JP2008135523A - 多層基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 第2の絶縁層における第1の絶縁層に近接する部位にボイドが蓄積して層間剥離が発生するのを抑制した、絶縁信頼性の高い多層基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 セラミックスからなる第1の絶縁層1a、1c、1e、1g、1iと、第1の絶縁層を構成するセラミックスの焼成収縮の終了温度よりも高い温度で焼成収縮を開始するセラミックスからなる第2の絶縁層1b、1d、1f、1hとが交互に積層されており、表面または内部に導体層2が設けられてなる多層基板であって、第1の絶縁層1a、1c、1e、1g、1iには複数の貫通孔4が形成され、複数の貫通孔4に第2の絶縁層1b、1d、1f、1hを構成するセラミックスとほぼ同一の焼成収縮開始温度のセラミックスが充填されている。
【選択図】図1
【解決手段】 セラミックスからなる第1の絶縁層1a、1c、1e、1g、1iと、第1の絶縁層を構成するセラミックスの焼成収縮の終了温度よりも高い温度で焼成収縮を開始するセラミックスからなる第2の絶縁層1b、1d、1f、1hとが交互に積層されており、表面または内部に導体層2が設けられてなる多層基板であって、第1の絶縁層1a、1c、1e、1g、1iには複数の貫通孔4が形成され、複数の貫通孔4に第2の絶縁層1b、1d、1f、1hを構成するセラミックスとほぼ同一の焼成収縮開始温度のセラミックスが充填されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、焼成収縮開始温度が異なるセラミックスからなる絶縁層同士を一体にして焼成することにより、互いの絶縁層の主面に平行な方向(X−Y方向)の焼成収縮を抑制した多層基板に関するものである。
従来、移動体通信分野などで使用される多層配線基板において、配線導体層の材料として導電率の高い金、銀、銅、アルミニウムあるいはそれらの混合物を用い、絶縁層の材料として配線導体層の材料の融点よりも低い温度で焼成が可能なガラスセラミックスを用いた多層配線基板が広く用いられている。
この多層配線基板は、複数の配線導体層間がビアホール導体により電気的に接続されている。製造に際しては、焼成後に絶縁層となるグリーンシートに貫通孔を形成し、その貫通孔に焼成後にビアホール導体となる導体材料を充填し、貫通孔に導体材料の充填されたグリーンシートの主面に配線導体層となる導体材料を塗布する。そのようにして準備したグリーンシートを複数枚積層して焼成することにより、配線導体層間がビアホール導体により接続された多層配線基板が得られる。
ここで、絶縁層の材料としてガラスセラミックスを用いた多層配線基板は、焼結により体積が40〜50%程度収縮する。このとき、多層配線基板の主面に平行な方向(X−Y方向)における収縮率は1方向において平均15〜20%程度ばらついており、この収縮率のばらつきが配線導体層の位置ばらつきにつながり、多層配線基板の寸法精度が悪くなっていた。なお、ここでいう収縮率とは、焼結前の寸法から焼結後の寸法を減じた値を焼結前の寸法で除した値で定義されるものである。
そこで、多層配線基板の寸法精度を向上させる方法として、焼成収縮開始温度および焼成収縮終了温度が異なる2種以上のグリーンシート(2種の場合は、焼成後に第1の絶縁層と第2の絶縁層となる)を積層し焼成することにより、X−Y方向の焼成収縮を抑制し、主にZ方向に収縮させる方法が提案されている(例えば特許文献1を参照。)。
特開2003−69236号公報
この特許文献1に記載の方法では、焼成後に第1の絶縁層となるグリーンシートと焼成後に第2の絶縁層となるグリーンシートとが焼成収縮開始温度および焼成収縮終了温度が異なることで、互いにX−Y方向への収縮を抑制しあう。具体的には、第1の絶縁層の焼成収縮(焼結)終了後に第2の絶縁層が焼成収縮(焼結)を開始するようになっていることから、第1の絶縁層の焼結時には未焼結状態にある第2の絶縁層によって第1の絶縁層のX−Y方向への収縮が抑制され、第2の絶縁層の焼結時にはすでに焼結した第1の絶縁層によって第2の絶縁層のX−Y方向への収縮が抑制される。
以上のようなメカニズムにより、第1の絶縁層および第2の絶縁層のX−Y方向への収縮を抑制し、厚み方向(Z方向)に大きく収縮させることで、多層配線基板の寸法精度を高くする試みがなされている。
しかしながら、上述した多層配線基板においては、第1の絶縁層が焼成収縮を終了した後に第2の絶縁層が焼成収縮を開始する。そのため、第2の絶縁層にホウ素等の高温にてガス化するセラミックスを多く含む場合、第2の絶縁層を形成するグリーンシートのバインダー成分の脱脂が不十分である場合、第2の絶縁層を形成するグリーンシートのセラミックスの充填率が低い場合等において、焼結時に発生したボイドがすでに焼結した第1の絶縁層によって逃げ場を塞がれ、外部に排出されずに第1の絶縁層に近接する部位に溜まり、この付近にボイドが蓄積してしまい、結果として層間剥離が生じてしまうという問題点を有していた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、第2の絶縁層における第1の絶縁層に近接する部位にボイドが蓄積することがなく、層間剥離の発生を抑制した絶縁信頼性の高い多層基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の多層基板は、セラミックスからなる第1の絶縁層と、該第1の絶縁層を構成するセラミックスの焼成収縮の終了温度よりも高い温度で焼成収縮を開始するセラミックスからなる第2の絶縁層とが交互に積層されており、表面または内部に導体層が設けられてなる多層基板であって、前記第1の絶縁層には複数の貫通孔が形成され、該複数の貫通孔に前記第2の絶縁層を構成するセラミックスとほぼ同一の焼成収縮開始温度のセラミックスが充填されていることを特徴とするものである。
ここで、前記第2の絶縁層を上下から挟持する一対の前記第1の絶縁層におけるそれぞれの前記貫通孔が上面視で異なる位置となるように配置されているのが好ましい。
また、本発明の多層基板の製造方法は、セラミック原料粉末を含む第1のグリーンシートと該第1のグリーンシートを構成するセラミック原料粉末の焼成収縮の終了温度よりも高い温度で焼成収縮を開始するセラミック原料粉末を含む第2のグリーンシートとを作製する第1の工程と、前記第1のグリーンシートに複数の貫通孔を形成する第2の工程と、前記複数の貫通孔に前記第2のグリーンシートを構成するセラミック原料粉末とほぼ同一の焼成収縮開始温度のセラミック原料粉末を充填する第3の工程と、前記第1のグリーンシートと前記第2のグリーンシートとを交互に積層して焼成する第4の工程とを有することを特徴とするものである。
ここで、前記第2の工程において、前記第1のグリーンシートに樹脂製フィルムを貼着したうえで、前記第1のグリーンシートとともに前記樹脂製フィルムまで前記複数の貫通孔を形成し、前記第3の工程において、前記第1のグリーンシートとともに前記樹脂製フィルムまで前記複数の貫通孔へのセラミック原料粉末の充填を行い、前記第3の工程と前記第4の工程との間に前記樹脂製フィルムを取り除くのが好ましい。
本発明によれば、第1の絶縁層に複数の貫通孔が形成され、この貫通孔内に第2の絶縁層を構成するセラミックスとほぼ同一の焼成収縮開始温度のセラミックスが充填されていることにより、第1の絶縁層を緻密に形成しつつ、第2の絶縁層が焼結する際に発生するボイドが第2の絶縁層における第1の絶縁層に近接する部位に蓄積させることがないから、層間剥離の発生を抑制した絶縁信頼性の高い多層回路基板を得ることができる。
また、第2の絶縁層を上下から挟持する一対の第1の絶縁層におけるそれぞれの貫通孔が上面視で異なる位置となるように配置されていることで、貫通孔によるX−Y方向の拘束力低下を極力抑制し、Z方向の収縮量が少ないことによる貫通孔からのセラミックスの突出を防ぐことができる。
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の多層基板の一実施形態の概略断面図であり、図2は図1に示す第1の絶縁層の概略平面図である。
図1は本発明の多層基板の一実施形態の概略断面図であり、図2は図1に示す第1の絶縁層の概略平面図である。
図1に示す本発明の多層基板は、第1の絶縁層1a、1c、1e、1g、1iと第2の絶縁層1b、1d、1f、1hとが交互に積層され、表面および内部には配線導体層2が設けられ、第1の絶縁層1a、1g、1iおよび第2の絶縁層1b、1hを貫通し配線導体層2に接続されたビアホール導体3が設けられた構成になっている。
第1の絶縁層1a、1c、1e、1g、1iと第2の絶縁層1b、1d、1f、1hとは異なるセラミックスで形成されている。セラミックスとしては、ガラスセラミックス、アルミナ、ムライト等が挙げられるが、金、銀、銅等の低抵抗導体を使用できる点でガラスセラミックスが好ましい。以下、第1の絶縁層1a、1c、1e、1g、1iおよび第2の絶縁層1b、1d、1f、1hがガラスセラミックスで構成された場合について説明する。
第1の絶縁層1a、1c、1e、1g、1iおよび第2の絶縁層1b、1d、1f、1hを構成するガラスセラミックスは、30〜100質量%のガラス粉末と0〜70質量%のセラミック粉末とからなるガラスセラミック原料粉末を700℃〜1000℃の比較的低い温度で焼成してなるものである。ガラス粉末の組成としては、必須成分としてSiO2を10〜70質量%、Al2O3を0.5〜30質量%、MgOを3〜60質量%、また任意成分としてCaOを0〜35質量%、BaOを0〜35質量%、SrOを0〜35質量%、B2O3を0〜20質量%、ZnOを0〜30質量%、TiO2を0〜10質量%、Na2Oを0〜3質量%、Li2Oを0〜5質量%含むものが挙げられる。一方、セラミック粉末の組成としては、Al2O3、SiO2、MgTiO3、CaZrO3、CaTiO3、Mg2SiO4、BaTi4O9、ZrTiO4、SrTiO3、BaTiO3、TiO2から選ばれる1種以上が挙げられる。
上記組成のガラス粉末とセラミック粉末との組み合わせによれば、誘電率の制御が可能であり、高誘電率化による回路の小型化、低損失化、あるいは、低誘電率化による高速伝送化に適している。また、配線導体層2およびビアホール導体3として、銀(融点960℃)、銅(融点1083℃)、金(融点1063℃)などの低抵抗導体を用いることが可能となり、低損失な回路を作成できる。しかも、上記の範囲で種々組成を制御することによって、焼成収縮挙動を容易に制御、変更することができる。すなわち、第1の絶縁層1a、1c、1e、1g、1iを構成するガラスセラミックスの焼成収縮の終了温度よりも高い温度で、第2の絶縁層1b、1d、1f、1hを構成するガラスセラミックスが焼成収縮を開始するように、それぞれの絶縁層を構成するガラスセラミックスが上記組成の制御によって選定される。
なお、第1の絶縁層を構成するガラスセラミックスの焼成収縮の終了とは、第1の絶縁層における焼成前の状態から多層基板の完成状態(多層基板焼成終了後の状態)までの収縮量に対し90%以上収縮したことをいい、第1の絶縁層の焼成収縮の終了温度とは90%収縮したときの温度のことをいう。また、ここでいう焼成収縮開始温度とは、対象とする材料を単独で焼成した時に、0.3%体積収縮するときの温度で定義されるものである。なお、体積収縮は、TMA(熱機械分析)により決定されるものである。このとき、それぞれは等方的に収縮するものとし、TMAの線収縮から体積収縮に換算する。
例えば第1の絶縁層を構成するガラスセラミックスの原料粉末は、ガラス粉末85質量%、セラミック粉末(MgTiO3粉末)15質量%からなり、このガラス粉末の組成としては、SiO2が15質量%、Al2O3が2質量%、MgOが40質量%、CaOが1質量%、BaOが15質量%、B2O3が20質量%、ZnOが1質量%、TiO2が0.5質量%、Na2Oが0.5質量%、Li2Oが5質量%のものが挙げられる。このガラスセラミックスは、660℃で焼成収縮を開始し、770℃で焼成収縮を終了する。
一方、例えば第2の絶縁層を構成するガラスセラミックスの原料粉末は、ガラス粉末55質量%、セラミック粉末(Al2O3粉末)45質量%からなり、このガラス粉末の組成としては、SiO2が50質量%、Al2O3が5質量%、MgOが20質量%、CaOが24質量%、BaOが0.5質量%、B2O3が0.3質量%、Li2Oが0.2質量%のものが挙げられる。このガラスセラミックスは、780℃で焼成収縮を開始し、900℃で焼成収縮を終了する。
このような組成の組み合わせとすることにより、第2の絶縁層を構成するガラスセラミックスが焼成収縮を開始する時点で、第1の絶縁層を構成するガラスセラミックスは焼成収縮を終了していることから、寸法精度のよい多層基板を得ることができる。
ここで、拘束力の観点から、先に焼成収縮を終了する第1の絶縁層が薄いほうが好ましく、例えば、第1の絶縁層の厚みとしては2〜150μm、第2の絶縁層の厚みとしては10〜300μmが設定される。また、第1の絶縁層と第2の絶縁層のどちらが表層に設けられてもよいが、表層に設けられる絶縁層にはX−Y方向(平面方向)の収縮の拘束力のかかりかたが弱いことから、表層には薄いほうの絶縁層を配置するのが好ましい。
そして、第1の絶縁層1a、1c、1e、1g、1iには複数の貫通孔4が形成されていて、複数の貫通孔4には第2の絶縁層を構成するガラスセラミックスとほぼ同一の焼成収縮開始温度のガラスセラミックスとして、第2の絶縁層を構成するガラスセラミックスと同一のガラスセラミックスまたは第2の絶縁層とほぼ同一の焼成収縮開始温度の第2の絶縁層とは異なるガラスセラミックスが充填されていることが重要である。
これにより、第一の絶縁層の緻密性を保ちつつ、第1の絶縁層を構成するガラスセラミックスが焼結するときには、貫通孔に充填されたガラスセラミックスが焼結しておらず、第2の絶縁層を構成するガラスセラミックスの焼結とともにこの貫通孔に充填されたガラスセラミックスが焼結させることができることから、第2の絶縁層における第1の絶縁層に近接する部位にボイドが多量に残留するのを抑制することができる。なお、ほぼ同一の焼成収縮開始温度とは、同様の挙動で焼成収縮をすること、すなわち、第1の絶縁層の焼成収縮の終了後の温度であって、積層体の収縮に影響を及ぼさない温度である。
貫通孔4の直径としては、例えば50〜300μmに設定される。また、上面視で第1の絶縁層全体に対し貫通孔の占める割合が5〜30%の範囲であるのが好ましい。充分な拘束力を持たせて基板の反りを抑制しつつ、第2の絶縁層における第1の絶縁層に近接する部位へのボイドの残留をさらに抑制することができるからである。
さらに、第2の絶縁層を上下から挟持する一対の第1の絶縁層におけるそれぞれの貫通孔が上面視で異なる位置となるように配置されているのが好ましい。換言すれば、第2の絶縁層のある部位における上側の第1の絶縁層と下側の第1の絶縁層のどちらか一方には貫通孔が配置されていないようになっているのが好ましい。第2の絶縁層のある部位において上側にも下側にも貫通孔が配置されていると、その部位に拘束力が働かなくなってしまい、Z方向(上下方向)への収縮量が少なくなってしまうからである。
なお、表層の配線導体層2は、主に電子部品素子の搭載部となる接続パッドとして機能し、絶縁層間に介在する内部の配線導体層2は、主に各回路素子を電気的に接続する配線や、インダクタ・キャパシタ等の回路素子として機能する。表層の配線導体層2と内部の配線導体層2、若しくは異なる絶縁層間に介在する内部の配線導体層2同士は、ビアホール導体3により電気的に接続されている。配線導体層2およびビアホール導体3の材質は、第1の絶縁層および第2の絶縁層の材質にもよるが、タングステンやモリブデン、銀、銅、金等のいずれか一種を含む導電材料からからなる。配線導体層2の厚みは、例えば5〜25μmに設定される。また、ビアホール導体3の直径は任意に設定可能であるが、ビアホール導体3が埋設される絶縁層の厚みが10〜300μmの場合、ビアホール導体3の直径は例えば50〜300μmに設定される。
上述した実施形態においては、多層基板として内部に配線導体層およびビアホール導体が形成されたものについて説明したが、多層基板としてはこれに限定されず、積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ、積層セラミックレゾネータ、積層誘電体フィルタ等であってもよい。また、第1の絶縁層および第2の絶縁層を構成するセラミックス、第1の絶縁層に形成された貫通孔に充填されるセラミックスとしては、ガラスセラミックスに限定されるものではない。
次に、多層基板の製造方法について述べる。
まず第1の工程として、第1の絶縁層および第2の絶縁層を構成するガラスセラミックスを、まずセラミックグリーンシートとして形成する。上述のガラス粉末とセラミック粉末とを組み合わせた第一のガラスセラミック原料粉末に、有機バインダと有機溶剤及び必要に応じて可塑剤とを混合してスラリー化し、このスラリーを用いてドクターブレード法などによりテープ成形を行い、所定寸法に切断することによって、第1の絶縁層となる第一のグリーンシートが得られる。一方、第一のガラスセラミック原料粉末の焼成収縮の終了温度よりも高い温度で焼成収縮を開始する第二のガラスセラミック原料粉末から、第2の絶縁層となる第二のグリーンシートが得られる。
まず第1の工程として、第1の絶縁層および第2の絶縁層を構成するガラスセラミックスを、まずセラミックグリーンシートとして形成する。上述のガラス粉末とセラミック粉末とを組み合わせた第一のガラスセラミック原料粉末に、有機バインダと有機溶剤及び必要に応じて可塑剤とを混合してスラリー化し、このスラリーを用いてドクターブレード法などによりテープ成形を行い、所定寸法に切断することによって、第1の絶縁層となる第一のグリーンシートが得られる。一方、第一のガラスセラミック原料粉末の焼成収縮の終了温度よりも高い温度で焼成収縮を開始する第二のガラスセラミック原料粉末から、第2の絶縁層となる第二のグリーンシートが得られる。
次に第2の工程として、第一のグリーンシートに金型またはレーザー等で複数の貫通孔を形成する。このとき、第一のグリーンシートが薄い場合は貫通孔の形成や貫通孔へのガラスセラミック原料粉末を含むペーストの充填が困難であることから、第一のセラミックグリーンシートに樹脂製フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム)を貼着したうえで、第1のグリーンシートとともに樹脂製フィルムまで複数の貫通孔を形成するのが好ましい。
そして第3の工程として、複数の貫通孔に第二のガラスセラミック原料粉末とほぼ同一の焼成収縮開始温度のガラスセラミック原料粉末を含むペーストを印刷法により充填する。ここで、第2の工程で樹脂製フィルムを用いていた場合は、第1のグリーンシートとともに樹脂製フィルムまでガラスセラミック原料粉末の充填を行うのが好ましい。
樹脂製フィルムを貼着していた場合は、この第3の工程の後に樹脂製フィルムを取り除く。
そして第4の工程として、第一のグリーンシートと第二のグリーンシートとを積層し、一対のセラミックグリーンシートを形成する。得られたセラミックグリーンシートに金型による打ち抜き等の方法を用いて貫通孔を形成し、その貫通孔内に導体ペーストを充填してビアホール導体を形成し、セラミックグリーンシートの主面には導体ペーストをスクリーン印刷法などによって被着させて配線導体層を形成する。導体ペーストとしては、例えば、銀粉末に、有機バインダとしてエチルセルロース、有機溶剤として2−2−4−トリメチル−3−3−ペンタジオールモノイソブチレートを添加してなるペーストが用いられる。
次に、上記一対のセラミックグリーンシートを、所定の積層順序に応じて積層して積層体を形成する。この際、積層後に、第2の絶縁層を上下から挟持する一対の第1の絶縁層におけるそれぞれの貫通孔が上面視で異なる位置となるように位置決めを行うのがよい。
脱脂を行った後、焼成を行なう。焼成温度としては、ガラスセラミックスの場合は700〜1000℃、その他のセラミックスなども含む場合は700〜1400℃程度である。
第1の絶縁層を構成するガラスセラミックスの原料粉末として、ガラス粉末85質量%、セラミック粉末(MgTiO3粉末)15質量%からなり、このガラス粉末の組成として、SiO2が15質量%、Al2O3が2質量%、MgOが40質量%、CaOが1質量%、BaOが15質量%、B2O3が20質量%、ZnOが1質量%、TiO2が0.5質量%、Na2Oが0.5質量%、Li2Oが5質量%のものを用意した。
一方、第2の絶縁層を構成するガラスセラミックスの原料粉末として、ガラス粉末55質量%、セラミック粉末(Al2O3粉末)45質量%からなり、このガラス粉末の組成として、SiO2が50質量%、Al2O3が5質量%、MgOが20質量%、CaOが24質量%、BaOが0.5質量%、B2O3が0.3質量%、Li2Oが0.2質量%のものを用意した。
上記組成からなるそれぞれの原料粉末に、有機バインダとしてアクリルバインダ、有機溶剤としてトルエンを添加してなるスラリーを調整し、厚さ10μmの第1のグリーンシートおよび厚さ100μmの第2のグリーンシートを作製し、それぞれ厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム上に貼り付けた。
さらに、ガラス粉末55質量%、セラミック粉末としてAl2O345質量%を含み、有機バインダとしてエチルセルロース、有機溶剤として2−2−4−トリメチル−3−3−ペンタジオールモノイソブチレート混合して成る無機組成物のペーストを作製した。なお、ガラス粉末の組成は、SiO2が50質量%、Al2O3が5質量%、MgOが20質量%、CaOが24質量%、BaOが0.5質量%、B2O3が0.3質量%、Li2Oが0.2質量%とした。
上記第1のグリーンシートにポリエチレンテレフタレート製フィルムごとレーザーにより貫通孔を形成し、上記無機組成物のペーストを印刷法により充填を行った。
その後、第1のグリーンシートと第2のグリーンシートとを重ねあわせるとともに、ポリエチレンテレフタレート製フィルムを剥がして、一対のセラミックグリーンシートを形成した。
得られた一対のセラミックグリーンシートに金型による打ち抜き等の方法を用いて貫通孔を形成し、その貫通孔内に導体ペーストを充填してビアホール導体を形成し、一対のセラミックグリーンシートの主面には導体ペーストをスクリーン印刷法などによって被着させて配線導体層を形成した。配線導体層とビアホール導体の材料は、銀粉末に、有機バインダとしてエチルセルロース、有機溶剤として2−2−4−トリメチル−3−3−ペンタジオールモノイソブチレートを添加して成るペーストを用いた。
上記セラミックグリーンシートを、所定の積層順序に応じて5層積層して積層体を形成し、10cm×10cmにカットして、300℃で1時間脱脂を行い、500℃/hで昇温させ、900℃で1時間空気中にて焼成を行い、多層基板を得た。
上面視で第1の絶縁層全体に対し貫通孔の占める割合を変化させたとき、ボイド率がどのように変化するかについて、多層基板の断面を研磨してSEMにて測定を行った結果を表1に示す。さらに、3次元厚み測定器により反りと表面の平坦度を測定した結果を表1に示す。なお、試料No.9では各層の第一の絶縁層の貫通孔が、上面視で同じ位置になるように積層した。
表1に示すように、第1の絶縁層に貫通孔が形成されていない(貫通孔割合0%)試料No.1では、第1の絶縁層における第2の絶縁層との界面から20μmの範囲のボイド率が20%もあるが、複数の貫通孔を設けることでボイド率を低減させることができていることがわかる。
なお、上面視で第1の絶縁層全体に対し貫通孔の占める割合が40%以上では300μm以上の反りが生じている。したがって、特に第1の絶縁層における貫通孔の割合が5〜30%の範囲とすることで、ボイド率を10%未満に低減でき、反りも250μm以下の多層基板を得ることができていることがわかる。
また、試料No.1〜8では、各層の第一の絶縁層の貫通孔が上面視で異なる位置になるので、Z方向の収縮効果を極力低減することなく、表面の凹凸を10μm以下にすることができていることがわかる。
1a、1c、1e、1g、1i・・第1の絶縁層
1b、1d、1f、1h・・第2の絶縁層
2・・・配線導体層
3・・・ビアホール導体
4・・・貫通孔
1b、1d、1f、1h・・第2の絶縁層
2・・・配線導体層
3・・・ビアホール導体
4・・・貫通孔
Claims (4)
- セラミックスからなる第1の絶縁層と、該第1の絶縁層を構成するセラミックスの焼成収縮の終了温度よりも高い温度で焼成収縮を開始するセラミックスからなる第2の絶縁層とが交互に積層されており、表面または内部に導体層が設けられてなる多層基板であって、
前記第1の絶縁層には複数の貫通孔が形成され、該複数の貫通孔に前記第2の絶縁層を構成するセラミックスとほぼ同一の焼成収縮開始温度のセラミックスが充填されていることを特徴とする多層基板。 - 前記第2の絶縁層を上下から挟持する一対の前記第1の絶縁層におけるそれぞれの前記貫通孔が上面視で異なる位置となるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の多層基板。
- セラミック原料粉末を含む第1のグリーンシートと該第1のグリーンシートを構成するセラミック原料粉末の焼成収縮の終了温度よりも高い温度で焼成収縮を開始するセラミック原料粉末を含む第2のグリーンシートとを作製する第1の工程と、前記第1のグリーンシートに複数の貫通孔を形成する第2の工程と、前記複数の貫通孔に前記第2のグリーンシートを構成するセラミック原料粉末とほぼ同一の焼成収縮開始温度のセラミック原料粉末を充填する第3の工程と、前記第1のグリーンシートと前記第2のグリーンシートとを交互に積層して焼成する第4の工程とを有することを特徴とする多層基板の製造方法。
- 前記第2の工程において、前記第1のグリーンシートに樹脂製フィルムを貼着したうえで、前記第1のグリーンシートとともに前記樹脂製フィルムまで前記複数の貫通孔を形成し、
前記第3の工程において、前記第1のグリーンシートとともに前記樹脂製フィルムまで前記複数の貫通孔へのセラミック原料粉末の充填を行い、
前記第3の工程と前記第4の工程との間に前記樹脂製フィルムを取り除くことを特徴とする請求項3に記載の多層基板の製造方法。
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WO2012014692A1 (ja) * | 2010-07-29 | 2012-02-02 | 株式会社村田製作所 | セラミック多層基板およびその製造方法 |
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