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JP2008291050A - ポリイミドフィルムの表面処理方法 - Google Patents

ポリイミドフィルムの表面処理方法 Download PDF

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JP2008291050A
JP2008291050A JP2007135172A JP2007135172A JP2008291050A JP 2008291050 A JP2008291050 A JP 2008291050A JP 2007135172 A JP2007135172 A JP 2007135172A JP 2007135172 A JP2007135172 A JP 2007135172A JP 2008291050 A JP2008291050 A JP 2008291050A
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film
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Toshiyuki Tsuchiya
俊之 土屋
Satoshi Maeda
郷司 前田
Tetsuo Okuyama
哲雄 奥山
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

【課題】 引張弾性率が高いポリイミドフィルムであって、表面接着性の改良されたポリイミドフィルムを提供する。
【解決手段】 芳香族テトラカルボン酸類の残基及び芳香族ジアミン類の残基を有するポリイミドフィルム、特に芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン残基を有するポリイミドフィルムの表面接着性を改良するための表面処理方法であって、(1)ポリイミドフィルムの表層を0.5〜5.0μm厚さで除去する表層剥離工程と、ついで(2)表層を除去されたポリイミドフィルムにプラズマ処理を行うプラズマ処理工程とを含むポリイミドフィルムの表面処理方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、引張弾性率や引張破断強度に優れ、表面が均一に処理されて接着性に優れたポリイミドフィルムに関する。更に詳しくは、銅などの金属層との接着性に優れ、湿熱状態に晒された後でも接着性が優れる。そのために金属層積層基板特に銅張積層基板の基板フィルムとして使用でき、この銅張積層基板を使用したフレキシブルプリント配線板など回路基板に使用できるポリイミドフィルムに関する。
従来、フィルムの接着性を改良する目的で表面を粗面化する方法としては、ポリマー中に粒子を添加し、これを製膜する方法があるが、この処方では表面を均一に粗面化しにくく接着性改善効果は必ずしも満足し得るものではなかった。他の接着性を改良する方法として、フィルム表面を荒らす方法やフィルム表面を電気処理する方法もあり、表面を荒らす方法として、薬液処理及びサンドマットが知られている。しかし電気処理では処理後に水洗工程及び乾燥工程を経ると効果が無くなってしまう欠点があった。サンドマットでは直接研磨剤が噴射されるため、噴射部分に応力が集中するため粗大突起ができやすく、さらに薄いフィルムではピンホールが開いてしまうという欠点があった。
ピンホールの発生を避けるため弱めに処理すると、時間が掛かったり、処理斑が出来たり、粗面化効果が低かった。
多くの場合、ポリイミドフィルムは接着剤を介して金属箔と張り合わせたり、直接金属層と積層されたりする。その後金属層をエッチングして回路を形成する。更にポリイミドが露出した部分にICチップなどの半導体を接着剤で接着させる場合、エッチング工程の後、水洗工程及び乾燥工程を通るため電気処理は接着改善効果が小さくなる。そこでフィルム表面部分のみを粗面化する方法として薬液処理も知られているが効果が小さかった。
また、研磨剤(800メッシュのアルミナ(硬度9)など)を液体に分散し、これを芳香族ポリイミドフィルムの表面に30〜100m/sの速度で照射することでポリイミドフィルム表面を処理し、フィルム表面粗さが0.2μm<Ra<1μmであってこれら表面形状を表す諸関係が所定の式で表される粗面化芳香族ポリイミドフィルム(特許文献1参照)が開示されているが、Raのより細かいポリイミドフィルムの開示は無く、また湿熱状態に晒された後も金属層との積層体の接着性が悪くなるという欠点がある場合があった。また、薄いフィルムに強く照射してその表面を粗化する際には、対象フィルムの引張弾性率が低い場合には表面の微小な均一粗面化が困難で、フィルムが処理中に破損する場合があるという課題を有していた。
また、ポリイミドフィルムの表面をプラズマ、コロナ放電による表面改質処理を行うことが提案されているが、接着性の改良における再現性に課題を有しており、また初期の接着性が改良された場合でも、耐熱試験後や耐湿試験後に接着強度が低下するという問題点を有していた。
また、ポリイミドフィルムの接着性改良に、ポリイミドフィルムをアルカリ溶液で処理し、酸溶液で処理する方法も提案されている(特許文献2参照)が、アルカリ処理によってポリイミドフィルムが表層剥離ではなく溶解に到る場合もあり、その制御が困難でありまた接着性の改良の再現性においても課題を有していた。
特開2002−060512号公報 特開平07−003055号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、ポリイミドフィルムの強度を維持しつつ、金属層に対する接着性が向上し、かつその接着性が繰り返し耐熱試験などの後でも接着性を維持し得るポリイミドフィルムを提供せんとするものである。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1.芳香族テトラカルボン酸類の残基及び芳香族ジアミン類の残基を有するポリイミドフィルムの表面接着性を改良するための表面処理方法であって、(1)ポリイミドフィルムの表層を0.5〜5.0μm除去する表層剥離工程と、ついで(2)表層を除去されたポリイミドフィルムにプラズマ処理を行うプラズマ処理工程とを、少なくとも含むことを特徴とするポリイミドフィルムの表面処理方法。
2.ポリイミドフィルムが、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸残基、及び芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン残基を有するポリイミドのフィルムである前記1のポリイミドフィルムの表面処理方法。
3.ポリイミドフィルムの引張弾性率が5.5GPa以上である前記1又は2いずれかのポリイミドフィルムの表面処理方法。
4.表層剥離工程がウェットブラスト処理である前記1〜3いずれかのポリイミドフィルムの表面処理方法。
5.表層剥離工程がケミカルエッチング処理である前記1〜3いずれかのポリイミドフィルムの表面処理方法。
6.プラズマ処理工程が大気圧プラズマ処理である前記1〜5いずれかのポリイミドフィルムの表面処理方法。
本発明のポリイミドフィルムの表面接着性を改良するための表面処理方法であって、(1)ポリイミドフィルムの表層を0.5〜5.0μm厚さで除去する表層剥離工程と、(2)表層を除去されたポリイミドフィルムにプラズマ処理を行うプラズマ処理工程とを、少なくとも含むポリイミドフィルムの表面処理方法は、この表面処理方法によって得られたポリイミドフィルムの表面は接着性に優れたポリイミドフィルムとなり、特に軽少短薄な回路基板となし得る銅張積層板を効率よく生産でき、さらにこれを使用して軽少短薄回路基板とすることができ、これらの生産に極めて有効である。
本発明における、ポリイミドフィルムに使用されるポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸類の残基と芳香族ジアミン類の残基とを有するポリイミドであり、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを溶媒中で反応させて得られるポリアミド酸をイミド化させて得られる融点が300℃以上もしくは明確な融点を有しない非熱可塑性ポリイミドがより好ましく、中でも下記の芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙げられる。
A.ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類としてピロメリット酸類との組み合わせ。
B.パラフェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.上記のABの一種以上の組み合わせ。
本発明で好ましく使用できるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類として、下記の化合物が例示できる。
Figure 2008291050
Figure 2008291050
Figure 2008291050
Figure 2008291050
2,2’−p−フェニレンビス(5−アミノベンゾオキサゾール)、2,2’−p−フェニレンビス(6−アミノベンゾオキサゾール)、1−(5−アミノベンゾオキサゾロ)−4−(6−アミノベンゾオキサゾロ)ベンゼン、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:5,4−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:4,5−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:5,4−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:4,5−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:5,4−d’〕ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ〔1,2−d:4,5−d’〕ビスオキサゾール。
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン、パラフェニレンジアミンを全ジアミンの70モル%以上使用することが好ましい。
本発明におけるポリイミドフィルムには前記に限定されないで下記の芳香族ジアミンを全ジアミン30モル%未満であれば使用してもよい。
例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル及び上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明におけるポリイミドに好ましく使用できる芳香族テトラカルボン酸類として、ピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類すなわちピロメリット酸及びその無水物又はハロゲン化物、ビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類すなわちビフェニルテトラカルボン酸及びその無水物又はハロゲン化物が挙げられる。このピロメリット酸とビフェニルテトラカルボン酸とは酸性分の70モル%以上使用することが好ましく、30モル%未満であれば下記の芳香族テトラカルボン酸などを使用してもよい。
Figure 2008291050
Figure 2008291050
Figure 2008291050
Figure 2008291050
これらのテトラカルボン酸は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマー及び生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられるが、なかでもN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましく適用される。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜20質量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌及び/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましく、なおさらに5.0dl/g以上が好ましい。
また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の溶液を製造するのに有効である。
さらに、以下述べるポリアミド酸の溶液を支持体上に流延・塗布するに際して予め減圧などの処理によって該溶液中の気泡や溶存気体を除去しておくことも、本発明のポリイミドフィルムを得るために有効な処理である。
ポリアミド酸溶液を流延(塗布)する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラム又はベルト状回転体などが挙げられる。また、適度な剛性と高い平滑性を有するポリイミドフィルムを利用する方法も好ましい態様である。中でも、支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。また支持体の差によって乾燥における風量や温度は適宜選択採用すればよく、支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
前記で流延(塗布)・乾燥して得られるポリアミド酸フィルムをイミド化・熱処理する方法として、閉環(イミド化)触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒及び脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒及び脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができる。
熱閉環法の熱処理温度は、150〜500℃が好ましく、熱処理温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間熱処理するところの初期段階熱処理と後段階熱処理とを有する2段階熱処理工程が挙げられる。
熱閉環反応であっても、化学閉環法であっても、支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体(グリーンフィルムともいう)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、1〜150μm、好ましくは2〜50μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明のポリイミドには、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどして成形品表面に微細な凹凸を付与し成形品の滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
前記のようにして得られたポリイミドフィルムを、(1)ポリイミドフィルムの表層を0.5〜5.0μm除去する表層剥離工程と、(2)表層を除去されたポリイミドフィルムにプラズマ処理を行うプラズマ処理工程とを少なくとも含む表面処理によってポリイミドフィルムの接着性を改善する。使用されるポリイミドフィルムとしては、ポリイミドフィルムが、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸残基、及び芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン残基を有するポリイミドのフィルムが好ましく、またポリイミドフィルムの引張弾性率が5.5GPa以上であるポリイミドフィルムが好ましい。
(1)ポリイミドフィルムの表層を0.5〜5.0μm除去する表層剥離工程としては、ポリイミドフィルムの表層を均一に剥離しうる方法であれば、特に限定されるものではないが、好ましくはウェットブラスト処理、又はケミカルエッチング処理である。
ウェットブラスト処理としては、粒子含有スラリーをフィルム面に噴射するウェットブラスト処理であり、そのスラリー噴射エアー圧が、0.01〜10MPaであることが好ましく、さらにウェットブラスト処理に使用するスラリー中粒子の平均粒子径が、0.5〜500μmであることが好ましく、ウェットブラスト処理に使用するスラリーのpHが8〜14であることが好ましく適用できる。
また、ケミカルエッチング処理としては、たとえば、ヒドラジンヒドラートとエチレンジアミンを含むヒドラジン溶液、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の溶液、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物にアルコールを含有するエッチング液、水酸化アルカリとヒドラジンと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを主成分とするエッチング液などのケミカルエッチング液による処理が挙げられるが、これらのケミカルエッチング液で表層剥離処理をして後酸溶液で処理する方法がより好ましく適用できる。
(2)表層を除去されたポリイミドフィルムにプラズマ処理を行うプラズマ処理工程としては、プラズマによる表面処理であれば特に限定されるものではないが、これらの手段は一般的な高分子フィルムの分野では公知の表面改質手段であり、好ましくは、窒素のみ、あるいは窒素を20体積%以上含む混合気体の大気圧雰囲気下でのプラズマ放電処理であり、その場合、窒素の含有量が30体積%以上が好ましく、50体積%以上が特に好ましい。ここで、不活性ガスは好ましくはアルゴンである。例えば同じプラズマ放電法を採用するにしても酸素プラズマによる処理では表面の脆化が顕著となり耐湿試験後の接着性が低下する。
このように、本発明は、窒素を20体積%以上含む気体中で、ベンゾオキサゾール構
造を有する芳香族ジアミン類などと芳香族テトラカルボン酸無水物類とを縮重合してなるポリイミドを含有するフィルムの少なくとも片面をプラズマ放電処理を包含する。
前記のようにして得られた表面処理されたポリイミドフィルム(ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム)は、表面処理後のポリイミドフィルムの厚さ斑が5%以内であるものが好ましく、厚さ斑は次のようにして測定したものである。
厚さ斑=100×(最大厚さ−最小厚さ)/平均厚さ [%]
上述した表面処理されたポリイミドフィルム(ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム)を用いた銅張積層基板と回路基板のプリント配線基板を説明する。
銅張積層基板は、絶縁基板としてのポリイミドフィルムの少なくとも片面に銅金属層を積層してなる構成の略平板状の基板である。積層される銅金属層は、エッチング等の加工によって回路を形成することが意図される回路用の金属層であってもよいし、特に後加工をせずに絶縁板と一緒になって放熱等の目的に用いられる金属層であってもよい。プリント配線基板の用途としては、FPC、TAB用キャリアテープ等が、高温環境下における膨れや剥がれが小さいという本発明のポリイミドフィルムの特徴を活かすことができるため好ましい。ポリイミドフィルムの少なくとも片面に積層される金属は特に限定はなく、好ましくは銅、アルミニウム、ステンレス鋼などである。 積層方法は特に問わず、接着剤を用いてポリイミドフィルムに金属板を貼り付ける方法、金属板を支持体として、そこにポリアミド酸溶液を塗布して上述のようにイミド化してフィルムを形成させる方法、ポリイミドフィルムに蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの乾式製膜法(真空コーティング技術)を用いて金属層を形成する方法、無電解めっき、電気めっきなどの湿式メッキ法により金属層をポリイミドフィルムに形成する方法などが挙げられる。
これらの方法を単独で、あるいは組み合わせることによってポリイミドフィルム(ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム)の少なくとも片面に金属層を積層することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.フィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン(商品名)1254D)を用いて測定した。
3.接着性の評価方法
測定対象の金属化フィルム(銅張積層体)を90μm配線幅のTABテープパターンに加工した後、90度方向に引き剥がしたときに要する強度を以って初期剥離強度とした。
また上記のパターンを121℃、100%RH、2気圧、96時間の条件で湿熱処理を行った。その後、90度方向に引き剥がしたときに要する強度を以ってPCT処理後の剥離強度とした。
測定は、JIS C6481に準じて引張試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフ(商品名)機種名AG−5000A)を用いて行った。
4.TABテープパターンPCT処理後の外観評価
外観の良否は、接着性の評価に使用した90μm配線幅のTABテープパターンを121℃、100%RH、2気圧、96時間の条件で湿熱処理を行った後、外観観察を目視で実施した。接着剤とフィルムとの界面に膨れが生じないものを良好、膨れが生じたものを不良と判断した。
5.ポリイミドフィルムの引張破断強度、引張弾性率の測定
測定対象のポリイミドフィルムを、MD方向及びTD方向にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(商品名)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。
6.引き裂き伝播抵抗の測定
JIS P8116で規定する引裂伝播抵抗の測定法に従い、さらに、引裂伝播抵抗値がフィルム厚さに比例するとして、1.0mm厚さに換算して数値化した。
7.フィルムの表層剥離量の測定
フィルム表層の剥離量は、フィルムに市販のポリイミド接着テープでマスキングし、表層剥離処理をおこなった後ポリイミド接着テープを剥離することで、ブラスト未処理部位を作製した。処理部位と未処理部位との段差を微細形状測定装置アルファステップIQ(株:KLAテンコール製)を用いて測定し、得られた値をポリイミドの表層剥離量とした。
8.厚さ斑
フィルムの厚さ斑は、フィルムの100×100mm以上の範囲において、少なくとも10箇所以上の厚みを測定し、以下の数式により算出した。
厚さ斑=100×(最大厚さ−最小厚さ)/平均厚さ [%]
〔ポリアミド酸溶液(1)の重合〕
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール500質量部を仕込んだ。次いで、次いで、N−メチル−2−ピロリドン5000質量部を加えて完全に溶解させた後,ピロメリット酸二無水物485質量部を加えた。次いで、別に蒸留したN−メチル−2−ピロリドン50質量部に、コロイダルシリカを1000ppm混合して、ホモジナイザーで15分攪拌後加えた後、25℃の反応温度で48時間攪拌すると、淡黄色で粘調なポリアミド酸溶液(1)が得られた。得られた溶液のηsp/Cは4.1dl/gであった。
〔ポリアミド酸溶液(2)の重合〕
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物(PMDA)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を用い、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とパラフェニレンジアミン(P−PDA)の4種のモノマーをPMDA/BPDA/ODA/P−PDAとが0.6/0.6/0.2/1.0のモル比でジメチルフォルムアミド(DMF)中重合し、モノマー仕込濃度が、16質量%となるようにして、ポリアミド酸のDMF溶液(2)を作製した。得られた溶液のηsp/Cは3.1dl/gであった。
〔ポリアミド酸溶液(3)の重合〕
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、ピロメリット酸無水物545質量部、4,4’ジアミノジフェニルエーテル400質量部と5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール100質量部を5000質量部のジメチルアセトアミドに溶解した。次いで、別に蒸留したN−メチル−2−ピロリドン50質量部に、コロイダルシリカを1000ppm混合して、ホモジナイザーで15分攪拌後加えた後、25℃の反応温度で48時間攪拌すると、淡黄色で粘調なポリアミド酸溶液(3)を得た。得られた溶液のηsp/Cは3.5dl/gであった。
〔ポリイミドフィルムAの作製〕
上記のポリアミド酸溶液(1)をステンレスベルトにT型ダイを用いてコーティングした。ダイのリップギャップは260μmであった。次いで、90℃にて60分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離し、連続式の乾燥炉にて、170℃で3分間、次いで、約20秒間で450℃にまで昇温して450℃にて7分間加熱して、その後、5分間で室温にまで冷却し、厚さ9.8μmの褐色のポリイミドフィルムAを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
〔ポリイミドフィルムBの作製〕
上記のポリアミド酸溶液(2)をステンレスベルトにT型ダイを用いてコーティングした。ダイのリップギャップは270μmであった。次いで、90℃にて60分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離し、連続式の乾燥炉にて、170℃で3分間、次いで、約20秒間で450℃にまで昇温して450℃にて7分間加熱して、その後、5分間で室温にまで冷却し、厚さ10.1μmの褐色のポリイミドフィルムBを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
〔ポリイミドフィルムCの作製〕
上記のポリアミド酸溶液(3)をステンレスベルトにT型ダイを用いてコーティングした。ダイのリップギャップは265μmであった。次いで、90℃にて60分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離し、連続式の乾燥炉にて、170℃で3分間、次いで、約20秒間で450℃にまで昇温して450℃にて7分間加熱して、その後、5分間で室温にまで冷却し、厚さ10.5μmの褐色のポリイミドフィルムCを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
Figure 2008291050
(実施例1)
基材として、上記のポリイミドフィルムAを用いウェットブラスト装置を使用して、下記の条件でウェットブラスト処理を実施した。
粒子:平均粒径3μmアルミナ
ノズルスリット巾:1mm/長さ600mm
エアー圧力:0.1MPa
フィルム搬送速度:100mm/分、
処理液:純水
処理後のフィルムを30℃で10分間水洗した後、乾燥を80℃で1時間行うことで表面粗化フィルムを得た。
得られた表面粗化フィルムについて、大気圧プラズマ処理装置を使用して、下記の条件で大気圧プラズマ処理を実施した。
電極間距離:2.0mm
電極幅:500mm
ガス流量:窒素 15L/分、酸素:窒素の4%(1L/分以下)
電力条件:400W:150V、2.67A、30kHz
処理時間:30秒
上記表面処理ポリイミドフィルムに対して、エポキシ系接着剤(UR2700:東洋紡績株式会社製)を塗工して、5分間80℃にすることで接着剤の溶媒を蒸発させた。その後、厚さ35μmの銅箔(BHY−22B−T、株式会社日鉱マテリアルズ製)をラミネーターで積層した。
その後、150℃にて2時間処理することで接着剤を硬化させた。その後、このフィルムを250mm×400mmに切り出すことで、金属化ポリイミドフィルムを得た。
測定対象の金属化ポリイミドフィルムを90μm配線幅のTABテープパターンに加工した後、90度方向に引き剥がしたときに要する強度を以って剥離強度とした。測定は、JIS C6481に準じて引張試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフ(商品名)機種名AG−5000A)を用いて行った。フィルムの表面性状などの評価、及び剥離強度を測定した結果を表2に示す。
(実施例2〜4、比較例1)
実施例1と同様の方法で、ウェットブラスト処理のフィルム搬送速度や処理回数を変化させることで、フィルム表層剥離量をコントロールしたフィルムを得た。得られたそれぞれの表面粗化フィルムについて、実施例1と同様の方法で表面処理フィルム、金属化ポリイミドフィルム、TABテープパターンを得て、評価、剥離強度を測定した。評価結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例4で得られたウェットブラスト処理フィルムを用い、大気圧プラズマ処理を行わずに実施例1と同様にして、金属化ポリイミドフィルム、TABテープパターンを得て、評価、剥離強度を測定した。評価結果を表2に示す。
(比較例3)
ウェットブラスト処理を行わずに実施例1と同様にして大気圧プラズマ処理を行い、金属化ポリイミドフィルム、TABテープパターンを得て、評価、剥離強度を測定した。評価結果を表2に示す。
(比較例4)
基材として、ポリイミドフィルムAを用い、表面処理を行わずに実施例1と同様にして金属化ポリイミドフィルム、TABテープパターンを得て、評価、剥離強度を測定した。評価結果を表2に示す。
(実施例5〜9、比較例5、6)
基材として、上記のポリイミドフィルムAを用い、表層剥離法として、ウェットブラスト法の代わりに以下に示すケミカルエッチング法を用いた以外は、実施例1と同様の方法で表面粗化フィルム、TABテープパターンを得て、評価、剥離強度を測定した。評価結果を表2に示す。
〔ケミカルエッチング〕
フィルムを離型フィルムに張り付け、アルカリ性エッチング液(KOH33.5%、水33.5%、エチレンジアミン33%)を用いて、フィルムの片面についてのみケミカルエッチングを行った。エッチング温度及び処理時間を変化させることで、表層剥離量をコントロールした。80℃で30秒間エッチングしたときの剥離量が約7.5μmであった(比較例6)。
エッチング後、離型フィルムからフィルムを剥離し、温水中で超音波洗浄を行うことにより、ポリイミド表面に残留しているアルカリ変性層を除去し、さらに0.5M−HClで極表面に微小残存したアルカリ変性層を中和した。
(比較例7)
実施例6で得られたケミカルエッチング処理フィルムを用い、大気圧プラズマ処理を行わずに実施例1と同様にして、金属化ポリイミドフィルム、TABテープパターンを得て、評価、剥離強度を測定した。評価結果を表2に示す。
(実施例10、11)
基材として、上記のポリイミドフィルムBを用い、ウェットブラスト法により表層剥離を行った後、実施例1と同様にして金属化ポリイミドフィルム、TABテープパターンを得て、評価、剥離強度を測定した。評価結果を表2に示す。
(実施例12、13)
基材として、上記のポリイミドフィルムBを用い、ケミカルエッチング法により表層剥離を行った後、実施例1と同様にして金属化ポリイミドフィルム、TABテープパターンを得て、評価、剥離強度を測定した。評価結果を表2に示す。
(実施例14、15)
基材として、上記のポリイミドフィルムCを用い、ウェットブラスト法により表層剥離を行った後、実施例1と同様にして金属化ポリイミドフィルム、TABテープパターンを得て、評価、剥離強度を測定した。評価結果を表2に示す。
(実施例16、17)
基材として、上記のポリイミドフィルムCを用い、ケミカルエッチング法により表層剥離を行った後、実施例1と同様にして金属化ポリイミドフィルム、TABテープパターンを得て、評価、剥離強度を測定した。評価結果を表2〜4に示す。
表中の記号の意味は以下のとおりである。
WB:ウェットブラスト
CE:ケミカルエッチング
総合評価基準
○:PCT後剥離強度>2.0kN/cm、かつPCT後外観良好。
△:PCT後剥離強度<2.0kN/cm、もしくはPCT後外観不良。
×:PCT後剥離強度<2.0kN/cm、かつPCT後外観不良。
Figure 2008291050
Figure 2008291050
Figure 2008291050
本発明により、引張弾性率が高いポリイミドフィルムで、芳香族テトラカルボン酸類の残基及び芳香族ジアミン類の残基を有するポリイミドフィルム、特に芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン残基を有するポリイミドフィルムの表面接着性を改良するための表面処理方法であって、(1)ポリイミドフィルムの表層を0.5〜5.0μm厚さで除去する表層剥離工程と、ついで(2)表層を除去されたポリイミドフィルムにプラズマ処理を行うプラズマ処理工程とを含むポリイミドフィルムの表面処理方法は、微小な粗面化と均一な粗面化を共に有する表面接着性の改善されたポリイミドフィルムを得ることができ、接着性が高められた極めて薄いポリイミドフィルムを得ることが可能となり、かかる性能のポリイミドフィルムが効率よく生産することができ、軽少短薄な電子部品のための銅張積層基板、それを使用したフレキシブルプリント回路基板などの回路基板を作製することが可能であり有用である。

Claims (6)

  1. 芳香族テトラカルボン酸類の残基及び芳香族ジアミン類の残基を有するポリイミドフィルムの表面接着性を改良するための表面処理方法であって、(1)ポリイミドフィルムの表層を0.5〜5.0μmの厚さで除去する表層剥離工程と、ついで(2)表層を除去されたポリイミドフィルムにプラズマ処理を行うプラズマ処理工程とを、少なくとも含むことを特徴とするポリイミドフィルムの表面処理方法。
  2. ポリイミドフィルムが、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸残基、及び芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン残基を有するポリイミドのフィルムである請求項1記載のポリイミドフィルムの表面処理方法。
  3. ポリイミドフィルムの引張弾性率が5.5GPa以上である請求項1又は2いずれかに記載のポリイミドフィルムの表面処理方法。
  4. 表層剥離工程がウェットブラスト処理である請求項1〜3いずれかに記載のポリイミドフィルムの表面処理方法。
  5. 表層剥離工程がケミカルエッチング処理である請求項1〜3いずれかに記載のポリイミドフィルムの表面処理方法。
  6. プラズマ処理工程が大気圧プラズマ処理である請求項1〜5いずれかに記載のポリイミドフィルムの表面処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015222729A (ja) * 2015-08-03 2015-12-10 パナソニックIpマネジメント株式会社 燃料電池セパレータ

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