以下、図面を参照して本発明の加湿装置及び加湿空調装置の実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態の加湿装置の構成例>
図1は、第1の実施の形態の加湿装置の一例を示す構成図である。第1の実施の形態の加湿装置1Aは、空気を吸い込んで吹き出す送風ファン部10Aと、送風ファン部10Aで吹き出される空気を加熱するヒータ20Aと、ヒータ20Aに温水を噴霧する給水機構30とを備える。
送風ファン部10Aは送風手段の一例で、ファンモータ11Mにより回転駆動される多翼のファン11と、ファン11の軸方向に沿った下部に形成される吸込口12と、ファン11の径方向に沿った風路形成部13と、風路形成部13とつながった下部に形成される吹出口14とを備える。
ヒータ20Aは加熱手段の一例で、吹出口14にPTCヒータ等の電気ヒータを備えて構成される。
給水機構30は給水手段の一例で、ヒータ20Aに温水(水)を噴霧するノズル31と、図示しない給湯装置とつながって、ノズル31に温水SWを供給する給水配管32と、ノズル31からの温水の噴霧の有無を切り換えるノズル弁33とを備える。
ノズル31は、温水の吹出方向を上方に向けて、ヒータ20Aの下方に設置され、ノズル31から噴霧される温水が、直接滴下しないようにしている。
加湿装置1Aは、下面にフロントパネル40を備える。フロントパネル40は、送風ファン部10Aの吸込口12とつながる室内吸込口としての吸込口グリル41と、送風ファン部10Aの吹出口14とつながる室内吹出口としての吹出口グリル42を備える。
図2は、第1の実施の形態におけるヒータの一例を示す構成図で、図2(a)は、ヒータ20Aの正面図、図2(b)は、ヒータ20Aの平面図である。
ヒータ20Aは、空気の流れる方向に沿って複数枚の放熱フィン21Aが並列し、各放熱フィン21Aに水垂れ防止穴22が開けられている。水垂れ防止穴22は水保持手段の一例で、図1に示すノズル31から噴霧された温水を表面張力で保持できる径を有し、放熱フィン21Aを貫通した複数の穴で構成される。
このように、ヒータ20Aの放熱フィン21Aに水垂れ防止穴22を開けて、ノズル31から噴霧された温水を表面張力で放熱フィン21Aに保持することで水垂れが防止され、ノズル31からヒータ20Aに噴霧された温水を、ヒータ20Aの加熱で効率良く蒸気化することができる。
図1に戻り、加湿装置1Aは、吹出口グリル42の内側でヒータ20Aの下方の吹出口14にネット24を備える。図3は、ネットの一例を示す平面図である。ネット24は他の水保持手段の一例で、空気を通すと共に、水滴を保持する網目の粗さを有する。ネット24は、図1に示す吹出口14の開口形状に合わせて例えば四角形状で構成され、ノズル31から噴霧され、ヒータ20Aで保持されない温水を保持して、水垂れを防止する。また、ヒータ20Aで加熱された空気がネット24を通過することで、ネット24で保持された温水が蒸気化される。
<第1の実施の形態の加湿装置の動作例>
次に、第1の実施の形態の加湿装置1Aの動作例を、各図を参照して説明する。
加湿装置1Aは、送風ファン部10Aのファンモータ11Mを駆動して、ファン11を回転させる。また、ヒータ20Aに通電して、放熱フィン21Aを加熱させると共に、給水機構30のノズル弁33を開いて、加熱された放熱フィン21Aにノズル31からミストにした温水Mを噴霧させる。
加湿装置1Aは、ファン11が回転すると、フロントパネル40の吸込口グリル41から送風ファン部10Aの吸込口12に空気RAが吸い込まれ、吸込口12から吸い込まれた空気は風路形成部13を送風され、吹出口14から吹き出される。
また、加湿装置1Aは、ヒータ20Aに通電すると共に、ヒータ20Aにノズル31から温水Mを噴霧すると、放熱フィン21Aに付着した温水が加熱されて気化し、蒸気が発生する。
これにより、ヒータ20Aにノズル31で温水を噴霧して発生させた蒸気Vが、送風ファン部10Aの吹出口14から吹き出される空気で送風されると共にヒータ20Aで加熱され、フロントパネル40の吹出口グリル42から蒸気を含む温湿風が吹き出される。
更に、ノズル31から噴霧された温水Mの一部はネット24で保持され、ヒータ20Aで加熱された空気が送風ファン部10Aで送風されてネット24を通過することで気化されて、蒸気Vとして吹出口グリル42から吹き出される。
このように、第1の実施の形態の加湿装置1Aでは、ヒータ20Aに直接温水を噴霧して蒸気を発生させることで、温水の噴霧を開始してから、気化されるまでの時間が短縮される。また、貯水せずに蒸気を発生させることから、給湯の初期段階で温度の低い温水がヒータ20Aに噴霧されても、気化に要する時間が大幅に延びることがなく、温水の温度が上昇するまでの捨て水が不要である。このため、給水機構30を図示しない上水管と接続して、ヒータ20Aに水を噴霧するようにしても良い。
そして、ヒータ20Aの放熱フィン21Aに水垂れ防止穴22が開けられることで、ノズル31から噴霧された温水が表面張力で放熱フィン21Aに保持される。これにより、ヒータ20Aに供給した温水が気化されることなく排水されてしまい無駄となる水垂れが防止されるので、ノズル31からヒータ20Aに噴霧された温水を、ヒータ20Aの加熱で効率良く蒸気化することができる。
更に、吹出口グリル42の内側でヒータ20Aの下方の吹出口14にネット24を備えることで、ノズル31から噴霧されてヒータ20Aで保持されない温水が保持され、水垂れが防止される。また、ネット24で保持された温水が、ネット24を温風が通過することで気化されて蒸気となって吹き出されるので、無駄を一層減らすことができる。
<第2の実施の形態の加湿装置の構成例>
図4は、第2の実施の形態の加湿装置の一例を示す構成図である。第2の実施の形態の加湿装置1Bは、空気を吸い込んで吹き出す送風ファン部10Bと、送風ファン部10Bで吹き出される空気を加熱するヒータ20Bと、ヒータ20Bに温水を噴霧する給水機構30とを備える。
送風ファン部10Bは送風手段の一例で、ファンモータ11Mにより回転駆動される多翼のファン11と、ファン11の軸方向に沿った下部に形成される吸込口12と、ファン11の径方向に沿った風路形成部13と、風路形成部13とつながった下部に形成される吹出口14とを備える。
ヒータ20Bは加熱手段の一例で、ファン11の径方向に沿って側方に延びる風路形成部13に、PTCヒータ等の電気ヒータを備えて構成される。
給水機構30は給水手段の一例で、ヒータ20Bに温水(水)を噴霧するノズル31と、図示しない給湯装置とつながって、ノズル31に温水SWを供給する給水配管32と、ノズル31からの温水の噴霧の有無を切り換えるノズル弁33とを備える。
ノズル31は、温水の吹出方向を略水平に向けて、ヒータ20Bの側部に設置される。
加湿装置1Bは、下面にフロントパネル40を備える。フロントパネル40は、送風ファン部10Bの吸込口12とつながる吸込口グリル41と、送風ファン部10Bの吹出口14とつながる吹出口グリル42を備える。
加湿装置1Bは、吹出口グリル42の内側の吹出口14に、図3で説明したネット24を備える。ネット24は、ノズル31から噴霧され、ヒータ20Bで保持されない温水を保持して、水垂れを防止する。また、ヒータ20Bで加熱された空気がネット24を通過することで、ネット24で保持された温水が蒸気化される。
図5は、第2の実施の形態におけるヒータの一例を示す構成図で、図5(a)は、ヒータ20Bの正面図、図5(b)は、ヒータ20Bの側面図である。
ヒータ20Bは、複数枚の放熱フィン21Bが上下方向に並列するように、風路形成部13に縦向きに配置される。放熱フィン21Bは水保持手段の一例で、各放熱フィン21Bが空気の流れる方向に沿って略水平となる向きで配置されることで、図4に示すノズル31から噴霧された温水が放熱フィン21Bで保持される。
これにより、ノズル31から噴霧された温水を放熱フィン21Bの面で保持することで水垂れが防止され、ノズル31からヒータ20Bに噴霧された温水を、ヒータ20Bの加熱で効率良く蒸気化することができる。
<第2の実施の形態の加湿装置の動作例>
次に、第2の実施の形態の加湿装置1Bの動作例を、各図を参照して説明する。
加湿装置1Bは、送風ファン部10Bのファンモータ11Mを駆動して、ファン11を回転させる。また、ヒータ20Bに通電して、放熱フィン21Bを加熱させると共に、給水機構30のノズル弁33を開いて、加熱された放熱フィン21Bにノズル31からミストにした温水Mを噴霧させる。
加湿装置1Bは、ファン11が回転すると、フロントパネル40の吸込口グリル41から送風ファン部10Bの吸込口12に空気RAが吸い込まれ、吸込口12から吸い込まれた空気は風路形成部13を送風され、吹出口14から吹き出される。
また、加湿装置1Bは、ヒータ20Bに通電すると共に、ヒータ20Bにノズル31から温水Mを噴霧すると、放熱フィン21Bに付着した温水が加熱されて気化し、蒸気が発生する。
これにより、ヒータ20Bにノズル31で温水を噴霧して発生させた蒸気Vが、送風ファン部10Bの吹出口14から吹き出される空気で送風されると共にヒータ20Bで加熱され、フロントパネル40の吹出口グリル42から蒸気を含む温湿風が吹き出される。
更に、ノズル31から噴霧された温水Mの一部はネット24で保持され、ヒータ20Bで加熱された空気が送風ファン部10Bで送風されてネット24を通過することで気化されて、蒸気Vとして吹出口グリル42から吹き出される。
このように、第2の実施の形態の加湿装置1Bでも、ヒータ20Bに直接温水を噴霧して蒸気を発生させることで、温水の噴霧を開始してから、気化されるまでの時間が短縮される。また、貯水せずに蒸気を発生させることから、給湯の初期段階で温度の低い温水がヒータ20Bに噴霧されても、気化に要する時間が大幅に延びることがなく、温水の温度が上昇するまでの捨て水が不要である。このため、ヒータ20Bに水を噴霧するように構成しても良い。
そして、ヒータ20Bを縦向きに配置して、ノズル31から噴霧された温水を放熱フィン21Bの面で受けられるようにすることで、ノズル31から噴霧された温水が放熱フィン21Bに保持される。これにより、ヒータ20Bに供給した温水が気化されることなく排水されてしまい無駄となる水垂れが防止されるので、ノズル31からヒータ20Bに噴霧された温水を、ヒータ20Bの加熱で効率良く蒸気化することができる。
更に、ノズル31で温水が噴霧されるヒータ20Bを風路形成部13の水平部分に配置することで、フロントパネル40の吹出口グリル42にヒータ20Bが直接面しないようにして、ノズル31から噴霧した温水が、吹出口グリル42から直接滴下しにくい構成となっている。
そして、第2の実施の形態の加湿装置1Bでも、吹出口グリル42の内側にネット24を備えることで、水垂れがより確実に防止されると共に、無駄を一層減らすことができる。
<第3の実施の形態の加湿装置の構成例>
図6は、第3の実施の形態の加湿装置の一例を示す構成図である。第3の実施の形態の加湿装置1Cは、空気を吸い込んで吹き出す送風ファン部10Cと、送風ファン部10Cで吹き出される空気を加熱するヒータ20Cと、ヒータ20Cに温水を噴霧する給水機構30とを備える。
送風ファン部10Cは送風手段の一例で、ファンモータ11Mにより回転駆動される多翼のファン11と、ファン11の軸方向に沿った下部に形成される吸込口12と、ファン11の径方向に沿った風路形成部13と、風路形成部13とつながった下部に形成される吹出口14とを備える。
ヒータ20Cは加熱手段の一例で、ファン11の径方向に沿って側方に延びる風路形成部13に、PTCヒータ等の電気ヒータを備えて構成される。
給水機構30は給水手段の一例で、ヒータ20Cに温水(水)を噴霧するノズル31と、図示しない給湯装置とつながって、ノズル31に温水SWを供給する給水配管32と、ノズル31からの温水の噴霧の有無を切り換えるノズル弁33とを備える。
ノズル31は、温水の吹出方向を略水平に向けて、ヒータ20Cの側部に設置される。
加湿装置1Cは、下面にフロントパネル40を備える。フロントパネル40は、送風ファン部10Cの吸込口12とつながる吸込口グリル41と、送風ファン部10Cの吹出口14とつながる吹出口グリル42を備える。
加湿装置1Cは、吹出口グリル42の内側の吹出口14に、図3で説明したネット24を備える。ネット24は、ノズル31から噴霧され、ヒータ20Cで保持されない温水を保持して、水垂れを防止する。また、ヒータ20Cで加熱された空気がネット24を通過することで、ネット24で保持された温水が蒸気化される。
図7は、第3の実施の形態におけるヒータの一例を示す構成図で、図7(a)は、ヒータ20Cの正面図、図7(b)は、ヒータ20Cの側面図である。
ヒータ20Cは、図示しない発熱体が収納された板状の軸部23の上面に、複数枚の放熱フィン21Cが立設され、各放熱フィン21Cが空気の流れる方向に沿って水平方向に並列するように、風路形成部13に横向きに配置される。
軸部23は水保持手段の一例で、ヒータ20Cに噴霧され、各放熱フィン21Cを伝わって下方に流れる温水が軸部23で保持される。なお、軸部23の下面には放熱フィンは設けられず、放熱フィンを伝わって温水が滴下しないように構成されている。
これにより、ノズル31から噴霧された温水を放熱フィン21Cが立設する軸部23で保持することで水垂れが防止され、ノズル31からヒータ20Cに噴霧された温水を、ヒータ20Cの加熱で効率良く蒸気化することができる。
<第3の実施の形態の加湿装置の動作例>
次に、第3の実施の形態の加湿装置1Cの動作例を、各図を参照して説明する。
加湿装置1Cは、送風ファン部10Cのファンモータ11Mを駆動して、ファン11を回転させる。また、ヒータ20Cに通電して、放熱フィン21Cを加熱させると共に、給水機構30のノズル弁33を開いて、加熱された放熱フィン21Cにノズル31からミストにした温水Mを噴霧させる。
加湿装置1Cは、ファン11が回転すると、フロントパネル40の吸込口グリル41から送風ファン部10Cの吸込口12に空気RAが吸い込まれ、吸込口12から吸い込まれた空気は風路形成部13を送風され、吹出口14から吹き出される。
また、加湿装置1Cは、ヒータ20Cに通電すると共に、ヒータ20Cにノズル31から温水Mを噴霧すると、放熱フィン21Cに付着した温水が加熱されて気化し、蒸気が発生する。
これにより、ヒータ20Cにノズル31で温水を噴霧して発生させた蒸気Vが、送風ファン部10Cの吹出口14から吹き出される空気で送風されると共にヒータ20Cで加熱され、フロントパネル40の吹出口グリル42から蒸気を含む温湿風が吹き出される。
更に、ノズル31から噴霧された温水Mの一部はネット24で保持され、ヒータ20Cで加熱された空気が送風ファン部10Cで送風されてネット24を通過することで気化されて、蒸気Vとして吹出口グリル42から吹き出される。
このように、第3の実施の形態の加湿装置1Cでも、ヒータ20Cに直接温水を噴霧して蒸気を発生させることで、温水の噴霧を開始してから、気化されるまでの時間が短縮される。また、貯水せずに蒸気を発生させることから、給湯の初期段階で温度の低い温水がヒータ20Cに噴霧されても、気化に要する時間が大幅に延びることがなく、温水の温度が上昇するまでの捨て水が不要である。このため、ヒータ20Cに水を噴霧するように構成しても良い。
そして、ヒータ20Cを横向きに配置して、ノズル31から噴霧された温水を放熱フィン21Cが立設した軸部23で受けられるようにすることで、ノズル31から噴霧された温水が放熱フィン21Cの間に保持される。これにより、ヒータ20Cに供給した温水が気化されることなく排水されてしまい無駄となる水垂れが防止されるので、ノズル31からヒータ20Cに噴霧された温水を、ヒータ20Cの加熱で効率良く蒸気化することができる。
ここで、第1の実施の形態や第2の実施の形態のヒータでは、軸部の両面に放熱フィンが立設した形態であるのに対し、第3の実施の形態のヒータ20Cでは、軸部23の片面(上面)のみに放熱フィン21Cが立設した形態である。
そこで、放熱フィン21Cの長さを、軸部の両面に配置される形態の放熱フィンの略2枚分に伸ばし、放熱効果を維持する。
更に、ノズル31で温水が噴霧されるヒータ20Cを風路形成部13の水平部分に配置することで、フロントパネル40の吹出口グリル42にヒータ20Cが直接面しないようにして、ノズル31から噴霧した温水が、吹出口グリル42から直接滴下しにくい構成となっている。
そして、第3の実施の形態の加湿装置1Cでも、吹出口グリル42の内側にネット24を備えることで、水垂れがより確実に防止されると共に、無駄を一層減らすことができる。
<本実施の形態の加湿空調システムの構成例>
図8は、本実施の形態の加湿空調システムの一例を示す構成図で、次に、上述した加湿装置1(1A,1B,1C)を備えた加湿空調システムの構成及び加湿装置1の設置例について各図を参照して説明する。
加湿空調システム100は、加湿装置1A〜1Cの何れかと、浴室空調装置5を備える。
加湿装置1は、浴室51に設置される。浴室51の天井パネル51aには、図1で説明した加湿装置1A等の本体が入る開口部が形成され、加湿装置1は、フロントパネル40が露出するようにして、天井裏から吊り下げる形態、あるいは天井パネル51aに固定する形態等で設置される。
浴室51の天井パネル51aに取り付けられた加湿装置1は、給水配管32が図示しない給湯装置と接続される。
加湿装置1が設置された浴室51には、加湿装置1との連動で浴室51の加湿暖房を行う浴室空調装置5が設置される。浴室空調装置5は空調装置の一例で、ファンやヒータ等を備え、浴室51の空気RAを吸い込んで循環させて、温風HA等を吹き出す機能と、浴室51から吸い込んだ空気EAを屋外に排気する機能等を有する。
浴室51の天井パネル51aには、浴室空調装置5の本体が入る開口部が形成され、浴室空調装置5は、空気が吸い込まれる吸込口グリルや空気が吹き出される吹出口グリルが形成されたフロントパネル60が露出するようにして、天井裏から吊り下げる形態、あるいは天井パネル51aに固定する形態等で設置される。
浴室51の天井パネル51aに取り付けられた浴室空調装置5は、図示しない排気口に排気ダクト61が接続される。排気ダクト61は、図示しない建物の外壁52に取り付けた屋外グリル61aに接続され、浴室空調装置5で浴室51等から吸い込んだ空気を、排気ダクト61を介して屋外に排気できる構成となっている。
加湿装置1及び浴室空調装置5は、浴室51に隣接した洗面脱衣所53に設置された主操作部7で入浴者等の操作を受け、主操作部7で選択された運転モードが実行される。
<本実施の形態の加湿空調システムの動作例>
加湿空調システム100は、主操作部7の所定の操作で加湿暖房運転モードが選択されると、まず、浴室空調装置5で図示しないヒータとファンを駆動して、循環風により温風HAを吹き出す暖房運転を行い、浴室51を暖房する。
浴室空調装置5による暖房運転を行って、図示しない温度センサで検知された浴室51の温度が所定温度に達したと判断した場合、または、暖房運転を開始してから所定時間が経過した場合等、浴室51の状態が加湿に適した状態となると、浴室空調装置5の暖房運転は停止する。
そして、上述したように、加湿装置1でヒータに温水を噴霧して発生させた蒸気Vを、送風ファン部による循環風で吹き出して、浴室51の加湿暖房を行う加湿暖房運転モードが実行される。
このように、加湿装置1と浴室空調装置5でヒータが同時に駆動されないように制御を行うことで、消費電力を抑えることができる。また、浴室空調装置5で浴室51の暖房を行うことで、短時間で浴室51内の温度をミスト浴に適した温度まで上げることができる。
そして、加湿装置1では、上述したように、ヒータに直接温水を噴霧して蒸気を発生させることで、温水の噴霧を開始してから、気化されるまでの時間が短縮され、短時間で浴室51内の湿度をミスト浴に適した湿度まで上げることができる。
なお、浴室空調装置5単体の動作では、浴室空調装置5で循環風により温風HAを吹き出して、浴室51の暖房を行う暖房運転モードが実行される。また、浴室空調装置5で浴室51内の空気を屋外に排出して、浴室51の換気を行う換気運転モード、及び、所定時間で図示しない建物の空気が入れ替えられる風量で換気を行う24時間換気運転モードが実行される。
更に、浴室空調装置5で循環風により温風HAを吹き出しながら、浴室51内の空気を屋外に排出して、浴室51に干された衣類等の乾燥を行う乾燥運転モードと、浴室空調装置5で循環風により送風を吹き出す涼風運転モードが実行される。
<第1の実施の形態の加湿空調装置の構成例>
図9は、第1の実施の形態の加湿空調装置の一例を示す構成図である。第1の実施の形態の加湿空調装置1Dは、空気を吸い込んで吹き出す送風ファン部10Dと、送風ファン部10Dで吹き出される空気を、図8に示すような浴室51に吹き出すか排気するかを切り換える風路切換ダンパ80を備える。また、送風ファン部10Dで浴室51に吹き出される空気を加熱するヒータ20Aと、ヒータ20Aに温水を噴霧する給水機構30とを備える。
送風ファン部10Dは送風手段の一例で、ファンモータ11Mにより回転駆動される多翼のファン11と、ファン11の軸方向に沿った下部に形成される吸込口12と、ファン11の径方向に沿った風路形成部13と、風路形成部13とつながった下部に形成される吹出口14と、風路形成部13とつながった側部に形成される排気口15とを備える。
風路切換ダンパ80は風路切換手段の一例で、図示しないダンパモータの駆動力が伝達され、軸80aを支点に回転して風路の開閉動作を行う。すなわち、風路切換ダンパ80を図9に実線で示す循環位置とすると、排気口15への風路が遮断され、吸込口12から吹出口14へ連通した循環風路16aが形成される。
また、風路切換ダンパ80を図9に破線で示す換気位置とすると、吹出口14への風路が遮断され、吸込口12から排気口15へ連通した換気風路16bが形成される。
更に、風路切換ダンパ80を図9に一点鎖線で示す分流位置とすると、吸込口12から吹出口14へ連通した循環風路16aと、吸込口12から排気口15へ連通した換気風路16bの双方が形成される。
ヒータ20Aは加熱手段の一例で、吹出口14にPTCヒータ等の電気ヒータを備えて構成される。なお、ヒータ20Aの構成は、上述した図2で説明したものと同じで良く、空気の流れる方向に沿って複数枚の放熱フィン21Aが並列し、各放熱フィン21Aに水垂れ防止穴22が開けられている。
給水機構30は給水手段の一例で、ヒータ20Aに温水(水)を噴霧するノズル31と、図示しない給湯装置とつながって、ノズル31に温水SWを供給する給水配管32と、ノズル31からの温水の噴霧の有無を切り換えるノズル弁33とを備える。
ノズル31は、温水の吹出方向を上方に向けて、ヒータ20Aの下方に設置され、ノズル31から噴霧される温水が、直接滴下しないようにしている。
加湿空調装置1Dは、下面にフロントパネル40を備える。フロントパネル40は、送風ファン部10Aの吸込口12とつながる室内吸込口としての吸込口グリル41と、送風ファン部10Aの吹出口14とつながる室内吹出口としての吹出口グリル42を備える。
加湿空調装置1Dは、吹出口グリル42の内側でヒータ20Aの下方の吹出口14に、図3で説明したネット24を備える。ネット24は、ノズル31から噴霧され、ヒータ20Aで保持されない温水を保持して、水垂れを防止する。また、ヒータ20Aで加熱された空気がネット24を通過することで、ネット24で保持された温水が蒸気化される。
加湿空調装置1Dは、排気口15に排気ダクトジョイント17が取り付けられ、排気ダクトジョイント17に図示しない排気ダクトが接続され、排気ダクトに建物の外壁に取り付けられた屋外グリルが接続されて、加湿空調装置1Dで浴室等から吸い込んだ空気を屋外に排気できる構成となっている。
<第1の実施の形態の加湿空調装置の動作例>
次に、第1の実施の形態の加湿空調装置1Dの動作例を、各図を参照して説明する。
加湿空調装置1Dは、加湿暖房運転モードが選択されると、風路切換ダンパ80を図9に実線で示す循環位置とすると共に、送風ファン部10Dのファンモータ11Mを駆動して、ファン11を回転させる。また、ヒータ20Aに通電して、放熱フィン21Aを加熱させると共に、給水機構30のノズル弁33を開いて、加熱された放熱フィン21Aにノズル31からミストにした温水Mを噴霧させる。
加湿空調装置1Dは、風路切換ダンパ80を循環位置として、ファン11が回転すると、吸込口12から吹出口14へ連通した循環風路16aが形成されるので、フロントパネル40の吸込口グリル41から送風ファン部10Dの吸込口12に空気RAが吸い込まれ、吸込口12から吸い込まれた空気は風路形成部13を送風され、吹出口14から吹き出される。
また、加湿空調装置1Dは、ヒータ20Aに通電すると共に、ヒータ20Aにノズル31から温水Mを噴霧すると、放熱フィン21Aに付着した温水が加熱されて気化し、蒸気が発生する。
これにより、ヒータ20Aにノズル31で温水を噴霧して発生させた蒸気Vが、送風ファン部10Dの吹出口14から吹き出される空気で送風されると共にヒータ20Aで加熱され、フロントパネル40の吹出口グリル42から蒸気を含む温湿風が吹き出され、加湿暖房運転モードでは、図8に示すような浴室が加湿暖房される。
更に、ノズル31から噴霧された温水Mの一部はネット24で保持され、ヒータ20Aで加熱された空気が送風ファン部10Cで送風されてネット24を通過することで気化されて、蒸気Vとして吹出口グリル42から吹き出される。
このように、第1の実施の形態の加湿空調装置1Dでも、ヒータ20Aに直接温水を噴霧して蒸気を発生させることで、温水の噴霧を開始してから、気化されるまでの時間が短縮され、短時間で浴室内の温度及び湿度をミスト浴に適した値に上げることができる。
加湿空調装置1Dは、暖房運転モードが選択されると、風路切換ダンパ80を図9に実線で示す循環位置とすると共に、送風ファン部10Dのファンモータ11Mを駆動して、ファン11を回転させる。また、ヒータ20Aに通電して、放熱フィン21Aを加熱させる。
加湿空調装置1Dは、風路切換ダンパ80を循環位置として、ファン11が回転すると、フロントパネル40の吸込口グリル41から送風ファン部10Dの吸込口12に空気RAが吸い込まれ、吸込口12から吸い込まれた空気は風路形成部13を送風され、吹出口14から吹き出される。
そして、加湿空調装置1Dは、ヒータ20Aに通電すると、送風ファン部10Dの吹出口14から吹き出される空気が加熱され、フロントパネル40の吹出口グリル42から温風HAが吹き出される。これにより、暖房運転モードでは、浴室の空気を循環させながら浴室に温風が吹き出されて、浴室内が暖房される。
加湿空調装置1Dは、換気運転モードが選択されると、風路切換ダンパ80を図9に破線で示す換気位置とすると共に、送風ファン部10Dのファンモータ11Mを駆動して、ファン11を回転させる。
加湿空調装置1Dは、ファン11が回転すると、フロントパネル40の吸込口グリル41から送風ファン部10Dの吸込口12に空気RAが吸い込まれる。風路切換ダンパ80を換気位置とすると、吸込口12から排気口15へ連通した換気風路16bが形成されるので、送風ファン部10Dの吸込口12から吸い込まれた空気は風路形成部13を送風され、排気口15から図示しない排気ダクトを通り排気EAとして屋外に排出される。これにより、換気運転モードでは、浴室内の湯気や湿気が屋外に排気されて、浴室が換気される。
加湿空調装置1Dは、乾燥運転モードが選択されると、風路切換ダンパ80を図9に一点鎖線で示す分流位置とすると共に、送風ファン部10Dのファンモータ11Mを駆動して、ファン11を回転させる。また、ヒータ20Aに通電して、放熱フィン21Aを加熱させる。
加湿空調装置1Dは、ファン11が回転すると、フロントパネル40の吸込口グリル41から送風ファン部10Dの吸込口12に空気RAが吸い込まれる。風路切換ダンパ80を分流位置とすると、吸込口12から吹出口14へ連通した循環風路16aと、吸込口12から排気口15へ連通した換気風路16bの双方が形成されるので、送風ファン部10Dの吸込口12から吸い込まれた空気の所定量は、吹出口14から吹き出される。そして、ヒータ20Aに通電すると、送風ファン部10Dの吹出口14から吹き出される空気が加熱され、フロントパネル40の吹出口グリル42から温風HAが吹き出される。
また、送風ファン部10Dの吸込口12から吸い込まれた空気の残部は、排気口15から図示しない排気ダクトを通り排気EAとして屋外に排出される。これにより、乾燥運転モードでは、浴室の空気の一部を循環させて、温風を吹き出しながら、浴室内の湯気や湿気が屋外に排気されて、衣類や浴室が乾燥される。
加湿空調装置1Dは、涼風運転モードが選択されると、風路切換ダンパ80を図9に一点鎖線で示す分流位置とすると共に、送風ファン部10Dのファンモータ11Mを駆動して、ファン11を回転させる。
加湿空調装置1Dは、風路切換ダンパ80を分流位置としてファン11が回転すると、フロントパネル40の吸込口グリル41から送風ファン部10Dの吸込口12に空気RAが吸い込まれ、吸込口12から吸い込まれた空気の所定量は、吹出口14から吹き出される。そして、フロントパネル40の吹出口グリル42から室温に応じた空気が吹き出される。
また、送風ファン部10Dの吸込口12から吸い込まれた空気の残部は、排気口15から図示しない排気ダクトを通り屋外に排気される。これにより、涼風運転モードでは、浴室の空気の一部を循環させて送風しながら、浴室内の湯気や湿気が屋外に排気される。
このように、第1の実施の形態の加湿空調装置1Dでは、装置単体で室内の加湿暖房が行えると共に、加湿を伴わない暖房や換気等が行えるので、浴室換気乾燥暖房機1台分の設置スペースがあれば、加湿暖房の機能を併設した装置を設置することができ、設置場所の制約を低減することができると共に、コストを低減することができる。
なお、第1の実施の形態の加湿空調装置1Dは、上述した第1の実施の形態の加湿装置1Aに換気の機能を追加することで実現しているが、第2の実施の形態の加湿装置1Bや第3の実施の形態の加湿装置1Cに換気の機能を追加することで実現しても良い。
1A,1B,1C・・・加湿装置、1D・・・加湿空調装置、10A,10B,10C,10D・・・送風ファン部、11・・・ファン、11M・・・ファンモータ、12・・・吸込口、13・・・風路形成部、14・・・吹出口、15・・・排気口、20A,20B,20C・・・ヒータ、21A,21B,21C・・・放熱フィン、22・・・水垂れ防止穴、23・・・軸部、24・・・ネット、30・・・給水機構、31・・・ノズル、32・・・給水配管、33・・・ノズル弁、40・・・フロントパネル、41・・・吸込口グリル、42・・・吹出口グリル、5・・・浴室空調装置、51・・・浴室、7・・・主操作部、80・・・風路切換ダンパ