JP2008138757A - 減衰力調整式油圧緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】減衰力調整式油圧緩衝器において、低電流時の減衰力をソフト側にして消費電力を低減するとともに、断線等のフェイル時には減衰力をハード側に固定する。
【解決手段】油液が封入されたシリンダ2内に、ピストンロッド7が連結されピストン3を摺動可能に嵌装し、ソレノイドアクチュエータ35によってシート弁32の開弁を制御して減衰力を調整する。コイル38への非通電時には、第1及び第2バルブスプリング45、47の合力によってプランジャ36及びシート弁32が閉弁方向に付勢されて減衰力がハード側となる。コイル38に通電すると、可動部材42が第2バルブスプリング47の付勢力に抗して移動して、シート弁32の開弁圧力を低下させる(減衰力ソフト)。通電電流が増大すると、可動部材42がプランジャ36から離間し、プランジャ32のシート弁32の閉弁方向の推力によってシート弁32の開弁圧力が高くなる(減衰力ハード)。
【選択図】図1
【解決手段】油液が封入されたシリンダ2内に、ピストンロッド7が連結されピストン3を摺動可能に嵌装し、ソレノイドアクチュエータ35によってシート弁32の開弁を制御して減衰力を調整する。コイル38への非通電時には、第1及び第2バルブスプリング45、47の合力によってプランジャ36及びシート弁32が閉弁方向に付勢されて減衰力がハード側となる。コイル38に通電すると、可動部材42が第2バルブスプリング47の付勢力に抗して移動して、シート弁32の開弁圧力を低下させる(減衰力ソフト)。通電電流が増大すると、可動部材42がプランジャ36から離間し、プランジャ32のシート弁32の閉弁方向の推力によってシート弁32の開弁圧力が高くなる(減衰力ハード)。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車等の車両の懸架装置に装着される減衰力調整式油圧緩衝器に関するものである。
自動車等の車両の懸架装置に装着される油圧緩衝器には、路面状況、走行状況等に応じて乗り心地や操縦安定性を向上させるために減衰力を適宜調整できるようにした減衰力調整式油圧緩衝器がある。
減衰力調整式油圧緩衝器は、一般的に、油液が封入されたシリンダ内にピストンロッドを連結したピストンを摺動可能に嵌装し、シリンダ内のピストンの摺動によって油液が流通する油路に、減衰力調整機構を設けた構成となっている。減衰力調整機構は、オリフィスおよびディスクバルブ等によって油液の流動を制御して減衰力を発生させ、さらに、スプール、シャッタ等の弁手段によって油液の流路面積を変化させることによって減衰力を調整する。
減衰力調整式油圧緩衝器には、減衰力調整機構のスプール、シャッタ等の弁手段の弁体を比例ソレノイド等のアクチュエータによって駆動して減衰力を調整するようにしたものがある。これにより、減衰力調整機構を遠隔操作することができるので、車両走行中においても減衰力を調整することが可能となる。
この種のソレノイドアクチュエータを備えた減衰力調整式油圧緩衝器は、車両の懸架装置に搭載される場合、例えば特許文献1に記載されているように、減衰力調整機構の弁体をばね手段によって閉弁方向(減衰力ハード側)に付勢し、コイルへの通電によってばね手段のバネ力に抗して弁体を開弁方向(減衰力ソフト側)へ付勢することにより、減衰力を調整するようにしている。これにより、図5に示すように、減衰力は、コイルへの通電電流が0のとき最大となり、通電電流の増大に伴って小さくなる。その結果、断線等のフェイルの発生によってコイルへの通電が不能になった場合、減衰力がハード側に固定されることになり、車両操縦安定性を確保することができる。
特開2002−292092号公報
しかしながら、上述のコイルへの非通電時の減衰力をハード側とした減衰力調整式油圧緩衝器では、次のような問題がある。減衰力をソフト側に調整するためには、コイルに通電する必要があるが、車両の懸架装置に搭載された減衰力調整式油圧緩衝器では、一般的に、減衰力がハード側に調整される頻度は少なく、殆どの状況においてソフト側に調整されるため、消費電力が大きくなる。
本発明は、上記の点に鑑みて成されたものであり、コイルへの通電電流の増大によって減衰力をソフト側からハード側へ調整すると共に、非通電時においてもソフト側よりも大きい所定の減衰力を発生させることができる減衰力調整式油圧緩衝器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端が前記ピストンに連結され、他端が前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドと、前記シリンダ内に前記ピストンの摺動によって油液が流通する油路と、前記油路の油液の流動を制御して減衰力を調整する減衰力調整弁と、該減衰力調整弁の弁体を駆動するソレノイドアクチュエータとを備えた減衰力調整式油圧緩衝器において、
前記ソレノイドアクチュエータは、前記弁体に連結されたプランジャと、前記プランジャを前記弁体の開弁方向に付勢する第1バネ手段と、前記プランジャを前記弁体の閉弁方向に付勢する第2バネ手段と、前記プランジャと前記第2バネ手段との間に介装された可動部材と、コイルへの通電により前記プランジャを前記弁体の閉弁方向に付勢する第1磁気回路及び前記可動部材を前記弁体の開弁方向に付勢する第2磁気回路とを備えていることを特徴とする。
請求項2の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器は、上記請求項1の構成において、前記第1磁気回路は、前記プランジャの一端側に対向して前記コイルへの通電によって前記プランジャを前記弁体の閉弁方向に吸引する第1固定鉄心を含み、前記第2磁気回路は、前記プランジャの他端側及び前記可動部材に対向して前記コイルへの通電によって前記可動部材を前記弁体の開弁方向に吸引する第2固定鉄心を含むことを特徴とする。
請求項3の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器は、上記請求項1又は2の構成において、前記減衰力調整弁は、圧力制御弁であることを特徴とする。
請求項4の発明に減衰力調整式油圧緩衝器は、上記請求項1乃至3のいずれかの構成において、前記プランジャと前記可動部材との間に非磁性部材が介装されていることを特徴とする。
前記ソレノイドアクチュエータは、前記弁体に連結されたプランジャと、前記プランジャを前記弁体の開弁方向に付勢する第1バネ手段と、前記プランジャを前記弁体の閉弁方向に付勢する第2バネ手段と、前記プランジャと前記第2バネ手段との間に介装された可動部材と、コイルへの通電により前記プランジャを前記弁体の閉弁方向に付勢する第1磁気回路及び前記可動部材を前記弁体の開弁方向に付勢する第2磁気回路とを備えていることを特徴とする。
請求項2の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器は、上記請求項1の構成において、前記第1磁気回路は、前記プランジャの一端側に対向して前記コイルへの通電によって前記プランジャを前記弁体の閉弁方向に吸引する第1固定鉄心を含み、前記第2磁気回路は、前記プランジャの他端側及び前記可動部材に対向して前記コイルへの通電によって前記可動部材を前記弁体の開弁方向に吸引する第2固定鉄心を含むことを特徴とする。
請求項3の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器は、上記請求項1又は2の構成において、前記減衰力調整弁は、圧力制御弁であることを特徴とする。
請求項4の発明に減衰力調整式油圧緩衝器は、上記請求項1乃至3のいずれかの構成において、前記プランジャと前記可動部材との間に非磁性部材が介装されていることを特徴とする。
請求項1の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、コイルへの非通電時には、第1及び第2バネ手段によって減衰力調整弁の弁体が閉弁方向に付勢されるので、減衰力が大きくなり、コイルに通電すると、第2磁気回路によって可動部材が弁体の開弁方向に付勢されて第2バネ手段のバネ力に抗するため、一旦、減衰力が小さくなり、更に通電電流を増大すると、可動部材が第2バネ手段のバネ力に抗して移動してプランジャから離間した後、第1磁気回路によってプランジャが閉弁方向に付勢する付勢力が増大して減衰力が大きくなる。これにより、コイルへの通電電流の増大によって減衰力をソフト側からハード側へ調整すると共に、非通電時においてもソフト側よりも大きい所定の減衰力を発生させることができる。
請求項2の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、コイルへの通電時に、第1磁気回路は、第1固定鉄心の吸引によってプランジャを弁体の閉弁方向に付勢し、第2磁気回路は、第2固定鉄心の吸引によって可動部材を弁体の開弁方向に付勢する。
請求項3の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、減衰力調整弁によって油路の油液の圧力を制御することによって減衰力を調整する。
請求項4の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、プランジャと可動部材との吸着を防止することができる。
請求項2の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、コイルへの通電時に、第1磁気回路は、第1固定鉄心の吸引によってプランジャを弁体の閉弁方向に付勢し、第2磁気回路は、第2固定鉄心の吸引によって可動部材を弁体の開弁方向に付勢する。
請求項3の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、減衰力調整弁によって油路の油液の圧力を制御することによって減衰力を調整する。
請求項4の発明に係る減衰力調整式油圧緩衝器によれば、プランジャと可動部材との吸着を防止することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る油圧緩衝器1は、単筒式油圧緩衝器であり、有底円筒状のシリンダ2の開口部にロッドガイド(図示せず)及びオイルシール(図示せず)が取付けられ、シリンダ2内の底部側に、フリーピストン(図示せず)が摺動可能に嵌装されている。シリンダ2内は、フリーピストンによって底部側のガス室と他端側の油室とに画成されており、ガス室には高圧ガスが封入され、油室には油液が封入されている。なお、フリーピストンによってガス室を形成する代わりに、シリンダ2の底部に油液及びガスが封入されたリザーバを接続してもよい。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る油圧緩衝器1は、単筒式油圧緩衝器であり、有底円筒状のシリンダ2の開口部にロッドガイド(図示せず)及びオイルシール(図示せず)が取付けられ、シリンダ2内の底部側に、フリーピストン(図示せず)が摺動可能に嵌装されている。シリンダ2内は、フリーピストンによって底部側のガス室と他端側の油室とに画成されており、ガス室には高圧ガスが封入され、油室には油液が封入されている。なお、フリーピストンによってガス室を形成する代わりに、シリンダ2の底部に油液及びガスが封入されたリザーバを接続してもよい。
シリンダ2の油室には、ピストン3が摺動可能に嵌装されており、このピストン3によって油室内がシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとの2室に画成されている。ピストン3には、ピストンボルト4の先端部が挿通され、ナット5によって固定されている。ピストンボルト4の基端部(図中上部)には、略有底円筒状のケース6が取付けられている。ケース6の底部には、ピストンロッド7の一端部(図中下側)が連結され、ピストンロッド7の他端側は、前述のロッドガイド及びオイルシールに摺動可能かつ液密的に挿通されて、シリンダ2の外部へ延出されている。
ピストン3には、シリンダ上室2A側に開口する伸び側油路8及びシリンダ下室2B側に開口する縮み側油路9が設けられている。ピストン3の下端部には、伸び側油路8の油液の流動を制御する伸び側減衰弁10が設けられ、また、上端部には、縮み側油路9の油液の流動を制御する縮み側減衰弁11が設けられている。
伸び側減衰弁10は、ピストン3の下端面に形成されたシート部12に着座する伸び側メインバルブ13(ディスクバルブ)と、ナット5によってピストンボルト4に取付けられたバルブ部材14によって伸び側メインバルブ13の背部に形成された伸び側背圧室15とを備えている。伸び側背圧室15は、その内圧を伸び側メインバルブ13に対して閉弁方向に作用させる。伸び側背圧室15は、バルブ部材14に設けられたオリフィス16A(切欠)を有するディスクバルブ16を介してシリンダ下室2Bに接続されている。オリフィス16Aは伸び側背圧室15とシリンダ下室2Bとを常時連通させ、ディスクバルブ16は伸び側背圧室15の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、その圧力をシリンダ下室2Bへリリーフする。
伸び側背圧室15は、バルブ部材14に設けられた背圧導入弁17を介してピストンボルト4の径方向油路18に接続されており、径方向油路18は、更に、ピストンボルト4の軸心に沿って延びる軸方向油路19に連通している。背圧導入弁17は径方向油路18側から伸び側背圧室15側への油液の流通を許容する逆止弁である。背圧導入弁17は、径方向油路18と伸び側背圧室15とを常時連通させるオリフィス17Aを有している。また、軸方向油路19は、径方向油路20に連通しており、径方向油路20は、ピストン3に設けられた伸び側オリフィス21Aを有する縮み側逆止弁21を介して伸び側油路8に接続されている。伸び側オリフィス21Aは径方向油路20と伸び側油路8とを常時連通させ、縮み側逆止弁21は径方向油路20側から伸び側油路8側への油液の流通のみを許容する。
縮み側減衰弁11は、ピストン3の上端面に形成されたシート部22に着座する縮み側側メインバルブ23(ディスクバルブ)と、ナット5によってピストンボルト4に取付けられたバルブ部材24によって縮み側メインバルブ23の背部に形成された縮み側背圧室25とを備えている。縮み側背圧室25は、その内圧を縮み側メインバルブ23に対して閉弁方向に作用させる。縮み側背圧室25は、バルブ部材24に設けられたオリフィス26A(切欠)を有するディスクバルブ26を介してシリンダ上室2Aに接続されている。オリフィス26Aは縮み側背圧室25とシリンダ上室2Aとを常時連通させ、ディスクバルブ26は縮み側背圧室25の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、その圧力をシリンダ上室2Aへリリーフする。
ピストンボルト4の基端側には、軸方向に沿って延びる弁室27が形成されており、弁室27は、軸方向油路19よりも大径で、その先端部が軸方向油路19に連通されている。縮み側背圧室25は、バルブ部材24に設けられた背圧導入弁28を介してピストンボルト4の径方向油路29に接続されており、径方向油路29は弁室27の側壁に開口している。背圧導入弁28は径方向油路29側から縮み側背圧室25側への油液の流通を許容する逆止弁である。背圧導入弁28は、径方向油路29と縮み側背圧室25とを常時連通させるオリフィス28Aを有している。また、弁室27の側壁には、径方向油路30が開口されており、径方向油路30は、ピストン3に設けられた縮み側オリフィス31Aを有する伸び側逆止弁31を介して縮み側油路9に接続されている。縮み側オリフィス31Aは径方向油路30と縮み側油路9とを常時連通させ、伸び側逆止弁31は径方向油路30側から縮み側油路9側への油液の流通を許容する。
弁室27には、シート弁32(弁体)が摺動可能に嵌装されている。シート弁32は、先端部に形成された環状のシート部33を弁室27のシート面34に離着座することによって軸方向油路19と弁室27との間の流路を開閉する減衰力調整弁を形成している。シート弁32は、圧力制御弁であり、シート部33の内周側の円形の受圧面によって軸方向油路19側の圧力を受け、また、シート部33の外周側の環状の受圧面によって径方向油路29、30側の圧力を受けてこれらの圧力を制御する。
シート弁32の基端部は、ケース6内に設けられたソレノイドアクチュエータ35のプランジャ36に非磁性部材32Aを介して連結されている。ソレノイドアクチュエータ35は、プランジャ36と、プランジャ36の一端側に対向するピストンボルト4(第1固定鉄心)と、プランジャ36の他端側に対抗する第2固定鉄心37と、プランジャ36を取囲むコイル38と、これらを収容するケース6とを備えている。
第1固定鉄心を形成するピストンボルト4には、プランジャ36の一端部を案内するガイドボア39が形成されている。プランジャ36は、コイル38のボビン40の内周面によって軸方向に沿って摺動可能に案内されている。プランジャ36は、他端側に小径部41が形成された段付形状となっており、小径部41に強磁性体である環状の可動部材42が摺動可能に嵌合されている。可動部材42は、外径がプランジャ36の外径とほぼ等しく、コイル38のボビン40の内周面によってプランジャ36と共に案内されている。プランジャ36の小径部41の基部には、環状の非磁性部材43が嵌合、固定されており、プランジャ36の段部と可動部材42との間に非磁性部材43が介装されている。第2固定鉄心37には、可動部材42の外周部を案内する案内ボア44が形成されている。
プランジャ36とピストンボルト4の案内ボア39の底部との間には、圧縮バネである第1バルブスプリング45(第1バネ手段)が介装されている。また、可動部材42と第2固定鉄心37の案内ボア44の底部に設けられたばね受46との間に圧縮バネえある第2バルブスプリング47(第2バネ手段)が介装されている。第2固定鉄心37には、ばね受45を押圧して第1及び第2バルブスプリング45、47のセット荷重を調整する調整ネジ48が設けられている。プランジャ36には、の両端部の作用する液圧をバランスさせるためのバランス通路49が軸方向に貫通されている。
そして、ピストンボルト4(第1固定鉄心)、ケース6(フレーム)、第2固定鉄心37、可動部材42及びプランジャ36によって磁気回路が形成されており(図2中の矢印参照)、コイル38への通電によって、プランジャ36は、ピストンボルト4(第1固定鉄心)の案内ボア39との間の領域A(第1磁気回路)の磁束によってピストンボルト4側(シート弁32の閉弁方向)に吸引され、また、可動部材42は、第2固定鉄心37の案内ボア44との間の領域B(第2磁気回路)の磁束によって第2固定鉄心37側(シート弁32の開弁方向)に吸引されるようになっている。
第1バルブスプリング45は、プランジャ36を第2固定鉄心37側へ付勢し、第2バルブスプリング47は、可動部材42を介してプランジャ36をピストンボルト4側へ付勢するが、第2バルブスプリング47の方が第1バルブスプリング45よりもバネ力が大きくなっている。これにより、コイル38の非通電状態においては、プランジャ36がピストンボルト4側へ付勢され、シート弁32のシート部33がシート面34に押圧されて、シート弁32の開弁圧力は、所望の操縦安定性を確保するために必要な減衰力を発生させるための所定圧力となる。また、コイル38への通電によって可動部材42に生じる推力は、プランジャ36に生じる推力よりも大きくなるようになっている。
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
ピストンロッド7の伸び行程時には、シリンダ上室2A側の油液は、伸び側メインバルブ13の開弁前には、伸び側油路8、伸び側オリフィス21A、径方向油路20、軸方向油路19、弁室27、径方向油路30を通り、伸び側逆止弁31を開き、縮み側油路9を通ってシリンダ下室2Bへ流れる。シリンダ上室2A側の圧力が伸び側メインバルブ13の開弁圧力に達すると、これが開弁して伸び側油路8からシリンダ下室2Bへ直接油液が流れる。このとき、ピストンロッド7がシリンダ2内から退出した分、ガス室又はリザーバのガスが膨張してシリンダ2内の容積変化を補償する。
ピストンロッド7の伸び行程時には、シリンダ上室2A側の油液は、伸び側メインバルブ13の開弁前には、伸び側油路8、伸び側オリフィス21A、径方向油路20、軸方向油路19、弁室27、径方向油路30を通り、伸び側逆止弁31を開き、縮み側油路9を通ってシリンダ下室2Bへ流れる。シリンダ上室2A側の圧力が伸び側メインバルブ13の開弁圧力に達すると、これが開弁して伸び側油路8からシリンダ下室2Bへ直接油液が流れる。このとき、ピストンロッド7がシリンダ2内から退出した分、ガス室又はリザーバのガスが膨張してシリンダ2内の容積変化を補償する。
そして、ソレノイドアクチュエータ35のコイル38への通電電流によってシート弁32の開弁圧力を調整することにより、軸方向油路19から弁室27への油液の流れを直接制御して減衰力を調整する。このとき、軸方向油路19の圧力が径方向油路18及び背圧導入弁17を介して伸び側背圧室15に導入されるので、伸び側メインバルブ13の開弁圧力を同時に制御することができる。
ピストンロッド7の縮み行程時には、シリンダ下室2B側の油液は、縮み側メインバルブ23の開弁前には、縮み側油路9、縮み側オリフィス31A、径方向油路30、弁室27、軸方向油路19、径方向油路20を通り、縮み側逆止弁21を開き、伸び側油路8を通ってシリンダ上室2Aへ流れる。シリンダ下室2B側の圧力が縮み側メインバルブ23の開弁圧力に達すると、これが開弁して縮み側油路9からシリンダ上室2Aへ直接油液が流れる。このとき、ピストンロッド7がシリンダ2内に侵入した分、ガス室又はリザーバのガスが圧縮されてシリンダ2内の容積変化を補償する。
そして、ソレノイドアクチュエータ35のコイル38への通電電流によってシート弁32の開弁圧力を調整することにより、弁室27から軸方向油路19への油液の流れを直接制御して減衰力を調整する。このとき、弁室27の圧力が径方向油路29及び背圧導入弁28を介して縮み側背圧室25に導入されるので、縮み側メインバルブ23の開弁圧力を同時に制御することができる。
このようにして、伸び側及び縮み側の減衰力を共通のシート弁32によって調整することができ、同時に、伸び側及び縮み側背圧室15、25の内圧によって伸び側及び縮み側メインバルブ13、23の開弁圧力を調整することができるので、減衰力特性の調整範囲を広くすることができる。このとき、シート弁32は、ピストンロッド7の伸び行程時には、軸方向油路19側の油液の圧力を内周側の円形の受圧面によって受け、また縮み行程時には、弁室27側の油液の圧力を外周側の環状の受圧面によって受けて油液の流動を制御するので、これらの受圧面の面積をそれぞれ適当に設定することにより、伸び側及び縮み側の減衰力を所望の特性に設定することができる。
次に、ソレノイドアクチュエータ35のコイル38への通電電流と減衰力との関係について図2乃至図4を参照して説明する。コイル38の非通電状態では、第1及び第2バルブスプリング45、47のバネ力の合力によってシート弁32のシート部33がシート面34に押圧され、シート弁32の開弁圧力が所定圧力となって、所望の操縦安定性を確保するために必要な減衰力が発生する(図4の点P1参照)。
コイル38に通電すると、プランジャ36がピストンボルト4側に吸引されると共に、可動部材42が第2固定鉄心37側に吸引される。このとき、プランジャ36の推力よりも可動部材42の推量の方が大きいので、通電電流が増大するとシート弁32の開弁圧力が低下する。そして、電流が所定の電流(例えば0.3A程度)になって可動部材42の推力が第2バルブスプリング47のバネ力に達すると、減衰力は最小となる(図4の点P2参照)。更に通電電流が増大すると、図2に示すように、可動部材42は、第2バルブスプリング47のバネ力に抗して第2固定鉄心37側に移動してプランジャ36に固定された非磁性部材43から離間する。その後は、プランジャ36には、コイル38の通電による推力と第1バルブスプリング45のバネ力のみが作用することになるので、通電電流が増大すると、プランジャ36の推力が増大した分だけシート弁32の開弁圧力が増大して減衰力が増大し、所定の通電電流(例えば1.5A程度)で最大減衰力所定の電流に達する(図4の点P3参照)。このとき、シート弁32は、受圧面に作用する圧力が開弁圧力に達すると、図3に示すように開弁する。
このようにして、減衰力調整式油圧緩衝器1のコイル38への通電電流と減衰力との関係は、図4に示すように、コイル38の非通電時には、所定の減衰力を発生し、通電電流が小さい領域では、電流の増大によって減衰力が小さくなり、その後は、電流の増大によって減衰力が大きくなるような特性になる。その結果、小さな通電電流によって使用頻度の高いソフト側の減衰力を発生させ、大きな通電電流によって使用頻度の低いハード側の減衰力を発生させることになり、消費電力を低減することができる。また、断線等のフェイルの発生により、コイル38への通電が停止した場合には、所定の減衰力を発生させて車両の操縦安定性を確保することができる。
なお、本実施形態では、案内ボア39は、同一径の円筒状であるが、磁気回路の構成上、その他の形状としてもよい。例えば、変形例として、図3中に仮想線で示すように、案内ボア39をプランジャ36に近接する大径部と、大径部に隣接する小径部とからなり、プランジャ36の端部に対向する面を有する段付形状として構成することができる。この構成によると、本実施形態よりも磁束が集中するため、磁気回路の効率が向上する。
1 減衰力調整式油圧緩衝器、2 シリンダ、3 ピストン、4 ピストンボルト(第1固定鉄心)、7 ピストンロッド、32 シート弁(弁体、減衰力調整弁)、34 シート面(減衰力調整弁)、35 ソレノイドアクチュエータ、36 プランジャ、37 第2固定鉄心、38 コイル、42 可動部材、45 第1バルブスプリング(第1バネ手段)、47 第2バルブスプリング(第2バネ手段)、A 領域A(第1磁気回路)、B 領域(第2磁気回路)
Claims (4)
- 油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端が前記ピストンに連結され、他端が前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドと、前記シリンダ内に前記ピストンの摺動によって油液が流通する油路と、前記油路の油液の流動を制御して減衰力を調整する減衰力調整弁と、該減衰力調整弁の弁体を駆動するソレノイドアクチュエータとを備えた減衰力調整式油圧緩衝器において、
前記ソレノイドアクチュエータは、前記弁体に連結されたプランジャと、前記プランジャを前記弁体の開弁方向に付勢する第1バネ手段と、前記プランジャを前記弁体の閉弁方向に付勢する第2バネ手段と、前記プランジャと前記第2バネ手段との間に介装された可動部材と、コイルへの通電により前記プランジャを前記弁体の閉弁方向に付勢する第1磁気回路及び前記可動部材を前記弁体の開弁方向に付勢する第2磁気回路とを備えていることを特徴とする減衰力調整式油圧緩衝器。 - 前記第1磁気回路は、前記プランジャの一端側に対向して前記コイルへの通電によって前記プランジャを前記弁体の閉弁方向に吸引する第1固定鉄心を含み、前記第2磁気回路は、前記プランジャの他端側及び前記可動部材に対向して前記コイルへの通電によって前記可動部材を前記弁体の開弁方向に吸引する第2固定鉄心を含むことを特徴とする請求項1に記載の減衰力調整式油圧緩衝器。
- 前記減衰力調整弁は、圧力制御弁であることを特徴とする請求項1又は2に記載の減衰力調整式油圧緩衝器。
- 前記プランジャと前記可動部材との間に非磁性部材が介装されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の減衰力調整式油圧緩衝器。
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