JP2008133166A - 六方晶z型フェライト焼結体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特定の方向に特に高い透磁率を有するとともに、さらに該方向以外の方向においても透磁率が高く、透磁率のバランスに優れた六方晶Z型フェライトおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】六方晶Z型フェライト焼結体であって、測定範囲が2θ=20〜80°であるX線回折パターンにおいて、六方晶Z型フェライトの全ての回折ピークの積分強度和をΣI(HKL)とし(但し、I(HKL)は指数(HKL)で表される回折ピークの積分強度を示す)、L=0であるすべての(HK0)の回折ピークの積分強度和をΣI(HK0)とした場合、fc⊥=ΣI(HK0)/ΣI(HKL)で与えられる配向度fc⊥が0.4以上であるc軸配向面を有し、少なくとも、前記c軸配向面に垂直で且つ互いに垂直な2つの面において、X線回折におけるfc//=I(0018)/I(110)から算出される配向度fc//が0.3以上であることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】六方晶Z型フェライト焼結体であって、測定範囲が2θ=20〜80°であるX線回折パターンにおいて、六方晶Z型フェライトの全ての回折ピークの積分強度和をΣI(HKL)とし(但し、I(HKL)は指数(HKL)で表される回折ピークの積分強度を示す)、L=0であるすべての(HK0)の回折ピークの積分強度和をΣI(HK0)とした場合、fc⊥=ΣI(HK0)/ΣI(HKL)で与えられる配向度fc⊥が0.4以上であるc軸配向面を有し、少なくとも、前記c軸配向面に垂直で且つ互いに垂直な2つの面において、X線回折におけるfc//=I(0018)/I(110)から算出される配向度fc//が0.3以上であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、高周波用磁性材料に係るもので、特に数MHzから数GHzまでの高周波帯域においてチョークコイルやノイズ除去素子などの電子部品や電波吸収体に使用される六方晶Z型フェライトに関する。
近年、携帯電話や無線LAN、パソコンなどの信号の高周波化に伴い、装置内部で使用される素子もまた高周波で使用可能なものが要求されている。このような要求に対し、従来用いられてきたスピネル系フェライトでは高周波帯域においてスネークの限界と呼ばれる周波数限界が存在するため使用することが困難となる。そこで六方晶系の結晶構造を有する六方晶フェライトがかかる周波数限界を超える高周波用材料として検討されている。
六方晶系フェライトの中でも特にCoを含有したZ型フェライトが比較的高い透磁率を有し優れた高周波特性を示すことが知られている。またCoを含有するZ型は磁化容易面を持つため成形時に外部から印加される回転磁場により結晶粒子のC軸方向を揃える操作(以降この操作を面配向と呼び、この操作が行なわれた面を配向面と呼ぶ。)を行うことが可能である。面配向を行うことにより、配向面内の透磁率の向上を図ることが可能である。
特許文献1では回転磁界を印加することにより、Z型フェライトを面配向できることが開示されている。また特許文献2では直交する2方向から磁場を印加し、また配向の乱れを低減するよう吸湿性鋳型にて成形することにより高い水準の面配向を行うことができる旨の記載がある。また、金型を一定磁場中で回転し、成形することで面配向させたZ型フェライトが特許文献3に開示されている。
上記特許文献1〜3では、Z型フェライト結晶が面配向した焼結体を得ることはできる旨の記述がある。しかしながら特許文献1および2の発明では成形に関わる装置や工程の複雑化を招くことになり、生産性に課題を有する。また生産性の観点の他、その材料の素子に対する応用性という観点で必ずしも望ましくない可能性がある。例えば、特許文献2では、面配向したが為、その配向面内では30を超える高い透磁率が得られているものの配向面垂直方向は磁化困難方向となり透磁率が3以下と低い値を示すとの記載がある。すなわち上記した特許文献1〜3に記載の面配向したZ型フェライト焼結体は何れもこのような透磁率の低い方向を含む焼結体となっているものと考えられる。例えば特許文献2の第1表には容易磁化面と垂直な方向の透磁率μが1.5であるフェライトが開示されている。該方向の透磁率は真空の透磁率1と大差がなく、該方向に対しては磁性体としては実質的に機能しないと考えられる。したがって、このような面配向したZ型フェライトは二次元的な磁路形成にしか適用できなため、その適用範囲は極めて限定的なものと成らざるを得なかった。すなわち、このような極端な異方性はインダクタンス素子を設計する際の大きな制約となる。
本発明は上記点に鑑み、特定の方向の透磁率が高いことに加えて、特に該方向以外の方向においても透磁率が高く、透磁率のバランスに優れた六方晶Z型フェライトおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、六方晶Z型フェライト焼結体であって、測定範囲が2θ=20〜80°であるX線回折パターンにおいて、六方晶Z型フェライトの全ての回折ピークの積分強度和をΣI(HKL)とし(但し、I(HKL)は指数(HKL)で表される回折ピークの積分強度を示す)、L=0であるすべての(HK0)の回折ピークの積分強度和をΣI(HK0)とした場合、fc⊥=ΣI(HK0)/ΣI(HKL)で与えられる配向度fc⊥が0.4以上であるc軸配向面を有し、少なくとも、前記c軸配向面に垂直で且つ互いに垂直な2つの面において、X線回折におけるfc//=I(0018)/I(110)から算出される配向度fc//が0.3以上であることを特徴とする。かかる構成によれば、高い透磁率を有するとともに、透磁率の異方性の小さい、六方晶Z型フェライト焼結体が提供可能となる。配向度fc⊥はより好ましくは0.45以上である。また、配向度fc//はより好ましくは、を0.5以上である。
また、本発明は、六方晶Z型フェライト焼結体であって、EBSP(Electron Back Scattering Pattern)による方位解析において、θAV=Σθn(θ)/Σn(θ)(但し、θは、六方晶Z型フェライト焼結体の方位解析面に垂直な方向と、EBSPの測定点における六方晶Z型フェライトのc軸方向との方位角度差を示し、n(θ)は前記θを示す測定点の数を示す。またΣθn(θ)、Σn(θ)はそれぞれθn(θ)、n(θ)を0から90°までの区間で足し合わせたものを示す。)で表される平均方位差θAVが65°以上であるc軸配向面を有し、nAV=ΣI(φ)/m(但し、φは、c軸方向の前記方位解析面への射影方向と前記方位解析面内の一の直線との方位差を正の鋭角にとった時の角度を示す。I(φ)は方位差φを示す測定点数を示し、mは0〜90°間の分割した点数を示す。)で与えられる測定点数の平均値で、SD={Σ(I(φ)−nAV)2/m}1/2で与えられる標準偏差SDを除した値SD/nAVが0.6以下であることを特徴とする。かかる構成によれば、高い透磁率を有するとともに、透磁率の異方性の小さい、六方晶Z型フェライト焼結体が提供可能となる。
さらに、前記六方晶Z型フェライト焼結体は、BaO、CoO、Fe2O3を主成分とし、その組成が六方晶Z型フェライトの化学量論組成Ba3Co2Fe24O41よりもBaリッチであることが好ましい。Baリッチな組成を用いることで高密度化を図ることができる。
さらに、前記六方晶Z型フェライト焼結体において、焼結体密度が5.0×103kg/m3以上であることが好ましい。焼結体密度をかかる範囲とすることで透磁率の向上に寄与する。5.0×103kg/m3以上の焼結体密度が40以上の透磁率を得るうえでより好ましい。かかる観点からは、焼結体密度はより好ましくは5.1×103kg/m3以上である。
さらに、前記六方晶Z型フェライト焼結体において、前記c軸配向面に垂直方向の透磁率をμ⊥、前記c軸配向面に平行な方向の透磁率をμ//としたとき、前記c軸配向面に平行で、かつ互いに直交する少なくとも二方向の透磁率μ//に対して、比μ///μ⊥が100kHzおよび/または100MHzにおいて0.6以下であることが好ましい。比μ///μ⊥が小さいということは配向性が良好であることを意味し、同時に高いμ⊥が得られることを意味する。前記透磁率比はより好ましくは0.4以下である。さらに、前記比μ///μ⊥は0.1以上であることがより好ましい。配向性が上がるとc軸配向面に平行な方向の透磁率は低下する。c軸配向面に垂直な方向の透磁率と、c軸配向面に平行な方向との透磁率の差が大きくなりすぎると、c軸配向面方向を磁路方向として使用しにくくなり、磁気回路設計への制約が大きくなる。特に、c軸配向面内方向の一方向にc軸を揃えた従来の面配向では、該方向の比μ///μ⊥、透磁率は極めて小さくなるために該方向を磁路として用いることが実質的に困難となる。なお、100kHzでの透磁率には、透磁率が既知のリング試料に設けたギャップに、六方晶Z型フェライト焼結体試料片を挿入して測定するギャップ法による値を用い、100MHzでの透磁率には、後述するリング法による値を用いる。これらの測定方法の詳細は後述する。
さらに、前記六方晶Z型フェライト焼結体において、前記c軸配向面に垂直方向の100kHzでの透磁率が30以上であることが好ましい。高インダクタンス素子を構成するためには、前記透磁率はより好ましくは35以上、さらに好ましくは40以上である。さらに、高周波で高インダクタンスを発揮するインダクタンス素子を構成するためには、100MHzでの透磁率は好ましくは30以上、さらに好ましくは35以上である。
さらに、前記六方晶Z型フェライト焼結体において、前記c軸配向面に平行で、かつ互いに直交する少なくとも二方向の100kHzでの透磁率が8以上であることが好ましい。本発明では、c軸配向面に垂直方向の透磁率が特に高くなるが、前記構成によればc軸配向面に平行な方向でも高透磁率が発揮される。したがって、c軸配向面に平行な方向も磁路方向として活用することが可能である。c軸配向面に平行で、かつ互いに直交する少なくとも二方向で高い透磁率を発揮するということは、該面内方向での透磁率の異方性が小さいということを意味する。かかる構成によれば、透磁率の異方性が小さく、設計自由度の高い六方晶Z型フェライト焼結体が提供可能である。c軸配向面に平行な方向の100kHzでの透磁率はより好ましくは、10以上である。さらに、c軸配向面に平行な方向の透磁率は100MHzにおいて8以上であることがより好ましい。
さらに、前記六方晶Z型フェライト焼結体は、機械加工面を有することが好ましい。機械加工面を有することにより、焼結体端部の配向が乱れた部分が除去された構成となるため、高透磁率、および透磁率のばらつきの抑制に寄与する。
また、本発明の六方晶Z型フェライト焼結体の製造方法は、比表面積が800〜4000m2/kgの範囲内である六方晶Z型フェライト粉末を一軸性の磁界中で成形を行い成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼結する焼成工程とを有することを特徴とする。かかる方法によれば、透磁率が高く、また透磁率の異方性も小さい六方晶Z型フェライト焼結体を提供することができる。
さらに、前記六方晶Z型フェライト焼結体の製造方法において、前記六方晶Z型フェライト粉末を水と混合してスラリーとし、前記スラリー中の六方晶Z型フェライト粉末の濃度を70wt%以下として成形を行うことが好ましい。該構成によれば、より高い配向性を実現することができる。前記濃度は、より好ましくは65wt%以下である。
さらに、前記六方晶Z型フェライト焼結体の製造方法において、金型キャビティ内で磁界を印加しながら前記六方晶Z型フェライト粉末を攪拌した後に成形を行うことが好ましい。該構成によれば、よりいっそう高い配向性を実現することができる。
さらに、前記六方晶Z型フェライト焼結体の製造方法において、前記六方晶Z型フェライト粉末は、六方晶Z型フェライト焼結体を粉砕して得られたものであることが好ましい。かかる六方晶Z型フェライト粉末は、異相が少なく、また結晶粒も十分成長しているため、配向させやすいという利点がある。
本発明によれば、特定の方向に特に高い透磁率を有するとともに、さらに該方向以外の方向においても透磁率が高く、透磁率のバランスに優れた六方晶Z型フェライトおよびその製造方法を提供することができる。本発明のフェライト焼結体を使用することにより、高品質のチョークコイル、インダクタ、電波吸収体などを提供することも可能となる。
以下、本発明を実施形態によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明の原料として用いるフェライト焼結体は、本発明において特に規定する以外は、フェライトの製造に適用される通常の粉末冶金的方法によって製造することができる。通常の粉末冶金的方法とは以下のとおりである。例えば素原料を湿式のボールミルにて混合し、電気炉などを用いて仮焼することにより仮焼粉を得る。また得られた仮焼粉を湿式のボールミルなどを用いて粉砕し、得られた粉砕粉をプレス機により成形し例えば電気炉などを用いて焼成を行い、六方晶Z型フェライト焼結体を得る。
本発明においては、前記成形に供する粉砕粉を、例えば以下のようにして作製する。上述のようにして得られた焼結体をジョークラッシャーやディスクミルなどを用いて粉砕し、粗粉を得る。得られた粗粉は振動ミル、ボールミル、ジェットミルなどを用いて粉砕を行い、微粉を得る。得られた微粉に水を加えてスラリーとし、成形空間に磁束を導くよう工夫された金型を用いて磁界を印加しながらプレスする。得られた成形体を乾燥処理した後、再焼結しフェライト焼結体を得る。この製造方法については、さらに詳しく後述する。
以下、本発明に係る六方晶Z型フェライト焼結体について具体的に説明する。六方晶Z型フェライトは代表的にはBa3Co2F24O41で表される。六方晶Z型フェライト焼結体は、かかる六方晶Z型フェライト相を含む焼結体である。Baの一部をSrで置換したり、Coの一部をCu、Zn、Niのうち少なくとも一種で部分的に置換することも可能である。六方晶Z型フェライト焼結体では、前記Z相以外の他の六方晶フェライト相(W相、Y相、M相)、スピネル相、BaFe2O4相などの異相を一部に含んでいても良い。また、六方晶Z型フェライト焼結体はBaO、CoO、Fe2O3を主成分とし、その組成が六方晶Z型フェライトの化学量論組成Ba3Co2Fe24O41よりもBaリッチな組成を有することが好ましい。化学量論組成Ba3Co2Fe24O41を外れると異相が発生することが考えられるが、Baリッチな組成ではBaFe2O4相が生成しやすい。前記BaFe2O4相は焼結体密度の向上に寄与する一方、非磁性層であるため異相として生成しても配向性に大きな影響を与えない。したがって、高い配向性を維持しつつ、焼結体密度の向上を図ることができるため、前記Baリッチな組成は、高透磁率を有する六方晶Z型フェライトを得るうえで好適である。高い焼結体密度を得るうえでは、17〜21mol%のBaO、6〜13mol%のCoO、残部Fe2O3を主成分とすることが好ましい。さらに、前記主成分に対してLiをLi2CO3換算で0.05〜1.0質量%含有させることが好ましい。前記主成分組成範囲と前記Liの含有は、焼結体の高密度化に好適である。
さらに、Liと、さらにSiを複合的に含有させてもよい。Siと共にLiを含有させる場合には、特有の焼結体密度向上と透磁率向上の相乗効果が得られる。Siは少量でもLiとの複合含有効果、体積抵抗率増加の効果を示すがSiO2換算で0.05質量%未満ではこれらの実質的な効果が発揮されず、一方0.5質量%を超えると体積抵抗率が改善されなくなるとともに、透磁率および焼結体密度の低下を招くので0.05〜0.5質量%の範囲が好ましい。Liと複合で前記範囲のSiを含有させることにより、焼結体密度を4.95×103kg/m3以上、体積抵抗率を104Ω・m以上としつつ、Li含有による初透磁率向上効果を発揮させることができる。さらに、体積抵抗率向上のために、二価の金属イオンとしてMnをMn3O4換算で0.05〜5質量%含有させてもよい。
次に、本発明に係る六方晶Z型フェライト焼結体の構成についてさらに詳述する。本発明に係る六方晶Z型フェライト焼結体では、以下に示すような配向性を有する。焼結体の特定の面でX線回折を行い、配向度を以下のように決定する。まず、六方晶Z型フェライト焼結体の一平面のX線回折パターンにおいて、2θ=20〜80°の測定範囲範囲に含まれる、六方晶Z型フェライトに由来する全ての回折ピークの積分強度和をとってΣI(HKL)とし、前記範囲に含まれるL=0であるすべての(HK0)面の回折ピークの積分強度和をとってΣI(HK0)とする。すなわち、ΣI(HKL)は、20°〜80°の2θ全体にわたって六方晶Z型フェライトの回折ピークを積分したものである。なお、I(HKL)は、指数(HKL)で表される格子面からの回折ピークの積分強度を示す。ここでは、I(HKL)として、(HKL)面の回折線のピーク角度をθ(HKL)とした時、θ(HKL)−0.4°からθ(HKL)+0.4°までの範囲で積分した値を用いている。
上記、ΣI(HKL)およびΣI(HK0)から配向度fc⊥を定義する。配向度fc⊥はfc⊥=ΣI(HK0)/ΣI(HKL)で与えられる。この配向度fc⊥が大きい、すなわち、分子のΣI(HK0)が大きいということは、X線回折を行っている面では、c軸が該面方向を向いている結晶粒が多いということを示している。六方晶Z型フェライトの中でもBa3Co2Fe24O41で表されるような組成ではc軸に垂直な方向、すなわちc面が磁化容易面となるので、c軸が該面方向を向いている結晶粒が多いということは、該面に垂直な方向の透磁率が高くなるということを意味する。
上記、ΣI(HKL)およびΣI(HK0)から配向度fc⊥を定義する。配向度fc⊥はfc⊥=ΣI(HK0)/ΣI(HKL)で与えられる。この配向度fc⊥が大きい、すなわち、分子のΣI(HK0)が大きいということは、X線回折を行っている面では、c軸が該面方向を向いている結晶粒が多いということを示している。六方晶Z型フェライトの中でもBa3Co2Fe24O41で表されるような組成ではc軸に垂直な方向、すなわちc面が磁化容易面となるので、c軸が該面方向を向いている結晶粒が多いということは、該面に垂直な方向の透磁率が高くなるということを意味する。
前記配向度fc⊥を0.4以上とすると、X線回折を行っている面に垂直な方向の透磁率が特に高くなり、例えば100kHzの周波数で30以上の透磁率を得ることも可能となる。なお、本発明においては、かかる配向度を有する面をc軸配向面と称している。より好ましくは、0.45以上とすると35以上の透磁率を得るうえで好適な構成となる。また、100MHzでも30以上の透磁率を有することが好ましい。より多くの結晶粒のc軸がX線回折を行っている面方向に向いていることが好ましい。理想的な状態として、全ての結晶粒のc軸がX線回折を行っている面方向に向いている状態を図1に示す。図1から明らかなように、各結晶粒のc面は、X線回折を行っている面に垂直になっている。この場合磁化容易面であるc面がX線回折を行っている面に垂直でありさえすれば、c軸の方向がどちらを向いていてもX線回折を行っている面に垂直な方向の透磁率は高くなることがわかる。この場合にさらにc軸の方向も一定の方向に揃えた状態が特許文献1にあるような面配向させた場合に相当する。しかし、X線回折を行っている面に垂直な方向にc面が平行であるという点においては、図1の状態と面配向させた状態とでは変わりはないので、原理的に該方向での透磁率に差はないことになる。むしろc軸も一定の方向に揃えると、該一定方向の透磁率は極端に低くなってしまう。
そこで、本発明においては、図1のようにX線回折を行っている面に垂直な方向にc面が配向(c面が該方向に平行)しているとともに、該方向に垂直な面方向において、c軸がランダム状に向いている状態を採用する。かかる指標として、少なくとも、前記c軸配向面(上述のX線回折を行っている面に相当)に垂直で且つ互いに垂直な2つの面(以下垂直面とする)において、X線回折におけるfc//=I(0018)/I(110)から算出される配向度fc//を採用し、該配向度fc//が0.3以上という構成をとる。該配向度fc//が大きいということは、前記垂直面に垂直な方向にc軸が向いた結晶粒が多いということを示している。これが、少なくとも互いに垂直な2つの面において満たされることによって、c軸がランダムに向いていることを担保している。このような配向モードは、一軸性の磁界、すなわち所定の方向の直流静磁界を印加する成形を経て得られた焼結体が有する配向モードに対応する。このようにすることによって、c軸配向面に平行な方向において、特定の方向に偏らず、高い透磁率を得ることができる。かかる構成でc軸配向面方向の透磁率を維持しつつ、配向度fc⊥を所定の範囲とすることで、c軸配向面に垂直な方向の透磁率が高められる点が、本発明の特徴の一つである。配向度fc⊥を0.4以上とすることによって、c軸配向面に平行で、かつ互いに直交する少なくとも二方向において、c軸配向面に垂直方向の100kHzでの透磁率に対するc軸配向面に平行な方向の100kHzでの透磁率の比を0.6以下とすることができる。特に高透磁率が必要な場合には、前記透磁率比を0.4以下、さらには0.3以下として、c軸配向面に垂直方向の透磁率を高めることが好ましい。一方、前記配向モードを備えることによって、c軸配向面に平行で、かつ互いに直交する少なくとも二方向において、前記比を0.1以上とすることができる。c軸配向面に垂直な方向の透磁率に対する比においても、0.15以上として、透磁率のバランスに優れた六方晶Z型フェライト焼結体を提供することもできる。前記透磁率の比に係る構成は100kHzに代えて、または加えて100MHzで満たすようにしてもよい。c軸配向面に平行な方向で100kHzにおいて8以上の透磁率を得ることが可能である。c軸配向面に平行な方向にもかかる高透磁率を有することによって、該方向も磁路方向として十分使用することができる。また、100MHzでも8以上の透磁率を有することが好ましい。面配向の場合は、c軸配向面に垂直な一面(面配向方向の面)ではfc//0.3以上を満たす可能性があるが、互いに垂直な2つの面においてfc//0.3以上を満たすことはできない。より好ましくは、該配向度fc//を0.5以上とする。また、前記c軸配向面に垂直で且つ互いに垂直な少なくとも2つの面において、fc//が0.3以上であればよいが、例えば120°の角度をなす3つの面、さらにはそれ以上の数の面において、fc//が0.3以上であることが好ましい。前記c軸配向面に垂直な任意の面でfc//が0.3以上であることがより好ましい。
前記のような条件を満たすc軸配向面を六方晶Z型フェライト焼結体が有していればよい。かかる面は焼結体表面であってもよいし、焼結体内にあってもよい。焼結体内にある場合には、焼結体を切断したり、研磨することで露出させ、前記配向度の評価を行えば良い。焼結体が直方体である場合には、例えば、その表面のうちの一つの面においてX線回折を行って配向度fc⊥を評価した結果、該面がc軸配向面となれば、それと直角をなす、互いに垂直な2つの他の表面において配向度fc//を評価すればよい。
また、透磁率の異方性の小さい、バランスに優れた六方晶Z型フェライト焼結体は、以下のように捉えることもできる。すなわち、走査電子顕微鏡(SEM)における反射電子パターン(EBSP:Electron Back Scattering Pattern)による方位解析を用いることもできる。かかる方位解析では、焼結体の方位解析面に垂直な方向に対する結晶粒のc軸の傾き量を観測できるため、結晶粒の配向状態を評価することができる。該方位解析において、θAV=Σθn(θ)/Σn(θ)(式1)を算出する。ここで、θは、六方晶Z型フェライト焼結体の方位解析面に垂直な方向と、EBSPの測定点における六方晶Z型フェライトのc軸方向との方位角度差を示し、n(θ)は前記θを示す測定点の数を示す。またΣθn(θ)、Σn(θ)はそれぞれ0から90°までの区間ですべてのθに対するθn(θ)、n(θ)を足し合わせたものを示す。前記平均方位差θAVを65°以上とすることで、方位解析面に垂直な方向にc面が配向し、該方向の透磁率に優れた六方晶Z型フェライトとなる。かかる場合は、c軸は前記方位解析面に平行な方向に配向することになり、前記方位解析面はc軸配向面となる。更にnAV=ΣI(φ)/m(式2)(但し、φは、c軸方向の前記方位解析面への射影方向と前記方位解析面内の一の直線との方位差を正の鋭角にとった時の角度を示す。I(φ)は方位差φを示す測定点数を示し、mは0〜90°間の分割した点数を示す。)で与えられる測定点数の平均値で、SD={Σ(I(φ)−nAV)2/m}1/2(式3)で与えられる標準偏差SDを除した値SD/nAVが0.6以下であれば、c軸がc軸配向面に並行な方向にランダムに向いていることを担保している。なお、前記一の直線は、前記方位解析面内において任意なものでよい。このようにすることによって、c軸配向面に平行な方向においても、高い透磁率を得ることができる。なお、SDは測定点数が多くなれば大きい値となってしまうので、異なる測定点数のEBSP解析の結果どうしでも比較できるように、指標としては平均測定点数に相当数するnAVで除した指標用いている。nAVは4000程度に設定することが好ましい。平均方位差θAVを65°以上、SD/nAVを0.6以下とすることによって、c軸配向面に垂直方向の100kHzでの透磁率を30以上、c軸配向面に平行な方向の100kHzでの透磁率を8以上、c軸配向面に垂直な方向の透磁率に対するc軸配向面に平行な方向の透磁率の比を0.15以上とすることも可能である。該比はより好ましくは、0.20以上である。なお、EBSPの評価は、ビーム径として1μmのものを用い、1μmスパンで測定して行えばよい。解析領域は、解析領域内に40個以上の結晶粒が含まれるように、結晶粒の平均粒径に応じて0.01〜0.3×10−6m2の範囲で選択してもよいが、本発明では汎用性のある条件として0.16×10−6m2の解析領域を採用して方位解析を行う。
透磁率の絶対値を高くするためには、六方晶Z型フェライト焼結体の密度を4.7×103kg/m3以上とすることが好ましい。5.0×103kg/m3以上の焼結体密度が40以上の透磁率を得るうえでより好ましい。さらに好ましくは焼結体密度は5.1×103kg/m3以上である。上限は特に限定するものではないが、焼結体密度を高くしようとすると、粗大粒が発生しやくすくなるため、5.25×103kg/m3未満とすることが好ましい。
上述のように配向性の向上により透磁率を改善した六方晶Z型フェライトは、組成や組織などの他の因子を制御して透磁率の向上を図った場合に比べて、透磁率の周波数特性においても有利である。他の因子を制御して透磁率の向上を図る場合は、磁気異方性等も変化するため、周波数特性が劣化し、より低い周波数で透磁率が低下してしまう。これに対して、配向性を制御して透磁率の改善を図る場合は、磁気異方性は変化していないので、周波数特性に与える影響が小さくなる。したがって、本発明に係る六方晶Z型フェライトは周波数特性に優れ、例えば1GHzにおける透磁率の値を、100MHzにおける透磁率の値の30%〜80%にすることができる。
また、透磁率の周波数特性が向上の観点からは、焼結体の平均結晶粒径を4〜50μmの範囲とすることが好ましい。例えば100MHzにおける透磁率(複素透磁率の実数部)μ100MHzに対する1GHzにおける複素透磁率の実数部μ1GHzの変化率(=100×(|μ100MHz−μ1GHz|)/μ100MHz)が減少する。かかる変化率を40%以下とすることも可能である。その結果1GHz程度の高周波でも高い透磁率が得られる。1GHzでの透磁率の値を25以上とすることが可能である。ここで焼結体の結晶粒径は、観察した結晶粒の内部に引くことのできる線分の内、最も長いもの(最大径)を長軸とし、長軸に直交し結晶粒の内部に引くことのできる線分の内、最も長いものを短軸とし、短軸および長軸の平均を個々の粒子の結晶粒径とした。平均結晶粒径は、任意の100個の粒子を評価しそれらの平均をとって求めればよい。
上述の六方晶Z型フェライト焼結体は、例えば以下に示す六方晶Z型フェライト焼結体の製造方法を用いて得られる。すなわち、比表面積が800〜4000m2/kgの範囲内である六方晶Z型フェライト粉末を一軸性の磁界中で成形を行い成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼結する焼成工程とを経て、六方晶Z型フェライト焼結体を得る。通常、フェライト粉末は、焼結性を上げるため細かく粉砕したものを用いる。これに対して、本発明に係る六方晶Z型フェライト焼結体の製造方法では、六方晶Z型フェライト粉末の比表面積を800〜4000m2/kgに制御する。これによって、高配向性、高透磁率を実現する。前記比表面積が小さすぎると焼結体密度が上がらず、配向性も低い。一方、比表面積が大きすぎると配向が低下する他、粗大粒が発生しやすくなる。
成形方法としては、加圧成形、押出し成形、射出成形などを用いることができるが、特に簡便な加圧成形が望ましい。加圧成形の場合、磁界印加方向と加圧方向が平行である縦磁場成形法や、磁界印加方向と加圧方向が直角である横磁場成形法などを用いることができるが、高い配向を得るためには横磁場成形法が好ましい。
また、配向は磁界中成形によって行う。磁界の印加方法は、上述のように一軸性の磁界、すなわち、所定の方向に印加される直流静磁界を用いればよい。回転磁界などのように磁界の印加方向角度が時間変化する印加方法は適さない。一軸性の磁界を印加して成形することによって、結晶粒のc面が磁界印加方向に平行になるように配向するとともに、c軸方向が磁界印加方向に直角な平面内においてランダム状である、上記本発明に係る六方晶Z型フェライト焼結体を得ることができる。また、成形は、乾粉状の粉末を用いる乾式成形で行うことも可能であるが、配向性を上げるためには、六方晶Z型フェライト粉末を水などの媒体と混合して得られたスラリーを用いる湿式成形で行うことが好ましい。媒体として水の種類は、これを特に限定するものではなく、例えば上水を用いればよい。また、イオン交換水や蒸留水などを用いて不純物イオンの低減を図ることもできる。乾燥した粉砕粉に水を混ぜて成形用のスラリーを作製してもよいが、湿式粉砕後のスラリーを乾燥工程を経ずに、そのまま成形用のスラリーとして用いることが好ましい。かかる方法によれば、いっそう高い配向度が得られる。スラリー濃度、すなわちスラリー中の六方晶Z型フェライト粉末の重量割合は、85wt%以下とすればよい。85wt%超となると粒子間の摩擦が増加し、粒子の回転が十分行なわれず、配向度が低くなるためである。例えば配向度fc⊥0.5以上のように高い配向を得る観点からは、前記スラリー中の六方晶Z型フェライト粉末の濃度を70wt%以下として成形を行うことがより好ましい。スラリー濃度は、より好ましくは65wt%以下である。一方、該スラリー濃度は、50wt%以上とすることが好ましい。50%未満だと成形時に脱水のため多くの時間がかかり生産性が低下するからである。また、金型キャビティ内で磁界を印加しながら乾粉状またはスラリー状の前記六方晶Z型フェライト粉末を攪拌した後に、成形すると、六方晶Z型フェライト粉末の凝集を解き、配向性をいっそう高めることができる。
また、スラリー用いた加圧による湿式成形法の場合、スラリーの供給法としては、磁界印加中に金型キャビティ内へスラリーを加圧注入する方法でもよいし、キャビティ内にスラリーを投入後磁界を印加する方法でもよい。スラリー中の媒体は、加圧する際にキャビティに形成される脱水孔やクリアランスから除去される。成形後の六方晶Z型フェライト粉末、すなわち成形体は、十分乾燥後焼結に供される。
前記六方晶Z型フェライト粉末は、通常のプロセスのように粉末の状態で仮焼を行い、粉砕することによって得ることも可能であるが、六方晶Z型フェライト焼結体を粉砕して得る方法が粉砕性の観点から好ましい。配向するためには、六方晶Z型フェライト粉末を構成する粒子は、単結晶であることが好ましい。この点、焼結体においては粒成長が進んでいるため、該焼結体を粉砕すれば単結晶である粒子を多く含んだ粉末を得やすい。したがって、六方晶Z型フェライト焼結体を粉砕して粉末を得る方法は、磁界中配向に好適な粉末調整方法である。この場合、かかる粉砕に供する六方晶Z型フェライト焼結体の平均結晶粒径は5〜200μmであることが好ましい。なお、通常のプロセスのように仮焼後の粉末を粉砕した六方晶Z型フェライト粉末を用いて成形することも可能であるが、この場合も仮焼後の粉末における六方晶Z型フェライトの平均結晶粒径が5〜200μmであることが好ましい。さらに、六方晶Z型フェライト焼結体を粉砕して粉末を得る方法、仮焼後の粉末を粉砕した六方晶Z型フェライト粉末を用いる方法も含めて、いずれにおいても、成形に供する粉末は実質的に六方晶M型フェライト相を含有しないことがより好ましい。六方晶M型フェライト相は、c軸を磁化容易軸とする一軸異方性を示し、一軸性の印加磁界方向に配向してしまい、焼結において六方晶Z型フェライト相に変わっても、本発明に係る配向状態とは異なる配向状態(面配向)を生じるからである。ここで、実質的に六方晶M型フェライト相を含有しないとは、X線回折において、六方晶Z型フェライトの強度最大のピークである(1016)ピークの強度に対する、六方晶M型フェライトのピークである(006)ピークの強度の比が5%以下であることをいう。また成形に供する粉末は実質的にY型フェライトおよびスピネルフェライトも含まない六方晶Z型フェライトであることが特に好ましい。実質的にY型フェライトおよびスピネルフェライトも含まないとは、六方晶Z型フェライトの強度最大のピークである(1016)ピークの強度に対するY型フェライトの(0012)ピークの強度の比が5%以下であり、スピネルフェライトの(440)のピークの強度の比が7%以下であることをいう。
上記のように磁界中成形して得られた六方晶Z型フェライト焼結体は、表面付近に配向の乱れが生じる場合がある。したがって、表面を加工で除去することで、焼結体全体において配向度の高い部分の割合が増え、高い透磁率を得る上で有利である。また表面を加工で除去することは、焼結体内における配向、ひいては透磁率のばらつきを抑制することにつながる。加工は、焼結体の少なくとも一部が加工されていればよい。研磨、切断いずれによる加工面であっても、表面を除去することになる。
先ず、主成分組成がFe2O3:70.2mol%、BaO:18.8mol%、CoO:11.0mol%のような割合となるよう、Fe2O3、BaCO3、Co3O4を秤量し、この主成分に対しMn3O4:3.0質量%、Li2CO3:0.4質量%、SiO2:0.13質量%の割合になるようにMn3O4、Li2CO3、SiO2をそれぞれ添加し、湿式ボールミルにて16時間混合した。なお、Mn3O4、Li2CO3、SiO2については仮焼後に行う粉砕時に加えてもよい。次にこれを大気中1100℃で2時間仮焼した。この仮焼粉を湿式ボールミルにて18時間粉砕した。作製した粉砕粉にバインダー(PVA)を添加し、造粒した。造粒後圧縮成形し、その後、酸素雰囲気中1300℃で3時間焼結した。得られた焼結体をジョークラッシャーで砕きディスクミルにて粗粉砕を行い、粗粉砕粉を得た。更に粗粉砕粉をスタンプミルにて粉砕したもの、得られた粗粉砕粉を振動ミルにて粉砕したもの、振動ミルにて粉砕した粉体を更にボールミルにて粉砕を行った粉体をそれぞれ得た。このときボールミルの粉砕時間を変え、粒径の異なる粉体を得た(粉体1〜5)これらの粉体はほぼZ型単相であり、Y型フェライトの(0012)のピーク、M型フェライトの(006)ピークおよびスピネルフェライトの(440)のピークのZ型フェライトの(0016)のピークに対する強度比は何れも3%以下であった。また、Macsorb社製Model−1201を用いてガス吸着法(BET法)により、これらの粉砕粉の比表面積を評価した。さらに、粉体1〜5に対し水を加え粉体の濃度が73wt%のスラリーとし、磁界中で湿式成形した。ここで成形圧は87.5MPaとし、848kA/mの磁界をプレス方向と直交する方向に印加した。得られた成形体を再度上記焼結と同条件にて再焼結し、焼結体密度を水中置換法で評価した。得られた粉体特性および焼結体密度を表1に示した。これらより粉体が細かくなるほど、得られる焼結体の密度が向上することが分かる。ここで粉体1では焼結体強度が不足で実用に向かず、粉体5では粗大粒が発生しこれもまた実用上不適であることが確かめられた。
焼結体密度が4.5×103kg/m3以上であり強度に優れた焼結体が得られた粉体2、3、4を中心に、さらに以下のように成形条件を変えて焼結体を作製した。73wt%のスラリー濃度となるよう水を加え1軸性の磁界中で湿式成形した。ここで成形圧は87.5MPaとし、磁場はプレス方向と直行する方向に印加した。印加する磁界は0〜848kA/mまでの範囲とした。得られた成形体を上記焼結と同条件にて再焼結し約10mm角の立方体状焼結体を得た。焼結体の磁界印加方向を法線に持つ断面が得られるように試料を切断し、切断面におけるX線回折(XRD:X ray diffraction)測定を行い、配向度fc⊥を評価した。すなわち、2θ=20〜80°の測定範囲でXRDを行い、得られたX線回折パターンにおいて、六方晶Z型フェライトの全ての回折ピークの積分強度和をΣI(HKL)とし、L=0であるすべての(HK0)の回折ピークの積分強度和をΣI(HK0)とした。fc⊥=ΣI(HK0)/ΣI(HKL)の式から配向度fc⊥を算出した。なお、I(HKL)とは(HKL))面の回折線のピーク角度をθ(HKL)とした時、θ(HKL)−0.4°からθ(HKL)+0.4°までの範囲で積分した値である。
一方、プレス方向を法線に持つ断面並びに磁場印加方向およびプレス方向に直行する方向を法線に持つ断面が得られるように試料を切断し、これらの切断面におけるXRD測定を行い、fc//を評価した。これらの面は、上述の磁界印加方向を法線に持つ断面に垂直で且つ互いに垂直な2つの面となる。ここで定義する配向度fc//とはZ型フェライトの指数(0018)の格子面から生じる回折ピーク強度を指数(110)の格子面から生じる回折強度で除した値である。以降、磁界印加方向をH方向と呼び、H方向の透磁率をμH、H方向を法線に持つ面をH−planeと呼び、同様にプレス方向の場合はP方向、μP、P−plane、磁界印加方向及びプレス方向に共に直交する方向の場合はL方向、μL、L−planeと呼ぶことにする。
また、試料の一方向の透磁率は以下に述べる手法により評価した。その概念図を図2に示した。図に示したように予め透磁率を測定しておいたリング形状の高μフェライトにギャップを作製し、巻線を施す(以降ヨーク部と呼ぶ)。本実施例ではヨーク部として100kHzでμi=8100のMn−Znフェライトを用いた。標準試料として透磁率が0〜60までの既知の透磁率を持つ無配向の六方晶フェライト(μ2.8、5.7、12.9)、圧粉金属(μ45、60)、スピネルフェライト(μ14.0、19.2、29.3、32.8、50.0、55.0)を用意した。それらを図2のようにヨーク部のギャップ部位と断面形状が一致するように加工した後、ギャップ部位に挿入し、100kHzにおけるインダクタンス値を測定した。標準試料の透磁率は既知であるので、これにより0〜60までの透磁率とインダクタンスの関係が得られた。透磁率およびインダクタンスの対応関係を6次の多項式によって近似し、近似曲線を得た。ここで測定したい透磁率が未知の試料を同様に図2のようにギャップ部位に収まるように加工し100kHzでのインダクタンスLを測定した。得られたインダクタンスLの値から上記の近似曲線を用い透磁率を算出した。以降、本手法をギャップ法と呼ぶことにする。
粉体4、3および2を用いてスラリーを作製し、印加磁界強度を変えて湿式成型し、1310℃にて焼結した試料のXRDおよび透磁率の評価を行った結果をそれぞれ表2、3および4に示す。
また、比較にために従来からの乾式プロセスによる六方晶Z型フェライト焼結体も作製した。仮焼までの条件と焼成の条件は上記方法と同じ条件とした。仮焼粉をボールミルにて18時間粉砕し、得られた粉砕粉にPVAを1wt%添加して造粒し、無磁界で乾式成形した。得られた成形体は酸素中1300℃で3時間焼結した。得られた六方晶Z型フェライト焼結体の透磁率の周波数依存性を図7に示す。図7からわかるように従来のプロセスの場合、100kHzでの透磁率は19.4、100MHzの透磁率は16.6と20以下の値である。なお、本実施形態で用いている組成の六方晶Z型フェライト焼結体の場合、図7に示すように100kHzの透磁率に対して100MHzの透磁率が若干低下する傾向を示す。
表2には、印加磁界強度を0〜848kA/mの範囲で変化させて得られた焼結体の焼結体密度、fc⊥、fc//、100kHzでの透磁率の値を示した。印加磁界が0の場合でも100kHzでの透磁率は20以上であり、図7に示す従来からの乾式プロセスによる六方晶Z型フェライト焼結体よりも透磁率が高いことがわかる。表より136kA/m以上の磁界を印加することによりfc⊥が0.3以上となり、H方向の透磁率も30以上の高い値が得られるようになることがわかる。具体的には、fc⊥が0.41以上で、透磁率は32以上となった。また、実施例1〜4の焼結体の密度は5.1×103kg/m3以上となり、いずれも5.00×103kg/m3以上の高い値を示した。また、fc⊥が0.45以上の実施例2〜4では、35以上の高透磁率が得られており、特に印加磁界強度を568kA/m以上とした実施例3と4では40以上の極めて高いH方向の透磁率が得られている。また、L−plane、P−planeにおける配向度fc//はいずれも、0.3以上であり、磁界印加方向に直角の方向(c軸配向面に平行な方向)においてもc軸がランダムに向いており、配向の異方性の小さい六方晶Z型フェライト焼結体が得られている。またfc//の値はすべての試料においてP−planeにて測定した値がL−planeにて測定した値を上回った。一軸性の磁界中で成形した場合、原理的には印加磁界に直角な方向の配向状態はランダムで、均一と考えられる。しかしながら、本実施例の場合、使用した試料の粉末が、c軸が板面の法線方向を向いた板状粒子を多く含むために、成形時の印加圧力によりP−planeにc面配向が生じ、その結果(0018)のピーク強度が強まったためと考えられる。したがって、加圧成形の場合、H方向に垂直な方向の中では、P−planeの配向度fc//がもっとも高くなり、該方向に直角なL−planeの配向度fc//が最も小さくなる。かかるL−planeの配向度fc//が0.3を下回らないということは、それだけ配向の異方性が小さいということを示す。また、fc//はL−plane、P−plane共にfc⊥の向上に伴い増加する傾向をしめした。これは印加磁界強度が高くなり、fc⊥が大きくなるほどH−planeと結晶のc面が直交する傾向が強くなるため、H−planeに直交する方位では逆にc面の回折ピークが強まるものと考えられる。印加磁界強度が376kA/m以上では、L−planeの配向度fc//は0.5以上となるとともに、P−planeの配向度fc//に対するL−planeの配向度fc//比は0.5以上となっている。さらに、印加磁界が700kA/m以上となると、L−planeの配向度fc//は1.0以上となり、P−planeの配向度fc//に対するL−planeの配向度fc//比も0.7以上となり、磁界印加方向に直角の方向(c軸配向面に平行な方向)における異方性がいっそう小さくなっていることがわかる。
表3に粉体3を用い、磁界を23.2〜848kA/mまでの範囲で変化させ作製した試料のfc⊥、100kHzにおける透磁率の実数部を示した。また実施例12は、磁界中加圧成形の前に、磁界の印加中にキャビティー内の原料粉末を攪拌棒で攪拌した試料である。粉体4よりも平均粒径の大きい、すなわち比表面積の小さい、比表面積が2350m2/kg以下である粉体3を用いた場合、23.2kA/mの磁界でもfc⊥が0.4以上となり、透磁率が30以上となっている。また、実施例11について、ギャップ法により、P方向およびL方向の透磁率(μP、μL)も測定したところ、それぞれ15.5、20.5となり、H方向に直角な方向においても、15以上の高い透磁率を示した。この場合、100kHzでの、また透磁率の比(μL/μH、μP/μH)も0.38〜0.51となり、0.6以下で、かつ0.1以上であり、異方性のバランスに優れた六方晶Z型フェライト焼結体が得られた。また、特に磁界中にてスラリーを攪拌することにより配向度が大きく向上し、磁界印加方向(H方向)の透磁率として45以上の高い値が得られるようになる。なお、比較のため磁界印加方向と加圧方向を同じ方向とする縦磁場成形による試料も作製したが、これらの配向度fc⊥は、上記横磁場成形の場合に比べて0.2〜0.3程度低下することがわかった。
配向した六方晶Z型フェライトの一方向の透磁率の周波数特性、特に100MHz以上の高周波における透磁率は以下に述べる手法にて評価した。すなわち、一軸性の磁界で配向させたフェライト焼結体のc面に平行な方向の透磁率は、リング試料では単純に測定できないため、リング環状面がH−plane、P−planeまたはL―planeに平行な3つのリング試料を切り出し、これらのリング試料の透磁率測定結果からH方向、P方向およびL方向の透磁率を算出した。
評価手法に触れる前に、必要な関係式を導出する。異方性の存在する磁性板の板面に沿った縦方向、横方向をそれぞれY方向(例えばP方向)、X方向(例えばH方向)と定義し、該磁性板から外径と内径との差が充分小さいリング試料を切り出し、該リング試料にN回巻線を施し、巻き線に電流Iを流して初透磁率を測定すると仮定する。なお、リング試料の断面積はSとする。図3のように原点にリング試料をθ、rを定義すると、下記式が得られる。
また、リング試料からの磁束の漏洩が無いものとし、リング試料内部の磁束密度ベクトルの大きさが一定であるとすると下記式が得られる。
ここでX方向の透磁率、Y方向の透磁率をそれぞれμx、μyとおけば(μx、μyおよび下に示すμxyplaneは比透磁率とする。)
数1〜数3の式とアンペールの法則から
B0=(1/μx+1/μy)−1×NI/πr (式4)
の関係が得られる。ここで自己インダクタンスLは鎖交する磁束と電流との比であるから、
、式4の関係を用いて、
L=NΦ/I=NB0S/I=S(1/μx+1/μy)−1×N2/πが得られる。真空中(μx=μy=1)の場合は、L0=SN2/2πrであるから、リング試料から観測される透磁率をμxyplaneとおくと
μxyplane=L/L0=2×(1/μx+1/μy)−1 (式5)
の関係が得られる。
B0=(1/μx+1/μy)−1×NI/πr (式4)
の関係が得られる。ここで自己インダクタンスLは鎖交する磁束と電流との比であるから、
、式4の関係を用いて、
L=NΦ/I=NB0S/I=S(1/μx+1/μy)−1×N2/πが得られる。真空中(μx=μy=1)の場合は、L0=SN2/2πrであるから、リング試料から観測される透磁率をμxyplaneとおくと
μxyplane=L/L0=2×(1/μx+1/μy)−1 (式5)
の関係が得られる。
式5のような関係を考慮し、環状面がH−plane、L−planeまたはP−planeになるように3種類のリング試料を切り出し、インピーダンスメータ4291B(Agilent社製)にて10MHz〜1.8GHzまでの複素比透磁率(μH−plane、μL−plane、μP−plane)を測定した。試料の寸法は、外形6.8mm、内径3.2mm、厚さ1.5mmとした。測定値から以下の式を用いて各方向の透磁率を算出した。
μH ={(-1/μH−plane)+(1/μL−plane)+(1/μP−plane)}-1
μL ={(1/μH−plane)+(-1/μL−plane)+(1/μP−plane)}-1
μP ={(1/μH−plane)+(1/μL−plane)+(-1/μP−plane)}-1
以下本手法をリング法と呼ぶこととする。
μH ={(-1/μH−plane)+(1/μL−plane)+(1/μP−plane)}-1
μL ={(1/μH−plane)+(-1/μL−plane)+(1/μP−plane)}-1
μP ={(1/μH−plane)+(1/μL−plane)+(-1/μP−plane)}-1
以下本手法をリング法と呼ぶこととする。
また、比較のために、以下の試料を作成して、各方向の透磁率等を測定した。表1の粉体2にスラリー濃度73wt%となるように水を加え、非磁性の金型にスラリーを入れ480kA/mの静磁界中で金型ごと3回回転させ、回転後同じ強度の静磁界中にて22MPaの成形圧にて成形した。この時成形圧は磁界と直交する方向に印加した。得られた成形体を酸素中雰囲気で1350℃で焼結し焼結体を得た(比較例4)。成形の加圧中に磁界が印加された方向をH方向、プレス方向をP方向、H方向とP方向に共に直交する方向をL方向と呼ぶことにし、それぞれの方向を法線に持つ面をH−plane、P−plane、L−planeと呼ぶ。
表4に比較例1〜4、実施例1および4の焼結体密度、配向度(fC⊥、fC//)、リング法によって求めた100MHzのH、L、P各方向の透磁率の実数部の値を示した。比較例4のP−planeのfc//はI(0018)が非常に強く観測され(110)面の回折ピークが(0018)面の回折ピークに隠れ評価することができなかったが、fc//が0.3を超えることは明白であった。またH−planeにおけるfc⊥は0.7以上であり、100MHzにおけるH方向の透磁率は35の高い値が得られるようになることが分かる。一方でL−planeにおけるfc//は0.1以下の小さい値となり、P−planeのfc//と比べると小さく、H面内においてc軸は特定の方向に集中して向いていることが確かめられた。またこのときP方向の透磁率は4以下の低い値を示している。また、印加磁界強度が低く、配向度fc⊥は0.4未満の比較例1〜3では、100MHzにおける透磁率の比(μL/μH、μP/μH)が0.6を超え、配向によりH方向の透磁率が十分に高められていないことがわかる。これに対して配向度fc⊥が0.4以上である実施例1では、透磁率の比(μL/μH、μP/μH)は0.39〜0.56となり、0.6以下で、かつ0.1以上の値を示している。さらに、実施例4はL−plane、P−planeともにfc//が1.4以上であり、磁界印加方向に直角の方向(c軸配向面に平行な方向)においてもc軸がランダムに向いており、c軸配向面内における配向の異方性の小さい六方晶Z型フェライト焼結体が得られている。その結果L方向の透磁率μL、P方向の透磁率μPはそれぞれ11.5、9.1となり、いずれも8以上の高い値であることが確かめられた。H方向の透磁率も35以上の高い値を示している。また、L方向の透磁率μL、P方向の透磁率μPの、H方向、すなわちc軸配向面に垂直な方向の透磁率μHに対する比は、それぞれ0.31、0.24となり、いずれも0.4以下で、かつ0.15以上の高い値を示しており、透磁率の異方性のバランスに優れていることがわかる。
表5に粉体2を用いて作製した試料の焼結体密度、fc⊥、ギャップ法から得られたμH、の値を示した。実施例13、14は136kA/m以上の磁界の印加により0.5以上の配向度を示すようになり、透磁率は30以上の値を示すようになることがわかる。また、粉体3よりも比表面積が小さい、比表面積が1080m2/kg以下の粉体2を用いた場合、粉体3を用いた場合に比べて、同じ印加磁界強度で比較した場合配向度fc⊥が高くなっていることがわかる。粉体2〜4を用いた表2〜4の結果から、成形に供する六方晶Z型フェライト粉末の比表面積が小さいほど配向性fc⊥が高いことがわかる。但し、焼結体密度が4.5×103kg/m3以上ではあるもののやや低めとなり、その分透磁率が抑えられている。例えば実施例2、8ではfc⊥=0.5程度でも38以上の透磁率が得られていることから、焼結体密度が4.7×103kg/m3以上になるとより高透磁率が得やすいことがわかる。
次に、粉砕後のスラリーを乾燥せず、そのままスラリー濃度を68%に調整して成形した以外は実施例11の試料と同様にして、焼結体試料を作製した(実施例15)。また、かかる試料と主成分組成だけが異なる条件で焼結体試料を作製した(実施例16)。実施例16の主成分組成は、Fe2O3:70.6mol%、BaO:17.6mol%、CoO:11.8mol%であり、Ba3Co2Fe24O41の化学量論組成である。実施例15および16について焼結体密度、配向度fc⊥、100kHzにおける透磁率の実数部を評価した結果を表6に示す。透磁率はギャップ法で測定したものである。表6の結果に示すように、化学量論組成の実施例16の試料でも0.7以上の高い配向度と40以上の高い透磁率が得られている。これに対して化学量論組成よりもBaリッチな組成を有する実施例15では、焼結体密度は3%以上向上している。一方、実施例15の配向度は、実施例16のそれに対して若干の低下に留まっている。結果的に、透磁率は30%以上向上し、50以上の透磁率が得られている。したがって、化学量論組成よりもBaリッチな組成が、配向した六方晶Z型フェライトの高密度化、高透磁率化を図るうえで好適であることがわかる。
また、実施例15の試料は実施例11の試料に比べて、配向度fc⊥、透磁率とも大幅に向上しており、湿式粉砕後のスラリーを乾燥せずに成形に用いることが配向性向上に特に効果的であることがわかる。実施例15の試料について、ギャップ法により100kHzでのH、L、P各方向の透磁率の実数部μH、μL、μPを評価したところ、それぞれ55.0、21.0、12.5であった。c軸配向面に垂直な方向については100kHzにおいても、50以上の非常に高い透磁率が得られている。また、c軸配向面に平行な方向においても、10以上の高い透磁率が得られており、また透磁率の比(μL/μH、μP/μH)も0.23〜0.38となり、0.4以下で、かつ0.1以上であり、異方性のバランスに優れた六方晶Z型フェライト焼結体が得られた。また、リング法によって100MHzでのH、L、P各方向の透磁率の実数部μH、μL、μPを評価したところ、それぞれ51.5、11.8、8.1であった。c軸配向面に垂直な方向については100MHzにおいても、50以上の非常に高い透磁率が得られている。また、c軸配向面に平行な方向においても、8以上の高い透磁率が得られており、また透磁率の比(μL/μH、μP/μH)も0.16〜0.23となり、0.4以下で、かつ0.1以上であり、100MHzにおいても優れた特性が発揮されていることがわかる。
次に、酸素中1330℃で3時間仮焼し、仮焼粉を22時間粉砕して成形に供した以外は、実施例15と同様にして、試料を作製した(実施例17)。得られた試料について焼結体密度、配向度fc⊥、100kHzにおける透磁率の実数部を評価した結果を表7に示す。透磁率はギャップ法で測定したものである。焼結体を粉砕する代わりに、仮焼温度を上げ、仮焼時間を延ばすことにより十分粒成長させる工程を採用することで、0.4以上の配向度fc⊥が得られた。
次に、表2〜表4の試料のうち一部の試料(比較例1、実施例1、2、8)ついて、観察面であるc軸配向面(H−plane)に存在する結晶粒子の方位をEBSP(TSL社製 OIM version4.6)により測定した。EBSPの観察領域には少なくとも40個以上の結晶粒子が含まれるよう観察倍率を選択した。観察領域は200μm×800μm(0.16×10−6m3)とし、ビームのステップ間隔は1μmとした。各測定ポイントから得られた方位情報に基づき結晶のc軸方向と試料板面(観察面)垂直方向との方位角度差を各ポイントについて求め、同じ方位角度差θを持つポイント数をカウントし、n(θ)として縦軸にしてθの方位差分布図を得た。得られた方位差分布図を図4にまとめた。図4より配向度fc⊥が向上するに従いc軸方向の分布がc軸配向面(H−plane)と平行の方向に集中してくることが分かる。得られた方位差分布より(式1)を用いて結晶のc軸平均方位差θAVを算出し、結果を表8に示した。配向度fc⊥が0.4以上になるとc軸平均方位差θAVが65°以上になりc軸がc軸配向面に平行に近づいていることが分かる。また、同時にギャップ法における100kHzの透磁率が30以上になる。さらに、配向度fc⊥が0.5以上に向上するとc軸平均方位差θAVが70°以上の高配向が実現されている。実施例2、8ではθAVは72.3°、74.4°となり、よりc軸配向面に平行に近づくことが分かる。θAVが70°以上となるとギャップ法における100kHzの透磁率が35以上になっている。また、φを、c軸方向の観察面への射影方向と前記観察面内の一の直線との方位差を正の鋭角にとった時の角度とし、横軸にφ、縦軸にI(φ)をとった結果を図5に示す。図より比較例1、実施例1,2、8ともいずれも同様な傾向にあり、φによるI(φ)の分布に僅かな偏りが見られるものの、最も強い観測点数が20000点を超える図4の場合と比較すると、図5においてみられる最も強くc軸方向が観測される方向でもその値は7000点以下である。その比は実施例ではいずれも0.6以下であり、偏りの程度は低い。ここで式3によって算出されるSDを式2によって算出されるnAVにて除したSD/nAVの値も表8に示した。SD/nAVの値は分散の指標として用いることができ、比較例1、実施例1、2、8いずれにおいても0.6以下であり、c軸のc軸配向面への射影方向は強い偏りを示していないことが確かめられた。また実施例8は特にSD/nAVが0.21以下でありc軸のc軸配向面への射影方向は面内にランダムに分布している。
表9に粉体4を用い、印加磁界を848kA/m一定とし、スラリー濃度を変えて成形した場合の配向度fc⊥、透磁率の値を示した。スラリー濃度が低下すると配向度が向上することがわかる。スラリー濃度が65wt%以下となるとfc⊥は0.6以上となり、40を超える高い透磁率が得られている。
図6に実施例4のリング法によって求めた複素透磁率の100MHz〜1.8GHzまでの周波数特性を示した。図よりH方向の複素透磁率の実数部は1GHzまで30以上であり、高い透磁率が維持されている。1GHzの透磁率μ1GHzは100MHzの透磁率μ100MHzの80%以上を維持しており、その変化率(=100×(|μ100MHz−μ1GHz|)/μ100MHz)も20%と、40%以下の小さい値となっている。
Claims (12)
- 六方晶Z型フェライト焼結体であって、測定範囲が2θ=20〜80°であるX線回折パターンにおいて、六方晶Z型フェライトの全ての回折ピークの積分強度和をΣI(HKL)とし(但し、I(HKL)は指数(HKL)で表される回折ピークの積分強度を示す)、L=0であるすべての(HK0)の回折ピークの積分強度和をΣI(HK0)とした場合、fc⊥=ΣI(HK0)/ΣI(HKL)で与えられる配向度fc⊥が0.4以上であるc軸配向面を有し、少なくとも、前記c軸配向面に垂直で且つ互いに垂直な2つの面において、X線回折におけるfc//=I(0018)/I(110)から算出される配向度fc//が0.3以上であることを特徴とする六方晶Z型フェライト焼結体。
- 六方晶Z型フェライト焼結体であって、EBSP(Electron Back Scattering Pattern)による方位解析において、θAV=Σθn(θ)/Σn(θ)(但し、θは、六方晶Z型フェライト焼結体の方位解析面に垂直な方向と、EBSPの測定点における六方晶Z型フェライトのc軸方向との方位角度差を示し、n(θ)は前記θを示す測定点の数を示す。またΣθn(θ)、Σn(θ)はそれぞれθn(θ)、n(θ)を0から90°までの区間で足し合わせた和を示す。)で表される平均方位差θAVが65°以上であるc軸配向面を有し、nAV=ΣI(φ)/m(但し、φは、c軸方向の前記方位解析面への射影方向と前記方位解析面内の一の直線との方位差を正の鋭角にとった時の角度を示す。I(φ)は方位差φを示す測定点数を示し、mは0〜90°間の分割した点数を示す。)で与えられる測定点数の平均値で、SD={Σ(I(φ)−nAV)2/m}1/2で与えられる標準偏差SDを除した値SD/nAVが0.6以下であることを特徴とする六方晶Z型フェライト焼結体。
- 前記六方晶Z型フェライト焼結体は、BaO、CoO、Fe2O3を主成分とし、その組成が六方晶Z型フェライトの化学量論組成Ba3Co2Fe24O41よりもBaリッチであることを特徴とする請求項1または2に記載の六方晶Z型フェライト焼結体。
- 焼結体密度が5.0×103kg/m3以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の六方晶Z型フェライト焼結体。
- 前記c軸配向面に垂直方向の透磁率μ⊥、前記c軸配向面に平行な方向の透磁率をμ//としたとき、前記c軸配向面に平行で、かつ互いに直交する少なくとも二方向の透磁率μ//に対して、比μ///μ⊥が100kHzおよび/または100MHzにおいて0.6以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の六方晶Z型フェライト焼結体。
- 前記c軸配向面に垂直方向の100kHzでの透磁率が30以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の六方晶Z型フェライト焼結体。
- 前記c軸配向面に平行な方向の100kHzでの透磁率が8以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の六方晶Z型フェライト焼結体。
- 前記六方晶Z型フェライト焼結体は、機械加工面を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の六方晶Z型フェライト焼結体。
- 比表面積が800〜4000m2/kgの範囲内である六方晶Z型フェライト粉末を一軸性の磁界中で成形を行い成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼結する焼成工程とを有する六方晶Z型フェライト焼結体の製造方法。
- 前記六方晶Z型フェライト粉末を水と混合してスラリーとし、前記スラリー中の六方晶Z型フェライト粉末の濃度を70wt%以下として成形を行うことを特徴とする請求項9に記載の六方晶Z型フェライト焼結体の製造方法。
- 金型キャビティ内で磁界を印加しながら前記六方晶Z型フェライト粉末を攪拌した後に成形を行うことを特徴とする請求項10に記載の六方晶Z型フェライト焼結体の製造方法。
- 前記六方晶Z型フェライト粉末は、六方晶Z型フェライト焼結体を粉砕して得られたものであることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の六方晶Z型フェライト焼結体の製造方法。
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