JP2008222475A - 焼成物、セメント添加材及びセメント組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】セメントへの添加量を10質量%以上とした場合であっても、長期強度発現性の低下が小さいセメント添加材を製造できる焼成物、該焼成物を粉砕してなるセメント添加材及び該セメント添加材を添加してなるセメント組成物を提供する。
【解決手段】2CaO・SiO2及び2CaO・Al2O3・SiO2を必須成分とし、P2O5を0.3〜10質量%含有する焼成物であって、2CaO・SiO2100質量部に対して、2CaO・Al2O3・SiO2+4CaO・Al2O3・Fe2O3を10〜100質量部含有し、かつ、3CaO・Al2O3の含有量が20質量部以下である焼成物、及びこれを粉砕してなるセメント添加材、及びセメントに対して前記セメント添加材を内割で50質量%以下含有するセメント組成物。
【選択図】なし
Description
また、本発明は、セメントに対して、前記セメント添加材を内割で50質量%以下含有するセメント組成物を提供するものである。
本発明の焼成物は、2CaO・SiO2(以降、C2Sと略す)及び2CaO・Al2O3・SiO2(以降、C2ASと略す)を必須成分とするもので、C2S100質量部に対して、C2ASを10〜100質量部、好ましくは20〜90質量部含有するものである。C2AS含有量が10質量部未満では、焼成時に焼成温度を上げてもフリーライム量(未反応CaO量)が低下しにくく、焼成が困難になり、また、生成するC2Sも水和活性のないγ型C2Sである可能性が高くなり、セメント組成物の長期強度を大きく低下させることがある。一方、C2AS含有量が100質量部を超えると、高温における融液が増加するため、焼成可能温度が狭まり、またC2Sが少ないため、セメント組成物の初期及び長期強度がともに低下する。
本発明においては、焼成物の製造の容易性や、セメント組成物の凝結、流動性や強度発現性等から、焼成物中のP2O5含有量は、0.5〜9.5質量%が好ましく、0.6〜9.0質量%がより好ましく、0.7〜8.0質量%が特に好ましい。
また、一般のポルトランドセメントクリンカー原料、例えば、石灰石、生石灰、消石灰等のCaO原料、珪石、粘土等のSiO2原料、粘土等のAl2O3原料、鉄滓、鉄ケーキ等のFe2O3原料も使用することができる。
C4AF=3.04×Fe2O3
C3A =1.61×CaO−3.00×SiO2−2.26×Fe2O3
C2AS=−1.63×CaO+3.04×SiO2+2.69×Al2O3+0.57×Fe2O3
C2S =1.02×CaO+0.95×SiO2−1.69×Al2O3−0.36×Fe2O3
用いる装置は特に限定されず、例えばロータリーキルン等を用いることができる。また、ロータリーキルンで焼成する際には、燃料代替廃棄物、例えば廃油、廃タイヤ、廃プラスチック等を使用することができる。
このような焼成により、C2ASが生成し、本発明のような組成の焼成物を得ることができ
る。
焼成物の粉砕方法は特に制限されず、例えばボールミル等を用い、通常の方法で粉砕すれば良い。焼成物の粉砕物は、ブレーン比表面積が2500〜5000cm2/gであることが、モルタルやコンクリートのブリーディングの低減や、流動性、強度発現性の観点から好ましい。
石膏のブレーン比表面積は、モルタルやコンクリートのブリーディングの低減や、流動性、強度発現性の観点から、2500〜10000cm2/gであることが好ましい。石膏としては、特に制限されず、例えば二水石膏、α型又はβ型半水石膏、無水石膏等が挙げられ、これらを単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
セメント添加材の添加量は、セメントに対して、内割で50質量%以下が好ましく、廃棄物原料の有効活用や、モルタルやコンクリートのブリーディングの低減、流動性や強度発現性の観点から、5〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。セメント添加材の添加量が、セメントに対して、内割で50質量%を越えると、セメント組成物の強度発現性が低下する。
実施例1
1.焼成物の調製
(1)焼成物の製造:
表1に示す化学組成の原料混合物(石灰石及び石炭灰の混合物)に、炭酸カルシウム(試薬)、シリカ(試薬)、アルミナ(試薬)、酸化鉄(試薬)、第2リン酸カルシウム(試薬)を加えて、表2に示す焼成物を製造した。焼成は、ロータリーキルンを用いて、焼成物1〜5は焼成温度1280〜1350℃で、焼成物6は焼成温度1200℃で行った。
上記各焼成物の粉砕物(ブレーン比表面積3200±50cm2/g)100質量部と二水石膏(ブレーン比表面積4000cm2/g)2質量部(SO3換算)を混合してセメント添加材を製造した。
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)と上記各セメント添加材を表3に示す割合で混合して、セメント組成物を製造した。
得られたセメント組成物について、材齢91日、半年及び1年のモルタル圧縮強さを、「JIS R 5201」に従って測定した。
結果を表3に示す。
(1)焼成物の製造:
表4に示す化学組成の石灰石、珪石及び下水汚泥を原料として焼成物を製造した。焼成は、ロータリーキルンを用いて焼成温度1350℃で行った。なお、焼成物の鉱物組成は、C2S:100質量部に対して、C2AS:22質量部、C4AF:17質量部、C3A:0質量部、フリーライム:0.1質量部で、化学組成は、CaO:53.3質量%、SiO2:26.3質量%、Al2O3:7.3質量%、Fe2O3:3.6質量%、P2O5:4.8質量%であった。
上記焼成物の粉砕物(ブレーン比表面積3220cm2/g)100質量部と二水石膏(ブレーン比表面積4000cm2/g)2質量部(SO3換算)を混合してセメント添加材を製造した。
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)に上記セメント添加材を内割りで15質量%添加して、セメント組成物を製造した。
得られたセメント組成物について、材齢91日、半年及び1年のモルタル圧縮強さを、「JIS R 5201」に従って測定した。
その結果、材齢91日のモルタル圧縮強さは70.5N/mm2、材齢半年のモルタル圧縮強さは79.3N/mm2、材齢1年のモルタル圧縮強さは85.2N/mm2であり、長期強度発現性の低下は小さかった。
Claims (6)
- 2CaO・SiO2及び2CaO・Al2O3・SiO2を必須成分とし、P2O5を0.3〜10質量%含有する焼成物であって、2CaO・SiO2100質量部に対して、2CaO・Al2O3・SiO2+4CaO・Al2O3・Fe2O3を10〜100質量部含有し、かつ、3CaO・Al2O3の含有量が20質量部以下であることを特徴とする焼成物。
- 産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる1種以上を原料とする請求項1に記載の焼成物。
- 請求項1又は2に記載の焼成物を粉砕してなるセメント添加材。
- 請求項1又は2に記載の焼成物の粉砕物100質量部に対して、石膏をSO3換算で6質量部以下含有するセメント添加材。
- セメントに対して、請求項3又は4に記載のセメント添加材を内割で50質量%以下含有するセメント組成物。
- 石膏を、SO3換算で1.5〜5質量%含有する請求項5記載のセメント組成物。
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