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JP2008119680A - 膜分離エレメント及び膜分離モジュール - Google Patents

膜分離エレメント及び膜分離モジュール Download PDF

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JP2008119680A JP2007236346A JP2007236346A JP2008119680A JP 2008119680 A JP2008119680 A JP 2008119680A JP 2007236346 A JP2007236346 A JP 2007236346A JP 2007236346 A JP2007236346 A JP 2007236346A JP 2008119680 A JP2008119680 A JP 2008119680A
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Shuji Furuno
修治 古野
Toshiyuki Ishizaki
利之 石崎
Sukeyuki Tanaka
祐之 田中
Shinichi Minegishi
進一 峯岸
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Abstract

【課題】 優れた分離膜機能を有する分離膜の特性を阻害することなく、分離膜の固着部近傍での耐折性や強度等の膜耐久性を格段に向上させ、使用時耐久性に優れた膜分離エレメントを提供する。
【解決手段】 支持体7の両面側に平板状の分離膜1が配置され、支持体7と分離膜1とが外周縁において固着された膜分離エレメントであって、前記分離膜1として、基材層2と多孔質分離機能層4とからなる複合分離膜が用いられ、固着された外周縁の近傍の周縁側には、分離膜の中央部の基材層厚みの1.1倍〜3倍の基材層厚みをもつ基材層厚肉部2Aが設けられ、かつ、基材層厚肉部2Aの面積割合が、分離膜の透過面積に対し1%以上30%以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、下水(炊事、洗濯、風呂、トイレ、その他の生活環境から生ずる生活排水)の浄化や、生産工場、レストラン、水産加工工場、食品加工場などから生ずる廃水の浄化に特に適した膜分離エレメント及び膜分離モジュールに関する。
近年、下水や廃水の浄化に使われるようになってきている平膜状や中空糸膜状の分離膜は、分離膜を配設した膜分離エレメントや、該エレメントの複数を配置した膜分離モジュールの装置で水浄化処理に使用されている。
そのような膜分離エレメントに配設される分離膜として、いろいろな種類、形態のものがあるが、界面活性剤を含むポリフッ化ビニリデン樹脂溶液を、織布や不織布のような基材の表面に塗布したり、基材に含浸した後、ポリフッ化ビニリデン樹脂を凝固させ、基材層の表面に多孔質ポリフッ化ビニリデン樹脂層を形成してなる、いわゆる精密ろ過膜と称される平板状の複合分離膜が知られている(特許文献1参照)。
この複合分離膜において、多孔質ポリフッ化ビニリデン樹脂層は分離機能層として作用するが、そのような平膜においては、他の形態の分離膜、たとえば中空糸膜にくらべて単体体積あたりの有効膜面積を大きくとることが困難であるため、ろ過対象に応じた細孔径を保ちつつ透水量を多くすることが要求されている。しかるに、透水量を大きくしようとして空隙率を高くすると、細孔径が大きくなりすぎたり、表面に亀裂が入ったりして阻止率が低下する。一方、阻止率を上げようとして細孔を小さくすると、今度は透水性が低下してしまう。すなわち、阻止率の向上と透水性の向上とは相反する関係にあり、両者のバランスよく整えることはなかなか難しい。
加えて、下廃水用分離膜においては、使用中に砂のような無機物や汚泥、その他の固形物が膜面に激しく衝突したり、活性汚泥への酸素の供給や目詰まり防止のために行うエアレーション操作による気泡が膜面に激しく衝突したりするので、そのような衝撃にも十分に耐える膜強度を備えていることが要求される。この膜強度は主として基材層が負担し、基材層には一般に不織布が使用されているが、それでも基材層の強度は十分ではなく、さらに高めることが要求されている。特に分離膜の強度を強くしようとして基材の密度を高くすると、分離機能層の樹脂と基材が絡まなくなり、膜ろ過運転中に基材層と分離機能層とが剥がれるトラブルが生じ易くなる。
また、膜分離エレメントでは、分離膜の外周縁を支持基材枠にホットメルト接着剤等で接着させて固定しているので、著しい衝撃や振動が膜面に加わるような環境下で使用すると、ろ過操作中に分離膜の固着部の近傍が疲労によって破れ易くなる。例えば、膜ろ過運転中に、被処理水に含まれる砂のような無機物や汚泥、その他の固形物が膜面に激しく衝突したり、活性汚泥への酸素の供給や目詰まり防止のために行うエアレーション操作による気泡が激しく膜面に衝突したりすることによって、著しい衝撃や振動が膜面に加わると、支持基材枠と分離膜との固着部分の近傍において分離膜が局部的疲労して破れ易くなり、膜の破損、液のリークが生じ易くなる。特に、分離機能層と基材層との剥離防止のために基材の密度を下げた場合に、この固着部近傍での分離膜の局部的疲労が大きくなり易い。
また、特許文献2には、分離膜と支持基材枠との物理的接合方法として、重ね合わせた接合部に対して局部加熱や超音波又は高周波の照射を行い、接合界面の樹脂材を溶融させて溶着させる方法が提案されており、また、特許文献3には、浸漬型膜カートリッジ及び製造方法として、ろ板の周縁部にそって樹脂製のろ板とろ板の表面を覆って配置したろ過膜とを有し、ろ板の表面から突出し、かつろ板の周縁部に沿って成型した高さの異なる複数の溶融代においてろ過膜を融着して止水部および固定部を形成してなり、止水部でろ過膜の周縁をろ板に断続的に固定する方法が提案されている。この物理的接合方法で採用している局部加熱や超音波又は高周波の照射は、その加熱や照射により生じる熱や振動によって接着箇所が損傷し易く、その損傷箇所が起点となり、また、局部的疲労により破れリークが起こる可能性が高いという問題点がある。
特開2003−135939号公報 特開平7−24271号公報 特開2006−7222号公報
本発明は、従来の技術の上述した問題点を解決し、優れた分離膜機能を有する分離膜の特性を阻害することなく、分離膜の固着部近傍での耐折性や強度等の膜耐久性を格段に向上させるとともに、分離膜とエレメント支持体が剥がれにくくして、使用時耐久性に優れた膜分離エレメントを提供することを目的とする。
(1)支持体の両面側に平板状の分離膜が配置され、支持体と分離膜とが外周縁において固着された膜分離エレメントであって、前記分離膜として、基材層と多孔質分離機能層とからなる複合分離膜が用いられ、固着された外周縁の近傍の周縁側には、分離膜の中央部の基材層厚みの1.1倍〜3倍の基材層厚みをもつ基材層厚肉部が設けられ、かつ、基材層厚肉部の面積割合が、分離膜の透過面積に対し1%以上30%以下であることを特徴とする膜分離エレメント。
(2)複合分離膜の基材層と多孔質分離機能層との間に、多孔質分離機能層を構成する樹脂と基材とが混在する層が介在する複合分離膜が、分離膜として用いられ、かつ、基材層が不織布または織編物からなる上記(1)記載の膜分離エレメント。
(3)支持体の接着部に溝が設けられ、その接着部に対する溝の割合が10%以上50以下であり、かつ、溝の深さが支持版に厚みの1%以上40%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の膜分離エレメント
(4) 分離膜を透過した透過液のエレメント内での流路形成のために、支持体表面に凹凸が形成され、かつ、エレメント内での透過液の流路と連通する透過液出口が設けられている上記(1)〜(3)に記載の膜分離エレメント。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の膜分離エレメントの複数個が、ハウジング内に収容され、もしくは、配列状態で固定されてなる膜分離モジュール。
本発明の膜分離エレメントでは、分離膜を支持体に固着した近傍での膜強度を十分に高めることができるので、この膜分離エレメントや膜分離モジュールを使用して浸漬型で膜分離処理を行うと、膜面に被処理水に含まれる砂のような無機物や汚泥、その他の固形物が激しく衝突したり、活性汚泥への酸素の供給や目詰まり防止のために行うエアレーション操作による気泡が激しく衝突したりしても、支持基材枠と分離膜との固着部近傍での分離膜の局部的疲労を十分に抑制することができ、分離膜の強度が十分に高いので、固着部近傍の膜破れを大幅に抑制することができる。従って、膜分離エレメントにおける分離膜の使用時耐久性が向上し、長期運転を図ることが容易となる。
本発明の膜分離エレメントで用いる分離膜は、基材層と多孔質分離機能層とからなる複合分離膜であり、特に、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質分離機能層が形成された複合分離膜を用いることが好ましい。ここで、基材層と多孔質分離機能層との間には、当該多孔質分離機能層を構成する樹脂と基材とが混在する層が介在していることが好ましく、この混在層の介在によりMIT耐折度で10,000回以上という高い耐剥離性を得ることができる。このようなMIT耐折度水準であれば分離膜の破れを十分抑制することができる。
多孔質分離機能層が基材層の上に形成された複合分離膜において、基材層は、多孔質分離機能層を支持して分離膜に強度を与える機能をもつ。基材層を構成する材質としては、有機基材、無機基材等、特に限定されないが、軽量化しやすい点から、有機基材が好ましい。有機基材としては、セルロース繊維、セルローストリアセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維などの有機繊維からなる織編物や不織布があげられる。なかでも、密度の制御が比較的容易な不織布が特に好ましい。
本発明の膜分離エレメントに配設された分離膜は、固着された外周縁の近傍の周縁側に、分離膜の中央部の基材層厚みの1.1倍〜3倍の基材層厚みをもつ基材層厚肉部が設けられたものであり、かつ、基材層厚肉部の面積割合が、分離膜の透過面積に対し1%以上30%以下である。この分離膜を支持体の両面側に配設し、外周縁を固着してなる膜分離エレメントの一実施態様の断面を図1に示す。また、図2は、図1における線I−Iで矢視した分離膜の平面形状を示す。図3は、図1の膜分離エレメントに透過液流出口9を設け、分離膜を一部破断した状態を示す膜分離エレメントの斜視図である。
本発明の膜分離エレメントについて、その一実施形態を示す図1等を参考にしながら説明する。この図において、複合分離膜1は、基材層2、多孔質分離機能層4、その間に介在する混在層3とから構成されている。基材層2の周縁側は基材層厚肉部2Aとなっている。
ここで、基材層中央部2Cの厚みは、複合分離膜における基材層の通常の厚みと同等であればよい。この基材層中央部2Cの厚みが薄すぎると分離膜としての強度を保ちにくくなり、極端に厚いと透水性が低下するので、一般的に0.01mm〜1mmの範囲が好ましい。最も好ましくは0.05mm〜0.5mmで範囲である。
また、基材の周縁側の基材層厚肉部2Aの厚みを、中央部2Cよりも厚くするためには、基材を貼り付ける等の手段をとればよく、特に制限されない。貼り付ける基材は中央部2Cの基材よりも密度の高い基材を貼り付けると透水性が低下する恐れがあるので、中央部2Cの基材と同じかもしくは低い密度の基材を貼り付けることが好ましい。基材を貼り付ける面は特に制限していないが、エレメントの支持体側の方が好ましい。
基材層の周縁側の基材層厚肉部2Aの厚みは、基材層中央部2Cの厚みよりも厚いことが必要であり、基材層中央部2Cの厚みよりも0.01mm以上厚いことが好ましい。この基材層厚肉部2Aが薄すぎると局部的疲労による破れを十分に防止することが困難である。逆に、極端に厚いと接着しにくくなる。一般的には、0.02mm〜3mmの範囲が好ましい。最も好ましくは0.07mm〜2mmの範囲である。
また、基材層の周縁側の基材層厚肉部2Aの面積割合は、分離膜の透過面積に対し1%以上から30%以下の範囲とする。好ましくは5%以上から26%以下の範囲である。ここでいう基材層厚肉部2Aの面積割合とは、分離膜の透過面の総膜面積、基材層厚肉部の膜面積から次式により求められる値である。
基材層厚肉部の面積割合=((透過面の総膜面積−基材層厚肉部の膜面積)÷透過面の総膜面積)×100(%)
なお、分離膜の透過面の総膜面積は、外周縁における固着部分を除き、それよりも内側であって、液体の透過可能な膜の総面積である。
また、固着された外周縁の近傍の周縁側の基材層肉厚部2Aと、基材層中央部2Cとは、その厚み比が、中央部の1.1倍〜3倍の範囲とする。好ましくは1.2倍〜2.5倍の範囲である。ここでいう厚み比は、基材層肉厚部2Aの厚み、中央部2Cの厚みから次式によりもとめられる値である。
厚み比=基材層肉厚部の厚み÷基材層中央部の厚み
また、基材層の密度は、0.7g/cm以下、好ましくは0.6g/cm以下であることが好ましい。この密度の範囲は後述する製造工程において、製膜原液を受け入れ、基材層と多孔質層との複合層を形成するのに適している。しかしながら、極端に低密度になると分離膜としての強度が低下するので、0.3g/cm以上であるのが好ましい。ここでいう密度とは、見かけ密度であり、基材の面積、厚さと重量から、次式により求める事ができる。
見かけ密度=基材の重量/(基材の面積×厚さ)
一方、多孔質分離機能層の厚みは、薄すぎるとひび割れなどの欠陥が生じ、ろ過性能が落ちる場合があり、厚すぎると透水量が低下することがあるので、通常0.001〜0.5mm、好ましくは0.05〜0.2mmの範囲で選定することが好ましい。
さらに、多孔質分離機能層が基材層の上に形成された複合分離膜において、多孔質分離機能層を構成するポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物の一部が基材中に入り込み、多孔質分離機能層を構成する樹脂と基材とが混在する層が、多孔質分離機能層と基材層との間に介在することが好ましい。基材表面側の内部にポリフッ化ビニリデン系ブレンド樹脂が入り込むことで、いわゆるアンカー効果によって多孔質分離機能層が基材層に堅固に定着され、多孔質分離機能層が基材層から剥がれるのを防止できるようになる。多孔質分離機能層は、基材層に対して、片面に偏って存在しても構わないし、また、両面に存在しても構わない。多孔質分離機能層は、基材層に対して、対称構造であっても、非対称構造であっても構わない。また、多孔質分離機能層が基材層に対して両面に存在している場合には、両側の多孔質分離機能層が、基材層を介して連続的であっても構わないし、不連続であっても構わない。
次に、本発明において用いる分離膜を製造する方法について説明する。この分離膜は、たとえば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び開孔剤などを含む製膜原液を、基材の片表面若しくは両表面に付着させ、非溶媒を含む凝固液中で凝固させ多孔質分離機能層を形成することにより製造することができる。このとき、基材の表面に製膜原液を付着させる手段は、製膜原液の塗布でもよく、また、基材を製膜原液に浸漬でもよい。基材に製膜原液を塗布する場合には、基材の片面に塗布しても構わないし、両面に塗布しても構わない。基材とは別に多孔質分離機能層のみを形成した後に両層を接合することでもよい。
そして、製膜原液を凝固させるにあたっては、基材上の多孔質分離機能層形成用製膜原液被膜のみを凝固液に接触させるのでもよいし、また、多孔質分離機能層形成用製膜原液被膜を基材ごと凝固液に浸漬するのでもよい。多孔質分離機能層形成用製膜原液被膜のみを凝固液に接触させるためには、例えば、基材上に形成された製膜原液被膜が下側に来るようにして凝固浴表面と接触させる方法や、ガラス板、金属板などの平滑な板の上に基材を接触させて、凝固浴が基材側に回り込まないように貼り付け、製膜原液被膜を有する基材を板ごと凝固浴に浸漬する方法などがある。後者の方法では、基材を板に貼り付けてから製膜原液の被膜を形成しても構わないし、基材に製膜原液の被膜を形成してから板に貼り付けても構わない。
そして、製膜原液には、前記したポリフッ化ビニリデン系樹脂の他に、必要に応じて開孔剤やそれらを溶解する溶媒等を添加してもよい。
製膜原液に多孔質形成を促進する作用を持つ開孔剤を加える場合、その開孔剤は、凝固液によって抽出可能なものであればよく、凝固液への溶解性の高いものが好ましい。たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレン類や、ポリビニールアルコール、ポリビニールブチラール、ポルアクリル酸などの水溶液高分子やグリセリンを用いることもできる。
また、本発明において、開孔剤としては、ポリオキシアルキレン構造又は、脂肪酸エステル構造又は水酸基を含有している界面活性剤を用いることができる。界面活性剤の使用により、目的とする細孔構造を得ることが容易になる。
ポリオキシアルキレン構造としては、−(CHCHO)−、−(CHCH(CH)O)−、−(CHCHCHO)−、−(CHCHCHCHO)−などを挙げることができるが、特に親水性の観点から、−(CHCHO)−いわゆるポリオキシエチレンが好ましい。
脂肪酸エステル構造としては、長鎖脂肪族基を有する脂肪酸が挙げられる。長鎖脂肪族基としては、直鎖状、分岐状いずれでも良いが、脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸などが挙げられる。また、油脂由来の脂肪酸エステル、例えば牛脂、パーム油、ヤシ油等も挙げられる。
水酸基を有する界面活性剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ソルビトール、ブドウ糖、ショ糖などを挙げることができる。
本発明において開孔剤として用いる界面活性剤は、ポリオキシアルキレン構造、脂肪酸エステル構造、水酸基のうち2つ以上を含むものが好ましい。
中でも、ポリオキシアルキレン構造、脂肪酸エステル構造及び水酸基の全てを含有している界面活性剤が特に好ましく用いられ、たとえば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとして、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとして、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコールを挙げることができる。これらの界面活性剤は特に無機微粒子の分散性をよくするだけでなく、多孔質層に残存し乾燥させても透水性、阻止性が低下しないという特徴を併せ持つので好ましい。
また、製膜原液中に、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、他の有機樹脂及び開孔剤などを溶解させるための溶媒を用いる場合、その溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、メチルエチルケトンなどを用いる事ができる。中でもポリフッ化ビニリデン系樹脂に対する溶解性の高いNMP、DMAc、DMF、DMSOを好ましく用いることができる。
製膜原液には、その他、非溶媒を添加することもできる。非溶媒は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂や他の有機樹脂を溶解しないものであり、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び他の有機樹脂の凝固の速度を制御して細孔の大きさを制御するように作用する。非溶媒としては、水や、メタノール、エタノールなどのアルコール類を用いることができる。なかでも廃水処理の容易さや価格の点から水、メタノールが好ましい。これらの混合であってもよい。
製膜原液の組成において、ポリフッ化ビニリデン系樹脂は5重量%〜30重量%、開孔剤は0.1重量%〜15重量%、溶媒は45重量%〜94.8重量%、非溶媒は0.1重量%〜10重量%範囲内であることが好ましい。中でも、ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、極端に少ないと多孔質層の強度が低くなり、多すぎると透水性が低下することがあるので、8重量%〜20重量%の範囲がより好ましい。開孔剤は、少なすぎると透水性が低下し、多すぎると多孔質層の強度が低下することがある。また、極端に多いとポリフッ化ビニリデン系樹脂中に過剰に残存して使用中に溶出し、透過水の水質が悪化したり、透水性変動をしたりすることがある。したがって、より好ましい範囲は、0.5重量%〜10重量%である。さらに、溶媒は少なすぎると原液がゲル化しやすくなり、多すぎると多孔質層の強度が低下することので、より好ましくは60重量%〜90重量%の範囲である。また、非溶媒は、あまり多いと原液のゲル化が起こりやすくなり、極端に少ないと細孔やマクロボイドの大きさの制御が難しくなる。したがって、より好ましくは0.5重量%〜5重量%である。
一方、凝固浴としては、非溶媒、または非溶媒と溶媒とを含む混合溶液を用いることができる。製膜原液にも非溶媒を用いる場合、凝固浴における非溶媒は、凝固浴の少なくとも80重量%とするのが好ましい。少なすぎるとポリフッ化ビニリデン系樹脂の凝固速度が遅くなり細孔径が大きくなったりする。より好ましくは、85重量%〜100重量%の範囲である。一方、製膜原液に非溶媒を用いない場合、製膜原液にも非溶媒を用いる場合よりも、凝固浴における非溶媒の含有量を少なくすることが好ましいが、少なくとも60重量%とするのが好ましい。非溶媒が多いと、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の凝固速度が速くなって多孔質層の表面は緻密となり透水性が低下することがある。より好ましくは60重量%〜99重量%の範囲がよい。凝固浴中の非溶媒の含有量を調整することにより、多孔質層表面の孔径やマクロボイドの大きさを制御することができる。なお、凝固浴の温度は、あまり高いと凝固速度が速すぎるようになり、逆に、あまり低いと凝固速度が遅すぎるようになるので、通常、15℃〜80℃の範囲で選定するのが好ましい。より好ましくは20℃〜60℃の範囲である。
また、本発明において用いる分離膜は、ナノろ過膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜とのいずれであってもよく、分離対称物質の大きさに応じて適当な一種以上の膜を選択、組み合わせればよいが、下廃水処理用としては特に限外ろ過膜、精密ろ過膜が好ましい。そして、平均粒径0.088μmの微粒子の阻止率が90%以上であることがさらに好ましい。この阻止率を満足しないときは、下廃水処理にあたって、菌体や汚泥などがリークしたり菌体や汚泥による目詰まりが起こったり、ろ過差圧の上昇が起こったり、寿命が極端に短くなったりする。
ここで、阻止率は、逆浸透膜透過水にセラダイン社製ポリスチレンラテックス微粒子(公称粒径0.088μm、標準偏差0.0062μm)を10ppmの濃度になるように分散させた原水を、温度25℃、圧力10kPaの条件下で分離膜を透過させ、原水と透過水についてそれぞれ求めた波長202nmの紫外線の吸光度から、次式によって求める。
阻止率(%)=[(原液の吸光度−透過水の吸光度)/原水の吸光度]×100
また、分離膜のMIT耐折度試験は、JIS P8115MIT耐折度試験に準じて、MIT耐折度試験装置((株)東洋精機製作所 No.530−S形)を用いて測定する。
分離膜を15mm幅×110mm長の大きさに切り出し、2kgの荷重をかけ、折曲げ角度左右135±2°、回転早さ、175cpmの条件で折曲げを行い破断するまでの回数の測定を行なう。
そして、分離膜とエレメント支持板の固着強さは、JIS K6854 180度剥離試験に準じて、“テンシロン”(TENSILON/UTM−4L TOYOMEASURING INSTRUMENTS CO., LTD)を用いて測定する。エレメント支持板にホットメルト固着剤で分離膜を張り合わせた幅25mmの分離膜サンプルとし、剥離速度200mm/minの速度で剥離強度の測定を行なう。
そして、本発明の膜分離エレメントでは、平膜状の複合分離膜を、支持体の両面側に配置し、支持体と分離膜とが外周縁において固着し、支持体と分離膜とで囲まれる空間内に膜透過液が流動する流路が形成されている。透過液は、流路から透過液出口へと流れ、エレメント外へと取り出される。支持体と分離膜とで囲まれる空間内の流路を所定の向きに形成するために、支持体表面に凹凸を形成することが好ましい。例えば、図1及び図4で示す支持体7では、流路形成用の突起6が設けられている。
この膜分離エレメントは、その複数個をハウジング内に収容した構造の膜分離モジュールや、または、膜分離エレメントの複数個を配列状態で固定させた構造の膜分離モジュールにして、廃水等の被処理液が貯留された槽内に浸漬され、膜ろ過に使用される。これら膜分離エレメントや膜分離モジュールには、分離膜を透過した透過液を集液する集液手段が付設され、液体処理装置として下廃水の処理等に用いられる。
本発明の膜分離エレメントの形態は特に限定されないが、下廃水処理用途等に好適に用いることができる膜分離エレメントの形態の一例を図1〜4に示した。これら図を用いて以下説明する。
図1〜4に示す膜分離エレメントは、剛性を有する支持体(外周の基材枠部とその中の流路板部とからなる)7の両面側に、平膜状の分離膜1を配してなる。平膜状の分離膜1は、多孔質分離機能層を構成する樹脂と基材とが混在する層3が多孔質分離機能層4と基材層2との間に介在する層構造の複合分離膜である。
この形態の膜分離エレメントは、透水量を大きくするために、支持体7の両面側に分離膜11を配している。支持体7は、中央側の流路板部の両面に突起6が形成されている。また、複合分離膜とエレメント支持体の固着部の固着強さを強くするために、支持体7の分離膜固着部面に溝7Aが形成されている。
複合分離膜1は、浸漬された槽内に貯留されている液体(被処理液)中の不純物を、膜ろ過時に透過させずに排除する。複合分離膜1をエレメントの外側から内側へと透過した透過液は、支持体と複合分離膜1との間を流動する。支持体表面の突起6は、分離膜1でろ過された透過水が効率よく所定方向に流動するためのものである。支持体7と複合分離膜との間を流れた透過水は、エレメントの上側面に設けられた透過液流出口9へ向かって流れ、外部に取り出される。エレメント内の流路を透過液流出口9へと連通させるために、支持体の基材枠の裏表両面に連通用の開口部10を、透過液流出口9近傍に設けている。
支持体7は、外周の基材枠部とその中の流路板部とからなり、流路板部の両面に、流路形成用の複数の凹凸(突起6等)が形成された構造のものである。透過液流出口9までの距離、流路抵抗を均一化して被処理水が膜面に対して均等に流れるように、突起6は一定間隔で並列配置された複数個の溝が形成されるように設けることが好ましい。
このとき、突起6は、突起の面積の総和と濾過膜の面積との比が0.15〜0.35の範囲内となるように設けられることが好ましい。この比が0.15を下回ると、濾過膜に対する突起の密着面積が小さくなり、その結果、突起1個当たりの、濾過膜と突起との摩擦力が高まり、濾過膜が摩耗によって破損する恐れがある。また、0.35を上回ると、濾過膜と突起とが密着している部分では濾過膜からの液体の透過性が阻害される影響が大きくなる。さらに好ましくは0.2〜0.3の範囲である。
また、突起の高さが低すぎると、使用時の原液側と透過側との圧力差によって支持体と濾過膜との間に十分な空間を形成することができなくなる。したがって、突起の高さは少なくとも0.35mmであることが好ましい。一方、濾過膜エレメントの厚さをコンパクトにし、膜分離装置としての充填濾過膜面積を増大させることに鑑みれば、突起の高さは低い方が好ましい。
さらに、エレメントはエレメント支持体と分離膜とが外周部において固着する固着面に溝を設けることが好ましい。
エレメント支持体の固着面において、支持体7の分離膜固着部面の溝7Aは、固着部に対する溝の割合が10%〜40%の範囲内になるように設けるのが好ましい。この割合が小さすぎると固着効果が溝を設けていないもとと変わらなくなってしまう可能性がある。好ましくは20%〜30%の範囲である。
一方、溝の深さは深すぎると支持板の強度が著しく低下し、破損の原因になる。従って、溝の深さは支持板の厚みの25%であることが好ましい。
なお、溝の形状は特に限定されないが、例えば垂直に角張った溝、傾斜の付いたV形の溝、半円型の溝、多角形の凹みの賦形、円形の凹みの賦形などがあげられる。
また、溝の数は1個〜10個が好ましい。溝の数が多すぎると、エレメント支持部材の強度が低くなる。より好ましくは2個である。
溝の位置はエレメント支持部材の両面の固着面において同じ位置にあってもよいし、互違いにあってもよい。周縁部に連続的に配置していてもよいし、不連続的に配置していてもよいし、組み合わせてもよい。
なお、多角形の凹みの賦形もしくは円形の凹みの賦形の大きさは固着面の幅の1%〜50%の大きさがよい。好ましくは15%の大きさがよい。
賦形の位置は、エレメント支持部材の両面の固着面において同じ位置にあってもよいし、互違いにあってもよい。
また、支持体7の材質としては、ASTM試験法のD638における引張り強さが15MPa程度以上の剛性を持つ材質が好ましい。例えば、ステンレスなどの金属類、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの樹脂、繊維強化樹脂(FRP)などの複合材料、その他の材質などを好ましく使用することができる。
また、本発明の膜分離エレメントにおいては、図1に示すように支持体7の周縁部(基材枠)と分離膜1とを、ホットメルト接着剤を用いた接着により固着させることが好ましい。ここで、「固着」とは、両部材を接触させた状態で固定させることをいい、別途樹脂などを用いて接着することが好ましいが、分離膜そのものを溶着しても、さらにはその他種々の方法で固着させてもいい。
上述のように構成された膜分離エレメントにおいては、分離膜1によってろ過された透過水が、支持体の基材枠の裏表両面を透過液が通過するための開口部10を通って、基材枠の側面に設けられた透過液流出口9を通って、エレメント外部に取り出される。この透過液取り出しのために、透過液流出口9には吸引配管が連設されている。
続いて、上記膜分離エレメントの複数枚をハウジング内に収容して膜分離モジュールとし、この膜分離モジュールを被処理水中に浸漬して水処理する方法について図4に基づいて説明する。複数枚の膜分離エレメントが、互いに平行に、かつ、分離膜1の膜面間に空間ができるようにハウジング内に収納され、膜分離モジュールが組み立てられる。この膜分離モジュールは、被処理水槽14内に貯えられた有機性廃水などの被処理水に浸漬するようにして使用される。膜分離モジュール13の内部には鉛直方向に装填された複数枚の膜分離エレメントがあり、その下方には、ブロア12からの気体を分離膜の膜面に供給する散気装置15が設けられ、また、膜分離モジュール13よりも下流側には透過水を吸引するためのポンプ16が設けられている。
このように構成された水処理装置において、下廃水などの被処理水は、ポンプ16の吸引力により膜分離エレメントの分離膜1を通過する。この際、被処理水中に含まれる微生物粒子、無機物粒子などの懸濁物質がろ過除去される。そして、分離膜1を通過した透過水は、支持体の突起6によって形成された流路を流れ、基材枠の裏表両面を連通する開口部10を通って、基材枠にもうけられた透過液流出口9を通って被処理水槽14の外部に取り出される。一方、ろ過と並行して散気装置15が気泡を発生し、その気泡のエアリフト作用によって生じる上昇流が、膜分離エレメント8の膜面に平行に上昇して流れ、膜面に堆積したろ過物を離脱させるように作用する。
被処理液としては、下廃水に限られるのではなく、水処理分野であれば、浄水処理、上水処理、排水処理、工業用水製造などで利用することができ、河川水、湖沼水、地下水、海水、下水、排水などを被処理水とすることができる。
実施例、比較例における分離膜の透水量と阻止率は、次のように測定した。
[分離膜の透水量]
分離膜を直径50mmの円形に切り出し、円筒型のろ過ホルダーにセットし、逆浸透膜透過水を25℃で、水頭高さ1mで5分間予備透過させた後、続けて透過させて透過水を5分間採取することにより透水量を測定する。
[分離膜の阻止率]
ラテックス粒子(セラダイン社製ポリスチレンラテックス微粒子、公称粒径0.088μm、標準偏差0.0062μm)を用いて濃度の検量線を求める。すなわち、微粒子阻止率測定用のホルダー(UHP−43K、アドバンテック東洋(株)製)に分離膜(直径43mmの円形)をセットし、ラテックス粒子濃度約10ppmに調製した原水を入れ、評価圧力10kPaの窒素圧で、原水を攪拌しながら、25cc予備透過をした後、25ccの透過水を採取する。原水と透過水のそれぞれのラテックス粒子濃度を、分光光度計(日立製作所製、U−3200)で波長202nmの紫外線の吸光度の値で測定する。その吸光度の比(濃度比)から次の式により阻止率を求める。
阻止率(%)=[(原水の吸光度−透過水の吸光度)/原水の吸光度]×100
[分離膜のMIT耐折度試験]
JIS P8115MIT耐折度試験に準じて、MIT耐折度試験装置((株)東洋精機製作所 No.530−S形)を用いて測定を行なう。即ち、分離膜を15mm幅×110mm長の大きさに切り出し、2kgの荷重をかけ、折曲げ角度左右135±2°、回転早さ175cpmの条件で折曲げを行い、破断するまでの回数を求めた。
[固着強さ試験]
JIS K6854 180度剥離試験に準じて、“テンシロン”(TENSILON/UTM−4L TOYOMEASURING INSTRUMENTS CO., LTD)を用いて測定を行なう。即ち、エレメント支持板にホットメルト固着剤で分離膜を張り合わせた幅25mmの分離膜サンプルとし、剥離速度200mm/minの速度で引張り、剥がれるまでの強さを求めた。
<実施例1>
製膜原液用の樹脂成分としてポリフッ化ビニリデン(PVDF/呉羽化学工業株式会社製、KF#850)を用いた。また、開孔剤としてモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、非溶媒としてHOをそれぞれ用いた。これらを95℃の温度下で十分に攪拌し、次の組成を有する製膜原液を作製した。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF) :17.0重量%
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン : 8.0重量%
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF) :72.0重量%
O : 3.0重量%
基材として、密度0.42g/cm3、サイズ50cm幅×150cm長の長方形のポリエステル繊維製不織布と、サイズ50cm幅×150cm長の長方形のポリエステル繊維製不織布の中央部の40cm幅×140cm長(長方形)をくりぬいた形状の不織布とを重ね合わせ、180℃に熱したヒーターロールに通してニップ圧180kg/cmで2枚の不織布を貼り付け、中央部が薄く、厚み格差のある基材を作製した。
次に、上記製膜原液を30℃に冷却した後、厚み格差のある基材の平滑な面側に塗布し、塗布後、直ちに20℃の純水中に5分間浸漬し、さらに90℃の熱水に2分間浸漬して溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミドおよび開孔剤であるモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンを洗い流し、複合分離膜を製造した。
次に、上記複合分離膜について、基材の周縁側の基材層肉厚部で平均粒径0.088μmラテックス微粒子の阻止率を測定したところ、99.4%と高い値であった。また、透水量は40.1×10−9/m・s・Paであった。分離膜の中央部の0.088μmラテックス微粒子の阻止率は、99.1%と周縁部と同レベルであった。また、透水量は周縁側の基材層肉厚部より高い44.5×10−9/m・s・Paであった。
また、分離膜をMIT耐折度試験装置で、破断までの回数を測定したところ、中央部では30,500回に対し、周縁側の基材層肉厚部での破断回数は130,981回と中央部よりも格段に高く、耐折性の所望水準を満足するものであった。
さらに、得られた複合分離膜を、図1(ただし支持体の溝7Aは含まない)及び図4に示す膜分離エレメントを作製した。得られた膜分離エレメントにおいて、周縁側の基材層肉厚部の面積割合は、25.3%であった。また、引張り試験器で剥がれるまでの強さを測定したところ、1520N/5mmと耐剥がれ性の所望水準を満足するものであった。この膜分離エレメントを、図5に示すような浸漬型膜分離方法に用いて3ヶ月間の活性汚泥による実液テストを行ったところ、接着部近傍にも分離膜の損傷がみられなかった。なお、それら結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1と同様にして得られた複合分離膜を、エレメント支持部材の固着部に対する溝の割合が28%で溝の深さが1.5mmの溝を設けたエレメントに固着させ、図1及び図4に示す膜分離エレメントを作製した。得られた膜分離エレメントにおいて、周縁側の基材層肉厚部の面積割合は、25.3%であった。また、引張り試験器で剥がれるまでの強さを測定したところ、エレメント支持部材から分離膜が剥がれず分離膜が破断し、非常に満足するものであった。この膜分離エレメントを、図5に示すような浸漬型膜分離方法に用いて3ヶ月間の活性汚泥による実液テストを行ったところ、接着部近傍にも分離膜の損傷がみられなかった。なお、それら結果を表1に示す。
<比較例>
従来の膜分離エレメントの場合と同様に、厚みが略均一で周縁部と中央部の厚み格差のない基材(密度0.42g/cm、サイズ50cm幅×150cm長、厚み0.3mm、ポリエステル繊維製不織布)を用いて、上記の実施例1と同様にして複合分離膜を製造した。
得られた複合分離膜の平均粒径0.088μmラテックス微粒子の阻止率を測定したところ、99.3%と高い値であった。また、透水量は43.8×10−9/m・s・Paであった。また、分離膜をMIT耐折度試験装置で、破断までの回数を測定したところ、31,221回で、実施例1の中央部と同レベルであった。
さらに、実施例1と同様にして膜分離エレメントを作製した。引張り試験機で固着強さを測定したところ440N/5mmで、実施例1の半分以下であった。活性汚泥による実液テストを行ったところ、接着部近傍の分離膜に亀裂がみられた。
Figure 2008119680
本発明にかかる膜分離エレメントの一実施態様を模式的に示す断面図である。 図1の線I−Iで矢視した分離膜の平面形状を模式的に示す図である。 図1の線D−Dで矢視した膜分離エレメントの平面形状を模式的に示す図である。 本発明に係る膜分離エレメントの一実施態様を示す斜視図である。 本発明に係る膜分離モジュールを用いて廃液処理する方法の概略フローを示す図である。
符号の説明
1:複合分離膜
2:基材層
2A:周縁側の基材層厚肉部
2C:基材層中央部
3:混在層
4:多孔質分離機能層
5:接着剤の層
6:突起
7:支持体
7A:支持体の溝
8:膜分離エレメント
9:透過液流出口
10:連通用の開口部
11:分離膜
12:ブロア
13:膜分離モジュール
14:被処理水槽
15:散気装置
16:ポンプ

Claims (5)

  1. 支持体の両面側に平板状の分離膜が配置され、支持体と分離膜とが外周縁において固着された膜分離エレメントであって、前記分離膜として、基材層と多孔質分離機能層とからなる複合分離膜が用いられ、固着された外周縁の近傍の周縁側には、分離膜の中央部の基材層厚みの1.1倍〜3倍の基材層厚みをもつ基材層厚肉部が設けられ、かつ、基材層厚肉部の面積割合が、分離膜の透過面積に対し1%以上30%以下であることを特徴とする膜分離エレメント。
  2. 複合分離膜の基材層と多孔質分離機能層との間に、多孔質分離機能層を構成する樹脂と基材とが混在する層が介在する複合分離膜が、分離膜として用いられ、かつ、基材層が不織布または織編物からなる請求項1記載の膜分離エレメント。
  3. 支持体の固着部に溝が設けられ、その固着部に対する溝の割合が1%以上50%以下であり、かつ、溝の深さが支持板の厚みの1%以上40%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の膜分離エレメント
  4. 分離膜を透過した透過液のエレメント内での流路形成のために、支持体表面に凹凸が形成され、かつ、エレメント内での透過液の流路と連通する透過液出口が設けられている請求項1〜3に記載の膜分離エレメント。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の膜分離エレメントの複数個が、ハウジング内に収容され、もしくは、配列状態で固定されてなる膜分離モジュール。
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