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JP2008118915A - 胃癌高発現遺伝子特定による胃癌診断および創薬への利用 - Google Patents

胃癌高発現遺伝子特定による胃癌診断および創薬への利用 Download PDF

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JP2008118915A
JP2008118915A JP2006306057A JP2006306057A JP2008118915A JP 2008118915 A JP2008118915 A JP 2008118915A JP 2006306057 A JP2006306057 A JP 2006306057A JP 2006306057 A JP2006306057 A JP 2006306057A JP 2008118915 A JP2008118915 A JP 2008118915A
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gene
polypeptide
gastric cancer
cancer marker
seq
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JP2006306057A
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Kazuto Nishio
和人 西尾
Tokuzo Arao
徳三 荒尾
Yasuhide Yamada
康秀 山田
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National Cancer Center Japan
Original Assignee
National Cancer Center Japan
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Abstract

【課題】本発明は、胃癌の判定に有効な胃癌マーカー遺伝子やその発現産物である胃癌マーカーポリペプチド、胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子を備えたことを特徴とする胃癌マーカー遺伝子の検出又は定量用キット、胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する分子を備えたことを特徴とする胃癌マーカーポリペプチドの検出又は定量用キット、及び、胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子に対するアンチセンスRNAとセンスRNAとからなる2本鎖RNA等を有効成分として含むことを特徴とする胃癌の治療薬剤などを提供することを目的とする。
【解決手段】胃非癌組織に比べて胃癌組織において発現が著しく亢進している胃癌マーカー遺伝子や、その発現産物である胃癌マーカーポリペプチドを検出又は定量することにより、胃癌であるかどうかを判定する。
【選択図】なし

Description

本発明は、胃癌マーカー遺伝子を特定することによる胃癌診断及び創薬への利用に関し、より具体的には、特定の胃癌マーカー遺伝子やその発現産物である胃癌マーカーポリペプチドを用いた胃癌の判定方法、前記胃癌マーカー遺伝子に対するsiRNAを含む胃癌治療剤、前記胃癌マーカー遺伝子や胃癌マーカーポリペプチドを利用した胃癌治療剤のスクリーニング方法に関する。
日本と東南アジアでは、胃癌は消化管の悪性腫瘍の中で最も多く、また、世界でも、癌死亡率では第2位を占めている。胃癌の予後は、診断技術や治療法の発達により改善しているが、進行胃癌の場合の予後は良いとはいえず、胃漿膜にまで浸潤した胃癌の予後は、5年生存率で35%と低い。また、進行癌の治癒的切除の後に起こる再発の主原因は腹膜播種である。この腹膜播種再発においてはいまだに有効な治療法がなく、5年生存率は5%以下と報告されている。胃癌細胞の悪性な特性のうち、腹膜への転移は特に複雑な現象であり、多くのステップと多くの遺伝子が関与している。これまでの報告によれば、胃癌の腹膜播種には、接着分子関連遺伝子、アポトーシス関連遺伝子や他の遺伝子が深く関与しているとされており、胃癌の腹膜播種を始めとする胃癌の転移のメカニズム解明には、さらなる研究が必要であるとされている。
胃癌を始めとする癌の検出・診断方法として、血中の腫瘍マーカーを計測する方法が挙げられる。腫瘍マーカーは、腫瘍細胞が産生する物質、又は腫瘍に対する反応により正常細胞が産生する物質であり、これらの物質のうち、血中や尿中で増加する物質を計測することによって、腫瘍の診断を簡便な体外診断により行うことができる。
腫瘍マーカーとしては、乳癌患者の胸部組織と正常人の胸部組織で差異的に発現する遺伝子を使用した悪性腫瘍、特に乳癌を予想、診断、予後判定、予防および処置するための新規な組成物、方法および使用や(例えば、特許文献1参照。)や、肝炎ウイルスの感染に起因し慢性肝炎又は肝硬変を発症した患者に対し、肝炎ウイルスに感染した患者のミトコンドリアDNAの塩基配列を評価することによって肝臓癌の発癌リスクを評価する方法(例えば、特許文献2参照。)や、その遺伝子産物がCLL細胞及び前立腺癌細胞の新生物性又は腫瘍形成性増殖を抑制するmiR15及びmiR16のコピー数、変異状態又は遺伝子発現を検出することによる慢性リンパ性白血病又は前立腺癌の診断方法(例えば、特許文献3参照。)や、無症候性期又は初期段階の患者における発癌過程の存在を検出するのに適当な迅速な癌の診断方法や、癌患者の血清中に存在する炭酸脱水酵素IIの活性化化合物(腫瘍マーカー)、前記癌の診断方法によって、無症候性期または初期段階の患者の癌を検出することを特徴とする癌の処置方法;ならびに該癌の診断方法を行うためのキット(例えば、特許文献4参照。)等が知られている。
また、胃癌に関しては、既知のI型コラーゲンのC端非3重鎖テロペプチド(ICTP)の発現量の変動をマーカーにすることを特徴とする、進行胃癌、特にスキルス胃癌の適切な診断マーカー(例えば、特許文献5参照。)や、従来のRLGS法に比較して少量のDNAサンプルを用い簡便で、迅速、安価に癌患者の予後が良好か否かを診断することのできる技術を確立するものであって、癌部または非癌部組織検体より得られたDNA繰り返し配列中に存在する脱メチル化DNA数を測定し、その割合に基づいて胃癌をはじめ、種々の癌疾患の予後が良好か否かを判断する方法(例えば、特許文献6参照。)や、転移性結腸直腸癌あるいは原発性及び/又は転移性の胃癌又は食道癌をスクリーニング・診断するための試薬、キット及び方法や、その患者を処置するためにインビボでイメージングするための化合物や組成物、その治療や予防のための薬物、遺伝子療法薬およびアンチセンス化合物を運搬するための組成物、ワクチンおよび方法(例えば、特許文献7参照。)や、細胞の生体エネルギー的指数を作成するため、構造タンパク質及びミトコンドリアの呼吸(それぞれ例えば、hsp60やチトクロームオキシダーゼのサブユニットIおよびIV)に関して、ミトコンドリアの生体エネルギー的機能のタンパク質(H−ATP合成酵素のβ−触媒サブユニットなど)の発現についての研究を使用すること、そしてグリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素及びピルビン酸キナーゼMなどの細胞の解糖経路のタンパク質の発現に関連する前記ミトコンドリア生体エネルギー指数(β−ATPase/hsp60比;β−ATPase/COXI比;β−ATPase/COXIV比)を使用することからなる、細胞の代謝性マーカーの研究に基づいて、癌の検出、進行の解析、および悪性腫瘍を予後診断するための方法(例えば、特許文献8参照。)等が提案されている。
特開2004−159640号公報 特開2004−121029号公報 特表2006−506469号公報 特表2001−524815号公報 特開2001−33460号公報 特開2002−112799号公報 特表2003−532389号公報 特表2005−526980号公報
本発明の課題は、胃癌の判定に有効な胃癌マーカー遺伝子やその発現産物である胃癌マーカーポリペプチド、胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子を備えたことを特徴とする胃癌マーカー遺伝子の検出又は定量用キット、胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する分子を備えたことを特徴とする胃癌マーカーポリペプチドの検出又は定量用キット、及び、胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子に対するアンチセンスRNAとセンスRNAとからなる2本鎖RNA等を有効成分として含むことを特徴とする胃癌の治療薬剤などを提供することにある。
本発明者らは、胃癌患者の胃の癌部位(胃癌組織)と非癌部位(胃正常組織)における遺伝子の発現量を網羅的に比較検討し、胃正常組織に比べて胃癌組織において発現が著しく亢進している遺伝子が120個存在していることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)被検試料中に存在する、以下の胃癌マーカー遺伝子(以下、「本件胃癌マーカー遺伝子」と総称することがある。)から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子を検出又は定量することを特徴とする胃癌の判定方法に関する。
ANGPT2遺伝子、AQP9遺伝子、ASPN遺伝子、BCAT1遺伝子、BCL2A1遺伝子、BGN遺伝子、C5R1遺伝子、CCL3遺伝子、CCL4遺伝子、CD14遺伝子、CDH3遺伝子、CDNA clone IMAGE:30924414遺伝子、CDNA FLJ10196 fis, clone HEMBA1004776遺伝子、CEBPB遺伝子、CHI3L1遺伝子、CIAS1遺伝子、CLDN1遺伝子、CMKOR1遺伝子、COL10A1遺伝子、COL11A1遺伝子、COL12A1遺伝子、COL1A1遺伝子、COL1A2遺伝子、COL4A1遺伝子、COL5A2遺伝子、COL6A3遺伝子、COL8A1遺伝子、CTGF遺伝子、CTHRC1遺伝子、CXCL1遺伝子、CXCL2遺伝子、CXCL5遺伝子、CXCL6遺伝子、CYR61遺伝子、DAF遺伝子、EREG遺伝子、FAP遺伝子、FCGR2A遺伝子、FCGR3B遺伝子、FN1遺伝子、FNDC1遺伝子、FPR1遺伝子、GPNMB遺伝子、GPR109B遺伝子、GPR84遺伝子、H19遺伝子、HOXC6遺伝子、IL11遺伝子、IL13RA2遺伝子、IL1A遺伝子、IL1B遺伝子、IL24遺伝子、IL6遺伝子、IL8遺伝子、IMP−3遺伝子、INHBA遺伝子、ITGA5遺伝子、KIAA1199遺伝子、KLK10遺伝子、KRT17遺伝子、KRT23遺伝子、KRT6B遺伝子、MCEMP1遺伝子、MMP1遺伝子、MMP10遺伝子、MMP12遺伝子、MMP3遺伝子、MMP7遺伝子、MMP9遺伝子、MNDA遺伝子、MRNA; cDNA DKFZp667A182 (from clone DKFZp667A182) 遺伝子、NCF2遺伝子、NID2遺伝子、NNMT遺伝子、NR4A3遺伝子、OSM遺伝子、PBEF1遺伝子、PCOLCE遺伝子、PDE4B遺伝子、PDPN遺伝子、PI15遺伝子、PI3遺伝子、PLA2G7遺伝子、PLAU遺伝子、PROK2遺伝子、PRRX1遺伝子、PTGS2遺伝子、RARRES1遺伝子、RGS1遺伝子、RIS1遺伝子、S100A8遺伝子、S100A9遺伝子、SELE遺伝子、SERPINE1遺伝子、SERPINH1遺伝子、SFRP2遺伝子、SLC2A3遺伝子、SNX10遺伝子、SOCS3遺伝子、SOD2遺伝子、SPARC遺伝子、SPP1遺伝子、SRPX2遺伝子、STC1遺伝子、SULF1遺伝子、TFPI2遺伝子、TGFBI遺伝子、THBS1遺伝子、THBS2遺伝子、TIMP1遺伝子、TLR2遺伝子、TM4SF1遺伝子、TMEPAI遺伝子、TNC遺伝子、TNFAIP6遺伝子、TNFRSF12A遺伝子、TREM1遺伝子、WISP1遺伝子、WNT5A遺伝子
また本発明は、(2)胃癌マーカー遺伝子として、CDNA FLJ10196 fis, clone HEMBA1004776遺伝子、CLDN1遺伝子、CTHRC1遺伝子、CXCL1遺伝子、FAP遺伝子、FPR1遺伝子、GPNMB遺伝子、GPR109B遺伝子、H19遺伝子、HOXC6遺伝子、INHBA遺伝子、KIAA1199遺伝子、KLK10遺伝子、NCF2遺伝子、NID2遺伝子、PI3遺伝子、SELE遺伝子、SERPINH1遺伝子、SFRP2遺伝子、SPP1遺伝子、SRPX2遺伝子、STC1遺伝子、TNC遺伝子、TNFAIP6遺伝子、及びWNT5A遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子を検出又は定量することを特徴とする上記(1)記載の胃癌の判定方法や、(3)胃癌マーカー遺伝子として、KIAA1199遺伝子及び/又はINHBA遺伝子を検出又は定量することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の胃癌の判定方法に関する。
また本発明は、(4)上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子を用いて胃癌マーカー遺伝子を検出又は定量することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌の判定方法や、(5)上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子として、ヌクレオチド又はタンパク質を用いることを特徴とする上記(4)記載の胃癌の判定方法や、(6)上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子が少なくとも1つ以上固定化されているマイクロアレイ又はマイクロチップを用いることを特徴とする上記(4)又は(5)記載の胃癌の判定方法や、(7)ヌクレオチドとして、上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子のセンス鎖又はアンチセンス鎖と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする10〜100−merのプローブ用のヌクレオチドを用いることを特徴とする上記(5)又は(6)記載の胃癌の判定方法や、(8)ヌクレオチドとして、上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子のセンス鎖又はアンチセンス鎖と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする10〜100−merのプローブ用の標識化ヌクレオチドを用いることを特徴とする上記(5)記載の胃癌の判定方法に関する。
本発明はまた、(9)被検試料中に存在する、以下の胃癌マーカーポリペプチド(以下、「本件胃癌マーカーポリペプチド」と総称することがある。)から選択される1種又は2種以上のポリペプチドを検出又は定量することを特徴とする胃癌の判定方法に関する。
ANGPT2ポリペプチド、AQP9ポリペプチド、ASPNポリペプチド、BCAT1ポリペプチド、BCL2A1ポリペプチド、BGNポリペプチド、C5R1ポリペプチド、CCL3ポリペプチド、CCL4ポリペプチド、CD14ポリペプチド、CDH3ポリペプチド、CDNA clone IMAGE:30924414ポリペプチド、CDNA FLJ10196 fis, clone HEMBA1004776ポリペプチド、CEBPBポリペプチド、CHI3L1ポリペプチド、CIAS1ポリペプチド、CLDN1ポリペプチド、CMKOR1ポリペプチド、COL10A1ポリペプチド、COL11A1ポリペプチド、COL12A1ポリペプチド、COL1A1ポリペプチド、COL1A2ポリペプチド、COL4A1ポリペプチド、COL5A2ポリペプチド、COL6A3ポリペプチド、COL8A1ポリペプチド、CTGFポリペプチド、CTHRC1ポリペプチド、CXCL1ポリペプチド、CXCL2ポリペプチド、CXCL5ポリペプチド、CXCL6ポリペプチド、CYR61ポリペプチド、DAFポリペプチド、EREGポリペプチド、FAPポリペプチド、FCGR2Aポリペプチド、FCGR3Bポリペプチド、FN1ポリペプチド、FNDC1ポリペプチド、FPR1ポリペプチド、GPNMBポリペプチド、GPR109Bポリペプチド、GPR84ポリペプチド、H19ポリペプチド、HOXC6ポリペプチド、IL11ポリペプチド、IL13RA2ポリペプチド、IL1Aポリペプチド、IL1Bポリペプチド、IL24ポリペプチド、IL6ポリペプチド、IL8ポリペプチド、IMP−3ポリペプチド、INHBAポリペプチド、ITGA5ポリペプチド、KIAA1199ポリペプチド、KLK10ポリペプチド、KRT17ポリペプチド、KRT23ポリペプチド、KRT6Bポリペプチド、MCEMP1ポリペプチド、MMP1ポリペプチド、MMP10ポリペプチド、MMP12ポリペプチド、MMP3ポリペプチド、MMP7ポリペプチド、MMP9ポリペプチド、MNDAポリペプチド、MRNA; cDNA DKFZp667A182 (from clone DKFZp667A182) ポリペプチド、NCF2ポリペプチド、NID2ポリペプチド、NNMTポリペプチド、NR4A3ポリペプチド、OSMポリペプチド、PBEF1ポリペプチド、PCOLCEポリペプチド、PDE4Bポリペプチド、PDPNポリペプチド、PI15ポリペプチド、PI3ポリペプチド、PLA2G7ポリペプチド、PLAUポリペプチド、PROK2ポリペプチド、PRRX1ポリペプチド、PTGS2ポリペプチド、RARRES1ポリペプチド、RGS1ポリペプチド、RIS1ポリペプチド、S100A8ポリペプチド、S100A9ポリペプチド、SELEポリペプチド、SERPINE1ポリペプチド、SERPINH1ポリペプチド、SFRP2ポリペプチド、SLC2A3ポリペプチド、SNX10ポリペプチド、SOCS3ポリペプチド、SOD2ポリペプチド、SPARCポリペプチド、SPP1ポリペプチド、SRPX2ポリペプチド、STC1ポリペプチド、SULF1ポリペプチド、TFPI2ポリペプチド、TGFBIポリペプチド、THBS1ポリペプチド、THBS2ポリペプチド、TIMP1ポリペプチド、TLR2ポリペプチド、TM4SF1ポリペプチド、TMEPAIポリペプチド、TNCポリペプチド、TNFAIP6ポリペプチド、TNFRSF12Aポリペプチド、TREM1ポリペプチド、WISP1ポリペプチド、WNT5Aポリペプチド
また本発明は、(10)胃癌マーカーポリペプチドとして、CDNA FLJ10196 fis, clone HEMBA1004776ポリペプチド、CLDN1ポリペプチド、CTHRC1ポリペプチド、CXCL1ポリペプチド、FAPポリペプチド、FPR1ポリペプチド、GPNMBポリペプチド、GPR109Bポリペプチド、H19ポリペプチド、HOXC6ポリペプチド、INHBAポリペプチド、KIAA1199ポリペプチド、KLK10ポリペプチド、NCF2ポリペプチド、NID2ポリペプチド、PI3ポリペプチド、SELEポリペプチド、SERPINH1ポリペプチド、SFRP2ポリペプチド、SPP1ポリペプチド、SRPX2ポリペプチド、STC1ポリペプチド、TNCポリペプチド、TNFAIP6ポリペプチド、及びWNT5Aポリペプチドから選ばれる1種又は2種以上のポリペプチドを検出又は定量することを特徴とする上記(9)に記載の胃癌の判定方法や、(11)胃癌マーカーポリペプチドとして、KIAA1199ポリペプチド、及び/又はINHBAポリペプチドを検出又は定量することを特徴とする上記(9)又は(10)に記載の胃癌の判定方法に関する。
また本発明は、(12)上記(9)〜(11)のいずれか記載の胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する分子を用いて胃癌マーカーポリペプチドを検出又は定量することを特徴とする上記(9)〜(11)のいずれか記載の胃癌の判定方法や、(13)上記(9)〜(11)のいずれか記載の胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する分子として、抗体又はアプタマーを用いることを特徴とする上記(12)記載の胃癌の判定方法に関する。
また本発明は、(14)上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子を備えたことを特徴とする胃癌マーカー遺伝子の検出又は定量用キットや、(15)上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子が、ヌクレオチド又はタンパク質であることを特徴とする上記(14)記載の胃癌マーカー遺伝子の検出又は定量用キットや、(16)上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子が少なくとも1つ以上固定化されているマイクロアレイ又はマイクロチップを備えたことを特徴とする上記(14)又は(15)記載の胃癌マーカー遺伝子の検出又は定量用キットや、(17)ヌクレオチドが、上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子のセンス鎖又はアンチセンス鎖と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする10〜100−merのプローブ用のヌクレオチドであることを特徴とする上記(15)又は(16)記載の胃癌マーカー遺伝子の検出又は定量用キットや、(18)ヌクレオチドが、上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子のセンス鎖又はアンチセンス鎖と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする10〜100−merのプローブ用の標識化ヌクレオチドであることを特徴とする上記(15)記載の胃癌マーカー遺伝子の検出又は定量用キットや、(19)上記(9)〜(11)のいずれか記載の胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する分子を備えたことを特徴とする胃癌マーカーポリペプチドの検出又は定量用キットや、(20)上記(9)〜(11)のいずれか記載の胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する分子が、抗体及び/又はアプタマーであることを特徴とする上記(19)記載の胃癌マーカーポリペプチドの検出又は定量用キットに関する。
また本発明は、(21)(a)上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子に対するアンチセンスヌクレオチド、(b)上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子に対するアンチセンスRNAとセンスRNAとからなる2本鎖RNA、(c)上記(9)〜(11)のいずれか記載の胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する抗体、又は、(d)上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子のmRNAを切断する活性を有するリボザイムを有効成分として含むことを特徴とする胃癌の治療薬剤や、(22)上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子に対するアンチセンスRNAとセンスRNAとからなる2本鎖RNAが、上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子に対するsiRNAであることを特徴とする上記(21)に記載の胃癌の治療薬剤や、(23)siRNAが、配列番号168〜171のいずれか記載のRNAと、該RNAに相補的なRNAとからなるsiRNAである上記(22)に記載の胃癌の治療薬剤に関する。
さらに本発明は、(24)ヒト胃癌培養細胞株を被検物質の存在下に培養した後、該ヒト胃癌培養細胞株の細胞溶解物中に存在する上記(1)〜(3)のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子及び/若しくは上記(9)〜(11)のいずれか記載の胃癌マーカーポリペプチドを検出又は定量し、被検物質の非存在下における場合と比較・評価することを特徴とする胃癌治療剤のスクリーニング方法に関する。
生体試料中における本件胃癌マーカー遺伝子や本件胃癌マーカーポリペプチドを検出又は定量すること等により、生体試料の採取源が胃癌患者であるかどうか、又は生体試料が胃癌組織であるかどうかを非常に簡便に判定することができる。
本発明の胃癌の判定方法としては、被検試料中に存在する、本件胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子を検出又は定量する方法や、本件胃癌マーカーポリペプチドから選択される1種又は2種以上のポリペプチドを検出又は定量する方法であれば特に制限されないが、上記本件胃癌マーカー遺伝子や本件胃癌マーカーポリペプチドとしては、胃癌患者や胃癌組織に特異的に発現し、他の癌患者や癌組織には発現しないものが好ましい。また、上記被検試料としては、胃癌組織、胃正常組織等の組織のほか、血清、血漿等の血液サンプル、リンパ液、尿、唾液等を例示することができるが、中でも血清、血漿等の血液サンプルを好適に例示することができる。なお、本明細書中においては、「癌」と「腫瘍」は同じ意味に用いられる。
本件胃癌マーカー遺伝子の配列情報は、NCBIの遺伝子データベースにおいて、以下の表1に記載されたアクセッションナンバーによりアプローチすることができる。
また、本件胃癌マーカー遺伝子は、以下の配列表の配列番号によって示される塩基配列によっても特定することができる。
ANGPT2遺伝子(配列番号1)、AQP9遺伝子(配列番号2)、ASPN遺伝子(配列番号3)、BCAT1遺伝子(配列番号4)、BCL2A1遺伝子(配列番号5)、BGN遺伝子(配列番号6)、C5R1遺伝子(配列番号7)、CCL3遺伝子(配列番号8)、CCL4遺伝子(配列番号9)、CD14遺伝子(配列番号10)、CDH3遺伝子(配列番号11)、CDNA clone IMAGE:30924414遺伝子(配列番号12)、CDNA FLJ10196 fis, clone HEMBA1004776遺伝子(配列番号13)、CEBPB遺伝子(配列番号14)、CHI3L1遺伝子(配列番号15)、CIAS1遺伝子(配列番号16)、CLDN1遺伝子(配列番号17)、CMKOR1遺伝子(配列番号18)、COL10A1遺伝子(配列番号19)、COL11A1遺伝子(配列番号20)、COL12A1遺伝子(配列番号21)、COL1A1遺伝子(配列番号22)、COL1A2遺伝子(配列番号23)、COL4A1遺伝子(配列番号24)、COL5A2遺伝子(配列番号25)、COL6A3遺伝子(配列番号26)、COL8A1遺伝子(配列番号27)、CTGF遺伝子(配列番号28)、CTHRC1遺伝子(配列番号29)、CXCL1遺伝子(配列番号30)、CXCL2遺伝子(配列番号31)、CXCL5遺伝子(配列番号32)、CXCL6遺伝子(配列番号33)、CYR61遺伝子(配列番号34)、DAF遺伝子(配列番号35)、EREG遺伝子(配列番号36)、FAP遺伝子(配列番号37)、FCGR2A遺伝子(配列番号38)、FCGR3B遺伝子(配列番号39)、FN1遺伝子(配列番号40)、FNDC1遺伝子(配列番号41)、FPR1遺伝子(配列番号42)、GPNMB遺伝子(配列番号43)、GPR109B遺伝子(配列番号44)、GPR84遺伝子(配列番号45)、H19遺伝子(配列番号46)、HOXC6遺伝子(配列番号47)、IL11遺伝子(配列番号48)、IL13RA2遺伝子(配列番号49)、IL1A遺伝子(配列番号50)、IL1B遺伝子(配列番号51)、IL24遺伝子(配列番号52)、IL6遺伝子(配列番号53)、IL8遺伝子(配列番号54)、IMP−3遺伝子(配列番号55)、INHBA遺伝子(配列番号56)、ITGA5遺伝子(配列番号57)、KIAA1199遺伝子(配列番号58)、KLK10遺伝子(配列番号59)、KRT17遺伝子(配列番号60)、KRT23遺伝子(配列番号61)、KRT6B遺伝子(配列番号62)、MCEMP1遺伝子(配列番号63)、MMP1遺伝子(配列番号64)、MMP10遺伝子(配列番号65)、MMP12遺伝子(配列番号66)、MMP3遺伝子(配列番号67)、MMP7遺伝子(配列番号68)、MMP9遺伝子(配列番号69)、MNDA遺伝子(配列番号70)、MRNA; cDNA DKFZp667A182 (from clone DKFZp667A182) 遺伝子(配列番号71)、NCF2遺伝子(配列番号72)、NID2遺伝子(配列番号73)、NNMT遺伝子(配列番号74)、NR4A3遺伝子(配列番号75)、OSM遺伝子(配列番号76)、PBEF1遺伝子(配列番号77)、PCOLCE遺伝子(配列番号78)、PDE4B遺伝子(配列番号79)、PDPN遺伝子(配列番号80)、PI15遺伝子(配列番号81)、PI3遺伝子(配列番号82)、PLA2G7遺伝子(配列番号83)、PLAU遺伝子(配列番号84)、PROK2遺伝子(配列番号85)、PRRX1遺伝子(配列番号86)、PTGS2遺伝子(配列番号87)、RARRES1遺伝子(配列番号88)、RGS1遺伝子(配列番号89)、RIS1遺伝子(配列番号90)、S100A8遺伝子(配列番号91)、S100A9遺伝子(配列番号92)、SELE遺伝子(配列番号93)、SERPINE1遺伝子(配列番号94)、SERPINH1遺伝子(配列番号95)、SFRP2遺伝子(配列番号96)、SLC2A3遺伝子(配列番号97)、SNX10遺伝子(配列番号98)、SOCS3遺伝子(配列番号99)、SOD2遺伝子(配列番号100)、SPARC遺伝子(配列番号101)、SPP1遺伝子(配列番号102)、SRPX2遺伝子(配列番号103)、STC1遺伝子(配列番号104)、SULF1遺伝子(配列番号105)、TFPI2遺伝子(配列番号106)、TGFBI遺伝子(配列番号107)、THBS1遺伝子(配列番号108)、THBS2遺伝子(配列番号109)、TIMP1遺伝子(配列番号110)、TLR2遺伝子(配列番号111)、TM4SF1遺伝子(配列番号112)、TMEPAI遺伝子(配列番号113)、TNC遺伝子(配列番号114)、TNFAIP6遺伝子(配列番号115)、TNFRSF12A遺伝子(配列番号116)、TREM1遺伝子(配列番号117)、WISP1遺伝子(配列番号118)、WNT5A遺伝子(配列番号119)
本件胃癌マーカー遺伝子の中でも、検出・定量感度等の観点から、CDNA FLJ10196 fis, clone HEMBA1004776遺伝子、CLDN1遺伝子、CTHRC1遺伝子、CXCL1遺伝子、FAP遺伝子、FPR1遺伝子、GPNMB遺伝子、GPR109B遺伝子、H19遺伝子、HOXC6遺伝子、INHBA遺伝子、KIAA1199遺伝子、KLK10遺伝子、NCF2遺伝子、NID2遺伝子、PI3遺伝子、SELE遺伝子、SERPINH1遺伝子、SFRP2遺伝子、SPP1遺伝子、SRPX2遺伝子、STC1遺伝子、TNC遺伝子、TNFAIP6遺伝子、及びWNT5A遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子を検出又は定量することが好ましく、中でも、KIAA1199遺伝子及び/又はINHBA遺伝子を検出又は定量することがより好ましい。
本明細書中における、「胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子を検出又は定量する」とは、該遺伝子を検出又は定量する限り特に制限されず、例えば、該遺伝子DNAを直接検出又は定量してもよいし、該遺伝子のmRNAやcDNAを検出又は定量してもよい。これらの検出又は定量には、胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子を用いることが好ましい。胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子としては、特に制限されないが、胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合するヌクレオチドや、抗体等のタンパク質などを例示することができる。胃癌マーカー遺伝子を検出又は定量するより具体的な方法としては、胃癌マーカー遺伝子DNAやcDNAの場合、胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合するプローブ用の標識化ヌクレオチドを用いたサザンブロット法を、mRNAの場合、該プローブを用いたノーザンブロット法等を用いることができ、これらのヌクレオチドの検出又は定量に、特にcDNAの検出又は定量に、マイクロアレイやマイクロチップを用いる方法を適用することができる。サザンブロット法やノーザンブロット法に用いるプローブ用の標識化ヌクレオチドとしては、本件胃癌マーカー遺伝子のセンス鎖又はアンチセンス鎖(すなわち、配列番号1〜119のいずれかで表されるヌクレオチド配列又はその相補配列)と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする10〜100−mer、好ましくは10〜50−mer、より好ましくは15〜30−merの塩基長を有するヌクレオチドを標識化した標識化ヌクレオチドを例示することができる。マイクロアレイやマイクロチップとしては、本件胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子が少なくとも1つ以上固定化されているマイクロアレイ又はマイクロチップを例示することができ、該分子としてはヌクレオチドやタンパク質などを好ましく例示することができ、該ヌクレオチドとしては、本件胃癌マーカー遺伝子のセンス鎖又はアンチセンス鎖と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする10〜100−mer、好ましくは10〜50−mer、より好ましくは15〜30−merの塩基長を有するヌクレオチドからなるプローブ用のヌクレオチドをより好ましく例示することができる。
本明細書において「ストリンジェントな条件下」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、具体的には、70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するポリヌクレオチド同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いポリヌクレオチド同士がハイブリダイズしない条件、あるいは、通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である65℃、1×SSC、0.1%SDS、又は0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件を挙げることができる。また、上記「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド」とは、DNA又はRNAなどの核酸をプローブとして使用し、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるヌクレオチドを意味し、具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のポリヌクレオチドの断片を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍程度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるヌクレオチドをあげることができる。ハイブリダイゼーションは、例えばモレキュラー・クローニング、ア・ラボラトリーマニュアル(Molecular cloning,A laboratorymanual)、第2版、第9.52−9.55頁(1989)に記載の方法で行うことができる。
上記プローブの標識化に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質、ランタニド元素、スピン試薬などを挙げることができる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔H〕、〔14C〕、〔32P〕、〔33P〕、〔35S〕、〔59Fe〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などを用いることができ、蛍光物質としては、例えば、シアニン蛍光色素(例、Cy2、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)など)、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどを用いることができ、発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどを用いることができる。
上記本発明における標識化プローブを用いて、本件胃癌マーカー遺伝子の有無を検出したり、発現量を測定することにより、胃癌の判定を行うことができる。また、被検試料中の本件胃癌マーカー遺伝子DNA等の量が少ない場合には、DNAやRNAをPCR法や、LAMP法等により増幅することができる。また、PCR法として、RT−PCR法、リアルタイムPCR法、コンペティティブPCR法を挙げることができる。PCRに用いるプライマーとして具体的には、表1に記載されたプローブセットナンバーのプローブ(Affymetrix社製)を好ましく例示することができる。また、本件胃癌マーカー遺伝子の配列情報に基づいてプライマーの配列を適宜設計し、適当なオリゴヌクレオチド合成装置を用いて作製することもできる。
上記リアルタイムPCR法としては、例えば、細胞内のトータルRNAやmRNAから逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、このcDNAを鋳型に目的領域をPCRで増幅し、リアルタイムモニタリング用試薬を用いて増幅産物の生成過程をリアルタイムでモニタリングし、解析する方法があげられる。前記リアルタイムモニタリング試薬としては、例えば、SYBR(登録商標:MolecularProbes社製)GreenIや、TaqMan(登録商標:Applied Biosystems社製)プローブ等があげられる。リアルタイムPCR法は、白血球中から単離したRNA等の微量のRNAであっても簡便にmRNAを検出又は定量することができるので特に好ましく挙げられる。
また、定量的PCRとして知られている上記コンペティティブPCR法としては、例えば、細胞内のトータルRNAやmRNAから逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、このcDNAとDNAコンペティターとを同一チューブ内で反応させる方法や、さらに前記逆転写反応時にmRNAとともにRNAコンペティターを加えて反応させる方法等があげられる。またコンペティターのプライマー配列以外の内部配列としては、例えば、増幅目的mRNAの配列と相同配列でもよく、非相同な配列でもよい。
前記のように、胃癌マーカー遺伝子等の検出や定量には、マイクロアレイやマイクロチップを用いる方法を適用することができる。通常、マイクロアレイやマイクロチップは、プローブが支持体上の定められた領域に固定されているアレイ又はチップであり、アレイ又はチップの支持体としては、ハイブリダイゼーションに使用可能なものであればよく、例えばガラス、シリコン、プラスチックなどの基板や、ニトロセルロース膜、ナイロン膜等を好適に用いることができる。マイクロアレイやマイクロチップの製造方法は特に制限されず、例えば、以下に示す文献に記載されたような当業者に公知の任意の方法で製造することが出来る。
DNAマイクロアレイ実戦マニュアル、林崎良英 監修(羊土社);DNA Microarrays -A Practical Approach-, Edited by Mark Schene, Oxford University Press 1999;Lockhart DJ, Dong H, Byrne MC, Follettie MT, Gallo MV, Chee MS, Mittmann M, Wang C, Kobayashi M, Horton H, Brown EL. Expression monitoring by hybridization to high-density oligonucleotide arrays;Nat Biotechnol. 1996 Dec;14(13):1675-80;Wodicka L, Dong H, Mittmann M, Ho MH, Lockhart DJ. Genome-wide expression monitoring in Saccharomyces cerevisiae;Nat Biotechnol. 1997 Dec;15(13):1359-67.
マイクロアレイやマイクロチップに用いるプローブは、DNAであってもよいし、RNAであってもよいが、プローブの安定性に優れていることからDNAプローブであることが好ましい。マイクロアレイやマイクロチップを用いることにより、被検試料中や対照試料中に存在する本件胃癌マーカー遺伝子を非常に簡便に検出又は定量することができる。本発明におけるマイクロアレイやマイクロチップの使用方法については特に制限されず、通常の方法で使用することができる。例えば、生体試料(被検試料や対照試料)からmRNAを調製し、該mRNAを鋳型とした逆転写反応を行う際に、適切な標識を付したプライマーや標識ヌクレオチドを使用することにより、標識されたcDNAを得ることができる。この標識化cDNAとマイクロアレイやマイクロチップ表面上に固定された本発明におけるプローブとの間でハイブリダイゼーションを行わせ、被検試料とのハイブリダイゼーション及び対照試料とのハイブリダイゼーションのそれぞれ結果を比較し、本件胃癌マーカー遺伝子の有無を検出したり、発現量を測定することにより、胃癌の判定を行うことができる。ハイブリダイゼーションは公知の方法で実施すればよく、その条件は使用するマイクロアレイ(マイクロチップ)や標識cDNAに適したものを適宜選択すればよい。例えば、モレキュラー・クローニング、ア・ラボラトリーマニュアル(Molecular cloning,A laboratorymanual)、第2版、第9.52−9.55頁(1989)に記載を参考にしてハイブリダイゼーション条件を選択することができる。
上記標識化cDNAの作製に用いられる標識物質としては、放射性同位元素、蛍光物質、化学発光物質、発光団を有する物質等の物質を用いることができる。例えば、蛍光物質としては、Cy2、FluorX、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、テキサスレッド、ローダミン等が挙げられる。また、標識化cDNAに代えて、標識化mRNAや、cDNAより転写あるいは増幅された標識化核酸を用いることもできる。標識核酸の検出法は、用いられる標識物質の種類により、適宜選択すればよく、前記Cy3及びCy5を標識物質として用いる場合、Cy3は532nm、Cy5は635nmの波長でスキャンすることにより検出又は定量することができる。標識物質からのシグナルの強度を検出又は定量することによって、被検試料中や対照試料中に存在する本件胃癌マーカー遺伝子の発現を検出又は定量することができる。
被検試料と対照試料との遺伝子発現の差を測定する方法として、比較的発現変動の少ない標準的な遺伝子を用いて両者のmRNA量を補正することが好ましい。例えば、2種類の蛍光を用いてマイクロアレイ(マイクロチップ)上で競合ハイブリダイゼーションを行なう場合には、2種の蛍光物質間の強度差を補正することにより、より正確なデータを得ることができる。このような補正の目的に使用される核酸としては、非癌部位の試料由来の核酸;ハウスキーピング遺伝子〔例えば、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPD)遺伝子、シクロフィリン遺伝子、β−アクチン遺伝子、α−チューブリン遺伝子、ホスフォリパーゼA2遺伝子等〕に対応する核酸等が挙げられ、また、非特異的なハイブリダイゼーションでないことを確認するための陰性対照としては、試料とまったく関連のない核酸、例えばプラスミドpUC18等を挙げることができる。
次に、本件胃癌マーカーポリペプチドは、上記本件胃癌マーカー遺伝子の発現産物であり、本件胃癌マーカーポリペプチドのアミノ酸配列の配列情報は、NCBIの遺伝子データベースにおいて、前記表1に示されたそれぞれのアクセッションナンバーによりアプローチすることもできる。これら本件胃癌マーカーポリペプチドの中でも、検出感度等の観点から、CDNA FLJ10196 fis, clone HEMBA1004776ポリペプチド、CLDN1ポリペプチド(配列番号144)、CTHRC1ポリペプチド(配列番号145)、CXCL1ポリペプチド(配列番号146)、FAPポリペプチド(配列番号147)、FPR1ポリペプチド(配列番号148)、GPNMBポリペプチド(配列番号149)、GPR109Bポリペプチド(配列番号150)、H19ポリペプチド(配列番号151)、HOXC6ポリペプチド(配列番号152)、INHBAポリペプチド(配列番号153)、KIAA1199ポリペプチド(配列番号154)、KLK10ポリペプチド(配列番号155)、NCF2ポリペプチド(配列番号156)、NID2ポリペプチド(配列番号157)、PI3ポリペプチド(配列番号158)、SELEポリペプチド(配列番号159)、SERPINH1ポリペプチド(配列番号160)、SFRP2ポリペプチド(配列番号161)、SPP1ポリペプチド(配列番号162)、SRPX2ポリペプチド(配列番号163)、STC1ポリペプチド(配列番号164)、TNCポリペプチド(配列番号165)、TNFAIP6ポリペプチド(配列番号166)、及びWNT5Aポリペプチド(配列番号167)から選ばれる1種又は2種以上のポリペプチドを検出又は定量することが好ましく、KIAA1199ポリペプチド及び/又はINHBAポリペプチドを検出又は定量することがより好ましい。なお、本件胃癌マーカーポリペプチドは、一般的に細胞に局在するか又は細胞から分泌されるものが好ましく、細胞から分泌されるものがより好ましく、血液中に分泌されるものがさらに好ましい。
本件胃癌マーカーポリペプチドを検出又は定量する方法としては、所定のポリペプチドを検出又は定量できる方法であれば特に制限されず、例えば、本件胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する分子を用いる方法を好ましく例示することができる。胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する分子としては、本件胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する抗体やアプタマー等を好ましく例示することができ、本件胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、一本鎖抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、2つのエピトープを同時に認識することができる二機能性抗体等を例示することができ、また、これら抗体のFab断片やF(ab’)断片等も使用しうるが、モノクローナル抗体を用いることが好ましい。これら抗体は、慣用のプロトコールを用いて、本件胃癌マーカーポリペプチド又はその断片を抗原として用いて作製することができる。アプタマーとは、タンパク質、アミノ酸、抗生物質等の各種分子に特異的に結合する核酸分子である。本件発明におけるアプタマーは、本件胃癌マーカーポリペプチドのいずれかに特異的に結合する。
前述の本件胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する抗体を用いて、被検試料中に存在する本件胃癌マーカーポリペプチドを検出又は定量する場合、RIA法、ELISA法、蛍光抗体法等の公知の免疫学的測定法を用いることができる。抗体は、適当な標識剤により標識されていてもよい。標識剤としては特に制限されず、標識化ヌクレオチドを作製する際に用いる標識剤と同様の標識剤を用いることができる。また、被検試料中、特に好ましくは血清、血漿等の血液サンプルに存在する本件胃癌マーカーポリペプチドを免疫学的手法で検出又は定量することにより、簡便に胃癌かどうか判定することができる。
本発明の胃癌の判定方法においては、被検試料中に存在する、本件胃癌マーカー遺伝子を検出又は定量する工程や、本件胃癌マーカーポリペプチドを検出又は定量する工程の後に、検出又は定量結果を評価する工程を含んでいてもよい。検出又は定量結果の評価は、正常人の生体試料又は胃癌患者の非癌組織(胃正常組織)における検出又は定量結果を基準として行うことができる。例えば、ある生体試料(被検試料)について、該被検試料の採取源が胃癌患者であるかどうか、又は該被検試料が胃癌組織であるかを判定する場合、正常人から採取した生体試料であって、該被検試料と同種の生体試料、又は、被検試料の採取源から採取した生体試料であって、該被検試料と同様の部位の、癌組織でない生体試料中に存在する、本件胃癌マーカー遺伝子や本件胃癌マーカーポリペプチドの検出又は定量結果を基準として行う。
より具体的には、(i)被検試料中に存在する、本件胃癌マーカー遺伝子の発現量が、正常対照試料中に存在する、本件胃癌マーカー遺伝子の発現量(基準量)よりも有意に高い場合や、(ii)被検試料中に存在する、本件胃癌マーカーポリペプチドの量が、正常対照試料中に存在する、本件胃癌マーカーポリペプチドの量(基準量)よりも有意に高い場合や、(iii)正常対照試料中には本件胃癌マーカー遺伝子が検出されなかったのに対し、被検試料中には本件胃癌マーカー遺伝子が検出された場合や、(iv)正常対照試料中には本件胃癌マーカーポリペプチドが検出されなかったのに対し、被検試料中には本件胃癌マーカーポリペプチドが検出された場合は、被検試料の採取源が胃癌患者であることや被検試料が胃癌組織であると評価する。上記(i)〜(iv)の中でも、胃癌であるかどうかを最も簡便に判定できることから、(iv)である場合が特に好ましい。
上記判定に際して「有意に高い」とは、被検試料中に存在する、本件胃癌マーカー遺伝子の発現量(又は本件胃癌マーカーポリペプチドの発現量)が、正常対照試料中に存在する、本発明における遺伝子の発現量(又は本件胃癌マーカーポリペプチド)の発現量よりも高く、かつ、例えば5連(n=5)で発現量の測定を行った結果についてPaired T−testを行った場合に、p<0.05、より好ましくはp<0.005、さらに好ましくはp<0.0005、さらにより好ましくはp<0.00005となることを意味する。また、被検試料における発現量が基準量よりも有意に高い場合の別の指標としてより具体的には、被検試料における発現量が、基準量に対して5倍以上、好ましくは6倍以上、より好ましくは7倍以上、さらに好ましくは8倍以上、さらにより好ましくは9倍以上、よりさらに好ましくは10倍以上、さらに好ましくは11倍以上、より好ましくは12倍以上である場合を挙げることができる。
判定に際して、有意に高いかどうかを確認する具体的な方法として以下の方法を好ましく挙げることができる。
1)被検試料として胃癌組織を用い、対照試料として胃正常組織を用い、両試料から常法にしたがってトータルRNAを抽出する。該トータルRNA(各サンプルにつき2μg)と、Affymetrix社製の全遺伝子型マイクロアレイ(GeneChip Human Genome U133 Plus 2.0 Array)と、同社製のプローブとを用い、Expression Analysis Technical Manual(Affymetrix社)に準じてマイクロアレイ解析を行う。マイクロアレイ解析により得られた全遺伝子の発現値を、BRB softwareを用いて、中央値による正規化を行う。被検試料における発現量が基準量に対して何倍であるかを算出する場合は、正規化により得られた発現量の数値を用いる。また、Paired T−testにおけるp値については、正規化により得られた発現量の数値を用いて、同一患者における胃癌組織検体と胃正常組織検体に対して、Paired T−testを行うことにより算出する。
なお、基準量は、被検試料における発現量を測定する度に毎回測定する必要はなく、例えば、様々な種の生体試料についてあらかじめ基準量を測定しておき、生体試料の種類ごとに検量線を作成しておけば、被検試料と同種の生体試料の基準量をすぐに検索して用いることができる。
本発明の胃癌マーカー遺伝子の検出又は定量用キットとしては、本件胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子を備えたキットであれば特に制限されず、本件胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子が、少なくとも1つ以上固定化されているマイクロアレイ又はマイクロチップを備えたキット等を例示することができ、このキットを用いることにより、胃癌の判定を行うことができる。上記分子としては、特に制限されないが、ヌクレオチドや、抗体等のタンパク質などを例示することができ、該ヌクレオチドとしては、本件胃癌マーカー遺伝子のセンス鎖又はアンチセンス鎖(すなわち、配列番号1〜119のいずれかで表されるヌクレオチド配列又はその相補配列)と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする10〜100−mer、好ましくは10〜50−mer、より好ましくは15〜30−merの塩基長を有するヌクレオチドを標識化したプローブ用の標識化ヌクレオチドや、本件胃癌マーカー遺伝子のセンス鎖又はアンチセンス鎖と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする10〜100−mer、好ましくは10〜50−mer、より好ましくは15〜30−merの塩基長を有するプローブ用のヌクレオチドを好ましく例示することができる。また、本発明の胃癌マーカーポリペプチドの検出又は定量用キットとしては、本件胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する分子を備えたキットであれば制限されず、このキットを用いることにより、胃癌の判定を行うことができる。胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する分子としては、本件胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する抗体やアプタマー等を好ましく例示することができる。また、上記胃癌マーカー遺伝子の検出又は定量用キットや、胃癌マーカーポリペプチドの検出又は定量用キットには、ハイブリダイズ試薬、洗浄剤等他の試薬を含んでいてもよい。なお、上記プローブ、マイクロアレイやマイクロチップ、抗体の作製方法は前述のとおりである。
本発明における胃癌の治療薬剤は、(a)本件胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子に対するアンチセンスヌクレオチド、(b)本件胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子に対するアンチセンスRNAとセンスRNAとからなる2本鎖RNA、(c)本件胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する抗体、又は、(d)本件胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子のmRNAを切断する活性を有するリボザイムを有効成分として含むことを特徴とする。上記(a)のアンチセンスヌクレオチドや(b)のアンチセンスRNAとセンスRNAとからなる2本鎖RNAや(d)本件胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子のmRNAを切断する活性を有するリボザイムは、例えばそれをヒト細胞に投与した場合に、それを投与しなかった場合に比べて、ヒト細胞内における本件胃癌マーカー遺伝子の発現を抑制することができる限り特に制限されない。上記(b)の2本鎖RNAとしては、本件胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子に対するsiRNAを好ましく例示することができる。本発明のsiRNAは、本件胃癌マーカー遺伝子のmRNAの標的となる特定配列(以下、「特定配列」ともいう)に相同なセンス鎖RNAと、該センス鎖RNAと相補的なアンチセンス鎖RNAとからなる二本鎖RNAである。上記の本件胃癌マーカー遺伝子のmRNAの標的となる特定配列の長さとしては、19〜21bpの塩基長であることが好ましく、かかる特定配列としては、本件胃癌マーカー遺伝子のmRNAに特異的な配列であることが好ましい。本発明におけるsiRNAとして具体的には、配列番号168〜171のいずれか記載のRNAと、該RNAに相補的なRNAとからなるsiRNAを好ましく例示することができる。
かかるsiRNAのヌクレオチド配列は、本件胃癌マーカー遺伝子の配列情報に基づいて設計することができる。siRNAの設計の指針については既に多数の文献や成書において公表されており、これらの指針にしたがって本件胃癌マーカー遺伝子に特異的なsiRNAを設計することができる。例えば、siRNAの作製は、合成による作製方法及び遺伝子組換え技術を用いる作製方法等、公知の作製方法を適宜用いることができる。
上記合成による作製方法としては、配列情報に基づき、常法により二本鎖RNAを合成する方法を例示することができる。すなわち、2本鎖のオリゴリボヌクレオチドであるsiRNAを合成するには、先ずセンス鎖オリゴリボヌクレオチド及びアンチセンス鎖オリゴリボヌクレオチドをそれぞれ合成することができる。一般的に、保護基のついた4種類のリボヌクレオチドを用い、合成機を使用した有機合成で合成することができる。RNAは、4種類のヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン)がホスホジエステル結合によって連なったポリマー分子で、合成はアミダイドに、バックボーンを形成する糖の2’末端に2’−ビス(アセトキシエトキシ)−メチルエーテル(2’−ACE)保護基をつけ、1塩基ずつリン酸結合(カップリング)させることができる。生成された一本鎖RNAは、100mMTEMED−Acetate(pH3.8)バッファーで、60℃、30分反応させることにより脱保護を行い、HPLCを用いて品質チェックを行うことができる。高い純度のRNAを必要とする場合は、さらに変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動後、ゲルからRNAを精製したり、HPLCで精製を行うことができる。次に両鎖をアニーリングさせることができる。濃度約50μM(50pmol/μL)の両鎖の水溶液を調製し、各々の水溶液と5xアニーリング用緩衝液(500mM酢酸カリウム,150mM HEPES−KOH pH 7.4,10mM 酢酸マグネシウム)を混合した溶液を90℃で1分間加熱し、その後、37℃60分間保温することができる。このことにより、センスオリゴヌクレオチドとアンチセンスオリゴヌクレオチドは互いにアニーリングし2本鎖のsiRNAを得ることができる。
また、上記遺伝子組換え技術を用いる作製方法としては、センス鎖DNAやアンチセンス鎖DNAを組み込んだ発現ベクターを構築し、該ベクターを宿主細胞に導入後、転写により生成されたセンス鎖RNAやアンチセンス鎖RNAをそれぞれ取得することによって作製する方法を例示することもできるが、本発明における特定配列のセンス鎖DNA−リンカー−アンチセンス鎖DNAからなる二本鎖RNA発現カセットを構築し、該二本鎖RNA発現カセットを発現ベクターのプロモーターの下流に連結し、インビボでの発現・構築により所望の二本鎖RNAを作製する方法を好適に例示することができる。
siRNAは、リポフェクション法等により直接細胞内に導入することができる。通常陰電荷を有するホスファチジルセリン(PS)からなるリポソームを用いることができるが、より安定したリポソームを形成する陽イオン性脂質であるN−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウムクロライド(DOTMA、商品名:トランスフェクタム、リポフェクトアミン)を用いることもできる。これら陽イオン脂質と陰電荷をもつsiRNAとの複合体を形成させると、正に荷電しているリポソームが、負に荷電している細胞の表面に吸着し、細胞膜と融合することでsiRNAを細胞内に導入することができる。実際の治療にあたっては患部またはその周辺組織にsiRNAとリポソームの複合体を直接注入することができる。
また、本件胃癌マーカー遺伝子のmRNAを標的にしたsiRNA発現ベクターは、siRNAを直接細胞内に導入した場合より、siRNAが細胞内に存在できる期間が長くなり、遺伝子発現抑制の効率が高くなるという利点を有する。かかる本件胃癌マーカー遺伝子のmRNAを標的にしたsiRNA発現ベクターは、上記特定配列のセンス鎖DNA−リンカー−アンチセンス鎖DNAからなる二本鎖RNA発現カセットをプロモーターの下流に挿入することにより作製することができる。また、siRNA発現用のベクターは市販品を含め公知のものを用いることができるが、哺乳動物に導入する場合にはウイルスベクターであることが好ましい。ウイルスベクターとしては、例えば、マウス白血病レトロウイルスベクター(Microbiologyand Immunology, 158, 1−23, 1992)や、アデノ随伴ウイルスベクター(Curr.Top. Microbiol. Immunol., 158, 97−129,1992)や、アデノウイルスベクター(Science, 252, 431−434, 1991)や、リポソーム等を具体的に挙げることができるが、HIVレンチウイルスベクターは、非分裂細胞にも効率よく長期発現が可能であるという特徴を有する点で好ましい。また、これら発現系は、発現を起こさせるだけでなく、発現を調節する制御配列を含んでいてもよい。これらの発現ベクターへの二本鎖RNA発現カセットの導入は常法によって行うことができ、例えばこれら発現ベクター中の適当なプロモーターの下流に二本鎖RNA発現カセットを挿入することによりsiRNA発現ベクターを構築することができる。
前述の本発明における胃癌の治療薬剤の有効成分の1つである、本件胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する抗体としては、本件胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合することによって、胃癌の治療薬剤としての効果を発揮するものであれば特に制限はされない。また、前述の本発明における胃癌の治療薬剤の有効成分の1つである、本件胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子のmRNAを切断する活性を有するリボザイムとしては、本件胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子のmRNAを切断することによって、胃癌の治療薬剤としての効果を発揮するものであれば特に制限はされない。
本発明の胃癌の治療薬剤は、胃癌の治療薬剤、胃癌の増殖抑制剤、又は胃癌の予防薬剤として用いることができ、好ましくは胃癌の治療薬剤又は胃癌の増殖抑制剤として用いることができる。本明細書中において、胃癌の治療薬剤とは、胃癌の増殖を抑制する活性や胃癌を縮小する活性を有する薬剤をいい、また、胃癌の予防薬剤とは、胃癌の発生を予防する活性を有する薬剤をいう。
本発明の胃癌の治療薬剤を哺乳動物の生体、組織、細胞等に投与又は導入するに際しては、この分野で通常用いられる薬学的に許容される担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分とともに用いることができる。該薬学的に許容される担体とともに用いる薬学的組成物は、その投与形態、例えば経口(口腔内又は舌下を含む)投与、或いは非経口投与(注射剤等)等に合わせて、薬学の分野ではそれ自体周知の製剤形態で製剤化することができる。具体的な製剤形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、細粒剤、シロップ剤、坐薬、軟膏剤、注射剤などをあげることができる。製剤の担体として具体的には、たとえば結晶性セルロース、ゼラチン、乳糖、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物性及び動物性脂肪ならびに油、ガム、ポリアルキレングリコールとなどをあげることができる。本発明の胃癌の治療薬剤は製剤中に0.001〜100%含ませることができる。
本発明の胃癌の抑制剤及び/又は治療剤のスクリーニング方法としては、ヒト胃癌培養細胞株を被検物質の存在下に培養した後、該ヒト胃癌培養細胞株の細胞溶解物中に存在する本件胃癌マーカー遺伝子及び/若しくは本件胃癌マーカーポリペプチドを検出又は定量し、被検物質の非存在下における場合と比較・評価する方法であれば特に制限されず、本件胃癌マーカー遺伝子や本件胃癌マーカーポリペプチドの検出又は定量方法として、上述の本発明の胃癌の判定方法と同様の方法を用いることができる。また、ヒト胃癌培養細胞株としては、特に制限されないが、例えば、OCUM、Okajima、KATO、58As1、44As3、MKN、MKN1、MKN7、MKN28、MKN74等を好ましく挙げることができる。
上記比較・評価に際して、(a)被検物質の存在下に培養したヒト胃癌培養細胞株の細胞溶解物中に存在する、本件胃癌マーカー遺伝子の発現量が、被検物質の非存在下における場合と比較して減少している場合や、(b)被検物質の存在下に培養したヒト胃癌培養細胞株の細胞溶解物中に存在する、本件胃癌マーカーポリペプチドの量が、被検物質の非存在下における場合と比較して減少している場合や、(c)被検物質の存在下に培養したヒト胃癌培養細胞株の細胞溶解物中には本件胃癌マーカー遺伝子が検出されなかったのに対し、被検物質の非存在下ではその本件胃癌マーカー遺伝子が検出された場合や、(d)被検物質の存在下に培養したヒト胃癌培養細胞株の細胞溶解物中には本件胃癌マーカーポリペプチドが検出されなかったのに対し、被検物質の非存在下ではその本件胃癌マーカーポリペプチドが検出された場合は、当該被検物質は胃癌の治療、増殖抑制、転移抑制に有効な胃癌の抑制剤や治療剤である可能性が大きいと判断することとなる。
上記(a)や(b)の場合における減少の程度は、用いる被検物質の濃度や、定量の対象が本件胃癌マーカー遺伝子なのか本件胃癌マーカーポリペプチドなのかや、培養時間等によっても異なるため一概に言うことはできないが、例えば、被検物質の存在下に培養したヒト胃癌培養細胞株の細胞溶解物中に存在する本件胃癌マーカー遺伝子の発現量及び/又は本件胃癌マーカーポリペプチドが、被検物質の非存在下における場合の0.8倍以下であることが好ましく、0.6倍以下であることがより好ましく、0.4倍以下であることがさらに好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
1.胃癌高発現遺伝子の決定
(1)検体の調製
原発性の切除不能胃癌、又は転移性の切除不能胃癌に対し5−FU(TS−1,メソトレキセート/5−FUを含む)若しくはシスプラチン・イリノテカン併用療法が行われた患者で、かつ、文書でインフォームド・コンセントの得られた患者30例を検体の採取源とした。これらの患者30例のそれぞれについて、胃癌組織と胃正常組織(癌組織ではない胃の組織)を内視鏡を用いて採取し、計60個の検体を得た。検体は連結可能匿名化を行った後、−80度で保存した。
(2)全遺伝子に関するマイクロアレイ解析
上記1.(1)の60検体からトータルRNAの抽出を行った。各検体から得られたトータルRNAを試料とし、市販のマイクロアレイを用いて、前述の各検体のトータルRNA試料中の全遺伝子のmRNA量を測定した。マイクロアレイ解析は、Affymetrix社製の全遺伝子型マイクロアレイ(GeneChip Human Genome U133 Plus 2.0 Array)と、同社製のプローブと、トータルRNA(各検体につき2μg)とを用い、Expression Analysis Technical Manual(Affymetrix社)に準じて行った。
得られた全遺伝子の発現値を、BRB softwareを用いて、中央値による正規化を行い、次いで、同一患者における胃癌組織検体と胃正常組織検体に対して、Paired T−testを行った。得られた結果を検討し、胃癌組織検体における発現量が胃正常組織検体における発現量に対して5倍以上であり、かつ胃癌組織検体における発現量が胃正常組織検体における発現量に対して有意差(p<0.00005)を示した遺伝子を、全遺伝子の中から119種類同定した。前述の表1に、同定した119種類の遺伝子名、用いたプローブセット名、遺伝子のアクセッション番号等を示す。なお、表1のav−ca、av−non、sd−ca、sd−nonの数値はそれぞれ、得られた測定値をlog変換した後の数値を用いている。
これらの120種類の遺伝子のうち、胃癌マーカー遺伝子として特に優れていると考えられる25種類の遺伝子を表2示す。これら25種類の遺伝子について、上記と同様の方法によりマイクロアレイを行い、mRNAの発現量を調べた。その結果を図1に示す。この結果から、同定された25種類の遺伝子の発現量は胃癌組織で胃正常組織に対して有意に増加していることが確認された。
2.KIAA1199遺伝子に関するPCR解析
上記の25種類の遺伝子(表2)のうちの1種であるKIAA1199遺伝子のmRNAの発現は、Affymetrix社製のプローブセット212942_s_at(配列番号120−130)を用いたマイクロアレイ解析により同定されたが、その再現性を検討するために、KIAA1199遺伝子について、上記1.の胃癌患者30症例のうち最初の10症例の臨床検体を用いたPCR解析を行った。PCRは、2種類のプライマー(配列番号131:Upper: ACTTCCCCAGCCACCCTCTTTA, 配列番号132:Lower: TACTTCTTCCCATCCACTTCAATG)を用い、95℃3分、(95℃45秒、57℃45秒、72℃60秒)×37サイクル、72℃5分という条件で行った。PCR産物の電気泳動結果を図2(左)に示す。KIAA1199遺伝子のPCR産物を、胃癌組織検体(T)と胃正常組織検体(N)で比較したところ、解析した10症例のうち、7例で胃癌組織検体(T)の方にのみKIAA1199遺伝子のPCR産物が確認された。このことから、KIAA1199遺伝子の発現は胃癌特異的であることが示唆された。
3.KIAA1199遺伝子に対するsiRNAを用いた発現抑制試験
KIAA1199遺伝子の発現を抑制することによる影響を調べるために、KIAA1199遺伝子に対するsiRNAを用いて以下のような試験を行った。
まず、KIAA1199遺伝子に対する2種類のsiRNAをデザインした。その配列を配列番号168〜171に示す。また、ネガティブコントロールとして、ルシフェラーゼ遺伝子に対する2種類のsiRNA(配列番号172〜175)と、スクランブルsiRNA(配列番号176,177)の合計3種類のsiRNAを用いた。
KIAA1199遺伝子のmRNA発現抑制による細胞増殖への影響を調べるために、前述の合計5種類のsiRNAを用いて以下のMTTアッセイを行った。
96ウェルのマイクロカルチャープレートに1well当たり180μlのヒト胃癌細胞(KATOIII細胞)の懸濁液を加えて、37℃で一日間前培養を行った。トランスフェクト試薬に、最終濃度50nMとなるように前述の5種類のsiRNAを加えて、トランスフェクト溶液を5種類作製した。これらの前培養したヒト胃癌細胞(KATOIII細胞)それぞれ175μlに、トランスフェクト溶液を25μlずつ加えて、37℃で72時間本培養した。本培養後の細胞数をThiazolyl Blue Tetrazolium Bromide (MTT)試薬を用いて処理した後、OD値として検出した。その結果を図2(右)に示す。図2(右)から分かるように、胃癌細胞株においてKIAA1199遺伝子のmRNAの発現を抑制すると、著明な細胞増殖抑制効果を示した。このことから、KIAA1199は、胃癌の治療標的分子としても有望であることが確認された。
4.INHBA遺伝子に関するRT−PCR解析
上記の25種類の遺伝子(表2)のうちの1種であるINHBA遺伝子のmRNAの発現は、Affymetrix社製のプローブセット227140_s_at(配列番号133−143)を用いたマイクロアレイ解析により同定されたが、その再現性を検討するために、INHBA遺伝子について、上記2.で用いた胃癌患者10症例の臨床検体を用いたreal time RT−PCR解析を行った。また、コントロールとして、INHBA遺伝子の近縁遺伝子であるINHA遺伝子及びINHBB遺伝子についても同様にmRNAの発現量を測定した。その結果を図3(左)に示す。図3の結果から分かるように、INHBA遺伝子については全症例の胃癌組織において発現の亢進が観察され、図1に示すマイクロアレイ解析の結果の再現性が確認された。一方、INHBA遺伝子の近縁遺伝子であるINHA遺伝子及びINHBB遺伝子については、胃癌組織における発現の亢進が見られなかった。
5.アクチビンAタンパクの発現解析
INHBA遺伝子の遺伝子産物は生体内では二量体を形成しアクチビンAタンパクとなることが知られている。そこで、INHBA遺伝子のタンパクレベルでの発現を調べるために、10種類の公知のヒト胃癌細胞(OCUM細胞、Okajima細胞、KATO細胞、58As1細胞、44As3細胞、MKN1細胞、MKN7細胞、MKN細胞、MKN28細胞、MKN74細胞)のアクチビンAタンパクの発現量を、Human Activin A Duoset(R&D SYSTEMS社製)の抗体を利用したELISAにより測定した。その結果を図3(右)に示す。図3の結果から、胃癌細胞株において蛋白レベルでアクチビンAが高発現していることが確認された。この結果は、アクチビンAが胃癌の腫瘍マーカーである可能性を示唆している。
6.KIAA1199ポリペプチドに結合する抗体の作製
KIAAポリペプチドを示す配列番号154に記載のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号202〜220のアミノ酸配列のN末端にシステインを付加したアミノ酸配列からなるペプチド(配列番号178)、アミノ酸番号612〜627のアミノ酸配列からなるペプチド(配列番号179)、及びアミノ酸番号1159〜1176のアミノ酸配列からなるペプチド(配列番号180)の計3つのペプチドを合成した。これらのペプチドに対するポリクローナル抗体の作製を株式会社 免疫生物研究所に依頼したところ、各々のペプチドを免疫した3羽のウサギから抗血清が得られた。抗血清を段階的に希釈した希釈液と、各々のペプチドを固定したプレートとを用いてアッセイを行ったところ、抗血清中の抗体と各々のペプチドとの反応が確認された。なお、抗血清中の抗体と各々のペプチドとの反応は、抗血清を204800倍に水で希釈した希釈液を用いた場合にも確認された。
胃癌マーカー遺伝子として特に優れていると考えられる25種類の遺伝子の発現量をマイクロアレイで測定した結果を示す図である。表2で示した25種類の遺伝子のマイクロアレイでの発現値を正規化した後、胃癌部(胃癌組織)と胃非癌部(胃正常組織)に分けて算出した平均値とSD値をグラフに示した。なお、マイクロアレイでの発現値はlog変換して用いた。 左図:胃癌部(胃癌組織:T)と胃非癌部(胃正常組織:N)における、KIAA1199遺伝子の発現をPCRで確認した結果を示す図である。右図:siRNAを用いて胃癌細胞におけるKIAA1199遺伝子の発現を抑制することによる、該胃癌細胞の増殖への影響を示す図である。KIAA1199に対する2種類のsiRNAをヒト胃癌細胞にトランスフェクトし、その細胞の増殖能をMTTアッセイにて測定した(黒カラム)。また、ネガティブコントロールとして、ルシフェラーゼ遺伝子に対する2種類のsiRNAと、スクランブルsiRNAの合計3種類のsiRNAをそれぞれトランスフェクトしたヒト胃癌細胞の増殖能についても、MTTアッセイにて測定した(白カラム)。グラフの数値は、スクランブルsiRNAをトランスフェクトしたヒト胃癌細胞の増殖率を100%としたときの増殖率(%)を示している。右図のグラフのバーは左からそれぞれ、・スクランブルsiRNAをトランスフェクトしたヒト胃癌細胞の増殖率・ルシフェラーゼ遺伝子に対するsiRNA#1をトランスフェクトしたヒト胃癌細胞の増殖率・ルシフェラーゼ遺伝子に対するsiRNA#2をトランスフェクトしたヒト胃癌細胞の増殖率・KIAA1199遺伝子に対するsiRNA#1をトランスフェクトしたヒト胃癌細胞の増殖率・KIAA1199遺伝子に対するsiRNA#2をトランスフェクトしたヒト胃癌細胞の増殖率を示している。 左図:胃癌臨床検体におけるINHBAの発現をreal time RT−PCR法に解析した結果を示す図である。N:胃非癌部(胃正常組織); T:胃癌部(胃癌組織)右図:胃癌細胞株におけるアクチビンAタンパクの発現量を示す図である。

Claims (24)

  1. 被検試料中に存在する、以下の胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子を検出又は定量することを特徴とする胃癌の判定方法。
    ANGPT2遺伝子、AQP9遺伝子、ASPN遺伝子、BCAT1遺伝子、BCL2A1遺伝子、BGN遺伝子、C5R1遺伝子、CCL3遺伝子、CCL4遺伝子、CD14遺伝子、CDH3遺伝子、CDNA clone IMAGE:30924414遺伝子、CDNA FLJ10196 fis, clone HEMBA1004776遺伝子、CEBPB遺伝子、CHI3L1遺伝子、CIAS1遺伝子、CLDN1遺伝子、CMKOR1遺伝子、COL10A1遺伝子、COL11A1遺伝子、COL12A1遺伝子、COL1A1遺伝子、COL1A2遺伝子、COL4A1遺伝子、COL5A2遺伝子、COL6A3遺伝子、COL8A1遺伝子、CTGF遺伝子、CTHRC1遺伝子、CXCL1遺伝子、CXCL2遺伝子、CXCL5遺伝子、CXCL6遺伝子、CYR61遺伝子、DAF遺伝子、EREG遺伝子、FAP遺伝子、FCGR2A遺伝子、FCGR3B遺伝子、FN1遺伝子、FNDC1遺伝子、FPR1遺伝子、GPNMB遺伝子、GPR109B遺伝子、GPR84遺伝子、H19遺伝子、HOXC6遺伝子、IL11遺伝子、IL13RA2遺伝子、IL1A遺伝子、IL1B遺伝子、IL24遺伝子、IL6遺伝子、IL8遺伝子、IMP−3遺伝子、INHBA遺伝子、ITGA5遺伝子、KIAA1199遺伝子、KLK10遺伝子、KRT17遺伝子、KRT23遺伝子、KRT6B遺伝子、MCEMP1遺伝子、MMP1遺伝子、MMP10遺伝子、MMP12遺伝子、MMP3遺伝子、MMP7遺伝子、MMP9遺伝子、MNDA遺伝子、MRNA; cDNA DKFZp667A182 (from clone DKFZp667A182) 遺伝子、NCF2遺伝子、NID2遺伝子、NNMT遺伝子、NR4A3遺伝子、OSM遺伝子、PBEF1遺伝子、PCOLCE遺伝子、PDE4B遺伝子、PDPN遺伝子、PI15遺伝子、PI3遺伝子、PLA2G7遺伝子、PLAU遺伝子、PROK2遺伝子、PRRX1遺伝子、PTGS2遺伝子、RARRES1遺伝子、RGS1遺伝子、RIS1遺伝子、S100A8遺伝子、S100A9遺伝子、SELE遺伝子、SERPINE1遺伝子、SERPINH1遺伝子、SFRP2遺伝子、SLC2A3遺伝子、SNX10遺伝子、SOCS3遺伝子、SOD2遺伝子、SPARC遺伝子、SPP1遺伝子、SRPX2遺伝子、STC1遺伝子、SULF1遺伝子、TFPI2遺伝子、TGFBI遺伝子、THBS1遺伝子、THBS2遺伝子、TIMP1遺伝子、TLR2遺伝子、TM4SF1遺伝子、TMEPAI遺伝子、TNC遺伝子、TNFAIP6遺伝子、TNFRSF12A遺伝子、TREM1遺伝子、WISP1遺伝子、WNT5A遺伝子
  2. 胃癌マーカー遺伝子として、CDNA FLJ10196 fis, clone HEMBA1004776遺伝子、CLDN1遺伝子、CTHRC1遺伝子、CXCL1遺伝子、FAP遺伝子、FPR1遺伝子、GPNMB遺伝子、GPR109B遺伝子、H19遺伝子、HOXC6遺伝子、INHBA遺伝子、KIAA1199遺伝子、KLK10遺伝子、NCF2遺伝子、NID2遺伝子、PI3遺伝子、SELE遺伝子、SERPINH1遺伝子、SFRP2遺伝子、SPP1遺伝子、SRPX2遺伝子、STC1遺伝子、TNC遺伝子、TNFAIP6遺伝子、及びWNT5A遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子を検出又は定量することを特徴とする請求項1に記載の胃癌の判定方法。
  3. 胃癌マーカー遺伝子として、KIAA1199遺伝子及び/又はINHBA遺伝子を検出又は定量することを特徴とする請求項1又は2に記載の胃癌の判定方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子を用いて胃癌マーカー遺伝子を検出又は定量することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の胃癌の判定方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子として、ヌクレオチド又はタンパク質を用いることを特徴とする請求項4記載の胃癌の判定方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子が少なくとも1つ以上固定化されているマイクロアレイ又はマイクロチップを用いることを特徴とする請求項4又は5記載の胃癌の判定方法。
  7. ヌクレオチドとして、請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子のセンス鎖又はアンチセンス鎖と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする10〜100−merのプローブ用のヌクレオチドを用いることを特徴とする請求項5又は6記載の胃癌の判定方法。
  8. ヌクレオチドとして、請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子のセンス鎖又はアンチセンス鎖と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする10〜100−merのプローブ用の標識化ヌクレオチドを用いることを特徴とする請求項5記載の胃癌の判定方法。
  9. 被検試料中に存在する、以下の胃癌マーカーポリペプチドから選択される1種又は2種以上のポリペプチドを検出又は定量することを特徴とする胃癌の判定方法。
    ANGPT2ポリペプチド、AQP9ポリペプチド、ASPNポリペプチド、BCAT1ポリペプチド、BCL2A1ポリペプチド、BGNポリペプチド、C5R1ポリペプチド、CCL3ポリペプチド、CCL4ポリペプチド、CD14ポリペプチド、CDH3ポリペプチド、CDNA clone IMAGE:30924414ポリペプチド、CDNA FLJ10196 fis, clone HEMBA1004776ポリペプチド、CEBPBポリペプチド、CHI3L1ポリペプチド、CIAS1ポリペプチド、CLDN1ポリペプチド、CMKOR1ポリペプチド、COL10A1ポリペプチド、COL11A1ポリペプチド、COL12A1ポリペプチド、COL1A1ポリペプチド、COL1A2ポリペプチド、COL4A1ポリペプチド、COL5A2ポリペプチド、COL6A3ポリペプチド、COL8A1ポリペプチド、CTGFポリペプチド、CTHRC1ポリペプチド、CXCL1ポリペプチド、CXCL2ポリペプチド、CXCL5ポリペプチド、CXCL6ポリペプチド、CYR61ポリペプチド、DAFポリペプチド、EREGポリペプチド、FAPポリペプチド、FCGR2Aポリペプチド、FCGR3Bポリペプチド、FN1ポリペプチド、FNDC1ポリペプチド、FPR1ポリペプチド、GPNMBポリペプチド、GPR109Bポリペプチド、GPR84ポリペプチド、H19ポリペプチド、HOXC6ポリペプチド、IL11ポリペプチド、IL13RA2ポリペプチド、IL1Aポリペプチド、IL1Bポリペプチド、IL24ポリペプチド、IL6ポリペプチド、IL8ポリペプチド、IMP−3ポリペプチド、INHBAポリペプチド、ITGA5ポリペプチド、KIAA1199ポリペプチド、KLK10ポリペプチド、KRT17ポリペプチド、KRT23ポリペプチド、KRT6Bポリペプチド、MCEMP1ポリペプチド、MMP1ポリペプチド、MMP10ポリペプチド、MMP12ポリペプチド、MMP3ポリペプチド、MMP7ポリペプチド、MMP9ポリペプチド、MNDAポリペプチド、MRNA; cDNA DKFZp667A182 (from clone DKFZp667A182) ポリペプチド、NCF2ポリペプチド、NID2ポリペプチド、NNMTポリペプチド、NR4A3ポリペプチド、OSMポリペプチド、PBEF1ポリペプチド、PCOLCEポリペプチド、PDE4Bポリペプチド、PDPNポリペプチド、PI15ポリペプチド、PI3ポリペプチド、PLA2G7ポリペプチド、PLAUポリペプチド、PROK2ポリペプチド、PRRX1ポリペプチド、PTGS2ポリペプチド、RARRES1ポリペプチド、RGS1ポリペプチド、RIS1ポリペプチド、S100A8ポリペプチド、S100A9ポリペプチド、SELEポリペプチド、SERPINE1ポリペプチド、SERPINH1ポリペプチド、SFRP2ポリペプチド、SLC2A3ポリペプチド、SNX10ポリペプチド、SOCS3ポリペプチド、SOD2ポリペプチド、SPARCポリペプチド、SPP1ポリペプチド、SRPX2ポリペプチド、STC1ポリペプチド、SULF1ポリペプチド、TFPI2ポリペプチド、TGFBIポリペプチド、THBS1ポリペプチド、THBS2ポリペプチド、TIMP1ポリペプチド、TLR2ポリペプチド、TM4SF1ポリペプチド、TMEPAIポリペプチド、TNCポリペプチド、TNFAIP6ポリペプチド、TNFRSF12Aポリペプチド、TREM1ポリペプチド、WISP1ポリペプチド、WNT5Aポリペプチド
  10. 胃癌マーカーポリペプチドとして、CDNA FLJ10196 fis, clone HEMBA1004776ポリペプチド、CLDN1ポリペプチド、CTHRC1ポリペプチド、CXCL1ポリペプチド、FAPポリペプチド、FPR1ポリペプチド、GPNMBポリペプチド、GPR109Bポリペプチド、H19ポリペプチド、HOXC6ポリペプチド、INHBAポリペプチド、KIAA1199ポリペプチド、KLK10ポリペプチド、NCF2ポリペプチド、NID2ポリペプチド、PI3ポリペプチド、SELEポリペプチド、SERPINH1ポリペプチド、SFRP2ポリペプチド、SPP1ポリペプチド、SRPX2ポリペプチド、STC1ポリペプチド、TNCポリペプチド、TNFAIP6ポリペプチド、及びWNT5Aポリペプチドから選ばれる1種又は2種以上のポリペプチドを検出又は定量することを特徴とする請求項9に記載の胃癌の判定方法。
  11. 胃癌マーカーポリペプチドとして、KIAA1199ポリペプチド、及び/又はINHBAポリペプチドを検出又は定量することを特徴とする請求項9又は10に記載の胃癌の判定方法。
  12. 請求項9〜11のいずれか記載の胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する分子を用いて胃癌マーカーポリペプチドを検出又は定量することを特徴とする請求項9〜11のいずれか記載の胃癌の判定方法。
  13. 請求項9〜11のいずれか記載の胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する分子として、抗体又はアプタマーを用いることを特徴とする請求項12記載の胃癌の判定方法。
  14. 請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子を備えたことを特徴とする胃癌マーカー遺伝子の検出又は定量用キット。
  15. 請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子が、ヌクレオチド又はタンパク質であることを特徴とする請求項14記載の胃癌マーカー遺伝子の検出又は定量用キット。
  16. 請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子に特異的に結合する分子が少なくとも1つ以上固定化されているマイクロアレイ又はマイクロチップを備えたことを特徴とする請求項14又は15記載の胃癌マーカー遺伝子の検出又は定量用キット。
  17. ヌクレオチドが、請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子のセンス鎖又はアンチセンス鎖と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする10〜100−merのプローブ用のヌクレオチドであることを特徴とする請求項15又は16記載の胃癌マーカー遺伝子の検出又は定量用キット。
  18. ヌクレオチドが、請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子のセンス鎖又はアンチセンス鎖と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする10〜100−merのプローブ用の標識化ヌクレオチドであることを特徴とする請求項15記載の胃癌マーカー遺伝子の検出又は定量用キット。
  19. 請求項9〜11のいずれか記載の胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する分子を備えたことを特徴とする胃癌マーカーポリペプチドの検出又は定量用キット。
  20. 請求項9〜11のいずれか記載の胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する分子が、抗体及び/又はアプタマーであることを特徴とする請求項19記載の胃癌マーカーポリペプチドの検出又は定量用キット。
  21. (a)請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子に対するアンチセンスヌクレオチド、(b)請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子に対するアンチセンスRNAとセンスRNAとからなる2本鎖RNA、(c)請求項9〜11のいずれか記載の胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する抗体、又は、(d)請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子のmRNAを切断する活性を有するリボザイムを有効成分として含むことを特徴とする胃癌の治療薬剤。
  22. 請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子に対するアンチセンスRNAとセンスRNAとからなる2本鎖RNAが、請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子から選ばれる1種又は2種以上の遺伝子に対するsiRNAであることを特徴とする請求項21に記載の胃癌の治療薬剤。
  23. siRNAが、配列番号168〜171のいずれか記載のRNAと、該RNAに相補的なRNAとからなるsiRNAである請求項22に記載の胃癌の治療薬剤。
  24. ヒト胃癌培養細胞株を被検物質の存在下に培養した後、該ヒト胃癌培養細胞株の細胞溶解物中に存在する請求項1〜3のいずれか記載の胃癌マーカー遺伝子及び/若しくは請求項9〜11のいずれか記載の胃癌マーカーポリペプチドを検出又は定量し、被検物質の非存在下における場合と比較・評価することを特徴とする胃癌治療剤のスクリーニング方法。
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