JP2008138587A - 可変容量型斜板圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可変容量型斜板圧縮機は、回転軸により貫通されるとともに回転軸に対して傾動可能に連結され、外周面にねじ溝78を有する斜板ボス50と、斜板ボス50に嵌合した円環状の斜板60と、斜板ボス50のねじ溝78にねじ込まれ、斜板ボス50に斜板60を固定するナット64と、斜板60の回転運動をピストンの往復運動に変換する変換装置と、ナット64をねじ込むための工具80と係合させるべくナット64に一体に形成され、ナット64の軸線Aと平行な方向に突出する係合突起68とを備える。
【選択図】図5
Description
特許文献1の圧縮機の斜板は、ジャーナルのボス部(斜板ボス)に嵌合し、斜板ボスのねじ溝にねじ込まれたナットによって固定される。
一方、冷媒としてCO2を用いた冷凍回路では、R134aを用いた場合に比べ、作動圧が7〜10倍程度高くなる。このため、ピストンや斜板等の圧縮荷重を支持する圧縮機の内部部品は、強度確保を確保すべく、外観形状のようには小型化できない。
具体的には、CO2用圧縮機の場合、シリンダボアのPCDはφ55〜65mm程度に設計されるので、斜板を斜板ボスに固定するナットの小型化が求められる。しかしながら、特許文献1のナットを小型化した場合、工具との係合のための係合孔周辺でナットの強度が不足してしまう。
好適な態様として、前記ナットの径方向でみて前記ナットの外周面及び前記係合突起の外面のうち少なくとも前記係合突起の外面の一部には、前記ナットから離間するにつれて前記ナットの軸線に近づくように傾斜した傾斜面としてテーパ面及び平面のうち一方が形成され、前記傾斜面の傾斜角度は、前記斜板ボスが前記回転軸に対して最も傾動したときの前記回転軸からの前記斜板ボスの軸線の傾斜角度に略等しい(請求項3)。
そして、係合突起は、フォーマー等により、ナットと一体に容易に成形される。このためナットの生産性は高く、圧縮機が安価にて提供される。
請求項3の可変容量型斜板圧縮機では、傾斜面の傾斜角度が、斜板ボスが回転軸に対して最も傾動したとき、即ち圧縮機の容量が最大のときの回転軸からの斜板ボスの軸線の傾斜角度に略等しい。このため、斜板ボスが傾動したとしても、係合突起とピストンとのクリアランスが常に確保される。
圧縮機はハウジングの一部を構成するケーシング(フロントハウジング)10を備える。ケーシング10の一端には、シリンダブロック12、バルブプレート14及びシリンダヘッド16がこの順序で複数のボルト18によって気密に固定され、ケーシング10の他端とシリンダブロック12との間にクランク室20が区画される。
シリンダブロック12の各シリンダボア26内には、クランク室20側からピストン32が往復動自在に挿入され、ピストン32のテール部は、クランク室20内に突出する。ピストン32のテール部には、例えばエンジン等の駆動源から動力が断続的に伝達される。圧縮機は、動力を受け取るための電磁クラッチ34を有する。
回転軸36は、クランク室20を貫通してシリンダブロック12まで延び、2つのラジアルベアリング38,40を介してケーシング10及びシリンダブロック12により回転自在に支持される。なお、回転軸36には、ラジアルベアリング38よりも電磁クラッチ34側にリップシール42が取り付けられ、リップシール42はクランク室20を気密に区画する。
より詳しくは、回転軸36には円盤状のロータ44が固定され、ロータ44とケーシング10の他端との間にはスラストベアリング46が配置される。また、シリンダブロック12側の回転軸36の内端にもスラストベアリング48が当接する。
斜板60が斜板ボス50と一体に回転可能になるよう、斜板60は、ナット64により斜板ボス50に固定される。より詳しくは、図2及び図3に示したように、ナット64は円環状をなし、ナット64の内周面にねじ溝66が形成される。
係合突起68の数は例えば4個であり、係合突起68はナット64の周方向でみて90度間隔にて形成される。ナット64及び係合突起68の形状は、ナット64及び係合突起68に対して近接するピストン32との間にクリアランスが確保されるように設定される。
図5は、ナット64による斜板60の固定方法を概略的に示し、斜板ボス50は、段差面72にて小径部74と大径部76とに区別される。小径部74の先端の外周面にはねじ溝が形成され、小径部74の先端は雄ねじを構成する。小径部74の先端は、斜板60が小径部74に嵌合して段差面72に当接したとき、斜板60から突出する。斜板60から突出した小径部74の先端にナット64がねじ込まれ、ナット64と段差面72との間に挟まれることで、図6に示したように、斜板60は斜板ボス50に固定される。
以下、上述した圧縮機の動作について説明する。
電磁クラッチ34がオン作動されると、動力が電磁クラッチ34を介して回転軸36に伝達され、回転軸36が回転される。回転軸36の回転運動は、変換機構、つまり、ロータ44、ヒンジ52、斜板ボス50、斜板60及びシュー62を介してピストン32の往復運動に変換される。各ピストン32の往復運動に基づき、圧縮機内では、吸入室22内の冷媒が吸入リード弁を介してシリンダボア26に吸入される吸入工程と、シリンダボア26内で冷媒が圧縮される圧縮工程と、圧縮された冷媒が吐出リード弁を介して吐出室24に吐出される吐出工程とからなる一連のプロセスが実施される。
上述した圧縮機では、工具80と係合する係合突起68が、ナット64の軸線方向に突出しているので、ナット64の強度が確保されるとともに、ナット64及び係合突起68とピストン32との間のクリアランスも確保される。従って、この圧縮機は、小型化しても信頼性に優れる。
また、上述した圧縮機では、係合突起68が、斜板60とは反対側のナット64の面から突出しているため、係合突起68に工具80を係合させ易く、ナット64が簡単にねじ込まれる。
更に、上述した圧縮機では、係合突起68のテーパ面70の傾斜角度θが、斜板ボス50が回転軸36に対して最も傾動したとき、即ち圧縮機の容量が最大のときにおける、回転軸36からの斜板ボス50の軸線の傾斜角度に略等しい。このため、斜板ボス50が傾動したとしても、係合突起68とピストン32とのクリアランスが常に確保される。
図10及び図11に示した比較例2のナット86は、工具との係合のために、ナット82自身の外形が6角形に形成されている。このナット86の場合、ナット86の各辺の中央部分が薄肉になり、この薄肉な部分の周辺でナット86の強度が不足してしまう。
本発明は上述した第1実施形態に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、第1実施形態において、係合突起68の外面は、曲率を有するテーパ面70であったけれども、図14に示したように、係合突起68の外面は、傾斜した平面92であってもよい。平面92の傾斜角度も、テーパ面70の場合と同じく、圧縮機の容量が最大のときにおける、回転軸36からの斜板ボス50の軸線の傾斜角度に略等しいのが好ましい。このような平面92は、面取りによって容易に形成される。
更に、第1実施形態において係合突起68の外面はテーパ面70であったけれども、係合突起の輪郭形状は、近接するピストン32との間にクリアランスが確保される形状であればよい。
図17及び図18は、第2実施形態に係る係合突起94を形成したナット64を示し、4つの係合突起94の各々は、平面でみてナット64の周方向に円弧状に延びている。係合突起94の外面もテーパ面96であり、テーパ面96の傾斜角度θは、テーパ面70の傾斜角度θと同様に設定されるのが好ましい。係合突起94は、ナット64の周方向でみて互いに離間し、隣り合う係合突起94間に凹所98を区画することで、工具との係合部をなす。なお、凹所98の数や配置は、特に限定されることはない。
60 斜板
64 ナット
68 係合突起
78 ねじ溝
80 工具
A ナットの軸線
Claims (4)
- 回転軸により貫通されるとともに前記回転軸に対して傾動可能に連結され、外周面にねじ溝を有する斜板ボスと、
前記斜板ボスに嵌合した円環状の斜板と、
前記斜板ボスのねじ溝にねじ込まれ、前記斜板ボスに前記斜板を固定するナットと、
前記斜板の回転運動をピストンの往復運動に変換する変換装置と、
前記ナットをねじ込むための工具と係合させるべく前記ナットに一体に形成され、前記ナットの軸線と平行な方向に突出する係合突起と
を備えることを特徴とする可変容量型斜板圧縮機。 - 前記係合突起は、前記斜板とは反対側の前記ナットの端面から突出していることを特徴とする請求項1に記載の可変容量型斜板圧縮機。
- 前記ナットの径方向でみて前記ナットの外周面及び前記係合突起の外面のうち少なくとも前記係合突起の外面の一部には、前記ナットから離間するにつれて前記ナットの軸線に近づくように傾斜した傾斜面としてテーパ面及び平面のうち一方が形成され、
前記傾斜面の傾斜角度は、前記斜板ボスが前記回転軸に対して最も傾動したときの前記回転軸からの前記斜板ボスの軸線の傾斜角度に略等しい
ことを特徴とする請求項2に記載の可変容量型斜板圧縮機。 - 前記係合突起は、前記ピストンと接触しないように規定される仮想テーパ面の内側に位置し、
前記仮想テーパ面の傾斜角度は、前記斜板ボスが前記回転軸に対して最も傾動したときの前記回転軸からの前記斜板ボスの軸線の傾斜角度に略等しい
ことを特徴とする請求項2に記載の可変容量型斜板圧縮機。
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