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JP2008215257A - 内燃機関の始動装置 - Google Patents

内燃機関の始動装置 Download PDF

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JP2008215257A
JP2008215257A JP2007055993A JP2007055993A JP2008215257A JP 2008215257 A JP2008215257 A JP 2008215257A JP 2007055993 A JP2007055993 A JP 2007055993A JP 2007055993 A JP2007055993 A JP 2007055993A JP 2008215257 A JP2008215257 A JP 2008215257A
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internal combustion
combustion engine
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JP2007055993A
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Suekichi Sugiyama
末吉 杉山
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Toyota Motor Corp
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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

【課題】過給器を備えた内燃機関において始動時のエミッションの悪化を抑制する。
【解決手段】エンジン200は、アシストモータ217cにより駆動されるコンプレッサ217bを有する。ECU100は、エンジン200の始動時に、始動制御処理を実行する。当該処理において、ECU100は、排気管211と吸気通路221との連通状態を制御するEGRバルブ220を開弁させ、吸気通路221に設けられた吸気絞り弁223を閉弁させる。この状態で、ECU100は、MATコントローラ218を制御してコンプレッサ217bを作動させ、排気管221におけるタービン217c付近に滞留する、未燃状態のHCを含む残留ガスを、EGRパイプ219を介して吸気通路221に還流させる。係るガスの還流を為し得た後、ECU100は、燃料噴射及び混合気への点火を実行し、エンジン200を始動させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばMAT(Motor Assist Turbo)等の過給器を備えた内燃機関を始動させるための内燃機関の始動装置の技術分野に関する。
この種の内燃機関において、触媒装置上流に二次エアを供給するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたエンジンの排気ガス還流装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、係る二次エアによって触媒の酸化反応を促進させることにより排気中の未燃カーボンを燃焼せしめ、カーボンの除去されたEGRガスを触媒下流から取り出し吸気系に導くことによって、ノッキング抑制の効果と併せて信頼性の向上を図ることが可能であるとされている。
特開平6―221229号公報
燃料は、内燃機関の動作期間中において潤滑油中に多少なり取り込まれる。この未燃状態の燃料を取り込んだ潤滑油は、過給器にも循環供給される。一方、内燃機関が停止した場合、ソーク熱によって、潤滑油中に取り込まれた燃料は気化し、HC(Hydro Carbon:炭化水素)が発生する。この際、過給器のタービンハウジングや軸受け室において発生したHCは、例えばタービン側のリングシール等を介して比較的容易に排気管に漏出する。この排気管に漏出したHCは、内燃機関が始動する際に燃焼に供されることなく排出され、エミッションの悪化を招き易い。ところが、従来の技術では、このような始動時におけるHCの排出については全く考慮されておらず、内燃機関の通常の動作期間において吸気系に対しカーボンが還流することは防止し得たとしても、始動時のHC排出によるエミッションの悪化は避け難い。即ち、従来の技術には、過給器を備える内燃機関において、始動時にエミッションの悪化を招き易いという技術的な問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、始動時のエミッションの悪化を抑制し得る内燃機関の始動装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の始動装置は、排気系及び吸気系に夫々タービン及びコンプレッサを有する過給器を備えた内燃機関を始動させるための内燃機関の始動装置であって、前記排気系と前記吸気系とを連通する連通手段と、前記内燃機関を始動させるべき旨の入力に応じて、前記排気系に存在するガスが前記連通手段を介して前記吸気系に還流するように少なくとも前記内燃機関を制御する第1の制御手段と、前記ガスを還流させるべく少なくとも前記内燃機関が制御された後に前記内燃機関が始動するように前記内燃機関を制御する第2の制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明における「内燃機関」とは、例えば複数の気筒を有し、当該複数の気筒の各々における燃焼室において、例えばガソリン、軽油或いはアルコール等の各種燃料が燃焼した際に発生する爆発力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等を適宜介して動力として取り出すことが可能に構成され、且つ過給器を備えた機関を包括する概念であり、例えば自動車用の2サイクル或いは4サイクルレシプロエンジン等を指す。
本発明に係る「過給器」とは、少なくとも排気系にタービンを、また吸気系にコンプレッサを備えた構成を有し、例えばタービンの回転力を、例えばタービンと回転同軸に構成されるコンプレッサの回転力に変換し、当該コンプレッサの回転力によって大気圧以上の吸気圧を得ることが可能な物理的、機械的、機構的或いは電気的な手段を包括する概念であり、所謂ターボチャージャやスーパーチャージャ等を好適に含む趣旨である。また、ターボチャージャの好適な一態様としては、例えばモータ等の電動機を備え、タービン、コンプレッサ或いはそれらを同軸で連結する回転軸等に対し回転駆動用のトルクを供給することが可能に構成されていてもよい。この場合、過給器は、所謂MAT(Motor Assist Turbo)と称される構成を有してもよい。
このような本発明に係る内燃機関を始動させるための、本発明に係る内燃機関の始動装置には、例えば、吸排気バルブのオーバラップ期間において気筒内から吸気バルブを介して吸気系にガスが還流する、所謂内部EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気ガス再循環)とは異なる概念としてのEGR、即ち言わば外部EGRを可能とするEGRパイプ、或いは、排気ガスの再利用によって燃焼温度を低下せしめ、もってNOxの排出抑制を図る旨を趣旨の一部とするこのようなEGRとは無関係に設置されるパイプ等、好適には管状部材等として構成され得る、排気系と吸気系とを連通する概念としての連通手段が備わる。
ここで、本発明に係る内燃機関の始動装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第1の制御手段によって、例えば、ドライバによってなされるイグニッションスイッチの投入又はそれに準じる物理的、機械的又は電気的な信号の供給等を好適に含む概念としての、内燃機関を始動させるべき旨の入力に応じて、排気系に存在するガス(以下、適宜「残留ガス」と称する)が上述した連通手段を介して吸気系に還流するように内燃機関が制御される。
ここで特に、「排気系に存在するガス」とは、前回内燃機関が停止した時点で排気管に残留した燃焼済みの若しくは未燃状態の混合気、又は排気管の内壁体に吸着したデポジット等からの放出ガス等、排気系に存在し得るガスを包括する概念であるが、本発明に係る内燃機関が過給器を備えることに鑑みれば、過給器のタービンハウジングや回転軸の軸受け部室から流入するHCを好適に含む趣旨である。
内燃機関の潤滑油は、内燃機関が例えば直噴型の噴射装置を備える場合には気筒内壁部への噴射等によって、また、気筒内に直接燃料が噴射されるか、吸気ポートに燃料が噴射されるかによらず、吸入、圧縮、爆発及び排気の各プロセス中に、その量の多寡はさておき未燃状態の燃料を取り込んで希釈される。このように幾らかなり希釈された潤滑油は、無論、潤滑油の供給対象として過給器にも供給されるが、内燃機関の停止時には、例えばソーク熱等によって係る希釈された潤滑油が熱せられ、取り込まれたHCが気化することがある。このように気化したHCは、上述したようにタービンハウジングや回転軸の軸受け室から、完全密閉されているとは言い難いオイルシール部分を通過して排気系に漏出する。従って、このように過給器を備えた内燃機関では、その停止時に、排気系に、好適には排気管のタービン付近に、多少なり未燃状態のHCが滞留し易いのである。
この排気系に滞留する未燃状態のHCは、次回の内燃機関の始動時において、燃焼に供されることなく排出される可能性が高い。無論、前回の停止時より相対的にみて短い時間経過の後に内燃機関が再始動する場合、場合によっては三元触媒等の各種触媒装置が未だ活性状態を保っている場合(所謂、ホットスタートと称される始動形態)もあり、このような未燃状態のHCを浄化せしめ得る場合もあるが例外的であり、総体的にみれば、始動時に未燃状態のHCは多少なり車両外に排出され易い。即ち、始動時にこのような未燃状態のHCによってエミッションが悪化し得る問題は、過給器を備えた内燃機関に特有の且つ顕著なものである。
一方、第1の制御手段によって、このような未燃状態のHCを含む趣旨としての残留ガスは、連通手段を介して吸気系に還流される。より具体的には、第1の制御手段は、残留ガスが連通手段を介して吸気系に還流するように、少なくとも内燃機関を、即ち、例えば、タービン、コンプレッサ及び回転軸を含む過給器や、内燃機関をクランキングするためのスタータモータ、或いは更にVVT(Variable Valve Timing)やそれに類する各種の可変動弁機構又は装置等を、物理的に、機械的に又は電気的に制御する。
尚、第1制御手段に係る制御の態様は、連通手段を介して残留ガスを幾らかなり、好適には実践上エミッションの悪化を有意に抑制し得る程度に、還流せしめ得る限りにおいて何ら限定されない。例えば、第1の制御手段は、スタータモータ等の制御を介してクランキングを行い、吸排気バルブの物理的な開閉動作と、気筒内のピストンの物理的な往復運動とによって生じる、吸気系から気筒内部へ向かう、自然吸気の態様下にある外気の流れを利用し、連通手段を介して残留ガスを還流させてもよい。或いは、第1の制御手段は、吸気系に設置されたコンプレッサを物理的に、機械的に、又は電気的に駆動して、自然吸気の態様下と比較して大きな吸引力を生じさせ、連通手段を介して残留ガスを還流させてもよい。
他方、本発明に係る内燃機関の始動装置には、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第2の制御手段が備わり、第1の制御手段によって残留ガスを吸気系に還流させるべく少なくとも内燃機関の制御がなされた後に、例えば、燃料の噴射制御及び点火装置による混合気への点火制御等各種の始動制御を実行することによって、内燃機関を始動させる。
このような第1及び第2の制御手段に係る上述した制御の結果、内燃機関の始動時には、何らこの種の制御がなされない場合と比較して幾らかなりとも、排気系、顕著には排気管におけるタービン近傍の残留ガスに含まれる未燃状態のHCが低減された状態で内燃機関が始動されることとなる。この吸気系に戻されたHCを含む残留ガスは、吸気系を介して気筒内部に吸入され、始動時の燃焼プロセスによって燃焼に供される。
従って、本発明に係る内燃機関の始動装置によれば、内燃機関の始動時において過給器を介して排気系に未燃状態で導かれるHCが、幾らかなり、好適にはその大部分が、理想的には全てが始動時の燃焼に供される。従って、始動時に既に排気系に存在するHCが何ら燃焼に供されることなく車両外に排出されることによって生じる、エミッションの悪化が抑制されるのである。
本発明に係る内燃機関の始動装置の一の態様では、前記連通手段は、前記排気系に設置される触媒装置の上流側から前記ガスを取り出し、該取り出したガスを前記コンプレッサの上流側へ還流させることが可能な管状部材を含む。
この態様によれば、連通手段は、例えば金属製の、或いは樹脂製の管状部材であり、触媒装置上流側(即ち、排気系路上気筒に近い側)からコンプレッサ上流側(吸気系路上気筒から遠ざかる側)へと、残留ガスを還流させる物理的な構造を有する。このように、触媒上流からコンプレッサ上流へ残留ガス還流用の流路が構築される場合、当該流路は相対的に短くなり得、タービン近傍に滞留する残留ガスを効率的に且つ効果的に吸気系へと還流させることが可能となる。従って、内燃機関を始動させるに際し要する時間は、相対的に見て短縮化され、エミッションの悪化を抑制しつつ良好な始動特性を得ることが可能となる。
本発明に係る内燃機関の始動装置の他の態様では、前記過給器は、前記コンプレッサを電気的に駆動可能な駆動手段を備え、前記第1の制御手段は、前記入力に応じて前記コンプレッサが作動するように前記駆動手段を制御する。
この態様によれば、過給器は所謂MATと称される形態を採り、好適にはモータ等の直流又は交流電動機等の形態を採り得る駆動手段によってコンプレッサが電気的に駆動される。また、このように電動機によって発生されるトルク等の出力によってコンプレッサを駆動する場合、駆動手段の好適な一形態としては、係る電動機の出力状態を、例えば電動機の回転速度、或いは制御電流、制御電圧又は制御電力等のデューティ比をコントロールする、例えばMATコントローラ等の駆動制御系が備わり、例えば、車載用バッテリ等の1次電源、当該車載用バッテリの出力電圧を昇圧するDC−DCコンバータ等の昇圧手段、係る昇圧手段を介して昇圧せしめられた電圧を供給するための2次電源等の電源を含み、電動機にその動力たる電力を供給可能な物理的、機械的、機構的或いは電気的な手段を包括する概念としての電力供給系を介して、当該電動機等に対し電気エネルギを供給してもよい。
ここで、「コンプレッサが作動する」とは、コンプレッサが回転することを、より好適な一態様としては連通手段を介して残留ガスを吸気系に導き得る程度の回転状態を呈することを意味するが、駆動手段の制御対象は、必ずしもコンプレッサでなくともよい趣旨である。即ち、例えばモータ等を含み得る駆動手段におけるトルク等の出力により、最終的にコンプレッサの上述した作動が導かれ得る限りにおいて、これら駆動手段の直接の制御対象は、例えばタービンであってもよいし、回転軸であってもよい趣旨である。
このように過給器が駆動手段を備える場合、第1の制御手段は、内燃機関の少なくとも一部としてこの駆動手段を制御することによって、コンプレッサを作動させ、好適な一形態としてはコンプレッサ上流側に一端部が接続される連通手段を介して、好適な一形態として触媒装置の上流側から、効果的に残留ガスを吸引することが可能となる。
更には、このようにコンプレッサを作動させる際の作動条件は、駆動手段の制御態様如何によりいかようにも変更可能であり、例えばモータ等の回転速度を上昇させる、制御電流、制御電圧又は制御電力のデューティ比を高める等の処理によってコンプレッサの吸引能力を高めることも、またその逆に吸引能力を抑えることも可能となる。
従って、例えば内燃機関が前回停止してからの経過時間等、残留ガス中における未燃状態のHCの含有状態に対応付けられた指標に応じて、その都度適宜最適な制御態様を選択することも可能となる。
この態様によれば、このような駆動手段を有さない過給器、例えば排気エネルギを利用してタービンを回転せしめる通常のターボチャージャ等と較べれば、始動以前、即ち実践的にみてタービンを含むタービン周辺のフリクションロスに打ち勝ってタービンを回転駆動せしめる程度の排気エネルギが生じ難い状況においても、確実にコンプレッサを作動させることができる点において少なくとも有利である。
尚、この態様では、前記第2の制御手段は、前記コンプレッサが作動してから所定の時間が経過した後に前記内燃機関を始動させてもよい。
第2の制御手段による始動制御の開始タイミングは、少なくとも第1の制御手段によって残留ガスの還流が図られた時点以降であるが、好適には無論実践上幾らかなり有益となり得る程度に未燃状態のHCが吸気系に還流せしめられてからの方がよい。一方、駆動手段によってコンプレッサを作動させることができる場合、コンプレッサの作動時間は即ち、未燃状態のHCの還流状態、即ち、言い換えれば排気系にどの程度未燃状態のHCが残存しているかを規定する指標となり得る。従って、この態様によれば、駆動手段に対し電力資源を可及的に効率よく投入しつつ、エミッションの悪化を抑制することが可能となる。
この際、コンプレッサの作動時間に係る「所定の時間」とは、予め実験的に、経験的に、理論的に或いはシミュレーション等に基づいて、実践上の不具合(例えば、第2の制御手段による始動制御が開始されたにもかかわらず未だ少なからず未燃状態のHCが残留ガス中に含まれているといった不具合)を顕在化させない程度に長く、且つ電力資源の無駄な供給を可及的に抑制し得るように短く設定し得るように定められた固定値、或いは前回内燃機関が停止してからの経過時間等に応じた可変な値であってもよい。或いは、係る所定の時間とは、駆動手段の物理的又は電気的な状態に対応付けられていてもよく、例えばモータ等の積算回転数が所定値に到達した時間等であってもよい。
本発明に係る内燃機関の始動装置の他の態様では、前記連通手段に設置され、開閉状態に応じて前記還流するガスに係る還流量を制限可能な第1のバルブを更に具備し、前記第1の制御手段は更に、前記入力に応じて前記ガスが還流するように前記第1のバルブの開閉状態を制御する。
この態様によれば、連通手段に、例えば電磁弁やバタフライ弁等の、二値的な、段階的な又は連続的な各種開閉状態を採り得る、且つ当該開閉状態に応じて、残留ガスの還流量を制限可能な第1のバルブが設置され、第1の制御手段によって(即ちこの場合、第1の制御手段は、内燃機関に加え、内燃機関の始動制御装置も制御可能である)、上述した始動を促す入力に応じて、残留ガスが還流するようにその開閉状態が制御される。
この際、開閉状態の制御態様は、残留ガスを還流せしめ得る限りにおいて如何様にも限定されない趣旨であるが、残留ガスを迅速に還流せしめる観点から言えば、相対的にみて連通面積が大きい方がよく、好適な一形態として、第1のバルブは全開に制御されてもよい。尚、連通手段が、所謂外部EGRを行うためのEGRパイプ又はそれに類する管状部材である場合、当該第1のバルブとは即ち好適にはEGR量を制御するEGRバルブであってもよい。
本発明に係る内燃機関の始動装置の他の態様では、前記吸気系に設けられ、開閉状態に応じて外気の吸入を制限可能な第2のバルブを更に具備し、前記第1の制御手段は更に、前記入力に応じて前記吸入が制限されるように前記第2のバルブの開閉状態を制御する。
この態様によれば、吸気系に、例えば電磁弁やバタフライ弁等の、二値的な、段階的な又は連続的な各種開閉状態を採り得る、且つ当該開閉状態に応じて外気(新気)の吸入を制限可能な、例えば吸気絞り弁等の第2のバルブが設置され、第1の制御手段によって、上述した内燃機関の始動を促す旨の入力に応じて、当該外気の吸入が制限されるようにその開閉状態が制御される。
この際、開閉状態の制御態様は、外気の吸入が幾らかなり制限される限りにおいて如何様にも限定されない趣旨である。但し、外気の吸入が停止された場合(即ち、第2のバルブよりも下流側(気筒側)において吸気系が外界と遮断された場合)には、例えばMAT等における上述したコンプレッサの制御がなされる場合であっても、また単にスタータモータによるクランキング制御がなされる場合であっても、連通手段を介して排気系から残留ガスを吸引する以外に、吸気系に気体を供給する術がないことに鑑みれば、より効果的に残留ガスを還流せしめ得る態様として、外気の吸入は完全に或いは極端に制限された方がよい。
いずれにしても外気の吸入が制限されるように第2のバルブの開閉状態が制御される場合には、連通手段を介した残留ガスの還流が促進され、始動を促す旨の入力がなされて以降比較的短い時間で未燃状態のHCを排気管から除去することが可能となり有益である。
本発明に係る内燃機関の始動装置の他の態様では、前記排気系に設けられ、開閉状態に応じて下流側への前記ガスの排出を制限可能な第3のバルブを更に具備し、前記第1の制御手段は更に、前記入力に応じて前記ガスの排出が制限されるように前記第3のバルブの開閉状態を制御する。
この態様によれば、排気系に、電磁弁やバタフライ弁等の、二値的な、段階的な又は連続的な各種開閉状態を採り得る、且つ当該開閉状態に応じて下流側への残留ガスの排出を制限可能な、例えば排気絞り弁等の第3のバルブが設置され、第1の制御手段によって、上述した内燃機関の始動を促す旨の入力に応じて、当該残留ガスの排出が制限されるようにその開閉状態が制御される。
この際、開閉状態の制御態様は、残留ガスの排出が幾らかなり制限される限りにおいて如何様にも限定されない趣旨である。但し、残留ガスの排出が停止された場合(即ち、第3のバルブよりも上流側(気筒側)において排気系が外界から遮断された場合)には、例えばMAT等における上述したコンプレッサの制御がなされる場合であっても、また単にスタータモータによるクランキング制御がなされる場合であっても、連通手段を介して吸気系へ還流する以外に残留ガスの流入先がないことに鑑みれば、より効果的に残留ガスを還流せしめ得る態様としては、残留ガスの排出は完全に或いは極端に制限されたほうがよい。
いずれにしても残留ガスの排出が制限されるように第3のバルブの開閉状態が制御される場合には、連通手段を介した残留ガスの還流が促進され、始動を促す旨の入力がなされて以降比較的短い時間で未燃状態のHCを排気管から除去することが可能となり有益である。
尚、過給器が駆動手段を有さない排気駆動型のターボチャージャである場合、始動以前の段階では、タービンもコンプレッサも少なくとも実践上有意な利益を提供し得る程度には作動し難い。この場合、第1の制御手段は、その好適な制御態様の一つとして、スタータモータを介したクランキングを行って、吸排気バルブの開閉と、気筒内のピストンの往復運動とによって自然吸気を行い得るが、吸気バルブ、吸気ポート、吸気マニホールド或いは吸気管又は吸気通路及び連通手段を適宜介して排気系から残留ガスを還流させる吸引力は、例えばコンプレッサを物理的に、機械的に又は電気的に駆動し得る場合等と較べて小さいから、実践的にみて残留ガスの還流量が、又は還流速度が、或いは還流効率が低下し易い。そのような場合に、第3のバルブは特に効果的であって、このような自然吸気を行う際に、連通手段を還流することなく外界に排出される残留ガスを制限、理想的にはゼロとすることによって、より小さい吸引力によって効果的に残留ガスを還流させることが可能となる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<実施形態>
以下、適宜図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステム10の構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、エンジンシステム10は、ECU100及びエンジン200を備える。
ECU100は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、エンジンシステム10の動作全体を制御すると共に、本発明に係る「第1の制御手段」及び「第2の制御手段」の一例として機能するように構成されている。尚、ECU100は、ROMに格納される制御プログラムに従って、後述する始動制御処理を実行することが可能に構成されている。
エンジン200は、不図示の車両の動力源たるガソリンエンジンであり、本発明に係る「内燃機関」の一例である。
エンジン200は、シリンダブロック(符号省略)内にシリンダ(即ち、本発明に係る「気筒」の一例)201が4本直列に配置されてなる直列4気筒ガソリンエンジンである。エンジン200は、各シリンダ内部において空気と燃料との混合気が燃焼するに際して生じる不図示のピストンの往復運動を、不図示のコネクティングロッドを介してクランクシャフト215の回転運動に変換することが可能に構成されている。尚、図1においては、紙面の煩雑化を防ぐ目的から、一の気筒についてのみ符号が付与されているが、他の気筒も同様の構成を採る。以下に、エンジン200の構成を、一部動作を交えつつ説明する。
シリンダ201内の燃焼室には、吸気管202を介して供給される空気と、吸気管202に連通する不図示の吸気ポートにおいてインジェクタ203(破線にて表示)から噴射供給される燃料とが混合されてなる混合気が、二個の吸気バルブ204を介して吸入される。この際、係る混合気は、吸気バルブ204の開弁時に燃焼室内へ供給される構成となっている。
吸気バルブ204の開弁特性は、各吸気バルブに対応する吸気カム205の形状(カムプロフィール)に応じて決定される。吸気カム205は、夫々吸気カムシャフト206に固定され、吸気カムシャフト206の回転に伴って回転駆動される構成となっている。
シリンダ201内部に導かれた混合気は、点火装置207による点火動作によって点火せしめられ、シリンダ201内で爆発工程が行われる。爆発工程が行われると、燃焼済みの混合気(一部未燃状態の混合気を含む)は、爆発工程に続く排気工程において、二個の排気バルブ208の開弁時に図示せぬ排気ポートに排出される。
排気バルブ208の開弁特性は、各排気バルブに対応する排気カム209の形状(カムプロフィール)に応じて決定される。排気カム209は、夫々排気カムシャフト210に固定され、排気カムシャフト210の回転に伴って回転駆動される構成となっている。排気バルブ208を介して排気ポートに排出された排気は、排気管211に導かれる。排気管211に導かれた排気は、排気管に設けられた三元触媒212によってHC、CO及びNOxが夫々浄化された状態で、更に排気管211の下流へと導かれる構成となっている。
一方、前述したクランクシャフト215は、一端部において不図示のクランク側スプロケットに接続されており、他方、前述した吸気カムシャフト206及び排気カムシャフト210は、カムスプロケット213に接続されている。このクランク側スプロケットとカムスプロケット213とは、これらに巻回された不図示のタイミングベルトによって相互に連動するように構成されており、結局エンジン200においては、クランクシャフト215の回転に伴って両カムシャフトも回転する。従って吸気カム205及び排気カム209は、夫々クランクシャフト215の回転位相によって規定される一のバルブタイミングで夫々開閉する構成となっている。
クランクシャフト215は、スタータモータ214と連結されている。スタータモータ214は、クランクシャフト215を機械的に駆動することが可能に構成されたモータであり、不図示のバッテリと電気的に接続された駆動部216を介して供給される電力により駆動される構成となっている。ここで、スタータモータ214によってクランクシャフト215が機械的に駆動された状態とは、即ち、クランキング状態である。尚、駆動部216は、ECU100と電気的に接続されており、その動作状態はECU100により制御される構成となっている。即ち、エンジン200におけるクランキング動作は、ECU100によって制御される構成となっている。
一方、排気管211に導かれた排気は、タービン217aに供給され、タービン217aを回転させる駆動力となる。このタービン217aは、不図示の回転軸を介して吸気通路221上に設けられたコンプレッサ217bに連結されており、相互に一体に回転することが可能に構成されている。即ち、タービン217aとコンプレッサ217bとによって、本発明に係る「過給器」の一例が構成される。ここで特に、本実施形態において、このタービン217aとコンプレッサ217bとを連結する同軸の回転軸には、本発明に係る「駆動手段」の一例たるアシストモータ217cが付設されている。当該回転軸は、アシストモータ217cから回転アシスト用のトルク(以下、適宜「アシストトルク」と称する)が供給された際に係るアシストトルクにより回転駆動される構成となっている。即ち、本実施形態では、タービン217a、コンプレッサ217b及びアシストモータ217cによって、電気駆動型の過給器、即ち所謂MATが構成され、本発明に係る「過給器」の一例を構成している。尚、これ以降の説明において、これらタービン、コンプレッサ及び回転軸並びにモータの総称する場合には、適宜「MAT217」なる言葉を使用することとする。
このアシストモータ217cは、MATコントローラ218によって、その動作状態が制御される構成となっている。即ち、MATコントローラ218もまた、本発明に係る「駆動手段」の一例である。MATコントローラ218は、インバータ及び当該インバータを制御するためのプロセッサ等を含む電子制御ユニットである。MATコントローラ218は、ECU100と電気的に接続され、ECU100によってその動作が上位に制御される構成となっている。尚、MATコントローラ218は、コンプレッサ217bの近傍に設置された不図示の回転センサの出力を参照し、タービン217aの回転数(好適には時間に対応付けられた回転数であり、即ち回転速度である)を所望の値に制御することが可能に構成されている。
排気管211における三元触媒212の上流側には、EGRパイプ219の一端が接続され、他端が吸気通路221におけるコンプレッサ217bの上流側に接続されている。EGRパイプ219は、金属製の管状部材であり、本発明に係る「連通手段」の一例である。このEGRパイプ219には、EGRバルブ220が設置される。EGRバルブ220は、全開及び全閉の二値的な開閉状態を採り得る電磁開閉弁であり、ECU100と電気的に接続されることによって、その開閉状態がECU100により制御される構成となっている。EGRバルブ220は、本発明に係る「第1のバルブ」の一例である。
外界と吸気管202とを相互に連結する吸気通路221には、エアクリーナ222が設置されており、吸入された空気が浄化される構成となっている。コンプレッサ217bは、この吸気通路221においてエアクリーナ222よりも下流側に設置されている。また、このエアクリーナ222とEGRパイプ219の戻し位置(即ち、前述した他端部)との間には、吸気絞り弁223が設置されている。吸気絞り弁223は、ECU100と電気的に接続され、ECU100によってその動作が上位に制御される構成と有する、本発明に係る「第2のバルブ」の一例である。
吸気通路221における、コンプレッサ217bよりも下流側には、インタークーラ224が設置されている。インタークーラ224は、吸入空気を冷却して空気の過給効率を上昇させることが可能に構成されている。この吸気通路221から連なる上述した吸気管202には、スロットルバルブ225が設置されている。スロットルバルブ225は、電子制御式のバルブであり、その開閉動作が不図示のスロットルバルブモータによって制御されるように構成されている。スロットルバルブモータは、ECU100と電気的に接続されており、その駆動力がECU100によって制御されている。ECU100は、アクセル開度や車速或いは内燃機関の機関回転数等に応じてスロットルバルブモータを駆動制御し、スロットルバルブ225の開閉状態を制御することが可能に構成されている。尚、スロットルバルブ225は、アクセルペダルと機械的に連結されていないため、ECU100は、運転者のアクセルペダル操作とは無関係にスロットルバルブ225の開閉状態を制御することが可能に構成される。また、スロットルバルブ225の開度(即ち、スロットル開度)は、不図示のスロットル開度センサによって検出され、スロットル開度センサと電気的に接続されたECU100によって常に或いは一定又は不定のタイミングで把握される構成となっている。
<実施形態の動作>
<始動制御処理の概要>
エンジン200の潤滑油たるエンジンオイルは、エンジン200の動作過程(例えば、吸気、圧縮、爆発及び排気の各工程)において、例えばシリンダ内壁へ燃料が付着し、且つピストンの往復運動に伴って当該付着燃料がエンジンオイル中に多少なり取り込まれる。この際、エンジンオイル中に取り込まれた未燃状態の燃料は、エンジンオイルの供給過程において、例えば過給器としてのMAT217にも供給され、例えば、タービン217aを収容するタービンハウジングや、回転軸の軸受け室等にも供給される。
ところが、このような状態でエンジン200が停止した場合、エンジンオイルはソーク熱等によって暖められ、未燃状態の燃料に含まれるHCが気化し易い。このHCは、MAT217に設けられる物理的なシーリングを比較的容易に通過して、排気管211に漏出する。一旦排気管211に漏出した未燃状態のHCは、エンジン200の再始動時においても燃焼に供されず、三元触媒212の触媒温度が活性温度未満に低下していれば、エミッションの悪化を誘発する。そこで、エンジン200では、ECU100が始動制御処理を実行することによって、過給器を備えた内燃機関に特有の問題である、始動時のエミッションの悪化が抑制されている。
<始動制御処理の詳細>
ここで、図2を参照して、始動制御処理の詳細について説明する。ここに、図2は、始動制御処理のフローチャートである。
図2において、ECU100は始めに、始動入力(即ち、本発明に係る「始動を促す旨の入力」の一例)の有無を判別する(ステップS101)。ここで、始動入力とは、好適には、ドライバによるイグニッションスイッチの投入操作(例えば、イグニッションキーの操作等)に応じて生じる電気信号等を指す。
始動入力が無い場合(ステップS101:NO)、ECU100は、ステップS101に係る処理を繰り返し実行して、実質的に処理を待機状態に制御すると共に、始動入力が有る場合(ステップS101:YES)、ECRバルブ220を開弁させ、且つ吸気絞り弁223を閉弁させる(ステップS102)。続いて、ECU100は、MATコントローラ218の制御を介してアシストモータ217cを作動させる(ステップS103)。このアシストモータ217cの作動に伴い、MAT217の回転軸が回転駆動され、当該回転軸に連結されたコンプレッサ217bが回転を開始する。
ここで、ステップS103に係る処理が実行された段階におけるエンジン200におけるガスの流れについて、再び図1を参照して説明すると、以下のようになる。
即ち、先ず吸気絞り弁223が閉弁されることに伴って、吸気通路221を介した外気の導入は一時的に遮断される。一方、このように外気の導入は遮断されていても、コンプレッサ217bが作動しているため、吸気絞り弁223よりも下流側に位置する吸気通路221においては、吸気管202へ向かう吸気の流れが形成される。
一方で、EGRバルブ220が開弁されているため、EGRパイプ219を介して排気管211とコンプレッサ217b上流側の吸気通路221とは相互に連通状態にある。従って、コンプレッサ217bの作動に伴って、EGRパイプ219内部のガスは吸気通路221へ向かって移動を開始する。
このため、必然的に排気管211におけるタービン217a付近のガス(即ち、本発明に係る「排気系に存在するガス」の一例)もEGRパイプ219を介して吸気通路221へ還流される。この際、排気管211は、三元触媒212の下流側との連通は遮断されておらず、排気管211に残留するガスの流れ先は一義に規定されないが、排気エネルギによるタービン217aの回転力によってコンプレッサ217bを作動させる場合と異なり、コンプレッサ217bは、アシストモータ217cのアシストトルクによって、実践上十分な吸引力を発揮し得る程度に回転しており(或いは、そのように実践上十分な吸引力を発揮が実現され得る程度のアシストトルクが付与されるように、ECU100がMATコントローラ218を制御しており)、排気管211における三元触媒212上流側に残留するガスは、実質的には殆どがEGRパイプ219を介して吸気通路221へ還流せしめられる。即ち、図2におけるステップS103に係る処理が実行されると、残留ガスに含まれる未燃状態のHCは、徐々に且つ確実に吸気通路221へ還流することになる。
図2に戻り、ステップS103に係る処理が実行されると、ECU100は、所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS104)。ここで、所定時間とは、アシストモータ217cの作動により、排気管211に残留していた未燃状態のHCが、実践上エミッションの悪化を顕在化させない程度に吸気通路221に還流したと判断し得る時間として設定され、予めROMに格納されている。或いは係る所定値は、前回エンジン200が停止してからの時間(例えば、ECU100が内蔵タイマ等によりカウントすることが可能である)に応じて、より具体的には、当該時間が長い程大きな値となるように、段階的に又は連続的に可変に設定されてもよい。その場合、当該所定値は、ROMにマップ等として格納されていてもよい。
ECU100は、所定時間が経過しないうちは(ステップS104:NO)、ステップS104に係る処理を繰り返すと共に、所定時間が経過すると(ステップS104:YES)、スタータモータ214を制御して、クランキングを開始する(ステップS105)。クランキングを開始すると、ECU100は、インジェクタ203を介した燃料の噴射を開始し、同時に点火装置207を介して混合気への点火を開始する(ステップS106)。即ち、ECU100は、エンジン200の始動プロセスを開始する。
エンジン200を始動させると、ECU100は、混合気が着火したか否か、即ち、正常な燃焼プロセスが開始されたか否かを判別する(ステップS107)。尚、係る着火の判定は、例えば図1においては不図示の酸素センサ等の出力として得られる、排気管211中の酸素濃度の変化として特定することが可能である。
燃焼プロセスが開始されない場合(ステップS107)、ECU100は、ステップS107に係る処理を繰り返し実行して実質的に処理を待機状態に制御すると共に、燃焼プロセスが開始された場合(ステップS107:YES)、ECU100は、ECRバルブ220を閉弁し、且つ吸気絞り弁223を開弁する(ステップS108)。続いてECU100は、MATコントローラ218を介してアシストモータ217cへの通電を停止し、アシストモータ217cを停止させる(ステップS109)。更に、ECU100は、スタータモータ214も停止させる(ステップS110)。スタータモータ214を停止させると、ECU100は、始動制御処理を終了する。
以上、説明したように、本実施形態に係る始動制御処理によれば、エンジン200の始動時に、排気管211に残留するガス中における未燃状態のHCが吸気通路221に還流せしめられ、始動時の燃焼に供される。従って、当該未燃状態のHCが、不活性状態の三元触媒212を通過して、浄化されないまま車両外に放出される事態が防止される。即ち、始動時のエミッションの悪化が抑制されるのである。
<第2実施形態>
第1実施形態では、エンジン200に、本発明に係る過給器の一例としてMAT217が備わっていたが、未燃状態のHCが始動時にエミッションの悪化を招く問題は、通常の排気駆動型のターボチャージャであっても生じ得る問題である。そこで、このような場合にも対処し得る本発明の第2実施形態について、図3及び図4を参照して説明する。ここに、図3は、本発明の第2実施形態に係るエンジンシステム11の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所については同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図3において、エンジンシステム11は、エンジン200の代わりにエンジン500を備える点においてエンジンシステム10と相違している。また、エンジン500は、MAT217及びMATコントローラ218の代わりに、タービン300a及びコンプレッサ300bを備えた排気駆動型のターボチャージャを備える点において、第1実施形態に係るエンジン200と顕著に異なっており、また、排気管211において三元触媒212の上流側に位置する部分に、排気絞り弁400を新規に備える点においても、エンジン200と異なっている。尚、排気絞り弁400は、ECU100と電気的に接続され、ECU100によってその開閉状態が制御される電磁弁であり、開閉状態として、全開又は全閉の二値状態を採ることが可能に構成された、本発明に係る「第3のバルブ」の一例である。
ここで、タービン300aは、排気駆動型のタービンであり(無論、第1実施形態に係るタービン217aも排気によって駆動されるが、アシストモータ217cを有さないため実質的には排気のみによって駆動されるという趣旨である)、エンジン200が相応の燃焼状態にある、即ち、相応の排気を伴う動作条件にない場合には、実質的には、少なくとも有意な回転を生じない。従って、タービン300aと同軸の回転軸で連結されるコンプレッサ300bも同様に有意な回転を生じない。即ち、本実施形態では、第1実施形態で述べたように、始動プロセス(燃料噴射及び点火)の実行以前において、コンプレッサによる吸引力によって排気管211から未燃状態のHCを含む残留ガスを吸気通路221に導くことが困難である。
そこで、本実施形態では、ECU100は、第1実施形態とは異なる始動制御処理を実行する。ここで、図4を参照し、第2実施形態に係る始動制御処理の詳細について説明する。ここに、図4は、第2実施形態に係る始動制御処理のフローチャートである。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図4において、ECU100は、EGRバルブ220を開弁し、且つ吸気絞り弁223を閉弁させると(ステップS102)、更に排気絞り弁400を閉弁する(ステップS201)。排気絞り弁400を閉弁せしめると、ECU100は、スタータモータ214を作動させ、エンジン500のクランキングを開始する(ステップS105)。
ここで、図3に戻って説明すると、エンジン500のクランキングが開始された段階で、吸気バルブ204及び排気バルブ208は通常の開閉動作を開始する。即ち、概略的に言えば、吸気工程において吸気バルブ204は開弁し、排気工程において排気バルブ208は開弁する。また、ピストンは、クランクシャフト215がスタータモータ214によって物理的に駆動されるため、コネクティングロッドを介して上下に往復運動を行う。このようなピストンの往復運動の過程で、より具体的には、吸気工程においてピストンが下がり、吸気バルブ204が開弁する過程で、シリンダ201内には吸気管202を介して外気が吸入される。
ところが、この際、吸気絞り弁223は閉弁しており、外気の吸入は禁止された状態にある。従って、吸気工程においては必然的に、吸気通路221からEGRパイプ219及びEGRバルブ220を介する経路で、排気管211から残留ガスが吸引される。ここで特に、このような自然吸気の態様下で、吸気通路221及びEGRパイプ219を介して排気管211内の残留ガスを吸引するには、吸引力不足による困難が伴い得る。
然るに、この時点で、ステップS201に係る処理において排気絞り弁400は既に閉弁しており、排気管211中の残留ガスは、言わば逃げ場のない状態となっている。従って、吸引力自体は第1実施形態よりも弱いとしても、この排気絞り弁400の効果によって、EGRパイプ219を介した残留ガスの還流が促進され、未燃状態のHCを含む残留ガスは、第1実施形態と同様に、吸気通路221に誘われ、吸気管202に導かれるのである。
図4に戻り、クランキングを開始すると、ECU100は、所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS202)。ここで、ステップS202に係る処理は、第1実施形態に係るステップS104に係る処理と基本的には同様であるが、この場合、所定時間とは、自然吸気の態様下で排気管211から残留ガスを吸気通路221に十分に還流せしめ得るだけの時間として設定される。ECU100は、係る所定時間が経過しない間は(ステップS202:NO)、ステップS202に係る処理を繰り返し実行すると共に、所定時間が経過した場合には(ステップS202:YES)、始動プロセスを開始する(ステップS106)。
その後、燃焼プロセスが開始された場合には(ステップ107:YES)、EGRバルブ220か閉弁され、吸気絞り弁223が開弁され(ステップS108)、更に排気絞り弁400が開弁制御される(ステップS203)。
このように、第2実施形態によれば、MATとは異なる過給器、言い換えれば、エンジンの始動を伴うことなくコンプレッサを作動させることが困難な過給器を備えたエンジンであっても、エンジンの停止期間にタービン付近に滞留する未燃状態のHCを吸気通路221に還流させることができ、始動時に未燃状態のHCが車両外に排出されてしまう事態を防止することが可能となる。即ち、始動時におけるエミッションの悪化を抑制することが可能となるのである。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関の始動装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の第1実施形態に係るエンジンシステムの構成を概念的に表してなる概略構成図である。 図1のエンジンシステムにおいてECUが実行する始動制御処理のフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係るエンジンシステムの構成を概念的に表してなる概略構成図である。 図3のエンジンシステムにおいてECUが実行する始動制御処理のフローチャートである。
符号の説明
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、203…インジェクタ、207…点火装置、211…排気管、212…三元触媒、214…スタータモータ、215…クランクシャフト、217a…タービン、217b…コンプレッサ、217c…アシストモータ、218…MATコントローラ、219…EGRパイプ、220…EGRバルブ、223…吸気絞り弁、300a…タービン、300b…コンプレッサ、400…排気絞り弁、500…エンジン。

Claims (7)

  1. 排気系及び吸気系に夫々タービン及びコンプレッサを有する過給器を備えた内燃機関を始動させるための内燃機関の始動装置であって、
    前記排気系と前記吸気系とを連通する連通手段と、
    前記内燃機関を始動させるべき旨の入力に応じて、前記排気系に存在するガスが前記連通手段を介して前記吸気系に還流するように少なくとも前記内燃機関を制御する第1の制御手段と、
    前記ガスを還流させるべく少なくとも前記内燃機関が制御された後に前記内燃機関が始動するように前記内燃機関を制御する第2の制御手段と
    を具備することを特徴とする内燃機関の始動装置。
  2. 前記連通手段は、前記排気系に設置される触媒装置の上流側から前記ガスを取り出し、該取り出したガスを前記コンプレッサの上流側へ還流させることが可能な管状部材を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の始動装置。
  3. 前記過給器は、前記コンプレッサを電気的に駆動可能な駆動手段を備え、
    前記第1の制御手段は、前記入力に応じて前記コンプレッサが作動するように前記駆動手段を制御する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の始動装置。
  4. 前記第2の制御手段は、前記コンプレッサが作動してから所定の時間が経過した後に前記内燃機関を始動させる
    ことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の始動装置。
  5. 前記連通手段に設置され、開閉状態に応じて前記還流するガスに係る還流量を制限可能な第1のバルブを更に具備し、
    前記第1の制御手段は更に、前記入力に応じて前記ガスが還流するように前記第1のバルブの開閉状態を制御する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関の始動装置。
  6. 前記吸気系に設けられ、開閉状態に応じて外気の吸入を制限可能な第2のバルブを更に具備し、
    前記第1の制御手段は更に、前記入力に応じて前記吸入が制限されるように前記第2のバルブの開閉状態を制御する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の内燃機関の始動装置。
  7. 前記排気系に設けられ、開閉状態に応じて下流側への前記ガスの排出を制限可能な第3のバルブを更に具備し、
    前記第1の制御手段は更に、前記入力に応じて前記ガスの排出が制限されるように前記第3のバルブの開閉状態を制御する
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の内燃機関の始動装置。
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