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JP2008287948A - シールドツイストペアケーブル - Google Patents

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Abstract


【課題】従来のシールド層に編組を用いたシールドツイストペアケーブルに比較して、同程度の十分なシールド性能を有し、細径化および軽量化でき、端末加工が容易なシールドツイストペアケーブルを提供すること。また他の課題は、このシールドツイストペアケーブルを用いたワイヤーハーネスを提供すること。
【解決手段】シールドツイストペアケーブル10は、一対のコア電線16と少なくとも2本以上のドレイン線18とが撚り合わされてなるツイストペア線を有している。ドレイン線18は、シールドツイストペアケーブル10の長手方向に略垂直な断面において、一対のコア電線16同士が近接または隣接して形成された2カ所の凹部20に対向して配置されており、任意の断面において略同一の配置となっている。また、外皮絶縁層12と導体箔14とが、接着層により接着されていると良い。
【選択図】図1

Description

本発明は、シールドツイストペアケーブルに関し、さらに詳しくは、車載機器やOA機器、家電機器等の通信用ケーブル等に好適に用いられるシールドツイストペアケーブルに関するものである。
従来、車載機器やOA機器、家電機器等の幅広い分野で、LAN等のデジタル信号通信に2芯平衡ケーブルとしてツイストペアケーブルが広く用いられている。ツイストペアケーブルは、ツイストによる誘導起電力の打ち消しと、差動通信による同相ノイズの除去の効果があり、一般に耐誘導ノイズ性能に優れていることが知られている。
しかし、近年の電磁環境の悪化や通信の高速化を背景に、ツイストペアケーブルの周囲にシールド層が設けられたシールドツイストペアケーブルが用いられるケースが増加している。これは、外部からの電磁ノイズの遮蔽や、ツイストペア間のクロストークの防止を目的としたものである。
上記シールドツイストペアケーブルとしては、例えば、信号導体の周りが絶縁被覆された一対のコア電線を撚り合わせたツイストペア線の外周に、シールド層として、金属細線を多数本編んで形成された編組を設けたものが多く用いられている。特に、電磁環境の厳しい用途で使用される場合に好適に用いられる。
また、特許文献1には、シールド層としてのアルミニウム箔を、2本のコア電線と1本のドレイン線にそれぞれ被覆し、これらを撚り合わせたシールドツイストペアケーブルが開示されている。
特開平7−326229号公報
しかしながら、上記編組をシールド層に用いたシールドツイストペアケーブルは、ケーブル径が太くなりやすく、重量が増加してしまうといった問題があった。そして、端末加工の際にはコア電線を編組の編目から引き出す必要があり、非常に煩雑で、容易ではなかった。
また、特許文献1に記載のシールドツイストペアケーブルは、上記編組をシールド層に用いたシールドツイストペアケーブルと比較して、細径化および軽量化が可能であるが、シールド性能に劣るという問題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、従来の編組を用いたシールドツイストペアケーブルに比較して、同程度の十分なシールド性能を有し、細径化および軽量化でき、端末加工が容易なシールドツイストペアケーブルを提供することにある。また他の課題は、このシールドツイストペアケーブルを用いたワイヤーハーネスを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係るシールドツイストペアケーブルは、信号導体の周りが絶縁被覆された一対のコア電線とドレイン線とが撚り合わされてなるツイストペア線と、上記ツイストペア線の外周を覆う導体箔と、上記導体箔の外周を覆う外皮絶縁層とを有するシールドツイストペアケーブルであって、上記ツイストペア線は、少なくとも2本以上のドレイン線が撚り合わされてなることを要旨とするものである。
ここで、上記シールドツイストペアケーブルの長手方向に略垂直な断面において、上記ドレイン線は、上記一対のコア電線同士が近接または当接して形成された2カ所の凹部に対向して配置されており、任意の断面において略同一の配置となっていることを特徴としている。
また、上記外皮絶縁層と上記導体箔とが、接着層により接着されていることが好ましい。
そして、上記本発明に係るシールドツイストペアケーブルは、車載用であると良い。
さらに、本発明に係るワイヤーハーネスは、上記シールドツイストペアケーブルを有していると良い。
本発明に係るシールドツイストペアケーブルによれば、一対のコア電線に対して、少なくとも2本以上のドレイン線が撚り合わされてなるツイストペア線を有しているため、2芯平衡ケーブルとして差動伝送に用いられる場合には、良好なシールド性能が得られる。
このとき、上記シールドツイストペアケーブルの長手方向に略垂直な断面において、上記ドレイン線が、上記一対のコア電線同士が近接または隣接して形成された2カ所の凹部に対向して配置されており、任意の断面において略同一の配置となっていれば、編組をシールド層に用いたシールドツイストペアケーブルと同程度の十分なシールド性能が得られる。
また、シールド層として導体箔を用いているため、従来の編組を用いたシールドツイストペアケーブルに比較して、細径化および軽量化することができる。
そして、上記外皮絶縁層と上記導体箔とが接着層により接着されていれば、外皮絶縁層を剥離するときに、導体箔を外皮絶縁層に付随させて剥がすことができる。この結果、コア電線やドレイン線をシールドツイストペアケーブルから容易に引き出すことができ、端末加工を容易に行うことができる。
また、本発明に係るシールドツイストペアケーブルを、車載に用いれば、シールドツイストペアケーブルが多く搭載される自動車などにおいて、通信性能を損なわずに、車両の軽量化を図ることができる。
一方、本発明に係るワイヤーハーネスは、上記シールドツイストペアケーブルを有しているため、十分なシールド性能を得ることができるとともに、細径化および軽量化を図ることができる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
本発明に係るシールドツイストペアケーブルは、少なくとも、ツイストペア線と、ツイストペア線の外周を覆う導体箔と、導体箔の外周を覆う外皮絶縁層とを有している。また、外皮絶縁層と導体箔とは接着層により接着されていると良い。
上記ツイストペア線は、一対のコア電線と少なくとも2本以上のドレイン線とが撚り合わされてなる。
上記ドレイン線の本数は、特に限定されないが、好ましくは、一対のコア電線に対して、2本設けられていると良い。一対のコア電線に対してドレイン線が2本設けられていれば、十分なシールド性能を得ることができるとともに、軽量化を図ることができるからである。
また、上記シールドツイストペアケーブルの長手方向に略垂直な断面において、上記ドレイン線は、上記一対のコア電線同士が近接または当接して形成された2カ所の凹部に対向して配置されており、任意の断面において同一の配置となっている。
なお、上記ドレイン線は、上記シールドツイストペアケーブルの全長に渡って、導体箔に接触するように配置されている。
図1に、本発明の一実施形態に係るシールドツイストペアケーブルの一例を示す。
図1は、シールドツイストペアケーブルを長手方向に略垂直な面で切断したときの断面図である。シールドツイストペアケーブル10は、一対のコア電線16と、2本のドレイン線18とからなるツイストペア線を有している。また、このツイストペア線の外周には、導体箔14が設けられ、さらにこの導体箔14の外周には、外皮絶縁層12が設けられている。
ドレイン線18は、コア電線16が近接または隣接して形成された2カ所の凹部20に対向して配置されており、任意の断面において同一の配置となっている。また、ドレイン線18は、シールドツイストペアケーブル10の全長に渡って、導体箔14に接触するように配置されている。
ドレイン線の材質は、導体であれば特に限定されず、例えば、軟銅、錫メッキ軟銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を例示することができる。
ドレイン線の線径は、特に限定されず、コア電線の線径に合わせて、適宜変更することができる。
また、ドレイン線は、単線でも良く、複数本の素線からなる撚線でも良いが、好ましくは撚線が良い。シールドツイストペアケーブル製造時に最適だからである。
上記コア電線は、例えば、軟銅、錫メッキ軟銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等からなる導体の外周に、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂等からなる被覆層を設けたものを例示することができるが、特にこれに限定されるものではなく、任意のものを用いることができる。また、これらの発泡層を用いることもできる。
また、コア電線の導体径、絶縁厚は、特に限定されるものではなく、使用される通信規格に応じて適宜変更することができる。
上記導体箔の材料としては、例えば、銅、錫メッキ銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ニッケル等の磁性材料、合成樹脂フィルムに金属層を形成したもの等を例示することができるが、特にこれに限定されない。
また、導体箔の厚さは、導体箔の材質や、ツイストペア線の線径などに応じて、適宜変更することができる。必要に応じて、導体箔を複数枚重ねて使用することもできる。
上記導体箔の外周に設けられる外皮絶縁層の材料としては、例えば、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのオレフィン系樹脂、エチレン−プロピレンゴムやブタジエンゴムなどの樹脂に、金属水和物(水酸化マグネシウムなど)などのノンハロゲン系難燃剤や各種添加剤を添加してなる組成物を例示することができるが、特にこれに限定されない。
また、外皮絶縁層の厚さは、特に限定されるものではなく、用途に合わせて適宜定めることができる。
さらに、上記導体箔の片面に接着層が設けられており、上記外皮絶縁層と上記導体箔とが接着されていると良い。
上記粘着層の材料としては、例えば、スチレンブタジエンゴムや天然ゴム、アクリル酸樹脂、オレフィン系樹脂等を例示することができるが、特にこれに限定されない。
次にシールドツイストペアケーブルの製造方法の一例について説明する。
まず、導体の外周に、押出機などを用いて絶縁層を押出被覆してコア電線を製造する。コア電線は、必要に応じて架橋されていても良い。架橋手段としては、過酸化物架橋、シラン架橋、電子線架橋、動的架橋などが挙げられるが、特に限定されない。
次いで、上記のように製造したコア電線一対と少なくとも2本以上のドレイン線を、集合撚り機などを用いて同時に撚り合わせ、ツイストペア線を製造する。この際、各コア電線および各ドレイン線にかかる張力をほぼ同一にして、上記コア電線と上記ドレイン線とを均等に撚り合わせると良い。
また、各ドレイン線は、コア電線同士が近接または隣接して形成された2カ所の凹部に、対向して配置されるように撚り合わせると良い。上記のようにして形成されたツイストペア線は、長手方向に任意の面で切断したときに、略同一の断面となるように撚り合わせるのが好ましい。
そして、上記ツイストペア線の撚りピッチは、特に限定されるものではないが、シールド性能などの観点から、好ましくは、20〜50mm、より好ましくは、20〜30mmが良い。
次いで、上記ツイストペア線の外周に、導体箔および外皮絶縁層を形成する。上記導体箔は、平面状のものを縦添えして巻いても良い。また、長尺の導体箔をツイストペア線の外周に螺旋状に巻いても良い。
そして、導体箔の外周に押出機などを用いて外皮絶縁層を被覆し、シールドツイストペアケーブルを製造する。このとき、導体箔を縦添えする場合には、導体箔をツイストペア線に巻くときに、同ラインで外皮絶縁層を押し出し被覆すると良い。また、図2に示すように、上記ツイストペア線の周囲に導体箔を形成したものを多数本撚り合わせた後、外皮絶縁層を形成しても良い。
上記のように構成されたシールドツイストペアケーブルは、例えば車載に用いることができる。
また、本発明に係るワイヤーハーネスは、上記シールドツイストペアケーブルを有している。
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(実施例)
本実施例では、断面積が0.22mmの軟銅撚線の外周に、押出機を用いてポリエチレンを0.425mmの厚さで押出被覆した後、電子線架橋装置を用いて架橋し、コア電線を製造した。
そして、上記コア電線2本と、断面積0.35mmの錫メッキ軟銅撚線のドレイン線2本とを集合撚り機を用いて、撚りピッチ25mmで同時に撚り合わせ、ツイストペア線を製造した。
次いで、ツイストペア線の外周に、導体箔として錫メッキ銅箔付きポリエチレンテレフタレート(PET)テープを用いて、縦添え加工で上記ツイストペア線を巻回した。その後、ポリ塩化ビニルを0.40mmの厚さで押し出し被覆した。
(比較例1)
本比較例1では、上記実施例と同様にして製造したコア電線を用いた。上記コア電線を、集合撚り機を用いて撚りピッチ25mmで撚り合わせ、ツイストペア線を製造した。
次いで、ツイストペア線の外周に、径0.12mmの錫メッキ軟銅線よりなる、持ち本数6本、打ち本数16本の編組を形成した。そして、編組の外周に、外皮絶縁層としてポリ塩化ビニルを0.40mmの厚さで押し出し被覆した。
(比較例2)
本比較例2では、上記実施例において、ドレイン線を1本のみ用いたこと以外は同一の条件としてシールドツイストペアケーブルを製造した。
(シールド性能試験)
実施例および比較例に係るシールドツイストペアケーブル(以下、「試料」という。)について、クロストーク量を測定し、シールド性能を評価した。以下、測定方法について説明する。
クロストーク量
クロストーク量は、ネットワークアナライザ(ヒューレッドパッカード社製、「4396B」)を用いて測定した。
図3に示すように、ネットワークアナライザ40の出力端子42には断面積0.5mmの誘導線44が接続され、誘導線44の他方には50Ωの終端抵抗52が接続されている。
また、ネットワークアナライザ40の入力端子46には、バラン48(平衡-不平衡変換器)を介して試料50が接続されており、試料50の他方にはバラン48を介して50Ωの終端抵抗52が接続されている。また、試料50のドレイン線および編組の一端はアースに接地され、片端は開放されている。さらに、試料50は、誘導線44に平行に3m隙間なく併走して配置されている。
まず、ネットワークアナライザ40の出力端子42から誘導線44に15dbmの高周波信号を入力信号として入力する。そして、誘導線44に併走して設けられた試料50に誘起された信号(クロストークノイズ)を、ネットワークアナライザ40の入力端子46に出力信号として入力し、入力信号に対する出力信号の減衰量を測定した。試料に誘起されたノイズが小さいほど、クロストーク量の値が小さくなり、シールド性能が高いことを示している。実施例および比較例のシールドツイストペアケーブルについて、クロストーク量を測定し、相対的に評価した。
クロストーク量の測定結果を図4に示す。
図4より、実施例のドレイン線を2本用いたシールドツイストペアケーブルは、比較例1の編組を用いたシールドツイストペアケーブルと100K〜1GHzの帯域で同程度のクロストーク量の値を示していることがわかる。一方、比較例2のドレイン線を1本のみ用いたシールドツイストペアケーブルでは、実施例および比較例1よりもクロストーク量の値が1M〜1GHzの帯域で最大20dB大きくなった。
この結果から、ドレイン線を2本用いたシールドツイストペアケーブルでは、ドレイン線を1本のみ用いたシールドツイストペアケーブルに比べてシールド効果に優れ、従来の編組を用いたシールドツイストペアケーブルと同程度のシールド性能を有することがわかる。
なお、上記シールド性能の測定において、シールドツイストペアケーブルを端子に接続する際に、編組を用いた比較例1のシールドツイストペアケーブルでは、編組からコア電線を引き出して端子に接続するのに手間を要した。一方、シールド層に導体箔を用いた実施例および比較例2のシールドツイストペアケーブルでは、外皮絶縁層を剥離してツイストペア線の撚りをほぐせば、容易にコア電線とドレイン線を分離でき、手間をかけずに端子に接続することができた。
また、シールド層に導体箔を用いた実施例のシールドツイストペアケーブルは、編組を用いた比較例1のシールドツイストペアケーブルよりも、線径が約13%細く、重量が約7%軽くなった。
したがって、本実施例により、本発明に係るシールドツイストペアケーブルは、従来の編組を用いたシールドツイストペアケーブルに比較して、同程度の十分なシールド性能を有し、細径化および軽量化でき、端末加工が容易であることが確認できた。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係るシールドツイストペアケーブルは、車載機器やOA機器、家電機器等の通信用ケーブル等に好適に用いることができる。
本発明の一実施形態に係るシールドツイストペアケーブルの概略図である。 本発明の一実施形態に係るシールドツイストペアケーブルの概略図である。 クロストーク量の測定方法の説明図である。 クロストーク量の測定結果を示す図である。
符号の説明
10・・・シールドツイストペアケーブル
12・・・外皮絶縁層
14・・・導体箔
16・・・コア電線
18・・・ドレイン線
20・・・凹部

Claims (5)

  1. 信号導体の周りが絶縁被覆された一対のコア電線とドレイン線とが撚り合わされてなるツイストペア線と、前記ツイストペア線の外周を覆う導体箔と、前記導体箔の外周を覆う外皮絶縁層とを有するシールドツイストペアケーブルであって、
    前記ツイストペア線は、少なくとも2本以上のドレイン線が撚り合わされてなることを特徴とするシールドツイストペアケーブル。
  2. その長手方向に略垂直な断面において、前記ドレイン線は、前記一対のコア電線同士が近接または当接して形成された2カ所の凹部に対向して配置されており、任意の断面において略同一の配置となっていることを特徴とする請求項1に記載のシールドツイストペアケーブル。
  3. 前記外皮絶縁層と前記導体箔とが、接着層により接着されていることを特徴とする請求項1または2に記載のシールドツイストペアケーブル。
  4. 車載用であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のシールドツイストペアケーブル。
  5. 請求項1から4の何れかに記載のシールドツイストペアケーブルを含むことを特徴とするワイヤーハーネス。
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