の観点から、上述した個数平均粒径が50nm以上のシリカ粒子とは別に、トナー粒子に流動性向上剤が外添されていることが好ましい。流動性向上剤としては、ケイ酸微粉体、酸化チタン微粉体、酸化アルミニウム微粉体などが望ましい。さらには、シランカップリング剤、シリコーンオイル又はそれらの混合物である疎水化剤によって疎水化されていることがより望ましい。そして、通常、この流動性向上剤は、トナー粒子100質量部に対して0.5〜5質量部使用される。
無機微粒子については、トナーの外周に付着しているので、感光体とトナーとの間のスペーサとして働く。これによりトナーの流動性が確保され、感光体とトナーとの間の微小ギャップを保持することで転写性を維持する作用がある。この作用に基づくと、無機微粒子に要求される特性としては、トナーの表面にファンデルワールス力で保持されるための大きさが重要である。これにより個数平均粒径は30nm以上300nm以下が好ましい。個数平均粒径が30nm未満の場合には、トナーと感光体との間、又はトナー同士のスペーサとしての働きが不十分となる。他方、逆に個数平均粒径が300nmよりも大きい場合には、トナーへの付着力に占める静電気力などの影響が大きくなり、安定してトナーに付着せずに、遊離したりする確立が増加しスペーサとしての働きが不安定になるため不適当である。
また、無機微粒子は着色粒子表面に必ずしも一次粒子として存在するとは限らず、凝集体として存在する場合もある。この場合であっても、600nm以上の粒径の凝集体の個数としての含有率が1%以下(1個数%以下)であることが望ましい。また、600nm以上の粒径の凝集体を含有した場合、1次粒径が200nm以下であっても凝集体が1粒子として挙動するため上述と同様の理由で好ましくない。なお、この第1の実施形態においては、ペロブスカイト型無機微粒子の粒径について電子顕微鏡にて5万倍の倍率で撮影した写真から100個の粒径を測定して求めた。なお、図7に示すように、粒径は、一次粒子の最長辺をa、最短辺をbとしたとき、(a+b)/2として求めた。また、無機微粒子としては、このような条件を満たすものであれば良いが、より好適には、ペロブスカイト型の結晶を有するものがよい。さらに、このペロブスカイト型研磨粒子においても、
より好適には、チタン酸ストロンチウムや、チタン酸バリウムや、チタン酸カルシウムが好ましく、特にチタン酸ストロンチウム微粉体が望ましい。そして、ペロブスカイト型無機微粒子を表面処理することによって、トナー同士や無機微粒子とトナー、又は無機微粒子同士の凝集やトナーからの離脱を減少させることができる。
また、ペロブスカイト型無機微粒子を表面処理する脂肪酸又は脂肪酸金属塩の炭素数は8以上35以下が好ましく、好適には、10以上30以下である。
脂肪酸又は脂肪酸金属塩の炭素数が35を超えると、ペロブスカイト型無機微粒子の表面と、脂肪酸又は脂肪酸金属塩との密着性が劣化し、長期の使用により剥がれが発生したり耐久性が低下したりする。さらに、剥れた脂肪酸や脂肪酸金属塩は、かぶりの原因となるため好ましくない。他方、脂肪酸又は脂肪酸金属塩の炭素数が8未満の場合、前記比表面積100m2/g以上350m2/g以下の微粒子の付着性改善が不十分になり、好ましくない。
また、脂肪酸又は脂肪酸金属塩の処理量は、好適には、母体に対して0.1質量%以上15質量%以下であり、より好適には、0.5質量%以上12質量%以下である。なお、本発明者の知見によれば、外添剤の疎水性向上のために用いられるシリコーンオイル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などの処理剤を用いてペロブスカイト型研磨粒子の表面処理を行った場合、上述した付着性改善は見られなかった。これは、脂肪酸や脂肪酸金属塩が優れた離型性を有し付着性を改善するのに対して、シリコーンオイル、シランカップリング剤又はチタンカップリング剤などは優れた疎水性は有するものの、離型性に劣ることに起因すると考えられる。
また、ペロブスカイト型無機微粒子をトナーに外添する場合、本発明による処理を施したペロブスカイト型無機微粒子の比表面積は45m2/g以下であることが好ましい。こ
れは、この無機微粉体の吸湿による高湿環境下における現像プロセスへの影響、例えばトナー帯電量の低下などを防ぐためである。このように比表面積を45m2/g以下にする
ことによって前記無機微粒子の表面に吸着する水の絶対量を少量にすることができるので、摩擦帯電によって付与されるトナー帯電に対する影響を低減可能となる。なお、この実施形態により採用される比表面積は、オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いてBET多点法を採用して計測される。
さらに、低湿環境下において比表面積100m2/g以上350m2/g以下の微粒子のペロブスカイト型無機微粒子表面への付着防止のために、この発明による処理を施した無機微粒子の水との接触角は、好適には110°以上180°以下である。
以下に、無機微粒子の水との接触角の測定方法について説明する。すなわち、まず、ペロブスカイト型無機微粒子を錠剤成型機によって300KN/cm2の圧力でプレスして
直径が38mmのサンプルとする。なお、成型時、成型機と試料との間にNP-Transparency TYPE-Dを挟んで成型した。このサンプルを23℃及び100℃でそれぞれ2分間放置した後に室温に戻す。その後、ロール材接触角計CA−Xロール型(協和界面化学株式会社製)によって接触角を測定する。測定は1サンプルについて20回行われ、最大値及び最小値を除いた18個の測定値の平均値を採用する。
この第1の実施形態で採用されるペロブスカイト型無機微粒子は、硫酸チタニル水溶液を加水分解して得た含水酸化チタンスラリーのpHを調整して得たチタニアゾルの分散液にストロンチウムの水酸化物を添加して、反応温度まで加温して合成可能である。ここで、含水酸化チタンスラリーのpHは0.5〜1.0とすることで、良好な結晶化度及び粒径のチタニアゾルが得られる。
また、チタニアゾル粒子に吸着しているイオンを除去するために、チタニアゾルの分散液に例えば水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質を添加するのが望ましい。このときナトリウムイオンなどが含水酸化チタン表面に吸着されないようにするために、スラリーのpHを7以上にしないこと、すなわち中性から酸性にしておくことが望ましい。また、反応温度は、60℃〜100℃程度が望ましく、所望の粒度分布を得るためには昇温速度を30℃/時間以下にするのが望ましく、反応時間を3〜7時間とするのが望ましい。
以上のようにして形成された無機微粒子は、粒子形状が概略立方体又は直方体のペロブスカイト型結晶として得られる。このように、粒子形状が概略立方体又は直方体である場合、トナー表面に埋め込まれ難くなり、スペーサとしての作用を維持可能となる。また、無機微粒子としては、トナー樹脂が100質量部に対して0.5質量部〜2.0質量部の外添が望ましい。無機微粒子の外添量が0.5質量部より少ないとトナー表面のスペーサ粒子としての効果や、その粒度分布や形状からくる摺擦効果が薄れてしまう。他方、無機微粒子の外添量が2.0部より多いとトナーからの遊離が増えて現像に悪影響を与えたり、トナーとしての凝集度が上がりすぎたりする。
また、この第1の実施形態による画像形成装置に用いられるトナーは、好適には、重量平均粒径が3.0μm以上7.0μm以下の範囲にある。これは、重量平均粒径が3.0μmを下回ると、トナーの凝集が著しくなり、非静電付着力の影響が大きくなりすぎ、転写効率や濃度の低下、カブリの増大などの使いこなしに問題が生じるためである。他方、7.0μmを超えると微細なドット潜像又は細線の再現が不十分になり、高解像・高精細の現像方式の達成が困難になるためである。
(トナー粒径の測定)
次に、トナー粒径の測定について説明する。なお、この第1の実施形態においては、トナーの重量平均粒径は、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて測定した。すなわち、まず、コールターマルチサイザーIIに個数分布及び体積分布を出力するインターフェース及びパーソナルコンピューターを接続し、電解液としては1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。ここでは、ISOTON R-II(コールター
サイエンティフィックジャパン社製)などが使用できる。また、測定法としては、電解水溶液100〜150ml中に、分散剤としての界面活性剤、好適にはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加えた上に、測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理が行われ、コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを計測する。そして、この発明による体積分布から求めた、それぞれのチャンネルの代表値をチャンネルごとの代表値とする重量基準の重量平均粒径を求める。
(トナー平均円形度の測定)
次に、トナーの平均円形度を測定する。トナーの平均円形度の測定は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100型」(シスメックス社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出する。
Figure 2008233373
Figure 2008233373
「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積である。また、「粒子投影像の周囲長」とは、トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さで定義される。測定は、512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)において画像処理した時の粒子像の周囲長が用いられる。また、この第1の実施形態において、円形度は、トナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000となり、表面形状が複雑になるほど小さな値となる。
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cave.は、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、測定粒子数をmとすると、次式から算出される。
Figure 2008233373
なお、この第1の実施形態において測定装置としては、例えば、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」が用いられる。この測定装置は、まず、それぞれの粒子の円形度を算出後に、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4〜1.0を0.01ごとに等分割したクラスに分ける。そして、その分割点の中心値と測定粒子数とを用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出が行われる。
具体的な測定方法としては、まず、あらかじめ容器中に不純固形物などを除去したイオン交換水を例えば10ml程度用意して、そのイオン交換水中に分散剤として、界面活性剤、好適にはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加える。その後、さらに測定試料を0.02g加えて均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)が用いられ、2分間分散処理が行われて測定用の分散液とされる。なお、この時、分散液の温度が40℃以上にならないように適宜冷却処理が実行される。また、円形度のバラツキを抑制するために、フロー式粒子像分析装置の機内温度が26〜27℃になるように設置環境を23±0.5℃に制御して、所定時間ごと、好適には2時間ごとに粒径が2μmのラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。
トナー粒子の円形度測定には、上述したフロー式粒子像測定装置が用いられる。そして、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなるように分散液濃度が再調整されて、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2μm未満のデータを排除してトナー粒子の平均円形度を求める。この第1の実施形態において用いられるトナーの平均円形度としては、0.940以上0.975以下が望ましい。平均円形度が0.940より小さいと、トナーの形状の凹凸が大きくなるとともに、スペーサ粒子として作用すべき無機微粒子がトナーの凹部に入り込み、その効果が低減してしまい、転写効率が低下しやすくなる。他方、平均円形度が0.975より大きくなると、トナー自体の形状が円(球)に近くなり、トナーから無機微粒子が遊離し易くなる。また、トナーは、凝集度が50%以上70%以下であることが望ましい。すなわち、凝集度が50%より低くなるとトナー間の拘束力が低下して飛び散りやすくなる。他方、凝集度が70%を超えると感光体との付着力が増大し過ぎて転写性に影響を及ぼし、トナー像の一部が転写されず感光体へ残留して中抜けが発生したり、現像性が低下したりしてしまう。
(トナー凝集度の測定方法)
また、トナー凝集度の測定には、後述する細川ミクロン製パウダーテスターPT−D型が用いられる。そして、まず、この装置のパウダーテスター振動台上に100meshふるい、200meshふるい及び400meshふるいがセットされる。その後、トナー5.0gを静かに100meshふるいにのせ、振幅0.5mm、周波数50Hzで15秒間振動させる。なお、測定は、温度23℃、湿度60%RHの環境下で行われ、測定には、この環境下で十分にエージングさせたトナーが用いられる。
そして、それぞれのふるい上のトナーの重量を測定して、以下の式に基づいてトナー凝集度が計算される。
凝集度1=(60meshふるい上のトナー重量/2.0)×100
凝集度2=(100meshふるい上のトナー重量/2.0)×(3/5)×100
凝集度3=(200meshふるい上のトナー重量/2.0)×(1/5)×100
凝集度G(%)=凝集度1+凝集度2+凝集度3
(キャリア)
次に、この第1の実施形態において使用される磁性キャリアについて説明する。ここで用いられる磁性キャリアは、キャリアコアをコート材で被覆した被覆磁性キャリアである。キャリアコアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライトなどが使用可能である。また、被覆磁性キャリアのコアとしては、結着樹脂中に磁性体微粒子を分散させた磁性体分散型キャリアも好ましい。このような被覆磁性キャリアのコアを構成する磁性体微粒子に関しては、上述した被覆磁性キャリアのコアと同材質のものを用いることができ、その個数平均粒径としては0.05〜1.0μmのものが望ましい。
磁性体分散型キャリアのコアを構成する結着樹脂に用いられる樹脂としては、ビニル系モノマーを重合して得られる全てのビニル系樹脂が挙げられる。また、コアを構成する結着樹脂として、ビニル系モノマーから重合して得られるビニル系樹脂以外にも以下の樹脂が挙げられる。すなわち、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、又はこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系樹脂との混合物である。
この第1の実施形態による磁性キャリアにおいて、被覆磁性キャリアのコアを被覆するコート材の被覆樹脂としては、キャリアコート用として用いられる一般の絶縁性樹脂を用いることができる。例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、モノオレフィン系モノマーとして、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等から重合される樹脂を挙げることができる。
また、ビニル系モノマーとして、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルエチルエーテル、ビニルメチルエーテルが挙げられる。また、ビニル系モノマーとして、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、不飽和脂肪酸族ジカルボン酸などから重合される樹脂を挙げることができる。ここで、ビニルエーテル類としては、ビニルブチルエーテルなどがある。ビニルケトン類としては、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルブチルケトンなどがある。不飽和脂肪族ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、ジヒドロムコン酸などがある。
また、コート材に用いられるその他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン
樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などを用いることができる。これらの樹脂としては、モノマーを単独又は2種以上、組み合せて重合したものや、複数の樹脂を組み合せて使用することができる。また、必要に応じて各種架橋剤を添加して用いることもできる。
コート材に用いられる樹脂としては、フッ素含有アクリル系樹脂が好ましい。具体的には、例えば下記に示すパーフルオロアルキルユニットを有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体等により被覆されている被覆磁性キャリアが特に望ましい。
Figure 2008233373
(mは0〜10の整数、好適には、m=4〜9)
なお、この発明における磁性キャリアの物性については特に限定されないが、磁性キャリアは被覆磁性キャリアのコート材のコート量を少なめにしつつ、磁性キャリア全体の抵抗率を少し高めに設計するのが好ましい。
(帯電手段)
次に、この第1の実施形態による帯電手段としての帯電ローラ2(帯電ローラ2a〜2d)について説明する。なお、帯電手段としては必ずしも帯電ローラに限定されない。しかしながら、帯電ローラなどの接触帯電手段という方式によれば、例えばコロナ帯電などの非接触帯電方式に比して感光体に対する電気的負荷や機械的負荷が大きい。これにより、感光体表面の劣化が早くなったり、転写性が厳しくなったりするため、この発明による効果が顕著に現れやすい。
この第1の実施形態における帯電手段である可撓性の接触帯電部材としての帯電ローラ2は、芯金上にゴム又は発泡体の中抵抗層を設けることにより形成される。この中抵抗層は、たとえばウレタンなどの樹脂、たとえばカーボンブラックなどの導電性粒子、硫化剤又は発泡剤などにより処方され、芯金の上にローラ状に形成された後、表面が研磨されている。ここで、接触帯電部材である帯電ローラ2は、電極として機能することが重要である。すなわち、弾性を持たせることにより被帯電体との十分な接触状態を確保するとともに、移動する被帯電体を充電するために、十分に低い抵抗である必要がある。他方、被帯電体にピンホールなどの低耐圧欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する必要がある。そして、被帯電体として電子写真用感光体を用いた場合、十分な帯電性と耐リークを得るには、抵抗値が104〜107Ω程度の抵抗を用いるのが望ましく、この第1の実施形態においては、抵抗値が例えば106Ωの抵抗が用いられる。
また、帯電ローラ2の硬度に関しては、硬度が低すぎると形状が安定しないために被帯電体との接触性が悪くなる。他方、帯電ローラ2の硬度が高すぎると、被帯電体との間に帯電ニップ部を確保するのが困難になるとともに、被帯電体表面に対するミクロな接触性が悪化する。したがって、帯電ローラ2の硬度としては、アスカーC硬度において、25度以上60度以下が好ましい。なお、アスカーC硬度とは、SRIS0101(日本ゴム協会標準規格)に規定されたデュロメータ(スプリング式硬度計)にて測定された値を示す。
また、帯電ローラ2の材質としては、弾性発泡体に限定されるものではない。具体的に、帯電ローラ2の材質として、エチレンプロピレンジエン共重合系合成ゴム(EPDM)、ウレタン、ニトリルゴム(NBR)及びシリコーンゴムを挙げることができる。また、IRなどに抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物などの導電性物質を分散したゴム材を挙げることができる。さらに、弾性体の材料としては、上述した物質を発泡させたものを挙げることができる。なお、導電性物質を分散させることなくイオン導電性の材
料を用いて抵抗調整をすることも可能である。また、帯電ローラ2は、被帯電体としての感光体ドラム1に対して、弾性に抗して19.6N(2kgf)の押圧力で圧接され配設されている。この実施形態においては、幅数mmの帯電部が形成されている。
ここで、帯電ローラ2の抵抗値は、次のように測定される。すなわち、まず、プリンタの感光体ドラム1をアルミニウム製のドラムと入れ替える。その後、アルミニウム製ドラムと帯電ローラ2の芯金との間に100Vの電圧を印加する。このときに流れる電流値を測定する。これにより、帯電ローラ2の抵抗値が求められる。このようにして求められた、この第1の実施形態による帯電ローラ2の抵抗値は、5×106Ωであった。なお、こ
の抵抗の測定は、温度25℃、湿度60%の環境下で行った。
また、上述の帯電ローラ2は、感光体ドラム1の回転に伴い、従動して回転する。この帯電ローラ2は、帯電用高圧電源から周波数2kHz、総電流1800μAの定電流(その時のVppは約1.4kVpp)によって制御され、重畳されるDCバイアスによって感光体電位が決定される。
(情報書き込み手段)
画像形成装置は、帯電処理された感光体ドラム1a〜1dの面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段としての露光装置3a〜3d(以下、露光装置3)を有する。この第1の実施形態においては、露光装置3は、例えば半導体レーザを用いたレーザビームスキャナである。この露光装置3は、画像読み取り装置(図示せず)などのホスト処理装置からプリンタ側に送られた画像信号に対応して変調されたレーザ光を出力する。このレーザ光の出力によって、一様に帯電処理された回転する感光体ドラム1の表面が、露光位置(露光部)においてレーザ走査露光(イメージ露光)される。そして、レーザ走査露光により、感光体ドラム1の表面のレーザ光で照射された部分の電位が低下して、回転する感光体ドラム1の表面に明部電位VLが形成され、画像情報に対応した静電潜像が順次形成される。なお、この第1の実施形態においては、情報書き込み手段としてレーザ露光装置を採用したが、発光ダイオード(LED)などを用いた、他の方式を採用することも可能である。
(現像手段)
現像器4は、それぞれの感光体ドラム1上の画像に対応する静電潜像に対向して設けられている。磁気ブラシにより静電潜像を摺擦して感光体ドラム1上にそれぞれの色トナー像が形成される。
この現像に用いられる現像装置は、イエロー用現像器、マゼンタ用現像器、シアン用現像器、ブラック用現像器の4つの現像器を有する。それぞれの現像器の内部は、例えば、現像剤担持体、二成分系現像剤が収容される現像槽、補給剤が収容される補給剤収容器、前記補給剤収容器から現像槽に補給剤を供給するための補給剤供給手段を少なくとも有する。図6に、図1における現像器4a〜4dの概略構成を示す。図6においては、イエロー現像器4aを例として、現像器4内の二成分系現像剤が現像されるまでの搬送の流れを説明する。
現像剤担持体としての現像スリーブ4a6の内部には、固定したマグネットロール4a8が設けられ、像担持体としての感光体ドラム1a(図6中、図示せず)の周面との間に所定の現像間隔を保って駆動回転される。規制部材4a7は磁性を有し、現像スリーブ4a6に対して現像剤が介在しない状態で所定の荷重をもって圧接されるものや、現像スリーブ4a6との間に所定の間隔を保って配されるものなど、種々の形態が採用される。一対の現像剤撹拌搬送部材4a3,4a4は、スクリュー構造を持ち、互いに逆方向に二成分系現像剤を搬送循環させて、トナー及び磁性キャリアを十分撹拌混合して二成分系現像
剤とし、現像スリーブ4a6に送出する作用をするものである。
また、マグネットロール4a8は、例えばN極及びS極を交互に等間隔に配置した等磁力の4極の磁石から構成されるものであってもよい。また、マグネットロール4a8としては、スクレーパ(図示せず)に接する部分において反発磁界を形成し、二成分系現像剤の剥離を容易にするために、1極欠落させた5極とし、現像スリーブ4a6内において固定させた状態で内包させたものでもよい。
上述した二本の現像剤撹拌搬送部材4a3,4a4は、互いに相反する方向に回転する撹拌部材を兼ねる部材である。この現像剤撹拌搬送部材4a3,4a4は、撹拌スクリューの推力により補給剤収容器4a9から補給される補給剤を現像槽4a5中の現像スリーブ4a6に搬送する部材である。また、現像剤撹拌搬送部材4a3,4a4は、トナーと磁性キャリアとの混合作用によって摩擦帯電がなされた均質な二成分系現像剤とし、その二成分系現像剤を現像スリーブ4a6の周面上に層状に付着させる部材である。現像スリーブ4a6の表面の二成分系現像剤は、マグネットロール4a8の磁極に対向して設けた非磁性材料と磁性材料を含有する二重構造の規制部材4a7により、均一な層を形成する。均一に形成された現像剤層は、現像領域において、像担持体としての感光体ドラム1の周面上の静電潜像を現像し、トナー像を形成する。
この実施形態によるトナーの帯電量としては、転写前の感光体上での帯電量が重要である。そして、その帯電量としては、20×10-3C/kg以上50×10-3C/kg以下、すなわち、帯電量をQ(×10-3C/kg)とすると、20≦Q≦50が望ましい。帯電量Q(×10-3C/kg)が20より低いと、感光体上の静電潜像に対する再現性が低下し始め、転写バイアスによって逆帯電されて再転写しやすくなり、転写材上へ転写された後の定着時にトナー像が崩され易くなる。他方、帯電量Q(×10-3C/kg)が50より大きくなると、感光体上の潜像との静電吸引力が強すぎて転写性が低下してしまう。
一般に、トナーの帯電量は、トナー材料に適当な荷電制御剤を用いたりすることで材料によって調整可能であり、現像剤担持体の材質や、現像剤規制部材の現像剤担持体への当接圧などを調整することで現像剤への摩擦帯電量付与能を制御可能となる。
(感光体上トナー帯電量測定方法)
この感光体上のトナーの帯電量の測定方法について説明する。静電潜像担持体上の摩擦帯電量は、吸引式ファラデーケージ法を用いて求められる。図8に吸引型ファラデーゲージを示す。
この吸引式ファラデーケージ法において用いられる現像剤回収装置は、エアーを吸引するための吸引装置部、及びこの吸引装置部に連結され、現像剤を回収するための回収装置部としてのファラデーゲージを有する。回収装置部は、図8に示すように、感光体ドラム1上の現像剤を吸引するための吸引口を有する外筒502と、吸引した現像剤を回収するための円筒ろ紙504を有する内筒501とを有している。
又はラデーゲージは、同軸の2重筒構造をしている。また、内筒501と外筒502とは絶縁部材503によって固定されつつ互いに絶縁されている。この内筒501の中に電荷量Qの帯電体を入れたとすると、静電誘導によって、あたかも電気量Qの金属円筒が存在するのと等価になる。この誘起された電荷量を「KEITHLEY 616 DIGITAL ELECTROMETER
」を用いて測定する。なお、電荷量Qを内筒501中のトナー重量Mで割ったものを帯電量とする。
この現像剤回収装置を用いて静電潜像担持体上の現像剤の吸引回収を行うためには、具
体的に次の方法を採用することができる。
まず、現像剤保持体から感光体ドラム1上にVL電位のトナー潜像を現像する。このトナー像が転写紙上に転写されるまでの間、現像剤回収装置は停止状態にある。トナー像が転写紙上に転写された後、上述した現像剤回収装置を用いて、感光体ドラム1上の現像剤を、吸引口を現像スリーブ表面に押し付けながら現像スリーブの一端から他端にかけて長手方向に沿って吸引し、吸引した現像剤を円筒ろ紙504によって回収する。そして、現像剤を回収した円筒ろ紙504の質量を測り、この回収後の円筒ろ紙504の質量から回収前の円筒ろ紙504の質量を減算した値を回収した現像剤の質量とする。また、このとき、外部から静電的にシールドされた内筒501の円筒ろ紙504に回収された現像剤の電荷量を測定しておく、これらの帯電量及び質量から帯電量が求められる。
(クリーナ手段)
図1に示すように、画像形成装置のそれぞれの画像形成ユニットには、一次転写ローラ53の感光体ドラム1の回転方向下流にそれぞれクリーナ手段としての、クリーニング装置6(クリーニング装置6a,6b,6c,6d)が設置されている。クリーニング装置6には、クリーニングブレード(図示せず)が設けられ、感光体ドラム1の表面に、その回転方向に対して、カウンター方向に例えば当接圧0.15N/cm、当接角度25°で
当接され、感光体ドラム1上の転写残トナーを掻き取っている。ここで、クリーニングブレードはウレタンを主体とした弾性体である。また、このようにクリーニングブレードを使用するとブレードエッジ部で転写残トナー、特に、その中に含有される無機微粒子のチタン酸ストロンチウムが堰き止められて、強い摺擦が生じる。この場合、アモルファスシリコン感光体や長寿命化のための高硬度薄膜感光体を使用した場合、高温高湿下で発生しやすい画像流れなどを、この摺擦効果によって防止することができる。
以下、この発明の実施形態に基づいた実施例について具体的に説明する。なお、この発明は、以下の実施例に限定されるものではない。まず、この発明の感光体、現像剤、無機微粒子についての例を示す。なお、以下の実施例における部は質量部を表す。
(感光体製作例)
VHF帯を用いた高周波プラズマCVD法による電子写真装置用感光体の製造装置を用い、鏡面加工を施したアルミニウムシリンダ上に、電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなるa−Si系感光体を作製した。
(トナーの製造例1)
(第1の混練工程)
C.I.ピグメントブルー15:3: 3質量部
ポリエステル樹脂 :40質量部
まず、これらの原材料をニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させた。材料自体の温度を100℃で30分間加熱溶融混練し、その後、冷却し、簡便に粉砕して混練粉砕物を得た。
(第2の混練工程)
第1工程の混練粉砕物:43質量部
ポリエステル樹脂: 40質量部
共重合体: 20質量部
ワックスA(ノルマルパラフィン、DSCピーク温度:76℃、Mn:580):
4質量部
ジ−ターシャリブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(荷電制御剤):
2質量部
これらの処方によってヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で材料温度を130℃で溶融混練し、冷却後にハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕して、エアージェット方式による微粉砕機によって15μm以下の粒径とする。さらに、得られた微粉砕物を、多分割分級装置で分級して、重量平均粒径6.0μmのトナー粒子を得た。
(無機微粒子の製造例)
まず、硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンを純水で濾液の電気伝導度が2200μS/cmになるまで洗浄する。この含水酸化チタンスラリーにNaOHを添加して吸着している硫酸根(陰イオン)をSO3として0.24質量%になるまで
洗浄する。
次に、含水酸化チタンスラリーに塩酸を添加してスラリーのpHを1.0としてチタニアゾル分散液を得る。このチタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを6.0として上澄み液の電気伝導度が120μS/cmになるまで純水を用いたデカンテーションにより洗浄する。そして、得られた含水酸化チタンをX線回折により分析したところ、アナターゼ型TiO2のピークのみが示される。
以上のようにして得られた含水率91%のメタチタン酸533g(0.6mol)をSU
S製反応容器に入れる。窒素ガスを吹き込み20分間放置し反応容器内を窒素ガス置換した。また、Sr(OH)2・8H2O(純度95.5%)183.6g(0.66mol)を
加え、さらに蒸留水を加えて、0.3mol/l(SrTiO3換算)、SrO/TiO2モル比1.10のスラリーに調製した。
窒素雰囲気中において、このスラリーを90度まで18℃/hourで昇温させ、沸点で3時間反応を行った。反応後、40℃まで冷却した後、窒素雰囲気下において上澄み液を除去し、2.5(l)の純水を加えてデカンテーションを行う操作を2回繰り返し、洗浄した後、ヌッチェにより濾過を行った。得られたケーキを110℃の大気中で4時間乾燥した。
以上のようにして得られた、形状が立方体状や直方体状のチタン酸ストロンチウムが無機微粒子である。
上述したトナー粒子の100質量部に対して、ヘンシェルミキサーを用いて以下の材料を外添し、表1におけるトナー1とした。
未処理のシリカ粒子(個数平均粒径:120nm): 1.0質量部
n−C49Si(OCH33で処理した疎水性酸化チタン(BET比表面積:110m2/g):1質量部
無機微粒子である直方体状のチタン酸ストロンチウム:1.0質量部
このトナー1の円形度は0.960で、凝集度G(%)は59%である。また、同様にして、表1に示すように、トナーの円形度とチタン酸ストロンチウムの外添量を変えて、トナー2〜9を作成した。その時のトナーの凝集度G(%)は表1の通りである。
Figure 2008233373
(評価方法)
転写効率、トビチリ及び再転写の評価は、温度24℃、湿度50%RH環境でiRC3200(キヤノン製複写機)の感光体CRG及び転写周りを改造して行う。また、感光体ドラム1としてはアモルファスシリコンドラムを使用し、トナーは表1のトナーを使用して、NL環境(23℃/5%RH)下において画像出力して評価を行う。
なお、評価基準としては転写効率において95%以上をOK、95%未満をNGとする。また、トビチリや再転写に関しては、目視許容レベルにおいてOKとNGとを判断する。そして、これらの転写効率、トビチリ及び再転写の3つの項目が全てOKのものをランクA、少なくとも1つの項目がNGであるものをランクBと表記した。
(実験1)
以下の実験においては、感光体ドラムの外径が30mm、重量平均粒径が6.0μm、転写前電位が180V、転写後電位が80Vの条件下とする。そして、中間転写体と感光体ドラムとの接触ニップの中心と、一次転写手段と中間転写体の接触ニップの中心との距離L(mm)を変化させて画像評価を行った結果を表2に示す。
Figure 2008233373
表2中、変位量Lの符号は、中間転写体の進行方向上流側に変位させた場合を正、下流側に変位させた場合を負とした。表2から、Aランクの評価になるのは、トナー1〜4のトナー凝集度Gが59〜68%の範囲内かつ、上述した接触ニップ間距離Lが0.4〜2.0mmの範囲内であることが分かる。また、この範囲内であっても、凝集度G(%)が大きい程、距離Lの範囲が拡大していることが分かる。
(実験2)
また、実験2においては、感光体ドラムの外径を20mmとし、重量平均粒径が4.5μm、転写前電位が150V、転写後電位が100Vの条件下とする。中間転写体の進行方向に沿った中間転写体と感光体ドラムとの接触ニップ中心と、一次転写手段と中間転写ベルトの接触ニップの中心との距離L(mm)を変化させて画像評価を行った結果を表3に示す。
Figure 2008233373
表3から、Aランクの評価になるのは、トナー1〜4のトナー凝集度Gが59〜68%の範囲かつ中間転写体と感光体ドラムとの接触ニップ中心と、一次転写手段と中間転写体との接触ニップ中心との距離Lが0.9〜1.5mmの範囲であることが分かる。また、この範囲内でも、さらに、凝集度G(%)が大きい程、上述した距離Lの許容範囲が拡大していることが分かる。また、実験2(感光体ドラムの外径が20mm)においては、実験1(感光体ドラムの外径が30mm)に比して、距離Lの範囲が狭まっている。
(実験3)
実験3においては、感光体ドラムの外径を40mmとし、重量平均粒径が6.8μm、転写前電位が180V、転写後電位が110Vの条件下とする。中間転写体の進行方向に沿った中間転写体と感光体ドラムとの接触ニップ中心と、一次転写手段と中間転写ベルトの接触ニップ中心との距離L(mm)を変化させて画像評価を行った結果を表4に示す。
Figure 2008233373
表4から、Aランクの評価になるのは、トナー1〜4のトナー凝集度Gが59〜68%の範囲内かつ、上述した接触ニップ中心間距離Lが0.5〜3.0mmの範囲内の場合であることが分かる。また、このような範囲内であっても、凝集度G(%)が大きくなるに従って、距離Lの範囲が拡大している。すなわち、実験3(感光体ドラムの外径が40mm)においては、実験1(感光体ドラムの外径が30mm)に比して、距離Lの範囲が拡がっている。
以上の実験1〜3の結果を、トナー凝集度G(%)と、上述した2つの接触ニップ中心間距離L(mm)とのグラフとして、感光体ドラムの外径D(mm)ごとに評価がランクAの部分を抜き出したものを図9に示す。
図9に示すグラフから、感光体ドラムの外径Dが20mmでランクAとなる範囲は、図9中レンガ状模様(縦横線模様)の範囲内であり、
L=0.3、G=50、G=70、L=(0.1×G−4.5)×20/30
の直線で囲まれた範囲内である。また、感光体ドラムの外径Dが30mmでランクAとなる範囲は、
L=0.3、G=50、G=70、L=(0.1×G−4.5)×30/30
の直線で囲まれた範囲内である。また、同様に、感光体ドラムの外径Dが40mmで評価がランクAとなる範囲は、
L=0.3、G=50、G=70、L=(0.1×G−4.5)×40/30
で囲まれた範囲である。
すなわち、図9に示すグラフから、評価がランクAの領域は、トナーの凝集度Gが50〜70%の範囲内、ニップ間距離Lが0.3mm以上かつ、感光体ドラムの外径D(mm)をパラメータとした直線で囲まれた領域であることがわかる。
すなわち、以上の実験結果から、転写効率が95%以上、トビチリや再転写が目視許容レベルとなるのは、
50≦G≦70、0.3≦L≦(0.1×G−4.5)×D/30
の領域であることが分かる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
この発明の実施形態による画像形成装置の概略を示す断面図である。 この発明の実施形態による転写手段の主要部を示す略線図である。 この発明の実施形態による電子写真感光体を示す断面図である。 この発明の実施形態によるアモルファスシリコン感光体成膜装置を示す縦断面図である。 この発明の実施形態によるアモルファスシリコン感光体成膜装置を示す横断面図である。 この発明の実施形態による現像装置の概略を示す断面図である。 無機微粉体の粒径測定における長辺と短辺の概略図である。 この発明の実施形態による感光体ドラム上のトナー帯電量測定装置を説明するための略線図である。 この発明の実施形態による実験1乃至3の結果を統合したグラフである。
符号の説明
1,1a,1b,1c,1d 感光体ドラム
2,2a,2b,2c,2d 帯電ローラ
3,3a,3b,3c,3d 露光装置
4,4a,4b,4c,4d 現像器
4a3,4a4 現像剤撹拌搬送部材
4a5 現像槽
4a6 現像スリーブ
4a7 規制部材
4a8 マグネットロール
4a9 補給剤収容器
5 中間転写ユニット
6,6a,6b,6c,6d クリーニング装置
7 定着装置
8 給紙カセット
15 ピグメントブルー
51 中間転写ベルト
53,53a,53b,53c,53d 一次転写ローラ
55 中間転写ベルト駆動ローラ
56 二次転写内ローラ
57 二次転写外ローラ
58 テンションローラ
60 中間転写ベルトクリーナ
71 定着ローラ
72 加圧ローラ
73 ヒータ
81 ピックアップローラ
82 搬送ローラ
100 トナー粒子
301 導電性基体
302 光導電層
303 表面保護層
304 下部電荷注入阻止層
305 上部電荷注入阻止層
306 下部光導電層
307 上部光導電層
400 堆積膜形成装置
401 円筒形基体
402 反応容器
403 基体支持体
404 原料ガス供給システム
405 排気システム
406 電力供給システム
407 排気ポンプ
408 排気バルブ
409 メイン排気バルブ
410 スロットルバルブ
411 油拡散ポンプ
412 メイン排気ポンプ
413 電力源
414 カソード
415 マッチングボックス
416 モーター
417 ガス管
418 駆動部
419 排気口
501 内筒
502 外筒
503 絶縁部材
504 ろ紙

Claims (10)

  1. 略円柱形状の像担持体と、
    前記像担持体を帯電させる帯電手段と、
    前記帯電手段により帯電された前記像担持体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    前記静電潜像を現像剤によって現像する現像手段と、
    現像された現像剤の像をシート材に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
    前記像担持体上の電位の絶対値が、前記現像手段による現像の後、及び前記転写手段による転写の前において、200V以下であり、
    前記シート材が前記転写手段を通過した後における前記像担持体の電位の絶対値が100V以下であり、
    前記像担持体の円柱形状における円の外径が、20mm以上40mm以下であり、
    前記現像剤が、
    少なくとも結着樹脂及び着色剤からなる粒子と、
    前記粒子の表面に、一次粒子の平均粒径が30nm以上300nm以下、粒径が600nm以上の粒子又は凝集体の個数の含有率が1%以下である無機微粒子を含み、前記現像剤の重量平均粒径が3.0μm以上7.0μm以下、かつ、円形度が0.940以上0.975以下、かつ、凝集度が50%以上70%以下であり、
    前記転写手段は、
    少なくとも前記像担持体上の現像剤像が転写される中間転写体と、
    前記中間転写体を前記像担持体に接触させて前記像担持体上の前記現像剤像を前記中間転写体に転写させる一次転写手段とを有し、
    前記一次転写手段は、
    前記像担持体より前記中間転写体の進行方向の上流側又は下流側に配置され、
    前記中間転写体の進行方向における前記中間転写体と前記像担持体との接触ニップの中心と、前記一次転写手段と前記中間転写体との接触ニップの中心との距離をL(mm)、
    前記凝集度をG(%)、
    前記像担持体の円柱形状における円の外径をD(mm)としたときに、
    0.3<L≦(0.1×G−4.5)×D/30
    の関係を有する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記一次転写手段が、前記像担持体よりも前記中間転写体の進行方向の上流側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記像担持体は、導電性基体の表面に形成されるシリコン原子を母体として、水素原子及びハロゲン原子の少なくとも一方を含有する非単結晶材料からなる光導電層を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
  4. 前記一次転写手段に供給される転写帯電極性が、前記像担持体の帯電極性と逆極性であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
  5. 前記像担持体上の現像剤の帯電量の絶対値が20×10-3C/kg以上50×10-3C/kg以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置。
  6. 前記現像剤に含有される前記無機微粒子が、ペロブスカイト型結晶を有するチタン酸ストロンチウム微粉体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像形成装置。
  7. 前記現像剤に含有される前記無機微粒子の含有率が、0.5質量部以上2.0質量部以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置。
  8. 前記中間転写体の体積抵抗率が108Ω・cm以上1013Ω・cm以下であり、前記中
    間転写体の表面抵抗が1012Ω/cm2以上1015Ω/cm2以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像形成装置。
  9. 前記一次転写手段の前記中間転写体を介した前記像担持体への押圧力が、5N/m以上20N/m以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の画像形成装置。
  10. 前記帯電手段が接触帯電手段であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の画像形成装置。
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