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JP2008246983A - 顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法 - Google Patents

顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法 Download PDF

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JP2008246983A JP2007094224A JP2007094224A JP2008246983A JP 2008246983 A JP2008246983 A JP 2008246983A JP 2007094224 A JP2007094224 A JP 2007094224A JP 2007094224 A JP2007094224 A JP 2007094224A JP 2008246983 A JP2008246983 A JP 2008246983A
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Abstract

【課題】粉落ちがなく、印字濃度が高く、耐傷性に優れ、マット調で深みのある落ち着いた画像が得られる顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法を提供する。
【解決手段】非吸水性支持体上に少なくとも2層のインク受容層を有し、支持体から最も離れた位置に設けられる最上層のインク受容層(A)が、平均粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカを主体に含有し、該最上層のインク受容層(A)と支持体との間に設けられるインク受容層(B)が、500nm以下の平均二次粒子径の無機微粒子を主体に含有するインクジェット記録材料の製造方法であって、支持体上に該インク受容層(B)を塗設するための塗布液を塗布後、少なくとも該塗布液が不動化した後に該インク受容層(A)を塗設するための塗布液を、湿式法シリカを0.4〜1.5g/m2含有する塗布量で塗布することを特徴とする顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録材料の製造方法に関し、詳しくは塗層のはがれに起因する粉落ちがなく、印字濃度が高く、耐傷性に優れ、マット調で深みのある落ち着いた画像が得られる顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法に関する。
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、紙やプラスチック樹脂フィルム等の支持体上にインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。インク受容層は、2つのタイプに大別される。1つのタイプは、水溶性ポリマーを主成分とするインク受容層であり、もう一つのタイプは無機顔料と樹脂バインダーを主成分とする多孔質のインク受容層である。
前者のタイプのインク受容層は、水溶性ポリマーが膨潤することによってインクを吸収する。後者のタイプのインク受容層は、無機顔料によって形成された空隙にインクを吸収する。このようなインク吸収のメカニズムの違いから前者のタイプは膨潤タイプ(あるいはポリマータイプ)、後者のタイプは空隙タイプと呼ばれている。
近年、インクジェット記録方式により銀塩写真に匹敵する画質の写真画像が印刷可能となり、フォトライクな光沢や質感を有するインクジェット記録用紙が求められている。このような用途に、前者のポリマータイプのインク受容層は、連続的な均一な被膜となるので光沢に優れるが、インク吸収性(インク吸収速度;印字後の乾燥速度)が劣り、一方、後者の空隙タイプは、インク吸収性に優れ印字濃度が高く、好ましいものである。後者の空隙タイプとしては、平均二次粒子径500nm以下まで粉砕・分散した気相法シリカや湿式法シリカ等の無機微粒子をインク受容層の顔料成分として用いることが提案されている。例えば、特公平3−56552号、特開平10−119423号、特開2000−211235号、特開2000−309157号公報等に気相法シリカの使用例が、特開平9−286165号、特開平10−181190号公報等に粉砕沈降法シリカの使用例が、特開2001−277712号公報に粉砕ゲル法シリカの使用例が開示されている。
このような無機微粒子を用いた記録材料に染料インクを使用して印字を行うと、塗層中の微細な空隙中にインクが浸透、吸収され、インク中の水を含めた溶剤成分が揮発すると染料は空隙中に残存することとなる。その結果、染料は空気にさらされてしまい劣化が非常に速い速度で起こってしまう。従って、無機微粒子を用いた空隙型記録材料の画像保存性は、前者の膨潤タイプの記録材料よりも低下してしまうという問題がある。
この画像保存性の問題を解決するために、色剤として堅牢性の高い顔料インクを使用することが知られている。しかしながら、顔料インクは、色剤が単分子で存在している水溶性染料インクと比較すると画像保存性は優れているものの印字濃度が不十分であり、またインク粒子がインク受容層に入り込まずに表面で皮膜を形成するために、印字された画像の耐傷性に問題があり解決が望まれていた。この問題を改善した無機微粒子を用いた顔料インク用インクジェット記録材料も提案されている。例えば特開2001−96907号、特開2003−251915号、特開2005−7641号、特開2005−53099号公報等に開示されている。
また、所望の特性を得るために、特性の異なるインク受容層を支持体上に複数層塗布する技術が知られている。例えばインク吸収性及びインクの滲みの少ない記録用紙として特開昭58−110287号公報に記載されるような最上層とインク受容層全体の空孔分布曲線に特定のピークを有する記録用紙が知られている。また記録された画像の耐光性及び高光沢性を有する記録用紙として特開2001−88438号公報に記載されるような最上層に特定の粒子径及び非表面積を有する酸化亜鉛及び/または酸化セリウムを有する記録用紙が知られている。
更にはインク吸収性、皮膜のひび割れ、光沢性に優れる記録用紙として特開2004−237704号公報(特許文献1)に記載されるような最上層のインク受容層に湿式法シリカを用いた記録用紙、特開2004−299164号公報(特許文献2)に記載されるような上層のインク受容層に平均粒子径が500nm以下である湿式法シリカとその下層に気相法シリカを利用するひび割れ、ぎらつきを抑制したバックリット用記録用紙が知られている。しかしながらこれら記録用紙に顔料インクを用いて印字した際には、印字濃度が低く、表面光沢が高くぎらつきがあり、顔料インクの定着性に課題を有するものであった。
一方、上述のようにインクジェット記録方式により銀塩写真に匹敵する画質の写真画像が印刷可能となったことから、フォトライクな光沢や質感を有するインクジェット記録用紙が求められ、一般的には高い光沢性を有する記録用紙が求められるが、ユーザーの趣向等によりフォトライクな質感を有しながら、マット調で深みのある落ち着いた画像が得られる記録材料が要望されている。このような記録材料を得るには、光沢を抑えたインクジェット記録材料で、かつ印字濃度が高くなければならない。
上記課題に対して、従来から知られる紙支持体上に無機顔料を主体とする記録用紙、いわゆるマット紙が従来より用いられてきたが、顔料インクを用いて印字した場合、多孔質層に顔料インクが沈み込んで保持されてしまうため印字濃度が低く、また印字画像の均一性等が不十分であった。この問題に対し特開2005−53136号公報(特許文献3)には、紙支持体上に平均二次粒子径が1〜10μmの無機顔料を利用したインク受容層の上層にアルミナもしくはアルミナ水和物を利用するインクジェット記録材料が開示されているが、十分満足できるものではなかった。また、紙支持体上に塗布した場合には印字部がインクによってふくらんでしまう、いわゆるコックリングを生じやすいためフォトライクな質感を得ることは困難である。
特開2003−335043号公報(特許文献4)、特開2005−145043号公報(特許文献5)には、インク受容層の少なくとも1層が平均二次粒子径500nm以下の無機微粒子とケト基を有する樹脂バインダー、及びその架橋剤を含有することを特徴とするインクジェット用記録材料が記載されているが、表面光沢が高いため、このような要望には満足できるものではなかった。
一方、支持体の片側に2層以上のインク受容層を有するインクジェット記録材料の製造方法も種々提案されている。吸水性支持体上に1層のインク受容層を塗布・乾燥後に、更にもう1層インク受容層を塗布することは一般に広く知られている。しかしながら、非吸水性支持体上に空隙タイプのインク受容層を塗布・乾燥後に、更にもう1層インク受容層を塗布することは、後から塗布される第2、第3のインク受容層塗布液によって、空隙層に存在する空気が押し出されてしまい、最上層のインク受容層に泡として残存し塗布欠陥となってしまうことがあり困難であるため、重層同時塗布が行われていた。しかし、重層同時塗布では、塗布時に塗液同士が界面で混ざってしまうことがあった。高い印字濃度を得ながらマット調で落ち着いた深みのある画像を得るためには、支持体から最も遠い層に平均粒子径が数μmの微粒子を含有する低光沢のインク受容層を設ける必要があったが、この低光沢のインク受容層の膜厚が薄すぎると塗液界面の混合により、光沢を十分下げることができない場合がある。この膜厚を厚くすると光沢を下げることはできるが、発色性が低下するだけでなく、塗層の脆弱性が増し塗層が剥がれやすくなってしまい、粉落ちの原因となってしまう。
特開2004−237704号公報 特開2004−299164号公報 特開2005−53136号公報 特開2003−335043号公報 特開2005−145043号公報
本発明の課題はインクジェット記録材料の製造方法に関し、詳しくは塗層のはがれに起因する粉落ちがなく、印字濃度が高く、耐傷性に優れ、マット調で深みのある落ち着いた画像が得られる顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法を提供することである。
本発明の上記目的は、以下のインクジェット記録材料によって達成された。
(1)非吸水性支持体上に少なくとも2層のインク受容層を有し、支持体から最も離れた位置に設けられる最上層のインク受容層(A)が、平均粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカを主体に含有し、該最上層のインク受容層(A)と支持体との間に設けられるインク受容層(B)が、500nm以下の平均二次粒子径の無機微粒子を主体に含有するインクジェット記録材料の製造方法であって、支持体上に該インク受容層(B)を塗設するための塗布液を塗布後、少なくとも該塗布液が不動化した後に該インク受容層(A)を塗設するための塗布液を、湿式法シリカを0.4〜1.5g/m2含有する塗布量で塗布することを特徴とする顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法
(2)上記インク受容層(A)に含有する湿式法シリカがゲル法シリカであることを特徴とする上記(1)に記載の顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法
(3)上記インク受容層(A)がシラノール基を有する水溶性バインダーを含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法
(4)上記インク受容層(A)がポリマー微粒子の水分散物を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法
(5)上記インク受容層(B)に主体に含有される500nm以下の平均二次粒子径の無機微粒子が、気相法シリカ、湿式法シリカ及びアルミナまたはアルミナ水和物のうちから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法
(6)上記インク受容層(B)が、一級アミノ基を分子内に2個以上有する化合物、及びケト基を有する樹脂バインダーを含有することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法
本発明のインクジェット記録材料の製造方法によれば、塗層のはがれに起因する粉落ちがなく、印字濃度が高く、耐傷性に優れ、マット調で深みのある落ち着いた画像が得られる顔料インク用インクジェット記録材料が得られる。
次に本発明の最上層のインク受容層(A)と支持体との間に設けられるインク受容層である、インク受容層(B)について説明する。
本発明のインク受容層(B)に主体に用いられる無機微粒子は、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子である。ここで無機微粒子を主体に含有するとは、インク受容層(B)における全固形分に対して前記無機微粒子を50質量%以上含有することであり、より好ましくは60質量%以上であり、特に好ましくは65質量%以上であり、上限は95質量%程度である。本発明でいう平均二次粒子径は希釈分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られる。本発明のインク受容層(B)に主体に用いられる無機微粒子は、合成非晶質シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等公知の各種無機微粒子が挙げられるが、合成非晶質シリカ、アルミナ、アルミナ水和物が好ましく用いられる。合成非晶質シリカには、気相法によるものと湿式法及びその他によるものがある。気相法シリカは乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル株式会社からアエロジル、トクヤマ株式会社からQSタイプとして市販されており入手することができる。
本発明のインク受容層(B)に、用いられる気相法シリカの一次粒子の平均粒径は、5〜30nmが好ましく、さらに15nm以下が好ましい。また、より好ましくは一次粒子の平均粒径が5〜15nmでかつBET法による比表面積が200m2/g以上のものを用いる。本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。ここで記載する平均一次粒子径とは、分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求められる。
湿式シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカ二次粒子は穏やかな凝集粒子となり、比較的粉砕しやすい粒子が得られる。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させてケイ酸ゾルを生成する。ケイ酸ゾルは次第に重合し、一次粒子を形成し、更に三次元的に凝集体を形成し、ゲル化する。このシリカを気流粉砕等の一般的な方法で粉砕して微粉化する。すなわちゲル法では、酸性サイドで反応重合させ、ゲル状になるまで静置し、水洗して乾燥しゲル法シリカを得る。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップジェルとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。
インク受容層(B)に用いられる、気相法シリカ及び湿式法シリカは、カチオン性化合物の存在下で、該シリカの平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmに分散したものが使用できる。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカまたは湿式法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
上記気相法シリカ及び湿式法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーまたは水溶性金属化合物を使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、特開昭59−33176号、特開昭59−33177号、特開昭59−155088号、特開昭60−11389号、特開昭60−49990号、特開昭60−83882号、特開昭60−109894号、特開昭62−198493号、特開昭63−49478号、特開昭63−115780号、特開昭63−280681号、特開平1−40371号、特開平6−234268号、特開平7−125411号、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性及び分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい
水溶性金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられ、中でもアルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましい。特に好ましくは水溶性アルミニウム化合物である。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。更に、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られており、好ましく用いられる。
本発明に用いられる周期表4A族元素を含む水溶性化合物としては、チタンまたはジルコニウムを含む水溶性化合物がより好ましい。チタンを含む水溶性化合物としては、塩化チタン、硫酸チタンが挙げられる。ジルコニウムを含む水溶性化合物としては、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が挙げられる。本発明において、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを目安とする。
本発明のインク受容層(B)に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用できる。
本発明のインク受容層(B)に使用するアルミナ水和物はAl23・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物はアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
本発明のインク受容層(B)に用いられる前記のアルミナ及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
本発明のインク受容層(B)には上記した無機微粒子の中から2種以上の無機微粒子を併用することもできる。例えば、微粉砕した湿式法シリカと気相法シリカとの併用、微粉砕した湿式法シリカとアルミナ水和物との併用、気相法シリカとアルミナ水和物との併用、アルミナとアルミナ水和物との併用が挙げられる。この併用の場合の比率は、いずれの態様も、7:3〜3:7の範囲が好ましい。
本発明のインク受容層(B)には、結着剤として親水性バインダーを用いることが好ましい。本発明のインク受容層(B)の親水性バインダーとしては、公知の各種バインダー、例えばカゼイン、デンプン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、各種変性ポリビニルアルコール等を用いることができるが、透明性が高くインクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが好ましく用いられる。親水性バインダーの使用にあたっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分又は完全ケン化したものである。平均重合度200〜5000のものが好ましい。その使用量は500nm以下の平均二次粒子径を有する無機微粒子に対して5〜30質量%である。
本発明におけるインク受容層(B)には、上記親水性バインダーとともに架橋剤(硬膜剤)を用いることができる。架橋剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、N,N′−ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6―ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3国特許第3,635,718号明細書記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第3,103,437号明細書記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号明細書記載の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシオキサンの如きジオキサン誘導体、クロムミョウバン、硫酸ジルコニウム、ほう酸、ほう酸塩、ほう砂の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。本発明においては特にほう酸、ほう砂またはほう酸塩を用いることが好ましい。本発明で使用されるほう酸は、オルトほう酸、メタほう酸、次ほう酸等が、ほう酸塩としてはそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。その使用量はポリビニルアルコールに対しては0.02〜50質量%であり、特に0.5〜35質量%が好ましい。
本発明ではインク受容層(B)に親水性インダーとしてケト基を有する樹脂バインダーを用い、一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物を含有することが好ましい。ケト基を有する樹脂バインダーはケト基を有するモノマーと他のモノマーを共重合する方法等によって合成することができる。ケト基を有するモノマーの具体例としては、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクレート、4−ビニルアセトアセトアニリド、アセトアセチルアリルアミド等が挙げられる。また、ポリマー反応でケト基を導入してもよく、例えばヒドロキシ基とジケテンとの反応等によってアセトアセチル基を導入することができる。ケト基を有する樹脂バインダーの具体例としては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性セルロース誘導体、アセトアセチル変性澱粉、ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール、特開平10−157283号公報に記載の樹脂バインダー等が挙げられる。本発明では、特にケト基を有する変性ポリビニルアルコールが好ましい。ケト基を有する変性ポリビニルアルコールとしては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとジケテンの反応等の公知の方法によって製造することができる。アセトアセチル化度は0.1〜20モル%が好ましく、更に1〜15モル%が好ましい。ケン化度は80モル%以上が好ましく、更に85モル%以上が好ましい。重合度としては、500〜5000のものが好ましく、特に1000〜4500のものが好ましい。
ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコールは、ジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体をケン化する等公知の方法によって製造することができる。ジアセトンアクリルアミド単位の含有量としては、0.1〜15モル%の範囲が好ましく、更に0.5〜10モル%の範囲が好ましい。ケン化度としては85モル%以上、重合度としては500〜5000のものが好ましい。
本発明のインク受容層(B)ではケト基を有する樹脂バインダーに加えて、更に他の公知の樹脂バインダーを併用してもよい。例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉や各種変性澱粉、ゼラチンや各種変性ゼラチン、キトサン、カラギーナン、カゼイン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールや各種変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を必要に応じて併用することができる。更にバインダー樹脂として各種ラテックスを併用してもよい。
この際発色性の点で、ケト基を有する樹脂バインダーと相溶性の高い樹脂バインダーを併用することが好ましい。相溶性の低いものを併用するとインク受容層(B)の透明性が低下してしまい、結果として発色性が低下する。ケト基を有する変性ポリビニルアルコールを使用する場合、完全または部分ケン化ポリビニルアルコール、またはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましく併用できる。特に、ケン化度が80%以上で、平均重合度200〜5000のものが好ましく使用できる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
本発明のインク受容層(B)のケト基を有する樹脂バインダーと併用する樹脂バインダーの使用量は、ケト基を有する樹脂バインダーと後述する一級アミノ基を分子内に2個以上有する化合物による作用が得られる範囲であれば特に限定されるものではない。
本発明のインク受容層(B)のケト基を有する樹脂バインダーの総含有量は、少ないほどインク受容層中の空隙容積が大きくなりインク吸収性が高くなる面で好ましいが、少なすぎるとインク受容層が脆弱となりひび割れ等の表面欠陥が多くなったり、光沢が低下するため、無機微粒子に対して5〜40質量%の範囲が好ましく、特に5〜30質量%が好ましい。
次に本発明のインク受容層(B)にケト基を有する樹脂バインダーとともに用いられる一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物について説明する。本発明の一級アミノ基とは、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基の炭素原子に結合した一級アミノ基、及び窒素原子に結合した一級アミノ基(すなわちヒドラジンの末端アミノ基)である。混合後の増粘効果の点で、ヒドラジン型のアミノ基が好ましく、特にヒドラジド、セミカルバジド、又はカルボヒドラジド構造であるものが好ましい。炭素原子に結合した一級アミノ基を2個以上有する化合物の具体例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、メタキシレンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等が挙げられ、ヒドラジン型のアミノ基を2個以上有する化合物の具体例としては、ヒドラジン及びその塩、カルボヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、くえん酸トリヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のポリカルボン酸ヒドラジド類、4,4′−エチレンジセミカルバジド、4,4′−ヘキサメチレンジセミカルバジド等のポリイソシアネートとヒドラジンの反応物、ポリアクリル酸ヒドラジド等のポリマー型ヒドラジド等が挙げられる。特に、水溶性及び反応性の点で、こはく酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドが好ましい。
本発明のインク受容層(B)に用いられる一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物の含有量について特に制限はないが、生産性及び得られるインク受容層の特性の面で、ケト基を有する樹脂バインダーに対して、0.1〜50質量%、更に1〜20質量%の範囲が好ましい。
本発明のインク受容層(B)にケト基を有する樹脂バインダー及び一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物が用いられる場合にも、上記のごとく他の公知の硬膜剤を併用してもよい。併用される硬膜剤としては、ほう酸、ほう酸塩、ほう砂から選ばれる少なくとも1つ以上の化合物であることが好ましい。
本発明において、インク受容層(B)にケト基を有する樹脂バインダー及び一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物が用いられる場合、該ケト基を有する樹脂バインダーを架橋させるために、該ケト基を有する樹脂バインダーと一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物とを反応させた後に乾燥させる必要がある。しかしながら同一塗布液中に含まれていると、これら2つの化合物の高い反応性のため塗液製造工程中に塗液がゲル化してしまう場合がある。従って、生産性の観点から、これら2つの化合物は同一塗布液に含まれないことが好ましい。よってこれら2つの化合物を別々の塗液にそれぞれ含有させ、塗布液同士を接触させて一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物を、ケト基を有する樹脂バインダーを含有する塗布液中に拡散させて、これら2つの化合物のいずれをも含むインク受容層B塗布液を得ることが好ましい。上記一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物を含有する塗布液(架橋剤塗布液)を塗布するタイミングは、上記ケト基を有する樹脂バインダーを含有する塗布液(バインダー塗布液)を塗布する前から該塗布液の乾燥がドライヤー内で始まるまでの間である必要がある。該バインダー塗布液の乾燥がドライヤーで始まるまでに、上記一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物がケト基を有する樹脂バインダーと架橋反応を起こしていないと、バインダー塗布液の粘度が上昇せずドライヤー内の風で塗布面を乱されてしまい良好な塗布面を得られない。
上記架橋剤塗布液を塗布する方法としては、該架橋剤塗布液とバインダー塗布液とを同時に重層塗布する方法や、架橋剤塗布液を支持体上に塗布・乾燥後バインダー塗布液を塗布する方法、架橋剤塗布液を支持体上に塗布し乾燥させずにバインダー塗布液を塗布する方法、バインダー塗布液を塗布後、乾燥させるまでに架橋剤塗布液を塗布する方法などがある。
本発明のインク受容層(B)の乾燥塗布量としては、インク吸収性、インク受容層の強度、及び生産性の面で、無機微粒子の固形分として8〜40g/m2の範囲、特に10〜30g/m2の範囲が好ましい。
本発明におけるインク受容層(B)の塗布方法は、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
次に最上層のインク受容層(A)について説明する。
本発明の最上層のインク受容層(A)には平均粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカを含有する。平均粒子径が1.5μm未満または2.5μmを越えると顔料インクで印字したときの濃度が低下する。本発明における湿式法シリカの吸油量は200〜350ml/100gの範囲が好ましい。吸油量は、JIS K−5101の記載に基づき測定される。湿式シリカとしては、前述のように沈降法シリカとゲル法シリカに分類されるが、本発明においては特にゲル法シリカが好ましい。本発明で用いる平均粒子径は、市販の粒度分布測定装置、例えば、(株)堀場製作所社製のLA―920、ベックマン・コールター(株)社製のLS230等の粒度分布測定装置により測定可能である。
本発明の最上層のインク受容層(A)で用いられる上記湿式法シリカとしては、粉砕分散して微粒子化した物や粉砕を粗くした粒状の物を使用することができる。微粒化した粉体としては水澤化学工業(株)からミズカシル、東ソー・シリカ(株)からニップジェルとして市販され入手することができる。また、粉砕を粗くした粒状の物としては、一般的にシリカゲルとも表現されており、乾燥剤やクロマトグラフィー充填剤等に利用されている。これらの粒状の物としては豊田化工(株)からQPタイプ、富士シリシア化学(株)から富士シリカゲルとして市販され入手することができる。
また、上記湿式法シリカをさらに微粉砕して使用することもできる。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。湿式分散機としては、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜施回型分散機等を使用することもできる。
本発明の最上層のインク受容層(A)には平均粒子径が1.5〜2.5μmの湿式法シリカが主体に含有される。ここで主体に含有されるとは、最上層のインク受容層(A)における全固形分に対して50質量%以上含有することを表し、より好ましくは55質量%以上であり、特に好ましくは60質量%以上であり、上限は90質量%程度である。
本発明の最上層のインク受容層(A)に用いられる平均粒子径が1.5〜2.5μmの湿式法シリカの塗布量は、0.4〜1.5g/m2である。0.4g/m2未満では、マット調の光沢感を得ることが困難であり、1.5g/m2を超えると粉落ちが発生しやすくなる。
本発明の最上層のインク受容層(A)に用いられる平均粒子径が1.5〜2.5μmの湿式法シリカの塗布方法について説明する。
一般に多層構成の塗布物を作製するためにスライドビード方式やカーテン方式等により重層同時塗布を行うことは広く知られている。この方法によれば支持体上に複数の層を同時に塗布できることにより生産効率が向上することと、均一でムラのない塗布面を得ることができる。その一方で、塗布液同士が接触するため塗布液間の界面で表面張力のバランスの不適合から無塗布の塗布欠陥(ハジキ)や界面での塗布液同士の混ざりが生じてしまうおそれがあり、塗布液の粘度、表面張力等の物性の調整は非常に重要である。
また、単位面積あたりの塗布量の少ない塗布液を上記重層同時塗布を行う際には界面での混ざりの影響は顕著になる場合がある。つまり、本発明において必要な塗布量である0.4〜1.5g/m2を塗布しようとした場合には上記塗布液同士の界面での混ざりの影響を受けやすくなる。本発明におけるインク受容層(A)の塗布液とインク受容層(B)の塗布液とが界面で混ざった場合には、光沢が高くなり目的としているマット調の風合いが得られない場合がある。また、コロイダルシリカのような、塗液中で安定に分散されており、長期間の無攪拌での保存でも沈降が生じない無機微粒子をインク受容層(A)に使用している場合とは異なり、本発明のように平均粒子径が1.5〜2.5μmの湿式法シリカをインク受容層(A)を使用している場合にはこの界面での混ざりはより起こりやすい。これは、前記2つのインク受容層が塗布・乾燥中に、上部に位置しているインク受容層(A)のシリカ粒子が下部に位置しているインク受容層(B)に沈降していくことによってより起こりやすくなっているのではないかと推測している。
従って、本発明においてインク受容層(A)を塗布する際には、重層同時塗布は好ましくない。
一方、多層構成の塗布物を作製するために各層を一層ずつ塗布する、いわゆる逐次塗布も一般に広く知られている。この方法によれば、上記界面での塗液の混ざりは認められず、あるいは極めてわずかであり、種々の塗布液を塗り重ねることが可能である。本発明のインク受容層(A)をインク受容層(B)との界面で混ざることなく塗布するには、逐次塗布方式を用い、更に塗設されたインク受容層(B)塗布液が次に塗布されるインク受容層(A)塗布液と混ざらない程度にまで不動化せしめた後にインク受容層(A)塗布液が塗布される必要がある。
次に上記不動化について具体的に説明する。異なる塗布液同士が接触した際に一方の塗布液の粘度が2000mPa・s以上、好ましくは3000mPa・s以上であると塗布した際の上記塗布液同士の混ざりは生じにくくなる。該インク受容層(B)塗布液の粘度を2000mPa・s以上に上昇させる方法としては、(1)インク受容層(B)塗布液をある程度乾燥させて該塗布液中の水をはじめとする溶媒成分を減少させ粘度を上昇させる方法、(2)支持体に該塗布液中の水をはじめとする溶媒成分吸収させる方法、(3)インク受容層(B)の親水性バインダーに架橋性のポリマーを使用し、該架橋性ポリマーの架橋剤と共存させた状態で架橋反応を起こさせて塗布液の粘度を上昇させる方法、などが挙げられる。これらの方法のうちの2つ以上を組み合わせて塗布液の粘度を上昇させてもよい。
上記(1)〜(3)の増粘の方法について詳しく説明する。(1)の方法については、支持体上に塗布された塗布液の粘度を測定することは極めて困難であるが、揮発した塗布液中の溶媒成分量からある程度正確に計算できる。(2)の方法については、吸水性支持体が塗布液が塗布された直後から塗布液中の水をはじめとする溶媒成分吸収することを利用するもので、非吸水性支持体では使用できない。(3)の方法については、インク受容層(B)の塗布後に塗布紙の温度を冷却させて水素結合を主体とする架橋反応を起こさせて粘度を上昇せしめる方法や、共有結合を主体とする架橋反応により粘度を上昇せしめる方法などがある。あらかじめ2000mPa・s以上の粘度を有するインク受容層(B)塗布液を塗布する方法も考えられるが、本発明のごとき微細な無機微粒子を多く含有している塗布液では塗布液の粘度調整が困難であったり均一な塗布面を得ることが困難であり好ましくない。
本発明におけるインク受容層(A)の塗布においては、該インク受容層(A)塗布液の塗布量を計量する位置が重要である。一般的に塗布を行う場合には、後計量方式と前計量方式との二つの塗布量の計量方式がある。後計量方式とは、あらかじめ目的塗布量よりも多く塗布した後に何らかの方法で余剰塗布量を除去する方式であり、具体的にはエアーナイフ、ドクターブレード、ワイヤーロッドなどの塗布設備が挙げられる。一方、前計量方式とは、目的塗布量をあらかじめ計量し支持体上に塗布する方式であり、塗布装置から支持体上に塗布された時点で目的塗布量となっているため、余剰分を除去する必要はない。前計量方式の塗布設備としては、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、グラビア方式、ロールコーティング方式、スロットコーター方式等が挙げられる。
本発明のインク受容層(A)は塗布量制御の観点から、上記のうち前計量方式によって塗布されることが好ましい。
本発明において好ましく使用される上記前計量方式の塗布設備を大別すると、接触型と非接触型に分けることができる。接触型には、グラビア方式やロールコーティング方式などがあり、非接触型には、スライドビード方式、カーテン方式、スロットコーター方式などがある。本発明では、インク受容層(A)が塗布されるタイミングが、インク受容層(B)が実質上乾燥終了後である場合には、上記接触型及び非接触型のいずれの塗布設備も使用することができる。一方、該インク受容層(A)が塗布されるタイミングが、インク受容層(B)が実質上乾燥終了する前である場合には、インク受容層(B)の表面に乱れが生じる場合があるため、上記非接触型が好ましい。
一般に、塗布液の乾燥工程のうち恒率乾燥域は、塗層中の自由水(もしくは溶剤)をその蒸発潜熱で蒸発させていく工程であり、塗布紙の表面温度はほぼ一定である。インク受容層の空隙構造などはこの工程でほぼ形成される。減率乾燥域は、塗層中の無機顔料や親水性バインダーなどと相互作用を持っている水や溶剤が蒸発する工程で、蒸発潜熱以外にそれら相互作用を解きほぐすためのエネルギーが必要となる。この領域では塗布紙の表面温度は徐々に上昇し始める。従って、本発明において実質上乾燥終了するとは、塗層中の自由水や溶剤及び塗層中の無機顔料や親水性バインダーなどと相互作用を持っている水や溶剤が蒸発し終わることであり、塗布紙の表面温度とドライヤー内の温度とが一致するところであると考えられる。恒率乾燥域では、塗層中にまだ自由水が残存しており、その上に更に塗布液を塗布するなどの衝撃が加わると塗層表面に乱れが生じる可能性がある。一方乾燥終了点以降では、実際に塗層表面に塗布設備等が接触しても塗布設備に塗層中の溶媒成分や顔料成分が転写したり、塗布設備によって塗層表面が乱されたりしない。本発明では、均一な塗布面を得るという塗布性の観点から、インク受容層(A)が塗布されるタイミングは、インク受容層(B)塗布液が不動化した後である必要があり、減率乾燥領域を終えて恒率乾燥領域以降であることが好ましく、インク受容層(B)塗布液が実質上乾燥終了後であることがより好ましい。
本発明のインク受容層(A)には、各種ポリマー微粒子の水分散物等もしくは上記インク受容層(B)に使用することのできる公知の親水性バインダーを使用することができる。また、該公知の親水性バインダーとともに、それらの架橋剤をあわせて使用することができる。
一方で、一般に非吸水性支持体上に多孔質なインク受容層を塗布・乾燥し、ついで無機微粒子とそのバインダーを塗布する際には、泡や粉落ちが発生する場合がある。
多孔質なインク受容層中の空隙には空気が存在しており、その上に塗布液を塗布した際には、該空隙中の空気が該塗布液の溶媒に置換される。支持体が吸水性支持体である場合には、該空隙中の空気は支持体中に容易に移動するため泡の問題は生じないが、非吸水性支持体上に塗布した際には、該空隙中の空気が移動する場所は新たに塗布された塗布液中しかなく、結果として泡を発生させる場合がある。
また、上記のように新たに塗布された塗布液中の溶媒が、あらかじめ塗布されているインク受容層中に移動する際に塗布された塗布液中のバインダーを伴って移動する場合があり、その場合には塗布された塗布液中のバインダー量が減少してしまうため、新たに塗布された塗層が脆弱になり粉落ちが発生してしまう可能性がある。
また上記のような粉落ちの発生なく塗布を行うためには、(1)インク受容層(B)が支持体上に塗布されて不動化したのちに、多孔質が形成されるまでにインク受容層(A)が塗布される、もしくは(2)インク受容層(A)中のバインダーをインク受容層(B)中に吸収されにくくする、必要がある。上記(2)の場合には、インク受容層(B)中のバインダーをインク受容層(A)塗布前に架橋させておくか、インク受容層(A)に上記のごときポリマー微粒子の水分散物もしくはシラノール基を有する水溶性バインダー等を使用することが挙げられる。バインダーの架橋には、上記のごときバインダーと架橋剤とを適宜組み合わせて使用することができるが、バインダーとしてポリビニルアルコールもしくは変性ポリビニルアルコール、架橋剤としてほう酸、ほう酸塩、ほう砂から選ばれる少なくとも1つ以上の化合物であることが好ましい。ポリマー微粒子の水分散物はその物理的な粒子径からインク受容層(B)中の多孔質への吸収が起こりにくくインク受容層(A)中にとどまるためより好ましく用いられる。また、シラノール基を有する水溶性バインダーはインク受容層(A)中のシリカ微粒子との反応・結着するためにインク受容層(B)中の多孔質への吸収が起こりにくくインク受容層(A)中にとどまるため、同様により好ましく用いられる。
前記インク受容層(A)の均一な塗布面を得ることと上記粉落ちの防止を両立させるためには、インク受容層(B)を塗布・乾燥終了後に、ポリマー微粒子の水分散物もしくはシラノール基を有する水溶性バインダーをバインダーとして含有するインク受容層(A)を塗布することが特に好ましい。
本発明のインク受容層(A)に用いることのできるポリマー微粒子の水分散物としては広範な合成ポリマー微粒子の水分散物を使用することができるが、好ましくはビニルモノマーを主原料としているビニル重合体エマルションである。
適当なビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸及びそのエステル化合物(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル等)、α−置換アクリル酸及びそのエステル化合物(メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルメタクリレート等)、アクリルアミド及びその置換物(ブチルアクリルアミド、ヘキシルアクリルアミド等)、ビニルエステル(酢酸ビニル等)、ハロゲン化ビニル(塩化ビニル等)、ハロゲン化ビニリデン(塩化ビニリデン)、ビニルエーテル(ビニルメチルエーテル、ビニルオクチルエーテル等)、スチレン、ジビニルベンゼン、エチレン、ブタジエン、アクリロニトリル等が挙げられる。また、必要な機能に応じて、共重合体やコア−シェル型のポリマー微粒子の水分散物を使用してもよく、少なくとも2つ以上のポリマー微粒子の水分散物を合わせて使用してもよい。
本発明のインク受容層(A)に用いることのできる上記ポリマー微粒子の水分散物の最低造膜温度は、塗布・乾燥時に該ポリマー微粒子の水分散物が皮膜を形成する必要があるため低い方がよく、40℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましい。該ポリマー微粒子の水分散物の粒子径には特に制限はないが、インク受容層(B)の多孔質中により入り込みにくくなるために、100nm以上であることが好ましい。
本発明のインク受容層(A)に用いることのできる上記ポリマー微粒子の水分散物の添加量は、インク吸収性や粉落ち防止の観点から、該インク受容層(A)に含有されている平均二次粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカに対して10〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜65質量%である。
本発明のインク受容層(A)では上記ポリマー微粒子の水分散物に加えて、更に他の公知の樹脂バインダーを併用してもよい。例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉や各種変性澱粉、ゼラチンや各種変性ゼラチン、キトサン、カラギーナン、カゼイン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールや各種変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を必要に応じて併用することができる。
本発明のインク受容層(A)に用いることのできるシラノール基を有する水溶性バインダーとしては、例えばシラノール変性ポリビニルアルコールが挙げられる。該シラノール変性ポリビニルアルコールとは、ポリビニルアルコールにシラノール基を修飾したもので、該シラノール基が該インク受容層(A)に含有されている平均二次粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカと結着して該インク受容層(A)に高収率でとどまることができる。該シラノール変性ポリビニルアルコールは(株)クラレからRポリマーとして市販されている。
本発明のインク受容層(A)に用いることのできる上記シラノール変性ポリビニルアルコールの添加量は、インク吸収性や粉落ち防止の観点から、該インク受容層(A)に含有されている平均二次粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカに対して10〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜65質量%である。
本発明のインク受容層(A)に用いることのできる上記シラノール変性ポリビニルアルコールとともにその架橋剤を使用することが好ましい。本発明においては特にほう酸、ほう砂またはほう酸塩を用いることが好ましい。
本発明のインク受容層(A)では上記シラノール変性ポリビニルアルコールに加えて、更に他の公知の樹脂バインダーを併用してもよい。例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉や各種変性澱粉、ゼラチンや各種変性ゼラチン、キトサン、カラギーナン、カゼイン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールや各種変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を必要に応じて併用することができる。更にバインダー樹脂として上記のごとき各種ラテックスを併用してもよい。
本発明において、インクジェット用記録材料には、上記インク受容層(A)及び(B)に加え、更に他の構成のインク吸収層等の他の機能を有する層を設けてもよい。
本発明では、発色性改良目的等で各インク受容層に更にカチオン性化合物を含有することができる。カチオン性化合物の例としては、シリカの分散の説明で挙げたカチオン性ポリマー、及び水溶性金属化合物が挙げられる。また、水溶性金属化合物の例としてカルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、p−フェノールスルホン酸亜鉛、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。中でも分子量5,000〜10万程度のカチオン性ポリマー及びアルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましく、特にアルミニウム化合物を含有することが好ましい。カチオン性化合物は一種類を使用しても、複数の化合物を併用してもよい。
本発明において各層のインク受容層には更に、界面活性剤、着色染料、着色顔料、インク色剤の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
本発明に用いられる支持体はポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートのようなセルロースエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂被覆紙等の非吸水性支持体等が用いられる。非吸水性支持体の中でも特に原紙の少なくとも一方の面をポリオレフィン樹脂で被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙が好ましく用いられる。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤を配合してもよい。もしくは、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
また、原紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。ただし、原紙の密度は剛直性のためには1.10g/cm3以下、好ましくは0.6〜1.05g/cm3である。密度が小さすぎると樹脂被覆を行っても均一な表面平滑性が得られにくい。
ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
また、ポリオレフィン樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、ヒンダードフェノール誘導体などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
本発明において用いられる支持体は、ポリオレフィン樹脂の場合は、走行する原紙上に加熱溶融した樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、その表面または両面が樹脂により被覆される。また、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。ポリオレフィン樹脂被覆紙のインク受容層が塗布される面(おもて面)は、その用途に応じて光沢面、マット面などに加工される。裏面に樹脂を被覆する必要はないが、カール防止の点から樹脂被覆したほうが好ましい。裏面は通常無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。また、ポリオレフィン樹脂被覆紙の厚みとしては特に制限はないが、一般に片面5〜50μmの厚みに表面または表裏両面にコーティングされる。
支持体上に本発明のインク受容層の塗布液を塗布する場合、塗布に先立って、好ましくはコロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等が行われる。
本発明は、支持体のインク受容層を設ける面上に天然高分子化合物や合成樹脂を主体とする下引き層を設けるのが好ましい。
支持体上に設けられる下引き層はゼラチン、カゼイン等の天然高分子化合物や合成樹脂を主体とする。係る合成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。また、前記の一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物を含有することもできるが、それ以外の実施形態においても各種架橋剤(硬膜剤)を用いることが出来る。
上記下引き層は、支持体上に0.01〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられる。好ましくは0.05〜5μmの範囲である。
本発明における支持体には帯電防止性、搬送性、カール調整などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、樹脂バインダー、ラテックス、顔料、硬化剤、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
本発明の記録材料に印字するのに使用する顔料インクとしては、水性顔料インクが好ましく、従来公知の有機及び無機顔料を分散剤、界面活性剤等各種助剤と共に水中に分散したものである。従来公知の有機及び無機顔料としては、例えばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリノン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの手法により製造されたカーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
好適なものとしては、黄色系顔料としては、ダイニチファーストイエローG(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントイエロー1)、ダイニチファーストイエローGR(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントイエロー2)、ダイニチファーストイエロー10G(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントイエロー3)、モノライトファーストイエロー5G(商品名、インペリアルケミカルインダストリーズ製、C.I.ピグメントイエロー4)、サンヨウファーストイエロー5G(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントイエロー5)、ダイニチファーストイエロー3G(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントイエロー6)、サンヨウファーストイエローR(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントイエロー10)、サンヨウベンジジンイエローB(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントイエロー12)、山陽ライトファーストベンジジンイエローR(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントイエロー13)、スミトモイエローG(商品名、住友化学工業(株)製、C.I.ピグメントイエロー14)、2600ベンジジンイエロー(商品名、大日精化工業(株)製、ピグメントイエロー15)、シミュラーファーストイエロー8GR(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントイエロー17)、クロモフタールイエロー8GN(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントイエロー128)、クロモフタールイエロー6G(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントイエロー94)、クロモフタールイエロー3G(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントイエロー93)、クロモフタールイエローGR(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントイエロー95)、カヤセットイエローE−AR(商品名、日本化薬(株)製、C.I.ピグメントイエロー147)、クロモフタールイエロー2RLTS(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントイエロー110)、イルガジンイエロー2GLTE(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントイエロー109)、イルガジンイエロー2RLT(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントイエロー110)、イルガジンイエローRRLTN(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントイエロー110)、イルガライトイエローF4G(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントイエロー111)、イルガライトイエローBRM(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントイエロー14)、マイクロリースイエロー3G−WA(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントイエロー13)、マイクロリースイエロー2R−WA(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントイエロー83)。
赤色系顔料としては、サンヨウシグナルレッド(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントレッド1)、ダイニチパーマネントレッド4R(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントレッド3)、ダイニチパーマネントレッドRX(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントレッド4)、スミトモカーマインB(商品名、住友化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド5)、サンヨウファーストレッド(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントレッド6)、サンヨウパーマネントレッドG−207(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントレッド9)、ボルドーF−2R(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントレッド12)、サンヨウファーストレッドGR(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントレッド21)、スミトモスカーレットFSH(商品名、住友化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド22)、サンヨウファーストレッド10B(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントレッド23)、マイクロリースレッドRBS−WA(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントレッド23)、ダイニチ#930ファーストレッド(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントレッド38)、950レッド(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントレッド41)、ダイニチパーマネントレッド(商品名、大日精化工業(株)製、C.I.ピグメントレッド48(カルシウムレイキ) )、サンヨウファーストレッド2B(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントレッド48(バリウムレイキ) )、サンヨウピグメントスカーレットTR(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントレッド48(ストロンチウムレイキ) )、スミトモレッド2BM(商品名、住友化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド48(マンガンレイキ) )、シミュラーレイキレッドR(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド49(バリウムレイキ) )、シミュラーレイキレッドD(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド50)、シミュラーレイキレッドC(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド53(バリウムレイキ) )、スミトーンレッド6F(商品名、住友化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド57(カルシウムレイキ) )、シミュラーファーストボルドー10B(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド63(バリウムレイキ) )、ダイニチファーストピンクGX、Gトナー(商品名、大日精化工業(株)、C.I.ピグメントレッド81)、スミトーンレッドGS(商品名、住友化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド112)、シミュラーファーストカーマインBS(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントレッド114)、クロモフタールスカーレットRN(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントレッド166)、クロモフタールレッドG(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントレッド220)、クロモフタールDPPレッドBP(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントレッド254)、クロモフタールレッドBRN(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントレッド144)、クロモフタールレッドA2B(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントレッド177)、シンカシアレッドBNRT742D(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントヴァイオレット19)、シンカシアレッドBRT790−D(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントヴァイオレット19)、マイクロリーススカーレットR−WA(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントレッド166)、マイクロリース2B−WA(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントレッド221)、マイクロリースマゼンタB−WA(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントレッド184)。
青色系顔料としてはシミュレックスブルーBOF(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントブルー1)、シミュレックスブルー16F(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントブルー2)、ファーストゲンブルーB,BS(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントブルー15)、ファーストゲンブルーGS,2G(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントブルー15)、ファーストゲンスカイブルー(商品名、大日本インキ化学工業(株)製、C.I.ピグメントブルー17)、スミトーンネイビーブルー(商品名、住友化学工業(株)製、C.I.ピグメントブルー25)、クロモフタールブルーA3R(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントブルー60)、クロモフタールブルー4GNP(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントブルー15:3)、イイルガライトブルーFR(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントブルー62)、マイクロリースブルー4G−WA(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントブルー15:3)。
黒色系顔料としては、サンヨウダイアモンドブラック(商品名、山陽色素(株)製、C.I.ピグメントブラック1)、マイクロリースブラックC−WA(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、C.I.ピグメントブラック7(カーボンブラック) )、RAVEN780,1080(商品名、コロンビアカーボン製、C.I.ピグメントブラック7(カーボンブラック) )等の顔料が挙げられる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、部及び%は固形分質量部、固形分質量%を示す。
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して0.2%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100部の樹脂に対して、10部のアナターゼ型二酸化チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し表面とした。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し裏面とした。
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成のプライマー層をゼラチンが50mg/m2(約0.05μm)となるように塗布乾燥して支持体を作製した。
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
<記録材料1>
<インク受容層(B)塗布液1の作製>
<気相法シリカ分散液1の作製>
水にジメチルアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000、4部)と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、100部)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速20m/秒)を使用して分散し、これを圧力ホモジナイザーに、40MPaの条件で2回通過させて、固形分濃度20%のシリカ分散液を得た。この平均二次粒子径を粒度分布計(堀場製作所社製、LA−920)で測定した結果、140nmであった。
上記気相法シリカ分散液1を用いてインク受容層(B)塗布液1を作製した。このときの塗布液の固形分濃度は15%にした。
<インク受容層(B)塗布液1>
気相法シリカ分散液1 104部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 23部
(日本合成化学工業(株)製、ゴーセファイマーZ410)
酢酸 0.5部
ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル) 0.05部
上記塗布液に対して6質量%となるようにエタノールを添加した。
<架橋剤塗布液1の作製>
下記のようにして架橋剤塗布液1を作製した。このときの塗布液の固形分濃度は6%にした。
<架橋剤塗布液1>
アジピン酸ジヒドラジド 49.8部
ポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA235) 49.8部
ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル) 0.4部
<インク受容層(A)塗布液1の作製>
<最上層用湿式法シリカ分散液1の作製>
市販のゲル法シリカ(東ソー・シリカ(株)社製、商品名:NIPGEL AY−200、平均粒子径2.3μm)を水と一緒にのこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速20m/秒)を使用して分散し、その後、AGESTAT A50(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、ポリエチレンポリアミン・ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、以下AGA50と称す)を該ゲル法シリカ100部に対して5部になるようにして添加して、さらに上記の分散機で分散させた。該分散液のシリカの固形分濃度は13%にした。なお、該ゲル法シリカの平均粒子径はコールターカウンター法により測定された値である。
上記最上層用湿式法シリカ分散液1を用いてインク受容層(A)塗布液1を作製した。このときの塗布液の固形分濃度は4%にした。
<インク受容層(A)塗布液1>
最上層用湿式法シリカ分散液1 105部
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA235) 23部
ほう酸 3.5部
フッ素系界面活性剤(セイミケミカル(株)社製:サーフロンS−131) 0.3部
上記塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
上記のようにして得られた支持体上に、支持体に近い順からインク受容層(B)塗布液1、架橋剤塗布液1の順でそれぞれ固形分塗布量が25g/m2、0.9g/m2となるようにスライドビード塗布装置で同時塗布した。その後40〜45℃雰囲気下で60秒間放置し、ついでダイレクトファウンテン方式にて20℃に温度制御したインク受容層(A)塗布液1をシリカの固形分塗布量が0.6g/m2となるように塗布・乾燥し記録材料1を得た。なお、インク受容層(A)塗布液1を塗布する直前の塗布紙の表面温度は43℃であった。インク受容層(B)塗布液1と架橋剤塗布液1との上記比率にて43℃で混合して60秒後の粘度は、B型粘度計にて測定したところ5000mPa・sを超えていた。
<記録材料2>
前記記録材料1の作製において、インク受容層(A)のシリカの固形分塗布量を0.6g/m2から1.2g/m2に変更した以外は記録材料1と同様にして記録材料2を得た。
<記録材料3>
前記記録材料1の作製において、最上層用湿式法シリカ分散液1の湿式法シリカをAY−200からNIPGEL AZ−200(東ソー・シリカ(株)社製、ゲル法シリカ、平均粒子径2.4μm)に変更した以外は記録材料1と同様にして記録材料3を得た。なお、該ゲル法シリカの平均粒子径はコールターカウンター法により測定された値である。
<記録材料4>
前記記録材料1の作製において、最上層用湿式法シリカ分散液1の湿式法シリカをAY−200からMizkasil P−527(水澤化学工業(株)社製、沈降法シリカ、平均粒子径2.0μm)に変更した以外は記録材料1と同様にして記録材料4を得た。なお、該沈降法シリカの平均粒子径はコールターカウンター法により測定された値である。
<比較例1>
前記記録材料1の作製において、インク受容層(A)のシリカの固形分塗布量を0.6g/m2から3.0g/m2に変更した以外は記録材料1と同様にして比較例1の記録材料を得た。
<比較例2>
前記記録材料1の作製において、インク受容層(A)のシリカの固形分塗布量を0.6g/m2から1.8g/m2に変更した以外は記録材料1と同様にして比較例2の記録材料を得た。
<比較例3>
前記記録材料1の作製において、インク受容層(A)のシリカの固形分塗布量を0.6g/m2から0.2g/m2に変更した以外は記録材料1と同様にして比較例3の記録材料を得た。
<比較例4>
前記記録材料1の作製と同様にして得られた支持体上に、支持体に近い順にインク受容層(B)塗布液1、架橋剤塗布液1、インク受容層(A)塗布液1の順でスライドビード塗布装置で同時塗布しついで乾燥し比較例4の記録材料を得た。固形分塗布量はインク受容層(B)塗布液1は25g/m2、架橋剤塗布液1は0.9g/m2、インク受容層(A)塗布液1はシリカの固形分塗布量が0.6g/m2となるように塗布した。
<比較例5>
上記比較例4の作製において、インク受容層(A)のシリカの固形分塗布量を0.6g/m2から1.2g/m2に変更した以外は比較例4と同様にして比較例5の記録材料を得た。
<比較例6>
上記比較例4の作製において、インク受容層(A)のシリカの固形分塗布量を0.6g/m2から3.0g/m2に変更した以外は比較例4と同様にして比較例6の記録材料を得た。
<比較例7>
前記記録材料1の作製において、インク受容層(A)塗布液1の湿式法シリカをAY−200からNIPGEL CY−200(東ソー・シリカ(株)社製、ゲル法シリカ、平均粒子径2.7μm)を用いた以外は記録材料1と同様にして比較例7の記録材料を得た。なお、該ゲル法シリカの平均粒子径はコールターカウンター法により測定された値である。
<比較例8>
前記記録材料1の作製において、最上層用湿式法シリカ分散液1を下記最上層用湿式法シリカ分散液8aに変更した以外は記録材料1と同様にして比較例8の記録材料を得た。
<最上層用湿式法シリカ分散液8aの作製>
ジメチルアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)をAY−200に対して5部と水を合わせて7.0kgになるように秤量し、AY−200を3.0kg添加して分散機(プライミクス(株)製、ハイビスディスパーミックス3D−10型)を用いて分散条件がディスパー周速21.0m/秒、プラネタリー回転数30rpmで60分間分散して30質量%最上層用湿式法シリカ予備分散液8aを得た。ついでこの得られた最上層用湿式法シリカ予備分散液8aをビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、ダイノミル)でビーズ充墳率60容量%(0.3mmΦジルコニアビーズ使用)、ディスク周速12.5m/秒、ポンプ流量600ml/分の条件で2パス処理を行い最上層用湿式法シリカ分散液8aを得た。得られた該最上層用湿式法シリカ分散液8aの平均粒子径はコールターカウンター法により測定した結果、700nmであった。
得られた記録材料について、以下の項目を評価し、その結果を表1に表した。
<光沢度>
日本電色工業(株)製変角光度計(VGS−1001DP)を用いて、記録材料の白紙部の75゜光沢度を測定し、下記の基準で評価した。
○:マットである。(10.0以下)
×:やや光沢感あり、違和感がある。(10.0〜20.0)
××:光沢感がありマット調の風合いが得られない。(20.0以上)
<画像の評価1>
インクジェットプリンタ−(キヤノン(株)、iPF5000;水性顔料インク使用)でモノクロの風景画を印字し、マット調でかつ深みのある落ち着いた画像が得られているかを視覚的に下記の基準で評価した。△以上がマット調でかつ深みのある落ち着いた画像を満たしている。
○:マット調でかつ印字濃度が高く深みのある落ち着いた画像が得られている。
△:画像の深みではやや劣るが充分にマット調の風合いがある。
×:光沢感がありマット調の風合いが得られないか、もしくは印字濃度が低く画像の深みが劣る。
<画像の評価2>
インクジェットプリンター(キヤノン(株)、iPF5000;水性顔料インク使用)にてカラーの人物画像を印字し、マット調でかつ深みのある落ち着いた画像が得られているかを視覚的に下記の基準で評価した。
○:マット調でかつ印字濃度が高く深みのある落ち着いた画像が得られている。
△:画像の深みではやや劣るが充分にマット調の風合いがある。
×:光沢感がありマット調の風合いが得られないか、もしくは印字濃度が低く画像の深みが劣る。
<印字濃度>
インクジェットプリンタ−(キヤノン(株)、iPF5000;水性顔料インク使用)において黒のベタ印字を行った後、光学濃度(OD値)を光学濃度計(株式会社 きもと製、Gretag Machbeth AG SpectroEye No.16228)で測定した。数値が高い方が印字濃度は高く良好である。
<耐傷性>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)社製PX−G920;水性顔料インク使用)を用いて、Blueの最大インク吐出量でベタ印字を50枚連続で行い、ギザロールが通過した画像部を目視評価した。
○:顔料インクの剥離なし。
△:顔料インクの剥離がわずかにある。
×:顔料インクの剥離があり。
<粉落ち>
インクジェットプリンタ−(セイコーエプソン(株)、PX−5500;水性顔料インク使用)において通紙を行った後のインク受容層の白紙部の状態を目視にて観察した。
○:ピックアップロールとの擦過後が全く観察されず非常に優れている。
△:ピックアップロールとの擦過後がわずかに観察されるが実用上問題ない。
×:ピックアップロールとの擦過後が明確に認識でき、実用上問題である。
××:ピックアップロール部での粉落ちのため搬送されない。
Figure 2008246983
表1の結果から明らかなように、インク受容層(B)が不動化した後に平均粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカを0.4〜1.5g/m2含有するインク受容層(A)を塗布することにより粉落ちがなく、印字濃度が高く、耐傷性に優れ、マット調で深みのある顔料インク用インクジェット記録材料を得ることができる。比較例1及び2では、インク受容層(A)の湿式法シリカ含有量が多すぎるために粉落ちが発生したものと考えられる。比較例6では、重層同時塗布であるため界面での塗層の混ざりが生じ、粉落ちの発生はある程度良化したものの不十分であった。比較例3では、インク受容層(A)の湿式法シリカ含有量がマット調で深みのある落ち着いた画像を得るためには十分ではなかった。一方、比較例4及び5では重層同時塗布であるため界面での塗層の混ざりが生じ、マット調で深みのある落ち着いた画像を得るために機能するべきインク受容層(A)中の湿式法シリカが実際の含有量よりも少なくなったと考えている。比較例7及び8では、インク受容層(A)の湿式法シリカの平均粒子径を変化させたが、本発明の範囲を外れたため、望ましい結果を得ることができなかった。
<記録材料5>
前記記録材料1の作製において、インク受容層(A)塗布液1を下記インク受容層(A)塗布液5に変更した以外は記録材料1と同様にして記録材料5を得た。
<インク受容層(A)塗布液5の作製>
<最上層用湿式法シリカ分散液5の作製>
前記AY−200を水と一緒にのこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速20m/秒)を使用して分散した。該分散液のシリカの固形分濃度は13%にした。
上記最上層用湿式法シリカ分散液5を用いてインク受容層(A)塗布液5を作製した。このときの塗布液の固形分濃度は4%にした。
<インク受容層(A)塗布液5>
最上層用湿式法シリカ分散液5 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール((株)クラレ製、R−1130) 40部
ほう酸 3.5部
フッ素系界面活性剤(セイミケミカル(株)社製:サーフロンS−131)0.3部
上記塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
前記記録材料1の作製において得られた支持体上に、支持体に近い順からインク受容層(B)塗布液1、架橋剤塗布液1の順でそれぞれ固形分塗布量が25g/m2、0.9g/m2となるようにスライドビード塗布装置で同時塗布した。その後40〜45℃雰囲気下で60秒間放置し、ついでダイレクトファウンテン方式にて20℃に温度制御したインク受容層(A)塗布液5をシリカの固形分塗布量が0.6g/m2となるように塗布・乾燥し記録材料5を得た。なお、インク受容層(A)塗布液5を塗布する直前の塗布紙の表面温度は43℃であった。インク受容層(B)塗布液1と架橋剤塗布液1との上記比率にて43℃で混合して60秒後の粘度は、B型粘度計にて測定したところ5000mPa・sを超えていた。
<記録材料6>
前記記録材料1と同様にして得られた支持体上に、支持体に近い順からインク受容層(B)塗布液1、架橋剤塗布液1の順でそれぞれ固形分塗布量が25g/m2、0.9g/m2となるようにスライドビード塗布装置で同時塗布しついで乾燥した。該2つの塗布液の乾燥終了後ダイレクトグラビアコーターにて上記インク受容層(A)塗布液5をシリカの固形分塗布量が0.6g/m2となるように塗布・乾燥し記録材料6を得た。
<記録材料7>
上記記録材料6の作製において、インク受容層(A)塗布液5のほう酸3.5部を塩化アルミニウム5部に変更した以外は記録材料6と同様にして記録材料7を得た。
<記録材料8>
上記記録材料6の作製において、インク受容層(A)塗布液5を下記インク受容層(A)塗布液8に変更した以外は記録材料6と同様にして記録材料8を得た。
<インク受容層(A)塗布液8>
最上層用湿式法シリカ分散液5 100部
モビニール7700 40部
(ニチゴー・モビニール(株)社製、アクリルエマルション、保護コロイドとしてポリビニルアルコールを使用、最低造膜温度約0℃)
フッ素系界面活性剤(セイミケミカル(株)社製:サーフロンS−131)0.3部
ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル) 0.3部
上記塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<記録材料9>
上記記録材料6の作製において、インク受容層(A)塗布液5を下記インク受容層(A)塗布液9に変更した以外は記録材料6と同様にして記録材料9を得た。
<インク受容層(A)塗布液9>
最上層用湿式法シリカ分散液5 100部
スチレン−ブタジエン共重合体エマルション 40部
(日本A&L(株)社製、スマーテックスPA−3248、最低造膜温度、約10℃)
フッ素系界面活性剤(セイミケミカル(株)社製:サーフロンS−131)0.3部
上記塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<比較例9>
前記記録材料1の作製と同様にして得られた支持体上に、支持体に近い順にインク受容層(B)塗布液1、架橋剤塗布液1の順でスライドビード塗布装置で同時塗布した。その後40〜45℃雰囲気下で10秒間放置し、ついでダイレクトファウンテン方式にて20℃に温度制御したインク受容層(A)塗布液5をシリカの固形分塗布量が0.6g/m2となるように塗布・乾燥したが、インク受容層(A)塗布液5塗布時に塗布面が大いに乱れ、評価に耐えるサンプルは得られなかった。なお、インク受容層(A)塗布液5を塗布する直前の塗布紙の表面温度は40℃であった。インク受容層(B)塗布液1と架橋剤塗布液1との上記比率にて40℃で混合して10秒後の粘度は、B型粘度計にて測定したところ100mPa・sであった。
得られた記録材料について、実施例1と同様に評価した。その結果を表2に表した。
Figure 2008246983
表2から明らかなように、インク受容層(A)を塗布するタイミングは、インク受容層(B)が不動化した後である必要がある。インク受容層(B)が不動化する前にインク受容層(A)を塗布した比較例9では、インク受容層(A)塗布液が塗布された際の衝撃でインク受容層(B)塗布液の塗布面が乱れてしまい、評価に耐えうるサンプルを得られなかった。
<記録材料10>
<インク受容層(B)塗布液10の作製>
前記気相法シリカ分散液1を用いて以下のインク受容層(B)塗布液10を作製した。このときの塗布液の固形分濃度は12%であった。
<インク受容層(B)塗布液10>
気相法シリカ分散液1 104部
ポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA235) 23部
ほう酸 3.5部
上記塗布液に対して4%となるようにエタノールを添加した。
前記記録材料1の作製と同様にして得られた支持体上に、上記インク受容層(B)塗布液10を固形分塗布量が25g/m2となるようにスライドビード塗布装置で塗布しついで乾燥した。その後ダイレクトグラビアコーターにて上記インク受容層(A)塗布液5をシリカの固形分塗布量が0.6g/m2となるように塗布・乾燥し記録材料10を得た。
<記録材料11>
<沈降法シリカ分散液11の作製>
ジメチルアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)を下記沈降法シリカに対して4部と水を合わせて7.0kgになるように秤量し、沈降法シリカ(東ソー・シリカ(株)社製、NIPSIL LP)を3.0kg添加して分散機(プライミクス(株)製、ハイビスディスパーミックス3D−10型)を用いて分散条件がディスパー周速21.0m/秒、プラネタリー回転数30rpmで60分間分散して30%沈降法シリカ予備分散液11を得た。ついで得られた該沈降法シリカ予備分散液11をビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、ダイノミル)でビーズ充墳率70容量%(0.3mmΦジルコニアビーズ使用)、ディスク周速12.5m/秒、ポンプ流量250ml/分の条件で2パス処理を行い沈降法シリカ分散液11を得た。この平均二次粒子径を粒度分布計(堀場製作所社製、LA−920)で測定した結果、210nmであった。
上記のようにして得られた沈降法シリカ分散液11を用いて、下記のようにインク受容層(B)塗布液11を得た。このときの塗布液の固形分濃度は18%にした。
<インク受容層(B)塗布液11>
沈降法シリカ分散液11 104部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 18部
(日本合成化学工業(株)製、ゴーセファイマーZ410)
酢酸 1部
ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル) 0.05部
上記塗布液に対して6%となるようにエタノールを添加した。
前記記録材料1の作製と同様にして得られた支持体上に、支持体に近い順からインク受容層(B)塗布液11、架橋剤塗布液1の順でそれぞれ固形分塗布量が25g/m2、0.75g/m2となるようにスライドビード塗布装置で同時塗布しついで乾燥した。その後ダイレクトグラビアコーターにて上記インク受容層(A)塗布液5をシリカの固形分塗布量が0.6g/m2となるように塗布・乾燥し記録材料11を得た。
<記録材料12>
<インク受容層(B)塗布液12の作製>
<アルミナ水和物分散液12の作製>
水に硝酸(2部)と擬ベーマイト(サソールジャパン(株)社製、HP−14)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を使用して、固形分濃度30%のアルミナ水和物分散液12を作製した。この平均二次粒子径を粒度分布計(堀場製作所社製、LA−920)で測定した結果、160nmであった。
下記のようにインク受容層(B)塗布液12を得た。このときの塗布液の固形分濃度は20%にした。
<インク受容層(B)塗布液12>
アルミナ水和物分散液12 102部
ほう酸 0.4部
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA235) 10部
ベタイン性界面活性剤(ヤシ油脂肪酸系) 0.2部
上記塗布液に対して1%となるようにエタノールを添加した。
前記記録材料1の作製と同様にして得られた支持体上に、上記インク受容層(B)塗布液12を固形分塗布量が35g/m2となるようにスライドビード塗布装置で塗布しついで乾燥した。その終了後ダイレクトグラビアコーターにて上記インク受容層(A)塗布液5をシリカの固形分塗布量が0.6g/m2となるように塗布・乾燥し記録材料12を得た。
<比較例10>
前記記録材料10の作製において、インク受容層(A)塗布液5を塗布しなかった以外は記録材料10と同様にして比較例10の記録材料を作製した。
<比較例11>
前記記録材料11の作製において、インク受容層(A)塗布液5を塗布しなかった以外は記録材料11と同様にして比較例11の記録材料を作製した。
<比較例12>
上記記録材料12の作製において、インク受容層(A)塗布液5を塗布しなかった以外は記録材料12と同様にして比較例12の記録材料を作製した。
<比較例13>
<比較例13用インク受容層塗布液の作製>
下記のように比較例13用インク受容層塗布液を得た。このときの塗布液の固形分濃度は12%にした。
<比較例13用インク受容層塗布液>
最上層用湿式法シリカ分散液1 105部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 10部
(日本合成化学工業(株)製、ゴーセファイマーZ410)
酢酸 1部
ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル) 0.05部
上記塗布液に対して6%となるようにエタノールを添加した。
前記記録材料1の作製において得られた支持体上に、支持体に近い順から比較例13用インク受容層塗布液、架橋剤塗布液1の順でそれぞれ固形分塗布量が25g/m2、0.4g/m2となるようにスライドビード塗布装置で同時塗布しついで乾燥し、比較例13の記録材料を得た。なお、該記録材料を塗布する際に、架橋剤塗布液1は3%に希釈して用いた。
<比較例14>
前記記録材料11の沈降法シリカ分散液11の分散工程において、ビーズミルでの分散を2パスから1パスに変更した以外は記録材料11と同様にして比較例14の記録材料を得た。この時の該沈降法シリカの平均二次粒子径を粒度分布計(堀場製作所社製、LA−920)で測定した結果、800nmであった。
得られた記録材料について、実施例1と同様に評価した。その結果を表3に表した。
Figure 2008246983
表3の結果から明らかなように、平均粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカを0.4〜1.5g/m2含有するインク受容層(A)と、該層と支持体との間に500nm以下の平均二次粒子径の無機微粒子を主体に含有するインク受容層(B)とを有する顔料インク用インクジェット記録材料によって、粉落ちがなく、印字濃度が高く、マット調で深みのある落ち着いた画像を得ることが可能であった。本発明に規定するインク受容層(A)を有しない比較例10〜12では、高い印字濃度を得ることはできるものの、マット調で深みのある落ち着いた画像を得ることができなかった。また、500nmよりも大きい平均二次粒子径の無機微粒子を主体に含有するインク受容層(B)を有する比較例13及び14の記録材料では、マット調の画像を得ることはできるものの、高い印字濃度を得ることができなかった。
上記実施例1〜3の結果から明らかなように、本発明は、塗層のはがれに起因する粉落ちがなく、印字濃度が高く、耐傷性に優れ、マット調で深みのある落ち着いた画像を得ることが可能な顔料インク用インクジェット記録材料を提供することが可能となる。

Claims (6)

  1. 非吸水性支持体上に少なくとも2層のインク受容層を有し、支持体から最も離れた位置に設けられる最上層のインク受容層(A)が、平均粒子径1.5〜2.5μmの湿式法シリカを主体に含有し、該最上層のインク受容層(A)と支持体との間に設けられるインク受容層(B)が、500nm以下の平均二次粒子径の無機微粒子を主体に含有するインクジェット記録材料の製造方法であって、支持体上に該インク受容層(B)を塗設するための塗布液を塗布後、少なくとも該塗布液が不動化した後に該インク受容層(A)を塗設するための塗布液を、湿式法シリカを0.4〜1.5g/m2含有する塗布量で塗布することを特徴とする顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法。
  2. 前記インク受容層(A)に含有する湿式法シリカがゲル法シリカであることを特徴とする請求項1に記載の顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法。
  3. 前記インク受容層(A)がシラノール基を有する水溶性バインダーを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法。
  4. 前記インク受容層(A)がポリマー微粒子の水分散物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法。
  5. 前記インク受容層(B)に主体に含有される500nm以下の平均二次粒子径の無機微粒子が、気相法シリカ、湿式法シリカ及びアルミナまたはアルミナ水和物のうちから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法。
  6. 前記インク受容層(B)が、一級アミノ基を分子内に2個以上有する化合物、及びケト基を有する樹脂バインダーを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の顔料インク用インクジェット記録材料の製造方法。
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