JP2008268675A - 転写ロール及びその製造方法、並びに、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高温高湿環境下に保管されても、画像形成装置において画像ズレや濃度ムラの発生を十分に抑制することが可能な転写ロールを提供すること。
【解決手段】 導電性の芯体1と、該芯体1の外周上に配置された弾性層2と、を有し、前記芯体1と前記弾性層2とは、それらの間に部分的に形成された接着剤層3を介して接着されており、前記芯体1の外周面のうち前記弾性層2が配置されている接合面a内の任意の10mm×10mmの領域内で、前記接着剤層3が形成されている部分の面積の割合が30〜70%であることを特徴とする転写ロール。
【選択図】 図2
【解決手段】 導電性の芯体1と、該芯体1の外周上に配置された弾性層2と、を有し、前記芯体1と前記弾性層2とは、それらの間に部分的に形成された接着剤層3を介して接着されており、前記芯体1の外周面のうち前記弾性層2が配置されている接合面a内の任意の10mm×10mmの領域内で、前記接着剤層3が形成されている部分の面積の割合が30〜70%であることを特徴とする転写ロール。
【選択図】 図2
Description
本発明は、転写ロール及びその製造方法、並びに、画像形成装置
電子写真方式を利用した画像形成装置では、像担持体である電子写真感光体(以下、場合により「感光体」と略す)上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等により静電潜像を形成した後、帯電したトナーで上記静電潜像を現像して可視化したトナー像とする。そして、このトナー像を、中間転写体を介して或いは直接記録媒体に静電的に転写することにより、所望の転写画像を得ることができる。
こうした一連の画像形成プロセスにおいて、感光体から中間転写体や記録媒体等にトナー像を転写する際には、半導電性ロールを感光体に接触又は近接させて電圧を印加することにより転写を行う、接触式転写ロールが用いられている。
転写ロールは、一般的に円柱状の金属製の芯体(シャフト)と、この芯体の周囲に同心円状に積層された加硫発泡ゴム層(弾性層)とから構成されており、良好な画像を得るために、均一な導電性及び均一な外径を有していることが必要とされる。転写ロールは、通常、ゴム層となるゴムチューブに芯体を圧入するか、金型内に芯体を配置した後にゴム層となるゴム材料を金型内に注入することで形成されるが、転写ロールの回転によってゴム層と芯体がずれるのを防止するために、ゴム層と芯体との間は、絶縁性もしくは導電性の接着剤で接合されることが多い。
従来、接着剤の塗布は、ゴム層の幅全域に行われるか(例えば、下記特許文献1参照)、抵抗の均一化を目的としてゴム端部を除いた部分に行われてきた(例えば、下記特許文献2参照)。
特開2004−237618号公報
特開2002−351233号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載されたような従来の方法で接着剤を塗布した転写ロールは、高温高湿環境下で保管すると、画像形成装置において画像ズレや濃度ムラが起き易くなるという問題を有している。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高温高湿環境下に保管されても、画像形成装置において画像ズレや濃度ムラの発生を十分に抑制することが可能な転写ロール及びその製造方法、並びに、画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、導電性の芯体と、該芯体の外周上に配置された弾性層と、を有し、上記芯体と上記弾性層とは、それらの間に部分的に形成された接着剤層を介して接着されており、上記芯体の外周面のうち上記弾性層が配置されている接合面内の任意の10mm×10mmの領域内で、上記接着剤層が形成されている部分の面積の割合が30〜70%であることを特徴とする転写ロールを提供する。
上述した従来の転写ロールでは、芯体と弾性層とを一体化する際に、弾性層全面又は端部を除いた弾性層全面に接着剤を塗布して芯体と接合しているため、弾性層が歪みを持ったまま接合されることとなる。特に、ゴムチューブ等のチューブ状の弾性層に芯体を圧入する場合、弾性層に大きな歪みが生じ、その状態で接着剤により固定されることとなる。そして、転写ロールの外径は、回転砥石などを用いた研削加工による場合が多いが、弾性層が内部歪みを持ったままの状態で、均一な外径に加工されることとなる。こうして得られた転写ロールは、例えば高温高湿環境下に保管されると、弾性層に残留した応力の解放が生じるが、弾性層の歪みに変化が生じても、芯体との接合面は固定化されているために、歪み変化の殆どは転写ロールの表面側に生じることになる。転写ロール表面側への内部歪みの解放は一定には起きないので、結果的に外径の均一性の悪化につながる。外径が不均一になることで、転写ロールの当接面積も不均一となり、電気抵抗の不均一化にもつながりやすい。その結果、従来の転写ロールでは、高温高湿環境下に保管された場合、抵抗ムラや外径ムラが発生し、画像形成装置において画像ズレや濃度ムラが発生することになる。
これに対し、上記構成を有する本発明の転写ロールによれば、芯体と弾性層との間に適度な未接着部を有しているため、弾性層全体が芯体に完全に固定されることなく、適度な自由度を持って固定されることとなる。そのため、転写ロールが高温高湿環境下に置かれた場合、弾性層に蓄積された残留応力が解放されても、弾性層の歪みが未接着部に吸収され、抵抗ムラや外径ムラが十分に抑制される。その結果、画像形成装置において、画像ズレや濃度ムラの発生を十分に抑制することが可能となる。
また、本発明の転写ロールにおいて、上記芯体の上記接合面内で、上記芯体の軸方向を基準として上記接合面の両端からそれぞれ該接合面の全長の5%の幅の領域を端部領域とし、該端部領域に挟まれた領域を中央部領域としたとき、上記端部領域の全面積に占める上記接着剤層が形成されている部分の面積の割合が、上記中央部領域の全面積に占める上記接着剤層が形成されている部分の面積の割合よりも大きいことが好ましい。これにより、例えば、保管環境温度の急激な変化によって弾性体に急激な歪み変化が生じても、安定した特性が維持できる。また、画像形成装置に組み込んだ際に弾性層と芯体との間でのズレが生じ難い為に、当接圧を高く設定できる。
本発明はまた、導電性の芯体の外周面上に接着剤を部分的に塗布する塗布工程と、上記芯体の外周面上に、上記接着剤からなる接着剤層を介して弾性層を接着する接着工程と、を有し、上記芯体の外周面のうち上記弾性層が配置される接合面内の任意の10mm×10mmの領域内で、上記接着剤層が形成される部分の面積の割合が30〜70%となるように、上記塗布工程において上記接着剤の塗布を行うことを特徴とする転写ロールの製造方法を提供する。
また、本発明の転写ロールの製造方法において、上記芯体の上記接合面内で、上記芯体の軸方向を基準として上記接合面の両端からそれぞれ該接合面の全長の5%の幅の領域を端部領域とし、該端部領域に挟まれた領域を中央部領域としたとき、上記端部領域の全面積に占める上記接着剤層が形成される部分の面積の割合が、上記中央部領域の全面積に占める上記接着剤層が形成される部分の面積の割合よりも大きくなるように、上記塗布工程において上記接着剤の塗布を行うことが好ましい。
これらの転写ロールの製造方法により、上述した本発明の転写ロールを効率的且つ確実に製造することができる。
本発明は更に、電子写真感光体と、上記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、帯電した上記電子写真感光体に静電潜像を形成するための露光手段と、上記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段と、上記トナー像を上記電子写真感光体から被転写体に転写するための転写手段と、を備え、上記転写手段が、上記本発明の転写ロールを有するものであることを特徴とする画像形成装置を提供する。
かかる画像形成装置によれば、転写手段が上記本発明の転写ロールを有するものであることにより、高温高湿環境下に保管されても、画像ズレや濃度ムラの発生を十分に抑制することが可能である。
本発明によれば、接着剤層の面積を考慮しないものに比べて、高温高湿環境下に保管されても、画像形成装置において画像ズレや濃度ムラの発生を十分に抑制することが可能な転写ロール及びその製造方法、並びに、画像形成装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
(転写ロール及びその製造方法)
図1は、本発明の転写ロールの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す転写ロール10は、導電性の芯体1と、該芯体1上に形成された弾性層2とを有している。また、転写ロール10において、芯体1と弾性層2とは、それらの間に部分的に形成された接着剤層3を介して接着されている。そして、接着剤層3は、芯体1の外周面のうち弾性層2が配置されている接合面a内の任意の10mm×10mmの領域内で、接着剤層3が形成されている部分の面積(芯体1と接着剤層3とが接している面の面積)の割合が30〜70%となるように形成されている。なお、本発明において接合面aとは、図1に示したように、芯体1外周面全体のうち、接着剤層3を介して又は接着剤層3を介さずに弾性層2で覆われる面を意味する。通常、芯体1の両端部分は弾性層2が形成されずに露出しているが、かかる露出面は本発明における接合面aには含まれない。なお、接着剤層3が形成されている部分の面積(芯体1と接着剤層3とが接している面の面積)の割合は、芯体1の外周面のうち弾性層2が配置されている接合面a内の任意の10mm×10mmの領域内で、常に30〜70%となるように形成されていることが、環境変化による画像ずれや濃度ムラの発生をより抑制できる観点から好ましい。
図1は、本発明の転写ロールの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す転写ロール10は、導電性の芯体1と、該芯体1上に形成された弾性層2とを有している。また、転写ロール10において、芯体1と弾性層2とは、それらの間に部分的に形成された接着剤層3を介して接着されている。そして、接着剤層3は、芯体1の外周面のうち弾性層2が配置されている接合面a内の任意の10mm×10mmの領域内で、接着剤層3が形成されている部分の面積(芯体1と接着剤層3とが接している面の面積)の割合が30〜70%となるように形成されている。なお、本発明において接合面aとは、図1に示したように、芯体1外周面全体のうち、接着剤層3を介して又は接着剤層3を介さずに弾性層2で覆われる面を意味する。通常、芯体1の両端部分は弾性層2が形成されずに露出しているが、かかる露出面は本発明における接合面aには含まれない。なお、接着剤層3が形成されている部分の面積(芯体1と接着剤層3とが接している面の面積)の割合は、芯体1の外周面のうち弾性層2が配置されている接合面a内の任意の10mm×10mmの領域内で、常に30〜70%となるように形成されていることが、環境変化による画像ずれや濃度ムラの発生をより抑制できる観点から好ましい。
図2は、本発明の転写ロールの他の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図2に示す転写ロール20は、導電性の芯体1と、該芯体1上に形成された弾性層2とを有している。また、転写ロール20において、芯体1と弾性層2とは、それらの間に部分的に形成された接着剤層3を介して接着されている。そして、接着剤層3は、芯体1の外周面のうち弾性層2が配置されている接合面a内の任意の10mm×10mmの領域内で常に、接着剤層3が形成されている部分の面積(芯体1と接着剤層3とが接している面の面積)の割合が30〜70%となるように形成されている。
更に、転写ロール20においては、芯体1の上記接合面a内で、芯体1の軸方向を基準として接合面aの両端からそれぞれ該接合面aの全長Lの5%の幅の領域を端部領域bとし、該端部領域bに挟まれた領域を中央部領域cとしたとき、端部領域bの全面積に占める接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(%)が、中央部領域cの全面積に占める接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(%)よりも大きくなっている。すなわち、転写ロール20においては、芯体1の端部領域bでは、中央部領域cに比して接着剤層3が密に形成されている。ここで、接合面aの両端部において、接着剤層3が相対的に密に形成されている範囲は特に制限されない。また、中央部から端部にかけて徐々に接着剤層3が密になっていてもよい。
なお、図1に示した転写ロール10においては、接着剤層3は接合面aの全体に均一に形成されており、端部領域bの全面積に占める接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(%)と、中央部領域cの全面積に占める接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(%)とはほぼ同等となっている。本発明においては、例えば、保管環境温度の急激な変化によって弾性体に急激な歪み変化が生じても、安定した特性が維持できること、また、画像形成装置に組み込んだ際にゴムとシャフトの間でのズレが生じ難い為に、当接圧を高く設定できることから、図2に示した転写ロール20の方が、図1に示した転写ロール10よりも好ましい。
転写ロール10及び20において、接合面aの任意の10mm×10mmの領域内における接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(以下、場合により「接着剤層形成率」という)は、常に30〜70%の範囲内であることが好ましいが、この接着剤層形成率は、40〜60%であることがより好ましい。この接着剤層形成率が30%未満である領域が存在すると、その領域において芯体1と弾性層2との接着性が不十分となり、転写ロールを高温高湿環境下で保管した場合や画像形成装置に搭載して画像形成を行った場合に、弾性層2が芯体1からずれたり剥離したりし、転写ロールの外径ムラや抵抗ムラが生じやすくなる傾向がある。一方、接着剤層形成率が70%を超える領域が存在すると、その領域において芯体1と弾性層2との間の自由度が失われ、転写ロールが高温高湿環境下に置かれた場合に、弾性層2に蓄積された残留応力が転写ロール表面側に解放され、転写ロールの外径ムラや抵抗ムラが生じやすくなる傾向がある。
また、転写ロール20においては、端部領域bの全面積に占める接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(以下、この割合を「Db(%)」とする)が、中央部領域cの全面積に占める接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(以下、この割合を「Dc(%)」とする)よりも大きくなっているが、それらの比(Db/Dc)は、1.2〜2.0であることが好ましく、1.3〜1.5であることがより好ましい。Db/Dcの値が1.2未満であると、抵抗値の面内ムラが生じやすくなる傾向があり、2.0を超えると、外径ムラが生じやすくなる傾向がある。
なお、上記Dbの値は、両端の端部領域bの面積を合計した値と、そのうちの接着剤層3が形成されている部分の面積を合計した値とから算出されるが、両方の端部領域bにおいて、中央部領域cよりも接着剤層3が密に形成されていることが好ましい。
以下、本発明の転写ロールを構成する各要素について説明する。
芯体1(シャフト)は、転写ロールの電極及び支持部材として機能するものであり、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属又は合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;導電性の樹脂;などの導電性の材質で構成される。また、芯体1は円柱状であることが好ましい。
弾性層2は、例えば、ゴム材等を発泡させた発泡層で構成されるか、又は、発泡層とその外側に形成された無発泡層とで構成される。この発泡層及び無発泡層の数は複数であってもよい。
弾性層2は、例えば、転写ロールとして適切な圧力でニップを形成し、転写電界を形成できるものである。弾性層2の抵抗を調整することも好ましく、例えば、ゴム材中に導電剤を分散させることによって、弾性層2の抵抗を調整することができる。
弾性層2を構成するゴム材としては、例えば、エピクロルヒドリンゴム、ポリウレタンゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシドゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SB)、塩素化ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、水素化ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等、又はこれらの2種以上をブレンドしてなる材料が挙げられる。これらの中でも、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシドゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)が好ましい。特に、エピクロルヒドリンを主成分とする合成ゴムは、ゴム自体がある程度の通電性(イオン導電性)を有しているため、転写ロールに添加される導電剤の添加量が少量で済み、さらに各種ロール毎に要求される電気抵抗(抵抗値)を比較的容易に調整することができることから好ましい。
弾性層2の無発泡層と発泡層とは、主にエピクロルヒドリンゴムからなることが好ましく、抵抗調整および加工性向上を目的に、NBR、EPDM、SBR、CR等の他の1種類以上の有機ゴムをブレンドすることも好ましい。無発泡層及び発泡層に主に使用されるエピクロルヒドリンゴムとしては、例えば、日本ゼオン(株)製の、各々体積抵抗値が異なるGechron 1100、Gechron 3100、Gechron 3101、Gechron 3102、Gechron 3103、Gechron 3105、Gechron 3106等が挙げられる。これらは、狙いとする抵抗値に応じて1種を単独で、又は、2種以上のグレードを組合せて使用することができる。
弾性層2に含有させる導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末を挙げることができる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;を挙げることができる。これらの導電剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
弾性層2に導電剤を含有させる場合、その含有量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、ゴム材料100質量部に対して、1〜30質量部の範囲であることが好ましく、10〜20質量部の範囲であることがより好ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、ゴム材料100質量部に対して、0.1〜5.0質量部の範囲であることが好ましく、0.5〜3.0質量部の範囲であることがより好ましい。
なお、弾性層2には、ゴム材や導電剤の他に、加硫に必要となる発泡剤や、難燃剤、劣化防止剤、整泡剤、各種充填剤等を添加してもよい。発泡剤としては、例えば、水、炭化水素、フルオロカーボン、蟻酸、ほう酸等が用いられる。難燃剤としては、例えば、トリスクロロエチルホスフェート、トリスクロロプロピルホスフェート等のリン酸エステル系化合物等を用いることができる。劣化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系等の光安定剤などを用いることができる。整泡剤としては、ジメチルシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等のシリコーン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが用いられる。
また、弾性層2の体積抵抗率は、通常、1×1014Ω・cm以下であることが好ましく、1×104〜1×1012Ω・cmであることがより好ましい。
接着剤層3は、芯体1と弾性層2とを接着可能な接着剤からなる層であれば特に限定されないが、接着剤としては、加熱硬化型接着剤で、特に粘度が10000cps以下のものであることが好ましい。
接着剤層3を構成する接着剤は、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤などが使用できるが、室温下で皮膜のみを形成し、高温で硬化反応が進行するものであることが望ましい。
接着剤層3は、芯体1における接着剤層形成率が上述した条件を満たすように形成されたものであれば、その形状や配置パターン等は特に制限されない。接着剤層3の形状は、平面形状として点状、線状等が挙げられるが、点状であることが好ましい。
また、本発明の転写ロールは、上記弾性層2の表面にコート層(表面層)を更に有していてもよい。
コート層を構成する材料としては、特に制限されないが、ブリードやブルームを防止する観点から、高分子材料を用いることが好ましい。コート層を構成する高分子材料としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。これらの高分子材料は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
次に、本発明の転写ロールの製造方法について説明する。本発明の転写ロールの製造方法は、芯体1の外周面上に接着剤を部分的に塗布する塗布工程と、芯体1の外周面上に上記接着剤からなる接着剤層3を介して弾性層2を接着する接着工程と、を有する方法である。ここで、塗布工程においては、芯体1の外周面のうち弾性層2が配置される接合面a内の任意の10mm×10mmの領域内で、接着剤層3が形成される部分の面積の割合が30〜70%となるように、上記接着剤の塗布が行われる。
芯体1に接着剤を塗布する方法としては、スプレー法や、グラビアロールコート法などが好ましい方法として挙げられる。また、接着剤を塗布した後、接着剤の垂れや流れが生じない程度に室温程度で乾燥させることが好ましい。
弾性層2は、上述したゴム材料、導電剤及び発泡剤等を含む混合物を、押出し機等を用いてチューブ状に押出し成形することで作製することができる。
そして、接着剤を塗布した芯体1をチューブ状の弾性層2に圧入し、加熱硬化処理を行って接着剤を硬化させることで、芯体1と弾性層2とを接着剤層3を介して接着する。
ここで、接着剤の加熱硬化温度は、接着剤と弾性層2として使用される材料とに応じて適宜選択されるが、通常、80〜150℃程度であることが好ましい。
更に、弾性層2上にコート層を形成する場合には、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法などの方法を用いることができる。
その後、必要に応じて弾性層表面、又は、コート層を有する場合にはコート層表面を研磨し、転写ロールを得ることができる。
(画像形成装置)
次に、本発明の転写ロールを搭載した画像形成装置について説明する。
次に、本発明の転写ロールを搭載した画像形成装置について説明する。
本発明の画像形成装置は、被帯電体である電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、帯電した上記電子写真感光体に静電潜像を形成するための露光手段と、上記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段と、上記トナー像を上記電子写真感光体から被転写体に転写するための、上記本発明の転写ロールを有する転写手段と、を備えることを特徴とするものである。
まず、本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体について説明する。図3〜7は、それぞれ電子写真感光体の好適な一例を示す模式断面図であり、電子写真感光体を基体及び感光層の積層方向に対して垂直な平面で切断したものである。図3〜7に示した電子写真感光体はいずれも機能分離型感光体であり、各感光体が備える感光層36には、電荷発生材料を含有する電荷発生層31と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層32とが別個に設けられている。一方、図7に示した電子写真感光体は単層型感光体であり、電荷発生材料及び電荷輸送材料の双方を含有する単層型感光層38が設けられている。
より詳しくは、図3に示した電子写真感光体100においては、導電性基体33上に電荷発生層31及び電荷輸送層32がこの順で積層されてなる感光層36が形成されている。図4に示した電子写真感光体110においては、導電性基体33上に下引層34と、電荷発生層31及び電荷輸送層32がこの順で積層されてなる感光層36とが順次形成されている。図5に示した電子写真感光体120においては、導電性基体33上に下引層34と、電荷発生層31及び電荷輸送層32がこの順で積層されてなる感光層36と、保護層35とが順次形成されている。図6に示した電子写真感光体130においては、導電性基体33上に下引層34と、中間層7と、電荷発生層31及び電荷輸送層32がこの順で積層されてなる感光層36と、保護層35とが順次形成されている。図7に示した電子写真感光体140においては、導電性基体33上に単層型感光層38が形成されている。以下、電子写真感光体を構成する各層について、主に図6に示した電子写真感光体130に基づいて説明する。
導電性基体33は特に限定されるものはなく、例えば、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属製ドラム;ポリマー製シート、紙、プラスチック、又はガラス上に、アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着することによって導電処理したドラム状、シート状又はプレート状の基体;ポリマー製シート、紙、プラスチック又はガラス上に、酸化インジウム、酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着するか、又は金属箔をラミネートすることによって導電処理したドラム状、シート状又はプレート状の基体;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等をバインダー樹脂に分散し、ポリマー製シート、紙、プラスチック、又はガラス上に塗布することによって導電処理したドラム状、シート状、プレート状の基体などが挙げられる。
ここで、金属製ドラムを導電性基体33として用いる場合、その外周面(感光層36が形成される側の面)は素管のままであってもよいが、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング、着色処理などの処理を行うことが好ましい。感光層36が形成される側の面を表面処理により粗面化することで、レーザービームのような可干渉光源を用いた場合に発生しうる感光体内での干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。
下引層34は、感光層36の帯電時において、導電性基体33から感光層36への電荷の注入を阻止する機能を有する。また、この下引層34は、感光層36を導電性支持体層3に対して一体的に接着保持せしめる接着層としても機能する。更に、この下引層34は、導電性基体33の光反射を防止する機能を有する。
下引層34に用いられる材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;アンチモンアルコキシド化合物;ゲルマニウムアルコキシド化合物;インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物等の有機インジウム化合物;マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物等の有機マンガン化合物;スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物等の有機スズ化合物;アルミニウムシリコンアルコキシド化合物;アルミニウムチタンアルコキシド化合物;アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
また、下引層34には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
下引層34中には、金属酸化物微粒子を添加することができる。金属酸化物微粒子としては、所望の電子写真感光体特性が得られるものであれば、公知の金属酸化物より任意に選択できるが、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる1種以上の金属酸化物の微粒子が好ましく用いられる。また、これらの金属酸化物微粒子は、少なくとも1種以上のカップリング剤で被覆されていることがより好ましく、カップリング剤としてはシランカップリング剤が好ましい。
また、下引層34中には、電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが、電子移動性が高いので好ましく使用される。また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、バインダーなどで表面処理しても良い。電子輸送性顔料は多すぎると下引層34の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため、下引層34全量を基準として95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。
下引層34は、アクセプター性化合物を付与した金属酸化物微粒子を含有させて形成することもできる。アクセプター性化合物としては所望の特性が得られるものならばいかなるものでも使用可能であるが、特にキノン基を有する化合物が好ましく用いられる。更に、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物がより好ましく用いられる。アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物としては、アントラキノンのほか、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物などが挙げられ、いずれも好ましく用いることができる。より具体的には、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリンなどが特に好ましく用いられる。
これらのアクセプター性化合物の付与量は所望の特性が得られる範囲であれば任意に設定できるが、好ましくは金属酸化物100質量部に対して0.01〜20質量部、より好ましくは0.05〜10質量部付与される。付与量が0.01質量部未満では下引層34内の電荷蓄積改善に寄与するだけの十分なアクセプター性を付与できないため、繰り返し使用時に残留電位の上昇など維持性の悪化を招きやすい傾向がある。また、20質量部を超えると金属酸化物同士の凝集を引き起こしやすく、下引層34の形成時に下引層34内で金属酸化物が良好な導電路を形成することが困難となり、繰り返し使用時に残留電位の上昇など維持性の悪化を招きやすくなるだけでなく、黒点などの画質欠陥も引き起こしやすくなる傾向がある。
金属酸化物微粒子へのアクセプター性化合物の付与方法としては、金属酸化物微粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、有機溶媒に溶解させたアクセプター化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって金属酸化物微粒子へアクセプター化合物を均一に付与する方法が挙げられる。アクセプター化合物を添加あるいは噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが好ましく、溶剤の沸点以上の温度で噴霧すると、均一に攪拌される前に溶剤が蒸発し、アクセプター化合物が局部的にかたまってしまい均一な処理ができにくい欠点があるため好ましくない。添加あるいは噴霧した後、さらに溶剤の沸点温度以上で乾燥を行うことができる。また、金属酸化物微粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミルなどを用いて分散し、アクセプター化合物の有機溶剤溶液を添加し、還流あるいは有機溶剤の沸点以下で攪拌あるいは分散したのち、溶剤除去することで均一に付与される。また、溶剤除去方法はろ過あるいは蒸留、加熱乾燥により留去される。
アクセプター化合物を付与される金属酸化物微粒子としては、1×102〜1×1011Ω・cm程度の粉体抵抗(体積抵抗率)を有するものが好ましい。これにより、下引層34はリーク耐性獲得のために適切な抵抗を得ることが可能となる。
下引層34は、上述の下引層34を構成する各成分を有機溶媒に混合/分散させて得られる下引層形成用塗布液を導電性基体33上に塗布し、乾燥により溶剤を除去することにより形成される。
下引層形成用塗布液を調製する際の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有機金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
下引層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。このように塗布したものを乾燥させて下引層34を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った導電性基体33は、導電性基体33の欠陥隠蔽力が不十分となりやすいため、下引層34を形成することが好ましい。
このようにして形成される下引層34の厚さは、金属酸化物微粒子を含有しない場合は、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5.0μmであることがより好ましい。また、金属酸化物微粒子を含有する場合は、15μm以上であることが好ましく、15〜50μmであることがより好ましい。下引層34の厚さが上記条件を満たすことにより、電子写真感光体における局所的な絶縁破壊(感光体リーク)をより確実に防止することができる。また、長期連続使用においても、安定した特性を得ることができる。
中間層37は、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために、下引層34と感光層36との間に設けられる層である。
中間層37に用いられる材料としては、上記下引層34に用いられる材料と同様に、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;アンチモンアルコキシド化合物;ゲルマニウムアルコキシド化合物;インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物等の有機インジウム化合物;マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物等の有機マンガン化合物;スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物等の有機スズ化合物;アルミニウムシリコンアルコキシド化合物;アルミニウムチタンアルコキシド化合物;アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
また、中間層37には、上記下引層34と同様に、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
また、中間層37中には、上記下引層34と同様に、電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが、電子移動性が高いので好ましく使用される。また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、バインダーなどで表面処理しても良い。電子輸送性顔料は多すぎると中間層37の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため、中間層37全量を基準として95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。
中間層37は、上記下引層34と同様に、上述の中間層37を構成する各成分を有機溶媒に混合/分散させて得られる中間層形成用塗布液を下引層34上に塗布し、乾燥により溶剤を除去することにより形成される。
中間層形成用塗布液を調製する際の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有機金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。このように塗布したものを乾燥させて中間層37を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。
このようにして形成される中間層37の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5.0μmであることがより好ましい。中間層37の厚さが上記条件を満たすことにより、電子写真感光体を長期連続使用した場合においても、安定した特性を得ることができる。
電荷発生層31は、電荷発生材料を真空蒸着により形成するか、又は、電荷発生材料を有機溶剤及び結着樹脂とともに分散し塗布することにより形成される。
分散塗布により電荷発生層31を形成する場合、電荷発生材料を有機溶剤、結着樹脂、及び、添加剤等とともに分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、得られた塗布液を中間層37上に塗布し乾燥することにより形成することができる。
電荷発生材料としては、公知の電荷発生物質を特に制限なく使用することができる。赤外光用の電荷発生材料としては、フタロシアニン顔料、スクアリリウム、ビスアゾ、トリスアゾ、ペリレン、ジチオケトピロロピロール等が用いられ、可視光用の電荷発生材料としては、縮合多環顔料、ビスアゾ、ペリレン、トリゴナルセレン、色素増感した酸化亜鉛微粒子等が用いられる。これらの中でも特に優れた性能が得られ、好ましく使用される電荷発生材料は、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料である。これらの電荷発生材料を用いることにより、特に高感度で、繰り返し安定性の優れる電子写真感光体を得ることができる。また、フタロシアニン系顔料やアゾ系顔料は一般に数種の結晶型を有しており、目的にあった電子写真特性が得られる結晶型であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることができる。特に好ましく用いられる電荷発生材料としては、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロススフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン、オキシチタニルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等が挙げられる。
電荷発生層31は、特にヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含有することが、均一帯電性を得る観点から好ましい。ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は所望の特性を得られるものであればいかなるものでも使用できるが、特にCuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°及び28.3°に回折ピークを有するものが好ましく用いられる。
電荷発生層31に用いられる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアセタール樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好ましく用いられる。これらの結着樹脂は1種を単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
電荷発生層31は、電荷発生材料の真空蒸着、あるいは電荷発生材料及び結着樹脂を含む電荷発生層形成用塗布液の塗布により形成される。電荷発生層形成用塗布液において、電荷発生材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましく、8:2〜3:7の範囲がより好ましい。塗布液を調整するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意に選択することができる。溶媒としてより具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を用いることができる。これらの溶剤は単独であるいは2種以上混合して用いることができる。2種以上混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かす事ができる溶剤であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
電荷発生物質及び結着樹脂を溶媒に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の方法を用いることができる。
さらに、電荷発生層31を形成する際に用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
このようにして形成される電荷発生層31の厚さは、良好な電気特性と画質を与えるために、0.05〜5.0μmであることが好ましく、0.1〜1.0μmであることがより好ましい。電荷発生層31の厚さが0.05μm未満であると、感度が不十分となる傾向がある。一方、電荷発生層31の厚さが5.0μmを超えると、帯電性の不良などの弊害を生じさせやすくなる傾向がある。
また、電荷発生層31に用いられる電荷発生材料には、電気特性の安定性向上、画質欠陥防止などのために表面処理を施すことができる。表面処理剤としてはカップリング剤、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
表面処理に用いるカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。特に好ましく用いられるシランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
また、有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
また、有機チタン化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
また、有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
電荷輸送層32は、例えば電荷輸送材料及び結着樹脂を含んで構成される。電荷輸送層32に含有される電荷輸送材料としては、公知のものならいかなるものでも使用可能であり、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体等の正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送物質、あるいは以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等が挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷輸送層32に用いられる結着樹脂としては、公知のものであればいかなるものでも使用することができるが、電気絶縁性のフィルムを形成可能な樹脂が好ましい。結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材等高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂は、電荷輸送材料との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れるため、好ましく用いられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、結着樹脂と電荷輸送材料との配合比(質量比)はいずれの場合も任意に設定することができるが、電気特性低下、膜強度低下に注意しなくてはならない。
また、高分子電荷輸送材を単独で用いることもできる。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、とくに好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層32は、電荷輸送物質及び結着樹脂、並びにその他の材料を適当な溶媒に溶解させた電荷輸送層形成用塗布液を電荷輸送層31上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送層形成用塗布液に用いる溶剤としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル系溶剤、或いはこれらの混合溶剤等を用いることができる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層31上に塗布する際の塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、スプレー塗布法、ロールコータ塗布法、ワイヤーバーコーティング法、グラビアコータ塗布法、ビードコーティング法、カーテンコーティング法、ブレードコーティング法、エアーナイフコーティング法等を用いることができる。
電荷輸送層32の厚さは、5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。
電子写真感光体においては、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光や熱による電子写真感光体の劣化を防止する目的で、感光層3中に酸化防止剤や光安定剤などの添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。
酸化防止剤の具体的な化合物例として、フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等が挙げられる。
有機イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
有機燐系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィート等が挙げられる。
有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われ、フェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系光安定剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
その他の化合物として、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメート等を用いてもよい。
また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。
電子受容性物質としては、例えば、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
また、特に図3及び4に示すように電荷輸送層32が最表面層である場合、電荷輸送層32には、摩耗を低減する目的で、固形潤滑剤や金属酸化物を分散させることが好ましい。固形潤滑剤としては、フッ素含有樹脂粒子(四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレンおよびそれらの共重合等)、ケイ素含有樹脂粒子等を挙げることができる。また、金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化スズ等を挙げることができる。固形潤滑剤を分散すると、電荷輸送層表面の摩擦係数が減少するため、摩耗を抑制することができる。また、金属酸化物を分散すると、電荷輸送層32の機械的硬度が上昇するため、摩耗を抑制することができる。また、フッ素含有樹脂粒子は難分散粒子のためフッ素含有高分子系分散助剤を用いると分散性が向上される。上記固形潤滑剤や金属酸化物を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー、ホモジナイザー、高圧処理式ホモジナイザー等の方法を用いることができる。この分散の際、分散粒子を1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下にすることが有効である。
また、電荷輸送層32には、塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
保護層35は、帯電時の電荷輸送層32の化学的変化を防止したり、感光層36の機械的強度を向上させ、表面層の磨耗、傷などへの耐性をさらに改善する為に用いられる。
保護層35の形態としては、硬化性樹脂や電荷輸送性化合物を含む樹脂硬化膜、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成された膜等があるが、電荷輸送性化合物を含有するものが好ましく用いられる。硬化性樹脂としては公知の樹脂であれば特に制限なく使用できるが、特に強度、電気特性及び画質維持性などの観点から、架橋構造を有するものが好ましく、例えばフェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シロキサン系樹脂等が挙げられる。
保護層35に用いられる電荷輸送性化合物としては、反応性官能基を有するものであって、使用する硬化性樹脂と相溶するものが好ましく、更に、使用する硬化性樹脂と化学結合を形成するものがより好ましい。反応性官能基を有する電荷輸送化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
F[−D−Si(R1)(3−a)Qa]b (I)
[式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、Dは可とう性を有する2価の基を示し、R1は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Qは加水分解性基を示し、aは1〜3の整数を示し、bは1〜4の整数を示す。]
[式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、Dは可とう性を有する2価の基を示し、R1は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Qは加水分解性基を示し、aは1〜3の整数を示し、bは1〜4の整数を示す。]
上記一般式(I)中、Fは、光電特性、具体的には特に光キャリア輸送特性を有するユニットであり、従来、電荷輸送物質として知られている構造をそのまま用いることができる。具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性を有する化合物骨格、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性を有する化合物骨格を用いることができる。
上記一般式(I)中、−Si(R1)(3−a)Qaは、加水分解性基を有する置換ケイ素基であるが、この置換ケイ素は、Si基により互いに架橋反応を起こして、3次元的なSi−O−Si結合を形成する。即ち、この置換ケイ素基は、保護層35中にいわゆる無機ガラス質ネットワークを形成する役割を担う。
上記一般式(I)中、Dは可とう性を有する2価の基を示すが、具体的には、光電特性を付与するためのF部位と、3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合で結びつく置換ケイ素基とを結びつける働きを担い、かつ、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強靱さを向上させるという働きを担う有機基を表す。Dとして具体的には、−CnH2n−、−CnH(2n−2)−、−CnH(2n−4)−で表わされる2価の炭化水素基(ここで、nは1〜15の整数を表す)、−COO−、−S−、−O−、−CH2−C6H4−、−N=CH−、−(C6H4)−(C6H4)−、及び、これらを任意に組み合わせた特性基、更にはこれらの特性基の構造原子を他の置換基と置換したもの等が挙げられる。
上記一般式(I)中、bは2以上であることが好ましい。bが2以上であると、上記一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物中にSi原子を2つ以上含むことになり、無機ガラス質ネットワークを形成し易くなり、機械的強度が向上する。
また、上記一般式(I)で表わされる化合物における上記Fは、下記一般式(II)で表される基であることが好ましい。下記一般式(II)で表わされる基は、正孔輸送能を有する基であり、これを保護層35に含有させることは、特に保護層35における光電特性と機械特性を向上の観点から好ましい。
[式(II)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を示し、Ar5は置換若しくは未置換のアリール基又はアリーレン基を示し、且つAr1〜Ar5のうち1〜4個は、上記一般式(I)で表わされる化合物における−D−Si(R1)(3−a)Qaで示される部位と結合するための結合手を有し、kは0又は1を示す。]
また、上記一般式(II)中のAr1〜Ar4で示される置換又は未置換のアリール基としては、具体的には、下記一般式(1)〜(7)に示されるアリール基が好ましい。
上記式(1)〜(7)中、R11は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数7〜10のアラルキル基を示し、R12〜R14はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基又はハロゲン原子を示し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を示し、Xは上記一般式(I)で表わされる化合物における−D−Si(R1)(3−a)Qaで示される構造を示し、c及びsはそれぞれ0又は1を示し、tは1〜3の整数を示す。
また、上記式(7)で示されるアリール基におけるArとしては、下記式(8)又は(9)で示されるアリーレン基が好ましい。
上記式(8)、(9)中、R15及びR16はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は、ハロゲン原子を示し、tは1〜3の整数を示す。
また、上記式(7)で示されるアリール基におけるZ’としては、下記式(10)〜(17)で示される2価の基が好ましい。
上記式(10)〜(17)中、R17及びR18はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は、ハロゲン原子を示し、Wは2価の基を示し、q及びrはそれぞれ1〜10の整数を示し、tはそれぞれ1〜3の整数を示す。
また、上記式(16)〜(17)中、Wは下記式(18)〜(26)で示される2価の基を示す。なお、式(25)中、uは0〜3の整数を示す。
また、上記一般式(II)におけるAr5の具体的構造としては、kが0の時は上記Ar1〜Ar4の具体的構造として例示したアリール基が挙げられ、kが1の時はかかるアリール基から所定の水素原子を除いたアリーレン基が挙げられる。
上記一般式(I)で表される電荷輸送性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、保護層35には、上記一般式(I)で表される電荷輸送性化合物とともに、硬化膜の機械的強度を更に向上させる目的で、下記一般式(III)で表されるような2つ以上のケイ素原子を有する化合物を用いることも好ましい。
B(−Si(R40)(3−a)Qa)d (III)
[式(III)中、Bは2価以上の有機基を示し、R40は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Qは加水分解性基を示し、aは1〜3の整数を示し、dは2以上の整数を示す。]
[式(III)中、Bは2価以上の有機基を示し、R40は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Qは加水分解性基を示し、aは1〜3の整数を示し、dは2以上の整数を示す。]
上記一般式(III)で表わされる化合物は、−Si(R40)(3−a)Qaで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を有している化合物である。この上記一般式(III)で表わされる化合物は、上記一般式(I)で表される化合物との反応又は上記一般式(III)で表わされる化合物同士の反応により、Si−O−Si結合を形成して3次元的な架橋硬化膜を与える。上記一般式(III)で表わされる化合物と上記一般式(I)で表わされる化合物を併用すると、硬化膜の架橋構造が3次元的になりやすく、また、硬化膜に適度な可とう性が付与されるため、より強い機械強度が得られる。上記一般式(III)で表わされる化合物の好ましい例として、下記化合物(III−1)〜(III−19)が挙げられる。なお、下記表中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、Prはプロピル基を示す。
また、上記一般式(I)で表される化合物と共に、更に架橋反応可能な他の化合物を併用してもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤等を用いることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
市販のハードコート剤としては、KP−85、CR−39、X−12−2208、X−40−9740、X−41−1007、KNS−5300、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、および、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)、などが挙げられる。
また、保護層35には、表面潤滑性を付与する目的でフッ素原子含有化合物を添加できる。表面潤滑性を向上させることによりクリーニング部材との摩擦係数が低下し、耐摩耗性を向上させることができる。また、電子写真感光体表面に対する放電生成物、現像剤および紙粉などの付着を防止する効果も有し、電子写真感光体の寿命向上に役立つ。
フッ素含有化合物は、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素原子含有ポリマーをそのまま添加するか、あるいはそれらポリマーの微粒子を添加することができる。また、保護層35が上記一般式(I)で表される化合物により形成される硬化膜の場合、フッ素含有化合物としては、アルコキシシランと反応できるものを添加し、架橋膜の一部として構成するのが望ましい。そのようなフッ素原子含有化合物の具体例としては、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、などが挙げられる。
上記フッ素含有化合物の含有量は、保護層35全量を基準として20質量%以下とすることが好ましい。含有量が20質量%を越えると、架橋硬化膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
保護層35は十分な耐酸化性を有しているが、さらに強い耐酸化性を付与する目的で、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤等の公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては、保護層35全量を基準として15質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
また、保護層35には公知の塗膜形成に用いられるその他の添加剤を添加することも可能であり、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、界面活性剤、等公知のものを用いることができる。
保護層35は、上述した各種材料及び各種添加剤を含有する保護層形成用塗布液を感光層36上に塗布し、加熱処理することで形成することができる。これにより、上記一般式(I)で表される化合物等が3次元的に架橋硬化反応を起こし、強固な硬化膜が形成される。加熱処理の温度は、下層である感光層36に影響しなければ特に制限はないが、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは100〜160℃である。
保護層35の形成において、架橋硬化反応は、無触媒で行なってもよく、適切な触媒を用いてもよい。触媒としては、塩酸、硫酸、燐酸、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の酸触媒、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、オクエ酸第一スズ等の有機スズ化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩、アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。
保護層形成用塗布液には、塗布を容易にするために、必要に応じて溶剤を添加することができる。溶剤として具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
保護層35の形成において、保護層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
こうして形成される保護層35の厚さは、0.5〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。
また、図7に示したように、感光層が単層型感光層38である場合、単層型感光層38は、電荷発生材料、電荷輸送材料及び結着樹脂を含有して形成される。電荷発生材料としては機能分離型感光層における電荷発生層31に使用されるものと同様のものを、電荷輸送材料としては機能分離型感光層における電荷輸送層32に使用されるものと同様のものを、結着樹脂としては機能分離型感光層における電荷発生層31及び電荷輸送層32に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。また、塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記各層と同様のものを用いることができる。単層型感光層38の厚さは、5〜50μm程度が好ましく、10〜40μmとすることがさらに好ましい。
次に、本発明の画像形成装置を図面に基づき説明する。図8は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図8に示す画像形成装置200は、先に説明した電子写真感光体207と、電子写真感光体207を帯電させる帯電装置208と、帯電装置208に接続された電源209と、帯電装置208により帯電される電子写真感光体207を露光して静電潜像を形成する露光装置210と、露光装置210により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置211と、現像装置211により形成されたトナー像を被転写媒体(画像出力媒体)500に転写する転写装置212と、クリーニング装置213と、除電器214と、定着装置215とを備える。なお、この場合には、除電器214が設けられていないものもある。ここで、転写装置212は、上述した本発明の転写ロールを用いたものである。
ここで、帯電装置208は、電子写感光体207を接触方式により帯電させるものであり、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等の帯電部材を用いた接触型帯電器が用いられる。なお、帯電装置208としては非接触方式のものを用いてもよく、例えば、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器などを用いてもよい。これらの中でも、帯電補償能力に優れる点で接触型帯電器が好ましい。帯電装置208は、電子写真感光体207に対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流をさらに重畳させて印加してもよい。
露光装置210としては、電子写真感光体表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。
現像装置211としては、一成分系、二成分系などの正規又は反転現像剤を用いた従来公知の現像装置を用いることができる。
現像装置211に使用されるトナーは、例えば結着樹脂と着色剤とを含んで構成される。結着樹脂としては、スチレン類、モノオレフィン類、ビニルエステル類、α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が代表的なものとして挙げられる。
トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機微粒子等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。
離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして挙げられる。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプ等の帯電制御剤を用いることができる。
他の無機微粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均1次粒径が40nm以下の小径無機微粒子を用い、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機あるいは有機微粒子を併用してもよい。これらの他の無機微粒子は公知のものを使用できる。
また、小径無機微粒子については、表面処理を施すことにより分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなるため有効である。
本発明で用いられるトナーの製造方法としては、高い形状制御性を得られることから、乳化重合凝集法や溶解懸濁法等などの重合法が好ましく用いられる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。外添剤を添加する場合、トナー及び外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
転写装置212としては、上述した本発明の転写ロールが用いられる。かかる転写ロールを備えることにより、画像形成装置200は、高温高湿環境下に保管されても、転写ロールの電気特性及び形状精度が安定に維持され、画像ズレや濃度ムラの発生を十分に抑制することが可能となる。
クリーニング装置213は、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニング装置としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
また、本発明の画像形成装置は、図8に示したように、イレース光照射装置214をさらに備えていてもよい。これにより、電子写真感光体が繰り返し使用される場合に、電子写真感光体の残留電位が次のサイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質をより高めることができる。
図9は本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図9に示した画像形成装置210は、電子写真感光体207に形成されたトナー像を、1次転写部材212aに転写した後、1次転写部材212aと2次転写部材212bとの間に供給される被転写媒体(画像出力媒体)500に転写する中間転写方式の転写装置を備えるもので、かかる転写の際には1次転写部材212aから電子写真感光体に向けて所定の電流密度の電流が供給可能となっている。なお、図9中には示していないが、画像形成装置210は、図8に示した画像形成装置200と同様に除電器を更に備えていてもよい。また、画像形成装置210の他の構成は画像形成装置200の構成と同様である。
かかる画像形成装置210においては、電子写真感光体207に形成されたトナー像が1次転写部材212aに転写される際に、1次転写部材212aから電子写真感光体207に向けて所定の電流密度の電流を供給することで、被転写媒体500の種類・材質等による転写電流の変動を抑制することができるため、電子写真感光体207に流入する電荷量を精度よく制御することができるようになる。その結果、高画質化及び環境に対する負荷の低減を一層高水準で達成することが可能となる。
また、画像形成装置210においては、2次転写部材212bとして上述した本発明の転写ロールが用いられる。これにより、画像形成装置210は、高温高湿環境下に保管されても、転写ロールの電気特性及び形状精度が安定に維持され、画像ズレや濃度ムラの発生を十分に抑制することが可能となる。
図10は本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図10に示す画像形成装置220は中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401d(例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。ここで、画像形成装置220に搭載されている電子写真感光体401a〜401dは、それぞれ先に説明した電子写真感光体である。
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーが供給可能である。これらのトナーは平均形状係数が100〜140という条件を満たすものである。また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。ここで、画像形成装置220に搭載されている帯電ロール402a〜402dは、それぞれ上述した本発明の帯電ロールである。
さらに、ハウジング400内の所定の位置にはレーザー光源(露光装置)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、又は、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合の中間転写体の基材として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂を用いることができる。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いることができる。
弾性材料としては、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。これらの基材に用いる樹脂材料及び弾性材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を有する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。この中でも、機械強度に優れる点で、導電剤を分散させたポリイミド樹脂を用いることが好ましい。上記の導電剤としては、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。
中間転写体として中間転写ベルト409のようなベルトの形状の構成を採用する場合、一般にベルトの厚さは50〜500μmが好ましく、60〜150μmがより好ましいが、材料の硬度に応じて適宜選択することができる。
例えば、導電剤を分散させたポリイミド樹脂からなるベルトは、特開昭63−311263号公報に記載されているように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に導電剤として5〜20質量%のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィルムを形成し、さらに適当な大きさに切り出してエンドレスベルトとすることにより製造することができる。
上記フィルム成形は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜用原液を円筒金型に注入して、例えば、100〜200℃に加熱しつつ500〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次いで、得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることにより行うことができる。また、成膜原液を金属シート上に均一な厚みに流延して、上記と同様に100〜200℃に加熱して溶媒の大半を除去し、その後300℃以上の高温に段階的に昇温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。また、中間転写体は表面層を有していても良い。
また、中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、基材としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に表面層を形成することができる。
かかる画像形成装置220においては、1次転写ロール410a〜410d及び2次転写ロール413のうちの1つ以上に上述した本発明の転写ロールが用いられる。これにより、画像形成装置210は、高温高湿環境下に保管されても、転写ロールの電気特性及び形状精度が安定に維持され、画像ズレや濃度ムラの発生を十分に抑制することが可能となる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
エピクロルヒドリンゴム50質量部、NBR50質量部、及び、発泡剤としてのベンゼンスルホニルヒドラジド6質量部を混合し、混合物を得た。次に、φ14mmのマンドレルの外周に、上記の混合物をクロスヘッド押出し機により押し出して、外径がφ20mmの未発泡状態のゴム層を成形した。次いで、未発泡ゴム層を加硫缶にて160℃で20分間加硫して発泡させ、発泡ゴム層(弾性層)を形成した。その後、マンドレルを引き抜き、外径φ28mm、内径φ14mm、長さ323mmのチューブ状の弾性層を得た。
エピクロルヒドリンゴム50質量部、NBR50質量部、及び、発泡剤としてのベンゼンスルホニルヒドラジド6質量部を混合し、混合物を得た。次に、φ14mmのマンドレルの外周に、上記の混合物をクロスヘッド押出し機により押し出して、外径がφ20mmの未発泡状態のゴム層を成形した。次いで、未発泡ゴム層を加硫缶にて160℃で20分間加硫して発泡させ、発泡ゴム層(弾性層)を形成した。その後、マンドレルを引き抜き、外径φ28mm、内径φ14mm、長さ323mmのチューブ状の弾性層を得た。
次に、芯体としてステンレス鋼製のφ14mm、長さ370mmのシャフトを準備した。この芯体表面の弾性層と接合する接合面に、接着剤としてケムロック252X(商品名、ロードファーイースト社製)をスプレー法により塗布した。このとき、接着剤が芯体の接合面上に約φ50μmのドット状パターンを形成するように、スプレーノズルの吐出量を調整した。また、芯体の軸方向を基準として、接合面の両端部から10mmの幅の領域に塗布される接着剤の量が、それらの領域に挟まれた中央側の領域に塗布される接着剤の量の約1.4倍となるように、接合面の両端部から10mmの幅の領域でのスプレーノズルの移動速度を、それらの領域に挟まれた中央側の領域でのスプレーノズルの移動速度の0.7倍に調整した。
接着剤を塗布した芯体を室温(25℃)で10分間放置し、接着剤の垂れや流れが生じない程度になったところで、上記で作製したチューブ状の弾性層の内面に芯体を圧入した。次いで、150℃にて30分間の加熱処理を行うことで、芯体とチューブ状弾性層とを上記接着剤が硬化してなる接着剤層を介して接着した。その後、研削盤にて弾性層表面の砥石研磨を行い、芯体の周りに弾性層を有する外径がφ28mm、長さが306mmの図2に示したものと同様の構成を有する転写ロールを得た。
得られた転写ロールにおいて、芯体1と弾性層2との間の接着剤層3は、約φ50μmのドット状パターンを形成していた。また、芯体1の接合面aにおける任意の10mm×10mmの領域内で、接着剤層形成率は常に42〜58%の範囲内であった。更に、芯体1の接合面aにおいて、端部領域b(接合面の両端から該接合面の全量の5%の幅の領域)の全面積に占める接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(Db)と、中央部領域cの全面積に占める接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(Dc)との比(Db/Dc)は、1.4であった。
(実施例2)
芯体の軸方向を基準として、接合面の両端部から10mmの幅の領域に塗布される接着剤の量が、それらの領域に挟まれた中央側の領域に塗布される接着剤の量の約1.2倍となるように、接合面の両端部から10mmの幅の領域でのスプレーノズルの移動速度を、それらの領域に挟まれた中央側の領域でのスプレーノズルの移動速度の0.83倍に調整した以外は実施例1と同様にして、図2に示したものと同様の構成を有する転写ロールを得た。なお、接着剤層形成率を変えるために、中央側の領域でのスプレーノズルの移動速度自体も実施例1から変化させた。
芯体の軸方向を基準として、接合面の両端部から10mmの幅の領域に塗布される接着剤の量が、それらの領域に挟まれた中央側の領域に塗布される接着剤の量の約1.2倍となるように、接合面の両端部から10mmの幅の領域でのスプレーノズルの移動速度を、それらの領域に挟まれた中央側の領域でのスプレーノズルの移動速度の0.83倍に調整した以外は実施例1と同様にして、図2に示したものと同様の構成を有する転写ロールを得た。なお、接着剤層形成率を変えるために、中央側の領域でのスプレーノズルの移動速度自体も実施例1から変化させた。
得られた転写ロールにおいて、芯体1と弾性層2との間の接着剤層3は、約φ50μmのドット状パターンを形成していた。また、芯体1の接合面aにおける任意の10mm×10mmの領域内で接着剤層形成率は常に30〜40%の範囲内であった。更に、芯体1の接合面aにおいて、端部領域b(接合面の両端から該接合面の全量の5%の幅の領域)の全面積に占める接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(Db)と、中央部領域cの全面積に占める接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(Dc)との比(Db/Dc)は、1.2であった。
(実施例3)
芯体の軸方向を基準として、接合面の両端部から10mmの幅の領域に塗布される接着剤の量が、それらの領域に挟まれた中央側の領域に塗布される接着剤の量の約2.0倍となるように、接合面の両端部から10mmの幅の領域でのスプレーノズルの移動速度を、それらの領域に挟まれた中央側の領域でのスプレーノズルの移動速度の0.5倍に調整した以外は実施例1と同様にして、図2に示したものと同様の構成を有する転写ロールを得た。なお、接着剤層形成率を変えるために、中央側の領域でのスプレーノズルの移動速度自体も実施例1から変化させた。
芯体の軸方向を基準として、接合面の両端部から10mmの幅の領域に塗布される接着剤の量が、それらの領域に挟まれた中央側の領域に塗布される接着剤の量の約2.0倍となるように、接合面の両端部から10mmの幅の領域でのスプレーノズルの移動速度を、それらの領域に挟まれた中央側の領域でのスプレーノズルの移動速度の0.5倍に調整した以外は実施例1と同様にして、図2に示したものと同様の構成を有する転写ロールを得た。なお、接着剤層形成率を変えるために、中央側の領域でのスプレーノズルの移動速度自体も実施例1から変化させた。
得られた転写ロールにおいて、芯体1と弾性層2との間の接着剤層3は、約φ50μmのドット状パターンを形成していた。また、芯体1の接合面aにおける任意の10mm×10mmの領域内で接着剤層形成率は常に35〜70%の範囲内であった。更に、芯体1の接合面aにおいて、端部領域b(接合面の両端から該接合面の全量の5%の幅の領域)の全面積に占める接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(Db)と、中央部領域cの全面積に占める接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(Dc)との比(Db/Dc)は、2.0であった。
(比較例1)
芯体の軸方向を基準として、接合面の両端部から10mmの幅の領域に塗布される接着剤の量が、それらの領域に挟まれた中央側の領域に塗布される接着剤の量の約2.5倍となるように、接合面の両端部から10mmの幅の領域でのスプレーノズルの移動速度を、それらの領域に挟まれた中央側の領域でのスプレーノズルの移動速度の0.4倍に調整した以外は実施例1と同様にして、図2に示したものと同様の構成を有する転写ロールを得た。なお、接着剤層形成率を変えるために、中央側の領域でのスプレーノズルの移動速度自体も実施例1から変化させた。
芯体の軸方向を基準として、接合面の両端部から10mmの幅の領域に塗布される接着剤の量が、それらの領域に挟まれた中央側の領域に塗布される接着剤の量の約2.5倍となるように、接合面の両端部から10mmの幅の領域でのスプレーノズルの移動速度を、それらの領域に挟まれた中央側の領域でのスプレーノズルの移動速度の0.4倍に調整した以外は実施例1と同様にして、図2に示したものと同様の構成を有する転写ロールを得た。なお、接着剤層形成率を変えるために、中央側の領域でのスプレーノズルの移動速度自体も実施例1から変化させた。
得られた転写ロールにおいて、芯体1と弾性層2との間の接着剤層3は、約φ50μmのドット状パターンを形成していた。また、芯体1の接合面aにおける任意の10mm×10mmの領域内で接着剤層形成率は常に10〜25%の範囲内であった。更に、芯体1の接合面aにおいて、端部領域b(接合面の両端から該接合面の全量の5%の幅の領域)の全面積に占める接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(Db)と、中央部領域cの全面積に占める接着剤層3が形成されている部分の面積の割合(Dc)との比(Db/Dc)は、2.5であった。
(比較例2)
芯体の接合面の全面に未塗布部が生じないように接着剤をスプレー塗布した以外は実施例1と同様にして、図11に示す構成を有する転写ロールを得た。
芯体の接合面の全面に未塗布部が生じないように接着剤をスプレー塗布した以外は実施例1と同様にして、図11に示す構成を有する転写ロールを得た。
得られた転写ロールにおいては、芯体1と弾性層2との間の全体に接着剤層3が形成されており、芯体1の接合面aにおける任意の10mm×10mmの領域内で、接着剤層形成率は常に100%であった。
<転写ロールの評価>
(抵抗値の測定)
転写ロールを温度22℃、湿度55%RHの環境下に24時間放置した。その後、金属製の平板の上に転写ロールを置き、両端の芯体に4.9Nの荷重をかけ、芯体に1000Vの直流電圧を10秒間印加した後の電流値から抵抗値を求めた。得られた抵抗値の常用対数値(logΩ)を表6に示す。
(抵抗値の測定)
転写ロールを温度22℃、湿度55%RHの環境下に24時間放置した。その後、金属製の平板の上に転写ロールを置き、両端の芯体に4.9Nの荷重をかけ、芯体に1000Vの直流電圧を10秒間印加した後の電流値から抵抗値を求めた。得られた抵抗値の常用対数値(logΩ)を表6に示す。
(抵抗値の面内ムラの測定)
転写ロールを温度22℃、湿度55%RHの環境下に24時間放置した。その後、転写ロールを周方向に60分割、軸方向に10分割して、計600ポイントの抵抗値を測定した。具体的には、転写ロールを30rpmで回転させながら、荷重50gで、幅3.5mm、外径10mmの電極と転写ロールの芯体との間に電圧500V(V)を印加しながら、電流値(I)を読み取り、R=V/Iの関係より、体積抵抗値を求めた。そして、求められた体積抵抗値の常用対数値の最大値と最小値の差を面内バラツキの指標とした。その結果を表6に示す。
転写ロールを温度22℃、湿度55%RHの環境下に24時間放置した。その後、転写ロールを周方向に60分割、軸方向に10分割して、計600ポイントの抵抗値を測定した。具体的には、転写ロールを30rpmで回転させながら、荷重50gで、幅3.5mm、外径10mmの電極と転写ロールの芯体との間に電圧500V(V)を印加しながら、電流値(I)を読み取り、R=V/Iの関係より、体積抵抗値を求めた。そして、求められた体積抵抗値の常用対数値の最大値と最小値の差を面内バラツキの指標とした。その結果を表6に示す。
(外径ムラの測定)
転写ロールを温度22℃、湿度55%RHの環境下に24時間放置した。その後、転写ロールの外径を弾性層の一端から他端まで等間隔で5点測定し、その最大値と最小値との差を求めた。その結果を表6に示す。
転写ロールを温度22℃、湿度55%RHの環境下に24時間放置した。その後、転写ロールの外径を弾性層の一端から他端まで等間隔で5点測定し、その最大値と最小値との差を求めた。その結果を表6に示す。
(画像形成試験)
転写ロールを温度22℃、湿度55%RHの環境下に24時間放置した。その後、転写ロールを、図10に示したものと同様の構成を有する富士ゼロックス社製のDocuColor5065Pの2次転写ロールとして搭載し、画像形成を行った。得られた画像を目視により確認し、下記評価基準に従って評価した。その結果を表6に示す。
A:濃度ムラ及び色ズレの発生がなく良好であり、実用上全く問題なし、
B:濃度ムラ及び/又は色ズレの発生がやや認められるが、実用上問題ないレベルである、
C:濃度ムラ及び/又は色ズレの発生が認められ、実用上問題あり。
転写ロールを温度22℃、湿度55%RHの環境下に24時間放置した。その後、転写ロールを、図10に示したものと同様の構成を有する富士ゼロックス社製のDocuColor5065Pの2次転写ロールとして搭載し、画像形成を行った。得られた画像を目視により確認し、下記評価基準に従って評価した。その結果を表6に示す。
A:濃度ムラ及び色ズレの発生がなく良好であり、実用上全く問題なし、
B:濃度ムラ及び/又は色ズレの発生がやや認められるが、実用上問題ないレベルである、
C:濃度ムラ及び/又は色ズレの発生が認められ、実用上問題あり。
(高温高湿試験)
転写ロールを温度65℃、湿度95%RHの高温高湿環境下に48時間放置した。その後、上述した抵抗値の測定、抵抗値の面内ムラの測定、外径ムラの測定、及び、画像形成試験を行った。また、画像形成試験後のゴムズレ発生の有無を確認した。それらの結果を表6に示す。
転写ロールを温度65℃、湿度95%RHの高温高湿環境下に48時間放置した。その後、上述した抵抗値の測定、抵抗値の面内ムラの測定、外径ムラの測定、及び、画像形成試験を行った。また、画像形成試験後のゴムズレ発生の有無を確認した。それらの結果を表6に示す。
1…芯体、2…弾性層、3…接着剤層、31…電荷発生層、32…電荷輸送層、33…導電性基体、34…下引層、35…保護層、36…感光層、37…中間層、38…単層型感光層、100、110、120、130、140…電子写真感光体、200、210、220…画像形成装置、207…電子写真感光体、208…帯電装置、209…電源、210…露光装置、211…現像装置、212…転写装置、213…クリーニング装置、214…除電器、215…定着装置、400…ハウジング、401a〜401d…電子写真感光体、402a〜402d…帯電ロール、403…レーザー光源(露光装置)、404a〜404d…現像装置、405a〜405d…トナーカートリッジ、406…駆動ロール、407…テンションロール、408…バックアップロール、409…中間転写ベルト、410a〜410d…1次転写ロール、411…トレイ(被転写体トレイ)、412…移送ロール、413…2次転写ロール、414…定着ロール、415a〜415d…クリーニングブレード、416…クリーニングブレード、500…被転写媒体。
Claims (5)
- 導電性の芯体と、該芯体の外周上に配置された弾性層と、を有し、
前記芯体と前記弾性層とは、それらの間に部分的に形成された接着剤層を介して接着されており、
前記芯体の外周面のうち前記弾性層が配置されている接合面内の任意の10mm×10mmの領域内で、前記接着剤層が形成されている部分の面積の割合が30〜70%であることを特徴とする転写ロール。 - 前記芯体の前記接合面内で、前記芯体の軸方向を基準として前記接合面の両端からそれぞれ該接合面の全長の5%の幅の領域を端部領域とし、該端部領域に挟まれた領域を中央部領域としたとき、
前記端部領域の全面積に占める前記接着剤層が形成されている部分の面積の割合が、前記中央部領域の全面積に占める前記接着剤層が形成されている部分の面積の割合よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の転写ロール。 - 導電性の芯体の外周面上に接着剤を部分的に塗布する塗布工程と、
前記芯体の外周面上に、前記接着剤からなる接着剤層を介して弾性層を接着する接着工程と、
を有し、
前記芯体の外周面のうち前記弾性層が配置される接合面内の任意の10mm×10mmの領域内で、前記接着剤層が形成される部分の面積の割合が30〜70%となるように、前記塗布工程において前記接着剤の塗布を行うことを特徴とする転写ロールの製造方法。 - 前記芯体の前記接合面内で、前記芯体の軸方向を基準として前記接合面の両端からそれぞれ該接合面の全長の5%の幅の領域を端部領域とし、該端部領域に挟まれた領域を中央部領域としたとき、
前記端部領域の全面積に占める前記接着剤層が形成される部分の面積の割合が、前記中央部領域の全面積に占める前記接着剤層が形成される部分の面積の割合よりも大きくなるように、前記塗布工程において前記接着剤の塗布を行うことを特徴とする請求項3に記載の転写ロールの製造方法。 - 電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成するための露光手段と、
前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段と、
前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写体に転写するための転写手段と、
を備え、
前記転写手段が、請求項1又は2に記載の転写ロールを有するものであることを特徴とする画像形成装置。
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