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JP2008299284A - レンズ駆動装置及びその組立方法 - Google Patents

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JP2008299284A
JP2008299284A JP2007148517A JP2007148517A JP2008299284A JP 2008299284 A JP2008299284 A JP 2008299284A JP 2007148517 A JP2007148517 A JP 2007148517A JP 2007148517 A JP2007148517 A JP 2007148517A JP 2008299284 A JP2008299284 A JP 2008299284A
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Abstract


【課題】ホルダー組立構造を工夫して、ベースに対するホルダーの推力を向上できるようにすると共に、レンズ駆動用のアクチュエータを小型化できるようにする。
【解決手段】ベース10に対して可動自在に配置された円筒状部位21を有し、かつ、当該円筒状部位21の一部に凹状の切り欠き部23を有して鏡筒60を保持するホルダー20と、このホルダー20の外周部に配置されて固定されたコイル30と、このコイル30の外周部に配置されてベース10に固定されたヨーク40と、このヨーク40の内周部に配置されて固定されたマグネット50とを備え、ヨーク40の一部が折り返されて切り欠き部内に延在され、当該切り欠き部内に延在されたヨーク40と、当該ヨーク40に配置固定されたマグネット50とでコイル30を挟むように組み込まれるものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、デジタルカメラや、ビデオカメラ、携帯電話機等のカメラモジュール用のレンズユニットに適用して好適なレンズ駆動装置及びその組立方法に関する。詳しくは、鏡筒に収納されたレンズを基台に対して駆動する場合に、ヨークの一部を折り返してホルダーの切り欠き部内に延在し、当該切り欠き部内に延在されたヨークと、当該ヨークの内周部に配置固定したマグネットとでコイルを挟むようにホルダーを組み込んで、このホルダーの切り欠き部内に延在されたヨークで、マグネット、コイルを含む閉磁路を形成できるようにすると共に、マグネットによる磁束を十分にコイルに鎖交できるようにしたものである。
近年、デジタルカメラや、ビデオカメラ、携帯電話機等のカメラモジュールには、レンズユニットが実装され、このレンズユニットにはオートフォーカス(AF)用のレンズ駆動装置が使用される場合が多い。この種のレンズ駆動装置は、鏡筒に収納されたレンズの焦点調整時に、基台に対して鏡筒を数ミクロン単位で駆動するものである。
図8A及びBは、従来例に係るレンズユニット200の構成例を示す上面図及びそのX1−X1矢視断面図である。図8Aに示すレンズユニット200には、一般的なカメラモジュールに使用されるリニア駆動方式(例えば、ムービングコイル方式)のレンズアクチュエータ11を備えて構成される。
レンズアクチュエータ11では、ホルダー12とコイル13から成る可動部側の部品と、ベース10、ヨーク14及びマグネット15から成る固定部側の部品と、それらを連結する図示ない弾性部材との3部構成が採用されている。ホルダー12には鏡筒60が螺合され、鏡筒60にはレンズ70等の光学部品が収められる。レンズアクチュエータ11によれば、レンズ焦点調整時、コイル13に電流を流すことによって発生した推力F’が、固定部側の部品に対して、可動部側の部品を弾性部材によって動作規制されながら、鏡筒60を微調整するように作用する。
図9A及びBは、ホルダー12の構成例を示す上面図及びそのY1−Y2矢視断面図である。図9Aに示すホルダー12は、円筒状部位21を有しており、円筒状部位21には、その内面全周にネジ部22が形成されている。一方、鏡筒60の外周面側にもネジ部62が形成されている。これは、ホルダー12のネジ部22に60のネジ部62を螺合し、鏡筒60を回転することで、当該鏡筒60がホルダー12に対して光軸方向に移動し、カメラ内部の撮像素子等に対して焦点を調整できるようにしたためである。
この調整方法を採用する場合は、ホルダー12にネジ部22を作成し、鏡筒60にネジ部62を作成することが必須となる。なお、レンズアクチュエータ11は、撮像素子(CCD)のハウジング部に対して固定する方法が採られる。基本的には、レンズアクチュエータ11のベース部と、撮像素子のハウジング部とが締結される。
図10は、レンズアクチュエータ11における磁気回路例を示す拡大図である。図10に示す磁気回路例によれば、ヨーク14に片側単極磁性体から成るマグネット15が配置され、マグネット15のN極から出た磁束Φは、コイル13に鎖交される。その一部の磁束Φはヨーク14を通ってS極に戻るように分布する。ホルダー12の駆動に寄与する推力F’は、コイル13に通電された電流とマグネット15による磁束Φによって発生される。
この種のアクチュエータを備えたレンズユニットに関して、特許文献1には、電磁駆動装置及び電磁駆動装置を用いたフォーカス制御装置が開示されている。この電磁駆動装置によれば、レンズホルダー、コイル、外側ヨーク筒部及び内側ヨーク筒部を備えている。レンズホルダーは矩形状を有しており、対角線上の4隅でレンズを保持する。コイルは矩形状のホルダーの外周部に巻回される。ヨークは、外側ヨーク筒部と内側ヨーク筒部とが同心に形成されている。このヨークの筒部の一方にマグネットが固着され、この両ヨークとマグネットにより閉磁路を構成し、レンズホルダーに巻回されたコイルを両ヨーク間に介挿するようになされる。
特開平7−146430号公報(第7頁 図1)
ところで、従来例に係るレンズユニット200によれば、レンズアクチュエータ11の磁気回路(磁場)がオープンしているために、多くの漏れ磁束が発生してしまい、ズーム用のアクチュエータや、スピーカーなどの磁気回路を持つ部品に対して外乱となり、製品としての動作に悪影響を与えるおそれがある。
また、磁力は閉磁路に比べて弱くなってしまい、レンズユニット200の小型化及び薄型化が要求される傾向の中で、益々ホルダー12を微調整するための推力F’が得られなくなるという問題がある。
このような漏れ磁束の対策と同時に必要な推力F”も確保しようとした場合、図11に示すようなコイルとマグネットを配置する方法が考えられる。この場合も、外形制約を満たしながら、焦点調整用のネジ部22をホルダー12に設け、ネジ部62を鏡筒60に設ける場合であって、限られたスペースに磁気回路を構築しなければならない。
図11は、レンズアクチュエータ11’の改善例を示す磁気回路の拡大図である。図11に示す改善後のレンズアクチュエータ11’の磁気回路例によれば、磁性体には片面2極磁性体から成るマグネット15’が配置される。また、可動用のコイルは、コイル13a,13bというように上下に2分割された構成を採っている。この2分割されたコイル13a及び13bに、それぞれに逆位相の電流を流れるようになされる。これらによって閉磁路を作り、漏れ磁束対策とすると同時に必要な推力F”も確保しようとするものである。
しかしながら、改善後のレンズアクチュエータ11’によれば、コイル13を2分割しなくてはならず、組立工程が複雑になるという問題や、片面2極磁性体仕様のマグネット15’を配置しなくてはならず、片側単極磁性体仕様と比較すると、レンズアクチュエータ11’の単価が高くなってしまうという問題がある。
更に、今後、カメラモジュールの薄型化が進んだ場合、マグネット15’の高さを確保することが困難となり、片側単極磁性体と比較すると片面2極磁性体の磁力も相当落ち込むことが予想され、必要な推力F”を確保できなくなるおそれがある。
また、レンズ口径を大きく設定するような要求があった場合、特許文献1に見られるような外側ヨーク筒部と内側ヨーク筒部とを備えたヨーク構造であると、矩形状のレンズホルダーの周辺部で閉磁路が構成されるので、レンズユニット全体形状が大きくなり、大口径のレンズを備えたカメラの小型化が困難となる。
このように、カメラモジュールの外部形状に関して規格化が進められた場合、レンズアクチュエータ11’も、外部形状及びネジ部22,62の仕様に関して、デファクトスタンダードを考慮しなければならなくなる。この条件を満たすべく、フォーカシング駆動用の磁気回路及び、ホルダー12や鏡筒60等を限られた空間に配置しなければならないという問題がある。
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、基台に対するホルダーの推力を向上できるようにすると共に、レンズ駆動用のアクチュエータを小型化できるようにしたレンズ駆動装置及びその組立方法を提供することを目的とする。
上述した課題は、鏡筒に収納されたレンズを基台に対して駆動するレンズ駆動装置であって、基台に対して可動自在に配置された円筒状部位を有し、かつ、当該円筒状部位の一部に凹状の切り欠き部を有して鏡筒を保持する保持部材と、この保持部材の外周部に配置されて固定されたコイルと、このコイルの外周部に配置されて基台に固定された支持部材と、この支持部材の内周部に配置されて固定された磁性体とを備え、支持部材の一部が折り返されて切り欠き部内に延在され、当該切り欠き部内に延在された支持部材と、当該支持部材に配置固定された磁性体とでコイルを挟むように保持部材が組み込まれることを特徴とするレンズ駆動装置によって解決される。
本発明に係るレンズ駆動装置によれば、鏡筒に収納されたレンズを基台に対して駆動する場合に、保持部材の切り欠き部内に延在された支持部材が、磁性体、コイルを含む閉磁路を形成するようになる。従って、磁性体による磁束を十分にコイルに鎖交できるようになり、基台に対する保持部材の推力(磁性体とコイルによる電磁力)を向上できるようになる。
本発明に係るレンズ駆動装置の組立方法は、鏡筒に収納されたレンズを基台に対して駆動するレンズ駆動装置の組立方法であって、一方で、鏡筒保持用の円筒状の部材の一部を凹状の切り欠いて切り欠き部を有した保持部材を形成する工程と、保持部材の外周部にコイルを配置して固定する工程と、他方で、基台に支持部材を固定する工程と、支持部材の内周部に磁性体を配置して固定する工程と、その後、支持部材の一部を折り返して保持部材の切り欠き部内に延在させる工程と、切り欠き部内に延在された支持部材と、当該支持部材に配置固定された磁性体とでコイルを挟むように基台に対して可動自在に保持部材を組み込む工程とを有することを特徴とするものである。
本発明に係るレンズ駆動装置の組立方法によれば、保持部材の切り欠き部内に延在された支持部材と、当該支持部材に配置固定された磁性体とでコイルを挟むように基台に対して可動自在に保持部材を組み込むようになされる。従って、折り返された支持部材の部分が保持部材の切り欠き部内に収容されたオーバーラップ構造を採用できるので、レンズ駆動装置の小型化を図ることができる。
本発明に係るレンズ駆動装置及びその組立方法によれば、鏡筒に収納されたレンズを基台に対して駆動する場合に、支持部材の一部が折り返されて保持部材の切り欠き部内に延在され、当該切り欠き部内に延在された支持部材と、当該支持部材の内周部に配置固定された磁性体とでコイルを挟むように保持部材が組み込まれるものである。
この構成によって、保持部材の切り欠き部内に延在された支持部材が、磁性体、コイルを含む閉磁路を形成するようになるので、磁性体による磁束を十分にコイルに鎖交できるようになる。従って、基台に対する保持部材の推力(磁性体とコイルによる電磁力)を向上できるようになる。しかも、支持部材の一部が折り返されて保持部材の切り欠き部内に延在された構造を採っているので、レンズ駆動装置の小型化を図ることができる。これにより、小型薄型及び電力低消費型のレンズ駆動装置を提供できるようになった。
続いて、この発明に係るレンズ駆動装置及びその組立方法の一実施例について、図面を参照しながら説明をする。
図1は、本発明に係るレンズ駆動装置を備えた実施の形態としてのレンズユニット100の構成例を示す一部破砕の斜視図である。図2A及びBは、レンズアクチュエータ1の構成例を示す上面図及びそのX1−X1矢視断面図である。
図1に示すレンズユニット100は、鏡筒60と、レンズ駆動装置の機能を構成するレンズアクチュエータ1とを備え、当該鏡筒60に収納されたレンズ70をベース10(基台)に対して駆動する装置である。当該アクチュエータ100は、デジタルカメラや、ビデオカメラ、携帯電話機等のカメラモジュール用のレンズユニットに適用可能なものである。
レンズアクチュエータ1は、ベース10、ホルダー20、コイル30、ヨーク40及びマグネット50を備えて構成される。ホルダー20、コイル30及び鏡筒60は、レンズアクチュエータ1の可動部側の部品を構成する。ホルダー20は保持部材の一例を構成し、ベース10に対して可動自在に配置された円筒状部位21を有しており、鏡筒60を保持するようになされる。ホルダー20の内側には鏡筒光軸方向調整用のネジ部22が設けられ、鏡筒60の外周部には固定用のネジ部62が設けられる。ホルダー20のネジ部22には、鏡筒60のネジ部62が螺合されて焦点調整するようになされる。
このネジ部22やネジ部62による固定機構は、鏡筒60を光軸方向に調整可能であれば、当該固定機構以外の形状を有した固定機構であってもよい。ホルダー20の材質には、樹脂、軽金属(アルミニウム)、アルミダイカスト等が使用される。なお、鏡筒60に収められる光学部品等については、レンズユニットが適用されるカメラによって異なるので、その説明を省略する。
ホルダー20は凹状の切り欠き部23を有しており、ヨーク40の一部を配置して閉磁路を構成するようになされる。この例では、円筒状部位21のネジ部22の一部に、少なくとも1箇所以上の切り欠き部23が設けられる。この例では、図2Aに示すように4箇所の切り欠き部23a〜23dが設けられる。
図2Bに示すホルダー20の下方の外周部(以下、下方外周部24という)には、コイル30が配置されて固定される。例えば、コイル30は、ホルダー20の下方外周部24に円筒状に巻装される。コイル30には所定の線径を有した銅線が使用され、コイル30はホルダー20の円筒状部位を巻き軸部としている。コイルの巻き数はN回で、その層数はMである。コイル30は、レンズ焦点調整時に通電される。
上述のベース10、ヨーク40及びマグネット50は、図示しないカバー部材等を含めてベース10の固定部側の部品を構成する。この例で、ホルダー20のコイル30の外周部には、支持部材の一例を構成するヨーク40が配置され、ベース10に固定される。ヨーク40の一部は、例えば、逆さU字状に折り返されて、上述のホルダー20の切り欠き部23内に延在される。ヨーク40は外ヨーク部41及び内ヨーク42を有して構成される。外ヨーク41は、コイル30の外周部に配置され、ベース10に固定される部分を構成する。内ヨーク部42は、ヨーク40の上部先端の一部が内側に折り返された部分を構成し、ホルダー20の切り欠き部23内に延在される。
ヨーク40には、例えば、所定の厚みを有したSPC(冷間圧延鋼板)が使用される。SPCには、亜鉛(Zn)メッキにより表面処理(三価クロムメート処理)がなされる。表面処理には無電解メッキ(EL/FeP−/OP3)が採られる。ヨーク40の内周部には、磁性体の一例を構成するマグネット50が配置されて固定される。例えば、マグネット50の側面に接着剤が塗布され、この接着剤を介してヨーク40に接着され、締結固定される。マグネット50には、ニッケル(Ni)メッキにより表面処理された扁平筒状のNdFeB(ネオジウム)焼結磁石や、フェライト磁石、アルニコ磁石等が使用される。
この例では、切り欠き部23内に延在されたヨーク40と、このヨーク40に配置固定されたマグネット50とでコイル30を挟むようにホルダー20が組み込まれる。なお、上述のホルダー20は、図示しない上部の弾性部材及び下部の弾性部材により、ベース10に連結され、ベース10に対して可動自在に支持される。
このように構成されたレンズアクチュエータ1によれば、図2Bに示したホルダー20の切り欠き部23aには、ヨーク40の内ヨーク部42aが配置され、その切り欠き部23cには、内ヨーク部42cが配置され、ヨーク40のマグネット50による磁界内に配置されたコイル30に電流を流すことによって電磁力が発生し、この電磁力が弾性部材によって連結されたホルダー20の推力となって、レンズアクチュエータ1の固定部側の部品に対して、その可動部側を弾性部材によって動作規制を保ちながら、鏡筒内のレンズ70の焦点(フォーカス)を微調整するようになされる。
上述のベース10は、図示しないカメラ本体内に固定され、このカメラ本体内には撮像素子が実装される。撮像素子は、焦点調整後の鏡筒60のレンズ70によって結像された被写体像を撮像するようになされる。
図3A及びBは、ホルダー20の構成例を示す上面図及びそのX2−X2矢視断面図である。図3Aに示すホルダー20は円筒状部位21を有しており、この円筒状部位21には4箇所の凹状の切り欠き部23a〜23dが配設される。この例で、隣接する2つの切り欠き部23aや23b等の間を成す配置角度をθ1としたとき、配置角度θ1は略90°である。
また、切り欠き部23aの凹部の大きさ(面積;S)は、切り欠き部23a等の切り込みを深さdとし、切り欠き部23a等の円弧の長さをlxとすると、S=d×lxである。なお、円弧の長さlxは、円弧の両端の間を成す切り欠き角度をθ2とし、ホルダー20の半径をrとしたとき、lx=θ2×2πr/360である。この例では、切り欠き角度θ2は40°程度である。
この例で、ホルダー20の切り欠き部23aには、図5に示すようなヨーク40の内ヨーク部42aが配置され、切り欠き部23bには、内ヨーク部42bが配置され、切り欠き部23cには内ヨーク部42cが配置され、切り欠き部23dには、内ヨーク部42dが各々配置される。このように、内ヨーク部42a〜42dを配置すると、ホルダー20の各々の切り欠き部23a〜23dで、マグネット50による磁束Φが面積S=d×lxを各々通過する閉磁路を構成するようになり、当該レンズアクチュエータ1の小型、薄型化及び消費電力の低減化を実現できるようになる。
なお、図3Bに示すホルダー20の下方外周部24は、鍔状を有している。この鍔状の部分にはコイル実装面が確保され、図2に示したようなコイル30を固定するようになされる。
図4は、切り欠き部23におけるヨーク40の磁気回路例を示す拡大図である。図4に示す磁気回路は、レンズアクチュエータ1のホルダー20において、4箇所の切り欠き部23a〜23dの内の1つを抜き出した部分に構成される。
レンズアクチュエータ1によれば、ヨーク40内には、片側単極着磁仕様のマグネット50が配置される。この仕様のマグネット配置は、光軸方向のマグネット50の高さを低くすることで、磁気回路構造の薄型化を図るためである。また、ホルダー20のネジ部22の一部を切り欠くことにより生じた余剰空間には、内ヨーク部42が配置される。この磁気回路中には、駆動用のコイル30が配置される。
この例では、マグネット50のN極から出た磁束Φは、コイル30に鎖交して内ヨーク部42に至り、ヨーク40中を通って外ヨーク部41からそのS極に戻るように分布する磁気回路を構成する。このように、コイル30や、内ヨーク部42、マグネット50等を配置すると、図3に示した面積S=d×lxの空間の磁束密度(磁力)が増加し、従来方式のレンズアクチュエータに通電していたと同じ電流を当該レンズアクチュエータ1のコイル30に通電(印加)した場合、従来方式よりも、大きな推力Fを発生させることができる。
また、内ヨーク部42によって閉磁路が形成されるので、外部に対する漏れ磁束も減少できるようになる。しかも、片側単極着磁のマグネット50を使用したので、従来方式の片側2極着磁仕様に比較して、光軸方向のマグネット50の高さを低く設定しても、磁力の減少を押えることができる。
続いて、レンズアクチュエータ1の組立方法について説明する。図5及び図6は、その組立例(その1,2)を補足する工程図である。図7は、レンズユニット100のレンズ焦点調整例を示すフローチャートである。
この例では、図3に示したようなホルダー20を使用したレンズアクチュエータ1を組み立てた後、鏡筒60に収納されたレンズをベース10に対して駆動して、レンズユニット100のレンズ焦点を調整する場合を前提とする。
これらを組立条件にして、まず、図7に示すフローチャートのステップA1で、レンズアクチュエータ1を組み立てる。例えば、図5Aに示すヨーク40の内周部にマグネット50を配置して固定する。この例では、所定形状のヨーク40及びマグネット50を準備し、ヨーク40とマグネット50とを組み立てる。例えば、所定の厚みを有したSPC(冷間圧延鋼板)を使用して、角部が丸みを帯びた、図2に示したような八角形状のヨーク40を形成する。
この例では、SPCの展開時、ヨーク40上部先端となる部分(ヨーク40の内側となる部分)に関して、ホルダー20の切り欠き部23内に延在可能なように、ヨーク40の内側の4箇所をコ字状に折り返すように折り曲げ加工する。そして、外ヨーク部41に対して、90°置き4箇所に内ヨーク部42a〜42dを有するヨーク40を形成する。ヨーク40は折り曲げ加工の他プレス加工や、しぼり加工、溶接加工等により形成するとよい。
SPCには、亜鉛(Zn)メッキにより表面処理(三価クロムメート処理)が施される。表面処理には無電解メッキ(EL/FeP−/OP3)が採られる。マグネット50には、片側単極磁性体として、ニッケル(Ni)メッキにより表面処理された扁平筒状のNdFeB(ネオジウム)焼結磁石や、フェライト磁石、アルニコ磁石等が使用される。マグネット50は、ヨーク40の内側に接着する。例えば、マグネット50の側面に接着剤を塗布し、この接着剤を介してマグネット50をヨーク40に接着して締結固定する。
他方で、図5Cに示すホルダー20を準備し、ホルダー20とコイル30とを組み立てる。このとき、鏡筒保持用の円筒状の部材の一部を凹状の切り欠いてホルダー20に切り欠き部23a〜23dを形成する。もちろん、金型にホルダー用の材料を封入して凹状を有した切り欠き部23a〜23d及びネジ部22を成形するようにしてもよい。ホルダー用の材料には、樹脂や軽金属、アルミダイカスト等が使用される。ホルダー20の形状は、図3及び図5参照されたい。なお、図5Cに示すホルダー20は、図3に示したホルダー20を45°回転した状態を示している。
次に、ホルダー20の外周部にコイル30を配置して固定する。例えば、図5Bに示すコイル30を作成し、図5Cに示したホルダー20の外周縁部に取り付ける。コイル30は、所定の線径を有した銅線をホルダー20の円筒状部位21を巻き軸部として、巻き数をN回で、その層数をMとして円筒状に巻装することで得られる。
このとき、ホルダー20の下方外周部24とコイル30の内面側との間に隙間を生ずるように巻装する。隙間は、内ヨーク部42とコイル30との間の摩擦を無くすためである。ここに巻装されたコイル30をホルダー20の下方外周部24に接着剤を使用して強固に固定する。接着剤には、例えば、ウレタン系のものを使用する。
次に、図6Bに示すベース10に対して、マグネット付きのヨーク40と、コイル付きのホルダー20とを組み立てる。この例では、4箇所の内ヨーク部42a〜42dとマグネット50でコイル30を挟むように組み立てる。例えば、ホルダー20の切り欠き部23aには、ヨーク40をコ字状に折り返した内ヨーク部42aを嵌合するように配置する。同様にして、切り欠き部23bには内ヨーク部42bを嵌合するように配置し、切り欠き部23cには内ヨーク部42cを嵌合するように配置し、更に、切り欠き部23dには内ヨーク部42dを嵌合するように各々配置する。
更に、切り欠き部23aに延在された内ヨーク部42aと、当該ヨーク40に配置固定されたマグネット50とでコイル30を挟む。同様にして、内ヨーク部42bとマグネット50とでコイル30を挟み、内ヨーク部42cとマグネット50とでコイル30を挟み、内ヨーク部42dとマグネット50とでコイル30を各々挟み込むようにベース10に対して可動自在にホルダー20を組み立てる。このとき、ホルダー20は、図示しない上部及び下部用の弾性部材によりベース10に可動自在に固定される。
これにより、ヨーク40及びマグネット50を備えた固定部側のベース10に対して、可動部側のコイル付きのホルダー20が可動自在になされたレンズアクチュエータ1の組み立てを終了する。そして、図6Bに示すレンズアクチュエータ1に、レンズ70を収納した図6Aに示すような鏡筒60を螺合する。このとき、鏡筒60のネジ部62をホルダー20のネジ部22に噛合するようにして螺合する。鏡筒60の螺合後、ホルダー20と鏡筒60との間に接着剤を塗布して置くとよい。これにより、図1に示したようなレンズユニット100の組み立てを完了する。
その後、ステップA2に移行して、レンズユニット100をカメラに実装する。例えば、図示しないカメラのハウジング部には撮像素子が実装され、レンズユニット100のベース10をハウジング部に接着剤等を用いて取り付け、ハウジング部及びベース10を相互に締結する(固定工程)。
そして、ステップA3でレンズユニット100のコイル30に通電してレンズ焦点を調整する。この例では、カメラに実装された撮像素子に対するレンズ70の焦点を調整する。このとき、撮像素子がレンズ70を通して撮像した像をモニター等で確認しながら、光学特性が良好な位置に鏡筒60を調整する(調整工程)。
その後、ステップA4に移行して、ホルダー20及び鏡筒60を固定する。例えば、調整後のホルダー20を接着剤でベース10に固定する。鏡筒60は、レンズ焦点調整後、ホルダー20に対して事前に塗布して置いた接着剤等を用いて固定される。これにより、レンズユニット100のレンズ焦点調整を完了する。
このように、本発明に係るレンズアクチュエータ1及びその組立方法によれば、鏡筒60に収納されたレンズ70をベース10に対して駆動する場合に、ホルダー20の切り欠き部23a内に延在された内ヨーク部42aが、マグネット50、コイル30を含む第1の閉磁路を形成し、切り欠き部23b内に延在された内ヨーク部42bが、マグネット50、コイル30を含む第2の閉磁路を形成し、切り欠き部23c内に延在された内ヨーク部42cが、マグネット50、コイル30を含む第3の閉磁路を形成し、切り欠き部23d内に延在された内ヨーク部42dが、マグネット50、コイル30を含む第4の閉磁路を形成するようになる。
従って、マグネット50による磁束を第1〜第4の閉磁路を介して十分にコイル30に鎖交できるようになり、ベース10に対するホルダー20の推力F(マグネット50とコイル30による電磁力)を向上できるようになる。
しかも、ヨーク40の一部が折り返された内ヨーク部42a〜42dが、円筒状のホルダー20の切り欠き部23a〜23d内に延在されたオーバーラップ構造を採っているので、レンズアクチュエータ1の小型化を図ることができる。これにより、小型薄型及び低消費電力型のレンズアクチュエータ1を提供できるようになり、大口径のレンズを備えた超小型のカメラを提供できるようになった。
上述した実施例では、ホルダー20のネジ部22の上縁部を4箇所ほど切り欠く場合について述べたが、これに限られることはなく、ネジ部22の形成目的である光軸方向の焦点調整機能が確保されれば、ネジ部22を更に削減し、ヨーク40の折り返し部分を多く設定するようにしてもよい。ネジ部22は1箇所以上残すことによって、その焦点調整機能が損なわれないことを前提とする。これにより、低電力消費型の推力向上機能付きの磁気回路構造を提供できるようになる。
この発明は、デジタルカメラや、ビデオカメラ、携帯電話機等のカメラモジュール用のレンズユニットに適用して極めて好適である。
本発明に係るレンズ駆動装置を備えた実施の形態としてのレンズユニット100の構成例を示す一部破砕の斜視図である。 (A)及び(B)は、レンズアクチュエータ1の構成例を示す上面図及びそのX1−X1矢視断面図である。 (A)及び(B)は、ホルダー20の構成例を示す上面図及びそのX2−X2矢視断面図である。 切り欠き部23におけるヨーク40の磁気回路例を示す拡大図である。 レンズアクチュエータ1の組立例(その1)を補足する工程図である。 レンズアクチュエータ1の組立例(その2)を補足する工程図である。 レンズユニット100のレンズ焦点調整例を示すフローチャートである。 (A)及び(B)は、従来例に係るレンズアクチュエータ11の構成例を示す上面図及びそのX1−X1矢視断面図である。 (A)及び(B)は、ホルダー12の構成例を示す上面図及びそのY1−Y2矢視断面図である。 ホルダー12におけるヨーク14の磁気回路例を示す拡大図である。 レンズアクチュエータ11’の改善例を示す磁気回路の拡大図である。
符号の説明
1・・・レンズアクチュエータ(レンズ駆動装置)、10・・・ベース(基台)、20・・・ホルダー(保持部材)、21・・・円筒状部位、22・・・ネジ部、23,23a〜23d・・・切り欠き部、24・・・下方外周部、30・・・コイル、40・・・ヨーク(支持部材)、41・・・外ヨーク部、42,42a〜42d・・・内ヨーク部、50・・・マグネット(磁性体)、60・・・鏡筒、62・・・ネジ部、70・・・レンズ、100・・・レンズユニット

Claims (3)

  1. 鏡筒に収納されたレンズを基台に対して駆動するレンズ駆動装置であって、
    前記基台に対して可動自在に配置された円筒状部位を有し、かつ、当該円筒状部位の一部に凹状の切り欠き部を有して前記鏡筒を保持する保持部材と、
    前記保持部材の外周部に配置されて固定されたコイルと、
    前記コイルの外周部に配置されて前記基台に固定された支持部材と、
    前記支持部材の内周部に配置されて固定された磁性体とを備え、
    前記支持部材の一部が折り返されて前記切り欠き部内に延在され、当該切り欠き部内に延在された前記支持部材と、当該支持部材に配置固定された前記磁性体とで前記コイルを挟むように前記保持部材が組み込まれたことを特徴とするレンズ駆動装置。
  2. 前記支持部材は、
    前記コイルの外周部に配置されて前記基台に固定された部分が外ヨーク部を構成し、
    一部が折り返されて前記切り欠き部内に延在された部分が内ヨーク部を構成することを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
  3. 鏡筒に収納されたレンズを基台に対して駆動するレンズ駆動装置の組立方法であって、
    鏡筒保持用の円筒状の部材の一部を凹状の切り欠いて保持部材を形成する工程と、
    前記保持部材の外周部にコイルを配置して固定する工程と、
    基台に支持部材を固定する工程と、
    前記支持部材の内周部に磁性体を配置して固定する工程と、
    前記支持部材の一部を折り返して前記保持部材の切り欠き部内に延在させる工程と、
    前記切り欠き部内に延在された前記支持部材と、当該支持部材に配置固定された前記磁性体とで前記コイルを挟むように前記基台に対して可動自在に前記保持部材を組み込む工程とを有することを特徴とするレンズ駆動装置の組立方法。
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