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JP2008299290A - 液晶表示装置 - Google Patents

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JP2008299290A
JP2008299290A JP2007148554A JP2007148554A JP2008299290A JP 2008299290 A JP2008299290 A JP 2008299290A JP 2007148554 A JP2007148554 A JP 2007148554A JP 2007148554 A JP2007148554 A JP 2007148554A JP 2008299290 A JP2008299290 A JP 2008299290A
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和彦 津田
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Abstract

【課題】透過表示の輝度及びコントラスト比の低下を防止することができるとともに、広視野角の透過表示を行うことができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】裏面偏光子、裏面基板、液晶層、前面基板及び前面偏光子がこの順に配置され、かつ透過表示領域と反射表示領域とが設けられた垂直配向モードの液晶表示装置であって、上記液晶表示装置は、裏面基板又は前面基板と液晶層との間の反射表示領域にλ/4位相差層を有し、裏面基板又は前面基板と液晶層との間の透過表示領域には液晶層以外の位相差層を有さず、裏面基板と裏面偏光子との間の透過表示領域に、基板面内方向の遅相軸が裏面偏光子の吸収軸と平行又は直交し、かつ基板法線方向に最小の主屈折率を持つ裏面2軸性位相差層を有する液晶表示装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置に関する。より詳しくは、携帯電話等のモバイル機器に好適な液晶表示装置に関するものである。
液晶表示装置は、薄型・軽量・低消費電力といった特長を活かし、幅広い分野で用いられており、近年では、携帯電話等のモバイル機器に搭載されることが多くなっている。しかしながら、モバイル機器は屋外で使用される機会が多いため、映りこみを防止する観点や、低消費電力化を図る観点から、外光とバックライトとの両方を利用して表示を行う、半透過型の液晶表示装置が開発されている。
半透過型の液晶表示装置において、ノーマリブラックモードである垂直配向(VA)方式で表示を行う場合、効果的に反射表示を行うためには、λ/4位相差板を反射表示領域に配置する必要がある。λ/4位相差板とは、波長λの透過光について互いに垂直な方向に振動する2つの偏光成分間にλ/4の位相差(リタデーション)を与え、円偏光とすることができるものである。反射表示においては、λ/4位相差板を用いることにより、ノーマリブラックモードが可能となり、コントラスト比の確保が可能となる。
しかしながら、λ/4位相差板を半透過型の液晶表示パネルの前面に配置する場合、一般的には、直線偏光子とλ/4位相差板とが含まれる円偏光子を液晶表示パネルの前面全体に貼り付けることになり、反射表示領域のみならず、透過表示領域にもλ/4位相差板が配置される。したがって、透過表示領域に配置された円偏光子によって、透過表示のコントラスト比の低下を招くおそれがあった。
その対策として、液晶表示パネルの背面側に配置された偏光子と液晶表示パネルとの間にもλ/4板を配置することによって、透過表示領域において、観察面側に配置したλ/4板の位相差を打ち消す方式も開示されている。しかしながら、この方式は、背面側のλ/4板で生じた位相差を観察面側のλ/4板で打ち消すものであるため、それぞれのλ/4板の位相差値が正確に一致している必要がある。例えば、背面側に配置されたλ/4板に対して、観察面側に配置されたλ/4板の位相差の値が5nm異なる場合、透過表示のコントラスト比が半分以下に低下するおそれがある。このため、λ/4板に対して精度の高い品質管理が求められ、その結果としてコストの増大につながるという点で改善の余地があった。
そこで、パネル内の反射領域だけにλ/4位相差板を配置することによって、コントラスト比の低下を防止する技術が開示されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。これらは、反射部分のみにλ/4板を配置するために、液晶性のポリマーをパネル内部にパターニングする構成であり、透過表示領域にλ/4板を配置していないため、透過表示領域での透過表示のコントラスト比の低下を防止することができる。
また、液晶表示装置の視野角を拡大する方法としては、視野角を補償する位相差板を裏面基板と裏面偏光子との間、又は、裏面基板と裏面基板との間と前面基板と前面偏光子との間の両方に配置する配置する方法が開示されている(例えば、特許文献5及び6参照。)。
特開2003−322857号公報 特開2004−317611号公報 特開2006−221189号公報 特開2006−276397号公報 特開2007−101874号公報 特許第3544629号明細書
しかしながら、特許文献1〜4においては、透過表示の輝度及びコントラスト比の低下を防止することができるが、透過表示の視野角を補償することについて考慮されておらず、斜め方向から見たときに階調反転が生じるおそれがある。また、特許文献5及び6においては、視野角の補償は行われているが、λ/4波長板等からなる位相差板が透過表示領域にも設けられているため、透過表示の輝度及びコントラスト比を低下させるおそれがある。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、透過表示の輝度及びコントラスト比の低下を防止することができるとともに、広視野角の透過表示を行うことができる液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明者は、裏面偏光子、裏面基板、液晶層、前面基板及び前面偏光子がこの順に配置され、かつ透過表示領域と反射表示領域とが設けられた垂直配向モードの液晶表示装置について種々検討したところ、直線偏光を円偏光に変換することができるλ/4位相差層、及び、透過表示の視野角を拡大することができる層のそれぞれの配置形態に着目した。そして、裏面基板又は前面基板と液晶層との間の反射表示領域にλ/4位相差層を設け、裏面基板又は前面基板と液晶層との間の透過表示領域には液晶層以外の位相差層を設けず、裏面基板と裏面偏光子との間の透過表示領域に、基板面内方向の遅相軸が裏面偏光子の吸収軸と平行又は直交し、かつ基板法線方向に最小の主屈折率を持つ裏面2軸性位相差層を設けることにより、広視野角の透過表示を行うことができるとともに、透過表示の輝度及びコントラスト比の低下を防止することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、裏面偏光子、裏面基板、液晶層、前面基板及び前面偏光子がこの順に配置され、かつ透過表示領域と反射表示領域とが設けられた垂直配向モードの液晶表示装置であって、上記液晶表示装置は、裏面基板又は前面基板と液晶層との間の反射表示領域にλ/4位相差層を有し、裏面基板又は前面基板と液晶層との間の透過表示領域には液晶層以外の位相差層を有さず、裏面基板と裏面偏光子との間の透過表示領域に、基板面内方向の遅相軸が裏面偏光子の吸収軸と平行又は直交し、かつ基板法線方向に最小の主屈折率を持つ裏面2軸性位相差層を有する液晶表示装置(以下、第一の液晶表示装置ともいう。)である。
以下に本発明を詳述する。
上記第一の液晶表示装置は、裏面偏光子、裏面基板、液晶層、前面基板及び前面偏光子がこの順に配置され、かつ透過表示領域と反射表示領域とが設けられた垂直配向モードの液晶表示装置である。本明細書では、液晶表示装置のうち、裏面基板から前面基板までの部分を液晶表示パネルともいう。上記裏面偏光子及び前面偏光子は、偏光されていない光を直線偏光にすることができる直線偏光子のことであり、裏面偏光子の吸収軸と前面偏光子の吸収軸とが垂直に配置されるクロスニコル配置をとることが好ましい。クロスニコル配置をとることによって、第一の液晶表示装置を、液晶層に電圧を印加していないときに黒表示となるノーマリブラックモードの液晶表示装置とすることができることから、ノーマリホワイトモードの液晶表示装置としたときよりも、コントラスト比を向上させることができる。裏面偏光子と前面偏光子とは、同一のものであってもよく、異なるものであってもよいが、対称性の観点から、同一のものであることが好ましい。
上記裏面基板は、背面側の基板であり、前面基板は観察面側の基板である。上記裏面基板及び前面基板は、無色透明の基板であることが好ましく、コスト低減等の観点からはガラス基板、プラスチック基板等であることがより好ましい。第一の液晶表示装置は、液晶層に電圧を印加していないときには液晶分子の長軸が基板法線方向に対して垂直に配向している垂直配向モードのものである。したがって、上記液晶層は、負の誘電率異方性を有する液晶分子を含んで構成されることが好ましい。また、液晶層と裏面基板との間の液晶層と接する位置、及び、液晶層と前面基板との間の液晶層と接する位置の少なくとも一方には、垂直配向膜が配置されていることが好ましい。
上記第一の液晶表示装置は、透過表示領域及び反射表示領域を有する半透過型の液晶表示装置であり、透過表示領域では、裏面基板側から入射した光を用いて表示を行い、反射表示領域では、前面基板側から入射した光を用いて表示を行う。
上記第一の液晶表示装置は、透過表示領域においては、裏面偏光子、裏面基板、裏面透明電極、液晶層、前面透明電極、前面基板、前面偏光子がこの順に配置された構造を有することが好ましい。これによれば、裏面透明電極と前面透明電極との間の液晶層に電圧を印加することにより、液晶層中の液晶分子の配向を制御することで、透過表示を行うことができる。
第一の液晶表示装置は、反射表示領域においては、(a)裏面偏光子、裏面基板、反射電極、液晶層、前面透明電極、前面基板及び前面偏光子がこの順に配置された構造、又は、(b)裏面偏光子、裏面基板、反射層、裏面透明電極、液晶層、前面透明電極、前面基板及び前面偏光子がこの順に配置された構造を有することが好ましい。これによれば、(a)の構造を有する場合には、前面基板側から入射した光を反射電極で反射するとともに、反射電極と前面透明電極との間の液晶層に電圧を印加することにより、(b)の構造を有する場合には、前面基板側から入射した光を反射層で反射するとともに、裏面透明電極と前面透明電極との間の液晶層に電圧を印加することにより、液晶層中の液晶分子の配向を制御することで、反射表示を行うことができる。
上記第一の液晶表示装置は、裏面基板又は前面基板と液晶層との間の反射表示領域にλ/4位相差層を有し、裏面基板又は前面基板と液晶層との間の透過表示領域には液晶層以外の位相差層を有さない。λ/4位相差層は、λ/4位相差層に入射した光に、可視光の波長範囲(380nm以上780nm以下の範囲)の一つの波長λに対してλ/4の位相差を与えるものである。λの波長は、可視光の波長範囲の中でも視感度の高い、550nmに設定することが好ましい。液晶表示パネルを平面視したときに、λ/4位相差層の遅相軸が、前面偏光子の吸収軸に対して45°の角度を有することによって、前面偏光子によって直線偏光となった光を円偏光に変換することができ、また、前面偏光子側から反射表示領域に入射した光が、液晶層中の液晶分子が垂直に配向した液晶表示パネル内で反射されて出射するときに、円偏光を直線偏光に変換することができる。このように、反射表示領域にλ/4位相差層を配置し、液晶層中の液晶分子が垂直に配向している場合、光が入射するときと出射するときとの往復でλ/4位相差層を通過することによって、ノーマリブラックモードで黒表示を行うことができる。更に、λ/4位相差層は、裏面基板又は前面基板と液晶層との間に配置されることによって、液晶表示パネル内部に形成する構造物(例えば、カラーフィルタ、TFT素子等)の形成工程と連動してλ/4位相差層を形成することができ、透過表示領域と反射表示領域とに正確に分けてパターニングすることができる。そして、透過表示領域のパネル内部に液晶層以外にも位相差層が配置されると、裏面基板側から入射した光に位相差を付与するため、透過表示の黒表示が明るくなることからコントラスト比が低下する。本発明では、裏面基板と前面基板との間の透過表示領域には、液晶層以外の位相差層を有さないことから、透過表示領域のコントラスト比を低下させることなく表示を行うことができる。なお、本明細書で「位相差層」とは、少なくとも基板面内方向又は基板法線方向に20nm以上の位相差を有する層をいう。また、λ/4位相差層は、液晶層の前面基板側又は裏面基板側の一方に配置されていればよいが、裏面基板側に配置され、反射層又は反射電極が裏面基板上に配置される場合には、反射電極よりも液晶層側に配置されることが好ましい。上記反射層は、光を反射することができるものであれば特に限定されず、導電性を有するものでもよいし、導電性を有しないものであってもよい。
上記第一の液晶表示装置は、裏面基板と裏面偏光子との間の透過表示領域に、基板面内方向の遅相軸が裏面偏光子の吸収軸と平行又は直交し、かつ基板法線方向に最小の主屈折率を持つ裏面2軸性位相差層を有する。裏面2軸性位相差層は、基板法線方向に最小の主屈折率を持つことにより、対向する2枚の偏光板の吸収軸をクロスニコル配置にした場合に、斜め方向から液晶表示装置を観察したときに吸収軸同士のなす角度が見かけ上変化することによって生じる光漏れを防止することと、液晶層の位相差補償とを同時に実現することができるため、裏面基板と裏面偏光子との間の透過表示領域に基板面内方向の遅相軸が裏面偏光子の吸収軸と平行又は直交して配置されることで、液晶層中の液晶分子が基板面内方向に対して垂直に配向し、黒表示を行ったときに、透過表示領域において液晶層が持つ斜め方向の位相差を補償することができる。また、裏面2軸性位相差層は、裏面基板と裏面偏光子との間に配置されることによって、裏面偏光子と同一の工程で裏面基板に貼り付けることができるため、生産性の向上を図ることができる。また、裏面偏光子と裏面基板との間に配置することによって、液晶層と光学的に接することができるため、透過表示領域において液晶層が持つ斜め方向の位相差を補償することができる。そのため、2軸性位相差層を配置しない場合よりも、透過表示の視野角を拡大することができる。なお、裏面2軸性位相差層は、透過表示領域に形成されていればよく、反射表示領域には形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。生産性の観点からは、製造工程数を簡略化できるため、反射表示領域及び透過表示領域の両方に設けられることが好ましい。また、本明細書で「平行」とは、完全に平行である場合のみならず、液晶分子が基板面内方向に対して垂直に配向している液晶層を斜め方向に通過した光に生じた位相差を補償することができる程度に平行と同視できるものも含むものである。また、本明細書で「直交」とは、完全に直交である場合のみならず、液晶分子が基板面内方向に対して垂直に配向している液晶層を斜め方向に通過した光に生じた位相差を補償することができる程度に直交と同視できるものも含むものである。なお、本明細書で「光学的に接する」とは、ある二つの部材の間に、位相差を付与する部材を配置していない位置に配置することをいう。
上記基板法線方向に最小の主屈折率を持つ2軸性位相差層とは、基板法線方向の主屈折率が基板面内方向の主屈折率と比較して小さく、基板面内方向で主屈折率の異なる遅相軸と進相軸とを有する位相差層のことである。基板法線方向に最小の主屈折率を持つ2軸性位相差層が、x、y及びz軸を有する三次元の直交座標系において、基板面内方向にx軸及びy軸が配置されるものとし、基板法線方向にz軸が配置されるものとする場合を例として説明する。基板法線方向に最小の主屈折率を持つ2軸性位相差層は、基板面内方向のx軸に遅相軸を一致させ、y軸に進相軸を一致させたときには、x軸方向の主屈折率(nx)がy軸方向の主屈折率(ny)よりも大きく、かつz軸方向の主屈折率(nz)が、nx及びnyよりも小さいものを負の2軸性位相差層という。
本発明の第一の液晶表示装置は、裏面偏光子、裏面基板、液晶層、前面基板、前面偏光子、λ/4位相差層及び負の2軸性位相差層を構成要素として有する限り、その他の構成要素を有していてもいなくてもよく、特に限定されない。例えば、本発明の第一の液晶表示装置は、透過表示を行うために、バックライトを裏面偏光子の液晶層とは反対側に有することが好ましく、反射表示を行うためにフロントライトを前面偏光子の液晶層とは反対側に有していてもよい。
本発明の第一の液晶表示装置における好ましい形態について以下に詳しく説明する。
上記第一の液晶表示装置は、前面基板と前面偏光子との間の反射表示領域に、基板法線方向に最小の主屈折率を持つ2軸性位相差層を有さないことが好ましい。また、上記第一の液晶表示装置は、前面基板と前面偏光子との間の反射表示領域に、位相差層を有さないことがより好ましい。これによれば、反射表示領域に入射した光が、λ/4位相差層による位相変調以外の位相変調を生じないため、液晶層が垂直配向している場合に、前面偏光子の吸収軸に対して直交した直線偏光となるため、コントラスト比を向上させることができる。
上記裏面2軸性位相差層は、基板面内方向の位相差が45nm以上55nm以下であり、基板法線方向の位相差が−250nm以上−230nm以下であり、上記液晶層は、液晶分子が基板面に対して垂直配向されたときの、透過表示領域における基板法線方向の位相差が300nm以上390nm以下であることが好ましい。また、これによれば、透過部分では黒表示を行ったとき視角方向によって輝度変化が少なく、広い視角範囲で安定して黒表示が行えると同時に、反射表示領域の上方には透過表示の視野角補償用の位相差層がないため、安定した反射表示を行うことが可能である。また、上記液晶層は、液晶分子が基板面に対して垂直配向されたときの、基板法線方向の反射表示領域の位相差が150nm以上195nm以下であることがより好ましい。すなわち、反射表示領域の液晶層の層厚が、透過表示領域の液晶層の層厚の1/2であることがより好ましい。これによれば、透過表示領域と反射表示領域との光路長が等しくなるため、反射表示領域と透過表示領域とで液晶層に電圧を印加していくときの透過率の増加傾向を揃えることができる。透過表示領域における液晶層の基板法線方向の位相差が390nmを超えると、充分に電圧を印加して明表示を行ったときには、赤(R)、緑(G)、青(B)等の各色に対する液晶層の位相差(リタデーション)に大きな差が出るため、青の輝度が減少し、白表示が黄色がかるおそれがある。透過表示領域における液晶層の基板法線方向の位相差が300nm未満であると、白表示の輝度を確保することができなくなるおそれがある。裏面2軸性位相差層の基板法線方向の位相差が−250nm以上−230nm以下であり、基板面内方向の位相差が45nm以上55nm以下であれば、液晶層の位相差を補償することと、裏面偏光板の吸収軸と前面偏光板の吸収軸とがなす角度が、斜め方向から液晶表示装置を観察したとき見かけ上変化することによって生じる光漏れを防止することとができる。また、反射表示領域における液晶層の基板法線方向の位相差が195nmを超える場合においても、透過表示領域における液晶層の基板法線方向の位相差が390nmを超える場合と同様の現象が生じるおそれがある。反射表示領域における液晶層の基板法線方向の位相差が150nm未満である場合においても、透過表示領域における液晶層の基板法線方向の位相差が300nm未満である場合と同様の現象が生じるおそれがある。
なお、x、y及びz軸を有する三次元の直交座標系において、基板面内方向にx軸及びy軸が配置されているものとし、基板法線方向にz軸が配置されるものであり、負の2軸性位相差層の基板面内方向のx軸に遅相軸を一致させ、y軸に進相軸を一致させた場合には、負の2軸性位相差層の基板面内方向の位相差(Re)は、下記式(1)によって算出することができ、基板法線方向の位相差(Rth)は、下記式(2)によって算出することができる。
Re=(nx−ny)×d (1)
Rth={nz−(nx+ny)/2}×d (2)
なお、nx及びnyは、位相差層の面に平行かつ互いに直交し合う方向(基板面内方向)の主屈折率のことであり、x軸方向に遅相軸又は進相軸を一致させたときのものである。nzは位相差層の厚み方向(基板法線方向)の波長λにおける主屈折率のことであり、dは位相差層の層厚のことである。
上記第一の液晶表示装置は、更に、λ/4位相差層と液晶層との間の反射表示領域に、基板法線方向に光学軸を有する負の1軸性位相差層を有することが好ましい。これによれば、基板法線方向に光学軸を有する負の1軸性位相差層を液晶層と光学的に接する位置に配置していることで、反射表示領域において、斜め方向から入射した光が液晶層に入射することによって付与される位相差を補償することができる。そのため、反射表示領域においても視野角を拡大することができる。基板法線方向に光学軸を有する負の1軸性位相差層とは、基板法線方向の主屈折率が基板面内方向の主屈折率と比較して小さく、基板面内方向の主屈折率が等しい位相差層のことである。このとき、基板面内方向の位相差が0nmとなる。なお、本明細書で「等しい」とは、完全に等しいものである場合のみならず、本発明の作用効果に鑑みて、等しいと同視できるものも含むものであり、「0nm」とは、完全に0nmのものである場合のみならず、本発明の作用効果に鑑みて、0nmと同視できるものも含むものである。また、基板法線方向に光学軸を有する負の1軸性位相差層は、ネガティブCプレートともいうことができ、ポジティブCプレートである斜め方向における液晶層の位相差を打ち消すことができるため、視野角を拡大することができる。
上記負の1軸性位相差層が、x、y及びz軸を有する三次元の直交座標系において、基板面内方向にx軸及びy軸が配置されているものとし、基板法線方向にz軸が配置されるものとする場合を例として説明する。負の1軸性位相差層は、x軸方向の主屈折率(nx)とy軸方向の主屈折率(ny)とが等しく、z軸方向の主屈折率(nz)が、nx及びnyよりも小さいものを負の一軸性位相差層という。
上記液晶層は、液晶分子が基板面に対して垂直配向されたときの、反射表示領域における基板法線方向の位相差が、負の1軸性位相差層の基板法線方向の位相差で打ち消されることが好ましく、上記液晶層は、液晶分子が基板面に対して垂直配向されたときの、反射表示領域における基板法線方向の位相差が、負の1軸性位相差層の基板法線方向の位相差で打ち消されることによって、反射表示領域で、斜め方向から入射した光が液晶層により付与される位相差をより効果的に補償することができる。なお、本明細書で「打ち消される」とは完全に打ち消される場合のみならず、本発明の作用効果に鑑みて、打ち消されると同視できるものも含むものである。
上記液晶層は、液晶分子が基板面に対して垂直配向されたときの、反射表示領域における基板法線方向の位相差が150nm以上195nm以下であり、上記負の1軸性位相差層は、基板法線方向の位相差が−195nm以上−150nm以下であることが好ましい。これによれば、透過表示領域と反射表示領域との光路長が等しくなるため、反射表示領域と透過表示領域との表示を揃えることができる。更に、透過表示領域と反射表示領域との両方で、斜め方向から入射した光が液晶層により付与される位相差をより効果的に補償することができる。反射表示領域における液晶層の基板法線方向の位相差が195nmを超えると、充分に電圧を印加して明表示を行ったときには、赤(R)、緑(G)、青(B)等の各色に対する液晶層のリタデーションに大きな差が出るため、青の輝度が減少し、白表示が黄色がかるおそれがある。また、反射表示領域における液晶層の基板法線方向の位相差が150nm未満であると、白表示の輝度を確保することができなくなるおそれがある。負の1軸性位相差層の基板法線方向の位相差が−195nm以上−150nm以下であれば、液晶層の位相差を補償することができる。
上記第一の液晶表示装置は、更に、前面基板と前面偏光子との間の透過表示領域及び反射表示領域に、基板面内方向の遅相軸が前面偏光子の吸収軸と平行又は直交し、かつ基板法線方向に最小の主屈折率を持つ前面2軸性位相差層を有し、上記λ/4位相差層は、裏面基板と液晶層との間の反射表示領域に配置されることが好ましい。前面2軸性位相差層を有することによって、透過表示領域では、第一の液晶表示装置の裏面側と前面側とで対称性が向上することから、より視野角を拡大した表示を行うことができる。また、反射表示領域では、反射層で光が反射される前と後との両方で斜め方向から入射された光の液晶層により生じる位相差を補償することができるため、反射表示領域においても視野角を拡大することができる。
上記第一の液晶表示装置が、前面基板と前面偏光子との間の透過表示領域及び反射表示領域に、基板面内方向の遅相軸が前面偏光子の吸収軸と平行又は直交し、かつ基板法線方向に最小の主屈折率を持つ前面2軸性位相差層を有し、上記λ/4位相差層は、裏面基板と液晶層との間の反射表示領域に配置される場合に、上記裏面2軸性位相差層及び前面2軸性位相差層は、基板面内方向の位相差が50nm以上60nm以下であり、基板法線方向の位相差が−140nm以上−110nm以下であり、上記液晶層は、液晶分子が基板面に対して垂直配向されたときの、透過表示領域における基板法線方向の位相差が300nm以上390nm以下であることが好ましい。このような構造をとることによって、透過表示領域では黒表示を行ったとき視角方向によって輝度変化が少なく、広い視角範囲で安定して黒表示が行うことができる。また、基板法線方向の反射表示領域の位相差が150nm以上195nm以下であることがより好ましい。すなわち、反射表示領域の液晶層の層厚が、透過表示領域の液晶層の層厚の1/2であることがより好ましい。これによれば、透過表示領域と反射表示領域との光路長が等しくなるため、反射表示領域と透過表示領域とで液晶層に電圧を印加していくときの透過率の増加傾向を揃えることができる。更に、前面基板側の前面2軸性位相差層と液晶層とが光学的に接し、観察面側から入射した光に対して往復で透過光学系と同等となり視野角補償が可能となる。透過表示領域における液晶層の基板法線方向の位相差が390nmを超えると、充分に電圧を印加して明表示を行ったときには、赤(R)、緑(G)、青(B)等の各色に対する液晶層の位相差に大きな差が出るため、青の輝度が減少し、白表示が黄色がかるおそれがある。透過表示領域における液晶層の基板法線方向の位相差が300nm未満であると、白表示の輝度を確保することができなくなるおそれがある。裏面2軸性位相差層の基板法線方向の位相差が−140nm以上−110nm以下であり、基板面内方向の位相差が50nm以上60nm以下であれば、液晶層の位相差を補償することと、裏面偏光板の吸収軸と前面偏光板の吸収軸とがなす角度が、斜め方向から液晶表示装置を観察したとき見かけ上変化することによって生じる光漏れを防止することとができる。また、反射表示領域における液晶層の基板法線方向の位相差が195nmを超える場合においても、透過表示領域における液晶層の基板法線方向の位相差が390nmを超える場合と同様の現象が生じるおそれがある。反射表示領域における液晶層の基板法線方向の位相差が150nm未満である場合においても、透過表示領域における液晶層の基板法線方向の位相差が300nm未満である場合と同様の現象が生じるおそれがある。
本発明はまた、裏面偏光子、裏面基板、液晶層、前面基板及び前面偏光子がこの順に配置され、かつ透過表示領域と反射表示領域とが設けられた垂直配向モードの液晶表示装置であって、上記液晶表示装置は、裏面基板又は前面基板と液晶層との間の反射表示領域にλ/4位相差層を有し、裏面基板又は前面基板と液晶層との間の透過表示領域には液晶層以外の位相差層を有さず、裏面基板と裏面偏光子との間の透過表示領域に、透過表示の視野角を拡大する層(以下、第一の視野角拡大層ともいう。)を有する液晶表示装置(以下、第二の液晶表示装置ともいう。)でもある。
本発明の第二の液晶表示装置は、第一の液晶表示装置と同様に、透過表示領域の視野角を拡大し、コントラスト比及び輝度の低下を生じないものとすることができる。上記透過表示の第一の視野角拡大層としては、液晶層の液晶分子が基板面内方向に対して垂直に配向されたときに、基板法線方向に対して斜め方向に液晶層を通過した光に生じる位相差を補償することができるものであることが好ましく、液晶分子が配向制御されて形成された層であることがより好ましく、遅相軸が裏面偏光子の吸収軸と直交又は平行する負の2軸性位相差層等が挙げられる。なお、本明細書で「視野角」とは、コントラスト比10:1を確保することができる角度のことである。
本発明の第二の液晶表示装置における好ましい形態について以下に詳しく説明する。
上記第二の液晶表示装置は、前面基板と前面偏光子との間の反射表示領域に、基板法線方向に最小の主屈折率を持つ2軸性位相差層を有さないことが好ましい。
上記第二の液晶表示装置が、前面基板と前面偏光子との間の透過表示領域に、基板法線方向に最小の主屈折率を持つ2軸性位相差層を有さない場合、上記第一の視野角拡大層は、基板面内方向の位相差が45nm以上55nm以下であり、基板法線方向の位相差が−250nm以上−230nm以下であり、上記液晶層は、液晶分子が基板面に対して垂直配向されたときの、透過表示領域における基板法線方向の位相差が300nm以上390nm以下であることが好ましい。また、基板法線方向の反射表示領域の位相差が−195nm以上−150nm以下であることがより好ましい。
上記第二の液晶表示装置は、更に、λ/4位相差層と液晶層との間の反射表示領域に、基板法線方向に光学軸を有する負の1軸性位相差層を有することが好ましい。
上記液晶層は、液晶分子が基板面に対して垂直配向されたときの、反射表示領域における基板法線方向の位相差が、負の1軸性位相差層の基板法線方向の位相差で打ち消されることが好ましい。
上記液晶層は、液晶分子が基板面に対して垂直配向されたときの、反射表示領域における基板法線方向の位相差が150nm以上195nm以下であり、上記負の1軸性位相差層は、基板法線方向の位相差が−195nm以上−150nm以下であることが好ましい。
上記第二の液晶表示装置は、前面基板と前面偏光子との間の透過表示領域及び反射表示領域に、基板面内方向の遅相軸が前面偏光子の吸収軸と平行又は直交する第二の視野角を拡大する層を有し、上記λ/4位相差層は、裏面基板と液晶層との間の反射表示領域に配置されることが好ましい。
上記第二の液晶表示装置が、前面基板と前面偏光子との間の透過表示領域及び反射表示領域に、基板面内方向の遅相軸が前面偏光子の吸収軸と平行又は直交する第二の視野角を拡大する層(第二の視野角拡大層)を有し、上記λ/4位相差層は、裏面基板と液晶層との間の反射表示領域に配置される場合に、上記第一の視野角拡大層及び第二の視野角拡大層は、基板面内方向の位相差が50nm以上60nm以下であり、基板法線方向の位相差が−140nm以上−110nm以下であり、上記液晶層は、液晶分子が基板面に対して垂直配向されたときの、透過表示領域における基板法線方向の位相差が300nm以上390nm以下であることが好ましい。
これらによれば、本発明の第二の液晶表示装置は、本発明の第一の液晶表示装置の好ましい形態と同様の効果を得ることができる。
本発明の液晶表示装置によれば、透過表示領域では、液晶層の液晶分子が基板面に対して垂直配向しているときに、視角方向によって輝度変化が少なく、コントラスト比及び輝度の低下も防止されるため、広い視角範囲で安定して表示を行うことができる。
以下に実施形態を掲げ、本発明を図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る垂直配向モードの半透過型液晶表示装置の断面模式図である。
図2は、実施形態1に係る液晶表示装置について、分解して表示した平面模式図である。なお、図2では、反射電極及び透明電極以外の位相差を変調しない部材については省略している。
実施形態1に係る液晶表示装置は、裏面偏光子115、裏面基板111、液晶層131、前面基板121及び前面偏光子125がこの順に積層され、裏面基板121と前面基板111との間に、負の誘電率を有する液晶分子を含んで構成される液晶層131が挟持されている。
まず、裏面基板側の構成について説明する。
裏面基板111の液晶層131側には、TFT素子(図示せず)が設けられている。TFT素子は、直交する方向に相互に平行に延びるように設けられた複数のゲート線(図示せず)とソース線(図示せず)との各交差部分に設けられている。そして、TFT素子のドレイン電極が、透過表示領域160に設けられる透明電極113、及び、反射表示領域150に設けられる反射電極112と接続されている。裏面基板111の液晶層131とは反対側には、裏面偏光子115が設けられており、裏面偏光子115とTFT基板111との間には、視野角を拡大するために、基板法線方向に最小の主屈折率を持つ裏面2軸性位相差層116が配置されている。
裏面2軸性位相差層116は、ポリカーボネート、ノルボルネン系のフィルムを2回に分けて2方向に延伸すること等によって形成することができる。また、透明電極113には、酸化インジウム錫(ITO)等の透明導電性材料を用いることができ、反射電極112には、アルミニウム等の反射効率が比較的高い材料を用いることができ、反射電極112の表面は、凹凸形状を有していることが好ましいが、平坦であってもよい。裏面基板111は、無色透明の基板であることが好ましく、コスト低減等の観点からはガラス基板、プラスチック基板等であることがより好ましい。
次に、前面基板側の構成について説明する。
前面基板121の液晶層131側には、赤、緑及び青の着色層122が配置され、反射表示領域150には、液晶性ポリマー等からなるλ/4位相差層123が配置されており、その上の前面基板121の全面に、共通電極124が配置されている。また、前面基板121の液晶層131とは反対側には、前面偏光子125が設けられている。
λ/4位相差層123は、液晶性のモノマーを着色層122上に塗布し、紫外線照射等により配向を制御しつつ重合硬化させ、パターニングすることによって形成することができる。着色層122には、赤、青及び緑の感光性樹脂等を用いることができ、共通電極124には、酸化インジウム錫(ITO)等から構成される透明導電性材料を用いることができる。前面基板121は、裏面基板111と同様に、無色透明の基板であることが好ましく、コスト低減等の観点からはガラス基板、プラスチック基板等であることがより好ましい。
λ/4位相差層123は、裏面基板111上に配置された反射電極112に対向する領域に配置され、透明電極113に対向する部分には配置されない。実施形態1では、λ/4位相差層123の厚さを略2μmとすることで、反射表示領域150の液晶層厚を透過表示領域160の液晶層厚に対して略1/2としている。略1/2とすることによって、反射表示領域150と透過表示領域160とで、液晶層131の光路長を揃えることができる。なお、λ/4位相差層123のみで、反射表示領域150の液晶層131の厚さを制御する必要はなく、反射表示領域150に透明樹脂を配置し、その上にλ/4位相差層123を配置することによって反射表示領域150と透過表示領域160との液晶層131の厚さを制御してもよい。
なお、裏面偏光子115及び前面偏光子125に含まれる、裏面偏光子及び前面偏光子は、ヨウ素をポリビニルアルコール(PVA)フィルムに吸着させ、延伸したものを用いることができる。
続いて、図2を用いて実施形態1の光学補償(透過表示の視野角拡大)の原理について説明する。
前面偏光子125及び裏面偏光子115に記載されている白抜きの矢印は、それぞれの偏光子の透過軸を示しており、前面偏光子125と裏面偏光子115とは、前面偏光子125の吸収軸と裏面偏光子115の吸収軸とが直交したクロスニコル配置となっている。λ/4位相差層123に記載されている矢印は遅相軸を示している。裏面2軸性位相差層116に記載されている十字の矢印は、短い矢印が遅相軸を示しており、長い矢印が進相軸を示している。これらの光学部材を組み合わせた系に、裏面偏光子125側の鉛直方向からバックライトを用いて光を入射する。
反射表示領域150では、前面偏光子125側から入射した光が前面偏光子125により直線偏光となる。そして、前面偏光子の偏光軸に対して面内方向に45°傾いた遅相軸を有するλ/4位相差層123を通過すると円偏光となる。このとき、液晶層131中の液晶分子は垂直配向しているため、円偏光は位相変調を受けることなく反射電極112に到達する。反射電極112で反射された光は、逆円偏光となり再びλ/4位相差層123を通過することによって、前面偏光子の偏光軸と直交する直線偏光となる。そのため、黒表示とすることができる。
透過表示領域160では、裏面偏光子側からの光が裏面偏光子115を通過し直線偏光となる。直線偏光となった光は、裏面2軸性位相差層116を透過する。その後、液晶層131を光が通過するが、裏面2軸性位相差層116の進相軸が、裏面偏光子の偏光軸と平行に設けられていることによって、鉛直方向からの光は位相変調が生じないが、斜め方向からの光は位相変調されており、液晶層131に斜め方向から入射した直線偏光の位相を補償する。このため、前面偏光子125から光が出射されるときに斜め方向から観察しても階調変調等が生じない視野角が向上した液晶表示装置となっている。裏面2軸性位相差層116は基板法線方向に最小の主屈折率を持つ2軸性位相差層であって面内の位相差(Re)は50nmであり、基板法線方向の位相差(Rth)は−245nmであるものを用いている。また、裏面2軸性位相差層116の遅相軸は、裏面偏光子115の透過軸に対して直交方向に配置しており、液晶層131の厚み方向のリタデーション値(Rth)は320nmとしている。このように、光学設計を行うことによって、透過表示の視野角を拡大し、かつ透過表示の輝度等を低下させない液晶表示装置とすることができる。なお、裏面2軸性位相差層及び液晶層の位相差については、エリプソメータにより主屈折率を測定し、主屈折率の値から求める。ここで、裏面2軸性位相差層の遅相軸方向の主屈折率は1.50010であり、進相軸方向の主屈折率は1.49960であり、基板法線方向の主屈折率は1.49740である。また、裏面2軸性位相差層の層厚は、100μmである。
実施形態1では、TFT素子を用いて表示を行うアクティブマトリクス方式の液晶表示装置としているが、本発明の液晶表示装置は、アクティブマトリクス方式に限定されず、例えば、パッシブマトリクス方式の液晶表示装置にも適用することができる。本発明ではまた、λ/4板と同様に液晶表示パネル内に負の2軸性位相差層を配置するような場合と比較すると、製造工程が複雑になることがない点で利点がある。
(実施形態2)
図3は、実施形態2の垂直配向モードの半透過型液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
図4は、実施形態2に係る液晶表示装置について、分解して表示した平面模式図である。なお、図4では、反射電極及び透明電極以外の位相差を変調しない部材については省略している。
本発明の実施形態2は、裏面偏光子215、裏面基板211、液晶層231、前面基板221及び前面偏光子225がこの順に積層され、前面基板221と裏面基板211との間に、負の誘電率を有する液晶分子を含んで構成される液晶層231が挟持されている。
まず、裏面基板側の構成について説明する。
裏面基板211の液晶層231側には、TFT素子(図示せず)が設けられている。TFT素子は、直交する方向に相互に平行に延びるように設けられた複数のゲート線(図示せず)とソース線(図示せず)との各交差部分に設けられている。そして、TFT素子のドレイン電極が、透過表示領域260に設けられる透明電極213、及び、反射表示領域250に設けられる反射電極212と接続されている。裏面基板211の液晶層231とは反対側には、裏面偏光子215が設けられており、裏面偏光子215とTFT基板211との間には、視野角を拡大するために、基板法線方向に最小の主屈折率を持つ裏面2軸性位相差層216が配置されている。
次に、前面基板側の構成について説明する。
前面基板221の液晶層231側には、赤、緑及び青の着色層222が配置され、着色層222の液晶層231側に、反射表示領域250には、λ/4位相差層223、負の1軸性位相差層226がこの順に配置されている。着色層222の液晶層231側の前面基板221の全面に、共通電極224が配置されている。また、基板221の液晶層231とは反対側に、前面偏光子225が設けられている。
λ/4位相差層223及び負の1軸性位相差層226は、裏面基板211上に配置された反射電極212に対向する領域に配置され、透明電極213に対向する部分には配置されない。実施形態2では、λ/4位相差層223及び負の1軸性位相差層226を積層した厚さを2μmとすることで、反射表示領域の液晶層厚を透過表示領域の液晶層厚に対して1/2としている。なお、λ/4位相差層のみで、反射表示領域の液晶層厚を制御する必要はなく、反射表示領域のλ/4位相差層と前面基板221との間に透明樹脂層等を配置することによって反射表示領域250と透過表示領域260との液晶層厚を制御してもよい。なお、負の1軸性位相差層226は、透明フィルム上にコレステリック液晶性のポリマーを薄膜塗布すること等によって形成することができる。
続いて、図4を用いて実施形態2の光学補償(透過表示の視野角拡大)の原理を説明する。
前面偏光子225及び裏面偏光子215に記載されている白抜きの矢印は、それぞれの偏光子の透過軸方向を示しており、前面偏光子225と裏面偏光子215とは、前面偏光子225の吸収軸と裏面偏光子215の吸収軸とは直交したクロスニコル配置となっている。λ/4位相差層223に記載されている矢印は遅相軸を示している。裏面2軸性位相差層216に記載されている十字の矢印は、短い矢印が遅相軸を示しており、長い矢印が進相軸を示している。これらの光学部材を組み合わせた系に、裏面偏光子215側からバックライトを用いて光を入射する。
反射表示領域250では、前面偏光子225側から入射した光が前面偏光子225により直線偏光となる。そして、前面偏光子の偏光軸に対して面内方向に45°傾いた遅相軸を有するλ/4位相差層223を通過すると円偏光となる。λ/4位相差層223により円偏光となった光は、負の1軸性位相差層226を介して液晶層231に入射する。このとき、液晶層231中の液晶分子は垂直配向しているため、円偏光は位相変調を受けることなく反射電極212に到達する。反射電極212で反射された光は、逆円偏光となり再びλ/4位相差層223を通過することによって、前面偏光子225の吸収軸と直交する直線偏光となる。そのため、黒表示とすることができる。また、前面基板221側の斜め方向から入射した光は、負の1軸性位相差層226により、液晶層231により付与される位相差を補償することができるため、視野角を拡大することができる。
透過表示領域260では、裏面偏光子側からの光が裏面偏光子215を通過し直線偏光となる。直線偏光となった光は、裏面2軸性位相差層216を透過する。その後、液晶層231を光が通過するが、裏面2軸性位相差層216の進相軸が、裏面偏光子の偏光軸と平行に設けられていることによって、鉛直方向からの光は位相変調が生じないが、斜め方向からの光は位相変調されており、液晶層231に斜め方向から入射した直線偏光の位相を補償する。このため、前面偏光子225から光が出射されるときに斜め方向から観察しても階調変調等が生じない視野角が向上した液晶表示装置となっている。裏面2軸性位相差層216は負の2軸性位相差層であって面内の位相差(Re)は50nmであり、基板法線方向の位相差(Rth)は−245nmであるものを用いている。また、裏面2軸性位相差層216の遅相軸は、裏面偏光子215の透過軸に対して直交方向に配置しており、液晶層231の厚み方向のリタデーション値(Rth)は320nmとしている。 また、負の1軸性位相差層の基板法線方向の位相差(Rth)は、−160nmとしている。このように、光学設計を行うことによって、視野角を拡大し、かつ透過表示の輝度等を低下させない液晶表示装置とすることができる。ここで、裏面2軸性位相差層の遅相軸方向の主屈折率は1.50010であり、進相軸方向の主屈折率は1.49960であり、基板法線方向の主屈折率は1.49740であった。また、負の1軸性位相差層の基板法線方向の主屈折率は1.55であり、基板面内方向の主屈折率は1.50である。そして、裏面2軸性位相差層の層厚は、100μmであり、負の1軸性位相差層の層厚は、3.2μmである。
(実施形態3)
図5は、実施形態3の垂直配向モードの半透過型液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。
図6は、実施形態3に係る液晶表示装置について、分解して表示した平面模式図である。なお、図6では、反射電極及び透明電極以外の位相差を変調しない部材については省略している。
本発明の実施形態3は、裏面偏光子315、裏面基板311、液晶層331、前面基板321及び前面偏光子325がこの順に積層され、前面基板321と裏面基板311との間に、負の誘電率を有する液晶分子を含んで構成される液晶層331が挟持されている。
まず、裏面基板の構成について説明する。
裏面基板311の液晶層331側には、TFT素子(図示せず)が設けられている。TFT素子は、直交する方向に相互に平行に延びるように設けられた複数のゲート線(図示せず)とソース線(図示せず)との各交差部分に設けられている。そして、TFT素子のドレイン電極が、透過表示領域360に設けられる透明電極313、及び、反射表示領域350に設けられる反射電極312と接続されている。裏面基板311の液晶層331とは反対側には、裏面偏光子315が設けられており、裏面偏光子315とTFT基板311との間には、視野角を拡大するために、基板法線方向に最小の主屈折率を持つ裏面2軸性位相差層316が配置されている。そして、反射表示領域350の反射電極312と液晶層331との間にはλ/4位相差層323が配置されている。
次に、前面基板の構成について説明する。
前面基板321の液晶層331側には、赤、緑及び青の着色層322が配置され、反射表示領域350には、液晶性ポリマー等からなるλ/4位相差層323が配置されており、その上の前面基板321の全面に、共通電極324が配置されている。また、前面基板321の液晶層331とは反対側には、前面偏光子325が設けられており、前面基板321と前面偏光子325との間には、基板法線方向に最小の主屈折率を持つ前面2軸性位相差層326が配置されている。
λ/4位相差層323は、反射電極312の液晶層331側に配置され、透過表示領域360には配置されない。実施形態3では、λ/4位相差層323の厚さを略2μmとすることで、反射表示領域の液晶層厚を透過表示領域の液晶層厚に対して略1/2としている。なお、λ/4位相差層のみで、反射表示領域の液晶層厚を制御する必要はなく、反射表示領域に透明樹脂を配置し、その上にλ/4位相差層を配置することによって反射表示領域と透過表示領域との液晶層厚を制御してもよい。
続いて、図6を用いて実施形態3の光学補償(透過表示の視野角拡大)の原理を説明する。
前面偏光子325及び裏面偏光子315に記載されている白抜きの矢印は、それぞれの偏光子の透過軸を示しており、前面偏光子325と裏面偏光子315とは、前面偏光子325の吸収軸と裏面偏光子315の吸収軸とは直交したクロスニコル配置となっている。λ/4位相差層323に記載されている矢印は遅相軸を示している。裏面2軸性位相差層316に記載されている十字の矢印は、短い矢印が遅相軸を示しており、長い矢印が進相軸を示している。これらの光学部材を組み合わせた系に、裏面偏光子315側からバックライトを用いて光を入射する。
反射表示領域350では、前面偏光子325側から入射した光が前面偏光子325により直線偏光となる。そして、前面2軸性位相差層326を介して直線偏光が液晶層331に入射される。このとき、液晶層331中の液晶分子は垂直配向しているため、円偏光は位相変調を受けることなく反射電極312に到達する。続いて、前面偏光子325の吸収軸に対して面内方向に45°傾いた遅相軸を有するλ/4位相差層323を通過すると円偏光となる。そして、反射電極312で反射された光は、逆円偏光となり再びλ/4位相差層323を通過することによって、前面偏光子の偏光軸と直交する直線偏光となる。このようにして、反射表示で黒表示とすることができる。このとき、前面基板側の斜め方向から入射した光が液晶層を通過するときに付与される位相差及び反射電極により反射された後に液晶層を通過するときに付与される位相差を、前面2軸性位相差層326を2回通過することによって補償することができる。このため、反射表示領域においても視野角を拡大することができる。
透過表示領域360では、裏面偏光子315側からの光が裏面偏光子315を通過し直線偏光となる。直線偏光となった光は、裏面2軸性位相差層316を透過する。その後、液晶層331、前面2軸性位相差層326、前面偏光子325を通過して、出射される。このとき、液晶層331が垂直配向しており、裏面2軸性位相差層316の進相軸が、裏面偏光子の偏光軸と平行に設けられ、前面2軸性位相差層326の進相軸が、前面偏光子325の吸収軸と平行に設けられていることによって、鉛直方向からの光は位相変調が生じない。また、斜め方向からの光は、液晶層331を通過するときに位相変調されるが、裏面2軸性位相差層316及び前面2軸性位相差層326により位相差が補償される。このため、斜め方向から観察しても階調変調等が生じない視野角が向上した液晶表示装置とすることができる。裏面2軸性位相差層316及び前面2軸性位相差層326は、面内の位相差(Re)は55nmであり、基板法線方向の位相差(Rth)は−125nmであるものを用いている。また、液晶層331の厚み方向のリタデーション値(Rth)は320nmとしている。ここで、裏面2軸性位相差層316及び前面2軸性位相差層326の遅相軸方向の主屈折率は1.50010であり、進相軸方向の主屈折率は1.49955であり、基板法線方向の主屈折率は1.49858である。また、裏面2軸性位相差層及び前面2軸性位相差層の層厚は、100μmである。このように、光学設計を行うことによって、より視野角を拡大し、透過表示の輝度及びコントラスト比を低下させない液晶表示装置とすることができる。
実施形態1の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。 実施形態1に係る液晶表示装置について、分解して表示した平面模式図である。 実施形態2の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。 実施形態2に係る液晶表示装置について、分解して表示した平面模式図である。 実施形態3の液晶表示装置の構成を示す断面模式図である。 実施形態3に係る液晶表示装置について、分解して表示した平面模式図である。
符号の説明
111、211、311:裏面基板
112、212、312:反射電極
113、213、313:透明電極
115、215、315:裏面偏光子
116、216、316:裏面2軸性位相差層
121、221、321:前面基板
122、222、322:着色層
123、223、323:λ/4位相差層
124、224、324:共通電極
131、231、331:液晶層
226:負の1軸性位相差層
326:前面2軸性位相差層

Claims (9)

  1. 裏面偏光子、裏面基板、液晶層、前面基板及び前面偏光子がこの順に配置され、かつ透過表示領域と反射表示領域とが設けられた垂直配向モードの液晶表示装置であって、
    該液晶表示装置は、裏面基板又は前面基板と液晶層との間の反射表示領域にλ/4位相差層を有し、裏面基板又は前面基板と液晶層との間の透過表示領域には液晶層以外の位相差層を有さず、
    裏面基板と裏面偏光子との間の透過表示領域に、基板面内方向の遅相軸が裏面偏光子の吸収軸と平行又は直交し、かつ基板法線方向に最小の主屈折率を持つ裏面2軸性位相差層を有することを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記液晶表示装置は、前面基板と前面偏光子との間の反射表示領域に、基板法線方向に最小の主屈折率を持つ2軸性位相差層を有さないことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
  3. 前記裏面2軸性位相差層は、基板面内方向の位相差が45nm以上55nm以下であり、基板法線方向の位相差が−250nm以上−230nm以下であり、
    前記液晶層は、液晶分子が基板面に対して垂直配向されたときの、透過表示領域における基板法線方向の位相差が300nm以上390nm以下であることを特徴とする請求項2記載の液晶表示装置。
  4. 前記液晶表示装置は、更に、λ/4位相差層と液晶層との間の反射表示領域に、基板法線方向に光学軸を有する負の1軸性位相差層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
  5. 前記液晶層は、液晶分子が基板面に対して垂直配向されたときの、反射表示領域における基板法線方向の位相差が、負の1軸性位相差層の基板法線方向の位相差で打ち消されることを特徴とする請求項4記載の液晶表示装置。
  6. 前記液晶層は、液晶分子が基板面に対して垂直配向されたときの、反射表示領域における基板法線方向の位相差が150nm以上195nm以下であり、
    前記負の1軸性位相差層は、基板法線方向の位相差が−195nm以上−150nm以下であることを特徴とする請求項5記載の液晶表示装置。
  7. 前記液晶表示装置は、更に、前面基板と前面偏光子との間の透過表示領域及び反射表示領域に、基板面内方向の遅相軸が前面偏光子の吸収軸と平行又は直交し、かつ基板法線方向に最小の主屈折率を持つ前面2軸性位相差層を有し、
    前記λ/4位相差層は、裏面基板と液晶層との間の反射表示領域に配置されることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
  8. 前記裏面2軸性位相差層及び前面2軸性位相差層は、基板面内方向の位相差が50nm以上60nm以下であり、基板法線方向の位相差が−140nm以上−110nm以下であり、
    前記液晶層は、液晶分子が基板面に対して垂直配向されたときの、透過表示領域における基板法線方向の位相差が300nm以上390nm以下であることを特徴とする請求項7記載の液晶表示装置。
  9. 裏面偏光子、裏面基板、液晶層、前面基板及び前面偏光子がこの順に配置され、かつ透過表示領域と反射表示領域とが設けられた垂直配向モードの液晶表示装置であって、
    該液晶表示装置は、裏面基板又は前面基板と液晶層との間の反射表示領域にλ/4位相差層を有し、裏面基板又は前面基板と液晶層との間の透過表示領域には液晶層以外の位相差層を有さず、
    裏面基板と裏面偏光子との間の透過表示領域に、透過表示の視野角を拡大する層を有することを特徴とする液晶表示装置。
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KR101611909B1 (ko) 2009-11-17 2016-04-12 엘지디스플레이 주식회사 액정 표시 장치

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